(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024177906
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】転写装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20241217BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G03G15/16 103
G03G21/16 133
G03G21/16 180
G03G21/16 147
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096303
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】目黒 雄二
(72)【発明者】
【氏名】古屋 政治
(72)【発明者】
【氏名】毛塚 翔吾
【テーマコード(参考)】
2H171
2H200
【Fターム(参考)】
2H171FA01
2H171FA02
2H171FA03
2H171FA09
2H171FA15
2H171GA03
2H171GA13
2H171HA23
2H171JA08
2H171JA48
2H171KA07
2H171KA23
2H171KA25
2H171KA26
2H171QA02
2H171QA08
2H171QB15
2H171QC03
2H200FA12
2H200GA23
2H200GB41
2H200HB12
2H200JA02
2H200LA06
2H200LA17
2H200LA18
2H200LA21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】転写圧力の変動を抑制し、カバー部材開閉時の転写部材と位置決め部材との干渉を回避し、省スペースで低コストな転写装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置本体の開閉可能なカバー部材に設けられた転写装置本体は転写部材8と転写部材8を加圧する加圧部24を備え、加圧部24は保持部材28と付勢部材30を有する。カバー部材の閉塞時に画像形成装置本体の位置決め部材26,27に転写部材8が接触し位置決めされると共に保持部材28が変位し、カバー部材の開放時に転写部材8が位置決め部材26,27から離間する際に移動する移動経路Cが位置決め部材26,27に干渉しない経路を取る。保持部材28は転写装置本体に設けられた支軸31に隙間を持って嵌合して回動自在に支持される。支軸31は外面に同軸の曲面部28dを有し、転写装置本体は曲面部28dと同じ曲率を有し曲面部28dに接する加圧受け部32aを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に対して開閉可能なカバー部材に設けられた転写装置本体と、
前記転写装置本体に設けられ、前記画像形成装置本体に設けられた像担持体に対向配置された転写部材と、
前記転写装置本体に設けられ前記像担持体に向けて前記転写部材を加圧する加圧部と、を備え、
前記加圧部は、前記転写部材を回転自在かつ前記像担持体に対して接離する方向に向けて変位可能に保持し、前記転写装置本体に変位自在に支持された保持部材と、前記転写部材を前記像担持体に当接する方向に付勢する付勢部材とを有し、
前記カバー部材の閉塞時に、前記画像形成装置本体に設けられた位置決め部材に前記転写部材が接触して位置決めされると共に前記保持部材が変位し、
前記カバー部材の開放時に、前記転写部材が前記位置決め部材から離間する際に、前記保持部材の変位及び前記カバー部材の開放に伴い移動する前記転写部材の移動経路が前記位置決め部材に対して干渉しない経路を取り、
前記保持部材は前記転写装置本体に設けられた支軸に対して隙間を持って嵌合して回動自在に支持されると共に、その前記支軸側の外面に前記支軸と同軸の曲面部を有し、
前記転写装置本体は前記曲面部と同じ曲率を有し前記曲面部に接する加圧受け部を有する転写装置。
【請求項2】
請求項1記載の転写装置において、
前記加圧受け部は前記像担持体に対する前記転写部材の加圧方向に沿った延長線を含む範囲内に設けられることを特徴とする転写装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の転写装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置において、像担持体と転写ローラ等の転写部材とで形成される転写ニップが鉛直方向に配置され、被記録媒体である転写シートが縦方向に搬送される装置構成が知られている。この構成では、転写ニップの位置を、像担持体と転写部材との各中心線がシート搬送経路に対して直交する通常位置に対してシート搬送方向上流側にずらして配置し、転写シートと像担持体との分離性を向上させる転写装置が知られている。このような転写装置において、転写部材はその中心線と像担持体の中心線とが、上述したシート搬送経路に対して直交する通常位置に対して鉛直方向下方に向けて所定の角度(10~30度程度)傾いて配置されている。
【0003】
上述した転写装置を含む画像形成装置は、転写シートの搬送ジャム等が生じた場合にシート搬送経路を開閉させる必要があるため、画像形成装置本体の下方部分に回動支点を有するカバー部材を備えていて、シート搬送経路が開閉可能に構成されているものが知られている。転写装置は、シート搬送経路が開放された場合に転写部材が像担持体から離れるように構成されている。このような像担持体に対して転写部材が接離可能である転写装置では、像担持体に対して転写部材が適切な位置及び圧力で接触するように、転写部材が像担持体に対して変位可能に設けられている。
【0004】
画像形成装置本体に対してカバー部材が開閉可能に設けられ、像担持体に対して転写部材が変位可能に設けられている画像形成装置においては、シート搬送経路を開放すべくカバー部材を画像形成装置本体に対して解放した後、カバー部材を閉じる際に変位可能な転写部材が転写装置本体に設けられた部材に対して干渉する場合があった。このような干渉が生じると、装置の構成部品同士が接触して故障や位置ずれ等を発生するという問題点が生じていた。
【0005】
上述の問題点を解消すべく、「特許文献1」には、開閉手段(23)が支点(24)を中心に揺動可能であり、軸受手段(130)が位置決め手段(49)に位置決めされ、押圧手段(140)が押圧方向に延びる腕手段(142)の基端側を支点(143)として開閉手段(23)に揺動可能に支持された画像形成装置が開示されている。腕手段(142)が開閉手段(23)から離れる方向に予め決められた角度だけ揺動した初期位置を保持するように腕手段(142)を押圧方向と交差する方向から保持用付勢手段(190)で付勢し、開閉手段(23)を閉じたときに位置決め手段(49)に対して軸受手段(130)を非干渉な位置関係にて係わり合わせる構成としている。
これにより、開閉手段(23)を閉じるときに、開閉手段(23)側に搭載された軸受手段(130)と位置決め手段(49)とが干渉する事態を有効に防止できるとされている。
【0006】
また、シート搬送経路を開放すべく画像形成装置本体に対してカバー部材が開閉可能に設けられ、像担持体に対して転写部材が変位可能に設けられている画像形成装置においては、カバー部材を閉じる際に大きな力を作用させる必要があり、操作性が悪いという問題点があった。
この構成、特にカバー部材の係合部材を画像形成装置本体の被係合部材に係合させる構成において係合部材と被係合部材との力の作用方向が直線的である場合には、転写部材を変位させる付勢部材の反力を直接的に受けるため、操作力が大きくなることを避けることができなかった、
【0007】
この問題点を解決すべく「特許文献2」には、画像形成装置本体(55)に対して回動自在な転写ユニット本体(91)と、像担持体(11)に当接して転写ニップを形成する転写部材(5)と、像担持体(11)に転写部材(5)を加圧する加圧手段(93)とを有する転写ユニット(60)が開示されている。転写ユニット本体(91)には、画像形成装置(55)の位置決め部(74)に係合するレバー部材(66)が回動自在に設けられ、レバー部材(66)には画像形成装置本体(55)に開閉可能に設けられた開閉体(15)が当接する。開閉体(15)の閉じ動作に連動したレバー部材(66)の回動により、画像形成装置本体(55)に対する転写ユニット(60)の位置決めが可能に構成されている。
これにより、画像形成装置本体に対する転写ユニットの位置決めのためのセット力を大幅に低減でき、操作性の向上ひいては使用性の向上に寄与でき、さらにセット力の低減により両面ユニットの開閉体の軽量化及び小型化も可能となり、低コスト化も実現できるとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の技術では、可動部材と付勢部材とで構成された加圧部で転写部材を加圧すると共に、転写部材が可動部材上を摺動可能に構成したり、保持部材と付勢部材で構成され付勢部材で転写部材を加圧する加圧部を揺動可能に構成したりすることで、カバー部材の開閉時に転写部材と位置決め部材との干渉を回避している。
しかし、個々の部品精度の相違や転写装置の位置が変動した場合に、摩擦等の影響により可動部材が十分に変位せず変動がそのまま転写部材に伝播され、付勢部材の加圧力以上の力が加わることや、可動部材の変動が大きくなって加圧力が想定よりも弱まり、転写圧力の変動が過大となるという問題点がある。また、転写部材を付勢部材で加圧して加圧部が回転支点で揺動する構成では、可動部材を介する方式と同等の加圧力を得ようとすると、付勢部材の力を可動部材式よりも強力にし、付勢力を受ける部位を強固にする必要がある。このため、転写部材の加圧と位置決め部材との干渉回避とを両立するためには、加圧部が大型化してしまうという問題点がある。
本発明は上述した問題点を解決し、転写圧力の変動が過大となることを抑制すると共に、カバー部材開閉時における転写部材と位置決め部材との干渉を回避し、省スペースかつ低コストで小型の装置にも搭載可能な転写装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、画像形成装置本体に対して開閉可能なカバー部材に設けられた転写装置本体と、前記転写装置本体に設けられ、前記画像形成装置本体に設けられた像担持体に対向配置された転写部材と、前記転写装置本体に設けられ前記像担持体に向けて前記転写部材を加圧する加圧部と、を備え、前記加圧部は、前記転写部材を回転自在かつ前記像担持体に対して接離する方向に向けて変位可能に保持し、前記転写装置本体に変位自在に支持された保持部材と、前記転写部材を前記像担持体に当接する方向に付勢する付勢部材とを有し、前記カバー部材の閉塞時に、前記画像形成装置本体に設けられた位置決め部材に前記転写部材が接触して位置決めされると共に前記保持部材が変位し、前記カバー部材の開放時に、前記転写部材が前記位置決め部材から離間する際に、前記保持部材の変位及び前記カバー部材の開放に伴い移動する前記転写部材の移動経路が前記位置決め部材に対して干渉しない経路を取り、前記保持部材は前記転写装置本体に設けられた支軸に対して隙間を持って嵌合して回動自在に支持されると共に、その前記支軸側の外面に前記支軸と同軸の曲面部を有し、前記転写装置本体は前記曲面部と同じ曲率を有し前記曲面部に接する加圧受け部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、省スペース化を達成できると共に低コストで小型の画像形成装置にも搭載可能な転写装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る画像形成時における転写装置を示す概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る転写部材及び加圧部を説明する概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る画像形成時における転写装置の状態と両面カバーの開放時における転写装置の状態とを示す概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る両面カバーの開放時における転写装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置を示している。同図においてモノクロの画像形成装置であるプリンタ1は、黒色のトナーを内蔵した着脱自在なプロセスカートリッジ2を画像形成装置本体としての筐体3のほぼ中央に備えている。プロセスカートリッジ2の内部には、像担持体としての感光体ドラム4、現像装置5、クリーニング装置6、帯電装置、除電装置等がそれぞれ交換可能に設けられている。
また筐体3の内部には、露光装置7、転写部材としての転写ローラ8を有する転写装置9、被記録媒体である転写シートSを収容した給紙トレイ10、定着装置11等が配置されている。
【0013】
転写シートSの片面に画像を形成する通常画像形成時には、露光装置7の作動によって感光体ドラム4上に静電潜像が形成され、現像装置5から供給されるトナーにより形成された静電潜像が顕像化されてトナー像となる。その後、給紙トレイ10に収容されている転写シートSが給紙ローラ12の作動によって一枚給送され、給送された転写シートSはレジストローラ対13において一時停止される。そして、転写シートSの画像形成領域が感光体ドラム4と転写ローラ8とのニップ位置でトナー像と一致するようにレジストローラ対13が作動し、感光体ドラム4と転写ローラ8とが転写シートSを介した状態で接触しかつ転写バイアスが印加されることによって、転写シートSにトナー像が転写される。
【0014】
転写ニップを通過した転写シートSは転写バイアスを印加されて帯電しているため、除電針14で除電することによって感光体ドラム4または転写ローラ8から分離され、定着装置11へと送られる。定着装置11に送られた転写シートSは熱と圧力とによって転写されたトナー像を融着され、画像が定着された後に排紙ローラ対15へと送られて排紙トレイ16上に排出される。
【0015】
転写シートSの両面に画像を形成する両面画像形成時には、分離爪17を切り替えた後に反転ローラ18を逆転させて第一面に画像が定着完了した転写シートSを反転経路19に送り込み、分離爪17を戻した後に反転ローラ18を正転させて両面経路20に転写シートSを送り込む。両面経路20内に送り込まれた転写シートSは、経路内に設けられたローラ対によって再びレジストローラ対13まで表裏が反転された状態で搬送され、以下、通常画像形成時と同様のプロセスで第二面への画像形成動作が行われる。
【0016】
プリンタ1は、シート搬送ジャムが生じた場合に転写シートSの搬送経路を開放させるべく、カバー部材としての両面カバー21を備えている。両面カバー21は、筐体3に対して支点22において回動自在に支持されており、
図1において上端部を矢印A方向に向けて開放可能に構成されている。両面カバー21の開放時において、給紙ローラ12よりもシート搬送方向下流側に位置するシート搬送経路が開放される。
本実施形態において、転写装置8は両面カバー21に固定されている。
【0017】
図2は、本発明の特徴部である転写装置の概略図を示している。同図において転写装置9は、転写装置本体としての転写フレーム23、転写ローラ8、加圧部24を有している。
転写フレーム23は、両面カバー21にねじ止め等の方法によって固定されている。転写ローラ8は感光体ドラム4と対向配置されており、加圧部24によって回転自在かつ感光体ドラム4に対して接離する方向に向けて変位可能に保持されている。感光体ドラム4に対して転写ローラ8を加圧する加圧部24は、感光体ドラム4に対してシート搬送方向上流側にオフセットする態様で転写ローラ8を保持している。
【0018】
図3は、転写ローラ8及び加圧部24を説明する概略図である。同図において、転写ローラ8の軸8aには段付きの軸受25が嵌合しており、軸受25の小径部25aは筐体3に固定された不動部材である位置決め部材26,27に対して嵌合可能に形成されている。位置決め部材26,27は、感光体ドラム4の中心と転写ローラ8の中心とを結ぶ線分Bと直交する方向に向けて転写ローラ8が移動することを規制しており、画像形成動作時において感光体ドラム4と転写ローラ8との位置決めを行っている。位置決め部材26は、その感光体ドラム4とは反対側の端部が外側に向けて開放する形状を呈しており、小径部25aを案内し易い形状に形成されている。
【0019】
軸受25は保持部材としてのばねケース28の内部に配置されており、ばねケース28の内部にはさらにスライダ29及び付勢部材としての加圧ばね30が設けられている。ばねケース28の感光体ドラム4側の一端にはU字形状を呈する受け部28aが形成されており、受け部28aには軸受25の大径部25bが嵌合している。
ばねケース28に摺動自在に支持されたスライダ29は一端側で大径部25bと当接しており、他端側にはストッパ29aが形成されている。ストッパ29aがばねケース28に形成された段部28bに当接することにより、ばねケース28内でのスライダ29の移動量が規制されている。
スライダ29のストッパ29a側の端部には、加圧ばね30の一端が当接している。加圧ばね30の他端はばねケース28の内部に当接しており、加圧ばね30がスライダ29及び軸受25を介して転写ローラ8を感光体ドラム4へ向けて加圧している。
【0020】
ばねケース28の他端には、ばねケース28の回動支点となる穴部28cが設けられており、穴部28cには転写フレーム23に設けられた支軸31が、一定の隙間を持って嵌合されている。ばねケース28の他端側の外周面は穴部28cと同軸の円弧状に形成されており、曲面部28dを構成している。曲面部28dと対応する転写フレーム23側には、曲面部28dがしっくりと当接可能な曲面部28dと同じ曲率の凹面状に形成された加圧受け部32aを有する受け部材32が設けられている。
【0021】
図4は、画像形成時における転写装置9の状態と両面カバー21の開放時における転写装置9の状態とを示す概略図である。画像形成時、転写装置9は
図4の実線位置、すなわち
図2に示す状態であり、シートジャム処理時等の両面カバー21の開放時には
図4の二点鎖線位置に示す状態となる。なお、
図4の二点鎖線位置の状態を
図5に示す。
図1に示す状態から両面カバー21を矢印A方向に開放すると、支軸31は
図4の実線位置(
図2)から二点鎖線位置(
図5)に変位する。このとき、加圧部24では加圧ばね30が伸びていき、ストッパ29aが段部28bに当接するまで転写ローラ8は受け部28a内を感光体ドラム4に向かう方向に移動し、ストッパ29aが段部28bに当接してスライダ29の移動が規制された後に、転写ローラ8は感光体ドラム4から離間する。
【0022】
離間後、転写ローラ8は
図4の実線位置(
図2)から二点鎖線位置(
図5)へと位置決め部材26,27に沿って直線的に移動すると共に、加圧部24は支軸31を中心として回転する。そして、転写ローラ8が
図4の二点鎖線位置(
図5)まで移動すると、両面カバー21の開放に伴う転写部材の移動経路である
図5に示す小径部25aの移動軌跡Cが位置決め部材26に対して干渉しなくなるため、軸受25と位置決め部材26,27とが衝突することなく両面カバー21を開放してシート搬送経路を開放できる。
【0023】
上述の構成において、転写ローラ8が加圧ばね30の付勢力によって感光体ドラム4に圧接した際に、曲面部28dが加圧受け部32aに当接することによって加圧部24による加圧力を加圧受け部32aが受けている。曲面部28dが加圧受け部32aに当接したとき、支軸31と穴部28cとは一定の隙間を有しており、互いに非接触状態(接触していても加圧力がほとんど作用しない状態)となる。
【0024】
一般的に、付勢部材の付勢力によって直接的に転写部材を加圧する転写装置では、加圧力を受ける部位が破損しないように相応の強度が求められる。本発明の転写装置9では、転写ローラ8に作用する加圧力は転写フレーム23の一部である受け部材32の加圧受け部32aで受けるために支軸31に加圧力が作用しない構成である。このため、加圧力を支持可能である程度に支軸31を強固に構成する必要がなく、転写フレーム23と一帯の軸形状であっても支軸31を細くすることができ、省スペース化を達成できると共に低コストで小型の画像形成装置にも搭載可能な転写装置を提供できる。
【0025】
また、両面カバー21の開放時において、両面カバー21の変位に伴い加圧部24からの加圧力を受けてばねケース28も変位するが、上述したように支軸31と穴部28cとは隙間を持って嵌合しており、加圧力が開放された状態では加圧受け部32aに荷重が作用していないため、加圧部24の揺動、すなわち両面カバー21の揺動を滑らかに行うことができる。
これにより、省スペースである構成で、転写部材を付勢部材で直接加圧することと転写装置を含むカバー部材の開閉を干渉なく行うこととを両立できる。
【0026】
また、本発明の実施形態では、
図3に示すように、加圧受け部32aは感光体ドラム4に対する転写ローラ8の加圧方向に沿った延長線である線分Bを含む範囲内、すなわち線分Bの延長線上に設けられている。
この構成により、転写ローラ8に作用する加圧力を受け部材32の加圧受け部32aで確実に受けることができ、省スペース化を確実に達成できる。
【0027】
上記実施形態及び変形例では、本発明が適用可能な画像形成装置としてモノクロのプリンタ1を用いた例を示したが、本発明が適用可能な画像形成装置としてはこれに限られず、フルカラープリンタ、複写装置、ファクシミリ、複合機等にも本発明は適用可能である。また、像担持体として感光体ドラム4を例示したが、像担持体としてはこれに限られず、例えば中間転写画像を担持する中間転写ベルト等であってもよい。
また上記実施形態では、画像が形成される被記録媒体として転写シートSを用いる構成を示したが、この転写シートSとは記録紙には限定されず、厚紙、ハガキ、ロール紙、封筒、普通紙、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート、OHPフィルム、樹脂フィルム等も含まれ、シート状で画像形成可能であればどのようなものを用いてもよい。
【0028】
本発明の態様は、例えば以下の通りである。
[1]画像形成装置本体に対して開閉可能なカバー部材に設けられた転写装置本体と、前記転写装置本体に設けられ、前記画像形成装置本体に設けられた像担持体に対向配置された転写部材と、前記転写装置本体に設けられ前記像担持体に向けて前記転写部材を加圧する加圧部と、を備え、前記加圧部は、前記転写部材を回転自在かつ前記像担持体に対して接離する方向に向けて変位可能に保持し、前記転写装置本体に変位自在に支持された保持部材と、前記転写部材を前記像担持体に当接する方向に付勢する付勢部材とを有し、前記カバー部材の閉塞時に、前記画像形成装置本体に設けられた位置決め部材に前記転写部材が接触して位置決めされると共に前記保持部材が変位し、前記カバー部材の開放時に、前記転写部材が前記位置決め部材から離間する際に、前記保持部材の変位及び前記カバー部材の開放に伴い移動する前記転写部材の移動経路が前記位置決め部材に対して干渉しない経路を取り、前記保持部材は前記転写装置本体に設けられた支軸に対して隙間を持って嵌合して回動自在に支持されると共に、その前記支軸側の外面に前記支軸と同軸の曲面部を有し、前記転写装置本体は前記曲面部と同じ曲率を有し前記曲面部に接する加圧受け部を有する転写装置である。
[2]前記加圧受け部は前記像担持体に対する前記転写部材の加圧方向に沿った延長線を含む範囲内に設けられることを特徴とする[1]に記載の転写装置である。
[3][1]または[2]に記載の転写装置を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0029】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を例示したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0030】
1 画像形成装置(プリンタ)
3 画像形成装置本体(筐体)
4 像担持体(感光体ドラム)
8 転写部材(転写ローラ)
21 カバー部材(両面カバー)
23 転写装置本体(転写フレーム)
24 加圧部
26,27 位置決め部材
28 保持部材(ばねケース)
28d 曲面部
30 付勢部材(加圧ばね)
31 支軸
32a 加圧受け部
C 転写部材の移動経路(小径部の移動軌跡)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】特開2020-52109号公報
【特許文献2】特許第5157688号公報
【手続補正書】
【提出日】2023-06-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】