(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017887
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】情報処理システム、行動解析装置、行動解析方法、及び行動解析プログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/00 20060101AFI20240201BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20240201BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20240201BHJP
G06Q 10/00 20230101ALI20240201BHJP
G06Q 50/00 20240101ALI20240201BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G08B25/00 510M
G08B25/04 K
G08B21/02
G06Q10/00
G06Q50/00
H04N7/18 D
H04N7/18 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120832
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】松永 智広
【テーマコード(参考)】
5C054
5C086
5C087
5L049
【Fターム(参考)】
5C054CE00
5C054CH01
5C054DA09
5C054FC00
5C054FC12
5C054FF06
5C054HA18
5C086AA22
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA08
5C086DA33
5C086EA40
5C086EA45
5C087AA02
5C087DD03
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG09
5C087GG13
5C087GG70
5C087GG83
5L049AA20
5L049CC60
(57)【要約】
【課題】簡易な構成でかつ高精度に不審な行動を検知することが可能な情報処理システム、行動解析装置、行動解析方法、及び行動解析プログラムを提供すること。
【解決手段】撮像装置は監視領域を撮像し、行動解析装置は、撮像情報に基づいて時系列で監視対象の存否を検知する検知情報と、監視対象の撮像が不可能な死角領域の位置情報を含む死角情報とに基づいて監視対象の存在する死角領域を特定する特定部と、検知情報と監視対象と特定された死角領域とを紐づけた解析結果情報を保存する保存部と、解析結果情報に基づいて同一時刻に同一の死角領域に複数の監視対象が存在すると判断された場合に不審行動の可能性があると判断して死角領域に対して不審行動の可能性の高さを示す評価レベルを高くする評価部と、解析結果情報に対応づけた評価結果をコンピュータ装置に送信する通信部を備え、コンピュータ装置は、行動解析装置から解析結果情報と評価結果とを受信して出力する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の監視対象が存在する監視領域に設置される複数の撮像装置と、前記撮像装置において取得された時刻情報を少なくとも含む撮像情報に基づいて、前記監視対象の行動を解析する行動解析装置と、前記行動解析装置にネットワークで接続されるコンピュータ装置と、を有する情報処理システムであって、
前記複数の撮像装置のそれぞれは、前記監視領域を撮像し、
前記行動解析装置は、
記憶部と、
前記撮像装置から取得した撮像情報に基づいて時系列で前記監視対象の存否を検知し、検知した結果を示す検知情報と、前記撮像装置により前記監視対象の撮像が不可能な死角領域の位置情報を含む死角情報と、に基づいて前記監視対象の存在する前記死角領域を特定する特定部と、
前記検知情報の前記時刻情報と、前記監視対象と、特定された前記死角領域とを紐づけた解析結果情報を前記記憶部に保存する保存部と、
前記解析結果情報に基づいて、同一時刻に、同一の前記死角領域に、複数の前記監視対象が存在すると判断された場合に、前記監視対象による不審行動の可能性があると判断して、前記死角領域に対して前記不審行動の可能性の高さを示す評価レベルを高くする評価を行う評価部と、
前記解析結果情報に対応づけた評価結果を、前記コンピュータ装置に送信する通信部と、
を備え、
前記コンピュータ装置は、
前記行動解析装置から、前記解析結果情報と、前記解析結果情報に対応づけられた前記評価結果とを、受信して出力する、
情報処理システム。
【請求項2】
記憶部と、
1以上の監視対象が存在する監視領域に設置される複数の撮像装置から取得した時刻情報を少なくとも含む撮像情報に基づいて時系列で前記監視対象の存否を検知し、検知した結果を示す検知情報と、前記撮像装置により前記監視対象の撮像が不可能な死角領域の位置情報を含む死角情報と、に基づいて前記監視対象の存在する前記死角領域を特定する特定部と、
前記検知情報の前記時刻情報と、前記監視対象と、特定された前記死角領域とを紐づけた解析結果情報を前記記憶部に保存する保存部と、
前記解析結果情報に基づいて、同一時刻に、同一の前記死角領域に、複数の前記監視対象が存在すると判断された場合に、前記監視対象による不審行動の可能性があると判断して、前記死角領域に対して前記不審行動の可能性の高さを示す評価レベルを高くする評価を行う評価部と、
前記解析結果情報に対応づけた評価結果を出力する通信部と、
を備える、
行動解析装置。
【請求項3】
前記監視領域の地図情報、及び前記監視領域に設置される前記複数の撮像装置の前記位置情報を取得し、前記地図情報、及び前記複数の撮像装置の前記位置情報に基づいて前記死角領域を特定し、特定された前記死角領域を、前記死角情報として前記記憶部に保存する位置情報管理部と、
をさらに備え、
前記特定部は、
前記検知情報と、前記死角情報と、に基づいて前記監視対象の存在する前記死角領域を特定する、
請求項2に記載の行動解析装置。
【請求項4】
前記位置情報管理部は、
前記検知情報に基づいて前記監視対象の前記存否の変化が生じる位置を死角ラインとして特定し、特定された前記死角ラインの前記位置情報と、前記死角領域とを対応づけて前記記憶部に保存し、
前記特定部は、前記検知情報に基づいて前記監視対象の前記存否を検知した場合には、前記存否の変化が生じた前記死角ラインを特定し、前記死角ラインと対応づけられた前記死角領域に前記監視対象が存在すると特定する、
請求項3に記載の行動解析装置。
【請求項5】
前記位置情報管理部は、
前記特定部において前記監視対象の存在する前記死角領域の特定がなされなかった場合に、前記検知情報に基づいて新たな前記死角ラインを検出し、検出された前記死角ラインの前記位置情報と、前記死角領域とを対応づけて前記記憶部に保存する、
請求項4に記載の行動解析装置。
【請求項6】
前記検知情報に基づいて前記監視対象を特定する認証部と、
をさらに備え、
前記特定部は、
特定の前記監視対象が存在する前記死角領域を特定する、
請求項2に記載の行動解析装置。
【請求項7】
前記認証部は、
特定された前記監視対象の行動パターンに関する情報を取得して前記監視対象の状態を特定し、
前記特定部は、
所定の状態を有する前記監視対象が存在する前記死角領域を特定する、
請求項6に記載の行動解析装置。
【請求項8】
前記評価レベルは、前記不審行動と判断された回数であり、
前記評価部は、前記解析結果情報に基づいて、同一時刻に、同一の前記死角領域に、複数の前記監視対象が存在すると判断された場合に、前記監視対象による前記不審行動の可能性があると判断して、前記死角領域に対して前記評価レベルとして前記回数をカウントアップする
請求項2に記載の行動解析装置。
【請求項9】
前記不審行動は、ハラスメント行為を含む、
請求項2に記載の行動解析装置。
【請求項10】
前記評価部は、前記解析結果情報に基づいて、同一の前記死角領域に、複数の前記監視対象が所定条件を超えて共に存在すると判断された場合、同一時刻に、同一の前記死角領域に、特定の前記監視対象が存在すると判断された場合、同一時刻に、特定の前記死角領域に、複数の前記監視対象が存在すると判断された場合、及び同一時刻に、同一の前記死角領域に存在する前記監視対象の人数が所定条件を満たすと判断された場合のそれぞれにおいて、前記回数に差をつけてカウントアップする、
請求項8に記載の行動解析装置。
【請求項11】
1以上の監視対象が存在する監視領域に設置される複数の撮像装置と、前記撮像装置において取得された時刻情報を少なくとも含む撮像情報に基づいて、前記監視対象の行動を解析する行動解析装置と、前記行動解析装置にネットワークで接続されるコンピュータ装置と、を有する情報処理システムで実行される行動解析方法であって、
前記行動解析装置は、記憶部を備え、
前記複数の撮像装置のそれぞれが、前記監視領域を撮像し、
前記行動解析装置が、1以上の前記監視対象が存在する前記監視領域に設置される前記複数の撮像装置から取得した前記時刻情報を少なくとも含む撮像情報に基づいて時系列で前記監視対象の存否を検知し、検知した結果を示す検知情報と、前記撮像装置により前記監視対象の撮像が不可能な死角領域の位置情報を含む死角情報と、に基づいて前記監視対象の存在する前記死角領域を特定するステップと、
前記行動解析装置が、前記検知情報の前記時刻情報と、前記監視対象と、特定された前記死角領域とを紐づけた解析結果情報を前記記憶部に保存するステップと、
前記解析結果情報に基づいて、同一時刻に、同一の前記死角領域に、複数の前記監視対象が存在すると判断された場合に、前記監視対象による不審行動の可能性があると判断して、前記死角領域に対して前記不審行動の可能性の高さを示す評価レベルを高くする評価ステップと、
前記行動解析装置が、前記解析結果情報に対応づけた評価結果を、前記コンピュータ装置に送信するステップと、
前記コンピュータ装置が、前記行動解析装置から、前記解析結果情報と、前記解析結果情報に対応づけられた前記評価結果とを、受信して出力するステップと、
を含む行動解析方法。
【請求項12】
行動解析装置のコンピュータに実行させるための行動解析プログラムであって、
前記行動解析装置は、記憶部を備え、
1以上の監視対象が存在する監視領域に設置される複数の撮像装置から取得した時刻情報を少なくとも含む撮像情報に基づいて時系列で前記監視対象の存否を検知し、検知した結果を示す検知情報と、前記撮像装置により前記監視対象の撮像が不可能な死角領域の位置情報を含む死角情報と、に基づいて前記監視対象の存在する前記死角領域を特定するステップと、
前記検知情報の前記時刻情報と、前記監視対象と、特定された前記死角領域とを紐づけた解析結果情報を前記記憶部に保存するステップと、
前記解析結果情報に基づいて、同一時刻に、同一の前記死角領域に、複数の前記監視対象が存在すると判断された場合に、前記監視対象による不審行動の可能性があると判断して、前記死角領域に対して前記不審行動の可能性の高さを示す評価レベルを高くする評価ステップと、
前記解析結果情報に対応づけた評価結果を出力するテップと、
を前記コンピュータに実行させるための行動解析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、行動解析装置、行動解析方法、及び行動解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、施設等におけるハラスメントの発生を防止するため、人の不審な行動を検知するシステムが広く用いられている。
【0003】
このようなシステムでは例えば、監視カメラに映った人の映像と、人の位置情報とを関連付けるため、人がどこでどのような行動をとっているのかを認知することができる。しかしながら、人が監視カメラの死角に入った場合、人の映像を得ることができないため、当該死角において仮にハラスメントが行われていたとしても認知することはできなかった。
【0004】
このため従来技術においては、監視カメラで認知可能な領域で人が例外的な行動をとった場合に、当該人の位置情報と、監視カメラの死角の位置とを照会し、情報の一致度が高い場合に、不審な行動をとったことを認知する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述の技術では、監視対象となる人に端末等を所持させることにより当該人の位置情報を取得するため、死角におけるハラスメント等の不審な行動の検知には、監視カメラの他に、一又は複数の端末が必要になってくるため、管理や運用が複雑であるという問題があった。また、人が例外的な行動をとったことをトリガーとして、不審な行動の検出を図るため、例えば、監視カメラで検知可能な領域で、人が、故意に標準的な行動をとっている場合には、不審な行動の検出は困難である。ハラスメント等の不審行為を目的とする者は、監視カメラの存在を意識し、監視カメラで検知可能な領域では不審な行動を抑える場合が多いため、このような従来技術では、充分な確度で人の不審な行動を検知することはできなかった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成でかつ高精度に不審な行動を検知することが可能な情報処理システム、行動解析装置、行動解析方法、及び行動解析プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、1以上の監視対象が存在する監視領域に設置される複数の撮像装置と、前記撮像装置において取得された時刻情報を少なくとも含む撮像情報に基づいて、前記監視対象の行動を解析する行動解析装置と、前記行動解析装置にネットワークで接続されるコンピュータ装置と、を有する情報処理システムであって、前記複数の撮像装置のそれぞれは、前記監視領域を撮像し、前記行動解析装置は、記憶部と、前記撮像装置から取得した撮像情報に基づいて時系列で前記監視対象の存否を検知し、検知した結果を示す検知情報と、前記撮像装置により前記監視対象の撮像が不可能な死角領域の位置情報を含む死角情報と、に基づいて前記監視対象の存在する前記死角領域を特定する特定部と、前記検知情報の前記時刻情報と、前記監視対象と、特定された前記死角領域とを紐づけた解析結果情報を前記記憶部に保存する保存部と、前記解析結果情報に基づいて、同一時刻に、同一の前記死角領域に、複数の前記監視対象が存在すると判断された場合に、前記監視対象による不審行動の可能性があると判断して、前記死角領域に対して前記不審行動の可能性の高さを示す評価レベルを高くする評価を行う評価部と、前記解析結果情報に対応づけた評価結果を、前記コンピュータ装置に送信する通信部と、を備え、前記コンピュータ装置は、前記行動解析装置から、前記解析結果情報と、前記解析結果情報に対応づけられた前記評価結果とを、受信して出力する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡易な構成でかつ高精度に不審な行動を検知することが可能なシステムを提供することが可能となる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態にかかる情報処理システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態にかかる情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態にかかる情報処理システムのうちサーバの機能的構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態にかかる第1の解析結果DBのデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態にかかる第2の解析結果DBのデータ構造の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態における死角領域について説明する図である。
【
図7】
図7は、実施の形態における死角領域の特定方法について説明する図である。
【
図8】
図8は、実施の形態における死角ラインの特定について説明する図である。
【
図9】
図9は、実施の形態における新たな死角領域の特定方法について説明する図である。
【
図10】
図10は、実施の形態にかかる不審行動解析処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施の形態における監視対象の認証方法について説明する図である。
【
図12】
図12は、実施の形態の第1の解析結果DBの一例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施の形態の第2の解析結果DBの一例を示す図である。
【
図14】
図14は、実施の形態の第2の解析結果DBの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、情報処理システムの実施の形態を詳細に説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0011】
図1は、実施の形態にかかる情報処理システムの構成を示す図である。
【0012】
図1に示す情報処理システムは、一又は複数、すなわちn台(nは1以上の任意の整数値)の撮像装置1-1乃至1-nと、撮像装置1-1乃至1-nと通信ネットワーク100で接続される行動解析装置5と、行動解析装置5にネットワークで接続されるコンピュータ装置7とを含むように構成される。
【0013】
撮像装置1-1乃至1-nは、1以上の監視対象Mが存在する監視領域Rに設置され、監視領域Rを撮像する。具体的には、撮像装置1-1乃至1-nのそれぞれは、例えばカメラであって、監視領域Rの各場所に設置され、24時間、監視領域Rを撮像する。撮像装置1-1乃至1-nは、撮像画像を含むk個(kは1以上の任意の整数値)の撮像情報A-1乃至A-kを行動解析装置5に送信する。なお、監視対象Mは、例えば人である。
【0014】
行動解析装置5は、撮像装置1-1乃至1-nにおいて取得された時刻情報を少なくとも含む撮像情報A-1乃至A-kに基づいて、監視対象Mの行動を解析し、解析結果C、及び解析結果Cに対応づけられた評価結果Eを、コンピュータ装置7に送信する。
【0015】
コンピュータ装置7は、監視領域Rを管理する管理者等によって管理される端末である。コンピュータ装置7は、行動解析装置5から、撮像情報A-1乃至A-kの解析結果C、及び評価結果Eを、受信して出力する。
【0016】
なお、撮像装置1-1乃至1-nを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて撮像装置1と称する場合がある。また、撮像情報A-1乃至A-kを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて撮像情報Aと称する場合がある。
【0017】
次に、上述した情報処理システムを構成する行動解析装置5のハードウェア構成の一例について説明する。
【0018】
図2は、行動解析装置5のハードウェア構成図である。
【0019】
図2に示されているように、行動解析装置5は、コンピュータによって構築されており、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、データバス510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0020】
これらのうち、CPU501は、行動解析装置5全体の動作を制御する。例えば、CPU501は、後述する不審行動解析処理に関する制御プログラムを実行することにより、行動解析装置5全体の動作を統括的に制御する。
【0021】
ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。
【0022】
RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。
【0023】
HDDコントローラ505は、CPU501の制御に従ってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。
【0024】
ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。
【0025】
外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。
【0026】
ネットワークI/F509は、通信ネットワーク100を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。
【0027】
データバス510は、CPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0028】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。
【0029】
ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。
【0030】
DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。
【0031】
メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0032】
次に、
図3を用いて、
図2のCPU501が後述する不審行動解析プログラムを実行することで実現される各機能の機能ブロック図について説明する。
【0033】
図3は、実施の形態にかかる情報処理システムのうち行動解析装置5の機能的構成の一例を示す図である。
【0034】
実施の形態にかかる行動解析装置5は、
図3に示すように、記憶部504、位置情報管理部51、認証部52、検知部53、特定部54、評価部55、保存部56、及び通信部57を備えた機能的構成となっている。
【0035】
記憶部504は、HDD、SSD(Solid State Drive)等の記憶媒体である。記憶部504には、位置情報データベース100(以下、位置情報DB100と称する)、特徴情報データベース200(以下、特徴情報DB200と称する)、及び解析結果データベース300(解析結果DB300と称する)が記憶される。
【0036】
位置情報DB100には、撮像装置1により監視対象Mの撮像が不可能な死角領域DRの位置情報を含む死角情報が登録されている。具体的には、位置情報DB100には、後述する位置情報管理部51において特定される死角領域DR、及び時系列で取得される撮像情報Aにおいて監視対象Mの存否の変化が生じる位置である死角ラインDLの位置情報が、これらを一意に特定可能な識別情報である死角領域IDと対応づけられ、死角情報として登録されている。なお、位置情報DB100は、図示は省略する。
【0037】
特徴情報DB200には、監視対象Mの一例として例えば人を識別する特徴、及び人の行動パターンに関する情報が登録されている。具体的には、特徴情報DB200には、人物名と、顔写真や識別情報等とが対応づけられて登録されている。また、特徴情報DB200には、人の状態と、当該状態を特徴づける行動パターンに関する情報とが対応づけられて登録されている。なお、特徴情報DB200は、図示は省略する。
【0038】
解析結果DB300には、後述する不審行動解析処理が実行された結果である解析結果C、及び解析結果Cを評価した評価結果Eが登録されている。
【0039】
ここで
図4~5に、解析結果DBのデータ構造の例を示す。
図4は、第1の解析結果DB300aのデータ構造を示し、
図5は、第2の解析結果DB300bのデータ構造を示している。
【0040】
図4に示す第1の解析結果DB300aには、例えば所定時刻において、監視対象Mがいずれかの撮像装置1であるカメラに映っているか(Yes/No)と、監視対象Mがカメラに映っていない場合には、存在すると予測される死角領域DRと、当該死角領域DRに出入りした時刻と、が対応づけられた解析結果Cが、監視対象Mを一意に識別する人物IDと対応づけられて登録されている。
【0041】
また、
図5に示す第2の解析結果DB300bには、死角領域IDと、同一時刻に同一の死角領域DRに存在する複数の監視対象Mの人物IDの組み合わせと、これらの監視対象Mが当該死角領域DRを出入りした時刻と、が対応づけられた解析結果Cが、当該監視対象Mの人物IDの組み合わせを一意に識別可能なパターンIDと対応づけられて登録されている。さらに、
図5に示す第2の解析結果DB300bには、同一の組み合わせの監視対象Mが、過去に同一時刻に同一の死角領域DRに共に存在したことがある場合、その回数を示す評価結果Eが解析結果Cに対応づけられて登録されている。
【0042】
位置情報管理部51は、撮像装置1によって監視対象Mの撮像が不可能な死角領域DRの位置情報を含む死角情報を管理する。ここで
図6に、監視領域Rに設置された撮像装置1によって取得された撮像情報Aの一例を示す。位置情報管理部51は、撮像情報Aを解析し、例えば通路の突き当りを左に曲がったところを死角領域DR1、通路の突き当りを右に曲がったところを死角領域DR2、撮像装置1の真下に入ったところを死角領域DR3、左の部屋に入ったところを死角領域DR4、右の部屋に入ったところを死角領域DR5と認識する。位置情報管理部51は、このような死角領域DRの位置情報を、死角情報として管理する。
【0043】
具体的には、位置情報管理部51は、監視領域Rの地図情報、及び監視領域Rに設置される撮像装置1-1乃至1-nの位置情報を取得し、地図情報、及び撮像装置1-1乃至1-nの位置情報に基づいて死角領域DRを特定する。即ち、位置情報管理部51は、監視領域Rの建物の間取り、及び撮像装置1の設置位置に関する位置情報を解析して死角領域DRとなり得る候補の位置情報を抽出し、当該候補の位置情報と、撮像情報Aとに基づいて死角領域DRを特定する。
【0044】
ここで
図7には、監視領域Rの建物の間取り、及び撮像装置1-1及び1-2の設置位置が示されている。仮に、建物の間取りを考慮せず、撮像装置1から取得された撮像情報Aに基づいて死角領域DRの特定を試みた場合、撮像装置1-1によって取得された撮像情報Aから死角領域DR21~DR22が認識され、撮像装置1-2によって取得された撮像情報Aから死角領域DR23~DR24が認識される。即ち、死角領域DR22と死角領域DR23とが重複して認識される。これに対し、位置情報管理部51は、監視領域Rの建物の間取り、及び撮像装置1の設置位置に基づき、死角領域DR22と死角領域DR23は、同一の領域を示すと判定するため、同じ場所が死角領域DRとして重複して認識されることを防ぐことができる。
【0045】
位置情報管理部51は、このような間取り、及び撮像装置1の設置位置を考慮して特定された死角領域DRの位置情報を、死角情報として位置情報DB100に保存する。
【0046】
また、位置情報管理部51は、撮像情報Aに基づいて時系列で監視対象Mの存否を検知した結果を示す検知情報に基づいて、監視対象Mの存否の変化が生じる位置を死角ラインDLとして特定し、特定された死角ラインDLの位置情報を死角領域DRと対応づけて、位置情報DB100に保存する。具体的には、位置情報管理部51は、検知情報に基づいて、時系列で監視対象Mを追跡する。例えば、
図8に示すように、監視対象Mが、通路の突き当りを右に曲がったところから追跡できなくなった場合、位置情報管理部51は、当該追跡ができなくなった位置、即ち監視対象Mの存否の変化が生じる位置を死角ラインDL2として特定する。位置情報管理部51は、このようにして特定した死角ラインDL2を、死角領域DR2と対応づけて、位置情報DB100に保存する。
【0047】
また、位置情報管理部51は、後述する特定部54において監視対象Mの存在する死角領域DRの特定がなされなかった場合に、検知情報に基づいて新たな死角ラインDLを認識し、認識された死角ラインDLと死角領域DRとを対応づけて、位置情報DB100に保存する。ここで、
図9は、新たな死角領域DRの登録について説明する図である。例えば、
図9(a)に示すように当初死角領域DRが存在しなかった場所に、
図9(b)に示すような新たな障害物が設置される場合を想定する。障害物によって形成される死角領域DR40の死角情報は位置情報DB100に登録されていないため、仮に監視対象Mの存在が検知されない場合でも、監視対象Mの存在する死角領域DRを特定することはできない。
【0048】
これに対し、位置情報管理部51は、時系列で取得される検知情報に基づいて、死角ラインDL41~DL42を特定し、死角領域DR40と対応づけ、新たな死角情報として位置情報DB100に保存する。このように新たに形成された死角領域DRが自動で特定され死角情報として登録されるため、監視対象Mの存在する死角領域DRを容易に特定することができるようになる。
【0049】
認証部52は、検知情報に基づいて監視対象Mを特定する。具体的には、認証部52は、後述する検知情報より監視対象Mの存在を認識した場合、特徴情報DB200に基づき、画像認識手法等を用いて監視対象Mの人物を特定し、当該監視対象Mを一意に特定可能な識別情報である人物IDと対応づける。認証部52は、このような特定を後述する不審行動解析処理の前に実行する。
【0050】
認証部52は、特定された監視対象Mの行動パターンに関する情報を取得して監視対象Mの状態を特定する。具体的には、認証部52は、特徴情報DB200に基づき、画像認識手法等を用いて監視対象Mの状態の特定を試みる。例えば、監視対象Mが「同じ場所を往復する」といった行動パターンをとっていた場合、認証部52は、当該監視対象Mを「落ち着きがない」と特定する。認証部52は、このような特定を後述する不審行動解析処理の前に実行する。
【0051】
検知部53は、複数の撮像装置1から取得した時刻情報を少なくとも含む撮像情報Aに基づいて時系列で監視対象Mの存否を検知し、検知した結果を検知情報として示す。具体的には、検知部53は、例えば所定時刻において、撮像装置1において取得された撮像情報Aのうち、撮像画像に監視対象Mが含まれるか否かを判定し、判定結果を撮像情報Aと紐づけて検知情報として保持する。
【0052】
特定部54は、検知情報と、死角情報とに基づいて監視対象Mの存在する死角領域DRを特定する。即ち、特定部54は、検知情報を解析して、位置情報DB100に基づき、監視対象Mの存在する死角領域DRを特定する。
【0053】
具体的には、特定部54は、検知情報に基づいて監視対象Mの存否を検知した場合には、存否の変化が生じた死角ラインDLを特定し、死角ラインDLと対応づけられた死角領域DRに監視対象Mが存在すると特定する。例えば、特定部54は、時刻t1に撮像情報Aに監視対象Mが含まれているのに、時刻t2に撮像情報Aに監視対象Mが含まれていない場合、監視対象Mが死角領域DRに入ったと特定する。そして特定部54は、時刻t1及び時刻t2の検知情報を解析し、監視対象Mの存否の変化が生じた死角ラインDLを特定する。特定部54は、位置情報DB100に基づき、画像認識手法等を用いて監視対象Mが存在する死角領域DRを特定する。
【0054】
一方で例えば、特定部54は、時刻t3には撮像情報Aに監視対象Mが含まれていないのに、時刻t4には撮像情報Aに監視対象Mが含まれている場合、監視対象Mが死角領域DRから出てきたと特定する。そして特定部54は、時刻t3及び時刻t4の検知情報を解析し、監視対象Mの存否の変化が生じた死角ラインDLを特定する。特定部54は、位置情報DB100に基づき、画像認識手法等を用いて監視対象Mが出てきた死角領域DRを特定する。
【0055】
また、特定部54は、特定の監視対象Mが存在する死角領域DRを特定する。即ち例えば、特定部54は、検知情報及び認証部52で特定された結果に基づいて死角領域DRに存在する監視対象Mの人物名等を特定する。
【0056】
また特定部54は、所定の状態を有する監視対象Mが存在する死角領域DRを特定する。即ち例えば、特定部54は、認証部52で特定された結果に基づいて死角領域DRに存在する監視対象Mの状態を「落ち着きがない」等と特定する。
【0057】
保存部56は、検知情報に含まれる時刻情報と、監視対象Mと、特定された死角領域DRとを紐づけた解析結果情報としての解析結果Cを解析結果DB300aに保存する。具体的には例えば、保存部56は、監視対象Mの人物IDと、監視対象Mが撮像装置1で取得された撮像情報Aに含まれているか否かと、監視対象Mが存在する死角領域DRと、当該監視対象Mが死角領域DRに入った時刻t1と、死角領域DRから出た時刻t2とが対応づけられた解析結果Cを、解析結果DB300aに登録する。また例えば、保存部56は、死角領域DRと、当該監視領域DRに、同一の時刻に共に存在する複数の監視対象Mの人物IDの組み合わせと、当該監視対象Mが当該監視領域DRに入った時刻t3と出た時刻t4と、当該監視対象Mの組み合わせを示すパターンIDととが対応づけられた解析結果Cを、解析結果DB300bに登録する。
【0058】
評価部55は、解析結果Cに基づいて、同一時刻に、同一の死角領域DRに、複数の監視対象Mが存在すると判断された場合に、監視対象Mによる不審行動の可能性があると判断して、死角領域DRに対して不審行動の可能性の高さを示す評価レベルを高くする評価を行う。ここで評価レベルとは、不審行動と判断された回数である。即ち、評価部55は、解析結果Cに基づいて、同一時刻に、同一の死角領域DRに、複数の監視対象Mが存在すると判断された場合に、監視対象Mによる不審行動の可能性があると判断して、死角領域DRに対し、評価レベルとしての回数をカウントアップする。具体的には例えば、評価部55は、時刻t5から時刻t6の間において、同一の死角領域DR1に、監視対象Mとしての人物Aと人物Bが存在した場合、不審行動の可能性がある判断し、当該死角領域DR1に対し、1回とカウントする。
【0059】
また、評価部55は、時刻t7から時刻t8の間において、同一の死角領域DR1に、人物Aと人物Bが存在した場合には、不審行動の可能性がある判断し、当該死角領域DR1に対し、さらに1回カウントアップする。このようにして、評価部55は、同一の死角領域DRに同一の組み合わせの監視対象Mが共に存在する都度、当該死角領域DRに対し、カウントアップを繰り返す。
【0060】
さらに、評価部55は、解析結果Cに基づいて、同一の死角領域DRに、複数の監視対象Mが所定条件を超えて共に存在すると判断された場合、回数に差をつけてカウントアップする。例えば、評価部55は、複数の監視対象Mが、同一の死角領域DRに、所定時間よりも長く存在する場合には、不審行動の可能性が高いと判断し、当該死角領域DRに対し、回数に1より大きい数値を付与してカウントアップする。
【0061】
また、評価部55は、解析結果Cに基づいて、同一時刻に、同一の死角領域DRに、特定の監視対象Mが存在すると判断された場合、及び同一時刻に、特定の死角領域DRに、複数の監視対象Mが存在すると判断された場合にも、回数に差をつけてカウントアップする。例えば、評価部55は、認証部52で特定された所定の監視対象Mが、他の監視対象Mと同一時刻に同一の死角領域DRに存在する場合、不審行動の可能性が高いと判断して、回数に1より大きいの数値を付与してカウントアップする。また、評価部55は、普段立ち入られることの少ない特定の死角領域DRに同一時刻に複数の監視対象Mが存在する場合にも、不審行動の可能性が高いと判断して、回数に1より大きい数値を付与してカウントアップする。
【0062】
また、評価部55は、解析結果Cに基づいて、同一時刻に、同一の死角領域DRに存在する監視対象Mの人数が所定条件を満たすと判断された場合、回数に差をつけてカウントアップする。例えば、評価部55は、同一の死角領域DRに5~6名の監視対象Mが共に存在する場合、不審行動の可能性が低いと判断し、回数に1より小さい数値を付与してカウントアップする。
【0063】
保存部56は、解析結果Cに基づく評価結果Eである回数を、解析結果DB300に登録する。
【0064】
なお、上述の不審行動には、ハラスメント行為を含むものとする。
【0065】
通信部57は、解析結果Cに対応づけた評価結果Eを出力する。具体的には例えば、通信部57は、評価結果Eである回数が所定の値を超えた場合には、ハラスメントの危険性が高いとして、コンピュータ装置7に対し、解析結果Cと、解析結果Cに対応づけられた評価結果Eとを送信する。これにより管理者等にアラートを発報することができる。
【0066】
本実施の形態の行動解析装置5で実行される不審行動解析プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(DigitalVersatileDisk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0067】
また、本実施の形態の行動解析装置5で実行される不審行動解析プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の行動解析装置5で実行される不審行動解析プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成しても良い。
【0068】
また、本実施の形態の行動解析装置5で実行される不審行動解析プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0069】
本実施の形態の行動解析装置5で実行される不審行動解析プログラムは、上述した各部(位置情報管理部51、認証部52、検知部53、特定部54、評価部55、保存部56、通信部57)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体から不審行動解析プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ位置情報管理部51、認証部52、検知部53、特定部54、評価部55、保存部56、及び通信部57が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0070】
次に、実施の形態にかかる情報処理システムの行動解析装置5による不審行動解析処理について説明する。
【0071】
図10は、実施の形態にかかる不審行動解析処理の一例を示すフローチャートである。
図11は、実施の形態にかかる監視対象Mの認証方法についてを説明する図、
図12~14は、実施の形態にかかる解析結果DB300の一例を示す図である。
【0072】
以下、
図11~14を参照して、
図10のフローチャートについて説明する。
【0073】
認証部52は、検知情報に基づいて監視対象Mを特定する。具体的には例えば、認証部52は、
図11(a)に示すような監視対象Mの顔画像Fを用いた顔認証、
図11(b)に示すような監視対象Mに付されたQRコード(登録商標)C1及びC2を用いた画像認識、及び
図11(c)に示すような人物名が記載されたタグTを用いた文字認識等の各種認識手法を用いて監視対象Mを特定する(ステップS11)。
【0074】
特定部54は、検知情報を解析して、監視対象Mの存否を判定する(ステップS12)。具体的には例えば、特定部54は、現在、撮像情報Aのうち、撮像画像に監視対象Mが含まれているか否かを判定する。
【0075】
ステップS12で、監視対象Mが、撮像画像に含まれると判定された場合、処理はステップS11に戻る。
【0076】
ステップS12で、監視対象Mが、撮像画像に含まれると判定されなかった場合、特定部54は、監視対象Mが死角領域DRに入っていると特定する(ステップS13)。
【0077】
特定部54は、検知情報、及び死角情報に基づいて、監視対象Mが存在する死角領域DR、及び当該監視対象Mが当該死角領域DRに出入りした時刻を特定する(ステップS14)。
【0078】
図12は、解析結果DB300aの一例を示す図である。
図12に示すように、例えば、人物IDが「C」である監視対象Mが、所定時刻に、カメラに映っていないと判定された場合、特定部54は、「C」と、判定結果として「No」と、監視対象Mが存在すると予測される死角領域DRの死角ID「aaa」と、「C」が当該死角領域に入った時刻「2021/11/13/15:14:01」とを対応づけた解析結果Cを解析結果DB300aに登録する。一方で例えば、人物IDが「A」である監視対象Mが、所定時刻に、カメラに映っていると判定された場合、特定部54は、「A」と、判定結果として「Yes」とを対応づけて、解析結果DB300aに登録する。
【0079】
評価部55は、解析結果Cに基づき、同一時刻に、同一の死角領域DRに、複数の監視対象Mが入っているか否か判定する(ステップS15)。
【0080】
ステップS15において、同一時刻に、同一の死角領域DRに、複数の監視対象Mが入っていると判定されなかった場合、処理はステップS12に戻る。
【0081】
ステップS15において、同一時刻に、同一の死角領域DRに、複数の監視対象Mが入っていると判定された場合、評価部55は、監視対象Mによる不審行動の可能性があると判断する。そしてさらに、評価部55は、解析結果Cに基づいて、死角領域DRに入った複数の監視対象M及び監視領域DRが(1)~(4)の条件を満たすか否か判定する。
【0082】
具体的には例えば、評価部55は、(1)同一の死角領域DRに、複数の監視対象Mが所定時間を超えて共に存在しているか、(2)同一時刻に、同一の死角領域DRに、特定の監視対象Mの組み合わせが共に存在しているか、(3)同一時刻に、特定の死角領域DRに、複数の監視対象Mが存在しているか、(4)同一時刻に、同一の死角領域DRに存在する監視対象Mの人数が所定条件を満たしているか判定する(ステップS16)。
【0083】
ステップS16において、同一の死角領域DRに入った複数の監視対象M及び監視領域DRが、(1)~(4)の条件のいずれも満たさないと判定された場合、評価部55は、当該死角領域DRに対し、評価結果Eとして1回をカウントする(ステップS17)。
【0084】
図13は、このような評価結果Eと解析結果Cとが登録された解析結果DB300bの一例を示す図である。
図13に示すように、例えば、死角領域ID「ccc」に、監視対象Mとして「G」及び「H」が、「2021/11/13/14:52:04」から「2021/11/13/14:52:15」まで共に存在していた場合、評価部55は、「ccc」において、「G」及び「H」の間で不審行動の可能性があると判断し、「ccc」に対して1回をカウントする。また評価部55は、死角領域ID「ccc」において、「G」及び「H」の組み合わせで、不審行動の可能性があると判断された回数である前例としての「34」を、「G」及び「H」の組み合わせを示すパターンID「6496fjkr3649」と、死角領域ID「ccc」とに対応づけて解析結果DB300bに登録する。
【0085】
ステップS16において、評価部55は、同一の死角領域DRに入った複数の監視対象Mが上述の(1)~(4)の条件を満たすと判定した場合、当該死角領域DRに対し、「1」と差をつけた回数、すなわち回数として「1」以外の数値をカウントする(ステップS18)。
【0086】
図14は、このような評価結果Eと解析結果Cとが登録された解析結果DB300bの一例を示す図である。
図14に示すように、例えば、死角領域ID「ccc」に、監視対象Mとしての「G」及び「H」が、「2021/11/13/14:52:04」から「2021/11/13/14:52:15」までの11秒間共に存在している場合、評価部55は、所定時間である例えば10秒を超えたと判定し、死角領域ID「ccc」に対して1.8回をカウントする。そして評価部55は、前例の「34」から「1.8」カウントアップした評価結果Eとしての「35.8」を、ハラスメントの危険性として「ccc」と対応づけて解析結果DB300bに登録する。
【0087】
通信部57が、上述の解析結果Cに対応づけた評価結果Eを出力し、不審行動解析処理は終了する(ステップS19)。
【0088】
このように、実施の形態の情報処理システムは、1以上の監視対象Mが存在する監視領域Rに設置される複数の撮像装置1と、撮像装置1において取得された時刻情報を少なくとも含む撮像情報Aに基づいて、監視対象Mの行動を解析する行動解析装置5と、行動解析装置5にネットワークで接続されるコンピュータ装置7と、を有する情報処理システムであって、複数の撮像装置1のそれぞれは、監視領域Rを撮像し、行動解析装置5は、記憶部504と、撮像装置1から取得した撮像情報Aに基づいて時系列で監視対象Mの存否を検知し、検知した結果を示す検知情報と、撮像装置1により監視対象Mの撮像が不可能な死角領域DRの位置情報を含む死角情報と、に基づいて監視対象Mの存在する死角領域DRを特定する特定部54と、検知情報の時刻情報と、監視対象Mと、特定された死角領域DRとを紐づけた解析結果Cを解析結果DB300に保存する保存部56と、解析結果Cに基づいて、同一時刻に、同一の死角領域DRに、複数の監視対象Mが存在すると判断された場合に、監視対象Mによる不審行動の可能性があると判断して、死角領域DRに対して不審行動の可能性の高さを示す評価レベルを高くする評価を行う評価部55と、解析結果Cに対応づけた評価結果Eをコンピュータ装置7に送信する通信部57と、を備え、コンピュータ装置7は、行動解析装置5から、解析結果Cと、解析結果Cに対応づけられた評価結果Eとを、受信して出力する。
【0089】
また、実施の形態の行動解析装置5は、記憶部504と、1以上の監視対象Mが存在する監視領域Rに設置される複数の撮像装置1から取得した時刻情報を少なくとも含む撮像情報Aに基づいて時系列で監視対象Mの存否を検知し、検知した結果を示す検知情報と、撮像装置1により監視対象Mの撮像が不可能な死角領域DRの位置情報を含む死角情報と、に基づいて監視対象Mの存在する死角領域DRを特定する特定部54と、検知情報の時刻情報と、監視対象Mと、特定された死角領域DRとを紐づけた解析結果Cを解析結果DB300に保存する保存部56と、解析結果Cに基づいて、同一時刻に、同一の死角領域DRに、複数の監視対象Mが存在すると判断された場合に、監視対象Mによる不審行動の可能性があると判断して、死角領域DRに対して不審行動の可能性の高さを示す評価レベルを高くする評価を行う評価部55と、解析結果Cに対応づけた評価結果Eを出力する通信部57と、を備える。
【0090】
このため本実施の形態にかかる情報処理システム、行動解析装置5では、同一の撮像装置1を使用して、死角領域における不審行動の検出と死角領域の位置情報の検知を行うことができ、監視対象Mに位置センサ等を所有させる等、撮像装置の他に端末や他のセンサを設ける必要は無く、監視対象Mの存在する死角領域DRを特定できる。従って、本実施の形態の情報処理システム及び行動解析装置5によれば簡易な構成で、不審行動を検知することができる。
【0091】
また、本実施の形態にかかる情報処理システム、行動解析装置5では、このように、撮像装置1で取得された撮像情報Aに基づいて監視対象Mが存在する死角領域DRを特定できるため、同一時刻に同一の死角領域DRに複数の監視対象Mが存在する場合を特定し、このような場合に不審行動の可能性があるとして、所定の評価を行うことができる。これにより例えば、ハラスメント目的の不審者が、撮像装置1の撮像領域であえて目立たない行動をとっているような場合でも、高精度に不審な行動が発生する可能性を検知することができる。
【0092】
以上により、本実施の形態にかかる情報処理システム、行動解析装置5によれば、簡易な構成でかつ高精度に人の不審な行動を検知することが可能になる。
【0093】
また、実施の形態の行動解析装置5は、監視領域Rの地図情報、及び監視領域Rに設置される複数の撮像装置1の位置情報を取得し、地図情報、及び複数の撮像装置1の位置情報に基づいて死角領域DRを特定し、特定された死角領域DRを、死角情報として位置情報DB100に保存する位置情報管理部51と、をさらに備え、特定部54は、検知情報と、死角情報と、に基づいて監視対象Mの存在する死角領域DRを特定する。
【0094】
これにより、本実施の形態にかかる情報処理システム、行動解析装置5では、撮像装置1によって同一の場所が別々の死角領域DRと認識される場合でも、重複して認識された情報が排除され、1つの死角領域DRとして認識される。これにより、監視対象Mの存在する死角領域DRが正確に特定されるため、不審な行動が発生する可能性を高精度に検知することができる。
【0095】
また、実施の形態の位置情報管理部51は、検知情報に基づいて監視対象Mの存否の変化が生じる位置を死角ラインDLとして特定し、特定された死角ラインDLの位置情報と、死角領域DRとを対応づけて位置情報DB100に保存し、特定部54は、検知情報に基づいて監視対象Mの存否を検知した場合には、存否の変化が生じた死角ラインDLを特定し、死角ラインDLと対応づけられた死角領域DRに監視対象Mが存在すると特定する。
【0096】
これにより、撮像装置1から取得された撮像情報Aに基づいて監視対象Mの存否が正確に検出されるため、監視対象Mの存在する死角領域DRを正確に特定することができる。
【0097】
また、実施の形態の位置情報管理部51は、特定部54において監視対象Mの存在する死角領域DRの特定がなされなかった場合に、検知情報に基づいて新たな死角ラインDLを検出し、検出された死角ラインDLの位置情報と、死角領域DRとを対応づけて記憶部504に保存する。
【0098】
これにより、例えば模様替え等で監視領域Rに新たな死角領域DRが生成された場合でも、撮像情報Aに基づいて自動で死角情報が更新される。これにより、監視対象Mの存在する死角領域DRを正確に特定することができる。
【0099】
また、実施の形態の行動解析装置5は、検知情報に基づいて監視対象Mを特定する認証部52と、をさらに備え、特定部54は、特定の監視対象Mが存在する死角領域DRを特定する。
【0100】
これにより、例えば不審行動の対象となりやすい特定の監視対象Mのみを抽出し、当該監視対象Mが存在する場所を特定できるため、不審行動の可能性をさらに高精度に検知することができる。
【0101】
また、実施の形態の認証部52は、特定された監視対象Mの行動パターンに関する情報を取得して監視対象Mの状態を特定し、特定部54は、所定の状態を有する監視対象Mが存在する死角領域DRを特定する。
【0102】
これにより、例えば、不審行動をとる可能性の高い監視対象Mのみを抽出し、当該監視対象Mが存在する場所を特定できるため、不審行動の可能性をさらに高精度に検知することができる。
【0103】
また、実施の形態の評価レベルは、不審行動と判断された回数であり、評価部55は、解析結果Cに基づいて、同一時刻に、同一の死角領域DRに、複数の監視対象Mが存在すると判断された場合に、監視対象Mによる不審行動の可能性があると判断して、死角領域DRに対して評価レベルとして回数をカウントアップする。
【0104】
このように、不審行動の可能性が回数として評価されるため、管理者等は一目で不審行動の可能性を把握することができる。
【0105】
また、実施の形態の不審行動は、ハラスメント行為を含む。
【0106】
これにより、撮像装置1の撮影対象外でハラスメント行為が発生する可能性を抑制することができる。
【0107】
また、実施の形態の評価部55は、解析結果Cに基づいて、同一の死角領域DRに、複数の監視対象Mが所定条件を超えて共に存在すると判断された場合、同一時刻に、同一の死角領域DRに、特定の監視対象Mが存在すると判断された場合、同一時刻に、特定の死角領域DRに、複数の監視対象Mが存在すると判断された場合、及び同一時刻に、同一の死角領域DRに存在する監視対象Mの人数が所定条件を満たすと判断された場合のそれぞれにおいて、回数に差をつけてカウントアップする。
【0108】
このように、例えば過去の事例に基づいてどのような条件で不審行動が起こる可能性が高いかを把握して条件毎に重みづけをし、回数に差をつけてカウントアップする。これにより、高い精度で不審行動の可能性を検知することができる。
【0109】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0110】
上述の実施の形態では、撮像装置1において取得された撮像情報Aは、撮像装置1から行動解析装置5に送信されると説明したが、これに限定されない。即ち、撮像情報Aは、監視領域Rに設置された所定の受信装置に送信され、当該受信装置から行動解析装置5へ送信されてもよい。
【0111】
また上述の実施の形態において、ハラスメントは不審行動の一例である。即ち、不審行動には、ハラスメント以外の行動も含まれるものとする。
【0112】
また上述の実施の形態において、不審行動の可能性の高さを示す評価レベルを回数として説明したが、回数は評価レベルの一例である。即ち例えば、回数を段階的にグループ分けしたランキング、例えば、1回から3回をランクC、3回から5回をランクB、6回以上をランクDとして評価レベルとして、不審行動の可能性を評価してもよい。
【0113】
また上述の実施の形態において、同一の時刻とは、完全に同一の時刻の他、例えば1分等の時刻の一定範囲に含まれる時刻を含むものとする。
【符号の説明】
【0114】
1 撮像装置
5 行動解析装置
7 コンピュータ装置
51 位置情報管理部
52 認証部
53 検知部
54 特定部
55 評価部
56 保存部
57 通信部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0115】