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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178589
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】積層体及び物品
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20241218BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
B32B27/32 C
B32B27/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096842
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【弁理士】
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】沖野 浩平
(72)【発明者】
【氏名】山本 辰弥
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AA19D
4F100AA20D
4F100AB10D
4F100AH02
4F100AH02C
4F100AK02A
4F100AK03A
4F100AK03B
4F100AK04A
4F100AK04B
4F100AK07
4F100AK07A
4F100AK07B
4F100AK12A
4F100AK21A
4F100AK24B
4F100AK25B
4F100AK27A
4F100AK41C
4F100AK42A
4F100AK46A
4F100AK51C
4F100AK63A
4F100AK69A
4F100AL06
4F100AL06B
4F100AL07B
4F100AT00A
4F100CA00
4F100CA02
4F100CB00
4F100EC18
4F100EH46
4F100EH66
4F100EH66D
4F100EH71
4F100EH71D
4F100EJ38
4F100EJ38A
4F100EJ42
4F100EJ50
4F100EJ61
4F100EJ61D
4F100EJ86
4F100GB15
4F100GB16
4F100GB23
4F100JA05
4F100JA05C
4F100JA07
4F100JB04
4F100JB04C
4F100JB09C
4F100JB12
4F100JC00
4F100JC00C
4F100JD02
4F100JD02D
4F100JD03
4F100JK02
4F100JK06
4F100JL08
4F100JL08C
4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】優れた耐バリア性、及び優れた接着性を有する積層体、並びに前記積層体を有する物品を提供する。
【解決手段】少なくとも基材(A)と、変性ポリオレフィン樹脂からなる層(B)と、ウレタン樹脂(c1)を含むウレタン樹脂組成物からなる層(C)とを有する積層体であって、前記基材(A)上に前記層(B)を有し、前記層(B)上に前記層(C)を有することを特徴とする積層体を用いる。また、前記積層体を有することを特徴とする物品を用いる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基材(A)と、
変性ポリオレフィン樹脂からなる層(B)と、
ウレタン樹脂(c1)を含むウレタン樹脂組成物からなる層(C)と
を有する積層体であって、
前記基材(A)上に前記層(B)を有し、
前記層(B)上に前記層(C)を有することを特徴とする積層体。
【請求項2】
さらに、前記層(C)上に蒸着層(D)を有するものである請求項1記載の積層体。
【請求項3】
前記ウレタン樹脂組成物のガラス転移温度が、5~95℃の範囲である請求項1記載の積層体。
【請求項4】
前記ウレタン樹脂組成物が、さらに、水性媒体(c2)を含有するものである請求項1記載の積層体。
【請求項5】
前記ウレタン樹脂(c1)が、ポリエステルポリオールを原料とするものである請求項1記載の積層体。
【請求項6】
前記ウレタン樹脂(c1)のポリエステルポリオール由来の芳香環濃度が、1~4mmol/gの範囲である請求項5記載の積層体。
【請求項7】
前記ポリエステルポリオールの原料中に、ジエチレングリコール及びエチレングリコールを9~40質量%の範囲で含有するものである請求項5記載の積層体。
【請求項8】
前記ウレタン樹脂(c1)のウレタン結合濃度が、1.5~4mmol/gの範囲である請求項1記載の積層体。
【請求項9】
前記ウレタン樹脂(c1)の酸価が、15~45mgKOH/gの範囲である請求項1記載の積層体。
【請求項10】
前記層(C)の表面濡れ張力が、40mN/m以上である請求項1記載の積層体。
【請求項11】
前記変性ポリオレフィン樹脂が、原料中にエチレン及びプロピレンを合計80質量%以上含有するものある請求項1記載の積層体。
【請求項12】
請求項1~11の何れか1項記載の積層体を有することを特徴とする物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた耐バリア性及び接着性を有する積層体及び物品に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂フィルム表面に金属蒸着膜を形成することで、高いガスバリア性を付与することができ、このように表面が蒸着処理された樹脂成形体は、食品や飲料等の包装材料など日常生活品の中で幅広く利用されている。
【0003】
前記樹脂成形体には、基材と蒸着膜との密着性が求められるが、基材を構成する樹脂の種類によっては、蒸着膜との密着性が乏しいことがあり、密着性を改善するために、例えば、基材表面にプライマー層を設ける処方が提案されている。
【0004】
例えば、基材の上に、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂層、蒸着膜がこの順に積層された積層体であって、ポリオレフィン樹脂が、炭素数2~4のアルケンからなるオレフィン成分(A)を主成分とし、(メタ)アクリル酸エステル成分(B)を2~40質量%含むポリオレフィン樹脂であることを特徴とする蒸着膜積層体など、プライマーとしてポリオレフィン樹脂を含む樹脂層を用いることが知られているが(例えば、特許文献1参照。)、
耐バリア性及び接着性が不十分であり、昨今ますます高まる要求性能を満足するものではなかった。
【0005】
そこで、優れた耐バリア性及び接着性を有する材料が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-31526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、優れた耐バリア性及び接着性を有する積層体及び物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、少なくとも基材と、変性ポリプロピレン樹脂からなる層と、ウレタン樹脂組成物からなる層とを有する積層体であって、特定の層構成を有することを特徴とする積層体を用いることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、少なくとも基材(A)と、変性ポリプロピレン樹脂からなる層(B)と、ウレタン樹脂組成物からなる層(C)とを有する積層体であって、前記基材(A)上に前記層(B)を有し、前記層(B)上に前記層(C)を有することを特徴とする積層体及び物品に関するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の積層体は、優れた耐バリア性及び接着性を有することから、食品包装用蒸着処理フィルムとして好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の積層体は、少なくとも基材(A)と、変性ポリプロピレン樹脂からなる層(B)と、ウレタン樹脂組成物からなる層(C)とを有するものである。
【0012】
また、本発明の積層体は、優れた耐バリア性及び接着性を有することから、前記基材(A)上に前記層(B)を有し、かつ、前記層(B)上に前記層(C)を有するものを用いる。
【0013】
前記基材(A)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリエチレンフィルム(LLDPE:リニア低密度ポリエチレンフィルム、HDPE:高密度ポリエチレンフィルム)やポリプロピレンフィルム(CPP:未延伸ポリプロピレンフィルム、OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム)等のポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム、シクロオレフィンコポリマフィルムなどが挙げられる。なお、これらのフィルムには延伸処理があっても、無くてもよい。
【0014】
前記層(B)としては、変性ポリプロピレン樹脂からなる層を用いる。
【0015】
前記変性ポリオレフィン樹脂としては、例えば、モノマー単位として、炭素原子数2~4のアルケン成分(b1-1)と(メタ)アクリル酸エステル成分(b1-2)と酸変性成分(b1-3)とを必須原料とするもの等が挙げられる。なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/またはメタクリルを意味する。また、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/またはメタクリレートを意味する。さらに、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/またはメタクリロイルを意味する。
【0016】
前記炭素原子数2~4のアルケン成分(b1-1)としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、優れた耐バリア性及び接着性を有する積層体が得られることから、エチレン及びプロピレンの使用量が、変性ポリオレフィン樹脂の原料中に合計80質量%以上であることが好ましい。
【0017】
前記(メタ)アクリル酸エステル成分(b1-2)としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチルなどが挙げられる。これらの化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。これらの中でも、基材および蒸着層との密着性や工業的に入手し易い点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが好ましい。
【0018】
前記酸変性成分(b1-3)としては、例えば、不飽和カルボン酸等が挙げられる。
【0019】
前記不飽和カルボン酸としては、分子内に少なくとも1個のカルボキシル基または酸無水物基を有する化合物であり、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。これらの中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、特に無水マレイン酸が好ましい。
【0020】
前記層(C)としては、ウレタン樹脂組成物からなる層を用いる。
【0021】
前記ウレタン樹脂組成物としては、ウレタン樹脂(c1)を含むものを用いる。
【0022】
前記ウレタン樹脂(c1)としては、ポリオール化合物(c1-1)及びポリイソシアネート化合物(c1-2)を必須原料とするものを用いる。
【0023】
前記ポリオール化合物(c1-1)としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリアクリルポリオール、シリコン変性ポリオール等が挙げられる。これらのポリオール化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。なお、これらのポリオール化合物は、石化由来のものでもバイオマス由来のものであってもよい。
【0024】
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとをエステル化反応させて得られたもの等が挙げられる。
【0025】
前記多価カルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸又はそのエステル化物、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、イタコン酸、セバシン酸、クロレンド酸、1,2,4-ブタン-トリカルボン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸又はそのエステル化物などが挙げられる。これらの多価カルボン酸又はそのエステル化物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0026】
前記多価アルコールとしては、例えば、ベンゼンジメタノール、トルエンジメタノール、キシレンジメタノール等の芳香族ジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロピレンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ネオペンチルグリコールエチレングリコール等の脂肪族ポリオールなどが挙げられる。これらの多価アルコールは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0027】
また、前記ポリエステルポリオールとしては、優れた耐バリア性及び接着性を有する積層体が得られることから、その原料中にジエチレングリコール及び/又はエチレングリコールを含有することが好ましく、前記ジエチレングリコール及び前記エチレングリコールの含有量は、前記ポリエステルポリオールの原料中に合計9~40質量%の範囲が好ましい。
【0028】
前記ポリエステルポリオールを製造する際のエステル化反応においては、エステル化反応を促進する目的で、エステル化触媒を用いることが好ましい。前記エステル化触媒としては、例えば、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ハフニウム、ゲルマニウム等の金属;チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンオキシアセチルアセトナート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、オクタン酸錫、2-エチルヘキサンスズ、アセチルアセトナート亜鉛、4塩化ジルコニウム、4塩化ジルコニウムテトラヒドロフラン錯体、4塩化ハフニウム、4塩化ハフニウムテトラヒドロフラン錯体、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム等の金属化合物などが挙げられる。これらのエステル化触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0029】
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステル及び/又はホスゲンと、水酸基を2個以上有する化合物との反応物等が挙げられる。
【0030】
前記炭酸エステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。これらの炭酸エステルは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0031】
前記水酸基を2個以上有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,8-ノナンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、3-メチルペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、グリセリン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0032】
前記ポリオール化合物(c1-1)の数平均分子量としては、優れた耐バリア性及び接着性を有する積層体が得られることから、500~5,000の範囲が好ましい。なお、本発明において、数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0033】
前記ポリオール化合物(c1-1)の含有量は、優れた耐バリア性及び接着性を有する積層体が得られることから、前記ウレタン樹脂(c1)の原料中に30~85質量%の範囲が好ましく、50~85質量%の範囲がより好ましい。
【0034】
前記ポリイソシアネート化合物(c1-2)としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、カルボジイミド化ジフェニルメタンポリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネートなどが挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、優れた耐バリア性及び接着性を有する積層体が得られることから、トルエンジイソシアネートが好ましい。
【0035】
前記ポリイソシアネート化合物(c1-2)の含有量は、優れた耐バリア性及び接着性を有する積層体が得られることから、前記ウレタン樹脂(c1)の原料中に15~70質量%の範囲が好ましく、15~50質量%の範囲がより好ましい。
【0036】
前記ウレタン樹脂(c1)のポリエステルポリオール由来の芳香環濃度は、1mmol/g以上であり、優れた耐バリア性及び接着性を有する積層体が得られることから、2~4mmol/gの範囲が好ましく、2.5~3.5mmol/gの範囲がより好ましい。
【0037】
前記ウレタン樹脂(c1)のウレタン結合濃度は、優れた耐バリア性及び接着性を有する積層体が得られることから、1.5~4mmol/gの範囲が好ましく、2~3mmol/gの範囲がより好ましい。
【0038】
前記ウレタン樹脂(c1)の酸価は、優れた耐バリア性及び接着性を有する積層体が得られることから、15~45mgKOH/gの範囲が好ましく、20~35mgKOH/gの範囲がより好ましい。
【0039】
前記ウレタン樹脂(c1)の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。例えば、ポリオール化合物(c1-1)及びポリイソシアネート化合物(c1-2)を含む反応原料の全てを一括で反応させる方法で製造してもよいし、反応原料を順次反応させる方法で製造してもよい。
【0040】
前記ポリオール化合物(c1-1)及び前記ポリイソシアネート化合物(c1-2)の反応割合は、優れた耐バリア性及び接着性を有する積層体が得られることから、前記ポリオール化合物(c1-1)が有する水酸基のモル数と、前記ポリイソシアネート(c1-2)が有するイソシアネート基のモル数とのモル比[(イソシアネート基)/(水酸基)]が、0.7~2.5となる範囲が好ましく、0.9~1.2となる範囲がより好ましい。
【0041】
また、前記ウレタン樹脂(c1)を製造する際には、有機溶剤を用いることもできる。
【0042】
前記有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル化合物;アセトニトリル等のニトリル化合物;ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド化合物;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール、sec-ブタノール、ターシャリーブタノール等のアルコール化合物などが挙げられる。これらの有機溶媒は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0043】
前記ウレタン樹脂(c1)の重量平均分子量としては、優れた耐バリア性及び接着性を有する積層体が得られることから、5000~100000の範囲が好ましく、15000~80000の範囲がより好ましい。なお、前記ウレタン樹脂(c1)の重量平均分子量は、前記ポリオール化合物(c1-1)の数平均分子量と同様に測定して得られた値を示す。
【0044】
前記ウレタン樹脂組成物は、必要に応じて、水性媒体(c2)、有機溶剤(c3)、その他の添加剤を含有することもできる。
【0045】
前記水性媒体(c2)としては、例えば、イオン交換水、蒸留水等が挙げられる。これらの水性媒体は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0046】
前記有機溶剤(c3)としては、上述の有機溶剤として例示したものと同様のものを用いることができる。
【0047】
基材(A)上に前記層(B)を形成する場合には、フィルムの延伸工程途中に水性ウレタン樹脂組成物を塗布し、その後さらに延伸工程を行うインラインコーティング法によりコーティング層を形成してもよいし、フィルムの延伸工程の後に、水性ウレタン樹脂組成物を塗布し乾燥することでコーティング層を形成するオフラインコーティング法によりコーティング層を形成してもよい。
【0048】
前記その他の添加剤としては、例えば、架橋剤、顔料、難燃剤、可塑剤、軟化剤、安定剤、ワックス、消泡剤、分散剤、浸透剤、界面活性剤、フィラー、防黴剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐候安定剤、蛍光増白剤、老化防止剤、増粘剤等が挙げられる。これらの添加剤は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0049】
前記ウレタン樹脂組成物のガラス転移温度は、優れた耐バリア性及び接着性を有する積層体が得られることから、5~95℃の範囲が好ましい。
【0050】
前記層(C)の表面濡れ張力は、優れた耐バリア性及び接着性を有する積層体が得られることから、40mN/m以上が好ましい。
【0051】
本発明の積層体としては、前記層(C)上に蒸着層(D)を設けることもできる。
【0052】
前記蒸着層(D)としては、ガスバリア性を付与できるものであれば特に限定されず、例えば、金属蒸着層、金属酸化物蒸着層等が挙げられる。金属蒸着層に用いる金属としては各種金属が例示できるが、特に安価で広く用いられているアルミニウムが好ましい。また、前記金属酸化物としては、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化ケイ素(SiOx)が、汎用性が高い材料として好ましい。
【0053】
前記層(C)上に蒸着層(D)を形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(PVD法)、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD法)、メッキ蒸着など公知の方法などが挙げられる。
【0054】
本発明の物品としては、前記積層体を有するものであるが、例えば、包装材等が挙げられる。
【実施例0055】
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、以下に挙げた実施例に限定されるものではない。
【0056】
実施例及び比較例で用いたポリエステルポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した値を示す。
【0057】
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0058】
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-550」
【0059】
(合成例1:ポリエステルポリオール(1)の合成)
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、無水フタル酸520質量部、ジエチレングリコール480質量部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.05質量部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が10mgKOH/g以下になったところで減圧下100torrにて加熱を継続し、酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量985のポリエステルポリオール(1)を得た。
【0060】
(合成例2:ポリエステルポリオール(2)の合成)
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、テレフタル酸318質量部、イソフタル酸318質量部、エチレングリコール134質量部、ジエチレングリコール230質量部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.05質量部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が10mgKOH/g以下になったところで減圧下100torrにて加熱を継続し、酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量1700のポリエステルポリオール(2)を得た。
【0061】
(合成例3:ポリエステルポリオール(3)の合成)
攪拌機、窒素ガス導入管、精留管、水分分離器等を備えたポリエステル反応容器に、イソフタル酸354質量部、アジピン酸78質量部、セバシン酸180質量部、エチレングリコール62質量部、ネオペンチルグリコール208質量部、ヘキサメチレングリコール118質量部及びチタニウムテトライソプロポキシド0.05質量部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が10mgKOH/g以下になったところで減圧下100torrにて加熱を継続し、酸価が1mgKOH/g以下になったところでエステル化反応を終了し、数平均分子量2000のポリエステルポリオール(3)を得た。
【0062】
合成例1~3で得たポリエステルポリオール(1)~(3)の組成を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
(合成例4:水性ウレタン樹脂組成物(1)の合成)
温度計、攪拌装置、還流冷却管及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、合成例1で得たポリエステルポリオール(1)を124質量部、2,2-ジメチロールプロピオン酸(DMPA)11質量部、メチルエチルケトン139質量部を加え、次いで、トリレンジイソシアネート36質量部を加えて、75℃で8時間反応した。次いで、50℃まで冷却し、トリエチルアミン8.5質量部を加えて、中和しウレタン樹脂を得た。次いで、イオン交換水682質量部を加えて、水溶化した。得られた透明な反応生成物を減圧下、40~60℃にてメチルエチルケトンを除去した後、イオン交換水を加えて濃度調節を行うことによって、不揮発分23質量%の安定な水性ウレタン樹脂組成物(1)を得た。
【0065】
(合成例2:水性ウレタン樹脂組成物(2)の合成)
実施例1で用いたポリエステルポリオールを表2で示したものに変更した以外は、実施例1と同様にして水性ウレタン樹脂組成物(2)を得た。
【0066】
合成例4及び5で得た水性ウレタン樹脂組成物(1)及び(2)の組成を表2に示す。
【0067】
【表2】
【0068】
(合成例6:層(B)用コーティング組成物(B-1)の調製)
変性ポリオレフィン樹脂(ユニチカ株式会社製「アローベースDA-5010N」、不揮発分25.2%)10質量部(固形分として2.52質量部)に対して水で希釈することで、不揮発分10%の層(B)用コーティング組成物(B-1)を得た。
【0069】
(合成例7:層(B)用コーティング組成物(B-2)の調製)
変性ポリオレフィン樹脂(ユニチカ株式会社製「アローベースSB-1030N」、不揮発分26.4%)10質量部(固形分として2.64質量部)に対して水で希釈することで、不揮発分10%の層(B)用コーティング組成物(B-1)を得た。
【0070】
(合成例8:層(C)用コーティング組成物(C-1)の調製)
合成例4で得た不揮発分23%水性ウレタン樹脂組成物(1)10質量部(固形分として2.3質量部)を、水により希釈することで不揮発分10%の層(C)用コーティング組成物(C-1)を得た。
【0071】
(合成例9:層(C)用コーティング組成物(C-2)の調製)
合成例4で得た不揮発分23%水性ウレタン樹脂組成物(1)10質量部(固形分として2.3質量部)と、架橋剤(1)(日清紡ケミカル株式会社製「カルボジライトSV-02」、不揮発分40%)0.9質量部を混合して、水により希釈することで不揮発分10%の層(C)用コーティング組成物(C-2)を得た。
【0072】
(合成例10:層(C)用コーティング組成物(C-3)の調製)
合成例4で得た不揮発分23%水性ウレタン樹脂組成物(1)10質量部(固形分として2.3質量部)と、架橋剤(2)(住化コベストロウレタン株式会社製「Bayhydur ultra 3100」、不揮発分100%)0.6質量部を混合して、水により希釈することで不揮発分10%の層(C)用コーティング組成物(C-3)を得た。
【0073】
(合成例11:層(C)用コーティング組成物(C-4)の調製)
合成例5で得た不揮発分23%水性ウレタン樹脂組成物(2)10質量部(固形分として2.3質量部)を、水により希釈することで不揮発分10%の層(C)用コーティング組成物(C-4)を得た。
【0074】
(合成例12:層(C)用コーティング組成物(C-5)の調製)
合成例5で得た不揮発分23%水性ウレタン樹脂組成物(2)10質量部(固形分として2.3質量部)と、架橋剤(1)0.9質量部を混合して、水により希釈することで不揮発分10%の層(C)用コーティング組成物(C-2)を得た。
【0075】
(合成例13:層(C)用コーティング組成物(C-6)の調製)
合成例5で得た不揮発分23%水性ウレタン樹脂組成物(2)10質量部(固形分として2.3質量部)と、架橋剤(2)0.6質量部を混合して、水により希釈することで不揮発分10%の層(C)用コーティング組成物(C-6)を得た。
【0076】
(合成例14:層(C)用コーティング組成物(C-7)の調製)
合成例4で得た不揮発分23%水性ウレタン樹脂組成物(1)10質量部(固形分として2.3質量部)と、変性ポリオレフィン樹脂(ユニチカ株式会社製「アローベースDA-5010N」、不揮発分25.2%)9.1質量部(固形分として2.26質量部)を混合し、水により希釈することで不揮発分10%の層(C)用コーティング組成物(C-7)を得た。
【0077】
(合成例15:層(C)用コーティング組成物(C-8)の調製)
合成例4で得た不揮発分23%水性ウレタン樹脂組成物(1)10質量部(固形分として2.3質量部)と、変性ポリオレフィン樹脂(ユニチカ株式会社製「アローベースDA-5010N」、不揮発分25.2%)21.3質量部(固形分として5.37質量部)を混合し、水により希釈することで不揮発分10%の層(C)用コーティング組成物(C-8)を得た。
【0078】
(実施例1:積層体(1)の作製)
合成例6で得た層(B)用コーティング組成物(B-1)を、基材であるFOR(フタムラ化学株式会社製、「FOR#20」、二軸延伸ポリプロピレンフィルム)のコロナ処理面側にバーコーター#5を用いて、塗布量0.5g/m(固形分)になるように塗工し、80℃設定の乾燥機中に30秒間設置し、均一なコーティング層(コーティング塗膜;層(B))を有するフィルムを得た。
【0079】
次いで、前記コーティング層の表面に、合成例8で得た層(C)用コーティング組成物(C-1)を、バーコーター#5を用いて、塗布量0.5g/m(固形分)になるように塗工し、80℃設定の乾燥機中に30秒間設置し、層(B)の上に、層(C)を有する積層体(1)を得た。
【0080】
(実施例2~12:積層体(2)~(12)の作製)
層(B)用コーティング組成物及び層(C)用コーティング組成物を、表3及び4に示したものにそれぞれ変えた以外は、実施例1と同様にして、積層体(2)~(12)を得た。
【0081】
(実施例13:積層体(13)の作製)
合成例6で得た層(B)用コーティング組成物(B-1)を、基材である延伸前のポリプロピレンフィルムにインラインコーティング法にて塗工し、層(B)を積層した以外は、実施例1と同様にして積層体(13)を得た。なお、前記インラインコーティング法による塗工とは、具体的には、ポリプロピレン(以下「PP」と略記する。)のペレット(ホモポリマー)を、一軸押出機に供給し、250℃にて加熱溶融し、45℃の冷却ロール上にシート状に押し出すことにより、PPの未延伸フィルムを得、次いで、この未延伸PPフィルムを、140℃に加熱し、長手方向に5倍に延伸することで、PPの一軸延伸フィルムを得た後、この一軸延伸フィルム上に、リバースコート法によって、合成例6で得た層(B)用コーティング組成物(B-1)を塗布した。その後、160℃で短手方向に8倍に延伸し、その後、180℃で30秒間加熱して熱固定を行い、基材(PP)上に層(B)が載置した積層物を得た。
【0082】
(比較例1~9:積層体(R1)~(R9)の作製)
層(B)用コーティング組成物及び層(C)用コーティング組成物を、表5に示したものにそれぞれ変えた以外は、実施例1と同様にして、積層体(R1)~(R9)を得た。
【0083】
上記の実施例及び比較例で得られた積層体(1)~(13)及び(R1)~(R9)を用いて、下記の評価を行った。
【0084】
[評価用積層フィルム(1)の作製]
実施例及び比較例で得た積層体の表面(即ち、層(C)の表面)に、真空蒸着法により、アルミを蒸着し、それぞれの蒸着層を有する蒸着フィルムを得た。次いで、ディックドライLX-703VL(DICグラフィックス社製、溶剤系ポリエステルポリオール)と、KR-90(DICグラフィックス社製、ポリイソシアネート架橋剤)を15/1の質量比で配合し、不揮発分が30%となるように、酢酸エチルを配合して接着剤としたものを、前記蒸着フィルムの蒸着層の表面に、バーコーターを用いて、塗布量3.0g/mとなるように塗工し、ドライヤーで80℃の熱風により溶媒を揮発させ、前記蒸着層上に接着剤層を形成した。次いで、温度40℃、圧力0.4MPa、ラミネート速度40m/minにて、CPPフィルム(三井化学東セロ株式会社製「RXC-22」、50μm厚)をドライラミネートして、積層フィルムを得た。この積層フィルムを、設定温度40℃の乾燥機中に3日間静置し、乾燥・硬化させ、評価用積層フィルム(1)を得た。
【0085】
[評価用積層フィルム(2)の作製]
実施例及び比較例で得た積層体の表面(即ち、層(C)の表面)に、真空蒸着法により、酸化アルミナを蒸着し、それぞれの蒸着層を有する蒸着フィルムを得た。次いで、ディックドライLX-703VL(DICグラフィックス社製、溶剤系ポリエステルポリオール)と、KR-90(DICグラフィックス社製、ポリイソシアネート架橋剤)を15/1の質量比で配合し、不揮発分が30%となるように、酢酸エチルを配合して接着剤としたものを、前記蒸着フィルムの蒸着層の表面に、バーコーターを用いて、塗布量3.0g/mとなるように塗工し、ドライヤーで80℃の熱風により溶媒を揮発させ、前記蒸着層上に接着剤層を形成した。次いで、温度40℃、圧力0.4MPa、ラミネート速度40m/minにて、CPPフィルム(三井化学東セロ株式会社製「RXC-22」、50μm厚)をドライラミネートして、積層フィルムを得た。この積層フィルムを、設定温度40℃の乾燥機中に3日間静置し、乾燥・硬化させ、評価用積層フィルム(2)を得た。
【0086】
[耐バリア性の評価方法]
本発明において、耐バリア性は、酸素透過度の測定により評価した。
【0087】
前記評価用積層フィルム(1)及び(2)を、それぞれ、Illinois社製「M8101」を用いて、JIS-K7126(等圧法)に準じ、23℃×0%RH(相対湿度)雰囲気下で酸素透過度(cc/(m・day・atm))を測定した。
【0088】
[接着性の評価方法]
本発明において、接着性は、ラミネート接着強度の測定により評価した。
【0089】
前記評価用積層フィルム(1)及び(2)を、それぞれ、塗工方向に15mm幅に切断し、卓上形精密万能試験機(島津製作所製「オートグラフAGS-X」)にて、雰囲気温度23℃、剥離速度を300mm/分に設定し、積層フィルム間を180度方向に剥離した際の引っ張り強度をラミネート強度とした。ラミネート強度の単位はN/15mmとした。
【0090】
なお、接着強度としては、1.0N/15mm以上が好ましく、1.5N/15mm以上がより好ましく、2.5N/15mm以上が特に好ましい。
【0091】
上記の実施例及び比較例で得られた積層体(1)~(13)、及び(R1)~(R9)の構成及び評価結果を表3及び4に示す。
【0092】
【表3】
【0093】
【表4】
【0094】
【表5】
【0095】
上記表3及び4の評価結果より、本発明の積層体は、優れた耐バリア性及び接着性を有することが確認できた。
【0096】
一方、表5に示した比較例1、2は、層(C)を有さない積層体の例であるが、蒸着される表面が変性ポリオレフィン層で非極性のために、蒸着層との親和性が低く、蒸着後の酸素透過度が大幅に悪化することが確認できた。
【0097】
比較例3~7では、層(B)を有さない積層体の例であるが、フィルムとの接着性が低下したために、蒸着後の接着強度が低下することが確認された。
【0098】
比較例8及び9では、層(B)を有さず、層(C)として変性ポリオレフィンとポリウレタンのブレンド(それぞれ固形分比で、変性ポリオレフィン/ポリウレタン=50/50、70/30)を検討したが、非極性の変性ポリオレフィン層が蒸着界面に局在化するため、蒸着層との親和性が低下し、蒸着後の酸素透過度が大幅に悪化することが確認できた。