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特開2024-180635内容物絞り機および内容物の絞り出し方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180635
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】内容物絞り機および内容物の絞り出し方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
B65B69/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024182226
(22)【出願日】2024-10-17
(62)【分割の表示】P 2020169578の分割
【原出願日】2020-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001421
【氏名又は名称】キユーピー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松永 隆郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 栄徳
(57)【要約】
【課題】分解洗浄や殺菌を容易に行うことができる絞り機を提供する。
【解決手段】粘性のある内容物を袋から絞り出す絞り機であって、固定ローラを有する固定ローラユニットと、固定ローラと対向する移動ローラを有する移動ローラユニットと、を備え、移動ローラユニットは、固定ローラユニットとは別体として構成され、固定ローラユニットから分離可能である。
【選択図】図1




【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘性のある内容物を袋から絞り出す絞り機であって、
固定ローラ、該固定ローラに固定された軸部材、該軸部材の左右に配置された上下方向に延びるサイドガイドを備えた一対のサイドベース、該一対のサイドベースの前記固定ローラと反対側には位置調整可能な押さえブロック、前記サイドガイドの前記軸部材の近傍にはピン、及び前記軸部材を回転可能に支持するベアリングを有する固定ローラユニットと、
前記固定ローラと対向する移動ローラ、該移動ローラに固定された軸部材、該軸部材の左右に配置された一対のサイドフレーム、及び前記軸部材を回転可能に支持するベアリング、前記一対のサイドフレーム間に架け渡されるバーを有する移動ローラユニットと、を備え、
前記移動ローラユニットは、前記固定ローラユニットとは別体として構成され、前記固定ローラユニットから分離可能であり、
前記移動ローラが前記固定ローラと対向する第1の状態と、
前記移動ローラが前記固定ローラから乖離する第2の状態と、
を選択的にとることが可能であり、
前記第1の状態では、
前記サイドフレームの端部が前記押さえブロックに当接することにより、前記移動ローラユニットの横方向の移動が規制され、
前記サイドフレームの端部が前記ピンに当接することにより、前記移動ローラユニットの回転が規制される、
内容物絞り機。
【請求項2】
前記移動ローラユニットの前記バーは、手による操作を受ける把持部である
請求項1に記載の内容物絞り機。
【請求項3】
前記固定ローラは固定具を用いて前記固定ローラユニットに取り付けられ、
前記固定具を取り外すことにより、前記固定ローラが前記固定ローラユニットから分離可能とされ、
前記固定具は、工具を用いずに取り外し可能である、
請求項1または2に記載の内容物絞り機。
【請求項4】
前記移動ローラは固定具を用いて前記移動ローラユニットに取り付けられ、
前記固定具を取り外すことにより、前記移動ローラが前記移動ローラユニットから分離可能とされ、
前記固定具は、工具を用いずに取り外し可能である、
請求項1または2に記載の内容物絞り機。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、粘性のある内容物を袋から絞り出す絞り機および内容物の絞り出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
<背景技術の説明>
特許文献1には、固定プレスロール、可動プレスロールおよび案内ロールを備え、袋から粘性材料を絞り出す絞り出し具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61-144047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
<背景技術の課題>
上記の絞り出し具では、固定プレスロールが設けられた固定ブラケットと、可動プレスロールが設けられた可動ブラケットとが一体となっている。このため、例えば、食品工場で使用する場合に必要となる、分解洗浄や殺菌が困難になるという問題がある。
<本発明の解決課題>
そこで、1つの側面では、本発明は、分解洗浄や殺菌を容易に行うことができる絞り機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
<請求項1の内容>
1つの側面では、
粘性のある内容物を袋から絞り出す絞り機であって、
固定ローラを有する固定ローラユニットと、
前記固定ローラと対向する移動ローラを有する移動ローラユニットと、
を備え、
前記移動ローラユニットは、前記固定ローラユニットとは別体として構成され、前記固定ローラユニットから分離可能である、内容物絞り機が提供される。
【発明の効果】
【0006】
1つの側面では、本発明によれば、分解洗浄や殺菌を容易に行うことができる絞り機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態の絞り機を示す側面図である。
図2】本実施形態の絞り機を示す上面図である。
図3】固定ローラユニットを示す上面図である。
図4】移動ローラユニットを示す上面図である。
図5】移動ローラを固定ローラから乖離させた状態を示す側面図である。
図6】袋をセットするときの状態を示す側面図である。
図6A】移動ローラユニットが移動している状態を示す側面図である。
図6B】袋を引き抜くときの状態を示す側面図である。
図6C】袋を引き抜くときの移動ローラユニットの位置を示す側面図である。
図6D】袋を引き抜くときのサイドフレームの位置などを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態の説明-1>
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する)について詳細に説明する。実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ符号を付している。
【0009】
<絞り機の全体構成-1>
図1は、本実施形態の絞り機を示す側面図、図2は、本実施形態の絞り機を示す上面図、図3は、固定ローラユニットを示す上面図、図4は、移動ローラユニットを示す上面図である。なお、図1図6Cでは、構成要素の位置関係を示すため、実際には他の構成要素に隠れて目視できない構成要素についても、適宜、図示している。
【0010】
<絞り機の全体構成-2>
図1図2に示すように、本実施形態の絞り機は、固定ローラ10が回転可能に取り付けられた固定ローラユニット1と、固定ローラ10と対向する移動ローラ20が回転可能に取り付けられた移動ローラユニット2と、を備える。
【0011】
<絞り機の全体構成-3>
移動ローラユニット2は、固定ローラユニット1とは別体として構成され、固定ローラユニット1から分離可能とされている。固定ローラユニット1および移動ローラユニット2は、固定ローラ10および移動ローラ20を含み、ともにステンレスにより形成されている。
【0012】
<固定ローラユニットの構成-1>
図1図3に示すように、固定ローラユニット1は、固定ローラ10と、固定ローラ10に固定された軸部材11と、図3において軸部材11の左右に配置された一対のサイドベース12と、軸部材11を回転可能に支持するベアリング13と、を備える。
【0013】
<固定ローラユニットの構成-2>
サイドベース12は、図3において上下方向に延びるサイドガイド12Aと、サイドガイド12Aと連続して図3において左右方向に延びる壁部12Bおよび壁部12Cと、を備える。図3に示すように、サイドガイド12A、壁部12Bおよび壁部12Cは、上方から視て、サイドベース12の外周のうちの3面を覆うように配置される。これにより、例えば、ベアリング13が損傷したときに、異物が固定ローラ10の側に侵入することが防止される。なお、壁部12Bおよび壁部12Cに代えて、サイドベース12の外周の全体を覆うような壁面を設けてもよい。
【0014】
<固定ローラユニットの構成-3>
ベアリング13は、取付板14を介してサイドベース12の底面に取り付けられている。取付板14は、固定具としてのねじ14Aを介してサイドベース12の底面に取り付けられ、ねじ14Aを取り外すことにより、サイドベース12から分離可能とされている。このため、ねじ14Aを取り外すことにより、固定ローラ10が固定ローラユニット1から分離可能とされている。また、固定ローラ10は、ねじ14Aによりサイドベース12に対して着脱でき、工具を用いる必要がない。
【0015】
<固定ローラユニットの構成-4>
図1図3に示すように、サイドベース12の底面には、押さえブロック15が取り付けられている。押さえブロック15には、図1において右下がりに傾斜するカム面15aが形成されている。また、押さえブロック15には、サイドベース12の壁部12Cに螺合する雄ねじ15bの先端が図1の左方から当接され、雄ねじ15bを回すことにより、押さえブロック15の位置(図1における左右方向の位置)が調節可能とされている。押さえブロック15は、サイドベース12に対し、図1において左右方向にスライド可能に支持されている。
【0016】
<固定ローラユニットの構成-5>
また、サイドベース12のサイドガイド12Aには、軸部材11の近傍において、サイドフレーム22(後述)が当接するピン16が取り付けられている。
<固定ローラユニットの構成-6>
図1および図3に示すように、サイドガイド12Aは図1の左方において上方に突出する突出部12p(図1)を有する。突出部12pの上端には、下方に向けて窪む凹部17Aおよび凹部17B(図1図3)が形成されている。
【0017】
<移動ローラユニットの構成-1>
図1図2および図4に示すように、移動ローラユニット2は、移動ローラ20と、移動ローラ20に固定された軸部材21と、図4において軸部材21の左右に配置された一対のサイドフレーム22と、軸部材21を回転可能に支持するベアリング23と、一対のサイドフレーム22間に架け渡される2本のバー24、25と、を備える。図2に示すように、サイドフレーム22は、サイドガイド12Aにより案内されて、移動ローラユニット2が図2における上下方向に移動可能とされている。サイドフレーム22がサイドガイド12Aに当接することにより、図2の左右方向における移動ローラユニット2の移動が規制される。また、軸部材21、バー24、25がサイドガイド12Aの上端に接触することにより、移動ローラユニット2が下方から支持される。
【0018】
<移動ローラユニットの構成-2>
バー24、25は、図1の左右方向に間隔をあけて一対のサイドフレーム22間に取り付けられることにより、一対のサイドフレーム22を強固に固定するとともに、手による操作を受ける把持部として機能する。また、上記のように、バー24、25は、軸部材21とともに、サイドガイド12Aの上端に接触することにより、移動ローラユニット2を支持する部材としても機能する。
【0019】
<移動ローラユニットの構成-3>
また、バー24、25には、それぞれ、図4の左端側において、ねじ部24A、25Aが設けられ、ねじ部24A、25Aにナット24B、25Bがそれぞれ螺合されることにより、バー24、25がそれぞれ一対のサイドフレーム22間に取り付けられる。なお、バー24、25には、図4の右端側において、サイドフレーム22と係合する係合部(不図示)が形成されている。
【0020】
<移動ローラユニットの構成-4>
バー24、25をナット24B、25Bにより一対のサイドフレーム22に取り付けることにより、一対のサイドフレーム22に取り付けられた一対のベアリング23間の間隔(図4における左右方向の間隔)も一定に維持される。これにより、移動ローラ20が所定の位置において、サイドフレーム22に対して回転可能に、かつ強固に支持される。また、一対のサイドフレーム22をバー24、25により固定する構造により、移動ローラユニット2を軽量化でき、移動ローラユニット2を容易に取り扱うことが可能となる。さらに、2本のバー24、25の間隔(図4の上下方向における間隔)を適切に設定することにより、バー24、25を片手で掴みやすくなり、移動ローラユニット2を用いた作業性が向上する。また、移動ローラユニット2を、固定ローラユニット1に対し、簡単に着脱することができる。
【0021】
<移動ローラユニットの構成-5>
また、固定具としてのナット24B、25Bは、工具を使用することなく手作業により着脱できる。このため、ナット24B、25Bを手で取り外すことにより、一対のサイドフレーム22を互いに分離でき、これにより、移動ローラ20を移動ローラユニット2から簡単に分離することができる。
【0022】
<移動ローラユニットの状態-1>
上記のように、移動ローラユニット2は、固定ローラユニット1と別体のユニットとして構成されており、移動ローラユニット2を手で掴んで移動させることができる。また、本実施例では、移動ローラユニット2が固定ローラユニット1上に載置された、少なくとも2つの状態として、移動ローラ20が固定ローラ10と対向する第1の状態と、移動ローラ20が固定ローラ10から乖離する第2の状態のいずれかを、選択的にとることが可能である。
【0023】
<移動ローラユニットの状態-2>
第1の状態は、例えば、図1および図2に示す状態である。図1および図2に示す状態のとき、図1に示すように、移動ローラユニット2は、軸部材21、バー24、25がサイドガイド12Aの上端に接触する状態となる。
【0024】
<移動ローラユニットの状態-3>
また、図1において、移動ローラ20が固定ローラ10に接触した状態、または移動ローラ20が固定ローラ10から左方にわずかに離れた状態となる。また、このとき、図1において、サイドフレーム22の端部22B(図1)が押さえブロック15に接触した状態、またはサイドフレーム22の端部22Bが押さえブロック15から右方にわずかに離れた状態となる。
【0025】
<移動ローラユニットの状態-4>
ところで、本実施例では、第1の状態であって、移動ローラユニット2に重力以外の力が加わらない場合には、移動ローラ20に固定された軸部材21が、バー24、25とともに、図1におけるサイドガイド12Aの上端に接触するように構成されている。これにより、軸部材21がサイドガイド12Aに接触して発生する摩擦力により、不用意に移動ローラ20が回転し、あるいはフリーとなった移動ローラ20がいつまでも回転を続けることを防止することができる。
【0026】
<移動ローラユニットの状態-5>
次に、第2の状態は、例えば、図5に示す状態である。図5は、移動ローラを固定ローラから乖離させた状態を示す側面図である。
【0027】
<移動ローラユニットの状態-6>
図5に示す状態では、移動ローラユニット2のバー25が、サイドガイド12Aの凹部17Aに係合するとともに、軸部材21がサイドガイド12Aの上端に接触している。このとき、サイドフレーム22は、押さえブロック15から離れている。この状態では、移動ローラユニット2は、凹部17Aに係合しているバー25により係止され、移動ローラユニット2が下方ないし、図5において右方にずれ落ちることはない。なお、移動ローラユニット2のバー25を、サイドガイド12Aの凹部17Bに係合する状態を、適宜、選択することもできる。この場合、固定ローラ10と、移動ローラ20との間隔を、より拡大することができる。
【0028】
<移動ローラユニットの状態-7>
移動ローラユニット2が図1の状態にある場合、バー24、25を手で掴んで引き上げると、軸部材21がサイドガイド12Aの上端に接触したまま、移動ローラユニット2が、弧を描くようにして図1において時計回り方向に回動し、サイドフレーム22の端部22B(図1)が押さえブロック15から外れて解放される。この際、サイドフレーム22の端部22Bが凸状曲面とされているため、スムーズにサイドフレーム22の端部22Bを解放することができる。
【0029】
<移動ローラユニットの状態-8>
次に、バー24を図1において左方に押し込んで、バー25をサイドガイド12Aの凹部17Aに係合することで、図5の状態とすることができる。
【0030】
<袋の内容物を絞り出す工程-1>
次に、図6図6Dを参照して、本実施例の絞り機を用い、袋の内容物を絞り出す工程について説明する。
【0031】
<袋の内容物を絞り出す工程-2>
図6は、袋をセットするときの状態を示す側面図、図6Aは、移動ローラユニットが移動している状態を示す側面図、図6Bは、袋を引き抜くときの状態を示す側面図、図6Cは、袋を引き抜くときの移動ローラユニットの位置を示す側面図、図6Dは、袋を引き抜くときのサイドフレームの位置などを示す側面図である。
【0032】
<袋の内容物を絞り出す工程-3>
まず、図6に示すように、移動ローラユニット2を図5の状態にセットし、移動ローラ20と固定ローラ10の間で、袋90の下部をカットする。このとき、袋90の内容物の一部は、重力により落下して、容器100に収容される。
【0033】
<袋の内容物を絞り出す工程-4>
次に、移動ローラユニット2のバー25を手で持ち上げると、軸部材21がサイドガイド12Aの上端に接触したまま、移動ローラユニット2が図6において時計回り方向に回動し、バー25が凹部17Aから解放される。さらに、バー24またはバー25のいずれかまたは両方を手で掴んで、図6において右方向に引くとともに、下方へ移動させると、軸部材21がサイドガイド12Aの上端に沿って右方に滑り、図6Aの状態となる。
【0034】
<袋の内容物を絞り出す工程-5>
図6Aの状態では、サイドフレーム22の端部22Bが押さえブロック15のカム面15aに当接し、軸部材21がサイドガイド12Aの上端に接触する。この状態では、サイドフレーム22がカムフォロアの働きをして、さらに軸部材21がサイドガイド12Aの上端に沿って右方に滑って、移動ローラユニット2が図6Aの右方に移動する。この結果、図6Bの状態、すなわち、軸部材21、バー24、25がサイドガイド12Aの上端に接触する状態に至る。
【0035】
<袋の内容物を絞り出す工程-6>
図6Bの状態では、移動ローラユニット2は、押さえブロック15と固定ローラ10との間に収容されることで、図6Bにおける左右方向の位置が規定される。また、移動ローラユニット2にかかる重力により、軸部材21、バー24、25がサイドガイド12Aの上端に接触することで、上下方向の位置が規定される。なお、押さえブロック15と固定ローラ10との間の距離(図6Bにおける左右方向の距離)と、移動ローラユニット2の寸法とにより決まる固定ローラ10と移動ローラ20との間のクリアランスは、雄ねじ15bにより押さえブロック15の位置を調整することにより、適時、調整することができる。
【0036】
<袋の内容物を絞り出す工程-7>
次に、図6Bの状態において、袋90を両手で持ち、矢印91の方向に引き込むと、袋90が、回転する固定ローラ10と移動ローラ20との間を通過することにより、内容物が絞り出されて、袋90に残っていた内容物が容器100に収容される。このとき、移動ローラ20には、内容物の圧力に由来する左方向への力と、袋90が上方向へ移動することに由来する上方への力が加わり、これらの力は、図6Bにおいて、移動ローラユニット2を左方に押し込む力と、反時計方向に回動させようとするモーメントとして働く。
【0037】
<袋の内容物を絞り出す工程-8>
しかし、移動ローラユニット2を左方に押し込む力に関しては、図6Cおよび図6Dに示すように、サイドフレーム22の端部22Bが押さえブロック15に当接することにより、移動ローラユニット2の左方への移動は規制される。このため、固定ローラ10と、移動ローラ20との間のクリアランスが、適切に維持される。
【0038】
<袋の内容物を絞り出す工程-9>
また、移動ローラユニット2を反時計方向に回動させようとするモーメントが重力に打ち勝って移動ローラユニット2が反時計回り方向に回転を始めると、すぐにサイドフレーム22の端部22A(図6D)がピン16に当接し、移動ローラユニット2の回転が規制される。また、サイドフレーム22の端部22Aがピン16に当接した状態では、移動ローラ20に固定された軸部材21がサイドガイド12Aの上端から離れて、クリアランスDc(図6D)が発生する。このため、移動ローラ20がスムーズに回転する。このとき、バー25のみがサイドガイド12Aの上端に接触する。
【0039】
<発明の効果-1>
以下、本実施例の効果について述べる。
【0040】
<発明の効果-2>
本実施例では、移動ローラユニット2を手作業で固定ローラユニット1から簡単に分離できる。また、工具を用いることなく、固定ローラ10を固定ローラユニット1から分離できるとともに、移動ローラ20を移動ローラユニット2から分離できる。このため、固定ローラ10および移動ローラ20をはじめ、装置各部について、分解洗浄および殺菌が容易に可能である。また、サイドベース12に周囲を覆うサイドガイド12A、壁部12Bおよび壁部12Cを設けたので、部品の故障などがあっても、固定ローラ10および移動ローラ20のサイドへの異物の混入を防ぐことができる。このため、袋の内容物が食品である場合にも好適である。また、部品点数が少なく、容易に分解洗浄および殺菌ができる。
【0041】
<発明の効果-3>
移動ローラユニット2が容易に移動できるため、内容物を絞り出す際の作業工程が少なくなり、簡単に袋をローラ間に挟み込むことができる。また、ベアリングの利用により固定ローラ10および移動ローラ20の滑らかな回転を得ることができる。したがって、高粘度の内容物でも、力を必要とない。
【0042】
<発明の効果-4>
固定ローラ10と移動ローラ20の間のクリアランスを細かく調整できるため、絞り出し後の袋への付着残りを抑制できる。
【0043】
<発明の効果-5>
モータ等の動力が不要なため、故障の発生が事実上なく、メンテナンスが不要である。また、動力を使用しないため、作業時の安全性が高い。
【0044】
<内容物の説明-1>
本発明において、粘性のある内容物は限定されず、食品以外の内容物にも本発明を適用できる。食品の場合、例えば、シロップ、マヨネーズ、みずあめ、トマトケチャップ、ストロベリージャム、ハンドクリーム、マスタード、ペーストなどが挙げられる。内容物の粘度はとくに限定されないが、粘度が高い内容物(例えば、10Pa・s以上の粘度を有する内容物)に対して、本発明はとくに有用である。
【符号の説明】
【0045】
1 固定ローラユニット
2 移動ローラユニット
10 固定ローラ
14A ねじ
20 移動ローラ
24B、25B ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6A
図6B
図6C
図6D