(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178337
(43)【公開日】2024-12-24
(54)【発明の名称】その場でのリアルタイムのプラズマチャンバ条件監視
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20241217BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H05H1/46 L
H01L21/302 101C
H01L21/302 101M
H01L21/302 103
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024164697
(22)【出願日】2024-09-24
(62)【分割の表示】P 2019215016の分割
【原出願日】2019-11-28
(31)【優先権主張番号】201841045267
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】16/355,138
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】ツーイェン シェイ
(72)【発明者】
【氏名】シッダ レッディ クラクラ
(57)【要約】
【課題】その場かつリアルタイムのチャンバ状態監視のための方法を提供する。
【解決手段】方法は、チャンバ内の各ウェハについてチャンバ内のフリーラジカルの周波数及び波長をその場で監視する。フリーラジカルの周波数及び波長は、少なくとも1つの選択された化学製品と関連している。関連フリーラジカルをインデックスと比較する。インデックスは、少なくとも1つの選択された化学製品中の各化学物質についての目標範囲を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ内の各ウェハについて、チャンバ内のフリーラジカルの周波数及び波長をその場で監視する工程と、
フリーラジカルの周波数及び波長を少なくとも1つの選択された化学製品と関連付ける工程と、
関連フリーラジカルをインデックスと比較する工程であって、インデックスは、少なくとも1つの選択された化学製品中の各化学物質についての目標範囲を含んでいる工程とを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
(開示の分野)
本開示の実施形態は、概して半導体処理技術に関し、より詳細にはその場(インサイチュ、in-situ)での処理監視方法に関する。
【0002】
(関連技術の説明)
半導体製造は一連の処理を含み、この処理では、回路設計に従って、半導体(例えばシリコンウェハ)内に電気回路を製造する。これらの処理は一連のチャンバ内で行われる。現代の半導体製造施設で成功している操業では、ウェハ内に電気回路を形成する過程で、あるチャンバから別のチャンバへ移動する、ウェハの安定した流れが要求されている。そのような処理は必然的に種々の種類のエッチング副生成物を発生させる。副生成物のいくつかは、プラズマエッチング処理が行われるチャンバの内部表面上に堆積する。
【0003】
チャンバ壁などの内部表面上に副生成物が蓄積し続けることは、半導体製造に対して2つの課題を提示する。第1には、蓄積された副生成物の構造は安定していないことである。このために、副生成物はチャンバ壁から剥がれ落ちやすく、ウェハ表面上に落下し得る粒子や破片を生成し、2本の導電線間の短絡や、上層が破片を覆うことができない場所での不連続など、製品欠陥の原因となる。第2には、チャンバ壁上に残っている副生成物はプラズマと反応し、エッチング性能に悪影響を及ぼすことである。これは、「処理ドリフト」とも呼ばれる現象である。
【0004】
エッチング副生成物の影響を軽減するために、チャンバ壁から堆積物を定期的に除去するチャンバクリーニングが必要である。これを実行するには、チャンバを製造から外し、クリーニングプラズマをチャンバ内に導入する。このプラズマは堆積物と反応し、この反応の生成物はチャンバから排出される。しかしながら、そのようなチャンバクリーニングの後には、清浄なチャンバ壁のために、直ちに製品ウェハのエッチングを行うにはこのチャンバが適さなくなることが観察されている。
【0005】
チャンバが開放されているとき、水分が環境からチャンバに導入される。水分は、チャンバの性能に影響を与え得る汚染物質である。チャンバシーズニングは、一連のブランクのシリコンウェハをエッチングして、製品ウェハのエッチングに適したチャンバ壁の状態を回復する手順である。チャンバシーズニングの後、酸化ケイ素の薄層がチャンバ壁を覆っている。チャンバシーズニングの後、チャンバは認定サイクルを通過するが、ここでは認定ウェハが製造されて、検査され、チャンバを製造サイクルに戻してよいかどうかが判断される。認定ウェハが仕様を満たしている場合、チャンバは製品ウェハエッチングに戻される。認定ウェハが仕様を満たしていない場合、より多くのウェハが処理されて、チャンバがさらにシーズニングされ、その後、より多くの認定ウェハが処理され、検査される。
【0006】
チャンバのシーズニング時間とウェハの認定時間は非常に長い時間を要する。認定ウェハが最初に仕様を満たさない場合、チャンバの再シーズニングと認定のためのより多くのウェハの試験とに、さらなる時間が費やされる。こうして、チャンバの停止時間が長くなる。
【0007】
したがって、処理監視及びチャンバシーズニングの方法であって、エッチング速度の測定に頼らず、故に製造又はシーズニングの中断が不必要な方法を開発することが、大いに望まれている。そのような方法でチャンバ壁の状態を監視することで、処理ドリフト及びチャンバシーズニングについてのリアルタイムで正確な情報を提供することも好ましい。
【概要】
【0008】
本明細書における実施形態は、概して半導体処理技術に関し、より詳細にはその場での処理監視方法に関する。本明細書におけるいくつかの実施形態は、概してその場かつリアルタイムのチャンバ状態監視のための方法に関する。例えば、一実施形態では、チャンバ内の各ウェハについて、チャンバ内のフリーラジカルの周波数及び波長がその場で監視される。フリーラジカルの周波数及び波長は、少なくとも1つの選択された化学製品と関連している。関連フリーラジカルはインデックスと比較される。インデックスは、少なくとも1つの選択された化学製品中の各化学物質についての目標範囲を含む。
【0009】
他の一実施形態では、少なくとも1枚のウェハがチャンバに挿入される。ガスがチャンバ内に注入される。ガスはフリーラジカル源を含む。プローブガス中のフリーラジカルの周波数及び波長が監視される。フリーラジカルの周波数及び波長は、少なくとも1つの選択された化学製品と関連している。関連フリーラジカルはインデックスと比較される。インデックスは、少なくとも1つの選択された化学製品中の各化学物質についての目標範囲を含む。その場のチャンバ条件処方策は比較に応じて、関連フリーラジカルが目標範囲内にない場合に、変更される。
【0010】
さらに別の一実施形態では、チャンバ内の各ウェハについて、チャンバ内のフッ素のフリーラジカルの周波数及び波長がその場で監視される。フッ素の指標となるフリーラジカルの周波数及び波長がインデックスと比較される。このインデックスには、フッ素の目標範囲が含まれている。フッ素の指標となるフリーラジカルが目標範囲の下限に近づいたときのチャンバ内のフッ素レベルを上昇させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の上記の構成を詳細に理解することができるように、上記に簡単に要約した本開示のより具体的な説明を、実施形態を参照して行う。そして、この実施形態のいくつかは添付図面に示されている。しかしながら、本開示は他の等しく有効な実施形態を含み得るので、添付図面は本開示の典型的な実施形態を示しているに過ぎず、従ってこの範囲を制限していると解釈するべきではないことに留意すべきである。
【
図1】本明細書に開示の実施形態による誘導結合プラズマ反応器の概略図である。
【
図2】本明細書に開示の実施形態によるその場処理監視のための方法を示している。
【
図3】本明細書に開示の実施形態によるグラフを示す。
【
図4】本明細書に開示の実施形態によるグラフを示す。
【0012】
理解を容易にするため、可能な限り、同一の符号を使用して、これらの図面に共通の同一の要素を示す。
【詳細な説明】
【0013】
以下の説明では、具体的な詳細事項を数多く述べることで、本開示をより完全に理解してもらおうとしている。しかし、当業者には明らかなように、異なる構成を使用して様々な変更を、本開示の範囲から逸脱することなく、加えることができる。他の諸実施例では、開示内容が不明瞭になることを避けるために、よく知られている構成は説明されない。したがって、本開示は、本明細書に示されている特定の例示的な実施形態に限定されるとは考えられず、その類いのすべての代替実施形態は添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0014】
図1に以下の反応器の概略図を示す。プラズマ反応器/チャンバ100は、上部チャンバ本体105と下部チャンバ本体108とを備える。上部チャンバ本体105の上には誘電体ドーム120がある。チャンバ壁118は下部チャンバ本体を囲む。ドームの材質は
アルミナであり、チャンバ壁118の材質は陽極酸化アルミニウムである。誘電体ドーム120及びチャンバ壁118は一定の温度(ドームは80℃、チャンバ壁118は65℃)に維持される。
【0015】
高密度プラズマは、12.56MHzの高周波(RF)電源110を誘電体ドーム120上の誘導コイル115に印加することによって生成される。この誘電体ドーム120は上部チャンバ本体105の上に設置されている。静電チャック(図示せず)を備えたカソード125は、半導体ウェハ130を保持する。この半導体ウェハ130はまた、エッチングの間にヘリウム裏面冷却によって熱的に制御される。13.56MHzの別個のRFバイアス電源135がカソード125に印加され、ウェハ130へのイオン照射エネルギーを制御する。チャンバ100は、ドライメカニカルポンプ(図示せず)が補助する2000リットル/秒のターボ分子ポンプ140によって排気される。
【0016】
処理ガスは、チャンバ壁の4つのガス分配リング145を通って、制御された流量で導入される。チャンバ圧力はスロットル弁150によって指定値に維持される。プリズム162、モノクロメータ164及びフォトダイオードアレイ(PDA)検出器166を備える光学分光器160を使用して、発光スペクトルを記録する。光信号はチャンバ内のセンサ170から収集され、マルチストランド光ファイバ175を介して送られる。センサ170はそのデータを分光器160に送信する。分光器160は、諸フリーラジカルをそれらの周波数及び波長に関連する化学物質に分類する。本明細書で使用される「化学物質」は、化学製品及び化学化合物を含むと広く定義される。分光器160は、フリーラジカルを化学物質(例えば、フッ素又は酸素)に、及び/又は化学化合物(例えば、硝酸フッ素又は硝酸ケイ素)に分類し得る。プロセッサリソースを節約するために、顧客/エンドユーザーは識別する化学物質を選択できる。
【0017】
CPU182、メモリ184、及びCPU182のためのサポート回路186を備える制御システム180はプラズマ反応器100の様々な構成要素を制御する。メモリ184に格納されているソフトウェアルーチン又は一連のプログラム命令をCPU182が実行すると、反応器100は本明細書に開示される、材料の処理を実行する。様々な実施形態では、メモリ184はプログラム(図示せず)も含んで、本明細書に記載の実施形態を実施する。
【0018】
他の諸実施形態では、メモリ184はプログラム(図示せず)を含んで、フリーラジカルの波長及び周波数に基づいてチャンバ100内の化学物質を識別し、目標範囲と関連フリーラジカルの周波数及び波長との間の関係に基づいて警告を出し、チャンバ100内のフリーラジカルの周波数及び波長をその場で監視することによってグリーン-2-グリーンタイム(Green-2-Green Time)を増加させる。
【0019】
プロセッサ182は、従来からのサポート回路186(電源、クロック回路、キャッシュメモリなど)の他に、メモリ184に格納されているソフトウェアルーチン(図示せず)の実行を支援する回路とも協働する。こうして、ソフトウェア処理として本明細書で論じる処理工程のいくつかを記憶装置(例えば、光学ドライブ、フロッピードライブ、ディスクドライブなど)からロードし、メモリ184内に実装してプロセッサ182で動作させることが企図される。したがって、本開示の様々な工程及び方法は、コンピュータ可読媒体に格納され得る。
【0020】
チャンバ100は定期的に予防保全(「PM」)整備を必要とし、この予防保全整備を本明細書では「PMサイクル」と呼ぶ。チャンバ100を製造から外して、そのツールの性能に基づいてPMサイクルを施してもよい。PMサイクルは、「マイナーPM」サイクル又は「メジャーPM」サイクルの形をとることができる。マイナーPMサイクルではほ
とんどの部品は変更されず、他方、メジャーPMでは多くの部品が変更される。PMを実行するには、チャンバ100を開放し、チャンバ100の外部の雰囲気にさらす必要がある。チャンバ100内でより多くの部品を交換することで、チャンバ100はより長時間開放され、チャンバ100内での水分(例えば、OH)への曝露が増すことになる。チャンバ100内に導入された部品もまた、チャンバ100内に水分(例えば、OH)を持ち込む。
【0021】
チャンバ100を製造に戻すためには、チャンバ100は、シーズニングサイクルと認定サイクルとを受ける。本明細書に記載の諸実施形態によると、化学物質の波長及び周波数を監視して、シーズニングサイクルと認定サイクルを短縮し得る。例証のため、シーズニングサイクルと認定サイクルの間のOHレベルの変化を
図3に示す。
【0022】
図2は、処理チャンバ100内の選択されたガスの周波数及び波長をその場で監視するための例示的な方法200を示す。例えば、シーズニングサイクルの間に、方法200はブロック202から始まり、ブロック204へ進む。ブロック204で、センサ170はチャンバ100内のガスのフリーラジカルの周波数及び波長をその場で監視する。
【0023】
ブロック206で、諸フリーラジカルは、それらの周波数及び波長に基づいて、少なくとも1つの化学製品と関連付けられる。例えば、塩素の指標となる波長及び周波数を有するフリーラジカルは塩素に関連付けられており、塩素用のチャネルに分類される。それらの周波数及び波長によって関連付けられ得る他のガスの例には、窒化炭素、酸素、フッ素、キセノン、炭素、アルゴン、ケイ素、窒化ケイ素、水素、水素化物がある。
【0024】
加えて、ある波長及び周波数の第1ケイ素は、第1ケイ素とは異なる波長及び周波数の第2ケイ素とは異なるように監視及び分類し得る。様々な実施形態では、(例えば、顧客が)選択を行って、1つの化学物質(製造サイクルの間のフッ素など)又は化学物質の任意の組み合わせ(シーズニングサイクルの間に通常、チャンバ内で見つかるすべての化学物質)を監視する。
【0025】
ブロック208で、各チャネル内のフリーラジカル(すなわち関連フリーラジカル)をインデックス(図示せず)と比較する。インデックスは、少なくとも1つの化学製品中の各化学物質についての目標範囲を含む。例えば、1つの化学物質(例えばフッ素)が選択されている場合、フッ素の目標範囲は、チャンバ100内にあると識別されたフッ素に関連するフリーラジカルと比較するために選択される。ユーザは、どの関連フリーラジカルを監視するかを選択してもよい。ユーザはまた、関連フリーラジカルの強度の変化をグラフ化してもよい。例えば、シーズニングサイクルの間に、チャンバ100内で部品を交換し、次いでチャンバ100を閉じる。OHの指標となるフリーラジカルの波長及び周波数を監視し、OHのためのインデックスと比較してもよい。シーズニングサイクルの間に、シーズニングウェハを処理することにより、チャンバ100内のOHレベルが低下する。
【0026】
任意選択で、関連フリーラジカルをグラフ化してもよい。例えば、OH濃度から、チャンバ100内OH濃度が減少するグラフ表示が得られる。OHに関連するフリーラジカルをその場で監視しながら連続的にシーズニングウェハを処理することで、顧客はウェハを処理してOHを減少させ、ついには、OHは最小レベルになり得る(すなわち、OHレベルは安定しており、もはや急速には低下しない)。
【0027】
新しい部品をチャンバ100内に配置したときにOHレベルが減少する曲線は、クリーニングされた部品を用いたときにOHレベルが減少する曲線とは、25枚のウェハをシーズニングしている期間で見ると、異なっている。
図3は、曲線302と曲線304を有するグラフ300を示す。曲線302は、新しい部品がチャンバ100内にあるときの、各
シーズニングウェハ後のOH濃度の減少を示す。曲線304は、クリーニングされた部品がチャンバ100内にあるときの、各シーズニングウェハ後のOH濃度の減少を示す。チャンバ100内のOHの定常(変化率が小さい、又は変化がない)状態は、新品の部品と中古の部品とでは異なる。
【0028】
OHが許容レベル又は定常レベルにあるとき、フッ素の指標となるフリーラジカルの波長及び周波数を監視して、チャンバ100内の部品によるチャンバ100内のフッ素レベルを測定してもよい。チャンバ100内の新しい部品は、クリーニングされた中古の部品よりも高いフッ素レベルをもたらすであろう。新しい部品を使用するとエッチングレートが変わって、ウェハが処理され得ることから、エッチングレートがより速くなる場合がある。クリーニングされた部品を使用すると、(新しい部品がもたらすレベルと比較して、)より低いフッ素レベルがもたらされ、エッチングレートが低下する場合がある。
【0029】
フッ素レベルとOHレベルが許容レベルになると、シーズニングサイクルは終了になる。シーズニングサイクルが終了した後、認定サイクルのためにダミーウェハが処理される。OHレベルはその場で監視されており、OHの減少率が最小になる(又はOHが存在しなくなる)までウェハが処理されるので、認定時間は大幅に短縮される。例えば、25枚のウェハをシーズニングした後に認定サイクルを実行すれば、10枚のウェハをシーズニングした後に認定サイクルを実行する場合よりも、認定時間は短縮される。加えて、本明細書に開示される方法によれば、シーズニングサイクルを実行する必要なしにシーズニングとその後の認定試験を行い、認定サイクルを実行してから、ウェハが最初の認定に不合格の場合にシーズニングサイクルを再実行し、その後、2回目の認定サイクルを実行し得る。加えて、その場で関連フリーラジカルを監視することで、新しい部品やクリーニングされた部品(マイナーPMとメジャーPMのどちらでも)などの変化しやすいものが使用される場合の効率又はあるチャンバを他のチャンバと比較して使用した場合の変化が示される。
【0030】
図2に戻る。方法200はまた、任意選択のブロック210及び212を含む。任意選択のブロック210で、その場のチャンバ条件(「ICC」)処方策は、関連フリーラジカルが目標範囲内にない場合、比較に応じて変更される。例えば、関連フリーラジカルが目標範囲内にない場合、化学物質がチャンバに加えられる速度が変更され、エッチトレンチが変更される可能性がある。
【0031】
任意選択のブロック212で、関連フリーラジカルが目標範囲を下回った場合、チャンバ100を製造サイクルから外して、整備、シーズニング及び認定試験のために予防保全を施してもよい。関連フリーラジカルが目標範囲内にある場合、チャンバ100を再び製造サイクルに戻してもよい。
【0032】
また、本明細書に開示される実施形態を用いて、平均クリーニング間隔時間を増加させてもよい。加えて、フリーラジカルの波長及び周波数をその場で監視することにより、必要に応じて化学物質を加えることが可能になる。例えば、
図4には、従来技術に対して、本明細書に開示された実施形態によりフッ素レベルをその場で監視し、増加させた、図解形式の比較400が示されている。図解形式の比較400は目標範囲402を含み、この目標範囲402は、フッ素レベルの許容動作範囲を示している。非許容レベル404は、フッ素レベルが非許容レベル404を下回った場合に、チャンバ100を製造から外して予防保全に置く必要があることを示す。波形406は、フッ素が、予防保全のレベルまで低下し、製造に戻るレベルまで復帰したことを示している。波形408は、本明細書に開示されている物質を利用しており、フッ素の指標となるフリーラジカルの波長及び周波数をその場で監視する工程と、フッ素が目標範囲の下限に近づいているときに、フッ素レベルを増加させる工程とを含む。フッ素を加えた結果が、波形部分410に示されている。
やがて時間が経過すると、フッ素レベルが低下し始めることが、波形部分412に示されている。フッ素レベルが再び目標範囲の下限に近づくと、フッ素を再びチャンバ100に加え得る。その場で監視し、チャンバ内にフッ素を繰り返し加えることによって、平均クリーニング間隔時間を長くし得る。例えば、平均クリーニング間隔時間を、マイナーPMもメジャーPMも必要なく、600RF時間をはるかに超えて増加させ得る。
【0033】
本明細書では、「有する」、「含有する」、「含む」、「備える」などの用語は、記載の要素又は構成が存在することを示すが、さらなる要素又は構成が加わることを排除するものではないオープンエンド型の用語である。冠詞「a」、「an」、及び「the」は、文脈において別途明示されない限り、複数及び単数を含むものとする。
【0034】
上記は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他のさらなる実施形態を、その基本的な範囲から逸脱することなく創作することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲に基づいて定められる。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ内の各ウェハについて、チャンバ内のフリーラジカルの周波数及び波長をその場で監視する工程と、
フリーラジカルの周波数及び波長を少なくとも1つの選択された化学製品と関連付ける工程と、
関連フリーラジカルをインデックスと比較する工程であって、インデックスは、少なくとも1つの選択された化学製品中の各化学物質についての目標範囲を含んでいる工程とを含む方法。
【請求項2】
関連フリーラジカルが目標範囲内にない場合、比較に応じてその場のチャンバ条件処方策を変更する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
関連フリーラジカルが目標範囲を下回ったときにチャンバを予防保全サイクルに置く工程、及び
関連フリーラジカルが目標範囲内にあるときにチャンバを製造サイクルに置く工程のうちの1つをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
関連フリーラジカルは目標範囲内である、
関連フリーラジカルは目標範囲を下回っている、及び
関連フリーラジカルは目標範囲を超えている、のうちの少なくとも1つの場合に警告を出す工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ウェハ製造サイクル、及び
チャンバクリーニングサイクルのうちの1つの間に監視が行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
チャンバクリーニングサイクルは、
チャンバシーズニングサイクルと、
チャンバ認定サイクルとを含んでいる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
チャンバ内の水酸化物レベルが定常状態になるまでウェハをシーズニングする工程と、
認定サイクルを実施する工程とをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
監視する工程及び比較する工程は、
チャンバ内の水酸化物に関連するフリーラジカルの周波数及び波長を監視し、関連する水酸化物フリーラジカルを水酸化物のためのインデックスと比較する工程、及び
チャンバ内のフッ素に関連するフリーラジカルの周波数及び波長を監視し、関連するフッ素フリーラジカルをフッ素のためのインデックスと比較する工程のうちの少なくとも1つを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
監視する工程及び比較する工程は、
チャンバ内の水酸化物に関連するフリーラジカルの周波数及び波長を監視し、関連する水酸化物フリーラジカルを水酸化物のためのインデックスと比較する工程、
チャンバ内のフッ素に関連するフリーラジカルの周波数及び波長を監視し、関連するフッ素フリーラジカルをフッ素のためのインデックスと比較する工程、
チャンバ内の水素に関連するフリーラジカルの周波数及び波長を監視し、関連する水素フリーラジカルを水素のためのインデックスと比較する工程、
チャンバ内の塩素に関連するフリーラジカルの周波数及び波長を監視し、関連する塩素フリーラジカルを塩素のためのインデックスと比較する工程、
チャンバ内の酸素に関連するフリーラジカルの周波数及び波長を監視し、関連する酸素フリーラジカルを酸素のためのインデックスと比較する工程、
チャンバ内のアルゴンに関連するフリーラジカルの周波数及び波長を監視し、関連するアルゴンフリーラジカルをアルゴンのためのインデックスと比較する工程、
チャンバ内のキセノンに関連するフリーラジカルの周波数及び波長を監視し、関連するキセノンフリーラジカルをキセノンのためのインデックスと比較する工程、
チャンバ内のケイ素に関連するフリーラジカルの周波数及び波長を監視し、関連するケイ素フリーラジカルをケイ素のためのインデックスと比較する工程、
窒化ケイ素に関連するフリーラジカルの周波数及び波長を監視し、関連する窒化ケイ素フリーラジカルを窒化ケイ素のためのインデックスと比較する工程、及び
チャンバ内の炭素に関連するフリーラジカルの周波数及び波長を監視し、関連する炭素フリーラジカルを炭素のためのインデックスと比較する工程のうちの少なくとも1つを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
その場かつリアルタイムのチャンバ状態監視のための方法であって、
少なくとも1枚のウェハをプラズマチャンバに挿入する工程と、
プラズマチャンバにガスを注入する工程であって、ガスはフリーラジカル源を含んでいる工程と、
ガス中のフリーラジカルの周波数及び波長を監視する工程と、
フリーラジカルの周波数及び波長を少なくとも1つの選択された化学製品と関連付ける工程と、
関連フリーラジカルをインデックスと比較する工程であって、インデックスは、少なくとも1つの選択された化学製品中の各化学物質についての目標範囲を含んでいる工程とを含む方法。
【請求項11】
比較に応じてその場のチャンバ条件(「ICC」)処方策を変更する工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
監視する工程及び比較する工程は、
チャンバ内の水酸化物に関連するフリーラジカルの周波数及び波長を監視し、関連する水酸化物フリーラジカルを水酸化物のためのインデックスと比較する工程、及び
チャンバ内のフッ素に関連するフリーラジカルの周波数及び波長を監視し、関連するフッ素フリーラジカルをフッ素のためのインデックスと比較する工程のうちの少なくとも1つを含んでいる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
関連フリーラジカルは目標範囲内である、
関連フリーラジカルは目標範囲を下回っている、及び
関連フリーラジカルは目標範囲を超えている、のうちの少なくとも1つの場合に警告を出す工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
チャンバ内の各ウェハについて、チャンバ内のガスのフリーラジカルの周波数及び波長をその場で監視する工程と、
フリーラジカルの周波数及び波長を化学製品と関連付ける工程と、
関連フリーラジカルをインデックスと比較する工程であって、インデックスは各化学物質の目標範囲を含んでいる工程と、
比較に応じてチャンバ内のガス処方策を変更する工程とを含む方法。
【請求項15】
ガスはフッ素であり、ガス処方策は、フッ素の関連フリーラジカルが目標範囲の下限に近づくと、チャンバ内のフッ素レベルを増加させる工程を含んでいる、請求項14に記載の方法。