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特開2024-177338封止用樹脂組成物、半導体装置及び半導体装置の製造方法
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  • 特開-封止用樹脂組成物、半導体装置及び半導体装置の製造方法 図1
  • 特開-封止用樹脂組成物、半導体装置及び半導体装置の製造方法 図2
  • 特開-封止用樹脂組成物、半導体装置及び半導体装置の製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177338
(43)【公開日】2024-12-19
(54)【発明の名称】封止用樹脂組成物、半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/29 20060101AFI20241212BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20241212BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
H01L23/30 R
C08K3/013
C08L63/00
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024173297
(22)【出願日】2024-10-02
(62)【分割の表示】P 2022195222の分割
【原出願日】2018-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2017156440
(32)【優先日】2017-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水島 彩
(72)【発明者】
【氏名】湧口 恵太
(72)【発明者】
【氏名】中田 貴広
(57)【要約】
【課題】電気信頼性に優れる半導体装置を製造可能な封止用樹脂組成物、並びにこれを用いる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂と、無機充填材とを含有し、硬化した状態で周波数0.001Hzで測定したときの誘電緩和値が20以下である、封止用樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、前記支持体上に配置される半導体素子と、前記半導体素子を封止している封止用樹脂組成物の硬化物と、を備え、
前記封止用樹脂組成物はエポキシ樹脂と、無機充填材とを含有し、
前記硬化物の周波数0.001Hzで測定したときの誘電緩和値が20以下である、半導体装置。
【請求項2】
前記半導体素子はパワー半導体素子である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記無機充填材全体の体積平均粒子径は0.2μm~10μmである、請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止用樹脂組成物、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体素子は、電力の電圧又は周波数の制御、直流から交流又は交流から直流の変換等に主に使用される半導体素子の1種であり、電子機器、モーター、発電装置等の電力を動源とする各種分野において用いられている。このため、パワー半導体素子を備える半導体装置(パワー半導体装置)は、高電圧かつ大電流条件下での使用にも耐えうる電気信頼性が求められる。例えば、高温逆バイアス試験(High Temperature Reverse Bias、HTRB)において発生するリーク電流が充分に小さいことが求められる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-45747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パワー半導体素子を封止する封止用樹脂組成物としては、エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を含む樹脂組成物が広く用いられている。パワー半導体装置の電気信頼性の向上のために、ガラス転移温度、不純物含有率等の観点からのパワー半導体素子の封止用に適した樹脂組成物の検討が進められているが、これらの特性では説明がつかない部分も存在している。
本発明は上記事情に鑑み、電気信頼性に優れる半導体装置を製造可能な封止用樹脂組成物、並びにこれを用いる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1>エポキシ樹脂と、無機充填材とを含有し、硬化した状態で周波数0.001Hzで測定したときの誘電緩和値が20以下である、封止用樹脂組成物。
<2>パワー半導体素子の封止に用いられる、<1>に記載の封止用樹脂組成物。
<3>支持体と、前記支持体上に配置される半導体素子と、前記半導体素子を封止している<1>又は<2>に記載の封止用樹脂組成物の硬化物と、を備える半導体装置。
<4>半導体素子を支持体上に配置する工程と、前記半導体素子を<1>又は<2>に記載の封止用樹脂組成物で封止する工程と、を含む半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、電気信頼性に優れる半導体装置を製造可能な封止用樹脂組成物、並びにこれを用いる半導体装置及び半導体装置の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】誘電緩和測定装置の構成の一例を示す概略図である。
図2】実施例で作製した封止用樹脂組成物の誘電緩和値(周波数0.001Hz)と高温逆バイアス試験結果の相関関係を示す散布図である。
図3】実施例で作製した封止用樹脂組成物の誘電緩和値(周波数1MHz)と高温逆バイアス試験結果の相関関係を示す散布図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
【0009】
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
【0010】
<封止用樹脂組成物>
本開示の封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、無機充填材とを含有し、硬化した状態で周波数0.001Hzで測定したときの誘電緩和値が20以下である。
【0011】
本発明者らの検討の結果、封止用樹脂組成物が硬化した状態で測定した誘電緩和値と高温逆バイアス試験において発生するリーク電流(μA)とが相関関係にあることがわかった。さらに、この相関関係は通常の誘電率測定時の周波数(1MHz)では認められず、これより低い周波数0.001Hzで測定したときに認められることがわかった。この理由は必ずしも明らかではないが、時間による誘電率推移(誘電率値)がリーク電流にとって効果的であるためと推測している。
【0012】
上記知見をもとにさらに検討したところ、硬化した状態で周波数0.001Hzで測定した誘電緩和値が20以下である封止用樹脂組成物を用いた半導体装置は、高温逆バイアス試験において発生するリーク電流が充分に少なく、電気信頼性に優れていることがわかった。
【0013】
本開示において封止用樹脂組成物が硬化した状態で測定される誘電緩和値は、低周波側誘電率測定により測定される値である。半導体装置の電気信頼性の観点からは、周波数0.001Hzで測定した誘電緩和値は20以下であり、18以下であることが好ましく、16以下であることがより好ましい。また、周波数0Hz~0.01Hzの間で得られる誘電緩和値の最大値が40以下であることが好ましい。
【0014】
硬化した状態で周波数0.001Hzで測定される誘電緩和値が20以下である封止用樹脂組成物を得る方法としては、無機充填材の量を多くする(例えば、封止用樹脂組成物全体の70体積%以上とする)方法、封止用樹脂組成物に含まれる無機充填材の比表面積を低減する(例えば、BET法で測定される比表面積を3.28m/g以下にする)方法、無機充填材の表面を特定のカップリング剤(例えば、-NH又は-SHを有するカップリング剤)で処理する方法等が挙げられる。もっとも、本開示はこれらの方法に限定されるものではない。
【0015】
(エポキシ樹脂)
封止用樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂の種類は特に制限されず、封止用樹脂組成物に一般的に使用されるものから選択できる。
具体的には、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール化合物及びα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものであるノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等);上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂;上記フェノール化合物及びナフトール化合物と、アルデヒド化合物とを酸性触媒下で共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものである共重合型エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のジグリシジルエーテルであるジフェニルメタン型エポキシ樹脂;アルキル置換又は非置換のビフェノールのジグリシジルエーテルであるビフェニル型エポキシ樹脂;スチルベン系フェノール化合物のジグリシジルエーテルであるスチルベン型エポキシ樹脂;ビスフェノールS等のジグリシジルエーテルである硫黄原子含有エポキシ樹脂;ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂;フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等の多価カルボン酸化合物のグリシジルエステルであるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;アニリン、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したものであるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンとフェノール化合物の共縮合樹脂をエポキシ化したものであるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;分子内のオレフィン結合をエポキシ化したものであるビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,5-スピロ(3,4-エポキシ)シクロヘキサン-m-ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂;パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるパラキシリレン変性エポキシ樹脂;メタキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるメタキシリレン変性エポキシ樹脂;テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるテルペン変性エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるジシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルである多環芳香環変性エポキシ樹脂;ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるナフタレン型エポキシ樹脂;ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるアラルキル型エポキシ樹脂;などが挙げられる。さらにはシリコーン樹脂のエポキシ化物、アクリル樹脂のエポキシ化物等もエポキシ樹脂として挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
エポキシ樹脂のエポキシ当量(分子量/エポキシ基数)は、特に制限されない。成形性、耐リフロー性及び電気的信頼等の各種特性バランスの観点からは、100g/eq~1000g/eqであることが好ましく、150g/eq~500g/eqであることがより好ましい。
【0017】
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、JIS K 7236:2009に準じた方法で測定される値とする。
【0018】
エポキシ樹脂が固体である場合、その軟化点又は融点は特に制限されない。成形性と耐リフロー性の観点からは40℃~180℃であることが好ましく、封止用樹脂組成物の調製の際の取扱い性の観点からは50℃~130℃であることがより好ましい。
【0019】
エポキシ樹脂の融点は示差走査熱量測定(DSC)で測定される値とし、エポキシ樹脂の軟化点はJIS K 7234:1986に準じた方法(環球法)で測定される値とする。
【0020】
封止用樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有率は、強度、流動性、耐熱性、成形性等の観点から0.5質量%~50質量%であることが好ましく、2質量%~30質量%であることがより好ましい。
【0021】
(硬化剤)
封止用樹脂組成物は、硬化剤を含んでもよい。硬化剤の種類は特に制限されず、フェノール硬化剤、アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、ポリメルカプタン硬化剤、ポリアミノアミド硬化剤、イソシアネート硬化剤、ブロックイソシアネート硬化剤等が挙げられる。耐熱性向上の観点からは、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するもの(フェノール硬化剤)が好ましい。
【0022】
フェノール硬化剤として具体的には、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、置換又は非置換のビフェノール等の多価フェノール化合物;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール化合物及びα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル等とから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;パラキシリレン又はメタキシリレンで変性したフェノール樹脂;メラミン変性フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジシクロペンタジエンとから共重合により合成されるジシクロペンタジエン型フェノール樹脂及びジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂;ビフェニル型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂;これら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂などが挙げられる。これらのフェノール硬化剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
硬化剤の官能基当量(フェノール硬化剤の場合は水酸基当量)は、特に制限されない。成形性、耐リフロー性、電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、70g/eq~1000g/eqであることが好ましく、80g/eq~500g/eqであることがより好ましい。
【0024】
硬化剤の官能基当量(フェノール硬化剤の場合は水酸基当量)は、JIS K 0070:1992に準じた方法により測定される値とする。
【0025】
硬化剤が固体である場合、その軟化点又は融点は、特に制限されない。成形性と耐リフロー性の観点からは、40℃~180℃であることが好ましく、封止用樹脂組成物の製造時における取扱い性の観点からは、50℃~130℃であることがより好ましい。
【0026】
硬化剤の融点又は軟化点は、エポキシ樹脂の融点又は軟化点と同様にして測定される値とする。
【0027】
エポキシ樹脂と硬化剤の配合比は、特に制限されない。それぞれの未反応分を少なく抑える観点からは、エポキシ樹脂のエポキシ基数に対する硬化剤の官能基数の比(エポキシ樹脂のエポキシ基数/硬化剤の官能基数)が0.5~2.0の範囲となるように設定されることが好ましく、0.6~1.3の範囲となるように設定されることがより好ましく、0.8~1.2の範囲に設定されることがさらに好ましい。
【0028】
(硬化促進剤)
封止用樹脂組成物は、硬化促進剤を含んでもよい。硬化促進剤の種類は特に制限されず、エポキシ樹脂の種類、封止用樹脂組成物の所望の特性等に応じて選択できる。
硬化促進剤としては、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)等のジアザビシクロアルケン、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール等の環状アミジン化合物;前記環状アミジン化合物の誘導体;前記環状アミジン化合物又はその誘導体のフェノールノボラック塩;これらの化合物に無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;DBUのテトラフェニルボレート塩、DBNのテトラフェニルボレート塩、2-エチル-4-メチルイミダゾールのテトラフェニルボレート塩、N-メチルモルホリンのテトラフェニルボレート塩等の環状アミジニウム化合物;ピリジン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン化合物;前記三級アミン化合物の誘導体;酢酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、リン酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、安息香酸テトラ-n-ヘキシルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム等のアンモニウム塩化合物;トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p-トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン等の三級ホスフィン;前記三級ホスフィンと有機ボロン類との錯体等のホスフィン化合物;前記三級ホスフィン又は前記ホスフィン化合物と無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;前記三級ホスフィン又は前記ホスフィン化合物と4-ブロモフェノール、3-ブロモフェノール、2-ブロモフェノール、4-クロロフェノール、3-クロロフェノール、2-クロロフェノール、4-ヨウ化フェノール、3-ヨウ化フェノール、2-ヨウ化フェノール、4-ブロモ-2-メチルフェノール、4-ブロモ-3-メチルフェノール、4-ブロモ-2,6-ジメチルフェノール、4-ブロモ-3,5-ジメチルフェノール、4-ブロモ-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、4-クロロ-1-ナフトール、1-ブロモ-2-ナフトール、6-ブロモ-2-ナフトール、4-ブロモ-4’-ヒドロキシビフェニル等のハロゲン化フェノール化合物を反応させた後に、脱ハロゲン化水素の工程を経て得られる、分子内分極を有する化合物;テトラフェニルホスホニウム等のテトラ置換ホスホニウム、テトラ-p-トリルボレート等のホウ素原子に結合したフェニル基がないテトラ置換ホスホニウム及びテトラ置換ボレート;テトラフェニルホスホニウムとフェノール化合物との塩などが挙げられる。
【0029】
封止用樹脂組成物が硬化促進剤を含む場合、その量は、樹脂成分(エポキシ樹脂と必要に応じて含まれる硬化剤の合計、以下同様)100質量部に対して0.1質量部~30質量部であることが好ましく、1質量部~15質量部であることがより好ましい。硬化促進剤の量が樹脂成分100質量部に対して0.1質量部以上であると、短時間で良好に硬化する傾向にある。硬化促進剤の量が樹脂成分100質量部に対して30質量部以下であると、硬化速度が速すぎず良好な成形品が得られる傾向にある。
【0030】
(無機充填材)
封止用樹脂組成物に含まれる無機充填材の種類は特に制限されず、封止用樹脂組成物に一般的に使用されるものから選択できる。
具体的には、溶融シリカ、結晶シリカ、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク、クレー、マイカ等の無機材料が挙げられる。難燃効果を有する無機充填材を用いてもよい。難燃効果を有する無機充填材としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムと亜鉛の複合水酸化物等の複合金属水酸化物、ホウ酸亜鉛などが挙げられる。
【0031】
無機充填材の中でも、線膨張係数低減の観点からは溶融シリカ等のシリカが好ましく、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましい。無機充填材は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
封止用樹脂組成物における無機充填材の含有率は、特に制限されない。流動性及び強度の観点からは、封止用樹脂組成物全体の30体積%~90体積%であることが好ましく、50体積%~85体積%であることがより好ましい。無機充填材の含有率が封止用樹脂組成物全体の30体積%以上であると、硬化物の熱膨張係数、熱伝導率、弾性率等の特性がより向上する傾向にある。無機充填材の含有率が封止用樹脂組成物全体の90体積%以下であると、封止用樹脂組成物の粘度の上昇が抑制され、流動性がより向上して成形性がより良好になる傾向にある。
【0033】
無機充填材が粒子状である場合、その平均粒子径は、特に制限されない。例えば、無機充填材全体の体積平均粒子径が0.2μm~10μmであることが好ましく、0.5μm~5μmであることがより好ましい。体積平均粒子径が0.2μm以上であると、封止用樹脂組成物の粘度の上昇がより抑制される傾向がある。体積平均粒子径が10μm以下であると、狭い隙間への充填性がより向上する傾向にある。無機充填材の体積平均粒子径は、レーザー散乱回折法粒度分布測定装置により、体積平均粒径(D50)として測定することができる。
【0034】
(カップリング剤)
封止用樹脂組成物は、カップリング剤を含んでもよい。カップリング剤としては、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等のシラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウム/ジルコニウム系化合物などの公知のカップリング剤が挙げられる。
【0035】
封止用樹脂組成物がカップリング剤を含む場合、カップリング剤の量は、無機充填材100質量部に対して0.05質量部~5質量部であることが好ましく、0.1質量部~2.5質量部であることがより好ましい。カップリング剤の量が無機充填材100質量部に対して0.05質量部以上であると、フレームとの接着性がより向上する傾向にある。カップリング剤の量が無機充填材100質量部に対して5質量部以下であると、パッケージの成形性がより向上する傾向にある。
【0036】
(イオン交換体)
封止用樹脂組成物は、イオン交換体を含んでもよい。特に、封止用樹脂組成物を封止用成形材料として用いる場合には、封止される素子を備える電子部品装置の耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から、イオン交換体を含むことが好ましい。イオン交換体は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、ハイドロタルサイト化合物、並びにマグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム及びビスマスからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の含水酸化物等が挙げられる。イオン交換体は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、下記一般式(A)で表されるハイドロタルサイトが好ましい。
【0037】
Mg(1-X)Al(OH)(COX/2・mHO ……(A)
(0<X≦0.5、mは正の数)
【0038】
封止用樹脂組成物がイオン交換体を含む場合、その含有量は、ハロゲンイオン等のイオンを捕捉するのに充分な量であれば特に制限はない。例えば、樹脂成分100質量部に対して0.1質量部~30質量部であることが好ましく、1質量部~5質量部であることがより好ましい。
【0039】
(離型剤)
封止用樹脂組成物は、成形時における金型との良好な離型性を得る観点から、離型剤を含んでもよい。離型剤は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、カルナバワックス、モンタン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス、酸化ポリエチレン、非酸化ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックスなどが挙げられる。離型剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
封止用樹脂組成物が離型剤を含む場合、その量は樹脂成分100質量部に対して0.01質量部~10質量部が好ましく、0.1質量部~5質量部がより好ましい。離型剤の量が樹脂成分100質量部に対して0.01質量部以上であると、離型性が充分に得られる傾向にある。10質量部以下であると、より良好な接着性が得られる傾向にある。
【0041】
(難燃剤)
封止用樹脂組成物は、難燃剤を含んでもよい。難燃剤は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、ハロゲン原子、アンチモン原子、窒素原子又はリン原子を含む有機又は無機の化合物、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0042】
封止用樹脂組成物が難燃剤を含む場合、その量は、所望の難燃効果を得るのに充分な量であれば特に制限されない。例えば、樹脂成分100質量部に対して1質量部~30質量部であることが好ましく、2質量部~15質量部であることがより好ましい。
【0043】
(着色剤)
封止用樹脂組成物は、着色剤をさらに含んでもよい。着色剤としてはカーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、鉛丹、ベンガラ等の公知の着色剤を挙げることができる。着色剤の含有量は目的等に応じて適宜選択できる。着色剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
(応力緩和剤)
封止用樹脂組成物は、シリコーンオイル、シリコーンゴム粒子等の応力緩和剤を含んでもよい。応力緩和剤を含むことにより、パッケージの反り変形及びパッケージクラックの発生をより低減させることができる。応力緩和剤としては、一般に使用されている公知の応力緩和剤(可とう剤)が挙げられる。具体的には、シリコーン系、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系等の熱可塑性エラストマー、NR(天然ゴム)、NBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンパウダー等のゴム粒子、メタクリル酸メチル-スチレン-ブタジエン共重合体(MBS)、メタクリル酸メチル-シリコーン共重合体、メタクリル酸メチル-アクリル酸ブチル共重合体等のコア-シェル構造を有するゴム粒子などが挙げられる。応力緩和剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
(封止用樹脂組成物の調製方法)
封止用樹脂組成物の調製方法は、特に制限されない。一般的な手法としては、所定の配合量の成分をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練し、冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。より具体的には、例えば、上述した成分の所定量を均一に撹拌及び混合し、予め70℃~140℃に加熱してあるニーダー、ロール、エクストルーダー等で混練し、冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。
【0046】
封止用樹脂組成物は、常温常圧下(例えば、25℃、大気圧下)において固体であることが好ましい。封止用樹脂組成物が固体である場合の形状は特に制限されず、粉状、粒状、タブレット状等が挙げられる。
【0047】
(封止用樹脂組成物の用途)
封止用樹脂組成物の用途は特に制限されず、種々の半導体装置に用いることができる。上述したように、本開示の封止用樹脂組成物は高電圧かつ大電流条件下で使用した場合の電気信頼性に優れている。このため、パワー半導体素子の封止に特に好適に用いられるが、演算、記憶等のために用いる半導体素子の封止に用いてもよい。
【0048】
<半導体装置>
本開示の半導体装置は、支持体と、前記支持体上に配置される半導体素子と、前記半導体素子を封止している上述した封止用樹脂組成物の硬化物と、を備える。
【0049】
半導体装置に使用する支持体及び半導体素子の種類は特に制限されず、半導体装置の製造に一般的に用いられるものを使用できる。本開示の半導体装置は、半導体素子の封止に上述した封止用樹脂組成物を用いることで、高電圧かつ大電流条件下で使用した場合の電気信頼性に優れている。このため、パワー半導体装置として特に好適に用いられるが、演算、記憶等のために用いる半導体装置であってもよい。
【0050】
<半導体装置の製造方法>
本開示の半導体装置の製造方法は、半導体素子を支持体上に配置する工程と、前記半導体素子を上述した封止用樹脂組成物で封止する工程と、を含む。
【0051】
上記各工程を実施する方法は特に制限されず、一般的な手法により行うことができる。また、半導体装置の製造に使用する支持体及び半導体素子の種類は特に制限されず、半導体装置の製造に一般的に用いられるものを使用できる。本開示の半導体装置の製造方法は、半導体素子の封止に上述した封止用樹脂組成物を用いることで、高電圧かつ大電流条件下で使用した場合の電気信頼性に優れる半導体装置を製造できる。このため、パワー半導体装置の製造方法として特に好適であるが、演算、記憶等のために用いる半導体装置の製造方法であってもよい。
【実施例0052】
以下、本開示を実施例により具体的に説明するが、本開示の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0053】
(封止用樹脂組成物の調製)
下記に示す成分を表1に示す配合割合(質量部)で配合し、混練温度80℃、混練時間10分の条件でロール混練を行い、封止用樹脂組成物を調製した。
【0054】
【表1】
【0055】
表中に示す各成分の詳細は、下記のとおりである。
・エポキシ樹脂A…α-ヒドロキシフェニル-ω-ヒドロポリ(n=1-7)(ビフェニルジメチレン-ヒドロキシフェニレン)と1-クロロ-2,3-エポキシプロパンとの重縮合物(CER-3000L、日本化薬株式会社)
・エポキシ樹脂B…2,2’-ジメチル-4,4’-ジヒドロキシ-5,5’-ジ-tert-ブチルジフェニルスルフィドとクロロメチルオキシランとの反応生成物(YSLV-120TE、新日鉄住金化学株式会社)
・エポキシ樹脂C…テトラメチルビフェノール型固形エポキシ樹脂(YX-4000、三菱ケミカル株式会社)
・エポキシ樹脂D…α固形エポキシ樹脂と4,4’-ビフェノール型エポキシ樹脂の混合物(YX-7399、三菱ケミカル株式会社)
・硬化剤…フェノールとp-キシレングリコールジメチルエーテルとの重縮合物(MEH-7800、明和化成株式会社)
・硬化剤促進剤a’…トリパラトリルホスフィンと1,4-ベンゾキノン付加体
・硬化剤促進剤b’…トリフェニルホスフィンと1,4-ベンゾキノン付加体
・カップリング剤a…3-(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン(KBM-573、信越化学工業株式会社)
・カップリング剤b…メチルトリメトキシシラン(KBM-13、信越化学工業株式会社)
・カップリング剤c…3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-403、信越化学工業株式会社)
・カップリング剤d…ジフェニルジメトキシシラン(KBM-202SS、信越化学工業株式会社)
・無機充填材…非晶質二酸化ケイ素(5%未満の結晶質を含む)(FB-9454、デンカ株式会社)
【0056】
(誘電緩和値の測定)
調製した封止用樹脂組成物を用いて、誘電緩和値の評価用の試験片を作製した。具体的には、トランスファ成形機を用いて、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間120secの条件で封止用樹脂組成物を成形した後、175℃で5時間硬化することにより行った。試験片のサイズは直径50mm、厚み1mmの円板物とした。
【0057】
上記の試験片を用いて誘電緩和値を測定した。測定は、図1に示すような誘電率測定用インターフェースを有するインピーダンス測定装置と動的粘弾性測定装置との組み合わせからなる誘電緩和測定装置を用いて行った。図1において、1aは誘電率測定用インターフェースを、1bはインピーダンス測定装置を、2は動的粘弾性測定装置を、2aは測定用電極をそれぞれ示す。すなわち、この誘電緩和測定装置においては、インピーダンス測定装置1b上に接続され配置された誘電率測定用インターフェース1aが動的粘弾性測定装置2に接続されており、動的粘弾性測定装置2に測定用電極2aが取り付けられている。そして、上記測定用電極2a間に、測定対象となるサンプルを挟持させて測定を行う。
【0058】
本実施例において、誘電率測定用インターフェース1aとしては、英国ソーラトロン社の1296型誘電率測定インターフェースを使用し、インピーダンス測定装置1bとしては、英国ソーラトロン社の1255B型インピーダンスアナライザーを使用し、動的粘弾性測定装置2としては、TAインスツルメント社のRSAを使用した。
測定は、時間-温度換算則(WLF式)に則り、低誘電側(周波数0.0001~0.00001Hz)まで実施し、最終到達誘電率を測定した。
【0059】
(高温逆バイアス試験)
ディスクリートパッケージ(TO-247)にダイオードをはんだを用いてダイボンディングし、Alワイヤをさらにボンディングした後、封止用樹脂組成物で封止して評価用パッケージを作製した。このパッケージを高温乾燥機内に配置し、過渡熱解析装置(T3Ster)にて得られたパッケージ熱容量を考慮した電圧を印加した。本実施例では、高温乾燥機内の温度を170℃とし、電圧を1280Vとした。電圧を印加した状態でパッケージを1000時間高温乾燥機内に放置した後に取り出し、岩崎通信機株式会社のCurve Tracer(CS-3200)を用いてリーク電流(μA)を測定した。
【0060】
誘電緩和値の測定値と高温逆バイアス試験(HTRB試験)の結果を、表1、図2及び図3に示す。
図2は、実施例1~3と比較例1~3の封止用樹脂組成物から作製したサンプルに対して行った誘電緩和値(周波数0.001Hz)の測定値をX座標とし、高温逆バイアス試験におけるリーク電流(μA)をY座標として示した散布図である。
図3は、実施例2、3と比較例1、2の封止用樹脂組成物から作製したサンプルに対して行った誘電緩和値(周波数1MHz)の測定値をX座標とし、高温逆バイアス試験におけるリーク電流(μA)をY座標として示した散布図である。
【0061】
図2に示すように、周波数0.001Hzで測定した誘電緩和値と高温逆バイアス試験におけるリーク電流(μA)の間には正の相関関係が認められた。
また、周波数0.001Hzで測定した誘電緩和値が20以下であるときには高温逆バイアス試験の結果が良好であった。
【0062】
図3に示すように、周波数1MHzで測定した誘電緩和値と高温逆バイアス試験におけるリーク電流(μA)の間には相関関係が認められなかった。
【0063】
以上より、本開示の封止用樹脂組成物によれば電気信頼性に優れる半導体装置を製造可能であることがわかった。
【0064】
日本国特許出願第2017-156440号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に援用されて取り込まれる。
図1
図2
図3