(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178326
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】光源装置
(51)【国際特許分類】
H01S 5/026 20060101AFI20241217BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20241217BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20241217BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20241217BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20241217BHJP
【FI】
H01S5/026 612
F21S2/00 100
F21V23/00 113
F21V19/00 170
F21V19/00 150
F21Y115:30
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024163946
(22)【出願日】2024-09-20
(62)【分割の表示】P 2020106963の分割
【原出願日】2020-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】宮田 忠明
(57)【要約】
【課題】小型化に適した光源装置を実現する。
【解決手段】光源装置100は、第1実装面10aを有する第1基板10と、第1実装面に対向する第2実装面11aを有する第2基板11と、第1実装面に支持された第1レーザダイオード30と、第2実装面に支持された第1光検出器40と、第1レーザダイオードおよび第1光検出器を収容する空間Vを規定する枠体50と、を備え、枠体50は窓部50fを有し、窓部50fは、第1レーザダイオードから出射されるレーザ光14が入射する入射面50c、および、第1レーザダイオードから出射されるレーザ光が出射する出射面50dを有し、第1レーザダイオードから出射されるレーザ光の一部を透過し、第1レーザダイオードから出射されるレーザ光の一部を反射し、第1光検出器40は、第1レーザダイオードから出射されるレーザ光のうち窓部によって反射された光を検出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1実装面を有する第1基板と、
前記第1実装面に対向する第2実装面を有する第2基板と、
前記第1実装面に直接または間接的に支持された第1レーザダイオードと、
前記第2実装面に直接または間接的に支持された第1光検出器と、
前記第1レーザダイオードおよび前記第1光検出器を収容する空間を規定する枠体と、を備え、
前記枠体は窓部を有し、前記第1基板と前記第2基板とに接合され、
前記窓部は、
前記第1基板の前記第1実装面の法線方向から傾斜し、
前記第1レーザダイオードから出射されるレーザ光が入射する入射面、および、前記第1レーザダイオードから出射されるレーザ光が出射する出射面を有し、前記第1レーザダイオードから出射されるレーザ光の一部を透過し、前記第1レーザダイオードから出射されるレーザ光の一部を反射し、
前記第1光検出器は、前記第1レーザダイオードから出射される前記レーザ光のうち前記窓部によって反射された光を検出する、光源装置。
【請求項2】
前記第1レーザダイオードおよび前記第1光検出器は前記空間内に気密に封止されている、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記第1基板は、前記第1レーザダイオードに電気的に接続された配線層を有しており、
前記第2基板は、前記第1光検出器に電気的に接続された配線層を有している、請求項1または2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記第1基板の前記第1実装面に垂直な方向から見たとき、前記第1光検出器は前記第1レーザダイオードに少なくとも部分的に重なっている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記第1実装面に接合され、前記第1レーザダイオードが配置されたサブマウントをさらに備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記窓部の前記入射面および出射面の少なくとも一方に反射率調整部が形成されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項7】
前記窓部と前記第1光検出器との間の光路上に配置された偏光子をさらに備える、請求項1乃至6のいずれかに記載の光源装置。
【請求項8】
前記偏光子の偏光透過軸は、前記第1レーザダイオードから出射される前記レーザ光の偏光方向に整合している、請求項7に記載の光源装置。
【請求項9】
前記窓部の前記入射面または前記出射面のうち少なくとも一方は、前記第1レーザダイオードから出射される前記レーザ光の光軸に90°以外の角度で交差している、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項10】
前記第1実装面に直接または間接的に支持された第2レーザダイオードと、
前記第1実装面に直接または間接的に支持された第3レーザダイオードと、
前記第2実装面に直接または間接的に支持された第2光検出器と、
前記第2実装面に直接または間接的に支持された第3光検出器と、
をさらに備え、
前記第2レーザダイオードおよび前記第3レーザダイオードからそれぞれ出射されるレーザ光は前記入射面に入射し、一部が前記窓部を透過して前記出射面から出射し、一部が前記窓部で反射され、
前記第2光検出器は、前記第2レーザダイオードから出射されるレーザ光のうち前記窓部によって反射された光を検出し、
前記第3光検出器は、前記第3レーザダイオードから出射されるレーザ光のうち前記窓部によって反射された光を検出する、請求項1に記載の光源装置。
【請求項11】
前記第1レーザダイオード、前記第2レーザダイオード、前記第3レーザダイオード、前記第1光検出器、前記第2光検出器および前記第3光検出器は前記空間内に気密に封止されている、請求項10に記載の光源装置。
【請求項12】
前記第1基板は、前記第1レーザダイオード、前記第2レーザダイオードおよび前記第3レーザダイオードに電気的に接続された配線層を有しており、
前記第2基板は、前記第1光検出器、前記第2光検出器および前記第3光検出器に電気的に接続された配線層を有している、請求項10または11に記載の光源装置。
【請求項13】
前記第1実装面に接合され、前記第1レーザダイオード、前記第2レーザダイオードおよび前記第3レーザダイオードが配置されたサブマウントをさらに備える、請求項11または12に記載の光源装置。
【請求項14】
前記第1レーザダイオード、前記第2レーザダイオードおよび前記第3レーザダイオードのそれぞれから出射されるレーザ光の発光ピーク波長は互いに異なっている、請求項10乃至13のいずれか一項に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光の強度をモニタするための光検出器を備える光源装置が開発されている。特許文献1は、面発光レーザアレイから出射されるレーザ光の一部を受けてレーザ光の強度を検出するフォトセンサを備える光源装置を開示している。この光源装置において、面発光レーザアレイおよびフォトセンサは同じ空間内に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、小型化に適した光源装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の光源装置は、非限定的で例示的な実施形態において、第1実装面を有する第1基板と、前記第1実装面に対向する第2実装面を有する第2基板と、前記第1実装面に直接または間接的に支持された第1レーザダイオードと、前記第2実装面に直接または間接的に支持された第1光検出器と、前記第1レーザダイオードおよび前記第1光検出器を収容する空間を規定する枠体と、を備え、前記枠体は、窓部を有し、前記窓部は、前記第1レーザダイオードから出射されるレーザ光が入射する入射面、および、前記第1レーザダイオードから出射されるレーザ光が出射する出射面を有し、前記第1レーザダイオードから出射されるレーザ光の一部を透過し、前記第1レーザダイオードから出射されるレーザ光の一部を反射し、前記第1光検出器は、前記第1レーザダイオードから出射される前記レーザ光のうち前記窓部によって反射された光を検出する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の例示的な実施形態によれば、小型化に適した光源装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の例示的な実施形態に係る光源装置のXY平面に平行な断面図である。
【
図2】
図2は、本開示の例示的な実施形態に係る光源装置のYZ平面に平行な断面図である。
【
図3】
図3は、一対の基板の一方に固定されたサブマウントに接合されたレーザダイオードを模式的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は、一対の基板の他方に実装された光検出器を模式的に示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本開示の例示的な実施形態に係る光源装置の他の構成例のYZ平面に平行な断面図である。
【
図6】
図6は、本開示の例示的な実施形態に係る光源装置のさらに他の構成例のYZ平面に平行な断面図である。
【
図7】
図7は、本開示の例示的な実施形態に係る光源装置の変形例のYZ平面に平行な断面図である。
【
図8】
図8は、本開示の例示的な実施形態に係る光源装置の変形例のYZ平面に平行な断面図である。
【
図9】
図9は、本開示の例示的な実施形態に係る光源装置の変形例のYZ平面に平行な断面図である。
【
図10】
図10は、本開示の例示的な実施形態に係る光源装置の変形例のYZ平面に平行な断面図である。
【
図11】
図11は、本開示の例示的な実施形態に係る、複数のレーザダイオードおよび複数の光検出器を備える光源装置のXY平面に平行な断面図である。
【
図12】
図12は、一対の基板の一方に固定されたサブマウントに接合された複数のレーザダイオードを模式的に示す斜視図である。
【
図13A】
図13Aは、一対の基板の他方に実装された複数の光検出器を模式的に示す斜視図である。
【
図13B】
図13Bは、一対の基板の他方に実装された、複数の光検出器が一体となった構成を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態は、例示であり、本開示による光源装置は、以下の実施形態に限られない。例えば、以下の実施形態で示される数値、形状、材料、ステップ、そのステップの順序等は、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。また、以下に説明する様々な態様は、あくまでも例示であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の組み合わせが可能である。
【0009】
図面が示す構成要素の寸法、形状等は、わかり易さのために誇張されている場合があ
り、実際の光源装置における寸法、形状および構成要素間の大小関係を反映していない場合がある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略することがある。
【0010】
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置をわかり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品、製造装置等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。
【0011】
本明細書において、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、付加する対象を区別するためのラベルとして用いられ、個数や、順序、順番などを限定する意図で解釈されない。
【0012】
図1から
図4を参照して、本実施形態に係る光源装置100の構成例を説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る光源装置100のXY平面に平行な断面図である。
図1において、レーザダイオード30の出射端面30eおよび光検出器40の受光部40rが示されている。添付の図面において、参考のため、互いに直交するX軸、Y軸、およびZ軸が示されている。
図2は、本実施形態に係る光源装置100のYZ平面に平行な断面図である。
図3は、基板10上のサブマウント20に接合されたレーザダイオード30を模式的に示す斜視図である。
図3において、光源装置100の内部構造が分かるように枠体50が透かした状態で示され、レーザダイオード30から出射されるレーザ光14の中心軸が破線で示されている。
図4は、基板11に実装された光検出器40を模式的に示す斜視図
である。
【0014】
本実施形態における光源装置100は、第1基板10、第2基板11、サブマウント20、少なくとも1つのレーザダイオード30、少なくとも1つの光検出器40および枠体50を備える。
図1の例において、光源装置100は、1つのレーザダイオード30および1つの光検出器40を備えている。光源装置100は、後述する保護素子60を備え得るが、図面が煩雑になることを避けるため、
図1において保護素子は図示されていない。光源装置100は、さらに、内部の温度を測定するための温度センサ(不図示)、例えばサーミスタを備えることができる。
【0015】
本実施形態における光源装置100の形状の例は、
図3に示されるように略直方体である。例えば、光源装置100のX方向におけるサイズは1.0mm~5.0mm程度であり、Z方向におけるサイズは2.0mm~5.0mm程度であり、Y方向における厚さは1.0mm~3.0mm程度であり得る。光源装置100は、例えば、ヘッドマウントディスプレイ、プロジェクタ、照明装置などの光源として好適に利用され得る。
【0016】
第1基板10および第2基板11は一対の基板である。第1基板10は、レーザダイオード30を直接または間接的に支持する第1実装面10aを有する。第2基板11は、光検出器40を直接または間接的に支持する第2実装面11aを有する。以降、第1基板および第2基板のそれぞれを単に「基板」と記載し、第1実装面および第2実装面のそれぞれを単に「実装面」と記載する。基板は板状の部材である。一対の基板10、11は、実装面10aと実装面11aとが対向するように配置されている。一対の基板10、11は、セラミックを主材料として形成することができる。なお、セラミックに限らず金属で形成されていてもよい。例えば、セラミックでは窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素等を、金属では銅、アルミニウム、鉄、複合物として銅モリブデン、銅-ダイヤモンド複合材料、銅タングステン等を、その他にシリコンや樹脂等を基板の主材料に用いることができる。ただし、金属を用いる場合は、導体配線層を基板に設けるために、実装面10aおよび実装面11aに絶縁処理が必要となる。
【0017】
基板10は、レーザダイオード30に電気的に接続された導体配線層を有する。
図3に示されるように、保護素子60を実装するための一対の電極パッドpdが導体配線層の一部として基板10の実装面10aに設けられている。基板11は、光検出器40に電気的に接続された導体配線層を有する。
図4に示されるように、光検出器40を実装するための一対の電極パッドpdが導体配線層の一部として基板11の実装面11aに設けられている。レーザダイオード30を、一対の基板10、11のうちの一方の導体配線層に電気的に接続し、光検出器40を他方の導体配線層に電気的に接続することによって、レーザダイオード30および光検出器40の配線が容易となる。また、配線を基板10、11のそれぞれに分割して設けることができるため、光源装置100を小型化することが可能となる。
【0018】
導体配線層は、例えばタングステン、モリブデン、ニッケル、金、銀、白金、チタン、銅、アルミニウム、ルテニウムなどの金属材料から形成され得る。導体配線層は、各層がビアを介して電気的に接続された多層構造を有し得る。
【0019】
サブマウント20は放熱部材であり、典型的には、直方体の形状を有しているが、これに限定されない。サブマウント20は、レーザダイオード30から発生した熱を逃がす役割を果たす。放熱性をより向上させる観点から、サブマウント20は、レーザダイオード30よりも熱伝導率の高い材料から形成されることが好ましい。当該材料に、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素などのセラミック材料や、銅、アルミニウム、銀、鉄、ニッケル、モリブデン、タングステン、および銅モリブデン
などからなる群から選択される少なくとも1つを含む金属などが用いられる。
【0020】
サブマウント20は基板10の実装面10aに接合されている。このような接合は、金属などの無機材料、または有機材料の層を介して実現され得る。ただし、青色または緑色の光を発するレーザダイオードを利用する場合、レーザ光による集塵の影響を考慮すると有機材料の使用は避けた方が好ましい。
【0021】
サブマウント20は、レーザダイオード30が配置される実装面20aを有する。
図3の例において、レーザダイオード30に電気的に接合する電極パッドpdがサブマウント20の実装面20aに形成されている。レーザダイオード30は、サブマウント20に接合された状態で基板10の実装面10aに間接的に実装されている。ただし、レーザダイオード30は、サブマウント20を介さずに基板10の実装面10aに直接接合され得る。そのため、本実施形態においてサブマウント20は必須の部材ではないが、サブマウント20を利用することによって、放熱性を向上させることができる。また、高さ方向におけるレーザダイオード30の発光点の位置調整を容易とすることもできる。
【0022】
レーザダイオード30は、p側電極と、n側電極と、p側半導体層、n側半導体層、およびこれらの層の間に位置する活性層を含む半導体積層構造体(不図示)とを有する。p側電極およびn側電極に電圧を印加して内部に電流を流すことによって、レーザダイオード30の出射端面30eからレーザ光14が出射される。本実施形態において、レーザダイオード30は、レーザ光を出射する端面を有する端面出射型であるが、面発光型(VCSEL)であってもよい。
【0023】
レーザダイオード30には、例えば、青色の光を放射するレーザダイオード、緑色の光を放射するレーザダイオード、または、赤色の光を放射するレーザダイオードなどを採用することができる。また、これら以外の光、例えば近赤外線や紫外線を放射するレーザダイオードを採用してもよい。
【0024】
本明細書において、青色の光は、発光ピーク波長が420nm~494nmの範囲内にある光である。緑色の光は、発光ピーク波長が495nm~570nmの範囲内にある光である。赤色の光は、発光ピーク波長が605nm~750nmの範囲内にある光である。
【0025】
青色の光を発するレーザダイオード、または、緑色の光を発するレーザダイオードとして、例えば、窒化物半導体を含むレーザダイオードが挙げられる。窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、およびAlGaNを用いることができる。赤色の光を発するレーザダイオードとして、InAlGaP系やGaInP系、GaAs系やAlGaAs系の半導体を含むもの等が挙げられる。
【0026】
レーザダイオードから放射されるレーザ光は、拡がりを有し、レーザ光の出射端面に平行な面において楕円形状のファーフィールドパターン(以下「FFP」という。)を形成する。FFPは、出射端面から離れた位置におけるレーザ光の光強度分布によって規定される。この光強度分布において、ピーク強度値に対して1/e2以上の強度を有する部分をビーム断面と呼んでもよい。
【0027】
実際のレーザ光14は、
図2に示されるように、レーザダイオード30の出射端面30eから出射された後、発散して拡がる。このため、レーザ光14は、不図示のレンズを含む光学系によってコリメートまたは収束され得る。そのような光学系は、光源装置100の内部または外部に設けられ得る。
【0028】
光検出器40は、レーザダイオード30から出射されるレーザ光14の強度をモニタする。より詳しく説明すると、光検出器40は受光部40rを有し、レーザダイオード30から出射されるレーザ光14のビーム断面の全面積の少なくとも一部、または、レーザダイオード30から出射されるレーザ光14のレーザ出力の全出力の少なくとも一部を受光部40rで受けてレーザ光14の強度のモニタを行う。受光部40rの例は、フォトダイオードなどの光電変換素子であり、後述する、枠体50に設けられた窓部50fの入射面50cに対向する位置に設けられることが好ましい。また、レーザ光の強度は、光パワーと呼ぶこともできる。
【0029】
光検出器40は、後述する枠体50の窓部50fの入射面50cおよび出射面50dの少なくとも一方で反射された反射光をモニタ光として検出する。光検出器40は、レーザダイオード30から出射されるレーザ光14の強度をモニタするために、例えば5mW程度のモニタ光を必要とする。本実施形態において、例えば、レーザダイオード30から出射されるレーザ光14のうちの5%程度がモニタ光として利用され、残りの95%程度が外部に取り出される。
【0030】
光検出器40は、基板11の実装面11aに直接または間接的に支持される。
図4の例において、光検出器40は、実装面11aに形成された一対の電極パッドpdに電気的に接合されている。なお、光検出器40は、レーザダイオード30と同様に、サブマウントを介して基板11に間接的に支持され得る。その場合、Y方向における光検出器40の高さ調整が容易となる。本実施形態において、
図1の例では、Y方向におけるレーザダイオード30の厚さは例えば0.1mm程度であり、Y方向における光検出器40の厚さは例えば0.4mm程度であり得る。また、レーザダイオード30および光検出器40は、Y方向において例えば0.05mm程度の間隔で近接して配置され得る。
【0031】
図1または
図2に示されるように、実装面10aに垂直な方向(つまり、Y軸方向)から見たとき、光検出器40はレーザダイオード30に少なくとも部分的に重なる。
図1の例において、光検出器40はレーザダイオード30の直上に配置されている。この配置によれば、レーザダイオード30から出射されるレーザ光14が光検出器40の受光部40rに直接入射することを抑制でき、レーザ光14の強度を精度良くモニタすることができる。また、後述するように、枠体50の窓部50fで反射されるレーザ光14の一部を光検出器40の受光部40rで受光し易くなる。ただし、
図1の例における、レーザダイオード30に対する光検出器40の相対的な位置関係または大小関係はあくまでも例示であり、これに限定されない。例えば、X方向において、レーザダイオード30の幅が光検出器40の幅よりも長くてもよい。あるいは、レーザダイオード30の出射端面30eを略二等分する第1線分が、光検出器40の受光部40rを略二等分する第2線分に一致していなくてもよい。さらに、
図2の例において、受光部40rの端面は、Z方向において出射端面30eと同じ位置に配置されているがこれに限定されない。光検出器40は、モニタに必要なレベルの反射光が得られる限りにおいて窓部50fからレーザダイオード30の出射端面30eよりも離れた位置に配置され得る(
図5を参照)。
【0032】
図3に示されるように、枠体50は、レーザダイオード30を囲うように基板10の実装面10aの縁に接合されている。枠体50の下端面50bが基板10の実装面10aに接合されている。このような接合は、金属などの無機材料、また有機材料の層を介して実現され得る。ただし、青色または緑色の光を発するレーザダイオードを用いる場合、レーザ光による集塵の影響を考慮すると有機材料の使用は避けた方が好ましい。
【0033】
枠体50の上端面50aが、基板10と同様に、基板11の実装面11aに接合されている。枠体50は、レーザダイオード30および光検出器40を収容する空間Vを規定する。基板11はキャップとしての機能を有し、レーザダイオード30および光検出器40
を空間V内に気密に封止する。気密封止することにより、レーザ光による集塵の影響を抑制することができる。ただし、気密封止することは必須ではない。
【0034】
このように、レーザダイオード30および光検出器40を一対の基板10、11の異なる実装面10a、11aにそれぞれ実装し、かつ、レーザダイオード30および光検出器40を同じ空間Vの内部に配置することによって、配線を基板10、11のそれぞれに分割して設けることができるため、光源装置100を小型化することが可能となる。
【0035】
図2に示されるように、枠体50は、レーザダイオード30から出射されるレーザ光14の一部を透過し、レーザダイオード30から出射されるレーザ光14の一部を反射する窓部50fを有する。窓部50fは、基板10上においてレーザ光14を横切る位置に配置されている。窓部50fは、レーザダイオード30から出射されるレーザ光14が入射する入射面50c、および、レーザダイオード30から出射されるレーザ光14が出射する出射面50dを有する。窓部50fは、光を透過する材料、例えばガラスやサファイア、透明セラミック材料から形成され得て、蛍光体を含有していてもよい。枠体50の窓部50f以外の部分は、例えば、シリコン、ガラス、セラミック、または上述した基板と同じ材料から形成され得る。
【0036】
本実施形態において、保護素子60が基板10に設けられている。保護素子60の例はツェナーダイオードである。保護素子60はレーザダイオード30に電気的に並列に接続され、レーザダイオード30に印加され得る逆方向電圧を所定レベル以下に抑える保護回路として機能する。保護素子60は、基板10の実装面10aに形成された一対の電極パッドpdに実装される。
図3の例では、レーザダイオード30のp側電極が実装面20a上の電極パッドpdに電気的に接合している。基板10の実装面10a上の一対の電極パッドpdのアノード側は、実装面20a上の電極パッドpdに導電性ワイヤーwを介して電気的に接続されている。一対の電極パッドpdのカソード側は、レーザダイオード30のn側電極に導電性ワイヤーwを介して電気的に接続されている。このように、保護素子60はレーザダイオード30に電気的に並列に接続され得る。
【0037】
図2を参照しながら、窓部50fで反射されるレーザ光14について詳しく説明する。
図2においてモニタ光が光検出器40に入射する様子が示されている。窓部50fの入射面50cおよび出射面50dのそれぞれで反射されるレーザ光14が代表的な光線によって模式的に示されている。実際の光線は窓部50fと空気との界面において屈折するが、簡単のため、
図2を含む添付図面において、屈折の様子は図示されていない。
【0038】
レーザダイオード30から出射されるレーザ光14は、窓部50fの入射面50cに入射するとき、気体と固体との間に存在する第1の界面を通過する。第1の界面は入射面50cに相当する。「気体」は空間Vの内部に存在する空気、または不活性ガスなどである。「固体」は窓部50fを構成している例えばガラスである。空気などの気体の屈折率は約1.0であるのに対して、ガラスの屈折率は例えば1.4以上である。このため、第1の界面は、屈折率が相対的に低い誘電体(空気)と屈折率が相対的に高い誘電体(ガラス)との界面である。その結果、いわゆる「固定端反射」が生じ、レーザ光14の一部が反射される。
【0039】
レーザ光14が窓部50fの内部を透過して出射面50dから出射されるとき、固体と気体との間に存在する第2の界面を通過する。第2の界面は出射面50dに相当する。第2の界面は、屈折率が相対的に高い誘電体(例えばガラス)と屈折率が相対的に低い誘電体(例えば空気)との界面である。第2の界面においても、いわゆる「自由端反射」が生じ、レーザ光14の一部が反射される。
【0040】
このように、レーザダイオード30から出射されるレーザ光14のうち窓部50fによって反射される割合は、窓部50fの入射面50cおよび出射面50dの反射率によって決まる。入射面50cおよび出射面50dの反射率、すなわち、第1および第2の界面における反射率は、後述するように、例えば、1層の誘電体層または積層された複数の誘電体層から構成された光学膜によって調整され得る。なお、反射率は、光の波長に依存するため、本開示における「反射率」は、レーザダイオード30から出射されるレーザ光14のピーク波長における反射率を意味する。
【0041】
前述したように、レーザダイオード30から出射されるレーザ光14は拡がりを有し、レーザ光14の出射端面30eに平行な面において楕円形状のFFPを形成する。楕円の長軸は、レーザダイオード30の積層方向に平行であり、
図2の例において、楕円の長軸はY軸方向を向いている。このため、レーザダイオード30から出射される、レーザ光の中心軸に対して上方(Y軸の正方向)に拡がるレーザ光の一部が窓部50fの入射面50cで反射され、その反射光の一部がサブマウント20およびレーザダイオード30に遮られることなく、光検出器40に達する。同様に、レーザダイオード30から出射される、レーザ光の中心軸に対して上方に拡がるレーザ光の一部が窓部50fを透過して出射面50dで反射され、その反射光の一部がサブマウント20およびレーザダイオード30に遮られることなく、光検出器40に達する。レーザダイオード30から出射されたレーザ光14の一部は、窓部50fを透過して外部に出射される。本実施形態において、光検出器40をレーザダイオード30の直上に配置することによって、レーザダイオード30から出射されるレーザ光14が受光部40rに直接入射することが回避される。代わりに、窓部50fで反射された反射光を受光部40rに入射することができる。
【0042】
窓部50fの入射面50cおよび出射面50dの反射率が高いほど、光検出器40の受光部40rに入射するレーザ光の強度は増加する。しかし、光源装置100から外部に取り出して利用されるレーザ光の光強度は、窓部50fの入射面50cおよび出射面50dの反射率が低いほど、増加する。従って、十分に高いレーザ光14の光強度を実現しながら、必要なレベルのモニタが可能となるように窓部50fの入射面50cおよび出射面50dの反射率がそれぞれ調整され得る。
【0043】
窓部50fの入射面50cおよび出射面50dのぞれぞれの反射率は、反射させる光のピーク波長に対して、例えば1%以上10%以下とすることが好ましい。換言すると、入射面50cおよび出射面50dのそれぞれの光透過率は、例えば90%以上99%以下とすることが好ましい。
【0044】
図5を参照しながら、窓部50fにおける入射面50cおよび出射面50dの反射率が調整された光源装置100の構成例を説明する。
図5は、本実施形態に係る光源装置100の他の構成例のYZ平面に平行な断面図である。窓部50fの入射面50cおよび出射面50dの少なくとも一方に反射率調整部が形成され得る。反射率調整部によって、レーザダイオード30から出射されるレーザ光14の光量および光検出器40のモニタに必要な光量を調整することが可能となる。
【0045】
図5の例において、入射面50cには反射率調整部55aが形成され、出射面50dには反射率調整部55bが形成されている。反射率調整部55aおよび反射率調整部55bのそれぞれは、例えば、1層の誘電体層、または、積層された複数の誘電体層から構成された誘電体多層膜であり得る。反射率調整部55aおよび反射率調整部55bは、それぞれ、「反射防止膜」と呼ばれる光学膜の構成と同様の構成を有している。しかし、一般の反射防止膜は、可能な限り反射を抑制するように、極めて低い反射率、例えば0.5%以下の反射率を有している。これに対して、本開示の実施形態において、第1および第2の界面の少なくとも一方の界面から、モニタに必要なレベルの反射光を得る必要がある。こ
のため、反射率調整部55aおよび反射率調整部55bの反射率は、両方を含む全体として、例えば1%以上10%以下の範囲になるように決定される。
【0046】
反射率調整部の膜厚、材料を変えることによって、反射面の反射率を制御することが可能となる。これは、モニタ光の光量を制御できることを意味する。例えば、平均出力500mWのレーザダイオードを利用する場合、反射率調整部の反射率を1%に設定することで、5mW以下のモニタ光が得られる。または、平均出力100mWのレーザダイオードを利用する場合、反射率調整部の反射率を5%に設定することで、5mW以下のモニタ光が得られる。このように、反射率調整部の反射率を調整することによって、任意の強度のレーザ光に対し、所望の強度のモニタ光を得ることが可能となる。また、窓部50fによって反射される光の光量を抑えることにより、外部に出力される光の光量の低下を抑制することができる。その結果、モニタ光を高い精度で検出しつつ、かつ、高出力を維持することができる。
【0047】
ある一態様において、反射率調整部55aの反射率は、反射率調整部55bの反射率よりも高い。その場合、反射率調整部55aによって反射されたレーザ光14sがモニタに必要な光量を光検出器40に与えることができれば、反射率調整部55bの反射率は、一般の反射防止膜のように、0.5%以下の反射率を有していてもよい。従って、そのような低反射率の反射率調整部55bは、通常の「反射防止膜」と同様にして形成され得る。
【0048】
他の一態様において、反射率調整部55bの反射率は、反射率調整部55aの反射率よりも高い。その場合、反射率調整部55bによって反射されたレーザ光14tがモニタに必要な光量を光検出器40に与えることができれば、反射率調整部55aの反射率は、一般の反射防止膜のように、0.5%以下の反射率を有していてもよい。従って、そのような低反射率の反射率調整部55aは、通常の「反射防止膜」と同様にして形成され得る。入射面50cおよび出射面50dのうちの入射面50cの反射率を低反射率に調整することによって、レーザダイオードへの戻り光を低減できるという利点が得られる。また、出射面50dから光検出器40までの距離は、入射面50cから光検出器40までの距離よりも窓部50fの幅だけ長くなる。そのために、相対的に高反射率の反射率調整部55bによって反射されるレーザ光14tは光検出器40に到達し易くなる。
【0049】
このように、反射率調整部55aおよび反射率調整部55bの一方は、従来の反射防止膜と同様に極めて低い反射率を有していてよい。また、光検出器40の感度が高い場合、あるいは、反射光が効率よく光検出器40の受光部40rに入射する場合には、反射率調整部55aおよび反射率調整部55bの両方が、従来の反射防止膜と同様に極めて低い反射率を有していてもよい。
【0050】
また、反射率調整部55aおよび反射率調整部55bは、それぞれ、膜の形態を有している必要はない。ナノ粒子の粉末層またはモスアイ構造のように、波長よりも短いサイズの微細凹凸構造を入射面50cおよび/または出射面50dに形成してもよい。あるいは、入射面50cおよび/または出射面50dの表面を改質することにより、ガラス表面に内部よりも屈折率の低い領域を形成しても、反射率の調整は可能である。こうしてガラス表面に形成した改質領域によっても反射率調整部55aおよび反射率調整部55bを実現することができる。また、上記した反射率調整が可能な種々の構成を組み合わせてもよい。なお、反射率調整部55aおよび反射率調整部55bは、レーザ光14が透過する領域に選択的に形成されてもよいし、製造工程によっては、他の領域に拡がって形成されていてもよい。
【0051】
以下、
図6を参照しながら、光検出器40によるモニタのノイズを低減する構成例を説明する。
【0052】
図6は、本実施形態に係る光源装置100のさらに他の構成例のYZ平面に平行な断面図である。光源装置100は偏光子70をさらに備えることができる。偏光子70は窓部50fと光検出器40との間の光路上に配置され得る。
図6の例において、光検出器40の受光部40rの前面に偏光子70が配置されている。レーザダイオード30から四方に放射される相対的に弱い非レーザ光は非偏光であるために、偏光子70を用いて強度を半減することができる。その結果、受光部40rに入射する非レーザ光の光量を少なくすることができ、光検出器40によるモニタのノイズを低減することが可能となる。偏光子70の偏光透過軸は、レーザダイオード30から出射されるレーザ光14の偏光方向に整合している。レーザダイオード30から出射され、窓部50fによって反射されたレーザ光14の反射光は、偏光状態を保持したまま、偏光子70に入射する。従って、このような反射光は偏光子70を透過して光検出器40によって適切に検出される。
【0053】
図7から
図10を参照して、本実施形態に係る光源装置100の代表的な変形例を幾つか説明する。
【0054】
図7から
図10は、それぞれ、本実施形態に係る光源装置100の変形例のYZ平面に平行な断面図である。それぞれの図には、レーザダイオード30から出射されるレーザ光の中心軸が模式的に示されている。これらの変形例において、窓部50fの入射面50cおよび出射面50dのうち少なくとも一方は、レーザダイオード30から出射されるレーザ光14の光軸(つまり、中心軸)に90°以外の角度で交差している。
【0055】
図7の例において、窓部50fが基板10の実装面10aの法線方向(Y軸に平行な方向)から傾斜している。枠体50のうちの、レーザダイオード30に対し窓部50fとは反対側に位置する背面部50hは傾斜していない。
図7に示されるように、入射面50cおよび出射面50dの傾斜角度を、それぞれ、θ
1およびθ
2で定義する。θ
1とθ
2とは、等しくてもよいし、異なっていてもよい。
図7の例において、θ
1およびθ
2の両方が90°よりも小さい。このため、入射面50cおよび出射面50dは、レーザダイオード30から出射されるレーザ光14の光軸に対して直交していない、すなわち、90°以外の角度で交差している。
【0056】
入射面50cおよび出射面50dが傾斜しているために、傾斜した面で反射する光を光検出器40に向けることが容易となる。結果として、レーザダイオード30への戻り光を適切に低減することができる。
【0057】
窓部50fによる反射光の中心軸も、入射面50cおよび出射面50dのそれぞれの傾斜角度に依存して変化し得る。窓部50fの入射面50cおよび/または出射面50dによって反射したより多くの光が光検出器40に達するように入射面50cおよび/または出射面50dの傾斜角度を調整することによって、モニタに必要な十分な光量を得ることができる。その結果、光検出器40の検出精度を向上させることが可能となる。このとき、必要に応じて、光検出器40の受光部40rの位置および角度を調整することによっても、受光量の低下を抑えることが可能である。
【0058】
図2の例に示されるように、窓部50fが傾斜していない場合、レーザ光14の中心軸を通る光は、窓部50fを透過して外部に出射される。これに対し、
図7の例に示されるように、窓部50fの入射面50cおよび出射面50dのうち少なくとも一方を傾斜させることによって、レーザ光14の中心軸を通る光の一部が窓部50fによって反射され光検出器40に到達し得る。レーザ光14の中心軸を通る光と比較して、ビーム断面の周辺を通る光の出力は、とりわけ裾野になればなるほどレーザ出力などに応じて変化し易い傾向がある。そこで、窓部50fを傾斜させることによって、レーザ光14の中心軸を通る
光の一部を光検出器40に向けることができる。このことは、モニタ光の検出精度を向上させる点において、大変有利である。
【0059】
図8の例においては、背面部50hも、窓部50fと同様に、基板10の実装面10aの法線方向から傾斜している。
図9の例においては、窓部50fの入射面50cおよび出射面50dのうちの出射面50dだけが所定の傾斜角度で傾斜している。
図10の例においては、窓部50fの入射面50cおよび出射面50dのうちの入射面50cだけが所定の傾斜角度で傾斜している。いずれの構成においても、入射面50cまたは出射面50dの傾斜角度を調整することによって、モニタに必要な十分な光量を得ることができる。さらに、入射面50cおよび/または出射面50dの傾斜角度の調整および上述した反射率調整部を組み合わせることによって、所望のレベルの反射光を得ることが可能となる。
【0060】
本開示の実施形態における光源装置100は、複数のレーザダイオード30および複数の光検出器40を備え得る。
【0061】
図11から
図13Aを参照して、複数のレーザダイオード30および複数の光検出器40を備える光源装置100の構成例を説明する。
図11は、本実施形態に係る、複数のレーザダイオード30および複数の光検出器40を備える光源装置100のXY平面に平行な断面図である。
図12は、基板10上のサブマウント20に固定された複数のレーザダイオード30を模式的に示す斜視図である。
図13Aは、基板11に実装された複数の光検出器40を模式的に示す斜視図である。以下、既に説明した光源装置の構成と異なる点を主に説明する。
【0062】
図11の例において、光源装置100は、複数のレーザダイオード30および複数の光検出器40を備える。複数のレーザダイオード30は、第1レーザダイオード30a、第2レーザダイオード30bおよび第3レーザダイオード30cを含む。複数の光検出器40は、第1光検出器40a、第2光検出器40bおよび第3光検出器40cを含む。以降、第1レーザダイオード、第2レーザダイオードおよび第3レーザダイオードを、それぞれ、単に「レーザダイオード」と表記し、第1光検出器、第2光検出器および第3光検出器を、それぞれ、単に「光検出器」と表記する。3つのレーザダイオード30a、30b、30c、3つの光検出器40a、40bおよび40cは空間Vの内部に気密に封止され得る。
【0063】
3つのレーザダイオード30a、30bおよび30cは、サブマウント20に接合された状態で基板10の実装面10aに実装されている。
図11の例における隣り合う2つのレーザダイオードの間隔は、例えば50μm以上2000μm以下であり得る。レーザダイオード30a、30bおよび30cからそれぞれ出射されるレーザ光14a、14bおよび14cは窓部50fの入射面50cに入射し、一部が窓部50fを透過して出射面50dから出射し、一部が窓部50fで反射される。レーザダイオード30a、30bおよび30cのそれぞれから出射されるレーザ光14a、14bおよび14cの発光ピーク波長は互いに異なっている。本実施形態において、レーザダイオード30aは赤色の光を放射し、レーザダイオード30bは緑色の光を放射し、レーザダイオード30cは青色の光を放射する。ただし、これに限定されない。この構成例によれば、RGBの3原色のレーザダイオードを1パッケージに実装した光源装置が実現される。
【0064】
基板10は、3つのレーザダイオード30a、30bおよび30cに電気的に接続された導体配線層を有する。複数の保護素子60が基板10の実装面10aに設けられている。複数の保護素子60は3つの保護素子60a、60bおよび60cを含む。3つの保護素子60a、60bおよび60cのそれぞれが、実装面10aに形成された一対の電極パッドpdに電気的に接合されている。保護素子60aはレーザダイオード30aに電気的
に並列に接続され、保護素子60bはレーザダイオード30bに電気的に並列に接続され、保護素子60cはレーザダイオード30cに電気的に並列に接続されている。
【0065】
基板11は、3つの光検出器40a、40bおよび40cに電気的に接続された導体配線層を有する。
図13Aに示されるように、3つの光検出器40a、40bおよび40cが基板11の実装面11aに直接または間接的に支持される。3つの光検出器40a、40bおよび40cのそれぞれは、実装面11a上の一対の電極パッドpdに電気的に接合されている。
【0066】
図11の例において、光検出器40aはレーザダイオード30aの直上に位置している。光検出器40aは受光部40arを有し、レーザダイオード30aから出射されるレーザ光14aのうち窓部50fによって反射された光を受光部40arで受けてレーザ光14aの強度のモニタを行う。光検出器40bはレーザダイオード30bの直上に位置している。光検出器40bは受光部40brを有し、レーザダイオード30bから出射されるレーザ光14bのうち窓部50fによって反射された光を受光部40brで受けてレーザ光14bの強度のモニタを行う。光検出器40cはレーザダイオード30cの直上に位置している。光検出器40cは受光部40crを有し、レーザダイオード30cから出射されるレーザ光14cのうち窓部50fによって反射された光を受光部40crで受けてレーザ光14cの強度のモニタを行う。光検出器40a、40b、40cはそれぞれ、レーザダイオード30a、30b、30cの直上に位置しているため、レーザ光14a、14b、14cが直接入射することを抑制している。また、各光検出器は、対応するレーザ光の強度のモニタを行なうことができるため、モニタ精度を向上することができる。
【0067】
図13Bは、基板11に実装された、複数の光検出器が一体となった構成を模式的に示す斜視図である。図示されるように、3つの独立した光検出器40a、40bおよび40cに代えて、それらの機能を1チップに実装した光検出器41を利用し得る。光検出器41は、レーザ光14a、14bおよび14cをそれぞれ受光する受光部40ar、40brおよび40crを有する。個々の光検出器を実装する場合と比べ、光検出器41を利用すれば、光検出器全体の実装スペースを低減することが可能となる。これは光源装置の小型化にとって有利である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本開示の光源装置は、ヘッドマウントディスプレイ、プロジェクタ、照明装置などの光源として好適に利用され得る。
【符号の説明】
【0069】
10:第1基板、10a:第1実装面、11:第2基板、11a:第2実装面、14a、14b、14c:レーザ光、20:サブマウント、30、30a:第1レーザダイオード、30b:第2レーザダイオード、30c:第3レーザダイオード、40、40a:第1光検出器、40b:第2光検出器、40c:第3光検出器、40ar、40br、40cr:受光部、41:光検出器、50:枠体、50c:入射面、50d:出射面、50f:窓部、55a、55b:反射率調整部、60、60a、60b、60c:保護素子、70:偏光子、100:光源装置、pd:電極パッド、w:導電性ワイヤー