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特開2024-1808植栽管理運営装置、植栽管理機械制御装置、植栽管理機械、植栽管理システム、植栽管理運営方法、及び植栽管理運営プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001808
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】植栽管理運営装置、植栽管理機械制御装置、植栽管理機械、植栽管理システム、植栽管理運営方法、及び植栽管理運営プログラム
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20231227BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20231227BHJP
   A01G 3/00 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
A01B69/00 Z
A01G7/00 603
A01G3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100702
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】寺内 方克
(72)【発明者】
【氏名】村上 洋
(72)【発明者】
【氏名】上木原 寛和
【テーマコード(参考)】
2B043
【Fターム(参考)】
2B043AA03
2B043AB20
2B043BA02
2B043BA03
2B043BB11
2B043EA18
2B043EA40
2B043EB04
2B043EB07
2B043EB22
2B043EB30
2B043ED27
(57)【要約】
【課題】植栽の管理をシステム化する技術を提供する。
【解決手段】植栽管理運営装置(20)は、植栽管理機械(40)を用いた植栽管理を支援する。植栽管理運営装置(20)は、植栽対象地の環境情報及び植栽の状態に応じて、植栽の管理時期、管理領域、及び管理内容の少なくとも1つを予測する予測部(23)と、予測結果に応じて、植栽管理機械(40)を用いた植栽管理のための植栽管理計画を設定する管理計画設定部(24)とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植栽管理機械を用いた植栽管理を支援する植栽管理運営装置であって、
植栽対象地の環境情報及び植栽の状態に応じて、植栽の管理時期、管理領域、及び管理内容の少なくとも1つを予測する予測部と、
前記予測部における予測結果に応じて、前記植栽管理機械を用いた植栽管理のための植栽管理計画を設定する管理計画設定部と
を備えた、植栽管理運営装置。
【請求項2】
前記予測部は、前記植栽対象地の環境情報及び前記植栽の状態と共に、植栽の管理履歴に応じて、植栽の管理時期、管理領域、及び管理内容の少なくとも1つを予測する、請求項1に記載の植栽管理運営装置。
【請求項3】
前記植栽の状態には、植物の種類、植物の形状、植物の大きさ、植物の生理状態、雑草状況、植栽基台の形状、及び、異物の有無の少なくとも1つの情報が含まれる、請求項1又は2に記載の植栽管理運営装置。
【請求項4】
前記環境情報には、植栽対象地又は植栽対象地周辺の、地形、構造物の有無、気象条件、交通量、及び、視認性の少なくとも1つの情報が含まれる、請求項1又は2に記載の植栽管理運営装置。
【請求項5】
前記植栽管理計画には、前記植栽管理機械による作業時期、作業領域、及び作業内容の少なくとも1つの情報が含まれる、請求項1又は2に記載の植栽管理運営装置。
【請求項6】
植栽管理機械による植栽管理の作業領域及び作業内容を含む植栽管理計画に基づき、前記植栽管理機械の走行ルートを設定する走行ルート設定部と、
前記植栽管理計画に基づき、前記植栽管理機械の作業手順を設定する作業手順設定部と
を備えた、植栽管理機械制御装置。
【請求項7】
前記植栽管理計画には、さらに、前記植栽管理機械の種類に関する情報が含まれる、請求項6に記載の植栽管理機械制御装置。
【請求項8】
前記植栽管理計画は、請求項1に記載の植栽管理運営装置が設定した植栽管理計画である、請求項6に記載の植栽管理機械制御装置。
【請求項9】
植栽を剪定する剪定部と、
植栽場所の地表面を刈り取る刈取部、及び、剪定又は刈り取りにより生じた残渣を回収する回収部の少なくとも一方と
を備えた、植栽管理機械。
【請求項10】
請求項6に記載の植栽管理機械制御装置により設定された走行ルート上を走行する走行部をさらに備えた、請求項9に記載の植栽管理機械。
【請求項11】
前記走行ルート上の基準構造物に対する前記走行部の距離を検知するセンサ部をさらに備えた、請求項10に記載の植栽管理機械。
【請求項12】
請求項1に記載の植栽管理運営装置と、
請求項6に記載の植栽管理機械制御装置と、
を備えた、植栽管理システム。
【請求項13】
植栽管理機械を用いた植栽管理を支援する植栽管理運営方法であって、
植栽対象地の環境情報及び植栽の状態に応じて、植栽の管理時期、管理領域、及び管理内容の少なくとも1つを予測する予測工程と、
前記予測工程における予測結果に応じて、前記植栽管理機械を用いた植栽管理のための植栽管理計画を設定する管理計画設定工程と
を包含する、植栽管理運営方法。
【請求項14】
請求項1の植栽管理運営装置としてコンピュータを機能させるための植栽管理運営プログラムであって、上記予測部及び上記管理計画設定部としてコンピュータを機能させるための植栽管理運営プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植栽管理運営装置、植栽管理機械制御装置、植栽管理機械、植栽管理システム、植栽管理運営方法、及び植栽管理運営プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
生垣は農業生産のための防風垣の他、環境保全の目的で公園や道路等においても広く利用されている。生垣は、植栽した後も剪定、施肥、雑草除去等のように定期的な管理が必要であり、その管理作業に手間がかかる。このような管理作業は十分にシステム化されておらず、例えば、剪定作業は、通常、手持ちの機械を用いて実施されており、作業者の負担が大きい。近年は、このような作業を担う人材が不足しており、管理側の経費負担能力の低下と相まって、管理が不十分な生垣が増加している。
【0003】
一方で、適切に環境保全するための生垣の設計はシステム化が進められている。特許文献1及び2には、植栽設計及び計画を支援する技術が記載されている。また、農作業の機械化も進められており、特許文献3には、農作業をシステム化することを目的とした農業支援装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-201376号公報
【特許文献2】特開2004-305069号公報
【特許文献3】特開2019-126268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
公園内に設けられる生垣と道路の中央分離帯に設けられる生垣とでは、生垣の周囲の環境が異なるため、乗用型の剪定装置を用いてこれらを共に管理することは容易ではなく、管理作業のシステム化の障害となっている。特許文献1及び2に記載された技術は、生垣の管理を考慮したものではない。また、特許文献3の発明は、生垣の周囲の環境を考慮したものではなく、生垣の管理に適用することは困難である。
【0006】
本発明の一態様は、上述した問題点を解決するものであり、その目的は、生垣のような植栽の管理をシステム化する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る植栽管理運営装置は、植栽管理機械を用いた植栽管理を支援する植栽管理運営装置であって、植栽対象地の環境情報及び植栽の状態に応じて、植栽の管理時期、管理領域、及び管理内容の少なくとも1つを予測する予測部と、前記予測部における予測結果に応じて、前記植栽管理機械を用いた植栽管理のための植栽管理計画を設定する管理計画設定部とを備えている。
【0008】
本発明の一態様に係る植栽管理機械制御装置は、植栽管理機械による植栽管理の作業領域及び作業内容を含む植栽管理計画に基づき、前記植栽管理機械の走行ルートを設定する走行ルート設定部と、前記植栽管理計画に基づき、前記植栽管理機械の作業手順を設定する作業手順設定部とを備えている。
【0009】
本発明の一態様に係る植栽管理機械は、植栽を剪定する剪定部と、植栽場所の地表面を刈り取る刈取部、及び、剪定又は刈り取りにより生じた残渣を回収する回収部の少なくとも一方とを備えている。
【0010】
本発明の一態様に係る植栽管理システムは、本発明の一態様に係る植栽管理運営装置と、本発明の一態様に係る植栽管理機械制御装置とを備えている。
【0011】
本発明の一態様に係る植栽管理運営方法は、植栽管理機械を用いた植栽管理を支援する植栽管理運営方法であって、植栽対象地の環境情報及び植栽の状態に応じて、植栽の管理時期、管理領域、及び管理内容の少なくとも1つを予測する予測工程と、前記予測工程における予測結果に応じて、前記植栽管理機械を用いた植栽管理のための植栽管理計画を設定する管理計画設定工程とを包含する。
【0012】
本発明の各態様に係る植栽管理運営装置及び植栽管理機械制御装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記装置をコンピュータにて実現させる制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、植栽管理をシステム化する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一態様に係る植栽設計支援装置の要部構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一態様に係る植栽管理システムの要部構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一態様に係る植栽管理機械の概要を示す模式図である。
図4】本発明の一態様に係る植栽設計支援装置が実行する植栽設計処理の一例を説明するフローチャートである。
図5】本発明の一態様に係る植栽管理運営装置が実行する植栽管理計画設定処理の一例を説明するフローチャートである。
図6】本発明の一態様に係る植栽管理機械制御装置が実行する植栽管理機械の制御処理の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(植栽設計支援装置10)
植栽設計支援装置10は、植栽予定地における植栽の設計を支援する装置である。ここで、植栽には、空間を美的又は機能的に構成するための樹木のような植物材料のみならず、これらの植物材料を空間に配置するための構造物も含まれる。すなわち、植栽予定地とは、植物材料と共に上述した構造物を配置又は建設する建設予定地と称することもできる。
【0016】
図1に示すように、植栽設計支援装置10は、制御部11、入力部17、出力部18、及び記憶部19を備えている。図1は、本発明の一態様に係る植栽設計支援装置10の要部構成を示すブロック図である。制御部11は、植栽設計支援装置10の各部を統括して制御するものであり、一例として、プロセッサ及びメモリにより実現される。この例において、プロセッサはストレージ(不図示)にアクセスし、ストレージに格納されているプログラム(不図示)をメモリにロードし、当該プログラムに含まれる一連の命令を実行する。これにより、制御部11の各部が構成される。当該各部として、制御部11は、データ取得部12、走行領域設定部(設定部)13、植栽条件決定部14、植栽設計部(設計部)15、及び構造物設計部(設計部)16を備えている。
【0017】
入力部17は、ユーザによる植栽設計支援装置10に対する入力操作を受け付ける。入力部17は、一例として、植栽設計支援装置10において植栽設計するために用いるデータの入力を受け付ける。入力部17は、一例として、キーボード、マウス、タッチパネル、タブレット等の入力デバイスを介した植栽設計支援装置10に対する入力操作を受け付ける。また、入力部17は、インターネット等の通信媒体を介して送信されたデータを受け付けるものであってもよい。さらに、入力部17は、クラウドコンピューティング等を利用してネットワーク上からデータをダウンロードするものであってもよい。また、入力部17は、CDやUSBメモリ等の記録媒体を介して入力されたデータを受け付けるものであってもよい。
【0018】
出力部18は、植栽設計支援装置10が決定した植栽条件、植栽設計、構造物設計等を表す情報を出力する。出力部18は、例えば、上記情報を画像として表示する、上記情報を印刷する、上記情報を電子データとして出力する、又は、上記情報を音声として出力する。また、出力部18は、上記情報をスマートフォンのようなモバイルデバイスのディスプレイに表示してもよい。
【0019】
記憶部19は、植栽設計支援装置10にて使用されるプログラム及びデータを格納する。記憶部19は、一例として、入力部17を介して入力された各種データを格納する。また、記憶部19は、一例として、植栽設計支援装置10において、植栽条件を決定するために使用する環境情報、決定した植栽条件、植栽条件に基づき設計した植栽設計、及び構造物設計等を格納する。記憶部19は、クラウド又はサーバ上に設けられたデータベースに各種データを格納するようになっていてもよい。
【0020】
<データ取得部12>
データ取得部12は、植栽設計するためのデータを取得する。データ取得部12は、入力部17からの植栽設計処理の開始指示を表す入力信号に基づき、記憶部19からデータを読み出す。また、データ取得部12は、入力部17を介して入力されたデータを取得してもよい。データ取得部12が取得するデータは、一例として、植栽予定地の環境情報である。データ取得部12は、取得したデータを走行領域設定部13へ出力する。
【0021】
<走行領域設定部13>
走行領域設定部13は、植栽予定地の環境情報に基づいて、植栽を管理する植栽管理機械の走行領域を設定する。ここで、植栽管理機械は、一例として、後述する植栽管理機械40である。また、走行領域は、植栽予定地における植物材料及び構造物を含む建設物全体の設計対象範囲のうち、植栽を設置する建設物の内外の領域又は建設物を変形可能若しくは一時的に撤去可能な領域において、植栽管理機械を走行及び作業させるための領域が意図される。走行領域設定部13は、データ取得部12から出力される環境情報を取得する。走行領域設定部13は、設定した走行領域を表す情報を、植栽条件決定部14へ出力する。
【0022】
ここで、走行領域設定部13が走行領域の設定処理に用いる環境情報には、植栽予定地又は植栽予定地周辺の、地形、構造物の有無、気象条件、交通量、及び、視認性の少なくとも1つの情報が含まれる。走行領域設定部13は、一例として、植栽予定地の地形の情報を考慮して、植栽予定地内の植栽管理機械の走行可能な地形を選択して走行領域を設定する。また、走行領域設定部13は、一例として、植栽予定地の構造物の有無に関する情報を考慮して、植栽管理機械の走行を妨げる構造物を避けた走行領域を設定する。さらに、走行領域設定部13は、一例として、植栽予定地の気象条件の情報を考慮して、植栽管理機械の走行を妨げる積雪の多い地点を避けた走行領域を設定する。また、走行領域設定部13は、一例として、植栽予定地の交通量の情報を考慮して、交通量の少ない走行領域を設定する。さらに、走行領域設定部13は、一例として、植栽予定地における視認性を表す情報を考慮して、植栽管理機械40の安全な走行が可能な視認性が確保される走行領域を設定する。
【0023】
走行領域設定部13は、植栽予定地の環境情報に基づき、状況に応じた植栽管理機械の適切な走行領域を設定することができる。走行領域設定部13は、設定した走行領域を表す情報を、走行領域を設定する植栽予定地に重ねて表示する走行領域マップデータを生成してもよい。
【0024】
また、走行領域設定部13は、環境情報と共に、植栽管理機械の種類及びサイズ、刈取形状、刈取物の収集方法、刈取物の排出方法、刈取物の積載能力、植栽基台の形状及びサイズ、並びに、植栽管理機械の走行方法の少なくとも1つを含む植栽管理機械情報に基づいて、植栽管理機械の走行領域を設定してもよい。ここで、刈取物とは、植栽を剪定する際に刈り取られた植物の枝や葉が意図され、剪定後の残渣と称する場合もある。走行領域設定部13は、一例として、刈取物その収集方法や搬出方法に応じて、植栽管理機械による収集作業及び搬出作業が可能な領域を走行領域として設定する。また、走行領域設定部13は、一例として、植栽管理機械における刈取物の積載能力が刈取物の量よりも小さい場合には、植栽管理機械により複数回搬出作業を行うことが可能なように、走行領域を設定する。
【0025】
さらに、走行領域設定部13は、一例として、植栽管理機械に刈取物を積載する場合や、植栽管理機械に並走するトラックに刈取物を積載する場合のように、その積載態様に応じた走行領域を設定する。また、走行領域設定部13は、一例として、植栽管理機械が、トラックの荷台から伸びたアームの先端に取り付けられた剪定部により剪定と刈取物の積載とを同時に行うような走行方法である場合、その走行方法に応じた走行領域を設定する。さらに、走行領域設定部13は、一例として、植栽面の高さや幅のような植栽基台に関する情報に応じて、植栽管理機械による管理作業が可能な領域を走行領域として設定する。また、植栽管理機械による作業が一方向のみからでは適切ではない場合を考慮して、走行領域設定部13は、植栽管理機械を往復走行させるような走行領域を設定してもよい。
【0026】
また、走行領域設定部13は、環境情報と共に、植栽予定地において予め定められた設計要件に基づいて、植栽管理機械の走行領域を設定してもよい。ここで、設計要件としては、一例として、植栽予定地において求められる植栽の構成(植物の大きさ、本数、又は形状や、構造物の大きさ等)が意図される。また、設計要件には、国や自治体などから提供される道路設置要領やガイドラインにおいて規定された、中央分離帯の幅、道路の傾斜、カーブ度合い、標示物の設置などが含まれ得る。走行領域設定部13は、一例として、このような設計要件を満たす植栽の建設領域を確保して、植栽管理機械が走行及び作業可能な領域を走行領域として設定する。この態様において、後述する植栽条件決定部14は、設定された走行領域に基づき、予め定められた設計要件の範囲内において、植栽条件を設定するようになっていてもよい。
【0027】
<植栽条件決定部14>
植栽条件決定部14は、設定した走行領域に応じて、植栽予定地における植栽条件を決定する。植栽条件決定部14は、走行領域設定部13から出力される走行領域を表す情報を取得する。植栽条件決定部14は、決定した植栽条件を表す情報を、植栽設計部15及び構造物設計部16へ出力する。また、植栽条件決定部14は、決定した植栽条件を表す情報を、出力部18へ出力してもよい。さらに、植栽条件決定部14は、決定した植栽条件を表す情報を、記憶部19に格納してもよい。
【0028】
ここで、植栽条件決定部14が決定する植栽条件には、植物の種類、植物の形状、植物の大きさ、植物の数、植栽予定地内における植栽位置、雑草対策等の、植栽についての情報が含まれる。ここで、雑草対策とは、雑草を生やしにくい植物の種類、植物の形状等の条件が意図される。
【0029】
植栽条件決定部14は、植栽予定地への植栽に適した植栽条件を、植栽後の植栽管理機械による植栽管理を考慮して決定する。植栽条件決定部14は、植栽管理機械の走行領域に基づいて、植栽管理機械による植栽管理が可能なように、植栽条件を決定する。植栽条件決定部14は、一例として、植栽予定地内に植栽管理機械の走行領域を確保して、走行領域外に植栽するような植栽条件を決定する。また、植栽条件決定部14は、一例として、植栽管理機械の走行領域上から剪定が可能な位置に植栽するような植栽条件を決定する。なお、上述したように、植栽予定地において設計要件が予め定められている場合には、植栽条件決定部14は、走行領域設定部13により設定された走行領域に応じて、設計要件の範囲内で植栽条件を決定する。
【0030】
また、植栽条件決定部14は、植栽管理機械の車輪又は履帯の幅、左右の車輪又は履帯間の距離、作業面の高さ、カーブの曲面の走行限度、傾斜面の走行限度等をさらに考慮して、植栽条件を決定してもよい。さらに、植栽条件決定部は、決定する植栽条件に、植栽管理機械による植栽管理の作業開始位置となる植栽構造物の切れ目に関する情報を含めてもよい。
【0031】
植栽条件決定部14は、走行領域設定部13が設定した走行領域に応じた植栽条件を生成してもよいし、予め定められた植栽条件の規格から、走行領域に基づいて適切な植栽条件を選択してもよい。植栽条件の規格から適切な植栽条件を選択することによって、植栽管理機械による一様な管理が可能になる。その結果、植栽管理の労力をより軽減し、より効率的な管理を実現することができる。
【0032】
<植栽設計部15>
植栽設計部15は、植栽条件決定部14が決定した植栽条件に基づいて、植栽予定地における植栽を設計する。植栽設計部15は、植栽条件決定部14から出力される植栽条件を表す情報を取得する。植栽設計部15は、植栽設計を表す情報を、出力部18へ出力する。植栽設計部15は、植栽設計を表す情報を、記憶部19へ格納してもよい。植栽設計部15は、植栽条件決定部14が決定した植栽条件の範囲内で、植栽予定地における植栽の位置;植物材料の種類、本数及び間隔;植栽の形状等を設計する。植栽設計部15は、後述する構造物設計部16における構造物の設計に応じて、植栽設計を調整してもよい。
【0033】
<構造物設計部16>
構造物設計部16は、植栽条件決定部14が決定した植栽条件に基づいて、植栽予定地における構造物を設計する。構造物設計部16は、植栽条件決定部14から出力される植栽条件を表す情報を取得する。構造物設計部16は、構造物設計を表す情報を、出力部18へ出力する。構造物設計部16は、構造物設計を表す情報を、記憶部19へ格納してもよい。構造物設計部16は、植栽条件決定部14が決定した植栽条件の範囲内で、植栽予定地における植栽のための構造物の位置;構造物の種類;構造物の形状等を設計する。また、構造物設計部16は、植栽設計部15における植栽の設計に応じて、構造物設計を調整してもよい。さらに、構造物設計部16は、植栽管理機械の走行位置を指定するガイド(一例として、生垣下に設けられる縁石の縁)を構造物と共に設計してもよい。
【0034】
植栽設計支援装置10によれば、植栽管理機械による植栽管理を前提とした植栽の設計が可能であり、植栽管理の労力を軽減し、効率的な管理を実現することができる。また、植栽管理機械による植栽管理を前提とした植栽の設計により、植栽管理機械の遠隔操作や自動運転を実現することもできる。植栽設計支援装置10は、植栽を設計する設計者に、好適に利用され得る。
【0035】
(植栽管理運営装置20)
図2を参照して、植栽管理運営装置20について説明する。植栽管理運営装置20は、植栽管理計画を設定することで、植栽管理機械40を用いた植栽管理を支援する装置である。図2に示すように、植栽管理運営装置20は、制御部21、入力部25、出力部26、及び記憶部27を備えている。植栽管理運営装置20は、植栽管理機械制御装置30と共に、植栽管理システム100を構成し得る。図2は、本発明の一態様に係る植栽管理システム100の要部構成を示すブロック図である。植栽管理システム100は、植栽管理機械40を用いた植栽の管理を支援するシステムであり得る。植栽管理システム100は、植栽管理運営装置20及び植栽管理機械制御装置30を、それぞれ独立した装置として備えていてもよいし、一の装置内に一体として備えていてもよい。
【0036】
植栽管理運営装置20は、制御部21を備えている。制御部21は、植栽管理運営装置20の各部を統括して制御するものであり、一例として、プロセッサ及びメモリにより実現される。この例において、プロセッサはストレージ(不図示)にアクセスし、ストレージに格納されているプログラム(不図示)をメモリにロードし、当該プログラムに含まれる一連の命令を実行する。これにより、制御部21の各部が構成される。当該各部として、制御部21は、データ取得部22、予測部23、及び管理計画設定部24を備えている。
【0037】
入力部25は、ユーザによる植栽管理運営装置20に対する入力操作を受け付ける。入力部25は、一例として、植栽管理運営装置20において植栽管理計画を設定するために用いるデータの入力を受け付ける。入力部25は、一例として、キーボード、マウス、タッチパネル、タブレット等の入力デバイスを介した植栽管理運営装置20に対する入力操作を受け付ける。また、入力部25は、インターネット等の通信媒体を介して送信されたデータを受け付けるものであってもよい。さらに、入力部25は、クラウドコンピューティング等を利用してネットワーク上からデータをダウンロードするものであってもよい。また、入力部25は、CDやUSBメモリ等の記録媒体を介して入力されたデータを受け付けるものであってもよい。
【0038】
出力部26は、植栽管理運営装置20が設定した植栽管理計画を表す情報を出力する。また、出力部26は、記憶部27に格納された植栽管理履歴を表す情報を読み出して出力してもよい。出力部26は、例えば、上記情報を画像として表示する、上記情報を印刷する、上記情報を電子データとして出力する、又は、上記情報を音声として出力する。また、出力部26は、上記情報をスマートフォンのようなモバイルデバイスのディスプレイに表示してもよい。
【0039】
記憶部27は、植栽管理運営装置20にて使用されるプログラム及びデータを格納する。記憶部27は、一例として、入力部25を介して入力された各種データを格納する。また、記憶部27は、一例として、植栽管理運営装置20において、植栽管理計画を設定するために使用する環境情報及び植栽の状態を表す情報を格納する。記憶部27は、クラウド又はサーバ上に設けられたデータベースに各種データを格納するようになっていてもよい。また、記憶部27は、植栽管理運営装置20が設定した過去の植栽管理計画と植栽管理の結果とを組み合わせた植栽管理履歴を格納していてもよい。
【0040】
<データ取得部22>
データ取得部22は、植栽の管理計画を設定するためのデータを取得する。データ取得部22は、入力部25からの、植栽の管理計画を設定する処理の開始指示を表す入力信号に基づき、記憶部27からデータを読み出す。また、データ取得部22は、入力部25を介して入力されたデータを取得してもよい。データ取得部22が取得するデータは、一例として、植栽対象地の環境情報及び植栽の状態を表す情報である。データ取得部22は、取得したデータを予測部23へ出力する。
【0041】
<予測部23>
予測部23は、植栽対象地の環境情報及び植栽の状態に応じて、植栽の管理時期、管理領域及び管理内容の少なくとも1つを含む管理情報を予測する。予測部23は、データ取得部22から出力される環境情報及び植栽の状態を表す情報を取得する。予測部23は、予測した植栽の管理情報を、管理計画設定部24へ出力する。
【0042】
予測部23が植栽の管理情報の予測に用いる環境情報は、走行領域設定部13が走行領域の設定処理に用いる環境情報と同様である。すなわち、予測部23が植栽の管理情報の予測に用いる環境情報は、植栽対象地又は植栽対象地周辺の、地形、構造物の有無、気象条件、交通量、及び、視認性の少なくとも1つの情報が含まれる。また、予測部23が植栽の管理情報の予測に用いる植栽の状態を表す情報には、植物の種類、植物の形状、植物の大きさ、植物の生理状態、雑草状況、基台の形状、並びに、異物の有無の少なくとも1つの情報が含まれる。
【0043】
また、予測部23は、植栽対象地の環境情報及び植栽の状態と共に、植栽の管理履歴に応じて、植栽の管理情報を予測してもよい。予測部23が植栽の管理情報の予測に用いる植栽の管理履歴には、過去の植栽の管理時期、管理領域、及び管理内容を含む管理情報、過去の植栽管理による結果(仕上がり状況)等の情報が含まれる。
【0044】
植栽は生長し、生長が所定の程度に達すると剪定が必要な時期になる。そのような状態になった植栽を剪定せずに放っておくと、枝が太くなり、植栽管理機械40による剪定が困難になり、また、植栽管理機械40が故障する原因になる。したがって、植栽は、適切な時期に管理する必要がある。予測部23は、一例として、植栽対象地の気象条件のような環境情報と、植物の種類、形状、生理状態のような植栽の状態を表す情報とに基づき、植栽の生長の程度を予測する。そして、予測部23は、予測された植栽の生長の程度に基づいて、植栽の管理情報を予測する。また、予測部23は、植栽の管理履歴をさらに参照して、植栽の管理情報を予測する。このような植栽の管理履歴は、一例として、記憶部27に格納されており、予測部23による予測時に記憶部27から読み出されてもよい。
【0045】
予測部23は、植物の種類、形状、及び大きさに応じて、剪定が必要であるか否か、どの程度の刈込が必要であるか、刈取物を細かく切断してから搬出するか等を判定し、その判定結果に基づき、剪定、刈取物の収集及び搬出等の必要な管理内容を予測してもよい。このような管理内容には、剪定の位置や程度、刈取物の切断の有無等の情報も含まれ得る。
【0046】
また、予測部23は、植物の生理状態に応じて、植物に栄養が足りないと判定した場合には、強い剪定は行わない、施肥する等の管理内容を予測してもよい。さらに、予測部23は、植物の周囲の雑草状況に応じて、地表の草刈りを行う、除草剤を散布する等の管理内容を予測してもよい。また、予測部23は、植物の周囲の異物の有無に応じて、ゴミが散乱している場合には、ゴミ収集することを管理内容として予測してもよい。
【0047】
予測部23は、植栽の管理情報と共に、植栽の管理に用いる植栽管理機械の種類を設定してもよい。予測部23は、管理内容が剪定である場合には剪定部を備えた植栽管理機械40を設定する。また、予測部23は、一例として、剪定する植物の種類に応じた剪定機能を有する植栽管理機械40を設定してもよい。
【0048】
なお、予測部23による植栽の管理情報の予測は、植栽の環境情報及び植栽の状態を表す情報を入力情報として、植栽の管理情報を出力する予測モデルを用いて行ってもよい。このような予測モデルは、植栽の環境情報及び植栽の状態を表す情報と、当該植栽の管理情報とを対応付けた学習データを用いて機械学習を行うことによって、生成する事ができる。
【0049】
<管理計画設定部24>
管理計画設定部24は、予測された植栽の管理情報に基づき、植栽を管理するための植栽管理計画を設定する。管理計画設定部24は、予測部23から植栽の管理情報を取得する。管理計画設定部24は、決定した植栽管理計画を表す情報を、植栽管理機械制御装置30へ出力する。また、管理計画設定部24は、決定した植栽管理計画を表す情報を、出力部26へ出力してもよい。さらに、管理計画設定部24は、決定した植栽管理計画を表す情報を、記憶部27に格納してもよい。
【0050】
管理計画設定部24は、予測部23が予測した植栽の管理情報に基づいて、植栽管理機械40を用いた植栽管理の作業スケジュールを含む植栽管理計画を設定する。ここで、管理計画設定部24が設定する植栽管理計画には、植栽管理機械40による植栽管理の作業時期、作業領域、及び作業内容の少なくとも1つの情報が含まれ得る。また、植栽管理計画に含まれる作業時期には、直近の作業が必要な時期を示す短期的なスケジュールだけでなく、予算確保のための計画作成に用いるような、複数年の作業時期を示す長期的スケジュールも含まれ得る。さらに、植栽管理計画に含まれる作業領域には、植栽管理機械40の走行領域に関する情報も含まれ得る。また、植栽管理計画に含まれる作業内容には、剪定や除草のような作業に加えて、刈り払い、防除、施肥のような作業が含まれ得る。さらに、植栽管理計画には、年間に必要となる経費を算出するための作業ごとの作業見込量に関する情報も含まれ得る。
【0051】
管理計画設定部24は、設定した植栽管理計画を、植栽対象地の地図データに重ねて表示する植栽管理マップデータを生成してもよい。また、管理計画設定部24は、設定した植栽管理計画を植栽管理記録として記憶部27に格納してもよい。また、管理計画設定部24は、設定した植栽管理計画を、過去の植栽管理計画及び植栽管理の結果と組み合わせて植栽管理履歴を作成し、記憶部27に格納してもよい。
【0052】
植栽管理運営装置20によれば、植栽の管理を効率よく適切に行うことができる。したがって、植栽管理運営装置20は、植栽の管理を行う道路管理者に、好適に利用され得る。
【0053】
(植栽管理機械制御装置30)
植栽管理機械制御装置30は、植栽管理機械40を制御する装置である。植栽管理機械制御装置30は、植栽管理運営装置20と共に、植栽管理システム100を構成し得る。植栽管理機械制御装置30は、複数種の植栽管理機械40を制御するものであってもよい。植栽管理機械制御装置30は、制御部31、入力部35、出力部36、及び記憶部37を備えている。
【0054】
制御部31は、植栽管理機械制御装置30の各部を統括して制御するものであり、一例として、プロセッサ及びメモリにより実現される。この例において、プロセッサはストレージ(不図示)にアクセスし、ストレージに格納されているプログラム(不図示)をメモリにロードし、当該プログラムに含まれる一連の命令を実行する。これにより、制御部31の各部が構成される。当該各部として、制御部31は、データ取得部32、走行ルート設定部33、及び作業手順設定部34を備えている。
【0055】
入力部35は、ユーザによる植栽管理機械制御装置30に対する入力操作を受け付ける。入力部35は、一例として、植栽管理機械制御装置30において植栽管理機械40を制御するために用いられるデータの入力を受け付ける。入力部35は、一例として、キーボード、マウス、タッチパネル、タブレット等の入力デバイスを介した植栽管理機械制御装置30に対する入力操作を受け付ける。また、入力部35は、インターネット等の通信媒体を介して送信されたデータを受け付けるものであってもよい。さらに、入力部35は、クラウドコンピューティング等を利用してネットワーク上からデータをダウンロードするものであってもよい。また、入力部35は、CDやUSBメモリ等の記録媒体を介して入力されたデータを受け付けるものであってもよい。
【0056】
出力部36は、植栽管理機械制御装置30による植栽管理機械40を制御するために用いられる情報を出力する。出力部36は、植栽管理機械制御装置30が設定した植栽管理機械40の走行ルート及び作業手順に関する情報を出力する。出力部36は、例えば、上記情報を画像として表示する、上記情報を印刷する、上記情報を電子データとして出力する、又は、上記情報を音声として出力する。また、出力部36は、上記情報をスマートフォンのようなモバイルデバイスのディスプレイに表示してもよい。
【0057】
記憶部37は、植栽管理機械制御装置30にて使用されるプログラム及びデータを格納する。記憶部37は、一例として、入力部35を介して入力された各種データを格納する。また、記憶部37は、一例として、植栽管理機械制御装置30において、植栽管理機械40を制御するために用いられる情報を格納する。また、記憶部37は、一例として、植栽管理機械制御装置30が設定した植栽管理機械40の走行ルート及び作業手順に関する情報を格納する。記憶部37は、クラウド又はサーバ上に設けられたデータベースに各種データを格納するようになっていてもよい。
【0058】
<データ取得部32>
データ取得部32は、植栽管理機械40を制御するためのデータを取得する。データ取得部32は、入力部35からの植栽管理機械40の制御処理の開始指示を表す入力信号に基づき、植栽管理運営装置20が設定した植栽管理計画を表すデータを取得する。データ取得部32は、記憶部37に格納された植栽管理計画を表すデータを読み出してもよい。また、データ取得部32は、入力部35を介して入力された植栽管理計画を表すデータを取得してもよい。データ取得部32が取得するデータは、一例として、植栽管理機械40による植栽管理の作業領域及び作業内容を表す作業情報であり得る。データ取得部32は、取得したデータを走行ルート設定部33及び作業手順設定部34へ出力する。
【0059】
<走行ルート設定部33>
走行ルート設定部33は、植栽管理機械40による植栽管理の作業領域及び作業内容を含む植栽管理計画に基づき、植栽管理機械40の走行ルートを設定する。走行ルート設定部33は、設定した走行ルートを表す情報を、植栽管理機械40へ出力する。また、走行ルート設定部33は、設定した走行ルートを表す情報を出力部36へ出力してもよい。さらに、走行ルート設定部33は、設定した走行ルートを表す情報を記憶部37へ格納してもよい。
【0060】
走行ルート設定部33は、植栽管理計画に含まれる作業領域において、植栽管理機械40が植栽管理計画に含まれる作業内容を実行可能なように、植栽管理機械40の走行ルートを設定する。走行ルート設定部33は、一例として、作業内容が剪定及び刈取物の搬出である場合、植栽管理機械40を剪定対象の植物の位置まで走行させ、剪定及び刈取物を収集して搬出する作業を実施可能な植栽管理機械40の走行ルートを設定する。走行ルート設定部33は、一例として、作業内容が施肥である場合、植栽管理機械40を施肥が必要な植物の位置まで走行させ、施肥を実施可能な植栽管理機械40の走行ルートを設定する。
【0061】
走行ルート設定部33は、植栽管理機械40の種類に応じた走行ルートを作成してもよい。植栽管理機械40の種類に関する情報は、植栽管理計画に含まれ得る。走行ルート設定部33は、一例として、選択された植栽管理機械40が刈取物を積載する機能を有する場合には、刈取物を積載していても走行可能なように、道幅の広い走行ルートを設定する。
【0062】
<作業手順設定部34>
作業手順設定部34は、植栽管理計画に基づき、植栽管理機械40の作業手順を設定する。作業手順設定部34は、設定した作業手順を表す情報を、植栽管理機械40へ出力する。また、作業手順設定部34は、設定した作業手順を表す情報を出力部36へ出力してもよい。さらに、作業手順設定部34は、設定した作業手順を表す情報を記憶部37へ格納してもよい。
【0063】
作業手順設定部34は、植栽管理計画に含まれる作業領域において、植栽管理機械40が植栽管理計画に含まれる作業内容を実行可能なように、植栽管理機械40の作業手順を設定する。作業手順設定部34は、一例として、作業内容が剪定及び刈取物の搬出である場合、まずは作業領域内の特定の箇所を剪定して刈取物を回収した後、作業領域内の他の箇所を剪定して刈取物を回収するような、作業手順を設定する。
【0064】
植栽管理機械制御装置30は、植栽管理計画に応じて設定された走行ルート上において、植栽管理計画に応じて設定された作業手順により植栽の管理を実行するように、植栽管理機械40を制御することができる。植栽管理機械制御装置30によれば、植栽管理機械40による植栽管理が実現可能であり、植栽管理の労力を軽減し、効率的な管理を実現することができる。また、植栽管理機械制御装置30によれば、植栽管理機械40の遠隔操作や自動運転を実現することもできる。植栽管理機械制御装置30は、植栽の管理作業を実行する工事業者に、好適に利用され得る。
【0065】
(植栽管理機械40)
図3に示すように、植栽管理機械40は、植栽管理するために用いられる機械である。図3は、本発明の一態様に係る植栽管理機械40の概要を示す模式図であり、図3中の左側には植栽管理機械40を横側から見た側面図1001が示されており、図3中右側には植栽管理機械40を前側から見た側面図1002が示されている。植栽管理機械40は、一例として、図1に示す植栽設計支援装置10により設計された植栽を、植栽管理運営装置20において設定された植栽管理計画に基づいて、植栽管理機械制御装置30が設定した走行ルート及び作業手順により管理するために用いられる。
【0066】
植栽管理機械40は、植栽を剪定する上面カッター(剪定部)41及びサイドカッター(剪定部)45と、植栽場所の地表面の草を刈り取る地表カッター(刈取部)43と、剪定又は刈り取りにより生じた残渣を回収する底面ブラシ(回収部)44及び上面ブラシ(回収部)46とを備えている。植栽管理機械40は、図3に示すような運転席が設けられた乗用型であり、走行ルートを走行するための走行装置(走行部)50を備え、走行しながら剪定、刈取物の回収等の植栽管理を実行し得る機械である。走行装置50は、植栽管理機械40の本体下部に設けられたタイヤと、タイヤを回転駆動するエンジンとを備えている。走行装置50により、植栽管理機械40は、植栽管理機械制御装置30により設定された走行ルートを走行する。
【0067】
また、植栽管理機械40は、走行ルート上の基準構造物と走行装置50との距離を検知するセンサ部51を備えている。センサ部51は、一例として、走行ルート上の縁石を基準構造物として、縁石と走行装置50との距離を検知することで、走行ルート上の正しい位置を走行するように植栽管理機械40を制御することができる。センサ部51により、植栽管理機械40の走行ルートをより正確に制御することができるので、植栽管理機械40と剪定対象の植栽との距離が制御され、植栽の正確な剪定位置を実現することができる。
【0068】
植栽の剪定位置が上下や左右にずれると、刈りすぎや刈り残しが生じる場合があり、植栽の枯れ込みの原因となり得る。また、上面カッター41、サイドカッター45等の植栽管理機械40の各部品が太枝にあたった場合には、それらが故障する恐れもある。そのため、植栽管理機械40は、走行ルートからずれないように走行させると同時に、適切な剪定及び刈り取り位置を実現できるように走行させることが望ましい。
【0069】
植栽管理機械40は、センサ部51により、走行ルート上の縁石等の基準構造物に対する走行装置50の距離を検知することで、当該距離が適切となるように走行装置50による走行を制御することができる。すなわち、植栽管理機械40は、走行ルート上の縁石等の基準構造物に沿って走行させることができる。これにより、植栽管理機械40を走行ルート上の正しい位置において走行させることができ、適切な剪定及び刈取位置を実現するように走行させることができる。すなわち、植栽管理機械40は、剪定及び刈取位置のずれを防ぎ、走行ルートを走行しながら正しい位置で剪定及び刈り取りを行う植栽管理を実現し得る。
【0070】
センサ部51は、一例として、植栽管理機械40の車体本体の下部の走行装置50の近傍に設けられる。また、センサ部51は、上面カッター41、サイドカッター45、地表カッター43等の剪定又は刈り取りを実施する部材の近傍に設けられていることが好ましい。これにより、より正確な剪定及び刈り取り位置を実現するように、植栽管理機械40を走行させることができる。植栽管理機械40が備えるセンサ部51の数は限定されず、2個以上であってもよい。センサ部51は、基準構造物と走行装置50との距離を検知するものであってもよいし、GPSにより植栽管理機械40の位置を確認するものであってもよい。
【0071】
上面カッター41及びサイドカッター45は、一例として、植栽管理機械40の本体から伸びたアームの先端に設けられた、枝や葉を切断可能な刃であり得る。底面ブラシ44及び上面ブラシ46は、植栽の上面の刈取物や植物の下の地表に落下した刈取物を回収するために用いられ得る。
【0072】
また、植栽管理機械40は、さらに、粉砕部47、開口部48、及びシューター49を備えていてもよい。粉砕部47は、刈取物を粉砕するために用いられ得る。開口部48は、刈取物を回収するために用いられ得る。シューター49は、回収された刈取物を排出するシューティング排出のために用いられ得る。また、植栽管理機械40は、施肥、除草剤の散布等を実行する機能を備えていてもよい。
【0073】
なお、シューター49から排出された刈取物は、植栽管理機械40と併走するトラック等の排出車両において回収される。排出車両は植栽管理機械40と共に操作され、一例として、排出車両又は植栽管理機械40のいずれかに乗車したオペレータによりそれぞれがコントロールされてもよい。
【0074】
植栽管理機械40は、植栽管理機械制御装置30が設定した走行ルート上において、植栽管理機械制御装置30が設定した作業手順により植栽を管理するように、制御され得る。植栽管理機械40は、一例として、有線又は無線のネットワークを介して、駆動を遠隔操作されてもよい。この場合、植栽管理機械40は、事故防止の観点から作業環境がモニタリングされ、作業の安全性に応じて自動停止するようになっていることが好ましい。
【0075】
すなわち、植栽管理機械40が設定された走行ルート上を走行する機能と共に備え得る機能は、一例として、植栽の上面を刈る剪定機能、植栽の側面を刈る剪定機能、植栽の底面を刈る剪定機能、地表の雑草を刈る機能、植栽の上面の刈取物を回収する機能、植栽の側面の刈取物を回収する機能、植栽の底面の刈取物を回収する機能、刈取物を粉砕する機能、粉砕物を排出する機能(シューター)、施肥する機能、除草剤を散布する機能、害虫防除のための薬剤を散布する機能等であり得る。植栽管理機械40は、走行する機能と共に、上述した機能の少なくとも1つ備えていればよいが、複数備えていることが好ましい。また、植栽管理機械40は、自動運転する機能を備えていてもよい。さらに、植栽管理機械40は、植栽を正確な位置で剪定及び刈り取りするために、予め定められた位置を精密に走行する機能を備えていてもよい。予め定められた位置を精密に走行する機能の一例は、上述したセンサ部51により実現し得る。予め定められた位置を精密に走行する機能は、一例として、植栽場所の縁石に沿って走行する機能、道路上の白線に沿って走行する機能、GPS等の精密な衛星誘導装置により走行する機能等であり得る。
【0076】
植栽管理機械が複数の機能を備える場合、例えば、上述した全ての機能を備えていれば、植栽管理作業に関わる人員を縮減することができる。また、剪定機能を備えた植栽管理機械と、刈取物を回収する機能、刈取物を粉砕する機能、及び粉砕物を排出する機能を備えた植栽管理機械とを併用することで、全ての作業を実行するようにしてもよい。さらに、通常は地表の雑草を刈る機能を備えた植栽管理機械のみを用い、年1回のみ植栽を剪定する剪定機能を備えた植栽管理機械を併用するというように、植栽管理計画に応じて使用する植栽管理機械が選択されてもよい。
【0077】
(植栽設計処理)
植栽設計支援装置10による植栽設計処理の流れについて、図4を参照して説明する。図4は、本発明の一態様に係る植栽設計支援装置10が実行する植栽設計処理の一例を説明するフローチャートである。図2に示すように、まず、データ取得部12は、植栽予定地の環境情報を取得する(ステップS11)。次に、走行領域設定部13は、環境情報に基づいて、植栽管理機械40の走行領域を設定する(ステップS12)。そして、植栽条件決定部14は、走行領域に応じて植栽条件を決定する(ステップS13)。さらに、植栽設計部15及び構造物設計部16は、植栽条件に基づいて、植栽及び構造物を設計する(ステップS14)。そして、植栽設計部15及び構造物設計部16は、植栽設計及び構造物設計を記憶部19に格納し、処理を終了する。
【0078】
(植栽管理計画設定処理)
植栽管理運営装置20による植栽管理計画設定処理(植栽管理運営方法)について、図5を参照して説明する。図5は、本発明の一態様に係る植栽管理運営装置が実行する植栽管理計画設定処理の一例を説明するフローチャートである。まず、データ取得部22は、植栽対象地の環境情報及び植栽の状態を表す情報を取得する(ステップS21)。次に、予測部23は、植栽対象地の環境情報及び植栽の状態に応じて、植栽の管理時期、管理領域及び管理内容を含む管理情報を予測する(ステップS22、予測工程)。そして、管理計画設定部24は、予測された管理情報に基づき、植栽管理の作業時期、作業領域、及び作業内容を含む植栽管理計画を設定する(ステップS23、管理計画設定工程)。管理計画設定部24は、設定した植栽管理計画を表す情報を植栽管理機械制御装置30へ出力し、処理を終了する(ステップS24)。
【0079】
(植栽管理機械制御処理)
植栽管理機械制御装置30による植栽管理機械40の制御処理について、図6を参照して説明する。図6は、本発明の一態様に係る植栽管理機械制御装置30が実行する植栽管理機械40の制御処理の一例を説明するフローチャートである。まず、データ取得部32は、植栽管理運営装置20が設定した植栽管理計画を表すデータを取得する(ステップS31)。次に、走行ルート設定部33は、植栽管理計画に含まれる植栽管理の作業領域及び作業内容に基づき、植栽管理機械40の走行ルートを設定する(ステップS32)。そして、作業手順設定部34は、植栽管理計画に含まれる植栽管理の作業領域及び作業内容に基づき、植栽管理機械40の作業手順を設定する(ステップS33)。走行ルート設定部33及び作業手順設定部34は、設定した走行ルート及び作業手順を表す情報を植栽管理機械40へ出力し、処理を終了する(ステップS34)。
【0080】
このような構成によれば、生垣のような植栽を適切に管理することにより、住みやすい街づくりに貢献できる。これにより、持続可能な開発目標(SDGs)の目標11「住み続けられるまちづくりを」の達成に貢献できる。また、植栽管理により回収した刈取物はバイオマス資源として利用可能であり、持続可能な開発目標の目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに(再生可能エネルギー)」及び目標12「つくる責任つかう責任(廃棄物処理)」の達成に貢献できる。
【0081】
〔ソフトウェアによる実現例〕
植栽設計支援装置10、植栽管理運営装置20、及び、植栽管理機械制御装置30(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部11、制御部21、及び制御部31に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラム(植栽設計支援プログラム、植栽管理運営プログラム、及び植栽管理機械制御プログラム)により実現することができる。
【0082】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0083】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0084】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0085】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0086】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
10 植栽設計支援装置
13 走行領域設定部(設定部)
14 植栽条件決定部(条件決定部)
15 植栽設計部(設計部)
16 構造物設計部(設計部)
20 植栽管理運営装置
23 予測部
24 管理計画設定部
30 植栽管理機械制御装置
32 データ取得部(取得部)
33 走行ルート設定部
34 作業手順設定部
40 植栽管理機械
41 上面カッター(剪定部)
44 底面ブラシ(回収部)
45 サイドカッター(剪定部)
46 上面ブラシ(回収部)
50 走行装置(走行部)
51 センサ部
100 植栽管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6