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特開2024-180328複数の基材を処理するための垂直炉および処理の方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180328
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】複数の基材を処理するための垂直炉および処理の方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20241219BHJP
   H01L 21/22 20060101ALI20241219BHJP
   F27B 5/10 20060101ALI20241219BHJP
   F27B 5/14 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H01L21/31 E
H01L21/31 B
H01L21/22 511H
F27B5/10
F27B5/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024094329
(22)【出願日】2024-06-11
(31)【優先権主張番号】63/508,168
(32)【優先日】2023-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スビル・パルイ
(72)【発明者】
【氏名】ケリー・ホーベン
(72)【発明者】
【氏名】テオドルス・ジー・エム・オーステルレークン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルベルト・テルホルスト
(72)【発明者】
【氏名】ベルト・ヨングブルート
【テーマコード(参考)】
4K061
5F045
【Fターム(参考)】
4K061AA01
4K061BA11
4K061CA08
4K061CA11
4K061DA05
4K061FA07
5F045AA06
5F045AA20
5F045AB32
5F045AB33
5F045AD01
5F045AE01
5F045AF02
5F045AF03
5F045AF04
5F045AF08
5F045BB02
5F045BB03
5F045DP19
5F045DQ05
5F045EB02
5F045EB03
5F045EB06
5F045EC02
5F045EC05
5F045EK06
5F045EK21
(57)【要約】
【課題】複数の基材を処理するための垂直炉および処理の方法を提供する。
【解決手段】垂直炉および当該垂直炉内の複数の基材を処理する方法が開示される。プロセスチャンバと、複数の基材の処理のために所望のプロセス温度に達するように熱を提供するように構成された発熱体と、を備える垂直炉の実施形態が、ここに記述される。垂直炉は、発熱体によって提供される熱を分配するための熱分配部材をさらに備えてもよい。本明細書に記載の垂直炉内で複数の基材を処理することを含む方法の実施形態が、ここに記述される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基材を処理するための垂直炉であって、
-長軸方向に延在し、かつ基材キャリア内に配設された複数の基材を受容するように構築および配設された内部反応チューブであって、前記基材キャリアには、上部プレートが提供される、内部反応チューブと、
-前記長軸方向に沿って前記内部反応チューブの周りに構築および配設される外部反応チューブと、
-前記長軸方向に沿って前記外部反応チューブの周りに構築および配設される発熱体と、を備え
前記基材キャリアの前記上部プレートに面し、かつ前記基材キャリアが前記内部反応チューブ内に受容されたときに前記上部プレートと少なくとも部分的に重なって、前記発熱体によって提供される熱を前記基材の中央部分に向かって分配するように構築および配設される熱分配部材をさらに備える、垂直炉。
【請求項2】
前記内部反応チューブが、閉鎖した上端によって区切られ、かつ前記熱分配部材が前記閉鎖した上端へと提供される、請求項1に記載の垂直炉。
【請求項3】
前記熱分配部材が、前記閉鎖した上端の表面部に提供される、請求項2に記載の垂直炉。
【請求項4】
前記閉鎖した上端の前記表面部が、前記外部反応チューブの内表面に面する前記閉鎖した上端の上面である、請求項3に記載の垂直炉。
【請求項5】
前記熱分配部材が、前記閉鎖した上端の前記上面上に受容可能になるように構築および配設される、請求項4に記載の垂直炉。
【請求項6】
前記上端の前記表面部が、前記外部反応チューブの内表面とは反対向きに面する前記閉鎖した上端の下面である、請求項3に記載の垂直炉。
【請求項7】
複数の基材を処理するための垂直炉であって、
-複数の基材を保持するように構築および配設された基材キャリアと、
-長軸方向に延在し、かつ前記基材キャリアを受容するように構築および配設された内部反応チューブであって、前記基材キャリアには、上部プレートが提供される、内部反応チューブと、
-前記長軸方向に沿って前記内部反応チューブの周りに構築および配設される外部反応チューブと、
-前記長軸方向に沿って前記外部反応チューブの周りに構築および配設される発熱体と、を備え
前記基材キャリアが、前記上部プレートへと提供される熱分配部材を備える、垂直炉。
【請求項8】
前記熱分配部材が、前記上部プレートへと取り外し可能に取り付けられる、請求項7に記載の垂直炉。
【請求項9】
前記基材キャリアが、少なくとも2本のロッドを備え、各ロッドが複数のスロットを備え、かつ前記基材キャリアが、前記最上部のスロットへと提供されるさらなる熱分配部材を備える、請求項7または8に記載の垂直炉。
【請求項10】
前記内部反応チューブが、開放した上端または閉鎖した上端によって区切られる、請求項7または8に記載の垂直炉。
【請求項11】
前記内部反応チューブが、前記閉鎖した上端によって区切られ、かつ前記熱分配部材が、前記閉鎖した上端の表面部へと提供される前記閉鎖した上端内にさらに備えられる、請求項10に記載の垂直炉。
【請求項12】
前記閉鎖した上端の前記表面部が、前記外部反応チューブの内表面に面する前記閉鎖した上端の上面であるか、または前記上端の前記表面部が、前記外部反応チューブの前記内表面から反対向きの前記閉鎖した上端の下面である、請求項11に記載の垂直炉。
【請求項13】
前記熱分配部材が熱伝導性材料からなる、請求項1または8に記載の垂直炉。
【請求項14】
前記熱伝導性材料が、ケイ素および炭化ケイ素のうちの少なくとも1つを実質的に含む、請求項13に記載の垂直炉。
【請求項15】
前記外部反応チューブがドーム形状の上端によって区切られ、前記ドーム形状の上端がコーティングを備える、請求項1または8に記載の垂直炉。
【請求項16】
前記コーティングが反射コーティングであり、それによって前記処理中に前記ドーム形状の上端からの熱損失を低減する、請求項15に記載の垂直炉。
【請求項17】
前記コーティングが、前記上部プレートに面する前記ドーム形状の上端の内表面上に備えられる、または前記ドーム形状の上端の外表面上に備えられ、前記外表面が前記内表面とは反対側である、請求項15に記載の垂直炉。
【請求項18】
複数の基材を処理する方法であって、
-請求項1または請求項7に記載の垂直炉の内部反応チューブ内に複数の基材を提供することであって、前記複数の基材が基材キャリア内に配設される、提供することと、
-反応ガス混合物を前記内部反応チューブへと提供することであって、それによって、前記複数の基材の各基材上に基材膜を形成し、かつ前記内部反応チューブの1つ以上の表面上に内部反応チューブ膜を形成する、提供することと、を含む、方法。
【請求項19】
-前記内部反応チューブ膜が所定の厚さに達するまで、前記反応ガス混合物の前記提供を1回以上繰り返すことと、
-前記内部反応チューブ膜が前記所定の厚さに達した時、インサイチュで前記内部反応チューブの前記1つ以上の表面を周囲へと曝露し、それによって内部反応チューブ膜を除去することと、をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記基材膜および前記内部反応チューブ膜が、酸化物または窒化物を含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の基材を処理するための垂直炉、および処理のための方法に関する。より具体的には、熱分配部材が提供された垂直炉に関する。
【背景技術】
【0002】
バッチ処理によって複数の基材を処理することは、半導体デバイスの寸法が収縮し続けるため、半導体製造においてますます要求の厳しいものになる場合がある。これは、プロセススループットを改善するために役立つだけでなく、プロセスサイクル時間を低減するためにも有利である場合がある。
【0003】
垂直炉は、その点で、例えば、堆積、アニーリング、酸化、および拡散などのプロセスを実行することができるバッチ処理ツールである。
【0004】
垂直炉内でのバッチ処理に関連付けられるいくつかの課題は、プロセスチャンバの内側のバランスの取れた熱分配を可能にすることに関連する場合がある。これは、処理中のプロセスチャンバの内側の温度分布にさらに影響を与える場合がある。これは、反応速度論での役割を果たす場合があるだけでなく、処理のためにプロセスチャンバの内側に位置付けられた、基材キャリア内で垂直に配設される、基材の表面全体にわたる厚さの不均一性にも影響を与える場合がある。厚さの不均一性から生じる問題は、半導体製造中の後続のプロセスにさらに影響を有する場合があり、また最終的にデバイス性能に影響を与える場合がある。
【0005】
したがって、垂直炉内での処理を改善する必要性がある場合がある。
【発明の概要】
【0006】
この概要は、選択された概念を、簡略化した形態で紹介するために提供される。これらの概念は、下記の開示の例示の実施形態の「発明を実施するための形態」において、さらに詳細に記述される。この「発明の概要」は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図せず、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図しない。
【0007】
垂直炉内での処理を改善することが、本開示の目的であってもよい。より具体的には、垂直炉のプロセスチャンバ内の改善された熱分配を提供することが目的であってもよい。これらの目的を少なくとも部分的に達成するために、本開示は、独立請求項に定義されるように、複数の基材を処理する、垂直炉および方法を提供してもよい。さらなる実施形態は、従属請求項に提供される。
【0008】
第1の態様では、本開示は垂直炉に関する。垂直炉は、複数の基材を処理するために好適である場合がある。垂直炉は、長軸方向に延在する内部反応チューブを備えてもよい。内部反応チューブは、基材キャリア内に配設されていてもよい複数の基材を受容するように構築および配設されてもよい。基材キャリアには、上部プレートが提供されてもよい。垂直炉は、外部反応チューブをさらに備えてもよい。外部反応チューブは、長軸方向に沿って内部反応チューブの周りに構築および配設されてもよい。垂直炉は、長軸方向に沿って外部反応チューブの周りに構築および配設されてもよい発熱体をさらに備えてもよい。垂直炉は、熱分配部材をさらに備えてもよい。熱分配部材は、基材キャリアの上部プレートに面するように構築および配設されてもよい。熱分配部材は、基材キャリアが内部反応チューブ内に受容された時に、発熱体によって提供される熱を基材の中央部分に向かって分配するように、上部プレートと少なくとも部分的に重なってもよい。
【0009】
本開示の第1の態様の実施形態による垂直炉は有利なことに、熱分配要素の存在のおかげで、反応チューブ内の熱分配を改善することを可能にする場合がある。
【0010】
複数の基材が処理のために受容される内部反応チューブの内側の熱分配は、特に基材キャリアの上部部分に位置付けられた基材、例えば、基材キャリアの上部プレートに近いものなどについて改善される場合があることがさらに有利である場合がある。
【0011】
本開示の第1の態様の実施形態によると、特に基材キャリアの上部部分の上に位置付けられるものについて、基材のウエハ内不均一性が低減する場合があることがさらに有利である場合がある。
【0012】
また、垂直炉内での処理の後に続く場合がある後続のプロセスに対するプロセス収率が、ウエハ内不均一性の改善のおかげで改善される場合があることも利点である場合がある。
【0013】
本開示の第1の態様の実施形態により、プロセス適格性評価が改善する場合があることが、さらに利点である場合がある。
【0014】
第2の態様では、本開示は垂直炉に関する。垂直炉は、複数の基材を処理するために好適である場合がある。垂直炉は、基材キャリアを備えてもよい。基材キャリアは、複数の基材を保持するために構築および配設されてもよい。垂直炉は、長軸方向に延在する内部反応チューブをさらに備えてもよい。内部反応チューブは、基材キャリアを受容するように構築および配設されてもよい。基材キャリアには、上部プレートが提供されてもよい。垂直炉は、外部反応チューブをさらに備えてもよい。外部反応チューブは、長軸方向に沿って内部反応チューブの周りに構築および配設されてもよい。基材キャリアは、熱分配部材を備えてもよい。熱分配部材は、上部プレートへと提供されてもよい。
【0015】
本開示の第2の態様の実施形態による垂直炉は、基材キャリア内に備えられた熱分配要素の存在のおかげで、熱分配の改善に起因して、プロセス性能の改善を提供する場合がある。
【0016】
複数の基材が処理のために受容される内部反応チューブの内側の熱分配は、特に基材キャリアの上部部分に位置付けられた基材、例えば、基材キャリアの上部プレートに近いものなどについて改善される場合があることがさらに有利である場合がある。
【0017】
本開示の第1の態様の実施形態によると、特に基材キャリアの上部部分の上に位置付けられるものについて、基材のウエハ内不均一性が低減する場合があることがさらに有利である場合がある。
【0018】
また、垂直炉内での処理の後に続く場合がある後続のプロセスに対するプロセス収率が、ウエハ内不均一性の改善のおかげで改善される場合があることも利点である場合がある。
【0019】
本開示の第1の態様の実施形態により、プロセス適格性評価が改善する場合があることが、さらに利点である場合がある。
【0020】
第3の態様では、本開示は、複数の基材を処理する方法に関する。方法は、本開示の第1の態様または第2の態様の実施形態による、複数の基材を垂直炉の内部反応チューブ内に提供することを含んでもよい。複数の基材は、基材キャリア内に配設されてもよい。方法は、反応ガス混合物を内部反応チューブへと提供し、それによって、複数の基材の各基材上に基材膜を形成し、かつ内部反応チューブの1つ以上の表面上に内部反応チューブ膜を形成することをさらに含んでもよい。
【0021】
本開示の第3の態様の実施形態による方法は、複数の基材を処理することを可能にする場合があり、それによって、プロセスチャンバ、すなわち内部反応チューブの内側の改善された熱分配が達成される場合がある。
【0022】
ウエハ内不均一性が低減した複数の基材を処理することが可能になる場合があることは、さらに本開示の第3の態様の実施形態の利点である場合がある。
【0023】
これはまた、処理中のプロセスチャンバ内の熱分配の改善のおかげで、プロセス適格性評価が結果として改善される場合があるという利点である場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
当然のことながら、図内の要素は単純および明瞭のために図示されており、また必ずしも実寸に比例して描かれていない。例えば、図内の要素のうちの一部の寸法は、本開示の図示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素に対して相対的に誇張されている場合がある。
【0025】
図面では、別段の記載のない限り、同様の要素に対して同様の参照番号が使用されることになる。特許請求の範囲における参照記号は、範囲を限定していると理解されるべきではない。
【0026】
図1図1は、本開示の第1の態様の実施形態による垂直炉の概略表現である。
図2a図2aは、本開示の第1の態様の実施形態による垂直炉の概略表現である。
図2b図2bは、本開示の第1の態様の実施形態による垂直炉の概略表現である。
図2c図2cは、本開示の第1の態様の実施形態による垂直炉の概略表現である。
図3a図3aは、本開示の第2の態様の実施形態による垂直炉の概略表現である。
図3b図3bは、本開示の第2の態様の実施形態による垂直炉の概略表現である。
図3c図3cは、本開示の第2の態様の実施形態による垂直炉の概略表現である。
図3d図3dは、本開示の第2の態様の実施形態による垂直炉の概略表現である。
図3e図3eは、本開示の第2の態様の実施形態による垂直炉の概略表現である。
図3f図3fは、本開示の第2の態様の実施形態による垂直炉の概略表現である。
図3g図3gは、本開示の第2の態様の実施形態による垂直炉の概略表現である。
図3h図3hは、本開示の第2の態様の実施形態による垂直炉の概略表現である。
図4a図4aは、本開示の第2の態様の実施形態による垂直炉の概略表現である。
図4b図4bは、本開示の第2の態様の実施形態による垂直炉の概略表現である。
図5図5は、本開示の第3の態様の実施形態による、例示的な方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ある特定の実施形態および実施例を下記に開示するが、本発明の具体的に開示された実施形態および/または使用、ならびにその明白な修正および均等物を超えて本発明が延長することは、当業者によって理解されるであろう。それ故に、開示された本発明の範囲は、後述する特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0028】
本明細書で使用される「基材」という用語は、修正されてもよい、またはデバイス、回路、もしくは膜がその上に形成されてもよい単一または複数の任意の下地材料を含む、単一または複数の任意の下地材料を指す場合がある。「基材」は、連続的または非連続的、剛直または可撓性、固体または多孔質、およびそれらの組み合わせであってもよい。基材は、粉末、プレート、またはワークピースなどの任意の形態であってもよい。プレートの形態の基材は、様々な形状およびサイズのウエハを含んでもよい。基材は、例えば、ケイ素、シリコンゲルマニウム、酸化ケイ素、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、および炭化ケイ素を含む半導体材料から作製されてもよい。
【0029】
例として、粉末の形態の基材は、医薬品製造のための用途を有する場合がある。多孔質基材は、ポリマーを含んでもよい。ワークピースの例としては、医療機器(例えば、ステントおよびシリンジ)、宝石類、ツーリングデバイス、電池製造のための構成要素(例えば、アノード、カソード、またはセパレータ)、または光起電力電池の構成要素などが挙げられてもよい。
【0030】
連続基材は、堆積プロセスが生じるプロセスチャンバの境界を越えて延在してもよい。一部のプロセスでは、連続基材は、プロセスチャンバを通して移動してもよく、これによりプロセスは基材の端部に達するまで継続される。連続基材は、任意の適切な形態で連続基材の製造および出力を可能にするために、連続基材供給システムから供給されてもよい。
【0031】
連続基材の非限定的な例としては、シート、不織布膜、ロール、箔、ウェブ、可撓性材料、連続フィラメントまたは繊維(例えば、セラミック繊維またはポリマー繊維)の束が挙げられてもよい。連続基材はまた、非連続基材がその上へと載置される担体またはシートも含んでもよい。
【0032】
本明細書に提示された例示は、任意の特定の材料、構造、またはデバイスの実際の姿であることを意味せず、本開示の実施形態を記述するために使用される、単に理想化された表現にすぎない。
【0033】
示され、かつ記述された特定の実装は、本発明およびその最良の形態の例示であり、態様および実施の範囲をいかなるやり方でも、別の方法で限定することを意図しない。実際、簡潔のために、従来の製造、関連、調製、およびシステムの他の機能的態様を詳細に記述していない場合がある。さらに、様々な図に示される接続線は、様々な要素間の例示的な機能的関係および/または物理的連結を表すことを意図する。多くの代替的もしくは追加的な機能的関係、または物理的接続が実際のシステムにおいて存在してもよく、また/または一部の実施形態では存在しなくてもよい。
【0034】
本明細書に記述される構成および/または取り組みは本質的に例示的であり、またこれらの特定の実施形態または実施例は、数多くの変形が可能であるため、限定的な意味と考えられるべきではないことが理解されるべきである。本明細書に記述される具体的なルーチンまたは方法は、任意の数の処理方策のうちの1つ以上を代表する場合がある。それ故に、例示された様々な動作は、例示される順序で実施されてもよく、他の順序で実施されてもよく、または一部の事例では省略されてもよい。
【0035】
本開示の主題は、本明細書に開示の様々なプロセス、システム、および構成、ならびに他の特徴、機能、動作および/または特性のすべての新規かつ自明でない組み合わせおよび部分組み合わせだけでなく、そのありとあらゆる均等物も含む。
【0036】
本明細書で使用される場合、「備える(comprising)」という用語は、その後に列挙される手段に制限されるものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。この用語は、他の要素または工程を除外するものではない。それ故に、この用語は、記載された特徴、工程、または構成要素が、言及されるように存在を特定するものとして解釈されるべきである。しかしながら、1つ以上の他の工程、構成要素、もしくは特徴、またはそれらの群が存在すること、または追加されることを妨げない。
【0037】
本明細書全体を通して、様々な場所における「実施形態」への参照は、必ずしもすべて同じ実施形態を指すとは限らないが、そのように指す場合もある。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、本開示から当業者には明らかであることになるように、1つ以上の実施形態では、任意の好適な様態で組み合わせられてもよい。
【0038】
本明細書全体を通して、「一部の実施形態(some embodiments)」への言及は、これらの実施形態に関連して記述される特定の構造、特徴工程が、本発明の実施形態の一部の中に含まれることを意味する。それ故に、本明細書全体を通して様々な場所で出現する「一部の実施形態では」などの句は、必ずしもすべてが同じ実施形態の収集を指すとは限らないが、そのように指す場合もある。
【0039】
本明細書全体を通して、「1つの実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」への参照は、実施形態に関連して記述された特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。それ故に、本明細書全体を通して様々な箇所での句「1つの実施形態では」または「一実施形態では」の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すとは限らないが、同じ実施形態を指す場合もある。
【0040】
特許請求の範囲において使用される「実質的に含む」という用語は、具体的に述べられたものより多くのさらなる構成要素、すなわち、言及される材料、化合物、または組成物の本質的な特性に実質的に影響を与えないものが、存在することができるが、しかし必ずしも存在しなければならないわけではないことを指すことに留意されたい。
【0041】
本明細書および特許請求の範囲における第1、第2、第3、およびこれに類する用語は、類似の要素を区別するために使用される。これらは、時間的に、空間的に、ランク付けして、または任意の他の様態で、順序を記述するために必ずしも使用されるわけではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で互換性があり、また本明細書に記述される開示の実施形態は、本明細書に記述または図示される以外の順序で動作の能力を有することが、理解されるべきである。
【0042】
以下の用語は、本開示の理解を助けるためにのみ提供される。
【0043】
本明細書で使用される場合、および別段の定めがない限り、「基材の中央部分」という用語は、その中心に近接近する基材の一部分を指す場合がある。
【0044】
本明細書で使用される場合、および別段の定めがない限り、「ウエハ内不均一性(WIWNU)」という用語は、基材の表面を横切る層厚さの変動を指す場合がある。
【0045】
本明細書で使用される場合、および別段の定めがない限り、「プロセス適格性評価」という用語は、プロセスが所与の処理システムにおいてその専用のプロセス性能に達するのに必要とされる改善措置を実施することを指す場合がある。
【0046】
ここで、本開示のいくつかの実施形態の発明を実施するための形態によって本開示を記述する。本開示の他の実施形態を、本開示の技術的教示から逸脱することなく、当業者の知識に従って構成することができることは明らかである。本開示は、本明細書に含まれる特許請求の範囲の条件によってのみ制限される。
【0047】
本明細書では、本開示の第1の態様の実施形態による垂直炉が記述される。
【0048】
図1および図2は、この垂直炉の表現を示す。
【0049】
垂直炉(100)は、複数の基材を処理するために好適である場合がある。垂直炉(100)は、内部反応チューブ(120)を備えてもよい。内部反応チューブ(120)は、長軸方向に延在してもよい。長軸方向は、図1に概略的に示すように、垂直炉が位置付けられる地面に対して、垂直方向であってもよい。
【0050】
内部反応チューブ(120)は、複数の基材(134)を受容するように構築および配設されてもよい。複数の基材は、その下端部における開口部から内部反応チューブ(120)へと提供されてもよい。複数の基材は、基材キャリア(130)内に配設されてもよい。基材キャリア(130)には、上部プレート(131)が提供されてもよい。
【0051】
垂直炉(100)は、外部反応チューブ(110)をさらに備えてもよい。外部反応チューブは、長軸方向に沿って内部反応チューブ(120)の周りに構築および配設されてもよい。言い換えれば、外部反応チューブはまた、垂直方向にも沿って延在してもよい。実施形態によっては、内部反応チューブ(120)および外部反応チューブ(110)は、互いに対して実質的に同心に位置付けられてもよい。
【0052】
垂直炉(100)はまた、発熱体(140)も備えてもよい。発熱体は、長軸方向に沿って外部反応チューブ(110)の周りに構築および配設されてもよい。発熱体(140)は、複数の基材の処理のために所望のプロセス温度に達するように熱を提供してもよい。
【0053】
一部の実施形態では、発熱体(140)は円筒状の発熱体であってもよい。言い換えれば、発熱体は、長軸方向に沿ってその側壁の周りで外部反応チューブ(110)を囲んでもよい。それ故に、これは、外部反応チューブ(110)の上部部分が発熱体によって囲まれないままにする場合がある。
【0054】
垂直炉(100)は、熱分配部材(150)をさらに備えてもよい。熱分配部材は、基材キャリア(130)の上部プレート(131)に面するように構築および配設されてもよい。熱分配部材(150)は、基材キャリアが内部反応チューブ(120)内に受容された時に、発熱体(140)によって提供される熱を基材(134)の中央部分に向かって分配するように、上部プレート(131)と少なくとも部分的に重なってもよい。
【0055】
それ故に、発熱体(140)は、長軸方向に沿って、外部反応チューブ(110)の高さと実質的に同じ高さへと延在してもよい。それ故に、基材キャリア(130)が、複数の基材(134)をプロセスするために内部反応チューブ(120)内に受容されるとき、発熱体(140)は、基材キャリア(130)内に配設されてもよい基材(134)の実質的にすべてに熱を提供してもよい。
【0056】
垂直炉(100)は有利なことに、熱分配要素の存在のおかげで、内部反応チューブ(120)内の熱分配を改善することを可能にする場合がある。改善された熱分配は、例えば、酸化、拡散、堆積などの基材の表面上に生じる温度駆動現象を改善する場合がある。改善された熱分配は、例えば、熱アニールプロセスなどを、さらに改善する場合がある。
【0057】
さらに、改善された熱分配は有利なことに、ウエハ内不均一性の低減につながる場合がある。この点で、基材キャリア(130)の上部スロット上に位置する基材に対して、特に利点が得られる場合がある。
【0058】
基材キャリアの上部スロットは、基材キャリア(130)が内部反応チューブ(120)の内側に位置付けられた時に、外部反応チューブ(110)の内表面(111)により近いスロットである場合がある。得られた利点は、内部反応チューブ(120)の上部部分においてその中心よりも典型的に高い場合がある熱損失が低減されるという事実に起因する場合がある。
【0059】
理論に束縛されることを望むものではないが、これは垂直炉(100)内に上部ヒーターが不在であることに起因して生じる場合があると述べられてもよい。基材キャリアの中央スロット内に位置する基材は、基材キャリアの中央部分のさらに上方および下方への基材の存在のおかげで、均一な熱分配に曝露される場合がある一方で、それ故に上部スロット内に位置する基材は、上部ヒーターの不在に起因して、熱分配の低減から損害を被る場合がある。したがって、基材キャリアの中央スロットと比較して、上部スロットに位置する基材間の熱分配に関する不一致は、上部スロットに位置する基材のウエハ内不均一性の増加をもたらす場合がある。
【0060】
ウエハ内不均一性を改善することは、後続のプロセスのプロセス収率にさらに影響を有する場合がある。基材の表面上に層厚さの変動を有することは、例えば、さらなる堆積プロセス、リソグラフィーおよびエッチングを含むパターニングなどの後続のプロセスに課題をもたらす場合がある。これは、こうした後続のプロセスの収率の減少に起因して、基材の一部を掻き取ることにつながる場合がある。したがって、ウエハ内不均一性を改善することは、こうした後続のプロセスの収率を危うくするリスクを低減するために有利である場合がある。
【0061】
それ故に、基材キャリア内の標的基材の負荷サイズは、その中に保持されるすべての基材に対して実質的に同じウエハ内不均一性値でプロセスされてもよいように、プロセス適格性評価が改善される場合があることはさらなる利点である場合がある。
【0062】
一部の実施形態では、内部反応チューブ(120)は、図2aに概略的に示される場合があるように、閉鎖した上端(121)によって区切られてもよい。
【0063】
それ故に、基材キャリア(130)が内部反応チューブ(120)の内側に受容される時、基材キャリア(130)の上部プレート(131)は、閉鎖した上端(121)の下面(121b)に面する。閉鎖した上端(121)の上面(121a)は、閉鎖した上端(121)の下面(121b)の反対側に位置付けられる。
【0064】
熱分配要素(150)は、これらの実施形態では、閉鎖した上端(121)へと提供されてもよい。これは、発熱体(140)から基材(134)の中央部分への熱分配を強化することを可能にする場合がある。これは、基材キャリア(130)の上部スロット上に位置する基材に対して、特に有利である場合がある。熱分配部材(150)の存在は、有利なことに、外部反応チューブ(110)の側壁を通して発熱体(140)によって提供される、内部反応チューブ(120)へとさらに伝達される熱が、これらの基材の中央部分に向かって再分配されるのに役立つ場合がある。
【0065】
実施形態によっては、熱分配部材(150)は、閉鎖した上端(121)の表面部に提供されてもよい。閉鎖した上端(121)は、上面(121a)を有してもよい。上面(121a)は、外部反応チューブ(110)の内表面(111)に面してもよい。閉鎖した上端(121)は、外部反応チューブ(110)の内表面(111)から離れるように面し、かつ閉鎖した上端(121)の上面(121a)とは反対側の下面(121b)をさらに有してもよい。
【0066】
実施形態によっては、熱分配部材(150)は、閉鎖した上端(121)の表面への簡単な提供を可能にする場合があるプレート、ディスク、またはこれに似ている形態であってもよい。
【0067】
一部の実施形態では、発熱体が提供される閉鎖した上端(121)の表面部は、それ故に、図2bに概略的に表される場合があるように、閉鎖した上端(121)の上面(121a)であってもよい。
【0068】
実施形態によっては、熱分配部材(150)は、閉鎖した上端(121)の上面(121a)上に受容可能なように構築および配設されてもよい。
【0069】
これは、熱分配部材(150)が重力の存在のおかげで位置付けられる場合があるため、閉鎖した上端(121)への熱分配部材(150)の簡単な提供の利点を提供してもよい。
【0070】
一部の実施形態では、熱分配部材(150)は、例えば、より堅牢で信頼性の高い提供を可能にするボルト、ねじ、またはコードなどの接続手段によって、閉鎖した上端(121)の上面(121a)へと提供されてもよい。
【0071】
一部の実施形態では、熱分配部材(150)は、図2cに概略的に示されてもよいように、閉鎖した上端(121)の下面(121b)に提供されてもよい。言い換えれば、閉鎖した上端(120)の上面(121a)は、これらの実施形態では曝露されたままであってもよい。
【0072】
実施形態によっては、熱分配部材(150)は、例えば、ボルト、ねじ、またはコードなどの接続手段によって、閉鎖した上端(121)の下面(121b)へと提供されてもよい。
【0073】
実施形態によっては、熱分配部材(150)は、熱分配部材がその上へと提供される閉鎖した上端(121)の表面(121a、121b)と、その表面積に関して少なくとも部分的に重なってもよい。
【0074】
一部の実施形態では、熱分配部材(150)は、基材キャリアが内部反応チューブ内に受容される時、基材キャリア(130)の上部プレート(131)の表面積と少なくとも重なってもよい。
【0075】
一部の実施形態では、熱分配部材(150)は、熱分配部材がその上へと提供される閉鎖した上端(121)の表面と実質的に重なってもよい。言い換えれば、熱分配要素の表面積は、熱分配要素がその上へと提供される閉鎖した上端(121)の表面積のものと実質的に同じであってもよい。
【0076】
実施形態によっては、熱分配部材の厚さは、2mm~35mmの範囲内であってもよい。一部の実施形態では、熱分配部材の厚さは、5mm~25mmの範囲内であってもよい。一部の実施形態では、厚さは、少なくとも5mm~最大で10mm、または少なくとも10mm~最大でも15mm、または少なくとも15mm~最大で20mm、または少なくとも20mm~最大で25mm、または少なくとも25mm~最大で30mm、または少なくとも30mm~最大で35mmの範囲内であってもよい。
【0077】
実施形態によっては、熱分配部材(150)の表面は粗さを有してもよい。内部反応チューブ(120)の閉鎖した上端(121)の上面(121a)と接触する場合がある熱分配部材の表面上に粗さが存在する時、有利なことに、閉鎖した上端(121)の上面(121a)とのグリップを強化することを可能にし、それ故に摺動を回避し、そしてそれによって熱分配部材(150)に対する改善された安定性を提供する場合がある。
【0078】
粗さが、内部反応チューブ(120)の閉鎖した上端(121)の下面(121b)と接触する場合がある表面とは反対側の熱分配部材の表面上に存在する場合、膜堆積もこの粗い表面上に生じる場合がある。粗い表面は、この粗い表面に付着するより多くの堆積材料のために適合する場合があり、それによってより厚い膜堆積を可能にする。粗い表面上のより厚い膜堆積は、有利なことに、その上に堆積された膜を応力解放に対する耐性を増加させるようにする場合がある。これは、内部反応チューブ(120)内側の粒子形成を低減するのに役立つ場合がある。粒子形成の低減は有利なことに、垂直炉(100)内で実行されるプロセスの収率の改善を可能にする場合がある。
【0079】
実施形態によっては、垂直炉は、前駆体ガスまたはプロセスガスを内部反応チューブ(120)へと提供するように構築および配設されるガスインジェクタをさらに備えてもよい。ガスインジェクタは、その長軸方向寸法に沿って複数のガス出口を備えるマルチホールガスインジェクタであってもよい。
【0080】
実施形態によっては、閉鎖した上端(121)を有する内部反応チューブ(120)は、内部反応チューブ(120)内側のプロセスガスのクロスフロー、すなわち言い換えれば水平流れを可能にするように構築および配設されてもよい。これは、マルチホールガスインジェクタ内に備えられる複数のガス出口の各々に水平に対応する場合がある、排気ガス開口部またはスリットのおかげで提供される場合がある。次いで、これは、基材キャリア内に配設された基材の各々の表面と平行な前駆体ガスまたはプロセスガスの流れを有することを可能にするために有利である場合がある。
【0081】
本明細書では、本開示の第2の態様による垂直炉がさらに記述される。図3は、本開示の第2の態様の実施形態による垂直炉の概略表現を示す。
【0082】
垂直炉は、複数の基材を処理するために好適である場合がある。垂直炉(100)は、複数の基材を処理するために好適である場合がある。垂直炉(100)は、内部反応チューブ(120)を備えてもよい。内部反応チューブ(120)は、長軸方向に延在してもよい。長軸方向は、図3aに概略的に示すように、垂直炉(100)が位置付けられる地面に対して、垂直方向であってもよい。
【0083】
垂直炉(100)は、基材キャリア(130)を備えてもよい。基材キャリアは、複数の基材(134)を保持するために構築および配設されてもよい。
【0084】
内部反応チューブ(120)は、基材キャリア(130)を受容するように構築および配設されてもよい。複数の基材は、その下端部における開口部から内部反応チューブ(120)へと提供されてもよい。複数の基材は、基材キャリア(130)内に配設されてもよい。基材キャリア(130)には、上部プレート(131)が提供されてもよい。
【0085】
垂直炉(100)は、外部反応チューブ(110)をさらに備えてもよい。外部反応チューブは、長軸方向に沿って内部反応チューブ(120)の周りに構築および配設されてもよい。言い換えれば、外部反応チューブ(110)はまた、垂直方向にも沿って延在してもよい。垂直炉(100)は、発熱体(140)をさらに備えてもよい。発熱体(140)は、長軸方向に沿って外部反応チューブ(110)の周りに構築および配設されてもよい。基材キャリア(130)は、熱分配部材(150)を備えてもよい。熱分配部材(150)は、上部プレート(131)へと提供されてもよい。
【0086】
一部の実施形態では、発熱体(140)は円筒状の発熱体であってもよい。言い換えれば、発熱体は、長軸方向に沿ってその側壁の周りで外部反応チューブ(110)を囲んでもよい。それ故に、これは、外部反応チューブ(110)の上部部分が発熱体によって囲まれないままにする場合がある。
【0087】
実施形態によっては、内部反応チューブ(120)および外部反応チューブ(110)は、互いに対して実質的に同心に位置付けられてもよい。
【0088】
実施形態によっては、熱分配部材(150)は、上部プレート(131)へと提供される時に、その表面積に関して上部プレート(131)と少なくとも部分的に重なってもよい。
【0089】
一部の実施形態では、熱分配部材(150)は、上部プレート(131)の表面積と実質的に同じ表面積を有してもよい。
【0090】
垂直炉(100)はまた、上部プレート(131)へと提供される熱分配要素(150)の存在のおかげで、熱分配を改善する上でも有利である場合がある。内部反応チューブ(120)の上部部分を通して生じる場合がある熱損失は、低減される場合がある。この熱損失は、垂直炉(100)内の上部ヒーターの不在に起因して生じる場合がある。それ故に、熱分配部材(150)の存在は、基材(134)の中央部分に向かって熱を供給するのに役立つ場合がある。これは、例えば、上部プレート(131)の近くに位置付けられるスロットなどの、基材キャリアの上部スロット(132)内に位置付けられる基材(134)のために特に有利である場合がある。それ故に基材キャリア(130)の上部スロットは、基材キャリア(130)が内部反応チューブ(120)の内側に位置付けられた時に、外部反応チューブ(110)の内表面(111)により近いスロットである場合がある。
【0091】
基材キャリアの中央スロット(132)内に位置する基材は、基材キャリアの中央部分のさらに上方および下方への基材の存在のおかげで、均一な熱分配に曝露される場合がある一方で、それ故に上部スロット内に位置する基材は、上部ヒーターの不在に起因して、熱分配の低減から損害を被る場合がある。したがって、基材キャリアの中央スロットと比較して、上部スロットに位置する基材間の熱分配に関する不一致は、上部スロットに位置する基材のウエハ内不均一性の増加をもたらす場合がある。
【0092】
基材の表面全体にわたる改善された熱分配は有利なことに、ウエハ内不均一性の低減につながる場合がある。次いでこれは、基材キャリアの上部スロット内に位置付けられる基材(134)に対して、特に有利である場合がある。
【0093】
それ故に、基材キャリア内の標的基材負荷サイズは、その中に保持されるすべての基材に対して実質的に同じウエハ内不均一性値でプロセスされてもよいように、プロセス適格性評価が改善される場合があることは、本開示の第1の態様の実施形態によれば有利である場合がある。
【0094】
実施形態によっては、熱分配部材(150)は、上部プレート(131)へと取り外し可能に取り付けられてもよい。これは、保守および/または交換の場合に、熱分配要素(150)の取り扱いの簡単さを提供するために有利である場合がある。
【0095】
実施形態によっては、基材キャリア(130)は、少なくとも2本のロッド(133)を備えてもよい。少なくとも2本のロッドは、基材キャリア(130)の底部プレートから上部プレート(131)へと延在し、そして底部プレートを上部プレートへと接続してもよい。一部の実施形態では、基材キャリアは3本のロッドを備えてもよく、そのうち2本はサイドロッドと称される場合がある。少なくとも2本のロッド(133)の各々は、複数のスロット(132)を備えてもよい。基材キャリア(130)は、さらなる熱分配部材(150)を備えてもよい。さらなる熱分配部材は、図3bに概略的に表される場合があるように、基材キャリア(130)の最上部のスロット(132)へと提供されてもよい。
【0096】
これは、基材キャリアにわたる熱分配を強化する利点を提供する場合がある。これは、基材キャリアの上部部分に位置する基材に対して強化された熱分配を提供するのに特に有利である場合がある。
【0097】
一部の実施形態では、さらなる熱分配部材は、基材キャリア(130)の最下部のスロット(図には示さず)に提供されてもよい。これは、基材キャリア(130)の下部部分に位置する基材に熱分配を提供してもよい。実施形態によっては、基材キャリアの下部部分内に定置されるこのさらなる熱分配部材は、基材キャリアの上部部分内に定置される熱分配部材と実質的に同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0098】
基材キャリアの上部部分または下部部分における熱分配部材の存在は、予防保守を実施する時に基材キャリア(130)から熱分配部材をより簡単に取り外されてもよいように有利である場合がある。
【0099】
実施形態によっては、内部反応チューブ(120)は、図3aで概略的に表される場合があるような開放上端によって、または図3cで概略的に表される場合があるような閉鎖上端(121)によって区切られてもよい。それ故に、基材キャリア(130)の上部プレート(131)へと提供される熱分配部材(150)の存在は、基材、特に上部スロット(132)に保持される基材の中心に向かって、熱のより効率的な分配を提供する場合がある。これは、内部反応チューブが閉鎖した上端によって制限される時、特に有利である場合がある(図3c)。これは、閉鎖した上端のおかげで、基材キャリア(130)の上方に閉鎖した空間容積を作り出すことに起因する場合があり、これにより発熱体(140)によって伝達される熱は捕捉される場合があり、またより効率的なやり方で再方向付けされる場合がある。
【0100】
実施形態によっては、閉鎖した上端(121)を有する内部反応チューブ(120)は、内部反応チューブ(120)内側のプロセスガスのクロスフロー、すなわち言い換えれば水平流れを可能にするように構築および配設されてもよい。これは、マルチホールガスインジェクタ内に備えられる複数のガス出口の各々に水平に対応する場合がある、排気ガス開口部またはスリットのおかげで提供される場合がある。次いで、これは、基材キャリア内に配設された基材の各々の表面と平行な前駆体ガスまたはプロセスガスの流れを有することを可能にするために有利である場合がある。
【0101】
一部の実施形態では、図3dで概略的に表されてもよいように、その上部プレート(131)およびその最上部スロット(132)の両方の上に提供された熱分配部材(150)を有する基材キャリア(130)は、閉鎖した上端(131)で区切られた内部反応チューブ(120)内に受容されてもよい。この種の構成は、熱分布をさらに強化する場合がある。それ故に、これは、基材キャリア(130)の上部スロット(132)内に特に位置付けられた基材のWIWNUのより効率的な低減を可能にする場合がある。
【0102】
一部の実施形態では、熱分配部材(150)は、内部反応チューブの閉鎖した上端(120)内にさらに備えられてもよい。熱分配部材(150)は、図3e、図3f、図3g、図3hに概略的に表されてもよいように、閉鎖した上端(120)の表面部へと提供されてもよい。
【0103】
一部の実施形態では、熱分配部材(150)が提供される閉鎖した上端(120)の表面部は、図3eおよび図3gで概略的に表されてもよいように、閉鎖した上端(121)の上面(121a)であってもよい。それ故に閉鎖した上端(120)の上面(121a)は、外部反応チューブ(110)の内表面(111)に面してもよい。それ故に、内部反応チューブ(120)の上面(121a)に面する外部反応チューブ(110)の内表面(111)は、外部反応チューブ(110)の上部内表面であってもよい。上部内表面(111)は、外部反応チューブの上部内に位置し、そして垂直炉がその上に位置付けられる地面に面してもよい。これらの実施形態に見られるように、基材キャリア(130)は、その上部プレート(131)へと提供される熱分配要素(150)を有してもよい。
【0104】
一部の実施形態では、熱分配部材が提供される閉鎖した上端(120)の表面部は、閉鎖した上端(121)の下面(121b)であってもよい。それ故に、閉鎖した上端(120)の下面(121b)は、図3fおよび図3hで概略的に表されてもよいように、基材キャリア(130)の上部プレート(131)へと提供されてもよい熱分配部材(150)の上面に面してもよい。これらの実施形態に見られるように、基材キャリア(130)は、その上部プレート(131)およびその最上部スロット(132)上へも提供される熱分配要素(150)を有してもよい。
【0105】
実施形態では、熱分配要素(150)は熱伝導性材料から成ってもよい。熱伝導性材料は、その中に提供される上部ヒーターが不在でありうる場合、発熱体(140)から内部反応チューブ(120)に向かって発せられる熱を、特に内部反応チューブの上部部分に収集し、そしてその後再分配する利点を提供してもよい。
【0106】
実施形態によっては、熱伝導性材料はケイ素を含んでもよい。
【0107】
一部の実施形態では、熱伝導性材料は、ケイ素および炭化ケイ素のうちの少なくとも1つを実質的に含んでもよい。こうした熱分配部材(150)は有利である場合があり、これにより、基材キャリアが、例えば炭化ケイ素などの材料を含むSiで作製されている時に、基材キャリア(130)の熱伝導率に関していかなる不一致ももたらさないことになる。さらに、こうした熱分配部材(150)はまた、石英で作製された基材キャリアと連結された時にも有利である場合がある。石英基材ボートは、より経済的であることに起因して、炭化ケイ素基材キャリアよりも好ましい場合がある。したがって、本明細書に開示されるような熱分配要素(150)の存在は、内部反応チューブ(120)の内側の熱分配の効率的な手段を提供する一方で、経済的な利点も提供する場合がある。
【0108】
実施形態によっては、外部反応チューブ(110)は、図1で概略的に表される場合があるように、ドーム形状の上端(112)によって区切られる場合がある。ドーム形状の上端(112)は、コーティング(113)を備えてもよい。このコーティング(113)は、実施形態によっては、反射コーティングであってもよい。外部反応チューブ(110)の上部に向かう熱損失は、上部ヒーターの不在下では顕著になる場合がある。それ故に、反射コーティングは、複数の基材(134)の処理中にドーム形状の上端(112)からの熱損失を低減する利点を提供する場合がある。
【0109】
実施形態によっては、反射コーティングは、ドーム形状の上端(112)上に直接的に塗布されてもよい耐高温性ペイントなどであってもよい。
【0110】
実施形態では、反射コーティング(113)はケイ素を含んでもよい。
【0111】
一部の実施形態では、反射コーティングは実質的にケイ素を含んでもよい。
【0112】
反射コーティング(113)を含むケイ素を石英外部反応チューブ(110)と組み合わせることが有利である。これは、反射コーティング(113)と外部反応チューブ(110)との間に熱的な不一致を有するリスクを低減する場合がある。
【0113】
一部の実施形態では、コーティング(113)は、図4bで概略的に表される場合があるように、基材キャリアの上部プレート(131)に面するドーム形状の上端の内表面(111)上に備えられてもよい。
【0114】
一部の実施形態では、コーティング(113)は、ドーム形状の上端の外表面(112)上に備えられてもよく、外表面は、図4aに概略的に表される場合があるように、ドーム形状の上端の内表面(111)の反対側にある。これは、外部反応チューブ(110)の1つ以上の内表面を洗浄するために、その場(インサイチュ)での洗浄プロセスを実施する時に有利である場合がある。外部反応チューブ(110)の1つ以上の内表面はまた、特に内部反応チューブ(120)が開放上端によって区切られる時に、垂直炉(100)内での処理の結果としてコーティングされてもよい。したがって、ドーム形状の上端の外表面(112)上にコーティングを有することによって、有利なことに、コーティングがその場での洗浄プロセス中に除去されることを防止する場合がある。
【0115】
本開示の第3の態様による複数の基材を処理する方法が本明細書にさらに記述される。図5は、本開示の第3の態様の実施形態による、例示的な方法を示すフローチャートを表す場合がある。
【0116】
方法(1000)は、本開示の第1の態様または第2の態様による、複数の基材を垂直炉の内部反応チューブ(120)内に提供すること(1010)を含んでもよい。複数の基材(134)は、基材キャリア(130)内に配設されてもよい。
【0117】
方法(1000)は、反応ガス混合物を内部反応チューブ(120)へと提供すること(1020)をさらに含んでもよい。これは、複数の基材(134)の各基材上に基材膜を形成すること、および内部反応チューブ(120)の1つ以上の表面上に内部反応チューブ膜を形成することにつながる場合がある。
【0118】
実施形態では、基材膜および内部反応チューブ膜は、酸化物または窒化物を含んでもよい。
【0119】
内部反応チューブ膜の存在は、垂直炉内で処理継続するにつれて、長い目で見ればリスクをもたらす場合がある。内部反応チューブ(120)の1つ以上の表面上の内部反応チューブ膜の層厚さの増加は、処理の収率を低減する可能性がある粒子生成と関連付けられる場合がある。しかしながら、プロセス制御は、ロットの回転の関数として厚さの増加をモニターするために実施されてもよく、そしてその後、内部反応チューブ膜を洗浄するための措置が講じられてもよい。
【0120】
それ故に、実施形態では、方法(1000)は、内部反応チューブ膜の厚さが所定の厚さに達するまで、反応ガス混合物の提供を1回以上繰り返すことをさらに含んでもよい。内部反応チューブ膜の厚さが所定の厚さに達した時、方法は、その場で、内部反応チューブ(120)の1つ以上の表面を周囲に曝露し、それによって内部反応チューブ膜を除去することを含んでもよい。言い換えれば、内部反応チューブ膜は、その場で洗浄されてもよい。
【0121】
本開示の実施形態は、本明細書に添付の特許請求の範囲およびその法的均等物により定義されるため、これらの実施形態は本発明の範囲を限定しない。任意の均等な実施形態は、本発明の範囲内にあることが意図される。互いに異なる本開示の修正は、本明細書に開示されるものに加えて、当業者には明らかとなる場合がある。こうした修正およびそこから由来する実施形態も、本明細書に添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0122】
100 垂直炉
110 外部反応チューブ
111 内表面
112 上端
113 コーティング
120 内部反応チューブ
121 上端
130 基材キャリア
131 上部プレート
132 上部スロット
133 ロッド
134 基材
140 発熱体
150 熱分配部材
図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図3g
図3h
図4a
図4b
図5
【外国語明細書】