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特開2024-180084ストリームの同期を実現する伝送システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180084
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ストリームの同期を実現する伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/00 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
H04L7/00 990
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099525
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100121119
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 泰伸
(72)【発明者】
【氏名】川本 潤一郎
【テーマコード(参考)】
5K047
【Fターム(参考)】
5K047AA15
5K047AA18
5K047BB15
(57)【要約】
【課題】複数のユーザ端末の間で送受信されるストリームの同期を実現する伝送システムにおいて、ユーザ端末の簡素化及び低コスト化を図る。
【解決手段】伝送システム1に備えたエッジサーバ2は、ユーザ端末4との間でパケットの送受信を行うことで、タイムスタンプL1,F2,F3,L4を取得し、基準時刻Lに対するユーザ端末4の時刻Fのオフセットを算出する。時刻管理サーバ3は、全てのユーザ端末4のオフセットを含む時刻管理情報を管理し、時刻管理情報をユーザ端末4へ送信する。ユーザ端末4は、時刻管理情報に含まれる当該ユーザ端末4のオフセット及び他のユーザ端末4のオフセットに基づいて、時刻ずれを算出し、他のユーザ端末4から受信したストリームに含まれるタイムスタンプを時刻ずれに基づいて変更することで、ストリームの同期を実現する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザ端末、複数のエッジサーバ及び時刻管理サーバを備え、前記複数のユーザ端末の間で送受信されるストリームの同期を実現する伝送システムにおいて、
前記複数のエッジサーバのそれぞれと前記複数のユーザ端末のそれぞれとが1対1に対応しており、前記時刻管理サーバに有する時計の時刻及び前記複数のエッジサーバのそれぞれに有する時計の時刻が同期しているとして、
前記複数のエッジサーバのそれぞれは、エッジサーバ用パケット送受信部及びオフセット算出部を備え、
前記エッジサーバ用パケット送受信部は、
第1パケットを送信する際の送信時刻のタイムスタンプL1を含む前記第1パケットを、対応するユーザ端末へ送信し、
前記対応するユーザ端末により前記第1パケットが受信された際の受信時刻のタイムスタンプF2、及び前記対応するユーザ端末により第2パケットが送信される際の送信時刻のタイムスタンプF3を含む前記第2パケットを、前記対応するユーザ端末から受信し、
前記オフセット算出部は、
前記タイムスタンプL1、前記タイムスタンプF2及び前記タイムスタンプF3、並びに前記エッジサーバ用パケット送受信部により前記第2パケットが受信された際の受信時刻のタイムスタンプL4に基づいて、当該エッジサーバの時刻に対する前記対応するユーザ端末の時刻のオフセットを算出し、
前記エッジサーバ用パケット送受信部は、
前記オフセット算出部により算出された前記オフセットを含む第3パケットを、前記時刻管理サーバへ送信し、
前記時刻管理サーバは、時刻管理サーバ用パケット送受信部、時刻管理情報処理部及び時刻管理サーバ用記憶部を備え、
前記時刻管理サーバ用パケット送受信部は、
前記複数のエッジサーバのそれぞれから前記第3パケットを受信し、前記第3パケットから前記オフセットを抽出し、
前記時刻管理情報処理部は、
前記時刻管理サーバ用パケット送受信部により抽出された前記オフセットを、前記時刻管理サーバ用記憶部に格納し、前記時刻管理サーバ用記憶部から前記複数のユーザ端末のそれぞれについてのオフセットを読み出し、
前記時刻管理サーバ用パケット送受信部は、
前記時刻管理情報処理部により前記時刻管理サーバ用記憶部から読み出された前記複数のユーザ端末のそれぞれについてのオフセットを含む第4パケットを、前記ユーザ端末へ送信する、ことを特徴とする伝送システム。
【請求項2】
請求項1に記載の伝送システムにおいて、
前記複数のユーザ端末のそれぞれは、ユーザ端末用パケット送受信部、管理部、ストリーム同期処理部及びユーザ端末用記憶部を備え、
前記ユーザ端末用パケット送受信部は、
当該ユーザ端末に対応するエッジサーバから前記第1パケットを受信し、前記第2パケットを前記対応するエッジサーバへ送信し、前記時刻管理サーバから前記第4パケットを受信し、前記第4パケットから前記複数のユーザ端末のそれぞれについてのオフセットを抽出し、
前記管理部は、
前記ユーザ端末用パケット送受信部により抽出された前記複数のユーザ端末のそれぞれについてのオフセットを、前記ユーザ端末用記憶部に格納し、
前記ユーザ端末用パケット送受信部は、
他のユーザ端末から、タイムスタンプを含む前記ストリームを受信し、
前記ストリーム同期処理部は、
前記ユーザ端末用記憶部から、前記他のユーザ端末についてのオフセットを読み出し、前記オフセットに基づいて、前記ユーザ端末用パケット送受信部により受信された前記ストリームに含まれる前記タイムスタンプを変更することで、前記ストリームの同期を実現する、ことを特徴とする伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のユーザ端末の間で送受信されるストリームの同期を実現する伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放送番組等のコンテンツをIPネットワーク上で送受信するために、映像データ、音声データ及び補助データを別々のストリームにて伝送可能とする標準規格が制定されている(非特許文献1-3を参照)。
【0003】
このSMPTE ST 2110の規格に従ったIP番組制作の導入が進んでおり、IP番組制作では、ローカルでの機材をクラウド上に構築する手法が増えている。また、ソフトウェアベースのクラウドだけでなく、ハードウェアベースのエッジ処理基盤上において、FPGA等を用いた高速な信号処理が可能となっている。
【0004】
SMPTE ST 2110の規格に従った伝送システムにおいては、映像データ、音声データ及び補助データを別々のストリームにて伝送することができる。受信側は、それぞれのストリームを不規則に受信することとなるため、受信したそれぞれのストリームに含まれる映像データ、音声データ及び補助データの同期をとった後に、再生することが必要となる。
【0005】
このため、複数のユーザ端末の間でストリームを伝送する伝送システムにおいて、複数のユーザ端末の間で時刻同期を図った後、送信側は、時刻同期したタイムスタンプを埋め込んだパケットを送信する。受信側は、送信側からのパケットを受信し、パケットに含まれるタイムスタンプに基づいて、ストリーム間の同期をとる。
【0006】
図13は、従来の伝送システムの全体構成例を示す概略図である。この伝送システム100は、当該伝送システム100の基準時刻の時計を有するグランドマスターと呼ばれるマスター時刻装置101と、PTPリーダーと呼ばれる複数のエッジサーバ102-1,102-2,102-3、及びPTPフォロワーと呼ばれる複数のユーザ端末103-1,103-2,103-3を備えて構成される。
【0007】
マスター時刻装置101及びエッジサーバ102-1,102-2,102-3は、ネットワーク110を介して接続される。エッジサーバ102-1及びユーザ端末103-1は、通信路111-1を介して接続され、エッジサーバ102-2及びユーザ端末103-2は、通信路111-2を介して接続される。また、エッジサーバ102-3及びユーザ端末103-3は、通信路111-3を介して接続される。
【0008】
前述のSMPTE ST 2110の規格において、伝送システム100に含まれる全てのエッジサーバ102-1,102-2,102-3及び全てのユーザ端末103-1,103-2,103-3は、マスター時刻装置101に有する時計の基準時刻を絶対時刻として同期することとなる。以下、エッジサーバ102-1,102-2,102-3を総称してエッジサーバ102とし、ユーザ端末103-1,103-2,103-3を総称してユーザ端末103とする。
【0009】
図14は、従来のエッジサーバ102及びユーザ端末103における同期を実現するための送受信データの例を示す図である。ネットワーク110側のPTPリーダーであるエッジサーバ102は、基準時刻Lの時計を有しており、この基準時刻Lは、グランドマスターであるマスター時刻装置101の絶対時刻に同期しているものとする。また、ユーザ側のPTPフォロワーであるユーザ端末103は、時刻Fの時計を有しているものとする。
【0010】
このユーザ端末103の時刻Fは、エッジサーバ102の基準時刻Lに同期しておらず、つまり、マスター時刻装置101の絶対時刻に同期していない。時刻Fは、基準時刻Lに対してオフセット(オフセットの時間)を有している。エッジサーバ102の基準時刻Lに基づいたタイムスタンプL1,L2,L3,L4は、ユーザ端末103の時刻Fに基づいたタイムスタンプF1,F2,F3,F4に対応しているものとする。
【0011】
まず、エッジサーバ102からユーザ端末103へ、タイムスタンプL1を含むSyncパケットが送信される(ステップS1401)。タイムスタンプL1はSyncパケットが送信された時刻を示す。
【0012】
ユーザ端末103からエッジサーバ102へ、タイムスタンプF3を含むDelay Reqパケットが送信される(ステップS1402)。タイムスタンプF3はDelay Reqパケットが送信された時刻を示す。
【0013】
エッジサーバ102からユーザ端末103へ、タイムスタンプL4を含むDelay Respパケットが送信される(ステップS1403)。タイムスタンプL4はDelay Reqパケットが受信された時刻を示す。
【0014】
そして、ユーザ端末103において、以下の式にてオフセットが算出され、オフセットを用いて、当該ユーザ端末103に有する時計が時刻調整される(ステップS1404)。
[数1]
オフセット={(F2-L1)-(L4-F3)}/2 ・・・(1)
これにより、ユーザ端末103に有する時計の時刻Fは、エッジサーバ102の基準時刻Lに同期することとなり、マスター時刻装置101の絶対時刻に同期することとなる。
【0015】
また、ユーザ端末103において、Syncパケットを定期的に受信することで、Syncパケットに含まれるタイムスタンプL1に基づいて、当該ユーザ端末103の時計に用いる時刻生成クロックの周波数同期を行う(ステップS1405)。
【0016】
このように、全てのカメラ、マイク等のユーザ端末103は、エッジサーバ102の時刻と同期することとなる。つまり、伝送システム100において、エッジサーバ102とユーザ端末103との間で時刻情報の送受信を行うことにより、PTPフォロワーであるユーザ端末103の時刻を、PTPリーダーであるエッジサーバ102の時刻に同期させることができる。結果として、伝送システム100におけるマスター時刻装置101、全てのエッジサーバ102及び全てのユーザ端末103の時刻が同期することとなる。
【0017】
図15は、従来のエッジサーバ102及びユーザ端末103の処理例の概略を説明する図である。PTPリーダーであるエッジサーバ102は、基準時刻Lの時計を有しており、この基準時刻Lの時計は、基準時刻生成クロックにより動作している。
【0018】
エッジサーバ102は、基準時刻生成クロックを用いて、時計からの時刻情報の時刻をカウントすることで、図14に示した所定のタイミングにて、TAI(国際原子時)からのカウント値をタイムスタンプL1,L4として算出する。タイムスタンプL1,L4は、時計の基準時刻Lに対応する値をとる。
【0019】
エッジサーバ102は、算出されたタイムスタンプL1を含むSyncパケットをユーザ端末103へ送信し、ユーザ端末103からタイムスタンプF3を含むDelay Reqパケットを受信し、算出されたタイムスタンプL4を含むDelay Respパケットをユーザ端末103へ送信する。このようにして、PTP(Precision Time Protocol)に従ったパケットの送受信が行われる。
【0020】
PTPフォロワーであるユーザ端末103は、時刻Fの時計を有しており、時刻Fの時計は、時刻生成クロックにより動作している。
【0021】
ユーザ端末103は、時刻生成クロックを用いて、時計からの時刻情報の時刻をカウントすることで、図14に示した所定のタイミングにてタイムスタンプF2,F3を算出する。タイムスタンプF2,F3は、時計の時刻Fに対応する値をとる。
【0022】
ユーザ端末103は、エッジサーバ102からタイムスタンプL1を含むSyncパケットを受信し、算出されたタイムスタンプF3を含むDelay Reqパケットをエッジサーバ102へ送信し、エッジサーバ102からタイムスタンプL4を含むDelay Respパケットを受信する。このようにして、PTPに従ったパケットの送受信が行われる。
【0023】
ユーザ端末103は、Syncパケットに含まれるタイムスタンプL1、Delay Respパケットに含まれるタイムスタンプL4及び算出されたタイムスタンプF2,F3を用いて、前記式(1)によりオフセットを算出する。そして、ユーザ端末103は、オフセットに基づいて制御情報を生成し、制御情報を時計に出力することで、時計のオフセット調整を行う。
【0024】
ユーザ端末103は、定期的に受信したSyncパケットに含まれるタイムスタンプL1からクロックカウントを求めると共に、時刻生成クロックに基づいてクロックカウントを求める。そして、ユーザ端末103は、これらのクロックカウントに基づいて、当該ユーザ端末103の時刻生成クロックの周波数ずれを計算し、周波数ずれをなくすための制御情報を生成することで、時刻生成クロックの制御を行う。
【0025】
このように、図13図15から、伝送システム100に含まれる全てのエッジサーバ102-1,102-2,102-3及び全てのユーザ端末103-1,103-2,103-3は、マスター時刻装置101に有する時計の基準時刻を絶対時刻として同期することとなる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0026】
【非特許文献1】SMPTE ST 2110-10:Professional Media Over Managed IP Networks: System Timing and Definitions
【非特許文献2】SMPTE ST 2059-1:Generation and Alignment of Interface Signals to the SMPTE Epoch
【非特許文献3】SMPTE EG 2059-10:Introduction to the New Synchronization System
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
前述の図13に示した伝送システム100において、SMPTE ST 2110の規格に準じた高精度な時刻同期を実現するためには、ユーザ端末103がエッジサーバ102よりも複雑な処理を行う必要があり、かつユーザ端末103のハードウェア処理も要求される。例えばジッタが大きく通信路環境が劣悪な場合に対応するために、ユーザ端末103には、高精度な時刻同期機能が必要となる。
【0028】
このため、ユーザ端末103のコストが増加してしまい、ユーザ端末103自体の持つ信号処理回路の規模が制限されてしまう。
【0029】
このように、ユーザ端末103において、高精度な時刻同期を実現するためには多くの処理回路が必要となることから、映像等の信号を処理する信号処理回路を十分に実装できない場合があり得るという問題があった。
【0030】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数のユーザ端末の間で送受信されるストリームの同期を実現する伝送システムにおいて、ユーザ端末の簡素化及び低コスト化を図ることが可能な伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0031】
前記課題を解決するために、請求項1の伝送システムは、複数のユーザ端末、複数のエッジサーバ及び時刻管理サーバを備え、前記複数のユーザ端末の間で送受信されるストリームの同期を実現する伝送システムにおいて、前記複数のエッジサーバのそれぞれと前記複数のユーザ端末のそれぞれとが1対1に対応しており、前記時刻管理サーバに有する時計の時刻及び前記複数のエッジサーバのそれぞれに有する時計の時刻が同期しているとして、前記複数のエッジサーバのそれぞれが、エッジサーバ用パケット送受信部及びオフセット算出部を備え、前記エッジサーバ用パケット送受信部が、第1パケットを送信する際の送信時刻のタイムスタンプL1を含む前記第1パケットを、対応するユーザ端末へ送信し、前記対応するユーザ端末により前記第1パケットが受信された際の受信時刻のタイムスタンプF2、及び前記対応するユーザ端末により第2パケットが送信される際の送信時刻のタイムスタンプF3を含む前記第2パケットを、前記対応するユーザ端末から受信し、前記オフセット算出部が、前記タイムスタンプL1、前記タイムスタンプF2及び前記タイムスタンプF3、並びに前記エッジサーバ用パケット送受信部により前記第2パケットが受信された際の受信時刻のタイムスタンプL4に基づいて、当該エッジサーバの時刻に対する前記対応するユーザ端末の時刻のオフセットを算出し、前記エッジサーバ用パケット送受信部が、前記オフセット算出部により算出された前記オフセットを含む第3パケットを、前記時刻管理サーバへ送信し、前記時刻管理サーバが、時刻管理サーバ用パケット送受信部、時刻管理情報処理部及び時刻管理サーバ用記憶部を備え、前記時刻管理サーバ用パケット送受信部が、前記複数のエッジサーバのそれぞれから前記第3パケットを受信し、前記第3パケットから前記オフセットを抽出し、前記時刻管理情報処理部が、前記時刻管理サーバ用パケット送受信部により抽出された前記オフセットを、前記時刻管理サーバ用記憶部に格納し、前記時刻管理サーバ用記憶部から前記複数のユーザ端末のそれぞれについてのオフセットを読み出し、前記時刻管理サーバ用パケット送受信部が、前記時刻管理情報処理部により前記時刻管理サーバ用記憶部から読み出された前記複数のユーザ端末のそれぞれについてのオフセットを含む第4パケットを、前記ユーザ端末へ送信する、ことを特徴とする。
【0032】
また、請求項2の伝送システムは、請求項1に記載の伝送システムにおいて、前記複数のユーザ端末のそれぞれが、ユーザ端末用パケット送受信部、管理部、ストリーム同期処理部及びユーザ端末用記憶部を備え、前記ユーザ端末用パケット送受信部が、当該ユーザ端末に対応するエッジサーバから前記第1パケットを受信し、前記第2パケットを前記対応するエッジサーバへ送信し、前記時刻管理サーバから前記第4パケットを受信し、前記第4パケットから前記複数のユーザ端末のそれぞれについてのオフセットを抽出し、前記管理部が、前記ユーザ端末用パケット送受信部により抽出された前記複数のユーザ端末のそれぞれについてのオフセットを、前記ユーザ端末用記憶部に格納し、前記ユーザ端末用パケット送受信部が、他のユーザ端末から、タイムスタンプを含む前記ストリームを受信し、前記ストリーム同期処理部が、前記ユーザ端末用記憶部から、前記他のユーザ端末についてのオフセットを読み出し、前記オフセットに基づいて、前記ユーザ端末用パケット送受信部により受信された前記ストリームに含まれる前記タイムスタンプを変更することで、前記ストリームの同期を実現する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
以上のように、本発明によれば、複数のユーザ端末の間で送受信されるストリームの同期を実現する伝送システムにおいて、ユーザ端末の簡素化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施形態による伝送システムの全体構成例を示す概略図である。
図2】伝送システムにおける同期を実現するためのデータの流れを説明する図である。
図3】エッジサーバ及びユーザ端末における同期を実現するための送受信データの例を示す図である。
図4】エッジサーバ、時刻管理サーバ及びユーザ端末における同期を実現するための送受信データの例を示す図である。
図5】エッジサーバの構成例を示すブロック図である。
図6】エッジサーバの処理例を示すフローチャートである。
図7】時刻管理サーバの構成例を示すブロック図である。
図8】時刻管理サーバの処理例を示すフローチャートである。
図9】時刻管理サーバの記憶部に格納された時刻管理情報の例を示す図である。
図10】ユーザ端末の構成例を示すブロック図である。
図11】ユーザ端末の管理部及びストリーム同期処理部の処理例を示すフローチャートである。
図12】エッジサーバ及びユーザ端末の処理例の概略を説明する図である。
図13】従来の伝送システムの全体構成例を示す概略図である。
図14】従来のエッジサーバ及びユーザ端末における同期を実現するための送受信データの例を示す図である。
図15】従来のエッジサーバ及びユーザ端末の処理例の概略を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。
〔伝送システム〕
まず、本発明の実施形態による伝送システムの概略について説明する。図1は、本発明の実施形態による伝送システムの全体構成例を示す概略図である。この伝送システム1は、複数のエッジサーバ2-1,2-2,2-3、時刻管理サーバ3、複数のユーザ端末4-1,4-2,4-3、及びグランドマスターと呼ばれるマスター時刻装置101を備えて構成される。
【0036】
マスター時刻装置101と、エッジサーバ2-1,2-2,2-3及び時刻管理サーバ3とは、ネットワーク110を介して接続される。また、エッジサーバ2-1,2-2,2-3及び時刻管理サーバ3は、ネットワーク110を介して接続される。
【0037】
エッジサーバ2-1及びユーザ端末4-1は、通信路111-1を介して接続され、エッジサーバ2-2及びユーザ端末4-2は、通信路111-2を介して接続される。また、エッジサーバ2-3及びユーザ端末4-3は、通信路111-3を介して接続される。
【0038】
エッジサーバ2-1,2-2,2-3のそれぞれとユーザ端末4-1,4-2,4-3のそれぞれとは1対1に対応しており、パケットの送受信が行われる。具体的には、エッジサーバ2-1とユーザ端末4-1とが対応し、エッジサーバ2-2とユーザ端末4-2とが対応し、エッジサーバ2-3とユーザ端末4-3とが対応している。
【0039】
マスター時刻装置101に有する時計の時刻、エッジサーバ2-1,2-2,2-3のそれぞれに有する時計の時刻、及び時刻管理サーバ3に有する時計の時刻は、マスター時刻装置101の時刻を基準として同期しており、同期した時刻を基準時刻Lとする。また、ユーザ端末4-1,4-2,4-3のそれぞれに有する時計の時刻は、基準時刻Lと同期していないものとする。
【0040】
本発明の実施形態においては、エッジサーバ2-1,2-2,2-3のそれぞれは、基準時刻L(である絶対時刻)に対して、対応するユーザ端末4-1,4-2,4-3のそれぞれについてのオフセット(オフセットの時間)を算出する。時刻管理サーバ3は、ユーザ端末4-1,4-2,4-3のそれぞれについてのオフセットを含む時刻管理情報を管理する。ユーザ端末4-1,4-2,4-3は、時刻管理サーバ3から、ユーザ端末4-1,4-2,4-3のそれぞれについてのオフセットを含む時刻管理情報を受信する。
【0041】
また、本発明の実施形態では、例えばユーザ端末4-3は、ユーザ端末4-1から送信された映像データのストリームのパケットを受信すると共に、ユーザ端末4-2から送信された音声データのストリームのパケットを受信する。そして、ユーザ端末4-3は、ユーザ端末4-1,4-3のオフセットに基づいて、映像データのストリームに含まれるタイムスタンプを、例えば当該ユーザ端末4-3の時刻を基準としたタイムスタンプに変更すると共に、ユーザ端末4-2,4-3のオフセットに基づいて、音声データのストリームに含まれるタイムスタンプを、例えば当該ユーザ端末4-3の時刻を基準としたタイムスタンプに変更する。
【0042】
これにより、ユーザ端末4-3において、他のユーザ端末4-1,4-2から送信されたストリームの時刻同期を実現することができる。
【0043】
また、エッジサーバ2-1,2-2,2-3には多くのリソースがあるため、オフセットを算出する処理を担うことができる。
【0044】
つまり、エッジサーバ2-1,2-2,2-3がオフセットを算出し、時刻管理サーバ3がオフセットを含む時刻管理情報を管理するようにした。このため、ユーザ端末4-1,4-2,4-3は、オフセットを算出してこれを管理する必要がなく、処理負荷を低減することができ、簡素化及び低コスト化を図ることができる。
【0045】
図2は、図1に示した伝送システム1における同期を実現するためのデータの流れを説明する図である。エッジサーバ2-1は、ユーザ端末4-1との間でタイムスタンプの送受信を行うことで、基準時刻Lに対するユーザ端末4-1における時刻のオフセット(ユーザ端末4-1のオフセット)を算出する。そして、エッジサーバ2-1は、ユーザ端末4-1のオフセットを時刻管理サーバ3へ送信する。
【0046】
同様に、エッジサーバ2-2,2-3は、対応するユーザ端末4-2,4-3との間でタイムスタンプの送受信を行うことで、基準時刻Lに対するユーザ端末4-2,4-3における時刻のオフセット(ユーザ端末4-2,4-3のオフセット)を算出する。そして、エッジサーバ2-2,2-3は、ユーザ端末4-2,4-3のオフセットを時刻管理サーバ3へ送信する。
【0047】
時刻管理サーバ3は、エッジサーバ2-1,2-2,2-3のそれぞれからオフセットを受信し、これらのオフセットを含む情報を時刻管理情報として管理する。そして、時刻管理サーバ3は、ユーザ端末4-1,4-2,4-3のそれぞれのオフセットを含む時刻管理情報(α)を、エッジサーバ2-1,2-2,2-3を介してユーザ端末4-1,4-2,4-3へ送信する。
【0048】
これにより、ユーザ端末4-1,4-2,4-3のそれぞれは、ユーザ端末4-1,4-2,4-3のそれぞれのオフセットを含む時刻管理情報を取得することができる。そして、時刻管理情報を用いることで、他のユーザ端末4-1,4-2,4-3から送信されてきた映像データ、音声データ及び補助データのストリームに含まれるタイムスタンプを、所定の時刻を基準としたタイムスタンプに変更することができる。したがって、映像データ、音声データ及び補助データのストリームの時刻同期を実現することができる。
【0049】
以下、エッジサーバ2-1,2-2,2-3を総称してエッジサーバ2とし、ユーザ端末4-1,4-2,4-3を総称してユーザ端末4とする。エッジサーバ2は、エッジサーバ2-1,2-2,2-3の全てを示す場合もあるし、これらのうちの1台を示す場合もある。ユーザ端末4についても同様である。
【0050】
図3は、エッジサーバ2及びユーザ端末4における同期を実現するための送受信データの例を示す図であり、エッジサーバ2がユーザ端末4のオフセットを算出するためのプロトコルを示している。
【0051】
ネットワーク110側のエッジサーバ2は、基準時刻Lの時計を有しており、ユーザ側のユーザ端末4は、時刻Fの時計を有しているものとする。このユーザ端末4の時刻Fは、エッジサーバ2の基準時刻Lに同期しておらず、基準時刻Lに対してオフセットを有している。
【0052】
エッジサーバ2において、基準時刻Lの10:00,10:05,10:30,10:35に対応するタイムスタンプをL1,L2,L3,L4とし、ユーザ端末4において、時刻Fの11:00,11:05,11:30,11:35に対応するタイムスタンプをF1,F2,F3,F4とする。エッジサーバ2におけるタイムスタンプL1,L2,L3,L4は、ユーザ端末4におけるタイムスタンプF1,F2,F3,F4にそれぞれ対応しているものとする。
【0053】
まず、エッジサーバ2は、第1パケットを送信する際の送信時刻のタイムスタンプL1を含む第1パケットをユーザ端末4へ送信する(ステップS301)。そして、ユーザ端末4は、エッジサーバ2から第1パケットを受信する。第1パケットを受信した受信時刻のタイムスタンプをF2とする。この場合の第1パケットの送受信の遅延Δは00:05となる。
【0054】
次に、ユーザ端末4は、タイムスタンプF2及び第2パケットを送信する際の送信時刻のタイムスタンプF3を含む第2パケットをエッジサーバ2へ送信する(ステップS302)。そして、エッジサーバ2は、ユーザ端末4から第2パケットを受信する。第2パケットを受信した受信時刻のタイムスタンプをL4とする。この場合の第2パケットの送受信の遅延Δは00:05となる。
【0055】
そして、エッジサーバ2は、前記式(1)と同様の以下の式にて、ユーザ端末4のタイムスタンプのオフセットを算出し、これをユーザ端末4の時刻Fのオフセットに変換する(ステップS303)。
[数2]
オフセット={(F2-L1)-(L4-F3)}/2 ・・・(2)
図3の例の場合、前記式(2)に示したタイムスタンプのオフセットに対応する時刻Fのオフセットとして01:00が得られる。これは、エッジサーバ2の基準時刻Lに対してユーザ端末4の時刻Fが01:00だけ進んでいることを示している。そして、エッジサーバ2は、ユーザ端末4のオフセット(時刻Fのオフセット)を含む第3パケットを時刻管理サーバ3へ送信する(ステップS304)。
【0056】
また、ユーザ端末4は、第1パケットを定期的に受信することで、第1パケットに含まれるタイムスタンプL1に基づいて、当該ユーザ端末4の時計に用いる時刻生成クロックの周波数同期を行う(ステップS305)。
【0057】
図4は、エッジサーバ2、時刻管理サーバ3及びユーザ端末4における同期を実現するための送受信データの例を示す図である。前述のとおり、エッジサーバ2-1,2-2,2-3及び時刻管理サーバ3は、基準時刻Lの時計を有しており、ユーザ端末4は、時刻Fの時計を有しているものとする。
【0058】
まず、エッジサーバ2-1は、ユーザ端末4-1のオフセットを含む第3.1パケットを時刻管理サーバ3へ送信し(ステップS401)、エッジサーバ2-2は、ユーザ端末4-2のオフセットを含む第3.2パケットを時刻管理サーバ3へ送信する(ステップS402)。また、エッジサーバ2-3は、ユーザ端末4-3のオフセットを含む第3.3パケットを時刻管理サーバ3へ送信する(ステップS403)。
【0059】
次に、時刻管理サーバ3は、エッジサーバ2-1から第3.1パケットを受信し、エッジサーバ2-2から第3.2パケットを受信し、エッジサーバ2-3から第3.3パケットを受信する。
【0060】
時刻管理サーバ3は、第3.1パケットからユーザ端末4-1のオフセットを抽出し、第3.2パケットからユーザ端末4-2のオフセットを抽出し、第3.3パケットからユーザ端末4-3のオフセットを抽出する。そして、時刻管理サーバ3は、これらのオフセットを含む時刻管理情報を後述する記憶部33に格納する(ステップS404)。これにより、記憶部33には、全てのユーザ端末4のオフセット等が格納される。
【0061】
時刻管理サーバ3は、例えばユーザ端末4からの要求を受信すると、後述する記憶部33から全てのユーザ端末4のオフセット等の情報である時刻管理情報を読み出し、時刻管理情報を含む第4パケットを、エッジサーバ2を介してユーザ端末4へ送信する(ステップS405,S406)。
【0062】
次に、ユーザ端末4は、時刻管理サーバ3から第4パケットを受信し、第4パケットから時刻管理情報を抽出する。そして、ユーザ端末4は、当該ユーザ端末4の時刻管理情報及び他のユーザ端末4の時刻管理情報に基づいて、当該ユーザ端末4の時刻Fを基準として、当該ユーザ端末4と他のユーザ端末4との間の時刻ずれを算出する(ステップS407)。
【0063】
ユーザ端末4は、他のユーザ端末4から映像データ等のストリームのパケットを受信し、当該他のユーザ端末4との時刻ずれに基づいて、ストリームに含まれるタイムスタンプを変更することで、ストリームの同期を実現する(ステップS408)。
【0064】
これにより、他のユーザ端末4から受信したストリームに含まれるタイムスタンプは、当該ユーザ端末4の時刻Fを基準としたタイムスタンプに変更され、他の複数のユーザ端末4から送信されたストリームの時刻同期を実現することができる。
【0065】
〔エッジサーバ2〕
次に、図1に示した伝送システム1に備えたエッジサーバ2について説明する。図5は、エッジサーバ2の構成例を示すブロック図であり、図6は、エッジサーバ2の処理例を示すフローチャートである。
【0066】
このエッジサーバ2は、パケット送受信部(エッジサーバ用パケット送受信部)20、オフセット算出部21及び時計(エッジサーバ用時計)22を備えている。尚、図5に示す構成例には、本発明に直接関連する構成部のみを示しており、直接関連しない構成部は省略してある。
【0067】
パケット送受信部20は、時計22の基準時刻Lに基づいて、第1パケットを送信する際の送信時刻のタイムスタンプL1を生成し、タイムスタンプL1を含む第1パケットを生成する。そして、パケット送受信部20は、タイムスタンプL1を含む第1パケットを、対応するユーザ端末4へ送信する(ステップS601)。
【0068】
パケット送受信部20は、対応するユーザ端末4から、タイムスタンプF2,F3を含む第2パケットを受信する(ステップS602)。そして、パケット送受信部20は、時計22の基準時刻Lに基づいて、第2パケットが受信された際の受信時刻のタイムスタンプL4を生成する(ステップS603)。
【0069】
タイムスタンプF2は、対応するユーザ端末4において、エッジサーバ2から第1パケットを受信した際の受信時刻のタイムスタンプである。また、タイムスタンプF3は、対応するユーザ端末4において、第2パケットを送信する際の送信時刻のタイムスタンプである。
【0070】
パケット送受信部20は、第2パケットからタイムスタンプF2,F3を抽出し、生成されたタイムスタンプL1,L4及び抽出されたタイムスタンプF2,F3をオフセット算出部21に出力する。
【0071】
オフセット算出部21は、パケット送受信部20からタイムスタンプL1,F2,F3,L4を入力し、タイムスタンプL1,F2,F3,L4に基づいて、前記式(2)及び変換処理により、対応するユーザ端末4のオフセットを算出する(ステップS604)。このオフセットは、エッジサーバ2の基準時刻Lに対する、対応するユーザ端末4の時刻Fのオフセットである。
【0072】
オフセット算出部21は、対応するユーザ端末4のオフセットをパケット送受信部20に出力する。
【0073】
パケット送受信部20は、オフセット算出部21から対応するユーザ端末4のオフセットを入力する。そして、パケット送受信部20は、対応するユーザ端末4のオフセットを含む第3パケットを生成し、第3パケットを時刻管理サーバ3へ送信する(ステップS605)。
【0074】
このように、エッジサーバ2は、対応するユーザ端末4との間でタイムスタンプL1,F2,F3の送受信を行い、第2パケットを受信した際の受信時刻のタイムスタンプL4を生成することで、対応するユーザ端末4のオフセットを求めることができる。
【0075】
この場合、エッジサーバ2には多くのリソースがあり、映像データ等のストリームについての信号処理回路を備える必要がないため、オフセットを算出する処理を担うことができる。
【0076】
従来技術では、ユーザ端末103がオフセットを算出する処理を行っていた(図14及び図15を参照)。これに対し、本発明の実施形態では、この処理をエッジサーバ2に行わせるようにすることで、ユーザ端末4の処理負荷を従来技術に比べて低減することができ、結果として、ユーザ端末4の簡素化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0077】
〔時刻管理サーバ3〕
次に、図1に示した伝送システム1に備えた時刻管理サーバ3について説明する。図7は、時刻管理サーバ3の構成例を示すブロック図であり、図8は、時刻管理サーバ3の処理例を示すフローチャートである。
【0078】
この時刻管理サーバ3は、パケット送受信部(時刻管理サーバ用パケット送受信部)30、ユーザ時刻算出部31、時刻管理情報処理部32、記憶部(時刻管理サーバ用記憶部)33及び時計(時刻管理サーバ用時計)34を備えている。尚、図7に示す構成例には、本発明に直接関連する構成部のみを示しており、直接関連しない構成部は省略してある。
【0079】
パケット送受信部30は、エッジサーバ2-1から、当該エッジサーバ2-1に対応するユーザ端末4-1のオフセットを含む第3.1パケットを受信する(ステップS801)。そして、パケット送受信部30は、第3.1パケットからユーザ端末4-1のオフセットを抽出し、ユーザ端末4-1を識別するための情報(ユーザ端末4-1のユーザ識別情報)及びユーザ端末4-1のオフセットをユーザ時刻算出部31及び時刻管理情報処理部32に出力する。
【0080】
ユーザ時刻算出部31は、パケット送受信部30からユーザ端末4-1のユーザ識別情報及びオフセットを入力する。そして、ユーザ時刻算出部31は、時計34の基準時刻Lにオフセットを加算することで、ユーザ端末4-1の時刻FA(ユーザ端末4-1に備えた後述する時計45の時刻F)を求める(ステップS802)。
【0081】
ユーザ時刻算出部31は、ユーザ端末4-1のユーザ識別情報及び時刻FA、並びに当該ユーザ端末4-1の時刻FAを求めたときに用いた時計34の基準時刻Lを時刻管理情報処理部32に出力する。
【0082】
パケット送受信部30は、エッジサーバ2-2から、当該エッジサーバ2-2に対応するユーザ端末4-2のオフセットを含む第3.2パケットを受信する(ステップS803)。そして、パケット送受信部30は、前述のユーザ端末4-1の場合と同様の処理を行い、ユーザ端末4-2のユーザ識別情報及びオフセットをユーザ時刻算出部31及び時刻管理情報処理部32に出力する。
【0083】
ユーザ時刻算出部31は、パケット送受信部30からユーザ端末4-2のユーザ識別情報及びオフセットを入力する。そして、ユーザ時刻算出部31は、前述のユーザ端末4-1の場合と同様の処理を行うことで、ユーザ端末4-2の時刻FBを算出する(ステップS804)。
【0084】
ユーザ時刻算出部31は、ユーザ端末4-2のユーザ識別情報及び時刻FB、並びに当該ユーザ端末4-2の時刻FBを求めたときに用いた時計34の基準時刻Lを時刻管理情報処理部32に出力する。
【0085】
パケット送受信部30は、エッジサーバ2-3から、当該エッジサーバ2-3に対応するユーザ端末4-3のオフセットを含む第3.3パケットを受信する(ステップS805)。そして、パケット送受信部30は、前述のユーザ端末4-1の場合と同様の処理を行い、ユーザ端末4-3のユーザ識別情報及びオフセットをユーザ時刻算出部31及び時刻管理情報処理部32に出力する。
【0086】
ユーザ時刻算出部31は、パケット送受信部30からユーザ端末4-3のユーザ識別情報及びオフセットを入力する。そして、ユーザ時刻算出部31は、前述のユーザ端末4-1の場合と同様の処理を行うことで、ユーザ端末4-3の時刻FCを算出する(ステップS806)。
【0087】
ユーザ時刻算出部31は、ユーザ端末4-3のユーザ識別情報及び時刻FC、並びに当該ユーザ端末4-3の時刻FCを求めたときに用いた時計34の基準時刻Lを時刻管理情報処理部32に出力する。
【0088】
尚、ユーザ端末4-1,4-2,4-3の時刻FA,FB,FCを求めたときの時計34の基準時刻Lは、後述する図9に示すように同じであるものとする。
【0089】
時刻管理情報処理部32は、パケット送受信部30からユーザ端末4のユーザ識別情報及びオフセットを入力すると共に、ユーザ時刻算出部31からユーザ端末4のユーザ識別情報及び時刻F、並びに基準時刻Lを入力する。つまり、時刻管理情報処理部32は、パケット送受信部30からユーザ端末4-1,4-2,4-3のユーザ識別情報及びオフセットを入力すると共に、ユーザ時刻算出部31からユーザ端末4-1,4-2,4-3のユーザ識別情報及び時刻FA,FB,FC、並びに基準時刻Lを入力する。
【0090】
時刻管理情報処理部32は、ユーザ識別情報毎に、当該ユーザ識別情報に対応するユーザ端末4の時刻F、時刻管理サーバ3の基準時刻L及びオフセットからなる時刻管理情報を生成し、時刻管理情報を記憶部33に格納する(ステップS807)。
【0091】
図9は、時刻管理サーバ3の記憶部33に格納された時刻管理情報の例を示す図である。記憶部33には、時刻管理情報として、ユーザ端末4のユーザ識別情報、ユーザ端末4の時刻F、時刻管理サーバ3の基準時刻L及びユーザ端末4のオフセットの各種データが格納されている。
【0092】
図9には、エッジサーバ2-1によりユーザ端末4-1のオフセットが算出され、エッジサーバ2-2によりユーザ端末4-2のオフセットが算出され、エッジサーバ2-3によりユーザ端末4-3のオフセットが算出された場合のそれぞれのオフセットの例(-1:00,+1:00,+1:30)が示されている。
【0093】
また、時刻管理サーバ3の基準時刻Lを10:00とした場合に、ユーザ時刻算出部31により基準時刻Lにオフセットが加算された結果として、それぞれの時刻Fの例(9:00,11:00,11:30)が示されている。
【0094】
前述のとおり、ユーザ端末4のオフセットは、エッジサーバ2及び時刻管理サーバ3の基準時刻Lの絶対時刻に対する、当該ユーザ端末4の後述する時計45の時刻Fのオフセットである。オフセットがマイナスの場合は、ユーザ端末4の時刻Fが基準時刻Lに対して遅れていることを示しており、オフセットがプラスの場合は、ユーザ端末4の時刻Fが基準時刻Lに対して進んでいることを示している。
【0095】
図7及び図8に戻って、時刻管理情報処理部32は、例えばユーザ端末4からの要求に応じて(パケット送受信部30がユーザ端末4から要求を受信すると)、記憶部33から、全てのユーザ端末4についての時刻管理情報を読み出す(ステップS808)。そして、時刻管理情報処理部32は、全てのユーザ端末4についての時刻管理情報をパケット送受信部30に出力する。
【0096】
パケット送受信部30は、時刻管理情報処理部32から全てのユーザ端末4についての時刻管理情報を入力し、全てのユーザ端末4についての時刻管理情報を含む第4パケットを生成し、第4パケットを、例えば要求を送信してきたユーザ端末4へ送信する(ステップS809)。
【0097】
尚、時刻管理情報処理部32は、例えば所定の時間期間毎に、記憶部33から全てのユーザ端末4についての時刻管理情報を読み出し、パケット送受信部30は、第4パケットを全てのユーザ端末4へ送信するようにしてもよい。
【0098】
このように、時刻管理サーバ3は、エッジサーバ2からユーザ端末4のオフセットを取得することで、ユーザ端末4毎に、当該ユーザ端末4の時刻F及びオフセット、並びにそのときの基準時刻Lの各種データからなる時刻管理情報を管理することができる。また、ユーザ端末4に対し、全てのユーザ端末4についての時刻管理情報を通知することができる。
【0099】
従来技術では、ユーザ端末103がオフセットを算出する処理を行っていた(図14及び図15を参照)。これに対し、本発明の実施形態では、時刻管理サーバ3は、ユーザ端末4のオフセットをユーザ端末4へ通知することで、ユーザ端末4によるオフセットの算出処理を不要とした。これにより、ユーザ端末4の処理負荷を従来技術に比べて低減することができ、結果として、ユーザ端末4の簡素化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0100】
〔ユーザ端末4〕
次に、図1に示した伝送システム1に備えたユーザ端末4について説明する。図10は、ユーザ端末4の構成例を示すブロック図である。
【0101】
このユーザ端末4は、パケット送受信部(ユーザ端末用パケット送受信部)40、時刻処理部41、管理部42、記憶部(ユーザ端末用記憶部)43、ストリーム同期処理部44及び時計(ユーザ端末用時計)45を備えている。尚、図10に示す構成例には、本発明に直接関連する構成部のみを示しており、直接関連しない構成部は省略してある。
【0102】
パケット送受信部40は、図3に示したように、対応するエッジサーバ2から、タイムスタンプL1を含む第1パケットを受信し、第1パケットからタイムスタンプL1を抽出し、タイムスタンプL1を時刻処理部41に出力する。また、パケット送受信部40は、時刻処理部41からタイムスタンプF2,F3を入力し、タイムスタンプF2,F3を含む第2パケットを生成し、第2パケットを対応するエッジサーバ2へ送信する。
【0103】
パケット送受信部40は、図4に示したように、時刻管理サーバ3から、全てのユーザ端末4についての時刻管理情報を含む第4パケットを受信し、第4パケットから全てのユーザ端末4についての時刻管理情報を抽出する。そして、パケット送受信部40は、全てのユーザ端末4についての時刻管理情報を管理部42に出力する。
【0104】
パケット送受信部40は、他のユーザ端末4から、映像データ等のストリームを含むパケットを受信し、パケットからストリームを抽出し、ストリームをストリーム同期処理部44に出力する。
【0105】
時刻処理部41は、タイムスタンプL1を入力し、タイムスタンプL1を図示しない記憶部に格納する。このタイムスタンプL1は、周波数同期を行うために用いられる。時刻処理部41は、時計45の時刻Fに基づいて、パケット送受信部40が第1パケットを受信した際の受信時刻のタイムスタンプF2を生成すると共に、パケット送受信部40が第2パケットを送信する際の送信時刻のタイムスタンプF3を生成する。そして、時刻処理部41は、タイムスタンプF2,F3をパケット送受信部40に出力する。
【0106】
図11は、ユーザ端末4の管理部42及びストリーム同期処理部44の処理例を示すフローチャートである。
【0107】
管理部42は、図示しないストリーム受信処理部において他のユーザ端末4からのストリーム受信が開始されたか否かを判定する(ステップS1101)。
【0108】
管理部42は、ステップS1101において、他のユーザ端末4からのストリーム受信が開始されたと判定した場合(ステップS1101:Y)、時刻管理サーバ3から全てのユーザ端末4についての時刻管理情報を取得し、これを記憶部43に格納する(ステップS1102)。つまり、管理部42は、パケット送受信部40から時刻管理情報を入力して記憶部43に格納する。これにより、記憶部43には、図9に示した時刻管理情報と同じ情報が格納される。
【0109】
管理部42は、ステップS1101において、他のユーザ端末4からのストリーム受信が開始されていないと判定した場合(ステップS1101:N)、当該処理を終了し、他のユーザ端末4からのストリーム受信が開始するまで、ステップS1101の処理を続ける。
【0110】
管理部42は、ステップS1102から移行して、時刻管理情報に含まれる当該ユーザ端末4のオフセットと、他のユーザ端末4のオフセットとに基づいて、当該ユーザ端末4の時刻Fを基準として、他のユーザ端末4との間の時刻ずれを算出する(ステップS1103)。そして、管理部42は、他のユーザ端末4との間の時刻ずれを記憶部43に格納する。
【0111】
例えば図9に示したユーザ端末4のオフセットにおいて、ユーザ端末4-3の管理部42は、他のユーザ端末4-1のオフセットである-1:00から、当該ユーザ端末4-3のオフセットである+1:30を減算することで、当該ユーザ端末4-3の時刻FCを基準としたユーザ端末4-1との間の時刻ずれ-2:30を求める。
【0112】
つまり、当該ユーザ端末4-3の時刻FCを基準にして、ユーザ端末4-1から送信されてくるストリームには、時刻ずれ-2:30が存在する(ストリームのタイムスタンプが時刻ずれ-2:30に対応するカウント値だけ遅れている)ことを示している。
【0113】
また、ユーザ端末4-3の管理部42は、他のユーザ端末4-2のオフセットである+1:00から、当該ユーザ端末4-3のオフセットである+1:30を減算することで、当該ユーザ端末4-3の時刻FCを基準としたユーザ端末4-2との間の時刻ずれ-0:30を求める。
【0114】
つまり、当該ユーザ端末4-3の時刻FCを基準にして、ユーザ端末4-2から送信されてくるストリームには、時刻ずれ-0:30が存在する(ストリームのタイムスタンプが時刻ずれ-0:30に対応するカウント値だけ遅れている)ことを示している。
【0115】
図10及び図11に戻って、ストリーム同期処理部44は、記憶部43から他のユーザ端末4との間の時刻ずれを読み出す。ストリーム同期処理部44は、パケット送受信部40から他のユーザ端末4から送信されてきたストリームを入力し、時刻ずれに基づいて、他のユーザ端末4からのストリームの同期を実現する(ステップS1104)。つまり、ストリーム同期処理部44は、時刻ずれ(に対応するカウント値)に基づいて、ストリームに含まれるタイムスタンプMを変更する。
【0116】
前述の図9に示した例において、ユーザ端末4-3のストリーム同期処理部44は、記憶部43からユーザ端末4-1との間の時刻ずれ-2:30を読み出す。そして、ストリーム同期処理部44は、ユーザ端末4-1から送信されてきたストリーム(例えば映像データのストリーム)からタイムスタンプM1を抽出し、タイムスタンプM1から、時刻ずれ-2:30に対応するカウント値のタイムスタンプを減算することで新たなタイムスタンプM1’を求める。ストリーム同期処理部44は、ストリームに含まれるタイムスタンプM1を新たなタイムスタンプM1’に変更し、タイムスタンプM1’を含むストリームを図示しないストリーム受信処理部に出力する。
【0117】
また、ユーザ端末4-3のストリーム同期処理部44は、記憶部43からユーザ端末4-2との間の時刻ずれ-0:30を読み出す。そして、ストリーム同期処理部44は、ユーザ端末4-2から送信されてきたストリーム(例えば音声データのストリーム)からタイムスタンプM2を抽出し、タイムスタンプM2から時刻ずれ-0:30に対応するカウント値のタイムスタンプを減算することで新たなタイムスタンプM2’を求める。ストリーム同期処理部44は、ストリームに含まれるタイムスタンプM2を新たなタイムスタンプM2’に変更し、タイムスタンプM2’を含むストリームを図示しないストリーム受信処理部に出力する。
【0118】
図示しないストリーム受信部は、ストリーム同期処理部44から、ユーザ端末4-1から送信されてきたタイムスタンプM1’を含むストリーム及びユーザ端末4-2から送信されてきたタイムスタンプM2’を含むストリームを入力する。そして、ストリーム受信部は、時計45の時刻Fに応じて、それぞれのストリームの再生処理等を行う。
【0119】
この場合、タイムスタンプM1’,M2’は、時計45の時刻Fに対応した(同期した)タイムスタンプであるため、例えばユーザ端末4-1からの映像データのストリームと、ユーザ端末4-2からの音声データのストリームとの間で、同期を実現することができる。
【0120】
ここで、前述の非特許文献1-3に記載されたSMPTE ST 2110の規格に準じたタイムスタンプを用いた同期手順について詳細に説明する。タイムスタンプは、SMPTE Epochと呼ばれるTAI(国際原子時)の1970年1月1日0時0分0秒の時刻から現在時刻までの時間差が、各機器が持つクロック周波数(映像の場合90kHz、音声の場合48kHzが一般的)にてカウントされ、そのカウント値に基づいて生成される値である。
【0121】
前述の同期手順の例では、他のユーザ端末4から送信されてきたストリームに含まれるタイムスタンプが、当該ユーザ端末4の時刻Fに基づいたタイムスタンプに対応するように変更することで、ストリームの同期を実現するようにした。
【0122】
これに対し、以下の同期手順は、ストリームに含まれるタイムスタンプが、エッジサーバ2及び時刻管理サーバ3の基準時刻Lに基づいたタイムスタンプに対応するように変更することで、ストリームの同期を実現するものである。
【0123】
ユーザ端末4-3のストリーム同期処理部44は、他のユーザ端末4-1のオフセットである-1:00を記憶部43から読み出し、これをタイムスタンプに変換し、変換後のタイムスタンプの値を他のユーザ端末4-1のタイムスタンプ差として求める。同様に、ストリーム同期処理部44は、他のユーザ端末4-2のオフセットである+1:00を記憶部43から読み出し、これをタイムスタンプに変換し、変換後のタイムスタンプの値を他のユーザ端末4-2のタイムスタンプ差として求める。
【0124】
そして、ユーザ端末4-3のストリーム同期処理部44は、他のユーザ端末4-1からストリーム(例えば映像データのストリーム)が送信されてきた場合、ストリームからタイムスタンプM1を抽出し、タイムスタンプM1に、前述の他のユーザ端末4-1のタイムスタンプ差を加算することで、新たなタイムスタンプM1’を求める。ストリーム同期処理部44は、ストリームに含まれるタイムスタンプM1を新たなタイムスタンプM1’に変更し、タイムスタンプM1’を含むストリームを図示しないストリーム受信処理部に出力する。
【0125】
また、ユーザ端末4-3のストリーム同期処理部44は、他のユーザ端末4-2からストリーム(例えば音声データのストリーム)が送信されてきた場合、ストリームからタイムスタンプM2を抽出し、タイムスタンプM2に、前述の他のユーザ端末4-2のタイムスタンプ差を加算することで、新たなタイムスタンプM2’を求める。ストリーム同期処理部44は、ストリームに含まれるタイムスタンプM2を新たなタイムスタンプM2’に変更し、タイムスタンプM2’を含むストリームを図示しないストリーム受信処理部に出力する。
【0126】
この場合、タイムスタンプM1’,M2’は、エッジサーバ2及び時刻管理サーバ3の基準時刻Lに対応した(同期した)タイムスタンプであるため、例えばユーザ端末4-1からの映像データのストリームと、ユーザ端末4-2からの音声データのストリームとの間で、同期を実現することができる。
【0127】
このようにして、前述の非特許文献1-3に記載されたSMPTE ST 2110の規格に準じたタイムスタンプを用いて、ストリームの同期が実現される。
【0128】
次に、本発明の実施形態におけるエッジサーバ2及びユーザ端末4の処理例の概略と、図15に示した従来のエッジサーバ102及びユーザ端末103の処理例の概略との違いについて説明する。
【0129】
図12は、エッジサーバ2及びユーザ端末4の処理例の概略を説明する図である。図12及び図15を比較して、図12に示す本発明の実施形態では、図15に示した従来技術のユーザ端末103によるオフセット算出処理を、ユーザ端末4ではなくエッジサーバ2が行うようにしている。また、本発明の実施形態では、ユーザ端末4が時刻管理情報の管理及びストリームの同期処理を行うようにしている。
【0130】
エッジサーバ2は、基準時刻生成クロックを用いて、時計22からの時刻情報の基準時刻Lをカウントすることで、図3に示した所定のタイミングにて、タイムスタンプL1,L4を算出する。
【0131】
エッジサーバ2は、算出されたタイムスタンプL1を含む第1パケットをユーザ端末4へ送信し、ユーザ端末4からタイムスタンプF2,F3を含む第2パケットを受信する。そして、エッジサーバ2は、タイムスタンプL1,F2,F3,L4を用いて、オフセットを算出し、オフセットを時刻管理サーバ3へ送信する。
【0132】
ユーザ端末4は、時刻生成クロックを用いて、時計45からの時刻情報の時刻Fをカウントすることで、図3に示した所定のタイミングにてタイムスタンプF2,F3を算出する。
【0133】
ユーザ端末4は、エッジサーバ2からタイムスタンプL1を含む第1パケットを受信し、算出されたタイムスタンプF2,F3を含む第2パケットをエッジサーバ2へ送信する。
【0134】
ユーザ端末4は、図15に示したユーザ端末103と同様に、定期的に受信した第1パケットに含まれるタイムスタンプL1からクロックカウントを求めると共に、時刻生成クロックに基づいてクロックカウントを求める。そして、ユーザ端末4は、これらのクロックカウントに基づいて、当該ユーザ端末4の時刻生成クロックの周波数ずれを計算し、周波数ずれをなくすための制御情報を生成することで、時刻生成クロックの制御を行う。
【0135】
ユーザ端末4は、エッジサーバ2から全てのユーザ端末4についての時刻管理情報を含む第4パケットを受信し、この時刻管理情報の管理を行う。また、ユーザ端末4は、時刻管理情報を用いて、他のユーザ端末4から受信したストリームの同期処理を行う。
【0136】
以上のように、本発明の実施形態の伝送システム1によれば、エッジサーバ2は、ユーザ端末4との間でパケットの送受信を行うことで、タイムスタンプL1,F2,F3,L4を取得する。
【0137】
エッジサーバ2は、タイムスタンプL1,F2,F3,L4を用いて、前記式(2)及び変換処理により、エッジサーバ2の基準時刻Lに対するユーザ端末4の時刻Fのオフセットを算出し、ユーザ端末4のオフセットを含む第3パケットを時刻管理サーバ3へ送信する。
【0138】
時刻管理サーバ3は、エッジサーバ2から第3パケットを受信し、ユーザ端末4のオフセットを含む時刻管理情報を管理する。時刻管理サーバ3は、全てのユーザ端末4についての時刻管理情報を含む第4パケットをユーザ端末4へ送信する。
【0139】
ユーザ端末4は、時刻管理サーバ3から第4パケットを受信し、当該ユーザ端末4のオフセット及び他のユーザ端末4のオフセットに基づいて、当該ユーザ端末4の時刻Fを基準として、当該ユーザ端末4と他のユーザ端末4との間の時刻ずれを算出する。
【0140】
ユーザ端末4は、他のユーザ端末4から映像データ等のストリームのパケットを受信し、当該他のユーザ端末4との時刻ずれに基づいて、ストリームに含まれるタイムスタンプを変更することで、ストリームの同期を実現する。
【0141】
これにより、他のユーザ端末4から受信したストリームに含まれるタイムスタンプを、当該ユーザ端末4の時刻Fを基準としたタイムスタンプに変更することができ、他の複数のユーザ端末4から送信された映像データのストリーム、音声データのストリーム及び補助データのストリームの時刻同期を実現することができる。
【0142】
このように、エッジサーバ2がオフセット算出処理を行うようにしたため、ユーザ端末4は、従来と同様の周波数同期処理を行う必要があるが、オフセット算出処理を行う必要がない。また、ユーザ端末4は、他のユーザ端末4から受信したストリームに含まれるタイムスタンプを、オフセットに基づいて変更することで、ストリームの同期を実現するようにしたため、時計45の時刻Fのオフセットを調整する必要がない。
【0143】
したがって、伝送システム1を構成する複数のユーザ端末4では、時計45の時刻Fが同期していない状態となるが、ユーザ端末4の簡素化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0144】
また、エッジサーバ2には、元々高度な信号処理を実装するためのリソースが潤沢に存在している。このため、エッジサーバ2は、その潤沢なリソースを用いることで、オフセット算出処理を含め、パケットをロスした場合の信号処理等の高度な信号処理を行うことができる。さらに、エッジサーバ2がオフセット算出処理を行い、時刻管理サーバ3がオフセットを含む時刻管理情報を管理することで、ユーザ端末4の処理負荷を低減するようにした。したがって、伝送システム1全体として、設備の利用効率を高めることができる。
【0145】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0146】
前記実施形態では、図1に示した伝送システム1は、マスター時刻装置101、3台のエッジサーバ2-1,2-2,2-3及び3台のユーザ端末4-1,4-2,4-3を備えて構成されるようにした。これに対し、本発明は、エッジサーバ2及びユーザ端末4の台数をこれに限定するものではない。
【0147】
尚、本発明の実施形態によるエッジサーバ2、時刻管理サーバ3及びユーザ端末4のハードウェア構成としては、通常のコンピュータを使用することができる。エッジサーバ2、時刻管理サーバ3及びユーザ端末4は、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、及びインターフェース等を備えたコンピュータによって構成される。
【0148】
エッジサーバ2に備えたパケット送受信部20及びオフセット算出部21の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。
【0149】
また、時刻管理サーバ3に備えたパケット送受信部30、ユーザ時刻算出部31、時刻管理情報処理部32及び記憶部33の機能も、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。
【0150】
また、ユーザ端末4に備えたパケット送受信部40、時刻処理部41、管理部42、記憶部43及びストリーム同期処理部44の機能も、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現される。
【0151】
これらのプログラムは、前記記憶媒体に格納されており、CPUに読み出されて実行される。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもでき、ネットワークを介して送受信することもできる。
【符号の説明】
【0152】
1,100 伝送システム
2,2-1,2-2,2-3,102,102-1,102-2,102-3 エッジサーバ
3 時刻管理サーバ
4,4-1,4-2,4-3,103,103-1,103-2,103-3 ユーザ端末
20,30,40 パケット送受信部
21 オフセット算出部
22,34,45 時計
31 ユーザ時刻算出部
32 時刻管理情報処理部
33,43 記憶部
41 時刻処理部
42 管理部
44 ストリーム同期処理部
101 マスター時刻装置
110 ネットワーク
111-1,111-2,111-3 通信路
L1,L2,L3,L4,F1,F2,F3,F4 タイムスタンプ
L 基準時刻
F,FA,FB,FC 時刻
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