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特開2024-178702研磨パッドのドレッシング条件設定方法、ウェーハの片面研磨方法、ウェーハの製造方法、研磨パッドのドレッシング条件設定装置およびウェーハの片面研磨装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178702
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】研磨パッドのドレッシング条件設定方法、ウェーハの片面研磨方法、ウェーハの製造方法、研磨パッドのドレッシング条件設定装置およびウェーハの片面研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 53/017 20120101AFI20241218BHJP
   B24B 53/12 20060101ALI20241218BHJP
   B24B 53/00 20060101ALI20241218BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20241218BHJP
   B24B 37/005 20120101ALI20241218BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
B24B53/017 Z
B24B53/12 Z
B24B53/00 A
B24B37/10
B24B37/005 Z
H01L21/304 622F
H01L21/304 622M
H01L21/304 622R
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097043
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】302006854
【氏名又は名称】株式会社SUMCO
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒木 卓也
(72)【発明者】
【氏名】杉森 勝久
(72)【発明者】
【氏名】大久保 翔平
【テーマコード(参考)】
3C047
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C047AA01
3C047AA34
3C047EE04
3C158AA07
3C158EA11
3C158EB01
3C158EB29
3C158ED00
5F057AA02
5F057AA19
5F057AA47
5F057AA48
5F057BA01
5F057BA12
5F057BB03
5F057CA01
5F057CA02
5F057CA09
5F057CA12
5F057CA19
5F057CA25
5F057CA36
5F057DA03
5F057DA08
5F057DA15
5F057DA28
5F057DA38
5F057EB03
5F057EB07
5F057EB13
5F057EB24
5F057EB27
5F057EC30
5F057FA01
5F057FA14
5F057FA19
5F057FA20
5F057FA37
5F057FA39
5F057GA16
5F057GA27
(57)【要約】
【課題】所望の形状のウェーハを得られる研磨パッドのドレッシング条件設定方法を提供すること。
【解決手段】研磨パッドのドレッシング条件設定方法は、研磨パッドの表面における孔の開口径を取得する開口径取得工程と、研磨後のウェーハの目標形状を取得する目標形状取得工程と、相関情報に基づいて、研磨パッドのドレッシング条件を設定するドレッシング条件設定工程と、を備え、相関情報は、研磨パッドの開口径、ドレッシング条件、および、ドレッシング条件でドレッシングされた研磨パッドにより研磨されたウェーハの推定形状の相関を表し、ドレッシング条件設定工程は、相関情報と、開口径取得工程で取得された開口径と、目標形状取得工程で取得された目標形状と、に基づいて、研磨後のウェーハの形状を目標形状にするためのドレッシング条件を設定する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハの片面研磨に用いられるスウェードタイプの研磨パッドのドレッシング条件設定方法であって、
前記研磨パッドの表面における孔の開口径を取得する開口径取得工程と、
研磨後の前記ウェーハの目標形状を取得する目標形状取得工程と、
相関情報に基づいて、前記研磨パッドのドレッシング条件を設定するドレッシング条件設定工程と、を備え、
前記相関情報は、前記研磨パッドの前記開口径、ドレッシング条件、および、前記ドレッシング条件でドレッシングされた前記研磨パッドにより研磨された前記ウェーハの推定形状の相関を表し、
前記ドレッシング条件設定工程は、前記相関情報と、前記開口径取得工程で取得された前記開口径と、前記目標形状取得工程で取得された前記目標形状と、に基づいて、前記研磨後のウェーハの形状を前記目標形状にするための前記ドレッシング条件を設定する、研磨パッドのドレッシング条件設定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の研磨パッドのドレッシング条件設定方法において、
前記相関情報は、前記研磨パッドの前記開口径、互いに異なる複数のドレッシング条件、および、前記複数のドレッシング条件でそれぞれドレッシングされた前記研磨パッドにより研磨された前記ウェーハの推定形状の相関を表し、
前記ドレッシング条件設定工程は、
前記相関情報に基づいて、前記開口径取得工程で前記開口径が取得された前記研磨パッドを前記複数のドレッシング条件でそれぞれドレッシングした場合の前記ウェーハの推定形状を求め、
当該求められた前記推定形状から前記目標形状に最も近い前記推定形状を選択し、
当該選択された前記推定形状に対応する前記ドレッシング条件を、前記研磨後のウェーハの形状を前記目標形状にするためのドレッシング条件として設定する、研磨パッドのドレッシング条件設定方法。
【請求項3】
ウェーハを当該ウェーハよりも大きいスウェードタイプの研磨パッドに押し付けて、前記ウェーハおよび前記研磨パッドを回転させることにより、前記ウェーハを研磨するウェーハの片面研磨方法であって、
請求項1または請求項2に記載の研磨パッドのドレッシング条件設定方法により、前記研磨パッドのドレッシング条件を設定する工程と、
前記ドレッシング条件で前記研磨パッドをドレッシングするドレッシング工程と、
前記ドレッシングされた前記研磨パッドにより、前記ウェーハを研磨する研磨工程と、を備える、ウェーハの片面研磨方法。
【請求項4】
請求項3に記載のウェーハの片面研磨方法において、
前記ドレッシング工程は、ブラシを前記研磨パッドに押し付けつつ、前記ブラシおよび前記研磨パッドのうち少なくとも一方の部材を移動させることにより、前記研磨パッドをドレッシングする、ウェーハの片面研磨方法。
【請求項5】
請求項4に記載のウェーハの片面研磨方法において、
前記ドレッシング工程は、前記研磨パッドを回転させつつ、前記ブラシを前記研磨パッドの中央から外周部に、または、前記外周部から前記中央に移動させることにより、前記研磨パッドをドレッシングする、ウェーハの片面研磨方法。
【請求項6】
請求項4に記載のウェーハの片面研磨方法において、
前記ドレッシング条件設定工程は、前記開口径取得工程で取得された前記研磨パッドの前記開口径および前記目標形状取得工程で取得された前記ウェーハの前記目標形状のうち少なくとも一方に応じて、前記研磨パッドに対する前記ブラシの押し付け量およびドレッシング回数のうち少なくとも一方が異なる前記ドレッシング条件を設定する、ウェーハの片面研磨方法。
【請求項7】
ウェーハの製造方法であって、
前記ウェーハを仕上げ加工する仕上げ工程を備え、
前記仕上げ工程において、請求項3に記載のウェーハの片面研磨方法により、前記ウェーハを研磨する、ウェーハの製造方法。
【請求項8】
ウェーハの片面研磨に用いられるスウェードタイプの研磨パッドのドレッシング条件設定装置であって、
前記研磨パッドの表面における孔の開口径および研磨後の前記ウェーハの目標形状を取得する情報取得部と、
相関情報に基づいて、前記研磨パッドのドレッシング条件を設定するドレッシング条件設定部と、を備え、
前記相関情報は、前記研磨パッドの前記開口径、ドレッシング条件、および、前記ドレッシング条件でドレッシングされた前記研磨パッドにより研磨された前記ウェーハの推定形状の相関を表し、
前記ドレッシング条件設定部は、前記相関情報と、前記情報取得部で取得された前記開口径および前記目標形状と、に基づいて、前記研磨後のウェーハの形状を前記目標形状にするための前記ドレッシング条件を設定する、研磨パッドのドレッシング条件設定装置。
【請求項9】
請求項8に記載の研磨パッドのドレッシング条件設定装置において、
前記相関情報は、前記研磨パッドの前記開口径、互いに異なる複数のドレッシング条件、および、前記複数のドレッシング条件でそれぞれドレッシングされた前記研磨パッドにより研磨されたウェーハの推定形状の相関を表し、
前記ドレッシング条件設定部は、
前記相関情報に基づいて、前記情報取得部で前記開口径が取得された前記研磨パッドを前記複数のドレッシング条件でそれぞれドレッシングした場合の前記ウェーハの推定形状を求め、
当該求められた前記推定形状から前記目標形状に最も近い前記推定形状を選択し、
当該選択された前記推定形状に対応する前記ドレッシング条件を、前記研磨後のウェーハの形状を前記目標形状にするためのドレッシング条件として設定する、研磨パッドのドレッシング条件設定装置。
【請求項10】
研磨ヘッドに保持されたウェーハを当該ウェーハよりも大きいスウェードタイプの研磨パッドに押し付けて、前記研磨ヘッドおよび前記研磨パッドを回転させることにより、前記ウェーハを研磨するウェーハの片面研磨装置であって、
前記研磨パッドをドレッシングするドレッシング部と、
前記研磨ヘッドおよび前記研磨パッドを回転させる回転駆動部と、
前記研磨パッドのドレッシング条件を設定する請求項8または請求項9に記載のドレッシング条件設定装置と、
前記ドレッシング部を制御して、前記ドレッシング条件で前記研磨パッドをドレッシングするドレッシング制御部と、
前記回転駆動部を制御して、前記ドレッシングされた前記研磨パッドにより、前記ウェーハを研磨する研磨制御部と、を備える、ウェーハの片面研磨装置。
【請求項11】
請求項10に記載のウェーハの片面研磨装置において、
前記ドレッシング制御部は、前記ドレッシング部を制御して、ブラシを前記研磨パッドに押し付けつつ、前記ブラシおよび前記研磨パッドのうち少なくとも一方の部材を移動させることにより、前記研磨パッドをドレッシングする、ウェーハの片面研磨装置。
【請求項12】
請求項11に記載のウェーハの片面研磨装置において、
前記ドレッシング制御部は、前記ドレッシング部を制御して、前記研磨パッドを回転させつつ、前記ブラシを前記研磨パッドの中央から外周部に、または、前記外周部から前記中央に移動させることにより、前記研磨パッドをドレッシングする、ウェーハの片面研磨装置。
【請求項13】
請求項11に記載のウェーハの片面研磨装置において、
前記ドレッシング条件設定部は、前記情報取得部で取得された前記研磨パッドの前記開口径および前記ウェーハの前記目標形状のうち少なくとも一方に応じて、前記研磨パッドに対する前記ブラシの押し付け量およびドレッシング回数のうち少なくとも一方が異なる前記ドレッシング条件を設定する、ウェーハの片面研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨パッドのドレッシング条件設定方法、ウェーハの片面研磨方法、ウェーハの製造方法、研磨パッドのドレッシング条件設定装置およびウェーハの片面研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
研磨パッドを用いてウェーハの片面を研磨するに際し、研磨パッドの表面の物性が取り代に影響を与えることが知られている。このような影響に対応するための技術として、表面粗さと圧縮率の比が特定範囲の研磨パッドを用いることにより、研磨後のウェーハの品質を安定させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。他の技術として、研磨布の表面の位置に応じて表面形状の修正量を変えることにより、ウェーハに作用する圧力の偏りを是正するように研磨布の表面形状を修正する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-142437号公報
【特許文献2】特開2002-187059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特にウェーハ周辺部のESFQD(Edge Site flatness Front reference least sQuare Deviation)のような、ウェーハの形状の精度に対する要求が高くなるにつれて、特許文献1,2に記載の技術のように、表面粗さと圧縮率の比が特定範囲の研磨パッドを用いたり、研磨布全体の表面形状を均一したりするだけでは、所望の形状のウェーハを得ることが困難になってきている。
【0005】
本発明は、所望の形状のウェーハを得られる研磨パッドのドレッシング条件設定方法、ウェーハの片面研磨方法、ウェーハの製造方法、研磨パッドのドレッシング条件設定装置およびウェーハの片面研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の研磨パッドのドレッシング条件設定方法は、ウェーハの片面研磨に用いられるスウェードタイプの研磨パッドのドレッシング条件設定方法であって、前記研磨パッドの表面における孔の開口径を取得する開口径取得工程と、研磨後の前記ウェーハの目標形状を取得する目標形状取得工程と、相関情報に基づいて、前記研磨パッドのドレッシング条件を設定するドレッシング条件設定工程と、を備え、前記相関情報は、前記研磨パッドの前記開口径、ドレッシング条件、および、前記ドレッシング条件でドレッシングされた前記研磨パッドにより研磨された前記ウェーハの推定形状の相関を表し、前記ドレッシング条件設定工程は、前記相関情報と、前記開口径取得工程で取得された前記開口径と、前記目標形状取得工程で取得された前記目標形状と、に基づいて、前記研磨後のウェーハの形状を前記目標形状にするための前記ドレッシング条件を設定する。
【0007】
本発明の研磨パッドのドレッシング条件設定方法において、前記相関情報は、前記研磨パッドの前記開口径、互いに異なる複数のドレッシング条件、および、前記複数のドレッシング条件でそれぞれドレッシングされた前記研磨パッドにより研磨された前記ウェーハの推定形状の相関を表し、前記ドレッシング条件設定工程は、前記相関情報に基づいて、前記開口径取得工程で前記開口径が取得された前記研磨パッドを前記複数のドレッシング条件でそれぞれドレッシングした場合の前記ウェーハの推定形状を求め、当該求められた前記推定形状から前記目標形状に最も近い前記推定形状を選択し、当該選択された前記推定形状に対応する前記ドレッシング条件を、前記研磨後のウェーハの形状を前記目標形状にするためのドレッシング条件として設定する、ことが好ましい。
【0008】
本発明のウェーハの片面研磨方法は、ウェーハを当該ウェーハよりも大きいスウェードタイプの研磨パッドに押し付けて、前記ウェーハおよび前記研磨パッドを回転させることにより、前記ウェーハを研磨するウェーハの片面研磨方法であって、上述の研磨パッドのドレッシング条件設定方法により、前記研磨パッドのドレッシング条件を設定する工程と、前記ドレッシング条件で前記研磨パッドをドレッシングするドレッシング工程と、前記ドレッシングされた前記研磨パッドにより、前記ウェーハを研磨する研磨工程と、を備える。
【0009】
本発明のウェーハの片面研磨方法において、前記ドレッシング工程は、ブラシを前記研磨パッドに押し付けつつ、前記ブラシおよび前記研磨パッドのうち少なくとも一方の部材を移動させることにより、前記研磨パッドをドレッシングする、ことが好ましい。
【0010】
本発明のウェーハの片面研磨方法において、前記ドレッシング工程は、前記研磨パッドを回転させつつ、前記ブラシを前記研磨パッドの中央から外周部に、または、前記外周部から前記中央に移動させることにより、前記研磨パッドをドレッシングする、ことが好ましい。
【0011】
本発明のウェーハの片面研磨方法において、前記ドレッシング条件設定工程は、前記開口径取得工程で取得された前記研磨パッドの前記開口径および前記目標形状取得工程で取得された前記ウェーハの前記目標形状のうち少なくとも一方に応じて、前記研磨パッドに対する前記ブラシの押し付け量およびドレッシング回数のうち少なくとも一方が異なる前記ドレッシング条件を設定する、ことが好ましい。
【0012】
本発明のウェーハの製造方法は、前記ウェーハを仕上げ加工する仕上げ工程を備え、前記仕上げ工程において、上述のウェーハの片面研磨方法により、前記ウェーハを研磨する。
【0013】
本発明の研磨パッドのドレッシング条件設定装置は、ウェーハの片面研磨に用いられるスウェードタイプの研磨パッドのドレッシング条件設定装置であって、前記研磨パッドの表面における孔の開口径および研磨後の前記ウェーハの目標形状を取得する情報取得部と、相関情報に基づいて、前記研磨パッドのドレッシング条件を設定するドレッシング条件設定部と、を備え、前記相関情報は、前記研磨パッドの前記開口径、ドレッシング条件、および、前記ドレッシング条件でドレッシングされた前記研磨パッドにより研磨された前記ウェーハの推定形状の相関を表し、前記ドレッシング条件設定部は、前記相関情報と、前記情報取得部で取得された前記開口径および前記目標形状と、に基づいて、前記研磨後のウェーハの形状を前記目標形状にするための前記ドレッシング条件を設定する。
【0014】
本発明の研磨パッドのドレッシング条件設定装置において、前記相関情報は、前記研磨パッドの前記開口径、互いに異なる複数のドレッシング条件、および、前記複数のドレッシング条件でそれぞれドレッシングされた前記研磨パッドにより研磨されたウェーハの推定形状の相関を表し、前記ドレッシング条件設定部は、前記相関情報に基づいて、前記情報取得部で前記開口径が取得された前記研磨パッドを前記複数のドレッシング条件でそれぞれドレッシングした場合の前記ウェーハの推定形状を求め、当該求められた前記推定形状から前記目標形状に最も近い前記推定形状を選択し、当該選択された前記推定形状に対応する前記ドレッシング条件を、前記研磨後のウェーハの形状を前記目標形状にするためのドレッシング条件として設定する、ことが好ましい。
【0015】
本発明のウェーハの片面研磨装置は、研磨ヘッドに保持されたウェーハを当該ウェーハよりも大きいスウェードタイプの研磨パッドに押し付けて、前記研磨ヘッドおよび前記研磨パッドを回転させることにより、前記ウェーハを研磨するウェーハの片面研磨装置であって、前記研磨パッドをドレッシングするドレッシング部と、前記研磨ヘッドおよび前記研磨パッドを回転させる回転駆動部と、前記研磨パッドのドレッシング条件を設定する上述のドレッシング条件設定装置と、前記ドレッシング部を制御して、前記ドレッシング条件で前記研磨パッドをドレッシングするドレッシング制御部と、前記回転駆動部を制御して、前記ドレッシングされた前記研磨パッドにより、前記ウェーハを研磨する研磨制御部と、を備える。
【0016】
本発明のウェーハの片面研磨装置において、前記ドレッシング制御部は、前記ドレッシング部を制御して、ブラシを前記研磨パッドに押し付けつつ、前記ブラシおよび前記研磨パッドのうち少なくとも一方の部材を移動させることにより、前記研磨パッドをドレッシングする、ことが好ましい。
【0017】
本発明のウェーハの片面研磨装置において、前記ドレッシング制御部は、前記ドレッシング部を制御して、前記研磨パッドを回転させつつ、前記ブラシを前記研磨パッドの中央から外周部に、または、前記外周部から前記中央に移動させることにより、前記研磨パッドをドレッシングする、ことが好ましい。
【0018】
本発明のウェーハの片面研磨装置において、前記ドレッシング条件設定部は、前記情報取得部で取得された前記研磨パッドの前記開口径および前記ウェーハの前記目標形状のうち少なくとも一方に応じて、前記研磨パッドに対する前記ブラシの押し付け量およびドレッシング回数のうち少なくとも一方が異なる前記ドレッシング条件を設定する、ことが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係るウェーハの片面研磨装置の概略構成を示す模式図である。
図2】実施形態に係る研磨パッドのドレッシング方法を示す平面図である。
図3】実施形態に係る制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図4】実施形態に係る相関情報をグラフ形式で示す模式図である。
図5】実施形態に係るウェーハの製造方法を示すフローチャートである。
図6】実施形態に係る片面仕上げ工程を示すフローチャートである。
図7】実施例1に係る未使用時の平均開口率とウェーハ表面のZDDとの相関を示すグラフである。
図8】実施例2に係るドレッシング時のブラシ押し付け量とウェーハ表面のZDDとの相関を示す図である。
図9】実施例2に係るドレッシング時のブラシ押し付け量とESFQDとの相関を示す図である。
図10】実施例3に係る未使用時の平均開口径とドレッシング時のブラシ押し付け量とウェーハ表面のZDDとの相関を示す図である。
図11】実施例3に係る未使用時の平均開口径とドレッシング時のブラシ押し付け量とESFQDとの相関を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[実施形態]
<ウェーハの片面研磨装置の構成>
まず、本発明の実施形態に係るウェーハの片面研磨装置の構成について説明する。
図1に示す片面研磨装置1は、ウェーハWの片面(被研磨面W1)を研磨する(以下、片面研磨装置1における研磨を「片面研磨」という場合がある)。片面研磨装置1は、研磨部2と、ドレッシング部4と、コード読取部5と、制御装置6と、を備える。
【0021】
研磨部2は、研磨ヘッド21と、ヘッド保持部22と、ヘッド昇降部23と、回転駆動部としてのヘッド駆動部24と、定盤25と、研磨パッド26と、回転駆動部としての定盤駆動部27と、ウェーハ加圧力調整部28と、研磨液供給部29と、を備える。
なお、研磨部2が備える研磨ヘッド21は1つでも良いが、本実施形態では研磨部2が複数の研磨ヘッド21を備える構成を例示する。
【0022】
各研磨ヘッド21は、円板状に形成されている。各研磨ヘッド21は、水の表面張力などにより、ウェーハWの被研磨面W1(表面)とは反対側の面(裏面)を保持する。
【0023】
研磨ヘッド21の下面には、当該下面全体を覆うようにバックパッド211が配置されている。バックパッド211は、例えば多孔質樹脂材により構成され、水などの液体を含むことができる。
【0024】
バックパッド211の下面の外周部には、リング状のリテーナリング212が配置されている。リテーナリング212は、当該リテーナリング212の内部に位置するウェーハWの外周端部に接触し、バックパッド211と研磨パッド26の隙間から外れないようにウェーハWを保持する。
【0025】
各研磨ヘッド21の上面中央には、円柱状のヘッド回転軸部材213が配置されている。
【0026】
ヘッド保持部22は、各研磨ヘッド21のヘッド回転軸部材213の上端側の部位を、当該ヘッド回転軸部材213がその軸周りに回転できるように保持する。ヘッド保持部22は、複数の研磨ヘッド21が所定の円の円周上に等間隔で並ぶように、ヘッド回転軸部材213を保持する。
【0027】
ヘッド昇降部23は、ヘッド保持部22を昇降させる。
【0028】
ヘッド駆動部24は、ヘッド保持部22の内部に配置されている。ヘッド駆動部24は、例えばモータにより構成され、当該モータの回転軸に接続されたヘッド回転軸部材213を回転させる。
【0029】
定盤25は、円板状に形成され、複数の研磨ヘッド21の下方に配置されている。定盤25の下面中央には、円柱状の定盤回転軸部材251が配置されている。
【0030】
研磨パッド26は、定盤25の上面に貼り付けられている。研磨パッド26は、ウェーハWよりも大きい円形状に形成され、複数の研磨ヘッド21に保持されたウェーハWを同時に研磨できるように構成されている。研磨パッド26は、スウェードタイプの軟質の研磨パッドである。研磨パッド26の圧縮率は、例えば23%以上36%以下である。研磨パッド26は、ナップ(Nap)層を備える。ナップ層とは、発泡により形成された多数の孔を有する層である。研磨パッド26のパッド表面261には、ナップ層が有する多数の孔の開口が存在している。ウェーハWの被研磨面W1が所定の力でパッド表面261に押圧されることにより、ウェーハWの研磨が行われる。
【0031】
定盤駆動部27は、例えばモータにより構成され、当該モータの回転軸に接続された定盤回転軸部材251を、研磨ヘッド21の回転方向と同じ方向または逆方向に回転させる。
【0032】
ウェーハ加圧力調整部28は、固定加圧方式の装置であり、ウェーハWを研磨パッド26に押圧する圧力を調整する。固定加圧方式では、シリンダ加圧によって研磨ヘッド21全体が押し下げられ、研磨ヘッド21がバックパッド211を介してウェーハWの上面に押し付けられることにより、ウェーハWの被研磨面W1が研磨パッド26に押し付けられる。
【0033】
研磨液供給部29は、ノズル291により、研磨パッド26にスラリー状の研磨液を供給する。この研磨液を用いて、ウェーハWの被研磨面W1が研磨される。
【0034】
なお、研磨部2に、各研磨ヘッド21を研磨パッド26の研磨面に対して平行な方向に揺動させる揺動駆動部を設けても良い。例えば、揺動駆動部は、ヘッド昇降部23を保持し、ウェーハWの研磨中に当該ヘッド昇降部23を一方向に沿って往復させる(例えば、図1における左右方向に往復させる)ことにより、各研磨ヘッド21を当該研磨ヘッド21の回転軸Dを中心に揺動させる。
【0035】
ドレッシング部4は、研磨パッド26のパッド表面261に存在する複数の開口の開口径の平均値、つまり平均開口径が所定値になるように、研磨パッド26をドレッシングする。パッド表面261におけるドレッシングされた領域は、孔の開口径が大きくなり、軟らかくなる。
ドレッシング部4は、ブラシ保持部41と、ブラシ42と、位置調整部43と、上述した定盤25および定盤駆動部27と、を備える。
【0036】
ブラシ保持部41は、上下に延びる棒状のブラシ回動軸部材411を備える。ブラシ回動軸部材411の上端には、水平方向に延びる保持アーム412が配置されている。
【0037】
ブラシ42は、保持アーム412の先端側の部位に配置されている。ブラシ42は、円形状に束ねられた複数のナイロン製の毛により構成され、平面視でパッド表面261よりも小さい形状に形成されている。
詳しくは後述するが、ブラシ42が押し付けられた研磨パッド26を回転させることにより、パッド表面261におけるブラシ42との接触領域の孔の開口径が大きくなり、パッド表面261の平均開口径が大きくなる。
【0038】
位置調整部43は、ブラシ42の位置を調整する。位置調整部43は、ブラシ回動軸部材411を昇降させることにより、ブラシ42の高さ位置を調整する。位置調整部43は、ブラシ回動軸部材411をその軸周りに回転させることにより、パッド表面261上におけるブラシ42の水平方向の位置を調整する。
【0039】
ここで、ドレッシング部4を用いて、パッド表面261の平均開口径を大きくするように研磨パッド26をドレッシングする方法について説明する。
位置調整部43は、制御装置6の制御に基づいて、図2に示すように、保持アーム412を実線で示すパッド表面261の中央に位置させた状態で、ブラシ42をパッド表面261に押し付ける。次に、定盤駆動部27は、制御装置6の制御に基づいて、定盤25を、図2における左回りに等速度で複数回、回転させる。また、位置調整部43は、定盤25が複数回、回転している間、制御装置6の制御に基づいて、保持アーム412を、図2における左回りに等速度で回転させ、パッド表面261の中央から二点鎖線で示す外周部まで移動させる。
このような研磨パッド26の回転とブラシ42のパッド表面261の中央から外周部への移動に伴い、パッド表面261における二点鎖線で示される円環状のドレッシング領域261Aがドレッシングされる。
なお、定盤25と保持アーム412の回転方向は、異なっていても良い。また、ドレッシング領域261Aをドレッシングするために、ブラシ42をパッド表面261の外周部から中央に移動させても良い。
【0040】
ドレッシング領域261Aの孔の開口径は、研磨パッド26に対するブラシ42の押し付け量(以下、「ブラシ押し付け量」と言う場合がある)が大きいほど、つまりブラシ42の高さ位置が低いほど、大きくなる。
また、ドレッシング領域261Aの孔の開口径は、ブラシ押し付け量が同じ場合、ドレッシング回数が多くなるほど大きくなる。
また、ドレッシング領域261Aとドレッシングがされていない領域の厚さは、ブラシ押し付け量またはドレッシング回数に関係なく実質的に等しくなる。
【0041】
また、パッド表面261の平均開口径が大きいほど、ウェーハWの外周部(エッジ)の研磨時の取り代が小さくなる。
したがって、ウェーハWにおける被研磨面W1の目標形状(以下、「ウェーハWの目標形状」と言う場合がある)に応じて、パッド表面261の平均開口径を調整することにより、目標形状のウェーハWを製造できる。
【0042】
なお、研磨パッド26を回転させつつブラシ42を水平方向に沿って直線状に移動させても良い。平面視で研磨パッド26と同じ大きさまたは研磨パッド26より大きいブラシを用いて研磨パッド26全体をドレッシングしても良い。
【0043】
図1に示すコード読取部5は、制御装置6に電気的に接続されている。コード読取部5は、研磨パッド26自体または少なくとも1つの研磨パッド26を収容する箱に付された一次元コードまたは二次元コードを読み取り、読み取り内容に対応する信号を制御装置6へ出力する。一次元コードまたは二次元コードは、研磨パッド26のパッド表面261の平均開口径を特定する情報を有する。
【0044】
制御装置6は、研磨部2およびドレッシング部4を制御する。図3に示すように、制御装置6は、入力部61と、表示部62と、記憶部63と、制御部64と、を備える。
【0045】
入力部61は、例えばタッチパネルまたは物理ボタンにより構成されている。入力部61は、各種情報の入力に用いられ、入力に対応する信号を制御部64へ出力する。
入力される設定としては、ウェーハWの目標形状を例示できる。
なお、入力部61は、制御装置6に接続された外部ネットワークから、ウェーハWの研磨に関する各種設定情報を取得しても良い。
【0046】
ここで、ウェーハWの目標形状を表す指標としては、ESFQDおよびZDD(Z-height Double Differentiation)を例示できる。
【0047】
ESFQDは、ウェーハWの外周部でのサイトフラットネスを示す指標である。ESFQDは、平坦度測定装置(例えば、KLA-Tencor社製:Wafer sight 2)により測定される。
【0048】
ESFQDは、ウェーハWの外周部を多数(例えば72個)の扇形の領域(サイト)に分割し、サイト内でのデータを最小二乗法にて算出したサイト内平面を基準とし、このサイト内平面からの符号を含まない最大変位量のことであり、各サイトは1つのデータを持つ。
【0049】
ZDDは、ウェーハWの外周部近傍の傾きの変化(曲率)を表す指標である。ZDDは、ウェーハWの中心から最外周までのウェーハW表面(被研磨面)の変位プロファイルを、二次微分することにより得られる。
ウェーハWの表面側では、ZDDが正の値の場合は、はねる方向に表面が変位していることを示し、反対に負の値の場合はダレ方向に表面が変位していることを示す。ZDDが0に近いほど、ウェーハWの外周部近傍の傾きがない(平坦である)ことを示す。
【0050】
表示部62は、制御部64の制御に基づいて、各種情報を表示する。
【0051】
記憶部63は、例えばHDD(Hard Disk Drive)などの周知の記憶装置により構成されている。
記憶部63は、例えばウェーハWの研磨に関する各種情報を制御部64で読み取り可能に記憶する。ウェーハWの研磨に関する情報としては、研磨パッド26のドレッシング条件の設定に用いられる相関情報を例示できる。
なお、相関情報を、例えば片面研磨装置1から離れた場所に設置されたサーバ装置に格納しても良い。この場合、サーバ装置に格納された情報を、複数の片面研磨装置1で利用できるようにしても良い。
【0052】
図4に示す相関情報は、予め設定された設定研磨条件(例えばウェーハWを研磨パッド26に押圧する圧力および研磨時間)での、未使用の研磨パッド26におけるパッド表面261の平均開口径(以下、「未使用時の平均開口径」と言う場合がある)と、互いに異なる複数のドレッシング条件でドレッシングされた当該未使用の研磨パッド26を用いた片面研磨後におけるウェーハWの推定形状との相関を表す。
図4は、ウェーハWの推定形状を表す指標がウェーハW表面のZDDの場合の相関情報を示す。図4に示す第2のドレッシング条件は、第1のドレッシング条件よりも厳しく、第3のドレッシング条件は、第1のドレッシング条件よりも緩い。例えば、第1~第3のドレッシング条件のドレッシング回数が同じであり、かつ、第1のドレッシング条件のブラシ押し付け量がAミリの場合、第2のドレッシング条件のブラシ押し付け量がAミリよりも大きいCミリであり、第3のドレッシング条件のブラシ押し付け量がAミリよりも小さいDミリである。
【0053】
ドレッシング条件と研磨条件が同じであれば、未使用時の平均開口径が大きいほど、ウェーハW表面のZDDの推定値が大きくなり、未使用時の平均開口径とウェーハW表面のZDDの推定値は、直線の比例関係を有する。未使用時の平均開口径とウェーハW表面のZDDの推定値の相関は、複数の実験データの近似式により表されても良いし、シミュレーションにより求めても良い。
また、未使用時の平均開口径と研磨条件が同じであれば、ドレッシング条件が厳しくなるほど、つまりブラシ押し付け量が大きくなるほど、ウェーハW表面のZDDの推定値は大きくなり、ドレッシング条件が緩くなるほど、つまりブラシ押し付け量が小さくなるほど、ウェーハW表面のZDDの推定値は小さくなる。
【0054】
なお、相関情報は、互いに異なる2つまたは4つ以上のドレッシング条件に対応する相関を表しても良い。
また、相関情報で表される複数のドレッシング条件は、ブラシ押し付け量とドレッシング回数が異なっていても良いし、ドレッシング回数のみが異なっていても良い。相関情報で表される複数のドレッシング条件のドレッシング回数が異なる場合、未使用時の平均開口径と研磨条件が同じであれば、ドレッシング回数が多くなるほど、ウェーハW表面のZDDの推定値は大きくなり、ドレッシング回数が少なくなるほど、ウェーハW表面のZDDの推定値は小さくなる。
また、ドレッシング条件に、ブラシ42の毛の硬さがさらに含まれていても良い。
また、上述の相関情報は、テーブル構造を有する情報であっても良い。
【0055】
制御部64は、CPUを備え、記憶部63に格納されたプログラムをCPUが実行することにより各種機能を実現する。制御部64は、情報取得部641と、ドレッシング条件設定部642と、ドレッシング制御部643と、研磨制御部644と、を備える。情報取得部641およびドレッシング条件設定部642は、ドレッシング条件設定装置を構成する。
【0056】
情報取得部641は、コード読取部5から出力される信号に基づいて、未使用の研磨パッド26の平均開口径を取得する。
情報取得部641は、例えば、入力部61を用いて設定されたウェーハWの目標形状として、ウェーハW表面のZDDの目標値を取得する。ウェーハW表面のZDDの目標値は、1つの数値で表されても良いし、数値範囲で表されても良い。
なお、情報取得部641は、以下のように未使用の研磨パッド26の平均開口径を取得しても良い。一次元コードまたは二次元コードを、研磨パッド26の型式および製造ロットのうち少なくとも一方を表すパッド情報を有するように構成する。記憶部63に、内容が互いに異なる複数のパッド情報と、各パッド情報に対する平均開口径とを関連付けた開口径取得用情報を記憶させる。情報取得部641は、コード読取部5から出力される信号に基づいて研磨パッド26に対応するパッド情報を取得し、記憶部63に記憶された開口径取得用情報に基づいて、平均開口径を取得しても良い。
また、情報取得部641は、入力部61を用いて設定された平均開口径を取得しても良い。
【0057】
ドレッシング条件設定部642は、情報取得部641で取得された未使用の研磨パッド26の平均開口径およびウェーハW表面のZDDの目標値と、相関情報とに基づいて、研磨後のウェーハWのウェーハW表面のZDDを目標値にするための未使用の研磨パッド26のドレッシング条件を設定する。
【0058】
ドレッシング制御部643は、ドレッシング条件設定部642で設定されたドレッシング条件に基づき研磨パッド26をドレッシングするように、ドレッシング部4を制御する。
【0059】
研磨制御部644は、研磨部2を制御して、研磨ヘッド21および研磨パッド26を回転させることにより、ウェーハWの被研磨面W1を研磨する。
【0060】
<ウェーハの製造方法>
次に、片面研磨装置1を用いる研磨パッド26のドレッシング条件設定方法およびウェーハWの片面研磨方法を含むウェーハWの製造方法について説明する。
図5に示すように、ウェーハWの製造方法は、引き上げ工程(ステップS1)と、ブロック加工工程(ステップS2)と、スライス工程(ステップS3)と、前処理工程(ステップS4)と、両面同時研磨工程(ステップS5)と、仕上げ工程としての片面仕上げ工程(ステップS6)と、洗浄工程(ステップS7)と、ウェーハ最終検査工程(ステップS8)と、を備える。
【0061】
ステップS1の引き上げ工程では、チョクラルスキー法を用いて、シリコン融液から円柱状のシリコン単結晶を引き上げる。
【0062】
ステップS2のブロック加工工程では、単結晶インゴットの外周研削を行い、結晶方位に応じてノッチ加工を行う。そして、例えばバンドソーにより、単結晶インゴットを複数のブロックに切断する。
【0063】
ステップS3のスライス工程では、内周刃切断機やワイヤーソーにより、ブロックが例えば厚さ1mm程度の複数のウェーハWにスライスされる。
【0064】
ステップS4の前処理工程では、面取り加工を行うとともに、ウェーハW両面が平行になるように、例えばアルミナ研磨材などで粗研磨(ラッピング)を行う。そして、必要に応じてエッチングなどを施した後、ウェーハW表面の凹凸をなくす平坦化加工を行う。
【0065】
ステップS5の両面同時研磨工程では、前処理が行われたウェーハWに対して平坦度を高くする鏡面仕上げを行う。例えばコロイダルシリカ液などを用いて両面研磨(ポリッシング)を行い、平坦度をさらに高くし、所定平坦度のウェーハWを得る。
【0066】
ステップS6の片面仕上げ工程は、本発明のウェーハWの片面研磨方法を含む。片面仕上げ工程では、片面研磨装置1を用いて、両面同時研磨工程で得られたウェーハWの被研磨面W1を研磨する。
片面仕上げ工程により研磨加工を施すことで、ウェーハWの被研磨面W1の傷およびダメージを除去すると同時に、被研磨面W1の表面粗さを整えることができる。
片面仕上げ工程の詳細については後述する。
【0067】
ステップS7の洗浄工程では、例えばアルカリ性溶液などにより、片面仕上げ工程で得られたウェーハWを洗浄する。
【0068】
ステップS8のウェーハ最終検査工程では、ウェーハ表面検査装置などを用いて、ウェーハW上に存在する表面パーティクルまたは傷などを検査する。品質上必要な検査が行われた後、合格品は、梱包され、出荷される。
【0069】
次に、ステップS6の片面仕上げ工程の詳細について説明する。
図6に示すように、片面仕上げ工程は、開口径取得工程(ステップS61)と、目標形状取得工程(ステップS62)と、ドレッシング条件設定工程(ステップS63)と、ドレッシング工程(ステップS64)と、ウェーハセット工程(ステップS65)と、研磨工程(ステップS66)と、ウェーハ取り出し工程(ステップS67)と、を備える。目標形状取得工程およびドレッシング条件設定工程は、研磨パッド26のドレッシング条件設定方法を構成する。目標形状取得工程、ドレッシング条件設定工程、ドレッシング工程および研磨工程は、ウェーハWの片面研磨方法を構成する。
【0070】
ステップS61の開口径取得工程では、制御部64の情報取得部641は、研磨に使用する未使用の研磨パッド26の平均開口径を取得する。
【0071】
ステップS62の目標形状取得工程では、情報取得部641は、作業者による入力部61の入力操作に基づいて、目標形状としてウェーハW表面のZDDの目標値を取得する。
【0072】
ステップS63のドレッシング条件設定工程では、ドレッシング条件設定部642は、開口径取得工程で取得された未使用時の平均開口径と、目標形状取得工程で取得されたウェーハW表面のZDDの目標値と、相関情報とに基づいて、研磨後のウェーハW表面のZDDを目標値にするためのドレッシング条件を設定する。
【0073】
ドレッシング条件設定部642は、未使用時の平均開口径が取得された研磨パッド26を相関情報で表される各ドレッシング条件でドレッシングして、当該ドレッシングされた研磨パッド26を用いて設定研磨条件でウェーハWを研磨した場合の表面のZDDの推定値、つまり推定形状を求める。
次に、ドレッシング条件設定部642は、各ドレッシング条件に対応するウェーハW表面のZDDの推定値から目標値との差が最も小さい推定値を選択する。つまり、ドレッシング条件設定部642は、各ドレッシング条件に対応するウェーハWの推定形状から目標形状に最も近い推定形状を選択する。
この後、ドレッシング条件設定部642は、選択されたウェーハW表面のZDDの推定値に対応するドレッシング条件を、ドレッシング工程で用いるドレッシング条件として設定する。
【0074】
例えば、図4に示すように、開口径取得工程で取得された未使用時の平均開口径がHの場合、第1のドレッシング条件でドレッシングした場合のウェーハW表面のZDDの推定値はZ1、第2のドレッシング条件でドレッシングした場合のウェーハW表面のZDDの推定値はZ2、第3のドレッシング条件でドレッシングした場合のウェーハW表面のZDDの推定値はZ3である。
ウェーハW表面のZDDの目標値がZtの場合、ドレッシング条件設定部642は、第1~第3のドレッシング条件に対応するウェーハW表面のZDDの推定値Z1~Z3の中から目標値Ztとの差が最も小さい推定値Z2を選択し、当該推定値Z2に対応する第2のドレッシング条件をドレッシング工程で用いるドレッシング条件として設定する。
【0075】
ステップS64のドレッシング工程では、ドレッシング制御部643は、ドレッシング条件設定工程で設定されたドレッシング条件に基づき、ドレッシング部4の位置調整部43および定盤駆動部27を制御して、研磨パッド26をドレッシングする。
このドレッシング工程により、未使用時の平均開口径の大きさに関係なく、設定研磨条件で研磨されたウェーハW表面のZDDと目標値との差の絶対値を所定値以下にすることができる研磨パッド26が得られる。
【0076】
ステップS65のウェーハセット工程では、両面同時研磨工程で得られたウェーハWを片面研磨装置1にセットする。
【0077】
ステップS66の研磨工程では、研磨制御部644は、設定研磨条件に基づき、研磨部2のヘッド昇降部23、ヘッド駆動部24、定盤駆動部27、ウェーハ加圧力調整部28および研磨液供給部29を制御して、ドレッシング工程でドレッシングされた研磨パッド26を用いてウェーハWを研磨する。
この研磨工程により、ウェーハW表面のZDDと目標値との差の絶対値が所定値以下のウェーハW、つまり目標形状と同じ形状または目標形状に近い形状のウェーハWが得られる。
【0078】
ステップS67のウェーハ取り出し工程では、片面研磨装置1からウェーハWが取り出される。取り出されたウェーハWは、ステップS7の洗浄工程で洗浄される。
【0079】
<実施形態の効果>
研磨パッド26のドレッシング条件設定方法は、研磨パッド26のパッド表面261における平均開口径を取得する開口径取得工程と、研磨後のウェーハW表面のZDDの目標値を取得する目標形状取得工程と、ドレッシング条件を設定するドレッシング条件設定工程と、を備える。ドレッシング条件設定工程は、未使用の研磨パッド26の平均開口径、ドレッシング条件、および、ドレッシング条件でドレッシングされた研磨パッド26により設定研磨条件で研磨されたウェーハW表面のZDDの推定値の相関を表す相関情報と、開口径取得工程で取得された研磨パッド26の平均開口径と、目標形状取得工程で取得されたウェーハW表面のZDDの目標値とに基づいて、研磨後のウェーハWのZDDを目標値にするための研磨パッドのドレッシング条件を設定する。
このため、仮に、研磨パッド26ごとの平均開口径がばらついても、相関情報に基づき設定されたドレッシング条件で研磨パッド26をドレッシングすることにより、設定研磨条件を調整することなく、ウェーハW表面のZDDと目標値との差の絶対値が所定値以下である所望の形状のウェーハWを得られる。また、所望の形状のウェーハWが得られるため、ウェーハWの歩留まりが向上し、エネルギー効率の改善、生産効率の向上および廃棄物の削減を実現することができる。
【0080】
相関情報は、未使用の研磨パッド26の平均開口径、互いに異なる複数のドレッシング条件、および、前記複数のドレッシング条件でそれぞれドレッシングされた研磨パッド26により研磨されたウェーハW表面のZDDの推定値の相関を示す。ドレッシング条件設定工程は、相関情報に基づいて、研磨パッド26を複数のドレッシング条件でそれぞれドレッシングした場合のウェーハW表面のZDDの推定値を求め、当該求められたZDDの推定値から目標値との差が最も小さいZDDの推定値を選択し、当該選択された推定値に対応するドレッシング条件を、ドレッシング工程で用いるドレッシング条件として設定する。
このため、相関情報に基づいて、予め準備された複数のドレッシング条件の中から1つのドレッシング条件を選択するという簡単な方法で、適切なドレッシング条件を設定できる。
【0081】
研磨パッド26をドレッシングして平均開口径を調整する方法として、スウェードタイプの研磨パッド26を回転させつつ、ブラシ42を研磨パッド26に対して移動させる方法を用いている。
このため、ブラシ42を用いて研磨パッド26を回転させるだけの簡単な方法で、平均開口径を調整できる。
特に、砥石のように研磨パッド26を削る構成ではなく、毛が変形するブラシ42を用いてスウェードタイプの研磨パッド26を調整することにより、研磨パッド26の厚さを実質的に変化させることなく平均開口径を微調整できる。また、砥石を用いて研磨パッド26をドレッシングする場合、砥石成分が研磨パッド26に付着することによるLPD(Light Point Defect)の悪化が発生するおそれがあるが、ブラシ42を用いることにより、LPDの悪化を抑制できる。
【0082】
ドレッシング条件設定工程は、研磨パッド26を回転させつつ、ブラシ42をパッド表面261の中央から外周部へ移動させることにより、渦状のドレッシング領域261Aをドレッシングする。
このため、パッド表面261との接触面積が小さいブラシ42を用いても、簡単な研磨パッド26の回転制御とブラシ42の移動制御により、研磨パッド26の平均開口径を適切に調整できる。
【0083】
ドレッシング条件設定工程は、開口径取得工程で取得された平均開口径および目標形状取得工程で取得されたウェーハW表面のZDDの目標値のうち少なくとも一方に応じて、ブラシ押し付け量およびドレッシング回数のうち少なくとも一方が異なるドレッシング条件を設定する。
このため、ブラシ押し付け量およびドレッシング回数のうち少なくとも一方を設定値に応じて調整するだけの簡単な方法で、ドレッシング条件を適切に調整できる。
【0084】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の種々の改良並びに設計の変更などがあっても本発明に含まれる。
【0085】
例えば、ウェーハWの目標形状としてESFQDを管理するために、上記実施形態の片面研磨方法と同様の片面研磨方法を用いても良い。この場合、未使用時の平均開口径と、標準ドレッシング条件でドレッシングされた未使用の研磨パッド26を用いた片面研磨後におけるESFQDとの相関は、研磨条件が同じであれば、未使用時の平均開口径が大きいほどESFQDが大きくなる関係を有する。つまり、未使用時の平均開口径とESFQDの相関は、ウェーハW表面のZDDの場合と同じであり、直線の式で表すことができる。
パッド表面261の多数の孔の平均開口径に基づいて、ドレッシング条件を設定したが、前記多数の孔の開口径の中央値、最大値または最小値に基づいて、ドレッシング条件を設定しても良い。
【0086】
相関情報として、未使用の研磨パッド26の平均開口径と、ドレッシング条件と、当該ドレッシング条件でドレッシングされた研磨パッド26により研磨されたウェーハW表面のZDDの相関を示す数式を適用し、ドレッシング条件設定工程において、当該数式に、開口径取得工程で取得された研磨パッド26の平均開口径と目標形状取得工程で取得されたウェーハW表面のZDDの目標値を代入することにより、ドレッシング条件を設定しても良い。
【0087】
研磨パッド26をドレッシングする際に、研磨パッド26を回転させずに、ブラシ42を移動させても良い。ブラシ押し付け量を調整する方法として、研磨パッド26の高さ位置を固定してブラシ42の高さ位置を調整する方法を例示したが、ブラシ42の高さ位置を固定して、または、高さ位置を変更させつつ、研磨パッド26の高さ位置を変更させても良い。
【0088】
ドレッシング条件設定工程は、開口径取得工程で取得された平均開口径および目標形状取得工程で取得されたウェーハW表面のZDDの目標値のうち少なくとも一方に応じて、研磨パッド26に対するブラシ42の仕事量が異なるドレッシング条件を設定しても良い。研磨パッド26に対するブラシ42の仕事量を異ならせる方法としては、以下の方法1~4を例示することができる。
・方法1
研磨パッド26の回転速度およびブラシ42の移動速度のうち少なくとも一方の速度を異ならせることにより、ブラシ42と研磨パッド26との接触時間を異ならせる方法
・方法2
ブラシ42の毛の長さを異ならせる方法(例えば、毛が長い場合、短い場合と比べて毛が反るため、毛の研磨パッド26に対する押し付け力が小さくなり仕事量が減少する)
・方法3
ブラシ42の毛の先端形状を異ならせる方法(例えば、毛の先端が尖っている場合、尖っていない場合と比べて、毛の先端に圧力が点集中する、あるいは、毛の反り返りによる引っ掻きの仕事量が毛の先端に点集中するため、仕事量が増加する)
・方法4
ブラシ42の毛の直径(例えば、毛の直径が大きい場合、小さい場合と比べて研磨パッド26に対する押し付け力が大きくなるため、仕事量が増加する。)
ブラシ42の押し付け力P(N)は、以下の式(1)により表すことができる。
P=fnEd/6.79L … (1)
f:ブラシ42を研磨パッド26に押し付けたときの保持アーム412の変位量(m)
n:毛の本数
E:毛の弾性率(Pa)
d:毛の直径(m)
L:毛の長さ(m)
【実施例0089】
次に、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0090】
[実施例1:未使用時の平均開口率とウェーハ表面のZDDとの相関]
まず、上記実施形態の片面研磨装置1を準備した。
また、互いに製造ロットが異なる同じ型式のスウェードタイプの研磨パッド26を、製造ロットごとに複数ずつ準備した。製造ロットごとに、複数の研磨パッド26の未使用時の平均開口径は、同じであった。
片面研磨装置1に、研磨パッド26と、ナイロン製の毛の長さが5mmのブラシ42とを取り付けた。ブラシ押し付け量が3.7mmになるように、ブラシ42の高さ位置を調整した。ブラシ押し付け量は、毛が曲がっていない状態で毛の先端が研磨パッド26に接している状態が0mmである。
【0091】
ステップS64のドレッシング工程と同じように、ドレッシング部4の位置調整部43および定盤駆動部27を制御して、研磨パッド26を140回ドレッシングした。
ステップS66の研磨工程と同じように、設定研磨条件に基づき、ヘッド昇降部23、ヘッド駆動部24、定盤駆動部27、ウェーハ加圧力調整部28および研磨液供給部29を制御して、ウェーハWを研磨した。
研磨後のウェーハW表面(被研磨面)のZDDを測定した。
【0092】
全ての研磨パッド26に対して上述の条件で140回ずつのドレッシング行い、各研磨パッド26を用いてウェーハWを研磨した後、ウェーハW表面のZDDを測定した。
製造ロットごとに、各研磨パッド26を用いて研磨されたウェーハW表面のZDDの平均値を算出した。未使用時の平均開口径と、算出されたウェーハW表面のZDDの平均値との関係を図7に示す。
図7に示すように、ドレッシング条件と研磨条件が同じであれば、未使用時の平均開口径が大きいほど、ウェーハW表面のZDDが大きくなることを確認できた。未使用時の平均開口径とウェーハW表面のZDDの相関は、直線の近似式で表すことができ、比例関係を有することを確認できた。
【0093】
[実施例2:ブラシ押し付け量とウェーハ表面のZDDおよびESFQDとの相関]
まず、未使用時の平均開口径と型式が同じスウェードタイプの3枚の研磨パッド26を準備した。
実施例1と同じ片面研磨装置1に、研磨パッド26と、実施例1と同じブラシ42とを取り付けた。ブラシ押し付け量が3.3mmになるようにブラシ42の高さ位置を調整し、実施例1と同じように、研磨パッド26を140回ドレッシングして、実施例2-1の研磨パッド26を得た。
ドレッシングが行われていない研磨パッド26を、ブラシ押し付け量が3.7mmになるようにブラシ42の高さ位置を調整したこと以外は実施例2-1と同じ条件でドレッシングすることにより、実施例2-2の研磨パッド26を得た。
ドレッシングが行われていない研磨パッド26を、ブラシ押し付け量が3.9mmになるようにブラシ42の高さ位置を調整したこと以外は実施例2-1と同じ条件でドレッシングすることにより、実施例2-3の研磨パッド26を得た。
【0094】
実施例2-1~2-3の研磨パッド26をそれぞれ用いて、実施例1と同じ設定研磨条件でウェーハWを研磨した後、ウェーハW表面のZDDおよびESFQDを測定した。ブラシ押し付け量とウェーハW表面のZDDとの関係を図8に示す。ブラシ押し付け量とESFQDとの関係を図9に示す。
【0095】
図8および図9に示すように、未使用時の平均開口径と研磨条件が同じであれば、ブラシ押し付け量が大きいほど、ウェーハW表面のZDDおよびESFQDが大きくなることを確認できた。
【0096】
[実施例3:ブラシ押し付け量とESFQDとの相関]
まず、未使用時の平均開口径がそれぞれ60.3μm、62.6μm、67.0μmであり、型式が互いに同じスウェードタイプの研磨パッド26を、2枚ずつ準備した。
実施例1,2と同じ片面研磨装置1に、未使用時の平均開口径が60.3μmの研磨パッド26と、実施例1,2と同じブラシ42とを取り付けた。ブラシ押し付け量が3.5mmになるようにブラシ42の高さ位置を調整し、実施例1,2と同じように、研磨パッド26を140回ドレッシングして、比較例3-1の研磨パッド26を得た。
ドレッシングが行われていない未使用時の平均開口径が62.6μmの研磨パッド26を、比較例3-1の研磨パッド26と同じ条件でドレッシングして、比較例3-2の研磨パッド26を得た。
ドレッシングが行われていない未使用時の平均開口径が67.0μmの研磨パッド26を、比較例3-1の研磨パッド26と同じ条件でドレッシングして、比較例3-3の研磨パッド26を得た。
【0097】
ドレッシングが行われていない未使用時の平均開口径が60.3μmの研磨パッド26を、ブラシ押し付け量が3.9mmになるようにブラシ42の高さ位置を調整したこと以外は比較例3-1と同じ条件でドレッシングして、実施例3-1の研磨パッド26を得た。
ドレッシングが行われていない未使用時の平均開口径が62.6μmの研磨パッド26を、ブラシ押し付け量が3.5mmになるようにブラシ42の高さ位置を調整したこと以外は実施例3-1と同じ条件でドレッシングして、実施例3-2の研磨パッド26を得た。実施例3-2の研磨パッド26のドレッシング条件は、比較例3-2の研磨パッド26のドレッシング条件と同じである。
ドレッシングが行われていない未使用時の平均開口径が67.0μmの研磨パッド26を、ブラシ押し付け量が3.14mmになるようにブラシ42の高さ位置を調整したこと以外は実施例3-1と同じ条件でドレッシングして、実施例3-3の研磨パッド26を得た。
実施例3-1~3-3の研磨パッド26のブラシ押し付け量は、実施例1と同じ設定研磨条件でウェーハWを研磨したときの表面のZDDの目標値が-29.50nm/mm、ESFQDの目標値が-0.0230μmの場合の大きさである。
【0098】
比較例3-1~3-3の研磨パッド26と実施例3-1~3-3の研磨パッド26とをそれぞれ用いて、実施例1と同じ設定研磨条件でウェーハWを研磨した後、ウェーハW表面のZDDおよびESFQDを測定した。未使用時の平均開口径とブラシ押し付け量とウェーハW表面のZDDとの関係を図10に示す。未使用時の平均開口径とブラシ押し付け量とESFQDとの関係を図11に示す。
【0099】
図10および図11に示すように、未使用時の平均開口径に関係なくドレッシング条件が同じ比較例3-1~3-3では、研磨条件が同じであれば、未使用時の平均開口径が大きいほど、ウェーハW表面のZDDおよびESFQDが大きくなることを確認できた。
一方、未使用時の平均開口径に応じてドレッシング条件が異なる実施例3-1~3-3では、研磨条件が同じであれば、未使用時の平均開口径に関係なく、ウェーハW表面のZDDおよびESFQDがそれぞれほぼ等しく目標値に近くなることを確認できた。
特に、ウェーハW表面のZDDの目標値との差の絶対値を比較すると、比較例3-1,3-3では、それぞれ、1.38nm/mm、1.11nm/mmであったのに対し、実施例3-1,3-3では、それぞれ、0.04nm/mm、0.16nm/mmであった。また、ESFQDの目標値との差の絶対値を比較すると、比較例3-1,3-3では、それぞれ、0.0013μm、0.0017μmであったのに対し、実施例3-1,3-3では、それぞれ、0.0002μm、0.0006μmであった。これらのことから、未使用時の平均開口径に応じてドレッシング条件を調整することにより、所望の形状のウェーハWが得られることを確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の研磨パッドのドレッシング条件設定方法、ウェーハの片面研磨方法、ウェーハの製造方法、研磨パッドのドレッシング条件設定装置およびウェーハのウェーハの片面研磨装置によれば、所望の形状のウェーハが得られるため、ウェーハの歩留まりが向上し、エネルギー効率の改善、生産効率の向上および廃棄物の削減を実現することができる。
【符号の説明】
【0101】
1…片面研磨装置、4…ドレッシング部、21…研磨ヘッド、24…ヘッド駆動部(回転駆動部)、26…研磨パッド、27…定盤駆動部(回転駆動部)、42…ブラシ、43…位置調整部、64…制御部、641…情報取得部(ドレッシング条件設定装置)、642…ドレッシング条件設定部(ドレッシング条件設定装置)、643…ドレッシング制御部、644…研磨制御部、W…ウェーハ。
図1
図2
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