(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179846
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/48 20100101AFI20241219BHJP
H01L 33/62 20100101ALI20241219BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20241219BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20241219BHJP
【FI】
H01L33/48
H01L33/62
H01L33/60
H01L33/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099085
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】参鍋 晋輔
(72)【発明者】
【氏名】松村 拓明
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA02
5F142BA32
5F142CA11
5F142CD02
5F142CE04
5F142CE16
5F142CG03
5F142CG24
5F142CG32
5F142DA14
5F142DB12
5F142DB13
5F142FA50
5F142GA31
(57)【要約】
【課題】光取り出し効率が高い発光装置を提供すること。
【解決手段】発光装置は、配線基板と、前記配線基板上に配置され、前記配線基板との間に空隙が存在するように、導電部材を介して配置される発光素子と、前記発光素子の側面を被覆し、前記配線基板と前記発光素子との間の空隙に配置される光反射性部材と、前記発光素子および前記光反射性部材の上方に配置される光学部材と、前記光反射性部材と前記光学部材との間に配置される接着部材であって、前記発光素子と前記光学部材との間に配置されない接着部材と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板上に配置され、前記配線基板との間に空隙が存在するように、導電部材を介して配置される発光素子と、
前記発光素子の側面を被覆し、前記配線基板と前記発光素子との間の空隙に配置される光反射性部材と、
前記発光素子および前記光反射性部材の上方に配置される光学部材と、
前記光反射性部材と前記光学部材との間に配置される接着部材であって、前記発光素子と前記光学部材との間に配置されない接着部材と、を有する、発光装置。
【請求項2】
前記発光素子は、紫外光を出射する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記光反射性部材の上面は、第1部分と、前記第1部分の外側に位置し前記第1部分よりも高さが低い第2部分と、を含む、請求項1または請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記発光素子と前記光学部材との間に配置される透光性部材を有し、
前記光反射性部材は、前記発光素子の側面および前記透光性部材の側面を被覆する、請求項1または請求項2に記載の発光装置。
【請求項5】
前記光学部材は、下面に平面を有し、
前記透光性部材は、上面に平面を有し、
前記光学部材の下面は、前記透光性部材の上面と接触する、請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記光学部材は、下面に反射防止膜を有する、請求項1または請求項2に記載の発光装置。
【請求項7】
前記光学部材は、上面に凸面を含む、請求項1または請求項2に記載の発光装置。
【請求項8】
上面視における前記配線基板の形状は、矩形であり、
前記光反射性部材は、前記発光素子の周囲に配置され、
前記接着部材は、前記光反射性部材の上面に、互いに離隔して複数配置される、請求項1または請求項2に記載の発光装置。
【請求項9】
上面視における前記配線基板の形状は、矩形であり、
前記光反射性部材は、前記発光素子の周囲に配置され、
前記接着部材は、前記光反射性部材の上面に、上面視で環状に連続して配置される、請求項1または請求項2に記載の発光装置。
【請求項10】
配線基板と、
前記配線基板上に配置される発光素子と、
第1部分と、前記第1部分の外側に位置し前記第1部分よりも高さが低い第2部分と、を上面に含み、前記発光素子の側面を被覆する光反射性部材と、
前記発光素子および前記光反射性部材の上方に配置される光学部材と、
前記光反射性部材の第2部分と前記光学部材との間に配置される接着部材であって、前記発光素子と前記光学部材との間に配置されない接着部材と、を有する、発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光装置の配光制御を目的に光学部材を有する発光装置が知られている。例えば、特許文献1には、光学部材が発光素子上に接着材を介して配置された発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発光装置は、光取り出し効率の観点で改善の余地がある。
【0005】
本開示に係る実施形態は、光取り出し効率が高い発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態に係る発光装置は、配線基板と、前記配線基板上に配置され、前記配線基板との間に空隙が存在するように、導電部材を介して配置される発光素子と、前記発光素子の側面を被覆し、前記配線基板と前記発光素子との間の空隙に配置される光反射性部材と、前記発光素子および前記光反射性部材の上方に配置される光学部材と、前記光反射性部材と前記光学部材との間に配置される接着部材であって、前記発光素子と前記光学部材との間に配置されない接着部材と、を有する。
【0007】
本開示の実施形態に係る発光装置は、配線基板と、前記配線基板上に配置される発光素子と、第1部分と、前記第1部分の外側に位置し前記第1部分よりも高さが低い第2部分と、を上面に含み、前記発光素子の側面を被覆する光反射性部材と、前記発光素子および前記光反射性部材の上方に配置される光学部材と、前記光反射性部材の第2部分と前記光学部材との間に配置される接着部材であって、前記発光素子と前記光学部材との間に配置されない接着部材と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の実施形態によれば、光取り出し効率が高い発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る発光装置の模式的上面図である。
【
図2】
図1のII-II線における模式的断面図である。
【
図3】実施形態に係る光反射性部材の上面形状の第1例を示す模式的断面図である。
【
図4】実施形態に係る光反射性部材の上面形状の第2例を示す模式的断面図である。
【
図5】実施形態に係る光反射性部材の上面形状の第3例を示す模式的断面図である。
【
図6】第1変形例に係る発光装置の模式的断面図である。
【
図7】第2変形例に係る発光装置の模式的断面図である。
【
図8】実施形態に係る発光装置の製造方法を示す第1図である。
【
図9】実施形態に係る発光装置の製造方法を示す第2図である。
【
図10】実施形態に係る発光装置の製造方法を示す第3図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態に係る発光装置について図面を参照しながら詳細に説明する。但し、以下に示す形態は、本実施形態の技術思想を具現化するための発光装置を例示するものであって、以下に限定するものではない。また、実施形態に記載されている構成部の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本開示の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさ、位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。また、以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており詳細説明を適宜省略する。
【0011】
また、以下の説明では、特定の方向や位置を示す用語(例えば「上」、「下」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。これらの用語は、参照した図面における相対的な方向や位置を、分かり易くするために用いているにすぎない。また断面図として、切断面のみを示す端面図を用いる場合がある。また、以下の説明において、「高い」とは、上方に位置することを意味し、「低い」とは上方の反対側に近いことを意味する。「高さ」とは、実施形態に係る基板の上面からの上方向の距離をいう。また、各部材の「厚さ」とは、上方向における各部材の上面と下面との間の距離の最大値を表す。
【0012】
<発光装置100の構成>
図1及び
図2を参照して、実施形態に係る発光装置100の構成について説明する。
図1は、発光装置100の模式的上面図である。
図2は、
図1のII-II線における発光装置100の模式的断面図である。
【0013】
図1及び
図2に示すように、発光装置100は、配線基板1と、配線基板1上に配置される発光素子2と、発光素子2の側面を被覆する光反射性部材3と、発光素子2および光反射性部材3の上方に配置される光学部材4と、光反射性部材3と光学部材4との間に配置される接着部材5と、を含む。接着部材5は、発光素子2と光学部材4との間に配置されていない。また、
図1及び
図2の例では、発光装置100は、透光性部材6と、導光部材7と、を有する。
【0014】
発光装置100であれば、接着部材5が発光素子2上に配置されないことで、発光素子2から出射された光が接着部材5に照射されることを低減することができる。これにより、発光素子2から出射された光が接着部材5によって吸収されることを低減することができるため、光取り出し効率が高い発光装置100を提供することができる。
【0015】
発光素子2が紫外光を出射し、接着部材5が例えばシリコーン樹脂である場合には、発光素子2から出射された紫外光が接着部材5に照射されると、接着部材5が劣化し、接着部材5による接着強度が低下する可能性がある。発光装置100では、発光素子2から出射された光が接着部材5に照射されることを低減できる。これにより、紫外光の照射によって接着部材5が劣化することを低減し、接着部材5による接着強度の低下を低減することができる。
【0016】
配線基板1は、発光素子2を実装するための部材である。配線基板1は、基材13と、基材13上に配置される配線12とを含む。基材13の材料としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の絶縁性の高い合成樹脂材料とガラス繊維、紙等の基材との複合基板(ガラスエポキシ基板、紙フェノール基板等)、セラミックス材料(窒化アルミニウム等)を用いることができる。
【0017】
発光素子2は、配線基板1上に配置され、配線基板1との間に空隙が存在するように。導電部材11を介して配置される。発光素子2には、LED(Light Emitting Diode)を用いることができる。また、発光素子2には、紫外光を出射するLEDを用いることができる。発光素子2が出射する紫外光のピーク波長は、例えば、200nm以上410nm以下である。但し、発光素子2は、紫外光以外の光(すなわち、可視光または赤外光)を出射するものであってもよい。
【0018】
発光素子2は、
図2に示す例では、配線基板1上にフリップチップ実装される。具体的には、同一面側に正負の電極を有する発光素子2を用い、発光素子2の正負の電極が、導電部材11を介して配線基板1の正負の配線12にそれぞれ電気的に接続されている。導電部材11としては、例えば、金と錫、錫と銀と銅などを主成分とする共晶半田を用いてもよいし、銀、金、パラジウム等を含む導電ペーストを用いてもよいし、銀または金などを含むバンプを用いてもよい。なお、発光素子2は、ワイヤによって配線基板1の配線12に電気的接続されてもよい。
【0019】
光反射性部材3は、発光素子2から出射された光を上方に反射させるための部材である。光反射性部材3は、
図2に示すように、発光素子2の側面を被覆する。フリップチップ実装された発光素子2の場合、光反射性部材3は、配線基板1と発光素子2との間の空隙にも配置される。なお、光反射性部材3による発光素子2の側面の被覆においては、光反射性部材3が発光素子2の側面に直接接してもよいし、光反射性部材3が部材を介して発光素子2の側面に接してもよい。また、他の例として、光反射性部材3は、配線基板1と発光素子2との間の空隙に配置された状態で、発光素子2の側面に空隙を介して被覆することができる。
【0020】
光反射性部材3は、有機材料を含んで構成されてもよいし、無機材料を含んで構成されてもよいし、有機材料と無機材料の両方を含んで構成されてもよい。有機材料として、樹脂を用いることができる。無機材料としては、例えば、シリカ、窒化ホウ素及びアルカリ金属を含む混合物を用いることができる。光反射性部材3は、無機材料を含んで構成されることで、樹脂材料を含んで構成される場合と比較して、発光素子2が照射されることによる光反射性部材3の劣化を低減できる。一方、光反射性部材3は、有機材料を含んで構成されることで、無機材料を含んで構成される場合と比較して、応力を緩和することができ、光反射性部材3に亀裂が生じることを低減することができる。また、光反射性部材3は、光反射性粒子を含有することができる。光反射性部材3に含有される光反射性粒子は、発光素子2が発光する光に対して光反射性を有する粒子である。この光反射性粒子は、酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子、ガラスビーズ、炭酸カルシウム粒子、アルミニウム粉、マイカ粒子等である。
【0021】
光学部材4は、発光装置100の配光特性を制御するための部材である。光学部材4は、
図2に示すように、発光素子2および光反射性部材3の上方に配置される。
【0022】
図2に示す例では、光学部材4は、透光性部材6に向き合う面(以下、「下面40」と称する場合がある)が平面であり、透光性部材6に向き合う面とは反対側の面(以下、「上面」と称する場合がある)に凸面を含む平凸レンズである。発光装置100は、光学部材4が上面に凸面を含むことで、発光素子2から出射された光を凸面で屈折させ、狭配光の光を取り出すことができる。
【0023】
但し、光学部材4は、上面に凸面を含むものに限定されない。例えば、光学部材4は、上面に凹面を含む平凹レンズであってもよい。発光装置100は、光学部材4が上面に凹面を含むことで、発光素子2から出射された光を凹面で屈折させ、広配光の光を取り出すことができる。また光学部材4は、上面に複数の凸面または凹面を含むレンズアレイであってもよいし、フレネルレンズ、又は、回折レンズであってもよい。光学部材4は、ガラス(例えば硼珪酸ガラス、石英ガラス)材料等を含んで構成できる。
【0024】
光学部材4は、下面に反射防止膜を有することができる。光学部材4が下面に反射防止膜を有することで、発光素子2から出射された光が光学部材4の下面で反射されて光取り出し効率が低下することを低減できる。また、光学部材4が下面に反射防止膜を有することで、光学部材4で反射して接着部材5に到達する光を低減できる。反射防止膜として、例えば、発光素子2から出射されるの光のピーク波長が360~410nmの場合、光学部材4側から、Ta2O5(膜厚14nm)、SiO2(膜厚29nm)、Ta2O5(膜厚116nm)、SiO2(膜厚74nm)の順に積層された積層体を用いることができる。これにより、接着部材5はSiO2と接着されるため、光学部材4と接着部材5との密着性を向上させることができる。
【0025】
光学部材4は、上面に反射防止膜を有することができる。光学部材4が上面に反射防止膜を有することで、光取出し効率を向上させることができる。光学部材4の上面に配置される反射防止膜は、光学部材4の下面に配置される反射防止膜と同じ材料を用いてもよいし、異なる材料を用いてもよい。
【0026】
接着部材5は、光反射性部材3と光学部材4とを接着するための部材である。接着部材5は、
図2に示すように、光反射性部材3と光学部材4との間に配置され、発光素子2と光学部材4との間には配置されていない。接着部材5は、例えば、シリコーン樹脂を含んで構成される。
【0027】
図1に示す例では、上面視における配線基板1の形状は、矩形である。光反射性部材3は、発光素子2の周囲に配置される。接着部材5は、光反射性部材3の上面に、互いに離隔して複数配置される。具体的には、接着部材5は、上面視において矩形の配線基板1の四隅と、四辺それぞれの略中央と、の8箇所に配置されている。これにより、後述する接着部材5が環状に連続して配置される場合と比べて、接着部材5の量を少なくすることができ、発光素子からの光が照射されることによる接着部材5の劣化を低減することができる。
図1に示す例では、接着部材5は、矩形環状に配置されている。但し、円形環状に配置されてもよい。
【0028】
接着部材5の配置における別の観点として、接着部材5は、光反射性部材3の上面に、上面視で環状に連続して配置されることができる。これにより、前述した接着部材5が環状に断続して配置される場合と比べて、光反射性部材3と光学部材4との接着強度を高めることができる。接着部材5は、光反射性部材3の上面に、上面視で環状に連続して配置されることに限らず、上面視で環状に断続して配置されてもよい。
【0029】
接着部材5は、上面視において、光学部材4の外側にはみ出ていてもよいし、光学部材4の外側にはみ出ていなくてもよい。接着部材5が光学部材4の外側にはみ出ている場合には、光学部材4の側面に接着部材5が配置されるのが好ましい。これにより、光学部材4と光反射性部材3との接着強度が高くなる。また、接着部材5が光学部材4の外側にはみ出ていない場合には、接着部材5が光学部材4の外側にはみ出ている場合と比べて、接着部材5の量を少なくすることができ、接着部材5の劣化を低減できる。
【0030】
透光性部材6は、発光素子2から出射される光を透過させる透光性を有する部材である。透光性部材6は、発光素子2から出射される光の60%以上を透過させ、好ましくは90% 以上を透過させる。透光性部材は、例えば、発光素子2と対向する側の面(下面)と、光学部材4と対向する側の面(上面)とを有し、厚さが一定の板状の部材である。透光性部材6の上面は、
図2の例に示すような平面でもよいし、フレネルレンズのような凹凸形状でもよい。また、透光性部材6の断面視形状は、
図2の例に示すような矩形でもよいし、透光性部材6の上面の幅が下面の幅より短い台形でもよい。
【0031】
発光装置100が透光性部材6を有する場合、透光性部材6は、
図2に示すように、発光素子2と光学部材4との間に配置される。光反射性部材3は、発光素子2の側面および透光性部材6の側面を被覆することができる。これにより、光反射性部材3の上端を発光素子2の上面よりも高くすることができるため、発光素子2から出射された光が接着部材5に到達する割合を低くすることができる。また、透光性部材6の材質または厚さ等を制御因子に加えることができるため、配光制御の自由度が高い発光装置100を得ることができる。なお、光反射性部材3は、断面視において、透光性部材6の側面の全体を被覆してもよいし、透光性部材6の側面の一部を被覆してもよい。
【0032】
透光性部材6は、サファイア、ホウ珪酸ガラス、石英ガラス、フッ化カルシウムガラス、アルミノホウ珪酸ガラス、オキシナイトライドガラス、カルコゲナイドガラスからなる群から選択された少なくとも1種からなる無機材料により構成できる。なお、透光性部材6は、蛍光体を含んでもよいし、含んでいなくてもよい。また、酸化チタン等の光散乱粒子を含んでもよいし、含んでいなくてもよい。
【0033】
図2に示す例では、光学部材4の下面40及び透光性部材6の上面60は平面であり、光学部材4の下面40は、透光性部材6の上面60と接触する。これにより、光学部材4が透光性部材6上に配置された際、透光性部材6および発光素子2に対して光学部材4が傾くことを低減できる。但し、光学部材4の下面40は、透光性部材6の上面60は接触していなくてもよい。
【0034】
また、光学部材4の下面40の形状は、平面に限定されるものではない。例えば、光学部材4の下面40は、下面40の中央に、透光性部材6を配置することが可能な凹部を含む形状とすることができる。光学部材4の凹部内に透光性部材6が配置される構造であれば、光学部材4が幅方向にずれた際、凹部を規定する側面と透光性部材6の側面が接することで、光学部材4の幅方向のずれを凹部の幅内に制限することができる。これにより、光学部材4が幅方向にずれることを低減することができる。
【0035】
また、光学部材4は、光学部材4の下面に、光反射性部材3と接することが可能な突出部を有することができる。突出部は、上面視において、発光素子2及び透光性部材6よりも外側に配置される。突出部は、上面視で発光素子2を囲むように連続して配置されてもよいし、断続して配置されてもよい。突出部は、例えば、金型を用いた成形によって形成されることで、発光素子2を囲む方向である周方向に配置される突出部の高さを揃えることができる。接着部材5は、例えば、ポッティング法を用いて配置されると、接着部材5の高さが不均一になる可能性がある。接着部材5の高さが不均一であると、透光性部材6が配置されない形態では、光学部材4は傾いて配置されてしまう。光学部材4が突出部を有する場合、光学部材4の下面における突出部が位置していない領域に接着部材5を配置することができる。これにより、突出部が光反射性部材3の上面に支持されるため、接着部材の高さの不均一さに関係なく、光学部材4の配置時の傾きを低減することができる。
【0036】
図2に示す例では、透光性部材6の幅方向の距離は、発光素子2の幅方向の距離よりも長い。但し、透光性部材6の幅方向の距離が、発光素子2の幅方向の距離よりも長いことに限らず、透光性部材6の幅方向の距離が、発光素子2の幅方向の距離よりも短くてもよいし、同じでもよい。
【0037】
導光部材7は、発光素子2から出射された光を透光性部材6に導光させるための部材である。
図2に示す例では、導光部材7は、発光素子2の上面及び側面と、透光性部材6の下面との間に配置される。但し、導光部材7は、発光素子2の側面と透光性部材6の下面との間に配置され、発光素子2の上面と透光性部材6の下面との間に配置されない構成であってもよい。導光部材7が、発光素子2の側面を被覆するように配置されることで、発光素子2の側面から出射される光を透光性部材6に効率よく伝播させることができる。導光部材7は、例えば、ガラス又は樹脂を含んで構成できる。
【0038】
<光反射性部材3の上面形状例>
図3~
図5を参照して、光反射性部材3の上面の形状について説明する。
図3~
図5は、光反射性部材3の上面の形状を示す模式的断面図である。
図3は第1例を、
図4は第2例を、
図5は第3例を、それぞれ示している。
【0039】
図3に示す第1例では、光反射性部材3の上面30は、平坦な面である。
図3に示す第1例では、接着部材5は、光反射性部材3の上面に、光反射性部材3の上面における発光素子2側の端部から離隔して配置されることができる。これにより、発光素子2から出射された光が接着部材5に到達する割合を低くすることができる。
【0040】
図4に示す第2例及び
図5に示す第3例では、光反射性部材3の上面30は、第1部分31と、第2部分32と、を含む。
図4及び
図5において、第1部分31は破線の丸で囲った部分に該当し、第2部分32は一点鎖線の丸で囲った部分に該当する。第2部分32は、第1部分31の外側に位置し、第1部分31の高さよりも高さが低い。ここで、「第2部分32は、第1部分31の外側に位置する」とは、上面視において、第2部分32が第1部分31より発光素子2から離れる方向に位置することを指す。
【0041】
図4に示す第2例では、光反射性部材3の上面30は、断面視において、段差を有する。第2例にかかる第1部分31及び第2部分32は、平面である。第2例にかかる第1部分31は、透光性部材6の上面の高さと同じ高さである。
図5に示す第3例では、光反射性部材3の上面30は、外側に向かうほど高さが非線形に低くなる曲面である。第3例に係る第1部分31および第2部分32は、それぞれ曲面を含む。
図5に示す第3例では、第1部分31の傾斜は、第2部分32の傾斜よりも急峻な領域である。第3例に係る光反射性部材3は、上述した
図1及び2の発光装置100における光反射性部材3に該当する。
【0042】
図4及び
図5に示す光反射性部材3に接着部材を介して透光性部材6を配置する際、接着部材5は第2部分32と透光性部材6との間に配置され、第1部分31及び発光素子2と透光性部材6との間には配置されない。これにより、発光素子2から出射された光が光反射性部材3で反射される割合を高くし、発光素子2から出射された光が接着部材5に到達する割合を低くすることができる。
【0043】
接着部材5は、第2部分32の全体に配置されてもよいし、第2部分32の一部に配置されてもよい。接着部材5が第2部分32の一部に配置される場合、例えば、接着部材5は、第2部分32における発光素子2側に配置されてもよいし、光反射性部材3の外縁側に配置されてもよい。
【0044】
第1部分31と第2部分32は、
図5に示すように連続してもよいし、
図4に示すように離隔してもよい。第1部分31と第2部分32が離隔する場合、第1部分と第2部分とをつなぐ部分は、
図4に示すように第1部分31に対して直交する面でもよいし、第1部分31に対して傾斜する面でもよい。また、第2部分32が、
図4及び
図5に示すように光反射性部材3の外側端部に到達してもよいし、到達していなくてもよい。第2部分32が、光反射性部材3の外側端部に到達していない場合、光反射性部材3の上面30は、例えば、第2部分32の外側に第2部分32の高さより高い第3部分を有することができる。第1部分31、第2部分32及び第3部分は、断面視において、直線でもよいし、曲線でもよいし、凹凸を有してもよい。
【0045】
<発光装置100の変形例>
(第1変形例)
図6は、第1変形例に係る発光装置100aの構成を示す模式的断面図である。発光装置100aは、透光性部材6を有さない点が、上述した発光装置100と異なる。
図6の例では、光学部材4の下面40は、発光素子2の発光面20と接触する。なお、光学部材4の下面40は、発光素子2の発光面20上に、空隙を介して配置されることができる。発光装置100aにおいても、上述した発光装置100と同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
(第2変形例)
図7は、第2変形例に係る発光装置100bの構成を示す模式的断面図である。発光装置100bは、透光性部材6を有さず、かつ光反射性部材3の上面30が平坦な面である点が、上述した発光装置100と異なる。発光装置100bにおいても、上述した発光装置100と同様の作用効果を得ることができる。
【0047】
(他の変形例)
上記以外の変形例として、発光装置は、透光性部材6を有さず、かつ光反射性部材3における最も高い部分の高さが発光素子2の発光面20の高さよりも高い構成を有してもよい。この場合の光反射性部材3の上面は、傾斜する面であってもよいし、平坦な面であってもよい。これらの場合においても、上述した発光装置100と同様の作用効果を得ることができる。
【0048】
<発光装置100の製造方法例>
次に、発光装置100の製造方法について説明する。発光装置100の製造方法は、中間体110を準備する工程と、中間体110における光反射性部材3の上面30上に接着部材5を配置する工程と、発光素子2および光反射性部材3の上方に光学部材4を配置する工程と、を含む。
【0049】
図8~
図10は、発光装置100の製造方法の一例を示す図である。
図8は、中間体110を準備する工程の一例を示している。
図9は、中間体110における光反射性部材3の上面30上に接着部材5を配置する工程の一例を示している。例えば、ポッティング法を用いて光反射性部材3の上面30上に接着部材5を配置することができる。
図10は、発光素子2および光反射性部材3の上方に光学部材4を配置する工程の一例を示している。
【0050】
中間体110は、配線基板1と、発光素子2と、光反射性部材3と、を含む。また、中間体110は、透光性部材6と、導光部材7と、を含んでよい。
【0051】
発光装置100の製造方法では、発光素子と光学部材との間の距離は、光反射性部材3の高さ(厚さ)及び/又は透光性部材の高さ(厚さ)によって調整することができる。発光素子と光学部材との間の距離を調整することで、発光装置100から光を取り出す際に、所望の配光特性を得ることができる。
【0052】
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱しない限り、上述した実施の形態に種々の変形および置換を加えることができる。
【0053】
実施形態の説明で用いた序数、数量等の数字は、全て本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の機能を実現する接続関係をこれに限定するものではない。
【0054】
発光装置100は、発光素子2から出射され、透光性部材6および光学部材4を透過した紫外光を照射することができる。発光装置100は、例えば、発光素子2から出射される紫外光を樹脂材料やガラス材料に照射することによって、該樹脂材料やガラス材料を硬化させる用途において使用される。
【0055】
本開示の発光装置は、光取り出し効率が高い発光装置を提供できるので、対象物を硬化させるために、対象物に紫外光を照射する印刷、露光等の用途において好適に利用できる。但し、本開示の発光装置は、これら用途に限定されるものではない。
【0056】
本開示の態様は、例えば、以下のとおりである。
<項1> 配線基板と、前記配線基板上に配置され、前記配線基板との間に空隙が存在するように、導電部材を介して配置される発光素子と、前記発光素子の側面を被覆し、前記配線基板と前記発光素子との間の空隙に配置される光反射性部材と、前記発光素子および前記光反射性部材の上方に配置される光学部材と、前記光反射性部材と前記光学部材との間に配置される接着部材であって、前記発光素子と前記光学部材との間に配置されない接着部材と、を有する、発光装置である。
<項2> 前記発光素子は、紫外光を出射する、前記<項1>に記載の発光装置である。
<項3> 前記光反射性部材の上面は、第1部分と、前記第1部分の外側に位置し前記第1部分よりも高さが低い第2部分と、を含む、前記<項1>または前記<項2>に記載の発光装置である。
<項4> 前記発光素子と前記光学部材との間に配置される透光性部材を有し、前記光反射性部材は、前記発光素子の側面および前記透光性部材の側面を被覆する、前記<項1>から前記<項3>のいずれか1つに記載の発光装置である。
<項5> 前記光学部材は、下面に平面を有し、前記透光性部材は、上面に平面を有し、前記光学部材の下面は、前記透光性部材の上面と接触する、前記<項4>に記載の発光装置である。
<項6> 前記光学部材は、下面に反射防止膜を有する、前記<項1>から前記<項5>のいずれか1つに記載の発光装置である。
<項7> 前記光学部材は、上面に凸面を含む、前記<項1>から前記<項6>のいずれか1つに記載の発光装置である。
<項8> 上面視における前記配線基板の形状は、矩形であり、前記光反射性部材は、前記発光素子の周囲に配置され、前記接着部材は、前記光反射性部材の上面に、互いに離隔して複数配置される、前記<項1>から前記<項7>のいずれか1つに記載の発光装置である。
<項9> 上面視における前記配線基板の形状は、矩形であり、前記光反射性部材は、前記発光素子の周囲に配置され、前記接着部材は、前記光反射性部材の上面に、上面視で環状に連続して配置される、前記<項1>から前記<項8>のいずれか1つに記載の発光装置である。
<項10> 配線基板と、前記配線基板上に配置される発光素子と、第1部分と、前記第1部分の外側に位置し前記第1部分よりも高さが低い第2部分と、を上面に含み、前記発光素子の側面を被覆する光反射性部材と、前記発光素子および前記光反射性部材の上方に配置される光学部材と、前記光反射性部材の第2部分と前記光学部材との間に配置される接着部材であって、前記発光素子と前記光学部材との間に配置されない接着部材と、を有する、発光装置である。
【符号の説明】
【0057】
1 配線基板
11 導電部材
12 配線
13 基材
2 発光素子
20 発光面
3 光反射性部材
30 上面
31 第1部分
32 第2部分
4 光学部材
40 下面
5 接着部材
6 透光性部材
60 上面
7 導光部材
100、100a、100b 発光装置
110 中間体