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▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178194
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】研磨液供給アームの洗浄システム
(51)【国際特許分類】
   B24B 55/06 20060101AFI20241217BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20241217BHJP
   B24B 57/02 20060101ALI20241217BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B24B55/06
B24B37/00 K
B24B57/02
H01L21/304 622Q
H01L21/304 621B
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024147469
(22)【出願日】2024-08-29
(62)【分割の表示】P 2022580034の分割
【原出願日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】63/043,665
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/344,617
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】ナンゴイ ロイ シー
(72)【発明者】
【氏名】ガジル シャンタヌ ラジヴ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス ネイサン アロン
(72)【発明者】
【氏名】ダンブラ アレン エル
(72)【発明者】
【氏名】コフリン マイケル ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】パタンカー サミット スバーシュ
(57)【要約】
【課題】研磨アセンブリを提供する。
【解決手段】研磨アセンブリは、研磨パッドを支持するための回転可能なプラテンと、底部が開いたエンクロージャ、ならびにエンクロージャの内部空間を通して研磨パッド上に研磨液および洗浄流体を下方へ供給するための1つまたは複数のポートを有する研磨液供給アームと、研磨液供給アームに取外し可能に取り付けられた供給アーム洗浄ツールとを含み、洗浄ツールが、供給アームの下方に延在しており、洗浄ツールが、研磨液供給アームからの洗浄流体を洗浄ツールが研磨液供給アームのエンクロージャの表面に導くような形状を有する供給アーム対向表面を有する。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨パッドを支持するための回転可能なプラテンと、
底部が開いたエンクロージャ、ならびに前記エンクロージャの内部空間を通して前記研磨パッド上に研磨液および洗浄流体を下方へ供給するための1つまたは複数のポートを有する研磨液供給アームと、
前記研磨液供給アームに取外し可能に取り付けられた供給アーム洗浄ツールとを備え、前記洗浄ツールが、前記供給アームの下方に延在しており、前記洗浄ツールが、前記研磨液供給アームからの前記洗浄流体を前記洗浄ツールが前記研磨液供給アームの前記エンクロージャの表面に導くような形状を有する供給アーム対向表面を有する、
研磨アセンブリ。
【請求項2】
前記アーム対向表面が、前記洗浄流体を導くための複数の凹部を有する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記供給アームが天井を含み、前記天井から下方へ側壁が延びており、前記天井と前記側壁との間の内部空間が前記エンクロージャを提供する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記1つまたは複数のノズルが、前記供給アームの前記天井に取り付けられている、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記洗浄ツールが、前記供給アームの外面に沿って上方へ延びる側壁を有する本体を含む、請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記洗浄ツールが、前記本体に取外し可能に固定されたインサートを含み、前記アーム対向表面が、前記研磨液供給アームからの前記洗浄流体を前記インサートが導いて前記研磨液供給アームの前記表面に逆戻りさせるような前記インサートの上面である、請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記本体が、前記アームの下方に前記アームを横切って延在しており、前記アーム対向表面が前記本体の上面である、請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記本体が、前記供給アームの前記天井の上に延びて前記本体を前記研磨液供給アームに固定するように構成された保持タブを含む、請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項9】
研磨液供給アームに取外し可能に固定されるように構成された供給アーム洗浄ツールを備え、前記供給アーム洗浄ツールが、研磨液供給アームから下方へ射出された洗浄流体を導いて前記研磨液供給アームのエンクロージャの内面に逆戻りさせるような形状を有するアーム対向表面を含む、
研磨液供給アーム洗浄装置。
【請求項10】
前記アーム対向表面が、前記洗浄流体を導くための複数の凹部を備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記供給アーム洗浄ツールが、前記研磨液供給アームの上部の上に延びるように構成された保持タブを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記供給アーム洗浄ツールが、下カバーおよび前記下カバーに分離可能に固定可能な上カバーを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
化学機械研磨システムの研磨液供給アームに取外し可能に固定されるように構成された本体と、
前記本体に取外し可能に固定されたインサートとを備え、前記インサートが、前記研磨液供給アームからの洗浄流体を導いて前記研磨液供給アームのエンクロージャの内面に逆戻りさせるような形状を有するアーム対向表面を有する、
研磨液供給アーム洗浄ツール。
【請求項14】
前記アーム対向表面が、前記洗浄流体を導くための複数の凹部を有する、請求項13に記載のツール。
【請求項15】
研磨液供給アーム洗浄ツールを、研磨液供給アームのエンクロージャの下方に延在するように設置すること、
前記研磨液供給アームを通して洗浄流体を流すこと、
前記研磨液供給アームからの前記洗浄流体を導いて、前記洗浄ツールの表面から、前記研磨液供給アームの前記エンクロージャの表面に逆戻りさせること、および
前記研磨液供給アーム洗浄ツールを前記研磨液供給アームから取り外すこと
を含む研磨液供給アーム洗浄方法。
【請求項16】
前記研磨液供給アーム洗浄ツールを、前記研磨液供給アームの前記エンクロージャの下方に延在するように設置する前に、前記洗浄ツールの中にインサートを配置することをさらに含み、前記インサートが、前記研磨液供給アームからの前記洗浄流体を前記インサートが導いて前記研磨液供給アームの前記表面に逆戻りさせるようなアーム対向表面を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記インサートを前記研磨液供給アーム洗浄ツールに固定することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記洗浄ツールの前記表面が、前記洗浄流体を導くための複数のポケットを備える、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記洗浄ツールを設置することが、前記研磨液供給アームの上部の上に保持タブをはめることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記洗浄ツールを設置することが、上カバーと下カバーの間に前記供給アームを置いた状態で前記上カバーを前記下カバーに固定することを含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は化学機械研磨に関し、より詳細には、研磨パッド上に研磨液を供給する研磨液供給アームの洗浄に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は通常、シリコンウエハ上に導電層、半導電層または絶縁層を逐次的に堆積させることによって基板上に形成される。集積回路の製造中の1つの製造ステップは、例えば基板上の薄膜回路間の導電性経路を提供するビア、プラグおよびラインを形成するために、充填層を研磨してその下の絶縁層の上面を露出させるステップである。酸化物研磨などの他の用途では、非平面の表面の上に所定の厚さが残されるまで充填層が平坦化される。さらに、基板表面の平坦化は普通、フォトリソグラフィでも必要である。
【0003】
化学機械研磨(CMP)は認められた1つの平坦化法である。この平坦化法では通常、キャリアヘッドまたは研磨ヘッドに基板を装着する必要がある。通常は、基板の露出した表面を、回転している研磨パッドに当てる。キャリアヘッドは、制御可能な荷重を基板にかけて基板を研磨パッドに押し付ける。通常は、研磨液供給アームによって研磨パッドの表面に研磨液が供給される。研磨液供給アームはさらに、研磨パッド上にリンス流体を吹き付けて研磨表面からスラリまたはデブリ(debris)を取り除くためのノズルを有することがある。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、研磨アセンブリが、研磨パッドを支持するための回転可能なプラテンと、底部が開いたエンクロージャ、ならびにエンクロージャの内部空間を通して研磨パッド上に研磨液および洗浄流体を下方へ供給するための1つまたは複数のポートを有する研磨液供給アームと、研磨液供給アームに取外し可能に取り付けられた供給アーム洗浄ツールとを含み、洗浄ツールが、供給アームの下方に延在しており、洗浄ツールが、研磨液供給アームからの洗浄流体を洗浄ツールが研磨液供給アームのエンクロージャの表面に導くような形状を有する供給アーム対向表面(delivery arm-facing surface)を有する。
【0005】
別の態様では、研磨液供給アーム洗浄ツールが、供給アーム洗浄ツールを有し、供給アーム洗浄ツールが、研磨液供給アームから下方へ射出された洗浄流体を導いて研磨液供給アームのエンクロージャの内面に逆戻りさせるような形状を有する、アーム対向表面と、供給アーム洗浄ツールを研磨液供給アームに固定するように構成された保持タブとを含む。
【0006】
別の態様では、研磨液供給アーム洗浄ツールが、化学機械研磨システムの研磨液供給アームに取外し可能に固定されるように構成された本体、および本体に取外し可能に固定されたインサートを含む。このインサートは、アーム対向表面を有し、このアーム対向表面は、研磨液供給アームからの洗浄流体を導いて研磨液供給アームのエンクロージャの内面に逆戻りさせるような形状を有する。
【0007】
別の態様では、研磨液供給アームを洗浄する方法が、研磨液供給アーム洗浄ツールを、研磨液供給アームのエンクロージャの下方に延在するように設置すること、研磨液供給アームを通して洗浄流体を流すこと、および研磨液供給アームからの洗浄流体を導いて、洗浄ツールの表面から、研磨液供給アームのエンクロージャの表面に逆戻りさせることを含む。
【0008】
実施態様は、任意に、限定はされないが、以下のうちの1つまたは複数の利点を含むことがある。研磨の質が向上することがあり、例えば、研磨プロセス中に研磨液供給アームから分離した研磨スラリ蓄積物由来の乾燥した研磨材粒子(abrasive particle)によって生じるスクラッチおよび欠陥が少なくなる。さらに、欠陥が原因で廃棄される基板の量を減らすことができる。保守による研磨システムの動作不能時間を大幅に短縮することができる。洗浄プロセスの質が向上することがあり、研磨液供給アームの接近が困難な位置をより容易に洗浄することができる。これによって、研磨液供給アーム洗浄プロセスに充てる時間が短くなるため、研磨システムの生産性が向上し、オペレータ時間が短くなる。洗浄流体圧力または洗浄流体組成を調整することにより、洗浄プロセスを素早く変更することができる。
【0009】
1つまたは複数の実施態様の詳細が添付図面および以下の説明に示されている。他の態様、特徴および利点は、これらの説明および図面ならびに特許請求項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】化学機械研磨システムの概略断面図である。
図1B図1の化学機械研磨システムの研磨液供給アーム上に設置された研磨液供給アーム洗浄ツールの概略断面図である。
図2】化学機械研磨システムの研磨液供給アーム上に設置された研磨液供給アーム洗浄ツールの透視図である。
図3A図1の化学機械研磨システムの研磨液供給アームの断面図である。
図3B図2の研磨液供給アーム洗浄ツールの透視図である。
図3C】研磨液供給アームに固定された研磨液供給アーム洗浄ツールのクロス図である。
図4】ポケットを備える図2の研磨液供給アーム洗浄ツールの背面透視図である。
図5図2の研磨液供給アーム洗浄ツールの断面図である。
図6A】化学機械研磨システムの研磨液供給アーム上に設置された研磨液供給アーム洗浄ツールの別の実施態様の透視図である。
図6B図6Aの研磨液供給アーム洗浄ツールの断面図である。
図7A】研磨液供給アーム洗浄ツールの別の実施態様の下部の断面透視図である。
図7B図7Aの研磨液供給アーム洗浄ツールの断面図である。
図8】研磨液供給アームを洗浄する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
各種図面の同じ参照符号および記号表示は同じ要素を指す。
【0012】
化学機械研磨中には、研磨液供給アームによって、研磨パッドの表面に、研磨液、例えば研磨材研磨スラリ(abrasive polishing slurry)が供給される。例えば、研磨液供給アームは、研磨パッドの表面に研磨液を分配するノズルを有することができる。研磨液が研磨パッドに衝突すると、一部の研磨液は上方へ向きを変え、空中に浮揚した小滴を形成しうる。これらの小滴は、研磨液供給アーム上に蓄積しうる。さらに、研磨液は、他の構成要素、例えばキャリアヘッドまたはコンディショナヘッドによって研磨パッドから飛散しうる。
【0013】
研磨液の一部は、供給アームから流れ落ち、それらは液溜り(basin)に集めることができるが、研磨液の一部は、供給アーム上で乾燥および蓄積しうる。供給アーム上に乾燥した研磨液が経時的に蓄積することには多くの有害な影響がある。例えば、研磨液中の研磨材粒子は集塊を形成しうる。集塊は後に、供給アームから脱落し、研磨面に堆積することがあり、したがってスクラッチ形成および欠陥の危険性が生じることがある。研磨液供給アームを洗浄して、乾燥した研磨液の蓄積を防ぐために、かなりの量の非生産的な時間およびオペレータの労力が必要となる。
【0014】
研磨液供給アームに容易に取り付けることができ、機器分解を必要としない研磨液供給アーム洗浄ツールは、これらの有害な影響を軽減することができる。
【0015】
図1Aは、基板10を研磨するように動作可能な研磨システム20を示している。研磨システム20は、その上に研磨パッド25が位置する回転可能なプラテン24、および回転可能なプラテン24を取り囲むプラテンシールド26を含む。回転可能なプラテン24は、軸28の周りを回転するように動作可能である。例えば、回転可能なプラテン24を回転させるために、モータ29がドライブシャフト22を回転させることができる。
【0016】
研磨システム20は、研磨パッド25に対して基板10を保持するように動作可能なキャリアヘッド70を含む。キャリアヘッド70は、支持構造体72、例えばカルーセルまたはトラックから吊り下げられており、キャリアヘッドが軸71の周りを回転することができるように、キャリアドライブシャフト74によってキャリアヘッド回転モータ76に接続されている。さらに、キャリアヘッド70は、例えば、アクチュエータによって駆動されたときにカルーセル72の半径方向の溝穴の中を移動することによって、またはモータによって駆動されたときにカルーセルが回転することによって、またはアクチュエータによって駆動されたときにトラックに沿って前後に移動することによって、研磨パッド25を横切って横方向に往復運動することができる。動作時、プラテン24は、その中心軸28の周りを回転し、キャリアヘッドは、その中心軸71の周りを回転し、研磨パッド25の上面を横切って横方向に平行移動する。
【0017】
図1に示されているように、研磨システム20はさらに研磨液供給システム30を含む。研磨液供給システム30は、ベース32によってプラテン24の上に支持された研磨液供給アーム34を含む。アーム34の端に配置することができるポート38が、流体管路68、例えばチューブ、パイプ、固体内の通路などによって、研磨液源78、例えばリザーバに結合されている。ポート38はノズルとすることができる。研磨中、供給アーム34は、ポート38から研磨液36を分配するように動作可能である。流体管路68を通る研磨液36の流量は、液体流量コントローラ(LFC)によって制御することができ、LFCは、マシンコントローラ、例えばコンピュータによって制御することができる。
【0018】
研磨システム20はさらに1つまたは複数の第2のポート82を含み、1つまたは複数の第2のポート82は、アーム34の端にまたはアームに沿って配置することができる。第2のポート82は、流体管路84、例えばチューブ、パイプ、固体内の通路などによって、洗浄流体源86、例えばリザーバに結合されている。洗浄中、供給アーム34は、ポート82から洗浄流体88を分配するように動作可能である。第2のポート82はノズルとすることができ、このノズルは、研磨パッド25上に洗浄流体を吹き付けることができる。洗浄流体は、水、脱イオン水またはイソプロピルアルコール溶液とすることができる。流体管路78を通る洗浄流体88の流量は、液体流量コントローラ(LFC)によって制御することができ、LFCは、マシンコントローラ、例えばコンピュータによって制御することができる。
【0019】
図3Aを参照すると、研磨液供給アーム34は、底部40が開いたエンクロージャ26を形成することができる。具体的には、研磨液供給アーム34は、ルーフ(roof)44およびルーフ44から下方へ延びる側壁46を含む。ルーフ44の底部によって提供された天井(ceiling)80と側壁46の内面58との間に内部空間42がある。
【0020】
洗浄動作中、洗浄流体液36は、エンクロージャ26の内部空間42を通って研磨パッド25上に下方へ流れる。エンクロージャ26は、ポート82および/または研磨パッド25からの洗浄流体のしぶきを抑制するのに役立ちうる。
【0021】
他の実施態様では、研磨液供給アーム34のポートが、研磨液36の供給と洗浄流体82の供給を切り替えることができる。他の実施態様では、研磨液供給アーム34が、研磨液36の供給と洗浄流体82の供給を切り替えるように構成された1つのノズル、例えばアーム34の端のノズルを有することができる。
【0022】
図3Aは、研磨流体管路68および洗浄流体管路84を固体内の通路として示しているが、これは必須ではない。一方または両方の流体管路を、アームのキャビティの内側のパイプもしくはフレキシブルチューブよって、またはアームの上部のパイプもしくはフレキシブルチューブによって提供することもできる。
【0023】
研磨液36は、研磨材粒子を含むスラリとすることができる。研磨液供給アーム34はノズル38を通して研磨液36を分配する。ノズル38は、研磨パッド10の表面に研磨液36を導く。研磨液36が研磨パッド25に衝突したときに、一部の研磨液36が上方へ跳ね返ることがあり、それらの研磨液は小滴を形成する。研磨液36の一部は、研磨アーム34から流れ落ち、研磨パッド25に戻り、それらを液溜りに集めることができるが、研磨液36の一部は、研磨液供給アーム34上、例えば側壁46の内面58、天井80およびノズル38上で乾燥および蓄積しうる。後続の研磨動作によって、研磨液36は研磨液供給アーム34上に堆積し続け、研磨液36は、研磨液供給アーム34上で乾燥し、さらに蓄積しうる。
【0024】
供給アーム34に、研磨液供給アーム洗浄ツール50を取外し可能に取り付けることができる。一般に、洗浄ツール50は、供給アーム上に設置されたときに少なくともエンクロージャ26の底部を覆うシェルを形成する。図1Bおよび2は、研磨液供給アーム34上に設置された研磨液供給アーム洗浄ツール50を示している。設置されているとき、洗浄ツール50は供給アーム34の下方に延在している。この構成において、洗浄流体88は、図1Bに示されているように、エンクロージャ26の内部空間42を通って下方へ流れ、研磨液供給アーム洗浄ツール50に衝突し、向きを変えて研磨液供給アーム37の内部の天井80へ向かう。
【0025】
研磨液供給アーム洗浄ツール50は、フロア52およびフロア52から上方へ延びる側壁54を有する。設置されているとき、フロア52は、研磨液供給アーム34の幅の下方に、研磨液供給アーム34の幅を横切って延在しており、側壁54は、供給アーム36の外面56に沿って延在している。
【0026】
洗浄ツール50は、洗浄ツールをアーム34上に支持する多数の保持タブ60を含むことができる。それぞれの保持タブ60は、側壁54から延びることができ、内側に湾曲すること、すなわち反対側の側壁に向かって湾曲することができる。したがって、洗浄ツール50をアーム34上にスライドさせると、保持タブ60は、研磨液供給アーム34のルーフ44の上に延びて、洗浄ツール50を研磨液供給アーム34に固定する(図3C参照)。
【0027】
洗浄ツール50の前端は前カバー62によって囲われている。前カバー62は、側壁54をつなぐことができ、アーム34が収まる側壁54間の空間の上に延在している。前カバー62は、洗浄流体が跳ね散って洗浄ツール50の前面から外へ出ることを防ぐ。アーム34上に洗浄ツールをスライドさせることができるように、洗浄ツール50の後端は開いている。前カバー62以外の洗浄ツール50の上部を開けておくことができる。
【0028】
図4に示されているように、研磨液洗浄ツール50は、供給アーム対向表面48を有し、供給アーム対向表面48は、研磨液供給アーム34からの洗浄流体を、研磨液供給アーム洗浄ツール50が、研磨液供給アーム34の側壁46の内面58、天井80およびノズル38上に導くような形状を有する。アーム対向表面48は、洗浄流体を導いて、エンクロージャの内面、例えば天井80および側壁46の内面58に向かって上方へ逆戻りさせるための1つまたは複数の凹部(concavity)64を有することができる。
【0029】
図4に示されているように、凹部64は、半円形のトラフ(trough)とすることができる。あるいは、図5に示されているように、凹部64を円筒形にすることもできる。凹部64の湾曲は、下方へ進む洗浄流体88の小滴の初期の運動量によって、小滴88が、湾曲に沿って運ばれ、上方へ逆戻りし、壁の内面58および天井88に達するように構成されている。いくつかの実施態様では、リッジ90が、1つの凹部64を別の凹部64から分離している。2つ以上のリッジによって凹部64を別の凹部から分離することができる。例えば、リッジ90に対して垂直な方向に第2のリッジ92を延ばすことができる。洗浄流体88のしぶきを分割し、それによってしぶきの1つの部分が向きを変えて1つの位置に向かい、しぶきの別の部分が向きを変えて別の位置に向かうようにし、それによって研磨液供給アーム34の側壁46の内面58、天井88およびノズル38のそれぞれの側にしぶきの半分が導かれるようにするために、リッジ90はノズル38の真下に配置することができる。
【0030】
いくつかの実施態様では、アーム対向表面48が本体52の上面である。
【0031】
いくつかの実施態様では、インサート66を受け入れるように本体52を構成することができる(図3C参照)。インサート66は、本体52に取外し可能に固定される。例えば、本体52の上部のガイド凹み48a(図3B参照)の中へインサート66をスライドさせることができる。アーム対向表面48を、研磨液供給アーム34からの洗浄流体をインサート66が導いて内面58および研磨液供給アームのノズル38に逆戻りさせるようなインサート66の上面とすることができる。
【0032】
図6Aおよび6Bを参照すると、タブから吊り下げられた本体の代わりに、研磨液洗浄ツール50は、上カバー110および下カバー120を含むことができ、上カバー110および下カバー120は、分離可能に一体に固定されて、(図6Bに示されているようにアームの長さに対して横断方向の断面に沿って)研磨液供給アーム34を完全に取り囲むシェルを形成することができる。例えば、上カバー110は、天井片114の縁から下方へ延びる側壁112を含むことができ、下カバー120は、フロア片124の縁から上方へ延びる側壁122を含むことができる。上カバー110の側壁112を下カバー120の側壁122に、例えば摩擦ばめ130によって取り付けることができる。同様に、上および下カバー110、120の側壁112、122によって洗浄ツール50の前カバー62を提供することができる。組立てでは、研磨液供給アーム34の下方に下カバー110を置き、上カバー120を、下カバー110と嵌合するように所定の位置に降ろすこと、したがってアーム34を囲うことができる。
【0033】
図7Aおよび7Bを参照すると、下カバー120のフロア片124(または図3A~3Bの単一片ツールのフロア)は、過剰な洗浄液がツール50から流出するための1つまたは複数のチャネル140を含むことができる。いくつかの実施態様では、インサート48のそれぞれの側に1つずつ、合わせて2つのチャネル140がある。チャネル140は側壁122に隣接することができる。具体的には、2つの平行な直線的突出部142がフロア片124から延びることができ、突出部142と側壁122の間の空間がチャネル140を提供することができる。インサート66は、フロア片124の2つの突出部142間に収まることができる。それぞれのチャネルの一端は前カバー62によって遮断されているが、洗浄液は反対端から流出することができる。
【0034】
研磨液供給アーム洗浄ツール50は、金属製またはプラスチック製とすることができる。例えば、洗浄ツール50は、鋼、アルミニウム、高密度ポリエチレンまたは複合材料とすることができる。
【0035】
図8は、研磨液供給アーム洗浄ツールを用いて研磨液供給アームを洗浄する方法600を示している。洗浄ツールにインサートを挿入することができる(802)。インサートは、アーム対向表面を有し、このアーム対向表面は、研磨液供給アームからの洗浄流体をインサートが導いて研磨液供給アームの表面に逆戻りさせるような形状を有する。インサートは、洗浄流体を導くための多数のポケットを有することができる。アーム対向表面が研磨液供給アームのエンクロージャの下方に延在するように、研磨液供給アーム洗浄ツールを研磨液供給アーム上に設置する(804)。研磨液供給アーム洗浄ツール保持タブを研磨液供給アームの上部の上に係合させる。研磨液供給アームを通って洗浄流体が流れる(806)。アーム対向表面によって洗浄流体を導いて、研磨液供給アームのエンクロージャの表面に逆戻りさせる(808)。研磨液供給アーム洗浄ツールを研磨液供給アームから取り外す(810)。
【0036】
いくつかの実施形態を説明した。それにもかかわらず、さまざまな変更を加えることができることが理解される。したがって、下記の特許請求の範囲には他の実施形態が含まれる。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-09-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨液供給アーム洗浄キットであって、
研磨液供給アームの上部に取外し可能にはめ込まれた上カバーと、
前記研磨液供給アームの下部に取外し可能にはめ込まれ、前記上カバーに着脱可能に取り付けられた前記研磨液供給アームを囲むシェルを形成する下カバーと、
前記下カバーによって取外し可能に支持されるインサートと、
を含み、
前記インサートは、前記研磨液供給アームから下方に噴出される洗浄流体を前記研磨液供給アームに向かって戻すように形成されたアーム対向表面を有する、
研磨液供給アーム洗浄キット。
【請求項2】
前記上カバーと前記下カバーが、摩擦ばめにより着脱可能に固定される、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記下カバーが、前記シェルの開いた端部から洗浄液を流出するための少なくとも1つのチャネルを含む、請求項1に記載のキット。
【請求項4】
前記下カバーのフロアが、前記下カバーの第1の側壁に平行に延びる第1の直線的突出部と、前記下カバーの第2の側壁に平行に延びる第2の直線的突出部とを含み、前記第1の直線的突出部と前記第1の側壁との間の空間が第1のチャネルを提供し、前記第2の直線的突出部と前記第2の側壁との間の空間が第2のチャネルを提供する、請求項1に記載のキット。
【請求項5】
前記インサートが、前記第1の直線的突出部と前記第2の直線的突出部との間の前記下カバーのフロアに収まる、請求項4に記載のキット。
【請求項6】
前記シェルは、前記研磨液供給アームの端部を覆って閉じられる。請求項1に記載のキット。
【請求項7】
前記アーム対向表面が、前記洗浄流体を導くための複数の凹部を有する、請求項1に記載のキット。
【請求項8】
複数のキャビティが、前記シェルの側壁に対して平行かつ平行に延びる2つの半円形トラフを含む、請求項7に記載のキット。
【請求項9】
前記2の半円形トラフの間のリッジが、前記研磨液供給アームの洗浄流体ノズルの下方に位置するように配置される、請求項7に記載のキット。
【請求項10】
研磨液供給アーム洗浄キットであって、
研磨液供給アームの上部に取外し可能にはめ込まれた上カバーと、
前記研磨液供給アームの下部に取外し可能にはめ込まれ、前記上カバーに着脱可能に取り付けられた前記研磨液供給アームを囲むシェルを形成する下カバーであって、前記シェルが、前記研磨液供給アームの端部にある閉じた端部と反対側の開いた端部とを有する、下カバーと、
を含み、
前記下カバーが、前記シェルの開いた端部から洗浄液を流出させるための少なくとも1つのチャネルを含む、
研磨液供給アーム洗浄キット。
【請求項11】
前記下カバーのフロアが、前記下カバーの第1の側壁に平行に延びる第1の直線的突出部と、前記下カバーの第2の側壁に平行に延びる第2の直線的突出部とを含み、前記第1の直線的突出部と前記第1の側壁との間の空間が第1のチャネルを提供し、前記第2の直線的突出部と前記第2の側壁との間の空間が第2のチャネルを提供する、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
研磨液供給アーム洗浄ツールであって、
フロア、一対の側壁、及び前記側壁から上方に突出して研磨液供給アームの頂部上に延び、前記本体を研磨液供給アームに取外し可能に固定するタブを有する本体と、
前記本体に取外し可能に固定されたインサートと、
を含み、
前記インサートが、前記研磨液供給アームからの洗浄流体を導いて前記研磨液供給アームのエンクロージャの内面に逆戻りさせるような形状を有するアーム対向表面を有する、
研磨液供給アーム洗浄ツール。
【請求項13】
前記アーム対向表面が、前記洗浄流体を導くための複数の凹部を有する、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
複数のキャビティが、前記シェルの側壁に対して平行かつ平行に延びる2つの半円形トラフを含む、請求項13に記載のキット。
【外国語明細書】