(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180370
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】フルオロエーテルの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 41/05 20060101AFI20241219BHJP
C07C 43/174 20060101ALI20241219BHJP
C07C 67/333 20060101ALI20241219BHJP
C07C 69/708 20060101ALI20241219BHJP
C07C 303/30 20060101ALI20241219BHJP
C07C 309/73 20060101ALI20241219BHJP
C07C 43/192 20060101ALI20241219BHJP
C07C 43/225 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C07C41/05
C07C43/174
C07C67/333
C07C69/708 A
C07C303/30
C07C309/73
C07C43/192
C07C43/225 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024096887
(22)【出願日】2024-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2023099266
(32)【優先日】2023-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2024028406
(32)【優先日】2024-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星谷 尚亨
(72)【発明者】
【氏名】岸川 洋介
(72)【発明者】
【氏名】柴田 哲男
(72)【発明者】
【氏名】川井 孔貴
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB01
4H006AB20
4H006AB80
4H006AB93
4H006AC43
4H006BC31
4H006BE53
4H006BE61
4H006BJ20
4H006BM10
4H006BM71
4H006BM73
4H006BP10
4H006GN21
4H006GP01
4H006GP02
4H006GP03
4H006GP20
4H006KA31
(57)【要約】
【課題】生産性に優れたα-フルオロエーテルの製造方法の提供。
【解決手段】下記式(4)で表される化合物の製造方法は、下記式(1)で表される化合物と下記式(2)で表される化合物とが共存する中に下記式(3)で表される化合物を加える工程Aを含む、製造方法が開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(4):
【化1】
(式中、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよい複素環基、又は-C(=O)-O-R
4であり、
R
3は、フッ素、又は1個以上の置換基を有していてもよいフルオロアルキル基であり、該フルオロアルキル基は炭素原子間にヘテロ原子を含んでいてもよく、
R
4は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基であり、
R
Fは、フッ素、又はパーフルオロアルキル基であり、
X
1は、ハロゲンであり、
X
2は、塩素、臭素、又はヨウ素である。)
で表される化合物の製造方法であって、
下記式(1):
【化2】
(式中、
R
1、R
2、R
F、及びX
1は、前記と同意義である。)
で表される化合物と、下記式(2):
【化3】
(式中、
R
3は、前記と同意義である。)
で表される化合物とが共存する中に、下記式(3):
X
2-X
3 (3)
(式中、
X
2は、前記と同意義であり、
X
3は、塩素、臭素、ヨウ素、又はNZ
1Z
2であり、
Z
1及びZ
2は、それぞれ独立して、ハロゲン又は有機基であるか、又は隣接するNと一緒になって環を形成している。)
で表される化合物を加える工程を含む、製造方法。
【請求項2】
前記式(2)で表される化合物及び前記式(3)で表される化合物が、それぞれ、前記式(1)で表される化合物1モルに対して1モル以上となるように用いられる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記式(2)で表される化合物及び前記式(3)で表される化合物が、それぞれ、前記式(1)で表される化合物1モルに対して2モル以上となるように用いられる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記式(2)で表される化合物及び前記式(3)で表される化合物が、それぞれ、前記式(1)で表される化合物1モルに対して2~4モルの範囲内となるように用いられる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記式(3)で表される化合物が、前記式(2)で表される化合物1モルに対して0.5~1.5モルの範囲内となるように用いられる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
X1がフッ素である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
R1及びR2の一方が1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基であり、他方が水素又はハロゲンである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
さらに、下記式(2A):
【化4】
(式中、
R
3は、前記と同意義である。)
で表される化合物を、下記式(2B):
MF
n (2B)
(式中、
Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はNR
4であり、
各Rは、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、任意の2個又は3個のRは、隣接するNと共に一緒になって環を形成していてもよく、
nは、1又は2である。)
で表される化合物と反応させて前記式(2)で表される化合物を得る工程を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記式(2B)で表される化合物が、前記式(1)で表される化合物1モルに対して1モル以上となるように用いられる、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記式(2B)で表される化合物が、前記式(1)で表される化合物1モルに対して2モル以上となるように用いられる、請求項8に記載の製造方法。
【請求項11】
前記式(2B)で表される化合物が、前記式(1)で表される化合物1モルに対して2~5モルの範囲内となるように用いられる、請求項8に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フルオロエーテルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
α位炭素がフッ素化されたフルオロエーテル(α-フルオロエーテル)は、冷媒、溶剤、医薬、農薬、機能性材料等として有用である。α-フルオロエーテルの製造方法は、フッ素含有化合物をエーテル化する方法と、炭化水素エーテルをフッ素化する方法とに大別される。前者の方法は、後者の方法と比べて、温和な反応条件を採用することができること、特殊な装置が不要であること、フッ素導入位置の制御が容易であること等の利点がある。前者の方法としては、例えば、下記の反応式に示されるようにパーフルオロアルコキシドと一塩化ヨウ素(ICl)とが共存する中にテトラフルオロエチレンを加える方法(例えば、特許文献1及び2)が知られている。
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4032566号
【特許文献2】米国特許第4531011号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2の方法は収率の点で改善の余地がある。
本開示は、生産性に優れたα-フルオロエーテルの製造方法を提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、次の態様を含む。
[項1]
下記式(4):
【化2】
(式中、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよい複素環基、又は-C(=O)-O-R
4であり、
R
3は、フッ素、又は1個以上の置換基を有していてもよいフルオロアルキル基であり、該フルオロアルキル基は炭素原子間にヘテロ原子を含んでいてもよく、
R
4は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基であり、
R
Fは、フッ素、又はパーフルオロアルキル基であり、
X
1は、ハロゲンであり、
X
2は、塩素、臭素、又はヨウ素である。)
で表される化合物の製造方法であって、
下記式(1):
【化3】
(式中、
R
1、R
2、R
F、及びX
1は、前記と同意義である。)
で表される化合物と、下記式(2):
【化4】
(式中、
R
3は、前記と同意義である。)
で表される化合物とが共存する中に、下記式(3):
X
2-X
3 (3)
(式中、
X
2は、前記と同意義であり、
X
3は、塩素、臭素、ヨウ素、又はNZ
1Z
2であり、
Z
1及びZ
2は、それぞれ独立して、ハロゲン又は有機基であるか、又は隣接するNと一緒になって環を形成している。)
で表される化合物を加える工程を含む、製造方法。
[項2]
前記式(2)で表される化合物及び前記式(3)で表される化合物が、それぞれ、前記式(1)で表される化合物1モルに対して1モル以上となるように用いられる、項1に記載の製造方法。
[項3]
前記式(2)で表される化合物及び前記式(3)で表される化合物が、それぞれ、前記式(1)で表される化合物1モルに対して2モル以上となるように用いられる、項1又は2に記載の製造方法。
[項4]
前記式(2)で表される化合物及び前記式(3)で表される化合物が、それぞれ、前記式(1)で表される化合物1モルに対して2~4モルの範囲内となるように用いられる、項1~3のいずれかに記載の製造方法。
[項5]
前記式(3)で表される化合物が、前記式(2)で表される化合物1モルに対して0.5~1.5モルの範囲内となるように用いられる、項1~4のいずれかに記載の製造方法。[項6]
X
1がフッ素である、項1~5のいずれかに記載の製造方法。
[項7]
R
1及びR
2の一方が1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基であり、他方が水素又はハロゲンである、項1~6のいずれかに記載の製造方法。
[項8]
さらに、下記式(2A):
【化5】
(式中、
R
3は、前記と同意義である。)
で表される化合物を、下記式(2B):
MF
n (2B)
(式中、
Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はNR
4であり、
各Rは、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、任意の2個又は3個のRは、隣接するNと共に一緒になって環を形成していてもよく、
nは、1又は2である。)
で表される化合物と反応させて前記式(2)で表される化合物を得る工程を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
[項9]
前記式(2B)で表される化合物が、前記式(1)で表される化合物1モルに対して1モル以上となるように用いられる、項8に記載の製造方法。
[項10]
前記式(2B)で表される化合物が、前記式(1)で表される化合物1モルに対して2モル以上となるように用いられる、請求項8又は9に記載の製造方法。
[項11]
前記式(2B)で表される化合物が、前記式(1)で表される化合物1モルに対して2~5モルの範囲内となるように用いられる、項8~10のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、生産性に優れたα-フルオロエーテルの製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の前記概要は、本開示の各々の開示された実施形態又は全ての実装を記述することを意図するものではない。本開示の後記説明は、実例の実施形態をより具体的に例示する。
【0008】
本開示のいくつかの箇所では、例示を通してガイダンスが提供され、及びこの例示は、様々な組み合わせにおいて使用できる。それぞれの場合において、例示の群は、非排他的な、及び代表的な群として機能できる。
【0009】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられる。
【0010】
1.用語
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、本開示が属する技術分野において通常用いられる意味に理解できる。
【0011】
本明細書中、「含有する」は、「から本質的になる」及び「からなる」を包含することを意図して用いられる。
【0012】
特に限定されない限り、本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、室温で実施され得る。本明細書中、室温は、10~40℃の範囲内の温度を意味することができる。
【0013】
本明細書中、「Cn-m」(ここで、n及びmは、それぞれ、正の整数であり、n<mである。)は、炭素数がn以上且つm以下であることを表す。
【0014】
本明細書中、「ハロゲン」の例は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を包含する。
【0015】
本明細書中、「有機基」とは、有機化合物から1個の水素原子を除去して形成される基を意味する。
当該「有機基」としては、例えば、
1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
シアノ基、
アルデヒド基、
カルボキシル基、
AO-、
AS-、
ACO-、
ASO2-、
AOCO-、及び
AOSO2-
(これらの式中、Aは、独立して、
1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、又は
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基である)
が挙げられる。
【0016】
「置換基」としては、例えば、ハロゲン、シアノ基、アミノ基、アルコキシ基、及びアルキルチオ基が挙げられる。置換基の数は1個から置換可能な最大数までの範囲から選択することができ、例えば1個、2個、3個、4個、又は5個であることができる。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0017】
本明細書中、「炭化水素基」は、飽和炭化水素基であっても不飽和炭化水素基であってもよい。「炭化水素基」の例は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基、アリール基、及びこれら2以上の組合せ(例:アラルキル基)を包含する。
【0018】
本明細書中、「アルキル基」の例は、直鎖状又は分岐鎖状のC1-20アルキル基を包含し、及びその具体例は、メチル基、エチル基、プロピル基(例:n-プロピル基、イソプロピル基)、ブチル基(例:n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基)、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、及びデシル基を包含する。
【0019】
本明細書中、「アルケニル基」の例は、直鎖状又は分岐鎖状のC2-20アルケニル基を包含し、及びその具体例は、ビニル基、1-プロペン-1-イル基、2-プロペン-1-イル基、イソプロペニル基、2-ブテン-1-イル基、4-ペンテン-1-イル基、及び5-ヘキセン-1-イル基を包含する。
【0020】
本明細書中、「アルキニル基」の例は、直鎖状又は分岐鎖状のC2-20アルキニル基を包含し、及びその具体例は、エチニル基、1-プロピン-1-イル基、2-プロピン-1-イル基、4-ペンチン-1-イル基、及び5-ヘキシン-1-イル基を包含する。
【0021】
本明細書中、「シクロアルキル基」の例は、C3-20シクロアルキル基を包含し、及びその具体例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基を包含する。
【0022】
本明細書中、「シクロアルケニル基」の例は、C3-20シクロアルケニル基を包含し、及びその具体例は、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、及びシクロヘプテニル基を包含する。
【0023】
本明細書中、「シクロアルカジエニル基」の例は、C4-20シクロアルカジエニル基を包含し、及びその具体例は、シクロブタジエニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、及びシクロヘプタジエニル基を包含する。
【0024】
本明細書中、「アリール基」は、単環性又は多環性(例:2環性、3環性、4環性)であることができる。「アリール基」の例は、C6-20アリール基を包含し、及びその具体例は、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ビフェニル基、3-ビフェニル基、4-ビフェニル基、及び2-アンスリル基を包含する。
【0025】
本明細書中、「アラルキル基」は「アリール-アルキル-」で表される基であり、この基中の「アリール基」及び「アルキル基」は前記定義の通りである。
【0026】
本明細書中、「非芳香族複素環基」は、単環性又は多環性(例:2環性、3環性、4環性)であることができる。「非芳香族複素環基」は、例えば、環構成原子として、炭素原子に加えて酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子から選ばれる1~4個のヘテロ原子を含有する非芳香族複素環基であることができる。「非芳香族複素環基」は、飽和、又は不飽和であることができる。「非芳香族複素環基」は、単環性非芳香族複素環基(例:5又は6員の単環性非芳香族複素環基)、及び非芳香族縮合複素環基(例:5~18員の非芳香族縮合複素環基)を包含する。
【0027】
本明細書中、「非芳香族複素環基」の例は、テトラヒドロフリル、オキサゾリジニル、イミダゾリニル(例:1-イミダゾリニル、2-イミダゾリニル、4-イミダゾリニル)、アジリジニル(例:1-アジリジニル、2-アジリジニル)、アゼチジニル(例:1-アゼチジニル、2-アゼチジニル)、ピロリジニル(例:1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、3-ピロリジニル)、ピペリジニル(例:1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル)、テトラヒドロピリジニル(例:1,2,3,6-テトラヒドロピリジン-1-イル)、アゼパニル(例:1-アゼパニル、2-アゼパニル、3-アゼパニル、4-アゼパニル)、アゾカニル(例:1-アゾカニル、2-アゾカニル、3-アゾカニル、4-アゾカニル)、ピペラジニル(例:1,4-ピペラジン-1-イル、1,4-ピペラジン-2-イル)、ジアゼピニル(例:1,4-ジアゼピン-1-イル、1,4-ジアゼピン-2-イル、1,4-ジアゼピン-5-イル、1,4-ジアゼピン-6-イル)、ジアゾカニル(例:1,4-ジアゾカン-1-イル、1,4-ジアゾカン-2-イル、1,4-ジアゾカン-5-イル、1,4-ジアゾカン-6-イル、1,5-ジアゾカン-1-イル、1,5-ジアゾカン-2-イル、1,5-ジアゾカン-3-イル)、テトラヒドロピラニル(例:テトラヒドロピラン-4-イル)、モルホリニル(例:4-モルホリニル)、チオモルホリニル(例:4-チオモルホリニル)、ジオキソラニル(例:1,3-ジオキソラン-2-イル)、2-オキサゾリジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニル、ジヒドロキノリル、ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-イル(例:ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)、テトラヒドロピロロ[2,3-c]ピリジル(例:4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-ピロロ[2,3-c]ピリジン-6-イル)、及びテトラヒドロピリド[3,4-b]インドリル(例:2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]インドール-2-イル)、1-(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル)-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]インドール-2-イル等を包含できる。
【0028】
本明細書中、「ヘテロアリール基」は、単環性芳香族複素環基(例:5又は6員の単環性芳香族複素環基)、及び芳香族縮合複素環基(例:5~18員の芳香族縮合複素環基)を包含する。
【0029】
本明細書中、「5又は6員の単環性芳香族複素環基」の例は、ピロリル(例:1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル)、フリル(例:2-フリル、3-フリル)、チエニル(例:2-チエニル、3-チエニル)、ピラゾリル(例:1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル)、イミダゾリル(例:1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル)、イソオキサゾリル(例:3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル)、オキサゾリル(例:2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル)、イソチアゾリル(例:3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリル、5-イソチアゾリル)、チアゾリル(例:2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル)、トリアゾリル(例:1,2,3-トリアゾール-4-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イル)、オキサジアゾリル(例:1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)、チアジアゾリル(例:1,2,4-チアジアゾール-3-イル、1,2,4-チアジアゾール-5-イル)、テトラゾリル、ピリジル(例:2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル)、ピリダジニル(例:3-ピリダジニル、4-ピリダジニル)、ピリミジニル(例:2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル)、及びピラジニル等を包含する。
【0030】
本明細書中、「5~18員の芳香族縮合複素環基」の例は、イソインドリル(例:1-イソインドリル、2-イソインドリル、3-イソインドリル、4-イソインドリル、5-イソインドリル、6-イソインドリル、7-イソインドリル)、インドリル(例:1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル)、ベンゾ[b]フラニル(例:2-ベンゾ[b]フラニル、3-ベンゾ[b]フラニル、4-ベンゾ[b]フラニル、5-ベンゾ[b]フラニル、6-ベンゾ[b]フラニル、7-ベンゾ[b]フラニル)、ベンゾ[c]フラニル(例:1-ベンゾ[c]フラニル、4-ベンゾ[c]フラニル、5-ベンゾ[c]フラニル)、ベンゾ[b]チエニル、(例:2-ベンゾ[b]チエニル、3-ベンゾ[b]チエニル、4-ベンゾ[b]チエニル、5-ベンゾ[b]チエニル、6-ベンゾ[b]チエニル、7-ベンゾ[b]チエニル)、ベンゾ[c]チエニル(例:1-ベンゾ[c]チエニル、4-ベンゾ[c]チエニル、5-ベンゾ[c]チエニル)、ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾリル(例:1-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾリル)、インダゾリル(例:1-インダゾリル、2-インダゾリル、3-インダゾリル、4-インダゾリル、5-インダゾリル、6-インダゾリル、7-インダゾリル)、ベンゾイミダゾリル(例:1-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、4-ベンゾイミダゾリル、5-ベンゾイミダゾリル)、1,2-ベンゾイソオキサゾリル(例:1,2-ベンゾイソオキサゾール-3-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-4-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-5-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-6-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-7-イル)、ベンゾオキサゾリル(例:2-ベンゾオキサゾリル、4-ベンゾオキサゾリル、5-ベンゾオキサゾリル、6-ベンゾオキサゾリル、7-ベンゾオキサゾリル)、1,2-ベンゾイソチアゾリル(例:1,2-ベンゾイソチアゾール-3-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-4-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-5-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-6-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-7-イル)、ベンゾチアゾリル(例:2-ベンゾチアゾリル、4-ベンゾチアゾリル、5-ベンゾチアゾリル、6-ベンゾチアゾリル、7-ベンゾチアゾリル)、イソキノリル(例:1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル)、キノリル(例:2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、8-キノリル)、シンノリニル(例:3-シンノリニル、4-シンノリニル、5-シンノリニル、6-シンノリニル、7-シンノリニル、8-シンノリニル)、フタラジニル(例:1-フタラジニル、4-フタラジニル、5-フタラジニル、6-フタラジニル、7-フタラジニル、8-フタラジニル)、キナゾリニル(例:2-キナゾリニル、4-キナゾリニル、5-キナゾリニル、6-キナゾリニル、7-キナゾリニル、8-キナゾリニル)、キノキサリニル(例:2-キノキサリニル、3-キノキサリニル、5-キノキサリニル、6-キノキサリニル、7-キノキサリニル、8-キノキサリニル)、ピラゾロ[1,5-a]ピリジル(例:ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イル)、イミダゾ[1,2-a]ピリジル(例:イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イル、及びイミダゾ[1,2-a]ピリジン-8-イル)等を包含する。
【0031】
本明細書中、「1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基」の炭素原子間には-O-、-S-、-NH-等のヘテロ原子(団)を含んでいてもよい。当該炭化水素基に置換し得る置換基の例は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、及びこれら2以上の組合せを包含する。当該炭化水素基が置換基を有する場合、置換基の数は、1個から置換可能な最大数までの範囲から選択することができ、例えば1個、2個、3個、4個、又は5個であることができる。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0032】
本明細書中、「1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基」の炭素原子間には-O-、-S-、-NH-等のヘテロ原子(団)を含んでいてもよい。当該アルキル基に置換し得る置換基の例は、ハロゲン、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、アリールカルボニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、複素環基、及びこれら2以上の組合せを包含する。当該アルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は、1個から置換可能な最大数までの範囲から選択することができ、例えば1個、2個、3個、4個、又は5個であることができる。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0033】
上記「1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基」の例は、1個以上の置換基を有していてもよいハロアルキル基(例:フルオロアルキル基)を包含する。「ハロアルキル基」は、パーハロアルキル基であっても非パーハロアルキル基であってもよい。「ハロアルキル基」の例は、直鎖状又は分岐鎖状のハロC1-12アルキル基を包含する。
【0034】
上記「1個以上の置換基を有していてもよいフルオロアルキル基」の例は、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基(例:パーフルオロn-プロピル、パーフルオロイソプロピル基)、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等の、直鎖状又は分岐鎖状のフルオロC1-12アルキル基のみならず、CF3-O-CF2-、CF3-O-CF(CF3)-、CF3-O-CH2-CH2-、CF3-O-CH(CF3)-CH2-、CF3-O-CF2-CF2-、CF3-CF2-O-CF2-、CF3-CF2-O-CF2-CF2-、CF3-O-CF2-O-CF2-、CF3-CF2-CF2-O-CH2-CF2-、CF3-CF2-CF2-O-CF2-CF2-、CF3-CF2-CF2-O-CF(CF3)-CF2-、CF3-CF2-CF2-O-CF(CF3)-CF2-O-CF(CF3)-CF2-、CF3-CF2-CF2-O-[CF(CF3)-CF2-O-]2-CF(CF3)-CF2-等の、炭素原子間にヘテロ原子を含む前記直鎖状又は分岐鎖状のフルオロC1-12アルキル基も包含する。
【0035】
本明細書中、「1個以上の置換基を有していてもよいアリール基」において、置換基の例は、ハロゲン、ヒドロキシ基、メルカプト基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールカルボニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、及びこれら2以上の組合せ(例:ハロアルキル基、ハロアルコキシ基)を包含する。当該アリール基が置換基を有する場合、置換基の数は、1個から置換可能な最大数までの範囲から選択することができ、例えば1個、2個、3個、4個、又は5個であることができる。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0036】
本明細書中、「アルコキシ基」は「アルキル-O-」で表される基であり、「アルキルチオ基」は「アルキル-S-」で表される基であり、「アルコキシカルボニル基」は「アルキル-O-CO-」で表される基であり、「アルキルカルボニルオキシ基」は「アルキル-CO-O-」で表される基であり、「アルキルスルホニルオキシ基」は「アルキル-SO2-O-」で表される基である。これらの基中のアルキル基は、前記定義の通りである。
【0037】
本明細書中、「アリールオキシ基」は「アリール-O-」で表される基であり、「アリールチオ基」は「アリール-S-」で表される基であり、「アリールカルボニル基」は「アリール-CO-」で表される基であり、「アリールカルボニルオキシ基」は「アリール-CO-O-」で表される基であり、「アリールスルホニルオキシ基」は「アリール-SO2-O-」で表される基である。これらの基中のアリール基は、前記定義の通りである。
【0038】
本明細書中、「アラルキルオキシ基」は「アラルキル-O-」で表される基であり、「アラルキルチオ基」は「アラルキル-S-」で表される基である。これらの基中のアラルキル基は、前記定義の通りである。
【0039】
本明細書中、「アルキレン」の例は、直鎖状又は分岐鎖状のC1-6アルキレンを包含し、及びその具体例は、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH2-CH(CH3)-、-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH(CH3)-、-CH2-CH(CH3)-CH2-、-CH2-CH(C2H5)-、及び-CH2-CH2-CH2-CH2-を包含する。
【0040】
2.α-フルオロエーテルの製造方法
本開示の一実施形態において、下記式(4)で表される化合物の製造方法は、下記式(1)で表される化合物と下記式(2)で表される化合物とが共存する中に下記式(3)で表される化合物を加える工程Aを含む、製造方法である。ここで、「式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物とが共存する中」とは、例えば、式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物とを含む混合物(又は組成物)中であること、又は式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物の前駆体(例:式(2A)で表される化合物、R3-CF2-O--M1+(M1はアルカリ金属、又はNR4を表す。))とを含む混合物(又は組成物)中であることを意味し、当該混合物(又は組成物)には、式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物以外の任意成分(例:式(2B)で表される化合物、溶媒)が含まれ得る。また、「式(3)で表される化合物を加える」とは、式(3)で表される化合物を単独で加えることに限定されず、式(3)で表される化合物を任意成分(例:溶媒)と共に加えることも包含する。
【0041】
【0042】
上記の工程Aを含む場合、例えば、式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物とが共存する中に式(1)で表される化合物を加える工程を含む場合よりも、収率を向上させることができる。
【0043】
[式(1)で表される化合物]
R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよい複素環基、又は-C(=O)-O-R4(R4は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基である。)である。
【0044】
前記アルキル基に置換し得る置換基は、シクロアルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アラルキルオキシ基、アラルキルチオ基、アリールカルボニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、及び含窒素複素環基からなる群より選択されることが好ましく、C5-18シクロアルキル基、C6-12アリール基、C6-12アリールオキシ基、C6-12アリールチオ基、C7-13アラルキルオキシ基、C7-13アラルキルチオ基、C6-12アリールカルボニルオキシ基、C6-12アリールスルホニルオキシ基、及び縮合していてもよい5員又は6員含窒素複素環基(例:ベンゼン環、5員又は6員複素環と縮合していてもよい5員又は6員含窒素複素環基)からなる群より選択されることがより好ましい。
【0045】
前記アリール基及び複素環基に置換し得る置換基は、ハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、及びアリールカルボニル基からなる群より選択されることが好ましく、フッ素、C1-6アルキル基、フルオロC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルコキシカルボニル基、及びC6-12アリールカルボニル基からなる群より選択されることがより好ましい。
【0046】
好適な実施形態において、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、フッ素、1個以上の置換基を有していてもよいC1-10アルキル基(1個以上の置換基を有していてもよいフルオロC1-10アルキル基を含む)、1個以上の置換基を有していてもよいC6-12アリール基、1個以上の置換基を有していてもよい含窒素複素環基(例:ベンゼン環、5員又は6員の複素環と縮合していてもよい5員又は6員含窒素複素環基)、又は-C(=O)-O-(1個以上の置換基を有していてもよいC7-13アラルキル基)である。
【0047】
R1及びR2の好適な組合せの一例としては、一方が水素又はフッ素であり、他方が水素である組合せが挙げられる。別の例としては、一方が水素又はフッ素であり、他方が1個以上の置換基を有していてもよいC1-10アルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいC6-12アリール基、1個以上の置換基を有していてもよい5員又は6員の複素環基、又は-C(=O)-O-C7-13アラルキル基である組合せが挙げられる。
【0048】
X1は、ハロゲンである。X1は、好ましくはフッ素又は塩素、さらに好ましくはフッ素である。
【0049】
RFは、フッ素又はパーフルオロアルキル基である。RFは、好ましくはフッ素又はパーフルオロC1-4アルキル基、より好ましくはフッ素又はパーフルオロC1-3アルキル基、さらに好ましくはフッ素又はパーフルオロC1-2アルキル基、さらにより好ましくはフッ素又はトリフルオロメチル基、特に好ましくはフッ素である。
【0050】
式(1)で表される化合物としては、例えば式(1A)で表される化合物から選択し得る。
【化7】
(式中、
R
11は、1個以上の置換基を有していてもよいC
5-18シクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいC
6-12アリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよい5員又は6員の複素環基であり、隣接位に存在し得る2個の置換基は互いに結合して環を形成していてもよく、
R
12は、単結合、C
1-6アルキレン、-CO-、又は-SO
2-であり、
R
13は、単結合、-O-、又は-S-であり、
R
14は、単結合、C
1-6アルキレン、又は-CO-である。)
【0051】
R11の一例である「1個以上の置換基を有していてもよいC5-18シクロアルキル基」には、例えば、1個以上の置換基(例:アルキル基、アルコキシ基)を有していてもよいステロイド基(例:アンドロスタニル基)が含まれる。
【0052】
R11の別の例である「1個以上の置換基を有していてもよいC6-12アリール基」には、例えば、1個以上の置換基(例:アルキル基、アルコキシ基)を有していてもよいフェニル基、及びビフェニル基が含まれる。隣接位に存在し得る2個の置換基が互いに結合して形成される環には、例えば1,3-ベンゾジオキソールが含まれる。
【0053】
R11のさらに別の例である「1個以上の置換基を有していてもよい5員又は6員の複素環基」には、例えば、1個以上の置換基(例:アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アラルキル基)を有していてもよいピロリジル基、ピロリジン-2,5-ジオン-1-イル基、ピペリジル基、ピペリジン-2,6-ジオン-1-イル基、ピロリル基、及びイミダゾリル基が含まれる。隣接位に存在し得る2個の置換基が互いに結合して形成される環には、例えば、インドリン-2,3-ジオン、イソインドリン-1,3-ジオン、3,7-ジヒドロ-1H-プリン-2,6-ジオン、1H-インドール、及びキナゾリンが含まれる。
【0054】
R14が単結合である場合、R13が単結合であることが好ましい。
【0055】
-R12-R13-R14-としては、例えば、単結合、C1-6アルキレン、-(C1-6アルキレン)-O-(C1-6アルキレン)-、-(C1-6アルキレン)-O-CO-、-S-(C1-6アルキレン)-、-SO2-O-(C1-6アルキレン)-等が挙げられる。
【0056】
[式(2)で表される化合物]
R3は、フッ素、又は1個以上の置換基を有していてもよいフルオロアルキル基であり、該フルオロアルキル基は炭素原子間にヘテロ原子(例:-O-)を含んでいてもよい。
【0057】
好適な実施形態において、R3は、フッ素、フルオロC1-10アルキル基、又はフルオロC1-10アルコキシフルオロC1-10アルキル基(特にパーフルオロC1-10アルキル基、又はパーフルオロC1-10アルコキシパーフルオロC1-10アルキル基)である。R3は、好ましくはフルオロC1-10アルキル基(特にパーフルオロC1-10アルキル基)、さらに好ましくはフルオロC2-10アルキル基(特にパーフルオロC2-10アルキル基)である。
【0058】
式(2)で表される化合物の使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば1モル以上、好ましくは1.5モル以上、さらに好ましくは2モル以上であることができる。前記使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば10モル以下、好ましくは8モル以下、さらに好ましくは5モル以下、さらにより好ましくは4.5モル以下、特に好ましくは4モル以下である。前記使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば1~10モルの範囲内、好ましくは1.5~5モルの範囲内、さらに好ましくは2~4モルの範囲内である。
【0059】
[式(3)で表される化合物]
X2は、塩素、臭素、又はヨウ素である。X3は、塩素、臭素、ヨウ素、又はNZ1Z2である。X2が塩素である場合、X3がNZ1Z2であることが好ましい。
【0060】
一実施形態において、Z1及びZ2は、それぞれ独立して、ハロゲン又は有機基である。Z1及びZ2は、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であることが好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であることがより好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基であることがさらに好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいC1-6アルキル基であることが特に好ましい。或いはZ1がハロゲンであり、Z2がベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル等のアリールスルホニルであることも好ましい。
【0061】
別の実施形態において、Z1及びZ2は、隣接するNと一緒になって環を形成している。当該環は、単環であっても縮合環であってもよい。また、当該環は、非芳香環であっても芳香環であってもよい。さらに、当該環の構成員数は、特に限定されないが、5~10であることが好ましい。当該環は、1個以上の置換基(オキソ基、ハロゲン、アルキル基等)を有していてもよい。当該環の具体例としては、ピロリジン-2,5-ジオン-1-イル、1-クロロ-イミダゾリジン-2,4-ジオン-3-イル、1-クロロ-5,5-ジメチルイミダゾリジン-2,4-ジオン-3-イル、1,3-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン-5-イル、イソインドリン-1,3-ジオン-2-イル、ベンゾ[d]イソチアゾール-3-オン-1,1-ジオキシド-2-イル等が挙げられる。
【0062】
式(3)で表される化合物としては、例えば、Cl2、Br2、I2、ICl、IBr、N-クロロスクシンイミド(NCS)、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒドラントイン、トリクロロイソシアヌル酸(TCCA)、N-クロロフタルイミド、N-クロロサッカリン、ジクロラミンB、ジクロラミンT等が挙げられる。式(3)で表される化合物は、Cl2のように気体の状態で使用してもよく、Br2のように液体の状態で使用してもよく、I2のように固体の状態で使用してもよい。また、式(3)で表される化合物は、それ自体をそのまま使用してもよく、所定の濃度(例えば、0.5~5mol/L)になるように後述の溶媒(例えば、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)などのエーテル系溶媒)で溶解して使用してもよい。
【0063】
式(3)で表される化合物の使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば1モル以上、好ましくは1.5モル以上、さらに好ましくは2モル以上であることができる。前記使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば10モル以下、好ましくは8モル以下、さらに好ましくは5モル以下、さらにより好ましくは4.5モル以下、特に好ましくは4モル以下である。前記使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば1~10モルの範囲内、好ましくは1.5~5モルの範囲内、さらに好ましくは2~4モルの範囲内である。
【0064】
式(3)で表される化合物の使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、例えば0.5モル以上、好ましくは0.6モル以上、さらに好ましくは0.7モル以上、さらにより好ましくは0.8モル以上、特に好ましくは0.9モル以上であることができる。前記使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、例えば1.5モル以下、好ましくは1.4モルモル以下、さらに好ましくは1.3モル以下、さらにより好ましくは1.2モル以下、特に好ましくは1.1モル以下である。前記使用量は、式(2)で表される化合物1モルに対して、例えば0.5~1.5モルの範囲内、好ましくは0.8~1.2モルの範囲内、さらに好ましくは0.9~1.1モルの範囲内である。
【0065】
[溶媒]
工程Aは、溶媒の存在下で実施することが好ましい。当該溶媒としては、例えば、炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒、エーテル系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、スルホキシド系溶媒等が挙げられる。
【0066】
炭化水素系溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒が挙げられる。
【0067】
ハロゲン系溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等が挙げられる。
【0068】
エーテル系溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(DME)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0069】
ニトリル系溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられる。
【0070】
アミド系溶媒としては、例えば、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
【0071】
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
【0072】
スルホキシド系溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0073】
これらの溶媒のうち、エーテル系溶媒及びニトリル系溶媒からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
【0074】
当該溶媒の使用量は、特に制限されないが、式(1)で表される化合物1mmolに対して、例えば4mL以上、5mL以上、6mL以上、7mL以上、8mL以上、9mL以上、又は10mL以上である。当該溶媒の使用量は、式(1)で表される化合物1mmolに対して、例えば50mL以下、40mL以下、又は30mL以下である。当該溶媒の使用量は、例えば4~50mLの範囲内、又は8~30mLの範囲内であってもよい。
【0075】
[反応温度及び反応時間]
工程Aの反応温度及び反応時間は、反応が進行する限り、特に制限されない。反応温度は、例えば-20~100℃の範囲内から選択することができ、例えば室温であることができる。反応時間は、例えば15分~48時間の範囲内、好ましくは30分~24時間の範囲内である。
【0076】
[追加工程]
式(4)で表される化合物の製造方法は、式(2A)で表される化合物を式(2B)で表される化合物と反応させて前記式(2)で表される化合物を得る工程Bを含むことが好ましい。
【0077】
式(2A)で表される化合物のR3は、式(2)で表される化合物のR3と同意義である。式(2A)で表される化合物は、例えば、石川試薬などのフッ素化剤を用いて、対応のカルボン酸(R3-COOH)から合成することができる。
【0078】
式(2B)で表される化合物のMは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はNR4であり、各Rは、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、任意の2個又は3個のRは、隣接するNと共に一緒になって環を形成していてもよい。
【0079】
前記アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビシウム、セシウム等が挙げられる。
【0080】
前記アルカリ土類金属としては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム等が挙げられる。
【0081】
前記NR4における各Rは、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基であることが好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であることがより好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基であることが更に好ましく、C1-4アルキル基等のアルキル基であることが特に好ましい。前記置換基としては、例えば、ハロゲン、ヒドロキシ基、メルカプト基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
前記NR4における4個のRのうち任意の2個又は3個が、それらが結合する窒素と一緒になって形成される環の例は、5員又は6員の含窒素環を包含し、及びその具体例は、ピロリジン、ピペリジン、及びモルホリンを包含する。
【0083】
好適な実施形態において、Mはアルカリ金属又はNR4である。Mは、好ましくはアルカリ金属である。
【0084】
式(2B)で表される化合物のnは、Mの価数に応じて、1又は2である。
【0085】
工程Bにおいて、式(2B)で表される化合物の使用量(フッ素イオン換算量)は、特に制限されないが、式(2A)で表される化合物(又は式(1)で表される化合物)1モルに対して、例えば1モル以上、好ましくは1.5モル以上、さらに好ましくは2モル以上であることができる。前記使用量は、式(2A)で表される化合物(又は式(1)で表される化合物)1モルに対して、例えば10モル以下、好ましくは8モル以下、さらに好ましくは7モル以下、さらにより好ましくは6モル以下、特に好ましくは5モル以下である。前記使用量は、式(2A)で表される化合物(又は式(1)で表される化合物)1モルに対して、例えば1~10モルの範囲内、好ましくは1.5~6モルの範囲内、さらに好ましくは2~5モルの範囲内である。
【0086】
工程Bにおいて、式(2B)で表される化合物の使用量は、式(2)で表される化合物又は式(3)で表される化合物1モルに対して、例えば0.5モル以上、好ましくは0.6モル以上、さらに好ましくは0.7モル以上、さらにより好ましくは0.8モル以上、特に好ましくは0.9モル以上であることができる。前記使用量は、式(2)で表される化合物又は式(3)で表される化合物1モルに対して、例えば1.5モル以下、好ましくは1.4モルモル以下、さらに好ましくは1.3モル以下、さらにより好ましくは1.2モル以下、特に好ましくは1.1モル以下である。前記使用量は、式(2)で表される化合物又は式(3)で表される化合物1モルに対して、例えば0.5~1.5モルの範囲内、好ましくは0.8~1.2モルの範囲内、さらに好ましくは0.9~1.1モルの範囲内である。
【0087】
工程Bは、溶媒の存在下で実施することが好ましい。工程Bの溶媒は、工程Aの溶媒として例示した溶媒から選択することができる。
【0088】
工程Bは、工程Aと同一又は異なる系で実施することができる。工程Bを工程Aと同一の系(ワンポット)で実施する場合、工程Bは、工程Aの溶媒と同じ溶媒、及び、工程Aで使用される式(1)で表される化合物等の存在下で実施することができる。
【0089】
[任意工程]
式(4)で表される化合物の製造方法は、任意の工程、例えば、ろ過、抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィー、洗浄等の精製工程を更に含むことができる。
【0090】
式(4)で表される化合物(例えばX2)は、例えば種々の反応により官能化(又は官能基変換)することもできる。具体例としては、下記式(4A)~(4F)で表される化合物が挙げられるが、これらには限定されない。
【0091】
【化8】
TMPOは、2,2,2,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシを表す。
【実施例0092】
以下、実施例によって本開示の一実施態様を更に詳細に説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0093】
比較例1 (1,1-ジフルオロ-2-ブロモ-4-フェニルブトキシ)パーフルオロヘキサンの臭素先入れ条件での合成
窒素雰囲気下で、10mL容の硝子容器にフッ化カリウム17.4mg、パーフルオロヘキサノイルフルオライド94.8mg、トリグライム0.8mLを加え、15分撹拌した。当該容器に1.0mol/L臭素トリグライム溶液0.3mLを加え、15分撹拌した。当該容器に(1,1-ジフルオロ-4-フェニル)-1-ブテン16.8mgを加え、室温で6時間攪拌した。得られた反応混合物に亜硫酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下し、ジエチルエーテルで抽出した。19F NMRで解析したところ、表題のフルオロエーテルが56%の収率で生成していた。未反応の(1,1-ジフルオロ-4-フェニル)-1-ブテンは36%であった。
19F NMR(282MHz, CDCl3):δ -74.7~-74.8(m, 2F), -81.2~-81.3(m, 3F), -84.1(br, 2F), -122.8(br, 2F), -123.4(br, 2F), -126.2(br, 2F), -126.6~-126.7(m, 2F).1H NMR(500MHz, CDCl3):δ 7.34~7.31(m, 2H), 7.26~7.23(m, 1H), 7.21~7.20(m, 2H), 3.98~3.92(m, 1H), 3.04~2.98(m, 1H), 2.78~2.72(m, 1H), 2.37~2.30(m, 1H), 2.19~2.11(m, 1H).
【0094】
実施例1 (1,1-ジフルオロ-2-ブロモ-4-フェニルブトキシ)パーフルオロヘキサンの臭素後入れ条件での合成
窒素雰囲気下で、10mL容の硝子容器にフッ化カリウム17.4mg、パーフルオロヘキサノイルフルオライド94.8mg、トリグライム0.8mLを加え、15分撹拌した。当該容器に(1,1-ジフルオロ-4-フェニル)-1-ブテン16.8mgを加えた。当該容器に1.0mol/L臭素トリグライム溶液0.3mLを加え、室温で6時間攪拌した。得られた反応混合物に亜硫酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下し、ジエチルエーテルで抽出した。19F NMRで解析したところ、表題のフルオロエーテルが88%の収率で生成していた。未反応の(1,1-ジフルオロ-4-フェニル)-1-ブテンは観測されなかった。
【0095】
実施例2 (1,1-ジフルオロ-2-ヨード-4-フェニルブトキシ)パーフルオロヘキサンのヨウ素後入れ条件での合成
窒素雰囲気下で、10mLの硝子容器にフッ化カリウム11.6mg、パーフルオロヘキサノイルフルオライド63.2mg、トリグライム1.0mLを加え、15分撹拌した。当該容器に(1,1-ジフルオロ-4-フェニル)-1-ブテン16.8mgを加えた。当該容器にヨウ素50.8mgを加え、室温で18時間攪拌し、19F NMRで解析したところ、表題のフルオロエーテルが70%の収率で生成していた。
19F NMR(282MHz, CDCl3):δ -71.0~-71.2(m, 2F), -81.2(t-like, 3F), -84.2(br, 2F), -122.7(br, 2F), -123.4(br, 2F), -126.1(br, 2F), -126.6~-126.7(m, 2F).1H NMR(300MHz, CDCl3):δ 7.34~7.19(m, 4H), 4.06~3.96(m, 1H), 3.03~2.94(m, 1H), 2.73~2.63(m, 1H), 2.19~2.11(m, 2H).
【0096】
実施例3 (1,1-ジフルオロ-2-ヨード-4-フェニルブトキシ)パーフルオロヘキサンのヨウ素後入れ条件での合成
パーフルオロヘキサノイルフルオライド、フッ化カリウム、及びヨウ素の(1,1-ジフルオロ-4-フェニル)-1-ブテンに対する添加量を表1に示す当量に変更した以外は実施例2で記載の方法と同様に操作し、実施例2と同じフルオロエーテルを合成した。実施例3については、得られた反応混合物に亜硫酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下し、ジエチルエーテルで抽出後、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製することで単離収率94%で生成物を得た。
【0097】
【0098】
実施例4 (1,1-ジフルオロ-2-ブロモ-4-フェニルブトキシ)パーフルオロヘキサンの臭素後入れ条件での合成
窒素雰囲気下で、10mLの硝子容器にフッ化カリウム5.8mg、パーフルオロヘキサノイルフルオライド31.6mg、トリグライム0.9mLを加え、15分撹拌した。当該容器に(1,1-ジフルオロ-4-フェニル)-1-ブテン16.8mgを加えた。当該容器に1.0mol/L臭素トリグライム溶液0.1mLを加え、室温で18時間攪拌し、19F NMRで解析したところ、表題のフルオロエーテルが48%の収率で生成していた。
【0099】
実施例5及び6 (1,1-ジフルオロ-2-ブロモ-4-フェニルブトキシ)パーフルオロヘキサンの臭素後入れ条件での合成
パーフルオロヘキサノイルフルオライド、フッ化カリウム、及び臭素の(1,1-ジフルオロ-4-フェニル)-1-ブテンに対する添加量を表2に示す当量に変更した以外は実施例4で記載の方法と同様に操作し、実施例4と同じフルオロエーテルを合成した。
【0100】
【0101】
比較例2 ベンジル(2-ブロモ-3,3-ジフルオロ-3-パーフルオロヘキシロキシ)プロパネートの臭素先入れ条件での合成
窒素雰囲気下で、20mL容の硝子容器にフッ化カリウム52.5mg、パーフルオロヘキサノイルフルオライド284mg、トリグライム2.7mLを加え、15分撹拌した。当該容器に3.0mol/L臭素トリグライム溶液0.3mLを加え、15分撹拌した。当該容器にベンジル(3,3-ジフルオロ)-アクリレート59.5mgを加え、室温で6時間攪拌した。得られた反応混合物に亜硫酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下し、ジエチルエーテルで抽出した。19F NMRで解析したところ、表題のフルオロエーテルが3%の収率で生成していた。
19F NMR(282MHz, CDCl3):δ -71.7~-73.1(m, 2F), -81.0(t-like, 3F), -83.8~-83.4(br, 2F), -122.5(br, 2F), -123.1(br, 2F), -125.8(br, 2F), -126.3~-126.4(m, 2F).
【0102】
実施例7 ベンジル(2-ブロモ-3,3-ジフルオロ-3-パーフルオロヘキシロキシ)プロパネート臭素後入れ条件での合成
窒素雰囲気下で、20mL容の硝子容器にフッ化カリウム52.2mg、パーフルオロヘキサノイルフルオライド284mg、トリグライム2.7mLを加え、15分撹拌した。当該容器にベンジル(3,3-ジフルオロ)-アクリレート59.3mgを加えた。当該容器に3.0mol/L臭素トリグライム溶液0.3mLを加え、室温で6時間攪拌した。得られた反応混合物に亜硫酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下し、ジエチルエーテルで抽出した。19F NMRで解析したところ、表題のフルオロエーテルが21%の収率で生成していた。
【0103】
実施例8 ヨウ素後入れ条件での(1,1-ジフルオロ)アルケン類のヨード-パーフルオロヘキシロキシ化
窒素雰囲気下で、20mL容の硝子容器にフッ化カリウム52.3mg、パーフルオロヘキサノイルフルオライド284mg、トリグライム3.0mLを加え、15分撹拌した。当該容器に相当する原料の(1,1-ジフルオロ)アルケン0.3mmolを加えた。当該容器にヨウ素228mgを加え、室温で6時間攪拌した。得られた反応混合物に亜硫酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下し、ジエチルエーテルで抽出した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、表題のフルオロエーテルを得た。スキームと結果を表3に示す。
【0104】
【0105】
実施例9 臭素後入れ条件での(1,1-ジフルオロ)アルケン類のブロモ-パーフルオロヘキシロキシ化
窒素雰囲気下で、20mL容の硝子容器にフッ化カリウム52.3mg、パーフルオロヘキサノイルフルオライド284mg、トリグライム2.7mLを加え、15分撹拌した。当該容器に相当する原料の(1,1-ジフルオロ)アルケン0.3mmolを加えた。当該容器に3.0mol/L臭素トリグライム溶液0.3mLを加え、室温で6時間攪拌した。得られた反応混合物に亜硫酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下し、ジエチルエーテルで抽出した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、表題のフルオロエーテルを得た。スキームと結果を表4に示す。
【0106】
【0107】
実施例10 (1,1-ジフルオロ-2-ヨード-4-フェニルブトキシ)パーフルオロプロパンのヨウ素後入れ条件での合成
窒素雰囲気下で、10mLの硝子容器(容器A)にフッ化ナトリウム779mg、石川試薬2.7mLを加えた。容器Aを-78℃以下に冷却し、ペンタフルオロプロパン酸0.78mLを加えた。容器Aを室温で2時間撹拌した。窒素雰囲気下で25mLの硝子容器(容器B)にフッ化カリウム87.2mg、トリグライム5mLを加えた。容器Bへ容器Aを接続した。容器Aを50℃で2時間撹拌し、同時に容器Bを-20℃で2時間撹拌した。容器Aと容器Bの接続を解除した。容器Bに(1,1-ジフルオロ-4-フェニル)-1-ブテン50.5mgを加えた。容器Bに1.5mol/Lヨウ素トリグライム溶液1.0mLを加え、室温で6時間攪拌し、19F NMRで解析したところ、表題のフルオロエーテルが65%の収率で生成していた。
【0108】
実施例11
用いるカルボン酸を変更しヨウ素を臭素に変更する以外は、実施例10に記載の方法と同様に操作し、各種フルオロエーテルを合成した。スキームと結果を表5に示す。
【表5】
【0109】
実施例12
ヘキサノイルフルオライドの当量及びフッ化カリウムの当量を変更したこと、並びにヨウ素の代わりにトリクロロシアヌル酸(TCCA)を用いたこと以外は実施例2に記載の方法と同様に操作し、フルオロエーテルを合成した。スキームと結果を下記に示す。
【化9】
【0110】
実施例13 (1,1-ジフルオロ-2-クロロ-4-フェニルブトキシ)パーフルオロヘキサンの塩素後入れ条件での合成
窒素雰囲気下で、30mL容の硝子容器にフッ化カリウム52.3mg、パーフルオロヘキサノイルフルオライド284mg、トリグライム3.0mLを加え、15分撹拌した。当該容器に(1,1-ジフルオロ-4-フェニル)-1-ブテン50.5mgを加えた。当該容器を0℃に冷却し、塩素Cl2357mgを加え、室温で6時間攪拌した。得られた反応混合物に亜硫酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下し、ジエチルエーテルで抽出した。19F NMRで解析したところ、表題のフルオロエーテルが74%の収率で生成していた。
19F NMR(282MHz, CDCl3):δ-77.2 to -77.3 (m, 2F), -81.2 (t, J = 9.9 Hz, 3F), -83.8 (br, 2F), -122.7 (br, 2F), -123.2 to -123.3 (m, 2F), -126.0 (br, 2F), -126.5 to -126.6 (m, 2F).