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特開2024-179702媒体処理装置、画像形成装置、及び画像形成システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179702
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】媒体処理装置、画像形成装置、及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20241219BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20241219BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
G03G15/00 432
B65H37/04 D
G03G21/00 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098751
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 涼香
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 勇介
(72)【発明者】
【氏名】廣野 雄祐
(72)【発明者】
【氏名】篠田 淳
(72)【発明者】
【氏名】東海枝 秀斗
(72)【発明者】
【氏名】平田 聡
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 真悟
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直文
(72)【発明者】
【氏名】高山 亮太
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 賢裕
(72)【発明者】
【氏名】森永 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕史
(72)【発明者】
【氏名】野崎 航
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 日奈子
(72)【発明者】
【氏名】山田 淳
【テーマコード(参考)】
2H072
2H270
3F108
【Fターム(参考)】
2H072GA00
2H072GA08
2H072JA04
2H270KA57
2H270LC16
2H270PA42
2H270QB01
2H270ZC04
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA34
3F108HA36
(57)【要約】
【課題】ユーザの手動による綴じ処理において、綴じ位置の精度を向上させる媒体処理装置を提供する。
【解決手段】複数のシートを綴る綴じ手段と、綴じ手段による綴じ処理の実行可能位置に向けて、外部から、複数のシートを重ねて挿入可能にする開口部を有するシート挿入手段と、シート挿入手段に複数のシートを挿入したときの当該シートに対する実行可能位置を、外部から確認可能にする綴じ位置確認手段と、を備える媒体処理装置による。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の媒体を複数束ねてシート束を形成する媒体処理装置であって、
前記複数のシートを綴る綴じ手段と、
前記綴じ手段による綴じ処理の実行可能位置に向けて、外部から、前記複数のシートを重ねて挿入可能にする開口部を有するシート挿入手段と、
前記シート挿入手段に前記複数のシートを挿入したときの当該シートに対する前記実行可能位置を、外部から確認可能にする綴じ位置確認手段と、
を備えることを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
前記綴じ位置確認手段は、外装の一部を構成し、前記綴じ位置を外部から視認可能にする確認用外装である、
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記確認用外装は、前記実行可能位置と重なる位置において、前記綴じ処理が実行される綴じ位置を示す位置表示を有し、
前記開口部から挿入された前記シートに当該位置表示に重ねた状態を外部から視認可能とする、
請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記位置表示は、前記確認用外装の天面部分に設けられている、
請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記位置表示は、前記確認用外装の側面部分に設けられている、
請求項3又は4に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記位置表示は、前記綴じ処理が可能な複数の綴じ位置に対応して複数箇所に設けられている、
請求項3に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記綴じ手段は、前記位置表示の種類に連動して前記綴じ処理の種類を変更可能である、
請求項6に記載の媒体処理装置。
【請求項8】
前記確認用外装は、透明又は不透明を切り替え可能な調光フィルムを一部に有し、
前記シートの位置が、前記実行可能位置にあるときに透明化する、
請求項2に記載の媒体処理装置。
【請求項9】
前記シート挿入手段に挿入された前記シートを検知するシート検知手段と、
当該シートの一部が前記実行可能位置に至ったことを報知する報知手段と、
を備える、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項10】
前記開口部の端部に、前記シートに対する前記綴じ処理が実行されたときの、当該シートにおける綴じ位置を視認とする表示を備える、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項11】
筐体と、
前記筐体に収容されてシート状の媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記筐体に着脱可能に支持されて、前記画像形成手段によって画像が形成された前記媒体に対し綴じ処理を実行する請求項1に記載の媒体処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
シート状の媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置に接続された請求項1に記載の媒体処理装置と、
を備える画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置、画像形成装置、及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の媒体を処理対象として、所定の処理を行う媒体処理装置が知られている。また、シート状の媒体に画像を形成する画像形成装置の筐体内に、媒体処理装置に相当する機能ユニットを組み込んだ画像形成装置や、媒体処理装置と画像形成装置とを連結させて構成される画像形成システムも知られている。
【0003】
媒体処理装置において実行可能な所定のシート処理(画像形成処理の後工程に該当するため「後処理」と称されることがある。)には、複数の種類が知られている。例えば、媒体であるシートを複数枚束ねて綴る「綴じ処理」や、シートに孔を穿つ穿孔処理などが知られている。
【0004】
綴じ処理には、画像形成後のシートの端部を整合し、整合された端部を綴じてシート束として排出する「オンライン綴じ」の他、画像形成後のシートを排出トレイなどに排出し、排出されたシートをユーザが束ねて綴じ処理を行う「オフライン綴じ」も知られている。
【0005】
オフライン綴じ処理を実行するときに、シート束を綴じ位置に設置する作業はユーザが手動で行うので、シート束が綴じ位置にあることをユーザが確認しながら作業を行う必要がある。従来技術として、ユーザが綴じ位置を確認しながら綴ることができるようすることを目的とし、透明な窓部を使用する構成を備えるものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されているものによれば、オフライン綴じを実行する際に、ユーザはシート束の位置は確認できるが、綴じ処理を実行した際のシート束に対する綴じ位置を確認することはできない。したがって、従来技術を用いてオフライン綴じを行うときは、画像が形成されている位置と綴じ位置が重なり、完成したシート束の質にも影響を与えることが懸念される。すなわち、従来技術では、シート束に対する綴じ位置の位置関係の精度を向上させる点において、課題がある。
【0007】
本発明は、ユーザの手動による綴じ処理において、綴じ位置の精度を向上させる媒体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、シート状の媒体を複数束ねてシート束を形成する媒体処理装置に関し、前記複数のシートを綴る綴じ手段と、前記綴じ手段による綴じ処理の実行可能位置に向けて、外部から、前記複数のシートを重ねて挿入可能にする開口部を有するシート挿入手段と、前記シート挿入手段に前記複数のシートを挿入したときの当該シートに対する前記実行可能位置を、外部から確認可能にする綴じ位置確認手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザの手動による綴じ処理において、綴じ位置の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る画像形成装置の実施形態としてのMFPの例を示す外観図。
図2】本発明に係る画像形成装置の実施形態としてのMFPの別例を示す外観図。
図3】本実施形態に係るMFPの例に対応する機能ブロック図。
図4】本実施形態に係るMFPの別例に対応する機能ブロック図。
図5】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの機能ブロック図。
図6】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの基本的な構成を例示する概略構成図。
図7】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの基本的な構成の別例を示す概略構成図。
図8】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの基本的な構成の別例を示す概略構成図。
図9】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの特徴的な構成の例を示す構成図。
図10】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの特徴的な構成の別例を示す構成図。
図11】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの特徴的な構成の別例を示す構成図。
図12】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの特徴的な構成の別例を示す構成図。
図13】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの特徴的な構成の別例を示す構成図。
図14】本実施形態に係る綴じ処理ユニットに対応する位置表示の例を示す図。
図15】本実施形態に係る綴じ処理ユニットに位置表示の設置例を示す図。
図16】本実施形態に係る綴じ処理ユニットに位置表示の別の設置例を示す図。
図17】本実施形態に係る綴じ処理ユニットに位置表示の別の設置例を示す図。
図18】本実施形態に係る綴じ処理ユニットに位置表示の切り替え構成別を示す図。
図19】本実施形態に係る綴じ処理ユニットが備える位置表示の切り替え構成を説明する図。
図20】本実施形態に係る綴じ処理ユニットが備える位置表示の設置例を示す図。
図21】本実施形態に係る綴じ処理ユニットが備える位置表示の切り替え構成の別例を説明する図。
図22】本実施形態に係る綴じ処理ユニットの特徴的な構成の別例を示す構成図。
図23】本実施形態に係る綴じ処理ユニットに位置表示の別の設置例を示す図。
図24】本実施形態に係る綴じ処理ユニットに位置表示の別の設置例を示す図。
図25】本実施形態に係る綴じ処理ユニットに位置表示の別の設置例を示す図。
図26】本実施形態に係る綴じ処理ユニットに位置表示の利用例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[画像形成装置の実施形態]
まず、本発明に係る画像形成装置の実施形態としてのMFP1について、図面を参照しながら説明する。図1及び図2は、本実施形態に係るMFP1の外観図である。MFP1は、シート状の媒体としてのシートS(典型的には、用紙である。)に画像を形成する画像形成機能と、画像が記録されたシートSに対して所定のシート処理(後処理)を実行する後処理機能と、を備える装置である。
【0012】
図1に示すように、MFP1は、主に、筐体301と、筐体301の内部において画像形成部300を備える。筐体301は、MFP1の構成部品を収容する内部空間が形成された箱状である。また、筐体301には、MFP1の外部からアクセス可能な胴内空間302が形成されている。胴内空間302は、筐体301の外側壁が切り欠かれ、外部に露出されている部位であって、例えば、筐体301の上下方向の中央よりやや上方に位置している。
【0013】
胴内空間302には、オプション機能を付加するオプションユニットとして、穿孔処理を可能とする穿孔処理ユニット200や、複数のシートSを束ねて綴る綴じ処理を可能とする綴じ処理ユニット100を、取り付け可能になっている。なお、綴じ処理ユニット100は、本発明に係る媒体処理装置の実施形態に相当するものとする。
【0014】
画像形成部300は、シート収容トレイからピックアップして搬送されてきたシートSを、穿孔処理ユニット200、綴じ処理ユニット100に排出する。画像形成部300は、インクを用いて画像を形成するインクジェット方式でもよいし、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式でもよい。画像形成部300の構成は既に周知なので、詳細な説明は省略する。
【0015】
穿孔処理ユニット200は、画像形成部300から綴じ処理ユニット100に至るシートSの搬送経路(図1に破線の矢印で示す経路)のうち、画像形成部300よりも下流側で且つ綴じ処理ユニット100よりも上流側において、MFP1の胴内空間302に取り付けられる。すなわち、MFP1の例では、画像形成部300によって画像が形成されたシートSは、まず穿孔処理ユニット200に引き渡されて所定のパンチ穴形成処理が実行され、その後に綴じ処理ユニット100に引き渡されて後述する綴じ処理が実行される。
【0016】
なお、穿孔処理ユニット200は、MFP1に着脱可能に構成されている。穿孔処理ユニット200が取り外されると、図2に例示する状態になる。この場合、画像形成部300によって画像が形成されたシートSは、綴じ処理ユニット100に直接引き渡されて綴じ処理が施される。なお、胴内空間302の穿孔処理ユニット200が取り外された位置には、シートSに任意の処理を施す他の処理ユニットを取り付け可能とする。
【0017】
[画像形成装置を含む媒体処理装置の制御構成]
次に、綴じ処理ユニット100を含むMFP1の制御構成について図3を用いて説明する。図3は、穿孔処理ユニット200が取り外された状態のMFP1の制御構成を例示する図である。
【0018】
図3においてシートSの搬送経路(シートSの流れ)を破線矢印で表し、通信信号(制御信号)の経路(信号の流れ)を実線矢印で表している。
【0019】
MFP1は、ユーザに各種機器の状態や操作内容を知らせるための表示部303、ユーザがモードや部数等の設定操作を行うための操作部304、シートSをストックして一枚毎に分離給送する給紙部305と、を備える。また、MFP1は、図3において図示を省略している感光体に潜像を形成しシートSへ画像を転写させる作像部306、シートSに転写された画像を定着させる定着部307を備える。さらに、MFP1は、上記の各部の動作を制御する画像形成制御部308を備えている。
【0020】
媒体処理装置の実施形態としての綴じ処理ユニット100は、MFP1の画像形成制御部308から通信ライン309を通じて綴じ処理制御部102に処理の指示がされ、綴じ処理部101にて指定されたシートSに指定された処理を行う。
【0021】
各連結された画像形成制御部308及び綴じ処理制御部102は通信ライン309で繋がり、情報のやり取りを可能になっている。これにより、動作モードに関する情報、シートSサイズ、タイミング等の情報がやり取りされシステム動作が可能となっている。
【0022】
穿孔処理ユニット200が取り付けられた状態のMFP1の制御構成例は図4に示す。図4においてもシートSの搬送経路(シートSの流れ)を破線矢印で表し、通信信号(制御信号)の経路(信号の流れ)を実線矢印で表している。
【0023】
MFP1が、表示部303、操作部304、給紙部305を備える点は同様である。また、作像部306や画像形成制御部308も同様に備える。
【0024】
媒体処理装置の実施形態としての綴じ処理ユニット100は、MFP1の画像形成制御部308から通信ライン309を通じて綴じ処理制御部102に処理の指示がされ、綴じ処理部101にて指定されたシートSに指定された処理を行う。綴じ処理部101には、穿孔処理部201を介してシートSへの処理内容の指定情報が通知される。
【0025】
各連結された画像形成制御部308及び綴じ処理制御部102は通信ライン309で繋がり、情報のやり取りを可能になっている。これにより、動作モードに関する情報、シートSサイズ、タイミング等の情報がやり取りされシステム動作が可能となっている。
【0026】
穿孔処理ユニット200は、MFP1の画像形成制御部308から通信ライン309を通じて綴じ処理制御部102に処理の指示がされ、通信ライン103を通じて綴じ処理制御部102から、穿孔処理制御部202へと指示がされる。穿孔処理制御部202は、指示された穿孔処理を実行するように、穿孔処理部201を制御する。
【0027】
[MFP1のハードウェア構成]
次に、MFP1に含まれる綴じ処理ユニット100のハードウェア構成について、図5を用いて説明する。なお、穿孔処理ユニット200を含むハードウェア構成については、説明を省略する。図5に示すように、綴じ処理ユニット100はコントローラとしてのCPU110を備え、I/F(インターフェース)120を介して各機構の動作のための動力源となる複数のモータに接続されている。CPU110は演算手段であり、綴じ処理ユニット100全体の動作を制御している。
【0028】
綴じ処理ユニット100内のCPU110はI/F120を介してMFP1の画像形成制御部308と接続され、MFP1からの処理信号に応じて綴じ処理ユニット100の制御を行っている。綴じ処理ユニット100もオプション装置であるため、着脱が可能なハード構成となっている。
【0029】
なお、画像形成部300と綴じ処理ユニット100との接続を行うI/F部分は、例えば中継コネクタやドロアコネクタによりハード的に着脱が可能な構成となっている。なお、穿孔処理ユニット200と画像形成部300との接続を行うI/F部分も同様の構成からなる。
【0030】
綴じ処理ユニット100における綴じ処理を実行するための複数の搬送ローラ対を駆動する駆動モータには、各モータの駆動量をパルス数で検知できるエンコーダが付いている。したがって、特定のタイミングを起点に特定の駆動量の位置で搬送ローラ対を駆動及び停止させることができ、シートSを所定の方向に所定量の搬送を行う制御を実現できるように構成されている。
【0031】
また搬送路上のセンサをONまたはOFFしたタイミングを基点にしてエンコーダパルスを計測し、このエンコーダパルスに基づいて各モータの駆動量を算出することができる。そして、この算出された駆動量に基づいて、搬送しているシートSの端の位置を検出することができる。
【0032】
図5に例示するように、綴じ処理ユニット100は、CPU110に対しI/F120を介して、搬送モータ151、排出モータ152、綴じユニット移動モータ153、液体付与ユニット移動モータ154、液体付与モータ155、圧着モータ156、搬送センサ157、排出センサ158、綴じユニット位置センサ159、液体付与ユニット位置センサ160、昇降センサ161、液体量センサ162、スライドプレートセンサ29、調光フィルム30、シート束センサ31、スピーカ311など、が接続されている。
【0033】
[綴じ処理ユニット100の構成]
次に本実施形態に綴じ処理ユニット100の構成について、図面を参照しながら説明する。図6(a)は、綴じ処理ユニット100の平面図である。図6(b)は、綴じ処理ユニット100の断面図である。図6では、綴じ処理ユニット100として、綴じ針を使用してシート束の端部を綴る「針綴じ」のための針綴じユニット19のみを表している。
【0034】
なお、後述するとおり、綴じ処理ユニット100が手動綴じ処理に用いることができる綴じユニットは、針綴じユニット19に限定されない。綴じ針を用いることなく、加圧によってシート束Sbの一部を変形させることで綴る圧着綴じを実行可能な圧着綴じユニット26も用いることができる。そして、図7に例示するように、綴じ処理ユニットとして、針綴じユニット19と圧着綴じユニット26を含むハイハイブリット構成も可能である。
【0035】
また、図8に例示するように、綴じ処理ユニット100として、綴じ針を使用せずにシート束Sbの端部を加圧して変形させることで綴る「圧着綴じ」のための圧着綴じユニット26のみで構成されるものもある。
【0036】
すなわち、以下の説明に例示する綴じ処理ユニット100は、図示しているか否かに関わらず、針綴じユニット19のみを備えるもの、圧着綴じユニット26のみを備えるもの、又は、これらを合わせて備えるハイブリット構成のいずれのものも適用可能である。
【0037】
図6(b)に示すように、綴じ処理ユニット100の構成を収容する筐体の外装25(筐体の一部)には、マニュアルステープル用のスリット23が設けられている。スリット23は、外装25の一部に設けた開口部からシート束Sbをユーザが挿入することができる空間に相当し、シート挿入手段を構成する。なお、図7及び図8においてスリット23を含むマニュアルステープル処理に用いられる構成の図示は省略している。
【0038】
綴じ処理ユニット100は、複数の動作モードを設定可能であって、設定された動作モードに基づいて適宜動作するように構成されている。綴じ処理ユニット100が備える動作モードとして、例えば、上流(画像形成部300)から排出トレイ20に至るまで、シートSに対する綴じ処理を行わずに搬送し排出する「シフト排出モード」と、針綴じユニット19や圧着綴じユニット26によりシートSに綴じ処理を行う「綴じモード」がある。
【0039】
シフト排出モードの場合は、MFP1から搬送されたシートSを入口ローラ11で受け入れて、排出ローラ16まで搬送し、排出トレイ20に排出する。
【0040】
綴じモードの場合は、MFP1から搬送されたシートSを入口ローラ11で受け入れ、シフトローラ13まで第一方向に向けて搬送をして、シフトローラ13をシートSが抜けたとき、叩きコロ15を駆動させて内部トレイとしての積載トレイ17にシートSを載置する状態にする。その後、叩きコロ15及び戻しコロ14の動作によって、積載トレイ17の終端方向にシートSを搬送する。このときシートSの端部を整合させるための基準フェンス18に向けて搬送される。
【0041】
また、綴じモードの場合、上記のシートSを積載トレイ17に積載して基準フェンス18まで搬送する動作を綴じ枚数に至るまで繰り返して実行する。そして、最終のシートSが基準フェンス18に搬送されたところで、針綴じユニット19や圧着綴じユニット26などの綴じユニットよりシートSの束(シート束Sb)の端部を閉じて綴じ処理を実行する。綴じられたシート束Sbは、排出ローラ16によって、排出トレイ20へと排出される。
【0042】
なお、排出トレイ20に排出されたシートS又はシート束Sbは、エンドフェンス21に、シートS又はシート束Sbの端部を突き当てることで整合される。
【0043】
スリット23にシート束Sbを挿入し、ユーザが、綴じ処理ユニット100の外装25の一部に設けられている処理開始ボタン24を押下することで、針綴じ処理又は圧着綴じ処理が実行される。処理開始ボタン24は、手動綴じ処理の開始を指示する操作手段に相当する。
【0044】
針綴じユニット19又は圧着綴じユニット26は、マニュアルステープルを実行する綴じ位置を、ホームポジション(初期位置)とすることもできる。すなわち、ユーザがシート束Sbをスリット23に挿入してセットした際に、シート束の位置決めのための突き当て部に、シート束の端部をそれぞれ突き当てたときのシート束に対する綴じ位置に相当する位置を、ホームポジションとすることができる。
【0045】
なお、シート束の位置決め構成として、例えば図6(a)に例示するように、シート束Sbが排出されるときの搬送方向に相当する方向を突き当てる部位としての搬送方向ストッパ25aと、シートSの搬送方向の直交方向である幅方向を突き当てる部位としての幅方向ストッパ25bを、と備える。スリット23に挿入されたシート束Sbを搬送方向ストッパ25aと幅方向ストッパ25bに突き当てた位置が綴じ位置になるように、搬送方向ストッパ25aと幅方向ストッパ25bの位置を調整して設置する。そして、搬送方向ストッパ25aと幅方向ストッパ25bにシート束Sbが付き当てられたときの、シート束Sbの端部を綴じ位置に設定するように、綴じユニットのホームポジションを設定する。これらを設定することにより、綴じ処理ユニット100の動作開始時の位置においてマニュアルステープル処理を実行することができる。
【0046】
なお、図7の例では、綴じ処理ユニット100の奥側に圧着綴じユニット26が配置され、手前側に針綴じユニット19が配置されているが、各綴じユニットの配置はこれに限定されるものではない。奥側に針綴じユニット19を配置し、手前側に圧着綴じユニット26を配置してもよい。
【0047】
ここで、本明細書にて用いる「奥側」とは、スリット23にシート束Sbを挿入する開口部において、長手方向側を手前側とした場合の反対側に相当する。すなわち、図7において図面に正対したときの上側に相当する。
【0048】
[綴じ処理ユニット100の第一実施形態]
図9(a)は、綴じ処理ユニット100の平面図であって、針綴じユニット19が、スリット23にシート束Sbが挿入されて搬送方向ストッパ25aと幅方向ストッパ25bに付き当てられたときの端部の位置にあり、すぐに手動綴じ処理を実行可能な状態を例示している。図9(b)は、針綴じユニット19が、スリット23にシート束Sbが挿入されたときに、搬送方向ストッパ25aと幅方向ストッパ25bに付き当てられたときの端部の位置がある範囲外にあり、手動綴じ処理を実行するときには、綴じ位置まで針綴じユニット19を移動させなければならない状態を例示している。すなわち、図9(b)に示す状態は、針綴じユニット19が綴じ処理ユニット100の奥側に移動している状態に相当する。
【0049】
図9(c)は、綴じ処理ユニット100の外装を含む正面から見た図を示している。図9(c)において斜線で示し矩形部分は、外装正面側の一部に透明部材を設けた確認用外装としての透明プレート27である。透明プレート27は、スリット23の綴じ位置周辺の状態を外装25の外部から視認可能にするための部材であって、綴じ位置確認手段を構成する。
【0050】
図9(c)に例示するように、透明プレート27は、綴じ処理ユニット100の手前側(正面側)から、針綴じユニット19がシート束Sbに対して綴じ処理を実行可能するときの、シート束Sbに対する綴じ位置を事前に視認できるようにする部材である。
【0051】
[綴じ処理ユニット100の第二実施形態]
図10(a)は、綴じ処理ユニット100の俯瞰図であって外装を含む図である。図10(b)は、綴じ処理ユニット100の俯瞰図であって外装を透過して見た状態の図である。図10に示すように、綴じ処理ユニット100の天面を含む外装の一部を透明プレート27にすることにより、綴じ処理ユニット100の天面側から、スリット23の綴じ位置周辺の状態を確認することができる。
【0052】
図11は、綴じ処理ユニット100の斜視図である。図11に示すように、確認用外装としての透明プレート27を綴じ処理ユニット100の外装の天面部分と側面部分を一続きの構成にすることで、天面側と正面側(側面側)のいずれの方向からであっても、スリット23内部の綴じ処理が実行され得る位置(実行可能位置)を視認することができる。これによって、スリット23に挿入したシート束Sbに対する綴じ位置を視認しながら、手動綴じ処理を確実に実行することができる。
【0053】
[綴じ処理ユニット100の第三実施形態]
図12は、綴じ処理ユニット100の斜視図である。図11に示すように、透明プレート27を綴じ処理ユニット100の外装の天面部分と側面部分において、別々に設けた構成にすることもできる。図12に例示する構成であっても、図11に例示したものと同様に、天面側と正面側(側面側)のいずれの方向からも、スリット23内部の綴じ処理が実行され得る位置(実行可能位置)を視認することができる。これによって、スリット23に挿入したシート束Sbに対する綴じ位置を視認しながら、手動綴じ処理を確実に実行することができる。
【0054】
なお、図10図11図12に例示したように、スリット23の開口部周辺(スリット部周辺)の全体を透明プレート27にしないほうが望ましい。仮に、開口部全体が透明部材によって構成されると、スリット23の内部(奥側)にシート束Sbの挿入を光学的に検知するシート検知手段を設けた場合、外乱光の影響を受けることがあり、誤検知を起こす可能性がある。これに対し、本実施形態に係る綴じ処理ユニット100のように、綴じ位置周辺の必要最低限の範囲にのみ透明部材を用いることで、外乱光の影響を排除することができる。
【0055】
[綴じ処理ユニット100の第四実施形態]
透明プレート27を設けた綴じ処理ユニット100において、さらに別の実施形態を説明する。例えば、図13に例示するように、手動綴じ処理対象のシート束Sbをスリット23に挿入したときに位置決めされる綴じ位置に対応する位置を外部から視認可能にするために、透明プレート27に対して、綴じ位置に重なる位置に視認可能にする位置表示を設ける。
【0056】
図13(a)に例示するように、透明プレート27の天面部分に位置表示としてのマーキング271を設ける。マーキング271は、透明プレート27に付された図形であって、例えば、綴じ位置に沿う形の線分によって表される。
【0057】
図13(b)は、綴じ処理ユニット100を右側方から見た断面図である。図13(b)に示すように、マーキング271は、スリット23に挿入されたシート束Sbの幅方向の端部を幅方向ストッパ25bに突き当てたときの綴じ位置に対応するように設ける。
【0058】
図13(c)は、透明プレート27の天面部分に位置表示としてのマーキング271を設けたときに、スリット23にシート束Sbを挿入した状態の俯瞰図である。図13(c)は、手動綴じ処理を行うユーザがスリット23にシート束Sbを挿入して、搬送方向ストッパ25aと幅方向ストッパ25bにそれぞれ突き当てた状態にしたときの様子を示している。
【0059】
図13(c)に示すように、シート束Sbの手動綴じ処理における位置決めをしたときに、透明プレート27を介して外部から視認可能な範囲(図中点線で示した矩形領域)に、綴じ位置を示す位置表示としてのマーキング271が存在している状態になる。したがって、処理開始ボタン24を押下しようとするユーザが、綴じ処理ユニット100の正面側からスリット23にシート束Sbを挿入し、上面(天面)側から処理開始ボタン24を視界に含みながら操作するとき、上方向から綴じ位置を見下ろす形で、マーキング271の位置を確認することで、綴じ位置を事前に把握することができる。すなわち、マーキング271とシート束Sbとの重なりを視認しつつ、綴じ処理が行われる位置(綴じ位置)確認することができる。
【0060】
なお、綴じ位置を視認する段階においては、綴じユニット(針綴じユニット19または圧着綴じユニット26)がスリット23の範囲(スリット部)にあると、マーキング271とシート束Sbの間を遮ってしまい綴じ位置の事前確認ができない状況になる。そこで、綴じ位置を視認する段階においては、図9(b)に例示したように、綴じユニットをスリット外部の綴じ処理ユニット100の奥側に移動させた状態にする。
【0061】
[綴じ処理ユニット100の第五実施形態]
マーキング271を設けた透明プレート27を備える綴じ処理ユニット100に関し、さらに別の実施形態を説明する。例えば、図14に例示するように、マーキング271を綴じ処理の種類に応じて変更することもできる。
【0062】
綴じ処理ユニット100において実行可能な綴じ処理は、針綴じ処理(針有り綴じ処理)、圧着綴じ処理(針無し綴じ処理)を問わず、複数の綴じ方がある。たとえは、図14(a)に示すように、シート束Sbの端部に沿って綴る「端綴じ」の場合、透明プレート27の矩形に沿った線分として表すマーキング271を設ける。
【0063】
また、図14(b)に示すように、シート束Sbの端部に対して傾斜した位置を綴る「斜め綴じ」の場合、透明プレート27の矩形の端部に対して傾斜した線分として表すマーキング271を設ける。
【0064】
また、図14(c)に示すように、圧着綴じの場合は、圧着される部分を線分として表すマーキング271を設ける。
【0065】
なお、綴じ処理の種類や綴じ方に関わらず、図14(d)に示すように、複数の綴じ処理に対応する範囲を矩形として表すマーキング271を設けることもできる。
【0066】
[綴じ処理ユニット100の第六実施形態]
マーキング271を設けた透明プレート27を備える綴じ処理ユニット100に関し、さらに別の実施形態を説明する。例えば、図11図12に例示した透明プレート27に対応するように、マーキング271を設けることもできる。
【0067】
図15(a)は、図11に例示した透明プレート27に対してマーキング271を設ける例である。図15(b)は、図15(a)に対応する側方断面図である。
【0068】
図15(c)は、図12に例示した透明プレート27に対してマーキング271を設ける例である。図15(d)は、図15(c)に対応する側方断面図である。
【0069】
いずれも、シート束Sbの手動綴じ処理における位置決めをしたときに、透明プレート27を介して、外部から視認可能な範囲、綴じ位置を示す位置表示としてのマーキング271が存在している。したがって、処理開始ボタン24を押下しようとするユーザが、綴じ処理ユニット100の正面側からスリット23にシート束Sbを挿入し、上面(天面)側から処理開始ボタン24を視界に含みながら操作するとき、上方向から綴じ位置を見下ろす形でスリット23の内部を視認することができる。すなわち、マーキング271とシート束Sbとの重なりを視認しつつ、綴じ処理が行われる位置(綴じ位置)確認することができる。
【0070】
[綴じ処理ユニット100の第七実施形態]
マーキング271を設けた透明プレート27を備える綴じ処理ユニット100に関し、さらに別の実施形態を説明する。例えば、図16に例示するように、図12に例示した透明プレート27に対応するように、側面部分の透明プレート27に対してマーキング271を設けることもできる。
【0071】
図16(a)に示すように、側面の透明プレート27に対するマーキング271は、スリット23に挿入されたシート束Sbに対し、綴じユニット(針綴じユニット19、圧着綴じユニット26)が綴じ処理を実行する位置を、シート束Sbの幅方向から視認可能にする。
【0072】
これによって、シート束Sb端部からどの程度内側に入った位置が綴じ位置に相当するのかを、ユーザが容易に視認できるようになる。
【0073】
なお、側面側の透明プレート27にマーキング271を設ける場合には、シート束Sbに対する綴じ位置にマーキング271が正しく重なるように、透明プレート27を覗く角度を指定したほうがよい。そこで、図16(b)に示すように、側面側の透明プレート27に加え、スリット23の天面部の一部にも透明プレート27と同様の構成を用いて、そこにマーキング271を設ける。側面側から綴じ位置を視認するとき、側面側の透明プレート27に設けられたマーキング271の先に、天面部側の透明プレート27に設けられたマーキング271が重なるように見えるときは、正しい角度から見ていることになる。これにより、間違った位置(角度)から綴じ位置を視認することを防止できる。
【0074】
[綴じ処理ユニット100の第八実施形態]
マーキング271を設けた透明プレート27を備える綴じ処理ユニット100に関し、さらに別の実施形態を説明する。例えば、図11図12に例示した透明プレート27の側面部側に対して、図16を用いて説明したものと同じ、マーキング271を設けることもできる。
【0075】
図17(a)は、図11に例示した透明プレート27の側面側に対してマーキング271を設ける例である。図17(b)は、図17(a)に対応する側方断面図である。
【0076】
図17(c)は、図12に例示した透明プレート27の側面側に対してマーキング271を設ける例である。図17(d)は、図17(c)に対応する側方断面図である。
【0077】
いずれのものも、シート束Sbの手動綴じ処理における位置決めをしたときに、透明プレート27を介して、外部から視認可能な範囲、綴じ位置を示す位置表示としてのマーキング271が存在している。したがって、処理開始ボタン24を押下しようとするユーザが、綴じ処理ユニット100の正面側からスリット23にシート束Sbを挿入し、側面(正面)側からスリット23の内部を視認しつつ、スリット23の上位にある処理開始ボタン24を操作するとき、側方からの形でスリット23の内部を視認することができる。
【0078】
この場合、側面側の透明プレート27にマーキング271が、シート束Sbの綴じ位置に正しく重なるように、透明外装を覗く角度を指定する必要がある。そこで、図17(b)及び図17(d)に示すように、側面側の透明プレート27に加え、スリット23の天面部の透明外装に対してもマーキング271を設ける。この天面部側のマーキング271は、側面部のマーキング271から正しい角度で見た場合に綴じ位置に対応する位置に重なって見える位置に設ける。これにより、間違った位置(角度)から綴じ位置を視認することを防止でき、マーキング271とシート束Sbとの重なりを視認しつつ、綴じ処理が行われる位置(綴じ位置)確認することができる。
【0079】
[綴じ処理ユニット100の第九実施形態]
次に、綴じ処理ユニット100のさらに別の実施形態について説明する。図18(a)は、本実施形態に係る綴じ処理ユニット100の斜視図である。図18(b)は、本実施形態に係る綴じ処理ユニット100の平面図である、
【0080】
図18に示すように、確認用外装としての透明プレート27に対して摺動する透明スライドプレート28を設ける。そして、透明スライドプレート28には、異なる綴じ処理の仕方に対応する綴じ位置を示すマーキング271を複数設ける。
【0081】
例えば、図18に例示しているものは、端綴じに合致するマーキング271を斜め綴じ合致するマーキング271のそれぞれに対応するマーキング271を透明スライドプレート28に設けている。
【0082】
図19(a)及び(b)は、本実施形態に係る透明スライドプレート28を示す断面図である。図19(c)は、本実施形態に係る透明スライドプレート28の斜視図である。図19に示すように、透明スライドプレート28は、ユーザが手動にて摺動可能とするための把持部281を有する板状の部材であって、透明の部材から構成されている。把持部281を把持して透明スライドプレート28を透明プレート27に対して摺動させることで、透明スライドプレート28に設けられているマーキング271を綴じ方法に対応するものへと変更することができる。
【0083】
すなわち、図19(a)に示す状態のときは、端綴じ用のマーキング271が綴じ位置に対応する位置になる。図19(b)に示す状態のときは、斜め綴じ用のマーキング271が綴じ位置に対応する位置になる。
【0084】
なお、マーキング271を変更する方法は、透明スライドプレート28のように複数のものを設けておいて位置を変更させる構造に限定されない。例えば、図20に示すように、マーキング271を設けた透明プレート27自体をスナップフィットなどで嵌め込み及び取り外しが可能な状態にすることで任意に取り換え可能な構成としてもよい。
【0085】
すでに説明をした第七実施形態、第八実施形態のように、マーキング271を複数箇所に設ける場合は、いずれも本実施形態のように摺動可能な透明スライドプレート28を用いてもよいし、図20に例示した構造の透明プレート27に用いてもよい。
【0086】
いずれにおいても、本実施形態に係る綴じ処理ユニット100によれば、綴じ処理の仕方に応じて、綴じ位置を外部から視認可能にするマーキング271を用いることができるようになる。
【0087】
[綴じ処理ユニット100の第十実施形態]
次に、綴じ処理ユニット100のさらに別の実施形態について説明する。図21は、本実施形態に係る綴じ処理ユニット100の断面図である。図21に例示するように、透明スライドプレート28が摺動されて位置決めされるときに、複数のマーキング271のいずれの種類が綴じ位置に対応する位置に合致しているかを検知するための位置表示検知手段としてのスライドプレートセンサ29を備える。
【0088】
スライドプレートセンサ29は、透明スライドプレート28の摺動方向の終端となる位置に設置されていて、マーキング271の数に応じて設けられている。例えば、図21のように、透明スライドプレート28を一次元での摺動にした場合、一方の終端に至っていることを検知するための端綴じ検知スライドプレートセンサ29aと、他方の終端に至っていることを検知するための斜め綴じ検知スライドプレートセンサ29bが、それぞれ、透明スライドプレート28の摺動方向に配置されている。
【0089】
図21(a)に示すように、透明スライドプレート28が端綴じ検知スライドプレートセンサ29aの近傍側または接触する位置に至っているとき、綴じ位置に対応する位置には、端綴じ用のマーキング271が位置する状態になる。このとき、図22(a)に示すように、針綴じユニット19を端綴じ位置に移動させる。
【0090】
図21(b)に示すように、透明スライドプレート28が斜め綴じ検知スライドプレートセンサ29bの近傍側または接触する位置に至っているとき、綴じ位置に対応する位置には、斜め綴じ用のマーキング271が位置する状態になる。このとき、図22(b)に示すように、針綴じユニット19を斜め綴じ位置に移動させる。
【0091】
CPU110は、スライドプレートセンサ29からの検知信号に基づいて、端綴じ又は斜め綴じのいずれが選択されているかを判定することができる。この判定結果に基づいて、綴じ処理に制御をすることで、位置表示(マーキング271)の選択された種類に連動して。綴じ処理の種類(綴じ処理の仕方)を変更することができる。
【0092】
スライドプレートセンサ29は、透過型センサ、反射型センサ等、その形式は問わず、綴じ方法も端綴じ、斜め綴じに限定するものではない。スライドプレートセンサ29は、透明スライドプレート28を検知可能なものであればよい。
【0093】
[綴じ処理ユニット100の第十一実施形態]
次に、綴じ処理ユニット100のさらに別の実施形態について説明する。図23は、本実施形態に係る綴じ処理ユニット100の斜視図である。図23に例示するように、本実施形態に係る綴じ処理ユニット100は、透明プレート27の表面に調光フィルム30を設置し、手動綴じ処理が可能な状態のときのみ、調光フィルム30を透明化し、手動綴じ処理が不能な状態のときは、調光フィルム30を不透明化する。
【0094】
調光フィルム30は、通電によって透明度を変更できるフィルム状部材であって、印加電圧を行政することで、透明度を制御することができる部材である。例えば、通電時には不透明であり、非通電時は透明になる。
【0095】
図23(a)は、調光フィルム30に通電している状態(通電状態)を例示している。図23(b)は、調光フィルム30への通電をしていない(非通電状態)を例示している。
【0096】
例えば、図9(a)に例示したように、針綴じユニット19が手動綴じ処理における実行可能位置にあるときは、図24(a)に示すように、調光フィルム30に通電せずに透明な状態にする。これによって、綴じ位置を外部から視認可能とし、シート束Sbに対する綴じ位置を視認しながら手動綴じ処理を実行することができる。
【0097】
また、図9(b)に例示したように、針綴じユニット19が手動綴じ処理における実行可能位置にないとき、図24(b)示すように、調光フィルム30に通電をし、不透明な状態にする。これによって、ユーザは、手動綴じ処理の実行可能位置に針綴じユニット19が存在しないことを認識することができる。言い換えると、調光フィルム30が不透明であって、綴じ処理ユニット100による綴じ位置を確認不能な状態においては、手動綴じ処理を実行できない状態であると、ユーザは認識することができる。
【0098】
[綴じ処理ユニット100の第十二実施形態]
次に、綴じ処理ユニット100のさらに別の実施形態について説明する。第十実施形態において図23にて例示したように、手動綴じ処理が可能な位置に針綴じユニット19が移動した状態であるときに、綴じ位置を視認可能にすることで、ユーザに対して、手動綴じ処理の実行可否を報知することができる。
【0099】
ユーザへの報知手段は、上記に限定するものではない、例えば、スリット23の綴じ可能位置までシート束Sbが挿入されたことを検知したときに、音を発する報知手段を用いてもよい。例えば、搬送方向ストッパ25a及び幅方向ストッパ25bにシート束センサ31を設けておいて、これらにシート束Sbが突き当たったことを検知信号としてCPU110に出力するように構成しておく。
【0100】
シート束センサ31からの検知信号に基づいて、CPU110は、報知手段としてのスピーカ311から、手動綴じ処理が可能な状態に至ったことを、音を介してユーザに報知する。または、表示部303や操作部304などが音声出力機構を備えているときは、電子音や音声によって、手動綴じ処理が可能であることを報知できるようにしてもよい。
【0101】
[綴じ処理ユニット100の第十三実施形態]
次に、綴じ処理ユニット100のさらに別の実施形態について説明する。図25は、本実施形態に係る綴じ処理ユニット100の斜視図である。図25(a)は、本実施形態に係る綴じ処理ユニット100が備えるスリット23の開口部に相当する外装の一部に小規模スリット231が設けられている状態を示す斜視図である。図25(b)は、小規模スリット231の拡大斜視図である。図25(c)は、小規模スリット231の拡大平面図である。
【0102】
小規模スリット231は、スリット23が備えるシート束Sbの突き当て位置周辺と同等の形状を有し、天面に相当する部分に透明小プレート232を備えている。透明小プレート232には、マーキング271が設けられている。なお、「シート束Sbの突き当て位置周辺の形状」とは、搬送方向ストッパ25a及び幅方向ストッパ25bによって、端部を突き当てたときのシート束Sbに対する綴じ位置となる位置周辺に相当し、この位置と相似となる形状を意味している。
【0103】
開口部の一部に、小規模スリット231を設け、天面に相当する部分には、マーキング271を施した透明小プレート232を配置することで、スリット23にシート束Sbを挿入する前に、シート束Sbに対する綴じ位置を視認することができる。
【0104】
図26は、小規模スリット231にシート束Sbを挿入した時の状態を示す図である。図26(a)は、斜視図であって、図26(b)は平面図である。図26(a)に例示するように、小規模スリット231にシート束Sbの先端(綴じ処理を行いたい箇所)を挿入し、シート束Sbに対して、刻印が重なる位置(マーキング271が重なる位置)を確認することで、手動綴じ処理の前に、綴じ位置を確認することができる。
【0105】
このとき確認した位置が、スリット23にシート束Sbを挿入して手動綴じ処理を実行したときの綴じ位置に相当する。これにより、意図していない場所(画像や文字が印刷されている箇所等)に綴じ処理が行われないかを事前に確認することができる。
【0106】
以上説明をした各実施形態に係る綴じ処理ユニット100によれば、従来の手動綴じ処理では、胴内型媒体処理構成の場合に、綴じユニットが内部に位置することで、綴じ位置を視認しにくかった点を解決することができる。
【0107】
すなわち、従来構成では、シート束Sbに対し手動綴じを行うとき、画像形成位置に綴じ位置が重なるか否かを事前に確認することができず、画像形成位置を綴じてしまい、シート束の完成品質を低下させることもあった。この点、本実施形態に係る綴じ処理ユニット100は、手動綴じを実行するユーザが綴じ処理を行う前に、シート束Sbに対する綴じ位置を視認することができる。これによって、シート束Sbのどの位置に綴じ処理が行われるかを事前に確認できるので、画像形成位置を綴じてしまうことを防止できる。
【0108】
言い換えると、媒体処理装置において、一定の角度から内部を視た際に、シート束に綴じ予定位置が重なるような位置表示を設けた透明外装を設置することができるような構成にする。これによって、手動綴じ用スリット内部でのシート束位置と綴じ位置の関係性をユーザが確認できるようになり、手動綴じ処理時に、綴じ位置を詳細に確認しながら綴じ処理を実行でき、シート束に対する綴じ位置の精度を向上させることができる。
【0109】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0110】
本発明の内容は、例えば、以下のとおりである。
<1>
シート状の媒体を複数束ねてシート束を形成する媒体処理装置であって、
前記複数のシートを綴る綴じ手段と、
前記綴じ手段による綴じ処理の実行可能位置に向けて、外部から、前記複数のシートを重ねて挿入可能にする開口部を有するシート挿入手段と、
前記シート挿入手段に前記複数のシートを挿入したときの当該シートに対する前記実行可能位置を、外部から確認可能にする綴じ位置確認手段と、
を備えることを特徴とする媒体処理装置である。
<2>
前記綴じ位置確認手段は、外装の一部を構成し、前記綴じ位置を外部から視認可能にする確認用外装である、
ことを特徴とする前記<1>に記載の媒体処理装置である。
<3>
前記確認用外装は、前記実行可能位置と重なる位置において、前記綴じ処理が実行される綴じ位置を示す位置表示を有し、
前記開口部から挿入された前記シートに当該位置表示に重ねた状態を外部から視認可能とする、
前記<2>に記載の媒体処理装置である。
<4>
前記位置表示は、前記確認用外装の天面部分に設けられている、
前記<3>に記載の媒体処理装置である。
<5>
前記位置表示は、前記確認用外装の側面部分に設けられている、
前記<3>又は前記<4>に記載の媒体処理装置である。
<6>
前記位置表示は、前記綴じ処理が可能な複数の綴じ位置に対応して複数箇所に設けられている、
前記<3>乃至前記<5>のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
<7>
前記綴じ手段は、前記位置表示の種類に連動して前記綴じ処理の種類を変更可能である、
前記<6>に記載の媒体処理装置である。
<8>
前記確認用外装は、透明又は不透明を切り替え可能な調光フィルムを一部に有し、
前記シートの位置が、前記実行可能位置にあるときに透明化する、
前記<2>乃至前記<7>のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
<9>
前記シート挿入手段に挿入された前記シートを検知するシート検知手段と、
当該シートの一部が前記実行可能位置に至ったことを報知する報知手段と、
を備える、
前記<1>乃至前記<8>のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
<10>
前記開口部の端部に、前記シートに対する前記綴じ処理が実行されたときの、当該シートにおける綴じ位置を視認とする表示を備える、
前記<1>乃至前記<9>のいずれか一つに記載の媒体処理装置である。
<11>
筐体と、
前記筐体に収容されてシート状の媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記筐体に着脱可能に支持されて、前記画像形成手段によって画像が形成された前記媒体に対し綴じ処理を実行する前記<1>乃至前記<10>のいずれか一つに記載の媒体処理装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置である。
<12>
シート状の媒体に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置に接続された前記<1>乃至前記<11>のいずれか一つに記載の媒体処理装置と、
を備える画像形成システムである。
【符号の説明】
【0111】
1 :MFP
11 :入口ローラ
12 :搬送ローラ
13 :シフトローラ
14 :戻しコロ
15 :コロ
16 :排出ローラ
16a :排出駆動ローラ
16b :排出従動ローラ
17 :積載トレイ
18 :基準フェンス
18b :排出従動ローラ
19 :圧着ユニット
20 :排出トレイ
26 :液体付与ユニット
27 :液体付与ヘッド
31 :筐体
32 :画像形成手段
33 :胴内空間
100 :綴じ処理ユニット
101 :後処理部
102 :後処理制御部
110 :CPU
149 :噴霧口
151 :搬送モータ
152 :排出モータ
153 :ユニット移動モータ
154 :液体付与ユニット移動モータ
155 :液体付与モータ
156 :圧着モータ
157 :搬送センサ
158 :排出センサ
159 :ユニット位置センサ
160 :液体付与ユニット位置センサ
161 :昇降センサ
162 :液体量センサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0112】
【特許文献1】特開2018-167937号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26