(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179892
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】電子聴診器
(51)【国際特許分類】
A61B 7/04 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A61B7/04 L
A61B7/04 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099190
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】坂田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】竹本 香菜子
(72)【発明者】
【氏名】北川 雅士
(57)【要約】
【課題】本開示は、ノイズを低減する電子聴診器において、ユーザの手によって体外音マイクがふさがっているか否かを判定可能にすることを目的とする。
【解決手段】本開示は、体内音を収音し、体内音信号を出力する体内音マイクと、前記体内音マイクの把持部と、前記把持部の外表面に設けられた凹部の開口部を通して体外音を収音し、体外音信号を出力する体外音取得部と、を備え、前記体外音取得部は、前記凹部内に届く外光を検出する光検出部を備える、体内音収音装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内音を収音し、体内音信号を出力する体内音マイクと、
前記体内音マイクの把持部と、
前記把持部の外表面に設けられた凹部の開口部を通して体外音を収音し、体外音信号を出力する体外音取得部と、
を備え、
前記体外音取得部は、前記凹部内に届く外光を検出する光検出部を備える、
体内音収音装置。
【請求項2】
複数の前記体外音取得部を備え、
前記光検出部からの出力信号が閾値未満の前記体外音取得部から出力された前記体外音信号を除外する体外音信号処理部を備える、
請求項1に記載の体内音収音装置。
【請求項3】
前記複数の体外音取得部は、それぞれ、前記体外音信号処理部を備え、
前記複数の体外音取得部に備わる前記体外音信号処理部は、前記光検出部からの出力信号が閾値未満のとき、前記体外音信号を出力しない、
請求項2に記載の体内音収音装置。
【請求項4】
複数の前記体外音取得部から出力された前記体外音信号のなかからいずれか一つを選択する体外音信号選択部を備える、
請求項2又は3に記載の体内音収音装置。
【請求項5】
前記複数の体外音取得部のいずれか一つから出力された前記体外音信号に応じた抑圧信号を出力する適応フィルタ部と、
前記抑圧信号を用いて前記体内音信号を抑圧する演算回路と、
を備える請求項2に記載の体内音収音装置。
【請求項6】
複数の前記体外音取得部を備え、前記複数の体外音取得部で得られた前記体外音信号、前記体内音信号、及び前記光検出部からの出力信号を送信する送信部を備える、請求項1に記載の体内音収音装置と、
前記体内音収音装置から送信された前記光検出部からの出力信号を用いて前記体内音収音装置から送信された前記体外音信号のなかからいずれか一つを選択し、前記選択された前記体外音信号に応じて前記体内音収音装置から送信された前記体内音信号を低減する外部装置と、
を備える体内音収音システム。
【請求項7】
複数の前記体外音取得部を備え、前記複数の体外音取得部で得られた前記体外音信号及び前記体内音信号を送信する送信部を備える、請求項3に記載の体内音収音装置と、
前記体内音収音装置から送信された前記体外音信号のなかからいずれか一つを選択し、前記選択された前記体外音信号に応じて前記体内音収音装置から送信された前記体内音信号を低減する外部装置と、
を備える体内音収音システム。
【請求項8】
体内音マイクが、体内音を収音し、体内音信号を出力する手順と、
体外音取得部が、前記体内音マイクの把持部に設けられた凹部の開口部を通して体外音を収音し、体外音信号を出力する手順と、
を備え、
前記体外音取得部に備わる光検出部が、前記凹部内に届く外光を検出する、
体内音収音方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子聴診器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子聴診器において、ノイズを低減する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1では、体内音を収音する体内音マイクで収音された体内音信号から、体外音マイクで収音された体外音信号に応じた抑圧信号を低減する。
【0003】
体外音マイクはチェストピースに相当する部分に設けられるため、ユーザの手によって体外音マイクがふさがるときがある。しかし、特許文献1では、ユーザの手によって体外音マイクがふさがっているか否かの情報がないため、ノイズを低減した上での体内音信号なのか、それともノイズを十分に低減できていない状態での体内音信号なのか、の判定ができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、ノイズを低減する電子聴診器において、ユーザの手によって体外音マイクがふさがっているか否かを判定可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の体内音収音装置は、体内音を収音し、体内音信号を出力する体内音マイクと、前記体内音マイクの把持部と、前記把持部の外表面に設けられた凹部の開口部を通して体外音を収音し、体外音信号を出力する体外音取得部と、を備え、前記体外音取得部は、前記凹部内に届く外光を検出する光検出部を備える。
【0007】
本開示の体内音収音装置は、本開示の体内音収音方法を実行する。本開示の体内音収音方法は、体内音マイクが、体内音を収音し、体内音信号を出力する手順と、体外音取得部が、前記体内音マイクの把持部に設けられた凹部の開口部を通して体外音を収音し、体外音信号を出力する手順と、を備え、前記体外音取得部に備わる光検出部が、前記凹部内に届く外光を検出する。
【0008】
本開示の体内音収音装置は、体内音マイク及び体外音取得部を備え、体内音信号から体外音信号に応じた抑圧信号を低減することができるため、ノイズを低減する電子聴診器を提供することができる。ここで、本開示の体内音収音装置は、凹部内に届く外光を検出するため、凹部の開口部がふさがっているか否かを判定することができる。したがって、本開示の体内音収音装置は、ノイズを低減する電子聴診器において、ユーザの手によって体外音マイクがふさがっているか否かを判定可能にすることができる。
【0009】
本開示の体内音収音装置は、複数の前記体外音取得部を備えていてもよい。このとき、本開示の体内音収音装置は、前記光検出部からの出力信号が閾値未満の前記体外音取得部から出力された前記体外音信号を除外する体外音信号処理部を備える。
【0010】
本構成を採用することで、本開示の体内音収音装置は、ユーザの手によって体外音マイクがふさがっていない体外音取得部で取得された体外音信号を用いて、体内音信号から体外音信号に応じた抑圧信号を低減することができる。このため、本開示の体内音収音装置は、ノイズを十分に低減できている状態での体内音信号を出力することができる。
【0011】
例えば、前記複数の体外音取得部は、それぞれ、前記体外音信号処理部を備えていてもよい。このとき、前記複数の体外音取得部に備わる前記体外音信号処理部は、前記光検出部からの出力信号が閾値未満のとき、前記体外音信号を出力しない構成を採用してもよい。また、本開示の体内音収音装置は、複数の前記体外音取得部から出力された前記体外音信号のなかからいずれか一つを選択する体外音信号選択部を備えていてもよい。
【0012】
例えば、前記複数の体外音取得部に対し、1つの前記体外音信号処理部を備えていてもよい。また、本開示の体内音収音装置は、複数の前記体外音取得部から出力された前記体外音信号のなかからいずれか一つを選択する体外音信号選択部を備えていてもよい。
【0013】
本開示の体内音収音装置は、前記複数の体外音取得部のいずれか一つから出力された前記体外音信号に応じた抑圧信号を出力する適応フィルタ部と、前記抑圧信号を用いて前記体内音信号を抑圧する演算回路と、を備えていてもよい。
【0014】
本開示は、体内音収音装置及び外部装置を備える体内音収音システムの態様を採用してもよい。
【0015】
例えば、本開示の体内音収音装置は、複数の前記体外音取得部を備え、前記複数の体外音取得部で得られた前記体外音信号、前記体内音信号、及び前記光検出部からの出力信号を送信する送信部を備えていてもよい。このとき、外部装置は、前記体内音収音装置から送信された前記光検出部からの出力信号を用いて前記体内音収音装置から送信された前記体外音信号のなかからいずれか一つを選択し、前記選択された前記体外音信号に応じて前記体内音収音装置から送信された前記体内音信号を低減する。
【0016】
例えば、本開示の体内音収音装置は、複数の前記体外音取得部を備え、前記複数の体外音取得部で得られた前記体外音信号及び前記体内音信号を送信する送信部を備えていてもよい。このとき、外部装置は、前記体内音収音装置から送信された前記体外音信号のなかからいずれか一つを選択し、前記選択された前記体外音信号に応じて前記体内音収音装置から送信された前記体内音信号を低減する。
【0017】
なお、上記各開示は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、ノイズを低減する電子聴診器において、ユーザの手によって体外音マイクがふさがっているか否かを判定可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の体内音収音装置の実施形態例を示す。
【
図5】本開示の体内音収音装置の実施形態例を示す。
【
図6】本開示の体内音収音装置の実施形態例を示す。
【
図8】本開示の体内音収音装置の実施形態例を示す。
【
図12】本開示の体内音収音装置の実施形態例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本開示は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0021】
(第1の実施形態)
図1に、本実施形態の体内音収音装置10の構成例を示す。本実施形態の体内音収音装置10は、体内音マイク12と、把持部11と、信号処理部13と、複数の体外音取得部14と、を備える。把持部11は、チェストピースに相当する体内音マイク12の筐体であり、人の手でつかむことができる。
【0022】
体内音マイク12は、体内音を収音し、体内音信号を出力する。体外音取得部14は、把持部11の外表面に配置され、体外音を収音し、体外音信号を出力する。信号処理部13は、体外音信号に基づいて、体内音に含まれている体外音を低減した、出力体内音信号を出力する。
【0023】
体外音は、電子聴診器において低減すべき任意のノイズであり、例えば、環境音又は騒音等及び泣き声又は話し声等が挙げられる。体内音は、電子聴診器において取得可能な任意の体内音であり、例えば、心拍音又は呼吸音等が挙げられる。ただし、体内音信号には、体内音収音装置10の外部から体内音マイク12への体外音の回り込み成分も含まれる。
【0024】
図2に、体外音取得部14の構成の一例を示す。体外音取得部14は、体外音マイク22及び光検出部23を備える。本開示では、把持部11の外表面に凹部21が設けられており、凹部21内に体外音マイク22及び光検出部23が配置されている。
【0025】
凹部21の開口部21Aは、体外音を通過させることの可能な任意の形状を有し、例えば数ミリ程度の丸穴を採用することができる。体外音マイク22は、凹部21の開口部21Aを通して体外音を収音し、体外音信号を出力する。光検出部23は、凹部21内に届く外光を検出し、検出した外光の光量に相当する信号を出力する。以下、光検出部23からの出力信号を光量と称する。
【0026】
本実施形態の体内音収音装置10は、本開示の体内音収音方法を実行する。本開示の体内音収音方法は、体内音マイク12が体内音信号を出力する手順と、体外音取得部14が、体内音マイク12の把持部11に設けられた凹部21の開口部21Aを通して体外音を収音し、体外音信号を出力する手順と、を備え、体外音取得部14に備わる光検出部23が、凹部21内に届く外光を検出する。
【0027】
体内音収音装置10の使用時に、ユーザの手によって開口部21Aがふさがることがある。このとき、凹部21内に外光が届かなくなるため、光検出部23において光が検出されなくなる。本実施形態は、体内音収音装置10が光検出部23を備えるため、光検出部23からの光量に基づいて、開口部21Aがふさがっていることを判定することができる。
【0028】
図3に、信号処理部13の構成例を示す。信号処理部13は、体内音信号処理部30及び体外音信号選択部34を備える。体外音信号選択部34は、複数の体外音取得部14から出力された体外音信号のなかからいずれか一つを選択し、出力する。
【0029】
体内音信号処理部30は、適応フィルタ部31と、演算回路32と、を備える。適応フィルタ部31は、体外音信号選択部34から出力された体外音信号に応じた抑圧信号を出力する。演算回路32は、抑圧信号を用いて体内音信号を抑圧する。これにより、体外音の低減された体内音に相当する出力体内音信号が、信号処理部13から出力される。
【0030】
図4に、体外音信号選択部34の構成例を示す。体外音信号選択部34は、判定部341及びスイッチ342を備える。判定部341は、本開示の「体外音信号処理部」として機能し、光量が閾値未満の体外音取得部14から出力された体外音信号を除外する。例えば、判定部341は、複数の光検出部23からの光量I1~I3が入力され、光量I1~I3のうちの光量I2が閾値未満の場合、スイッチ342における体外音信号Se2の出力を除外する。
【0031】
さらに、判定部341は、体外音取得部14から出力された体外音信号Se1~Se3のうちの一つを選択する。ここで、判定部341における選択方法は任意であり、予め定められた優先順位に基づいて選択することが例示できる。例えば、体外音信号Se1、Se2、Se3の順に優先順位が設定されている場合、判定部341は、体外音信号Se1を出力するよう、スイッチ342を制御する。これにより、光量が閾値以上の体外音取得部14の体外音信号Se1のみが体外音信号選択部34から出力される
【0032】
以上説明したように、光量が閾値以上の体外音取得部14の体外音信号のみが体外音信号選択部34から出力されるため、ユーザの手でふさがれている体外音取得部14の体外音信号が体内音信号処理部30に入力されるのを防ぐことができる。このため、本実施形態の体内音収音装置10は、体内音信号から体外音信号を低減する電子聴診器において、チェストピースの持ち方によらず、体外音を低減可能にすることができる。
【0033】
なお、
図5に示すように、体内音収音装置10は、出力体内音信号を記憶部16に蓄積してもよい。また、体内音収音装置10は、無線通信又は有線通信を用いて、出力体内音信号を送信部15から送信してもよい。無線通信は、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を含む。
【0034】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では体内音収音装置10において出力体内音信号を生成したが、出力体内音信号の生成は体内音収音装置10外であってもよい。そこで、本実施形態では、体内音収音装置10及び外部装置40を備える体内音収音システムの構成態様を採用する。
【0035】
外部装置40は、体内音収音装置10の送信した情報を受信可能な装置であり、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を用いて体内音収音装置10から受信可能な位置に配置されるものであってもよいし、公衆網を介して体内音収音装置10から受信可能な位置に配置されるものであってもよい。
【0036】
図6に、本実施形態の体内音収音装置10の構成例を示す。本実施形態の体内音収音装置10は、体内音マイク12と、把持部11と、複数の体外音取得部14と、送信部15と、を備える。以下、第1の実施形態との差分について説明する。
【0037】
本実施形態では、複数の体外音取得部14からの体外音信号及び光量が送信部15に出力される。送信部15は、複数の体外音取得部14からの体外音信号及び光量と、体内音マイク12からの体内音信号と、を送信する。
【0038】
図7に、外部装置40の構成例を示す。外部装置40は、外部受信部41、外部信号処理部42、外部記憶部43、外部送信部44を備える。本実施形態では、外部信号処理部42が第1の実施形態で説明した体内音信号処理部30及び体外音信号選択部34を備える。
【0039】
外部受信部41は、体内音収音装置10から送信される複数の体外音信号及び光量、並びに体内音信号を受信する。体外音信号選択部34は、第1の実施形態と同様に、外部受信部41で受信した複数の体外音信号のなかからいずれか一つを選択し、出力する。体内音信号処理部30は、第1の実施形態と同様に、体外音の低減された体内音に相当する出力体内音信号を出力する。
【0040】
本実施形態では、体内音収音装置10で得られるすべての情報を外部装置40に収集することができる。このため、外部装置40は、体内音収音装置10で得られるすべての情報を用いて、体内音信号を管理することができる。
【0041】
また、本実施形態では、体内音収音装置10における演算処理を必要最小限にすることで、体内音収音装置10の設計変更の必要性を減らし、複数の体外音取得部14で得られる出力体内音信号の選択条件を外部装置40において任意に設定可能になる。
【0042】
なお、外部装置40は、外部受信部41で受信した複数の体外音信号及び光量を、体内音信号と紐づけ、外部記憶部43に格納してもよい。また、外部装置40は、出力体内音信号を外部記憶部43に蓄積してもよい。また、外部装置40は、無線通信又は有線通信を用いて、出力体内音信号を外部送信部44から送信してもよい。無線通信は、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を含む。
【0043】
(第3の実施形態)
第1の実施形態では信号処理部13において、第2の実施形態では信号処理部42において、開口部21Aがユーザの手でふさがれていないことを判定したが、この判定は体外音取得部14において行ってもよい。以下、具体的に説明する。
【0044】
図8に、本実施形態の体内音収音装置10の構成例を示す。本実施形態の体内音収音装置10は、体内音マイク12と、把持部11と、複数の体外音取得部14と、を備える。本実施形態では、各体外音取得部14は、光量を出力せず、体外音信号のみを信号処理部13に出力する。
【0045】
図9に、信号処理部13の構成例を示す。信号処理部13には、各体外音取得部14からの体外音信号と、体内音マイク12からの体内音信号と、が入力される。本実施形態の体外音信号選択部34は、
図10に示すように、各体外音取得部14からの体外音信号Se1~Se3のいずれかを出力する。ただし、本実施形態では、体外音信号選択部34に光量が入力されないため、光量に基づく体外音信号の除外は行わない。本実施形態では、体外音信号Se1、Se2、Se3の順に優先順位が設定されている場合、判定部341は、体外音信号Se1を出力するよう、スイッチ342を制御する。これにより、体内音信号処理部30は、体外音の低減された体内音に相当する出力体内音信号を出力する。
【0046】
図11に、体外音取得部14の構成の一例を示す。本実施形態の体外音取得部14は、体外音マイク22、光検出部23及び体外音信号処理部24を備える。体外音信号処理部24は、凹部21に配置されていてもよいが、把持部11内に埋め込まれていてもよい。
【0047】
体外音信号処理部24には、光検出部23からの光量及び体外音取得部14からの体外音信号が入力される。体外音信号処理部24は、光検出部23からの光量に応じて、体外音取得部14からの体外音信号を信号処理部13に出力するか否かを判定する。例えば、体外音信号処理部24は、光検出部23からの光量が閾値以上のときに体外音信号を信号処理部13に出力し、光検出部23からの光量が閾値未満のときに体外音信号を信号処理部13に出力しない。
【0048】
なお、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、体内音収音装置10は、出力体内音信号を記憶部16に蓄積してもよい。また、体内音収音装置10は、無線通信又は有線通信を用いて、出力体内音信号を送信部15から送信してもよい。無線通信は、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を含む。
【0049】
(第4の実施形態)
第3の実施形態では体内音収音装置10において出力体内音信号を生成したが、出力体内音信号の生成は体内音収音装置10外であってもよい。そこで、本実施形態では、体内音収音装置10及び外部装置40を備える体内音収音システムの構成態様を採用する。
【0050】
図12に、本実施形態の体内音収音装置10の構成例を示す。本実施形態の体内音収音装置10は、体内音マイク12と、把持部11と、複数の体外音取得部14と、送信部15と、を備える。以下、第3の実施形態との差分について説明する。
【0051】
本実施形態では、複数の体外音取得部14からの体外音信号が送信部15に出力される。送信部15は、複数の体外音取得部14からの体外音信号と、体内音マイク12からの体内音信号と、を送信する。
【0052】
図13に、外部装置40の構成例を示す。外部装置40は、外部受信部41、外部信号処理部42、外部記憶部43、外部送信部44を備える。本実施形態では、外部信号処理部42が第3の実施形態で説明した体内音信号処理部30及び体外音信号選択部34を備える。
【0053】
外部受信部41は、体内音収音装置10から送信される複数の体外音信号、及び体内音信号を受信する。体外音信号選択部34は、外部受信部41で受信した複数の体外音信号のなかからいずれか一つを選択し、出力する。体内音信号処理部30は、体外音の低減された体内音に相当する出力体内音信号を出力する。
【0054】
本実施形態では、開口部21Aがユーザの手でふさがれていない体外音取得部14の体外音信号と体内音信号を外部装置40に収集することができる。このため、外部装置40は、出力体内音信号を生成する際に必要な情報を管理することができる。
【0055】
また、本実施形態では、体内音収音装置10から外部装置40へ送信する情報を少なくすることで、体内音収音装置10における使用電力を減らすことができる。
【0056】
なお、外部装置40は、外部受信部41で受信した複数の体外音信号を、体内音信号と紐づけ、外部記憶部43に格納してもよい。また、外部装置40は、出力体内音信号を外部記憶部43に蓄積してもよい。また、外部装置40は、無線通信又は有線通信を用いて、出力体内音信号を外部送信部44から送信してもよい。無線通信は、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を含む。
【0057】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、光検出部23で得られた光量の情報に基づいて、開口部21Aがふさがっているか否かの判定を行ったが、本開示はこれに限定されない。例えば、光検出部23で得られた光量に代えて、光検出部23が外光を検出したか否かの情報であってもよい。また、本開示は、光検出部23に代えて、開口部21Aがふさがっているか否かを判定可能な任意の手段を採用してもよい。
【0058】
また、本開示の体内音収音装置10及び外部装置40はコンピュータとプログラムによっても実現でき、プログラムを記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本開示の電子聴診器は、(1)体内音信号をデータ化することにより、経験によらず診療可能であり、(2)体内音信号を録音することにより、診療時間外に対応可能であり、(3)体内音信号を通信することにより、遠隔診療に対応可能である。
【符号の説明】
【0060】
10:体内音収音装置
11:把持部
12:体内音マイク
13:信号処理部
14:体外音取得部
15:送信部
16:記憶部
21:凹部
22:体外音マイク
23:光検出部
24:体外音信号処理部
30:体内音信号処理部
31:適応フィルタ部
32:演算回路
34:体外音信号選択部
341:判定部
342:スイッチ
40:外部装置
41:外部受信部
42:外部信号処理部
43:外部記憶部
44:外部送信部