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特開2024-180265二酸化炭素分離用アミン組成物及びその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180265
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】二酸化炭素分離用アミン組成物及びその用途
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20241219BHJP
   C07C 215/18 20060101ALN20241219BHJP
   C07C 211/14 20060101ALN20241219BHJP
   C07C 211/13 20060101ALN20241219BHJP
   C07C 211/10 20060101ALN20241219BHJP
   C07C 217/42 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
B01D53/14 210
C07C215/18
C07C211/14
C07C211/13
C07C211/10
C07C217/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024011651
(22)【出願日】2024-01-30
(31)【優先権主張番号】P 2023098887
(32)【優先日】2023-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】東 知佳
(72)【発明者】
【氏名】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】原 範之
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 学
【テーマコード(参考)】
4D020
4H006
【Fターム(参考)】
4D020AA03
4D020BA01
4D020BA06
4D020BA16
4D020BA19
4D020BA21
4D020BB03
4D020BB07
4D020BC01
4D020BC02
4D020CA01
4D020CB01
4D020CB08
4D020CB18
4D020CC09
4D020CC21
4D020DA03
4D020DB02
4D020DB03
4D020DB07
4H006AA03
4H006AB80
4H006AD33
(57)【要約】      (修正有)
【課題】単位質量当たりの二酸化炭素放散速度が高い二酸化炭素分離用組成物の提供。
【解決手段】下記式(2)で示されるアミン化合物(A)と、下記式(5)で示されるアミン化合物(B)と、水を含む二酸化炭素分離用組成物。(B)の窒素原子のモル数が、(A)の窒素原子のモル数に対して1~12倍モルの範囲、水の含有量が、前記組成物の全量を100質量%として、55~80質量%である、二酸化炭素分離用組成物。


【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(2)、及び(4)で示されるアミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミン化合物(A)と、下記一般式(5)で示されるアミン化合物(B)と、水を含む二酸化炭素分離用組成物であって、アミン化合物(B)の窒素原子のモル数が、アミン化合物(A)の窒素原子のモル数に対して1~12倍モルの範囲であり、水の含有量が、二酸化炭素分離用組成物の全量を100質量%として、55~80質量%であることを特徴とする、二酸化炭素分離用組成物。
【化1】
[上記式中、Rは、アセチル基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数2~4のアミノアルキル基、又は炭素数1~4のヒドロキシアルキル基を表す。R及びRは、各々独立して、水素原子、アセチル基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数3~4のアミノアルキル基、又は炭素数1~4のヒドロキシアルキル基を表す。RとRは互いに結合して環を形成していてもよい。Rは、炭素数1~4のアルキレン基を表す。]
【化2】
[上記式中、nは2~4の整数を表す。]
【化3】
[上記式中、Rは、各々独立して、炭素数1~3のアルキル基を表す。Rは、炭素数2~6のアルキレン基、又は総炭素数2~6のオキシビスアルキレン基を表す。Rは、炭素数1~3のアルキル基、2-ヒドロキシエチル基、又は2-ヒドロキシプロピル基を表す。nは、1~4の整数を表す。隣接する二つのRは互いに結合して環を形成していてもよい。]
【請求項2】
上記の一般式(2)で表されるアミン化合物が、下記の一般式(1)、(2’)、又は(3)で表されるアミン化合物である、請求項1に記載の二酸化炭素分離用組成物。
【化4】
[上記式中、Rは、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数3~4のアミノアルキル基、又は炭素数1~4のヒドロキシアルキル基を表す。R、及びRは、各々独立して、炭素数1~4のアルキレン基を表す。]
【化5】
[上記式中、Rは、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数2~4のアミノアルキル基を表す。R及びRは、各々独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数3~4のアミノアルキル基を表す。Rは、炭素数1~4のアルキレン基を表す。]
【化6】
[上記式中、Rは、炭素数1~4のアルキル基、炭素数2~4のアミノアルキル基、又はアセチル基を表す。]
【請求項3】
上記のアミン化合物(A)が、N-(2-アミノエチル)エタノールアミン、N-メチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、N-(2-アミノエチル)ピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、1-アセチルピペラジン、及び1,4-ジアミノブタンからなる群より選ばれる少なくとも一つのアミン化合物(A)であることを特徴とする、請求項1に記載の二酸化炭素分離用組成物。
【請求項4】
上記のアミン化合物(B)が、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキシレンジアミン、2-[[2-(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ]エタノール、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N-(2-ヒドロキシプロピル)-N,N’,N”,N”-テトラメチルジエチレントリアミン及び1-(2-ジメチルアミノエチル)-4-メチルピペラジンからなる群より選ばれる少なくとも一つのアミン化合物(B)であることを特徴とする、請求項1に記載の二酸化炭素分離用組成物。
【請求項5】
水の濃度が、二酸化炭素分離用組成物全体の55~70質量%であって、二酸化炭素吸収及び脱着におけるすべての工程において常に均一状態であることを特徴とする、請求項1に記載の二酸化炭素分離用組成物。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の二酸化炭素分離用組成物に、二酸化炭素を含むガスを接触させて、該混合ガス中の二酸化炭素を前記の二酸化炭素分離用組成物に吸収させる工程を含むことを特徴とする、二酸化炭素の分離方法。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかに記載の二酸化炭素分離用組成物に、二酸化炭素を含むガスを接触させて、該混合ガス中の二酸化炭素を前記の二酸化炭素分離用組成物に吸収させる工程、及び前記の二酸化炭素を吸収した二酸化炭素分離用組成物を加熱及び/又は減圧して、二酸化炭素を放散させる工程を含むことを特徴とする、二酸化炭素の分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素を含有する混合ガスから二酸化炭素を分離するための二酸化炭素分離用組成物及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化問題のため、二酸化炭素の分離・回収が注目されており、二酸化炭素吸収液の開発が盛んにおこなわれている。
【0003】
二酸化炭素吸収液として、モノエタノールアミン水溶液が最も一般的である。モノエタノールアミンは、安価で工業的に入手しやすいが、低温で吸収した二酸化炭素を120℃以上の高温にしないと放散しないという特性がある。そして、二酸化炭素の放散温度が水の沸点を超える場合、水の高い潜熱、比熱のため、二酸化炭素の回収に多くのエネルギーを要することになる。そのため、モノエタノールアミンより二酸化炭素放散温度が低く、二酸化炭素回収エネルギーの低いアミンの開発がおこなわれている。例えば、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(特許文献1)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2018-531147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来公知のN,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミンの水溶液を用いた二酸化炭素吸収液は、二酸化炭素の放散性能が低いという課題があった。
【0006】
二酸化炭素の分離回収については、(i)混合ガスから吸収剤への二酸化炭素の吸収、及び(ii)吸収液に吸収された二酸化炭素の放散、の繰返しによってなされるが、二酸化炭素の放散性能が低い場合、(ii)の放散工程に必要なエネルギーが増大し、二酸化炭素分離回収プロセス全体のエネルギー効率を低下させてしまうという課題が生じる。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、二酸化炭素の放散性能が高い二酸化炭素分離用組成物、及び二酸化炭素の分離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、以下に示す本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下に示すとおりの二酸化炭素分離用組成物、及びその用途である。
【0010】
[1]
下記一般式(2)、及び(4)で示されるアミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミン化合物(A)と、下記一般式(5)で示されるアミン化合物(B)と、水を含む二酸化炭素分離用組成物であって、アミン化合物(B)の窒素原子のモル数が、アミン化合物(A)の窒素原子のモル数に対して1~12倍モルの範囲であり、水の含有量が、二酸化炭素分離用組成物の全量を100質量%として、55~80質量%であることを特徴とする、二酸化炭素分離用組成物。
【0011】
【化1】
【0012】
[上記式中、Rは、アセチル基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数2~4のアミノアルキル基、又は炭素数1~4のヒドロキシアルキル基を表す。R及びRは、各々独立して、水素原子、アセチル基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数3~4のアミノアルキル基、又は炭素数1~4のヒドロキシアルキル基を表す。RとRは互いに結合して環を形成していてもよい。Rは、炭素数1~4のアルキレン基を表す。]
【0013】
【化2】
【0014】
[上記式中、nは2~4の整数を表す。]
【0015】
【化3】
【0016】
[上記式中、Rは、各々独立して、炭素数1~3のアルキル基を表す。Rは、炭素数2~6のアルキレン基、又は総炭素数2~6のオキシビスアルキレン基を表す。Rは、炭素数1~3のアルキル基、2-ヒドロキシエチル基、又は2-ヒドロキシプロピル基を表す。nは、1~4の整数を表す。隣接する二つのRは互いに結合して環を形成していてもよい。]
[2]
上記の一般式(2)で表されるアミン化合物が、下記の一般式(1)、(2’)、又は(3)で表されるアミン化合物である、[1]に記載の二酸化炭素分離用組成物。
【0017】
【化4】
【0018】
[上記式中、Rは、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数3~4のアミノアルキル基、又は炭素数1~4のヒドロキシアルキル基を表す。R、及びRは、各々独立して、炭素数1~4のアルキレン基を表す。]
【0019】
【化5】
【0020】
[上記式中、Rは、アセチル基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数2~4のアミノアルキル基、又は炭素数1~4のヒドロキシアルキル基を表す。R及びRは、各々独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数3~4のアミノアルキル基を表す。Rは、炭素数1~4のアルキレン基を表す。]
【0021】
【化6】
【0022】
[上記式中、Rは、炭素数1~4のアルキル基、炭素数2~4のアミノアルキル基、又はアセチル基を表す。]
[3]
上記のアミン化合物(A)が、N-(2-アミノエチル)エタノールアミン、N-メチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、N-(2-アミノエチル)ピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、1-アセチルピペラジン、及び1,4-ジアミノブタンからなる群より選ばれる少なくとも一つのアミン化合物(A)であることを特徴とする、[1]に記載の二酸化炭素分離用組成物。
【0023】
[4]
上記のアミン化合物(B)が、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキシレンジアミン、2-[[2-(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ]エタノール、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N-(2-ヒドロキシプロピル)-N,N’,N”,N”-テトラメチルジエチレントリアミン、及び1-(2-ジメチルアミノエチル)-4-メチルピペラジンからなる群より選ばれる少なくとも一つのアミン化合物(B)であることを特徴とする、[1]に記載の二酸化炭素分離用組成物。
【0024】
[5]
水の濃度が、二酸化炭素分離用組成物全体の55~70質量%であって、二酸化炭素吸収及び脱着におけるすべての工程において常に均一状態であることを特徴とする、[1]に記載の二酸化炭素分離用組成物。
【0025】
[6]
[1]乃至[5]のいずれかに記載の二酸化炭素分離用組成物に、二酸化炭素を含むガスを接触させて、該混合ガス中の二酸化炭素を前記の二酸化炭素分離用組成物に吸収させる工程を含むことを特徴とする、二酸化炭素の分離方法。
【0026】
[7]
[1]乃至[5]のいずれかに記載の二酸化炭素分離用組成物に、二酸化炭素を含むガスを接触させて、該混合ガス中の二酸化炭素を前記の二酸化炭素分離用組成物に吸収させる工程、及び前記の二酸化炭素を吸収した二酸化炭素分離用組成物を加熱及び/又は減圧して、二酸化炭素を放散させる工程を含むことを特徴とする、二酸化炭素の分離方法。
【発明の効果】
【0027】
本発明の二酸化炭素分離用組成物は、従来公知の材料に比べて単位質量当たりの二酸化炭素放散速度が高く、二酸化炭素の放散性能に優れるという特徴があり、大量の二酸化炭素を吸収分離処理することができるという効果を有する。
【0028】
このため、本発明は、大規模火力発電などで大量に排出される二酸化炭素を効率よく分離することができ、二酸化炭素の分離・回収プロセス全体の効率を高められるという点で、工業的に極めて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0030】
まず、本発明の二酸化炭素分離用組成物について説明する。
【0031】
本発明の二酸化炭素分離用組成物は、上記一般式(2)、及び(4)で示されるアミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミン化合物(A)と、上記一般式(5)で示されるアミン化合物(B)と、水を含む二酸化炭素分離用組成物であって、アミン化合物(B)の窒素原子モル数が、アミン化合物(A)の窒素原子のモル数に対して1~12倍モルの範囲であり、水の含有量が、二酸化炭素分離用組成物の全量を100質量%として、55~80質量%であることを特徴とする、二酸化炭素分離用組成物に係る。
【0032】
本発明において、上記一般式(2)、及び(4)で示されるアミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミン化合物(A)と、上記一般式(5)で示されるアミン化合物(B)は、いずれも二酸化炭素を吸着したり、放散したりする役割を担う。
【0033】
上記一般式(2)において、Rは、アセチル基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数2~4のアミノアルキル基、又は炭素数1~4のヒドロキシアルキル基を表し、R及びRは、各々独立して、水素原子、アセチル基、炭素数1~4のアルキル基、炭素数3~4のアミノアルキル基、又は炭素数1~4のヒドロキシアルキル基を表し、RとRは互いに結合して環を形成していてもよい。Rは、炭素数1~4のアルキレン基を表す。
【0034】
上記一般式(2)において、Rについては、上記の定義に該当すればよく、特に限定するものではないが、二酸化炭素の放散性能に優れる点で、各々独立して、アセチル基、メチル基、エチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシプロピル基、2-アミノエチル基、又は3-アミノプロピル基であることが好ましい。
【0035】
上記一般式(2)において、R、及びRについては、上記の定義に該当すればよく、特に限定するものではないが、二酸化炭素の放散性能に優れる点で、各々独立して、水素原子、アセチル基、メチル基、エチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシプロピル基、又は3-アミノプロピル基であることが好ましい。
【0036】
なお、RとRは、互いに結合して環構造を形成していてもよく、当該環構造を形成している場合は、RとRが、どちらもメチル基であって、1,2-エチレンを形成していることがより好ましい。
【0037】
また、Rについては、水素原子であることがより好ましい。
【0038】
上記一般式(2)において、Rについては、特に限定するものではないが、例えば、1,2-エチレン、1,3-プロピレン、又は1,4-ブテンを挙げることができるが、これらのうち、二酸化炭素の放散性能に優れる点で、1,2-エチレン、又は1,3-プロピレンであることが好ましく、1,2-エチレンであることがより好ましい。
【0039】
一般式(2)で示されるアミン化合物の具体例としては、特に限定するものではないが、例えば、N-メチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジメチル-1,4-ジアミノブタン、N,N-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジメチル-1,2-ジアミノプロパン、N,N-ジメチル-1,2-ジアミノエタン、N,N-ジエチル-1,4-ジアミノブタン、N,N-ジエチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジエチル-1,2-ジアミノプロパン、N,N-ジエチル-1,2-ジアミノエタン、N,N-ジプロピル-1,4-ジアミノブタン、N,N-ジプロピル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジプロピル-1,2-ジアミノプロパン、N,N-ジプロピル-1,2-ジアミノエタン、ジエチレントリアミン、N-メチルピペラジン、N-エチルピペラジン、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、N-(2-ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N-(2-アミノエチル)ピペラジン、又はN-(3-アミノプロピル)ピペラジン等を挙げることができる。
【0040】
上記一般式(2)で表されるアミン化合物は、二酸化炭素の放散性能に優れる点で、下記の一般式(1)、(2’)、又は(3)で表されるアミン化合物であることが好ましい。
【0041】
【化7】
【0042】
[上記式中、Rは、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数3~4のアミノアルキル基、又は炭素数1~4のヒドロキシアルキル基を表す。R、及びRは、各々独立して、炭素数1~4のアルキレン基を表す。]
【0043】
【化8】
【0044】
[上記式中、Rは、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数2~4のアミノアルキル基を表す。R及びRは、各々独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数3~4のアミノアルキル基を表す。Rは、炭素数1~4のアルキレン基を表す。]
【0045】
【化9】
【0046】
[上記式中、Rは、炭素数1~4のアルキル基、炭素数2~4のアミノアルキル基、又はアセチル基を表す。]
上記一般式(1)において、Rは、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数3~4のアミノアルキル基、又は炭素数1~4のヒドロキシアルキル基を表す。R、及びRは、各々独立して、炭素数1~4のアルキレン基を表す。
【0047】
上記一般式(1)において、Rは、上記の定義に該当すればよく、特に限定するものではない。
【0048】
上記の炭素数1~4のアルキル基については、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、又はターシャリーブチル基を挙げることができる。
【0049】
上記の炭素数3~4のアミノアルキル基については、特に限定するものではないが、例えば、3-アミノプロピル基、又は4-アミノブチル基等を例示することができる。
【0050】
上記の炭素数1~4のヒドロキシアルキル基については、特に限定するものではないが、例えば、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基、又は4-ヒドロキシブチル基を挙げることができる。
【0051】
上記の炭素数1~4のアルキレン基については、特に限定するものではないが、例えば、1,2-エチレン基、1,3-プロピレン基、1,2-プロピレン基、又は1,4-ブチレン基等を挙げることができる。
【0052】
これらのうち、二酸化炭素の放散性能に優れる点で、一般式(1)のRは、水素原子、メチル基、エチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシプロピル基、又は3-アミノプロピル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0053】
一般式(1)のR及びRについては、二酸化炭素の放散効率に優れる点で、各々独立して、1,2-エチレン、又は1,3-プロピレンであることが好ましく、1,2-エチレンであることがより好ましい。
【0054】
上記一般式(1)で示されるアミン化合物の具体例としては、例えば、N-(2-アミノエチル)-2-アミノエタノール、N-(3-アミノプロピル)-2-アミノエタノール、N-(2-アミノプロピル)-2-アミノエタノール、N-(4-アミノブチル)-2-アミノエタノール、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロパノール、N-(3-アミノプロピル)-3-アミノプロパノール、N-(2-アミノプロピル)-3-アミノプロパノール、N-(4-アミノブチル)-3-アミノプロパノール、N-(2-アミノエチル)-4-アミノブタノール、N-(3-アミノプロピル)-4-アミノブタノール、N-(2-アミノプロピル)-4-アミノブタノール、又はN-(4-アミノブチル)-4-アミノブタノール等を挙げることができる。
【0055】
上記一般式(1)で示されるアミン化合物については、入手容易性の観点から、Rが水素原子であり、R及びRが、各々独立して、1,2-エチレン基、又は1,3-プロピレン基であることがより好ましい。すなわち、上記一般式(1)で示されるアミン化合物については、N-(2-アミノエチル)-2-アミノエタノール(以下、AEEAとも称す)、又はN-(3-アミノプロピル)-2-アミノエタノール(以下、APEAとも称す)であることがより好ましい。
【0056】
上記一般式(2’)において、Rは、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数2~4のアミノアルキル基を表す。R及びRは、各々独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数3~4のアミノアルキル基を表す。Rは、炭素数1~4のアルキレン基を表す。
【0057】
上記一般式(2’)において、Rについては、上記の定義に該当すればよく、特に限定するものではないが、二酸化炭素の放散性能に優れる点で、メチル基、エチル基、2-アミノエチル基、又は3-アミノプロピル基であることが好ましい。
【0058】
上記一般式(2’)において、R、及びRについては、上記の定義に該当すればよく、特に限定するものではないが、二酸化炭素の放散性能に優れる点で、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、又は3-アミノプロピル基であることが好ましい。
【0059】
上記一般式(2’)において、Rについては、特に限定するものではないが、例えば、1,2-エチレン基、1,3-プロピレン基、又は1,4-ブテン基を挙げることができるが、これらのうち、二酸化炭素の放散性能に優れる点で、1,2-エチレン基、又は1,3-プロピレン基であることが好ましく、1,2-エチレン基であることがより好ましい。
【0060】
上記一般式(2’)で示されるアミン化合物の具体例としては、例えば、N-メチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、ジエチレントリアミン、又は1,4-ジアミノブタン等を挙げることができる。
【0061】
上記一般式(3)において、Rは、炭素数1~4のアルキル基、炭素数2~4のアミノアルキル基、又はアセチル基を表す。
【0062】
上記一般式(3)において、Rは、上記の定義に該当すればよく、特に限定するものではない。
【0063】
上記の1~4のアルキル基については、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、又はターシャリーブチル基を挙げることができる。
【0064】
上記の炭素数2~4のアミノアルキル基については、特に限定するものではないが、例えば、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基、又は4-アミノブチル基等を例示することができる。
【0065】
これらのうち、二酸化炭素の放散性能に優れる点で、Rは、メチル基、エチル基、又はアセチル基であることが好ましい。
【0066】
上記一般式(3)で示されるアミン化合物の具体例としては、例えば、1-メチルピペラジン、1-エチルピペラジン、1-イソプロピルピペラジン、1-ブチルピペラジン、1-イソブチルピペラジン、1-ターシャリーブチルピペラジン、1-アセチルピペラジン、N-(2-アミノエチル)ピペラジン、N-(3-アミノプロピル)ピペラジン、又は1-ピペラジンブタンアミン等を挙げることができる。
【0067】
上記一般式(4)において、nは、2~4の整数を表す。
【0068】
上記一般式(4)で示されるアミン化合物の具体例としては、例えば、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、又はヘキサエチレンヘプタミンが挙げられる。
【0069】
上記一般式(4)で示されるアミン化合物については、これらのうち、二酸化炭素の放散性能に優れる点で、トリエチレンテトラミンであることが好ましい。
【0070】
上記のアミン化合物(A)については、二酸化炭素の放散性能に優れる点で、N-(2-アミノエチル)エタノールアミン、N-メチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、N-(2-アミノエチル)ピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、1-アセチルピペラジン、及び1,4-ジアミノブタンからなる群より選ばれる少なくとも一つのアミン化合物(A)であることが好ましい。
【0071】
上記一般式(5)において、Rは、各々独立して、炭素数1~3のアルキル基を表す。Rは、炭素数2~6のアルキレン基、又は総炭素数2~6のオキシビスアルキレン基を表す。Rは、炭素数1~3のアルキル基、2-ヒドロキシエチル基、又は2-ヒドロキシプロピル基を表す。nは、1~4の整数を表す。隣接する二つのRは互いに結合して環を形成していてもよい。
【0072】
上記一般式(5)において、Rは、上記の定義に該当すればよく、特に限定するものではないが、例えば、各々独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、又はイソプロピル基を挙げることができる。これらのうち、二酸化炭素の放散性能に優れる点で、Rは、メチル基であることが好ましい。
【0073】
上記一般式(5)において、Rは、上記の定義に該当すればよく、特に限定するものではないが、例えば、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、又はエチレンオキシエチレン基を挙げることができる。これらのうち、二酸化炭素の放散性能に優れる点で、当該Rは、エチレン基、n-プロピレン基、n-ヘキシレン基、又はエチレンオキシエチレン基であることが好ましく、1,2-エチレン基、1,2-プロピレン基、1,3-プロピレン基、1,6-へキシレン基、又はエチレンオキシエチレン基であることがより好ましい。
【0074】
上記一般式(5)において、Rは、上記の定義に該当すればよく、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、2-ヒドロキシエチル基、又は2-ヒドロキシプロピル基を挙げることができる。これらのうち、二酸化炭素の放散性能に優れる点で、当該Rは、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、又は2-ヒドロキシプロピル基であることが好ましい。
【0075】
上記一般式(5)で示されるアミン化合物(B)の具体例としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキシレンジアミン、2-[[2-(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ]エタノール、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N-(2-ヒドロキシプロピル)-N,N’,N”,N”-テトラメチルジエチレントリアミン、及び1-(2-ジメチルアミノエチル)-4-メチルピペラジンからなる群より選ばれる少なくとも一つを挙げることができる。
【0076】
本発明において、アミン化合物(A)及び(B)は市販のものを用いてもよいし、公知の方法により合成したものを用いてもよく、特に限定されない。また、これらのアミン化合物の純度としては、特に限定するものではないが、いずれも、それぞれ、95%以上であることが好ましく、99%以上が特に好ましい。
【0077】
本発明の二酸化炭素分離用組成物については、上記の通り、アミン化合物(A)とアミン化合物(B)を併用することを特徴とし、アミン化合物(B)の窒素原子のモル数が、アミン化合物(A)の窒素原子のモル数に対して1~12倍モルの範囲であることをその特徴とする。
【0078】
なお、二酸化炭素の放散性能に優れる点で、アミン化合物(B)の窒素原子のモル数は、アミン化合物(A)の窒素原子のモル数に対して1.2~6倍モルの範囲であることが好ましく、1.4~4.5倍モルの範囲であることがより好ましい。
【0079】
本発明の二酸化炭素分離用組成物については、上記の通り、水を含有し、当該水の含有量が、二酸化炭素分離用組成物の全量を100質量%として、55~80質量%であることを特徴とする。
【0080】
当該水としては、例えば、工業用水、水道水、イオン交換水、又は蒸留水等があげられるが、これら何れの水を使用しても差し支えない。
【0081】
当該水の含有量としては、二酸化炭素の放散性能に優れる点で、二酸化炭素分離用組成物の全体を100質量%として、55~75質量%の範囲が好ましく、55~70質量%の範囲がより好ましい。
【0082】
また、本発明の二酸化炭素分離用組成物については、二酸化炭素吸収及び脱着におけるすべての工程において常に均一状態であることが好ましい。
【0083】
すなわち、本発明の二酸化炭素分離用組成物については、二酸化炭素を吸着する前の時点、二酸化炭素を吸着した後の時点、二酸化炭素を吸着し且つ放散した後の時点、及びこれらの時点の途中の時点のいずれの段階においても、分離などせず、常に均一状態を示すものであることが好ましい。
【0084】
本発明の二酸化炭素分離用組成物については、アミン化合物(A)、及びアミン化合物(B)に加えて、さらに、これらとは異なる、アルカノールアミン類、プロピレンジアミン類、ピペラジン類、ピペリジン類、モルホリン類、ピロリジン類、アゼパン類、及びポリエチレンポリアミン類からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミン化合物(C)を含んでいてもよい。当該アミン化合物(C)を共存させることで、二酸化炭素分離用組成物の単位質量当たりのN原子含有量を増やすことができる場合があり、二酸化炭素分離用組成物の単位質量当たりの二酸化炭素吸収量が増える点で、工業的に有利である場合がある。
【0085】
本発明において、前記のピペリジン類としては、具体例としては、例えば、ピペリジン、2-メチルピペリジン、1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-ピペリジン、1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-4-メチルピペリジン、1-(2,3-ジヒドロキシロピル)-4-エチルピペリジン、1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-4-プロルピペリジン、1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-4-ブチルピペリジン、1-(2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル)-ピペリジン、1-(2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル)-4-メチルピペリジン、1-(2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル)-4-エチルピペリジン、1-(2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル)-4-プロピルピペリジン、1-(2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル)-4-ブチルピペリジン、1-(2,3-ジメトキシプロピル)-ピペリジン、1-(2,3-ジメトキシプロピル)-4-メチルピペリジン、1-(2,3-ジメトキシプロピル)-4-エチルピペリジン、1-(2,3-ジメトキシプロピル)-4-プロピルピペリジン、又は1-(2,3-ジメトキシプロピル)-4-ブチルピペリジン等が挙げられる。
【0086】
本発明において、前記のモルホリン類としては、具体例としては、例えば、モルホリン、2-メチルモルホリン、2,6-ジメチルモルホリン、1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-モルホリン、1-(2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル)-モルホリン、又は1-(2,3-ジメトキシプロピル)-モルホリン等が挙げられる。
【0087】
本発明において、ピロリジン類としては、具体例としては、例えば、ピロリジン、2-メチルピロリジン、2,5-ジメチルピロリジン、1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-ピロリジン、1-(2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル)-ピロリジン、1-(2,3-ジメトキシプロピル)-ピロリジン、又は1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン等が挙げられる。
【0088】
本発明において、前記のアゼパン類としては、具体例としては、例えば、アゼパン、2-メチルアゼパン、2,7-ジメチルアゼパン、又は1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン等が挙げられる。
【0089】
本発明において、アミン化合物(C)は、市販のものでもよいし、公知の方法により合成したものでもよく、特に限定されない。また、アミン化合物(C)の純度としては、特に限定するものではないが、95%以上であることが好ましく、99%以上であることが特に好ましい。純度が95%を下回ると、二酸化炭素の吸収量が低下する恐れがある。
【0090】
本発明において、二酸化炭素分離用組成物がアミン化合物(C)を含有する場合、上記アミン化合物(A)、アミン化合物(B)、及びアミン化合物(C)の合計質量(100質量%)に占めるアミン化合物(C)の質量は、特に制限されるものではないが、単位質量当たりの二酸化炭素吸収量を増やすという観点から、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。
【0091】
次に、上記の二酸化炭素分離用組成物を用いた二酸化炭素の分離方法について説明する。
【0092】
本発明の二酸化炭素の分離方法は、上記の二酸化炭素分離用組成物に、二酸化炭素を含むガスを接触させて、該混合ガス中の二酸化炭素を前記の二酸化炭素分離用組成物に吸収させる工程を含むことを特徴とする。
【0093】
また、本発明の二酸化炭素の分離方法は、上記の二酸化炭素分離用組成物に、二酸化炭素を含むガスを接触させて、該混合ガス中の二酸化炭素を前記の二酸化炭素分離用組成物に吸収させる工程、及び前記の二酸化炭素を吸収した二酸化炭素分離用組成物を加熱及び/又は減圧して、二酸化炭素を放散させる工程を含むものであってもよい。
【0094】
本発明の二酸化炭素の分離方法において、二酸化炭素を含むガスを、本発明の二酸化炭素分離用組成物に接触させる方法については、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。公知の方法としては、バブリング法や、充填塔又は棚段塔を用いた対向接触法などが挙げられる。
【0095】
本発明の二酸化炭素の分離方法において、二酸化炭素を含むガスを、本発明の二酸化炭素分離用組成物に吸収させる際の温度としては、特に制限するものではないが、通常0℃~50℃の範囲を挙げることができる。
【0096】
本発明の二酸化炭素の分離方法において、二酸化炭素を本発明の二酸化炭素分離用組成物から放散させる温度は、特に制限するものではないが、通常60~150℃の範囲を挙げることができる。但し、エネルギー低減の観点から、100℃以下とすることが好ましい。
【0097】
また、本発明の二酸化炭素分離用組成物については、これを任意の担体に担持又は添着させてなる二酸化炭素吸収放散剤として、二酸化炭素の化学吸収法に用いることができる。
【0098】
前記の担体としては、特に限定するものではないが、例えば、シリカ、アルミナ、マグネシア、多孔性ガラス、活性炭、ポリメチルメタクリレート系の多孔性樹脂、又は繊維などを用いることができる。
【0099】
前記のシリカとしては、結晶性と非結晶性(アモルファス)があり、細孔を有するゼオライト状のシリカ、メソポーラスシリカなど多種知られている。本発明の二酸化炭素吸収放散剤において、使用できるシリカには特に制限はなく、工業的に流通しているものを使用することができるが、表面積が大きいシリカが好ましい。
【0100】
前記の二酸化炭素吸収放散剤における二酸化炭素分離用組成物の担持量は、二酸化炭素の吸収量及び二酸化炭素分離用組成物の担持操作に優れる点で、二酸化炭素分離用組成物が担持された状態の二酸化炭素吸収放散剤の質量を100質量%として、5~70質量%であることが好ましく、更に好ましくは10~60質量%である。
【0101】
前記の二酸化炭素吸収放散剤は、固体吸収法として広く知られた二酸化炭素分離方法に適用できる。
【0102】
前記の固体吸収法は、二酸化炭素分離剤と二酸化炭素を含むガスを接触させ、二酸化炭素を吸収させた後、高温又は減圧することにより吸収された二酸化炭素を放散させる方法を表す。
【0103】
当該固体吸収法では、一般的に二酸化炭素を放散させる温度は100℃以上とされるが、本発明の二酸化炭素分離組成物を使用する場合には、特に温度に関する制約は無く、100℃未満としてもよい。
【0104】
上記の二酸化炭素を含むガスについては、純粋な二酸化炭素ガスであってもよいし、二酸化炭素とその他ガスを含む混合ガスであってもよい。前記のその他のガスとしては、特に限定するものではないが、例えば、大気、窒素、酸素、水素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、一酸化炭素、水蒸気、メタン、又は窒素酸化物等が挙げられる。
【0105】
上記の二酸化炭素を含むガスについては、二酸化炭素濃度が5容積%以上であることが好ましく、より好ましくは10容積%以上である。
【0106】
本発明の二酸化炭素の分離方法においては、上記の工程(吸収工程、放散工程)以外の工程を追加して実施しても一向に差し支えない。例えば、冷却工程、加熱工程、洗浄工程、抽出工程、超音波処理工程、蒸留工程、その他薬液で処理する工程などを適宜実施することができる。
【0107】
本発明の二酸化炭素の分離方法は、特に限定するものではないが、例えば、火力発電所、鉄鋼プラント、及びセメント工場などで発生する燃焼排ガスからの二酸化炭素(COの分離や、水蒸気改質プロセスで得られる水蒸気改質ガスからの二酸化炭素(CO)の分離に適用することができる。
【実施例0108】
以下に実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
【0109】
[実施例1]
N-(2-アミノエチル)エタノールアミン(東京化成工業製) 12.5g、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(東京化成工業製) 27.5g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。前記の二酸化炭素分離用組成物(100g)を200mLのガス吸収瓶に入れ、水浴で40℃に調温した。前記の二酸化炭素分離用組成物(100g)に140mL/分の二酸化炭素ガスと560mL/分の窒素ガスの混合気流(二酸化炭素濃度が20容積%の混合ガス、以下、「本混合気流」という)を吹き込み、ガス流量計と二酸化炭素濃度計を用いて二酸化炭素ガスの吸収速度を測定したところ、本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり161mL/分であった。その後、前記の二酸化炭素分離用組成物を通過した本混合気流の二酸化炭素濃度が20容積%に達するまで吹込みを継続した。
【0110】
次に、上記のガス吸収瓶を100℃に調温し、本混合気流を吹き込み、ガス流量計と二酸化炭素濃度計を用いて二酸化炭素ガスの放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり132mL/分であった。
【0111】
[実施例2]
N-メチル-1,3-ジアミノプロパン(東京化成工業製) 11g、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(東京化成工業製) 29g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり171mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり140mL/分であった。
【0112】
[実施例3]
N,N-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン(東京化成工業製) 26g、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(東京化成工業製) 14g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり188mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり131mL/分であった。
【0113】
[実施例4]
N-(2-アミノエチル)ピペラジン(東京化成工業製) 17g、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(東京化成工業製) 23g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり183mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり106mL/分であった。
【0114】
[実施例5]
ジエチレントリアミン(キシダ化学製) 9.0g、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(東京化成工業製) 31g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり168mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり149mL/分であった。
【0115】
[実施例6]
トリエチレンテトラミン(東京化成工業製) 10g、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(東京化成工業製) 30g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり159mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり137mL/分であった。
【0116】
[実施例7]
1-アセチルピペラジン(東京化成工業製) 14.5g、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(東京化成工業製) 25.5g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり131mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり112mL/分であった。
【0117】
[実施例8]
1,4-ジアミノブタン(東京化成工業製) 11g、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(東京化成工業製) 29g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり150mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり126mL/分であった。
【0118】
[実施例9]
ジエチレントリアミン(キシダ化学製) 15g、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(東京化成工業製) 25g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり207mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり101mL/分であった。
【0119】
[実施例10]
ジエチレントリアミン(キシダ化学製) 5g、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(東京化成工業製) 35g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり125mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり157mL/分であった。
【0120】
[実施例11]
ジエチレントリアミン(キシダ化学製) 2g、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(東京化成工業製) 38g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり81mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり165mL/分であった。
[実施例12]
N-(2-アミノエチル)ピペラジン(東京化成工業製) 12g、2-[[2-(ジメチルアミノ)エチル]メチルアミノ]エタノール(東京化成工業製) 28g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり151mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり97mL/分であった。
[実施例13]
N-(2-アミノエチル)ピペラジン(東京化成工業製) 14g、N,N,N‘,N’-テトラメチルエチレンジアミン(東京化成工業製) 26g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり176mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり111mL/分であった。
[実施例14]
N-(2-アミノエチル)ピペラジン(東京化成工業製) 11g、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル(東京化成工業製) 29g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり189mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり168mL/分であった。
[実施例15]
N-(2-アミノエチル)ピペラジン(東京化成工業製) 11g、N,N,N‘,N’-テトラメチル-1,6-ジアミノヘキサン(東京化成工業製) 29g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり190mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり176mL/分であった。
[実施例16]
N-(2-アミノエチル)ピペラジン(東京化成工業製) 14g、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン(東京化成工業製) 26g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり165mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり108mL/分であった。
【0121】
[比較例1]
N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(東京化成工業製) 30g、及び純水 70gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり26mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり118mL/分であった。
【0122】
[比較例2]
N-(2-アミノエチル)エタノールアミン(東京化成工業製) 40g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり237mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり63mL/分であった。
【0123】
[比較例3]
N-メチル-1,3-ジアミノプロパン(東京化成工業製) 40g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり276mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり36mL/分であった。
【0124】
[比較例4]
N,N-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン(東京化成工業製) 40g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガ吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり222mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり83mL/分であった。
【0125】
[比較例5]
N-(2-アミノエチル)ピペラジン(東京化成工業製) 40g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。しかし、吹き込み中に二酸化炭素吸収液中に析出物が発生し、ガスが流通しなくなったため、評価が不可能であった。
【0126】
[比較例6]
ジエチレントリアミン(キシダ化学製) 40g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガ吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり262mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり73mL/分であった。
【0127】
[比較例7]
トリエチレンテトラミン(東京化成工業製) 40g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり240mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり78mL/分であった。
【0128】
[比較例8]
1-アセチルピペラジン(東京化成工業製) 40g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり106mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり63mL/分であった。
【0129】
[比較例9]
1,4-ジアミノブタン(東京化成工業製) 40g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり264mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり41mL/分であった。
【0130】
[比較例10]
ジエチレントリアミン(キシダ化学製) 22g、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(東京化成工業製) 18g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり239mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり84mL/分であった。
【0131】
[比較例11]
ジエチレントリアミン(キシダ化学製) 1g、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(東京化成工業製) 39g、及び純水 60gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり40mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり130mL/分であった。
【0132】
[比較例12]
ジエチレントリアミン(キシダ化学製) 6g、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(東京化成工業製) 69g、及び純水 25gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり72mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり59mL/分であった。
【0133】
[比較例13]
ジエチレントリアミン(キシダ化学製) 2g、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン(東京化成工業製) 13g、及び純水 85gを混合撹拌し、二酸化炭素分離用組成物(100g)を得た。実施例1と同様の操作を行って、当該二酸化炭素分離用組成物の二酸化炭素ガス吸収速度と二酸化炭素ガス放散速度を測定した。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス吸収速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり105mL/分であった。本混合気流吹込み開始直後30分間の単位時間当たりの二酸化炭素ガス放散速度は、二酸化炭素分離用組成物 1L当たり66mL/分であった。
【0134】
【表1】
【0135】
【表2】
【0136】
【表3】
【0137】
【表4】
【0138】
【表5】
【0139】
上記実施例と比較例の対比から明らかなように、本発明の二酸化炭素分離用組成物は、従来の二酸化炭素分離用組成物に比べ、CO放散速度が高く、CO放散性能に優れていた。