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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018413
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】供給方法および供給機器
(51)【国際特許分類】
   F17C 7/00 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
F17C7/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121746
(22)【出願日】2022-07-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005902
【氏名又は名称】株式会社三井E&S
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】坂口 善樹
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD03
3E172EB02
3E172EB17
3E172JA03
3E172KA21
3E172KA22
(57)【要約】
【課題】荷役機器への水素ガスの供給を効率よく行える供給方法および供給機器を提供する。
【解決手段】水素ガスを充填される水素タンク3と、この水素タンク3に連結されていて供給される水素ガスを冷却するプレクーラ4と、このプレクーラ4に連結されていて外部に水素ガスを供給するディスペンサ5とを備える供給機器1により、荷役機器に水素ガスを供給する供給方法において、プレクーラ4およびディスペンサ5に電気を供給する蓄電池6と、水素タンク3とプレクーラ4とディスペンサ5とを車両2に予め搭載して、荷役機器の近傍に車両2を移動させて荷役機器に水素ガスを供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素ガスを充填される水素タンクと、この水素タンクに連結されていて供給される水素ガスを冷却するプレクーラと、このプレクーラに連結されていて外部に水素ガスを供給するディスペンサとを備える供給機器により、荷役機器に水素ガスを供給する供給方法において、
前記プレクーラおよび前記ディスペンサに電気を供給する蓄電池と、前記水素タンクと前記プレクーラと前記ディスペンサとを車両に予め搭載して、
前記荷役機器の近傍に前記車両を移動させて前記荷役機器に水素ガスを供給することを特徴とする供給方法。
【請求項2】
前記プレクーラに対して並列状態で連結される複数の第一タンクで前記供給機器の前記水素タンクが構成されていて、
前記荷役機器の水素タンクの圧力である供給先圧力と複数の前記第一タンクのそれぞれの圧力である供給元圧力とを取得する取得ステップと、
供給先圧力よりも高い供給元圧力を有する前記第一タンクを一つ選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択された前記第一タンクから前記プレクーラおよび前記ディスペンサを介して前記荷役機器に水素ガスを供給する供給ステップとを備える請求項1に記載の供給方法。
【請求項3】
前記荷役機器の前記水素タンクが複数の第二タンクで構成されていて、
前記取得ステップが、複数の前記第二タンクのそれぞれの供給先圧力と複数の前記第一タンクのそれぞれの供給元圧力とを取得する構成を有していて、
前記選択ステップが、複数の前記第二タンクから一つを選択して、選択された前記第二タンクの供給先圧力よりも高い供給元圧力を有する前記第一タンクを一つ選択する構成を有していて、
前記供給ステップが、前記選択ステップで選択された前記第一タンクから前記第二タンクに水素ガスを供給する構成を有する請求項2に記載の供給方法。
【請求項4】
前記供給ステップで水素ガスを供給している前記第一タンクの供給元圧力を監視して、この供給元圧力の変化量が予め設定されるしきい値以下になったときに、前記荷役機器に水素ガスを供給する前記第一タンクを別の前記第一タンクに切り替える切替ステップを有する請求項2または3に記載の供給方法。
【請求項5】
前記供給ステップで前記第一タンクから前記荷役機器に供給される水素ガスの流量を監視して、この流量が予め設定されるしきい値以下になったときに、前記荷役機器に水素ガスを供給する前記第一タンクを別の前記第一タンクに切り替える切替ステップを有する請求項2または3に記載の供給方法。
【請求項6】
水素ガスを充填される水素タンクと、この水素タンクに連結されていて供給される水素ガスを冷却するプレクーラと、このプレクーラに連結されていて外部に水素ガスを供給するディスペンサとを備えていて、荷役機器に水素ガスを供給する供給機器において、
前記プレクーラおよび前記ディスペンサに電気を供給する蓄電池と、前記水素タンクおよび前記プレクーラおよび前記ディスペンサおよび前記蓄電池を搭載する車両とを備えることを特徴とする供給機器。
【請求項7】
前記供給機器の前記水素タンクが複数の第一タンクで構成されていて、
前記プレクーラと複数の前記第一タンクとの間に連結される第一分配機構を備えていて、
前記第一分配機構が、前記プレクーラに対して複数の前記第一タンクを並列状態で連結する配管部と、この配管部に配置されていてそれぞれの前記第一タンクに対応する複数の第一バルブと、それぞれの前記第一タンクの内部の圧力である供給元圧力を測定する圧力センサと、前記荷役機器の水素タンクの圧力である供給先圧力を取得する取得部と、供給元圧力および供給先圧力の値に基づき複数の前記第一バルブの開閉を制御する制御部とを有する請求項6に記載の供給機器。
【請求項8】
前記荷役機器の前記水素タンクを構成する複数の第二タンクと前記ディスペンサとの間に連結される第二分配機構を備えていて、
前記第二分配機構が、前記ディスペンサに対して複数の前記第二タンクを並列状態で連結する配管部と、この配管部に配置されていてそれぞれの前記第二タンクに対応する複数の第二バルブとを有していて、
前記取得部が、複数の前記第一タンクの供給元圧力および複数の前記第二タンクの供給先圧力を取得する構成を有していて、
前記制御部が、供給元圧力および供給先圧力の値に基づき複数の前記第一バルブおよび複数の前記第二バルブの開閉を制御する構成を有する請求項7に記載の供給機器。
【請求項9】
前記制御部が、供給先圧力よりも高い供給元圧力を有する前記第一タンクに対応する前記第一バルブを開放する構成を有する請求項7または8に記載の供給機器。
【請求項10】
前記制御部が、前記荷役機器に水素ガスを供給している前記第一タンクの供給元圧力を監視して、この供給元圧力の変化量が予め設定されるしきい値以下になったときに、前記第一バルブの開閉を制御することで前記荷役機器に水素ガスを供給する前記第一タンクを別の前記第一タンクに切り替える構成を有する請求項7または8に記載の供給機器。
【請求項11】
前記第一タンクから前記荷役機器に供給される水素ガスの流量を測定する流量センサを有していて、
前記制御部が、前記流量センサから得られる流量を監視して、この流量が予め設定されるしきい値以下になったときに、前記第一バルブの開閉を制御することで前記荷役機器に水素ガスを供給する前記第一タンクを別の前記第一タンクに切り替える構成を有する請求項7または8に記載の供給機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役機器に水素ガスを供給する供給方法および供給機器に関するものであり、詳しくは荷役機器への水素ガスの供給を効率よく行える供給方法および供給機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素の排出量を抑制したコンテナターミナルが種々提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1には、コンテナターミナルに敷設されるトロリ線から電気の供給を受けて動作する門型クレーンの構成が開示されている。門型クレーン等の荷役機器を電動化することで、コンテナターミナルにおける二酸化炭素の排出量を抑制できる。
【0003】
既設のコンテナターミナルにトロリ線を敷設する際には、長期間にわたり荷役作業ができなくなる不具合があった。一方で門型クレーンの燃料を水素ガスに変更することで二酸化炭素の排出量を抑制することが検討されている。
【0004】
門型クレーン等の荷役機器は大型であり且つ走行速度が例えば時速4kmなど低速であるため、水素ガスを供給するディスペンサが設置されている水素ステーションまで移動することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国特開2003-137494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は荷役機器への水素ガスの供給を効率よく行える供給方法および供給機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための供給方法は、水素ガスを充填される水素タンクと、この水素タンクに連結されていて供給される水素ガスを冷却するプレクーラと、このプレクーラに連結されていて外部に水素ガスを供給するディスペンサとを備える供給機器により、荷役機器に水素ガスを供給する供給方法において、前記プレクーラおよび前記ディスペンサに電気を供給する蓄電池と、前記水素タンクと前記プレクーラと前記ディスペンサとを車両に予め搭載して、前記荷役機器の近傍に前記車両を移動させて前記荷役機器に水素ガスを供給することを特徴とする。
【0008】
上記の目的を達成するための供給機器は、水素ガスを充填される水素タンクと、この水素タンクに連結されていて供給される水素ガスを冷却するプレクーラと、このプレクーラに連結されていて外部に水素ガスを供給するディスペンサとを備えていて、荷役機器に水素ガスを供給する供給機器において、前記プレクーラおよび前記ディスペンサに電気を供給する蓄電池と、前記水素タンクおよび前記プレクーラおよび前記ディスペンサおよび前記蓄電池を搭載する車両とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、荷役機器の近傍まで供給機器が移動して水素ガスの供給作業を行うことができる。また蓄電池を備えていて外部電源が不要となるため、任意の位置で供給機器から荷役機器に水素ガスの供給を行うことができる。荷役機器への水素ガスの供給を効率よく行うには有利である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】供給機器の概略を例示する説明図である。
図2】供給機器の変形例を例示する説明図である。
図3】供給作業のフローを例示する説明図である。
図4】制御部が取得するデータを例示する説明図である。
図5】供給元圧力および供給先圧力の変化の様子を示す表である。
図6】供給元圧力および供給先圧力の変化の様子を示す表である。
図7】供給元圧力および供給先圧力の変化の様子を示す表である。
図8】供給元圧力および供給先圧力の変化の様子を示す表である。
図9】供給元圧力および供給先圧力の変化の様子を示す表である。
図10図2の供給機器の変形例を例示する説明図である。
図11図3のフローの変形例を例示する説明図である。
図12】制御部が取得するデータを例示する説明図である。
図13】供給元圧力および供給先圧力の変化の様子を示す表である。
図14】供給元圧力および供給先圧力の変化の様子を示す表である。
図15】供給元圧力および供給先圧力の変化の様子を示す表である。
図16】供給元圧力および供給先圧力の変化の様子を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、供給方法および供給機器を図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0012】
図1に例示するように供給機器1は、二台の車両2を備えている。一台目の車両2aは、20ftコンテナの中に配置される一つの水素タンク3を備えている。この水素タンク3には例えば82MPaなど高圧に圧縮された水素ガスが充填されている。
【0013】
二台目の車両2bは、水素タンク3から供給される水素ガスを冷却するプレクーラ4と、プレクーラ4で冷却された水素ガスを外部に供給するディスペンサ5と、プレクーラ4およびディスペンサ5に電気を供給する蓄電池6とを備えている。車両2bに搭載される20ftコンテナの中にプレクーラ4等は配置されてもよい。図1では説明のため水素ガスを搬送する配管を太線で示し、蓄電池6に接続される電源ケーブルを破線で示している。
【0014】
車両2bが保安機器等の動作に利用するための蓄電池を予め備えていて、プレクーラ4等がこの蓄電池から電気の供給を受ける構成でもよい。この場合、供給機器1は蓄電池6を有さない構成となる。車両2が20ftコンテナを備える構成に限定されない。車両2は少なくともプレクーラ4等の機器と水素タンク3とを備えていればよい。
【0015】
供給機器1は車両2を備えているため移動可能となる。門型クレーン等の荷役機器に水素ガスを供給する際には、まず供給機器1が走行して門型クレーンの近傍まで移動する。その後、水素タンク3とプレクーラ4が配管で連結されるとともに、ディスペンサ5と門型クレーンとが配管で連結される。門型クレーン等の荷役機器に搭載されている水素タンクは残量が少なくなっているため、内部の圧力は例えば0.1MPaとなる。これに対して供給機器1に搭載されている水素タンク3の内部の圧力は例えば82MPaとなる。この差圧を利用する差圧充填方式により、水素ガスが供給機器1から荷役機器に供給される。荷役機器に搭載される水素タンクの圧力は例えば70MPaまで上昇する。荷役機器に連結される配管等の連結が解除されて、水素ガスの供給作業が完了となる。
【0016】
供給機器1は車両2を備えているため、門型クレーン等の荷役機器の近傍まで移動して水素ガスを供給できる。水素ガスの供給作業の際に、車両2に比べて移動が困難な門型クレーン等を移動させる必要がない。門型クレーン等の荷役機器への水素ガスの供給を効率よく行うには有利である。
【0017】
供給機器1が水素ガスを差圧充填方式で荷役機器に供給する構成であるため、水素ガスを加圧する圧縮機が不要となる。圧縮機の電源が不要となるため、水素ガスの供給作業を任意の場所で行うことが可能となる。圧縮機は例えば110kwの電源が必要であるため、例えば450Vの電源ケーブルに接続される必要がある。供給機器1が仮に圧縮機を備える場合は、450Vの電源ケーブルのある場所でしか供給作業を行えない。なおプレクーラ4およびディスペンサ5は10kw程度の電源で動作可能であり、車両2に搭載される蓄電池6からの給電で動作が可能となる。
【0018】
供給機器1が二台の車両2で構成されるため、水素タンク3の残量が少なくなった場合は、水素タンク3を搭載した別の車両2aを手配することで供給作業を継続できる。ディスペンサ5等を搭載した一台の車両2bに対して、水素タンク3を搭載した複数台の車両2aを準備することで、供給作業を効率よく行える。供給機器1の稼働率を向上するには有利である。
【0019】
供給機器1を構成する車両2は二台に限らない。供給機器1が一台の車両2を備える構成であってもよい。この車両2に40ftコンテナを搭載して、この40ftコンテナの中にディスペンサ5等の機器と水素タンク3とが配置されてもよい。
【0020】
図2に例示するように供給機器1の水素タンク3が、複数の第一タンク3aで構成されてもよい。この実施形態では供給機器1は、プレクーラ4と複数の第一タンク3aとの間に連結される第一分配機構7を備えている。第一分配機構7は、プレクーラ4に対して複数の第一タンク3aを並列状態で連結する配管部8と、この配管部8に配置されていてそれぞれの第一タンク3aに対応する複数の第一バルブ9と、それぞれの第一タンク3aの内部の圧力である供給元圧力Pxを測定する圧力センサ10とを有している。
【0021】
この実施形態では水素タンク3は、八本の第一タンク3aで構成される。第一タンク3aの数はこれに限らない。例えば十六本や二十本など任意の数の第一タンク3aで水素タンク3は構成される。配管部8はそれぞれの第一タンク3aから延びる配管が途中で合流してプレクーラ4に連結される構成を有している。配管部8の構成はこれに限らず、複数の第一タンク3aがプレクーラ4に対して並列となる並列状態で連結される構成であればよい。第一分配機構7は、第一タンク3aと同数の第一バルブ9を有している。第一バルブ9の開閉を制御することで、複数の第一タンク3aのうちプレクーラ4と連通するものを選択できる。第一バルブ9は開放および閉止が制御される他、その開度を制御される構成を有していてもよい。
【0022】
圧力センサ10は、例えば第一タンク3aとこれに対応する第一バルブ9との間に設置される。図3では複数の圧力センサ10のうち一部のみを図示している。すべての第一タンク3aに対応する位置に、圧力センサ10はそれぞれ設置されている。
【0023】
第一分配機構7は、荷役機器に搭載される水素タンク11の内部の圧力である供給先圧力Pyを取得する取得部12と、供給元圧力Pxおよび供給先圧力Pyの値に基づき複数の第一バルブ9の開閉を制御する制御部13とを有している。荷役機器側の水素タンク11は、例えば内部の圧力を測定する圧力センサ10と、この圧力センサ10の値を取得部12に送信する通信機14とを有している。取得部12はこの通信機14から無線または有線で送られる供給先圧力Pyを取得する構成を有している。図2では説明のため無線または有線で構成される信号線を破線で示している。取得部12が供給先圧力Pyを取得する構成は上記に限らない。例えば荷役機器を管理する管理システムから、荷役機器の水素タンク11の供給先圧力Pyを取得する構成を有していてもよい。
【0024】
制御部13は、複数の圧力センサ10および取得部12および複数の第一バルブ9と無線または有線の信号線で接続されている。制御部13は、信号線を介して供給元圧力Pxと供給先圧力Pyを取得して、この取得した値に基づき複数の第一バルブ9の開閉を制御する構成を有している。制御部13は、供給元圧力Pxおよび供給先圧力Pyを所定のタイミングで間欠的に取得する構成を有していてもよく、途切れることなく取得し続ける構成を有していてもよい。
【0025】
流量センサ15を供給機器1が備えていてもよい。流量センサ15は、供給機器1から荷役機器側の水素タンク11に供給される水素ガスの流量を測定する。流量センサ15は必須の構成要件ではない。流量センサ15は、例えばディスペンサ5から外部に延びる配管に設置される。流量センサ15はディスペンサ5の内部に設置されてもよい。
【0026】
図3に例示する供給作業のフローを参照しながら供給機器1が荷役機器に水素ガスを供給する供給作業について説明する。供給作業を開始すると(スタート)、まず準備ステップS1で供給作業の準備が行われる。準備ステップS1では、供給機器1を構成する車両2が門型クレーン等の荷役機器の近傍まで移動する。その後、ディスペンサ5から延びる配管が荷役機器側の配管に連結される。ディスペンサ5と荷役機器側の水素タンク11とはコネクタ16を介して連結される。
【0027】
取得ステップS2では、制御部13が供給元圧力Pxと供給先圧力Pyを取得する。図4に例示するように荷役機器側の水素タンク11は一つのタンクで構成されるため、制御部13は取得部12を介して一つの供給先圧力Pyを取得する。供給機器1側の水素タンク3は八本の第一タンク3aで構成されるため、制御部13は圧力センサ10を介して八つの供給元圧力Pxを取得する。図4では複数の第一タンク3aの供給元圧力Pxを区別するため、番号を付与している。
【0028】
選択ステップS3では、制御部13が供給先圧力Pyよりも高い供給元圧力Pxを有する第一タンク3aを一つ選択する。図4に示す例のようにPx>Pyの条件を満たす第一タンク3aが複数ある場合は、そのうちの一つがランダムに選択されてもよい。この場合、例えば番号4の第一タンク3aが選択される。または番号の小さいものを優先して一つの第一タンク3aが選択されてもよい。この場合、番号1の第一タンク3aが選択される。
【0029】
制御部13が、供給先圧力Pyよりも高い供給元圧力Pxを有する第一タンク3aのうち、供給先圧力Pyに最も近い供給元圧力Pxを有する第一タンク3aを一つ選択する構成を有していてもよい。この場合、番号1の第一タンク3aが選択される。供給先圧力Pyと供給元圧力Pxの圧力差が小さくなる第一タンク3aが優先的に選択されることになる。供給元圧力Pxの値が大きい高圧の第一タンク3aを残すことができる。例えば供給機器1が次に別の門型クレーンに水素ガスを供給する際に、供給元圧力Pxが不足して水素ガスを供給できない事態を回避しやすくなる。供給機器1から荷役機器に供給できる水素ガスの総量を増加させることができる。
【0030】
制御部13が、供給先圧力Pyから例えば+0.5MPaなど予め設定される範囲内の供給元圧力Pxを有する第一タンク3aを選択から除外する構成を有していてもよい。供給先圧力Pyに対して供給元圧力Pxの値が近すぎて、供給できる水素ガスの量が小さくなる第一タンク3aが除外される。供給作業の効率を向上するには有利である。
【0031】
供給ステップS4では、制御部13が選択ステップS3で選択された第一タンク3aに対応する第一バルブ9を開放する。このとき他の第一バルブ9は閉止された状態となる。選択ステップS3で選択された第一タンク3aからプレクーラ4およびディスペンサ5を介して荷役機器側の水素タンク11に水素ガスが供給される。例えば図4に例示する番号1の第一タンク3aから荷役機器側の水素タンク11に水素ガスが供給される。0.1MPaの供給先圧力Pyに対して、供給元圧力Pxが50MPaであるため、水素ガスは差圧で供給機器1側から荷役機器側に移動する。
【0032】
切替ステップS5では、荷役機器側の水素タンク11に連結される第一タンク3aが別の第一タンク3aに切り替えられる。例えば連結されている第一タンク3aの供給元圧力Pxと、供給先圧力Pyとを制御部13が取得して、Px=Pyとなったときに切替ステップS5が実行される構成にできる。
【0033】
切替ステップS5が実行されると、制御部13は開放されている第一バルブ9を閉止するとともに、新たに選択された別の第一タンク3aの第一バルブ9を開放する。新たに選択される第一タンク3aは、前述の選択ステップS3と同様の方法により選択される。この切替ステップS5で第一タンク3aが新たに選択される際には、直前まで第一バルブ9を開放されていた第一タンク3aは選択肢から除外される構成とすることが望ましい。
【0034】
具体的には図5に例示するように番号1の第一タンク3aの供給元圧力Pxと供給先圧力Pyとがともに15MPaとなり等しくなったとき切替ステップS5が実行される。切替ステップS5の実行にともない、制御部13は番号1の第一タンク3aに対応する第一バルブ9を閉止する。またPx>Pyの条件を満たすものであり、且つ番号1を除くものである例えば番号4の第一タンク3aが新たに選択される。供給先圧力Pyに最も近い供給元圧力Pxを有するという条件が設定されている場合は、番号2の第一タンク3aが新たに選択される。
【0035】
切替ステップS5の後は供給ステップS4が実行される。以後、供給ステップS4と切替ステップS5とが複数回繰り返されて水素ガスが供給されてく。
【0036】
具体的には図6に例示するように荷役機器側の水素タンク11に番号2の第一タンク3aが連結されて、供給ステップS4が実行される。Px=Py=30MPaとなった時点で切替ステップS5が実行されて、例えば番号3の第一タンク3aが新たに選択される。次に図7に例示するようにPx=Py=50MPaとなった時点で切替ステップS5が実行されて、例えば番号4の第一タンク3aが新たに選択される。次に図8に例示するようにPx=Py=65MPaとなった時点で切替ステップS5が実行されて、例えば番号5の第一タンク3aが新たに選択される。次に図9に例示するようにPx=Py=70MPaとなった時点で切替ステップS5が実行される。図6-9では説明のため互いに連結されている荷役機器側の水素タンク11と第一タンク3aとを太線で結んでいる。
【0037】
供給ステップS4において水素ガスを供給している際に、荷役機器側の水素タンク11の供給先圧力Pyが例えば70MPaなど予め設定されるしきい値以上となったとき、制御部13は第一バルブ9を閉止して供給作業を終了させる。この場合、荷役機器側の水素タンク11が十分に水素ガスを充填された結果として、供給作業が終了する(エンド)。
【0038】
切替ステップS5において、Px>Pyの条件を満たす第一タンク3aがない場合、制御部13は第一バルブ9を閉止して供給作業を終了させる(エンド)。この場合、供給機器1の水素タンク3の残量が不足することで、供給作業が継続できなくなった結果として、供給作業が終了する。
【0039】
供給機器1は、複数の第一タンク3aを切り替えながら、荷役機器側の水素タンク11に水素ガスを供給する。そのため差圧充填方式であるにも関わらず荷役機器側の水素タンク11が比較的高圧となる状態まで水素ガスを供給できる。つまり荷役機器に比較的大量の水素ガスを供給機器1から供給できる。荷役機器への水素ガスの供給を効率よく行うには有利である。
【0040】
複数の第一タンク3aを切り替えて水素ガスの供給を行うため、第一タンク3aの供給元圧力Pxを効率よく利用して差圧式充填が行える。
【0041】
供給ステップS4を実行している際に水素ガスを供給している第一タンク3aの供給元圧力Pxを制御部13が監視して、この供給元圧力Pxの変化量が予め設定されるしきい値以下になったときに、切替ステップS5を実行する構成にしてもよい。供給ステップS4の際には、水素ガスが差圧で充填されるため、水素ガスの移動にともない供給元圧力Pxと供給先圧力Pyとの圧力差が縮小していく。この圧力差が小さくなるほど、水素ガスの移動量が減少していくため、単位時間あたりの供給元圧力Pxの変化量が小さくなっていく。例えば0.001MPa/secをしきい値として設定して、変化量がこのしきい値以下となったときに切替ステップS5が実行される構成にできる。
【0042】
供給ステップS4において、供給元圧力Pxと供給先圧力Pyとが等しくなり、水素ガスの移動量がゼロになるまでには比較的時間がかかる。水素ガスの移動量がゼロになる前に、切替ステップS5を実行して、圧力差の比較的大きい別の第一タンク3aに切り替えられるため、水素ガスの供給速度を増加させることが可能となる。供給作業の効率を向上するには有利である。
【0043】
制御部13が監視する圧力の変化量は、供給先圧力Pyでもよい。供給元圧力Pxの圧力の変化量を監視する場合と同様の効果を得られる。
【0044】
供給ステップS4を実行している際に第一タンク3aから荷役機器側の水素タンク11に供給される水素ガスの流量を流量センサ15で監視して、この流量が予め設定されるしきい値以下になったとき、切替ステップS5を実行する構成にしてもよい。例えば0.1L/minをしきい値として設定して、流量がこのしきい値以下となったときに切替ステップS5が実行される構成にできる。
【0045】
荷役機器側の水素タンク11に供給される水素ガスの流量がゼロになる前に、切替ステップS5が実行されるため、水素ガスの供給速度を増加させることが可能となる。供給作業の効率を向上するには有利である。
【0046】
第一バルブ9が開度を制御される構成を有する場合は、供給元圧力Pxおよび供給先圧力Pyの圧力差や、流量センサ15から得られる値に基づき、第一バルブ9の開度を制御する構成としてもよい。圧力差が大きい場合に、第一バルブ9を閉止から開放に短時間で切り替えると、水素ガスの流量が急激に増大して配管等が破損するおそれがある。例えば供給元圧力Pxの変化量が予め設定されるしきい値以上とならない状態に、第一バルブ9の開度を制御して少しずつ開くようにしてもよい。配管等の破損を回避するには有利である。同様に例えば流量センサ15から得られる水素ガスの流量が予め設定されるしきい値以上とならない状態に、第一バルブ9の開度を制御してもよい。
【0047】
図10に例示するように荷役機器側の水素タンク11が、複数の第二タンク11aで構成されてもよい。この実施形態では供給機器1は、ディスペンサ5と第二タンク11aとの間に連結される第二分配機構17を備えている。第二分配機構17は、ディスペンサ5に対して複数の第二タンク11aを並列状態で連結する配管部18と、この配管部18に配置されていてそれぞれの第二タンク11aに対応する複数の第二バルブ19と、それぞれの第二タンク11aの内部の圧力である供給先圧力Pyを測定する複数の圧力センサ10とを有している。
【0048】
この実施形態では荷役機器側の水素タンク11は、四本の第二タンク11aで構成される。第二タンク11aの数はこれに限らない。例えば八本や十本など任意の数の第二タンク11aで水素タンク11を構成できる。配管部18はそれぞれの第二タンク11aから延びる配管が途中で合流してディスペンサ5に連結される構成を有している。配管部18の構成はこれに限らず、複数の第二タンク11aがディスペンサ5に対して並列となる並列状態で連結される構成であればよい。第二分配機構17は、第二タンク11aと同数の第二バルブ19を有している。第二バルブ19の開閉を制御することで、複数の第二タンク11aのうちディスペンサ15と連通するものを選択できる。第二バルブ19は開放および閉止が制御される他、その開度を制御される構成を有していてもよい。第一バルブ9と同様に、第二バルブ19が開度を制御できる構成を有している場合、開度の制御により第二タンク11aに流れ込む水素ガスの流量が急激に増大して配管等が破損する不具合を回避できる。
【0049】
圧力センサ10は、例えば第二タンク11aとこれに対応する第二バルブ19との間に設定される。図10では複数の圧力センサ10のうち一部のみを図示している。第二バルブ19と同数の圧力センサ10が設置される。
【0050】
第一分配機構7の取得部12は、第二タンク11aの内部の圧力である供給先圧力Pyを第二分配機構17の圧力センサ10から取得する構成を有している。取得部12は、通信機14から無線または有線で送られる供給先圧力Pyを取得する構成を有している。
【0051】
制御部13は、第二バルブ19の開閉を制御する構成を有している。制御部13から無線または有線で送られる制御信号は通信機14を介して第二バルブ19に伝達される。図10では説明のため無線または有線で構成される信号線を破線で示している。
【0052】
第二分配機構17は、供給機器1に含まれる構成であるが、門型クレーン等の荷役機器に水素タンク11とともに設置される構成であってもよい。第二分配機構17が車両2に設置されていて、供給作業を行う際に第二分配機構17と荷役機器側の第二タンク11aとがコネクタ16等を介して連結される構成であってもよい。
【0053】
図11に例示する供給作業のフローを参照しながら供給作業について説明する。前述の実施例と同様に準備ステップS1の後に取得ステップS2が実行される。取得ステップS2では複数の第一タンク3aの供給元圧力Pxに加えて、複数の第二タンク11aの供給先圧力Pyが取得される。図12に例示するように第二タンク11aは四本のタンクで構成されるため、制御部13は取得部12を介して四つの供給先圧力Pyを取得する。
【0054】
図11に例示するように選択ステップS3は、第一選択ステップS31と第二選択ステップS32とで構成される。取得ステップS2の後にまず第二選択ステップS32が実行される。第二選択ステップS32では、制御部13が供給対象となる一つの第二タンク11aを選択する。第二選択ステップS32では複数の第二タンク11aのうち一つがランダムに選択されてもよい。この場合、例えば番号2の第二タンク11aが選択される。または番号の小さいものを優先して一つの第二タンク11aが選択されてもよい。この場合、番号1の第二タンク11aが選択される。
【0055】
制御部13が、第二タンク11aの中で最も大きい供給先圧力Pyを有する第二タンク11aを選択する構成を有していてもよい。この場合、番号4の第二タンク11aが選択される。供給作業が進み供給元圧力Pxが下がっていくと、供給先圧力Pyより大きな供給元圧力Pxを有する第一タンク3aの数が少なくなり、水素ガスを十分に供給できない場合がある。供給先圧力Pyの大きい第二タンク11aから水素ガスを供給することで、水素ガスを供給できない事態を回避しやすくなる。荷役機器への水素ガスの供給量の総量を増加するには有利である。
【0056】
第二選択ステップS32の後に第一選択ステップS31が実行される。第一選択ステップS31では、第二選択ステップS32において選択された第二タンク11aの供給先圧力Pyよりも大きい供給元圧力Pxを有する第一タンク3aが一つ制御部13により選択される。この第一選択ステップS31は図4に例示する実施形態の選択ステップS3と同一の内容となる。具体的には例えば第二選択ステップS32で番号4の第二タンク11aが選択されて、第一選択ステップS31で番号1の第一タンク3aが選択される。
【0057】
第一選択ステップS31の後に供給ステップS4が実行される。供給ステップS4では、制御部13が第二選択ステップS32および第一選択ステップS31(以下、総称して選択ステップS3ということがある)で選択された第二タンク11aに対応する第二バルブ19および第一タンク3aに対応する第一バルブ9を開放する。このとき他の第二バルブ19および第一バルブ9は閉止された状態となる。選択ステップS3で選択された第一タンク3aから第二タンク11aに水素ガスが供給される。
【0058】
図11に例示するように切替ステップS5は第一切替ステップS51と第二切替ステップS52とで構成される。第一切替ステップS51では、図4に例示する実施形態の切替ステップS5と同様に、第二タンク11aに連結される第一タンク3aが別の第一タンク3aに切り替えられる。第一切替ステップS51と供給ステップS4とが複数回繰り返されて第二タンク11aに水素ガスが供給されていく。
【0059】
具体的には図13に例示するように番号4の第二タンク11aに番号1の第一タンク3aが連結されて、供給ステップS4が実行される。Px=Py=25MPaとなった時点で第一切替ステップS51が実行されて、例えば番号2の第一タンク3aが新たに選択される。次に図14に例示するようにPx=Py=47.5MPaとなった時点で第一切替ステップS51が実行されて、例えば番号3の第一タンク3aが新たに選択される。次に図15に例示するようにPx=Py=64.75MPaとなった時点で第一切替ステップS51が実行されて、例えば番号4の第一タンク3aが新たに選択される。次に図16に例示するように第二タンク11aの供給先圧力Pyが例えば70MPaなど予め設定されるしきい値以上となったとき、制御部13は第一バルブ9および第二バルブ19を閉止して、この第二タンク11aへの供給作業を終了させる。図13-16では説明のため互いに連結されている第二タンク11aと第一タンク3aとを太線で結んでいる。
【0060】
その後、第二タンク11aを別の第二タンク11aに切り替える第二切替ステップS52が実行される。第二切替ステップS52では第二選択ステップS32と同様の方法で、次の第二タンク11aが選択される。第二切替ステップS52では一度選択された第二タンク11aは再び選択されない構成とすることが望ましい。
【0061】
第二切替ステップS52で第二タンク11aが選択された後に、第一選択ステップS31が実行される。具体的には図15に例示される番号1の第二タンク11aが第二切替ステップS52で選択されて、番号1の第一タンク3aが第一選択ステップS31で選択される。
【0062】
以上を繰り返してすべての第二タンク11aへの水素ガスの供給を行っていく。第二切替ステップS52において選択できる第二タンク11aがない場合、制御部13は供給作業を終了させる。この場合、すべての第二タンク11aが十分に水素ガスを充填された結果として、供給作業が終了する。
【0063】
第一切替ステップ51において、Px>Pyの条件を満たす第一タンク3aがない場合、制御部13は第一バルブ9を閉止して供給作業を終了させる。この場合、供給機器1の水素タンク3の残量が不足することで、供給作業が継続できなくなった結果として、供給作業が終了する。
【0064】
荷役機器側の水素タンク11が複数の第二タンク11aで構成されているため、この第二タンク11aの一本ずつに対して供給機器1は水素ガスを供給できる。供給機器1は、例えば82MPaの第一タンク3aを切り替えることで、第二タンク11aが例えば70MPaなど高圧となる状態まで水素ガスを供給できる。例えば四本の第二タンク11aの容量の合計と同様の容量を有する一本の水素タンク11を荷役機器が有する場合、上記と同一の条件であっても70MPaまで水素ガスを充填できない場合がある。荷役機器側の水素タンク11を複数の第二タンク11aで構成することで、供給機器1から荷役機器に供給できる水素ガスの総量を増加できる。
【0065】
荷役機器側の水素タンク11において、例えば一本の第二タンク11aの供給先圧力Pyが0.1MPaであり他の第二タンク11aの供給先圧力Pyが1.0MPaとなる場合がある。このとき供給元圧力Pxが0.2MPaの第一タンク3aから供給先圧力Pyが0.1MPaの第二タンク11aに差圧充填方式で水素ガスを供給できる。荷役機器側の水素タンク11が一本のタンクで構成されている場合は、上記と同様の水素ガスが残っている場合、供給先圧力Pyは約0.9MPaとなり、供給元圧力Pxが0.2MPaの第一タンク3aからは水素ガスを供給できない状態となる。荷役機器側の水素タンク11が複数の第二タンク11aで構成されている場合の方が、供給機器1から荷役機器に供給できる水素ガスの総量を増加できる。供給機器1から払い出される水素ガスの量が増加するため、荷役機器への水素ガスの供給を効率よく行うには有利である。
【0066】
供給機器1の制御部13が、荷役機器側の第二タンク11aの第二バルブ19の開閉を制御できるので、複数の第二タンク11aに対する水素ガスの供給を効率よく行える。
【符号の説明】
【0067】
1 供給機器
2 車両
3 水素タンク
3a 第一タンク
4 プレクーラ
5 ディスペンサ
6 蓄電池
7 第一分配機構
8 配管部
9 第一バルブ
10 圧力センサ
11 (荷役機器側の)水素タンク
11a 第二タンク
12 取得部
13 制御部
14 通信機
15 流量センサ
16 コネクタ
17 第二分配機構
18 配管部
19 第二バルブ
Px 供給元圧力
Py 供給先圧力
S1 準備ステップ
S2 取得ステップ
S3 選択ステップ
S4 供給ステップ
S5 切替ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2023-08-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素ガスを充填される水素タンクと、この水素タンクに連結されていて供給される水素ガスを冷却するプレクーラと、このプレクーラに連結されていて外部に水素ガスを供給するディスペンサとを備える供給機器により、荷役機器に水素ガスを供給する供給方法において、
前記水素タンクを一台目の車両に予め搭載して、前記プレクーラおよび前記ディスペンサに電気を供給する蓄電池と、記プレクーラと前記ディスペンサとを二台目の車両に予め搭載して、
前記荷役機器の近傍に二台の前記車両を移動させて前記荷役機器に水素ガスを供給することを特徴とする供給方法。
【請求項2】
前記プレクーラに対して並列状態で連結される複数の第一タンクで前記供給機器の前記水素タンクが構成されていて、
前記荷役機器の水素タンクの圧力である供給先圧力と複数の前記第一タンクのそれぞれの圧力である供給元圧力とを取得する取得ステップと、
供給先圧力よりも高い供給元圧力を有する前記第一タンクを一つ選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択された前記第一タンクから前記プレクーラおよび前記ディスペンサを介して前記荷役機器に水素ガスを供給する供給ステップとを備える請求項1に記載の供給方法。
【請求項3】
水素ガスを充填される水素タンクと、この水素タンクに連結されていて供給される水素ガスを冷却するプレクーラと、このプレクーラに連結されていて外部に水素ガスを供給するディスペンサとを備える供給機器により、荷役機器に水素ガスを供給する供給方法において、
前記プレクーラおよび前記ディスペンサに電気を供給する蓄電池と、前記水素タンクと前記プレクーラと前記ディスペンサとを車両に予め搭載して、
前記荷役機器の近傍に前記車両を移動させて前記荷役機器に水素ガスを供給する供給方法であり、
前記プレクーラに対して並列状態で連結される複数の第一タンクで前記供給機器の前記水素タンクが構成されていて、
前記荷役機器の水素タンクの圧力である供給先圧力と複数の前記第一タンクのそれぞれの圧力である供給元圧力とを取得する取得ステップと、
供給先圧力よりも高い供給元圧力を有する前記第一タンクを一つ選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択された前記第一タンクから前記プレクーラおよび前記ディスペンサを介して前記荷役機器に水素ガスを供給する供給ステップとを備えていて、
前記荷役機器の前記水素タンクが複数の第二タンクで構成されていて、
前記取得ステップが、複数の前記第二タンクのそれぞれの供給先圧力と複数の前記第一タンクのそれぞれの供給元圧力とを取得する構成を有していて、
前記選択ステップが、複数の前記第二タンクから一つを選択して、選択された前記第二タンクの供給先圧力よりも高い供給元圧力を有する前記第一タンクを一つ選択する構成を有していて、
前記供給ステップが、前記選択ステップで選択された前記第一タンクから前記第二タンクに水素ガスを供給する構成を有することを特徴とする供給方法。
【請求項4】
前記選択ステップが、供給先圧力よりも高い供給元圧力を有する前記第一タンクのうち、供給先圧力に最も近い供給元圧力を有する前記第一タンクを一つ選択する構成を有する請求項2または3に記載の供給方法。
【請求項5】
前記選択ステップが、供給先圧力から予め設定される範囲内の供給元圧力を有する前記第一タンクを、選択から除外する構成を有する請求項4に記載の供給方法。
【請求項6】
水素ガスを充填される水素タンクと、この水素タンクに連結されていて供給される水素ガスを冷却するプレクーラと、このプレクーラに連結されていて外部に水素ガスを供給するディスペンサとを備えていて、荷役機器に水素ガスを供給する供給機器において、
前記プレクーラおよび前記ディスペンサに電気を供給する蓄電池と、前記水素タンクを搭載する一台目の車両と、前記プレクーラおよび前記ディスペンサおよび前記蓄電池を搭載する二台目の車両とを備えることを特徴とする供給機器。
【請求項7】
前記供給機器の前記水素タンクが複数の第一タンクで構成されていて、
前記プレクーラと複数の前記第一タンクとの間に連結される第一分配機構を備えていて、
前記第一分配機構が、前記プレクーラに対して複数の前記第一タンクを並列状態で連結する配管部と、この配管部に配置されていてそれぞれの前記第一タンクに対応する複数の第一バルブと、それぞれの前記第一タンクの内部の圧力である供給元圧力を測定する圧力センサと、前記荷役機器の水素タンクの圧力である供給先圧力を取得する取得部と、供給元圧力および供給先圧力の値に基づき複数の前記第一バルブの開閉を制御する制御部とを有する請求項6に記載の供給機器。
【請求項8】
水素ガスを充填される水素タンクと、この水素タンクに連結されていて供給される水素ガスを冷却するプレクーラと、このプレクーラに連結されていて外部に水素ガスを供給するディスペンサとを備えていて、荷役機器に水素ガスを供給する供給機器において、
前記プレクーラおよび前記ディスペンサに電気を供給する蓄電池と、前記水素タンクおよび前記プレクーラおよび前記ディスペンサおよび前記蓄電池を搭載する車両とを備えていて、
前記供給機器の前記水素タンクが複数の第一タンクで構成されていて、
前記プレクーラと複数の前記第一タンクとの間に連結される第一分配機構を備えていて、
前記第一分配機構が、前記プレクーラに対して複数の前記第一タンクを並列状態で連結する配管部と、この配管部に配置されていてそれぞれの前記第一タンクに対応する複数の第一バルブと、それぞれの前記第一タンクの内部の圧力である供給元圧力を測定する圧力センサと、前記荷役機器の水素タンクの圧力である供給先圧力を取得する取得部と、供給元圧力および供給先圧力の値に基づき複数の前記第一バルブの開閉を制御する制御部とを有していて、
前記荷役機器の前記水素タンクを構成する複数の第二タンクと前記ディスペンサとの間に連結される第二分配機構を備えていて、
前記第二分配機構が、前記ディスペンサに対して複数の前記第二タンクを並列状態で連結する配管部と、この配管部に配置されていてそれぞれの前記第二タンクに対応する複数の第二バルブとを有していて、
前記取得部が、複数の前記第一タンクの供給元圧力および複数の前記第二タンクの供給先圧力を取得する構成を有していて、
前記制御部が、供給元圧力および供給先圧力の値に基づき複数の前記第一バルブおよび複数の前記第二バルブの開閉を制御する構成を有することを特徴とする供給機器。
【請求項9】
前記制御部が、供給先圧力よりも高い供給元圧力を有する前記第一タンクに対応する前記第一バルブを開放する構成を有する請求項7または8に記載の供給機器。
【請求項10】
前記制御部が、供給先圧力よりも高い供給元圧力を有する前記第一タンクのうち、供給先圧力に最も近い供給元圧力を有する前記第一タンクを一つ選択する構成を有する請求項7または8に記載の供給機器。
【請求項11】
前記制御部が、供給先圧力から予め設定される範囲内の供給元圧力を有する前記第一タンクを、選択から除外する構成を有する請求項10に記載の供給機器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記の目的を達成するための供給方法は、水素ガスを充填される水素タンクと、この水素タンクに連結されていて供給される水素ガスを冷却するプレクーラと、このプレクーラに連結されていて外部に水素ガスを供給するディスペンサとを備える供給機器により、荷役機器に水素ガスを供給する供給方法において、前記水素タンクを一台目の車両に予め搭載して、前記プレクーラおよび前記ディスペンサに電気を供給する蓄電池と、記プレクーラと前記ディスペンサとを二台目の車両に予め搭載して、前記荷役機器の近傍に二台の前記車両を移動させて前記荷役機器に水素ガスを供給することを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記の目的を達成するための供給機器は、水素ガスを充填される水素タンクと、この水素タンクに連結されていて供給される水素ガスを冷却するプレクーラと、このプレクーラに連結されていて外部に水素ガスを供給するディスペンサとを備えていて、荷役機器に水素ガスを供給する供給機器において、前記プレクーラおよび前記ディスペンサに電気を供給する蓄電池と、前記水素タンクを搭載する一台目の車両と、前記プレクーラおよび前記ディスペンサおよび前記蓄電池を搭載する二台目の車両とを備えることを特徴とする。