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特開2024-178137集積回路試験システムにおけるプローブランディングを検出するための技術
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178137
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】集積回路試験システムにおけるプローブランディングを検出するための技術
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20241217BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20241217BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20241217BHJP
【FI】
G01R31/28 L
H01L21/66 B
G01R31/26 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024094077
(22)【出願日】2024-06-11
(31)【優先権主張番号】18/333,136
(32)【優先日】2023-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス エス.ヴィッカーズ
(72)【発明者】
【氏名】シーマ ソマニ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ティリー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル バークマイア
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ストールカップ
【テーマコード(参考)】
2G003
2G132
4M106
【Fターム(参考)】
2G003AA10
2G003AG03
2G003AG04
2G003AG06
2G003AG13
2G132AF02
2G132AF07
2G132AF12
2G132AL04
4M106AA01
4M106AA08
4M106BA01
4M106BA02
4M106DD03
4M106DH12
4M106DH24
(57)【要約】
【課題】プローブ先端と試料表面との間の接触を検出するための方法を提供する。
【解決手段】方法は、ディザ周波数を有する周期運動を使用して、表面と実質的に平行な平面内でプローブをディザリングすることを含むことができる。方法は、荷電粒子のビームをプローブの領域に向かって方向付けることを含むことができる。方法は、荷電粒子のビームとプローブの領域との間の相互作用に少なくとも部分的に基づいて、プローブの周期運動を記述する検出器データを生成することを含むことができる。方法は、プローブを表面に向かって変位させることを含むことができる。方法はまた、検出器データを使用して、プローブと表面との間の接触を検出することを含むことができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブ先端と試料表面との間の接触を検出するためのコンピュータ実装方法であって、前記方法が、
ディザ周波数を有する周期運動を使用して、表面と実質的に平行な平面内でプローブをディザリングすることと、
荷電粒子のビームを前記プローブの領域に向かって方向付けることと、
前記荷電粒子のビームと前記プローブの前記領域との間の相互作用に少なくとも部分的に基づいて、前記プローブの前記周期運動を記述する検出器データを生成することと、
前記プローブを前記表面に向かって変位させることと、
前記検出器データを使用して、前記プローブと前記表面との間の接触を検出することと、を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記プローブの前記領域に含まれる、前記プローブの先端のおおよその位置を判定することを更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記プローブの前記先端の前記おおよその位置を判定することが、
前記プローブの前記領域を記述する検出器データを生成することと、
前記検出器データを使用して前記プローブの前記先端の前記おおよその位置を判定することと、を含む、請求項2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記ビームを方向付けることが、ライン走査を使用して、前記プローブの前記領域にわたって前記荷電粒子のビームをラインで走査することを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記ディザ周波数と、前記ライン内の点上での前記ビームの滞留時間との数学的積が、1以上である、請求項4に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記プローブのおおよその配向を判定することと、
前記配向に少なくとも部分的に基づいて、前記プローブの識別子情報を生成することと、を更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記試料が、コンタクトパッドを有する集積回路を含み、前記接触が、前記プローブと前記コンタクトパッドとの間に形成されている、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記検出器データを生成することが、前記ディザ周波数に同調されたロックイン増幅器を使用してフィルタリングされたデータを生成することを含み、前記接触を検出することが、前記ディザ周波数における前記ロックイン増幅器の出力の減衰に対応する、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
運動周波数のセットにわたって前記プローブをディザリングすることと、
前記荷電粒子のビームを前記プローブに向かって方向付けることと、
前記荷電粒子のビームと前記プローブとの間の前記相互作用に少なくとも部分的に基づいて、前記運動周波数に対する前記プローブの応答を記述する検出器データを生成することと、
前記検出器データを使用して、前記プローブの共振周波数を推定することと、
前記共振周波数にほぼ等しくあるように前記ディザ周波数を選択することと、を更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記荷電粒子のビームを方向付けることが、前記表面の上で、前記ビームを走査パターンで走査することを含む、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記共振周波数を推定することが、ロックイン増幅器を使用して前記共振周波数を分離することを含む、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記運動周波数のセットが、100kHzの要素周波数を含む、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
機械によって実行されたときに、前記機械に動作を実施させる命令を記憶する1つ以上の非一時的機械可読記憶媒体であって、前記動作は、
ディザ周波数を有する周期運動を使用して、表面と実質的に平行な平面内でプローブをディザリングすることと、
荷電粒子のビームを前記プローブの領域に向かって方向付けることと、
荷電粒子の前記ビームと前記プローブの前記領域との間の相互作用に少なくとも部分的に基づいて、前記プローブの前記周期運動を記述する検出器データを生成することと、
前記プローブを前記表面に向かって変位させることと、
前記検出器データを使用して、前記プローブと前記表面との間の接触を検出することと、を含む、1つ以上の非一時的機械可読記憶媒体。
【請求項14】
前記検出器データを生成することが、前記ディザ周波数に同調されたロックイン増幅器を使用してフィルタリングされたデータを生成することを含み、前記接触を検出することが、前記ディザ周波数における前記ロックイン増幅器の出力の減衰に対応する、請求項13に記載の1つ以上の媒体。
【請求項15】
前記ディザ周波数が、前記プローブの共振周波数にほぼ等しい、請求項13に記載の1つ以上の媒体。
【請求項16】
前記ディザ周波数と、点上での前記ビームの滞留時間との数学的積が、1以上である、請求項13又は15に記載の1つ以上の媒体。
【請求項17】
集積回路コンポーネントを試験するためのシステムであって、
プローブと、
荷電粒子ビームシステムと、
前記プローブに向かって配向され、荷電粒子と前記プローブとの相互作用によって生成された粒子を検出するように構成された検出器と、
前記プローブ、前記荷電粒子ビームシステム、及び前記検出器に動作可能に結合され、前記プローブを作動させるように構成された制御回路と、
前記システムによって実行されたときに、前記システムに動作を実施させる命令を記憶する1つ以上の非一時的機械可読記憶媒体であって、前記動作は、
前記プローブの共振周波数付近のディザ周波数を有する周期運動を使用して、表面と実質的に平行な平面内で前記プローブをディザリングすることと、
前記荷電粒子のビームを前記プローブの領域に向かって方向付けることと、
前記荷電粒子のビームと前記プローブの前記領域との間の相互作用に少なくとも部分的に基づいて、前記プローブの前記周期運動を記述する検出器データを生成することと、
前記プローブを前記表面に向かって変位させることと、
前記検出器データを使用して、前記プローブと前記表面との間の接触を検出することと、を含む、1つ以上の非一時的機械可読記憶媒体と、を備える、システム。
【請求項18】
前記荷電粒子ビームシステムが、走査型電子顕微鏡カラムであり、前記検出器が、二次電子検出器又は後方散乱電子検出器である、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記接触を検出することが、
前記プローブの前記周期運動に起因する、前記検出器データ内の位相成分及び周波数成分を判定することと、
前記位相成分を前記周期運動の駆動信号の位相に整合させることと、
前記駆動信号に対する、前記検出器データの前記周波数成分の変化又は前記位相成分の変化を検出することと、を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記プローブが、第1のプローブであり、前記周期運動が、第1の周期運動であり、前記ディザ周波数が、第1のディザ周波数であり、前記システムが、第2のプローブを更に備え、前記動作は、
前記第2のプローブの共振周波数付近の第2のディザ周波数を有する第2の周期運動を使用して、表面と実質的に平行な前記平面内で前記第2のプローブをディザリングすることと、
前記荷電粒子のビームを前記第2のプローブの領域に向かって方向付けることと、
前記荷電粒子のビームと前記プローブの前記領域との間の相互作用に少なくとも部分的に基づいて、前記第2のプローブの前記周期運動を記述する検出器データを生成することと、
前記第2のプローブを前記表面に向かって変位させることと、
前記検出器データを使用して、前記第2のプローブと前記表面との間の接触を検出することと、を更に含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記第1のディザ周波数と前記第2のディザ周波数とが等しくない、請求項20に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2023年6月12日に出願された米国特許仮出願第18/333,136号の優先権を主張し、その開示は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示の実施形態は、電子試験システム、並びにそれらの動作のためのアルゴリズム及び方法を対象とする。具体的には、いくつかの実施形態は、集積回路試験のための技術を対象とする。
【背景技術】
【0003】
集積回路(integrated circuit、IC)試験は、「被試験デバイス」又はDUT(device under test)と呼称される半導体ウェハ又はウェハセクション(例えば、ダイシングされたウェハ)の個々のトランジスタ又はトランジスタのグループの測定を伴う。典型的には、プローブは、集積回路要素と接触して位置決めされ、時変電気信号でDUTに問い合わせるために使用される。集積回路の特徴密度及び構造の複雑さが増加するにつれて、特定のIC要素上にプローブを配置することは、ナノスケールプローブ先端の精密な位置決め、及び三次元におけるプローブ先端位置についてのナノスケール情報の開発を伴う。そのような精密な位置決めは、プローブ先端の位置が許容範囲内に対して既知である「開ループ」位置決めシステムにとって重要な課題である。プローブ先端の不正確な位置は、表面との接触を予測することを困難にする。
【0004】
現在のCMOSノードの特徴的な特徴サイズに対応するナノメートルスケールでの導電性コンタクト上へのプローブ先端の正確な位置決めは、重大な課題を提示する。例えば、典型的なDUTの表面は、視覚的に類似した多くの特徴を含む。少なくともこの理由で、プローブの輪郭、特にプローブ先端は、背景に対して区別することが困難であり得る。結果として、イメージングベースの接触検出方法を使用しながら、試験プラットフォームが配備されるスケールで開ループ位置決めを展開することは実用的でない。したがって、IC試験システムのための改善されたプローブ先端位置特定及び接触検出に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0005】
プローブ先端と試料表面との間の接触を検出するためのシステム、方法、及び技術。一態様では、方法は、ディザ周波数を有する周期運動を使用して、表面と実質的に平行な平面内でプローブをディザリングすることを含むことができる。方法は、荷電粒子のビームをプローブの領域に向かって方向付けることを含むことができる。方法は、荷電粒子のビームと、プローブの領域との間の相互作用に少なくとも部分的に基づいて、プローブの周期運動を記述する検出器データを生成することを含むことができる。方法は、プローブを表面に向かって変位させることを含むことができる。方法はまた、検出器データを使用して、プローブと表面との間の接触を検出することを含むことができる。
【0006】
方法は、プローブの領域に含まれるプローブの先端のおおよその位置を判定することを更に含むことができる。プローブの先端のおおよその位置を判定することは、プローブの領域の電子画像を生成することと、電子画像を使用して、プローブの先端のおおよその位置を判定することと、を含むことができる。ビームを方向付けることは、ライン走査を使用して、プローブの領域にわたって荷電粒子のビームをライン状に走査することを含むことができる。ディザ周波数と、ライン内の点上でのビームの滞留時間との数学的積は、1以上であり得る。ディザ周波数は、プローブの共振周波数にほぼ等しくすることができる。
【0007】
方法は、プローブのおおよその配向を判定することと、配向に少なくとも部分的に基づいて、プローブの識別子情報を生成することと、を更に含むことができる。試料は、コンタクトパッドを有する集積回路を含むことができ、接触は、プローブとコンタクトパッドとの間に形成されている。検出器データを生成することは、ディザ周波数に同調されたロックイン増幅器を使用してフィルタリングされたデータを生成することを含むことができる。接触を検出することは、ディザ周波数におけるロックイン増幅器の出力の減衰に対応し得る。
【0008】
方法は、運動周波数のセットにわたってプローブをディザリングすることと、荷電粒子のビームをプローブに向かって方向付けることと、荷電粒子のビームとプローブとの間の相互作用に少なくとも部分的に基づいて、運動周波数に対するプローブの応答を記述する検出器データを生成することと、検出器データを使用して、プローブの共振周波数を推定することと、共振周波数にほぼ等しくあるようにディザ周波数を選択することと、を更に含むことができる。荷電粒子のビームを方向付けることは、表面の上で、ビームを走査パターンで走査することを含むことができる。共振周波数を推定することは、ロックイン増幅器を使用して共振周波数を分離することを含むことができる。運動周波数のセットは、100kHzの要素周波数を含むことができる。
【0009】
接触を検出することは、検出器データにおける周波数成分の位相を判定することを含むことができ、周波数成分は、ほぼディザ周波数である。接触を検出することは、周波数成分の位相を周期運動の駆動信号の位相に整合させることと、周波数成分の変化又は周波数成分の位相の変化を検出することと、を含むことができる。
【0010】
プローブは、第1のプローブとすることができ、周期運動は、第1の周期運動とすることができ、ディザ周波数は、第1のディザ周波数とすることができ、システムは、第2のプローブを更に含むことができる。方法は、第2のプローブの共振周波数付近の第2のディザ周波数を有する第2の周期運動を使用して、表面と実質的に平行な平面内で第2のプローブをディザリングすることを更に含むことができる。方法は、荷電粒子のビームを第2のプローブの領域に向かって方向付けることを更に含むことができる。方法は、荷電粒子のビームとプローブの領域との間の相互作用に少なくとも部分的に基づいて、第2のプローブの周期運動を記述する検出器データを生成することを更に含むことができる。方法は、第2のプローブを表面に向かって変位させることを更に含むことができる。方法は、検出器データを使用して、第2のプローブと表面との間の接触を検出することを更に含むことができる。第1のディザ周波数と第2のディザ周波数とは、異なり得る。
【0011】
一態様では、機械によって実行されると、機械に前述の態様の方法の動作を実施させる命令を記憶する1つ以上の非一時的機械可読記憶媒体。
【0012】
一態様では、集積回路コンポーネントを試験するためのシステムは、プローブと、荷電粒子ビームシステムと、プローブに向かって配向され、荷電粒子とプローブとの相互作用によって生成された粒子を検出するように構成された検出器と、プローブ、荷電粒子ビームシステム、及び検出器に動作可能に結合され、プローブを作動させるように構成された制御回路と、システムによって実行されるとシステムに、方法及び媒体先行する態様の動作を実施させる命令を記憶する1つ以上の非一時的機械可読記憶媒体と、を含む。荷電粒子ビームシステムは、走査型電子顕微鏡カラムとすることができ、検出器は、二次電子検出器又は後方散乱電子検出器である。
【0013】
本開示の実施形態はまた、上記の態様によるシステム、コンポーネント、及び方法も含む。用いられている用語及び表現は、限定の用語としてではなく説明の用語として使用され、そのような用語及び表現を使用するに際して、図示及び説明される特徴又はその部分のいかなる均等物も除外する意図はないが、特許請求される主題の範囲内で様々な修正が可能であることが理解される。したがって、本明細書で特許請求される主題が実施形態及び任意選択的な特徴によって具体的に開示されてきたが、本明細書で開示される概念の修正及び変形が、当業者によって行われ得、そのような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本開示の範囲内にあるとみなされることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の前述の態様及び多くの付随する利点が、添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照することでより良好に理解されるので、より容易に認識されるであろう。
図1】本開示のいくつかの実施形態による、例示的な集積回路試験システムを例解する概略図である。
図2】本開示のいくつかの実施形態による、例示的な集積回路試験プローブを平面図で例解する概略図である。
図3】本開示のいくつかの実施形態による、例示的な集積回路試験プローブを側面図で例解する概略図である。
図4】本開示のいくつかの実施形態による、複数のプローブを含む、例示的な集積回路試験システムを例解する概略図である。
図5】本開示のいくつかの実施形態による、プローブ先端と表面との間の接触を検出するための例示的なプロセスを例解するブロックフロー図である。
図6A】本開示のいくつかの実施形態による、DUT表面の上の集積回路試験システムの例示的SEM画像を示す複合図である。
図6B】本開示のいくつかの実施形態による、DUT表面と接触している集積回路試験システムの例示的なSEM画像を示す複合図である。
図6C】本開示のいくつかの実施形態による、DUT表面の上の集積回路試験システムの例示的なロックイン増幅器出力画像を示す複合図である。
図6D】本開示のいくつかの実施形態による、DUT表面の上の集積回路試験システムの例示的なロックイン増幅器出力スペクトルを示すグラフである。
図6E】本開示のいくつかの実施形態による、DUT表面と接触している集積回路試験システムの例示的なロックイン増幅器出力画像を示す複合図である。
図6F】本開示のいくつかの実施形態による、DUT表面と接触している集積回路試験システムの例示的なロックイン増幅器出力スペクトルを示すグラフである。
【0015】
図面において、同様の参照番号は、別段の指定がない限り、様々な図の全体にわたって同様の部分を指す。必要に応じて図面における混乱を低減させるために、要素の全てのインスタンスが必ずしも標識されているわけではない。図面は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、説明されている原理を例解することに重点が置かれている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
例解的な実施形態を例解及び説明してきたが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本開示において様々な変更を行うことができることが理解されるであろう。以下の段落では、先端位置をプローブし、プローブ先端と表面との間の接触を検出するための分析機器システム、コンポーネント、及び方法の実施形態が説明される。説明の簡素化のために、本開示の実施形態は、集積回路の特徴付け及び故障解析に焦点を当てる。実施形態は、そのような機器に限定されないが、むしろ、ナノスケール電気機械要素の位置特定及び位置決めのために構成された分析機器システムのために企図される。例解的な一例では、量子ドット、MEMSデバイス、又は他のナノ構造化材料などのナノスケール複合体は、さもなければ好適な精度で位置決めすることが困難なナノスケール電気機械コンポーネントの位置特定の改善から利益を得ることができる。
【0017】
本開示の実施形態は、プローブ先端と試料表面との間の接触を位置特定及び検出するためのシステム、方法、アルゴリズム、及び機械可読命令を記憶する非一時的媒体を含む。本開示の技術的利点は、試料表面位置についての詳細な情報なしに、ナノスケールプローブ先端と表面との間の接触の改善された検出、並びに集積回路評価プラットフォームの改善された性能を含む。
【0018】
集積回路試験は、「被試験デバイス」又はDUTと呼称される半導体ウェハ又はウェハセクション(例えば、ダイシングされたウェハ)の個々のトランジスタ又はトランジスタのグループの測定を伴う。典型的には、プローブは、集積回路要素と接触して位置決めされ、周期的な、非周期的な、及び/又は直流の電気信号でDUTに問い合わせるために使用される。信号に対するIC要素の応答を測定するために、1つ以上のプローブが、入力として使用され、1つ以上のプローブが、出力として使用される。集積回路の特徴密度及び構造の複雑さが増加するにつれて、特定のIC要素上にプローブを配置することは、プローブ先端のナノスケールの幾何学的形状及びプローブ先端位置についてのナノスケールの情報を伴う。そのような精密な位置決めは、「閉ループ」位置決めシステム(例えば、位置合わせされた圧電アクチュエータ)にとって重要な課題である。技術的には可能である一方、現在のCMOSノードの特徴的な特徴サイズに対応するナノメートルスケールでの導電性コンタクト上へのプローブ先端の精密な位置決めは、試験プラットフォームが配備されるスケールでは非実用的である程度まで、制御システムの複雑さを増加させる可能性がある。例えば、試料トポグラフィ及び試料高さ測定における不確実性に少なくとも部分的に基づいて、閉ループファインコントロールシステムは、本開示の技術を使用するフィードバック機構に依然として依存することができる。
【0019】
複雑な閉ループシステムの代わりに、本開示の実施形態は、電気機械システム(例えば、任意波形発生器、圧電アクチュエータなど)の可用性を活用して、試料表面との接触時に減衰又は除去されるプローブの運動を生じさせる。既存の技術と比較して、本開示の実施形態は、プローブ運動の特性周波数又はその付近で運動を分離し、表面との接触がプローブに及ぼす影響を明らかにすることに少なくとも部分的に基づいて、そのような検出を改善する。例解的な一例として、プローブ先端と表面との間の接触は、プローブの周期運動を分離するために周波数領域成分がフィルタリングされたプローブの画像によって、少なくとも部分的に検出することができる。このようにフィルタリングすることは、他の周波数の振動であり、他の周波数の振動を除去し、バックグラウンド(例えば、実質的に静止している)情報を除去することができ、これを使用して、複数のプローブを含む視野内の個々のプローブを分離する画像を生成することができる。接触時に、プローブの周期運動が止まり、画像からのプローブの消失をもたらす。図1図6を参照してより詳細に説明されるように、本開示の実施形態は、ICの表面の正確な位置又はプローブの幾何学形状の詳細な知識なしに、プローブ先端が、ナノスケール集積回路特徴上に精密に位置し、降下されることを可能にする。
【0020】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な集積回路(IC)システム100を例解する概略図である。例示的なシステム100は、1つ以上のネットワーク120を介して動作可能に相互結合された機器105、機器コンピューティングデバイス(instrument computing device、IPC)110、及びクライアントコンピューティングデバイス115を含む。例示的なシステム100は、コントローラを介してDUT125のコンポーネントと電子的に結合され、試験リグとも称されるプローブアセンブリ130を使用して、被試験デバイス(DUT)125と呼称されるICデバイスに問い合わせるように構成される。「試験ループ」と呼称される、DUT125のコンポーネントへの時変電子信号の印加を通して、DUT125の回路コンポーネントの性能特性が、所与のIC設計に従って製作されたICのための品質管理及び故障解析技術の一部として導出され得る。
【0021】
機器105は、DUT125、並びに試験ループ(例えば、試験リグ)を駆動するための電子コンポーネント、DUT125を大気から隔離するための真空コンポーネント、及び試験中DUT125から熱を除去するための熱管理システムを含む、プローブアセンブリ130が配設されている試験セクション135を含む。荷電粒子カラム140及び真空チャンバ145が、試験セクション135に結合されている。荷電粒子カラム140は、イオンビーム(例えば、集束イオンビーム(focused ion beam、FIB))カラム又は電子ビームカラムとすることができる。いくつかの実施形態では、機器105は、FIBカラム及び電子ビームカラムを含み、荷電粒子源のうちの1つは、荷電粒子カラムに対してある角度で真空チャンバと結合される。
【0022】
電子ビームカラムは、電子のビーム147を生成し、電子のビーム147をDUT125上に集束させることができる。電子のビーム147とDUT125との相互作用は、1つ以上の検出可能な信号を生じさせ、この信号は、真空チャンバ145に動作可能に結合され、信号の測定に少なくとも部分的に基づいて、検出器データを生成するように構成された1つ以上の検出器150によって受信され得る。例解的な一例では、検出器150は、二次電子検出器、後方散乱電子検出器、光子検出器、撮像センサ(例えば、CCD)などを含むことができる。別の例では、プローブは、信号がプローブから生じて、輝点を周期的に明らかにし、ビーム147が表面に到達するのを周期的に遮断することができるように、DUT125表面上の輝点を覆い隠すことができる。典型的な走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)とは対照的に、DUT125は、試験セクションとの電子的及び熱的結合を提供する(例えば、試験リグに結合される)ステージ、クレードル、又は他の保持アセンブリ上に配設され得るプローブアセンブリ130に取り外し可能に結合することができるという、少なくとも部分的には、理由で、真空チャンバ145は、インターロック、試料ステージなどの試料操作ツールを省略することができる。電子のビーム147は、図2図6を参照してより詳細に説明されるように、撮像モード、ライン走査モード、及びスポットモードを含むがこれらに限定されない様々な動作モードを使用して、DUT125に向かって方向付けられ得る。
【0023】
プローブアセンブリ130は、電気機械アクチュエータ160によって3つの空間次元(「x-y-z」デカルト軸とラベル付けされる)で移動可能な、個別にアドレス指定可能なプローブ155を含むことができる。このようにして、プローブ先端(図2図4を参照して210とラベル付けされる)は、ナノメートルスケールの精度で、DUT125の表面上の位置に向かって変位させることができる。いくつかの実施形態では、プローブアセンブリ130は、カップリング165及び170を介して試験セクション135のコンポーネントと電子的に結合され、それによって、アクチュエータ160を(例えば、駆動信号を使用して)駆動することができ、出力信号を生成することができる。
【0024】
DUT125表面の基準位置を較正すること(例えば、z=0をDUT125の表面であると定義すること)に関連付けられる課題に少なくとも部分的に基づいて、プローブ155の垂直変位は、DUT125のタイプ及び位置に依存しない較正変位(例えば、戻り又は「ゼロ」変位)を参照して測定することができる。そのために、例示的なシステム100は、任意の後続の変位によって調整される較正変位(例えば、各後続の変位が、3つの変位値のベクトルとして追加される、三次元座標内の開始点)を参照してプローブ155の位置が知られるアプローチを指す、プローブ155の開ループ位置決めを実装することができる。場合によっては、DUT125の表面に対するプローブ155の横方向(例えば、「x-y」)位置は、電子のビーム147をDUT125の領域又はプローブ155のうちの1つ以上に方向付けることによって生成される二次電子画像などの検出器データを使用して判定することができる。
【0025】
コンピューティングデバイス110及び115は、機器105を動作させるか、又はそうでなければそれと相互作用するように構成された汎用機械(例えば、ラップトップ、タブレット、スマートフォン、サーバなど)とすることができる。次に、機器105は、試験ループを駆動し、プローブアセンブリ130を作動させ、電子ビームカラム140を制御し、真空システム及び熱管理システムを動作させるように構成された制御回路を含む、専用コンピューティングデバイスの一部を形成する電子コンポーネントを含むことができる。IPC110は、機器105とインターフェースし、機器105のユーザがDUT125の試験を実施することを可能にするように構成されたソフトウェアを備えた機械とすることができる。同様に、クライアントpc115は、機器105の1つ以上のシステムを制御して(例えば、IPC110を介して、及び/又はネットワーク120を介して機器105とインターフェースすることによって)、DUT125の試験を実施するように構成することができる。いくつかの実施形態では、機器105、IPC110、及び/又はクライアントPC115は、別個の物理的位置にあり、ネットワーク120を介して、及び/又は直接接続などの他の手段によって、又は無線接続(例えば、近距離無線)によって結合される。ネットワーク120は、パブリックネットワーク(例えば、インターネット)及び/又はプライベートネットワーク(例えば、イントラネット若しくはローカルエリアネットワーク)を含むことができる。いくつかの実施形態では、IPC110及び/又はクライアントPC115は、機器を自律的に(例えば、人間の介入なしに)又は半自律的に(例えば、検査を開始すること、試料を識別すること、及び/又は自動分析結果を確認することなどの限られた人間の介入を伴って)動作させるように構成される。このようにして、例示的なシステム100は、ICの自動試験のためのスケーラブルなIC特徴付けシステムの一部として、人間の制御を伴って及び/又は自律的に動作するように構成することができる。
【0026】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な集積回路試験プローブ200を平面図で例解する概略図である。プローブ200は、図1のプローブ155の一例である。プローブ200は、プローブアーム205及びプローブ先端210を含む。プローブ200はまた、電気機械アクチュエータ215(例えば、図1のアクチュエータ160)を含む。プローブ200は、図1を参照して説明されたように、(例えば、図1のカップリング165及び170を介して)制御回路220と動作可能に結合され得る。
【0027】
プローブアーム205及びプローブ先端210は、成形されて尖った導電性ワイヤから製作することができる。図1及び図3に例解されるように、プローブ先端210は、先端210がターゲット領域230内でDUT125の表面225に接触するように、プローブアーム205に対してある角度で配向することができる。プローブ先端210は、DUT125の1つ以上の特徴235と同じスケール(例えば、1~100nm程度)の特性寸法を有する末端表面に向かって先細になることができる。特徴235は、導電性であり、1つ以上のICコンポーネント(例えば、トランジスタ、ダイオードなど)と電子的に結合され得る。例えば、特徴235は、プローブ205をICコンポーネントと機械的及び/又は電気的に結合するために使用することができる、ICの1つ以上の層内に形成された導電性コンタクトパッドを含むことができる。
【0028】
プローブ先端210は、特徴235において表面225と接触させられて、制御回路220をDUT125と電子的に結合することができる。この結合は、プローブ200が、特徴235を通してDUT125に試験信号の少なくとも一部を印加することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、複数のプローブ200が、表面225上の複数のそれぞれの特徴235と接触させられて、同時に試験信号を印加し、出力信号を測定するように展開される。複数のプローブ200を有する例示的な構成を、図4を参照して説明する。
【0029】
制御回路220は、例えば、プローブ200の運動を変位値のベクトルとしてコード化することによって、アクチュエータ215を1つ以上の方向に駆動することができる。運動は、プローブ200をディザリングするために使用される、線形運動の成分(例えば、1つ以上の方向の線形変位)及び/又は周期運動の成分を含むことができる。これに関連して、「ディザ」運動は、周波数及び振幅によって特徴付けられるプローブアーム205及び/又はプローブ先端210の周期運動を指し、所与の次元におけるプローブ先端210の変位として測定される振幅は、大きくても小さくても、特徴235のサイズの程度であり得る。
【0030】
開ループ位置決めシステムでは、変位ベクトルを使用して、約10%の許容範囲内で、プローブ先端210の位置を追跡することができる。このようにして、プローブ先端210と表面225との接触が起こったかどうかを判断することは、誤りを生じやすい可能性がある。同様に、プローブ先端210を表面から持ち上げること(例えば、接触を断つこと)は、誤りを生じやすい可能性がある。プローブ先端210が表面225と接触している間にプローブ先端210をある特徴235から別の特徴235に移動させることは、DUT125及び/又はプローブ先端210を損傷する可能性がある。特徴235のサイズが1~10nmスケールに縮小し続けるにつれて、追加及び/又は代替の接触検出技術が必要となる。有利に、本明細書に記載の技術は、表面上のプローブ先端210の位置とは無関係に(例えば、精密な点との電気的接触を必要としないで)、プローブ先端と表面との間の接触の検出を可能にする。
【0031】
プローブ先端210と表面225との間の接触を検出することの一部として、本開示の技術は、プローブアーム205及びプローブ先端210をディザリングすることを含むことができる。本開示の文脈において、「ディザリング(dithering)」という用語は、周期的及び/若しくは振動運動、又はディザリング運動240を指すために使用される。例解的な一例では、ディザリング運動240は、電気機械アクチュエータ215に駆動信号を印加することによって生成することができる。駆動信号は、ディザ周波数と称される周波数及び位相を有する正弦波又は他の周期信号とすることができる。ディザリング運動240は、プローブアーム205の配向に対して実質的に横方向(例えば、横方向運動)とすることができるか、又はプローブアーム205の配向と実質的に整合させることができる(例えば、縦方向運動)。ディザリング運動240の検出可能性を増加させることの一部として、プローブ200は、DUT125の表面225と実質的に平行な平面内で、及び/又は荷電粒子のビーム147と実質的に直交する方向にディザリングさせることができる。
【0032】
有利に、横方向運動は、プローブアームの共振モード及び/又は調和振動モードを刺激して、ディザリング運動240の振幅を増強することができる。そのために、ディザ周波数は、プローブ200の共振周波数付近とすることができる。一般に、横方向運動の下での片持ち梁の共振周波数の式は、
【0033】
【数1】
であり、式中、kは、共振モードに固有の定数であり、Eは、ヤング率であり、Iは、慣性モーメントであり、wは、プローブアーム205の幅であり、Lは、プローブアーム205の長さである。当業者によって理解されるであろうように、E、I、w、及びLは、プローブアーム205及びプローブ先端210の材料及び幾何学的形状に固有のパラメータである。共振特性は、各パラメータの値に敏感であり、その結果、プローブ200の実際の値からの推定値の相対的に小さい偏差が、プローブ200の共振運動を低減又は排除することができる。
【0034】
そのために、本開示の技術は、プローブ200の共振周波数を判定することを含む。プローブ200の共振周波数を判定することは、運動周波数のセットにわたってプローブ200をディザリングすることを含むことができる。場合によっては、運動周波数のセットは、上記の式を使用して判定された推定に少なくとも部分的に基づいて、判定することができる。場合によっては、運動周波数の掃引に対するプローブ200の応答は、荷電粒子顕微鏡を使用して測定することができる。例えば、荷電粒子のビームを、プローブ200(例えば、プローブアーム205及び/又はプローブ先端210)に向かって方向付けることができる。検出器データは、SEMの場合、二次電子画像、後方散乱電子画像、ライン走査信号、ビームからプローブ200によって吸収された電流、及び/又は時間の関数としての強度データを含むことができる。検出器データを周波数によってフィルタリングして、所与の運動周波数に対応する周波数成分を分離することができる。このようにして、検出器データは、荷電粒子のビームとプローブ200との間の相互作用に少なくとも部分的に基づいて、運動周波数に対するプローブ200の応答を記述することができる。運動周波数のセットの各運動周波数に対するプローブ200の応答を判定することにより、検出器データからプローブ200の共振周波数を推定することが可能になり得る。ディザ周波数は、共振周波数にほぼ等しくなるように選択することができる。いくつかの実施形態では、ディザ周波数は、共振周波数の分数又は倍数とすることができる。例えば、ディザ周波数は、第1の共振モード(上記の式においてn=1)ではなく、プローブ200の調和振動モードを刺激するように選択することができる。同様に、ディザ周波数は、例えば、電気機械アクチュエータ215の性能制約に少なくとも部分的に基づいて、共振周波数と異なるように選択することができる。ディザリング運動240が、検出器データ内に検出可能な信号を生じさせる場合、プローブ200の共振モードを刺激することなく接触を検出することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、荷電粒子のビームは、ライン走査245を使用して、プローブ200(例えば、プローブアーム205及び/又はプローブ先端210)の領域にわたって走査することができる。ライン走査は、プローブ200の領域を横断する2つの終端を接続するベクトルによって定義される走査パターンとすることができる。ビームは、ライン走査245がサイクル時間によって特徴付けられるように、プローブの上を繰り返し走査され得る。連続するライン走査245間の時間を除くサイクル時間は、表面225上の所与の点上でのビームの平均滞留時間を含むことができる。滞留時間は、ディザリング運動240の周波数成分がビームによって捕捉されるように、ディザ周波数に少なくとも部分的に基づいて判定することができる。いくつかの実施形態では、ディザ周波数(秒-1の単位を有する)と、プローブ表面上の点上でのビームの滞留時間など、ライン走査245内の点上でのビームの滞留時間(秒の単位を有する)との数学的積は、1(無単位の値)以上である。いくつかの実施形態では、ライン走査245内の点は、プローブ200又はDUT125の表面225の特徴と一致し得る。例解的な一例では、約100kHzのディザ周波数の場合、滞留時間は、約10μ秒以上であり得る。周波数範囲に関して、約10MHzのディザ周波数を超えると、カップリング(例えば、図1のカップリング170)におけるコンダクタンス及び/又はインピーダンス誘導損失、並びにアクチュエータ(例えば、アクチュエータ215)の電気機械的摩耗などの電磁効果から問題が発生する。対照的に、約50kHzのディザ周波数未満では、各プローブ位置の捕捉時間が、スループットを低減させ、大規模でのプロービング技術を非実用的にする可能性がある。場合によっては、ライン走査245のサイクル時間は、約1.2nm~50nm(その部分範囲、端数、及び補間を含む)のスポットサイズに対応する約20ミリ秒~約50ミリ秒である。
【0036】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、図2の例示的な集積回路試験プローブ200を側面図で例解する概略図である。図3は、図2を参照してより詳細に説明されるように、プローブアーム205、プローブ先端210、アクチュエータ215、制御回路220、DUT125の表面225、並びに撮像システム305(例えば、電子顕微鏡、集束イオンビーム源、及び/又は光学顕微鏡)、真空チャンバ310(例えば、図1の真空チャンバ145の一例)、及びプローブ200と動作可能に結合された1つ以上のセンサ315を含む他のコンポーネントを示す。
【0037】
図3において、表面225は、典型的には特徴235がDUT125の内部に形成され、DUT125から材料を選択的に除去することによって(例えば、イオンビームミリング又は他のエッチングプロセスによって)露出されることを反映するために、DUT125内に凹んで示されている。プローブ先端210は、表面225からの変位320で示されている。いくつかの実施形態では、本開示の例示的なプロセスは、プローブ先端210を表面225に向かって変位させるのと同時に、図2を参照して説明したように、プローブ先端210をディザリングすること、及び電子ビームをプローブ先端210の少なくとも一部の上に方向付けることを含む。制御回路220は、検出器150によって生成された信号を処理するために、1つ以上の電子信号フィルタ及び他のコンポーネントを含むことができる。例えば、フィルタは、ディザリング運動240に起因する検出器データの周波数成分を分離するように構成された1つ以上のロックイン増幅器、バンドパスフィルタ、ローパス及び/又はハイパスフィルタなどを含むことができる。プローブ先端210が、表面225に向かって近づくにつれて変位320が減少するので、検出器150及び/又はフィルタの出力として生成された応答信号は、プローブ先端210の表面225との接触を検出するために、制御回路220によって記憶、処理、及び/又は使用され得る。ロックイン増幅器の例では、制御回路は、走査パターン(例えば、図2のライン走査245)中に検出器150によって生成された強度値の時系列を周波数空間に変換し、かつディザ周波数から偏差する周波数成分をフィルタで除去するように構成することができる(例えば、アナログ及び/又はデジタルコンポーネントを備える)。場合によっては、偏差は、0.1%超、0.5%超、1%超、2%超、3%超、4%超、5%超、10%超、又は25%超(それらの端数及び補間を含む)であり得る。
【0038】
荷電粒子のビーム147は、最大の大きさのディザリング運動240を有するプローブ200の領域を検出するためのアプローチとして、プローブ先端210を含み得るプローブ200の領域に向かって方向付けることができる。ライン走査及び撮像モードに加えて、及び/又はその代わりに、荷電粒子のビーム147を、スポットモードで、プローブアーム205又はプローブ先端210の縁部上に集束させることができる。ディザリング運動240の振幅、並びにビームスポット及びプローブ幅(例えば、プローブ先端210又はその近傍)の相対寸法は、ディザリング運動240の各周期中に、プローブの領域が、荷電粒子のビーム147を2回横断するようなものとすることができる。このようにして、フィルタリングのための関心対象の周波数は、ディザ周波数の約2倍とすることができる。有利に、相対的により高いサンプル周波数は、真空コンポーネント(例えば、ターボポンプの回転)、DUT試験信号、ライン周波数などからの電磁干渉に起因し得るものなどの周期的ノイズ(例えば、帯域外音響及び/又は振動ノイズ、EMIなど)の他のソースからのディザリング運動240の特性信号の分離を増強させることができる。追加的に及び/又は代替的に、荷電粒子のビーム147は、プローブ先端寸法と同程度の大きさのサイズ(例えば、特性寸法で約10~100nm)にデフォーカスすることができる。このようにして、プローブの運動を検出器データに取り込む一方、荷電粒子へのDUT表面125の曝露を低減することもできる(例えば、荷電粒子のフラックスは、面積当たり粒子数基準で低減される)。有利に、このアプローチは、ビーム誘発汚染又は損傷が低減又は排除されている状態で、接触を検出することを可能にする。
【0039】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、複数のプローブを含む例示的な集積回路試験システム400を例解する概略図である。図4のプローブは、図1図3のプローブ155及び200の例である。システム400は、各々がそれぞれの特徴235と接触する、10個の個々のプローブを例解する。例えば、第1のプローブ先端210-1は、第1の特徴235-1に接触することができ、第2のプローブ先端210-2は、第2の特徴235-2に接触することができる。本開示のシステムは、各々が、DUTの表面との近接及び/又は接触を検出するために、本明細書に記載の技術を個別に採用する、複数のプローブを収容することができる。プローブアセンブリ(例えば、図1のプローブアセンブリ130)は、1~12個のプローブを、その部分範囲及び補間を含めて、収容することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、各プローブ200は、それぞれのディザリング運動240を誘発するために、それぞれのディザ周波数で駆動される。例えば、第1のプローブは、第1のディザ周波数で、第1のディザリング運動240-1を使用して駆動することができ、第2のプローブは、第2のディザ周波数で、第2のディザリング運動240-2を使用して駆動することができ、第3のプローブは、第3のディザ周波数で、第3のディザリング運動240-3を使用して駆動することができる。ディザ周波数は、同じ又は異なり得る。フィルタリング方法が、プローブ200の共振応答の許容範囲内で異なる周波数を分解することができる場合、それぞれのディザ周波数は、識別可能であり、共振することができる。場合によっては、第1のディザ周波数は、第1の共振モードにほぼ等しくすることができ、第2のディザ周波数は、第2の共振モードにほぼ等しくすることができるなど。場合によっては、ディザ周波数は、互いの分数又は倍数とすることができる。場合によっては、ディザ周波数は、プローブアセンブリ(例えば、図1のプローブアセンブリ130)を通した振動の伝達によって誘発されるクロストークを低減するように判定することができる。例解的な一例では、それぞれのディザ周波数は、振動がプローブ間を伝搬しないように干渉する不規則な間隔を有するように選択することができる。
【0041】
有利に、それぞれのプローブに異なるディザ周波数を適用することにより、単一の走査パターン405により、検出器データの共通セット内のプローブを周波数に基づいて区別することを可能にすることができる。例えば、検出器データの周波数成分をフィルタリングして、異なるそれぞれのディザ周波数を分離することによって、各それぞれのプローブとDUTの表面との接触を並行して検出することができる。対照的に、単一のディザ周波数の場合、走査パターン405を、所与のプローブを識別するために相互参照され得る位置情報でラベル付けすることができる。そのようなアプローチは、単一のプローブが接触するときの信号強度の変化が、残りのプローブによって生成される信号に対して相対的に小さい可能性があるので、信号品質によって制限される可能性がある。同様に、データの時間分解能が、所与の期間内にDUTの表面と接触するプローブを区別する能力を制限する可能性がある。図2及び図5を参照してより詳細に説明されるように、走査パターンは、実質的に円形の走査として例解されているが、連続的(例えば、多角形)若しくは不連続的(例えば、線形セグメントのセット)であり得る1つ以上の線形セグメントとすることができるか、又はそれを含むことができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、ビームは、検出器データに複数のプローブの運動情報を捕捉するために、DUT125の表面上に延在するようにデフォーカスされ得る。このようにして、検出器データは、プローブがDUTの表面に接触するときに、プローブの周波数領域情報が、検出器データから除去されるように、それぞれのディザ周波数の各々の周波数領域情報を含むことができる。有利に、このアプローチは、荷電粒子への表面のエリア特異的曝露を低減することによって、表面を保護する一方(例えば、所与のフルエンスに対して、ビームが表面のより大きい部分にわたってデフォーカスされるとき、フラックスはより低くなる)、検出器データから識別可能なそれぞれのディザ周波数にプローブの各々を関連付けることによって、プローブを個々に位置特定することなく、複数のプローブを監視することを可能にする。
【0043】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による、プローブ先端と表面との間の接触を検出するための例示的なプロセス500を例解するブロックフロー図である。例示的なプロセス500の1つ以上の動作は、特徴付けシステム、ネットワークインフラストラクチャ、データベース、及びユーザインターフェースデバイスを含むが、これらに限定されない追加のシステムと通信するコンピュータシステムによって実行され得る。いくつかの実施形態では、図5を参照して説明される動作の少なくともサブセットは、自動的に(例えば、人間の関与なしに)又は疑似自動的に(例えば、人間による開始又は限定された人間の介入を伴って)実施される。例解的な一例では、プローブ先端を位置決めする、プローブ先端を変位させる、プローブをディザリングする、及び検出器データを生成するための動作は、自動的に実行することができ、システム100は、人間のユーザによる解釈のための1つ以上の応答信号を示す視覚化データを生成するように構成されている(例が図6に示されている)。例示的なプロセス500は、一連の動作として記載されているが、動作のうちの少なくともいくつかは、省略され、繰り返され、及び/又は並べ替えることができることが理解される。いくつかの実施形態では、説明を明確にするために省略されている追加の動作、例えば、電子源の較正、電子のビームの整合及び収差補正、プローブ位置を初期化することなどのための動作が、例示的なプロセス500の動作に先行する、及び/又はそれに続く。
【0044】
動作505において、例示的なプロセス500は、プローブ(例えば、図2のプローブ200)をディザリングすることを含む。プローブをディザリングすることは、プローブの配向に対して少なくとも部分的に直交する運動(例えば、図2及び図4のディザリング運動240)を生成することを含むことができる。図2を参照してより詳細に説明されるように、ディザリング運動は、ディザリング周波数によって特徴付けられる周期成分を含むことができる。ディザリング運動は、同様にプローブを表面に対して移動させる電気機械アクチュエータ(例えば、図1のアクチュエータ160)に周期的駆動信号を印加することによって、生成することができる。いくつかの実施形態では、プローブは、プローブを移動させるために使用される電気機械アクチュエータとは異なる、ディザリング運動を生成するための1つ以上のアクチュエータを含む。例えば、ディザリングのためのアクチュエータは、ディザリング運動を駆動するために使用されるエネルギーが、プローブを位置決めするために使用される電気機械アクチュエータを駆動するために使用されるエネルギーと比較して、相対的に低くあり得るように、ディザ周波数付近で共振するように設計することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、動作505は、複数のプローブを同時にディザリングすることを含む。図4を参照してより詳細に説明されるように、異なるプローブを区別するためのアプローチとして、プローブは、それぞれのディザリング周波数又は位相でディザリングされ得る。そのために、動作505は、第1のプローブ/プローブ先端(例えば、第1のプローブ先端210-1)を第1のディザ周波数でディザリングすること、及び第2のプローブ/プローブ先端(例えば、第2のプローブ先端210-2)を第1のディザ周波数とは異なり得る第2のディザ周波数でディザリングすることを含むことができる。同様に、任意の数のプローブ(例えば、4、6、8、10、12個のプローブ、又はそれ以上)について、各プローブは、それぞれの周波数でディザリングされ得る。ディザ周波数の説明については、図2図4を参照されたい。検出器信号プロセッサをビーム走査パターンに同期させることにより、複数のプローブを実質的に同じディザ周波数で駆動することができ、その結果、プローブは、共振又は共振に近いディザ周波数を使用する別のプローブに対して位相シフトされた同じ共振又は共振に近いディザ周波数を使用することができる。プローブのディザ運動の位相を検出することにより、複数のプローブの区別、並びに所与のプローブとDUTの表面との接触を検出することが、可能になる。例えば、接触を検出することは、検出器データ内に捕捉されたプローブの位相を判定することと、検出器データにおけるディザ周波数付近の適切な周波数成分の位相を駆動信号の位相にロックすることと、プローブがDUT表面に接近及び/又は接触する際に、駆動信号に対する周波数成分の振幅及び/又は位相の変化を検出することと、を含むことができる。
【0046】
動作510において、例示的なプロセス500は、荷電粒子のビーム(例えば、図1の電子のビーム147)をプローブの領域に向かって方向付けることを含む。図1図3を参照してより詳細に説明されるように、荷電粒子のビームは、電子及び/又はイオンのビームとすることができる。撮像モードでは、撮像モードにおけるフレームレートが、プローブのディザリング運動をサンプリングすることに適合するように、ラスタパターンを使用して、ビームを複数のプローブ及びDUTの上に方向付けることができる。例えば、フレームレートは、プローブのディザリング運動が、プローブの画像のシーケンスにおいて検出可能であることを可能にするために、ディザ周波数の約半分よりも大きくすることができる。別の例では、ラスタ位置のセットの各々における時間情報をある期間にわたって積分することによって、画像を生成することができる。このようにして、検出器データは、ラスタ位置のセットの各々における複数の点について生成され、縁部検出アルゴリズムを適用することなくプローブ輪郭の画像を生成するために使用される。例解的な一例では、プローブを約91kHzでディザリングし、電子のビームを使用して、各位置における100μ秒の滞留時間に対応する、100個のデータ点に対して1MHzのサンプリング周波数で、プローブのディザ運動をサンプリングすることができる。各位置の検出器データは、91kHzモードを分離するために(例えば、周波数領域への変換及びフィルタリングによって)使用され得る処理される。91kHzモードの大きさは、画像内の各ピクセルの強度値として使用することができ、それにより、プローブ先端の周囲の少なくとも一部分が再生される。
【0047】
いくつかの実施形態では、荷電粒子のビームを方向付けることは、DUTの表面にわたってビームを、走査パターンで走査することを含む。図4を参照してより詳細に説明されるように、回転パターンは、ビームが、1つ以上のライン走査として1つ以上のプローブを横断するように、円運動、多角形運動などに対応し得る。図4の例解的な例では、ビームは、ビームが各プローブの上をライン状で通過するように、円運動で10個のプローブ(例えば、図4のプローブ205)を横切る。場合によっては、走査パターンは、例示的なプロセス500が実施されるプローブの数に等しい辺の数を有する多角形に対応する。図4は、10個のプローブを含むが、本開示のシステムは、4個のプローブ、6個のプローブ、8個のプローブ、12個のプローブなど、それらの補間を含む、より多くの又はより少ないプローブを含むことができる。別の例では、走査パターンは、各々が、それぞれのプローブ領域にわたってビームを通過するように配向された、複数の不連続なライン走査(例えば、図2のライン走査245)を含むことができる。場合によっては、走査パターンの各ライン走査は、それぞれのプローブに実質的に直交し得る。有利に、複数の不連続なライン走査を含む走査パターンを使用することにより、DUTの表面に入射する電子のフラックス全体を低減し、それにより、ビーム誘起汚染によって引き起こされた表面特徴235(例えば、ICの導電性コンタクトパッド、誘電体領域など)の劣化を制限することができる。
【0048】
ビームは、図2及び図3を参照してより詳細に説明されるように、プローブの領域上に集束され、ライン走査モード及び/又はスポットモードで使用され得る。このようにして、プローブの運動を検出して、自由振動から固定振動への遷移を識別するために使用することができる。プローブの領域は、プローブ先端を含むことができる。有利に、ビームをプローブ先端に向かって方向付けることは、最大の運動範囲を示すプローブの部分を分離することによって、表面(例えば、図2のDUT125の表面225)とのプローブ接触の検出を改善することができる。そのために、例示的なプロセス500は、プローブの先端のおおよその位置を判定することを含むことができる。プローブの先端のおおよその位置を判定することは、プローブの1つ以上の電子画像を生成すること、及び電子画像を使用して、プローブの先端のおおよその位置を判定することを含むことができる。プローブ先端のおおよその位置を判定することは、自動及び/又は擬似自動幾何学的適合方法を、フィルタリングされた周波数データにおけるプローブの画像及び/又は輪郭に適用すること含み得る。例えば、プローブ先端の位置は、線分の収束点がプローブ先端の位置を表すように、プローブの先細り部分の各縁部に線分を適合させることによって、近似することができる。いくつかの実施形態では、プローブ先端の位置は、プローブの先細り領域の2つ以上の位置にわたってライン走査を繰り返すことによって、近似することができる。プローブ先端は、各ライン走査におけるプローブの幅の推定値と、ライン走査間の距離の推定値とを使用して、位置特定することができる。場合によっては、図6Dを参照してより詳細に説明されるように、ライン走査においてプローブの縁部を識別することができ、これを使用して、プローブの前縁部及び後縁部を識別することができる。
【0049】
動作515において、例示的なプロセス500は、検出器データを生成することを含む。図2及び図3を参照して、及び図6A図6Fの例においてより詳細に説明されるように、検出器データは、荷電粒子のビームとプローブの領域との相互作用を記述する1つ以上のモダリティを含むことができる。例えば、検出器データは、二次電子検出器又は後方散乱電子検出器を使用して生成された一連の画像を含むことができる。別の例では、検出器データは、強度値(検出器表面に入射する荷電粒子のフラックスに比例する)及び対応する位置値(例えば、始点に関連する)のベクトルを含むことができる。スポットモードでは、検出器データは、強度値の時系列ベクトルを含むことができ、ベクトルの各要素は、検出器(例えば、図1の検出器150)のサンプリング周波数に対応する時間ステップによって分離される。
【0050】
動作515は、フィルタリングされたデータを生成して、荷電粒子検出器の1つ以上の周波数成分を分離することを含むことができる。例えば、検出器からの出力信号は、ロックイン増幅器(例えば、図2及び図3の制御回路220の一部として)を使用して、ディザ周波数を分離するように構成されたバンドパスフィルタを使用して、及び/又はプローブのディザリング運動以外のソースに起因する検出器信号の周期成分を選択的に除去するように適合された他のフィルタリング技術を使用して、フィルタリングすることができる。そのために、検出器データ内の強度値を周波数空間に変換して(例えば、フーリエ変換、高速フーリエ変換などを使用して)、周波数によるフィルタリングを容易にすることができる。このようにして、検出器データは、強度データを周波数及び時間の関数として表すことができるように、時点のセットについての周波数空間強度データのシーケンスを含むことができる。
【0051】
動作520において、例示的なプロセス500は、プローブを表面に向かって変位させることを含む。プローブ先端を変位させることは、1つ以上の個別にアドレス指定可能なアクチュエータ(例えば、図1の電気機械アクチュエータ160)を係合させることを含むことができる。このようにして、動作510は、プローブ先端の変位を記述するベクトルが、試料の表面に実質的に垂直な次元において非ゼロであり、他の次元においてゼロにほぼ等しくあるように、1つ以上のアクチュエータを係合することを含むことができる。3座標変位ベクトルの例では、動作510は、ベクトル(X,Y,Z)=(0,0,z)を適用することを含むことができ、「z」は、非ゼロの数である。いくつかの実施形態では、x-y座標(又はそれらの等価物)は、試料表面の画像を参照して判定される。
【0052】
動作520は、プローブ先端のz運動に対して、1つ以上の変位速度を適用することを含むことができる。例えば、第1の「粗い」運動速度は、第2の「細かい」運動速度よりも大きくすることができる。いくつかの実施形態では、動作510は、プローブ先端の推定変位(例えば、図3の変位320)が、約100nm~約1000nm(それらの部分範囲、端数、及び補間を含む)であるとき、z軸における変位速度を「粗い」速度から「細かい」速度に低減することを含む。変位に対する許容範囲が約10%である場合、閾値距離における変位速度を低減することにより、望ましくない接触に起因するプローブ及び/又は試料表面への損傷のリスクを低減することができる。
【0053】
動作525において、例示的なプロセス500は、プローブ先端とDUTの表面との接触を検出することを含む。図6A図6Fを参照してより詳細に説明されるように、接触を検出することは、動作515において生成された検出器データを使用する1つ以上のアプローチを含むことができる。例えば、検出器データを生成することが、ディザ周波数に同調されたロックイン増幅器を使用してフィルタリングされたデータを生成することを含む場合、接触を検出することは、ディザ周波数におけるロックイン増幅器の出力の減衰に対応し得る。場合によっては、接触を検出することは、ロックイン出力の値を、プローブ先端がDUTの表面と接触しているとみなされる閾値と比較することを含むことができる。
【0054】
実施例1:デバイス表面へのプローブ先端のランディング
図6A図6Fは、本開示の実験的実施形態からの例示的データを提示する。図6A及び図6Bは、それぞれ、デバイス表面(例えば、図2の表面225)の上の、及びデバイス表面と接触している集積回路試験システムの例示的なSEM画像を示す複合図である。図6C及び図6Eは、それぞれ、DUT表面の上の、及びDUT表面と接触している集積回路試験システムの例示的なロックイン増幅器出力画像を示す複合図である。図6D及び図6Fは、それぞれ、DUT表面の上の、及びDUT表面と接触している集積回路試験システムの例示的なロックイン増幅器出力スペクトルを示すグラフである。図6A図6Fに提示される画像及びデータは、例解的な例であり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。代わりに、画像及びデータは、本開示の技術によって提供される、改善された接触検出を実証するために提示される。
【0055】
図6A及び図6Bに例解されるように、プローブ先端210の環境は、プローブ先端210の形状、輪郭、及び/又は影を一緒に不明瞭にする複数の特徴235、表面粒子、影、帯電領域、及び縁部などの相対的に高密度の視覚情報を含み得る。その結果、プローブ先端210とDUT125の表面225との間の接触を視覚的に判定することは、困難であり得る。場合によっては、プローブ先端210は、表面蓄積(例えば、炭素汚染又は他の堆積物)によって、及び/又は製作プロセスの結果として形成され得る粗い、あるいはさもなければ不規則な表面を有する可能性があり、それにより、DUT表面225との接触の視覚的判定が更に複雑になり得る。例解的な一例として、図6Bは、図6Aとの視覚的に認識可能な差異をほとんど示さないが、それにもかかわらず、表面225と接触しているプローブ先端210を表す。
【0056】
図6Cの画像605は、ディザ周波数及び/又はディザ周波数の倍数付近の周波数情報をフィルタリングすることによって、少なくとも部分的にSEMデータから生成することができる。例えば、一連のSEM画像からのピクセル単位の周波数情報は、所与のピクセルの強度に関する時系列データを生成することによってサンプリングすることができる。(例えば、フーリエ変換技術などのデジタル信号処理技術によって)周波数空間情報を判定することにより、同じ1つ又は複数の周波数で振動しないDUT125の表面225に対するプローブ先端210のディザリング運動240を分離することができる。示されるように、フィルタリングされた周波数情報は、任意の平均ノイズの背景に対するプローブ先端210のレリーフ画像を生成する。比較可能なスペクトルデータ610は、ライン走査245を使用して生成され得、図6Dのスペクトルに表され、プローブ先端210の縁部615は、スペクトルデータにおける極大値(例えば、ピーク及びトラフ)によって、強度データに示される。図6Dでは、スペクトルは、プローブ先端210に対する検出器(例えば、図1の検出器150)の配向から生じる電子ビームの影と共に示されている。これに関連して、「影」は、検出器に向かって対向する表面からの二次電子信号が、検出器から離れて対向する表面からの信号に対してより明るくなる傾向を指す。このようにして、スペクトルデータ610は、任意の平均背景「A」よりも明るい前縁部615-1におけるピークと、背景よりも暗い後縁部615-2におけるピークと、を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、電子ビーム(例えば、図1の荷電粒子のビーム147)は、プローブ先端のディザリング運動240が、プローブ先端の縁部615をビームスポットの下に繰り返し持って行くように、例えば、スポットモードで、プローブ先端210の縁部615に方向付けられ得る。このようにして、強度データの周波数は、ディザ周波数の倍数とすることができ、大きさは、時間の関数として生成されるスカラー値とすることができ、値の大きさは、プローブ先端210がDUT125の表面225と接触しているかどうかを示す。このアプローチも、図2図5を参照して説明する。スペクトルデータ610に関して、スポットモード情報は、ベクトルの各要素が所与の時間におけるフィルタリングされた周波数情報である、縁部615の強度値のベクトルとして理解することができる。
【0058】
図6E及び図6Fは、ほぼディザ周波数又はディザ周波数の倍数における周波数データの第2の画像620及び対応するスペクトルデータ625を提示する。画像605及びスペクトルデータ610とは対照的に、プローブ先端210は、第2の画像620に存在せず、スペクトルデータ625は、後縁部615-2の近傍におけるプローブ先端210のわずかな影を示す。接触時の表面225へのプローブ先端210の固定に少なくとも部分的に基づいて、スペクトルデータ625におけるピーク610の不在によって示されるように、ほぼディザ周波数及び/又はディザ周波数の倍数におけるプローブ先端210の自由振動が、実質的に排除された。場合によっては、ディザリング運動からのいくらかの振動が残る可能性があり、その結果、接触を検出することは、画像605、スペクトル610、又は時間の関数としてのスカラー値におけるピーク610強度値の強度を、それ未満ではプローブが表面と接触しているとみなされる閾値と比較することを含むことができる。いくつかの実施形態では、プローブ信号を使用して、導電性結合が確立されているかどうかを判定することができる。
【0059】
先行する明細書では、様々な実施形態について説明してきた。説明の目的で、実施形態の完全な理解を提供するために、具体的な構成及び詳細について記載してきた。しかしながら、実施形態は、具体的な詳細がなくても実施され得ることが当業者には明らかであろう。更には、説明されている実施形態を不明瞭にしないために、周知の特徴が省略又は簡略化されている場合がある。本明細書に説明される例解的な実施形態は、集積回路試験システム、及び特にマルチプローブシステムに重点を置いているが、これらは、非限定的な例解的な実施形態を意味する。本開示の実施形態は、そのような実施形態に限定されず、むしろ、マイクロ生体試料(例えば、生理学的測定のための)及び/又はナノ構造試料などの幅広い材料試料を本開示のプローブによって分析することができる分析機器システムに対処することが意図される。
【0060】
本開示のいくつかの実施形態は、1つ以上のデータプロセッサ及び/又は論理回路を含むシステムを含む。いくつかの実施形態では、システムは、命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含み、命令は、1つ以上のデータプロセッサ及び/又は論理回路で実行されるときに、1つ以上のデータプロセッサ及び/又は論理回路に、本明細書で開示される1つ以上の方法の一部若しくは全部、及び/又は1つ以上のプロセス若しくはワークフローの一部若しくは全部を実施させる。本開示のいくつかの実施形態は、1つ以上のデータプロセッサ及び/又は論理回路に、本明細書で開示される1つ以上の方法の一部若しくは全部及び/又は1つ以上のプロセスの一部若しくは全部を実施させるように構成された命令を含む非一時的機械可読記憶媒体において有形で具現化されたコンピュータプログラム製品を含む。
【0061】
用いられている用語及び表現は、限定の用語としてではなく説明の用語として使用され、そのような用語及び表現を使用するに際して、図示及び説明される特徴又はその部分のいかなる均等物も除外する意図はないが、特許請求の範囲の範囲内で様々な修正が可能であることが理解される。したがって、本開示は、具体的な実施形態及び任意選択的な特徴を含むが、本明細書で開示される概念の修正及び変形が、当業者によってなされることが可能であり、そのような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあるとみなされることが理解されるべきである。
【0062】
用語が明示的な定義なしに使用される場合、その用語が荷電粒子顕微鏡システムの分野又は他の関連分野における特別な意味及び/又は具体的な意味を有しない限り、その語の通常の意味が意図されることを理解されたい。「約」又は「実質的に」という用語は、記述された特性からの逸脱を示すために使用され、その逸脱の範囲内では、記載されている構造の対応する機能、特性、又は属性への影響がほとんどないか又は全くない。寸法パラメータが別の寸法パラメータに「実質的に等しい」と記載されている例解的な一例では、「実質的に」という用語は、比較されている2つのパラメータが、製造公差又はシステムの動作に固有の信頼区間などの許容限界内で等しくない可能性があることを反映することが意図される。同様に、整合又は角度配向などの幾何学的パラメータが、「約」垂直、「実質的に」垂直、又は「実質的に」平行として説明される場合、「約」又は「実質的に」という用語は、整合又は角度配向が、許容限界内で、厳密に記述された条件と異なり得る(例えば、厳密に垂直ではない)ことを反映することが意図される。直径、長さ、幅などの数値に関して、「約」という用語は、記述される値から最大±10%の偏差を記述するものと理解することができる。例えば、「約10mm」の寸法は、9mm~11mmの寸法を説明することができる。
【0063】
本明細書は、例示的な実施形態を提供するものであり、本開示の範囲、適用可能性、又は構成を限定することを意図するものではない。むしろ、例示的な実施形態に続く説明は、当業者に、様々な実施形態を実現することを可能にする説明を提供する。添付の特許請求の範囲に記載されている趣旨及び範囲から逸脱することなく、要素の機能及び構成に様々な変更を行うことができることを理解されたい。実施形態の完全な理解を提供するために、具体的な詳細が本明細書で与えられる。しかしながら、実施形態は、これらの具体的な詳細なしで実施され得ることが理解されるであろう。実施形態を不必要な詳細で不明瞭にしないために、例えば、本開示の具体的なシステムコンポーネント、システム、プロセス、及び他の要素が、概略図の形態で示され得るか、又は例解図から省略され得る。他の場合、周知の回路、プロセス、コンポーネント、構造、及び/又は技術が、不必要な詳細を伴わずに示され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
【外国語明細書】