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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178692
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】水素吸蔵・放出システム
(51)【国際特許分類】
   F17C 11/00 20060101AFI20241218BHJP
   F17C 13/08 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
F17C11/00 C
F17C13/08 302Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097025
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 裕太
(72)【発明者】
【氏名】下田 英介
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 成輝
(72)【発明者】
【氏名】前田 哲彦
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA09
3E172AB01
3E172BA06
3E172BB03
3E172BB13
3E172BD05
3E172DA88
3E172EB02
3E172FA01
3E172GA01
(57)【要約】
【課題】小さな能力の加温・冷却設備を用いた場合であっても、輸送された水素を急速充填することを可能とした水素吸蔵・放出システムを提供する。
【解決手段】水素吸蔵合金11aを収容し、水素吸蔵合金11aから水素を外部へ放出可能な第1の水素吸蔵合金タンク11と、水素吸蔵合金12aを収容し、第1の水素吸蔵合金タンク11との間で水素を授受可能にされた第2の水素吸蔵合金タンク12と、第1の水素吸蔵合金タンク11の温度調節を行う熱媒を加温・冷却する第1の加温冷却装置21と、第2の水素吸蔵合金タンク12の温度調節を行う熱媒を加温・冷却する第2の加温冷却装置22と、を含む水素吸蔵・放出システムであって、第1の水素吸蔵合金タンク11は、第2の水素吸蔵合金タンク12に比べて水素吸蔵容量が小さいことを特徴とする、水素吸蔵・放出システム1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素吸蔵合金を収容し、前記水素吸蔵合金から水素を外部へ放出可能な第1の水素吸蔵合金タンクと、
水素吸蔵合金を収容し、前記第1の水素吸蔵合金タンクとの間で水素を授受可能にされた第2の水素吸蔵合金タンクと、
前記第1の水素吸蔵合金タンクの温度調節を行う熱媒を加温・冷却する第1の加温冷却装置と、
前記第2の水素吸蔵合金タンクの温度調節を行う熱媒を加温・冷却する第2の加温冷却装置と、
を含む水素吸蔵・放出システムであって、
前記第1の水素吸蔵合金タンクは、前記第2の水素吸蔵合金タンクに比べて水素吸蔵容量が小さいことを特徴とする、
水素吸蔵・放出システム。
【請求項2】
前記第1の水素吸蔵合金タンクは、外部から水素を受け入れ可能とされている、請求項1に記載の水素吸蔵・放出システム。
【請求項3】
水素吸蔵合金を収容し、水素を外部へ放出可能な第3の水素吸蔵合金タンクと、前記第3の水素吸蔵合金タンクの温度調節を行う熱媒を加温・冷却する第3の加温冷却装置と、をさらに備え、前記第1の水素吸蔵合金タンク及び前記第3の水素吸蔵合金タンクは、それぞれ前記第2の水素吸蔵合金タンクと水素を授受可能とされており、前記第2の水素吸蔵合金タンクに比べていずれも水素吸蔵容量が小さいことを特徴とする、請求項1に記載の水素吸蔵・放出システム。
【請求項4】
前記第1の水素吸蔵合金タンクは水素を外部から受け入れ可能としつつ、前記第3の水素吸蔵合金タンクから前記第2の水素吸蔵合金タンクへ水素を供給可能とされていることを特徴とする、請求項3に記載の水素吸蔵・放出システム。
【請求項5】
前記第1の水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金を冷却する熱媒を生成する前記第1の加温冷却装置と、前記第3の水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金を加温する熱媒を生成する前記第3の加温冷却装置との間で熱交換を行い、外部からの水素を前記第1の水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金に吸蔵させつつ、前記第3の水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金から放出された水素を前記第2の水素吸蔵合金タンクへ供給することを特徴とする、請求項4に記載の水素吸蔵・放出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素吸蔵・放出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
水素の大量貯蔵方法として水素吸蔵合金(水素貯蔵合金とも呼ばれる。)による貯蔵が知られており、水素吸蔵合金をタンク内に封入して活用することができる。
水素吸蔵合金に水素を吸蔵する反応は発熱反応であり、水素を放出する反応は吸熱反応である。そのため、反応を促進するためには、水素吸蔵合金タンクに水素を貯蔵する場合はタンクを冷却し、水素吸蔵合金タンクから水素を放出する場合はタンクを加温する必要がある。
【0003】
特許文献1には、第1水素吸蔵合金が封入された第1タンクと、前記第1水素吸蔵合金とは特性の異なる第2水素吸蔵合金が封入された第2タンクとを有し、前記第1タンクと前記第2タンクとの間で冷媒を用いて熱交換を行うようにした水素貯蔵システム、及び第1水素吸蔵合金が封入された第1タンクと、前記第1水素吸蔵合金とは特性の異なる第2水素吸蔵合金が封入された第2タンクとを用意し、移送されてきた水素を前記第1タンクに貯蔵する手順と、前記第1タンクと前記第2タンクとの間で冷媒を用いて熱交換を行い、前記第1タンクに貯蔵した水素を前記第2タンクに移し替える手順と、を含むようにした水素貯蔵方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-189511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された水素貯蔵システムは、輸送された水素を急速充填することができる。しかしながら、特許文献1は、輸送された水素を急速充填することを可能とする一方で、用いられる熱交換器は、大きな能力を有する加温・冷却設備を用いる必要があった。
【0006】
本発明は、小さな能力の加温・冷却設備を用いた場合であっても、輸送された水素を急速充填することを可能とした水素吸蔵・放出システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、水素吸蔵容量が異なる水素吸蔵合金タンクを組み合わせることを知得し、本発明を完成させた。
本発明の態様は以下のとおりである。
【0008】
[1] 水素吸蔵合金を収容し、前記水素吸蔵合金から水素を外部へ放出可能な第1の水素吸蔵合金タンクと、
水素吸蔵合金を収容し、前記第1の水素吸蔵合金タンクとの間で水素を授受可能にされた第2の水素吸蔵合金タンクと、
前記第1の水素吸蔵合金タンクの温度調節を行う熱媒を加温・冷却する第1の加温冷却装置と、
前記第2の水素吸蔵合金タンクの温度調節を行う熱媒を加温・冷却する第2の加温冷却装置と、
を含む水素吸蔵・放出システムであって、
前記第1の水素吸蔵合金タンクは、前記第2の水素吸蔵合金タンクに比べて水素吸蔵容量が小さいことを特徴とする、
水素吸蔵・放出システム。
[2] 前記第1の水素吸蔵合金タンクは、外部から水素を受け入れ可能とされている、[1]に記載の水素吸蔵・放出システム。
[3] 水素吸蔵合金を収容し、水素を外部へ放出可能な第3の水素吸蔵合金タンクと、前記第3の水素吸蔵合金タンクの温度調節を行う熱媒を加温・冷却する第3の加温冷却装置と、前記第1の水素吸蔵合金タンク及び前記第3の水素吸蔵合金タンクは、それぞれ前記第2の水素吸蔵合金タンクと水素を授受可能とされており、前記第2の水素吸蔵合金タンクに比べていずれも水素吸蔵容量が小さいことを特徴とする、[1]又は[2]に記載の水素吸蔵・放出システム。
[4] 前記第1の水素吸蔵合金タンクは水素を外部から受け入れ可能としつつ、前記第3の水素吸蔵合金タンクから前記第2の水素吸蔵合金タンクへ水素を供給可能とされていることを特徴とする、[3]に記載の水素吸蔵・放出システム。
[5] 前記第1の水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金を冷却する熱媒を生成する前記第1の加温冷却装置と、前記第3の水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金を加温する熱媒を生成する前記第3の加温冷却装置とを行い、外部からの水素を前記第1の水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金に吸蔵させつつ、前記第3の水素吸蔵合金タンクの水素吸蔵合金から放出された水素を前記第2の水素吸蔵合金タンクへ供給することを特徴とする、[4]に記載の水素吸蔵・放出システム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、小さな能力の加温・冷却設備を用いた場合であっても、輸送された水素を急速充填することを可能とした水素吸蔵・放出システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態を示す概要図である。
図2】本発明の別の実施形態を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では本発明の実施形態を詳細に説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の変更が可能である。
【0012】
本発明の水素吸蔵・放出システムの実施形態(以下「第1実施形態」ともいう。)について、図1を適宜参照しながら説明する。
第1実施形態の水素吸蔵・放出システム1は、水素吸蔵合金11aを収容し、水素吸蔵合金11aから水素を外部へ放出可能な第1の水素吸蔵合金タンク11と、水素吸蔵合金12aを収容し、第1の水素吸蔵合金タンク11との間で水素を授受可能にされた第2の水素吸蔵合金タンク12と、第1の水素吸蔵合金タンク11の温度調節を行う熱媒21aを加温・冷却する第1の加温冷却装置21と、第2の水素吸蔵合金タンク12の温度調節を行う熱媒22aを加温・冷却する第2の加温冷却装置22とを有する。
【0013】
第1実施形態の水素吸蔵・放出システム1において、第1の水素吸蔵合金タンク11は、第2の水素吸蔵合金タンク12に比べて、水素吸蔵容量が小さい。
【0014】
第1の水素吸蔵合金タンク11は、タンク外部の水素供給源S又は第2の水素吸蔵合金タンク12から供給される水素を充填し、又は第1の水素吸蔵合金タンク11に充填された水素をタンク外部の水素負荷Cへ放出するためのタンクである。第1の水素吸蔵合金タンク11には、水素吸蔵合金11aが封入されている。第1の水素吸蔵合金タンク11内の水素は、水素流路L1を通じて、第1の水素吸蔵合金タンク11と第2の水素吸蔵合金タンク12との間で、移し替えることができる。
【0015】
第2の水素吸蔵合金タンク12は、第1の水素吸蔵合金タンク11から供給される水素を充填し、又は第2の水素吸蔵合金タンク12に充填された水素を第1の水素吸蔵合金タンク11に供給するためのタンクである。第2の水素吸蔵合金タンク12には、水素吸蔵合金12aが封入されている。第2の水素吸蔵合金タンク12内の水素は、水素流路L1を通じて、第2の水素吸蔵合金タンク12と第1の水素吸蔵合金タンク11との間で、移し替えることができる。
【0016】
水素吸蔵合金11aと水素吸蔵合金12aは、特性が同一の水素吸蔵合金であってもよいし、特性が異なる異種の水素吸蔵合金であってもよい。ただし、水素吸蔵合金11aと水素吸蔵合金12aの特性が同一である場合であっても異なる場合であっても、第1の水素吸蔵合金タンク11は、第2の水素吸蔵合金タンク12に比べて、水素吸蔵容量が小さい。水素吸蔵合金の特性は、PCT(Pressure Composition Temperature)線図により表される。
【0017】
水素吸蔵合金11a及び水素吸蔵合金12aとしては、上述した条件を満たす限り特に限定されない。水素吸蔵合金としては、例えば、チタン、マンガン、ジルコニウム、ニッケルなどの遷移元素の合金をベースとしたAB2型水素吸蔵合金、希土類元素、ニオブ、ジルコニウム1に対して触媒効果を持つ遷移元素(ニッケル、コバルト、アルミニウムなど)を含む合金をベースとしたAB5型水素吸蔵合金(LaNi、ReNi等)、比較的空隙の多い体心立方晶の金属間化合物をなすTi-Fe系をベースにしたTi-Fe系水素吸蔵合金、バナジウムをベースとしたV系水素吸蔵合金、Mg合金、Pd系水素吸蔵合金、Ca系水素吸蔵合金などを使用できる。
【0018】
第1の水素吸蔵合金タンク11と第2の水素吸蔵合金タンク12は、水素流路L1によって接続されている。水素流路L1を通じて、第1の水素吸蔵合金タンク11内の水素を第2の水素吸蔵合金タンク12に移し替えたり、第2の水素吸蔵合金タンク12内の水素を第1の水素吸蔵合金タンク11に移し替えたりすることができる。
【0019】
図1に示す水素吸蔵・放出システム1では、水素流路L1の途中に開閉弁V1が配置されている。開閉弁V1を開通させることで第1の水素吸蔵合金タンク11と第2の水素吸蔵合金タンク12との間での水素の移送が可能となり、開閉弁V1を閉止することで第1の水素吸蔵合金タンク11と第2の水素吸蔵合金タンク12との間での水素の移送が不可能となる。
【0020】
第1の水素吸蔵合金タンク11は、水素吸蔵合金11aに吸蔵した水素を、水素流路L2及び水素流路L4を通じて、外部の水素負荷Cへ放出可能である。また、第1の水素吸蔵合金タンク11は、水素吸蔵合金11aに吸蔵する水素を、水素流路L3及び水素流路L4を通じて、外部の水素供給源Sから受け入れ可能である。
【0021】
図1に示す水素吸蔵・放出システム1では、水素流路L4は、三方弁30と第1の水素吸蔵合金タンク11とを接続している。三方弁30は、水素流路L2と水素流路L3のどちらを水素流路L4に連通させるかを決定する。水素流路L4には開閉弁V2が配置されている。開閉弁V2を開通させることで第1の水素吸蔵合金タンク11と水素供給源S及び水素負荷Cのうち三方弁30が開通している方との間での水素の移送が可能となる。
【0022】
第1の水素吸蔵合金タンク11の内部には、第1の加温冷却装置21から延びる熱媒流路21bが通じており、熱媒流路21bを通過する熱媒21aで第1の加温冷却装置21と水素吸蔵合金11aとの間で熱交換が可能となっている。熱媒21aは第1の加温冷却装置で加温又は冷却される。熱媒21aは第1の水素吸蔵合金タンク11と第1の加温冷却装置21との間で循環している。
【0023】
第2の水素吸蔵合金タンク12の内部には、第2の加温冷却装置22から延びる熱媒流路22bが通じており、熱媒流路22bを通過する熱媒22aで第2の加温冷却装置22と水素吸蔵合金12aとの間で熱交換が可能となっている。熱媒22aは第2の加温冷却装置で加温又は冷却される。熱媒22aは第2の水素吸蔵合金タンク12と第2の加温冷却装置22との間で循環している。
【0024】
熱媒21a及び熱媒22aは、それぞれ上述したように第1の加温冷却装置21及び第2の加温冷却装置22で加温又は冷却されてもよいし、熱媒21aと熱媒22aの間で熱交換することによって、加温又は冷却されてもよいし、加温冷却装置での加温又は冷却と熱媒どうしの熱交換による加温又は冷却を組み合わせてもよい。
【0025】
図1に示す水素吸蔵・放出システム1の水素吸蔵時及び水素放出時動作方法の一例について説明する。水素吸蔵・放出システム1の水素の吸蔵及び放出は、制御装置(図示せず)によって制御される。
【0026】
・水素吸蔵時の動作
工程1:第1の加温冷却装置21により第1の水素吸蔵合金タンク11内の水素吸蔵合金11aを冷却した状態で、水素供給源Sから水素流路L3及び水素流路L4を通じて第1の水素吸蔵合金タンク11に水素を供給して、第1の水素吸蔵合金タンク11の内圧が第1の水素吸蔵合金タンク11の吸蔵限界圧力以上となるまで、第1の水素吸蔵合金タンク11に水素を吸蔵させる。
【0027】
工程2:第1の加温冷却装置21により第1の水素吸蔵合金タンク11内の水素吸蔵合金11aを加温するとともに、第2の加温冷却装置22により第2の水素吸蔵合金タンク12内の水素吸蔵合金12aを冷却し、第1の水素吸蔵合金タンク11から水素流路L1を通じて第2の水素吸蔵合金タンク12に放出させた水素を第2の水素吸蔵合金タンク12に吸蔵させる。
【0028】
工程3:第2の水素吸蔵合金タンク12の内圧が第2の水素吸蔵合金タンク12の吸蔵限界圧力以上となるまで、工程1から工程2を繰り返す。
【0029】
工程4:工程1を繰り返す。
【0030】
工程2において、第2の加温冷却装置22により第2の水素吸蔵合金タンク12内の水素吸蔵合金12aを冷却することなく、差圧により、第1の水素吸蔵合金タンク11から水素流路L1を通じて第2の水素吸蔵合金タンク12に水素を供給するようにしてもよい。
【0031】
・水素放出時の動作
工程5:第1の加温冷却装置21により第1の水素吸蔵合金タンク11内の水素吸蔵合金11aを加温し、第1の水素吸蔵合金タンク11の内圧が第1の水素吸蔵合金タンク11の放出限界圧力以下となるまで、第1の水素吸蔵合金タンク11から水素流路L2及び水素流路L4を通じて水素負荷Cに水素を放出させる。
【0032】
工程6:第1の加温冷却装置21により第1の水素吸蔵合金タンク11内の水素吸蔵合金11aを冷却するとともに、第2の加温冷却装置22により第2の水素吸蔵合金タンク12内の水素吸蔵合金12aを加温することで、第2の水素吸蔵合金タンク12から水素流路L1を通じて第1の水素吸蔵合金タンク11に放出させた水素を第1の水素吸蔵合金タンク11に吸蔵させる。
【0033】
工程7:第2の水素吸蔵合金タンク12の内圧が第2の水素吸蔵合金タンク12の放出限界圧力以下となるまで、工程5から工程6を繰り返す。
【0034】
工程8:工程5を繰り返す。
【0035】
工程6において、第2の加温冷却装置22により第2の水素吸蔵合金タンク12内の水素吸蔵合金12aを加温することなく、差圧により、第2の水素吸蔵合金タンク12から水素流路L1を通じて第1の水素吸蔵合金タンク11に水素を供給するようにしてもよい。
【0036】
本発明の水素吸蔵・放出システムの別の実施形態(以下「第2実施形態」ともいう。)について、図2を適宜参照しながら説明する。
第2実施形態の水素吸蔵・放出システム2は、水素吸蔵合金11aを収容し、水素吸蔵合金11aから水素を外部へ放出可能な第1の水素吸蔵合金タンク11と、水素吸蔵合金12aを収容し、第1の水素吸蔵合金タンク11との間で水素を授受可能にされた第2の水素吸蔵合金タンク12と、水素吸蔵合金13aを収容し、水素吸蔵合金13aから水素を外部へ放出可能な第3の水素吸蔵合金タンク13と、第1の水素吸蔵合金タンク11の温度調節を行う熱媒21aを加温・冷却する第1の加温冷却装置21と、第2の水素吸蔵合金タンク12の温度調節を行う熱媒22aを加温・冷却する第2の加温冷却装置22と、第3の水素吸蔵合金タンク13の温度調節を行う熱媒23aを加温・冷却する第3の加温冷却装置23と、を有する。
【0037】
第2実施形態の水素吸蔵・放出システム2において、第1の水素吸蔵合金タンク11及び第3の水素吸蔵合金タンク13は、それぞれ第2の水素吸蔵合金タンク12と水素を授受可能とされている。また、第1の水素吸蔵合金タンク11及び第3の水素吸蔵合金タンク13は、第2の水素吸蔵合金タンク12に比べていずれも水素吸蔵容量が小さい。
【0038】
第2実施形態の水素吸蔵・放出システム2は、水素供給源Sからの水素の吸蔵と水素負荷Cへの水素の供給を同時に行うことができる。また、第1実施形態の水素吸蔵・放出システム1に比べて、水素の吸蔵及び放出を、より高速に行うことができる。
【0039】
第1の水素吸蔵合金タンク11は、外部の水素供給源S又は第2の水素吸蔵合金タンク12から供給される水素を充填し、又は第1の水素吸蔵合金タンク11に充填された水素をタンク外部の水素負荷Cへ放出するためのタンクである。第1の水素吸蔵合金タンク11には、水素吸蔵合金11aが封入されている。第1の水素吸蔵合金タンク11内の水素は、水素流路L1及び水素流路L11を通じて、第1の水素吸蔵合金タンク11と第2の水素吸蔵合金タンク12との間で、移し替えることができる。
【0040】
第3の水素吸蔵合金タンク13は、外部の水素供給源S又は第2の水素吸蔵合金タンク12から供給される水素を充填し、又は第3の水素吸蔵合金タンク13に充填された水素をタンク外部の水素負荷Cへ放出するためのタンクである。第3の水素吸蔵合金タンク13には、水素吸蔵合金13aが封入されている。第3の水素吸蔵合金タンク13内の水素は、水素流路L1及び水素流路L12を通じて、第3の水素吸蔵合金タンク13と第2の水素吸蔵合金タンク12との間で、移し替えることができる。
【0041】
第2の水素吸蔵合金タンク12は、第1の水素吸蔵合金タンク11若しくは第3の水素吸蔵合金タンク13から供給される水素を充填し、又は第2の水素吸蔵合金タンク12に充填された水素を第1の水素吸蔵合金タンク11若しくは第3の水素吸蔵合金タンク13に供給するためのタンクである。第2の水素吸蔵合金タンク12には、水素吸蔵合金12aが封入されている。第2の水素吸蔵合金タンク12内の水素は、水素流路L1及び水素流路L11を通じて、第2の水素吸蔵合金タンク12と第1の水素吸蔵合金タンク11との間で、水素流路L1及び水素流路L12を通じて、第2の水素吸蔵合金タンク12と第3の水素吸蔵合金タンク13との間で、それぞれ移し替えることができる。
【0042】
水素吸蔵合金11a、水素吸蔵合金12a、及び水素吸蔵合金13aは、互いに、特性が同一の水素吸蔵合金であってもよいし、特性が異なる異種の水素吸蔵合金であってもよい。ただし、水素吸蔵合金11a、水素吸蔵合金12a、及び水素吸蔵合金13aの特性が互いに同一である場合であっても異なる場合であっても、第1の水素吸蔵合金タンク11及び第3の水素吸蔵合金タンク13は、いずれも第2の水素吸蔵合金タンク12に比べて、水素吸蔵容量が小さい。水素吸蔵合金の特性は、PCT(Pressure Composition Temperature)線図により表される。
【0043】
水素吸蔵合金11a、水素吸蔵合金12a、及び水素吸蔵合金13aとしては、第1実施形態と同様に、上述した条件を満たす限り特に限定されない。水素吸蔵合金としては、例えば、第1実施形態において記載したものを使用できる。
【0044】
第1の水素吸蔵合金タンク11と第2の水素吸蔵合金タンク12は、水素流路L1及び水素流路L11によって接続されている。水素流路L1及び水素流路L11を通じて、第1の水素吸蔵合金タンク11内の水素を第2の水素吸蔵合金タンク12に移し替えたり、第2の水素吸蔵合金タンク12内の水素を第1の水素吸蔵合金タンク11に移し替えたりすることができる。
【0045】
第3の水素吸蔵合金タンク13と第2の水素吸蔵合金タンク12は、水素流路L1及び水素流路L12によって接続されている。水素流路L1及び水素流路L12を通じて、第3の水素吸蔵合金タンク13内の水素を第2の水素吸蔵合金タンク12に移し替えたり、第2の水素吸蔵合金タンク12内の水素を第3の水素吸蔵合金タンク13に移し替えたりすることができる。
【0046】
図2に示す水素吸蔵・放出システム2では、水素流路L11と水素流路L1、又は水素流路L12と水素流路L1は、水素流路切替器31で接続される。水素流路切替器31で水素流路L1と接続する水素流路を水素流路L11及び水素流路L12のうちから選択することができる。
【0047】
水素流路L11の途中に開閉弁V11が配置されている。水素流路切替器31で水素流路L1と接続する水素流路として水素流路L11を選択している場合に、開閉弁V11を開通させることで第1の水素吸蔵合金タンク11と第2の水素吸蔵合金タンク12との間での水素の移送が可能となり、開閉弁V11を閉止することで第1の水素吸蔵合金タンク11と第2の水素吸蔵合金タンク12との間での水素の移送が不可能となる。
【0048】
水素流路L12の途中に開閉弁V12が配置されている。水素流路切替器31で水素流路L1と接続する水素流路として水素流路L12を選択している場合に、開閉弁V12を開通させることで第3の水素吸蔵合金タンク13と第2の水素吸蔵合金タンク12との間での水素の移送が可能となり、開閉弁V12を閉止することで第3の水素吸蔵合金タンク13と第2の水素吸蔵合金タンク12との間での水素の移送が不可能となる。
【0049】
第1の水素吸蔵合金タンク11は、水素吸蔵合金11aに吸蔵した水素を、水素流路L2及び水素流路L41を通じて、外部の水素負荷Cへ放出可能である。また、第1の水素吸蔵合金タンク11は、水素吸蔵合金11aに吸蔵する水素を、水素流路L3及び水素流路L41を通じて、外部の水素供給源Sから受け入れ可能である。
【0050】
第3の水素吸蔵合金タンク13は、水素吸蔵合金13aに吸蔵した水素を、水素流路L2及び水素流路L42を通じて、外部の水素負荷Cへ放出可能である。また、第3の水素吸蔵合金タンク13は、水素吸蔵合金13aに吸蔵する水素を、水素流路L3及び水素流路L42を通じて、外部の水素供給源Sから受け入れ可能である。
【0051】
図2に示す水素吸蔵・放出システム2では、水素流路L41は、水素流路切替器41と第1の水素吸蔵合金タンク11とを接続し、水素流路L42は、水素流路切替器41と第3の水素吸蔵合金タンク13とを接続している。水素流路切替器41は、水素流路L2及び水素流路L3の一方と、水素流路L41及び水素流路L42の一方と、を連通させる。水素流路L41には開閉弁V21が配置されている。開閉弁V21を開通させることで第1の水素吸蔵合金タンク11と水素供給源S及び水素負荷Cのうち水素流路切替器41が開通している方との間での水素の移送が可能となる。水素流路L42には開閉弁V22が配置されている。開閉弁V22を開通させることで第3の水素吸蔵合金タンク13と水素供給源S及び水素負荷Cのうち水素流路切替器41が開通している方との間での水素の移送が可能となる。
【0052】
第1の水素吸蔵合金タンク11の内部には、第1の加温冷却装置21から延びる熱媒流路21bが通じており、熱媒流路21bを通過する熱媒21aで第1の加温冷却装置21と水素吸蔵合金11aとの間で熱交換が可能となっている。熱媒21aは第1の加温冷却装置で加温又は冷却される。熱媒21aは第1の水素吸蔵合金タンク11と第1の加温冷却装置21との間で循環している。
【0053】
第3の水素吸蔵合金タンク13の内部には、第3の加温冷却装置23から延びる熱媒流路23bが通じており、熱媒流路23bを通過する熱媒23aで第3の加温冷却装置23と水素吸蔵合金13aとの間で熱交換が可能となっている。熱媒23aは第3の加温冷却装置で加温又は冷却される。熱媒23aは第3の水素吸蔵合金タンク13と第3の加温冷却装置23との間で循環している。
【0054】
第2の水素吸蔵合金タンク12の内部には、第2の加温冷却装置22から延びる熱媒流路22bが通じており、熱媒流路22bを通過する熱媒22aと水素吸蔵合金12aとの間で熱交換が可能となっている。熱媒22aは第2の加温冷却装置で加温又は冷却される。熱媒22aは第2の水素吸蔵合金タンク12と第2の加温冷却装置22との間で循環している。
【0055】
熱媒21a、熱媒22a、及び熱媒23aは、それぞれ上述したように第1の加温冷却装置21、第2の加温冷却装置22、及び第3の加温冷却装置23で加温又は冷却されてもよいし、熱媒21aと熱媒22aの間、熱媒23aと熱媒22aとの間、又は熱媒21aと熱媒23aとの間で熱交換することによって、加温又は冷却されてもよいし、加温冷却装置での加温又は冷却と熱媒どうしの熱交換による加温又は冷却を組み合わせてもよい。
【0056】
また、第1の加温冷却装置21と、第3の加温冷却装置23との間で熱交換を行い、外部の水素供給源Sからの水素を第1の水素吸蔵合金タンク11の水素吸蔵合金11aに吸蔵させつつ、第3の水素吸蔵合金タンク13の水素吸蔵合金13aから放出された水素を第2の水素吸蔵合金タンク12へ供給してもよい。
【0057】
図2に示す水素吸蔵・放出システム2の水素吸蔵時及び水素放出時動作方法の一例について説明する。水素吸蔵・放出システム2の水素の吸蔵及び放出は、制御装置(図示せず)によって制御される。
【0058】
・水素吸蔵時の動作
工程1’:第1の加温冷却装置21により第1の水素吸蔵合金タンク11内の水素吸蔵合金11aを冷却した状態で、水素供給源Sから水素流路L3及び水素流路L41を通じて第1の水素吸蔵合金タンク11に水素を供給して、第1の水素吸蔵合金タンク11の内圧が第1の水素吸蔵合金タンク11の吸蔵限界圧力以上となるまで、第1の水素吸蔵合金タンク11に水素を吸蔵させる。
【0059】
工程2’:第3の加温冷却装置23により第3の水素吸蔵合金タンク13内の水素吸蔵合金13aを冷却した状態で、水素供給源Sから水素流路L3及び水素流路L42を通じて第3の水素吸蔵合金タンク13に水素を供給して、第3の水素吸蔵合金タンク13の内圧が第3の水素吸蔵合金タンク13の吸蔵限界圧力以上となるまで、第3の水素吸蔵合金タンク13に水素を吸蔵させる。
さらに、第1の加温冷却装置21により第1の水素吸蔵合金タンク11内の水素吸蔵合金11aを加温するとともに第2の加温冷却装置22により第2の水素吸蔵合金タンク12内の水素吸蔵合金12aを冷却し、第1の水素吸蔵合金タンク11から水素流路L11及び水素流路L1を通じて第2の水素吸蔵合金タンク12に放出させた水素を第2の水素吸蔵合金タンク12に吸蔵させる。
第2の水素吸蔵合金タンク12の内圧が第2の水素吸蔵合金タンク12の吸蔵限界圧力以上であれば、下記工程5’を実行し、吸蔵限界圧力未満であれば、下記工程3’を実行する。
【0060】
工程3’:第1の加温冷却装置21により第1の水素吸蔵合金タンク11内の水素吸蔵合金11aを冷却した状態で、水素供給源Sから水素流路L3及び水素流路L41を通じて第1の水素吸蔵合金タンク11に水素を供給して、第1の水素吸蔵合金タンク11の内圧が第1の水素吸蔵合金タンク11の吸蔵限界圧力以上となるまで、第1の水素吸蔵合金タンク11に水素を吸蔵させる。
さらに、第3の加温冷却装置23により第3の水素吸蔵合金タンク13内の水素吸蔵合金13aを加温するとともに第2の加温冷却装置22により第2の水素吸蔵合金タンク12内の水素吸蔵合金12aを冷却し、第3の水素吸蔵合金タンク13から水素流路L12及び水素流路L1を通じて第2の水素吸蔵合金タンク12に放出させた水素を第2の水素吸蔵合金タンク12に吸蔵させる。
第2の水素吸蔵合金タンク12の内圧が第2の水素吸蔵合金タンク12の吸蔵限界圧力以上であれば、下記工程5’を実行し、吸蔵限界圧力未満であれば、下記工程4’を実行する。
【0061】
工程4’:第3の加温冷却装置23により第3の水素吸蔵合金タンク13内の水素吸蔵合金13aを冷却した状態で、水素供給源Sから水素流路L3及び水素流路L42を通じて第3の水素吸蔵合金タンク13に水素を供給して、第3の水素吸蔵合金タンク13の内圧が第3の水素吸蔵合金タンク13の吸蔵限界圧力以上となるまで、第3の水素吸蔵合金タンク13に水素を吸蔵させる。
さらに、第1の加温冷却装置21により第1の水素吸蔵合金タンク11内の水素吸蔵合金11aを加温するとともに第2の加温冷却装置22により第2の水素吸蔵合金タンク12内の水素吸蔵合金12aを冷却し、第1の水素吸蔵合金タンク11から水素流路L11及び水素流路L1を通じて第2の水素吸蔵合金タンク12に放出された水素を第2の水素吸蔵合金タンク12に吸蔵させる。
第2の水素吸蔵合金タンク12の内圧が第2の水素吸蔵合金タンク12の吸蔵限界圧力以上であれば、下記工程5’を実行し、吸蔵限界圧力未満であれば、上記工程1’を実行する。
【0062】
工程5’:水素の吸蔵を停止する。
【0063】
・水素放出時の動作
工程6’:第1の加温冷却装置21により第1の水素吸蔵合金タンク11内の水素吸蔵合金11aを加温し、第1の水素吸蔵合金タンク11の内圧が第1の水素吸蔵合金タンク11の放出限界圧力以下となるまで、第1の水素吸蔵合金タンク11から水素流路L41及び水素流路L2を通じて水素負荷Cに水素を放出させる。
【0064】
工程7’:第3の加温冷却装置により第3の水素吸蔵合金タンク13内の水素吸蔵合金13aを加温し、第3の水素吸蔵合金タンク13の内圧が第3の水素吸蔵合金タンク13の放出限界圧力以下となるまで、第3の水素吸蔵合金タンク13から水素流路L42及び水素流路L2を通じて水素負荷Cに水素を放出させる。
さらに、第1の加温冷却装置21により第1の水素吸蔵合金タンク11内の水素吸蔵合金11aを冷却するとともに第2の加温冷却装置22により第2の水素吸蔵合金タンク12内の水素吸蔵合金12aを加温し、第2の水素吸蔵合金タンク12から水素流路L1及び水素流路L11を通じて第1の水素吸蔵合金タンク11に放出された水素を第1の水素吸蔵合金タンク11に吸蔵させる。
第2の水素吸蔵合金タンク12の内圧が第2の水素吸蔵合金タンク12の放出限界圧力以下であれば、工程10’を実行し、放出限界圧力超であれば、工程8’を実行する。
【0065】
工程8’:第1の加温冷却装置21により第1の水素吸蔵合金タンク11内の水素吸蔵合金11aを加温し、第1の水素吸蔵合金タンク11の内圧が第1の水素吸蔵合金タンク11の放出限界圧力以下となるまで、第1の水素吸蔵合金タンク11から水素流路L41及び水素流路L2を通じて水素負荷Cに水素を放出させる。
さらに、第3の加温冷却装置23により第3の水素吸蔵合金タンク13内の水素吸蔵合金13aを冷却するとともに第2の加温冷却装置22により第2の水素吸蔵合金タンク12内の水素吸蔵合金12aを加温し、第2の水素吸蔵合金タンク12から水素流路L1及び水素流路L12を通じて第3の水素吸蔵合金タンク13に放出された水素を第3の水素吸蔵合金タンク13に吸蔵させる。
第2の水素吸蔵合金タンク12の内圧が第2の水素吸蔵合金タンク12の放出限界圧力以下であれば、下記工程10’を実行し、吸蔵限界圧力超であれば、下記工程9’を実行する。
【0066】
工程9’:第3の加温冷却装置23により第3の水素吸蔵合金タンク13内の水素吸蔵合金13aを加温し、第3の水素吸蔵合金タンク13の内圧が第3の水素吸蔵合金タンク13の放出限界圧力以下となるまで、第3の水素吸蔵合金タンク13から水素流路L12及び水素流路L2を通じて水素負荷Cに水素を放出させる。
さらに、第1の加温冷却装置21により第1の水素吸蔵合金タンク11内の水素吸蔵合金11aを冷却するとともに第2の加温冷却装置22により第2の水素吸蔵合金タンク12内の水素吸蔵合金12aを加温し、第2の水素吸蔵合金タンク12から水素流路L1及び水素流路L11を通じて第1の水素吸蔵合金タンク11に放出された水素を第1の水素吸蔵合金タンク11に吸蔵させる。
第2の水素吸蔵合金タンク12の内圧が第2の水素吸蔵合金タンク12の放出限界圧力以下であれば、下記工程10’を実行し、吸蔵限界圧力超であれば、上記工程6’を実行する。
【0067】
工程10’:水素の放出を終了する。
【0068】
工程2’において、第2の加温冷却装置22により第2の水素吸蔵合金タンク12を冷却することなく、差圧により、第1の水素吸蔵合金タンク11から水素流路L11及び水素流路L1を通じて第2の水素吸蔵合金タンク12に水素を供給するようにしてもよい。
【0069】
工程7’において、第2の加温冷却装置22により第2の水素吸蔵合金タンク12を加温することなく、差圧により、第2の水素吸蔵合金タンク12から水素流路L1及び水素流路L11を通じて第1の水素吸蔵合金タンク11に水素を供給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1,2 水素吸蔵・放出システム
11 第1の水素吸蔵合金タンク
11a,12a,13a 水素吸蔵合金
12 第2の水素吸蔵合金タンク
13 第3の水素吸蔵合金タンク
21 第1の加温冷却装置
21a,22a,23a 熱媒
21b,22b,23b 熱媒流路
22 第2の加温冷却装置
23 第3の加温冷却装置
30 三方弁
31,41 水素流路切替器
L1,L2,L3,L4 水素流路
V1,V2 開閉弁
図1
図2