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特開2024-178732同軸ケーブル用コネクタ及び同軸ケーブル付きコネクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178732
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】同軸ケーブル用コネクタ及び同軸ケーブル付きコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/40 20110101AFI20241218BHJP
【FI】
H01R24/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097101
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安部 和洋
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA01
5E223AB02
5E223AB65
5E223AC21
5E223AC23
5E223AC50
5E223BA12
5E223BA15
5E223BB12
5E223CA13
5E223CC09
5E223EB02
5E223GA22
5E223GA26
(57)【要約】
【課題】低コスト化及び同軸ケーブルとの接続作業の容易化が可能な同軸ケーブル用コネクタ、及びそのコネクタに同軸ケーブルが接続された同軸ケーブル付きコネクタを提供する。
【解決手段】中空管状の外部導体線21と、外部導体線21の内部に収容された内部導体線22とを有する同軸ケーブル2の端部に取り付けられる同軸ケーブル用コネクタ3は、第1ねじ部461と第1挟持部44とを有するコネクタヘッド4と、第2ねじ部831と第2挟持部84とを一体に有するプランジャ8とを備える。第2ねじ部831が第1ねじ部461に螺合することによりプランジャ8がコネクタヘッド4に対して軸方向移動し、この軸方向移動によって第1挟持部44と第2挟持部84との間に外部導体線21の端部が挟持される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空管状の外部導体線と前記外部導体線の内部に収容された内部導体線とを有する同軸ケーブルの端部に取り付けられる同軸ケーブル用コネクタであって、
第1ねじ部と第1挟持部とを有する第1部材と、第2ねじ部と第2挟持部とを一体に有する第2部材とを備え、
前記第2ねじ部が前記第1ねじ部に螺合することにより前記第2部材が前記第1部材に対して軸方向移動し、前記軸方向移動によって前記第1挟持部と前記第2挟持部との間に前記外部導体線の端部が挟持される、
同軸ケーブル用コネクタ。
【請求項2】
前記第1挟持部は、前記外部導体線の内面に当接する第1当接面を有し、前記第1当接面が軸方向に対して鋭角に傾斜したテーパ面であり、
前記第2挟持部は、前記外部導体線の外面に当接して前記外部導体線の端部を前記第1当接面との間に挟む第2当接面を有する、
請求項1に記載の同軸ケーブル用コネクタ。
【請求項3】
前記第2挟持部は、軸方向に延在する複数のスリットが形成された円筒状であり、
前記第2挟持部の先端部に前記第2当接面が形成されている、
請求項2に記載の同軸ケーブル用コネクタ。
【請求項4】
前記外部導体線は、複数の凹部と複数の凸部とが軸方向に沿って交互に形成された波型形状であり、
前記第2挟持部は、最も前記第1挟持部側の前記凹部に係合する突起を有している、
請求項3に記載の同軸ケーブル用コネクタ。
【請求項5】
中空管状の外部導体線と前記外部導体線の内部に収容された内部導体線とを有する同軸ケーブルと、前記同軸ケーブルの端部に取り付けられたコネクタとを備え、
前記コネクタは、第1ねじ部と第1挟持部とを有する第1部材と、第2ねじ部と第2挟持部とを一体に有する第2部材とを備え、
前記第2ねじ部が前記第1ねじ部に螺合することにより前記第2部材が前記第1部材に対して軸方向移動し、前記軸方向移動によって前記第1挟持部と前記第2挟持部との間に前記外部導体線の端部が挟持される、
同軸ケーブル付きコネクタ。
【請求項6】
前記第1挟持部は、前記外部導体線の内面に当接する第1当接面を有し、
前記第2挟持部は、前記外部導体線の外面に当接する第2当接面を有し、
前記第1当接面は、軸方向に対して鋭角に傾斜したテーパ面であり、
前記外部導体線の端部が前記第1当接面と前記第2当接面との間に挟まれている、
請求項5に記載の同軸ケーブル付きコネクタ。
【請求項7】
前記第2挟持部は、軸方向に延在する複数のスリットが形成された円筒状であり、
前記第2挟持部の先端部に前記第2当接面が形成されており、
前記第2当接面は、前記第2挟持部が弾性変形により拡径した状態で前記外部導体線の外面に当接している、
請求項6に記載の同軸ケーブル付きコネクタ。
【請求項8】
前記外部導体線は、複数の凹部と複数の凸部とが軸方向に沿って交互に形成された波型形状であり、前記凸部の頂部で切断されており、
前記第2挟持部は、最も前記第1挟持部側の前記凹部に係合する突起を有している、
請求項7に記載の同軸ケーブル付きコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸ケーブル用コネクタ及び同軸ケーブル付きコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話基地局用アンテナ給電線として使用される同軸ケーブル用のコネクタとして、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載のコネクタは、同軸ケーブルの端部に外嵌される第1接続筒と、第1接続筒に対してケーブル長手方向に連結される第2接続筒と、同軸ケーブルの端部に外嵌された割クランプとを有している。第1接続筒の外周には、雄ねじ部が形成されており、第2接続筒の内周には、第1接続筒の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部が形成されている。同軸ケーブルは、絶縁体を介して同軸状に配置された外部導体及び内部導体を有している。外部導体の端部は、外側に拡開して形成された鍔状部となっている。割クランプは、第1接続筒に形成された段部と、第2接続筒に形成された受け座との間に配置されている。第1接続筒の雄ねじ部に第2接続筒の雌ねじ部が螺合すると、割クランプが段部に押され、受け座との間に鍔状部を挟持する。割クランプは、円弧状に分割された一対のリング状部材から構成されており、同軸ケーブルの外周形状に合致する内径と内面形状を有している。一対のリング状部材は、突き合わせ端部の一方が綿製粘着テープで連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-42993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の移動通信システムの発展に伴い、移動通信用のアンテナの数が急速に増大し、同軸ケーブル用のコネクタの設置数も増大している。このため、同軸ケーブル用のコネクタには、低コスト化及び同軸ケーブルとの接続作業の容易化が強く要請されている。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、低コスト化及び同軸ケーブルとの接続作業の容易化が可能な同軸ケーブル用コネクタ、及びそのコネクタに同軸ケーブルが接続された同軸ケーブル付きコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、中空管状の外部導体線と前記外部導体線の内部に収容された内部導体線とを有する同軸ケーブルの端部に取り付けられる同軸ケーブル用コネクタであって、第1ねじ部と第1挟持部とを有する第1部材と、第2ねじ部と第2挟持部とを一体に有する第2部材とを備え、前記第2ねじ部が前記第1ねじ部に螺合することにより前記第2部材が前記第1部材に対して軸方向移動し、前記軸方向移動によって前記第1挟持部と前記第2挟持部との間に前記外部導体線の端部が挟持される、同軸ケーブル用コネクタを提供する。
【0007】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、中空管状の外部導体線と前記外部導体線の内部に収容された内部導体線とを有する同軸ケーブルと、前記同軸ケーブルの端部に取り付けられたコネクタとを備え、前記コネクタは、第1ねじ部と第1挟持部とを有する第1部材と、第2ねじ部と第2挟持部とを一体に有する第2部材とを備え、前記第2ねじ部が前記第1ねじ部に螺合することにより前記第2部材が前記第1部材に対して軸方向移動し、前記軸方向移動によって前記第1挟持部と前記第2挟持部との間に前記外部導体線の端部が挟持される、同軸ケーブル付きコネクタを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る同軸ケーブル用コネクタ及び同軸ケーブル付きコネクタによれば、低コスト化及び同軸ケーブルとの接続作業の容易化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係るコネクタ付き同軸ケーブルを示す半断面図である。
図2】(a)は、同軸ケーブルの外観図である。(b)は、ケーブル長手方向に沿った同軸ケーブルの断面図である。
図3】(a)は、コネクタアセンブリを示す半断面図である。(b)は、コネクタアセンブリを軸方向に沿ってコネクタ基端側から見た構成図である。
図4】(a)は、プランジャ及び同軸ケーブルを軸方向に沿ってコネクタ先端側から見た構成図である。(b)は、プランジャ及び同軸ケーブルを示す半断面図である。
図5】(a)~(c)は、コネクタアセンブリに対して同軸ケーブル及びコネクタを組み付ける工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態]
本発明の実施の形態について、図1乃至5を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
【0011】
図1は、本実施の形態に係るコネクタ付き同軸ケーブル1を示す半断面図である。コネクタ付き同軸ケーブル1は、同軸ケーブル2と、同軸ケーブル2の端部に取り付けられた同軸ケーブル用コネクタ3(以後、単に「コネクタ3」ともいう。)とを備えている。図1では、コネクタ3の中心軸線Cを一点鎖線で示し、中心軸線Cよりも上側にコネクタ付き同軸ケーブル1の断面を示し、中心軸線Cよりも下側にコネクタ付き同軸ケーブル1の外観を示している。
【0012】
一例として、同軸ケーブル2におけるコネクタ3と反対側の端部は、例えば移動通信用のアンテナあるいは公共放送用のアンテナに接続される。また、一例として、コネクタ3は、移動通信基地局の送信機又は受信機あるいは公共放送用電波の送信機のコネクタ、もしくは中継コネクタに接続される。図1では、コネクタ3に接続される相手側コネクタ9を二点鎖線で示している。
【0013】
同軸ケーブル2は、コネクタ3を介して相手側コネクタ9に接続される。以後、コネクタ3の中心軸線Cに平行な方向を軸方向という。また、軸方向の一方側であって、相手側コネクタ9側(図1の左側)をコネクタ先端側といい、その反対側にあたる軸方向他方側であって、コネクタ3からの同軸ケーブル2の延出側(図1の右側)をコネクタ基端側という。
【0014】
図2は、コネクタ3に取り付けられる同軸ケーブル2を示し、(a)は外観図であり、(b)はケーブル長手方向に沿った部分断面図である。同軸ケーブル2は、中空管状の外部導体線21と、外部導体線21の内部に収容された内部導体線22と、外部導体線21と内部導体線22との間に配置された誘電体23と、外部導体線21の外周に設けられたシース24とを有する。外部導体線21及び内部導体線22は、例えば銅等の導電性の金属からなる。誘電体23は、例えばフッ素樹脂やポリエチレン等の絶縁性の樹脂からなる。シース24は、例えばフッ素樹脂やウレタン等の絶縁性の樹脂からなる。なお、本実施の形態では、内部導体線22が中空の円筒状であるが、内部導体線22が中実の軸状であってもよい。
【0015】
外部導体線21は、外周側に突出した複数の凸部211と内周側に窪んだ複数の凹部212とが軸方向に交互に形成された蛇腹状の波型形状である。誘電体23は、外部導体線21の内面21aの形状に沿って、外周面23aが凹凸形状となっている。同軸ケーブル2におけるコネクタ3側の端部では、外部導体線21、内部導体線22、及び誘電体23がシース24から突出しており、さらに誘電体23から内部導体線22が突出している。外部導体線21は、コネクタ先端側の端部において、凸部211の最大外径部である頂部211aで切断されている。
【0016】
コネクタ3は、同軸ケーブル2の外部導体線21が接続される筒状のコネクタヘッド4と、コネクタヘッド4の内側に配置され、同軸ケーブル2の内部導体線22が接続されるコネクタ内部導体5と、コネクタヘッド4におけるコネクタ先端側の端部の外周に配置されたナット部材6と、コネクタヘッド4とコネクタ内部導体5との間に配置された環状の絶縁体71と、コネクタヘッド4に対するナット部材6の軸方向の移動を規制するスリップリング72と、コネクタヘッド4のコネクタ基端側の端部から同軸ケーブル2と共にコネクタヘッド4に挿入されるプランジャ8とを有している。
【0017】
コネクタヘッド4、コネクタ内部導体5、ナット部材6、スリップリング72、及びプランジャ8は、導電性を有する金属製である。絶縁体71は、電気絶縁性を有する樹脂材又はゴム材からなる。コネクタヘッド4は、本発明の第1部材の一態様であり、プランジャ8は、本発明の第2部材の一態様である。
【0018】
コネクタヘッド4、コネクタ内部導体5、ナット部材6、絶縁体71、及びスリップリング72は、コネクタアセンブリ30を構成している。コネクタアセンブリ30には、コネクタ先端側から相手側コネクタ9が接続される。相手側コネクタ9は、ナット部材6を介してコネクタヘッド4に電気的に接続される相手側外部導体91、及びコネクタ内部導体5に電気的に接続される相手側内部導体92を有している。
【0019】
図3(a)は、コネクタアセンブリ30を示す半断面図である。図3(b)は、コネクタアセンブリ30を軸方向に沿ってコネクタ基端側から見た構成図である。コネクタヘッド4は、コネクタ先端側から順に、相手側外部導体91に嵌合することにより相手側外部導体91と接続される嵌合接続部41と、ナット部材6を回転可能に支持するナット支持部42と、厚肉に形成された円筒状の厚肉円筒部43と、厚肉円筒部43の内径側の端部からコネクタ基端側に向かって突出して形成された第1挟持部44と、厚肉円筒部43の外径側の端部からコネクタ基端側に向かって延在する円筒状の中間円筒部45と、第1ねじ部461が形成された先端円筒部46とを一体に有している。
【0020】
ナット支持部42には、その外周に環状溝421が周方向に延在して環状に形成されている。ナット部材6には、雌ねじ部61及び環状溝62が内周に形成されている。環状溝62は、ナット支持部42の環状溝421と向かい合う部位に、周方向に延在して環状に形成されている。スリップリング72は、C字状に形成されており、内周側の一部がナット支持部42の環状溝421に収容され、外周側の一部がナット部材6の環状溝62に収容されている。雌ねじ部61は、ナット部材6がコネクタヘッド4に対して回転することにより、相手側外部導体91に螺合する。ナット部材6がコネクタヘッド4に対して回転するとき、スリップリング72は、ナット支持部42の環状溝421及びナット部材6の環状溝62の少なくとも何れかの内面を摺動する。
【0021】
第1挟持部44は、外部導体線21の内面21aに当接する第1当接面44aと、内周面44bとを有している。第1当接面44aは、軸方向に対して鋭角に傾斜したテーパ面である。内周面44bは、中心軸線Cと平行な円筒面である。中心軸線Cに沿った第1挟持部44の断面において、第1当接面44aと内周面44bとがなす角度θは、鋭角である。角度θは、例えば30°以上60°以下であり、図3(a)に示す例では、角度θが45°である。
【0022】
中間円筒部45は、厚肉円筒部43と先端円筒部46との間で、第1挟持部44よりも長く軸方向に延在している。先端円筒部46の外径は、中間円筒部45の外径よりも大きく形成されている。本実施の形態では、一例として、第1ねじ部461が先端円筒部46の内周に形成された雌ねじである。先端円筒部46におけるコネクタ先端側の端面46aは、後述するプランジャ8の壁部82に突き当てられる突き当て面である。
【0023】
コネクタ内部導体5は、相手側内部導体92に嵌合することにより相手側内部導体92と接続される先端側接続部51と、同軸ケーブル2の内部導体線22と接続される基端側接続部52と、先端側接続部51と基端側接続部52との間の軸部53とを一体に有している。本実施の形態では、相手側内部導体92が円筒状であり、先端側接続部51が相手側内部導体92の中心部に嵌合される。また、本実施の形態では、基端側接続部52が、軸方向に延びる複数のスリット520が形成された円筒状であり、内部導体線22が基端側接続部52の中心部に嵌合される。内部導体線22が基端側接続部52に嵌合される際には、複数のスリット520の幅が広がるように基端側接続部52が弾性変形する。
【0024】
絶縁体71は、コネクタヘッド4のナット支持部42とコネクタ内部導体5の軸部53との間に配置され、コネクタヘッド4に対するコネクタ内部導体5の相対的な位置を規定している。
【0025】
図4(a)は、プランジャ8を軸方向に沿ってコネクタ先端側から見た構成図である。図4(b)は、プランジャ8及び同軸ケーブル2を示す半断面図である。同軸ケーブル2は、その端部がプランジャ8に保持された状態で、コネクタアセンブリ30と組み合わされる。プランジャ8と同軸ケーブル2の外部導体線21との間には、Oリング73が配置されている。Oリング73は、外部導体線21の凹部212の外周に配置され、外部導体線21及びプランジャ8に弾接し、外部導体線21とプランジャ8との隙間からの異物の侵入を抑止するシール材として機能する。
【0026】
プランジャ8は、コネクタ基端側から順に、同軸ケーブル2のシース24を保持するシース保持部81と、コネクタヘッド4における先端円筒部46の端面46aが突き当てられる環状の壁部82と、コネクタヘッド4の第1ねじ部461に螺合する第2ねじ部831が形成された螺合部83と、コネクタヘッド4の第1挟持部44との間に同軸ケーブル2の外部導体線21の端部を挟持する第2挟持部84とを一体に有している。
【0027】
シース保持部81は、シース24の外径に対応する内径を有する円筒状である。シース保持部81よりもコネクタ先端側では、外部導体線21がシース24から露出している。壁部82は、シース保持部81及び螺合部83よりも大きな外径を有する環状である。本実施の形態では、第2ねじ部831が雄ねじであり、第2ねじ部831が第1ねじ部461に螺合することで、プランジャ8がコネクタヘッド4に対してコネクタ先端側に向かって軸方向に移動する。このプランジャ8の軸方向移動により、コネクタヘッド4の第1挟持部44と第2挟持部84との間に外部導体線21の端部が挟持される。第2挟持部84は、軸方向に延在する複数のスリット840が形成された円筒状である。
【0028】
本実施の形態では、図4(a)に示すように、第2挟持部84に六つのスリット840が周方向等間隔に形成されている。第2挟持部84は、これらのスリット840により複数の分割片84A~84Fに分割されている。また、第2挟持部84は、複数の分割片84A~84Fが弾性変形してスリット840の幅が広がることにより、内径が大きくなるように拡径することが可能である。
【0029】
第2挟持部84の先端部には、中心軸線C側に向かって径方向内方に突出する突起841が設けられている。突起841は、外部導体線21の複数の凹部212のうち最も第1挟持部44側の一つの凹部212に係合する。また、第2挟持部84は、外部導体線21の端部における外面21bに当接して外部導体線21の端部を第1挟持部44の第1当接面44aとの間に挟む第2当接面84aを有している。第2当接面84aは、第2挟持部84の先端部に形成されている。図1に示すように、外部導体線21の端部を挟持したときの軸方向に対する第2当接面84aの角度θは、軸方向に対する第1当接面44aの傾斜角である角度θと等しい大きさである。本実施の形態では、第2当接面84aが突起841に形成されている。つまり、本実施の形態では、突起841におけるコネクタ先端側の面が、軸方向に対して傾斜した第2当接面84aとなっている。
【0030】
突起841におけるコネクタ基端側の面は、軸方向に対して第2当接面84aとは反対側に傾斜した傾斜面841aとなっている。突起841を外部導体線21の凹部212に係合させる際には、傾斜面841aを凸部211の頂部211aに当接させて複数の分割片84A~84Fを互いに広がるように弾性変形させ、第2挟持部84を拡径させる。
【0031】
次に、図5(a)~(c)を参照し、コネクタ付き同軸ケーブル1の製造方法について説明する。図5(a)~(c)では、コネクタアセンブリ30に対して同軸ケーブル2及びコネクタ3を組み付ける工程を示している。
【0032】
図5(a)は、コネクタアセンブリ30と、同軸ケーブル2及びプランジャ8とを軸方向に並べた状態を示している。プランジャ8は、同軸ケーブル2の外周に配置され、第2挟持部84の突起841が最もコネクタ先端側の凹部212に係合している。同軸ケーブル2は、凸部211の頂部211aで軸方向と垂直に切断され、同軸ケーブル2の先端面2aが軸方向に対して垂直な平面となっている。
【0033】
図5(b)は、プランジャ8の第2ねじ部831の一部がコネクタヘッド4の第1ねじ部461に螺合し、コネクタヘッド4における第1挟持部44の先端部441に同軸ケーブル2の先端面2aが接したときの状態を示している。同軸ケーブル2は、第2挟持部84の突起841が凹部212に係合した状態で、コネクタヘッド4の奥側に向かって軸方向に押し込まれる。第1挟持部44の先端部441は、第1当接面44a及び内周面44bによって形成される鋭角な角部である。第1挟持部44の内径は、同軸ケーブル2の先端面2aにおける外部導体線21の内径と同等である。また、同軸ケーブル2の内部導体線22は、同軸ケーブル2がコネクタヘッド4の奥側に向かって軸方向に押し込まれることにより、コネクタ内部導体5の基端側接続部52に嵌合する。
【0034】
図5(c)は、図5(b)に示す状態よりもさらに第2ねじ部831の第1ねじ部461への螺合が進み、第1挟持部44の先端部441が同軸ケーブル2の外部導体線21と誘電体23との間に食い込んだ状態を示している。外部導体線21の端部は、同軸ケーブル2がコネクタヘッド4の奥側に押し込まれることにより、第1挟持部44の第1当接面44aに沿って拡径しながらテーパ状に変形する。誘電体23は、外部導体線21から分離されて第1挟持部44の内側に収容される。なお、同軸ケーブル2の先端面2aにおける外部導体線21付近の誘電体23の一部を予め除去しておいてもよい。
【0035】
その後、プランジャ8の壁部82がコネクタヘッド4の先端円筒部46におけるコネクタ先端側の端面46aに突き当たるまで第2ねじ部831が第1ねじ部461に螺合すると、図1に示すように、外部導体線21の端部が第1当接面44aと第2当接面84aとの間に挟まれる。第2当接面84aは、図1に示すように、第2挟持部84が弾性変形により拡径した状態で外部導体線21の外面21bに当接している。この状態では、第1当接面44aと第2当接面84aとが平行であり、第1当接面44aが外部導体線21の内面21aに面接触し、第2当接面84aが外部導体線21の外面21bに面接触する。
【0036】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明した実施の形態によれば、プランジャ8が第2ねじ部831と第2挟持部84とを一体に有し、第2ねじ部831が第1ねじ部461に螺合することにより第1挟持部44と第2挟持部84との間に外部導体線21の端部が挟持されるので、部品点数が削減されると共に同軸ケーブル2とのコネクタ3との接続作業が容易となり、コネクタ付き同軸ケーブル1及びコネクタ3の小型化及び低コスト化が可能となる。
【0037】
また、上記の実施の形態によれば、第1当接面44aが軸方向に対して傾斜したテーパ面であり、プランジャ8によって同軸ケーブル2を押し込む過程で第1当接面44aに沿って外部導体線21の端部が拡径されるので、例えば上記の特許文献1に記載のもののように、同軸ケーブルの外部導体の端部を予め外側に拡開して鍔状部を形成しておく必要がない。これにより、同軸ケーブル2とのコネクタ3との接続作業がさらに容易となる。
【0038】
また、上記の実施の形態によれば、第2ねじ部831が第1ねじ部461に螺合してプランジャ8がコネクタヘッド4内に締め込まれたとき、第2挟持部84が弾性変形により拡径した状態で外部導体線21を第1挟持部44との間に挟持するので、仮に第1ねじ部461と第2ねじ部831との螺合状態が僅かに緩んだとしても、第1挟持部44と第2挟持部84との間に外部導体線21の端部が挟持された状態が維持される。
【0039】
またさらに、上記の実施の形態によれば、第2挟持部84の突起841を外部導体線21の凹部212に係合させる際、第2挟持部84を弾性変形により拡径させることにより容易に突起841が凸部211の頂部211aを乗り越えることができるので、同軸ケーブル2とプランジャ8との係合状態を容易に形成することが可能となる。
【0040】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0041】
[1]中空管状の外部導体線(21)と前記外部導体線(21)の内部に収容された内部導体線(22)とを有する同軸ケーブル(2)の端部に取り付けられる同軸ケーブル用コネクタ(3)であって、第1ねじ部(461)と第1挟持部(44)とを有する第1部材(コネクタヘッド4)と、第2ねじ部(831)と第2挟持部(84)とを一体に有する第2部材(プランジャ8)とを備え、前記第2ねじ部(831)が前記第1ねじ部(461)に螺合することにより前記第2部材(8)が前記第1部材(4)に対して軸方向移動し、前記軸方向移動によって前記第1挟持部(44)と前記第2挟持部(84)との間に前記外部導体線(21)の端部が挟持される、同軸ケーブル用コネクタ(3)。
【0042】
[2]前記第1挟持部(44)は、前記外部導体線(21)の内面(21a)に当接する第1当接面(44a)を有し、前記第1当接面(44a)が軸方向に対して鋭角に傾斜したテーパ面であり、前記第2挟持部(84)は、前記外部導体線(21)の外面(21b)に当接して前記外部導体線(21)の端部を前記第1当接面(44a)との間に挟む第2当接面(84a)を有する、上記[1]に記載の同軸ケーブル用コネクタ(3)。
【0043】
[3]前記第2挟持部(84)は、軸方向に延在する複数のスリット(840)が形成された円筒状であり、前記第2挟持部(84)の先端部に前記第2当接面(84a)が形成されている、上記[2]に記載の同軸ケーブル用コネクタ(3)。
【0044】
[4]前記外部導体線(21)は、複数の凹部(212)と複数の凸部(211)とが軸方向に沿って交互に形成された波型形状であり、前記第2挟持部(84)は、最も前記第1挟持部(44)側の前記凹部(212)に係合する突起(841)を有している、上記[3]に記載の同軸ケーブル用コネクタ(3)。
【0045】
[5]中空管状の外部導体線(21)と前記外部導体線(21)の内部に収容された内部導体線(22)とを有する同軸ケーブル(2)と、前記同軸ケーブル(2)の端部に取り付けられたコネクタ(3)とを備え、前記コネクタ(3)は、第1ねじ部(461)と第1挟持部(44)とを有する第1部材(4)と、第2ねじ部(831)と第2挟持部(84)とを一体に有する第2部材(8)とを備え、前記第2ねじ部(831)が前記第1ねじ部(461)に螺合することにより前記第2部材(8)が前記第1部材(4)に対して軸方向移動し、前記軸方向移動によって前記第1挟持部(44)と前記第2挟持部(84)との間に前記外部導体線(21)の端部が挟持される、同軸ケーブル付きコネクタ(1)。
【0046】
[6]前記第1挟持部(44)は、前記外部導体線(21)の内面(21a)に当接する第1当接面(44a)を有し、前記第2挟持部(84)は、前記外部導体線(21)の外面(21b)に当接する第2当接面(84a)を有し、前記第1当接面(44a)は、軸方向に対して鋭角に傾斜したテーパ面であり、前記外部導体線(21)の端部が前記第1当接面(44a)と前記第2当接面(84a)との間に挟まれている、上記[5]に記載の同軸ケーブル付きコネクタ(1)。
【0047】
[7]前記第2挟持部(84)は、軸方向に延在する複数のスリット(840)が形成された円筒状であり、前記第2挟持部(84)の先端部に前記第2当接面(84a)が形成されており、前記第2当接面(84a)は、前記第2挟持部(84)が弾性変形により拡径した状態で前記外部導体線(21)の外面(21b)に当接している、上記[6]に記載の同軸ケーブル付きコネクタ(1)。
【0048】
[8]前記外部導体線(21)は、複数の凹部(212)と複数の凸部(211)とが軸方向に沿って交互に形成された波型形状であり、前記凸部(211)の頂部(211a)で切断されており、前記第2挟持部(84)は、最も前記第1挟持部(44)側の前記凹部(212)に係合する突起(841)を有している、上記[7]に記載の同軸ケーブル付きコネクタ(1)。
【0049】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0050】
1…コネクタ付き同軸ケーブル 2…同軸ケーブル
21…外部導体線 211…凸部
211a…頂部 212…凹部
22…内部導体線 3…コネクタ(同軸ケーブル用コネクタ)
4…コネクタヘッド(第1部材) 44…第1挟持部
44a…第1当接面 461…第1ねじ部
8…プランジャ(第2部材) 831…第2ねじ部
84…第2挟持部 840…スリット
84a…第2当接面
図1
図2
図3
図4
図5