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特開2024-179855システム、情報処理装置、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179855
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】システム、情報処理装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63B 23/04 20060101AFI20241219BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20241219BHJP
   A63B 24/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A63B23/04 Z
A61B5/11 200
A63B24/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099102
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】来栖 由佳
(72)【発明者】
【氏名】池田 淳
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 隼人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恭介
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 勉
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VA12
4C038VB14
4C038VC20
(57)【要約】
【課題】複数の利用者が同時に運動に参加しやすいシステムを提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係るシステムは、動画を視認しながら運動する利用者の運動量に関する情報を出力する運動センサを備えた運動器具と、前記動画の表示を制御する表示制御部を備えた情報処理装置と、を有し、前記表示制御部は、前記利用者が複数いる場合に、前記運動センサから出力される複数の前記利用者それぞれの前記運動量に関する情報と、複数の前記利用者ごとに設定されている、前記動画の再生速度に対する前記運動量の寄与率と、に基づき決定される再生速度で前記動画を再生させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画を視認しながら運動する利用者の運動量に関する情報を出力する運動センサを備えた運動器具と、
前記動画の表示を制御する表示制御部を備えた情報処理装置と、を有し、
前記表示制御部は、前記利用者が複数いる場合に、前記運動センサから出力される複数の前記利用者それぞれの前記運動量に関する情報と、複数の前記利用者ごとに設定されている、前記動画の再生速度に対する前記運動量の寄与率と、に基づき決定される再生速度で前記動画を再生させる、システム。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記運動量と前記寄与率とに基づいて得られる特性値を表示させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記表示制御部は、複数種類の前記運動器具を用いた場合に検出される前記運動量に基づき、前記寄与率を可変する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記表示制御部は、複数の前記利用者それぞれの前記運動量の平均値または最大値のどちらか一方を用いて、前記動画の再生速度を制御する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記利用者の運動の状態に応じた前記寄与率に基づき、前記動画の再生速度を制御する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記動画の中での場面に応じて前記寄与率を可変する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記運動センサから出力された前記運動量に関する情報と、基準となる運動に対応する前記運動量の、予め定められた基準値と、の間でズレが生じている前記利用者に対し、前記ズレが生じていない場合よりも低い前記寄与率を設定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記表示制御部は、少なくとも前記運動量に関する情報および前記寄与率に基づいて、前記利用者に動作を促す情報を出力する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記利用者は、頭部装着型の表示装置に表示される前記動画を視認しながら運動する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
動画を視認しながら運動する利用者の運動量に関する情報に基づき、前記動画の表示を制御する表示制御部を備え、
前記表示制御部は、前記利用者が複数いる場合に、複数の前記利用者それぞれの前記運動量に関する情報と、複数の前記利用者ごとに設定されている、前記動画の再生速度に対する前記運動量の寄与率と、に基づき決定される再生速度で前記動画を再生させる、情報処理装置。
【請求項11】
表示制御部により、動画を視認しながら運動する利用者の運動量に関する情報に基づき、前記動画の表示を制御し、
前記表示制御部は、前記利用者が複数いる場合に、複数の前記利用者それぞれの前記運動量に関する情報と、複数の前記利用者ごとに設定されている、前記動画の再生速度に対する前記運動量の寄与率と、に基づき決定される再生速度で前記動画を再生させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム、情報処理装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者の歩行状態に応じて表示装置に表示させる再生画像を可変することにより、再生画像を視認する利用者に様々な外出体験をさせるシステムが知られている。
【0003】
また、利用者の運動を支援するシステムを手軽に利用可能にするため、利用者の歩行状態情報に応じて変更される画像を画面に表示させるシステムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、複数の利用者が1つの画面を見ながら運動を行う場合、動画の再生速度が一律か、または特定の人に合わせたものに設定される。そのため、例えば複数の利用者それぞれの運動能力が異なると、運動能力が低い利用者に合わせた再生速度では、運動能力が高い利用者は、自身の運動量に対して遅い再生速度で表示される動画を視認することになる。一方、運動能力が高い利用者に合わせた再生速度では、運動能力が低い利用者は、自身の運動量に対して速い再生速度で表示される動画を視認することになる。このように、特許文献1に記載のシステムでは、自身の運動量に合わない再生速度で動画が表示されるため、運動能力等が互いに異なる複数の利用者が同時に運動に参加しづらくなる点に改善の余地があった。
【0005】
本発明は、複数の利用者が同時に運動に参加しやすいシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るシステムは、動画を視認しながら運動する利用者の運動量に関する情報を出力する運動センサを備えた運動器具と、前記動画の表示を制御する表示制御部を備えた情報処理装置と、を有し、前記表示制御部は、前記利用者が複数いる場合に、前記運動センサから出力される複数の前記利用者それぞれの前記運動量に関する情報と、複数の前記利用者ごとに設定されている、前記動画の再生速度に対する前記運動量の寄与率と、に基づき決定される再生速度で前記動画を再生させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の利用者が同時に運動に参加しやすいシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るシステムの第1例を説明する図である。
図2】実施形態に係るシステムの第2例を説明する図である。
図3】実施形態に係るシステムの第3例を説明する図である。
図4】実施形態に係るシステムの構成を示すブロック図である。
図5】実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図6】実施形態に係る貢献度の表示方法の第1例を示す図である。
図7】実施形態に係る貢献度の表示方法の第2例を示す図である。
図8】実施形態に係るシステムの動作を示すフロー図である。
図9】第1例に係る寄与率設定方法を説明する図である。
図10】第2例に係る寄与率設定方法を説明する第1図である。
図11】第2例に係る寄与率設定方法を説明する第2図である。
図12】第1変形例に係るシステムのメッセージ表示機能を示す図である。
図13】第2変形例に係るシステムの音声出力機能を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について詳細に説明する。各図面において、同一構成部には同一符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
【0010】
<実施形態に係るシステムの全体構成>
図1~4を参照して、実施形態に係るシステムの全体構成を説明する。図1~3は、実施形態に係るシステム100を説明する図である。図1はシステム100の第1例、図2はシステム100の第2例、図3はシステム100の第3例をそれぞれ示している。図4は、システム100の全体構成の一例を示すブロック図である。
【0011】
図1~4に示すように、システム100は、動画Mvを視認しながら運動する利用者200の運動量に関する情報を出力する運動センサ11を備えた運動器具1と、動画Mvの表示を制御する表示制御部24を備えた情報処理装置2と、を有する。また、図1~4に示す例では、システム100は、表示装置3と操作部4とスピーカー5とを有する。システム100は、複数の利用者200の運動を支援するものである。
【0012】
図1~3において、複数の利用者200は、動画Mvを視認しながら、対応する運動器具1を用いて歩行運動を行っている。図1に示す例では、4人の利用者200がシステム100を利用している。4人のうちの1人は、立った状態で歩行運動を行い、4人のうちの3人は、座った状態で歩行運動を行っている。図2に示す例では、3人の利用者200がいずれも立った状態でシステム100を利用している。図3に示す例では、3人の利用者200がいずれも座った状態でシステム100を利用している。
【0013】
図1~2に示す例では、液晶ディスプレイ等の表示装置3に動画Mvが表示されている。図3に示す例では、VR(Virtual Reality)グラスである表示装置3に動画Mvが表示されている。VRグラスは頭部装着型の表示装置の一例である。VRグラスを装着する利用者は、VRグラスに表示される動画Mvを視認しつつ、VR体験をすることができる。表示装置3は、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや、頭部装着型の表示装置の他の例であるヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mounted Display)等であってもよい。また、表示装置3は、動画Mv以外に、静止画、文字、図形等を表示してもよいし、動画、静止画、文字、図形等を組み合わせて表示してもよい。
【0014】
図1~3において、スピーカー5は、利用者200が足踏みした際の足音に対応する音や、再生される動画Mvに合わせた音等を発生する。操作部4は、操作者300が情報処理装置2に操作入力を行うためのユーザインターフェースである。例えば操作者300は、操作部4を用いて、表示装置3に表示させる動画Mvを指定たり、運動に参加する利用者を選択したり、複数の利用者ごとの寄与率を指定したりすることができる。
【0015】
利用者200は、例えば、運動の支援が求められる高齢者である。運動器具1は、運動センサ11を内蔵する足踏みマットである。運動センサ11は、圧力センサを含み、利用者200の足踏みに基づく利用者200の運動量に関する情報を情報処理装置2に出力する。表示制御部24は、表示装置3との通信を制御することにより、表示装置3に動画Mvを表示させる機能構成である。表示制御部24は、運動センサ11からの利用者200の運動量に関する情報に基づき、表示装置3の画面に表示される動画Mvの再生速度を可変する。
【0016】
例えば、システム100は、観光地における景色を表示する動画Mvを利用者200の歩行運動に応じて表示装置3に表示させる。これにより、利用者200は、あたかも観光地を散歩しているかのような感覚で、足踏みマット上で歩行運動を行うことができる。
【0017】
また、本実施形態では、表示制御部24は、利用者200が複数いる場合に、運動センサ11から出力される複数の利用者200それぞれの運動量に関する情報と、複数の利用者200ごとに設定されている、動画Mvの再生速度に対する運動量の寄与率と、に基づき決定される再生速度で動画Mvを再生させる。
【0018】
ここで、寄与率とは、運動センサ11により検出された運動量が動画の再生速度に換算される比率をいう。例えば、運動能力が低い利用者200には、寄与率を高く設定することにより、運動量に対して再生速度を速くする。一方、運動能力が高い利用者200には、寄与率を低く設定することにより、運動量に対して再生速度を遅くする。このように、複数の利用者200ごとに寄与率を設定することで、複数の利用者200の運動能力が相互に異なる場合にも、特定の利用者のみに適合した再生速度ではなく、複数の利用者200全員の運動能力に適合した再生速度で動画Mvを再生することができる。また、利用者200は、他の利用者との運動能力の差を気にすることなく、複数の利用者200が1つの画面を見ながら行う運動に参加できる。以上より、複数の利用者200が同時に運動に参加しやすいシステム100を提供することができる。
【0019】
また、別の観点では、寄与率が100%に設定された利用者200が基準速度Vで歩行運動した場合の動画Mvの再生速度をVmとすると、寄与率が50%に設定された利用者200は、2×Vの速度で歩行運動することにより、再生速度Vmを実現できる。このため、システム100は、運動能力が高い利用者200には、運動能力に合わせて運動負荷を高く付与できる。一方、寄与率が200%に設定された利用者は、0.5×Vの速度で歩行運動することで再生速度Vmを実現できる。このため、システム100は、運動能力が低い利用者200には、運動能力に合わせて運動負荷を低く付与できる。このように、システム100は、複数の利用者200それぞれの運動能力に合わせて、複数の利用者200それぞれに適切な運動負荷を付与することができる。
【0020】
運動負荷とは活動量の大きさをいう。活動量Exは、メッツ(METs:Metabolic Equivalents)値を用いて以下の式で表すことができる。
Ex= メッツ値 ×運動時間
【0021】
メッツ値は、身体活動の強度を表す特性値であり、安静時の何倍に相当するかを表す数値である。国立健康・栄養研究所が発行している身体活動のメッツ値表(例えば、インターネット<https://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/11/s1109-5g.html>を参照)から、歩行運動に関する部分を抜き出したものを表1に示す。表1に示すように、メッツ値と歩行速度は比例の関係にある。このことから、運動負荷を活動量で表す場合、同じ運動時間で比較すると、歩行速度が速いと運動負荷は大きくなる。
【0022】
【表1】
【0023】
表示制御部24は、運動量と寄与率とに基づいて得られる特性値を表示することもできる。このような特性値には、寄与率と運動量との積である動画の再生速度への貢献度等が挙げられる。貢献度を画面に表示することで、複数の利用者200のそれぞれは、自身が目標とする運動量を認識できるため、運動に対するモチベーションを維持しながら運動に参加できる。また、寄与率に基づき、他の利用者200との運動量の差を特性値として表示することで、利用者200は、負い目を感じずに運動に参加できる。
【0024】
なお、本明細書では、複数の利用者200の運動能力に応じた寄与率の設定を例に挙げるが、体力、体調または身体的ハンディキャップの有無等に応じて寄与率を設定することもできる。
【0025】
図4において、システム100は、運動器具1と情報処理装置2とを有する。情報処理装置2は、インターネット、またはLAN(Local Area Network)等のネットワークNを介して外部サーバ400と通信可能に接続されている。外部サーバ400は、動画セットファイルや設定ファイル等を格納する。
【0026】
システム100は、外部サーバ400に格納された動画Mvを、ネットワークNを介して入力し、表示装置3に表示する。システム100は、情報処理装置2に記憶された動画Mvを表示装置3に表示することもできる。また、システム100は、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体を介して情報処理装置2内に動画Mvを保存することもできる。システム100は、コンテンツサーバから情報処理装置2内に動画Mvをダウンロードすることもできる。さらに、システム100は、情報処理装置2内には動画Mvを保存せず、ストリーミングにより動画Mvを再生することもできる。
【0027】
情報処理装置2は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、HDD(Hard Disk Drive)/SSD(Solid State Drive)204と、I/F(Interface)205と、を有する。これらは、バスラインLを介して相互に電気的に接続されている。
【0028】
CPU201は、ROM202に記憶されたプログラムを実行することにより、順次、分岐処理、反復処理等を実行する演算装置である。ROM202は、CPU201で実行されるプログラム等が記憶された不揮発性メモリである。RAM203は、CPU201の動作のワークエリア(作業領域)として機能するメモリである。バスラインLは、CPU201等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0029】
I/F205は、情報処理装置2に接続する運動器具1、表示装置3、操作部4およびスピーカー5のそれぞれとの通信を制御することにより、データや信号等の情報を送受する。またI/F205は、ネットワークNを介して外部サーバ400との間で情報を送受することもできる。
【0030】
<情報処理装置2の機能構成例>
図5は、情報処理装置2の機能構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置2は、上述した表示制御部24の他に、運動量評価部21と、リズム提供部22と、記憶部23と、を有することができる。
【0031】
運動量評価部21、リズム提供部22および表示制御部24の各機能は、図4のCPU201がROM202に記憶されたプログラムに規定された処理を実行すること等により実現される。記憶部23の機能は、図4のHDD/SSD204等により実現される。
【0032】
運動量評価部21は、運動センサ11から出力される運動量に関する情報を入力し、利用者200の運動を評価する処理を実行する。リズム提供部22は、利用者200が動画Mvを視認しながら所定のリズムで歩行運動を行えるように音や振動を周期的に発生させることで、利用者200に対してリズムを提供する。情報処理装置2は、運動量評価部21による評価結果に応じて、リズム提供部22により振動や音を用いてリズムを提供することで、利用者200に歩行運動のペースを与えることができる。
【0033】
記憶部23は、動画セットファイル231と、設定ファイル232と、利用者データファイル233と、音声アシストファイル234と、を記憶することができる。動画セットファイル231は、動画Mvを記録したファイルである。設定ファイル232は、表示装置3による表示条件や寄与率、運動センサ11に対する基準値等を記録したファイルである。利用者データファイル233は、複数の利用者200ごとの過去の運動量を記録したファイルである。音声アシストファイル234は、動画Mvに関する情報や運動量に関する情報に合わせて再生する音声を記録したファイルである。
【0034】
情報処理装置2は、図4に示した外部サーバ400に格納された動画セットファイル231および設定ファイル232を、ネットワークNを介して受信し、記憶部23に記憶できる。また、情報処理装置2は、利用者データファイル233を、ネットワークNを介して送信し、外部サーバ400に記憶させることもできる。これら情報の送受には、ネットワークNを介する方法に限らず、USBメモリやメモリカード等が利用されてもよい。
【0035】
<動画の再生速度の制御方法例>
足踏みにおける歩行速度を計測値とする歩行運動を一例として、表示制御部24による動画Mvの再生速度の制御方法を説明する。表示制御部24は、運動器具1の運動センサ11により検出された利用者200の足踏みの速度、すなわち歩行速度に基づき、表示装置3に表示される動画Mvの再生速度を制御する。
【0036】
ここで、基準となる運動速度をV、動画Mvの再生速度をVm、寄与率をPとする。3人の利用者200をAさん、Bさん、Cさんで区別し、それぞれの寄与率をP_A、P_BおよびP_Cとし、また歩行速度をV_A、V_BおよびV_Cとすると、表示制御部24は、動画Mvの再生速度Vm'を次の式(1)から算出できる。
Vm'=(P_A×V_A+P_B×V_B+P_C×V_C)/3V×Vm ・・・(1)
【0037】
(パターン1)
寄与率P_Aを50%、寄与率P_Bを100%、寄与率P_Cを100%にそれぞれ設定すると、Aさんは、BさんおよびCさんの2倍の歩行速度で歩行しないと、動画Mvの再生速度は基準となる再生速度に到達しない。従って、Aさんに対する運動負荷を大きくすることができる。
【0038】
(パターン2)
寄与率P_Aを200%、寄与率P_Bを100%、寄与率P_Cを100%にそれぞれ設定する。Aさんの寄与率を2倍にすることにより、Aさんは0.5×Vの歩行速度で歩行運動し、BさんおよびCさんがそれぞれ歩行速度Vで歩行運動をした場合に、動画Mvの再生速度に関わる貢献度がAさん、BさんおよびCさんの間で互いに等しくなる。これにより、運動能力が低いAさんに対する過度な運動負荷を低減することができる。
【0039】
(パターン3)
寄与率P_Aを100%、寄与率P_Bを100%、寄与率P_Cを50%にそれぞれ設定する。Cさんが1.4×V、Aさんが0.3×V、Bさんが0.2×Vの場合、再生速度はパターン1~2と比較して遅くなる。
【0040】
以下の表2に、上述したパターン1~3の歩行速度、寄与率、貢献度、および動画の再生速度の一覧を示す。
【表2】
【0041】
以上のように、複数の利用者200それぞれの歩行速度の寄与率を変えることで、全員の運動が動画Mvの再生速度に反映され、個々の運動意識を上げることができる。また、寄与率に差をつけることで、寄与率が高い利用者200は、他の利用者200よりも再生速度を操作する役割を果たすため、より運動意識が働くという効果も得られる。
【0042】
図6~7は、動画Mvの再生速度に対する貢献度の表示方法を示す図である。図6は、Aさん、BさんおよびCさんそれぞれの貢献度をインジケータで表した第1例である。図7は、Aさん、BさんおよびCさんそれぞれの貢献度を、数値を含む文字で表した第2例である。
【0043】
図6に示すインジケータは、Aさん、BさんおよびCさんそれぞれの貢献度を視覚的に表示した図形を含む。ライン31の位置が矢印32の方向に向かうほど貢献度が高い。図7に示す45ポイント等の文字33は、貢献度を数値で表したものである。文字33の数値が大きいほど貢献度が高い。
【0044】
インジケータのライン31や文字33により貢献度を表示することで、利用者200は、自身の運動状況と他の利用者の運動状況とを比較できる。利用者200は、貢献度という特性値により比較できるため、気負いすることなく運動に参加することができる。
【0045】
システム100は、個人に歩行速度の基準を設けることで運動負荷を制御することができる。例えばシステム100は、それぞれの平均の歩行速度を基準とし、運動の負荷具合が動画Mvの再生速度に反映させることができる。Aさんの平均歩行速度を(V_A)'Bさんの平均歩行速度を(V_B)'、Cさんの平均歩行速度を(V_C)'すると、動画Mvの再生速度Vm'、次の式(2)で表される。
Vm'=(P_A×V_A/(V_A)'+P_B×V_B/(V_B)'+P_C×V_C/(V_C)')/3×Vm ・・・(2)
【0046】
運動器具1は、足踏みマットに限らず、ステッパー、エアロバイク(登録商標)、ランニングマシン、ウォーキングマシン等であってもよい。運動センサ11は、歩行運動やステッパー等における歩行速度、エアロバイクにおけるペダルの回転速度、ウォーキングマシンにおけるベルト回転速度等を検出する。システム100は、運動センサ11の出力に応じて動画Mvの再生速度を可変できる。以下の表3に、様々な運動器具1ごとでの運動量の検出対象の一覧を示す。
【表3】
【0047】
ステッパーやエアロバイク、ウォーキングマシン等では、負荷を制御することが可能である。ステッパーでは圧力、エアロバイクではペダルの重さ、ウォーキングマシンでは、利用者200を乗せて回転走行するコンベアの回転走行速度等により、負荷を制御できる。システム100では、このような運動負荷を反映して、寄与率を設定することもできる。
【0048】
また、表示装置3の1つの画面に対し、複数種類の運動器具1を用いて、複数の利用者200が運動を行ってもよい。この場合、上述した式(2)を用いて、足踏みマットの平均を(V_A)'、ステッパーの平均を(V_B)'、エアロバイクの平均を(V_C)'とし、それぞれの検出値に基づき、動画Mvの再生速度を可変することもできる。つまり、表示制御部24は、複数種類の運動器具1を用いた場合に検出される運動量に基づき、寄与率を可変できる。これにより、複数種類の運動器具1を用いる場合にも、複数の利用者200が同時に運動に参加しやすいシステム100を提供できる。なお、寄与率は、表示制御部24による算出結果に限らず、任意の数値が自由に設定されてもよい。
【0049】
<システム100の動作例>
図8は、システム100の動作の一例を示すフローチャートである。図8は、システム100による、複数の利用者200の運動を支援する動作の一例を示している。システム100は、操作部4を用いて操作者による運動開始の操作を受け付けたことを開始条件として図8の動作を開始する。
【0050】
まず、ステップS11において、システム100は、操作部4により、システム100を用いた運動に参加する複数の利用者200それぞれの氏名等の情報を取得する。
【0051】
続いて、ステップS12において、システム100は、表示制御部24により、複数の利用者200それぞれの情報に基づき、記憶部23の設定ファイル232を参照して、基準値、寄与率および利用者名を取得する。なお、表示制御部24は、寄与率に関しては、設定ファイル232からランダムに取得して複数の利用者200のそれぞれに割り振ってもよいし、操作部4を用いた入力に応じて複数の利用者200のそれぞれに割り振ってもよい。
【0052】
続いて、ステップS13において、システム100は、表示制御部24の制御下において、表示装置3により、動画Mvの再生を開始する。以降、表示装置3は、終了条件に応じて動画Mvの再生が停止されるまで、動画Mvの再生を連続して行う。
【0053】
続いて、ステップS14において、システム100は、リズム提供部22または表示制御部24の制御下において、スピーカー5により、音または振動の発生を開始する。以降、スピーカー5は、終了条件に応じて音または振動の発生が停止されるまで、音または振動の発生を継続する。
【0054】
続いて、ステップS15において、システム100は、運動センサ11により、複数の利用者200それぞれの運動量を検出し、該運動量に関する情報を情報処理装置2に出力する。以降、運動センサ11は、終了条件に応じて利用者200の運動量の検出を停止するまで、運動量の検出および出力を所定の周期で行う。
【0055】
なお、ステップS13~S15は、順番が適宜変更されてもよいし、各ステップが並行して行われてもよい。
【0056】
続いて、ステップS16において、システム100は、表示制御部24により、運動センサ11から出力される複数の利用者200それぞれの運動量に関する情報と、複数の利用者200ごとに設定されている、動画Mvの再生速度に対する運動量の寄与率と、に基づき、動画Mvの再生速度を決定する。なお、複数種類の運動器具1を用いる場合には、種類が異なる運動器具1の運動センサ11からの情報に応じて動画Mvの再生速度が決定される。
【0057】
続いて、ステップS17において、システム100は、表示制御部24により、表示装置3による動画Mvの再生速度を、ステップ16で決定された再生速度に変更する。複数の利用者200は、変更後の再生速度で表示装置3に表示される動画Mvを視認できる。なお、ステップS16において決定された再生速度が変更前と同じであれば、表示制御部24は、動画Mvの再生速度を変更しなくてよい。
【0058】
続いて、ステップS18において、システム100は、表示制御部24により、複数の利用者200それぞれの寄与率と運動量を積算することにより、複数の利用者200それぞれの貢献度を算出する。
【0059】
続いて、ステップS19において、システム100は、表示制御部24により、ステップS18で算出された貢献度を表示する。複数の利用者200は、表示装置3に表示される貢献度を視認できる。
【0060】
続いて、ステップS20において、システム100は、情報処理装置2により、システム100の動作を終了するか否かを判定する。例えば、情報処理装置2は、操作部4を介した操作者による運動終了の操作入力等に応じて、システム100の動作を終了するか否かを判定できる。
【0061】
ステップS20において、終了しないと判定された場合には(ステップS20、NO)、システム100は、ステップS15以降の動作を再度行う。システム100は、ステップS20で終了すると判定されるまで、ステップS15以降の動作を繰り返し行う。ステップS15以降の動作を行う場合、再生速度の決定(ステップS16)および貢献度の算出(ステップS17)は、例えば、動画Mv全体の再生時間の1/4が経過した時点、動画Mv全体の再生時間の1/2が経過して時点、動画Mv全体の再生時間の3/4が経過した時点等に、周期的に行われる。
【0062】
一方、ステップS20において、終了すると判定された場合には(ステップS20、YES)、システム100は、ステップS21において、運動センサ11による複数の利用者200それぞれの運動量の検出を停止する。
【0063】
続いて、ステップS22において、システム100は、スピーカー5による音または振動の発生を停止する。
【0064】
続いて、ステップS23において、システム100は、表示装置3による動画Mvの再生を停止する。
【0065】
なお、ステップS21~S22は、順番が適宜変更されてもよいし、各ステップが並行して行われてもよい。
【0066】
運動センサ11による運動量の検出、スピーカー5による音または振動の発生および表示装置3による動画Mvの再生のそれぞれが停止すると、システム100は動作を終了する。
【0067】
以上のようにして、システム100は、複数の利用者200の運動を支援することができる。
【0068】
<様々な寄与率の設定方法例>
(第1例)
第1例は、運動に参加する複数の利用者200それぞれの寄与率を、動画Mvを複数の再生期間に区切った再生期間ごとに可変するものである。図9は、第1例に係る寄与率設定方法を説明する図である。
【0069】
図9において、再生期間T1~T4は、動画Mvの再生期間を4つに区切った各期間である。例えば、複数の再生期間ごとで最も大きい寄与率を異なる利用者200に設定することで、複数の利用者200のそれぞれは、どの再生期間に自分が歩行運動を頑張ればよいかを認識できる。また、寄与率0%の再生期間を休憩期間として設けることで、複数の利用者200は自身が休憩する期間を明確に認識することができる。なお、複数の再生期間ごとでの寄与率の設定は、システム100がランダムに行ってもよいし、利用者200が操作部4を介して手動で行ってもよい。
【0070】
以下に示す表4は、3人の利用者200であるAさん、BさんおよびCさんそれぞれに対する複数の再生期間T1~T4ごとでの寄与率の設定例を示している。
【表4】
【0071】
再生期間T4では、システム100は寄与率を均等に割り振る。換言すると、表示制御部24は、複数の利用者200それぞれの運動量の平均値を用いて動画Mvの再生速度を制御する。これにより、全員の運動意識を向上させることができる。
【0072】
再生期間T1~T3では、システム100は、歩行速度が最も早い利用者200または最も遅い利用者200の寄与率を100%にし、他の利用者200の寄与率を0%に設定する。換言すると、表示制御部24は、複数の利用者200それぞれの運動量の最大値を用いて、動画Mvの再生速度を制御する。これにより、利用者200に動画Mvの再生速度を依存させ、誰がその役割を持つか競い合わせることができる。あるいは歩行速度が遅い人に合わせて運動させることができる。
【0073】
なお、閾値を用いて、あまりに遅い利用者200に関しては0%に変更することで、途中で運動を中止した利用者200等を省いた運動量を用いて動画の再生を継続して行ってもよい。
【0074】
システム100は、運動器具1の種類と動画Mvの場面とに基づき、寄与率を変化させてもよい。例えば、舗装された道では自転車運動(エアロバイク)の寄与率を歩行運動(足踏みマット、ウォーキングマシン等)の寄与率に比べ、1.1倍にすることで、歩行運動をしている利用者200人と比較し運動負荷が軽くなる。一方、自転車では進みにくい山道では寄与率を0.5倍にすることで、歩行運動をしている利用者200人と比較し運動負荷が重くなる。このように、運動器具1の種類と動画Mvの場面とに基づいて寄与率を変化させることで、利用者200に運動負荷を付与することができる。
【0075】
以下に示す表5は、動画の場面と、運動器具1の種類と、寄与率と、の関係を示している。
【表5】
【0076】
システム100は、図8に示したフローチャートのステップS15における運動量の検出後に、再生期間ごとでの寄与率を設定することができる。また、複数の利用者200のうち最も運動量が大きい利用者200の運動量を寄与率の設定において参照する場合には、システム100は、運動量が最大の利用者200の寄与率を100%と設定し、他の利用者の寄与率を0%に設定できる。
【0077】
(第2例)
第2例は、複数の利用者200それぞれの歩行運動における足踏みの状態等に応じて、複数の利用者200それぞれに設定する寄与率を可変するものである。
【0078】
図10~11は、足踏みマットを用いた運動において、足踏みの状態に応じた運動センサ11による検出信号の相違を説明する図である。図10~11において、横軸は時間t(ms)、縦軸は運動センサ11による検出信号(mV)を表している。また実線のグラフは、右足が足踏みマットに接触したときの検出信号を示し、破線のグラフは、左足が足踏みマットに接触したときの検出信号を示している。
【0079】
図10は、足裏全体が足踏みマットに接触するように歩行運動をした場合の運動センサ11による検出信号である。図11は、足先(つま先)のみが足踏みマットに接触するように歩行運動をした場合の運動センサ11による検出信号である。
【0080】
図10~11に示すように、足踏みマットを用いた運動では、足裏全体を足踏みマットに接触させて歩行する場合と、足先のみを足踏みマットに接触させて歩行する場合との間では、運動センサ11による検出信号が異なるものとなる。例えば、システム100は、基準となる正しい運動に対応する規定の電圧値(図10~11では足踏みの圧力に伴う電圧値の変化:電圧波形)を、基準値として予め記憶部に記憶しておく。システム100は、運動センサ11による検出信号の電圧値/電圧波形と規定の電圧値/電圧波形とを比較することで、規定の電圧値/電圧波形からのズレに応じて寄与率を低く設定する。つまり、システム100は、基準となる運動に伴う運動量に関する情報である基準値を予め記憶しておき、表示制御部24により、運動センサ11から出力された運動量に関する情報と基準値とを比較してズレが生じている利用者に対して寄与率を低く設定する制御を行う。これにより、足先のみを足踏みマットに接触させて歩行する利用者に対して、足裏全体を足踏みマットに接触させて歩行する場合よりも低い寄与率を設定することができる。別の観点では、表示制御部24は、利用者200の運動の状態に応じた寄与率に基づき、動画Mvの再生速度を制御できる。設定された寄与率を表示装置3により表示すること等によって、システム100は、複数の利用者200のそれぞれに、自身が適正な状態で歩行運動をしているか否かを認識させ、適正な状態で歩行運動することを促すことができる。
【0081】
本例は、足踏みマットを用いる運動だけでなく、エアロバイクまたはウォーキングマシンを用いる運動にも適用でき、進行速度のばらつき等の運動の状態に基づき、寄与率を可変することができる。
【0082】
<その他の好適な変形例>
システム100は、表示制御部24により、利用者200の運動量に関する情報および寄与率に基づいて、利用者200に動作を促す情報を出力することができる。この「出力」には、表示装置3による表示、およびスピーカー5による音声出力等が含まれる。
【0083】
(第1変形例)
システム100は、寄与率に合わせて、利用者200に追加の動作を促すことができる。寄与率が低い利用者200は、足踏みが遅くなったとしても、動画Mvの再生速度に大きな影響を与えない。そのため、手の動きや、頭の体操を指示することで、歩行運動以外の動作を促すことができる。
【0084】
図12は、第1変形例に係るシステム100のメッセージ表示機能を説明する図である。図12において、一人だけ基準速度と比較してはるかに速い歩行速度で運動している利用者200(Aさん)に歩行速度を遅くしてもらうと、動画Mvの再生速度を遅くすることができる。そのため、システム100は、表示装置3により、「Aさん、頑張っていますね。ちょっとストレッチもしてみましょうか。リンゴが落ちているよ、拾ってみよう!」というメッセージを表示している。システム100は、Aさんにストレッチを促すメッセージを表示することで、Aさんにストレッチを行わせ、Aさんの歩行速度を遅くさせることができる。また、システム100は、表示装置3により、動画Mvと併せて質問を表示することで、利用者200に頭の体操を促し、認知機能の向上を図ることができる。
【0085】
(第2変形例)
システム100は、利用者200の生体情報(心拍や血圧、呼吸等)、運動情報(歩行速度等)、利用履歴情報等に基づき、音声を出力することで、複数の利用者200それぞれの運動を支援することもできる。すなわち表示制御部24は、利用者200の生体情報、運動量に関する情報および寄与率に基づいて、利用者200に動作を促す情報を出力できる。
【0086】
システム100は、利用者200の生体情報を取得するために、耳に装着する脈拍センサや、指先に装着する血圧センサ、胸部に装着する呼吸数センサ等を使用できる。例えば、各センサによる前回の検出値と比較した歩行速度のアップまたはダウンに基づき、疲労度に応じたメッセージを音声出力し、運動を支援できる。音声は、予め録音されたものを出力してよいし、随時生成した機械音を出力してもよい。
【0087】
図13は、第2例に係るシステム100の音声出力機能を説明する図である。図13に示す例では、システム100は、スピーカー5により、「Cさん、あと少し頑張って!」というメッセージを音声で出力している。
【0088】
例えば、システム100は、図8に示したフローチャートのステップS15における運動量の検出後に、表示制御部24により、検出された運動量を予め定められた目標値と比較する。そして、目標値に対して所定の閾値以上ずれている場合には、対応するメッセージを表示装置3により表示したり、スピーカー5により音声出力したりすることができる。一方、検出された運動量が目標値に対して所定の閾値未満の場合には、そのまま歩行運動を継続させることができる。
【0089】
表示制御部24は、利用者200の生体情報、運動量に関する情報および寄与率に基づいて利用者200に動作を促す情報を出力することで、利用者200に歩行運動以外の動作を促すことができる。
【0090】
以上、実施形態を説明したが、本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0091】
実施形態に係る情報処理システムは、情報処理装置2が有する機能の一部または全部を、クラウドサーバ等の外部装置により実現する構成であってもよい。また実施形態に係る情報処理システムは、情報処理装置2が有する機能の一部または全部を、複数のコンピュータが分散処理することにより実現する構成であってもよい。
【0092】
実施形態の説明で用いた序数、数量等の数字は、全て本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係をこれに限定するものではない。
【0093】
実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0094】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 動画を視認しながら運動する利用者の運動量に関する情報を出力する運動センサを備えた運動器具と、前記動画の表示を制御する表示制御部を備えた情報処理装置と、を有し、前記表示制御部は、前記利用者が複数いる場合に、前記運動センサから出力される複数の前記利用者それぞれの前記運動量に関する情報と、複数の前記利用者ごとに設定されている、前記動画の再生速度に対する前記運動量の寄与率と、に基づき決定される再生速度で前記動画を再生させる、システムである。
<2> 前記表示制御部は、前記運動量と前記寄与率とに基づいて得られる特性値を表示させる、前記<1>に記載のシステムである。
<3> 前記表示制御部は、複数種類の前記運動器具を用いた場合に検出される前記運動量に基づき、前記寄与率を可変する、前記<1>または前記<2>に記載のシステムである。
<4> 前記表示制御部は、複数の前記利用者それぞれの前記運動量の平均値または最大値のどちらか一方を用いて、前記動画の再生速度を制御する、前記<1>から前記<3>のいずれか1つに記載のシステムである。
<5> 前記表示制御部は、前記利用者の運動の状態に応じた前記寄与率に基づき、前記動画の再生速度を制御する、前記<1>から前記<4>のいずれか1つに記載のシステムである。
<6> 前記表示制御部は、前記動画の中での場面に応じて前記寄与率を可変する、前記<1>から前記<5>のいずれか1つに記載のシステムである。
<7> 前記表示制御部は、前記運動センサから出力された前記運動量に関する情報と、基準となる運動に対応する前記運動量の、予め定められた基準値と、の間でズレが生じている前記利用者に対し、前記ズレが生じていない場合よりも低い前記寄与率を設定する、前記<1>から前記<6>のいずれか1つに記載のシステムである。
<8> 前記表示制御部は、少なくとも前記運動量に関する情報および前記寄与率に基づいて、前記利用者に動作を促す情報を出力する、前記<1>から前記<7>のいずれか1つに記載のシステムである。
<9> 前記利用者は、頭部装着型の表示装置に表示される前記動画を視認しながら運動する、前記<1>から前記<8>のいずれか1つに記載のシステムである。
<10> 動画を視認しながら運動する利用者の運動量に関する情報に基づき、前記動画の表示を制御する表示制御部を備え、前記表示制御部は、前記利用者が複数いる場合に、複数の前記利用者それぞれの前記運動量に関する情報と、複数の前記利用者ごとに設定されている、前記動画の再生速度に対する前記運動量の寄与率と、に基づき決定される再生速度で前記動画を再生させる、情報処理装置である。
<11> 表示制御部により、動画を視認しながら運動する利用者の運動量に関する情報に基づき、前記動画の表示を制御し、前記表示制御部は、前記利用者が複数いる場合に、複数の前記利用者それぞれの前記運動量に関する情報と、複数の前記利用者ごとに設定されている、前記動画の再生速度に対する前記運動量の寄与率と、に基づき決定される再生速度で前記動画を再生させる、プログラムである。
【符号の説明】
【0095】
1 運動器具
2 情報処理装置
21 運動量評価部
22 リズム提供部
23 記憶部
231 動画セットファイル
232 設定ファイル
233 利用者データファイル
234 音声アシストファイル
24 表示制御部
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 HDD/SSD
205 I/F
3 表示装置
31 ライン
32 矢印
33 文字
4 操作部
5 スピーカー
100 システム
200 利用者
300 操作者
400 外部サーバ
L バスライン
Mv 動画
N ネットワーク
T1~T4 期間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0096】
【特許文献1】特開2023-008123号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13