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特開2024-180579ジョイントカバーおよびジョイントカバーを備えたワイヤハーネス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180579
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ジョイントカバーおよびジョイントカバーを備えたワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/10 20060101AFI20241219BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H02G15/10
H01B7/00 301
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024180543
(22)【出願日】2024-10-16
(62)【分割の表示】P 2021012113の分割
【原出願日】2021-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】大口 修平
(57)【要約】
【課題】接続電線の接続部にその軸線方向への引張り力が作用した際においても、接続部が絶縁体で形成されたカバー本体から抜け出さないように該カバー本体に収容した状態に保つこと。
【解決手段】複数の電線を接続部7で接続した接続電線5の少なくとも接続部7を内部に収容する、絶縁体から成るカバー本体11が備えられ、接続電線5における、カバー本体11に収容される部分5Aの少なくとも一部の向きを、カバー本体11から延出する部分5Bの延出方向に対して交差する向きにガイドするガイド部17Cが、カバー本体11に設けられた。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電線を接続部で接続した接続電線の少なくとも上記接続部を内部に収容する、絶縁体から成るカバー本体が備えられ、
上記接続電線における、上記カバー本体に収容される部分を被収容電線とするとともに、上記カバー本体から延出する部分を延出電線とし、
上記カバー本体に、
上記被収容電線の少なくとも一部の向きを、上記延出電線の延出方向に対して交差する向きにガイドするガイド部が設けられ、
上記延出電線の延出方向に直交する方向において、上記カバー本体に対して両側に隣接配置される一対の隣接カバー本体のうち、一方側の上記隣接カバー本体が隣接する側の上記カバー本体における部位には、
一方側の上記隣接カバー本体に設けられた第1係合部と係合される第2係合部が設けられるとともに、
他方側の上記隣接カバー本体が隣接する側の上記カバー本体における部位には、
他方側の上記隣接カバー本体に設けられた上記第2係合部と係合される上記第1係合部が設けられた
ジョイントカバー。
【請求項2】
上記カバー本体に、上記被収容電線を収容する収容部が設けられ、
上記収容部には、少なくとも上記接続部を収容する中央収容部分と、該中央収容部分を隔てた各側に設けられた外側収容部分とが備えられ、
上記ガイド部は、上記中央収容部分又は/及び上記外側収容部分の少なくとも一部に設けられた
請求項1に記載のジョイントカバー。
【請求項3】
上記中央収容部分は、上記延出電線の延出方向と略平行に設けられ、
上記外側収容部分は、少なくとも一部が、上記延出電線の延出方向に対して交差する向きに設けられ、
上記ガイド部は、上記外側収容部分の上記少なくとも一部によって形成された
請求項2に記載のジョイントカバー。
【請求項4】
上記収容部の両端は、上記延出電線の延出方向に沿って互いに同軸上に設けられた
請求項3に記載のジョイントカバー。
【請求項5】
上記第1係合部は、上記延出方向に沿って延びるピンで形成され、
上記第2係合部は、上記ピンを挿入して係合するピン係合穴で形成された
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のジョイントカバー。
【請求項6】
複数の幹線を同一方向に束ねたハーネス本体を備えるとともに、該ハーネス本体の周方向に配設されるジョイントカバーを複数備えたワイヤハーネスであって、
上記ジョイントカバーは、
複数の電線を接続部で接続した接続電線の少なくとも上記接続部を内部に収容する、絶縁体から成るカバー本体が備えられ、
上記接続電線における、上記カバー本体に収容される部分を被収容電線とするとともに、上記カバー本体から延出する部分を延出電線とし、
上記カバー本体に、
上記被収容電線の少なくとも一部の向きを、上記延出電線の延出方向に対して交差する向きにガイドするガイド部が設けられ、
上記ハーネス本体の外周に配設した複数の上記ジョイントカバーの夫々は、周方向の一方側に隣接配置した一方側の上記ジョイントカバーとの隣接部位に、一方側の上記ジョイントカバーに設けられた第1係合部と係合される第2係合部が設けられるとともに、
周方向の他方側に隣接配置した他方側の上記ジョイントカバーとの隣接部位に、他方側の上記ジョイントカバーに設けられた上記第2係合部と係合される上記第1係合部が設けられ、
複数の上記ジョイントカバーの夫々と、周方向の上記一方側又は/及び上記他方側に隣接配置した上記ジョイントカバーとは、上記第1係合部と上記第2係合部とが係合されていることを特徴とする
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の電線を接続部で接続した接続電線の少なくとも上記接続部を覆うジョイントカバーおよびジョイントカバーを備えたワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤハーネスは、多数の幹線を束ねた幹線群(ハーネス本体)と、この幹線群から必要に応じて枝線を分岐させた分岐部を有しており、分岐部において、枝線の一方の末端が幹線群の中の分岐対象となる幹線にスプライス接続されている。なお、車両において搭載される車両用のワイヤハーネスにおいて枝線の他方の末端は、車内に配置された各種電気機器とコネクタ等によって接続される。
【0003】
従来より、分岐部において枝線と幹線とからなる2本の電線をスプライス接続する場合、幹線の軸線方向の分岐部に相当する中間で絶縁被覆を皮剥ぎするとともに、枝線の一方の末端における絶縁被覆を皮剥ぎする。そして、枝線と幹線との両者における、露出させた導体(芯線)に例えば、スプライス端子(「スプライスジョイント」とも称する)を加締め圧着する。これにより、ワイヤハーネスの分岐部において両電線が接続された接合部が形成される。その後、両電線の接合部は、ジョイント端子や電線の導体の露出部分が覆われるように絶縁テープで巻き付けられる(例えば、特許文献1の図5参照)。
【0004】
しかしながら例えば、ワイヤハーネスの配索作業中に、絶縁テープが、接続部から外れるなどして該接続部に対して電線の軸線方向に位置ずれしてしまい、接続部においてジョイント端子等が露出する不具合が発生することが懸念される。このような課題は特に細物電線同士をジョイント端子で接続した場合に特に生じ易い。
【0005】
対策として、接続部に巻き付けた絶縁テープに対して、さらに外側から絶縁テープを補強する補強テープを巻き付けることで上述した絶縁テープの位置ずれを防止しているが、コストや配索時の作業量が増加するという別の課題が生じる。
【0006】
また例えば、大物のワイヤハーネスにおいては、接続部が多数存在することから、ハーネス本体から枝線を分岐させるうえで適した箇所において、接続部を周方向に互いに極力近接するように配置させたい場合がある。しかしながら、上述したように、接続部に巻き付けた絶縁テープが位置ずれするおそれがあるため、接続部を互いに近接した位置に配置することが制限されるおそれがある。すなわち、このような場合には、ハーネス本体から枝線を分岐させるうえで適した箇所において分岐部を配置できないことから、結果として枝線の長さを最適な長さに設定できないという課題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11-233168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、接続電線の接続部が絶縁体で形成されたカバー本体から抜け出ることなく、該カバー本体に収容した状態に保つことができるジョイントカバーおよびジョイントカバーを備えたワイヤハーネスの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のジョイントカバーは、複数の電線を接続部で接続した接続電線の少なくとも上記接続部を内部に収容する、絶縁体から成るカバー本体が備えられ、上記接続電線における、上記カバー本体に収容される部分を被収容電線とするとともに、上記カバー本体から延出する部分を延出電線とし、上記カバー本体に、上記被収容電線の少なくとも一部の向きを、上記延出電線の延出方向に対して交差する向きにガイドするガイド部が設けられ、上記延出電線の延出方向に直交する方向において、上記カバー本体に対して両側に隣接配置される一対の隣接カバー本体のうち、一方側の上記隣接カバー本体が隣接する側の上記カバー本体における部位には、一方側の上記隣接カバー本体に設けられた第1係合部と係合される第2係合部が設けられるとともに、他方側の上記隣接カバー本体が隣接する側の上記カバー本体における部位には、他方側の上記隣接カバー本体に設けられた上記第2係合部と係合される上記第1係合部が設けられたものである。
【0010】
上記構成によれば、接続電線に該接続電線の軸線方向への引張り力が作用した際に、接続部がカバー本体から抜け出ることを防止することができる。
【0011】
従って、接続部は、所定の配置箇所において、絶縁体で形成されたカバー本体に収容した状態に保つことができる。
【0012】
すなわち従来より、接続部に対して、導体が露出しないように絶縁テープを巻き付けることが行われていたが、本発明は、絶縁テープと同様に接続部に対して外側から配置されるカバー本体が、接続部に対して位置ずれすることがない。よって、複数の接続部を互いに近接させて配置させても電気的な信頼性を維持することができる。
【0013】
また、本発明においては、カバー本体が接続部に対して位置ずれすることがないため、従来のように例えば絶縁テープが接続部に対して位置ずれすることを考慮して接続部を他の接続部の配置箇所に対して意図的にずらして配置する必要がない。よって、本発明は、電線をワイヤハーネスにおける枝線に適用した場合において、枝線を適切な長さに設定することができる。
【0014】
また、上記延出電線の延出方向に直交する方向において、上記カバー本体に対して両側に隣接配置される一対の隣接カバー本体のうち、一方側の隣接カバー本体が隣接する側の上記カバー体における部位には、一方側の上記隣接カバー本体に設けられた第1係合部と係合される第2係合部が設けられるとともに、他方側の隣接カバー本体が隣接する側の上記カバー体における部位には、他方側の上記隣接カバー本体に設けられた第2係合部と係合される第1係合部が設けられたものである。
【0015】
上記構成によれば、複数のジョイントカバーを隣接配置させた際においても、隣接配置するジョイントカバーにおける、夫々に設けた第1係合部と第2係合部とを係合することで、互いの相対位置を規制することができる。
【0016】
よって、例えば、複数のジョイントカバーを、ワイヤハーネスの分岐箇所において、ハーネス本体の外周に配置する場合においても周方向に整列した状態に保つことができる。
【0017】
この発明の態様として、上記カバー本体に、上記被収容電線を収容する収容部が設けられ、上記収容部には、少なくとも上記接続部を収容する中央収容部分と、該中央収容部分を隔てた各側に設けられた外側収容部分とが備えられ、上記ガイド部は、上記中央収容部分又は/及び上記外側収容部分の少なくとも一部に設けられたものである。
【0018】
上記構成によれば、接続電線に、該接続電線の軸線方向への引張り力が作用した際に、上記中央収容部分又は/及び上記外側収容部分の少なくとも一部に設けられたガイド部は、上記収容部に収容された上記被収容電線の少なくとも一部をガイドすることができる。これにより、本発明のジョイントカバーは、接続部がカバー本体から抜け出ないようにガイドすることができる。
【0019】
従って、本発明のジョイントカバーは、中央収容部分に、少なくとも上記接続部が収容され、外側収容部分に、上記被収容電線の少なくとも上記接続部に対して外側部分が収容されるため、上記被収容電線が上記収容部から抜け出ることなく収容できる。
【0020】
なお、上記構成において、上記カバー本体は、中央収容部分が、接続部の長さよりも長く形成されるとともに、接続部がスライド可能にガイドされる位置にガイド部が設けられた構成を採用することが好ましい。この構成の場合には、サイズが異なる端子で加締め圧着する等して形成した、サイズが異なる接続部でも中央収容部分に収容することができる。しかも、このようなサイズが異なる接続部でも、上記カバー本体から抜けないようにガイド部によって規制することができる。
【0021】
よって、汎用性の高いジョイントカバーを構成することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、上記中央収容部分は、上記延出電線の延出方向に対して傾斜状に設けられ、上記ガイド部は、上記中央収容部分によって形成されたものである。
【0023】
上記構成によれば、上記ガイド部を構成する上記中央収容部分で上記接続部の移動を規制して上記カバー体からの抜け出しを防止できる。また、上記中央収容部分に設けられた上記ガイド部の長さを、少なくとも接続部をガイド可能な長さに確保しながら、カバー本体の、上記延出電線の延出方向に沿った長さをコンパクトにすることができる。
【0024】
またこの発明の態様として、上記中央収容部分は、上記延出電線の延出方向に対して傾斜状に設けられ、上記外側収容部分の少なくとも一部は、上記中央収容部分と交差する向き(逆勾配)に傾斜状に設けられ、上記ガイド部は、上記中央収容部分および上記外側収容部分の上記少なくとも一部によって形成されたものである。
【0025】
上記構成によれば、傾斜状のガイド部を、例えば上記中央収容部分と上記外側収容部分とのうち、何れか一方のみに形成した場合と比して、上記中央収容部分に収容した接続部が、上記中央収容部分と上記外側収容部分との境界部に位置する上記ガイド部において、より引掛かり易くすることができる。
【0026】
すなわち、上記被収容電線における、上記接続部以外の電線が上記外側収容部分によってガイドされるため、接続部をカバー体から抜けないように規制することができる。
【0027】
またこの発明の態様として、上記中央収容部分は、上記延出電線の延出方向と略平行に設けられ、上記外側収容部分は、少なくとも一部が、上記延出電線の延出方向に対して交差する向きに設けられ、上記ガイド部は、上記外側収容部分の上記少なくとも一部によって形成されたものである。
【0028】
上記構成によれば、中央収容部分に収容された被収容電線は、延出電線の延出方向と平行に収容されるのに対して、上記外側収容部分のガイド部に収容された被収容電線は、上記延出電線の延出方向に対して交差する向きにガイドされることになる。よって、上記外側収容部分の少なくとも一部をガイド部として形成することで、該ガイド部に収容された被収容電線を、上記中央収容部分の側と、カバー体から上記延出電線が延出される側との双方に対して交差する向きにガイドすることができる。
【0029】
換言すると、上記外側収容部分をガイド部として形成することで、上記延出電線の延出方向と、該延出方向に交差する方向との間で上記接続電線の向きが変化する変曲部(方向転換部)を複数設けることができる。
【0030】
従って、上記外側収容部分に、変曲部(方向転換部)を1つだけ設ける構成と比して、上記中央収容部分に収容された接続部が上記ガイド部によってカバー本体から抜け難くすることができる。
【0031】
またこの発明の態様として、上記収容部の両端は、上記延出電線の延出方向に沿って互いに同軸上に設けられたものである。
【0032】
上記構成によれば、カバー本体に対して一方と他方との上記延出電線が、延出方向に直交する方向に互いにずれるずれ幅を解消することができる。
【0033】
従って、例えば、接続電線が、幹線と、該幹線の軸線方向の中間部に対してスプライス接続した枝線とからなる場合において、接続電線をハーネス本体(複数の幹線を束ねた幹線群)に対して所定の位置に配索することができる。
【0034】
またこの発明の態様として、上記第1係合部は、上記延出方向に沿って延びるピンで形成され、上記第2係合部は、上記ピンを挿入して係合するピン係合穴で形成されたものである。
【0035】
上記構成によれば、隣接配置させた複数のジョイントカバー同士が接触するなどして外力(すなわち周方向の外力)が加わっても、意に反して係合が外れることがなく、強固な係合状態を維持することができる。
【0036】
この発明は、複数の幹線を同一方向に束ねたハーネス本体を備えるとともに、該ハーネス本体の周方向に配設されるジョイントカバーを複数備えたワイヤハーネスであって、上記ジョイントカバーは、複数の電線を接続部で接続した接続電線の少なくとも上記接続部を内部に収容する、絶縁体から成るカバー本体が備えられ、上記接続電線における、上記カバー本体に収容される部分を被収容電線とするとともに、上記カバー本体から延出する部分を延出電線とし、上記カバー本体に、上記被収容電線の少なくとも一部の向きを、上記延出電線の延出方向に対して交差する向きにガイドするガイド部が設けられ、上記ハーネス本体の外周に配設した複数の上記ジョイントカバーの夫々は、周方向の一方側に隣接配置した一方側の上記ジョイントカバーとの隣接部位に、一方側の上記ジョイントカバーに設けられた第1係合部と係合される第2係合部が設けられるとともに、周方向の他方側に隣接配置した他方側の上記ジョイントカバーとの隣接部位に、他方側の上記ジョイントカバーに設けられた上記第2係合部と係合される上記第1係合部が設けられ、複数の上記ジョイントカバーの夫々と、周方向の上記一方側又は/及び上記他方側に隣接配置した上記ジョイントカバーとは、上記第1係合部と上記第2係合部とが係合されていることを特徴とする。
【0037】
上記構成によれば、複数のジョイントカバーを、ワイヤハーネスの例えば、分岐部において、ハーネス本体の外周に隣接配置させたジョイントカバーにおける、夫々に設けた第1係合部と第2係合部とを係合することができる。これにより、隣接配置させた複数のジョイントカバーを周方向に整列した状態に保つことができる。
【発明の効果】
【0038】
上記構成によれば、接続電線の接続部が絶縁体で形成されたカバー本体から抜け出ることなく、該カバー本体に収容した状態に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本実施形態のワイヤハーネスの所定の分岐箇所を示す外観図
図2】本実施形態のスプライスジョイントカバーを蓋を開いた状態で示した外観図
図3】(a)は本実施形態のカバー本体に接続電線の接続部を収容した状態を幅方向、奥行方向および高さ方向の夫々の一方側から視た外観図、(b)は同じく幅方向、奥行方向および高さ方向の夫々の他方側から視た外観図
図4】蓋を開いた状態の本実施形態のスプライスジョイントカバーの要部を示す平面図
図5】本実施形態のスプライスジョイントカバーに接続電線の接続部を収容する直線の様子を示す斜視図
図6】本実施形態のスプライスジョイントカバーの作用説明図
図7】変形例1のスプライスジョイントカバーを図4に対応して示した平面図
図8】変形例2のスプライスジョイントカバーを図4に対応して示した平面図
図9】変形例3のスプライスジョイントカバーを図4に対応して示した平面図
図10】本実施形態のワイヤハーネスの所定の分岐箇所の他の形態を示す外観図
図11】(a)は分岐箇所にテープ巻きした状態の図1のA-A線矢視相当図、(b)は図11(a)においてスプライスジョイントカバーを追加した図1のA-A線矢視相当図
図12】(a)は図10のB-B線矢視図、(b)は図12(a)において分岐箇所にテープ巻きした状態の図10のB-B線矢視相当図
【発明を実施するための形態】
【0040】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1は本実施形態のワイヤハーネス1の所定の分岐箇所Dを示す外観図、図2は本実施形態のスプライスジョイントカバー10を蓋12を開いた状態で示した外観図である。図3(a)(b)は本実施形態のカバー本体11に接続電線5の接続部7を収容した状態を示す外観図であって、図3(a)はカバー本体11を幅方向X、奥行方向Yおよび高さ方向Zの夫々の一方側X1,Y1,Z1から視た斜視図、図3(b)はカバー本体11を幅方向X、奥行方向Yおよび高さ方向Zの夫々の他方側X2,Y2,Z2から視た斜視図である。
【0041】
図4は蓋12を開いた状態の本実施形態のスプライスジョイントカバー10の要部を示す平面図、図5は本実施形態のスプライスジョイントカバー10に接続電線5の接続部7を収容する直前の様子を示す斜視図である。
【0042】
図6(a)(b)は本実施形態のスプライスジョイントカバー10の作用説明図であって、図6(a)は収容部13に収容された接続電線5の接続部7に軸線方向(奥行方向Y)の一方側Y1から引張り力が加わった際の作用を示す平面図であり、図6(b)は収容部13に収容された接続電線5の接続部7に軸線方向の他方側Y2から引張り力が加わった際の作用を示す平面図である。また図11(a)は図1のA-A線矢視図である。
なお、図1図5および後述する図10図11(a)(b)における電線(幹線3および枝線4)においては、内部構造の図示を省略している。また、図3(a)(b)、図5においては、スプライスジョイントカバー10に備えた蓋12の図示を省略している。
【0043】
図1に示すワイヤハーネス1は、車両に搭載される車両用のワイヤハーネスであって、複数の幹線3を同一方向を向くように束ねたハーネス本体2を備えている。ハーネス本体2は、ワイヤハーネス1の配索経路に沿って配索されている。
【0044】
図1図11(a)は、本実施形態のワイヤハーネス1の配索経路において、ハーネス本体2から枝線4を分岐させた所定の分岐箇所Dを示している。図1図11(a)に示すように、本実施形態においては、ワイヤハーネス1の所定の分岐箇所Dにおけるハーネス本体2から3本の枝線4を分岐させている。
【0045】
所定の分岐箇所Dにおける3つの分岐部(スプライス部)Daにおいては何れも、ハーネス本体2を構成する複数の幹線3のうちの所定の1本の幹線3の中間部3m(図5参照)から1本の枝線4を分岐させている。
【0046】
所定の分岐箇所Dから分岐された枝線4は、車内に配置された各種電気機器のコネクタ(図示省略)に向けて延出され、該コネクタに接続されている。また、図5に示すように、幹線3と枝線4とは共にアルミ又はアルミ合金から成る芯線(導体)3a,4aを絶縁被覆3b,4bで被覆した絶縁被覆電線である。
【0047】
分岐部Daにおいて、所定の幹線3と枝線4とは、所定の幹線3の中間部3mの絶縁被覆3bと、枝線4の先端部の絶縁被覆4bを剥いで夫々の導体3a,4aを露出させ、さらに両電線3,4の導体3a,4a同士を重ね合わせて外側からスプライス端子(ジョイント端子)6を被せ、圧着して接続されている(図5参照)。
これにより、所定の幹線3と枝線4(以下、「接続電線5」とも称する)とは、分岐部Daにおいて接続部7が形成されている(図3(a)参照)。
【0048】
ワイヤハーネス1の所定の分岐箇所Dには、3つの分岐部Daの夫々に対応して3本の接続電線5が形成されており、これら接続電線5の夫々における少なくとも接続部7がスプライスジョイントカバー(以下、「ジョイントカバー」と略記する)10によって1つずつ保持されている。
【0049】
すなわち、図1図11(a)に示すように、本実施形態のジョイントカバー10は、ワイヤハーネス1の所定の分岐箇所Dにおいて、分岐部Daの数に対応して3つを備えており、夫々ハーネス本体2の周方向において隣接した状態で配設されている。
【0050】
続いて、本実施形態のジョイントカバー10について主に図2図3(a)(b)、図4図5を用いて説明する。
但し、図中の矢印Zはジョイントカバー10の高さ方向、矢印Xはジョイントカバー10の幅方向、矢印Yはジョイントカバー10の奥行方向を夫々示している。さらに、矢印Z1は高さ方向Zの一方側、矢印X1は幅方向Xの一方側、矢印Y1は奥行方向Yの一方側を夫々示している。矢印Z2は高さ方向Zの他方側、矢印X2は幅方向Xの他方側、矢印Y2は奥行方向Yの他方側を夫々示している。
【0051】
なお、図1図11(a)に示すように、ジョイントカバー10をハーネス本体2の外周に配置した状態において、高さ方向Zはハーネス本体2の径方向と略一致する。同様に、高さ方向Zの一方側Z1はハーネス本体2の径外方向と、高さ方向Zの他方側Z2はハーネス本体2の径内方向と、夫々略一致する。また、幅方向Xはハーネス本体2の周方向と、奥行方向Yはハーネス本体2の配索方向と、夫々略一致する。
【0052】
図2図3(a)(b)、図4図5に示すように、本実施形態のジョイントカバー10は、接続電線5の少なくとも接続部7を収容するカバー本体11と、蓋12(図2図4参照)とが備えられ、全体が合成性樹脂により絶縁性を有して一体成形されている。
【0053】
ここで、図4図5に示すように、接続電線5の軸線方向における、カバー本体11に収容される部分を、以下、「被収容電線5A」に設定するとともに、カバー本体11から延出する部分を以下、「延出電線5B」に設定する。
【0054】
特に、図2図4に示すように、カバー本体11には、被収容電線5Aを内部に収容する収容部13が設けられている。
図2図3(a)、図4に示すように、収容部13は、カバー本体11に後述するように蓋12(図2参照)をした状態において、カバー本体11の奥行方向Yに対して一方側Y1と他方側Y2との間で貫通形成されている。
【0055】
すなわち、収容部13は、カバー本体11の奥行方向Yに対して一方側Y1と他方側Y2とで連通している。これにより、収容部13の奥行方向Yの一方側Y1の端部は、カバー本体11に対して奥行方向Yの一方側Y1に向けて開口する開口部13aが形成される。さらに、収容部13の奥行方向Yの他方側Y2の端部は、カバー本体11に対して奥行方向Yの他方側Y2に向けて開口する開口部13bが形成されている。
【0056】
収容部13は、接続電線5の配索経路と一致する奥行方向Yに沿って被収容電線5Aにおける接続部7の太さよりも若干大きな内径、すなわち、接続部7の幅方向Xの長さを有するように、奥行方向Yの全長に亘って略同じ内径を有するように連続して形成されている。
【0057】
また、図2図3(a)、図4に示すように、収容部13は、上記被収容電線5Aの軸線方向における、少なくとも接続部7を収容する中央収容部分14と、奥行方向Yにおける、該中央収容部分14を隔てた各側に設けられた外側収容部分15a,15bとを備えている。
【0058】
本実施形態における中央収容部分14は、接続部7よりも長い長さを有している。また、本実施形態における中央収容部分14の両端側と、両側の外側収容部分15a,15bとに亘る部分は、延出電線5Bにおける、接続部7から夫々に対応する側へ延出する延出部分5A1(図5参照)を収容可能な長さを有している。
【0059】
本実施形態における両側の外側収容部分15a,15bは、奥行方向Yと平行に延びる直線状に形成されている。すなわち、両側の外側収容部分15a,15bは、延出電線5Bの延出方向と略一致する方向に形成されている。なお、図1に示すように、延出電線5Bの延出方向は、分岐箇所Dにおける、ハーネス本体2(幹線3)の配索方向と略一致する方向に形成されている。
【0060】
但し、図4に示すように、奥行方向Yの一方側Y1の外側収容部分15a(開口部13a)は幅方向Xの一方側X1に位置し、奥行方向Yの他方側Y2の外側収容部分15b(開口部13b)は幅方向Xの他方側X2に位置することで、幅方向Xに互いにずらして形成されている。
【0061】
一方、中央収容部分14は、該中央収容部分14の延在方向の全長に亘って、幅方向Xに迂回するように、奥行方向Yに対して傾斜する直線状に形成されている。当例においては、中央収容部分14は、奥行方向Yの他方側Y2ほど幅方向Xの他方側X2に位置する向きに傾斜して形成され、奥行方向Yに対して約18度の傾斜角度で形成されている。
【0062】
すなわち、収容部13は、幅方向Xに互いにずらして形成した、一方側Y1の外側収容部分15aの奥行方向Yの他方側Y2の端部と、他方側Y2の外側収容部分15bの奥行方向Yの一方側Y1の端部とを、傾斜状に形成した中央収容部分14によって連結するように形成されている。
【0063】
上述したように、両側の外側収容部分15a,15bは、奥行方向Yと平行な方向に形成されるのに対して、中央収容部分14は、奥行方向Yに対して傾斜する方向に形成される。このため、図4に示すように、一方の外側収容部分15aと中央収容部分14との境界部、他方の外側収容部分15bと中央収容部分14との境界部には共に、変曲部(方向転換部)16が形成される。これら変曲部16は共に、収容部13の延在方向における、奥行方向Yと平行な方向と、奥行方向Yに対して傾斜する方向との間で方向が変化する部位に相当する。
【0064】
ここで、図2図3(a)、図4に示すように、カバー本体11には、被収容電線5Aの少なくとも一部の向きを、奥行方向Yに対して交差する向きにガイドするガイド部17が設けられている。
【0065】
このガイド部17は、中央収容部分14又は/及び外側収容部分15a,15bの少なくとも一部に設けられる。本実施形態において、ガイド部17は、中央収容部分14の延在方向の全長に亘って形成される。すなわち、本実施形態において、ガイド部17は、中央収容部分14によって形成されており、被収容電線5Aにおける、中央収容部分14に収容された少なくとも接続部7を、奥行方向Yに対して傾斜する向きにガイドする。上述した変曲部16は、ガイド部17(中央収容部分14)の延在方向の両端部に形成されている。
【0066】
図2図3(a)(b)、図4に示すように、カバー本体11は、高さ方向Zの他方側Z2に設けられた基底部21(図2図3(a)(b)参照)と、該基底部21から高さ方向Zの一方側Z1へ立設する側壁部22a,22bとで一体形成されている。
【0067】
図1図11(a)に示すように、ハーネス本体2の外周にカバー本体11が配置された状態において、カバー本体11は、該カバー本体11の高さ方向Zの他方側Z2に位置する基底部21がハーネス本体2の外周に設置される。図2図3(a)、図4に示すように、側壁部22a,22bは、カバー本体11の幅方向Xにおける、収容部13を隔てた各側に縦壁状に形成されている。これら一対の側壁部22a,22bと基底部21とによって、カバー本体11は、高さ方向Zの一方側Z1に向けて開口する上記収容部13が形成されている。
【0068】
図2図3(a)(b)、図5に示すように、収容部13における、高さ方向Zの一方側Z1に向けて開口する開口部(12c)は、ハーネス本体2の外周にカバー本体11が配置された状態において、ハーネス本体2の径方向の外側へ向けて開口するため、該開口部(12c)を以下、径外側開口部12cに設定する。
【0069】
すなわち、収容部13は、径外側開口部12cを有することにより、奥行方向Yの全長に亘ってカバー本体11の高さ方向Zの一方側Z1の面から他方側に向けて凹状に形成されている。さらに、図3(a)に示すように、収容部13は、奥行方向Yの全長に亘って被収容電線5Aの少なくとも接続部7を収容可能とする深さを有するように高さ方向Zの一方側Z1の面から他方側Z2へ基底部21に至るまで形成されている。
【0070】
このように、収容部13は、奥行方向Yの全長に亘って径外側開口部12cが形成されているため、後述する蓋12で閉塞されていない状態においては、図5に示すように、接続電線5を接続部7を含めて、径外側開口部12cから収容部13に差し込むことができる(図5中の白抜き矢印参照)。これにより、収容部13は、接続電線5を収容部13に差し込むようにして配置するだけで該接続電線5(すなわち被収容電線5A)を容易に収容することができる。
【0071】
すなわち、収容部13は、上述したように、少なくとも中央収容部分14が奥行方向Yに対して幅方向Xに迂回した経路で形成されているが、このように迂回した経路の収容部13に対して接続電線5を、奥行方向Yの一方側Y1の開口部13a又は他方側の開口部13bから挿入させながら収容する必要がない。
【0072】
また、収容部13の径外側開口部12cを後述する蓋12で閉塞することで、収容部13は該収容部13の延在方向の直交断面を閉断面とすることができる。よって、収容部13に径外側開口部12cから収容した接続部7は、絶縁テープで巻き付ける等の処理を施さずとも、該接続部7の絶縁性を確保することができる。
【0073】
また、図2図3(a)、図4に示すように、一対の側壁部22a,22bのうち、収容部13に対して幅方向Xの一方側X1の側壁部22aは、奥行方向Yの一方側Y1が、奥行方向Yの他方側Y2と比して幅広(幅方向Xの他方側X2端が幅方向Xの他方側X2へ位置するよう)に形成されている。
【0074】
換言すると、一方側X1の側壁部22aは、奥行方向Yの一方側Y1に面する外側収容部分15aの内面が、他方側Y2の外側収容部分15bに面する内面よりも幅方向Xの一方側X1へ迫り出すように形成されている。
【0075】
これにより、一方側X1の側壁部22aは、奥行方向Yの一方側Y1が、他方側Y2と比して幅広とした幅広部23a(以下、「一方側の幅広部23a」とも称する)が形成されている。一方側の幅広部23aは、カバー本体11の高さ方向Zの全長に亘って形成されている。一方側の幅広部23aは、該一方側の幅広部23aの高さ方向Zの一方側Z1の面から他方側Z2に向けて凹状とした肉抜き部23cが複数(当例では2つ)形成されている。複数の肉抜き部23cは、奥行方向Yに隣接するように配設されており、これら隣接する肉抜き部23cの間には、幅方向Xに延びる隔壁23dが形成されている。
【0076】
また、一対の側壁部22a,22bのうち、収容部13に対して幅方向Xの他方側X2の側壁部22bは、カバー本体11の幅方向Xおよび奥行方向Yの各中心位置に対して一方側X1の側壁部22aと対称(点対称)となる形状に形成されている。このため、他方側X2の側壁部22bにおいても一方側X1の側壁部22aと同様に幅広部23b(以下、「他方側の幅広部23b」とも称する)が形成されている。すなわち、他方側の幅広部23bにも一方側の幅広部23aと同様に複数(当例では2つ)の肉抜き部23cおよび1つの隔壁23dが形成されている。
【0077】
このように、一対の側壁部22a,22bの夫々には、幅広部23a,23bが形成されているため、これら一対の側壁部22a,22bの間において奥行方向Yに沿って形成された収容部13を、上述したように幅方向Xに迂回した形状とすることができる。
【0078】
さらに、上述したように、一対の側壁部22a,22bは、夫々の幅広部23a,23bに、肉抜き部23cが形成されているため、カバー本体11を軽量化できるとともに不要な材料を省略して形成することができる。しかも、一対の側壁部22a,22bは、夫々隔壁23dが形成されているため、幅広部23a,23bに肉抜き部23cが形成されながらも、カバー本体11の強度を保つことができる。
【0079】
また、図2に示すように、カバー本体11における、高さ方向Zの一方側Z1と幅方向Xの他方側X2との各端部に相当するコーナー部には、薄肉に形成されたヒンジ24を介して蓋12が連結されている。これにより、蓋12はカバー本体11に対して、奥行方向Yに沿って延びるヒンジ24を中心として回動可能に形成され、カバー本体11における収容部13(径外側開口部12c)を高さ方向Zの一方側Z1から閉塞可能に形成されている。
【0080】
なお、本実施形態において、蓋12は、カバー本体11の肉抜き部23cも含めた高さ方向Zの一方側Z1の面全体(一対の側壁部22a,22bと収容部13に相当する部位)を、高さ方向Zの一方側Z1から閉塞可能な大きさを有する平板状に形成され(図1図2参照)、全体が透明色に形成されている。
【0081】
さらに、図1図2に示すように、カバー本体11と蓋12との夫々には、カバー本体11に対して蓋12を係脱可能とする蓋係止構造25,26が設けられている。
図2図3(a)、図4に示すように、カバー本体11側の蓋係止構造25は、蓋12によって収容部13を閉塞した(単に「蓋12を閉塞した」とも称する)とき、蓋12側の蓋係止構造26と係止される嵌込み凹部25aによって形成されている。
【0082】
嵌込み凹部25aは、蓋12を閉塞したとき、蓋12側の蓋係止構造26が嵌め込まれるようにカバー本体11の高さ方向Zの一方側Z1の面から他方側Z2へ向けて凹状に形成されている。嵌込み凹部25aの内部における幅方向Xの一方側X1の面には、幅方向Xの他方側X2へと突き出したカバー本体11側の係止突起25bが形成されている。
【0083】
一方、図2に示すように、蓋12側の蓋係止構造26は、蓋12を閉塞したとき、カバー本体11側の蓋係止構造25に係止される被嵌込み突起26aによって形成されている。被嵌込み突起26aは、蓋12を閉塞したとき、嵌込み凹部25aに嵌め込まれるように、蓋12における、嵌込み凹部25aと高さ方向Zにおいて対向する部位に、嵌込み凹部25aの内部に向けて突出形成されている。被嵌込み突起26aは、該突起26aの突出方向の先端部に、蓋12側の係止突起26bが形成されている。
【0084】
そして、蓋12を閉塞したとき、蓋12側に設けた被嵌込み突起26aは、カバー本体11側に設けた嵌込み凹部25aに嵌め込まれ(図1参照)、蓋12側の係止突起26bとカバー本体11側の係止突起25bとが互いに解除可能に係止される。
【0085】
なお、蓋係止構造25,26は、蓋12側の係止突起26bとカバー本体11側の係止突起25bとを係止した状態において蓋12の閉塞状態を維持し、係止状態を解除した状態において蓋12が開状態となることを許容する。
【0086】
また、図3(a)(b)、図4に示すように、カバー本体11の幅方向Xの一方側X1には、該カバー本体11と、幅方向Xの一方側X1で隣接して配置された他のカバー本体11と係止するためのピン27が設けられている。
【0087】
ピン27は、カバー本体11の幅方向Xの一方側X1の外面に対して該幅方向Xの一方側X1へさらに離間した位置において、奥行方向Yと平行に配置されている。
【0088】
ピン27は、該ピン27の突出方向の基端部が、カバー本体11の幅方向Xの一方側X1の外面における、高さ方向Zおよび奥行方向Yの各端部側のコーナー部にピン支持部27aを介して一体に接合されている。すなわち、ピン27は、奥行方向Yの一方側Y1から他方側Y2へ向けて直線状に突出形成されている。
【0089】
一方、図2図3(b)、図4に示すように、カバー本体11の幅方向Xの他方側X2には、該カバー本体11と幅方向Xの他方側X2で隣接して配置された他のカバー本体11と係止するためのピン係合部28が設けられている。
【0090】
ピン係合部28は、カバー本体11の幅方向Xの他方側X2の面における高さ方向Zの他方側Z2の部位から幅方向Xの他方側X2へ延設されており、奥行方向Yに沿って形成されている。さらに、図2に示すように、ピン係合部28は、奥行方向Yの一方側Y1の端部から他方側Y2へピン係合穴28aが形成されている。
【0091】
ピン係合穴28aは、ピン係合部28においてピン27を挿入可能にピン27の長さより奥行方向Yに深く形成されるとともに、該ピン係合穴28aの周縁によって挿入したピン27を係合可能な内径を有して形成されている。
【0092】
本実施形態のジョイントカバー10は、上述したように、ワイヤハーネス1の分岐箇所Dにおいて、ハーネス本体2の外周面の周方向に沿って複数(当例では3つ)配置されている(図1参照)。
【0093】
さらに、図11(a)に示すように、ワイヤハーネス1は、分岐箇所Dにおいて、ハーネス本体2の外周面に配置した3つのジョイントカバー10のさらに外周側からテープT巻きすることが好ましい。これにより、3つのジョイントカバー10は、ハーネス本体2に対して外れないように一体化することができる。
なお、図11(a)は、ワイヤハーネス1の分岐箇所DをテープT巻きした場合の図1中のA-A線矢視に相当する断面図である。
また、ハーネス本体2に対して3つのジョイントカバー10が外れないように一体化する手段として、上述したように、テープT巻きするに限らず、バンドで固定する等他の外装部材で3つのジョイントカバー10をハーネス本体2に対して固定する構成としてもよい。
【0094】
続いて、ワイヤハーネス1の分岐箇所Dにおいて、ハーネス本体2の外周面の周方向に沿って3つのジョイントカバー10を配置する手順について説明する。
まず、ハーネス本体2の外周面に1つ目のジョイントカバー10(「第1ジョイントカバー10S」とも称する)を配置し、該第1ジョイントカバー10Sに対して、ハーネス本体2の周方向の一方側(幅方向Xの一方側X1)に2つ目のジョイントカバー10(「第2ジョイントカバー10T」とも称する)を隣接配置する。
【0095】
その際、図11(a)に示すように、第1ジョイントカバー10Sの第2ジョイントカバー10Tとの隣接部位に設けられたピン27を、第2ジョイントカバー10Tの第1ジョイントカバー10Sとの隣接部位に設けられたピン係合穴28aに、差し込んで互いに係合(以下、「ピン係合」とも略記する)した状態で互いに隣接配置することができる。
【0096】
さらに、ハーネス本体2の外周面に配置した第2ジョイントカバー10Tに対して、ハーネス本体2の周方向の一方側(幅方向Xの一方側X1)に他のジョイントカバー10(「第3ジョイントカバー10U」とも称する)を隣接配置する。
【0097】
その際、図11(a)に示すように、第2ジョイントカバー10Tと第3ジョイントカバー10Uとの隣接部位に位置するピン27とピン係合穴28aとをピン係合した状態で互いに隣接配置することができる。
【0098】
このように、3つのジョイントカバー10を、ハーネス本体2の周方向の一方側(図11(a)における反時計回り)に1つずつ配置しつつ、隣接するジョイントカバー10同士をピン係合することで、図1に示すように互いに分離しないように配置することができる。
【0099】
さらに、ワイヤハーネス1は、所定の分岐箇所Dにおいて、上述したように、ハーネス本体2の外周面に配置した3つのジョイントカバー10のさらに外周側からテープT巻きすることで、図11(a)に示すように、ハーネス本体2に対して3つのジョイントカバー10を固定することができる。
【0100】
なお、ハーネス本体2の外周面の周方向に沿って複数(当例では3つ)のジョイントカバー10を配置する際には、3つのジョイントカバー10を、上述したように、ハーネス本体2の周方向の一方側(図11(a)における反時計回り)に1つずつ配置するに限らず、周方向の他方側(図11(a)における時計回り)に1つずつ配置してもよい。
【0101】
上述した本実施形態のジョイントカバー10は、図1図2図3(a)(b)、図4に示すように、幹線3と枝線4とを接続部7で接続した接続電線5(図5参照)の少なくとも接続部7を内部に収容する、絶縁体から成るカバー本体11が備えられ、図5に示すように、接続電線5における、カバー本体11に収容される部分を被収容電線5Aとするとともに、カバー本体11から延出する部分を延出電線5Bとし、カバー本体11に、被収容電線5Aの少なくとも一部の向きを、奥行方向Yに対して交差する向きにガイドするガイド部17が設けられたものである(図2図4参照)。
【0102】
上記構成によれば、被収容電線5Aの少なくとも一部の向きを、奥行方向Yに対して交差する向きになるようにガイド部17によってガイドすることができる。
【0103】
例えば、図6(a)に示すように、接続電線5の接続部7に奥行方向Yの一方側Y1に引張り力が作用した際に(図6(a)中の白抜きの矢印参照)、中央収容部分14に収容された接続部7は、中央収容部分14に沿って奥行方向Yの一方側Y1へスライドし、ガイド部17の奥行方向Yの一方側Y1の端部に設けられた変曲部16に引掛かることで、それ以上、奥行方向Yの一方側Y1へスライドすることが規制される。
【0104】
同様に、図6(b)に示すように、接続電線5の接続部7に奥行方向Yの他方側Y2に引張り力が作用した際に(図6(b)中の白抜きの矢印参照)、中央収容部分14に収容された接続部7は、中央収容部分14に沿って奥行方向Yの他方側Y2へスライドし、ガイド部17の奥行方向Yの他方側Y2の端部に設けられた変曲部16に引掛かることで、それ以上、奥行方向Yの一方側Y1へスライドすることが規制される。
【0105】
このように、接続電線5の接続部7に、該接続部7の軸線方向に引張り力が作用した際に、接続部7が、接続部7の所定の配置箇所(カバー本体11)に対して仮に位置ずれしようとしても、ガイド部17において引掛かるなどにより、ガイド部17は、奥行方向Yへの位置ずれに対する抵抗になる。
【0106】
よって、ガイド部17は、接続部7をカバー本体11から抜け出ることを規制することができ、接続部7を、絶縁体で形成されたカバー本体11に収容した状態に保つことができる。
【0107】
すなわち、従来より、接続部7に対して、導体3a,4aが露出しないように絶縁テープを巻き付けることが行われていたが、本実施形態のジョイントカバー10は、絶縁テープと同様に外側から接続部7を覆うように収容することができる。しかも、本実施形態のジョイントカバー10は、絶縁テープのようにカバー本体11が、接続部7に対して位置ずれすることがなく、接続部7の電気的な信頼性を維持することができる。
【0108】
また、従来は、例えば絶縁テープが接続部7に対して位置ずれすることを考慮して接続部7を他の接続部7の配置箇所に対して意図的にずらした位置に配置する必要があった。これに対して、本実施形態においては、カバー本体11が接続部7に対して位置ずれすることがない。このため、接続部7を他の接続部7の配置箇所に対して意図的にずらして配置する必要がない。よって、本実施形態のジョイントカバー10は、枝線4を適切な長さに設定することができるとともに、複数の接続部7を互いに近接させて配置しても接続部7の電気的な信頼性を維持することができる。
【0109】
但し、本発明の接続部(7)は、導体3a,4aが露出しないように絶縁テープを巻き付けた状態で収容部(13)に収容することを排除しない。その場合、収容部(13)を蓋(12)で閉塞しなくても、蓋(12)で閉塞した場合と同様に接続部(7)の絶縁性を確保することができる。しかも、本発明においては、接続部(7)に絶縁テープを巻き付けた場合においても、カバー本体11に設けたガイド部17によって、接続部(7)から絶縁テープが分離してカバー本体(11)から該絶縁テープが抜け出ないように規制することができる。
【0110】
また、本実施形態において、図2図3(a)、図4に示すように、中央収容部分14は、奥行方向Yに対して傾斜状に設けられ、ガイド部17は、中央収容部分14によって形成されている。
【0111】
上記構成によれば、ガイド部17を構成する中央収容部分14に形成されたガイド部17によって、接続部7の奥行方向Yの移動を規制してカバー本体11からの抜け出しを防止できる。
【0112】
また、傾斜状の中央収容部分14の全長に亘ってガイド部17を形成することで、少なくとも接続部7をガイド可能な長さを確保しながら、カバー本体11の奥行方向Yの長さをコンパクトにすることができる。
【0113】
以下、上述した実施形態の変形例1~3に係るジョイントカバー10A,10B,10Cについて説明する。
但し、本実施形態のジョイントカバー10と同様の構成について同一の符号を付してその説明を省略する。
【0114】
(変形例1)
図7は、変形例1のジョイントカバー10Aを図4に対応して示した図である。
図7に示すように、変形例1のジョイントカバー10Aは、中央収容部分14Aが、奥行方向Yに対して傾斜状に設けられ、両側の外側収容部分15Aa,15Abの一部が、上記中央収容部分14Aと交差する向きに傾斜状に設けられている。
【0115】
具体的には、変形例1の中央収容部分14Aは、上述した実施形態の中央収容部分14と同様に、該中央収容部分14Aの延在方向の全長に亘って奥行方向Yに対して傾斜する直線状に形成されるとともに、上述した実施形態の中央収容部分14の傾斜角度と略同じ傾斜角度で形成されている。
【0116】
変形例1の収容部13の奥行方向Yの両側の外側収容部分15Aa,15Abは、奥行方向Yの中央収容部分14A側の部位15Ac(「外側傾斜部15Ac」と称する)が、上述したように、奥行方向Yに対して中央収容部分14Aと交差する向きに傾斜する直線状に形成されている。なお、両側の外側収容部分15Aa,15Abの傾斜角度は、中央収容部分14Aの傾斜角度と同じ大きさの傾斜角度で形成されている。
【0117】
変形例1の両側の外側収容部分15Aa,15Abは、奥行方向Yの外側傾斜部15Acよりも外側の部位15Ad(「外側水平部15Ad」と称する)が、夫々に対応する収容部13の奥行方向Yの両側の開口部13a,13bも含めて奥行方向Yと平行な直線状に形成されている。
さらに、両側の外側水平部15Adは、奥行方向Yに沿って互いに同軸上(当例においては同一直線上)に設けられている。
【0118】
加えて、収容部13の奥行方向Yの一方側Y1における外側傾斜部15Acは、該一方側Y1における外側水平部15Adと中央収容部分14Aとの間において、互いに隣接する端部同士を連結するように形成されている。同様に、収容部13の奥行方向Yの他方側Y2における外側傾斜部15Acは、該他方側Y2における外側水平部15Adと中央収容部分14Aとの間において、互いに隣接する端部同士を連結するように形成されている。
【0119】
上述した両側の外側収容部分15Aa,15Abは、外側傾斜部15Acが外側水平部15Adに対して傾斜する方向に形成される。これにより、両側の外側収容部分15Aa,15Abには、外側傾斜部15Acと外側水平部15Adとの境界部に、変曲部16Aa(以下、「外側変曲部16Aa」と称する)が形成されている。
【0120】
さらに、中央収容部分14Aと、該中央収容部分14Aに対して奥行方向Yの一方側Y1で隣接する外側傾斜部15Acとの境界部は、幅方向Xの一方側X1に向けて突出する突出形状に形成されるとともに、中央収容部分14Aと、該中央収容部分14Aに対して奥行方向Yの他方側Y2で隣接する外側傾斜部15Acとの境界部は、幅方向Xの他方側X2に向けて突出する突出形状に形成されている。
【0121】
これにより、これら境界部には、変曲部16Ab(以下、「中央側変曲部16Ab」と称する)が形成されている。中央側変曲部16Abは、外側変曲部16Aaと比してより突状(鋭角状)に形成される。
すなわち、変形例1のカバー本体11は、両側の外側収容部分15Aa,15Abの夫々に、外側変曲部16Aaと中央側変曲部16Abとが1つずつ形成されている。
【0122】
ここで、変形例1のカバー本体11は、中央収容部分14Aと、両側の外側傾斜部15Acとの夫々の延在方向の全長に亘ってガイド部17Aが形成されている。
【0123】
上述した変形例1のジョイントカバー10Aは、図7に示すように、中央収容部分14Aが、奥行方向Yに対して傾斜状に設けられ、両側の外側収容部分15Aa,15Abの一部である外側傾斜部15Acが、中央収容部分14Aと交差する向きに傾斜状に設けられたものである。さらに、変形例1のジョイントカバー10Aは、ガイド部17Aが、中央収容部分14Aおよび両側の外側傾斜部15Acによって形成されたものである。これにより、中央収容部分14Aに収容された接続部7に対して奥行方向Yの各側に、外側変曲部16Aaと中央側変曲部16Abとの2つの変曲部16Aa,16Abを設けることができる。
【0124】
よって、変形例1のカバー本体11は、中央収容部分14Aの両側において、接続部7が奥行方向Yの一方側Y1から又は他方側Y2からカバー本体11の外側へ移動しないように2段階で規制することができる。
【0125】
さらに、上記構成によれば、中央側変曲部16Abは、互いに逆勾配になるように傾斜させた、中央収容部分14Aと外側傾斜部15Acとの境界部に相当するため、外側傾斜部15Acと外側水平部15Adとのうち、外側傾斜部15Acのみを傾斜させた外側変曲部16Aaと比して幅方向Xにおいて突状に形成できる。このため、変形例1のジョイントカバー10Aは、中央収容部分14Aに収容された接続部7が、奥行方向Yの一方側Y1から又は他方側Y2からカバー本体11の外側へ移動しないように特に中央側変曲部16Abにおいて、引掛かり易くすることができる。
【0126】
以上より、変形例1のジョイントカバー10Aは、接続部7をカバー本体11から抜け難くすることができる。
【0127】
(変形例2)
図8は、変形例2のジョイントカバー10Bを図4に対応して示した図である。
図8に示すように、変形例2のジョイントカバー10Bは、中央収容部分14Bが、奥行方向Yと略平行に設けられ、両側の上記外側収容部分15Ba,15Bbの一部が、奥行方向Yに対して交差するように傾斜状に設けられている。
【0128】
具体的には、両側の外側収容部分15Ba,15Bbは、奥行方向Yの中央収容部分14B側の部位15Bc(「外側傾斜部15Bc」と称する)が、互いに交差する向きに傾斜する直線状に形成されている。
【0129】
変形例2の両側の外側収容部分15Ba,15Bbは、奥行方向Yの外側部位15Bd(「外側水平部15Bd」と称する)が、夫々に対応する収容部13の開口部13a,13bも含めて奥行方向Yと平行な直線状に形成されている。これら両側の外側水平部15Bdは、奥行方向Yに沿って互いに同軸上(当例において同一直線上)に設けられている。
【0130】
変形例2の中央収容部分14Bは、奥行方向Y、すなわち両側の外側水平部15Bdと略平行に設けられているが、該中央収容部分14Bの延在方向の全体が両側の外側水平部15Bdに対して幅方向Xの他方側X2にずらした位置に形成されている。
【0131】
さらに、収容部13の奥行方向Yの一方側Y1における外側傾斜部15Bcは、該一方側Y1における外側水平部15Bdと中央収容部分14Bとの間において、互いに隣接する端部同士を連結するように形成されている。すなわち、奥行方向Yの一方側Y1における外側傾斜部15Bcは、奥行方向Yの他方側Y2ほど幅方向Xの他方側X2に位置する向きに傾斜状に形成されている。
【0132】
同様に、収容部13の奥行方向Yの他方側Y2における外側傾斜部15Bcは、該他方側Y2における外側水平部15Bdと中央収容部分14Bとの間において、互いに隣接する端部同士を連結するように形成されている。すなわち、奥行方向Yの他方側Y2における外側傾斜部15Bcは、奥行方向Yの一方側Y1ほど幅方向Xの他方側X2に位置する向きに傾斜状に形成されている。
【0133】
上述した両側の外側収容部分15Ba,15Bbは、外側傾斜部15Bcが外側水平部15Bdに対して傾斜する方向に形成される。これにより、両側の外側収容部分15Ba,15Bbには、外側傾斜部15Bcと外側水平部15Bdとの境界部に、変曲部16Ba(以下、「外側変曲部16Ba」と称する)が形成されている。
【0134】
さらに、収容部13は奥行方向Yの両側において、外側傾斜部15Bcと中央収容部分14Bとの境界部に、変曲部16Bb(以下、「中央変曲部16Bb」と称する)が形成されている。
【0135】
すなわち、変形例2のカバー本体11は、両側の外側収容部分15Ba,15Bbの夫々に、外側変曲部16Baと中央変曲部16Bbとが1つずつ形成されている。
【0136】
ここで、変形例2のカバー本体11は、両側の外側傾斜部15Bcによってガイド部17Bが形成されている。
【0137】
上述した変形例2のジョイントカバー10Bは図8に示すように、中央収容部分14Bが、奥行方向Yと略平行に設けられ、両側の外側収容部分15Ba,15Bbの一部である外側傾斜部15Bcが、奥行方向Yに対して傾斜状に設けられたものである。さらに、変形例2のジョイントカバー10Bは、上記ガイド部17Bが、両側の外側傾斜部15Bcによって形成されたものであるため、中央収容部分14Bに収容された接続部7に対して奥行方向Yの各側に、外側変曲部16Baと中央変曲部16Bbとの2つの変曲部16Ba,16Bbを設けることができる。
【0138】
よって、変形例2のジョイントカバー10Bは、変形例1のジョイントカバー10Aと同様に中央収容部分14Bに収容された接続部7が奥行方向Yの一方側Y1から又は他方側Y2からカバー本体11の外側へ移動しないように2段階で規制することができ、結果として、接続部7をカバー本体11から抜け難くすることができる。
【0139】
さらに、変形例2のジョイントカバー10Bは、中央収容部分14Bが、両側の外側水平部15Bdに対して奥行方向Yに平行に形成されつつ、幅方向Xにずらした位置に形成されたものである。このため、変形例2のジョイントカバー10Bは、奥行方向Yの両側において、中央収容部分14Bと外側水平部15Bdとの間に傾斜状のガイド部17Bが確実に形成された構成とすることができつつ、延出電線5Bがカバー本体11に対して両側から互いに同軸上に延出されるように配索することができる。
【0140】
(変形例3)
図9は、変形例3のジョイントカバー10Cを図4に対応して示した図である。
図9に示すように、変形例3のジョイントカバー10Cは、中央収容部分14Cが、奥行方向Yと略平行に設けられ、両側の上記外側収容部分15Ca,15Cbの一部が、奥行方向Yに対して交差するように幅方向Xへ突状に設けられている。
【0141】
具体的には、変形例3の両側の外側収容部分15Ca,15Cbは、奥行方向Yの中央収容部分14Cの側の部位15Cd(「外側突出部15Cd」と称する)が、幅方向Xに突形状に形成されているが、奥行方向Yの一方側Y1と他方側Y2とで交差する向き(逆方向)に突出形成されている。
【0142】
変形例3の両側の外側収容部分15Ca,15Cbは、奥行方向Yの外側突出部15Cdよりも外側部位15Ce(「外側水平部15Ce」と称する)が、夫々に対応する収容部13の開口部13a,13bも含めて奥行方向Yと平行となる直線状に形成されている。
【0143】
変形例3の中央収容部分14Cについても、奥行方向Yと略平行に設けられ、中央収容部分14Cと、上述した両側の外側水平部15Ceは、奥行方向Yに沿って互いに同軸上(当例において同一直線上)に設けられている。
【0144】
さらに、収容部13の奥行方向Yの一方側Y1における外側突出部15Cdは、該一方側Y1における外側水平部15Ceと中央収容部分14Cとの間において、互いに隣接する端部同士を連結するように形成されている。さらに、奥行方向Yの一方側Y1における外側突出部15Cdは、外側水平部15Ceおよび中央収容部分14Cに対して幅方向Xの一方側X1へ弧状に突出する突形状に形成されている。
【0145】
同様に、収容部13の奥行方向Yの他方側Y2における外側突出部15Cdは、該他方側Y2における外側水平部15Ceと中央収容部分14Cとの間において、互いに隣接する端部同士を連結するように形成されている。さらに、奥行方向Yの他方側Y2における外側突出部15Cdは、外側水平部15Ceおよび中央収容部分14Cに対して幅方向Xの他方側X2へ弧状に突出する突形状に形成されている。
【0146】
上述した収容部13は、奥行方向Yの両側において、外側突出部15Cdと外側水平部15Ceとの境界部に、変曲部16Ca(以下、「第1外側変曲部16Ca」と称する)が形成され、外側突出部15Cdの頂部に相当する部位に、変曲部16Cb(以下、「第2外側変曲部16Cb」と称する)が形成され、外側突出部15Cdと中央収容部分14Cとの境界部に、変曲部16Cc(以下、「中央側変曲部16Cc」と称する)が形成される。
【0147】
ここで、変形例3のカバー本体11には、ガイド部17Cが、両側の外側収容部13の外側突出部15Cdによって形成されているため、中央収容部分14Cに収容された接続部7に対して奥行方向Yの各側に、第1外側変曲部16Caと第2外側変曲部16Cbと中央側変曲部16Ccとの3つの変曲部16Aを設けることができる。
【0148】
よって、変形例3のジョイントカバー10Cは、中央収容部分14Cに収容された接続部7が奥行方向Yの一方側Y1から又は他方側Y2からカバー本体11の外側へ移動しないように3段階で規制することができ、結果として、接続部7をカバー本体11から抜け難くすることができる。
【0149】
さらに、変形例3のジョイントカバー10Cは、両側の外側水平部15Ceが互いに同軸上に形成されたものであるため、延出電線5Bがカバー本体11に対して両側から互いに同軸上に延出されるように配索することができる。
【0150】
なお、変形例3のジョイントカバー10Cは、両側の外側突出部15Cdが上述したように、奥行方向Yの一方側Y1と他方側Y2とで幅方向Xに逆向きに突出するに限らず、奥行方向Yの一方側Y1と他方側Y2とが幅方向Xに同一方向に突出形成されたものであってもよい。
【0151】
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく様々な実施形態で形成することができる。
【0152】
例えば、ワイヤハーネス1に備えるジョイントカバー10,10A,10B,10Cの数や配置形態は、分岐部Daの数やハーネス本体2の太さ等に応じて適宜変更してもよい。
【0153】
具体的には、図1図11(a)においては、ジョイントカバー10を、ワイヤハーネス1の分岐箇所Dにおいて、分岐部Daの数に対応してハーネス本体2の周方向に3つを配置したものである。
【0154】
但し、例えば、分岐箇所Dにおける分岐部Daの数が4つの場合は、ワイヤハーネス1は、図11(b)に示す分岐箇所Dのように、ハーネス本体2の周方向における、互いに隣接する3つのジョイントカバー10の隙間(すなわち、第1ジョイントカバー10Sと第3ジョイントカバー10Uとの隙間)に、ジョイントカバー10をもう1つ追加して合計4つのジョイントカバー10をハーネス本体2の外周面に配置してもよい。
【0155】
このように、4つ目のジョイントカバー10(「第4ジョイントカバー10V」とも称する)をハーネス本体2の外周面に配置することで、図11(b)に示すように、複数のジョイントカバー10をハーネス本体2の全周に亘って、すなわち環状に配置することができる。
【0156】
ここで、第4ジョイントカバー10Vを、ハーネス本体2の周方向の一方で隣接する第1ジョイントカバー10Sと、他方で隣接する第3ジョイントカバー10Uとの夫々に対してピン係合する際に、該第4ジョイントカバー10Vを奥行方向Yに移動させる方向が、第1ジョイントカバー10Sの側と第3ジョイントカバー10の側とで、奥行方向Yにおいて逆方向、すなわち、ピン係合方向が奥行方向Yにおいて逆方向となる。
【0157】
すなわち、第4ジョイントカバー10Vは、ハーネス本体2の周方向の一方で隣接する第1ジョイントカバー10Sと他方で隣接する第3ジョイントカバー10Uとの双方に対してピン係合させることは不可能となる。このため、本実施形態において、第4ジョイントカバー10Vは、図11(b)に示すように、周方向の他方側で隣接する第3ジョイントカバー10Uに対してのみピン係合する構成としている。
【0158】
なお、言うまでもなく、第4ジョイントカバー10Vは、本実施形態のように、第3ジョイントカバー10Uに対してのみピン係合する構成に限らず、周方向の一方側で隣接する第1ジョイントカバー10Sに対してのみピン係合する構成としてもよい。
【0159】
そして、上述したように、複数のジョイントカバー10をハーネス本体2の外周面に環状に配置した場合においても、図11(b)に示すように、4つのジョイントカバー10のさらに外周側からテープT巻きする等により固定することで、ハーネス本体2に対して4つのジョイントカバー10が外れないように一体化することができる。
【0160】
また、図10図12(a)は、図1と同様に、ジョイントカバー10を、ワイヤハーネス1の分岐箇所Dにおいて、分岐部Daの数に対応してハーネス本体2’の周方向に3つを配設した外観図である。
【0161】
図10図12(a)に示すハーネス本体2’は図1に示すハーネス本体2よりも収束する幹線3の数が少ないため小径である。このため、図10図12(a)に示すハーネス本体2’においては、周方向全体に3つのジョイントカバー10を互いに隙間なく等分配することができる。
【0162】
但し、この実施例のように、ハーネス本体2’の外周面に対して配置した3つのジョイントカバー10のうち、3つ目に配置した第3ジョイントカバー10Uは、上述したように、ハーネス本体2’の周方向の各側に隣接して配置されたジョイントカバー10(10S,10T)の夫々に対するピン係合方向が奥行方向Yにおいて逆方向となる。
【0163】
このため、図12(a)に示すように、本実施形態において、3つ目に配置した第3ジョイントカバー10Uは、周方向の他方側に配置された第2ジョイントカバー10Tに対してのみピン係合している。
【0164】
なお、この実施例においても、第3ジョイントカバー10Uは、第2ジョイントカバー10Tに対してのみピン係合する構成に限らず、第1ジョイントカバー10Sに対してのみピン係合する構成としてもよい。
【0165】
さらに、実施例においても、図12(b)に示すように、ワイヤハーネス1は、分岐箇所Dにおいて、ハーネス本体2’の外周面に配置した3つのジョイントカバー10のさらに外周側からテープT巻きすることが好ましい。これにより、3つのジョイントカバー10は、ハーネス本体2’に対して外れないように一体化することができる。
なお、図12(b)は、ワイヤハーネス1の分岐箇所DをテープT巻きした場合の図10中のB-B線矢視に相当する断面図である。
【0166】
また、図1図10図11(a)(b)、図12(a)(b)に示すように、複数のジョイントカバー10を、隣接するジョイントカバー10同士をピン係合した状態でハーネス本体2,2’の外周面に配置することで、電線の布線作業を容易に行うことができる。
【0167】
具体的には、従来より、ワイヤハーネスを製造するために行われる電線の布線作業は、製造盤(「ASSY盤」、「治具盤」とも称する。)上で分岐部(スプライス部)Daを仮保持する治具(図示省略)を用いて行われるが、該分岐部Daが治具に収まりきれず、治具からこぼれる事態(所謂、布線こぼれ)が生じることがあった。
【0168】
これに対して、本実施形態のように、複数の分岐部Daを、ハーネス本体2,2’の外周面に配置した複数のジョイントカバー10の夫々において固定したうえで、これら複数のジョイントカバー10のうち、隣接するジョイントカバー10同士を互いにピン係合することで1つにまとめることができ、結果として電線の布線作業を容易に行うことができる。
【0169】
なお、ジョイントカバー10をハーネス本体2,2’の外周面に配置する数は、上述したように、3つ、或いは4つに限らず、例えば、ハーネス本体2,2’の周方向全体に環状に配置可能な数以下となる任意の数で配置することができる。
【0170】
また、幹線3の中間部3mの導体3aと枝線4の先端部の導体4aとを接続する際に用いるジョイント端子は、上述したスプライス端子6に限らない。例えば、互いに圧着接続可能な雄端子と雌端子を採用してもよい。
【符号の説明】
【0171】
1…ワイヤハーネス
2,2’…ハーネス本体(ハーネス本体)
3…幹線(電線、幹線)
4…枝線(電線)
5…接続電線
5A…被収容電線
5B…延出電線
7…接続部
10,10A,10B,10C…ジョイントカバー
10T…一方側隣接ジョイントカバー(周方向の一方側に隣接配置した一方側のジョイントカバー)
10U…他方側隣接ジョイントカバー(周方向の他方側に隣接配置した他方側のジョイントカバー)
11…カバー本体
13…収容部
14,14A,14B,14C…中央収容部分
15a,15b,15Ba,15Bb,15Ca,15Cb…外側収容部分
17,17A,17B,17C…ガイド部
27…ピン(第1係合部)
28a…ピン係合穴(第2係合部)
Y…奥行方向(延出電線の延出方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12