(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179897
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ウェーハの貼合わせ方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20241219BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/68 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099198
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 之文
(72)【発明者】
【氏名】小日向 恭祐
(72)【発明者】
【氏名】川合 章仁
(72)【発明者】
【氏名】寺西 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】喜多 直紀
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA60
5F131CA18
5F131KA12
5F131KA47
5F131KA72
5F131KB07
5F131KB55
5F131KB58
(57)【要約】
【課題】2枚のウェーハを正確に位置決めして貼り合わせることができるウェーハの貼合わせ方法を提供すること。
【解決手段】表面に複数のデバイスDが形成され第1ウェーハW1と第2ウェーハW2とを貼り合わせる貼合わせ方法は、第1ウェーハW1の指定のデバイスDから所定距離離れた箇所に第1マークM1と第2マークM2とを形成する第1ウェーハW1のマーク形成工程と、第2ウェーハW2の指定のデバイスDから所定距離離れた箇所に第3マークM3と第4マークM4とを形成する第2ウェーハW2のマーク形成工程と、第1ウェーハW1の表面と第2ウェーハW2の表面とを対面させ、ウェーハに対して透過性を有する波長の光を用いてカメラ61の撮像領域にある第1マークM1と第3マークM3及び第2マークM2と第4マークM4とをそれぞれ一致させた状態で第1ウェーハW1と第2ウェーハW2とを貼り合わせる貼合わせ工程を備える。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子状のストリートによって分割された表面の複数の領域にデバイスがそれぞれ形成された第1ウェーハと第2ウェーハとを貼り合わせるウェーハの貼合わせ方法であって、
該第1ウェーハの指定の該デバイスから所定の距離離れた箇所に少なくとも2つの第1マークと第2マークとを形成する第1ウェーハのマーク形成工程と、
該第2ウェーハの指定の該デバイスから所定の距離離れた箇所に少なくとも2つの第3マークと第4マークとを形成する第2ウェーハのマーク形成工程と、
該第1ウェーハの表面と該第2ウェーハの表面または裏面とを対面させ、ウェーハに対して透過性を有する波長の光を用いてカメラの撮像領域にある該第1マークと該第3マーク及び該第2マークと該第4マークとをそれぞれ一致させた状態で該第1ウェーハと該第2ウェーハとを貼り合わせる貼合わせ工程と、
を備えることを特徴とするウェーハの貼合わせ方法。
【請求項2】
該第1マークまたは該第2マークは、該第1ウェーハの裏面に形成されることを特徴とする請求項1記載のウェーハの貼合わせ方法。
【請求項3】
該第1マークと該第2マーク及び該第3マークと該第4マークは、
ウェーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線の照射による改質層形成加工、
ウェーハにして吸収性を有するレーザー光の照射による凹部形成加工、
切削ブレードの切り込みによる切削溝加工、
の何れかによって形成されることを特徴とする請求項1記載のウェーハの貼合わせ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に複数のデバイスが形成された2枚のウェーハを位置合わせして貼り合わせるウェーハの貼合わせ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯電話やパソコン(パーソナルコンピュータ)などの電子機器に使用される半導体チップの製造工程においては、円板状の半導体ウェーハ(以下、単に「ウェーハ」と称する)の表面が格子状に配列されたストリート(分割予定ライン)によって複数のデバイス領域に区画され、各デバイス領域にICやLSIなどのデバイスがそれぞれ形成される。そして、このように複数のデバイスが形成されたウェーハをストリートに沿って分割することによって、複数の半導体チップが製造される。
【0003】
ところで、近年の電子機器の小型・薄型化や容量増大の要求に応えるため、複数枚のウェーハを貼り合わせて貼合わせウェーハとすることが行われているが、この貼合わせウェーハの製造においては、複数枚のウェーハを、これらに形成された複数のデバイス同士が一致するようにして重ねて貼り合わせる必要がある。このため、各ウェーハに貼合わせマーク(アライメントマーク)をそれぞれ形成し、各貼り合わせマークの位置(XY座標上の位置)を光学的に読み取り、両位置合わせマーク同士が一致するように位置合わせを行ってウェーハ同士を貼り合わせるようにしている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-134233号公報
【特許文献2】特開2015-188042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、各々のウェーハを保持する保持テーブルの移動誤差などのために貼合わせマークを完全に一致させることができず、貼り合わされるウェーハに位置ズレが生じ、各ウェーハに形成されたデバイス同士を完全に一致させることができないという問題がある。また、マークは、デバイスを形成する際に同時に製造されているため、ウェーハを貼り合わせる装置によっては、そのマークを認識することができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、2枚のウェーハを正確に位置決めして貼り合わせることができるウェーハの貼合わせ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明は、格子状のストリートによって分割された表面の複数の領域にデバイスがそれぞれ形成された第1ウェーハと第2ウェーハとを貼り合わせるウェーハの貼合わせ方法であって、該第1ウェーハの指定の該デバイスから所定の距離離れた箇所に少なくとも2つの第1マークと第2マークとを形成する第1ウェーハのマーク形成工程と、該第2ウェーハの指定の該デバイスから所定の距離離れた箇所に少なくとも2つの第3マークと第4マークとを形成する第2ウェーハのマーク形成工程と、該第1ウェーハの表面と該第2ウェーハの表面または裏面とを対面させ、ウェーハに対して透過性を有する波長の光を用いてカメラの撮像領域にある該第1マークと該第3マーク及び該第2マークと該第4マークとをそれぞれ一致させた状態で該第1ウェーハと該第2ウェーハとを貼り合わせる貼合わせ工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マーク形成工程において第1ウェーハに形成された第1マークと第2ウェーハに形成された第3マーク及び第1ウェーハに形成された第2マークと第2ウェーハに形成された第4マークの位置ズレをカメラによって視認しながら該位置ズレが0となるように(第1マークと第3マーク及び第2マークと第4マークが完全に一致するように)、第1ウェーハと第2ウェーハとの相対位置を微調整してから第1ウェーハと第2ウェーハとを貼り合わせるため、これらの第1ウェーハと第2ウェーハの各表面にそれぞれ形成されたデバイス同士が完全に一致した高品質の貼合わせウェーハが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明方法のマーク形成工程において使用されるレーザー加工装置の斜視図である。
【
図2】本発明方法の第1実施形態に係るマーク形成工程においてマークが形成されたウェーハの平面図である。
【
図5】本発明方法の第2実施形態に係るマーク形成工程においてマークが形成されたウェーハの拡大部分平面図である。
【
図7】本発明方法の第3実施形態に係るマーク形成工程においてマークが形成されたウェーハの平面図である。
【
図10】本発明方法の第4及び第5実施形態に係るマーク形成工程においてマークが形成されたウェーハの拡大部分平面図である。
【
図12】本発明方法の第6及び第7実施形態に係るマーク形成工程においてマークが形成されたウェーハの平面図である。
【
図16】本発明方法の第1実施形態に係る貼合わせ工程を示す縦断面図である。
【
図17】本発明方法の第1実施形態に係る貼合わせ工程によって貼り合わされた貼合わせウェーハの縦断面図である。
【
図18】本発明方法の第2実施形態に係る貼合わせ工程を示す縦断面図である。
【
図19】本発明方法の第2実施形態に係る貼合わせ工程によって貼り合わされた貼合わせウェーハの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
本発明に係るウェーハの貼合わせ方法は、
マーク形成工程
貼り合わせ工程
の2工程を経て
図2に示すような薄い円板状の第1ウェーハW1と第2ウェーハW2を重ねて貼り合わせる方法である。ここで、第1ウェーハW1と第2ウェーハW2の構成は同じであり、これらの第1ウェーハW1と第2ウェーハW2は、単結晶のシリコン母材で構成されており、
図2及び
図3に示すように、その表面(
図2及び
図3においては上面)には、互いに直交する複数のストリート(分割予定ライン)L1,L2が格子状に形成されており、これらの分割予定ラインL1,L2によって区画された複数のデバイス領域には、ICやLSIなどのデバイスDがそれぞれ実装されている。
【0012】
以下、本発明方法におけるマーク形成工程について説明するが、このマーク形成工程においては、第1ウェーハW1と第2ウェーハW2の各表面に位置合わせ用のマーク(アライメントマーク)M1,M2とM3,M4が例えば
図1に示すレーザー加工装置1によって形成される。ここで、このレーザー加工装置1の構成を
図1に基づいて以下に説明する。
【0013】
[レーザー加工装置]
図1はレーザー加工装置1の斜視図であり、以下の説明においては、
図1に示す矢印方向をそれぞれX軸方向(前後方向)、Y軸方向(左右方向)、Z軸方向(上下方向)とする。
【0014】
図1に示すレーザー加工装置1は、第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)を保持する保持テーブル10と、第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)に向かってレーザー光線を出射するレーザービーム発振器20を主要な構成要素として備えている。
【0015】
ここで、保持テーブル10は、円板状の部材であって、後述の矩形プレート状のスライダ31に回転可能に支持されている。そして、保持テーブル10は、不図示の回転機構によって垂直な中心軸回りに回転することができる。なお、保持テーブル10の周方向4箇所には、第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)の周方向4箇所を固定するためのクランパ11が周方向に等角度ピッチ(90°ピッチ)で配設されている。
【0016】
また、保持テーブル10は、X軸移動機構30によってX軸方向に移動可能であるとともに、Y軸移動機構40によってY軸方向に移動可能である。ここで、X軸移動機構30は、矩形プレート状のスライダ44上にX軸方向に沿って互いに平行に敷設されたガイドレール32と、これらのガイドレール32の間にX軸方向に沿って延びる回転可能なボールネジ33と、該ボールネジ33の軸方向一端に連結されたサーボモータ34によって構成されており、保持テーブル10を回転可能に支持するスライダ31は、一対のガイドレール32に沿ってX軸方向に移動可能に支持されている。なお、スライダ31の下面には、不図示のナット部材が下方に向かって突設されており、このナット部材にボールネジ33が螺合挿通している。また、スライダ44上には、X軸方向に沿って配設されたリニアスケール35が配設されている。
【0017】
したがって、サーボモータ34を起動してボールネジ33を正逆転させると、このボールネジ33に螺合する不図示のナット部材が突設されたスライダ31とこれに支持された保持テーブル10がX軸方向に沿って移動し、保持テーブル10のX軸方向の送り量がリニアスケール35によって測定される。
【0018】
また、Y軸移動機構40は、基台100上にY軸方向に沿って互いに平行に敷設された一対のガイドレール41と、これらのガイドレール41の間にY軸方向に沿って延びる回転可能なボールネジ42と、該ボールネジ42の軸方向一端に連結されたサーボモータ43によって構成されており、スライダ31とこれに支持された保持テーブル10をY軸方向に沿って移動可能に支持するスライダ44は、一対のガイドレール41に沿ってY軸方向に移動可能に支持されている。なお、スライダ44の下面には、不図示のナット部材が下方に向かって突設されており、このナット部材にボールネジ42が螺合挿通している。また、基台100上には、保持テーブル10のY軸方向の送り量を測定するリニアスケール45がY方向に沿って配設されている。
【0019】
したがって、サーボモータ43を起動してボールネジ42を正逆転させると、このボールネジ42に螺合する不図示のナット部材が突設されたスライダ44とこれにX軸移動機構30を介して支持されたスライダ31とこれに支持された保持テーブル10がY軸方向に沿って移動し、保持テーブル10のY軸方向の送り量がリニアスケール45によって測定される。したがって、X軸移動機構30とY軸移動機構40によって、保持テーブル10は、X-Y軸方向に移動することができる。
【0020】
さらに、前記レーザービーム発振器20は、保持テーブル10上に保持された第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)に向けてレーザー光線を照射するものであって、基台100上に垂直に立設されたコラム101の上端に水平に取り付けられている。このレーザービーム発振器20の先端には、不図示のレーザー光源から出射したレーザー光線を集光して保持テーブル10上に保持された第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)に向けて照射するレーザーヘッド21と、保持テーブル10上の第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)の加工領域を検出する撮像手段22が取り付けられている。
【0021】
ここで、撮像手段22は、可視光によって撮像する通常のCCDなどの撮像素子の他、第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)に向けて赤外線を照射する赤外線照射手段と、該赤外線照射手段によって第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)に照射された赤外線を捕らえる光学系と、この光学系によって捕らえられた赤外線に対応する電気信号を出力する赤外線CCDなどを備えている。
【0022】
[ウェーハの貼合わせ方法]
次に、本発明に係る第1ウェーハW1と第2ウェーハW2との貼合わせ方法における1)マーク形成工程の実施形態について説明する。
【0023】
1) マーク形成工程:
<第1実施形態>(改質層1つでマークとする)
第1実施形態に係るマーク形成工程は、
図1に示すレーザー加工装置1による改質層形成加工によって、第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)の表面側の外周部2箇所の内部に位置合わせ用の改質層g(
図4参照)を形成し、これらの改質層gを、第1ウェーハW1については第1マークM1と第2マークM2、第2ウェーハW2については第3マークM3と第4マークM4とする(
図2及び
図3参照)。ここで、第1ウェーハW(第2ウェーハW2)に改質層gが形成される箇所は、指定のデバイスD、例えば、
図2に示す斜線を付して示す中央のデバイスDから径方向において所定距離rだけ離れた相対向する2箇所とされる。
【0024】
そして、第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)に対する第1マークM1と第2マークM2(第3マークM3と第4マークM4)の改質層形成加工による形成に際しては、
図1に示すレーザー加工装置1の保持テーブル10上に第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)が載置されて4つのクランパ11によって固定される。このように第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)が保持テーブル10上に固定されると、撮像手段22によって第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)の表面が撮像され、第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)の第1マークM1(第3マークM3)が形成される箇所がレーザーヘッド21の直下に位置するように、第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)のX-Y軸方向の位置がX軸移動機構30とY軸移動機構40によってそれぞれ調整される。
【0025】
上記位置調整によって、第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)の第1マークM1(第3マークM3)が形成される箇所がレーザーヘッド21の直下に位置すると、
図1に示すレーザー加工装置1のレーザーヘッド21から出射されるレーザー光線による改質層形成加工によって、第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)の外周部の1箇所の内部に改質層g(
図4参照)が形成される。すなわち、レーザーヘッド21からは、第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)に対して透過性を有する波長のレーザー光線が第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)の表面に向けて照射される。すると、第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)の外周部の1箇所の内部に改質層gが形成され、この改質層gが第1マークM1(第3マークM3)とされる。なお、改質層gは、密度、光の屈折率、機械的強度、その他の物理的特性が周囲のそれとは異なる状態となった層である。
【0026】
上述のように、第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)の外周部の1箇所に改質層gが形成され、この改質層gが第1マークM1(第3マークM3)とされると、次に、保持テーブル10がX軸方向に移動し、以上と同様にレーザーヘッド21から第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)に向けて照射されるレーザー光線によって該第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)の他方の1箇所に改質層gが形成され、この改質層gが第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)の第2マークM2(第4マークM4)とされる。
【0027】
<第2実施形態>(十字に形成する改質層)
第2実施形態においては、前記第1実施形態と同様に、改質層形成加工によって
図1に示すレーザー加工装置1のレーザーヘッド21から第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)の表面の外周部2箇所に向かって照射されるレーザー光線によって、
図5及び
図6に示すように、第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)の表面の外周部2箇所の内部に、複数(図示例では、各9個)の改質層gが平面視十字状をなしてそれぞれ形成され、これらの改質層gが第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)の第1マークM1(第3マークM3)及び不図示の第2マークM2及び第4マークM4)とされる。なお、第1、第2実施形態においては、レーザー光線の出力調整、デフォーカスによって、改質層の大きさを変えてもよい。
【0028】
<第3実施形態>(アブレーションで破線十字の凹部)
第3実施形態においては、
図7~
図9に示すように、
図1に示すレーザー加工装置1のレーザーヘッド21から第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)の表面の外周部2箇所に向かって照射される吸収性の波長を有するレーザー光線による凹部形成加工によって、第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)の表面の外周部2箇所に、平面視十字状をなす複数(図示例では、各5個)の凹部hが形成され、これらの凹部hが第1ウェーハM1の第1マークM1と第2マークM2(
図7に図示)、第2ウェーハW2の第3マークM3と第4マークM4(
図7に図示)とされる。
【0029】
ここで、レーザーヘッド21からは第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)に対して吸収性の波長を有するレーザー光線が出射されるため、
図8及び
図9に示すように、第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)の外周部2箇所(
図8及び
図9には、1箇所のみ図示)には、平面視矩形の5個の凹部hが平面視十字状をなして形成される。
【0030】
<第4実施形態>
第4実施形態においては、前記第3実施形態と同様に、凹部形成加工が実施される。すなわち、第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)に対して吸収性の波長を有するレーザー光線を
図1に示すレーザー加工装置1のレーザーヘッド21によって第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)の表面の外周部2箇所に向かって照射することによって、
図10及び
図11に示すように、第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)の表面の外周部2箇所に連続した凹部h(
図10及び
図11には、一方のみ図示)が平面視十字状に形成される。
【0031】
ここで、
図10及び
図11には、第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)の表面の外周部の1箇所に形成された平面視十字状の凹部hのみを示すが、この凹部hが第1ウェーハW1の第1マークM1(第3マークM3)とされる。なお、
図10及び
図11には、第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)の表面の外周部の他の1箇所に形成された平面視十字状の凹部hは図示していないが、この凹部hが第1ウェーハW1の第2マークM2、第2ウェーハW2の第4マークM4とされる。
【0032】
<第5実施形態>
第5実施形態においては、前記第3及び第4実施形態と同様に、凹部形成加工が実施される。すなわち、第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)に対して吸収性の波長を有するレーザー光線を
図1に示すレーザー加工装置1のレーザーヘッド21によって第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)の表面に1つの凹部によってマーク(M1~M4)を形成する。なお、第3~第5実施形態においては、レーザー光線の出力調整、デフォーカス、または、LCOSによって、加工痕の大きさを変えてもよい。
【0033】
<第6実施形態>
第6実施形態においては、
図12~
図15に示すように、前記第4実施形態と同様に、第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)の表面の外周部2箇所に平面視十字状の凹部hがそれぞれ形成されるが、これらの凹部hは、
図13の矢印方向に回転する円板状の切削ブレード15を用いてマークM1~M4を形成する箇所の上方から切削ブレード15を下降させてウェーハW1,W2に切り込ませ深さ方向に円弧状の切削溝加工(切削溝加工)することによって形成される。そして、これらの凹部hが第1ウェーハW1については第1マークM1と第2マークM2、第2ウェーハW2については第3マークM3と第4マークM4とされる。なお、平面時十字状の凹部hは、
図1に示すレーザー加工装置1において、保持テーブル10とこれに保持された第1ウェーハW1(第2ウェーハW2)をX軸移動機構30とY軸移動機構40によってX軸方向とY軸方向に移動させることによって形成される。
【0034】
<第7実施形態>
第7実施形態においては、前記第6実施形態と同様に、
図13の矢印方向に回転する円板状の切削ブレード15を、マークM1~M4を形成する箇所の上方から下降させて、直線状の凹部hを形成することによって、マークM1~M4を形成する。なお、第6及び第7実施形態においては、切削ブレード15を切り込ませる深さによって凹部hの大きさを変えてもよい。
【0035】
次に、本発明に係るウェーハの貼合わせ方法における2)貼り合わせ工程の実施形態について説明する。
【0036】
2) 貼合わせ工程:
<第1実施形態>
本実施形態に係る貼合わせ工程においては、
図16に示すように、第1ウェーハWの表面と第2ウェーハW2の表面とを対面させ、これらの第1ウェーハW1と第2ウェーハW2に対して透過性を有する波長の光を用いてカメラ61の撮像領域にある第1ウェーハW1の第1マークM1と第2ウェーハW2の第3マークM3及び第1ウェーハW1の第2マークM2と第2ウェーハW2の第4マークM4とをそれぞれ一致させた状態で、第1ウェーハW1と第2ウェーハW2とが貼り合わせられる。
【0037】
第1ウェーハW1は、その裏面(
図16においては、デバイスDが形成されていない上面)が第1貼合ステージ50の平坦な下面に密着する状態で該第1貼合ステージ50によって保持されている。なお、第1ウェーハW1の表面(
図16においては、下面)には、永久接合樹脂jが塗布されている。
【0038】
他方、第2ウェーハW2は、その裏面(
図16においては、デバイスDが形成されていない下面)が第2貼合ステージ60の平坦な上面に密着する状態で該第2貼合ステージ60によって保持されている。なお、第2ウェーハW2の表面(
図16においては、上面)には、永久接合樹脂jが塗布されている。また、第2貼合ステージ60は、昇降機構70によってZ軸方向(上下方向)に移動可能であるとともに、水平移動機構80によってX-Y軸方向(左右及び前後方向)の移動が可能である。
【0039】
ここで、第1貼合ステージ50と第2貼合ステージ60の2箇所(第1ウェーハW1の第1マークM1と第2マークM2が形成された箇所と第2ウェーハW2の第3マークM3と第4マークM4が形成された箇所)に対応する箇所には、上下方向に貫通する透光孔50a,60aがそれぞれ形成されている。そして、第1貼合ステージ50の各透光孔50aの上方には、第1ウェーハW1と第2ウェーハW2に対して透過性の波長を有する赤外光などを各透明孔50aに向けて出射する光源51がそれぞれ配置されている。また、第2貼合ステージ60の各透光孔60aの下方には、撮像手段であるカメラ61がそれぞれ配置されている。
【0040】
而して、本実施形態に係る貼合わせ工程においては、
図16に示すように、第1ウェーハW1と第2ウェーハW2がそれらの表面(デバイスDが形成された面)が上下方向において所定距離だけ隔てて対面するように保持された状態で、2つの光源51から例えば赤外光が第1貼合ステージ50の透光孔50aに向けて出射される。すると、赤外光は、第1ウェーハW1と第2ウェーハW2及び第2貼合ステージ60の各2つの透光孔60aを通過して各カメラ61へとそれぞれ到達するため、第1ウェーハM1に形成された第1マークM2と第2ウェーハW2に形成された第3マークM3及び第1ウェーハW1に形成された第2マークM2と第2ウェーハW2に形成された第4マークM4とがカメラ61によってそれぞれ撮像される。
【0041】
上述のように、上下において互いに重なる位置に形成された第1マークM1と第3マークM3及び第2マークM2と第4マークM4がカメラ61によってそれぞれ撮像されると、これらの第1マークM1と第3マークM3及び第2マークM2と第4マークM4とのX-Y平面上の位置ズレが検出されるため、この位置ズレが0となるように(第1マークM1と第3マークM3及び第2マークM2と第4マークM4が上下方向において完全に重なるように)、第2貼合ステージ60とこれに保持された第2ウェーハW2が水平移動機構80によって第1ウェーハW1に対して位置ズレ量だけX-Y方向の位置が微調整される。この結果、第1ウェーハW1と第2ウェーハW2の各表面にそれぞれ形成された複数のデバイスD同士が上下方向において完全に一致する。
【0042】
上述のように、第1ウェーハW1に形成された第1マークM2と第2ウェーハW2に形成された第3マークM3、第1ウェーハW1に形成された第2マークM2と第2ウェーハW2に形成された第4マークM4とがX-Y平面上で(平面視で)完全に一致すると、昇降機構70によって第2貼合ステージ60とこれに保持された第2ウェーハW2が上昇し、該第2ウェーハW2と第1ウェーハW1の表面同士が永久接合樹脂jによって接合され、
図17に示すように、第1ウェーハW1と第2ウェーハW2が貼り合わされた貼合わせウェーハWが得られる。このようにして第1ウェーハW1と第2ウェーハW2とを貼り合わせて構成される貼合わせウェーハWにおいては、前述のように第1ウェーハW1と第2ウェーハW2とが正確に位置決めされた状態で貼り合わせられているため、これらの第1ウェーハW1と第2ウェーハW2の各表面に実装されたデバイスD同士が完全に一致した状態で接合され、
図17に示すような高品質の貼合わせウェーハWが得られる。
【0043】
<第2実施形態>
次に、本発明方法の第2実施形態を
図18及び
図19に基づいて説明する。なお、
図18及び
図19においては、
図16及び
図17において示したものと同じ要素には同一符号を付しており、以下、それらについての再度の説明は省略する。
【0044】
本実施の形態に係る方法は、研削によって薄化された第1ウェーハW1と第2ウェーハW2とを貼り合わせる方法であって、薄化された薄い第1ウェーハW1は、その表面(デバイスDが形成された面(上面))が仮接合樹脂j1によって厚みの厚いサポートウェーハW3の下面に接合されることによって、該サポートウェーハW3によって支持されている。ここで、サポートウェーハW3は、その上面が第1貼合ステージ50の下面に接着されている。したがって、第1ウェーハW1においては、その裏面(下面)の外周部2箇所に第1マークM1と第2マークM2がそれぞれ形成されている。
【0045】
而して、本実施形態においても、前記第1実施形態と同様の手法によって第1ウェーハW1と第2ウェーハW2とが貼り合わされて
図19に示すような貼合わせウェーハWが得られる。すなわち、本実施形態に係る貼合わせ工程においては、
図18に示すように、第1ウェーハW1の裏面(下面)と第2ウェーハW2の表面(上面)が上下方向において所定距離だけ隔てて対面するように保持された状態で、2つの光源51から例えば赤外光が第1貼合ステージ50の透光孔50aに向けて出射される。すると、赤外光は、サポートウェーハW3と第1ウェーハW1及び第2ウェーハW2と、第2貼合ステージ60の各透光孔60aをそれぞれ通過して各カメラ61へとそれぞれ到達するため、第1ウェーハW1に形成された第1マークM1と第2ウェーハW2に形成された第3マークM3及び第1ウェーハW1に形成された第2マークM2と第2ウェーハW2に形成された第4マークM4とがカメラ61によってそれぞれ撮像される。
【0046】
上述のように、上下において互いに重なる位置に形成された第1マークM1と第3マークM3及び第2マークM2と第4マークM4がカメラ61によってそれぞれ撮像されると、これらの第1マークM1と第3マークM3及び第2マークM2と第4マークM4とのX-Y平面上の位置ズレが検出されるため、この位置ズレが0となるように(第1マークM1と第3マークM3及び第2マークM2と第4マークM4が上下方向において完全に重なるように)、第2貼合ステージ60とこれに保持された第2ウェーハW2が水平移動機構80によって第1ウェーハW1に対して位置ズレ量だけX-Y方向の位置が微調整される。この結果、第1ウェーハW1と第2ウェーハW2の各表面にそれぞれ形成された複数のデバイスD同士が第1ウェーハW1を介して上下方向において完全に一致する。
【0047】
なお、第1ウェーハW1と第2ウェーハW2に形成するマークM1~M4は同一形状でなくてもよい。たとえは、第1ウェーハW1には第1実施形態によって第1マークM1と第2マークM2とを形成し、第2ウェーハW2には第6実施形態によって第3マークM3と第4マークM4とを形成してもよい。
【0048】
また、第1マークM1と第2マークM2も同一形状でなくてもよい。つまり、貼り合わせ工程において、マークM1の中心とマークM2の中心とを一致させてもよい。さらに、第1ウェーハW1と第2ウェーハW2にそれぞれ形成するマークM1~M4は、各2つに限定されるものではない。例えば、X軸方向に離間する2つのマークと、X軸方向に直交するY軸方向に離間する2つのマークの4つのマークを形成してもよい。
【0049】
上述のように、第1ウェーハW1に形成された第1マークM1と第2ウェーハW2に形成された第3マークM3、第1ウェーハW1に形成された第2マークM2と第2ウェーハW2に形成された第4マークM4とがX-Y平面上で(平面視で)完全に一致すると、昇降機構70によって第2貼合ステージ60とこれに保持された第2ウェーハW2が上昇し、該第2ウェーハW2の表面(上面)と第1ウェーハW1の裏面(下面)同士が永久接合樹脂jによって接合される。その後、仮接合樹脂j1によって第1ウェーハW1に仮接合されたサポートウェーハW3を第1ウェーハW1から引き剥がすと、
図19に示すように、第1ウェーハW1と第2ウェーハW2とが貼り合わされた貼合わせウェーハWが得られる。このようにして第1ウェーハW1と第2ウェーハW2とを貼り合わせて構成される貼合わせウェーハWにおいては、前述のように第1ウェーハW1と第2ウェーハW2とが正確に位置決めされた状態で貼り合わせられているため、これらの第1ウェーハW1と第2ウェーハW2の各表面に形成されたデバイスD同士が完全に一致した状態で貼り合わせられ、
図19に示すような高品質の接合ウェーハWが得られる。
【0050】
なお、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
1:レーザー加工装置、10:保持テーブル、11:クランパ、15:切削ブレード、
20:レーザービーム発振器、21:レーザーヘッド、22:撮像手段、
30:X軸移動機構、31:スライダ、32:ガイドレール、33:ボールネジ、
34:サーボモータ、35:リニアスケール、40:Y軸移動機構、
41:ガイドレール、42:ボールネジ、43:サーボモータ、44:スライダ、
45:リニアスケール、50:第1貼合ステージ、51:光源、
60:第2貼合ステージ、61:カメラ、70:昇降機構、80、水平移動機構、
100:基台、101:コラム、D:デバイス、g:改質層、h:凹部、
j:永久接合樹脂、ji:仮接合樹脂、L1,L2:ストリート
M1:第1マーク、M2:第2マーク、M3:第3マーク、M4:第4マーク、
r:指定のデバイスからの距離、W:貼合わせウェーハ、W1:第1ウェーハ、
W2:第2ウェーハ、W3:サポートウェーハ