(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178858
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/62 20060101AFI20241218BHJP
H04N 1/407 20060101ALI20241218BHJP
B41J 2/525 20060101ALI20241218BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
H04N1/62
H04N1/407
B41J2/525
G03G15/01 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097335
(22)【出願日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高見澤 拓真
【テーマコード(参考)】
2H300
5C077
【Fターム(参考)】
2H300FF14
2H300FF20
2H300GG12
2H300GG16
2H300QQ28
2H300RR21
2H300SS04
2H300SS12
2H300TT03
2H300TT04
5C077LL19
5C077MP08
5C077PP28
5C077PP33
5C077PP36
5C077PP37
5C077PQ08
5C077SS06
5C077TT02
(57)【要約】
【課題】意図せぬ出力色の違いが生じることを防ぐことができる、画像形成装置、画像形成方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】本発明は、スポットカラーをプロセスカラーに変換して出力する画像形成装置であって、印刷データ中の前記スポットカラーの名称および代替カラー情報を取得するスポットカラー情報取得部と、前記スポットカラーに対応する色値情報を記憶するスポットカラー色値情報記憶部と、前記スポットカラー情報取得部で取得した前記代替カラー情報と、前記スポットカラー色値情報記憶部に記憶した前記色値情報と、の色差情報を算出する色差算出部と、前記色差算出部で算出した前記色差情報を基に、前記印刷データ中の前記スポットカラーが期待通りに出力されない可能性がある旨を示す警告表示部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポットカラーをプロセスカラーに変換して出力する画像形成装置であって、
印刷データ中の前記スポットカラーの名称および代替カラー情報を取得するスポットカラー情報取得部と、
前記スポットカラーに対応する色値情報を記憶するスポットカラー色値情報記憶部と、
前記スポットカラー情報取得部で取得した前記代替カラー情報と、前記スポットカラー色値情報記憶部に記憶した前記色値情報と、の色差情報を算出する色差算出部と、
前記色差算出部で算出した前記色差情報を基に、前記印刷データ中の前記スポットカラーが期待通りに出力されない可能性がある旨を示す警告表示部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記印刷データ中の前記スポットカラーを、前記スポットカラー色値情報記憶部で記憶している前記色値情報を用いて色変換処理を行うスポットカラー色変換部と、
前記スポットカラー色値情報記憶部が各種の前記スポットカラーに対して標準光源、観察条件、および測定照明条件の少なくとも1つを含むスポットカラー取得条件に対応した複数の前記色値情報を記憶する場合に、どの前記色値情報を使用するかを決定するスポットカラー色値決定部と、をさらに有し、
前記スポットカラー色変換部は、前記スポットカラー色値決定部が決定した前記色値情報を使用して色変換を行う、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記スポットカラー色値決定部は、前記色差算出部で算出された前記色差情報が最も小さくなる前記色値情報を使用することを決定する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
ユーザが前記スポットカラー取得条件を指定できるスポットカラー条件指定部をさらに有し、
前記スポットカラー色値決定部は、前記スポットカラー条件指定部で指定された前記スポットカラー取得条件の前記色値情報を使用することを決定する、請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記警告表示部は、前記色差算出部で算出された前記色差情報が一定数値以下だった場合には警告表示を行わない、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記警告表示部は、前記印刷データ中の前記スポットカラーの前記代替カラー情報の前記色値情報がデバイス依存の色値情報であり、前記色差算出部で前記色差情報の算出ができない場合、および、前記スポットカラー色値情報記憶部に前記色値情報が存在しないために前記色差算出部で前記色差情報の算出ができない場合に、警告を表示する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記色差算出部で前記色差情報を算出ができない場合に、前記スポットカラー色値決定部は、前記色差情報の算出ができない理由に応じて、前記印刷データ中の前記スポットカラーの前記代替カラー情報若しくは前記スポットカラー色値情報記憶部に記憶された前記色値情報のどちらを使用するかを決定する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置で実行される画像形成方法であって、
印刷データ中のスポットカラーの名称および代替カラー情報を取得するステップと、
取得した前記代替カラー情報と、スポットカラー色値情報記憶部に記憶した前記スポットカラーに対応する色値情報と、の色差情報を算出するステップと、
算出した前記色差情報を基に、前記印刷データ中の前記スポットカラーが期待通りに出力されない可能性がある旨を示すステップと、
を含む画像形成方法。
【請求項9】
コンピュータを、
印刷データ中のスポットカラーの名称および代替カラー情報を取得するスポットカラー情報取得部と、
前記スポットカラー情報取得部で取得した前記代替カラー情報と、スポットカラー色値情報記憶部に記憶した前記スポットカラーに対応する色値情報と、の色差情報を算出する色差算出部と、
前記色差算出部で算出した前記色差情報を基に、前記印刷データ中の前記スポットカラーが期待通りに出力されない可能性がある旨を示す警告表示部と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スポットカラーは、特色とも呼ばれ、印刷においてCMYK等のプロセスカラーでは再現できない色を表現するために予め調合されたインクであり、個々のインクに固有の名称および番号が付けられている。主要なスポットカラーとしては、PANTONE(PANTONE社が提供する特色、登録商標)、DIC(DIC株式会社が提供する特色、登録商標)、TOYO(東洋インキ株式会社が提供する特色、登録商標)等がある。
【0003】
電子写真およびインクジェット等のデジタル印刷においては、一般的にプロセスカラーのみを扱うケースが多いため、プロセスカラーの混色によってスポットカラーの色を再現する必要がある。また、スポットカラーで色指定されたデータをモニタで表示する場合も、モニタのRGBで色を再現する必要がある。そのため、DTPソフトまたは印刷ソフトでは、スポットカラーのメーカーからライセンス契約により受領した各スポットカラーのL*a*b*等の色情報を搭載し、その色をICCプロファイル等を用いてデバイスの出力色に変換して表示または印刷するスポットカラーマッチングの技術が考えられている。
【0004】
しかし、L*a*b*等の色値情報は、標準光源、観察条件、および測定照明条件等のスポットカラー取得条件によって異なるため、スポットカラーのメーカーは、各標準光源、各観察条件、および各測定照明条件のL*a*b*を提供していることがある。
【0005】
特許文献1には、最終的に特色色材を用いて印刷を行いたい画像領域を所定のRGB値で指定するケースにおいて、同一のRGB値を有し特色色材ではなくCMYK色材を用いて印刷を行いたい画像領域に特色色材が使われてしまうことを防ぎつつ、それなりに特色色材に近い系統のRGB値を用いてディスプレイ表示することを可能にする目的で、特色色材を使用したい画像領域の指定に使われているRGB値が特色色材を使いたくない(CMYKで印刷したい)画像領域で使われていないかをチェックし、CMYKで印刷した画像領域で特色色材が使われている場合には近傍のRGB値を探索して置換可能にする構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、スポットカラーマッチングでは、どの標準光源、観察条件、および測定照明条件のL*a*b*等の色値情報を使用するかは規定されていないため、搭載している色値情報はDTPソフトおよび印刷ソフトで異なることがある。このような場合、モニタで見ていた色と印刷した色が合わない、印刷デバイス毎に異なる色で印刷される場合がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、意図せぬ出力色の違いが生じることを防ぐことができる、画像形成装置、画像形成方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、スポットカラーをプロセスカラーに変換して出力する画像形成装置であって、印刷データ中の前記スポットカラーの名称および代替カラー情報を取得するスポットカラー情報取得部と、前記スポットカラーに対応する色値情報を記憶するスポットカラー色値情報記憶部と、前記スポットカラー情報取得部で取得した前記代替カラー情報と、前記スポットカラー色値情報記憶部に記憶した前記色値情報と、の色差情報を算出する色差算出部と、前記色差算出部で算出した前記色差情報を基に、前記印刷データ中の前記スポットカラーが期待通りに出力されない可能性がある旨を示す警告表示部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、意図せぬ出力色の違いが生じることを防ぐことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施の形態にかかる画像形成装置100の概略構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態の画像形成装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態にかかるDFEの機能構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、DTPソフト上でのスポットカラーの色値情報の例を示す図である。
【
図5】
図5は、PDF上でのスポットカラーの代替カラー情報の例を示す図である。
【
図6】
図6は、印刷ソフト上でのスポットカラーの色値情報の例を示す図である。
【
図7】
図7は、スポットカラー取得条件毎の色値情報の例を示す図である。
【
図8】
図8は、任意のスポットカラー(例えば、Test Color 1)に関して色差算出部で算出した色差情報の例を示す図である。
【
図9A】
図9Aは、本実施の形態にかかる画像形成装置のDFEにおける色変換処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9B】
図9Bは、本実施の形態にかかる画像形成装置のDFEにおける色変換処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、画像形成装置、画像形成方法、およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態にかかる画像形成装置100の概略構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、制御装置(DFE:Digital Front End)10と、プリンタ機20と、が接続されて構成される。
【0013】
DFE10は、プリンタ機20と通信を行い、プリンタ機20での画像の形成を制御する。また、DFE10には、PC(Personal Computer)30が接続される。DFE10は、ネットワークを介してPC30と接続されていても良い。PC30は、予めインストールされたアプリケーションにより、PDL等の言語で記述された画像情報を作成し、その作成した画像情報をDFE10に送信する。DFE10は、PDL等の言語で記述された画像情報を、プリンタ機20が印刷可能な形式で描画された画像データに変換し、その画像データを、プリンタ機20へ送信する。
【0014】
DFE10は、ハードウェア構成として、装置全体を制御するCPU(Central Processing Unit)と、各種データおよび各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等の主記憶部と、各種データおよび各種プログラムを記憶するHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶部とを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。DFE10における各種処理はDFE10のCPUが主記憶部および補助記憶部に記憶されている各種プログラムを実行することにより実現されるものである。なお、これに限らず、これらの機能を個別の回路(ハードウェア)で実現することもできる。
【0015】
プリンタ機20には、色材(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等)が少なくとも1色以上搭載されており、作像ユニット、色材定着のための定着機構が各々搭載されている。プリンタ機20は、DFE10から送信された画像データに応じて、色材を使って作像および定着させる。これにより、記録媒体に画像が形成されて所望の印刷物40が得られる。
【0016】
なお、本実施の形態は、DFE10のみで実施する構成としても良いし、プリンタ機20のみで実施する構成としても良い。また、プリンタ機20の構成は、電子写真プリンタとトナーを用いた構成、インクジェットプリンタとインクを用いた構成、いずれの構成でも良い。
【0017】
図2は、本実施の形態の画像形成装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、画像形成装置100は、コントローラ(DFE)10とエンジン部(プリンタ機)20とをPCI(Peripheral Component Interface)バスで接続した構成となる。コントローラ10は、画像形成装置100全体の制御と描画、通信、操作部からの入力を制御するコントローラである。エンジン部20は、PCIバスに接続可能なプリンタエンジン等であり、例えば、電子写真プリンタおよびインクジェットプリンタ等である。
【0018】
コントローラ10は、CPU11と、ノースブリッジ(NB)13と、システムメモリ(MEM-P)12と、サウスブリッジ(SB)14と、ローカルメモリ(MEM-C)17と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)16と、ハードディスクドライブ(HDD)18と、を有し、ノースブリッジ(NB)13とASIC16との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス15で接続した構成となる。また、MEM-P12は、ROM(Read Only Memory)12aと、RAM(Random Access Memory)12bと、をさらに有する。
【0019】
CPU11は、画像形成装置100の全体制御を行うものであり、NB13、MEM-P12およびSB14からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。NB13は、CPU11とMEM-P12、SB14、AGP15とを接続するためのブリッジであり、MEM-P12に対する読み書き等を制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0020】
MEM-P12は、プログラムおよびデータの格納用メモリ、プログラムおよびデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリ等として用いるシステムメモリであり、ROM12aとRAM12bとからなる。ROM12aは、プログラムおよびデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM12bは、プログラムおよびデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリ等として用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0021】
SB14は、NB13とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB14は、PCIバスを介してNB13と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインターフェース(I/F)部等も接続される。
【0022】
ASIC16は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGP15、PCIバス、HDD18およびMEM-C17をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC16は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC16の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM-C17を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジック等により画像データの回転等を行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部20との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC16には、PCIバスを介してFCU(Facsimile Control Unit)60、USB(Universal Serial Bus)70、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インターフェース80が接続される。操作表示部50は、ASIC16に直接接続されている。
【0023】
MEM-C17は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD(Hard Disk Drive)18は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0024】
AGP15は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM-P12に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にする。本実施の形態は、CPU11でプログラムを実行することにより実現し、プログラムで必要なデータはRAM12b等に保存される。なお、本ハードウェア構成図は一例であり、本実施の形態を実現可能なハードウェア構成であれば構成が異なっても良い。
【0025】
図3は、本実施の形態にかかるDFEの機能構成例を示す図である。本実施の形態では、DFE10は、
図3に示すように、第1色変換部101、第2色変換部102、ハーフトーンエンジン103、スポットカラー色値差異警告および色値修正処理部104、およびスポットカラー色値情報記憶部105を有する。
【0026】
第1色変換部101は、スポットカラー色変換部101Aを有する。スポットカラー色変換部101Aは、PC30で作成された電子原稿(印刷データ)に対して、言語解釈、ベクターおよびラスター変換(レンダリングの解像度は、例えば、1200dpi)、プロセスカラー(例えば、CMYK)への色変換等の処理を行う。
【0027】
具体的には、スポットカラー色変換部101Aは、印刷データ中のスポットカラーを、後述するスポットカラー色値情報記憶部105で記憶している色値情報を用いて色変換処理を行うスポットカラー色変換部の一例である。その際、スポットカラー色変換部101Aは、後述するスポットカラー色値決定部104Dが決定した色値情報を使用して色変換を行う。これにより、スポットカラーから色変換する色値情報の候補が複数ある場合に、適切な色値情報を使用して出力できる。
【0028】
第2色変換部102では、キャリブレーションのための階調補正、色材総量を制限するための総量規制等が行なわれる。
【0029】
ハーフトーンエンジン103は、各色の8bitデータをプリンタ機20の画像データフォーマット(例えば、各2bit)へと変換し、変換した画像データがプリンタ機20へ送り出す。
【0030】
次に、スポットカラー色値差異警告および色値修正処理部104の一例について詳細に説明する。スポットカラー色値差異警告および色値修正処理部104は、スポットカラー情報取得部104A、色差算出部104B、警告表示部104C、スポットカラー色値決定部104D、およびスポットカラー条件指定部104Eを有する。スポットカラー情報取得部104Aは、第1色変換部101で処理される前の印刷データ(例えば、PDF、PostScript)を解析し、印刷データ中で使用されているスポットカラーの名称および各スポットカラーの代替カラー情報を取得して色差算出部104Bに送るスポットカラー情報取得部の一例である。
【0031】
色差算出部104Bは、スポットカラー情報取得部104Aから送られてきたスポットカラーの名称に対応するDFE10で保持している色値情報を、スポットカラー色値情報記憶部105から取得し、取得した色値情報と前述の代替カラー情報に基づいて、各スポットカラーの色差情報を算出する。すなわち、色差算出部104Bは、スポットカラー情報取得部104Aで取得した代替カラー情報と、スポットカラー色値情報記憶部105に記憶した色値情報と、の色差情報を算出する色差算出部の一例である。
【0032】
なお、印刷データ中のスポットカラーの代替カラー情報は、1つのスポットカラーに対して1つ存在するが、スポットカラー色値情報記憶部105は、スポットカラーの標準光源、観察条件、および測定照明条件の少なくとも1つを含む条件(以下、スポットカラー取得条件という)毎に色値情報を保持していても良い。この場合、色差算出部104Bは、スポットカラー取得条件毎の色値情報と、代替カラー情報と、の色差情報を算出する。その後、色差算出部104Bは、算出した色差情報を警告表示部104Cとスポットカラー色値決定部104Dに送る。スポットカラー色値情報記憶部105は、スポットカラーに対応する色値情報を記憶するスポットカラー色値情報記憶部の一例である。
【0033】
警告表示部104Cは、色差算出部104Bで算出した色差情報に基づいて、印刷データ中のスポットカラーが期待通りに出力されない可能性がある旨(警告表示)を示す警告表示部の一例である。これにより、印刷データ中のスポットカラーと紐づいた代替カラー情報と印刷デバイスに搭載されたスポットカラーの色値情報を比較し、違いがある場合に警告を出したり、使用するL*a*b*等の色値情報を修正したりすることにより、意図せぬ出力色の違いが生じることを防ぐことができる。
【0034】
具体的には、警告表示部104Cは、色差算出部104Bが算出した色差情報が0でない、すなわち、印刷データ中のスポットカラーの代替カラー情報と、スポットカラー色値情報記憶部105の色値情報と、に差異がある場合は、印刷データ中のスポットカラーが期待通りに出力されない可能性がある旨(警告表示)を表示する。この場合、警告表示後に印刷を継続しても良いし、ユーザに印刷を継続するか中止するかを指示させても良い。また、警告表示部104Cは、色差算出部104Bで算出された色差情報が一定数値以下だった場合には警告表示の表示を行わなくても良い。これにより、印刷データ中のスポットカラーが意図せぬ色で出力されることを防ぐことができる。
【0035】
印刷データ中のスポットカラーの代替カラー情報がL*a*b*およびXYZ等といったデバイス非依存の色空間ではなく、RGBおよびCMYK等のようなデバイス依存の色空間で指定されていて色差算出部104Bが色差情報を算出できない場合は、警告表示部104Cで警告を表示した上で、スポットカラー色値情報記憶部105の保持している色値情報を使用しても良い。
【0036】
すなわち、警告表示部104Cは、印刷データ中のスポットカラーの代替カラー情報の色値情報がRGBおよびCMYK等のデバイス依存の色値情報であり、色差算出部104Bで色差情報の算出ができない場合、および、スポットカラー色値情報記憶部105に色値情報が存在しないために色差算出部104Bで色差情報の算出ができない場合に、警告表示を行っても良い。これにより、印刷データ中のスポットカラーが意図せぬ色で出力されることを防ぐことができる。
【0037】
また、色差情報が所定の値より小さい、すなわち、印刷データ中のスポットカラーの代替カラー情報と、スポットカラー色値情報記憶部105の色値情報と、の差異が小さい場合は、警告表示部104Cは、警告表示を出さずに印刷を継続するようにしても良い。
【0038】
警告表示を行った後に印刷を継続する場合、スポットカラー色値決定部104Dは、各スポットカラーに対して使用する色値情報を決定し、決定した色値情報をスポットカラー色変換部101Aに送る。使用する色値情報を決定する方法としては、大きく分けて2つあり、1つは印刷データ中のスポットカラーの代替カラー情報を使用する方法で、もう1つはスポットカラー色値情報記憶部105の色値情報を使用する方法である。スポットカラー色値情報記憶部105が、1つのスポットカラーに対してスポットカラー取得条件毎の色値情報を保持している場合には、算出した色差情報が最も小さい色値情報を採用するようにしても良いし、スポットカラー条件指定部104Eでユーザからスポットカラー取得条件の指定を受けて色値情報を決定しても良い。いずれの場合も期待と異なる色で出力される可能性を低減できる。
【0039】
すなわち、スポットカラー色値決定部104Dは、スポットカラー色値情報記憶部105が各種のスポットカラーに対してスポットカラー取得条件に対応した複数の色値情報を記憶する場合に、どの色値情報を使用するかを決定するスポットカラー色値決定部の一例である。例えば、スポットカラー色値決定部104Dは、スポットカラー取得条件毎の色値情報のうち色差算出部104Bで算出された色差情報が最も小さくなる色値情報を使用することを決定しても良い。これにより、スポットカラーから色変換する色値情報の候補が複数ある場合に、印刷データ中の代替カラー情報と最も近い色で出力でき、印刷データ中のスポットカラーが意図せぬ色で出力されることを防ぐことができる。
【0040】
また、色差算出部104Bが算出した色差情報が0、すなわち、印刷データ中のスポットカラーの代替カラー情報と、スポットカラー色値情報記憶部105の色値情報と、に差異がない場合は、警告表示部104Cは、警告表示を表示せず、スポットカラー色値決定部104Dは、代替カラー情報と同じ色値情報を使用することを決定し、決定した色値情報をスポットカラー色変換部101Aに送る。
【0041】
なお、スポットカラー色値情報記憶部105が、1つのスポットカラーに対してスポットカラー取得条件毎の色値情報を保持しており、そのうちの1つのスポットカラー取得条件が印刷データ中のスポットカラーの代替カラー情報との色差情報が0であり、他のスポットカラー取得条件では色差情報が0でない場合、警告表示を出さずに色差情報が0となる色値情報を使用して印刷しても良いし、使用する色値情報のスポットカラー取得条件を表示し、ユーザの指示に基づいて印刷を行うようにしても良い。
【0042】
また、スポットカラー色値情報記憶部105が、1つのスポットカラーに対してスポットカラー取得条件毎の色値情報を保持している場合には、スポットカラー色値決定部104Dは、上述したように、スポットカラー条件指定部104Eでユーザからスポットカラー取得条件の指定を受けて色値情報を決定しても良い。すなわち、スポットカラー色値決定部104Dは、スポットカラー条件指定部104Eで指定されたスポットカラー取得条件の色値情報を使用することを決定しても良い。これにより、ユーザが希望のスポットカラー取得条件がある場合、そのスポットカラー取得条件に統一した出力ができる。
【0043】
色差算出部104Bが算出した色差情報が0、0以外、算出できない、いずれの場合においても、スポットカラー色値決定部104Dは、予めユーザが指定したスポットカラー取得条件の色値情報を常に使用するようにしても良い。さらに、色差算出部104Bで色差情報を算出ができない場合に、スポットカラー色値決定部104Dは、色差情報の算出ができない理由に応じて、印刷データ中のスポットカラーの代替カラー情報若しくはスポットカラー色値情報記憶部105に記憶された色値情報のどちらを使用するかを決定しても良い。これにより、印刷データ中のスポットカラーが意図せぬ色で出力されることを防ぐことができる。
【0044】
スポットカラー色変換部101Aは、スポットカラー色値決定部104Dから送られたスポットカラーの色値情報を使用して、その色値情報に対して色変換を行う。
【0045】
図4は、DTPソフト上でのスポットカラーの色値情報の例を示す図である。DTPソフト上でユーザはスウォッチライブラリからスポットカラーを選択して、その色をグラフィックおよびテキスト等に使用できる。特に、コーポレートカラー(会社のロゴ)は、スポットカラーで色が規定されていることが多い。多くのユーザはスポットカラーの名称のみを意識して使用しており、そのスポットカラーの色値情報(L*a*b*等)を意識することは少ない。しかし、実際には、スポットカラーをモニタ上で再現するために、
図4(a)で示すように、色値情報(L*a*b*等)をDTPソフトが保持しており、この色値情報をモニタのRGBに変換して表示している。スポットカラーの色値情報としては、
図4(a)で示したデバイス非依存の色空間であるL*a*b*が使われるのが一般的ではあるが、
図4(b)のようにRGBおよびCMYK等のデバイス依存の色空間での指定も可能である。
【0046】
図5は、PDF上でのスポットカラーの代替カラー情報の例を示す図である。DTPソフトでデザインされた原稿は最終的にPDFとして保存されることが多い。
図5は、PDF中のスポットカラーの情報をPDF表示編集ソフトのプリフライト機能で確認したものである。
図5の例では、PANTONE Yellow 012 Cという名称のスポットカラーが使われていることが分かる。
【0047】
基本的に、スポットカラーは、名称および番号で一意に色が決まるが、実際に、そのスポットカラーのインクを使用する場合を除き、RGBのモニタへの表示およびCMYK等のプロセスカラーの印刷においては、名称および番号だけではなく、そのスポットカラーのL*a*b*が必要となる。このL*a*b*を、RGBまたはCMYKに変換することでモニタ表示および印刷ができるためである。そのため、PDF上では、スポットカラーの名称および番号の他に、代替カラー情報と呼ばれる色値情報を合わせて保持している。
図5(a)の例だと、代替カラー情報は、L*a*b*が使われており、PDF保存する際に、DTPソフトで保持しているL*a*b*が使われる。代替カラー情報としては、L*a*b*ではなく、CMYKおよびRGB等が使われるケースもあり、
図5(b)に示す例は、代替カラー情報がCMYKの例である。
【0048】
図6は、印刷ソフト上でのスポットカラーの色値情報の例を示す図である。PDF中のスポットカラーには、代替カラー情報が紐づいているため、DFE10等の印刷ソフト上でスポットカラーのL*a*b*を保持していなくても印刷自体は可能であるが、PDF中のスポットカラーに紐づいた代替カラー情報の色値情報が適切とは限らない。例えば、スポットカラーの名称だけ正しく指定して、代替カラー情報は、適当な色値情報を入れておくということも可能である。そのため、DFE10では各種スポットカラーに対するL*a*b*を保持しておき、スポットカラーに対してそのL*a*b*を用いて色変換を行えるようにしている。
図6では、DFE10において保持しているPANTONE Yellow 012 CのL*a*b*を例示している。
【0049】
図7は、スポットカラー取得条件毎の色値情報の例を示す図である。DTPソフトおよび印刷ソフトは、スポットカラーのメーカーから受領した各スポットカラーの色値情報を搭載しているが、スポットカラーのメーカーからはスポットカラー取得条件毎の色値情報が提供されるケースもある。同じスポットカラーでもスポットカラー取得条件によって色値情報は異なるためである。この場合は、特定のスポットカラー取得条件の色値情報に限定して搭載しても良いし、複数のスポットカラー取得条件の色値情報を搭載し、使用する色値情報のスポットカラー取得条件を指定できるような構成も考えられる。スポットカラー取得条件によってスポットカラーの色値情報は異なるため、搭載および使用している色値情報がDTPソフトおよび印刷ソフトで異なっている場合には、期待と異なる色で出力されてしまう可能性がある。
【0050】
標準光源としては、D50若しくはD65が一般的な条件であり、印刷分野ではD50が用いられることが多い。観察条件としては、2°視野と、10°視野があり、印刷分野では、2°視野が用いられることが多い。測定照明条件としては、M0、M1、M2、M3があり、印刷分野においてはM1が主流となりつつあるが、M0およびM2の使用も散見されるため、期待と異なる色で出力されてしまう要因となりうる。
【0051】
図7に示す例では、印刷分野で一般的に用いられている、標準光源:D50、観察条件:2°視野における、各測定照明条件:M0,M1,M2におけるスポットカラー:Test Color 1のL*a*b*を例示している。この例示のように、スポットカラー取得条件毎にL*a*b*は異なる。
【0052】
印刷用紙には白色の発色を良く見せるために蛍光増白成分を含んでいるものがあるが、そのような用紙の場合、蛍光増白成分の影響を除外して測定できる(UV成分をカットする)M2とそれ以外の条件で差異が大きくなる。また、メタリック等、見る角度によって色が違う色材は偏向フィルタによって表面反射の影響を除去または低減して測定できるM3とそれ以外のスポットカラー取得条件で差異が大きくなる。
【0053】
図8は、任意のスポットカラー(例えば、Test Color 1)に関して色差算出部で算出した色差情報の例を示す図である。なお、印刷ソフト(DFE10)には、D50、2°視野の各測定照明条件:M0,M1,M2のL*a*b*の色値情報が搭載されている例で説明する。
【0054】
図8(a)は、PDF中のスポットカラーの代替カラー情報であるL*a*b*と、DFE10搭載の同一スポットカラーのL*a*b*の色差情報ΔE2000を算出し、色差情報が0となるスポットカラー取得条件が無い例である。この場合、このスポットカラーに使用する色値情報として色差情報が最小となるものを採用する方法で色値情報を決定するならば、測定照明条件がM0のL*a*b*を使用すれば良い。
【0055】
図8(b)は、PDF中のスポットカラーの代替カラー情報であるL*a*b*と、DFE10搭載の同一スポットカラーのL*a*b*の色差情報ΔE2000を算出し、色差情報が0となるスポットカラー取得条件がある例である。この場合、色差情報が0となる測定照明条件:M2のL*a*b*を使用すれば良い。
【0056】
図8(c)は、PDF中のスポットカラーの代替カラー情報がCMYKであり、DFE10搭載の同一スポットカラーのL*a*b*との色差情報が算出できない例である。代替カラー情報のCMYKを何かしらの手段でL*a*b*に変換すれば色差情報の算出は可能であるが、CMYKがどのようなスポットカラー取得条件を想定した色値情報か不明のため、L*a*b*に変換したとしてもそれが期待する色値情報とは限らないため、警告を表示してどのスポットカラー取得条件のL*a*b*を使用するかユーザに指定させるのが良い。
【0057】
図8(d)は、PDF中のスポットカラーと同一のスポットカラーのL*a*b*をDFE10側で搭載していないケースである。スポットカラーの種類は多数存在し、定期的なバージョンアップにより色数が追加されることもあるため、PDF中で使用しているスポットカラーと同一のスポットカラーのL*a*b*をDFE10側で搭載していないケースが考えられる。この場合は、印刷を行うためにはPDF中のスポットカラーの代替カラー情報を利用するしかないため、PDF中のスポットカラーの代替カラー情報をスポットカラーの色値として採用する。
【0058】
図9Aおよび
図9Bは、本実施の形態にかかる画像形成装置のDFEにおける色変換処理の流れの一例を示すフローチャートである。スポットカラーを含む印刷データを印刷するに際し、スポットカラー情報取得部104Aは、第1色変換部101で処理される前の印刷データ(例えば、PDF、PostScript)を解析し、印刷データ中で使用されているスポットカラーの名称および各スポットカラーの代替カラー情報を取得し、色差算出部104Bに送る(ステップS1001)。
【0059】
色差算出部104Bは、スポットカラー情報取得部104Aから送られてきたスポットカラーの名称に対応するDFE10で保持している色値情報をスポットカラー色値情報記憶部105から取得し、取得した色値情報と前述の代替カラー情報とに基づいて各スポットカラーの色差情報を算出する(ステップS1002)。その後、色差算出部104Bは、算出した色差情報を警告表示部104Cとスポットカラー色値決定部104Dに送る。
【0060】
次に、警告表示部104Cは、色差情報が算出され(ステップS10:Yes)、当該色差情報が0のスポットカラー取得条件が存在しなかった場合(ステップS20:No)、印刷データ中のスポットカラーの代替カラー情報とDFE10に搭載されているスポットカラーの色値情報と、に差異があり、印刷データ中のスポットカラーが期待通りに出力されない可能性がある旨を表示する(ステップS1003)。また、使用する色値情報の指定が無かった場合(ステップS30:No)、スポットカラー色値決定部104Dは、算出された色差情報が最も小さくなる色値情報を使用することを決定し、決定した色値情報をスポットカラー色変換部101Aに送る(ステップS1004)。
【0061】
色差情報が0のスポットカラー取得条件が存在するが(ステップS20:Yes)、使用する色値情報の指定があった場合(ステップS40:Yes、ステップS30:Yes)、スポットカラー色値決定部104Dは、指定された色値情報を使用することを決定し、決定した色値情報をスポットカラー色変換部101Aに送る(ステップS1005)。
【0062】
色差情報が0のスポットカラー取得条件が存在し(ステップS20:Yes)、使用する色値情報の指定が無かった場合は(ステップS40:No)、色差情報が0となるスポットカラー取得条件の色値情報すなわち代替カラー情報と同じ色値情報を使用すれば良いため、スポットカラー色値決定部104Dは、代替カラー情報と同じ色値情報を使用することを決定し、決定した色値情報をスポットカラー色変換部101Aに送る(ステップS1006)。
【0063】
色差情報が算出できなかった場合は(ステップS10:No)、警告表示部104Cは、印刷データ中のスポットカラーの代替カラー情報とDFE10に搭載されているスポットカラーの色値情報との色差情報が算出できないため、印刷データ中のスポットカラーが期待通りに出力されない可能性がある旨を表示する(ステップS1007)。
【0064】
印刷データ中のスポットカラーの代替カラー情報がL*a*b*だった場合(ステップS50:No)、ステップS10で色差情報が算出できなかった要因として考えられるのは、スポットカラー色値情報記憶部105に色値情報が無いスポットカラーであることである。スポットカラー色値情報記憶部105に色値情報が無いスポットカラーに関しては、代替カラー情報を使用して色変換を行うしかない。そのため、この場合は、前述と同様、S1006でスポットカラー色値決定部104Dは、代替カラー情報と同じ色値情報を使用することを決定し、決定した色値情報をスポットカラー色変換部101Aに送る(ステップS1006)。
【0065】
印刷データ中のスポットカラーの代替カラー情報がL*a*b*以外であり(ステップS50:Yes)、スポットカラー色値情報記憶部105に色値情報が存在しない場合は(ステップS60:No)、印刷データ中のスポットカラーの代替カラー情報(例えば、CMYK、RGB)をCMYKまたはRGBのICCプロファイル等を用いて色変換して出力する必要がある。この場合も、前述と同様、スポットカラー色値決定部104Dは、代替カラー情報と同じ色値情報を使用することを決定し、決定した色値情報をスポットカラー色変換部101Aに送る(ステップS1006)。
【0066】
印刷データ中のスポットカラーの代替カラー情報がL*a*b*以外であり(ステップS50:Yes)、スポットカラー色値情報記憶部105に色値情報が存在する場合は(ステップS60:Yes)、スポットカラー色値情報記憶部105に存在する色値情報を使用する方が期待と異なる色で出力される可能性は低い。そのため、スポットカラー色値決定部104Dは、スポットカラー色値情報記憶部105の色値情報を使用することを決定し、決定した色値情報をスポットカラー色変換部101Aに送る(ステップS1008)。スポットカラー色値情報記憶部105に複数のスポットカラー取得条件の色値情報が存在する場合は、ユーザにどのスポットカラー取得条件の色値情報を使用するか指定させても良いし、予め使用するスポットカラー取得条件を設定しておいても良い。
【0067】
スポットカラー色値決定部104Dで使用する色値情報を決定した後は、スポットカラー色変換部101Aは、スポットカラー色値決定部104Dから送られたスポットカラーの色値情報を使用して、その色値情報に対してICCプロファイル等を用いた色変換等を行う(ステップS1009)。
【0068】
このように、本実施の形態にかかる画像形成装置100によれば、印刷データ中のスポットカラーと紐づいた代替カラー情報と印刷デバイスに搭載されたスポットカラーの色値情報を比較し、違いがある場合に警告を出したり、使用するL*a*b*等の色値情報を修正したりすることにより、意図せぬ出力色の違いが生じることを防ぐことができる。
【0069】
なお、本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムは、ROM12a等に予め組み込まれて提供される。本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成しても良い。
【0070】
さらに、本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0071】
本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムは、上述した各部(第1色変換部101、第2色変換部102、ハーフトーンエンジン103、スポットカラー色値差異警告および色値修正処理部104)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU11等のプロセッサが上記ROM12aからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、第1色変換部101、第2色変換部102、ハーフトーンエンジン103、スポットカラー色値差異警告および色値修正処理部104が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0072】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置100を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【0073】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> スポットカラーをプロセスカラーに変換して出力する画像形成装置であって、
印刷データ中の前記スポットカラーの名称および代替カラー情報を取得するスポットカラー情報取得部と、
前記スポットカラーに対応する色値情報を記憶するスポットカラー色値情報記憶部と、
前記スポットカラー情報取得部で取得した前記代替カラー情報と、前記スポットカラー色値情報記憶部に記憶した前記色値情報と、の色差情報を算出する色差算出部と、
前記色差算出部で算出した前記色差情報を基に、前記印刷データ中の前記スポットカラーが期待通りに出力されない可能性がある旨を示す警告表示部と、
を備える画像形成装置。
<2> 前記印刷データ中の前記スポットカラーを、前記スポットカラー色値情報記憶部で記憶している前記色値情報を用いて色変換処理を行うスポットカラー色変換部と、
前記スポットカラー色値情報記憶部が各種の前記スポットカラーに対して標準光源、観察条件、および測定照明条件の少なくとも1つを含むスポットカラー取得条件に対応した複数の前記色値情報を記憶する場合に、どの前記色値情報を使用するかを決定するスポットカラー色値決定部と、をさらに有し、
前記スポットカラー色変換部は、前記スポットカラー色値決定部が決定した前記色値情報を使用して色変換を行う、<1>に記載の画像形成装置。
<3> 前記スポットカラー色値決定部は、前記色差算出部で算出された前記色差情報が最も小さくなる前記色値情報を使用することを決定する、<2>に記載の画像形成装置。
<4> ユーザが前記スポットカラー取得条件を指定できるスポットカラー条件指定部をさらに有し、
前記スポットカラー色値決定部は、前記スポットカラー条件指定部で指定された前記スポットカラー取得条件の前記色値情報を使用することを決定する、<2>または<3>に記載の画像形成装置。
<5> 前記警告表示部は、前記色差算出部で算出された前記色差情報が一定数値以下だった場合には警告表示を行わない、<1>から<4>のいずれか一に記載の画像形成装置。
<6> 前記警告表示部は、前記印刷データ中の前記スポットカラーの前記代替カラー情報の前記色値情報がデバイス依存の色値情報であり、前記色差算出部で前記色差情報の算出ができない場合、および、前記スポットカラー色値情報記憶部に前記色値情報が存在しないために前記色差算出部で前記色差情報の算出ができない場合に、警告を表示する、<1>から<5>のいずれか一に記載の画像形成装置。
<7> 前記色差算出部で前記色差情報を算出ができない場合に、前記スポットカラー色値決定部は、前記色差情報の算出ができない理由に応じて、前記印刷データ中の前記スポットカラーの前記代替カラー情報若しくは前記スポットカラー色値情報記憶部に記憶された前記色値情報のどちらを使用するかを決定する、<2>から<6>のいずれか一に記載の画像形成装置。
<8> 画像形成装置で実行される画像形成方法であって、
印刷データ中の前記スポットカラーの名称および代替カラー情報を取得するステップと、
取得した前記代替カラー情報と、スポットカラー色値情報記憶部に記憶した前記スポットカラーに対応する色値情報と、の色差情報を算出するステップと、
算出した前記色差情報を基に、前記印刷データ中の前記スポットカラーが期待通りに出力されない可能性がある旨を示すステップと、
を含む画像形成方法。
<9> コンピュータを、
印刷データ中の前記スポットカラーの名称および代替カラー情報を取得するスポットカラー情報取得部と、
前記スポットカラー情報取得部で取得した前記代替カラー情報と、スポットカラー色値情報記憶部に記憶した前記スポットカラーに対応する色値情報と、の色差情報を算出する色差算出部と、
前記色差算出部で算出した前記色差情報を基に、前記印刷データ中の前記スポットカラーが期待通りに出力されない可能性がある旨を示す警告表示部と、
して機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0074】
10 DFE
11 CPU
12a ROM
12b RAM
20 プリンタ機
100 画像形成装置
101 第1色変換部
101A スポットカラー色変換部
102 第2色変換部
103 ハーフトーンエンジン
104 スポットカラー色値差異警告および色値修正処理部
104A スポットカラー情報取得部
104B 色差算出部
104C 警告表示部
104D スポットカラー色値決定部
104E スポットカラー条件指定部
105 スポットカラー色値情報記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】