(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178054
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】広視野映像取得光学装置および広視野撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/698 20230101AFI20241217BHJP
G03B 37/00 20210101ALI20241217BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20241217BHJP
G03B 19/07 20210101ALI20241217BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20241217BHJP
【FI】
H04N23/698
G03B37/00 A
G03B15/00 W
G03B19/07
H04N23/55
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096554
(22)【出願日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100097984
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】宮川 和典
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘人
(72)【発明者】
【氏名】今村 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】堺 俊克
(72)【発明者】
【氏名】為村 成亨
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正英
【テーマコード(参考)】
2H054
2H059
5C122
【Fターム(参考)】
2H054BB05
2H054BB07
2H059BA01
5C122EA12
5C122EA47
5C122EA67
5C122FA02
5C122FA18
5C122FB02
5C122FB03
5C122FH18
(57)【要約】
【課題】 超広視野な画像でありながら、画像歪みが減少され、合成した際のつなぎ目が目立たない画像の撮影を可能とし得るコンパクトな広視野映像取得光学装置および広視野撮像装置を提供する。
【解決手段】 被写体情報を担持した光の入射側(0方向)から撮像レンズ8、9、10および光導波路5、6、7をこの順に配設した光学部材ペア51、52、53を各々、複数の方向に延びる共通光軸P11、P12、P13上に設けている。なお、光導波路(105、106、107)の光出射端面(113A、113B、113C)のコア部の径が光入射端面(112A、112B、112C)のコア部の径よりも縮小された縮小光学系とすることも可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体情報を担持した光の入射側から撮像レンズおよび光導波路をこの順に配設した光学部材ペアを各々、複数の方向に延びる共通光軸上に設けたことを特徴とする広視野映像取得光学装置。
【請求項2】
前記光導波路は、前記撮像レンズからの光が入射する光入射端面の各々が、対応する該撮像レンズの光軸に垂直方向となるように配置されるとともに、該光入射端面毎に結像された光学像が、外部に光を出射する光出射端面まで内部伝搬されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の広視野映像取得光学装置。
【請求項3】
前記光導波路が複数の光ファイバを束ねた構造を備えたことを特徴とする請求項1に記載の広視野映像取得光学装置。
【請求項4】
前記光導波路は、前記光出射端面のコア部の径が前記光入射端面のコア部の径よりも縮小された縮小光学系とされていることを特徴とする請求項2に記載の広視野映像取得光学装置。
【請求項5】
前記光学部材ペアを構成する前記撮像レンズのうち少なくとも1つは、該撮像レンズの光軸方向への移動が調整可能に、前記光導波路に直接的または間接的に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の広視野映像取得光学装置。
【請求項6】
前記光導波路の光出射端面に表示される、前記被写体情報を担持した映像が視認可能となるように設定されてなることを特徴とする請求項1に記載の広視野映像取得光学装置。
【請求項7】
前記光導波路の光出射端面に表示される、前記被写体情報を担持した映像を評価可能な手段を付加してなることを特徴とする請求項1に記載の広視野映像取得光学装置。
【請求項8】
請求項1に記載の広視野映像取得光学装置を備え、
前記光導波路の光出射端面に対向して、前記被写体情報を取得する平板状の撮像部を設けたことを特徴とする広視野撮像装置。
【請求項9】
前記撮像部が、光電変換を行う1つまたは複数の撮像素子で構成されてなることを特徴とする請求項8に記載の広視野撮像装置。
【請求項10】
前記撮像部が、撮像レンズを備えたカメラであることを特徴とする請求項8に記載の広視野撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パノラマ画像に代表される広い視野(画角)の映像を取得するための広視野映像取得光学装置および広視野撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
映像メディア技術として、映像がもたらす高臨場感に加えて、VR(Virtual Reality:仮想現実)やAR(Augmented Reality:拡張現実)等の多様な番組を視聴・体感することを可能とする技術の実現が期待されている。
このような技術の中でも、超広視野な画像でありながら、画像歪みが生じない撮影を可能とする装置の実現が、放送分野および医療分野などから強く要望されている。
【0003】
従来、超広視野な画像を取得する技術として、超広角(魚眼)レンズを取り付けた、1台または複数のカメラを用いたものが知られている(例えば、下記特許文献1を参照)。
また、自動車の安全運転に寄与するドライブレコーダー用のカメラシステムでは、前面用と後面用の2台のカメラ、さらには、死角補償用の2台のカメラにより得られた各画像を、別の広角レンズにより取得した情報に基づいて繋ぎ合わせることで広視野撮影を実現しているものが知られている(例えば、下記特許文献2を参照)。
【0004】
さらに、TOMBOと称される重複像眼方式のカメラでは、複数のレンズ群を用いた撮影手法が提案されており(例えば、下記特許文献3を参照)、特に複数の光学プリズムを用いて取得した各画像に合成処理を施すことで、画角180度相当の超広角撮影を実現したものが知られている(例えば、下記非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-315380号公報
【特許文献2】特開2011-250193号公報
【特許文献3】特開2001-61109号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】『CMOSイメージセンサを用いた複眼カメラとその応用』豊田孝、映像情報メディア学会誌 Vol.63,No.3,pp284~287(2019)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載された技術においては、超広角(魚眼)レンズの特性上、特に画像周辺部における、湾曲状の画像歪や光量の低下等の課題発生が避けられない。
また、上記特許文献2に記載された技術では、特許文献1に記載された技術と同様に、レンズに起因する画像歪等の課題発生が避けられない。さらに、複数台のカメラ映像を1枚の画像として合成処理する場合には、画像のつなぎ目が目立ってしまい、必ずしも満足した画像が得られない。
【0008】
さらに、上記特許文献3や上記非特許文献1に記載された技術では、複数のプリズム(または複数の鏡)を使用するためシステムがどうしても大きくなってしまう。さらに、複眼レンズ毎に結像された画像を合成した際のつなぎ目が目立ってしまうことや、レンズ由来の湾曲状の歪が生じること等、により画質改善には至っていない。
なお、上記特許文献3や上記非特許文献1に記載された技術において、光学プリズムを用いない重複像眼方式による場合には、各レンズにより得られた画像同士の視差が極めて小さいため、広視野撮影を実現することが困難である。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、超広視野な画像でありながら、画像歪みが減少され、合成した際のつなぎ目が目立たない画像の撮影を可能とし得るコンパクトな広視野映像取得光学装置および広視野撮像装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の目的を達成するため、本発明の広視野映像取得光学装置および広視野撮像装置は以下のような構成とされている。
すなわち、本発明に係る広視野映像取得光学装置は、
被写体情報を担持した光の入射側から撮像レンズおよび光導波路をこの順に配設した光学部材ペアを各々、複数の方向に延びる共通光軸上に設けたことを特徴とするものである。
なお、上記「撮像レンズ」には、単レンズのみならず複数枚のレンズを組み合わせたレンズ系も含まれるものとする(以下、同じ)。
【0011】
ここで、前記光導波路は、前記撮像レンズからの光が入射する光入射端面の各々が、対応する該撮像レンズの光軸に垂直方向となるように配置されるとともに、該光入射端面毎に結像された光学像が、外部に光を出射する光出射端面まで内部伝搬されるように構成することができる。
なお、前記光導波路が複数の光ファイバを束ねた構造を備えたものとすることが可能である。
また、前記光導波路は、前記光出射端面のコア部の径が前記光入射端面のコア部の径よりも縮小された縮小光学系とすることが可能である。
ここで、上記光導波路は、複数段を直列に重畳させることが可能であるが、その場合には、上記「光出射端面」は、最も光出射側に位置する光導波路の光出射端面を意味するとともに、上記「光入射端面」は、最も光入射側に位置する光導波路の光入射端面を意味するものとする。
【0012】
前記光学部材ペアを構成する前記撮像レンズのうち少なくとも1つは、該撮像レンズの光軸方向への移動が調整可能に、前記光導波路に直接的または間接的に取り付けられていることが好ましい。
【0013】
また、前記光導波路の光出射端面に表示される、前記被写体情報を担持した映像が視認可能となるように設定されてなることが好ましい。
前記光導波路の光出射端面に表示される、前記被写体情報を担持した映像を評価可能な手段を付加するように構成することも可能である。
【0014】
一方、本発明に係る広視野撮像装置は、上記いずれかに記載の広視野映像取得光学装置を備え、前記光導波路の光出射端面に対向して、前記被写体情報を取得する平板状の撮像部を設けたことが好ましい。
この場合において、前記撮像部が、光電変換を行う1つまたは複数の撮像素子で構成されたものとすることができる。また、前記撮像部が、撮像レンズを備えたカメラとすることもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る広視野映像取得光学装置および広視野撮像装置においては、撮像レンズと光導波路からなる光学部材ペアを互いに異なる複数の方向毎に設けて、各々の光学部材ペアに画角を分担させるようにしている。すなわち、各撮像レンズからの出射光を、対応する光導波路の光入射端面に結像させ、これらの光導波路内を伝搬させることにより、これら複数の光導波路の光出射端面に複数の撮像レンズによる画像を繋いだ広視野撮影画像を投影することができる。
【0016】
これにより、特に広角ではない標準レンズ相当の光学設計を複数個のレンズについて行えばよくなるので、魚眼レンズなどの超広角レンズ(画角が大きい)で課題となっていた、特に画像周辺部における、非線形歪や周辺画像歪、さらには周辺光量不足等を回避し得る広視野撮影を可能とすることができる。
また、撮像レンズの光入射側にプリズム等の視差拡張用の構造物を配さなくてもよいため光学設計が容易であり、また、小型で軽量化された装置を実現することができる。
また、上述したような構成とされているため、バックフォーカスの距離調整が容易であり、仕様の異なるレンズに容易に交換可能である。
なお、撮像レンズと、この撮像レンズに対応する光導波路が共通光軸を備えており、撮像レンズの光軸と光導波路の各平面との角度は変化しないため、それにより、出力画像に対して、レンズの配置調整の必要がない。また、レンズを複数枚用いた組レンズは、其々のレンズとして、特に広角レンズを用いないので画像取得時または画像出力時に画像処理がなされなくとも、画像の歪を抑制することができる。
【0017】
また、本発明の広視野映像取得光学装置によれば、複数の光導波路の各光出射端面に表示される、前記被写体情報を担持した映像を視認可能に設定することで、光学像を直接観察することができる。また、この光出射端面の後段に、可視像の情報(明暗情報等)を評価する手段を設けた構成とすることにより、光路中に配されたレンズや光学系の評価を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態1に係る広視野撮像装置の構造、および広視野映像取得光学装置の構造を示す概念図((a)は縦断面図、(b)は斜視図)である。
【
図2】本発明の実施形態2に係る広視野撮像装置の構造、および広視野映像取得光学装置の構造を示す概念図((a)は縦断面図、(b)は斜視図)である。
【
図3】本発明の実施形態3に係る広視野撮像装置の構造、および広視野映像取得光学装置の構造を示す概念図((a)は縦断面図、(b)は斜視図)である。
【
図4】本発明の各実施形態に係るレンズのバックフォーカスを変更する機構の一例を示す概略図である。
【
図5】従来技術に係る撮像装置の構造((a)従来の一般的な撮像装置、(b)従来の、光結像用光導波路(FOP)を用いた撮像装置)を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る広視野映像取得光学装置および広視野撮像装置について図面を用いて説明する。
本実施形態に係る広視野映像取得光学装置および広視野撮像装置は、テレビカメラにおける撮影方式の中でも、より広い視野(画角)を画像として撮らえることができる装置である。
【0020】
(概要)
まず、本実施形態に係る広視野映像取得光学装置の概要を、代表図として実施形態1を表す
図1を用いて説明する。
この広視野映像取得光学装置は、互いに方向が異なる光軸P11、P12、P13上に配された、複数の撮像レンズ(
図1では3つのレンズ)8、9、10とそれぞれの撮像レンズ8、9、10に対応する光導波路(本実施形態では光導波路5、6、7としてFOP(Fiber Optics Plateを用いる)を備えている。すなわち、この広視野映像取得光学装置は、撮像レンズ8および光導波路5を共通光軸P11上に配設した光学部材ペア51と、撮像レンズ9および光導波路6を共通光軸P12上に配設した光学部材ペア52と、撮像レンズ10および光導波路7を共通光軸P13上に配設した光学部材ペア53と、を備えている。
さらに、各光導波路5、6、7は、各撮像レンズ8、9、10から出射された光が入射される、該撮像レンズ8、9、10各々の光軸に対してほぼ垂直に配される光入射端面12A、12B、12Cと、この光入射端面12A、12B、12Cから入射された光を伝搬する光伝搬部14A、14B、14Cと、この光伝搬部14A、14B、14Cにより伝搬された光を外部に出射する、光入射端面12A、12B、12Cに対して略平行に配された光出射端面13A、13B、13Cとを備えている。
【0021】
一方、本実施形態に係る広視野撮像装置は、上述した広視野映像取得光学装置を備え、この広視野映像取得光学装置の光導波路5、6、7の光出射端面13A、13B、13Cの後段に(
図1では光出射端面13A、13B、13Cに略当接するように)、各々撮像部(
図1では撮像素子2、3、4)を備えている。
【0022】
以下、本実施形態の主たる特徴について列挙する。
(1)撮像レンズ8、9、10および光導波路5、6、7を共通光軸P11、P12、P13上に配設した光学部材ペア51、52、53は、光軸方向が互いに異なる、少なくとも2つの光学部材ペアで構成される(
図1の実施形態では、3つの光学部材ペア51、52、53により構成されている)。
(2)各方向に振向けられた(光軸方向が互いに異なる)撮像レンズ8、9、10により、光導波路7の光入射端面12A、12B、12Cの各々に結像した光は、光導波路7の光出射端面13A、13B、13Cにおいて光出射が同一の支点Pの方向となるように調整される。
【0023】
(3)被写体情報を担持した光は、光軸(共通光軸)P11、P12、P13が各方向に振向けられた撮像レンズ8、9、10により光導波路5、6、7の各光入射端面12A、12B、12C上に結像され、光導波路5、6、7の内部、より具体的には光伝搬部14A、14B、14Cの内部を伝搬され、その光学像が光導波路5、6、7の光出射端面13A、13B、13Cに表示される。ここで光軸とは、光学系において、レンズや球面鏡、楕円面鏡などの中心と焦点とを結ぶ直線のことを表すものとする。すなわち、共軸光学系の回転対称軸に一致する(本実施形態は、2つ以上の光学部材ペア51、52、53を用いて広視野映像を取得するものであり、例えば、3つの光学部材ペア51、52、53の光軸P11、P12、P13は、
図1に示すように、各光軸P11、P12、P13の支点Pから、各撮像レンズ8、9、10を振り向けた方向に向かう線が光軸P11、P12、P13となり、撮像レンズ8、9、10の中心線および光導波路5、6、7の中心線が、光軸となるように配置される)。
【0024】
(4)また、光導波路5、6、7の光出射端面13A、13B、13C側を目視観察、または撮像装置と映像出力波形モニタを組み合わせて、例えば解像度評価用のチャートを撮影すれば、得られる輝度信号の振幅変調の信号波形から解像度の評価が可能であり、さらに格子状または円形で構成された画像歪の評価用チャートを撮影すれば、取得画像から画像の領域毎の歪率の評価を行うことも可能であり、測定装置として用いることができる。
また、撮像レンズの特性を予め認識していれば、その特性に基づいて、光導波路5、6、7の光学測定(前述した態様と同様に撮像装置と映像出力波形モニタを組み合わせるように設定される)や評価を行うことができる。
【0025】
(5)
図2に示すように、光導波路105、106、107に用いられるFOPは、光出射端面113A、113B、113C側のコア部の径が、光入射端面112A、112B、112C側のコア部の径よりも縮小された縮小光学系のものを用いてもよく、この場合には、光出射端面113A、113B、113C側のコア部の径をより小さく設定することができることから、撮像レンズ108、109、110と光導波路105、106、107、および撮像部(
図1では撮像素子2、3、4)の配置を、より光軸の支点P側に近づくように配置することが可能となる。
ここで、実施形態1において支点Pから光導波路5、6、7の光入射端面12A、12B、12Cまでの距離を半径とし、中心を支点Pとする円をF11(
図1を参照)としたとき、これと同一サイズの円F21を
図2に表す(同様に、同一サイズの円F31を
図3に表す)。これに対して、実施形態2の場合は、上記縮小光学系を用いることにより、支点Pから光導波路105、106、107の光入射端面112A、112B、112Cまでの距離を短縮することができるので、この距離を半径とし、中心を支点PとするF22の円は、
図2に示すように、F21の円と比べて大幅に小さいサイズとすることができる。
これにより、取得した広視野映像の視差軽減を図ることができ、近くの被写体が、奥の被写体を隠すことによって生じる画像合成処理の破綻を防止する効果を得ることができる。
【0026】
(6)本実施形態(実施形態1,2,3のいずれをも含む。以下同じ)の広視野撮像装置では、上述したように複数の撮像部を備えている。この撮像部として撮像素子を用いる場合には、撮像レンズ8、9、10および光導波路5、6、7を備えた光学部材ペア51、52、53に対応して、単一の撮像素子を設けてもよいし、複数の撮像素子からなる撮像素子群を設けてもよいし、さらに、形状が変形可能なフレキシブル型の撮像素子を一式設けてもよい。また、一式の素子毎に駆動するようにしてもよいし、画素毎または画素領域毎に分割駆動するようにしてもよい。
【0027】
(7)本実施形態の構成によれば、光学プリズムを用いないため小型の広視野映像取得光学装置および広視野撮像装置を実現可能である。撮像レンズ8、9、10の焦点距離(画角)と撮像レンズ8、9、10の個数、および光学部材ペア51、52、53の入射方向の数と角度によって、広視野映像取得光学装置および広視野撮像装置としての撮影画角が決定される。また、取得画像に必要な画角から、撮像レンズ8、9、10および光導波路5、6、7の仕様が決定される。
【0028】
具体的には、例えば、光学部材ペア51、52、53(撮像レンズ8、9、10)の1つ当たりの画角(撮像範囲の水平方向の画角)が60度以上であれば、光学部材ペア51、52、53を3つとし、光学部材ペア51、52、53の共通光軸P11、P12、P13の方向を3方向として設計すればよい。すなわち、
図1に示すように、光学部材ペア51の中心(共通光軸P11)の方向を0度とした場合には、光軸の支点Pを中心として、光学部材ペア52の共通光軸P12を逆時計回りに60度(-60度)回転させ、光学部材ペア53の共通光軸P13を時計回りに60度(+60度)回転させるように構成すればよい(180度÷3=60度)。
【0029】
また、光導波路5、6、7を、縮小光学系のFOPにより構成することにより、光軸上に各光学部品を配置することが可能となるため、視差(オクルージョン量)を、より抑制することが可能となり、各方向に係る画像を合成する際に、画像の繋ぎ目で連続性の破綻が生じることがなくなり、180度以上の画角の良好な広視野映像を取得することができる。
このように、本実施形態に係る広視野映像取得光学装置および広視野撮像装置においては、複眼撮像方式を実現化する工夫が種々なされている。
【0030】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1に係る広視野映像取得光学装置および広視野撮像装置について図面を用いてより具体的に説明する。
<広視野撮像装置の基本構成>
本実施形態の広視野撮像装置の基本構成を
図1((a)は縦断面図であり、(b)は斜め上方から見た斜視図である)に示す。ここでは互いに共通光軸の角度が異なる3つの光学部材ペア51、52、53を用いた例を示す。
【0031】
本実施形態の広視野撮像装置は、各撮像素子2、3、4の光軸に対して、共通光軸P11が一致するように設定された光学部材ペア51と、共通光軸P12が一致するように設定された光学部材ペア52と、共通光軸P13が一致するように設定された光学部材ペア53とを備えている。
すなわち、光学部材ペア51、52、53を構成する光導波路5、6、7は、共通光軸P11、P12、P13に対して略垂直な平面状の光入射端面12A、12B、12C、複数の光ファイバを束ねてなる光伝搬部14A、14B、14C、および光入射端面12A、12B、12Cから入射し、光伝搬部14A、14B、14Cにより伝搬された光を出射する、共通光軸P11、P12、P13に対して略垂直な平面状の光出射端面13A、13B、13Cを備えており、さらに、この光出射端面13A、13B、13Cに対向するように平板状の撮像素子2、3、4(平面上の受光面を有する)が近接配置されている。
【0032】
<広視野映像取得光学装置の基本構成>
本実施形態の広視野映像取得光学装置の基本構成は、上記本実施形態の広視野撮像装置の基本構成から撮像素子2、3、4の構成を外すことで表される。
なお、
図1において、a11、a12、a13は撮像レンズ8、9、10の直径を示し、b11、b12、b13は撮像レンズ8、9、10のバックフォーカスを示し、c11、c12、c13は光導波路5、6、7の光入射端面12A、12B、12Cの撮像範囲(直径)を示す。
【0033】
ところで、従来の一般的な撮像装置の概略は、例えば
図5に示すような構成とされる。
まず、
図5(a)は、従来からの最も単純な撮像装置を示すものである。撮像レンズ501で集光された光を撮像素子502の受光面上に結像し、撮像素子502で光電変換することで電気的に画像データを取得している。
また、
図5(b)は、撮像レンズ601と撮像素子602の間にFOP603を挿入した従来の撮像装置(例えば、特許第6518038号等)を示すものであり、撮像レンズ601により、光学像をFOP603の光入射端面上に結像し、FOP603の内部で光伝搬させ、光出射端面に光学像を投影するようにして、撮像素子602により光学像を撮像する。
これに対して、本実施形態の広視野撮像装置では、
図1に示すように、3つの光学部材ペア51、52、53を用い、その画角と振り向け角度について、以下のように設定している点で、上述した従来技術等とは大きく相違する。
【0034】
すなわち、3つの光学部材ペア51、52、53における撮像レンズ8、9、10の画角は、共に60度以上とされている。一方、これら3つの撮像レンズ8、9、10の振り向け角度は、
図1では、撮像素子2の受光面に対して垂直方向である上方向からの光入射の方向(0方向)を0度とした場合に、光軸の支点P(全ての光学部材ペア51、52、53の共通光軸P11、P12、P13が交差する点)を中心として、撮像レンズ8については0度、撮像レンズ9については左方向(反時計回りに)に60度(-60度)、撮像レンズ10については右方向(時計回りに)に60度(+60度)とされている。
まず、3つの撮像レンズ8、9、10は同仕様とし、撮像範囲の対角を上述したように60度以上の画角(60度×3=180度)に設定し、各撮像レンズ8、9、10の振り向け方向を上述した振り向け角度に設定すれば、光導波路5、6、7の各光出射端面13A、13B、13Cにおいて画角60度以上の各3方向の広視野な光学像を出射(投影)することができる。なお、撮像レンズ8、9、10と光軸を共通する光導波路5、6、7についても、上述した撮像レンズ8、9、10の振り向け角度に設定されることになる。
【0035】
また、各光学部材ペア51、52、53間および各光学部材ペア52、53に隣接して、クロストーク防止用の隔壁11を配設することが望ましく、そのために各撮像素子2、3、4間に間隙を確保することが肝要である。なお、ここでのクロストークは、隣接した光学部材ペア51、52、53における各部材から入射した光、または他の光学レンズ等から入射した光が、種々の構造体や部材等により反射され、ゴーストとして取得画像に写り込むような態様を意味する。
【0036】
ここで、本実施形態に係る広視野映像取得光学装置および広視野撮像装置の主要な構成要素である光導波路についてより詳しく説明する。
光導波路は、入射した光を光出射端面まで伝搬して出射する機能を備えた光学部材であり、コアガラス、クラッドガラスおよびクロストーク防止用の結合ガラスからなる光ファイバを構成要素とし、この光ファイバが並列された、単層の光導波路を多段に積み上げたタイプのものや、複数の光ファイバ部材を束ねるように構成したタイプのもの等がある。
本実施形態に係る広視野映像取得光学装置および広視野撮像装置においては、光導波路5、6、7として、光ファイバを繊維状に配置して一枚のプレート状に形成したFOPを用いている。ただし、本発明の広視野映像取得光学装置および広視野撮像装置としては、他のタイプの光導波路を用いることも勿論可能である。なお、ここでのクロストークは、FOPの製造時において、コアガラス部とクラッドガラス部の部材が、重なったり、絡み合ったりする状態となったことが原因で発生するような態様を意味する。
【0037】
上記光導波路5、6、7では、上記FOPを用い、例えば
図1に示すように、撮像レンズ8、9、10からの光学像が各々光入射端面12A、12B、12Cに結像された場合、その光学像を光出射端面13A、13B、13Cに光伝搬することができる。
また、この光導波路5、6、7は、CMOS等の固体撮像素子からなる撮像素子2、3、4の受光面に密着させることで、光入射端面12A、12B、12Cに結像された光学像を撮像素子2、3、4に良好に伝搬することができる。
すなわち、光導波路5、6、7の光出射端面13A、13B、13Cには、撮像レンズ8、9、10で得られた光学像が投影されるので、本実施形態の広視野撮像装置のように、撮像素子2、3、4を上記光出射端面13A、13B、13Cに近接配置(光結合)してその光学像を撮像することの他、本実施形態に係る広視野映像取得光学装置において、上記光出射端面13A、13B、13Cに投影された光学像を直接視認することや、この光学像を別カメラで撮影することが可能である。
【0038】
上述した要素技術を用い、撮像レンズ8、9、10の個数、撮像レンズ8、9、10の焦点距離(画角)および光軸の支点Pの位置に基づき、各撮像レンズ8、9、10の振り向け角度、および撮像面積に応じた形状の光導波路5、6、7を構成すれば、歪が低減され、画像のつなぎ目が視認され難い、広視野な光学画像を得ることができる。
【0039】
次に、本実施形態に係る広視野撮像装置の撮像素子2、3、4について、より詳しく説明する。
撮像素子2、3、4としては、例えば、上述したCMOSの他、CCD、TFT等の固体撮像素子が用いられる。また、本発明の広視野撮像装置においては、撮像素子に替えて、通常の撮像管や、FOPを基板としたFOP-HARP撮像管などの撮像装置を用いることもできる。
さらに、高感度撮影の要求がある場合には、イメージインテンシファイア(II)やマイクロチャンネルプレート(MCP)を用いることも考えられる。また、フィルムに代表される感光材料を用いることもできる。
【0040】
また、撮像素子2、3、4の平面形状をなす受光面を、光導波路5、6、7の光出射端面13A、13B、13Cに対して、例えば40μm以内となるように近接配置すれば、各々が画角60度以上の良好な広視野撮影を実現することができる。なお、近接配置することにより生じた、撮像素子2、3、4と光導波路5、6、7の微小な隙間は、専用のグリース等により埋めて、対向する撮像素子2、3、4の受光面と、光導波路5、6、7の光出射端面13A、13B、13C間で良好に光結合させることにより、歪の無い高精度な画像を取得することが可能である。
なお、180°の広視野映像を実際に得る際には、各画像を、いずれも画角が60°となるように同様に切り出し、その後、切り出した3つの画像を並べて表示する手法によって、視差が問題とならない状態での広視野映像を得ることができる。
【0041】
<光導波路の光伝搬作用>
図1に示す光導波路5、6、7に用いられるFOPは、一般的には前述したように、多数の光ファイバを束ねた構造とされ、透光部分であるコアガラス、遮光部分であるクラッドガラス、およびファイバのクロストーク防止用の結合ガラスの3種のガラス構造体から構成されている。
【0042】
一般的に光を伝搬するコアガラス部分は直線状のストレートファイバであり、光入射角度および光出射角度は、各光導波路5、6、7の光入射端面12A、12B、12Cおよび光出射端面13A、13B、13Cに対して垂直とされており、各光入射端面12A、12B、12Cの面積は同様とされているので、光伝搬後の光導波路5、6、7の光出射端面13A、13B、13Cから出射される出射範囲も互いに同様とされている。すなわち、撮像レンズ8、撮像レンズ9、撮像レンズ10の、各々対応する光入射端面12A、12B、12C上の撮像範囲(直径)c11、c12、c13が略同じ範囲であれば、この光出射端面13A、13B、13Cから出射される出射光の範囲も略同じとなる。
【0043】
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2に係る広視野映像取得光学装置および広視野撮像装置について
図2((a)は縦断面図であり、(b)は斜め上方から見た斜視図である)を用いて説明する。なお、実施形態2のものは上記実施形態1のものと類似した構成をなしているため、対応する構成部材については、実施形態1の部材に付された符号に100を加えて表示する。
【0044】
<広視野撮像装置の基本構成>
本実施形態の広視野撮像装置の基本構成は
図2に示すように、互いに共通光軸の角度が異なる3つの光学部材ペア151、152、153を用いた例により説明する。なお、光学部材ペア151は、撮像レンズ108と光導波路105を共通光軸P21上に配設してなり、光学部材ペア152は、撮像レンズ109と光導波路106を共通光軸P22上に配設してなり、光学部材ペア153は、撮像レンズ110と光導波路107を共通光軸P23上に配設してなる。
【0045】
本実施形態の広視野撮像装置は、撮像素子102の光軸に対して、共通光軸P21が一致するように設定され、撮像素子103の光軸に対して、共通光軸P22が一致するように設定され、さらに撮像素子104の光軸に対して、共通光軸P23が一致するように設定されている点で実施形態1のものと同様である。
すなわち、光学部材ペア151、152、153を構成する光導波路105、106、107は、共通光軸P21、P22、P23に対して略垂直な光入射端面112A、112B、112C、複数の光ファイバからなる光伝搬部114A、114B、114C、および光入射端面112A、112B、112Cから入射し、光伝搬部114A、114B、114Cにより伝搬された光を出射する平面状の光出射端面113A、113B、113Cを備えており、さらに、この光出射端面113A、113B、113Cに対向するように平板状の撮像素子102、103、104(平面上の受光面を有する)が近接配置されている点で実施形態1のものと同様である。
【0046】
ただし、本実施形態のものにおいては、各撮像レンズ108、109、110により、各光導波路105、106、107の光入射端面112A、112B、112Cに結像された被写体情報を担持した光は、各光出射端面113A、113B、113Cにおいて、縮小された画像を形成する(
図2の実施形態においては縮小率50%)点で、上記実施形態1のものと異なる。すなわち、本実施形態のものでは、光導波路105、106、107として(2:1)の構造縮小光学系を用いている。このため、1:1光学系のものを使用する実施形態1のものの構造に比べて、撮像素子102、103、104の撮像面を縮小できるほか、装置全体の小型化を図ることができ、さらに各部材(レンズ、光導波路、撮像素子)を光軸の支点Pに近接して配置することができる。
【0047】
これにより、視差を極限にまで抑制でき、広視野画像を合成する際、画像の繋ぎ目が整う効果が得られる。また、各光出射端面113A、113B、113Cには、歪やボケのない、大きさが50%に縮小された画像が表示される。さらに、各撮像素子102、103、104間にスペースを確保することができるので、この間隙に隔壁11を配設することが容易となる。
なお、縮小光学系の縮小比率については、レンズや撮像素子の形状およびサイズ、また分割数などに応じて自由に設定することができる。
また、光導波路105、106、107において、光を伝搬するコアガラス部分は一般的に直線状(ストレートファイバー)とされるが、本実施形態のものでは、
図2に示すように、光入射端面112A、112B、112Cの近傍、および光出射端面113A、113B、113Cの近傍において曲折する形状のファイバを用いることが好適である。
ただし、本実施形態においては、各光入射端面112A、112B、112C、および各光出射端面113A、113B、113Cの面位置において、各光ファイバはこれらの端面に対して垂直に配されるように設定されている。
【0048】
<広視野映像取得光学装置の基本構成>
また、本実施形態の広視野映像取得光学装置の基本構成は、上記本実施形態の広視野撮像装置の基本構成から撮像素子102、103、104の構成を外すことで表される点で、上記実施形態1のものと同様である。
なお、
図2において、a21、a22、a23は撮像レンズ108、109、110の直径を示し、b21、b22、b23は撮像レンズ108、109、110のバックフォーカスを示し、c11、c12、c13は光導波路105、106、107の光入射端面22A、22B、22Cの撮像範囲(直径)を示す。
【0049】
(実施形態3)
以下、本発明の実施形態3に係る広視野映像取得光学装置および広視野撮像装置について
図3((a)は縦断面図であり、(b)は斜め上方から見た斜視図である)を用いて説明する。なお、実施形態3の構成部材の多くは上記実施形態1のものと類似しており、対応する構成部材については、実施形態1の部材に付された符号に200を加えて表示し、その詳しい説明は省略する。
また、本実施形態の広視野撮像装置の基本構成は、
図3に示すように、互いに共通光軸の角度が異なる3つの光学部材ペア251、252、253を用いた例により説明する。
【0050】
なお、光学部材ペア251は、撮像レンズ208と光導波路205を共通光軸P31上に配設してなり、光学部材ペア252は、撮像レンズ209と光導波路206を共通光軸P32上に配設してなり、光学部材ペア253は、撮像レンズ210と光導波路207を共通光軸P33上に配設してなる。
【0051】
本実施形態のものでは、光伝搬部214A、214B、214Cを各々備えた光導波路205、206、207の光出射端面213A、213B、213Cと、対応する各撮像素子202、203、204との間に、光電変換膜212、213、214が設けられている。これにより画像信号を大幅に増大させることができ、感度を向上させることができる。
なお、
図3において、a31、a32、a33は撮像レンズ208、209、210の直径を示し、b31、b32、b33は撮像レンズ208、209、210のバックフォーカスを示し、c31、c32、c33は光導波路205、206、207の光入射端面212A、212B、212Cの撮像範囲(直径)を示す。
【0052】
(変更態様)
本発明の広視野映像取得光学装置および広視野撮像装置は、上記実施形態のものに限られるものではなく、その他の種々の態様の変更が可能である。例えば、上記実施形態の広視野撮像装置は、光導波路の光入射端面が平面形状とされているが、これに替えて、この光入射端面を曲面形状(球面形状、円筒面形状等を含む)とすることも可能である。
また、レンズの焦点距離、大きさ、性能などは、撮像レンズ毎に異なっていてもよいし同じであってもよい。
【0053】
また、レンズの仕様を変更する場合には、当該撮像レンズのバックフォーカス(実施形態1では、
図1に示すb11、b12、b13、実施形態2では、
図2に示すb21、b22、b23、実施形態3では、
図3に示すb31、b32、b33)の変更が必要となる。そこで、そのようなレンズ仕様の変更の可能性がある場合には、撮像レンズを、光導波路に対して、間接的又は直接的に係止させ、必要に応じて光導波路の光入射端面に垂直に移動可能とする構成を持たせることが好ましい。
【0054】
図4に、撮像レンズ308のバックフォーカス調整機構部を示す。隔壁311は、レンズ308を保持するレンズ保持部351と、そのレンズ保持部351を上下動させることで撮像レンズ308のバックフォーカスb41の距離を調整するためのレンズ上下動機構部352とが一体となった構造を保持する構成とされている。レンズ保持部351とレンズ上下動機構部352の双方側面はネジ状に螺合される構造となっており、バックフォーカスb41の変更を容易にするとともに、撮像レンズ308を移動可能に保持する機構を実現している。
なお、個々の撮像レンズ毎に調整機構が独立して設けられているので、撮像レンズ毎にバックフォーカス調整が可能であり、仮に、製造工程で特性のバラつきが生じていても、広視野画像を取得する上での問題とはならない。また、各撮像レンズ間で焦点距離が異なる場合であっても、装置全体のピント調整を容易に行うことができる。
【0055】
また、上記実施形態においては、本発明の広視野撮像装置の撮像部として、光導波路の光出射端面に近接させた撮像素子を用いているが、この撮像素子に替えて、撮像レンズを備えたカメラ等を用いてもよく、このカメラとしては静止画撮像用であっても動画撮像用であってもよく、従来のどのようなカメラシステムであっても適用することが可能である。
また、このカメラは複数個設けてもよい。
また取得する映像は可視光のみならず、赤外光、紫外光、その他の放射線であってもよく、取得する映像の用途に応じて選択可能である。
なお、撮像素子を用いる場合、平板上の撮像素子の表裏に受光面を形成することにより、180度以上の広視野パノラマ画像を取得することも可能である。
【0056】
また、上記実施形態の広視野映像取得光学装置においては、超広視野映像を、平面とされた撮像素子の受光面上に出射する機能を有するものを用いているが、これに替え、光導波路の光出射端面からの光に係る映像信号を光ファイバ等を用いて光伝送することも可能である。
【符号の説明】
【0057】
2、3、4、102、103、104、202、203、204、502、602
撮像素子
5、6、7、105、106、107、205、206、207、305、603
光導波路
8、9、10、108、109、110、208、209、210、308、501、601 撮像レンズ
11、111、211、311 隔壁
12A、12B、12C、112A、112B、112C、212A、212B、212C 光入射端面
13A、13B、13C、113A、113B、113C、213A、213B、213C 光出射端面
14A、14B、14C、114A、114B、114C、214A、214B、214C 光伝搬部
51、52、53、151、152、153、251、252、253
光学部材ペア
351 レンズ保持部
352 レンズ上下動機構部
a11、a12、a13、a21、a22、a23、a31、a32、a33、a41
撮像レンズの直径
b11、b12、b13、b21、b22、b23、b31、b32、b33、b41
撮像レンズのバックフォーカス
c11、c12、c13、c21、c22、c23、c31、c32、c33、c41
光導波路の光入射端面の撮像範囲(直径)
P (光軸の)支点
P11、P12、P13、P21、P22、P23、P31、P32、P33 (共通)光軸