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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177597
(43)【公開日】2024-12-20
(54)【発明の名称】インドール化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 209/08 20060101AFI20241213BHJP
   C07D 209/12 20060101ALI20241213BHJP
   C07D 209/42 20060101ALI20241213BHJP
【FI】
C07D209/08
C07D209/12
C07D209/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180346
(22)【出願日】2021-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】山口 大希
(72)【発明者】
【氏名】小澤 祐司
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 紘久
(57)【要約】
【課題】亜ジチオン酸ナトリウムを用いるインドール環化反応において、高収率で目的物が得られるインドール化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表される化合物を、芳香族炭化水素溶媒中、加熱下にて、酸性化合物および亜ジチオン酸ナトリウムと反応させることで、下記式(2)で表されるインドール化合物を製造する。式(1)および式(2)中、Rは、メチル、メトキシ、またはエトキシを表し、Rはハロゲン原子を表し、nは1、2、3または4の整数を表す。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される化合物を、芳香族炭化水素溶媒中、加熱下にて、酸性化合物および亜ジチオン酸ナトリウムと反応させることで、下記式(2)で表されるインドール化合物を製造する、インドール化合物の製造方法。
【化1】
(式(1)および式(2)中、Rは、メチル、メトキシ、またはエトキシを表し、Rはハロゲン原子を表し、nは1、2、3または4の整数を表す)
【請求項2】
前記酸性化合物が、酢酸またはプロピオン酸である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記芳香族炭化水素溶媒が、トルエンまたはオルトキシレンである、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
反応温度が、50~150℃である、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記式(1)で表される化合物が下記式(1A)で表される化合物であり、前記式(2)で表されるインドール化合物が下記式(2A)で表される化合物である、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
【化2】
(式(1A)および式(2A)中、Rはメチル、メトキシ、またはエトキシを表し、Rはフッ素原子を表す)
【請求項6】
下記式(1)で表される化合物を、芳香族炭化水素溶媒中、加熱下にて、酸性化合物および亜ジチオン酸ナトリウムと反応させることで、下記式(2)で表される化合物を製造する第一の工程と、
前記式(2)で表される化合物から下記式(3)で表されるインドール化合物を製造する第二の工程と、を含み、
前記第二の工程は、前記式(2)で表される化合物を水および酸性化合物または塩基性化合物の存在下で加熱する工程を含む、インドール化合物の製造方法。
【化3】
(式(1)および式(2)中、Rは、メチル、メトキシ、またはエトキシを表し、式(1)から式(3)中、Rはハロゲン原子を表し、nは1、2、3または4の整数を表す)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インドール化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インドール化合物は、医農薬等の生理活性物質をはじめとする種々のファインケミカル中間体として有用である。当該インドール化合物の製造方法には、例えば、特許文献1乃至8のような種々の方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2003/082860号
【特許文献2】国際公開第2005/000812号
【特許文献3】国際公開第2006/057354号
【特許文献4】国際公開第2007/092751号
【特許文献5】国際公開第2010/108651号
【特許文献6】国際公開第2005/049559号
【特許文献7】国際公開第2008/053221号
【特許文献8】中国特許出願公開第110590739号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来技術は、種々の問題を含んでいる。たとえば、鉄、鉄錯体、あるいはパラジウムカーボンなどの重金属を用いる製造方法では、廃液および廃棄物の処理が問題とされている。また、一酸化炭素を使用して高圧下で行う製造方法では、高圧設備の運転などの製造上の問題を含んでいる。
【0005】
また、亜ジチオン酸ナトリウムを用いる製造方法は、目的化合物によっては、水および極性溶媒中の反応、あるいは、塩基性化合物の存在下での反応において、収率が低くなることがある。
【0006】
本発明の一態様は、亜ジチオン酸ナトリウムを用いるインドール環化反応において、高収率で目的物が得られるインドール化合物の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るインドール化合物の製造方法は、下記式(1)で表される化合物を、芳香族炭化水素溶媒中、加熱下にて、酸性化合物および亜ジチオン酸ナトリウムと反応させることで、下記式(2)で表されるインドール化合物を製造する。式(1)および式(2)中、Rは、メチル、メトキシ、またはエトキシを表し、Rはハロゲン原子を表し、nは1、2、3または4の整数を表す。
【0008】
【化1】
【0009】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るインドール化合物の製造方法は、下記式(1)で表される化合物を、芳香族炭化水素溶媒中、加熱下にて、酸性化合物および亜ジチオン酸ナトリウムと反応させることで、下記式(2)で表される化合物を製造する第一の工程と、前記式(2)で表される化合物から下記式(3)で表されるインドール化合物を製造する第二の工程と、を含み、前記第二の工程は、前記式(2)で表される化合物を水および酸性化合物または塩基性化合物の存在下で加熱する工程を含む。式(1)および式(2)中、Rは、メチル、メトキシ、またはエトキシを表し、式(1)から式(3)中、Rはハロゲン原子を表し、nは1、2、3または4の整数を表す。
【0010】
【化2】
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、亜ジチオン酸ナトリウムを用いるインドール環化反応において、目的とするインドール化合物を高収率で得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係るインドール化合物の第一の製造方法は、下記式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」とも言う)を出発原料として下記式(2)で表されるインドール化合物(以下、「化合物(2)」とも言う)を製造する方法である。
【0013】
【化3】
[式(1)および式(2)中、Rは、メチル、メトキシ、またはエトキシを表し、式(1)および式(2)中、Rはハロゲン原子を表し、nは1、2、3または4の整数を表す]。
【0014】
また、本発明の実施形態に係るインドール化合物の第二の製造方法は、下記化合物(1)を出発原料として下記化合物(2)を製造し、さらに化合物(2)を出発原料として下記式(3)で表されるインドール化合物(以下、「化合物(3)」とも言う)を製造する方法である。
【0015】
【化4】
[式(1)および式(2)中、Rは、メチル、メトキシ、またはエトキシを表し、式(1)から式(3)中、Rはハロゲン原子を表し、nは1、2、3または4の整数を表す]。
【0016】
以下、上記の第一の製造方法および第二の製造方法をより詳しく説明する。
【0017】
〔第一の製造方法〕
本発明の実施形態における第一の製造方法は、化合物(1)を、芳香族炭化水素溶媒中、加熱下にて、酸性化合物および亜ジチオン酸ナトリウムと反応させることで、化合物(2)を製造する、インドール化合物の製造方法である。
【0018】
【化5】
【0019】
[化合物(1)]
化合物(1)には、式(1’)または式(1’’)で表されるケト-エノール互変異性体が存在する。以下に、式(1’)および式(1’’)の構造を示す。化合物(1)は、通常のH-NMRなどではケト-エノール互変異性体が混在した形で観察される。本明細書では、化合物(1)は、特に断らない限り、これらの異性体の一方または両方も表す。
【0020】
【化6】
【0021】
式(1)および式(2)中、Rは、メチル、メトキシ、またはエトキシを表し、Rはハロゲン原子を表し、nは1、2、3または4の整数を表す。
【0022】
ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素のいずれでもよく、nが2以上である場合、Rのハロゲン原子は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0023】
化合物(1)は、好ましくは下記式(1A)で表される化合物である。第一の製造方法において、化合物(2)の構造は化合物(1)の構造に対応することから、化合物(2)は、好ましくは下記式(2A)で表される化合物である。なお、下記式(1A)および式(2A)中、Rは、メチル、メトキシ、またはエトキシを表し、Rはフッ素原子を表している。
【0024】
【化7】
【0025】
[芳香族炭化水素溶媒]
芳香族炭化水素溶媒は、第一の製造方法での合成反応における溶媒である。芳香族炭化水素溶媒は、一種でもそれ以上でもよい。第一の製造方法において、芳香族炭化水素を溶媒として用いることにより、高い収率で目的とする化合物(2)を製造することが可能となる。芳香族炭化水素溶媒の例には、ベンゼン、トルエン、オルトキシレン、メタキシレン、パラキシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、メタジクロロベンゼン、パラジクロロベンゼン、ニトロベンゼンおよびテトラヒドロナフタリンが含まれる。中でも、芳香族炭化水素溶媒は、トルエンまたはオルトキシレンであることが、化合物(2)の収率を高める観点から好ましい。
【0026】
第一の製造方法における芳香族炭化水素溶媒の使用量は、化合物(2)が生成する範囲において適宜に決めてよい。たとえば、第一の製造方法における芳香族炭化水素溶媒の使用量は、化合物(1)1質量部に対して0.1~20質量部であってよい。
【0027】
[酸性化合物]
酸性化合物には、種々の酸を用いることが可能である。酸は、一種でもそれ以上でもよい。酸の例には、鉱酸、脂肪族カルボン酸および有機スルホン酸が含まれる。鉱酸の例には、硫酸、硝酸、リン酸および塩酸が含まれる。脂肪族カルボン酸の例には、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸およびプロピオン酸が含まれる。有機スルホン酸の例には、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびトルエンスルホン酸が含まれる。中でも、酸性化合物は酢酸またはプロピオン酸であることが、化合物(2)の収率を高める観点から好ましい。
【0028】
第一の製造方法における酸性化合物の使用量は、第一の製造方法において化合物(2)が生成する範囲において適宜に決めることが可能である。たとえば、第一の製造方法における酸性化合物の使用量は、化合物(1)に対して0.01~50モル当量であってよく、0.1~20モル当量であることが、化合物(2)の収率を高める観点から好ましい。
【0029】
[亜ジチオン酸ナトリウム]
亜ジチオン酸ナトリウムは、第一の製造方法において還元剤として作用する。第一の製造方法における亜ジチオン酸ナトリウムの使用量は、第一の製造方法において化合物(2)が生成する範囲において適宜に決めることが可能である。たとえば、第一の製造方法における亜ジチオン酸ナトリウムの使用量は、化合物(1)に対して1~10モル当量であってよい。
【0030】
[その他の成分]
第一の製造方法では、化合物(2)が生成する範囲において、前述した成分以外の他の成分を反応系にさらに添加してもよい。他の成分は、一種でもそれ以上でもよく、化合物(2)が生成し、かつ他の成分による効果が得られる範囲において使用され得る。
【0031】
たとえば、第一の製造方法では、塩基を酸性化合物と併用してもよい。当該塩基は、一種でもそれ以上でもよい。当該塩基の例には、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが含まれる。当該塩基の併用は、化合物(1)の還元に好適に作用し得る。第一の製造方法における当該塩基の使用量は、化合物(1)に対して0.01~5モル当量であることが好ましく、0.1~2モル当量であることがより好ましい。
【0032】
[反応温度]
第一の製造方法における反応温度は、加熱下にて、第一の製造方法において化合物(2)が生成する範囲において適宜に決めることが可能である。当該反応温度が高すぎると、第一の製造方法における反応混合物中の成分が熱分解することがある。反応時間および収率の観点から、第一の製造方法における反応温度は、50~150℃であることが好ましい。
【0033】
[その他の条件]
第一の製造方法における反応は、第一の製造方法において化合物(2)が生成する範囲において、さらなる条件を含んでいてもよい。たとえば、第一の製造方法における反応は、不活性ガスの雰囲気で行うことが、酸化物などの意図せぬ副生物の生成を抑制する観点から好ましい。不活性ガスは、第一の製造方法の反応における試薬および生成物に対して活性を実質的に示さないガスであればよい。不活性ガスの例には、窒素ガスおよび希ガスが含まれる。より安価である観点から、不活性ガスは窒素ガスであることが好ましい。
【0034】
第一の製造方法における反応の終点は、常法、例えば反応液の分析、によって決定することが可能である。
【0035】
第一の製造方法で得られる反応混合物は、常法によって単離され得る。たとえば、反応混合物をトルエンなどの芳香族炭化水素によって抽出することにより、目的とする化合物(2)の溶液を得ることができる。
【0036】
〔第二の製造方法〕
本発明の実施形態における第二の製造方法は、化合物(1)を、芳香族炭化水素溶媒中、加熱下にて、酸性化合物および亜ジチオン酸ナトリウムと反応させることで、化合物(2)を製造する第一の工程と、化合物(2)から化合物(3)を製造する第二の工程と、を含む。
【0037】
【化8】
【0038】
式(1)および式(2)中、Rは、メチル、メトキシ、またはエトキシを表し、式(1)から式(3)中、Rはハロゲン原子を表し、nは1、2、3または4の整数を表す。
【0039】
[第一の工程]
第一の工程は、前述した本発明の実施形態における第一の製造方法と実質的に同じである。第二の製造方法において、第一の工程の生成物は、単離されてもよいし、次工程である第二の工程が実施可能な範囲において、溶液の状態で第二の工程に供されてもよい。
【0040】
[第二の工程]
第二の工程は、化合物(2)の脱アセチル化または脱エステル化反応を実施する工程である。たとえば、第二の工程は、化合物(2)を水、および酸性化合物または塩基性化合物の存在下で加熱する工程を含む。
【0041】
<水>
第二の工程における水の使用量は、化合物(2)の脱アセチル化または脱エステル化反応を実施する範囲において適宜に決めることが可能である。たとえば、第二の工程における水の使用量は、化合物(2)1質量部に対して1~50質量部であってよい。
【0042】
<酸性化合物>
第二の工程における酸性化合物は、前述した第一の製造方法における酸性化合物と同様である。第二の工程における酸性化合物は、第一の製造方法における酸性化合物と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0043】
第二の工程における酸性化合物の使用量は、化合物(2)の脱アセチル化または脱エステル化反応を実現する範囲において、酸の価数を考慮して適宜に決めればよい。たとえば、第二の工程における酸性化合物の使用量は、硫酸であれば、第二の工程の出発原料としての化合物(2)に対して0.1~10モル当量であってよい。
【0044】
<塩基性化合物>
第二の工程における塩基性化合物は、種々の塩基を用いることが可能である。塩基は、一種でもそれ以上でもよい。塩基の例には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシドおよびカリウム-tert-ブトキシドが含まれる。中でも、反応の操作性および経済性の観点から、塩基性化合物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、または炭酸カリウムであることが好ましい。
【0045】
第二の製造方法における塩基性化合物の使用量は、化合物(2)の脱アセチル化または脱エステル化反応を実現する範囲において、塩基の価数を考慮して適宜に決めればよい。たとえば、第二の工程における塩基性化合物の使用量は、水酸化ナトリウムであれば、第二の工程の出発原料としての化合物(2)に対して0.1~10モル当量であってよい。
【0046】
<反応温度>
第二の工程は、反応混合物の加熱によって行われる。反応温度が高すぎると反応混合物中の成分が熱分解することがある。反応時間および収率の観点から、第二の工程における反応温度は、好ましくは50~150℃である。
【0047】
加熱およびその温度を安定化する観点から、第二の工程は、溶媒として芳香族炭化水素を含むことが好ましい。第二の工程における芳香族炭化水素は、前述した第一の製造方法における芳香族炭化水素と同様である。第二の工程における芳香族炭化水素は、第一の製造方法における芳香族炭化水素と同じであってもよいし、異なっていてもよい。適切な反応温度を実現する観点から、第二の工程における芳香族炭化水素は、トルエンであることが好ましい。
【0048】
<その他の条件>
第二の工程は、化合物(2)の脱アセチル化または脱エステル化反応によって化合物(3)が生成する範囲において、さらなる条件を含んでいてもよい。たとえば、第二の工程は、不活性ガスの雰囲気で行ってもよい。第二の工程における反応の終点も、常法によって決定することが可能であり、化合物(3)は、第二の工程の反応混合物から常法、例えばトルエンなどの芳香族炭化水素による抽出、によって単離され得る。
【0049】
<二段階反応>
あるいは、第二の工程は、下記反応式に示されるように、二段階の反応工程によって実施することも可能である。この場合、Rはメトキシまたはエトキシである。
【0050】
【化9】
【0051】
すなわち、第二の工程は、化合物(2)のアルコキシの加水分解反応と、それにより生成する上記式(4)で表される化合物(以下、「化合物(4)」とも言う)のカルボキシの脱炭酸反応とによっても実現可能である。
【0052】
(加水分解反応)
加水分解反応には、Rのメトキシまたはエトキシにおいて加水分解反応を実現可能な公知の条件を採用することが可能である。たとえば、加水分解反応は、極性溶媒と水とを含む溶媒中で、酸性化合物または塩基性化合物の存在下で加熱することにより実施することが可能である。
【0053】
極性溶媒は、一種でもそれ以上でもよく、その例には、低級アルコールが含まれる。低級アルコールは、例えば炭素数が4までのアルコールであってよく、その例には、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノールおよび2-メチル-2-プロパノールが含まれる。
【0054】
加水分解反応の溶媒は、反応温度を安定させる観点から、芳香族炭化水素をさらに含んでいてもよい。脱加水分解反応における芳香族炭化水素は、前述した芳香族炭化水素と同様である。当該芳香族炭化水素は、反応温度の安定化の観点からトルエンであることが好ましい。
【0055】
加水分解反応における上記の各成分の使用量は、加水分解反応が実現可能な範囲において適宜に決めることができる。たとえば、酸性化合物または塩基性化合物は、一価であれば、加水分解反応の出発原料である化合物(2)に対して0.1~10モル当量であってよい。また、溶媒中の水の使用量は、化合物(2)1質量部に対して1~50質量部であってよい。また、溶媒中の極性溶媒の使用量は、化合物(2)1質量部に対して0.1質量~20質量部であってよい。さらに、溶媒中の芳香族炭化水素の使用量は、化合物(2)1質量部に対して0.1~20質量部であってよい。
【0056】
また、加水分解反応における加熱温度は、加水分解反応を進行させる観点、および、反応混合物中の成分の分解を抑制する観点から、50~150℃であることが好ましい。
【0057】
加水分解反応の反応生成物(上記の化合物(4))は、反応混合物の中和により単離することが可能であり、あるいは水層中で塩として存在し得る。次工程の脱炭酸反応を行うにあたり、当該化合物(4)は、単離されてもよいし、塩として水層中に溶解していてもよい。
【0058】
(脱炭酸反応)
脱炭酸反応には、化合物(4)のカルボキシを脱離させることが可能な公知の条件を採用することが可能である。たとえば、脱炭酸反応は、極性溶媒と水とを含む溶媒中で、酸性化合物または塩基性化合物の存在下で加熱することにより実施することが可能である。
【0059】
脱炭酸反応における極性溶媒は、加水分解反応の極性溶媒と同様であり、加水分解反応の極性溶媒と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、脱炭酸反応の溶媒も、加水分解反応と同様に、反応温度を安定させる観点から、芳香族炭化水素をさらに含んでいてもよく、当該芳香族炭化水素はトルエンであることが好ましい。
【0060】
脱炭酸反応における上記の各成分の使用量は、脱炭酸反応が実現可能な範囲において適宜に決めることができる。たとえば、酸性化合物または塩基性化合物は、一価であれば、脱炭酸反応の出発原料である上記の化合物(4)に対して0.1~10モル当量であってよい。また、溶媒中の水の使用量は、化合物(2)1質量部に対して1~50質量部であってよい。また、溶媒中の極性溶媒の使用量は、化合物(2)1質量部に対して0.1~20質量部であってよい。さらに、溶媒中の芳香族炭化水素の使用量は、化合物(2)1質量部に対して0.1~20質量部であってよい。
【0061】
また、脱炭酸反応における反応温度は、脱炭酸反応を進行させる観点、および、反応混合物中の成分の分解を抑制する観点から、50~150℃であることが好ましい。
【0062】
脱炭酸反応により、化合物(3)が生成する。化合物(3)は、芳香族炭化水素によって抽出することにより反応混合物から単離され得る。
【0063】
なお、加水分解反応および脱炭酸反応では、いずれも、酸性化合物または塩基性化合物を用いるが、所望の反応が進行する範囲において、酸性化合物および塩基性化合物のいずれを用いてもよい。加水分解反応では塩基性化合物を採用することが好ましく、脱炭酸反応では酸性化合物を採用することが好ましい。
【0064】
〔まとめ〕
前述の第一の製造方法では、化合物(1)を原料として、芳香族炭化水素の溶媒中、亜ジチオン酸ナトリウムおよび酸性化合物の存在下にて反応させることで、目的とする2-メチル-1H-インドール-3-カルボニル化合物(化合物(2))が高収率で得られる。このような効果は、化合物(1)に対して、溶媒として芳香族炭化水素を用いること、および、反応系を酸性化合物によって酸性にすること、によってもたらされると考えらえる。
【0065】
前述の第一の製造方法および第二の製造方法では、重金属を含む成分が不要であるため、廃液および廃棄物の処理が容易である。また、前述の第一の製造方法および第二の製造方法は、常圧で実施可能であるため、高圧設備などの特殊な設備を要さず、またその運転のための特殊な運用を要さない。このように、前述の第一の製造方法および第二の製造方法は、有機化合物の製造における通常の設備を通常の用法で用いることによって、化合物(2)または化合物(3)を高い収率で製造することができる。
【0066】
前述の第二の製造方法では、通常の脱アセチル化または脱エステル化技術をさらに適用することにより、化合物(1)から化合物(3)が高収率で得られる。第二の製造方法における第二の工程では、酸性化合物と塩基性化合物との使い分け、および、溶媒として芳香族炭化水素と極性溶媒との使い分け、によって、化合物(2)から化合物(4)を経る二段の工程によって化合物(3)を得ることができる。このような二段の工程を含む第二の工程では、原料(化合物(2))と生成物(化合物(4))との溶解性の相違を利用することによって、化合物(4)を固体として単離可能である。あるいは、油溶性の原料に対して、化合物(4)は塩として水相に分離することが可能である。したがって、このような第二の工程は、化合物(2)と化合物(4)との分離を容易にし、また化合物(4)の精製を容易にする観点から有利である。
【0067】
以上の説明から明らかなように、本発明の実施形態における第一の製造方法は、化合物(1)を、芳香族炭化水素溶媒中、加熱下にて、酸性化合物および亜ジチオン酸ナトリウムと反応させることで、化合物(2)を製造する。
【0068】
また、本発明の実施形態における第二の製造方法は、化合物(1)を、芳香族炭化水素溶媒中、加熱下にて、酸性化合物および亜ジチオン酸ナトリウムと反応させることで、化合物(2)を製造する第一の工程と、化合物(2)から化合物(3)を製造する第二の工程と、を含む。そして、第二の工程は、化合物(2)を水および酸性化合物または塩基性化合物の存在下で加熱する工程を含む。
【0069】
本発明のこれらの実施形態によれば、亜ジチオン酸ナトリウムを用いるインドール環化反応において、目的とするインドール化合物を高収率で得ることができる。
【0070】
第一の製造方法において、酸性化合物は酢酸またはプロピオン酸であってもよい。この構成は、化合物(2)の収率を高める観点からより一層効果的である。
【0071】
第一の製造方法において、芳香族炭化水素溶媒はトルエンまたはオルトキシレンであってもよい。この構成は、化合物(2)の収率を高める観点からより一層効果的である。
【0072】
第一の製造方法において、反応温度は50~150℃であってもよい。この構成は、反応中の熱分解を抑制する観点、ならびに、反応時間と収率とのバランスの観点からより一層効果的である。
【0073】
第一の製造方法において、化合物(1)は前述の式(1A)で表される化合物であってよく、化合物(2)は前述の式(2A)で表される化合物であってもよい。
【0074】
このような構成によれば、医農薬の中間体として有用なインドール化合物を高収率で製造することが可能である。したがって、本発明によって医農薬の開発および普及が促進され得る。このように、本発明には、健康的な生活の確保および食糧問題の解決についての持続可能な開発目標(SDGs)の達成への貢献が期待される。
【0075】
本発明は、上述した各実施形態に限定されず、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例0076】
以下に、実施例を挙げて具体的に述べることにより、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらによって限定されない。
【0077】
なお、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと記載する。)による定性および定量分析の条件を以下に記載する。
【0078】
〔定性分析〕
カラム:Inertsil ODS-4,250mm,4.6mmφ,5μm(ジーエルサイエンス社製)
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
UV検出波長:254nm
溶離液:アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸水溶液=50/50(0-10min)-95/5(16-30min)-50/50(30.01-37min)(体積比)
サンプル溶解液:アセトニトリル
〔定量分析〕
HPLCを用いた定量分析には、1,4-ジイソプロピルビフェニルを内部標準物質とした内部標準法を用い、測定は定性分析と同様の測定条件で実施した。
【0079】
〔実施例1〕
1-(6-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-3-イル)エタノン(以下、化合物(2-1)と称する。)の製造
3-(4-フルオロ-2-ニトロフェニル)-4-ヒドロキシ-3-ペンテン-2-オン(以下、化合物(1-1)と称する。)0.50g、酢酸1.88g、亜ジチオン酸ナトリウム1.09gおよびトルエン2.50gを反応容器に加え、窒素雰囲気下、100℃にて22時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を70℃まで冷却し、水5.0mLで希釈した後、トルエン5.7mLにて抽出することで、化合物(2-1)を含むトルエン溶液を得た。このトルエン溶液を定量分析した結果、化合物(2-1)を0.29g含むことを確認した(収率72.0%)。
【0080】
〔実施例2〕
6-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-3-カルボン酸メチル(以下、化合物(2-2)と称する。)の製造
2-(4-フルオロ-2-ニトロフェニル)-3-ヒドロキシ-2-ブテン酸メチル(以下、化合物(1-2)と称する。)0.50g、酢酸1.77g、亜ジチオン酸ナトリウム1.02gおよびトルエン2.50gを反応容器に加え、窒素雰囲気下、100℃にて22時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を70℃まで冷却し、水5.0mLで希釈した後、トルエン5.7mLにて抽出することで、化合物(2-2)を含むトルエン溶液を得た。このトルエン溶液を定量分析した結果、化合物(2-2)を0.36g含むことを確認した(収率89.0%)。
【0081】
〔実施例3〕
6-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-3-カルボン酸エチル(以下、化合物(2-3)と称する。)の製造
2-(4-フルオロ-2-ニトロフェニル)-3-ヒドロキシ-2-ブテン酸エチル(以下、化合物(1-3)と称する。)0.50g、酢酸1.67g、亜ジチオン酸ナトリウム0.97gおよびトルエン2.50gを反応容器に加え、窒素雰囲気下、100℃にて22時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を70℃まで冷却し、水5.0mLで希釈した後、トルエン5.7mLにて抽出することで、化合物(2-3)を含むトルエン溶液を得た。このトルエン溶液を定量分析した結果、化合物(2-3)を0.36g含むことを確認した(収率88.3%)。
【0082】
〔実施例4〕
化合物(2-2)の製造
酢酸をプロピオン酸2.18gに変更した以外は、上記の実施例2に記載した方法と同じ条件で反応を行い、化合物(2-2)を含むトルエン溶液を得た。このトルエン溶液を定量分析した結果、化合物(2-2)を0.31g含むことを確認した(収率75.2%)。
【0083】
〔実施例5〕
化合物(2-1)の製造
トルエンをオルトキシレンに変更した以外は上記の実施例1に記載した方法と同じ条件で反応を行い、化合物(2-1)を含むオルトキシレン溶液を得た。このオルトキシレン溶液を定量分析した結果、化合物(2-1)を0.32g含むことを確認した(収率80.4%)。
【0084】
〔実施例6〕
化合物(2-2)の製造
トルエンをオルトキシレンに変更した以外は上記の実施例2に記載した方法と同じ条件で反応を行い、化合物(2-2)を含むオルトキシレン溶液を得た。このオルトキシレン溶液を定量分析した結果、化合物(2-2)を0.35g含むことを確認した(収率85.8%)。
【0085】
〔実施例7〕
化合物(2-3)の製造
トルエンをオルトキシレンに変更した以外は上記の実施例3に記載した方法と同じ条件で反応を行い、化合物(2-3)を含むオルトキシレン溶液を得た。このオルトキシレン溶液を定量分析した結果、化合物(2-3)を0.35g含むことを確認した(収率85.7%)。
【0086】
〔実施例8〕
6-フルオロ-2-メチル-1H-インドール(以下、化合物(3-1)と称する。)の製造
化合物(2-2)0.50g、水酸化ナトリウム0.43g、水7.50gおよびトルエン1.50gを反応容器に加え、加熱還流下にて、26時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を40℃まで冷却し、トルエン1.7mLにて抽出した。得られた有機層を水1.5mLで洗浄した後、化合物(3-1)を含むトルエン溶液を得た。このトルエン溶液を定量分析した結果、化合物(3-1)を0.36g含むことを確認した(収率98.8%)。
【0087】
〔実施例9〕
化合物(3-1)の製造
化合物(2-1)0.50g、50質量%硫酸水溶液2.57g、およびトルエン2.50gを加え、加熱還流下にて9時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を70℃まで冷却し、水3.5mLで希釈した後、トルエン1.2mLにて抽出した。得られた有機層を水1.5mLで洗浄した後、化合物(3-1)を含むトルエン溶液を得た。このトルエン溶液を定量分析した結果、化合物(3-1)を0.36g含むことを確認した(収率91.8%)。
【0088】
〔実施例10および実施例11〕
化合物(3-1)の製造
原料の種類、50質量%硫酸水溶液の使用量および反応時間を変更した以外は、上記の実施例9に記載した方法と同じ条件で反応を行った。各々の試薬の使用量、反応時間および収率を下記の第1表に記載する。
【0089】
【表1】
【0090】
〔実施例12〕
化合物(3-1)の製造
水酸化ナトリウム0.87g、水12.50gおよび反応時間を23時間に変更した以外は上記の実施例8に記載した方法と同じ条件で反応を行い、化合物(3-1)を含むトルエン溶液を得た。このトルエン溶液を定量分析した結果、化合物(3-1)を0.35g含むことを確認した(収率97.8%)。
【0091】
〔実施例13〕
化合物(3-1)の製造
化合物(2-2)2.00g、メタノール6.01g、40質量%水酸化ナトリウム水溶液2.90gおよび水4.27gを反応容器に加え、加熱還流下にて、16時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を30℃まで冷却し、トルエン13.8mLで希釈した後、水6.0mLにて抽出した。得られた水層をトルエン13.8mLで洗浄した後、水6.0mLを加えた。反応混合物を10℃まで冷却し、35質量%塩酸を3.52g滴下し、0.5時間攪拌した。析出した固体をろ過し、水12.01gで洗浄後、乾燥させることで6-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-3-カルボン酸(以下、化合物(4-1)と称する。)を1.57g得た(収率84.3%)。
【0092】
化合物(4-1)1.01g、トルエン5.04g、メタノール1.01g、水4.86gおよび35質量%塩酸0.27gを反応容器に加え、60℃で2時間攪拌した。反応液を30℃まで冷却し、有機層と水層を分離した。得られた水層をトルエン5.8mLで抽出した後、有機層を混合することで、化合物(3-1)を含むトルエン溶液10.26gを得た。このトルエン溶液を定量分析した結果、化合物(3-1)を0.77g含むことを確認した(収率98.6%)。
【0093】
〔実施例14〕
化合物(3-1)の製造
化合物(2-2)1.00g、トルエン3.02g、メタノール3.02g、40質量%水酸化ナトリウム水溶液2.42gおよび水1.55gを反応容器に加え、加熱還流下で22時間攪拌した。反応液を室温まで冷却し、有機層と水層を分離した。得られた水層をトルエン3.4mLで洗浄した後、水3.00g、35質量%塩酸4.63gおよびトルエン4.63gを洗浄後の当該水層に加え、60℃で4時間攪拌した。室温に冷却後、有機層と水層を分離した。得られた水層をトルエン5.3mLで抽出した後、有機層と混合することで、化合物(3-1)を含むトルエン溶液9.80gを得た。このトルエン溶液を定量分析した結果、化合物(3-1)を0.54g含むことを確認した(収率80.2%)。
【0094】
〔比較例1〕
化合物(1-1)0.30gを用い、亜ジチオン酸ナトリウム0.66g、水2.62gおよびトルエン3.00gを反応容器に加え、窒素雰囲気下、100℃にて5時間攪拌した。反応終了後の有機層を、HPLCを用いて定性分析した。その結果、化合物(2-1)のピーク面積(S2-1と表す)と化合物(1-1)のピーク面積(S1-1と表す)の面積比(S2-1/S1-1)は25/75(Rt=6.4分/13.8分)であった。また、溶媒であるトルエンのピークを削除した、化合物(2-1)および化合物(1-1)の相対面積百分率の和は98.6%であった。
【0095】
〔比較例2〕
化合物(1-1)に代えて化合物(1-2)を用いる以外は比較例1に記載した方法と同じ条件で反応を行なった。反応終了後の有機層を、HPLCを用いて定性分析した。その結果、化合物(2-2)のピーク面積(S2-2と表す)と化合物(1-2)のピーク面積(S1-2と表す)の面積比(S2-2/S1-2)は20/80(Rt=10.2分/8.8分、15.0分)であった。また、溶媒であるトルエンのピークを削除した、化合物(2-2)および化合物(1-2)の相対面積百分率の和は79.6%であった。
【0096】
〔比較例3〕
3-(4-フルオロ-2-ニトロフェニル)アセトン(以下、「FNPA」とも言う)0.20gを用い、酢酸0.60g、亜ジチオン酸ナトリウム0.53g、トルエン1.00gおよび酢酸ナトリウム0.04gを反応容器に加え、窒素雰囲気下、100℃にて4.5時間攪拌した。反応終了後の溶液を、HPLCを用いて定性分析した。その結果、化合物(3-1)のピーク面積(S3-1と表す。)とFNPAのピーク面積(SFNPAと表す。)の面積比(S3-1/SFNPA)は73/27(Rt=12.6分/7.5分)であった。また、溶媒であるトルエンのピークを削除した、化合物(3-1)およびFNPAの相対面積百分率の和は40.5%であった。
【0097】
〔実施例15〕
FNPAに代えて化合物(1-2)を用いる以外は比較例3に記載した方法と同じ条件で反応を行った。反応終了後の溶液を、HPLCを用いて定性分析した。その結果、S2-2/S1-2は100/0(Rt=10.2分/8.8分、15.0分)であった。また、溶媒であるトルエンのピークを削除した、化合物(2-2)および化合物(1-2)の相対面積百分率の和は65.4%であった。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、医農薬の効率的な製造に利用することができ、医農薬のさらなる開発および普及へ貢献することが期待される。