(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179432
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】清掃シート
(51)【国際特許分類】
A47L 13/17 20060101AFI20241219BHJP
A47L 13/254 20060101ALI20241219BHJP
A47L 13/20 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A47L13/17 A
A47L13/254
A47L13/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098283
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 翠
(72)【発明者】
【氏名】眞鍋 優佳
【テーマコード(参考)】
3B074
【Fターム(参考)】
3B074AA08
3B074AB01
3B074BB01
3B074CC03
3B074EE01
(57)【要約】
【課題】清掃シートのよれを抑制しつつ、粉塵の掻き取り性と、清掃面全体の拭き取り性と、を両立できる清掃シートを提供する。
【解決手段】清掃シート(1)は、清掃対象に対向する清掃面を有する清掃具に対して、取り付けられて使用される。清掃シートは、清掃面に配置されるシート中央部(R1)と、シート中央部を挟んで第2方向(W)の外側に設けられたシート側部(R2)と、を有する。清掃シートは、第1面(11)と、第1面と反対側に位置する第2面(12)と、清掃シートの第2方向の両端部に位置し、かつ圧搾部(50)が形成された圧搾領域(R50)と、第2方向における圧搾領域の間に位置する非圧搾領域(R55)と、を有する。シート中央部の第2方向の外端は、圧搾領域内に位置する。圧搾領域は、非圧搾領域に隣接した第1圧搾領域(R51)と、第1圧搾領域よりも第2方向の外側に位置し、第1圧搾領域よりも圧搾部の面積比率が高い第2圧搾領域(R52)と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向及び第2方向を含む平面方向に延び、かつ清掃対象に対向する清掃面を有する清掃具に対して、取り付けられて使用される清掃シートであって、
前記清掃シートは、前記清掃面に配置されるシート中央部と、前記シート中央部を挟んで前記第2方向の外側に設けられ、かつ前記清掃具に対して着脱自在に係合するシート側部と、を有し、
前記清掃シートは、第1面と、前記第1面と反対側に位置する第2面と、前記清掃シートの前記第2方向の両端部に位置し、かつ前記第1面から前記第2面に亘って厚み方向に圧縮された圧搾部が形成された圧搾領域と、前記第2方向における前記圧搾領域の間に位置し、かつ前記圧搾部が前記第1方向の全域に亘って設けられていない非圧搾領域と、を有し、
前記シート中央部の前記第2方向の外端は、前記圧搾領域内に位置し、
前記圧搾領域は、前記非圧搾領域に隣接した第1圧搾領域と、前記第1圧搾領域よりも前記第2方向の外側に位置し、前記第1圧搾領域よりも前記圧搾部の面積比率が高い第2圧搾領域と、を有する、清掃シート。
【請求項2】
前記圧搾領域は、前記第2方向において、前記清掃シートの外端から前記非圧搾領域の端縁まで連続している、請求項1に記載の清掃シート。
【請求項3】
前記第2圧搾領域は、前記第2方向において、前記清掃シートの外端から内側に延び、
前記第1圧搾領域は、前記第2方向において、前記第2圧搾領域の外端から前記非圧搾領域の外端まで連続している、請求項1又は請求項2に記載の清掃シート。
【請求項4】
前記清掃シートは、前記清掃面の前記第2方向の外端に沿って折り畳まれる折り目が形成されている、請求項1又は請求項2に記載の清掃シート。
【請求項5】
前記シート中央部の前記第2方向の外端は、前記第1圧搾領域に配置されている、請求項1又は請求項2に記載の清掃シート。
【請求項6】
前記第1圧搾領域の前記圧搾部は、前記第2方向に延び、かつ前記シート中央部の前記第2方向の外端を跨ぐ線状である、請求項5に記載の清掃シート。
【請求項7】
前記シート中央部の前記第2方向の長さに対する前記非圧搾領域の前記第2方向の長さの比率は、0.5以上である、請求項1又は請求項2に記載の清掃シート。
【請求項8】
前記シート中央部の前記第2方向の長さに対する前記圧搾領域の前記第2方向の長さの比率は、0.5以上である、請求項1又は請求項2に記載の清掃シート。
【請求項9】
前記清掃シートは、前記第1面を構成する第1層と、前記第2面を構成する第2層と、前記第1層と前記第2層の間に配置された中間層と、を有し、
前記第2方向において、前記中間層の外端は、前記第1層の外端及び前記第2層の外端よりも内側に位置し、
前記圧搾部は、前記第1層、前記第2層及び前記中間層に形成されており、
前記中間層の前記第2方向の外端は、前記第2圧搾領域内に位置する、請求項1又は請求項2に記載の清掃シート。
【請求項10】
前記清掃シートは、前記第1面を構成する第1層と、前記第2面を構成する第2層と、前記第1層と前記第2層の間に配置された中間層と、を有し、
前記第2方向において、前記中間層の外端は、前記第1層の外端及び前記第2層の外端よりも内側に位置し、
前記第2方向及び前記第1方向において、前記第1層の外端及び前記第2層の外端は、前記清掃シートの外端に到達している、請求項1又は請求項2に記載の清掃シート。
【請求項11】
前記清掃シートは、前記圧搾部によって前記第1面から第2面側に凹む第1凹部と、前記圧搾部によって前記第2面から第1面側に凹む第2凹部と、を有し、
前記第1凹部の深さと、前記第2凹部の深さと、は異なる、請求項1又は請求項2に記載の清掃シート。
【請求項12】
前記清掃シートは、薬液が含浸されており、
前記薬液は、シート重量(乾燥基準)当たり200重量%以上含浸されており、
前記非圧搾領域における薬液含浸量は、前記圧搾領域における薬液含浸量よりも多い、請求項1又は請求項2に記載の清掃シート。
【請求項13】
前記第2圧搾領域における薬液含浸量は、前記第1圧搾領域における薬液含浸量よりも少ない、請求項12に記載の清掃シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃対象に対向する清掃面を有する清掃具に対して、取り付けられて使用される清掃シートに関する。
【0002】
特許文献1及び特許文献2には、清掃対象に対向する清掃面を有する清掃具に対して、取り付けられて使用される清掃シートが開示されている。特許文献1の清掃シートには、エンボス加工によって形成された凹部が形成されている。また、特許文献2の清掃シートは、複数のシート層を有し、シート層同士は、熱エンボス加工部と接合部によって接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-198066号公報
【特許文献2】特開2012-100950号公報
【発明の概要】
【0004】
特許文献1及び特許文献2の清掃シートは、いずれもエンボス加工による凹部が形成されている。特許文献1の清掃シートは、凹部のエンボス加工によって凹部の周囲に形成された硬い部分で粉塵を掻き取ることができる一方で、凹部によって清掃面との接触面積が低減し、清掃面の全体を拭き取り難いことがあった。また、特許文献2の清掃シートは、凹部を有しない領域によって清掃面に対して面で拭き取り易い。しかし、特許文献2の清掃シートは、清掃対象に当たられる中央部の外端の剛性を確保できずに、清掃シートがよれてしまうことがあった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、清掃シートのよれを抑制しつつ、粉塵の掻き取り性と、清掃面全体の拭き取り性と、を両立できる清掃シートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る清掃シートは、第1方向及び第2方向を含む平面方向に延び、かつ清掃対象に対向する清掃面を有する清掃具に対して、取り付けられて使用される。前記清掃シートは、前記清掃面に配置されるシート中央部と、前記シート中央部を挟んで前記第2方向の外側に設けられ、かつ前記清掃具に対して着脱自在に係合するシート側部と、を有する。前記清掃シートは、第1面と、前記第1面と反対側に位置する第2面と、前記清掃シートの前記第2方向の両端部に位置し、かつ前記第1面から前記第2面に亘って厚み方向に圧縮された圧搾部が形成された圧搾領域と、前記第2方向における前記圧搾領域の間に位置し、かつ前記圧搾部が前記第1方向の全域に亘って設けられていない非圧搾領域と、を有する。前記シート中央部の前記第2方向の外端は、前記圧搾領域内に位置する。前記圧搾領域は、前記非圧搾領域に隣接した第1圧搾領域と、前記第1圧搾領域よりも前記第2方向の外側に位置し、前記第1圧搾領域よりも前記圧搾部の面積比率が高い第2圧搾領域と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る清掃具及び清掃シートを模式的に示した斜視図である。
【
図2】
図2は、第2実施形態に係る清掃具及び清掃シートを模式的に示した斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る清掃シートの平面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示すA-A線に沿った模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
態様1に係る発明は、第1方向及び第2方向を含む平面方向に延び、かつ清掃対象に対向する清掃面を有する清掃具に対して、取り付けられて使用される清掃シートである。前記清掃シートは、前記清掃面に配置されるシート中央部と、前記シート中央部を挟んで前記第2方向の外側に設けられ、かつ前記清掃具に対して着脱自在に係合するシート側部と、を有する。前記清掃シートは、第1面と、前記第1面と反対側に位置する第2面と、前記清掃シートの前記第2方向の両端部に位置し、かつ前記第1面から前記第2面に亘って厚み方向に圧縮された圧搾部が形成された圧搾領域と、前記第2方向における前記圧搾領域の間に位置し、かつ前記圧搾部が前記第1方向の全域に亘って設けられていない非圧搾領域と、を有する。前記シート中央部の前記第2方向の外端は、前記圧搾領域内に位置する。前記圧搾領域は、前記非圧搾領域に隣接した第1圧搾領域と、前記第1圧搾領域よりも前記第2方向の外側に位置し、前記第1圧搾領域よりも前記圧搾部の面積比率が高い第2圧搾領域と、を有する。本態様によれば、清掃シートのシート中央部が清掃面に配置されるように清掃シートが清掃具に取り付けられると、清掃具の清掃面上には、非圧搾領域と、非圧搾領域の両側に位置する圧搾領域と、が配置される。当該取り付け状態で、清掃シートを清掃対象に当てて拭き取ると、圧搾領域と非圧搾領域が清掃対象にあたる。圧搾領域における圧搾部の凹部の周囲は、圧搾時の凹部の形成によって局所的に硬くなり、粉塵を掻き取り易い部分となる。また、圧搾部による凹部が形成されていない非圧搾領域は、面で清掃対象に当たり、清掃対象の表面全体を拭き取ることができる。また、シート中央部の第2方向の外端が圧搾領域内に位置する。そのため、清掃具を第2方向に移動させて拭き取り清掃をした際に、拭き取り方向の上流側に圧搾領域が位置しているため、清掃シートがよれ難くなる。また、清掃具を第2方向に移動させて拭き取り清掃をした際に、上流側に位置する圧搾領域、非圧搾領域、及び下流側に位置する圧搾領域の順で清掃対象に触れる。清掃者が、清掃シートを付けた清掃具を繰り返し前後に動かすと、圧搾領域で汚れを掻き取り、非圧搾領域で汚れを拭き取り、これらが繰り返される。よって、粉塵の掻き取り及び拭き取りを効果的に行うことができる。また、圧搾領域が、第1圧搾領域と第2圧搾領域を有するため、清掃シートの第2方向の内側から外側に向かって剛性を高くすることができる。よって、清掃具を第2方向に移動させて拭き取り清掃をした際に、清掃面との摩擦力に対して清掃シートが伸び難く、清掃シートのよれを抑制でき、清掃し続けることができる。
【0009】
好ましい態様によれば、態様2に係る発明は、態様1に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記圧搾領域は、前記第2方向において、前記清掃シートの外端から前記非圧搾領域の端縁まで連続している。本態様によれば、シート中央部の第2方向の中心に対する第2方向の外側に、第2方向に連続した圧搾領域を配置でき、粉塵の掻き取り及び拭き取りを効果的に行うことができる。
【0010】
好ましい態様によれば、態様3に係る発明は、態様1又は態様2に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記第2圧搾領域は、前記第2方向において、前記清掃シートの外端から内側に延びる。前記第1圧搾領域は、前記第2方向において、前記第2圧搾領域の外端から前記非圧搾領域の外端まで連続している。本態様によれば、清掃シートの第2方向の内側から外側に向かって段階的に剛性を高くすることができ、清掃具を第2方向に移動させて拭き取り清掃をした際に清掃シートが伸び難く、清掃シートのよれを抑制でき、清掃し続けることができる。
【0011】
好ましい態様によれば、態様4に係る発明は、態様1から態様3のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記清掃シートは、前記清掃面の前記第2方向の外端に沿って折り畳まれる折り目が形成されている。本態様によれば、折り目は、取り付け時に清掃面の前記第2方向の外端に位置合わせする指標となり、使用者は、折り目を指標として清掃面に対する適切な位置に清掃シートを取り付けることができる。
【0012】
好ましい態様によれば、態様5に係る発明は、態様1から態様4のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記シート中央部の前記第2方向の外端は、前記第1圧搾領域に配置されている。第1圧搾領域が清掃対象に触れ、凹部による粉塵の掻き取り性を確保しつつ、第1圧搾領域における凹部の面積率が比較的少ないため、第1圧搾領域によっても拭き取り性を確保できる。
【0013】
好ましい態様によれば、態様6に係る発明は、態様1から態様5のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記第1圧搾領域の圧搾部は、前記第2方向に延び、かつ前記シート中央部の前記第2方向の外端を跨ぐ線状である。本態様によれば、第1圧搾領域の圧搾部が第2方向に延びる線状であるため、第2方向の広い範囲で粉塵を掻き取ることができ、掻き取り性を向上できる。第1圧搾領域の圧搾部がシート中央部の前記第2方向の外端を跨ぐため、シート中央部の第2方向の外端の剛性を高め、清掃中のシートのよれをより抑制できる。
【0014】
好ましい態様によれば、態様7に係る発明は、態様1から態様6のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記シート中央部の前記第2方向の長さに対する前記非圧搾領域の前記第2方向の長さの比率は、0.5以上である。本態様によれば、清掃対象に触れる面における非圧搾領域の面積が半分以上であるため、非圧搾領域による拭き取り性を向上できる。
【0015】
好ましい態様によれば、態様8に係る発明は、態様1から態様6のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記シート中央部の前記第2方向の長さに対する前記圧搾領域の前記第2方向の長さの比率は、0.5以上である。本態様によれば、清掃対象に触れる面における圧搾領域の面積が半分以上であるため、圧搾領域による粉塵の掻き取り性を向上できる。
【0016】
好ましい態様によれば、態様9に係る発明は、態様1から態様8のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記清掃シートは、前記第1面を構成する第1層と、前記第2面を構成する第2層と、前記第1層と前記第2層の間に配置された中間層と、を有する。前記第2方向において、前記中間層の外端は、前記第1層の外端及び前記第2層の外端よりも内側に位置する。前記圧搾部は、前記第1層、前記第2層及び前記中間層に形成されている。前記中間層の前記第2方向の外端は、前記第2圧搾領域内に位置する。本態様によれば、清掃シートの第2方向の中央から外側に向かって、非圧搾領域、第1圧搾領域において中間層が配置された領域、第2圧搾領域において中間層が配置された領域、及び第2圧搾領域において中間層が配置されていない領域の順で配置される。そのため、清掃シートの第2方向の中央から外側に向かって、清掃シートの厚みが薄くなる。清掃シートの側部は、清掃具に係合する箇所であり、清掃シートの厚みが薄いことで係合時に柔軟に変形させることができ、取り付け時の操作性を向上できる。一方、清掃シートの第2方向の中央は、清掃対象に触れる面であり、清掃シートの厚みが厚いことで、薬液を保持するシートにおいては薬液の保持容量を高め、薬液を保持しないシートにおいては、粉塵の掻き取り容量を確保できる。
【0017】
好ましい態様によれば、態様10に係る発明は、態様1から態様9のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記清掃シートは、前記第1面を構成する第1層と、前記第2面を構成する第2層と、前記第1層と前記第2層の間に配置された中間層と、を有する。前記第2方向において、前記中間層の外端は、前記第1層の外端及び前記第2層の外端よりも内側に位置する。前記第2方向及び前記第1方向において、前記第1層の外端及び前記第2層の外端は、前記清掃シートの外端に到達している。本態様によれば、第1層の外端及び前記第2層の外端は、前記清掃シートの外端に到達しているため、清掃シートの全体に亘って第1層と第2層が配置され、1層のみ配置された領域が存在しない。清掃シートの全体に亘って第1層と第2層が配置され、清掃シートの剛性を確保できるため、当該剛性が低い領域に起因した破断やよれを抑制できる。また、中間層の第2方向の長さが短いため、清掃シートの第2方向の側部を柔軟に変形させることができ、取り付け時の操作性を向上できる。
【0018】
好ましい態様によれば、態様11に係る発明は、態様1から態様10のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記清掃シートは、前記圧搾部によって前記第1面から第2面側に凹む第1凹部と、前記圧搾部によって前記第2面から第1面側に凹む第2凹部と、を有する。前記第1凹部の深さと、前記第2凹部の深さと、は異なる。本態様によれば、第1凹部と第2凹部の深さの違いによって、清掃シートの第1面と第2面を使用者が触覚及び視覚で認識できる。粉塵の掻き取り性を高めたいときは、深い凹部を清掃対象に当てる等、使用する面を適宜選択して使用することができる。
【0019】
好ましい態様によれば、態様12に係る発明は、態様1から態様11のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記清掃シートは、薬液が含浸されている。前記薬液は、シート重量(乾燥基準)当たり200重量%以上含浸されている。前記非圧搾領域における薬液含浸量は、前記圧搾領域における薬液含浸量よりも多い。本態様によれば、非圧搾領域における薬液含浸量を多くすることで、面での拭き取り性を向上できる一方で、圧搾領域における薬液含浸量を少なくすることで清掃対象面との摩擦を抑制し、清掃時の操作性を向上できる。
【0020】
好ましい態様によれば、態様13に係る発明は、態様1から態様12のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記第2圧搾領域における薬液含浸量は、前記第1圧搾領域における薬液含浸量よりも少ない。本態様によれば、第2圧搾領域における薬液含浸量が少ないことで、装着操作時に柔軟に変形させ、また装着操作時に手に薬液が付着しすぎることを抑制し、操作性を向上できる。一方、第1圧搾領域は、清掃対象に触れる面であり、清掃対象面との摩擦を抑制しつつ、清掃対象に薬液を付与できる。
【0021】
(2)実施形態に係る清掃シート
以下、図面を参照して、実施形態に係る清掃シート1について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0022】
清掃シート1は、清掃具200に対して、取り付けられて使用されるシートである。清掃具200は、例えば、
図1に示す第1実施形態に係る清掃具200Xと、
図2に示す第2実施形態に係る清掃具200Yと、を例示できる。
図1(A)は、第1実施形態に係る清掃具200Xと、清掃具200Xに取り付けられる清掃シート1と、を模式的に示した斜視図であり、
図1(B)は、清掃具200Xの清掃ヘッド201を展開した状態を示している。
図2は、第2実施形態に係る清掃具200Yと、清掃具200Yに取り付けられる清掃シート1と、を模式的に示した斜視図である。なお、
図1及び
図2においては、便宜上、清掃シート1の圧搾部を省略して示している。
【0023】
清掃具200は、清掃対象に対向する清掃面210を有する。清掃面210は、清掃ヘッド201に設けられてよい。清掃面210は、第1方向L及び第2方向Wを含む平面方向に延びる。清掃面210は、清掃シート1が当接し、当接した清掃シート1によって清掃対象を清掃する。清掃面210は、矩形状の面であってよい。第1形態の清掃具200Xの清掃面210は、第1清掃面211と第2清掃面212を有する。第1清掃面211と第2清掃面212は、清掃ヘッド201が展開した状態で第2方向Wに並んでいる。清掃ヘッド201は、第1清掃面211と第2清掃面212の間の中心線(後述する清掃中心仮想線210CW)を中心として折り畳み可能に構成されている。清掃具の使用時には、第1清掃面211と第2清掃面212は、折り畳まれた状態であり、反対側の面に配置されている。清掃具200Xは、清掃面210を回転可能に支持する連結部215を有する。清掃面210は、連結部215を介して回転可能である。そのため、第1形態の清掃具200Xは、第1清掃面211側を清掃対象に対向して配置する状態と、第2清掃面212側を清掃対象に対向する状態と、を実現できる。
【0024】
第1実施形態の清掃面210は、第1清掃面211と第2清掃面212を合わせた面である。よって、清掃面210の第2方向Wの長さW210は、第1清掃面211の第2方向Wの長さW211と、第2清掃面212の第2方向Wの長さW212と、を合わせた長さである。一方、第2形態に係る清掃具200Yは、清掃面210が1つである。そのため、清掃面210の第2方向Wの長さW210は、1つの清掃面210の第2方向Wの長さW210である。本実施の形態においては、清掃面210の第2方向Wの長さW210は、清掃面210の第1方向Lの長さL210よりも短い。しかし、変形例において、清掃面210の第2方向Wの長さW210は、清掃面210の第1方向Lの長さL210よりも長くてもよいし、清掃面210の第2方向Wの長さW210は、清掃面210の第1方向Lの長さL210と同じであってもよい。
【0025】
清掃具200は、清掃面210と反対側の面等、清掃面210以外の箇所に、着脱自在に清掃シート1に係合する係合部230を有してよい。清掃具200は、清掃面210と連結し、使用者が把持する把持部250を有してよい。本実施の形態のように、清掃面210の第1方向Lの長さが清掃面210の第2方向Wの長さよりも長い形態にあっては、清掃具200は、使用者が清掃具200を第2方向Wに往復移動をすることを想定して設計されてよい。なお、清掃具は、フローリング用(把持部の長さが長く、使用者が起立した状態で床面を清掃する)であってもよいし、ハンディ用(把持部の長さが短く、使用者が手で届く範囲を清掃する)であってもよい。
【0026】
清掃シート1は、床面、家具及び家電等の清掃対象の埃及びごみを拭き取ることにより、清掃対象の表面を清浄にする機能を備えたシート状の繊維構造体である。
図3は、清掃シート1の平面図である。
図4は、
図3に示すA-A線に沿った断面図である。
図5は、
図3に示すB部分の拡大図である。清掃シート1は、第1方向L及び第2方向Wを含む平面方向と、平面方向に直交する厚み方向Tと、を有する。清掃シート1は、平面方向に延びる第1面11及び第2面12を有する。第2面12は、第1面11と反対側の面である。本実施の形態では、第1面11の形状と、第2面の形状と、は実質的に同じであり、いずれも清掃対象を拭き取る拭き取り面を構成する。使用者は、清掃具200の清掃面210に第2面12を当接させて第1面11によって清掃でき、かつ清掃具200の清掃面210に第1面11を当接させて第2面12によって清掃できる。すなわち、第1面11と第2面12の両方によって清掃対象の埃及びごみを拭き取ることができる。そのため、第1面11の説明は、第2面12の説明に置き換えることができ、
図3に示す第1面11側から見た平面図は、第2面12側から見た平面図に置き換えることができる。
【0027】
清掃シート1は、少なくとも1層の繊維層を含んで構成されてよく、好適には、複数の繊維層を含んでよい。本実施の形態の清掃シート1は、第1面11を構成する第1層21と、第2面12を構成する第2層22と、第1層21と第2層22の間に配置された中間層23と、を有する。清掃シート1は、乾式シートであってもよいし、湿式のシートであってもよい。本実施の形態の清掃シート1は、湿式のシートであり、清掃用の薬液が含浸されている。湿式の清掃シート1にあっては、中間層23は、薬液を保水する保水層として機能し、第1層21及び第2層22は、清掃対象を拭き取るための拭き取り面を形成し且つ薬液を放出し得るように構成されてよい。
【0028】
第1層21及び第2層22は、疎水性不織布によって構成されてもよいし、親水性不織布によって構成されていてもよい。なお、第1層21及び第2層22が疎水性不織布によって構成されていることにより、比較的弱い力でも清掃対象を拭き取ることができる上、清掃シート1が湿潤状態であっても構成繊維がへたりにくく、より優れた汚れ除去性能を発揮することができる。第1層21及び第2層22を構成する疎水性不織布は、清掃シート1の拭き取り面を形成し得るものであれば特に制限されず、任意の疎水性不織布を用いることができる。かかる疎水性不織布は、不織布として疎水性を有していればよいため、疎水性繊維のみからなる不織布であっても、親水性繊維と疎水性繊維からなる不織布であってもよい。第1層21及び第2層22を形成する疎水性不織布の厚さや坪量等は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、任意の厚さや坪量等を採用することができるが、第1層21及び第2層22の汚れ除去性能及び薬液の放出性などの点から、第1層21と第2層22の各層当たり10g/m2~80g/m2の範囲内の坪量が好ましく、30g/m2~60g/m2の範囲内の坪量がより好ましい。なお、第1層21及び第2層22は、清掃シート1の拭き取り面を形成し且つ薬液を放出し得るものであれば、疎水性不織布以外の任意の繊維シート(例えば、織布や編布等)や多孔質樹脂シートなどによって形成されていてもよい。
【0029】
中間層23は、第1層21と第2層22の間に配置され、清掃シート1の薬液を保持し得る親水性不織布によって形成されてよい。中間層23が親水性不織布によって形成されていることにより、清掃シート1は、中間層23に保持される薬液を、第1層21及び第2層22を介して適度に清掃対象へ放出することができる。中間層23を形成する親水性不織布は、薬液を保持し得るものであれば特に制限されず、任意の親水性不織布を用いることができる。かかる親水性不織布は、不織布として親水性を有していればよいため、親水性繊維のみからなる不織布であっても、親水性繊維と疎水性繊維からなる不織布であっても、疎水性繊維のみからなる不織布に親水化処理が施された不織布であってもよい。中間層23を形成する親水性不織布の厚さや坪量等は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、任意の厚さや坪量等を採用することができるが、薬液の含浸性や放出性などの点から、坪量は、15g/m2~100g/m2の範囲内の坪量が好ましく、30g/m2~80g/m2の範囲内の坪量がより好ましい。なお、中間層23は、薬液を保持し得るものであれば、親水性不織布以外の任意の繊維シート(例えば、織布や編布等)や保水性を有する樹脂シートなどによって形成されていてもよい。
【0030】
清掃シート1の平面視において、第1層21の寸法と、第2層22の寸法と、は同じであってよい。また、清掃シート1の平面視において、中間層23の寸法は、第1層21(第2層22)の寸法と同じであってもよいし、本実施の形態のように、第1層21(第2層22)の寸法と異なっていてもよい。本実施の形態の中間層23の第2方向Wの長さは、第1層21(第2層22)の第2方向Wの長さよりも短く、中間層23の第2方向Wの外端23Eは、第1層21(第2層22)の第2方向Wの外端21E(22E)よりも第2方向Wの内側に位置する。本実施の形態の中間層23の第1方向Lの長さは、第1層21(第2層22)の第1方向Lの長さと同じである。中間層23の第2方向Wの長さは、
図4に示すように、第1層21の第2方向Wの長さ及び第2層22の第2方向Wの長さよりも短い。中間層23よりも第2方向Wの外側の領域では、第1層21と第2層22が当接し、第1層21と第2層22が圧搾部50によって接合されている。圧搾部50については、後述にて詳細に説明する。
【0031】
図3に示すように、清掃シート1は、平面視にて、清掃面210に配置されるシート中央部R1と、シート中央部R1を挟んで第2方向Wの外側に設けられ、かつ清掃具200に対して着脱自在に係合するシート側部R2と、を有する。シート中央部R1は、清掃シート1の第2方向Wの中心を通り、かつ第1方向Lに平行なシート中心仮想線1CWを含み、シート中心仮想線1CWから第2方向Wの両方の外側に延びる領域である。シート側部R2は、清掃シート1の第2方向Wの外端から第2方向Wの内側に延びる領域である。シート中央部R1の第2方向Wの外端と、シート側部R2の第2方向Wの内端と、は隣接している。
【0032】
シート中央部R1は、清掃具200に取り付けられた状態で清掃面210に当接する領域である。シート側部R2は、清掃具200に取り付けられた状態で清掃面210以外の面(例えば、清掃面210と反対側の面、清掃面から厚み方向に延びる側面等)に当接する領域であってよい。なお、使用者の清掃具200の取り付け態様によって清掃シート1と清掃面210の位置関係が変化するため、シート中心仮想線1CWと、清掃面210の第2方向Wの中心を通り第1方向Lに平行な清掃中心仮想線210CWと、が一致した状態(以下、取り付け状態)において、清掃面210と当接する領域をシート中央部R1としてよい。なお、清掃中心仮想線210CWは、第1形態の清掃具200Xにおいては、展開状態における第1清掃面211と第2清掃面212の間において第1方向Lに平行に延びる仮想線である。シート中央部R1の第2方向Wの長さは、清掃面210の第2方向Wの長さに一致してよい。なお、清掃シート1に清掃面210の第2方向Wの外端に対して位置合わせ可能な位置合わせ部(例えば、後述する折り目)が形成されている形態にあっては、当該位置合わせ部がシート中央部の外端を構成してよい。
【0033】
清掃シート1には、第1面11から第2面12に亘って厚み方向に圧縮された圧搾部50が形成されている。本実施の形態における「圧搾部」は、第1面11のみを圧縮した部分、第2面12のみを圧縮した部分を含まず、第1面11から第2面12に亘ってシートの厚み方向Tの全体を圧縮して形成された圧搾部である。圧搾部50によって、第1層21と第2層22が接合され、又は第1層21、中間層23及び第2層22が接合されている。
【0034】
清掃シート1は、清掃シート1の第2方向Wの両端部に位置し、かつ圧搾部50が形成された圧搾領域R50と、第2方向Wにおける圧搾領域R50の間に位置し、かつ圧搾部50が第1方向Lの全域に亘って設けられていない非圧搾領域R55と、を有する。圧搾領域R50は、シート中心仮想線1CWに対する両側に配置されており、第1方向Lに平行な仮想線のいずれかの部分に圧搾部50が配置された領域である。換言すると、圧搾領域R50は、圧搾部50が第1方向Lの全域に亘って設けられていない領域(非圧搾領域R55)以外の領域である。圧搾領域R50は、清掃シート1の第2方向Wの端部に設けられていればよく、清掃シート1の第2方向Wの外端に設けられていてもよいし、清掃シートの第2方向Wの外端から所定距離(例えば、10mm以内)離間して設けられていてもよい。非圧搾領域R55は、圧搾領域R50よりも第2方向Wの内側に位置している。非圧搾領域R55と圧搾領域R50は、隣接している。非圧搾領域R55の両側に圧搾領域が1カ所ずつ設けられている形態にあっては、圧搾領域R50の第2方向Wの内端は、非圧搾領域R55の第2方向Wの外端を構成する。しかし、変形例において、圧搾領域R50は、シート中心仮想線1CWに対する両側のそれぞれに複数設けられていてもよい。非圧搾領域R55は、圧搾部50が形成されていない領域であり、第1層21のみを圧搾した部分、第2層22のみを圧搾部した部分等、本願の圧搾部50を構成しない圧搾された部分が設けられていてもよい。
【0035】
シート中央部R1の第2方向Wの外端は、圧搾領域R50内に位置している。そのため、清掃シート1のシート中央部R1が清掃面210に配置されるように清掃シート1が清掃具200に取り付けられると、清掃具200の清掃面210上には、非圧搾領域R55と、非圧搾領域R55の両側に位置する圧搾領域R50と、が配置される。当該取り付け状態で、清掃シート1を清掃対象に当てて拭き取ると、圧搾領域R50と非圧搾領域R55が清掃対象にあたる。圧搾領域R50における圧搾部50の凹部(例えば、
図6参照)の周囲は、圧搾時の凹部の形成によって局所的に硬くなり、粉塵を掻き取り易い部分となる。また、圧搾部50による凹部が形成されていない非圧搾領域R55は、面で清掃対象に当たり、清掃対象の表面全体を拭き取ることができる。シート中央部R1の第2方向Wの外端は、圧搾領域R50内に位置する。圧搾領域R50は、非圧搾領域R55と比較して、圧搾部50によって剛性が高くなっている。そのため、清掃具200を第2方向Wに移動させて拭き取り清掃をした際に、拭き取り方向の上流側に圧搾領域R50が位置しているため、清掃シート1がよれ難くなる。また、清掃具200を第2方向Wに移動させて拭き取り清掃をした際に上流側に位置する圧搾領域R50、非圧搾領域R55、及び下流側に位置する圧搾領域R50の順で清掃対象に触れる。清掃者が、清掃シート1を付けた清掃具200を繰り返し前後に動かすと、圧搾領域R50で汚れを掻き取り、非圧搾領域R55で汚れを拭き取り、これらが繰り返される。よって、粉塵の掻き取り及び拭き取りを効果的に行うことができる。
【0036】
圧搾領域R50は、非圧搾領域R55に隣接した第1圧搾領域R51と、第1圧搾領域R51よりも第2方向Wの外側に位置し、第1圧搾領域R51よりも圧搾部50の面積比率が高い第2圧搾領域R52と、を有する。面積比率は、清掃シート1の平面視における、単位面積当たりに占める圧搾部50の面積の比率である。圧搾領域R50が第1圧搾領域R51と第2圧搾領域R52とを有するため、清掃シート1の第2方向Wの内側から外側に向かって徐々に剛性が高くなる。よって、清掃シート1の第2方向Wに沿って拭き取った際に清掃面210との摩擦力に対して清掃シート1が伸び難く、清掃シート1のよれを抑制でき、清掃し続けることができる。
【0037】
第1圧搾領域R51における圧搾部50の面積比率と、第2圧搾領域R52における圧搾部50の面積比率と、の差は、少なくとも10%以上あってよく、好適には、30%以上であってよい。第1圧搾領域R51における圧搾部50の面積比率は、5%以上であってよく、好適には、30%以上50%未満であってよい。また、第2圧搾領域R52における圧搾部50の面積比率は、20%以上であってよく、好適には、50%以上75%以下であってよい。実施の形態においては、第1圧搾領域R51には、点状の圧搾部50が格子状に配置されており、第2圧搾領域R52には、点状の圧搾部50が第1方向及び第2方向に並ぶ直線状に配置されている。なお、点状の圧搾部50は、間欠的に配置された圧搾部50であればよく、円形の圧搾部のみならず、星形、ハート型等、図形の圧搾部も含む。
【0038】
圧搾領域R50は、第2方向Wにおいて清掃シート1の外端から非圧搾領域R55の端縁まで連続してよい。すなわち、圧搾領域R50の第2方向Wの外端は、清掃シートの第2方向Wの外端に一致し、圧搾領域R50の第2方向Wの内端は、非圧搾領域R55の第2方向Wの外端に一致し、圧搾領域R50の第2方向Wの外端と圧搾領域R50の第2方向Wの内端の間には、非圧搾領域R55が設けられていなくてよい。本構成によれば、シート中央部R1の第2方向Wの中心に対する第2方向Wの外側に、第2方向Wに連続した圧搾領域R50を配置でき、粉塵の掻き取り及び拭き取りを効果的に行うことができる。また、清掃シート1のシート中央部R1が清掃面210に対して第2方向Wにずれて配置された形態にあっても、シート中央部R1の第2方向Wの外端部に圧搾領域R50が配置され易く、拭き取り方向の上流側に位置する圧搾領域R50によって清掃シート1のよれを抑制できる。
【0039】
第2圧搾領域R52は、第2方向Wにおいて、清掃シート1の外端から内側に延び、第1圧搾領域R51は、第2方向Wにおいて、第2圧搾領域R52の外端から非圧搾領域R55の外端まで連続してよい。第1圧搾領域R51と第2圧搾領域R52は、第2方向Wに隣接してよく、好適には、第1圧搾領域R51の少なくとも一部の圧搾部50が、第2圧搾領域R52の圧搾部50に隣接してよい。本構成によれば、シート中央部R1の第2方向Wの外側から内側に向かって、第2圧搾領域R52、第1圧搾領域R51、及び非圧搾領域R55を配置し、これらの領域が連なっているため、清掃シート1の第2方向Wの内側から外側に向かって段階的に剛性を高くすることができる。清掃具200を第2方向Wに移動させて拭き取り清掃をした際に清掃シート1が伸び難く、清掃シート1のよれを抑制でき、清掃し続けることができる。
【0040】
清掃シート1は、清掃面210の第2方向Wの外端に沿って折り畳まれる折り目FLが形成されてよい。折り目FLは、シート中心仮想線1CWに対する第2方向Wの両側において、清掃シート1の第1方向Lの全域に亘って形成されてよい。本構成によれば、折り目FLは、取り付け時に清掃面210の第2方向Wの外端に位置合わせする指標となり、使用者は、折り目FLを指標として清掃面210に対する適切な位置に清掃シート1を取り付けることができる。折り目FLを有する清掃シート1は、一対の折り目FLによって挟まれた領域がシート中央部R1を構成してよい。一対の折り目FLによって挟まれた領域は、清掃面210の第2方向Wの長さに一致していてもよいが、清掃面210の第2方向Wの長さよりも所定長さ(例えば、10mm以下)分長くてよい。
【0041】
一対の折り目FLは、同じ面側に折り畳む折り目であってよい。すなわち、一対の折り目FLは、第1面11同士が向き合うように折り畳む折り目であってもよいし、第2面12同士が向き合うように折り畳む折り目であってもよい。一対の折り目FLが同じ面側に折り畳む折り目であることにより、清掃具200に清掃シート1を装着し易くなる。また、一対の折り目FLが同じ面側に折り畳む折り目であることにより、向かい合う面同士の間に清掃具200の清掃ヘッド201を配置することで、清掃シート1の折り癖によって清掃面210の第2方向Wの両端を挟むように装着でき、装着時の操作性を向上でき、また適切な位置に装着できる。一対の折り目FLによって折り畳まれた状態において、各折り目FLによって折り畳まれた部分は、互いに重ならないことが好ましい。すなわち、一対の折り目間がシート中央部R1を構成する場合、各シート側部R2は、折り畳まれた状態で互いに重なっていないことが好ましい。本構成によれば、折り畳まれた状態から折り畳まれた部分を展開する際に、折り畳まれた部分のそれぞれを掴んで展開し易くなり、装着時の操作性を向上できる。
【0042】
シート中央部R1の第2方向Wの外端は、第1圧搾領域R51に配置されてよい。本構成によれば、第1圧搾領域R51が清掃対象に触れ、圧搾部による凹部による粉塵の掻き取り性を確保しつつ、第1圧搾領域R51における凹部の面積率が比較的少ないため、拭き取り性を確保できる。また、シート側部R2は、清掃具200に係合する部分である。シート側部R2には、第2圧搾領域R52全体が配置されてよい。当該構成によれば、清掃具200に係合する部分の剛性が第2圧搾領域R52によって高められ、清掃具200に対するずれを抑制できる。好適には、第2圧搾領域R52は、取り付け状態において、清掃具200の係合部230に係合する位置に設けられてよい。
【0043】
第1圧搾領域R51の圧搾部50は、第2方向Wに延び、かつシート中央部R1の第2方向Wの外端を跨ぐ線状であってよい。第2方向Wに延びる構成は、第2方向Wと平行な構成のみならず、第2方向Wに対して45度未満で傾斜する構成も含む。また、線状の圧搾部は、連続した線状の構成のみならず、複数の圧搾部が所定間隔以下(例えば、5mm以下、好適には3mm以下)で並んで配置され、圧搾部の集合体が線状に配置された構成も含むものである。第1圧搾領域R51の圧搾部による凹部が第2方向Wに延びる線状であるため、第2方向Wの広い範囲で粉塵を掻き取ることができ、掻き取り性を向上できる。第1圧搾領域R51の圧搾部50がシート中央部R1の第2方向Wの外端を跨ぐため、シート中央部R1の第2方向Wの外端の剛性を高め、清掃中の清掃シート1のよれをより抑制できる。
【0044】
シート中央部R1の第2方向Wの長さに対する非圧搾領域R55の第2方向Wの長さの比率は、0.5以上であってよい。当該構成によれば、清掃対象に触れる面における非圧搾領域R55の面積が半分以上であるため、非圧搾領域R55による拭き取り性を向上できる。シート中央部R1の第2方向Wの長さに対する非圧搾領域R55の第2方向Wの長さの比率は、0.9未満であってよい。当該構成によれば、シート中央部R1の10%以上が圧搾領域R50となる。また、他の形態において、シート中央部R1の第2方向Wの長さに対する圧搾領域R50の第2方向Wの長さの比率は、0.5以上であってよい。本構成によれば、清掃対象に触れる面における圧搾領域R50の面積が半分以上であるため、圧搾領域R50による粉塵の掻き取り性を向上できる。ここで、圧搾領域R50の第2方向Wの長さは、各圧搾領域R50の第2方向Wの長さを合わせた合計長さである。
【0045】
中間層23は、圧搾領域R50と非圧搾領域R55に跨がって配置されてよい。第1層21、第2層22及び中間層23の3層が積層された領域を圧搾領域R50内に設けることで、清掃シート1の第2方向Wの内側から外側に向かって段階的に剛性を高くすることができる。変形例において、中間層23は、非圧搾領域R55のみに設けられてもよい。また、中間層23は、シート中央部R1及びシート側部R2に跨がって配置されてよい。シート中央部R1の第2方向Wの外端を跨がって中間層23が配置されているため、中間層23によってシート中央部R1の第2方向Wの外端の剛性を高めることができる。清掃具200を第2方向Wに移動させて拭き取り清掃をした際に清掃シート1が伸び難く、清掃シート1のよれを抑制でき、清掃し続けることができる。変形例において、中間層23は、シート中央部R1のみに設けられてもよい。
【0046】
圧搾部50は、第1層21、第2層22及び中間層23に形成されてよい。中間層23の第2方向Wの外端は、第1圧搾領域R51内に位置してよいし、第2圧搾領域R52内に位置してよい。本実施の形態の中間層23の第2方向Wの外端は、第2圧搾領域R52内に位置している。当該構成によれば、清掃シート1の第2方向Wの中央から外側に向かって、非圧搾領域R55、第1圧搾領域R51において中間層23が配置された領域、第2圧搾領域R52において中間層23が配置された領域、第2圧搾領域R52において中間層23が配置されていない領域の順で配置される。そのため、清掃シート1の第2方向の中央から外側に向かって、清掃シート1の厚みが薄くなる。清掃シート1の側部は、清掃具に係合する箇所であり、シートの厚みが薄いことで係合時に柔軟に変形させることができ、装着時の操作性を向上できる。一方、清掃シート1の第2方向Wの中央は、清掃対象に触れる面であり、清掃シート1の厚みが厚いことで、薬液を保持するシートにおいては薬液の保持容量を高め、薬液を保持しないシートにおいては、粉塵の掻き取り容量を確保できる。
【0047】
第2方向W及び第1方向Lにおいて、第1層21の外端及び第2層22の外端は、清掃シート1の外端に到達してよい。清掃シート1の全体に亘って第1層21と第2層22が配置され、1層のみ配置された領域が存在しない。1層のみが配置された領域を有すると、剛性が低い領域(1層のみが配置された領域)が局所的に形成され、当該剛性が低い領域における破断やよれが発生するおそれがある。しかし、清掃シート1の全体に亘って第1層21と第2層22が配置され、清掃シート1の剛性を確保できる。よって、当該剛性が低い領域に起因した破断やよれを抑制できる。本実施の形態では、第1方向Lにおいて、第1層21の外端、第2層22の外端、及び中間層23の外端は、清掃シートの外端に到達している。第2方向Wにおいて、第1層21の外端及び第2層22の外端は、清掃シート1の外端に到達し、中間層23の外端は、清掃シート1の外端に到達せずに、清掃シート1の外端よりも内側に位置している。
【0048】
図6は、
図4に示すC部分の拡大図である。
図4の断面においては、圧搾部50による凹みを示していないが、
図6の断面図においては、圧搾部50による凹みを示している。圧搾部50は、清掃シート1の厚み方向Tの全域に亘って形成されている。第1層21、第2層22及び中間層23には、圧搾部50によって厚み方向に凹んだ部分が形成されている。清掃シート1は、圧搾部50によって第1面11から第2面12側に凹む第1凹部57と、圧搾部50によって第2面12から第1面11側に凹む第2凹部58と、を有してよい。第1凹部57の深さD57と、第2凹部58の深さD58と、は異なってよい。本構成によれば、第1凹部57と第2凹部58の深さの違いによって、清掃シート1の第1面11と第2面12を使用者が触覚及び視覚で認識できる。粉塵の掻き取り性を高めたいときは、深い凹部を清掃対象に当てる等、使用する面を適宜選択して使用することができる。
【0049】
なお、第1凹部57は、第1層21のみに形成されていてもよいし、第1層21と中間層23に形成されていてもよい。また、第2凹部58は、第2層22のみに形成されていてもよいし、第2層22と中間層23に形成されていてもよい。本実施の形態では、第1凹部は、第1層21と中間層23に形成され、第2凹部58は、第2層22と中間層23に形成されている。
図6に示すように、第1凹部57の深さD57は、第1面11において圧搾部50が形成されていない部分と、第1凹部57の底部と、の厚み方向Tの距離であり、第2凹部58の深さD58は、第2面12において圧搾部50が形成されていない部分と、第2凹部58の底部と、の厚み方向Tの距離である。なお、第1凹部57の深さと第2凹部58の深さを比較する際は、厚み方向Tにおいて重なる凹部を比較する。すなわち、同一の圧搾部50によって形成された凹部の深さを比較する。
【0050】
本実施の形態の清掃シート1は、湿式であり、清掃用の薬液が含浸されている。薬液は、例えば、水、界面活性剤、アルコール、グリセリン等の成分を含んでよい。薬液は、清掃シート1重量(乾燥基準)当たり200重量%以上含浸されてよく、好適には、300重量%以上含浸されてよい。非圧搾領域R55における薬液含浸量は、圧搾領域R50における薬液含浸量よりも多くてよい。本構成によれは、圧搾領域R50における薬液の含浸量を多くすることで、面での拭き取り性を向上できる一方で、圧搾領域R50における薬液含浸量を少なくすることで清掃対象面との摩擦を抑制し、清掃時の操作性を向上できる。また、第2圧搾領域R52における薬液含浸量は、第1圧搾領域R51における薬液含浸量よりも少なくてよい。本構成によれば、第2圧搾領域R52における薬液含浸量が少ないことで、装着操作時に柔軟に変形させ、また装着操作時に手に薬液が付着しすぎることを抑制し、装着操作性を向上できる。一方、第1圧搾領域R51は、清掃対象に触れる面であり、清掃対象面との摩擦を抑制しつつ、清掃対象に薬液を付与できる。
【0051】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0052】
1 :清掃シート
11 :第1面
12 :第2面
21 :第1層
22 :第2層
23 :中間層
50 :圧搾部
57 :第1凹部
58 :第2凹部
200 :清掃具
210 :清掃面
R1 :シート中央部
R2 :シート側部
R50 :圧搾領域
R51 :第1圧搾領域
R52 :第2圧搾領域
R55 :非圧搾領域
FL :折り目
L :第1方向
W :第2方向
T :厚み方向