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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024178921
(43)【公開日】2024-12-25
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
H01L21/302 101C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024090672
(22)【出願日】2024-06-04
(31)【優先権主張番号】P 2023096776
(32)【優先日】2023-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 学
(72)【発明者】
【氏名】今橋 拓巳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 悠貴
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA01
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004CA03
5F004CA06
5F004DA01
5F004DA23
5F004DA25
(57)【要約】
【課題】エッチングレートの偏りを抑制することができること。
【解決手段】プラズマ処理装置は、チャンバと、バイアス電源と、チャンバ内で基板及びエッジリングを支持する基板支持器と、複数の第1インピーダンス調整機構と、電気的パスと、を備える。基板支持器は、基板を支持する第1領域と、第1領域の周囲に設けられ、エッジリングを支持する第2領域と、第1領域内に設けられる第1バイアス電極と、第1領域内に設けられ接地される複数の第1インピーダンス調整電極と、第2領域内に設けられる第2バイアス電極と、を有するように構成され、複数の第1インピーダンス調整機構それぞれは、複数の第1インピーダンス調整電極のそれぞれに接続されるように構成され、電気的パスは、バイアス電源と、第1バイアス電極と、第2バイアス電極とを接続するように構成される。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
バイアス電源と、
前記チャンバ内で基板及びエッジリングを支持する基板支持器と、
複数の第1インピーダンス調整機構と、
電気的パスと、
を備え、
前記基板支持器は、
前記基板を支持する第1領域と、
前記第1領域の周囲に設けられ、前記エッジリングを支持する第2領域と、
前記第1領域内に設けられる第1バイアス電極と、
前記第1領域内に設けられ接地される複数の第1インピーダンス調整電極と、
前記第2領域内に設けられる第2バイアス電極と、
を有するように構成され、
前記複数の第1インピーダンス調整機構それぞれは、前記複数の第1インピーダンス調整電極のそれぞれに接続されるように構成され、
前記電気的パスは、前記バイアス電源と、前記第1バイアス電極と、前記第2バイアス電極とを接続するように構成される、
プラズマ処理装置。
【請求項2】
第2インピーダンス調整機構と、第2インピーダンス調整電極とをさらに備え、
前記第2インピーダンス調整機構は、前記第2インピーダンス調整電極に接続される、
請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記複数の第1インピーダンス調整電極は、前記基板支持器の周方向に2つ以上設けられる、
請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記複数の第1インピーダンス調整電極は、前記基板支持器の径方向に2つ以上設けられる、
請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記複数の第1インピーダンス調整電極は、前記基板支持器の周方向及び径方向それぞれに2つ以上設けられる、
請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記第2インピーダンス調整電極及び前記第2インピーダンス調整機構は、それぞれ複数備えられ、
複数の前記第2インピーダンス調整機構それぞれは、複数の前記第2インピーダンス調整電極のそれぞれに接続されるように構成される、
請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記複数の第2インピーダンス調整電極は、前記基板支持器の周方向に2つ以上設けられる、
請求項6に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記複数の第2インピーダンス調整電極は、前記基板支持器の径方向に2つ以上設けられる、
請求項6又は7に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記バイアス電源から出力されるバイアスRF信号の電圧及び電流を測定するように構成される測定部をさらに備え、
前記バイアス電源は、少なくとも1つの前記第2インピーダンス調整機構が調整される際に、前記測定部で測定された前記電圧及び前記電流に基づいて、前記第1バイアス電極及び前記第2バイアス電極の電位が予め設定した設定値となるように、前記バイアスRF信号の電力を制御するように構成される、
請求項2、6、7のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記バイアス電源から出力されるバイアスDC信号の電圧及び電流を測定するように構成される測定部をさらに備え、
前記バイアス電源は、少なくとも1つの前記第2インピーダンス調整機構が調整される際に、前記測定部で測定された前記電圧及び前記電流に基づいて、前記第1バイアス電極及び前記第2バイアス電極に供給される電力が予め設定した設定値となるように、前記バイアスDC信号の電力を制御するように構成される、
請求項2、6、7のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
チャンバと、
バイアス電源と、
前記チャンバ内で基板及びエッジリングを支持する基板支持器と、
複数のインピーダンス調整機構と、
電気的パスと、
を備え、
前記基板支持器は、
前記基板を支持する第1領域と、
前記第1領域の周囲に設けられ、前記エッジリングを支持する第2領域と、
前記第1領域内に設けられる第1バイアス電極と、
前記第2領域内に設けられる第2バイアス電極と、
前記第2領域内に設けられ接地される複数の第2インピーダンス調整電極と、
を有するように構成され、
前記複数のインピーダンス調整機構それぞれは、前記複数の第2インピーダンス調整電極のそれぞれに接続されるように構成され、
前記電気的パスは、前記バイアス電源と、前記第1バイアス電極と、前記第2バイアス電極とを接続するように構成される、
を備えるプラズマ処理装置。
【請求項12】
第1インピーダンス調整機構と、第1インピーダンス調整電極とをさらに備え、
前記第1インピーダンス調整機構は、前記第1インピーダンス調整電極に接続され、
前記複数のインピーダンス調整機構は、複数の第2インピーダンス調整機構である、
請求項11に記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
前記複数の第2インピーダンス調整電極は、前記基板支持器の周方向に2つ以上設けられる、
請求項11又は12に記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
前記複数の第2インピーダンス調整電極は、前記基板支持器の径方向に2つ以上設けられる、
請求項11又は12に記載のプラズマ処理装置。
【請求項15】
前記複数の第2インピーダンス調整電極は、前記基板支持器の周方向及び径方向それぞれに2つ以上設けられる、
請求項11又は12に記載のプラズマ処理装置。
【請求項16】
前記第1インピーダンス調整電極及び前記第1インピーダンス調整機構は、それぞれ複数備えられ、
複数の前記第1インピーダンス調整機構それぞれは、複数の前記第1インピーダンス調整電極のそれぞれに接続されるように構成される、
請求項12に記載のプラズマ処理装置。
【請求項17】
前記複数の第1インピーダンス調整電極は、前記基板支持器の周方向に2つ以上設けられる、
請求項16に記載のプラズマ処理装置。
【請求項18】
前記複数の第1インピーダンス調整電極は、前記基板支持器の径方向に2つ以上設けられる、
請求項16又は17に記載のプラズマ処理装置。
【請求項19】
前記バイアス電源から出力されるバイアスRF信号の電圧及び電流を測定するように構成される測定部をさらに備え、
前記バイアス電源は、少なくとも1つの前記インピーダンス調整機構が調整される際に、前記測定部で測定された前記電圧及び前記電流に基づいて、前記第1バイアス電極及び前記第2バイアス電極の電位が予め設定した設定値となるように、前記バイアスRF信号の電力を制御するように構成される、
請求項11、12、16、17のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項20】
前記バイアス電源から出力されるバイアスDC信号の電圧及び電流を測定するように構成される測定部をさらに備え、
前記バイアス電源は、少なくとも1つの前記インピーダンス調整機構が調整される際に、前記測定部で測定された前記電圧及び前記電流に基づいて、前記第1バイアス電極及び前記第2バイアス電極に供給される電力が予め設定した設定値となるように、前記バイアスDC信号の電力を制御するように構成される、
請求項11、12、16、17のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プラズマシースがエッジリングの浸食によりエッジリングに隣接して下がると、可変コンデンサのキャパシタンスが、基板のエッジ付近のRF振幅に影響を及ぼすように調整されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-130659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、エッチングレートの偏りを抑制することができるプラズマ処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によるプラズマ処理装置は、チャンバと、バイアス電源と、チャンバ内で基板及びエッジリングを支持する基板支持器と、複数の第1インピーダンス調整機構と、電気的パスと、を備える。基板支持器は、基板を支持する第1領域と、第1領域の周囲に設けられ、エッジリングを支持する第2領域と、第1領域内に設けられる第1バイアス電極と、第1領域内に設けられ接地される複数の第1インピーダンス調整電極と、第2領域内に設けられる第2バイアス電極と、を有するように構成され、複数の第1インピーダンス調整機構それぞれは、複数の第1インピーダンス調整電極のそれぞれに接続されるように構成され、電気的パスは、バイアス電源と、第1バイアス電極と、第2バイアス電極とを接続するように構成される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、エッチングレートの偏りを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の第1実施形態におけるプラズマ処理装置の一例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態における電極の構成の一例を示す図である。
図3図3は、第1実施形態における静電チャック及びプラズマの等価回路の一例を示す図である。
図4図4は、第1実施形態におけるインピーダンス調整機構の回路構成の一例を示す図である。
図5図5は、エッチングレートの偏りの一例を示す図である。
図6図6は、環状領域側のインピーダンス調整機構を変化させた場合のエッチングレートの変化の一例を示す図である。
図7図7は、環状領域側のインピーダンス調整機構を変化させた場合のエッチングレートの変化の一例を示す図である。
図8図8は、環状領域側のインピーダンス調整機構を変化させた場合のエッチングレートの変化率の一例を示す図である。
図9図9は、第1実施形態におけるインピーダンス調整電極の一例を示す図である。
図10図10は、チルト制御の実験結果の一例を示す図である。
図11図11は、変形例1におけるインピーダンス調整電極の一例を示す図である。
図12図12は、第2実施形態における電気的パスの構成の一例を示す図である。
図13図13は、バイアスRF電力のフィードバック制御を行わない場合のエッチングレートの変化の一例を示す図である。
図14図14は、バイアスRF電力のフィードバック制御を行わない場合のエッチングレートと基板の電位の変化の一例を示す図である。
図15図15は、バイアスRF電力のフィードバック制御を行わない場合のエッチングレートの変化の一例を示す図である。
図16図16は、バイアスRF電力のフィードバック制御を行わない場合のエッチングレートと基板の電位の変化の一例を示す図である。
図17図17は、バイアスRF電力のフィードバック制御を行った場合のエッチングレートの変化の一例を示す図である。
図18図18は、バイアスRF電力のフィードバック制御を行った場合のエッチングレートと基台の電位の変化の一例を示す図である。
図19図19は、バイアスRF電力のフィードバック制御を行った場合のエッチングレートの変化の一例を示す図である。
図20図20は、バイアスRF電力のフィードバック制御を行った場合のエッチングレートと基台の電位の変化の一例を示す図である。
図21図21は、バイアスDC電力のフィードバック制御を行わない場合の電流の変化の一例を示す図である。
図22図22は、バイアスDC電力のフィードバック制御を行わない場合のエッチングレートの変化の一例を示す図である。
図23図23は、バイアスDC電力のフィードバック制御を行った場合のエッチングレートの変化の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、開示するプラズマ処理装置の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により開示技術が限定されるものではない。
【0009】
プラズマ処理装置では、基板とエッジリングとの電位差によってプラズマシースの厚みが異なる場合がある。このため、電界の向きが基板と垂直にならずにイオンの軌道が傾き、エッチングホールが斜めに傾くチルティングが発生することがある。また、チルティングは、基板とエッジリングとの電位差だけでなく、基板支持部の電極やセラミック板の微妙な厚みの違いにより発生する電位差による、基板全面で半径方向や周方向にプラズマシースの位置依存性が現れるグローバルチルティングも問題となる。これに対し、例えば、基板側とエッジリング側とで電位を独立して制御することが考えられる。ところが、電位を制御するために設けたインピーダンス調整機構の配置、及び、インピーダンス調整電極を基板支持部の外側に引き出すための導電部の配置によって、エッチングレートの偏りが発生する場合がある。また、基板の外周部のエッチングレートを制御する際に、基板の内周部のエッチングレートも同時に変化する場合がある。そこで、エッチングレートの制御性を向上させて、エッチングレートの偏りを抑制することが期待されている。
【0010】
(第1実施形態)
[プラズマ処理装置1の構成]
以下に、プラズマ処理システムの構成例について説明する。図1は、本開示の第1実施形態におけるプラズマ処理装置の一例を示す図である。プラズマ処理システムは、誘導結合型のプラズマ処理装置1及び制御部2を含む。誘導結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。プラズマ処理チャンバ10は、誘電体窓101を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11、ガス導入部及びアンテナ14を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。アンテナ14は、プラズマ処理チャンバ10上又はその上方(すなわち誘電体窓101上又はその上方)に配置される。プラズマ処理チャンバ10は、誘電体窓101、プラズマ処理チャンバ10の側壁102及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10sに供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。
【0011】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。なお、基板支持部11は、基板支持器の一例であり、中央領域111aは、第1領域の一例であり、環状領域111bは、第2領域の一例である。また、以下の説明では、中央領域111aは、基板支持面111aと表す場合があり、環状領域111bは、リング支持面111bと表す場合がある。
【0012】
一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材は後述する第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34と接続される電気的パス35の一部として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、セラミック部材1111aとセラミック部材1111a内に配置される図示しない静電電極とを含む。セラミック部材1111aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、セラミック部材1111aは、環状領域111bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、後述するRF(Radio Frequency)電源31及び/又はDC(Direct Current)電源32に結合される少なくとも1つのRF/DC電極がセラミック部材1111a内に配置されてもよい。この場合、少なくとも1つのRF/DC電極がバイアス電極として機能する。つまり、後述する第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34は、電気的パス35を介してRF電源31及び/又はDC電源32に電気的に接続される。なお、基台1110の導電性部材と少なくとも1つのRF/DC電極とが複数のバイアス電極として機能してもよい。また、図示しない静電電極がバイアス電極として機能してもよいし、第1バイアス電極33が静電電極として機能してもよい。従って、基板支持部11は、少なくとも1つのバイアス電極を含む。
【0013】
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0014】
また、基板支持部11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板Wのうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1110aが基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間の間隙に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0015】
静電チャック1111は、基板支持面111aの下部において、基板支持面111a側から順に、第1インピーダンス調整電極50と第1バイアス電極33とを内部に備え、誘電体、例えばセラミックスで形成される。また、静電チャック1111は、リング支持面111bの下部において、リング支持面111b側から順に、第2インピーダンス調整電極51と第2バイアス電極34とを内部に備える。第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34は、基台1110と導電性部材で接続され、電気的パス35が形成される。なお、第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34と、基台1110との接続は、導電性部材に限定されず、例えば、磁気共鳴、容量結合及び誘導結合等のバイアスRF信号を供給可能な手法であればよい。つまり、電気的パス35は、バイアス電源(例えば、後述する第2のRF生成部31b)と、第1バイアス電極33と、第2バイアス電極34とを接続するように構成される。また、電気的パス35は、後述する第2のRF生成部31bが基台1110に接続されず、第2のRF生成部31bと、第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34とが直接接続されるようにしてもよい。
【0016】
第1インピーダンス調整電極50は、インピーダンス調整機構52を介して接地される。インピーダンス調整機構52は、第1バイアス電極33から供給されるRF信号(電気バイアス)の一部について接地(アース)側に流す量を調整する。第1インピーダンス調整電極50によって、RF信号のうち接地側に流す量を調整することで、基板Wの電位を調整し、チルト角の制御、及び/又は、エッチングレートの調整に利用する。第1インピーダンス調整電極50は、静電チャック1111内に設けられる。また、インピーダンス調整機構52は、第1インピーダンス調整電極50に接続される。第1インピーダンス調整電極50は、複数設けられる場合、例えば、基板支持部11の周方向に2つ以上設けられ、インピーダンス調整機構52も第1インピーダンス調整電極50と対応する数が設けられる。また、第1インピーダンス調整電極50は、基板支持部11の径方向に2つ以上設けられるようにしてもよい。さらに、第1インピーダンス調整電極50は、基板支持部11の周方向及び径方向それぞれに2つ以上設けられるようにしてもよい。なお、第1インピーダンス調整電極50は、第1バイアス電極33と平行になるように配置される。
【0017】
第2インピーダンス調整電極51は、インピーダンス調整機構53を介して接地される。インピーダンス調整機構53は、第2バイアス電極34から供給されるRF信号(電気バイアス)の一部について接地(アース)側に流す量を調整する。第2インピーダンス調整電極51によって、RF信号のうち接地側に流す量を調整することで、リングアセンブリ112の電位を調整し、チルト角の制御、及び/又は、エッチングレートの調整に利用する。第2インピーダンス調整電極51は、静電チャック1111内に設けられる。第2インピーダンス調整電極51は、複数設けられる場合、例えば、基板支持部11の周方向に2つ以上設けられ、インピーダンス調整機構53も第2インピーダンス調整電極51と対応する数が設けられる。また、第2インピーダンス調整電極51は、基板支持部11の径方向に2つ以上設けられるようにしてもよい。さらに、第2インピーダンス調整電極51は、基板支持部11の周方向及び径方向それぞれに2つ以上設けられるようにしてもよい。なお、第2インピーダンス調整電極51は、第2バイアス電極34と平行になるように配置される。
【0018】
第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34は、基板W及びリングアセンブリ112に可能な限り近付けることで、基板W及びリングアセンブリ112と静電チャック1111のセラミックスと当該電極とで構成されるコンデンサのインピーダンスを小さくする。これにより、第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34と、基板W及びリングアセンブリ112との間のそれぞれの電位差を小さくする。同様に、第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34と、第1インピーダンス調整電極50及び第2インピーダンス調整電極51とでそれぞれ構成されるコンデンサのインピーダンスも小さくなる。また、第1インピーダンス調整電極50及び第2インピーダンス調整電極51と、基板W及びリングアセンブリ112とでそれぞれ構成されるコンデンサのインピーダンスも小さくなる。
【0019】
なお、インピーダンス調整機構52,53は、少なくとも一方を設けるようにしてもよいし、両方を設けるようにしてもよい。インピーダンス調整機構52,53のうち一方を設けない場合、設けない側の第1インピーダンス調整電極50又は第2インピーダンス調整電極51は、所定値のインピーダンスを介してアース(グランド)に接続されるか、又は、アースに接続されず、フロート状態となる。また、インピーダンス調整機構52,53のうち一方を設けない場合、設けない側の第1インピーダンス調整電極50又は第2インピーダンス調整電極51は、設けないようにしてもよい。
【0020】
ガス導入部は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。一実施形態において、ガス導入部は、中央ガス注入部(CGI:Center Gas Injector)13を含む。中央ガス注入部13は、基板支持部11の上方に配置され、誘電体窓101に形成された中央開口部に取り付けられる。中央ガス注入部13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス流路13b、及び少なくとも1つのガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス流路13bを通過してガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。なお、ガス導入部は、中央ガス注入部13に加えて又はその代わりに、側壁102に形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0021】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してガス導入部に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する1又はそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0022】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、少なくとも1つのRF信号(RF電力)を、少なくとも1つの第1バイアス電極33、第2バイアス電極34及びアンテナ14に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ処理チャンバ10において1又はそれ以上の処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つの第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオンを基板Wに引き込むことができる。
【0023】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、アンテナ14に結合され、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、アンテナ14に供給される。
【0024】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0025】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、バイアスDC生成部32aを含む。一実施形態において、バイアスDC生成部32aは、少なくとも1つの第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34に接続され、バイアスDC信号を生成するように構成される。生成されたバイアスDC信号は、少なくとも1つの第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34に印加される。
【0026】
種々の実施形態において、バイアスDC信号は、パルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部がバイアスDC生成部32aと少なくとも1つのバイアス電極との間に接続される。従って、バイアスDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、バイアスDC生成部32aは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0027】
アンテナ14は、1又は複数のコイルを含む。一実施形態において、アンテナ14は、同軸上に配置された外側コイル及び内側コイルを含んでもよい。この場合、RF電源31は、外側コイル及び内側コイルの双方に接続されてもよく、外側コイル及び内側コイルのうちいずれか一方に接続されてもよい。前者の場合、同一のRF生成部が外側コイル及び内側コイルの双方に接続されてもよく、別個のRF生成部が外側コイル及び内側コイルに別々に接続されてもよい。
【0028】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0029】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0030】
[基板支持部11上の電位]
次に、図2を用いて基板支持部11上の電位について説明する。図2は、第1実施形態における電極の構成の一例を示す図である。なお、図2では、第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34には、第2のRF生成部31bから基台1110及び導電性部材による電気的パス35を介してバイアスRF信号が供給されるものとする。
【0031】
図2に示すように、基板支持面111aでは、その下部に配置される第1バイアス電極33から供給されるバイアスRF信号が、RF信号60と、RF信号62とに分かれる。RF信号60は、第1インピーダンス調整電極50及び基板Wを介してプラズマに供給されるRF信号である。RF信号62は、第1インピーダンス調整電極50からインピーダンス調整機構52を介して接地(アース)に流れるRF信号である。また、リング支持面111bでは、その下部に配置される第2バイアス電極34から供給されるバイアスRF信号が、RF信号61と、RF信号63とに分かれる。RF信号61は、第2インピーダンス調整電極51及びリングアセンブリ112を介してプラズマに供給されるRF信号である。RF信号63は、第2インピーダンス調整電極51からインピーダンス調整機構53を介して接地(アース)に流れるRF信号である。
【0032】
このとき、基板Wの上部において所定の電位をイメージする線である電位64と、リングアセンブリ112の上部において所定の電位をイメージする線である電位65とは、例えば図2に示すように、異なる高さであったとする。この場合、例えばインピーダンス調整機構53を調整することで、電位65の高さを範囲66内で調整する。これにより、第1実施形態では、電位64と電位65との比で電界の向き67に対応するチルト角を制御することができる。また、例えばインピーダンス調整機構52とインピーダンス調整機構53とを調整することで、基板Wの外周部のエッチングレートを制御するとともに、基板Wの内周部のエッチングレートを制御する。インピーダンス調整機構52を調整する場合、電位64の高さを範囲68内で調整する。これにより、第1実施形態では、基板Wの外周部のエッチングレートを制御する際に、基板Wの内周部のエッチングレートも同時に変化することを抑制することができる。なお、図2では、説明のために電界の向き67の角度を強調して表している。また、第1実施形態では、第1インピーダンス調整電極50及び第2インピーダンス調整電極51を静電チャック1111に埋め込むので、プラズマ処理装置1の構造をコンパクトにすることができる。
【0033】
次に、図3を用いてバイアスRF信号が流れる回路の等価回路について説明する。図3は、第1実施形態における静電チャック及びプラズマの等価回路の一例を示す図である。図3では、第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34に供給されるバイアスRF信号をVRFと表している。また、第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34と、第1インピーダンス調整電極50及び第2インピーダンス調整電極51との間のインピーダンスをZと表している。また、第1インピーダンス調整電極50及び第2インピーダンス調整電極51と、基板W及びリングアセンブリ112との間のインピーダンスをZと表している。また、第1インピーダンス調整電極50及び第2インピーダンス調整電極51と、接地(アース)との間のインピーダンス調整機構52,53のインピーダンスをZと表している。また、基板W及びリングアセンブリ112と接地との間のプラズマのインピーダンスをZと表している。
【0034】
ここで、Zにかかる電圧Vと、Zにかかる電圧Vwaferは、それぞれ下記の式(1)、式(2)で表すことができる。なお、式(1)~(4)では、VRFをVと表している。
【0035】
【数1】

【数2】
【0036】
式(1)を式(2)に代入すると、Zにかかる電圧Vwaferは、下記の式(3)で表すことができる。また、式(3)の分数の項をそれぞれZ、Zで除算すると、下記の式(4)となる。
【0037】
【数3】

【数4】
【0038】
式(4)の分数の項は、f(x)=1/(x+1)の形式となっており、f(x)は、xが小さいほど1に近づく関数である。従って、式(4)より、ZがZに対して小さいほどプラズマに電位が伝わる効率が上がることになる。また、ZがZに対して小さいほどプラズマに電位が伝わる効率が上がることになる。Zを小さくするには、第1インピーダンス調整電極50及び第2インピーダンス調整電極51と、基板W及びリングアセンブリ112とをそれぞれなるべく近づけることが好ましい。同様に、Zを小さくするには、第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34と、第1インピーダンス調整電極50及び第2インピーダンス調整電極51とをそれぞれなるべく近づけることが好ましい。このように、第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34、第1インピーダンス調整電極50及び第2インピーダンス調整電極51、並びに、基板W及びリングアセンブリ112をなるべく近づけることで、電位制御の感度を上げることができる。
【0039】
[等価回路に基づく電位制御]
図3に示す等価回路より、プラズマ処理装置1における電位制御は、第1バイアス電極33-第1インピーダンス調整電極50間のZよりも、第1インピーダンス調整電極50-接地間のZが大きくなるように、インピーダンス調整機構52のZを制御する。つまり、プラズマ処理装置1の制御部2は、インピーダンス調整機構52のZを制御することで、第1インピーダンス調整電極50の電位を制御する。
【0040】
また、プラズマ処理装置1における電位制御は、第2バイアス電極34-第2インピーダンス調整電極51間のZよりも、第2インピーダンス調整電極51-接地間のZが大きくなるように、インピーダンス調整機構53のZを制御する。つまり、プラズマ処理装置1の制御部2は、インピーダンス調整機構53のZを制御することで、第2インピーダンス調整電極51の電位を制御する。
【0041】
[インピーダンス調整機構の回路構成]
続いて、図4を用いてインピーダンス調整機構52,53における回路構成のバリエーションについて説明する。図4は、第1実施形態におけるインピーダンス調整機構の回路構成の一例を示す図である。図4に示すように、インピーダンス調整機構52,53は、回路70~74といった各種の構成が考えられる。回路70は、インダクタと可変コンデンサとを用いたLC直列回路である。回路71は、抵抗と可変コンデンサとを用いたRC直列回路である。回路72は、抵抗と可変抵抗とを用いたRR直列回路である。回路73は、高周波用のLC直列回路と、低周波用のRR直列回路とをスイッチSWで切替可能とした回路である。回路74は、高効率用のLC直列回路と、低効率用のLC直列回路とをスイッチSWで切替可能とした回路である。回路74は、グラフ75に示すように、スイッチSWを切り替えることで、調整範囲のワイドレンジ化を行ったものである。なお、図4において例示はしていないが、インピーダンス調整機構52,53は、可変インダクタを用いた回路構成としてもよい。
【0042】
このように、インピーダンス調整機構52,53では、調整する回路定数の種類(R,L,C)は問わず、可変抵抗、可変コンデンサ、可変インダクタ等を用いることができる。また、インピーダンス調整機構52,53は、バイアスRF信号の周波数、パーツサイズ及び調整範囲に合わせて、1つ以上の可変機構(可変抵抗、可変コンデンサ、可変インダクタ等)を組合せてもよい。なお、インピーダンス調整機構52,53は、ヒータ電流を通す必要がないので、可変抵抗や可変コンデンサを用いることができる。さらに、インピーダンス調整機構52,53は、可変抵抗、可変コンデンサ、可変インダクタ及び直流電源のうち、少なくとも1つによって構成されるようにしてもよい。例えば、バイアスRF信号が高周波の場合、上述のZ及びZが小さい値になるので、直流電源を用いて電位を制御することで、より効果的に電位を制御できる。
【0043】
[エッチングレートの偏り]
次に、図5図8を用いてエッチングレートの偏りと変化について説明する。図5は、エッチングレートの偏りの一例を示す図である。図5は、平面視における静電チャック1111において、インピーダンス調整機構52,53による調整を行わない場合の基板Wエッチングレートの偏りを表している。なお、図5では、エッチングレートの違いをハッチングの違いで表している。図5に示すように、基板支持面111aの下部には、第2バイアス電極34と接続される引き込み電極34aと、インピーダンス調整機構53と、インピーダンス調整機構53と接続される円弧状の導電バー54とが配置されている。引き込み電極34aは、電気的パス35の一部を構成し、第2のRF生成部31bに接続されている。また、導電バー54は、インピーダンス調整機構53との接続部からリングアセンブリ112の内周側に沿うように配置され、引き込み電極34a近傍で第2インピーダンス調整電極51と接続されている。インピーダンス調整機構53の他端は、静電チャック1111の外側へと電気的に接続されて接地されている。図5に示すように、基板Wのエッチングレートは、インピーダンス調整機構53及び導電バー54が位置する平面視における9時~12時方向において偏りが発生している。
【0044】
図6及び図7は、環状領域側のインピーダンス調整機構を変化させた場合のエッチングレートの変化の一例を示す図である。図6に示すグラフ80は、エッチング処理の処理ガスとして、CF4/Arガスを用いて、インピーダンス調整機構53の可変コンデンサの値を100pF、200pF、300pFとした場合における半径方向のエッチングレートを表す。図7に示すグラフ81は、エッチング処理の処理ガスとして、Ar/N2/C4F8ガスを用いて、インピーダンス調整機構53の可変コンデンサの値を100pF、200pF、300pFとした場合における半径方向のエッチングレートを表す。なお、グラフ80,81では、エッチングレートは所定の範囲で規格化を行っている。また、以下の説明では、可変コンデンサをバリコン(VC:Variable Capacitor)と表す場合がある。
【0045】
グラフ80,81に示すように、インピーダンス調整機構53の可変コンデンサの値を100pFから、200pF及び300pFに変化させた場合、基板Wの外周側(エッジ側)だけでなく、中心側(センター側)のエッチングレートも同時に変化してしまう。つまり、インピーダンス調整機構53の可変コンデンサの値を変化させると、エッチングレートが全体的にシフトすることになる。
【0046】
図8は、環状領域側のインピーダンス調整機構を変化させた場合のエッチングレートの変化率の一例を示す図である。図8に示す表82は、インピーダンス調整機構53のVCの値(図8中、エッジリング側のVCの値と表している。)に対する、エッチングレートの変化率を纏めたものである。なお、表82では、VCの値が100pFの場合における、基板Wの中心付近のエッチングレートを基準(変化率0%)としている。処理ガスとしてArガスを用いてプラズマを発生させた場合の基板Wの電位の変化率は、VCの値が200pFの場合は-0.2%、VCの値が300pFの場合は-8.0%となっている。処理ガスとしてCF4/Arガスを用いた場合のエッチングレートの変化率は、VCの値が200pFの場合は-0.8%、VCの値が300pFの場合は-5.0%となっている。処理ガスとしてAr/N2/C4F8ガスを用いた場合のエッチングレートの変化率は、VCの値が200pFの場合は-7.8%、VCの値が300pFの場合は-24.9%となっている。基板Wの電位及びエッチングレートの変化率の許容値を、例えば±3%とすると、VCの値が200pFの場合に処理ガスとしてAr/N2/C4F8ガスを用いた場合に、エッチングレートの変化率が許容値を超える。また、VCの値が300pFの場合には、基板Wの電位、CF4/Arガスを用いた場合のエッチングレートの変化率、及び、Ar/N2/C4F8ガスを用いた場合のエッチングレートの変化率が許容値を超える。そこで、第1実施形態では、例えば第2インピーダンス調整電極51が基板支持部11の周方向に複数に分割され、複数の第2インピーダンス調整電極51それぞれにインピーダンス調整機構53が接続されるように構成される。
【0047】
[インピーダンス調整電極の配置]
続いて、図9を用いて第2インピーダンス調整電極51の配置について説明する。図9は、第1実施形態におけるインピーダンス調整電極の一例を示す図である。図9に示すように、静電チャック1111は、リング支持面(環状領域)111bの下部に、第2インピーダンス調整電極51として、複数の第2インピーダンス調整電極51a~51dが配置されている。第2インピーダンス調整電極51a~51dには、それぞれインピーダンス調整機構53が接続されている。すなわち、静電チャック1111は、第2インピーダンス調整電極51a~51dそれぞれについて、インピーダンスを調整することができる。また、図9において図示はしないが、基板支持面111aの下部には、第1インピーダンス調整電極50が配置され、インピーダンス調整機構52が接続されている。
【0048】
例えば、図5に示すようなエッチングレートの偏りが発生した場合、第2インピーダンス調整電極51dに接続されたインピーダンス調整機構53を個別に調整する。これにより、第2インピーダンス調整電極51a~51cが配置される領域とのエッチングレートの偏りを抑制することができる。また、静電チャック1111は、インピーダンス調整機構52と、第2インピーダンス調整電極51a~51dそれぞれに接続されたインピーダンス調整機構53とが調整可能である。これにより、グラフ80,81及び表82に示すようなエッチングレートの基板W全体における変化(シフト)を抑制することができる。
【0049】
[実験結果]
次に、図10を用いてチルト制御の実験結果について説明する。図10は、チルト制御の実験結果の一例を示す図である。図10に示すグラフ83は、基板Wの径方向について、半径120mm~150mmの範囲に形成された穴の、OCD(Optical Critical Dimension)におけるボトムオフセットを計測したものである。グラフ83の例では、インピーダンス調整機構53のVCの値を、200pF、1000pF及び2000pFとした場合のボトムオフセットを表している。グラフ83に示すように、インピーダンス調整機構53のVCの値を変化させることで、基板Wの外周側(半径130mm~150mmの範囲)において、ボトムオフセットがマイナス側に振れている。つまり、インピーダンス調整機構53のインピーダンスを調整することで、リングアセンブリ112側の電位を変化させ、基板Wのチルト制御を行うことができることがわかる。また、図9に示すように、複数の第2インピーダンス調整電極51a~51dに、それぞれインピーダンス調整機構53が接続されているので、チルト制御とともに、エッチングレートの偏りも補正することができる。
【0050】
[変形例1]
続いて、図11を用いて変形例1について説明する。図11は、変形例1におけるインピーダンス調整電極の一例を示す図である。変形例1のプラズマ処理装置1は、静電チャック1111に代えて、図11に示す静電チャック1111bを有する。なお、変形例1におけるプラズマ処理装置1は、静電チャック1111bの構成を除いて上述の第1実施形態と同様であるので、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0051】
図11に示すように、静電チャック1111bは、静電チャック1111と同様に、リング支持面(環状領域)111bの下部に、第2インピーダンス調整電極51として、複数の第2インピーダンス調整電極51a~51dが配置されている。第2インピーダンス調整電極51a~51dには、それぞれインピーダンス調整機構53が接続されている。また、静電チャック1111bは、基板支持面111cの下部に、第1インピーダンス調整電極50として、複数の第1インピーダンス調整電極50a~50cが配置されている。第1インピーダンス調整電極50a~50cは、静電チャック1111bの径方向に分割された第1インピーダンス調整電極50の一例である。
【0052】
第1インピーダンス調整電極50a~50cは、さらに、静電チャック1111bの周方向に分割されている。静電チャック1111bの平面視の12時~3時方向においては、内側から順に、第1インピーダンス調整電極50a1,50b1,50c1が配置されている。静電チャック1111bの平面視の3時~6時方向においては、内側から順に、第1インピーダンス調整電極50a2,50b2,50c2が配置されている。静電チャック1111bの平面視の6時~9時方向においては、内側から順に、第1インピーダンス調整電極50a3,50b3,50c3が配置されている。静電チャック1111bの平面視の9時~12時方向においては、内側から順に、第1インピーダンス調整電極50a4,50b4,50c4が配置されている。第1インピーダンス調整電極50a1~50a4,50b1~50b4,50c1~50c4には、それぞれインピーダンス調整機構52が接続されている。
【0053】
静電チャック1111bでは、エッチングレートの偏りが発生した場合、第2インピーダンス調整電極51a~51dにそれぞれ接続されるインピーダンス調整機構53が個別に調整される。また、静電チャック1111bでは、第1インピーダンス調整電極50a1~50a4,50b1~50b4,50c1~50c4にそれぞれ接続されるインピーダンス調整機構52が個別に調整される。これにより、第1インピーダンス調整電極50a1~50a4,50b1~50b4,50c1~50c4、及び、第2インピーダンス調整電極51a~51dにそれぞれ対応する領域ごとに電位を制御することができる。すなわち、変形例1では、基板Wの全体において、エッチングレートの変化を抑制することができる。
【0054】
また、上記した実施形態では、電気バイアスとして第2のRF生成部31bからバイアスRF信号を供給する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、電気バイアスとしてバイアスDC生成部32aからバイアスDC信号を供給してもよい。この場合、例えば、電気的パス35は、第1のバイアス電源である第2のRF生成部31bと、第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34のうち、少なくとも1つとを接続する第1の電気的パスを含む。また、例えば、電気的パス35は、第2のバイアス電源であるバイアスDC生成部32aと、第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34のうち、少なくとも1つとを接続する第2の電気的パスを含む。これにより、第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34に対して、任意のバイアスRF信号及びバイアスDC信号を供給することができる。
【0055】
(第2実施形態)
上記の第1実施形態では、インピーダンス調整機構52,53を調整することで、エッチングレートの変化を抑制したが、第2のRF生成部31b及び/又はバイアスDC生成部32aから出力される電気バイアスの電力を制御してもよい。この場合の実施の形態につき、第2実施形態として説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態のプラズマ処理装置1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成および動作の説明については省略する。
【0056】
図12は、第2実施形態における電気的パスの構成の一例を示す図である。図12に示すように、第2実施形態のプラズマ処理装置1では、電気的パス35において、第2のRF生成部31bと基台1110との間に測定部36が設けられる。また、第2実施形態のプラズマ処理装置1では、基台1110と接地(アース、グランド)との間に、高電圧プローブ37が設けられてもよい。
【0057】
測定部36は、例えば、VIプローブであり、第2のRF生成部31b及び/又はバイアスDC生成部32aから出力されるバイアスRF信号及び/又はバイアスDC信号の電圧及び電流を測定するように制御される。つまり、測定部36は、バイアスRF信号及び/又はバイアスDC信号の電力を測定するように制御される。測定部36は、測定した電圧及び電流を制御部2に出力する。すなわち、測定部36は、バイアス電源から出力されるバイアスRF信号及び/又はバイアスDC信号の電圧及び電流を測定するように構成される。
【0058】
高電圧プローブ37は、基台1110の電位(Vpp)を測定するように制御される。なお、例えば、測定部36で測定されたバイアスRF信号の電圧と、高電圧プローブ37で測定された基台1110の電位(Vpp)との関係性を予め測定しておくことで、高電圧プローブ37は、プロセス実行中に取り外しておいてもよい。この場合、制御部2は、測定部36で予め測定されたバイアスRF信号の電圧と、予め測定された基台1110の電位(Vpp)との関係性に基づいて、基台1110の電位(Vpp)を推定できる。
【0059】
[バイアスRF電力の制御]
第2実施形態において、制御部2は、少なくとも1つのインピーダンス調整機構53が調整される際に、測定部36から入力された電圧及び電流に基づいて、第2のRF生成部31bを制御する。つまり、第2のRF生成部31bは、測定部36で測定された電圧及び電流に基づいて、第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34の電位が予め設定した設定値となるように、バイアスRF信号の電力が制御(フィードバック制御)される。ここで、予め設定した設定値は、例えば、高電圧プローブ37で測定された基台1110の電位(Vpp)が所望の電位となる場合の値である。なお、第2実施形態において、第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34の電位は、基台1110の電位(Vpp)、並びに、基板W及びリングアセンブリ112の電位(Vdc)とほぼ等しいものとして説明する。
【0060】
図13は、バイアスRF電力のフィードバック制御を行わない場合のエッチングレートの変化の一例を示す図である。図14は、バイアスRF電力のフィードバック制御を行わない場合のエッチングレートと基板の電位の変化の一例を示す図である。図13のグラフ84は、エッチング処理の処理ガスとして、Ar/N2/C4F8ガスを用いて、インピーダンス調整機構53の可変コンデンサ(VC)の値を10pF、200pF、475pFとした場合における半径方向のエッチングレートを表す。また、グラフ84及び図14の表85では、バイアスRF信号の周波数を400kHz、電力を100Wとしている。なお、グラフ84では、エッチングレートは所定の範囲で規格化を行っている。
【0061】
グラフ84及び表85において、インピーダンス調整機構53の可変コンデンサ(VC)の値が10pFである場合を基準(変化率0%)とする。グラフ84及び表85に示すように、バイアスRF電力のフィードバック制御を行わない場合、エッチングレートの変化率は、半径0mm~135mmの範囲において、VCの値が200pFで1.2%、475pFで2.4%となっている。また、基板Wの電位(Vdc)の変化率は、半径0mm~135mmの範囲において、VCの値が200pFで3.8%、475pFで9.1%となっている。
【0062】
図15は、バイアスRF電力のフィードバック制御を行わない場合のエッチングレートの変化の一例を示す図である。図16は、バイアスRF電力のフィードバック制御を行わない場合のエッチングレートと基板の電位の変化の一例を示す図である。図15のグラフ86は、エッチング処理の処理ガスとして、Ar/N2/C4F8ガスを用いて、インピーダンス調整機構53の可変コンデンサ(VC)の値を10pF、100pF、200pF、475pFとした場合における半径方向のエッチングレートを表す。また、グラフ86及び図16の表87では、バイアスRF信号の周波数を13MHz、電力を300Wとしている。なお、グラフ86では、エッチングレートは所定の範囲で規格化を行っている。
【0063】
グラフ86及び表87において、インピーダンス調整機構53の可変コンデンサ(VC)の値が10pFである場合を基準(変化率0%)とする。グラフ86及び表87に示すように、バイアスRF電力のフィードバック制御を行わない場合、エッチングレートの変化率は、半径0mm~135mmの範囲において、VCの値が100pFで15.2%、200pFで38.0%、475pFで38.9%となっている。また、基板Wの電位(Vdc)の変化率は、半径0mm~135mmの範囲において、VCの値が100pFで11.2%、200pFで17.7%、475pFで48.0%となっている。バイアスRF信号の周波数が13MHzの場合、400kHzの場合よりも、エッチングレートの変化率、及び、基板Wの電位(Vdc)の変化率の双方において、変化率が大きくなっている。エッチングレートの変化率の許容値を、例えば±3%とすると、バイアスRF信号の周波数が13MHzの場合であって、VCの値が100pF、200pF及び475pFの場合に、エッチングレートの変化率が許容値を超える。
【0064】
次に、図17図20を用いて、第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34の電位(基台1110の電位(Vpp))に基づいて、バイアスRF電力のフィードバック制御を行った場合について説明する。つまり、制御部2が第2のRF生成部31bを制御することにより、測定部36から入力された電圧及び電流に基づいて、第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34の電位が予め設定した設定値となるように、バイアスRF信号の電力を制御する場合である。
【0065】
図17は、バイアスRF電力のフィードバック制御を行った場合のエッチングレートの変化の一例を示す図である。図18は、バイアスRF電力のフィードバック制御を行った場合のエッチングレートと基台の電位の変化の一例を示す図である。図17のグラフ88は、エッチング処理の処理ガスとして、Ar/N2/C4F8ガスを用いて、バイアスRF電力と、インピーダンス調整機構53のVCの値との組み合わせを以下の通りとした場合における半径方向のエッチングレートを表す。また、グラフ88及び図18の表89では、バイアスRF信号の周波数を400kHzとしている。なお、グラフ88では、エッチングレートは所定の範囲で規格化を行っている。
【0066】
グラフ88及び表89において、バイアスRF電力を100W、VCの値を475pFとした場合を基準(変化率0%)とする。このときの基台1110の電位(Vpp)(第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34の電位)を設定値とする。また、グラフ88及び表89では、バイアスRF電力を100W、VCの値を10pFとした場合、及び、バイアスRF電力を110W、VCの値を10pFとした場合における、半径方向のエッチングレートと、基台の電位及びエッチングレートの変化率とを示す。バイアスRF電力を110W、VCの値を10pFとした場合の組み合わせは、基台1110の電位(Vpp)が予め設定した設定値となるように、バイアスRF電力が100Wから110Wに制御されている。
【0067】
グラフ88及び表89に示すように、基台1110の電位(Vpp)は、100Wと10pFの組み合わせにおいて変化率が-3.2%となっている。また、バイアスRF電力のフィードバック制御を行った場合である110Wと10pFの組み合わせにおいて、基台1110の電位(Vpp)は、変化率が2.6%となっている。さらに、エッチングレートは、100Wと10pFの組み合わせで、半径0mm~135mmの範囲において変化率が-3.8%となっている。また、エッチングレートは、110Wと10pFの組み合わせで、半径0mm~135mmの範囲において変化率が0.3%となっている。すなわち、バイアスRF信号の周波数が400kHzの場合、バイアスRF電力がフィードバック制御された110Wと10pFの組み合わせにおいて、エッチングレートの変化率が許容値を満たしている。
【0068】
図19は、バイアスRF電力のフィードバック制御を行った場合のエッチングレートの変化の一例を示す図である。図20は、バイアスRF電力のフィードバック制御を行った場合のエッチングレートと基台の電位の変化の一例を示す図である。図19のグラフ90は、エッチング処理の処理ガスとして、Ar/N2/C4F8ガスを用いて、バイアスRF電力と、インピーダンス調整機構53のVCの値との組み合わせを以下の通りとした場合における半径方向のエッチングレートを表す。また、グラフ90及び図20の表91では、バイアスRF信号の周波数を12.88MHzとしている。なお、グラフ90では、エッチングレートは所定の範囲で規格化を行っている。
【0069】
グラフ90及び表91において、バイアスRF電力を300W、VCの値を10pFとした場合を基準(変化率0%)とする。このときの基台1110の電位(Vpp)(第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34の電位)を設定値とする。また、グラフ90及び表91では、バイアスRF電力を300W、VCの値を100pFとした場合、及び、バイアスRF電力を385W、VCの値を100pFとした場合における、半径方向のエッチングレートと、基台の電位及びエッチングレートの変化率とを示す。バイアスRF電力を385W、VCの値を100pFとした場合の組み合わせは、基台1110の電位(Vpp)が予め設定した設定値となるように、バイアスRF電力が300Wから385Wに制御されている。
【0070】
グラフ90及び表91に示すように、基台1110の電位(Vpp)は、300Wと100pFの組み合わせにおいて変化率が-16.0%となっている。また、バイアスRF電力のフィードバック制御を行った場合である385Wと100pFの組み合わせにおいて、基台1110の電位(Vpp)は、変化率が-3.4%となっている。さらに、エッチングレートは、300Wと100pFの組み合わせで、半径0mm~135mmの範囲において変化率が-14.0%となっている。また、エッチングレートは、385Wと100pFの組み合わせで、半径0mm~135mmの範囲において変化率が-0.6%となっている。すなわち、バイアスRF信号の周波数が12.88MHzの場合、バイアスRF電力がフィードバック制御された385Wと100pFの組み合わせにおいて、エッチングレートの変化率が許容値を満たしている。このように、第2実施形態では、バイアスRF電力を制御することで、VCの値を変化させる際のエッチングレートの変化を抑制することができる。
【0071】
[バイアスDC電力の制御]
続いて、第2実施形態において、バイアスDC生成部32aから出力されるバイアスDC信号の電力を制御する場合について、図21図23を用いて説明する。なお、バイアスDC信号の電力を制御する場合、図12の第2のRF生成部31bは、バイアスDC生成部32aと読み替えるものとし、その構成の説明は省略する。
【0072】
バイアスDC信号の電力を制御する場合、制御部2は、少なくとも1つのインピーダンス調整機構53が調整される際に、測定部36から入力された電圧及び電流に基づいて、バイアスDC生成部32aを制御する。つまり、バイアスDC生成部32aは、測定部36で測定された電圧及び電流に基づいて、第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34に供給される電力が予め設定した設定値となるように、バイアスDC信号の電力が制御(フィードバック制御)される。ここで、予め設定した設定値は、例えば、高電圧プローブ37で測定された基台1110の電位(Vpp)が所望の電位となる場合の値である。なお、設定値を求める際に、高電圧プローブ37に代えて、基板W及びリングアセンブリ112に高電圧プローブが接続されてもよい。
【0073】
図21は、バイアスDC電力のフィードバック制御を行わない場合の電流の変化の一例を示す図である。図21の表92では、ソースRF電力を300W、バイアスRF電力を0W、バイアスDC信号の電圧(DCパルス電圧)を200V、300V及び400Vとし、インピーダンス調整機構53のVCの値を200pFから2000pFまで変化させている。なお、バイアスDC信号は、電圧パルスのシーケンスにおける1周期を400kHz、デューティ比を20%としている。また、表92では、この場合におけるリングアセンブリ112(エッジリング)と基板Wの電位の比率、及び、バイアスDC信号の電流の変化量(ΔI)を、DCパルス電圧ごとに示している。
【0074】
表92に示すように、リングアセンブリ112と基板Wの電位の比率は、DCパルス電圧が200Vのとき0.71、300Vのとき0.70、400Vのとき0.71と、ほぼ変化していない。一方、バイアスDC信号の電流の変化量(ΔI)は、DCパルス電圧が200Vのとき0.68A、300Vのとき0.80A、400Vのとき1.28Aと、電圧に応じて増加している。つまり、VCの値を200pFから2000pFまで変化させた場合のバイアスDC電力の変化量は、200Vのとき136W、300Vのとき240W、400Vのとき512Wとなる。すなわち、DCパルス電圧が高いと、インピーダンス調整機構53のVCの値を200pFから2000pFまで変化させた際に、基板Wの電位(Vdc)が変動してバイアスDC信号の電流も変動し、バイアスDC電力も変動していると考えられる。なお、インピーダンス調整機構53のVCの値を変化させた際には、DCパルス電圧はそれぞれ電圧一定制御が行われている。
【0075】
図22は、バイアスDC電力のフィードバック制御を行わない場合のエッチングレートの変化の一例を示す図である。図22に示すグラフ93は、ソースRF電力を300W、バイアスRF電力を0W、DCパルス電圧を400Vとし、インピーダンス調整機構53のVCの値を200pFとした場合と、2000pFとした場合の半径方向のエッチングレートを表す。また、グラフ93では、エッチング処理の処理ガスとして、Ar/N2/C4F8ガスを用いており、エッチングレートは基板Wの中心(半径方向の0mm)の値を1として所定の範囲で規格化を行っている。
【0076】
グラフ93において、インピーダンス調整機構53の可変コンデンサ(VC)の値が200pFである場合を基準(変化率0%)とする。グラフ93では、VCの値を200pFから2000pFに変化させる際に、DCパルス電圧が400Vで一定となるように制御されている。このとき、VCの値が2000pFにおけるエッチングレートの変化率は、半径0mm~120mmの範囲において、最大12.9%となっている。また、VCの値が2000pFにおけるバイアスDC電力の変化率は、91.5%となっている。すなわち、表92及びグラフ93より、VCの値を200pFから2000pFに変化させる際に、基板Wの電位(Vdc)が変動することで、エッチングレートも変動している。エッチングレートの変化率の許容値を、例えば±10%とすると、VCの値が2000pFの場合には、エッチングレートの変化率が許容値を超える。
【0077】
図23は、バイアスDC電力のフィードバック制御を行った場合のエッチングレートの変化の一例を示す図である。図23に示すグラフ94は、ソースRF電力を300W、バイアスRF電力を0Wとし、インピーダンス調整機構53のVCの値を200pFとした場合と、2000pFとした場合の半径方向のエッチングレートを表す。また、VCの値を200pFとした場合は、DCパルス電圧を400Vとしている。一方、VCの値を2000pFとした場合は、バイアスDC電力が一定となるように制御され、DCパルス電圧が350Vとなっている。さらに、グラフ94では、エッチング処理の処理ガスとして、Ar/N2/C4F8ガスを用いており、エッチングレートは基板Wの中心(半径方向の0mm)の値を1として所定の範囲で規格化を行っている。
【0078】
グラフ94において、インピーダンス調整機構53の可変コンデンサ(VC)の値が200pFである場合を基準(変化率0%)とする。グラフ94では、VCの値を200pFから2000pFに変化させる際に、バイアスDC電力が一定となるように制御されている。このとき、VCの値が2000pFにおけるエッチングレートの変化率は、半径0mm~120mmの範囲において、最大6.7%となっている。また、VCの値が2000pFにおけるバイアスDC電力の変化率は、26.4%となっている。すなわち、バイアスDC電力が制御されることで、VCの値が2000pFの場合において、エッチングレートの変化率が許容値を満たしている。このように、第2実施形態では、バイアスDC電力を制御することで、VCの値を変化させる際のエッチングレートの変化を抑制することができる。
【0079】
以上、第1実施形態によれば、プラズマ処理装置1は、チャンバ(プラズマ処理チャンバ10)と、バイアス電源(第2のRF生成部31b)と、チャンバ内で基板W及びエッジリング(リングアセンブリ112)を支持する基板支持器(基板支持部11)と、複数の第1インピーダンス調整機構(インピーダンス調整機構52)と、電気的パス35と、を備える。基板支持器は、基板Wを支持する第1領域(中央領域111a)と、第1領域の周囲に設けられ、エッジリングを支持する第2領域(環状領域111b)と、第1領域内に設けられる第1バイアス電極33と、第1領域内に設けられ接地される複数の第1インピーダンス調整電極50と、第2領域内に設けられる第2バイアス電極34と、を有するように構成され、複数の第1インピーダンス調整機構それぞれは、複数の第1インピーダンス調整電極50のそれぞれに接続されるように構成され、電気的パス35は、バイアス電源と、第1バイアス電極33と、第2バイアス電極34とを接続するように構成される。その結果、エッチングレートの偏りを抑制することができる。
【0080】
また、第1実施形態によれば、第2インピーダンス調整機構(インピーダンス調整機構53)と、第2インピーダンス調整電極51とをさらに備え、第2インピーダンス調整機構は、第2インピーダンス調整電極51に接続される。その結果、エッチングレートの偏りを抑制することができる。
【0081】
また、第1実施形態によれば、複数の第1インピーダンス調整電極50は、基板支持器の周方向に2つ以上設けられる。その結果、中央領域111aの電位を周方向の領域ごとに調整できるので、エッチングレートの偏りを抑制することができる。また、基板Wの中心側にエッチングレートの変化(シフト)がある場合に、基板Wの中心側のエッチングレートを調整することができる。
【0082】
また、第1実施形態によれば、複数の第1インピーダンス調整電極50は、基板支持器の径方向に2つ以上設けられる。その結果、中央領域111aの電位を径方向の領域ごとに調整できるので、エッチングレートの偏りを抑制することができる。また、基板Wの中心側にエッチングレートの変化(シフト)がある場合に、基板Wの中心側のエッチングレートを調整することができる。
【0083】
また、第1実施形態によれば、複数の第1インピーダンス調整電極50は、基板支持器の周方向及び径方向それぞれに2つ以上設けられる。その結果、中央領域111aの電位を周方向及び径方向の領域ごとに調整できるので、エッチングレートの偏りを抑制することができる。また、基板Wの中心側にエッチングレートの変化(シフト)がある場合に、基板Wの中心側のエッチングレートを調整することができる。
【0084】
また、第1実施形態によれば、第2インピーダンス調整電極51及び第2インピーダンス調整機構は、それぞれ複数備えられ、複数の第2インピーダンス調整機構それぞれは、複数の第2インピーダンス調整電極51のそれぞれに接続されるように構成される。その結果、基板Wの外周側におけるエッチングレートの偏りが発生する箇所のインピーダンスを調整できるので、エッチングレートの偏りを抑制することができる。
【0085】
また、第1実施形態によれば、複数の第2インピーダンス調整電極51は、基板支持器の周方向に2つ以上設けられる。その結果、基板Wの外周側におけるエッチングレートの偏りが発生する箇所のインピーダンスを調整できるので、エッチングレートの偏りを抑制することができる。
【0086】
また、第1実施形態によれば、複数の第2インピーダンス調整電極51は、基板支持器の径方向に2つ以上設けられる。その結果、基板Wの外周側におけるエッチングレートの偏りが発生する箇所のインピーダンスを調整できるので、エッチングレートの偏りを抑制することができる。
【0087】
また、第2実施形態によれば、プラズマ処理装置1は、バイアス電源(第2のRF生成部31b)から出力されるバイアスRF信号の電圧及び電流を測定するように構成される測定部36をさらに備える。バイアス電源は、少なくとも1つの第2インピーダンス調整機構(インピーダンス調整機構53)が調整される際に、測定部36で測定された電圧及び電流に基づいて、第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34の電位が予め設定した設定値となるように、バイアスRF信号の電力を制御するように構成される。その結果、バイアスRF電力を制御することで、VCの値を変化させる際のエッチングレートの変化を抑制することができる。
【0088】
また、第2実施形態によれば、プラズマ処理装置1は、バイアス電源(バイアスDC生成部32a)から出力されるバイアスDC信号の電圧及び電流を測定するように構成される測定部36をさらに備える。バイアス電源は、少なくとも1つの第2インピーダンス調整機構(インピーダンス調整機構53)が調整される際に、測定部36で測定された電圧及び電流に基づいて、第1バイアス電極33及び第2バイアス電極34に供給される電力が予め設定した設定値となるように、バイアスDC信号の電力を制御するように構成される。その結果、バイアスDC電力を制御することで、VCの値を変化させる際のエッチングレートの変化を抑制することができる。
【0089】
また、第1実施形態によれば、プラズマ処理装置1は、チャンバ(プラズマ処理チャンバ10)と、バイアス電源(第2のRF生成部31b)と、チャンバ内で基板W及びエッジリング(リングアセンブリ112)を支持する基板支持器(基板支持部11)と、複数のインピーダンス調整機構(インピーダンス調整機構53)と、電気的パス35と、を備える。基板支持器は、基板Wを支持する第1領域(中央領域111a)と、第1領域の周囲に設けられ、エッジリングを支持する第2領域(環状領域111b)と、第1領域内に設けられる第1バイアス電極33と、第2領域内に設けられる第2バイアス電極34と、第2領域内に設けられ接地される複数の第2インピーダンス調整電極51と、を有するように構成され、複数のインピーダンス調整機構それぞれは、複数の第2インピーダンス調整電極51のそれぞれに接続されるように構成され、電気的パス35は、バイアス電源と、第1バイアス電極33と、第2バイアス電極34とを接続するように構成される。その結果、エッチングレートの偏りを抑制することができる。
【0090】
また、第1実施形態によれば、第1インピーダンス調整機構と、第1インピーダンス調整電極50とをさらに備え、第1インピーダンス調整機構は、第1インピーダンス調整電極50に接続され、複数のインピーダンス調整機構は、複数の第2インピーダンス調整機構である。その結果、エッチングレートの偏りを抑制することができる。
【0091】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0092】
また、上記した実施形態では、プラズマ源として誘導結合型プラズマを用いて基板Wに対してエッチング等の処理を行うプラズマ処理装置1を例に説明したが、開示の技術はこれに限られない。プラズマを用いて基板Wに対して処理を行う装置であれば、プラズマ源は誘導結合プラズマに限られず、例えば、容量結合プラズマ、マイクロ波プラズマ、マグネトロンプラズマ等、任意のプラズマ源を用いることができる。
【0093】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)
チャンバと、
バイアス電源と、
前記チャンバ内で基板及びエッジリングを支持する基板支持器と、
複数の第1インピーダンス調整機構と、
電気的パスと、
を備え、
前記基板支持器は、
前記基板を支持する第1領域と、
前記第1領域の周囲に設けられ、前記エッジリングを支持する第2領域と、
前記第1領域内に設けられる第1バイアス電極と、
前記第1領域内に設けられ接地される複数の第1インピーダンス調整電極と、
前記第2領域内に設けられる第2バイアス電極と、
を有するように構成され、
前記複数の第1インピーダンス調整機構それぞれは、前記複数の第1インピーダンス調整電極のそれぞれに接続されるように構成され、
前記電気的パスは、前記バイアス電源と、前記第1バイアス電極と、前記第2バイアス電極とを接続するように構成される、
プラズマ処理装置。
(2)
第2インピーダンス調整機構と、第2インピーダンス調整電極とをさらに備え、
前記第2インピーダンス調整機構は、前記第2インピーダンス調整電極に接続される、
前記(1)に記載のプラズマ処理装置。
(3)
前記複数の第1インピーダンス調整電極は、前記基板支持器の周方向に2つ以上設けられる、
前記(1)又は(2)に記載のプラズマ処理装置。
(4)
前記複数の第1インピーダンス調整電極は、前記基板支持器の径方向に2つ以上設けられる、
前記(1)又は(2)に記載のプラズマ処理装置。
(5)
前記複数の第1インピーダンス調整電極は、前記基板支持器の周方向及び径方向それぞれに2つ以上設けられる、
前記(1)又は(2)に記載のプラズマ処理装置。
(6)
前記第2インピーダンス調整電極及び前記第2インピーダンス調整機構は、それぞれ複数備えられ、
複数の前記第2インピーダンス調整機構それぞれは、複数の前記第2インピーダンス調整電極のそれぞれに接続されるように構成される、
前記(2)に記載のプラズマ処理装置。
(7)
前記複数の第2インピーダンス調整電極は、前記基板支持器の周方向に2つ以上設けられる、
前記(6)に記載のプラズマ処理装置。
(8)
前記複数の第2インピーダンス調整電極は、前記基板支持器の径方向に2つ以上設けられる、
前記(6)又は(7)に記載のプラズマ処理装置。
(9)
前記バイアス電源から出力されるバイアスRF信号の電圧及び電流を測定するように構成される測定部をさらに備え、
前記バイアス電源は、少なくとも1つの前記第2インピーダンス調整機構が調整される際に、前記測定部で測定された前記電圧及び前記電流に基づいて、前記第1バイアス電極及び前記第2バイアス電極の電位が予め設定した設定値となるように、前記バイアスRF信号の電力を制御するように構成される、
前記(2)、(6)~(8)のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
(10)
前記バイアス電源から出力されるバイアスDC信号の電圧及び電流を測定するように構成される測定部をさらに備え、
前記バイアス電源は、少なくとも1つの前記第2インピーダンス調整機構が調整される際に、前記測定部で測定された前記電圧及び前記電流に基づいて、前記第1バイアス電極及び前記第2バイアス電極に供給される電力が予め設定した設定値となるように、前記バイアスDC信号の電力を制御するように構成される、
前記(2)、(6)~(8)のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
(11)
チャンバと、
バイアス電源と、
前記チャンバ内で基板及びエッジリングを支持する基板支持器と、
複数のインピーダンス調整機構と、
電気的パスと、
を備え、
前記基板支持器は、
前記基板を支持する第1領域と、
前記第1領域の周囲に設けられ、前記エッジリングを支持する第2領域と、
前記第1領域内に設けられる第1バイアス電極と、
前記第2領域内に設けられる第2バイアス電極と、
前記第2領域内に設けられ接地される複数の第2インピーダンス調整電極と、
を有するように構成され、
前記複数のインピーダンス調整機構それぞれは、前記複数の第2インピーダンス調整電極のそれぞれに接続されるように構成され、
前記電気的パスは、前記バイアス電源と、前記第1バイアス電極と、前記第2バイアス電極とを接続するように構成される、
を備えるプラズマ処理装置。
(12)
第1インピーダンス調整機構と、第1インピーダンス調整電極とをさらに備え、
前記第1インピーダンス調整機構は、前記第1インピーダンス調整電極に接続され、
前記複数のインピーダンス調整機構は、複数の第2インピーダンス調整機構である、
前記(11)に記載のプラズマ処理装置。
(13)
前記複数の第2インピーダンス調整電極は、前記基板支持器の周方向に2つ以上設けられる、
前記(11)又は(12)に記載のプラズマ処理装置。
(14)
前記複数の第2インピーダンス調整電極は、前記基板支持器の径方向に2つ以上設けられる、
前記(11)又は(12)に記載のプラズマ処理装置。
(15)
前記複数の第2インピーダンス調整電極は、前記基板支持器の周方向及び径方向それぞれに2つ以上設けられる、
前記(11)又は(12)に記載のプラズマ処理装置。
(16)
前記第1インピーダンス調整電極及び前記第1インピーダンス調整機構は、それぞれ複数備えられ、
複数の前記第1インピーダンス調整機構それぞれは、複数の前記第1インピーダンス調整電極のそれぞれに接続されるように構成される、
前記(12)に記載のプラズマ処理装置。
(17)
前記複数の第1インピーダンス調整電極は、前記基板支持器の周方向に2つ以上設けられる、
前記(16)に記載のプラズマ処理装置。
(18)
前記複数の第1インピーダンス調整電極は、前記基板支持器の径方向に2つ以上設けられる、
前記(16)又は(17)に記載のプラズマ処理装置。
(19)
前記バイアス電源から出力されるバイアスRF信号の電圧及び電流を測定するように構成される測定部をさらに備え、
前記バイアス電源は、少なくとも1つの前記インピーダンス調整機構が調整される際に、前記測定部で測定された前記電圧及び前記電流に基づいて、前記第1バイアス電極及び前記第2バイアス電極の電位が予め設定した設定値となるように、前記バイアスRF信号の電力を制御するように構成される、
前記(11)~(18)のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
(20)
前記バイアス電源から出力されるバイアスDC信号の電圧及び電流を測定するように構成される測定部をさらに備え、
前記バイアス電源は、少なくとも1つの前記インピーダンス調整機構が調整される際に、前記測定部で測定された前記電圧及び前記電流に基づいて、前記第1バイアス電極及び前記第2バイアス電極に供給される電力が予め設定した設定値となるように、前記バイアスDC信号の電力を制御するように構成される、
前記(11)~(18)のいずれか1つに記載のプラズマ処理装置。
【符号の説明】
【0094】
1 プラズマ処理装置
10 プラズマ処理チャンバ
11 基板支持部
31a 第1のRF生成部
31b 第2のRF生成部
32a バイアスDC生成部
33 第1バイアス電極
34 第2バイアス電極
35 電気的パス
36 測定部
50,50a~50c 第1インピーダンス調整電極
51,51a~51d 第2インピーダンス調整電極
52,53 インピーダンス調整機構
111a,111c 中央領域
111b 環状領域
112 リングアセンブリ
1111,1111b 静電チャック
W 基板
図1
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