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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178536
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】筋電計測ユニット及び筋電計測装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/296 20210101AFI20241218BHJP
   A61B 5/389 20210101ALI20241218BHJP
   A61B 5/256 20210101ALI20241218BHJP
【FI】
A61B5/296
A61B5/389
A61B5/256 100
A61B5/256 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096733
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人千葉大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和洋
(72)【発明者】
【氏名】森 健一
(72)【発明者】
【氏名】古田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】下村 義弘
(72)【発明者】
【氏名】加藤 恵
(72)【発明者】
【氏名】水本 壮彦
(72)【発明者】
【氏名】夏 亜麗
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA04
4C127HH04
(57)【要約】
【課題】生体電極を取り付ける着用物の選択の自由度を向上することができる筋電計測ユニット及び筋電計測装置を提供する。
【解決手段】筋電計測ユニットは、生体に着用される着用物に取り付けられる筋電計測ユニットであって、基板と、前記基板に固定され、前記着用物を貫通する電極ピンと、前記基板に設けられ、前記電極ピンが電気的に接続された電子部品と、前記電極ピンの先端に着脱可能に取り付けられる生体電極と、前記電極ピンが前記着用物を貫通し、前記電極ピンの先端に前記生体電極が取り付けられた状態で、前記着用物に接触し、前記基板を前記着用物から離れる方向に付勢する弾性部材と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体に着用される着用物に取り付けられる筋電計測ユニットであって、
基板と、
前記基板に固定され、前記着用物を貫通する電極ピンと、
前記基板に設けられ、前記電極ピンが電気的に接続された電子部品と、
前記電極ピンの先端に着脱可能に取り付けられる生体電極と、
前記電極ピンが前記着用物を貫通し、前記電極ピンの先端に前記生体電極が取り付けられた状態で、前記着用物に接触し、前記基板を前記着用物から離れる方向に付勢する弾性部材と、
を有する筋電計測ユニット。
【請求項2】
前記電子部品に接続された発光素子を有する請求項1に記載の筋電計測ユニット。
【請求項3】
前記発光素子に給電する電源を有する請求項2に記載の筋電計測ユニット。
【請求項4】
前記基板に前記電極ピン及び前記生体電極が一対固定されている請求項1又は2に記載の筋電計測ユニット。
【請求項5】
前記電極ピンは、
芯材と、
前記芯材の周囲に設けられ、前記芯材から電気的に絶縁された導電層と、
を有し、
前記生体電極は、
前記芯材に接続される第1電極と、
前記導電層に接続される第2電極と、
を有する請求項1又は2に記載の筋電計測ユニット。
【請求項6】
前記弾性部材は、前記電極ピンが延びる方向において前記基板から前記電極ピンの先端に近づくほど、前記電極ピンから離れるように傾斜する形状を有する請求項1又は2に記載の筋電計測ユニット。
【請求項7】
生体に着用される着用物と、
前記着用物に取り付けられる複数の筋電計測ユニットと、
複数の前記筋電計測ユニットのうちの2つの筋電計測ユニット同士を電気的に接続する配線部材と、
を有し、
複数の前記筋電計測ユニットの各々は、
基板と、
前記基板に固定され、前記着用物を貫通する電極ピンと、
前記基板に設けられ、前記電極ピンが電気的に接続された電子部品と、
前記電極ピンの先端に着脱可能に取り付けられる生体電極と、
前記電極ピンが前記着用物を貫通し、前記電極ピンの先端に前記生体電極が取り付けられた状態で、前記着用物に接触し、前記基板を前記着用物から離れる方向に付勢する弾性部材と、
を有する筋電計測装置。
【請求項8】
前記電子部品に接続された発光素子を有する請求項7に記載の筋電計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、筋電計測ユニット及び筋電計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衣服等の着用物と複数の生体電極とが一体になった着用型生体信号提示装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-161025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の着用型生体信号提示装置では、生体電極が着用物と一体となっており、生体電極を用いて筋電計測を行う際には、生体電極と一体になった着用物以外の着用物に生体電極を取り付けることができない。つまり、従来の着用型生体信号提示装置においては、着用物の選択の自由度が低い。
【0005】
本開示は、生体電極を取り付ける着用物の選択の自由度を向上することができる筋電計測ユニット及び筋電計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態によれば、生体に着用される着用物に取り付けられる筋電計測ユニットであって、基板と、前記基板に固定され、前記着用物を貫通する電極ピンと、前記基板に設けられ、前記電極ピンが電気的に接続された電子部品と、前記電極ピンの先端に着脱可能に取り付けられる生体電極と、前記電極ピンが前記着用物を貫通し、前記電極ピンの先端に前記生体電極が取り付けられた状態で、前記着用物に接触し、前記基板を前記着用物から離れる方向に付勢する弾性部材と、を有する筋電計測ユニットが提供される。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、生体電極を取り付ける着用物の選択の自由度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る筋電計測ユニットを例示する断面図である。
図2】着用物に取り付けられた筋電計測ユニットの状態を例示する図(その1)である。
図3】着用物に取り付けられた筋電計測ユニットの状態を例示する図(その2)である。
図4】第1実施形態に係る筋電計測ユニットの使用方法の例を示す模式図である。
図5】第2実施形態に係る筋電計測ユニットを例示する図である。
図6】第2実施形態に係る筋電計測ユニットの使用方法の例を示す模式図である。
図7】第3実施形態に係る筋電計測装置を例示する平面図である。
図8】第3実施形態における筋電計測ユニットを例示する断面図である
図9】第3実施形態に係る筋電計測装置の使用方法の例を示す模式図である。
図10】第1実施形態に係る筋電計測ユニットの変形例の着用物に取り付けられた状態を例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
【0010】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。第1実施形態は筋電計測ユニットに関する。図1は、第1実施形態に係る筋電計測ユニットを例示する断面図である。
【0011】
図1に示すように、第1実施形態に係る筋電計測ユニット1は、主として、筋電センサ基板10と、電極ピン121及び122と、生体電極131及び132と、弾性部材40と、筐体50とを有する。
【0012】
筋電センサ基板10は、基板11と、電子部品12と、発光素子13と、電源14とを有する。電子部品12、発光素子13及び電源14は、基板11の一方の面に設けられている。電極ピン121及び122は、基板11の他方の面に設けられており、基板11の他方の面に垂直に延びる。基板11は、電極ピン121及び122と電子部品12とを電気的に接続する配線、電子部品12と発光素子13とを電気的に接続する配線、及び、電源14と発光素子13とを電気的に接続する配線等を含む。
【0013】
なお、本実施形態では、便宜上、基板11を基準にして、電子部品12、発光素子13及び電源14が設けられた一方の面側を上側又は一方の側、その反対側を下側又は他方の側とする。また、各部位の上側の面を上面、下側の面を下面とする。但し、筋電計測ユニット1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。また、平面視とは対象物を基板11の一方の面の法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を基板11の一方の面の法線方向から視た形状を指すものとする。
【0014】
基板11に複数の電子部品12が設けられていてもよい。電子部品12は、例えば、電極ピン121及び122から入力された信号を処理する信号処理回路を備えた集積回路チップ又は受動部品等である。発光素子13は、例えば発光ダイオード(light emitting diode:LED)であり、複数色に発光可能である。電源14は、電子部品12及び発光素子13に給電する。電源14は、例えばコイン電池である。集積回路チップは、電極ピン121及び122から入力された信号(筋活動電位に対応する電圧)に応じて発光素子13の発光色を変化させる。基板11は、例えば円形状の平面形状を有する。
【0015】
筋電センサ基板10は、基板11の一方の面、すなわち電子部品12、発光素子13及び電源14が設けられた面が内側になるようにして筐体50に収容されている。例えば、基板11の側面が筐体50の内面に接している。筐体50の材料は、例えばポリカーボネート、アクリル等の発光素子13が出射した可視光が透過可能な樹脂である。筐体50は、例えば円形状の平面形状を有する。
【0016】
弾性部材40は筐体50の下端に取り付けられており、筐体50を介して基板11に固定されている。弾性部材40は、電極ピン121及び122が延びる方向において基板11から電極ピン121及び122の先端に近づくほど、電極ピン121及び122から離れるように傾斜する形状を有する。すなわち、弾性部材40は、先端が切り取られたコーン状の立体形状を有し、下方ほど大きく広がっている。弾性部材40の材料は、例えばシリコーン樹脂等のゴムである。
【0017】
電極ピン121の先端(下端)は尖っており、先端の尖った部分よりも上方の側面に一対の凹部123が形成されている。一対の凹部123は電極ピン121の中心軸を間に挟んで対向している。また、電極ピン122の先端(下端)は尖っており、先端の尖った部分よりも上方の側面に一対の凹部124が形成されている。一対の凹部124は電極ピン122の中心軸を間に挟んで対向している。電極ピン121及び122の尖った先端部よりも上方の部分の直径は、例えば0.8mm~5mm程度である。
【0018】
生体電極131は、基部133と、一対の固定部134とを有する。基部133は、生体に接触する部分であり、例えば生体に接触する曲面133Aを有する。固定部134は電極ピン121の凹部123に嵌る凸部135を有する。例えば、固定部134は弾性を備えており、外部から力が印加されない状態(自然状態)では、一対の凸部135の頂部の間の距離が、電極ピン121の凹部123が形成されていない部分(先端の尖った部分も除く)の直径よりも小さい。
【0019】
生体電極131を電極ピン121の先端から上方に移動させると、固定部134が弾性変形し、凸部135の頂部の間の距離が広がりながら凸部135が電極ピン121の側面に接触する。そして、凸部135が凹部123に達すると、凸部135が凹部123に嵌る。凸部135が凹部123に嵌った状態における固定部134の上端の基板11の他方の面からの距離は、筐体50の下端から弾性部材40の先端までの距離(断面視での弾性部材40の長さ)よりも小さい。
【0020】
逆に、凸部135が凹部123に嵌った状態において、下方に移動するように生体電極131に力を印加すると、凹部123の曲面に倣って凸部135が移動し、凸部135が凹部123から離れる。そして、生体電極131を更に下方に移動させると、生体電極131が電極ピン121から外れる。
【0021】
生体電極132は、基部136と、一対の固定部137とを有する。基部136は、生体に接触する部分であり、例えば生体に接触する曲面136Aを有する。固定部137は電極ピン122の凹部124に嵌る凸部138を有する。例えば、固定部137は弾性を備えており、外部から力が印加されない状態(自然状態)では、一対の凸部138の頂部の間の距離が、電極ピン122の凹部124が形成されていない部分(先端の尖った部分も除く)の直径よりも小さい。
【0022】
生体電極132を電極ピン122の先端から上方に移動させると、固定部137が弾性変形し、凸部138の頂部の間の距離が広がりながら凸部138が電極ピン122の側面に接触する。そして、凸部138が凹部124に達すると、凸部138が凹部124に嵌る。凸部138が凹部124に嵌った状態における固定部137の上端の基板11の他方の面からの距離は、筐体50の下端から弾性部材40の先端までの距離(断面視での弾性部材40の長さ)よりも小さい。
【0023】
逆に、凸部138が凹部124に嵌った状態において、下方に移動するように生体電極132に力を印加すると、凹部124の曲面に倣って凸部138が移動し、凸部138が凹部124から離れる。そして、生体電極132を更に下方に移動させると、生体電極132が電極ピン122から外れる。
【0024】
このように、生体電極131は電極ピン121に着脱可能に構成されており、生体電極132は電極ピン122に着脱可能に構成されている。
【0025】
次に、筋電計測ユニット1の作用について説明する。図2及び図3は、厚さが異なる着用物に取り付けられた筋電計測ユニット1の状態を例示する図である。図2は、着用物9Aに取り付けられた筋電計測ユニット1の状態を例示し、図3は、着用物9Aよりも厚い着用物9Bに取り付けられた筋電計測ユニット1の状態を例示する。図2(a)及び図3(a)は斜視図であり、図2(b)及び図3(b)は断面図である。
【0026】
第1厚さT1を有する着用物9A及び第2厚さT2を有する着用物9Bは伸縮性を備えている。着用物9A及び9Bは生体に着用される。着用物9A及び9Bは生体の変形に伴って変形可能である。着用物9A及び9Bは、例えばサポータ、スパッツ又はストッキング等である。第2厚さT2は第1厚さT1よりも大きい。
【0027】
図2(a)及び図2(b)に示すように、筋電計測ユニット1を着用物9Aに取り付ける際には、生体電極131を電極ピン121から外し、生体電極132を電極ピン122から外した状態で、電極ピン121及び122に着用物9Aを貫通させる。
【0028】
次に、着用物9Aを貫通した電極ピン121の先端から上方に生体電極131を移動させる。この結果、固定部134が弾性変形し、凸部135の頂部の間の距離が広がりながら凸部135が電極ピン121の側面に接触する。そして、凸部135が凹部123に達し、凹部123に嵌る。つまり、生体電極131が電極ピン121に固定される。
【0029】
また、着用物9Aを貫通した電極ピン122の先端から上方に生体電極132を移動させる。この結果、固定部137が弾性変形し、凸部138の頂部の間の距離が広がりながら凸部138が電極ピン122の側面に接触する。そして、凸部138が凹部124に達し、凹部124に嵌る。つまり、生体電極132が電極ピン122に固定される。
【0030】
この時、着用物9Aは生体電極131及び132から上方に押し上げられるため、弾性部材40に着用物9Aから上方に力が印加され、弾性部材40は自然状態よりも外側に広がるように弾性変形する。従って、反作用により着用物9Aには弾性部材40から下方に力が加わる。このようにして、着用物9A及び弾性部材40が互いに密着し、筋電計測ユニット1を着用物9Aに固定することができる。
【0031】
また、筋電計測ユニット1を着用物9Aから取り付す際には、生体電極131を電極ピン121から引き抜き、生体電極132を電極ピン122から引き抜き、その上で電極ピン121及び122を着用物9Aから引き抜く。このようにして、筋電計測ユニット1を着用物9Aから取り外すことができる。
【0032】
図3(a)及び図3(b)に示すように、筋電計測ユニット1を着用物9Bに取り付ける際には、生体電極131を電極ピン121から外し、生体電極132を電極ピン122から外した状態で、電極ピン121及び122に着用物9Bを貫通させる。
【0033】
次に、筋電計測ユニット1を着用物9Aに取り付ける際と同様に、着用物9Bを貫通した電極ピン121の先端から上方に生体電極131を移動させ、着用物9Bを貫通した電極ピン122の先端から上方に生体電極132を移動させる。この結果、生体電極131が電極ピン121に固定され、生体電極132が電極ピン122に固定される。
【0034】
この時、着用物9Bは生体電極131及び132から上方に押し上げられるため、弾性部材40に着用物9Bから上方に力が印加され、弾性部材40は自然状態よりも外側に大きく広がるように弾性変形する。従って、反作用により着用物9Bには弾性部材40から下方に力が加わる。このようにして、筋電計測ユニット1を着用物9Aに取り付ける際と同様に、着用物9B及び弾性部材40が互いに密着し、筋電計測ユニット1を着用物9Bに固定することができる。
【0035】
また、筋電計測ユニット1を着用物9Bから取り付す際には、生体電極131を電極ピン121から引き抜き、生体電極132を電極ピン122から引き抜き、その上で電極ピン121及び122を着用物9Bから引き抜く。このようにして、筋電計測ユニット1を着用物9Bから取り外すことができる。
【0036】
次に、筋電計測ユニット1の使用方法の例について説明する。図4は、筋電計測ユニット1の使用方法の例を示す模式図である。
【0037】
図4(a)及び図4(b)に示すように、サポータ81に複数の筋電計測ユニット1が取り付けられ、各筋電計測ユニット1の生体電極131及び132がユーザ5の皮膚に接触するようにして、サポータ81がユーザ5の上腕に取り付けられる。サポータ81の着圧により生体電極131及び132が皮膚に密着する。この時、各筋電計測ユニット1において、生体電極131及び132が筋繊維と略平行になっていることが好ましい。
【0038】
図4(a)及び図4(b)には、ユーザ5がダンベル6を持ってトレーニングを行う例を示しており、図4(a)では、ユーザ5がダンベル6を上げ、図4(b)では、ユーザ5がダンベル6を下げている。また、図4(a)及び図4(b)において筋電計測ユニット1に付されている梨地の疎密は、密であるほど筋肉の活動が活発であることを示し、梨地の粗密に応じて発光素子13の発光色が相違する。例えば、最も密な筋電計測ユニット1では発光素子13の発色が赤色であり、最も疎な筋電計測ユニット1では緑色であり、疎密がこれらの中間の筋電計測ユニット1では発光素子13の発色が黄色である。
【0039】
ダンベル6を上げる場合と、ダンベル6を下げる場合とでは、筋肉の活動が異なる。例えば、ダンベル6を上げる場合には上腕二頭筋が活発に活動し、図4(a)に示すように、上腕の前面側に配置された筋電計測ユニット1が赤色に発光し(梨地が密)、後面側に配置された筋電計測ユニット1が緑色に発光する(梨地が疎)。一方、ダンベル6を下げる場合には上腕三頭筋が活発に活動し、図4(b)に示すように、上腕の後面側に配置された筋電計測ユニット1が赤色に発光し(梨地が密)、前面側に配置された筋電計測ユニット1が緑色に発光する(梨地が疎)。
【0040】
このように、第1実施形態に係る筋電計測ユニット1は、複数の着用物9A及び9Bに着脱可能である。すなわち、筋電計測ユニット1によれば、生体電極131及び132を取り付ける着用物の選択の自由度を向上することができる。筋電計測ユニット1は、電極ピン121及び122が貫通できれば、他の着用物に取り付けることも可能である。
【0041】
また、着用物9A及び9Bとの間で厚さが相違していても、弾性部材40の作用により、筋電計測ユニット1は安定して着用物9A及び9Bに固定される。従って、生体電極131及び132が生体に安定して密着し、例えば筋肉の収縮に付随して生じる筋活動電位に対応する電圧(電気信号)を安定して検出することができる。
【0042】
更に、筋活動電位に対応する電圧(電気信号)に応じて発光素子13の発光色が変化することで、ユーザ5は自身のどの部分の筋肉がどの程度活動しているかを視覚により即座に把握することができる。従って、例えばトレーニングの最中に力の入れ具合を調整することができる。また、筋力トレーニングに限らず、リハビリテーションの際にも、ユーザ5が自身のどの部分の筋肉がどの程度活動しているかを視覚により即座に把握することができる。
【0043】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、主として電極ピン及び生体電極の構成の点で第1実施形態と相違する。図5(a)は、第2実施形態に係る筋電計測ユニットを例示する断面図であり、図5(b)は、生体電極を例示する下面図である。
【0044】
図5(a)に示すように、第2実施形態に係る筋電計測ユニット2は、電極ピン121及び122に代えて電極ピン220を有し、生体電極131及び132に代えて生体電極230を有する。
【0045】
電極ピン220は、基板11の他方の面に設けられており、基板11の他方の面に垂直に延びる。電極ピン220は同軸構造を有する。電極ピン220は、芯材221と、導電層222とを有する。芯材221は、凹部が形成されていないことを除き、電極ピン121及び122と同様の形状を有する。すなわち、芯材221の先端(下端)は尖っている。芯材221の尖った先端部よりも上方の部分の直径は、例えば0.8mm~5mm程度である。導電層222は、芯材221の周囲に設けられ、芯材221から電気的に絶縁されている。導電層222の、芯材221の先端の尖った部分よりも上方の側面に一対の凹部223が形成されている。一対の凹部223は芯材221の中心軸を間に挟んで対向している。芯材221と導電層222との間に絶縁層が設けられていてもよい。
【0046】
生体電極230は、芯材221に接続される第1電極233と、導電層222に接続される第2電極236と、第1電極233と第2電極236とを電気的に絶縁する絶縁層237とを有する。第1電極233は、基部133と同様の形状を有し、例えば生体に接触する曲面233Aを有する。第2電極236は、生体に接触する曲面236Aを有する。第2電極236は、更に、導電層222の凹部223に嵌る凸部235を有する。例えば、第2電極236は弾性を備えており、外部から力が印加されない状態(自然状態)では、一対の凸部235の頂部の間の距離が、導電層222の外径よりも小さい。生体電極230は、いわゆるブルズアイ電極である。
【0047】
生体電極230を電極ピン220の先端から上方に移動させると、第2電極236が弾性変形し、凸部235の頂部の間の距離が広がりながら凸部235が導電層222の外側面に接触する。そして、凸部235が凹部223に達すると、凸部235が凹部223に嵌る。この時、第1電極233が芯材221に接触する。
【0048】
逆に、凸部235が凹部223に嵌った状態において、下方に移動するように生体電極230に力を印加すると、凹部223の曲面に倣って凸部235が移動し、凸部235が凹部223から離れる。そして、生体電極230を更に下方に移動させると、生体電極230が電極ピン220から外れる。
【0049】
このように、生体電極230は電極ピン220に着脱可能に構成されている。
【0050】
第2実施形態の他の構成は第1実施形態と同様である。
【0051】
第2実施形態に係る筋電計測ユニット2によっても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、筋電計測ユニット2では、生体のひねり等によって皮膚に対して着用物の繊維の向きが変化した場合でも、生体電極230には皮膚に対するひねりが生じず、検出感度の低下を抑制することができる。更に、着用物への取り付け時に電極ピン220及び生体電極230の向きを考慮しなくても検出感度の低下を抑制することができるため、取り付け作業が容易である。
【0052】
次に、筋電計測ユニット2の使用方法の例について説明する。図6は、筋電計測ユニット2の使用方法の例を示す模式図である。なお、図6では、弾性部材40及び筐体50を省略している。
【0053】
図6に示すように、各筋電計測ユニット2の生体電極230が内側に位置するようにして、マスク82に複数の筋電計測ユニット2が取り付けられる。ブルズアイ電極である生体電極230の検出感度の異方性はないため、筋電計測ユニット2は周方向でどの方向を向いていてもよい。
【0054】
マスク82が装着される顔の表情筋の筋繊維が延びる方向は複雑であるが、筋電計測ユニット2が用いられることで、高感度で表情筋の収縮に付随して生じる筋活動電位に対応する電圧(電気信号)を容易に安定して検出することができる。
【0055】
なお、マスク82は、着圧により生体電極230を皮膚に密着させるために弾性を備えていることが望ましい。マスク82の弾性が低い場合には、ゴムや紐等を用いて生体電極230を皮膚に密着させるようにしてもよい。
【0056】
筋電計測ユニット2がサポータ81に取り付けられて、上腕の筋肉の活動の検出に用いられてもよい。また、筋繊維の向きの特定が容易ではないが、筋電計測ユニット1がマスク82に取り付けられて、表情筋の活動の検出に用いられてもよい。
【0057】
(第3実施形態)
第3実施形態は、複数の筋電計測ユニットを備えた筋電計測装置に関する。図7は、第3実施形態に係る筋電計測装置を例示する平面図である。
【0058】
第3実施形態に係る筋電計測装置300は、複数の筋電計測ユニット3と、複数の配線部材320及び330と、制御ユニット340とを有する。
【0059】
筋電計測ユニット3は、第1方向と、第1方向に垂直な第2方向に複数並んで配置されている。筋電計測ユニット3は格子状、好ましくは正方格子状に配置されている。筋電計測ユニット3の数は特に限定されない。
【0060】
図8は、筋電計測ユニット3を例示する断面図である。筋電計測ユニット3は、筋電センサ基板10が電源14を有せず、基板11にコネクタ310が搭載されている点を除き、筋電計測ユニット2と同様の構成を備える。コネクタ310は基板11の一方の面に設けられており、筐体50の外部に露出している。コネクタ310は電子部品12及び発光素子13に電気的に接続されている。
【0061】
制御ユニット340は、電源回路341と、制御回路342と、信号変換回路343と、コネクタ345及び346とを有する。電源回路341は、筋電計測ユニット3へ供給する電源電圧を生成する。制御回路342は、筋電計測ユニット3の動作を制御する。信号変換回路343は、筋電計測ユニット3からの出力信号を外部送信信号へ変換する。コネクタ345に、外部機器に接続されたケーブル350が接続される。ケーブル350を介して制御ユニット340に電力が供給されたり、信号の送受信が行われたりする。
【0062】
配線部材320は、複数の筋電計測ユニット3のうちの2つの筋電計測ユニット3同士を電気的に接続する。配線部材320は2つの筋電計測ユニット3のコネクタ310に接続される。配線部材330は、複数の筋電計測ユニット3のうちの複数の筋電計測ユニット3と制御ユニット340とを電気的に接続する。配線部材330は、筋電計測ユニット3のコネクタ310と、制御ユニット340のコネクタ346とに接続される。配線部材320及び330は、例えば集合ケーブル又はフレキシブル配線基板である。
【0063】
次に、筋電計測装置300の使用方法の例について説明する。図9は、筋電計測装置300の使用方法の例を示す模式図である。
【0064】
図9に示すように、各筋電計測ユニット3の生体電極230が内側に位置するようにして、サポータ83に複数の筋電計測ユニット3が取り付けられる。そして、各筋電計測ユニット3の生体電極230がユーザ5の皮膚に接触するようにして、サポータ83がユーザ5の前腕に取り付けられる。サポータ83の着圧により生体電極230が皮膚に密着する。
【0065】
第3実施形態に係る筋電計測装置300も、複数の着用物に着脱可能であり、筋電計測装置300によれば、生体電極230を取り付ける着用物の選択の自由度を向上することができる。
【0066】
また、制御ユニット340から各筋電計測ユニット3に電力が供給されるため、筋電計測ユニット3に電源を設ける領域が不要であり、筋電計測ユニット3の小型化及び軽量化が可能である。
【0067】
なお、制御ユニット340にコイン電池等の電源を設け、外部からの電力の供給を不要としてもよい。また、制御ユニット340に無線回路及びアンテナを設け、制御ユニット340と外部機器との間の信号の送受信を無線としてもよい。
【0068】
基板及び筐体の平面形状は円形状に限定されない。例えば、図10に示すように、基板及び筐体の基板を収容する部分の平面形状が略矩形状であってもよい。図10(a)は、筋電計測ユニット1の変形例の着用物9Aに取り付けられた状態を例示する斜視図である。図10(b)は、筋電計測ユニット1の変形例の着用物9Bに取り付けられた状態を例示する斜視図である。
【0069】
また、弾性部材40及び筐体50が単一の材料から一体的に形成されていてもよい。
【0070】
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、本開示は上述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0071】
1、2、3 筋電計測ユニット
9A、9B 着用物
10 筋電センサ基板
11 基板
12 電子部品
13 発光素子
14 電源
40 弾性部材
50 筐体
121、122、220 電極ピン
131、132、230 生体電極
233 第1電極
236 第2電極
300 筋電計測装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10