(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179891
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】画像形成装置及び検査台
(51)【国際特許分類】
B41J 29/15 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
B41J29/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099187
(22)【出願日】2023-06-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年11月24日から同月30日に、IGAS2022国際総合印刷テクノロジー&ソリューション展にて発表
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】頼本 衛
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AR03
2C061AS02
2C061BB10
2C061CH01
(57)【要約】
【課題】検査者による検査作業の煩雑さを軽減することを課題とする。
【解決手段】記録媒体に画像を形成する画像形成装置1であって、画像が形成された記録媒体を検査者が検査するために記録媒体が載置される検査台80を備え、検査台は、記録媒体が載置される載置面部材81と、載置面部材を使用位置と非使用位置との間で移動可能に支持する移動支持部82と、移動支持部を画像形成装置本体60に固定する固定部83と、を有することを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
画像が形成された記録媒体を検査者が検査するために該記録媒体が載置される検査台を備え、
前記検査台は、記録媒体が載置される載置面部材と、前記載置面部材を使用位置と非使用位置との間で移動可能に支持する移動支持部と、前記移動支持部を画像形成装置本体に固定する固定部と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記使用位置は、前記載置面部材の載置面が斜め上方を向く姿勢をとる位置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記使用位置は、画像形成装置本体の前方であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記移動支持部は、前記非使用位置から前記載置面部材を画像形成装置本体の前方へ移動させる前方移動部と、画像形成装置本体の前方まで移動した載置面部材を前記載置面が斜め上方を向く姿勢まで回動させる回動部とを含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記回動部は、前記載置面部材の自重による回動速度を減速させる減速手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
画像形成装置横方向一端側に設けられる記録媒体給送部から画像形成部を経て画像形成装置横方向他端側に設けられる記録媒体排出部へ記録媒体を搬送する搬送手段を有し、
前記使用位置は、画像形成装置横方向における位置が前記画像形成部よりも前記記録媒体排出部側の位置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記非使用位置は、画像形成装置本体の上方で前記載置面部材の載置面が水平となる姿勢をとる位置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記載置面部材の載置面は、少なくとも日本工業規格B列2番以上の寸法をもつ記録媒体よりも広いことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
画像形成装置により画像が形成された記録媒体を検査者が検査するために該記録媒体が載置される載置面部材を備える検査台であって、
前記載置面部材を使用位置と非使用位置との間で移動可能に支持する移動支持部と、
前記移動支持部を画像形成装置に固定する固定部と、を有することを特徴とする検査台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び検査台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、記録媒体に画像を形成する画像形成装置が知られている。例えば、特許文献1には、シート材を搬入する搬入部(記録媒体給送部)と、印刷部(画像形成部)と、乾燥部と、搬出部(記録媒体排出部)とを備えた印刷装置(画像形成装置)が開示されている。この印刷装置は、商用の大サイズのシート材に画像を形成するものであり、一般に、印刷物の検査のため、印刷された大サイズのシート材を検査台に載置し、検査者が検査を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の検査台は、検査者による検査作業を煩雑にするものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、画像が形成された記録媒体を検査者が検査するために該記録媒体が載置される検査台を備え、前記検査台は、記録媒体が載置される載置面部材と、前記載置面部材を使用位置と非使用位置との間で移動可能に支持する移動支持部と、前記移動支持部を画像形成装置本体に固定する固定部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、非検査時には邪魔にならず、かつ、検査時には適切に検査を行うことができるという従来の検査作業のメリットを維持しつつ、検査者による検査作業の煩雑さを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図3】同印刷装置に備わった検査台が格納位置に配置された状態を示す斜視図。
【
図4】同検査台が使用位置に配置された状態を示す斜視図。
【
図5】使用位置にある検査台に印刷物が載置された使用状態を示す斜視図。
【
図7】同移動支持部のスライド移動部を印刷装置背面側から見たときの説明図。
【
図8】同移動支持部の回動部及び支持フレームを印刷装置前面側から見たときの説明図。
【
図9】同回動部に設けられる減速部材を示す説明図。
【
図10】同印刷装置の反転機構部の前面扉を開くときの検査台の状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
本実施形態に係る画像形成装置として、液体を吐出する装置であるインクジェット記録装置からなる印刷装置について、
図1及び
図2を参照して説明する。
なお、画像形成装置は、インクジェット方式に限らず、電子写真方式などの他の方式のものであってもよい。
【0008】
図1は、本実施形態の印刷装置の概略説明図である。
図2は、本実施形態の印刷装置の吐出ユニットの平面説明図である。
本実施形態の印刷装置1は、記録媒体であるシート材Pを搬入(給送)する記録媒体給送部としての搬入部10と、前処理部20と、画像形成部としての印刷部30と、第1乾燥部40と、第2乾燥部50と、反転機構部60と、記録媒体排出部としての搬出部70と、検査台80とを備えている。
【0009】
本実施形態の印刷装置1は、装置横方向(
図1中左右方向)の一端側に設けられる搬入部10から印刷部30を経て装置横方向他端側に設けられる搬出部70へシート材Pを搬送する搬送手段として、後述する給送装置12(12A,12B)、ドラム31、搬送部41,51などの各種搬送手段を備えている。
【0010】
印刷装置1は、搬入部10から搬入(給送)されるシート材Pに対し、前処理部20で必要に応じて塗布液としての前処理液を付与(塗布)し、印刷部30でシート材Pに対して所要の液体(インク等)を付与して所要の印刷を行う。そして、印刷装置1は、第1乾燥部40及び第2乾燥部50でシート材Pに付着した液体を乾燥させた後、反転機構部60を介して、そのまま、又は、シート材Pの両面に印刷を行った後、シート材Pを搬出部70に排出する。
【0011】
搬入部10は、複数のシート材Pを収容する搬入トレイ11(下段搬入トレイ11A、上段搬入トレイ11B)と、搬入トレイ11からシート材Pを1枚ずつ分離して送り出す給送装置12(12A,12B)とを備え、シート材Pを前処理部20に供給する。前処理部20は、例えばインクを凝集させ、裏写りを防止する作用を有する処理液をシート材Pの印刷面に付与する処理液付与手段である塗布手段21などを備えている。
【0012】
印刷部30は、シート材Pを周面に担持して回転する担持部材(回転部材)であるドラム31と、ドラム31に担持されたシート材Pに向けて液体を吐出する液体吐出部32を備えている。また、印刷部30は、前処理部20から送り込まれたシート材Pを受け取ってドラム31との間でシート材Pを渡す渡し胴34と、ドラム31によって搬送されたシート材Pを受け取って第1乾燥部40に渡す受け渡し胴35を備えている。
【0013】
前処理部20から印刷部30へ搬送されてきたシート材Pは、渡し胴34に設けられた把持手段(シートグリッパ)によって先端が把持され、渡し胴34の回転に伴って搬送される。渡し胴34により搬送されたシート材Pは、ドラム31との対向位置でドラム31へ受け渡される。ドラム31の表面にも把持手段(シートグリッパ)が設けられており、シート材Pの先端が把持手段(シートグリッパ)によって把持される。ドラム31の表面には、複数の吸引穴が分散して形成され、吸引手段によってドラム31の所要の吸引穴から内側へ向かう吸い込み気流を発生させる。そして、渡し胴34からドラム31へ受け渡されたシート材Pは、シートグリッパによって先端が把持されるとともに、吸引手段による吸い込み気流によってドラム31上に吸着担持され、ドラム31の回転に伴って搬送される。
【0014】
液体吐出部32は、液体付与手段としての液体吐出ユニットである吐出ユニット33(33A~33D)を備えている。例えば、吐出ユニット33Aはシアン(C)の液体を、吐出ユニット33Bはマゼンタ(M)の液体を、吐出ユニット33Cはイエロー(Y)の液体を、吐出ユニット33Dはブラック(K)の液体を、それぞれ吐出する。また、その他、白色、金色(銀色)などの特殊な液体の吐出を行う吐出ユニットを使用することもできる。
【0015】
吐出ユニット33は、例えば、
図2に示すように、複数のノズル111を配列したノズル列を複数列有する複数の液体吐出ヘッド(以下、単に「ヘッド」という。)101をベース部材103に千鳥状に配置したフルライン型ヘッドを含むヘッドモジュール100を有している。液体吐出部32の各吐出ユニット33は、印刷情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。ドラム31に担持されたシート材Pが液体吐出部32との対向領域を通過するときに、吐出ユニット33から各色の液体が吐出され、当該印刷情報に応じた画像が印刷される。
【0016】
液体吐出部32で液体が付与されたシート材Pはドラム31から受け渡し胴35に渡され、受け渡し胴35が受け取ったシート材Pは搬送部41で搬送されて第1乾燥部40に移送される。第1乾燥部40は、例えばIRヒータなどの加熱手段42を備え、搬送部41で搬送される液体が付与されたシート材Pに赤外線を照射して加熱乾燥する。第2乾燥部50は、例えば紫外線照射部などの加熱手段52を備え、第1乾燥部40を通過し、搬送部51で搬送される液体が付与されたシート材Pに紫外線を照射して加熱乾燥する。なお、搬送部41と搬送部51は同じ搬送手段の一部で構成されている。
【0017】
反転機構部60は、反転部61と、両面搬送部62とを備えている。反転機構部60は、第1乾燥部40及び第2乾燥部50を通過して一面に液体が付与されて乾燥されたシート材Pに対して両面印刷を行うときに、反転部61でシート材Pを反転して、両面搬送部62で印刷部30の渡し胴34よりも上流側に逆送する。
【0018】
搬出部70は、複数のシート材Pが積載される搬出トレイ71を備えている。反転機構部60から搬送されてくるシート材Pは、搬出トレイ71上に順次積み重ねられて保持される。
【0019】
なお、本実施形態では、シート材がカットシート材である例で説明しているが、連帳紙、ロール紙などの連続体(ウェブ)を使用する装置、壁紙などのシート材を使用する装置などにも、本発明を適用することができる。
【0020】
次に、本発明の特徴部分である検査台80の構成について説明する。
本実施形態の印刷装置1は、主に、マニュアル、パンフレット、書籍などの商用印刷物を作成するためにシート材P上に画像を形成する、いわゆる商用印刷機である。この種の印刷装置1では、大量印刷を開始する前に数枚のテスト印刷を行い、テスト印刷した印刷物を検査台(「色味台」とも呼ばれる。)に載置して印刷物の品質等について検査を行う。この検査では、例えば、両面印刷されたシート材Pの表面と裏面の画像位置が合っているか、シート材Pに形成された画像の色味が狙い通りに出ているか、などの検査項目を、人間である検査者が目視でチェックする。そして、この検査で問題ないことが確認されてから、大量印刷を開始する。
【0021】
この検査に使用される検査台は、検査時以外では使用されないものである。しかも、大寸法(例えば日本工業規格B列2番以上の寸法)のシート材Pが載置可能なほど大型である。そのため、従来の検査台は、一般には、印刷装置1とは別体でキャスター付きのもので構成され、検査時以外の時(非検査時)には、印刷装置1から離れた邪魔にならない場所に置かれている。そして、検査時になったら、検査者は、その場所から印刷装置1の周囲の空いたスペースまで検査台を運び出し、その後、印刷装置1の搬出部70に排出された印刷物(テスト印刷した印刷物)を取り出して検査台の載置面に載せ、検査を行う。また、検査終了後には、検査者は、印刷装置1の周囲のスペースから、印刷装置1から離れた邪魔にならない場所まで検査台を運んで片づける。
【0022】
このように、印刷装置1とは別体で構成されている従来の検査台は、運び出すための運搬、片づけのための運搬という運搬作業を検査のたびに検査者に強いるものであり、検査者による一連の検査作業を煩雑にするものであった。
【0023】
図3は、本実施形態における印刷装置1に備わった検査台80が非使用位置である格納位置に配置された状態を示す斜視図である。
図4は、本実施形態における印刷装置1に備わった検査台80が使用位置に配置された状態を示す斜視図である。
【0024】
本実施形態の検査台80は、画像が形成されたシート材P(テスト印刷された印刷物)が載置される載置面部材81と、載置面部材81を
図3に示す格納位置と
図4に示す使用位置との間で移動可能に支持する移動支持部82と、移動支持部82を印刷装置本体に固定する固定部83と、を備えている。
【0025】
載置面部材81は、例えば日本工業規格B列2番以上の寸法のシート材Pが載置可能な載置面81aを有する矩形状の板状部材からなる。なお、載置面部材81(載置面81a)の寸法は、これに限らず、本実施形態よりも小さい寸法であってもよい。また、載置面部材81の載置面81aは、検査対象の印刷物の色味を検査しやすいように白色面となっているが、他の色であってもよい。
【0026】
移動支持部82は、
図3に示す格納位置と
図4に示す使用位置との間で載置面部材81を移動可能に支持する支持機構である。
【0027】
本実施形態の格納位置は、
図3に示すように、印刷装置本体の上方、より詳しくは印刷装置1の反転機構部60の上方であり、載置面部材81の載置面81aが水平となる姿勢をとる位置である。格納位置は、印刷装置1の使用中に載置面部材81が邪魔にならない位置であれば、特に制限はない。したがって、例えば、印刷装置1の内部に収納される位置であってもよいし、印刷装置1の背面側で載置面部材81の載置面81aが垂直となる姿勢をとる位置であってもよい。
【0028】
なお、本実施形態のような大寸法の記録媒体への印刷が可能な印刷装置1の上面は、一般に、ユーザーが何かを扱うには高すぎる位置であるためユーザーに使用されない場所であることから、本実施形態のような格納位置に載置面部材81を配置しても邪魔になることがない。
【0029】
加えて、本実施形態のような格納位置は、印刷装置1の内部に収納される位置や、印刷装置1の背面側に配置される位置よりも、載置面部材81を使用位置に移動させたり戻したりする手間が少なく、利便性が高い。詳しくは、格納位置が印刷装置1の内部に収納される位置である場合、載置面部材81を印刷装置1の開閉扉などを開け閉めするなどの作業が必要となり、載置面部材81の移動作業が煩雑になる。また、格納位置が印刷装置1の背面側に配置される位置である場合、印刷装置1の前面側にいる検査者が取り扱いにくいうえ、載置面部材81の移動距離が長くなり、載置面部材81の移動作業が煩雑になる。
【0030】
したがって、載置面部材81の格納位置(非使用位置)は、印刷装置本体の上方であるのが好ましい。
【0031】
本実施形態の使用位置は、
図4に示すように、印刷装置本体の前方、より詳しくは印刷装置1の反転機構部60の前方である。仮に本実施形態の格納位置(
図3参照)のままの載置面部材81の載置面81a上に印刷物を載置して検査しようとすると、印刷物が載置される高さが検査者にとって高すぎて、載置された印刷物における印刷装置背面側の部分を観察しづらいなど、検査に支障が出る。
【0032】
本実施形態のような使用位置であれば、検査時に載置面部材81が印刷装置本体の前方に配置されるため、印刷装置本体の高さに依存せずに、載置面部材81を検査に適した高さに配置することが可能となる。その結果、載置面部材81の載置面81a上に載置された印刷物の検査を適切に行うことが容易になる。
【0033】
また、本実施形態の使用位置は、
図5に示すように、載置面部材81の載置面81aが斜め上方を向く姿勢をとる位置である。このような使用位置であれば、載置面81aが水平である場合よりも、検査時に、載置面部材81の載置面81a上に載置される印刷物のより正面側から、検査者が印刷物を観察しやすくなる。よって、載置面81a上に載置された印刷物における印刷装置背面側の部分なども観察しやすく、印刷物の検査を適切に行うことが更に容易になる。
【0034】
更に、本実施形態の使用位置は、印刷装置1の反転機構部60の前方であり、この位置は、
図1に示すように、印刷装置1の横方向(
図1中左右方向)において印刷部30よりも搬出部70側の位置である。すなわち、本実施形態の使用位置は、印刷物が排出される搬出部70の近傍である。そのため、搬出部70に搬出された検査対象の印刷物を、使用位置に移動された載置面部材81の載置面81aまで検査者が運搬する距離が短い。よって、検査時に検査対象の印刷物を運搬する作業が容易になり、印刷物の検査作業を簡易にすることができる。
【0035】
固定部83は、印刷装置本体上面、詳しくは印刷装置1の反転機構部60の上面に移動支持部82を固定するものである。本実施形態の固定部83は、移動支持部82を支持する支持プレート83aを印刷装置1の反転機構部60の上面にネジ固定される構成となっている。
【0036】
次に、本実施形態の検査台80における移動支持部82の構成及び動作について説明する。
図6は、本実施形態の移動支持部82を示す平面図である。
本実施形態の移動支持部82は、印刷装置本体上方の格納位置(非使用位置)から載置面部材81を印刷装置本体の前方へ移動させる前方移動部としてのスライド移動部84と、印刷装置本体の前方まで移動した載置面部材81を載置面81aが斜め上方を向く姿勢まで回動させる回動部85と、載置面部材81が取り付けられてこれを支持する支持フレーム86とを備えている。
【0037】
図7は、移動支持部82のスライド移動部84を印刷装置背面側から見たときの説明図である。なお、
図7では、載置面部材81が使用位置(印刷装置本体の前方の位置)に移動した状態が示されている。
スライド移動部84は、スライドレール84a,84aと、スライダー84bと、回動部支持部材84cと、スライドロック部84dと、スライドロック解除レバー84eとを備えている。
【0038】
スライドレール84a,84aは、印刷装置1の反転機構部60の上面にネジ固定されている固定部83の支持プレート83aに固定されて支持されている。スライドレール84a,84aは、印刷装置1の前後方向に沿って延びるように配置され、スライドレール84a,84aの間にスライダー84bをスライド移動可能に保持している。
【0039】
スライダー84bは、スライドレール84a,84aに沿って印刷装置1の前後方向にスライド移動可能に構成されている。スライダー84bには、回動部85を支持する回動部支持部材84cが固定されている。回動部支持部材84cには、
図7に示すように、載置面部材81を支持する支持フレーム86に取り付けられている回動部85が固定されて支持されている。
【0040】
スライドロック部84dは、
図7に示すように、支持フレーム86に取り付けられており、固定部83の支持プレート83a上に設けられる被係合部83bに係合する係合部によって構成されている。スライドロック部84dは、スライドロック解除レバー84eが操作されることに連動して、支持プレート83a上の被係合部83bとの係合(ロック)が解除されるように構成されている。
【0041】
図8は、移動支持部82の回動部85及び支持フレーム86を印刷装置前面側から見たときの説明図である。なお、
図8は、載置面部材81が使用位置(印刷装置本体の前方で載置面81aが斜め上方を向いた姿勢の位置)に移動した状態を示し、説明のため載置面部材81が支持フレーム86から取り外した状態で示してある。
【0042】
回動部85は、円筒支持部85aと、円筒支持部85aの軸回りで回転自在な回転軸部材85bと、支持フレーム86を取り付けるフレーム取付部材85c,85cと、回動ロック解除レバー85dと、減速手段としての減速部材85eとを備えている。
【0043】
円筒支持部85aは、印刷装置1の横方向に長尺な中空円筒状の部材であり、その外周面がスライダー84b上の回動部支持部材84cに固定されて支持されている。円筒支持部85aは、その内部に回転軸部材85bが挿入され、回転軸部材85bを軸回りで回転自在に保持する。
【0044】
回転軸部材85bは、その両端部が円筒支持部85aの各端部から露出するように設けられている。回転軸部材85bの両端部には、それぞれフレーム取付部材85c,85cが取り付けられており、フレーム取付部材85c,85cには支持フレーム86が取り付けられる。これにより、支持フレーム86に支持される載置面部材81は、回動部85の軸回りに回動可能に構成される。
【0045】
回動ロック解除レバー85dは、
図6に示すように、円筒支持部85aに対して回転軸部材85bが回転するのを規制する回動ロック機構に接続されている。回動ロック解除レバー85dが操作されると、これに連動して回動ロック機構が円筒支持部85aに対する回転軸部材85bの回転規制(ロック)を解除する。
【0046】
ここで、載置面部材81がスライド移動部84により印刷装置1の前面側まで引き出された状態で、円筒支持部85aに対する回転軸部材85bの回転規制(ロック)を解除すると、支持フレーム86に支持された載置面部材81は、その自重(重量バランス)によって、載置面部材81の印刷物ストッパ81b側が下方へ向かうように、回動部85の軸回りを回動する。支持フレーム86に支持された載置面部材81は、重量があるので、勢いよく回動するのを抑制するために、載置面部材81の自重による回動速度を減速させる減速手段を設けるのが好ましい。
【0047】
本実施形態では、減速手段として、ガススプリングなどの減速部材85eを用いている。この減速部材85eは、
図9に示すように、回動部85の円筒支持部85aと支持フレーム86との間に設けられている。載置面部材81が自重により回動部85の軸回りを回動するとき、減速部材85eが作動して、その回動速度を減速させることができる。
【0048】
本実施形態において、検査台80の載置面部材81を格納位置に移動させる場合、検査者は、載置面81aが水平になった状態の載置面部材81を印刷装置1の背面側へ押す。これにより、スライダー84bがスライドレール84a,84aに沿って印刷装置1の背面側へ移動し、スライドロック部84dが支持プレート83a上の被係合部83bと係合する。これにより、載置面部材81の格納位置への移動が完了する。なお、この係合状態では、スライダー84bが印刷装置1の前面側へスライドすることが規制されるので、載置面部材81が格納位置から移動することが禁止されたロック状態になる。
【0049】
一方、検査台80の載置面部材81を使用位置に移動させる場合、検査者は、スライドロック解除レバー84eを操作し、格納位置にある載置面部材81を印刷装置1の前面側へ引き出す。スライドロック解除レバー84eの操作により、スライドロック部84dと被係合部83bとの係合(ロック)が解除され、載置面部材81のスライド移動が可能になる。そして、載置面部材81を印刷装置1の前面側へ引き出すことにより、スライダー84bがスライドレール84a,84aに沿って印刷装置1の前面側へストッパに突き当たるまで移動する。
【0050】
スライダー84bがストッパに突き当たるまで移動して載置面部材81が印刷装置1の前面側に移動したら、検査者は、回動ロック解除レバー85dを操作する。これにより、載置面部材81は、その印刷物ストッパ81b側(印刷装置1の前面側)が下方へ向かうように回動部85の軸回りを自重により回動する。このとき、減速部材85eが作動するので、載置面部材81は比較的ゆっくりと回動する。そして、載置面81aが斜め上方を向く姿勢になるまで載置面部材81が回動すると、ストッパに突き当たり、その姿勢で回動が止まり、使用位置に達する。
【0051】
なお、本実施形態における反転機構部60には前面扉63がある。反転機構部60のメンテナンス(ジャム処理など)の際には、前面扉63を開き、反転機構部60の内部にアクセスする。本実施形態では、使用位置が印刷装置1の反転機構部60の前方であるため、載置面部材81が使用位置にある場合、載置面部材81が反転機構部60の前面扉の開閉の邪魔になる。そのため、検査を行っている検査中に、印刷物の出力を行ってシート材Pの詰まり(ジャム)が発生した場合、使用位置にある載置面部材81が邪魔して、反転機構部60の前面扉を開くことができない。
【0052】
このような場合、
図10に示すように、載置面部材81の載置面81aが水平になるまで載置面部材81を回動部85の軸回りに回動させ、回動ロック機構により円筒支持部85aに対する回転軸部材85bの回転を規制(ロック)する。これにより、載置面部材81を格納位置まで移動させなくとも、反転機構部60の前面扉63を開くことができるようになる。このとき、印刷物が載置面81a上を滑って動いてしまうこともない。
【0053】
以上のように、本実施形態における検査台80は、印刷装置1に取り付けられ、印刷装置1に備わったものである。したがって、従来は検査のたびに必要であった検査台の運搬作業が、本実施形態では不要となる。しかも、本実施形態の検査台80は、移動支持部82によって載置面部材81が使用位置と格納位置(非使用位置)との間で移動可能に支持されている。そのため、非検査時には、邪魔にならない格納位置に載置面部材81を配置しておき、検査時には、検査に適した使用位置に載置面部材を移動させて、適切な検査を行うことができる。これによれば、大寸法のシート材Pが載置可能なほどの広い載置面81aを有する大型の載置面部材81であっても、非検査時には邪魔にならず、かつ、検査時には検査に適切な位置で使用することができる。
【0054】
特に、本実施形態では、印刷装置1の前方の使用位置に載置面部材81を移動させても、載置面部材81の下方は空きスペースとなる。従来のキャスター付きの検査台では、載置面部材81の前に検査者が立って検査を行う際、検査者の足元にキャスターなどが存在して検査の邪魔になることがあった。本実施形態では、そのような邪魔となる物を検査者の足元から無くすことができる。また、これにより、検査者は載置面部材81のより近くに立って検査を行うことが可能となるので、検査時に使用する使用スペースを小さく抑えることができる。
【0055】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、記録媒体(例えばシート材P)に画像を形成する画像形成装置(例えば印刷装置1)であって、画像が形成された記録媒体(例えば印刷物)を検査者が検査するために該記録媒体が載置される検査台80を備え、前記検査台は、記録媒体が載置される載置面部材81と、前記載置面部材を使用位置と非使用位置(例えば格納位置)との間で移動可能に支持する移動支持部82と、前記移動支持部を画像形成装置本体に固定する固定部83と、を有することを特徴とするものである。
一般に、検査者は、画像が形成された記録媒体(印刷物)を検査台の載置面部材の載置面上に載置して、印刷物の検査を行う。この検査に使用される検査台は、検査時以外では使用されないものであり、しかも、大寸法(例えば日本工業規格B列2番以上の寸法)の記録媒体が載置可能なほど大型であるのが通常である。そのため、従来の検査台は、一般には、画像形成装置とは別体で構成されたキャスター付きのものであり、検査時以外の時(非検査時)には、画像形成装置から離れた邪魔にならない場所に置かれる。そして、検査時になったら、検査者は、その場所から画像形成装置周囲の空きスペースまで検査台を運び出し、その後、画像形成装置から印刷物を取り出して検査台に載せ、検査を行う。また、検査終了後には、検査者は、画像形成装置周囲の空きスペースから、画像形成装置から離れた邪魔にならない場所まで検査台を運んで片づける。このように、従来の検査台は、運び出すための運搬、片づけのための運搬という運搬作業を、検査のたびに検査者に強いるものであり、検査者による一連の検査作業を煩雑にするものであった。
本態様においては、画像形成装置に検査台が備わっているため、検査のたびに必要であった検査台の運搬作業が不要となる。
しかも、本態様における検査台は、固定部により画像形成装置本体に固定された移動支持部によって、載置面部材が使用位置と非使用位置との間で移動可能に支持されている。そのため、非検査時には、邪魔にならない非使用位置に載置面部材を配置し、検査時には、検査に適した使用位置に載置面部材を配置して適切に検査を行うことができる。よって、大寸法の記録媒体が載置可能なほど大型の載置面部材であっても、非検査時には邪魔にならず、かつ、検査時には適切に検査を行うことができる。
【0056】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記使用位置は、前記載置面部材の載置面81aが斜め上方を向く姿勢をとる位置であることを特徴とするものである。
このような使用位置であれば、載置面が水平である場合よりも、検査時に、載置面部材の載置面上に載置される記録媒体(印刷物)のより正面側から、検査者が記録媒体を観察しやすくなる。よって、載置面上に載置された印刷物における印刷装置背面側の部分なども観察しやすく、印刷物の検査を適切に行うことが容易になる。
【0057】
[第3態様]
第3態様は、第2態様において、前記使用位置は、本体の前方であることを特徴とするものである。
このような使用位置であれば、検査時に載置面部材が画像形成装置本体の前方に配置されるため、画像形成装置本体の高さに依存せずに、載置面部材を検査に適した高さに配置することが可能となる。その結果、載置面部材の載置面上に載置された記録媒体(印刷物)の検査を適切に行うことが容易になる。
【0058】
[第4態様]
第4態様は、第3態様において、前記移動支持部は、前記非使用位置から前記載置面部材を画像形成装置本体の前方へ移動させる前方移動部(例えばスライド移動部84)と、画像形成装置本体の前方まで移動した載置面部材を前記載置面が斜め上方を向く姿勢まで回動させる回動部85とを含むことを特徴とするものである。
これによれば、非使用位置から、載置面部材が画像形成装置本体の前方で載置面が斜め上方を向く姿勢となる使用位置まで、載置面部材をスムーズに移動させることができる。
【0059】
[第5態様]
第5態様は、第4態様において、前記回動部は、前記載置面部材の自重による回動速度を減速させる減速手段(例えば減速部材85e)を有することを特徴とするものである。
これによれば、重量のある載置面部材であっても、載置面部材の自重により回動するときの回動速度を減速させ、載置面部材を安全に回動させることができる。
【0060】
[第6態様]
第6態様は、第1乃至第5態様のいずれかにおいて、画像形成装置横方向一端側に設けられる記録媒体給送部(例えば搬入部10)から画像形成部(例えば印刷部30)を経て画像形成装置横方向他端側に設けられる記録媒体排出部(搬出部70)へ記録媒体を搬送する搬送手段(例えば、給送装置12(12A,12B)、ドラム31、搬送部41,51など)を有し、前記使用位置は、横方向における位置が前記画像形成部よりも前記記録媒体排出部側の位置であることを特徴とするものである。
このような使用位置であれば、検査時に、記録媒体排出部の近傍に載置面部材が配置されることになるため、記録媒体排出部に排出された検査対象の印刷物を、使用位置の載置面部材の載置面まで検査者が運搬する距離が短くなる。よって、検査時に検査対象の印刷物を運搬する作業が容易になり、あるいは、不要となり(載置面部材の前に立っている検査者が歩かずに記録媒体排出部から印刷物を取り出せる)、記録媒体の検査作業を簡易にすることができる。
【0061】
[第7態様]
第7態様は、第1乃至第6態様において、前記非使用位置は、画像形成装置本体の上方で前記載置面部材の載置面が水平となる姿勢をとる位置であることを特徴とするものである。
このような非使用位置であれば、非検査時に、載置面部材が邪魔にならず、かつ、検査時に載置面部材を使用位置に移動させたり戻したりする手間が少なく、利便性が高い。
【0062】
[第8態様]
第8態様は、第1乃至第7態様において、前記載置面部材の載置面は、少なくとも日本工業規格B列2番以上の寸法をもつ記録媒体よりも広いことを特徴とするものである。
これによれば、日本工業規格B列2番以上の寸法をもつ大寸法の記録媒体を検査台の載置面上に載せて記録媒体の検査を適切に行うことができる。
【0063】
[第9態様]
第9態様は、画像形成装置(例えば印刷装置1)により画像が形成された記録媒体(例えばシート材P)を検査者が検査するために該記録媒体が載置される載置面部材81を備える検査台80であって、前記載置面部材を使用位置と非使用位置(例えば格納位置)との間で移動可能に支持する移動支持部82と、前記移動支持部を画像形成装置に固定する固定部83と、を有することを特徴とするものである。
本態様によれば、画像形成装置に検査台が備え付けられるので、検査のたびに必要であった検査台の運搬作業が不要となる。
しかも、本態様における検査台は、固定部により画像形成装置本体に固定された移動支持部によって、載置面部材が使用位置と非使用位置との間で移動可能に支持されている。そのため、非検査時には、邪魔にならない非使用位置に載置面部材を配置し、検査時には、検査に適した使用位置に載置面部材を配置して適切に検査を行うことができる。よって、大寸法の記録媒体が載置可能なほど大型の載置面部材であっても、非検査時には邪魔にならず、かつ、検査時には適切に検査を行うことができる。
【符号の説明】
【0064】
1 :印刷装置
10 :搬入部
20 :前処理部
30 :印刷部
40 :第1乾燥部
50 :第2乾燥部
60 :反転機構部
70 :搬出部
80 :検査台
81 :載置面部材
81a :載置面
81b :印刷物ストッパ
82 :移動支持部
83 :固定部
83a :支持プレート
83b :被係合部
84 :スライド移動部
84a :スライドレール
84b :スライダー
84c :回動部支持部材
84d :スライドロック部
84e :スライドロック解除レバー
85 :回動部
85a :円筒支持部
85b :回転軸部材
85c :フレーム取付部材
85d :回動ロック解除レバー
85e :減速部材
86 :支持フレーム
P :シート材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】