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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179070
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】照明装置及び測定装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20241219BHJP
   F21V 5/02 20060101ALI20241219BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20241219BHJP
   F21V 11/02 20060101ALI20241219BHJP
   F21V 11/06 20060101ALI20241219BHJP
   F21V 13/02 20060101ALI20241219BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20241219BHJP
   F21V 3/02 20060101ALI20241219BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20241219BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20241219BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241219BHJP
   F21Y 105/10 20160101ALN20241219BHJP
【FI】
F21S2/00 350
F21S2/00 340
F21S2/00 330
F21V5/02 100
F21V5/02 400
F21V5/04 400
F21V5/04 250
F21S2/00 600
F21V11/02
F21V11/06
F21V13/02 300
F21V3/00 320
F21V3/02 500
G01B11/02 H
F21Y115:15
F21Y115:10
F21Y105:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097585
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(71)【出願人】
【識別番号】309018490
【氏名又は名称】株式会社ユーテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星野 和博
(72)【発明者】
【氏名】森内 栄介
(72)【発明者】
【氏名】梅津 堅治
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼見 翔太
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA22
2F065AA26
2F065BB06
2F065FF01
2F065FF42
2F065GG07
2F065GG13
2F065GG18
2F065HH15
2F065JJ03
2F065JJ09
2F065JJ26
2F065LL00
2F065LL10
2F065LL47
2F065LL49
2F065LL59
(57)【要約】
【課題】測定装置の高コスト化及び大型化を招くことなく、測定精度の悪化を抑制する。
【解決手段】照明装置は、被照明物に照明光を照射する光源と、被照明物と光源との間に配置された第1プリズムシートと、被照明物と第1プリズムシートとの間に配置された第2プリズムシートと、被照明物と第2プリズムシートとの間に配置された第1ライトコントロールフィルムと、被照明物と第1ライトコントロールフィルムとの間に配置された第2ライトコントロールフィルムと、を備える。第1プリズムシートの出射面は、第1方向に延伸する複数の斜面を備える。第2プリズムシートの出射面は、第1方向と交差する方向に延伸する複数の斜面を備える。第1ライトコントロールフィルムは、第1方向に延伸する複数のルーバーを備える。第2ライトコントロールフィルムは、第1方向と交差する上記方向に延伸する複数のルーバーを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照明物に照明光を照射する光源と、
前記被照明物と前記光源との間に配置された第1プリズムシートと、
前記被照明物と前記第1プリズムシートとの間に配置された第2プリズムシートと、
前記被照明物と前記第2プリズムシートとの間に配置された第1ライトコントロールフィルムと、
前記被照明物と前記第1ライトコントロールフィルムとの間に配置された第2ライトコントロールフィルムと
を備え、
前記第1プリズムシートは前記照明光が出射する第1出射面を備え、前記第1出射面は、第1方向に延伸し、前記第1方向と交差する第2方向に並ぶ複数の斜面を備え、
前記第2プリズムシートは前記照明光が出射する第2出射面を備え、前記第2出射面は、前記第1方向と交差する第3方向に延伸し、前記第3方向と交差する第4方向に並ぶ複数の斜面を備え、
前記第1ライトコントロールフィルムは、前記第1方向に延伸し、前記第2方向に並ぶ複数のルーバーを備え、
前記第2ライトコントロールフィルムは、前記第3方向に延伸し、前記第4方向に並ぶ複数のルーバーを備える
照明装置。
【請求項2】
被照明物に照明光を照射する光源と、
前記被照明物と前記光源との間に配置された第1プリズムシートと、
前記被照明物と前記第1プリズムシートとの間に配置された第2プリズムシートと、
前記被照明物と前記第2プリズムシートとの間に配置されたライトコントロールフィルムと
を備え、
前記第1プリズムシートは前記照明光が出射する第1出射面を備え、前記第1出射面は、第1方向に延伸し、前記第1方向と交差する第2方向に並ぶ複数の斜面を備え、
前記第2プリズムシートは前記照明光が出射する第2出射面を備え、前記第2出射面は、前記第1方向と交差する第3方向に延伸し、前記第3方向と交差する第4方向に並ぶ複数の斜面を備え、
前記ライトコントロールフィルムは、
前記第1方向に延伸し、前記第2方向に並ぶ複数の第1ルーバーと、
前記第3方向に延伸し、前記第4方向に並ぶ複数の第2ルーバーと
を備える照明装置。
【請求項3】
前記第3方向は前記第2方向と一致し、
前記第4方向は前記第1方向と一致する
請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項4】
前記第2方向は前記第1方向と直交し、
前記第4方向は前記第3方向と直交する
請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項5】
前記光源と前記第1プリズムシートとの間に設けられた拡散板を更に備える
請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項6】
前記被照明物を載置するステージと、
前記ステージに載置された前記被照明物に、前記ステージを介して前記照明光を照射する請求項1又は2記載の照明装置と、
前記被照明物に対して前記照明装置と反対側に設けられ、前記照明光の一部が前記被照明物によって遮られて生成される前記被照明物の像を撮像する撮像素子と
を備える測定装置。
【請求項7】
前記撮像素子に前記照明光を集光する光学系と、
前記光学系に前記照明光を出射する対物レンズと
を更に備え、
前記測定装置の底面から前記ステージの上面までの距離は、前記対物レンズの下端から前記測定装置の上端までの距離よりも小さい
請求項6記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置及び測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被測定物に照明光を照射する照明装置と、非測定物に対して照明装置と反対側に設けられ、照明光の一部が被測定物によって遮られて生成される非測定物の像を撮像する撮像素子と、を備える測定装置が知られている。この様な測定装置では、例えば、撮像素子から出力された画像データに基づいて、非測定物の寸法を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-36175号公報
【特許文献2】特開2013-134185号公報
【特許文献3】特開2004-296343号公報
【特許文献4】特開2001-357978号公報
【特許文献5】特開平8-122643号公報
【特許文献6】特開平5-314951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この様な測定装置では、非測定物が金属等の光沢を有する部材である場合に、非測定物の側面において照明光が反射し、これによって測定精度が悪化してしまう場合がある。
【0005】
この様な測定精度の悪化を防ぐためには、例えば、非測定物の近傍において、光束を細くすることが考えられる。このためには、例えば、測定装置にテレセントリック光学系を設けることも考えられる。しかしながら、テレセントリック光学系は多数のレンズを含むため、測定装置にテレセントリック光学系を設けてしまうと、測定装置の高コスト化及び大型化に繋がってしまう。
【0006】
本発明は、この様な点に鑑みなされたもので、測定装置の高コスト化及び大型化を招くことなく、測定精度の悪化を抑制可能な測定装置、及び、これを実現可能な照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の実施形態に係る照明装置は、被照明物に照明光を照射する光源と、被照明物と光源との間に配置された第1プリズムシートと、被照明物と第1プリズムシートとの間に配置された第2プリズムシートと、被照明物と第2プリズムシートとの間に配置された第1ライトコントロールフィルムと、被照明物と第1ライトコントロールフィルムとの間に配置された第2ライトコントロールフィルムと、を備える。第1プリズムシートは照明光が出射する第1出射面を備える。第1出射面は、第1方向に延伸し、第1方向と交差する第2方向に並ぶ複数の斜面を備える。第2プリズムシートは照明光が出射する第2出射面を備える。第2出射面は、第1方向と交差する第3方向に延伸し、第3方向と交差する第4方向に並ぶ複数の斜面を備える。第1ライトコントロールフィルムは、第1方向に延伸し、第2方向に並ぶ複数のルーバーを備える。第2ライトコントロールフィルムは、第3方向に延伸し、第4方向に並ぶ複数のルーバーを備える。
【0008】
この様な構成によれば、第1ライトコントロールフィルム及び第2ライトコントロールフィルムによって、照明装置から出射される照明光の指向性を、大幅に高めることが可能である。即ち、光束を細くすることが可能である。これにより、測定精度の悪化を抑制可能である。また、第1プリズムシート及び第2プリズムシート、並びに、第1ライトコントロールフィルム及び第2ライトコントロールフィルムはシート状の安価な部材であるため、測定装置の高コスト化及び大型化を抑制可能である。
【0009】
また、複数のライトコントロールフィルムによって複数方向における指向性を高めることにより、X方向及びY方向における特性差が抑制されるため、被照明物が複雑な形状を有する場合や、被照明物の側面がステージにおいてX方向又はY方向と揃わない場合等であっても、測定精度の悪化を抑制可能である。
【0010】
また、例えば、ライトコントロールフィルムに入射する照明光が指向性を有しない場合、ライトコントロールフィルムによって照明光の多くの部分が遮光されてしまうものの、照明光の一部はライトコントロールフィルムを透過する。従って、例えば、光源から出射される照明光の光量が十分大きければ、プリズムシートを省略することも考えられる。しかしながら、光源において強い照明光を発生させようとする場合、光源において発生する熱が増大してしまう。この様な熱が大きくなってしまうと、空気の熱ゆらぎや測定装置中の構成における熱膨張等が生じて、測定精度の悪化に繋がってしまう。
【0011】
この点、上述の様な構成では、プリズムシートによってライトコントロールフィルムに入射する照明光の指向性を予め高めておくことにより、照明光の、ライトコントロールフィルムを透過する部分の割合を、大きくすることが可能である。従って、好適に測定を行うために光源において発生させる必要がある照明光の光量を抑制して、空気の熱ゆらぎや測定装置中の構成における熱膨張等を抑制して、測定精度への影響を抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る測定装置の構成を示す模式的な斜視図である。
図2】同測定装置の構成を示す模式的な断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る照明装置の構成を示す模式的な分解斜視図である。
図4】同照明装置の構成を示す模式的な断面図である。
図5】ワークWに照射される照明光の指向性と、測定精度と、の関係について説明するための、模式的な図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る照明装置の構成を示す模式的な分解斜視図である。
図7】同照明装置の構成を示す模式的な断面図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る照明装置の一部の構成を示す模式的な分解斜視図である。
図9】同照明装置の構成を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る照明装置及び測定装置について説明する。
【0014】
[第1実施形態]
次に、図1及び図2を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。尚、以下の実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。また、以下の図面は模式的なものであり、説明の都合上、一部の構成等が省略される場合がある。また、複数の実施形態について共通する部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0015】
図1及び図2には、円筒状のワークW(被照明物、被測定物)と、本実施形態に係る測定装置100と、を図示している。
【0016】
測定装置100は、ステージユニット110と、撮像ユニット120と、接続部130と、制御部131と、を備える。
【0017】
ステージユニット110は、ワークWが載置される透過性のステージ111と、ステージ111を介してワークWに照明光を照射する照明装置112と、照明装置112を収容する筐体113と、を備える。照明装置112は、押さえ板114によって筐体113に固定されている。ステージ111は、ガラス、アクリル板等の、照明光を透過させる板状の部材である。
【0018】
撮像ユニット120は、ワークWの像(照明装置112から出射された照明光の一部がワークWによって遮られて生成されるワークWの像)を撮像する撮像素子121と、撮像素子121の撮像面に照明光を集光する光学系122と、光学系122に照明光を出射する対物レンズ123と、これらの構成を収容する筐体124と、筐体124に取り付けられたタッチパネル125と、を備える。撮像素子121は、受光面にマトリクス状に二次元配置された複数の受光素子を備えるイメージセンサである。光学系122は、例えば、撮像素子121の撮像面に照明光を集光する集光レンズ126、集光レンズ126に入射する照明光において、ワークWの像の大きさを調整するチューブレンズ127、等を含んでいても良い。対物レンズ123は、交換可能に構成されていても良い。タッチパネル125は、測定装置100の操作及び測定結果の表示に使用可能に構成されていても良い。
【0019】
接続部130は、筐体113と、筐体124と、の位置関係を固定する。接続部130、筐体113及び筐体124は、一つの部材から構成されていても良いし、独立した別々の部材から構成されていても良い。
【0020】
制御部131は、例えば、CPU等の演算装置、メモリ及びストレージを備える。制御部131は、例えば、撮像素子121から出力された画像データに対してエッジ検出等の処理を行って複数のエッジ点を検出し、これら複数のエッジ点に対して矩形等の図形を当てはめて、ワークWの太さ、長さ等の寸法を算出し、算出した寸法をストレージに保存すると共に、タッチパネル125に表示させる。
【0021】
尚、本実施形態に係る測定装置100においては、ステージユニット110中に薄型の照明装置112を設けることにより、ステージユニット110のZ方向の幅(高さ)の小型化を実現している。例えば、本実施形態において、筐体113のZ方向の幅(高さ)は、筐体124のZ方向の幅(高さ)より小さい。ここで、筐体113のZ方向の幅は、例えば、測定装置100の底面のZ方向位置から、ステージ111の上面のZ方向位置までの、Z方向における距離として規定することが可能である。また、筐体124のZ方向の幅は、例えば、筐体124の下面のZ方向位置又は対物レンズ123の下端のZ方向位置から、測定装置100の上面(上端)のZ方向における距離として規定することが可能である。
【0022】
次に、図3及び図4を参照して、照明装置112の構成について説明する。照明装置112は、下方から上方に向けて順に配置された光源141、拡散板142、プリズムシート143、プリズムシート144、ライトコントロールフィルム145、ライトコントロールフィルム146及び透明板147を備える。
【0023】
光源141の上面は、照明光を出射する発光面として機能する。拡散板142、プリズムシート143、プリズムシート144、ライトコントロールフィルム145、ライトコントロールフィルム146及び透明板147は、それぞれ、下面及び上面を備える。これら下面は、一つ下に配置された構成から出射された照明光が入射する入射面として機能する。これら上面は、一つ上に配置された構成に対して照明光を出射する出射面として機能する。
【0024】
光源141は、例えば、発光面にマトリクス状に二次元配置された複数の発光素子(例えば、LED等)を備えていても良い。また、光源141は、有機ELを備えていても良いし、上面を出射面とする導光板を備えていても良い。
【0025】
拡散板142は、光源141から出射された照明光を拡散させる。例えば、光源141が、発光面にマトリクス状に二次元配置された複数の発光素子を備える場合、光源141の発光面において、照明光の強度は不均一となる。一方、拡散板142の上面において、照明光の強度は、均一又は略均一となる。
【0026】
プリズムシート143の下面は、平坦に形成されている。プリズムシート143の上面は、X方向に延伸し、Y方向に並ぶ複数の斜面を備える。プリズムシート143の上面には、これら複数の斜面によって、複数の三角畝及び複数の三角溝が形成されている。ここで、拡散板142の上面から出射される照明光は、様々な角度に拡散された拡散光となっており、指向性を有しない。一方、プリズムシート143の上面から出射される照明光は、-X方向から見て(ZY平面において)+Z方向に集光される。
【0027】
プリズムシート144の下面は、平坦に形成されている。プリズムシート144の上面は、Y方向に延伸し、X方向に並ぶ複数の斜面を備える。プリズムシート144の上面には、これら複数の斜面によって、複数の三角畝及び複数の三角溝が形成されている。ここで、プリズムシート143の上面から出射される照明光は、-Y方向から見て(ZX平面において)様々な角度に拡散された拡散光となっており、指向性を有しない。一方、プリズムシート144の上面から出射される照明光は、-Y方向から見て(ZX平面において)+Z方向に集光される。
【0028】
ライトコントロールフィルム145は、X方向に延伸し、Y方向に並ぶ複数のルーバーを備える。従って、照明光の、-X方向から見て(ZY平面において)Z方向に進行する部分、及び、Z方向からの角度差が所定範囲内である部分は、ライトコントロールフィルム145を透過し、ライトコントロールフィルム145の上面から出射される。一方、照明光の、-X方向から見て(ZY平面において)Z方向からの角度差が所定範囲外である部分は、ライトコントロールフィルム145によって遮光される。従って、ライトコントロールフィルム145の上面から出射される照明光は、-X方向から見て(ZY平面において)ライトコントロールフィルム145の下面に入射する照明光よりも強い指向性を有する。
【0029】
ライトコントロールフィルム146は、Y方向に延伸し、X方向に並ぶ複数のルーバーを備える。従って、照明光の、-Y方向から見て(ZX平面において)Z方向に進行する部分、及び、Z方向からの角度差が所定範囲内である部分は、ライトコントロールフィルム146を透過し、ライトコントロールフィルム146の上面から出射される。一方、照明光の、-Y方向から見て(ZX平面において)Z方向からの角度差が所定範囲外である部分は、ライトコントロールフィルム146によって遮光される。従って、ライトコントロールフィルム146の上面から出射される照明光は、-Y方向から見て(ZX平面において)ライトコントロールフィルム146の下面に入射する照明光よりも強い指向性を有する。
【0030】
透明板147は、下面から入射した照明光を上面から出射する。尚、図3の例において、押さえ板114は、中心部に窓部115(矩形の開口)が設けられた略矩形状の形状を備える。また、透明板147の上面には、押さえ板114に当接する当接面148と、窓部115に対応する位置に設けられた非当接面149と、が設けられている。当接面148と非当接面149との間には段差が設けられている。この段差を窓部115に嵌め込むと、透明板147と押さえ板114とのXY方向における位置関係が固定される。押さえ板114は、ネジ116(図4)等の手段によって、筐体113に固定される。光源141、拡散板142、プリズムシート143、プリズムシート144、ライトコントロールフィルム145、ライトコントロールフィルム146及び透明板147は、押さえ板114及び筐体113によって挟持される。
【0031】
次に、図5を参照して、ワークWに照射される照明光の指向性と、測定精度と、の関係について説明する。図5には、ワークWのY方向負側の輪郭線に対応する光束B1と、ワークWのY方向正側の輪郭線に対応する光束B2と、を例示している。
【0032】
ワークWに照射される照明光の指向性が小さいと、光束B1,B2が太くなる。この様な場合、ワークWの側面において照明光が反射し、この反射した照明光も撮像素子121によって撮像されてしまう。ここで、上述の通り、撮像素子121では、照明装置112から出射された照明光の一部がワークWによって遮られて生成されるワークWの像を撮像する。従って、この様な反射光が撮像素子121によって撮像されてしまうと、撮像素子121の撮像面においてワークWの像が細くなってしまい、本来の幅Rよりも小さい幅R´を有する像が検出されてしまう。
【0033】
ここで、この様な測定精度の悪化を防ぐためには、例えば、ステージユニット110に、テレセントリック光学系を設けることも考えられる。しかしながら、テレセントリック光学系は多数のレンズを含むため、図1及び図2に例示した様な測定装置100において、ステージユニット110にテレセントリック光学系を設けてしまうと、測定装置100の高コスト化、及び、ステージユニット110の大型化に繋がってしまう。
【0034】
そこで、第1実施形態に係る照明装置112は、図3及び図4を参照して説明した様に、ワークWに照明光を照射する光源141と、ワークWと光源141との間に配置されたプリズムシート143と、ワークWとプリズムシート143との間に配置されたプリズムシート144と、ワークWとプリズムシート144との間に配置されたライトコントロールフィルム145と、ワークWとライトコントロールフィルム145との間に配置されたライトコントロールフィルム146と、を備える。
【0035】
この様な構成によれば、ライトコントロールフィルム145,146によって、照明装置112から出射される照明光の指向性を、大幅に高めることが可能である。即ち、光束を細くすることが可能である。これにより、測定精度の悪化を抑制可能である。また、プリズムシート143,144及びライトコントロールフィルム145,146はシート状の安価な部材であるため、測定装置100の高コスト化、及び、ステージユニット110の大型化を抑制可能である。
【0036】
また、ライトコントロールフィルム145によってY方向における指向性を高め、且つ、ライトコントロールフィルム146によってX方向における指向性を高めることにより、X方向及びY方向における特性差が抑制される。従って、ワークが複雑な形状を有する場合や、ワークの側面がステージにおいてX方向又はY方向と揃わない場合等であっても、測定精度の悪化を抑制可能である。
【0037】
また、例えば、ライトコントロールフィルム145,146に入射する照明光が指向性を有しない場合、ライトコントロールフィルム145,146によって照明光の多くの部分が遮光されてしまうものの、照明光の一部はライトコントロールフィルム145,146を透過する。従って、例えば、光源141から出射される照明光の光量が十分大きければ、プリズムシート143,144を省略することも考えられる。しかしながら、光源141において強い照明光を発生させようとする場合、光源において発生する熱が増大してしまう。この様な熱が大きくなってしまうと、空気の熱ゆらぎやステージユニット110における熱膨張等が生じて、測定精度の悪化に繋がってしまう
【0038】
この点、第1実施形態では、プリズムシート143,144によってライトコントロールフィルム145,146に入射する照明光の指向性を予め高めておくことにより、照明光の、ライトコントロールフィルム145,146を透過する部分の割合を、大きくすることが可能である。従って、好適に測定を行うために光源141において発生させる必要がある照明光の光量を抑制して、空気の熱ゆらぎや測定装置中の構成における熱膨張等を抑制して、測定精度への影響を抑制可能である。
【0039】
[第2実施形態]
第1実施形態に係る照明装置112では、2枚のライトコントロールフィルム145,146に、それぞれ、X方向に延伸しY方向に並ぶ複数のルーバーと、Y方向に延伸しX方向に並ぶ複数のルーバーと、が設けられており、これらによってX方向及びY方向における特性差を抑制する。しかしながら、この様な構成はあくまでも例示であり、具体的な構成は適宜調整可能である。例えば、X方向に延伸しY方向に並ぶ複数のルーバーと、Y方向に延伸しX方向に並ぶ複数のルーバーとは、1枚のライトコントロールフィルムに設けられていても良い。以下、この様な構成を、第2実施形態として例示する。
【0040】
第2実施形態に係る測定装置は、基本的には、第1実施形態に係る測定装置100と同様に構成されている。ただし、第2実施形態に係る測定装置は、照明装置112のかわりに、照明装置212(図6図7)を備える。
【0041】
次に、図6及び図7を参照して、照明装置212の構成について説明する。照明装置212は、基本的には、図3及び図4を参照して説明した照明装置112と同様に構成されている。ただし、照明装置212は、ライトコントロールフィルム145,146のかわりに、ライトコントロールフィルム245を備える。
【0042】
ライトコントロールフィルム245は、基本的には、ライトコントロールフィルム145,146と同様に構成されている。ただし、ライトコントロールフィルム245は、X方向に延伸しY方向に並ぶ複数のルーバーと、Y方向に延伸しX方向に並ぶ複数のルーバーと、の双方を備える。ライトコントロールフィルム245は、ライトコントロールフィルム145,146の組み合わせと同様の機能を有する。
【0043】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することが可能である。また、第2実施形態に係る照明装置212は、部品点数の削減によって、第1実施形態に係る照明装置112よりも安価に実現可能な場合がある。
【0044】
[第3実施形態]
第1実施形態に係る照明装置112及び第2実施形態に係る照明装置212では、X方向に延伸しY方向に並ぶ複数のルーバーと、Y方向に延伸しX方向に並ぶ複数のルーバーと、によってX方向及びY方向における特性差を抑制する。しかしながら、この様な構成はあくまでも例示であり、具体的な構成は適宜調整可能である。例えば、180°/n(nは2以上の整数)ずつ延伸方向の異なるn種類の複数のルーバーがあれば、X方向及びY方向における特性差を抑制可能である。第1実施形態及び第2実施形態では、n=2である構成を例示した。以下、n=3である構成を、第3実施形態として例示する。
【0045】
第3実施形態に係る測定装置は、基本的には、第1実施形態に係る測定装置100と同様に構成されている。ただし、第3実施形態に係る測定装置は、照明装置112のかわりに、照明装置312(図8図9)を備える。
【0046】
次に、図8及び図9を参照して、照明装置312の構成について説明する。照明装置312は、基本的には、図3及び図4を参照して説明した照明装置112と同様に構成されている。ただし、照明装置312は、プリズムシート143,144のかわりに、プリズムシート342,343,344を備える。また、照明装置312は、ライトコントロールフィルム145,146のかわりに、ライトコントロールフィルム345,346,347を備える。
【0047】
プリズムシート342,343,344は、基本的には、プリズムシート143,144と同様に構成されている。ただし、プリズムシート143の上面に形成された斜面の延伸方向は、プリズムシート144の上面に形成された斜面の延伸方向と、直交する。一方、プリズムシート343の上面に形成された斜面の延伸方向は、プリズムシート342の上面に形成された斜面の延伸方向と、60°だけずれている。また、プリズムシート344の上面に形成された斜面の延伸方向は、プリズムシート342の上面に形成された斜面の延伸方向、及び、プリズムシート343の上面に形成された斜面の延伸方向の双方に対して、60°だけずれている。プリズムシート342,343,344の組み合わせは、プリズムシート143,144の組み合わせと、同様の機能を有する。
【0048】
ライトコントロールフィルム345,346,347は、基本的には、ライトコントロールフィルム145,146と同様に構成されている。ただし、ライトコントロールフィルム145に含まれるルーバーの延伸方向は、ライトコントロールフィルム146に含まれるルーバーの延伸方向と、直交する。一方、ライトコントロールフィルム346に含まれるルーバーの延伸方向は、ライトコントロールフィルム345に含まれるルーバーの延伸方向と、60°だけずれている。また、ライトコントロールフィルム347に含まれるルーバーの延伸方向は、ライトコントロールフィルム345に含まれるルーバーの延伸方向、及び、ライトコントロールフィルム346に含まれるルーバーの延伸方向の双方に対して、60°だけずれている。ライトコントロールフィルム345,346,347の組み合わせは、ライトコントロールフィルム145,146の組み合わせと、同様の機能を有する。
【0049】
第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することが可能である。また、第3実施形態に係る照明装置312によれば、複数の角度における特性差を、より好適に抑制可能な場合がある。
【0050】
尚、第3実施形態では、3枚のライトコントロールフィルム345,346,347に、延伸方向の異なる3種類の複数のルーバーが設けられている。しかしながら、これら3種類の複数のルーバーは、1枚のライトコントロールフィルムに設けられていても良い。
【0051】
[その他]
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0052】
例えば、第1実施形態~第3の実施形態に係る照明装置112,212,312は、拡散板142を備える。しかしながら、光源141の構成によっては、拡散板142を省略することも可能である。また、照明装置の構成によっては、透明板147及び押さえ板114等の構成を省略したり、他の構成と置き換えたりすることも可能である。
【符号の説明】
【0053】
W…ワーク、100…測定装置、110…ステージユニット、111…ステージ、112…照明装置、113…筐体、114…押さえ板、120…撮像ユニット、121…撮像素子、122…光学系、123…対物レンズ、124…筐体、125…タッチパネル、126…集光レンズ、127…チューブレンズ、130…接続部、131…制御部、141…光源、142…拡散板、143,144…プリズムシート、145,146…ライトコントロールフィルム、147…透明板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9