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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018587
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20240201BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B41J2/17 207
B41J2/165 207
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122011
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【弁理士】
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】児玉 裕美
(72)【発明者】
【氏名】横濱 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】石嶋 有希子
(72)【発明者】
【氏名】黒羽 みずき
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EA20
2C056EB23
2C056EB24
2C056EB25
2C056EB52
2C056EC26
2C056JA18
2C056JC10
2C056JC11
2C056JC23
(57)【要約】
【課題】液体が吐出される吸収部材に交換や清掃の必要が生じたことを目視で確認せずとも気付くことができ、吸収部材上の堆積物が画像品質や部品に影響を及ぼすことを抑制できる液体を吐出する装置を提供する。
【解決手段】記録媒体107に液体を吐出する液体吐出手段102と、前記液体吐出手段から吐出される液体を受ける吐出受け200と、前記吐出受けに吐出された液体からなる堆積物のうち、所定の高さを超えた前記堆積物を検知する検知手段202と、を備えることを特徴とする液体を吐出する装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に液体を吐出する液体吐出手段と、
前記液体吐出手段から吐出される液体を受ける吐出受けと、
前記吐出受けに吐出された液体からなる堆積物のうち、所定の高さを超えた前記堆積物を検知する検知手段と、を備える
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項2】
前記検知手段が所定の高さを超えた前記堆積物を検知した場合、その旨をユーザに知らせる通知手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の液体を吐出する装置。
【請求項3】
前記通知手段は、点灯部材を有し、
前記点灯部材は、前記検知手段が所定の高さを超えた前記堆積物を検知した場合、点灯する
ことを特徴とする請求項2に記載の液体を吐出する装置。
【請求項4】
前記点灯部材は、当該液体を吐出する装置の外側であって該装置に接する位置、及び、当該液体を吐出する装置の外側であって該装置に接しない位置のうちの少なくともいずれかに設けられる
ことを特徴とする請求項3に記載の液体を吐出する装置。
【請求項5】
前記吐出受けは、前記液体吐出手段から吐出される液体を吸収する吸収部材を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の液体を吐出する装置。
【請求項6】
前記吸収部材は、前記液体吐出手段から空吐出される液体を吸収する
ことを特徴とする請求項5に記載の液体を吐出する装置。
【請求項7】
前記吸収部材は、前記吐出受けの一端側と他端側との間で引張荷重を受ける
ことを特徴とする請求項5に記載の液体を吐出する装置。
【請求項8】
前記吸収部材は、前記吐出受けの一端側及び他端側のうちの少なくとも一方に設けられた巻芯に巻き取られる
ことを特徴とする請求項5に記載の液体を吐出する装置。
【請求項9】
前記巻芯を手動で回転させるためのハンドルが設けられている
ことを特徴とする請求項8に記載の液体を吐出する装置。
【請求項10】
通知手段を備え、
前記通知手段は、前記検知手段が所定の高さを超えた前記堆積物を検知した場合、前記ハンドルを操作することを推奨する旨の通知を行う
ことを特徴とする請求項9に記載の液体を吐出する装置。
【請求項11】
前記巻芯を回転させる駆動手段を備える
ことを特徴とする請求項8に記載の液体を吐出する装置。
【請求項12】
前記検知手段が所定の高さを超えた前記堆積物を検知した場合、前記駆動手段を駆動させる
ことを特徴とする請求項11に記載の液体を吐出する装置。
【請求項13】
前記検知手段が所定の高さを超えた前記堆積物を検知することによって前記駆動手段を駆動させた場合、前記検知手段が所定の高さを超える前記堆積物を検知しなくなるまで前記駆動手段を駆動させる
ことを特徴とする請求項12に記載の液体を吐出する装置。
【請求項14】
前記検知手段が所定の高さを超えた前記堆積物を検知した場合、検知時から所定時間経過した後に、前記駆動手段を駆動させて所定量の前記吸収部材を前記巻芯に巻き取る
ことを特徴とする請求項11に記載の液体を吐出する装置。
【請求項15】
前記検知手段が所定の高さを超えた前記堆積物を検知する前に、所定時間経過した後に前記駆動手段を駆動させて所定量の前記吸収部材を前記巻芯に巻き取る
ことを特徴とする請求項11に記載の液体を吐出する装置。
【請求項16】
前記吸収部材は、複数であり、一の当該吸収部材は前記吐出受けの一端側に設けられた巻芯に巻き取られ、他の当該吸収部材は前記吐出受けの他端側に設けられた巻芯に巻き取られる
ことを特徴とする請求項8に記載の液体を吐出する装置。
【請求項17】
前記吸収部材は、布であり、巻き取り方向に対して縦目である
ことを特徴とする請求項8に記載の液体を吐出する装置。
【請求項18】
前記吸収部材は、スポンジ部材であり、液体が吐出される面とは反対側の面に伸長防止部材が貼り付けられている
ことを特徴とする請求項7に記載の液体を吐出する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体吐出ヘッドのメンテナンスとして、印刷に寄与しない液体を吐出する空吐出を吸収部材に対して行うことが知られている。
【0003】
特許文献1では、インクの廃液を回収する液体吸収器が開示されており、この液体吸収器は、繊維基材と吸水性樹脂を備えた液体吸収シートを容器内部に有している。特許文献1では、液体吸収器のインク吸収量が限界に達したら、新たな未使用の液体吸収器に交換することができるとしている。
【0004】
特許文献2では、ワイパーとしての吸収部材にフラッシングを行うことが開示されている。この吸収部材は、巻き出し、巻き取り可能であることが開示されている。特許文献1では、廃インク量の増大を伴うことなく、信頼性の高い確実なノズル回復を行うことができるとしている。
【0005】
また、空吐出には、印刷に寄与しない液体を吐出するという場合も含まれることが知られており、シート材(記録媒体などとも称する)から外れた液体を吸収部材に吸収させることが知られている。
特許文献3では、液体吐出手段から空吐出される液体を吸収する吸収部材を有する空吐出受けが開示されており、吸収部材が複数のブロックに分割されていることが開示されている。吸収部材が複数のブロックに分割されていることにより、交換などのメンテナンス対象となるブロックを限定することができるとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
吸収部材を有する吐出受けに対して吐出された液体は、乾燥や固化により堆積物となって吸収部材上に堆積する。吸収部材上に堆積物が形成された場合、吸収部材の交換や清掃が必要になる。特に、固形分の含有量が多い液体の場合、堆積物の形成は顕著であり、このような液体を用いる場合、吸収部材の交換周期や清掃周期が短くなる。
【0007】
従来技術において、吸収部材の状態を把握するには、吸収部材上の堆積物を目視で確認する必要があった。このため、インクが堆積したことに気付かず、本来ならば交換すべき吸収部材をそのまま使用してしまい、堆積物が記録媒体を擦って画像品質に影響を及ぼしてしまう問題の他、堆積物に起因して装置内の部品を汚してしまう問題が生じていた。
【0008】
そこで本発明は、吐出受け上の堆積物の高さの察知を確実にし、堆積物が画像品質や部品に影響を及ぼすことを抑制できる液体を吐出する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の液体を吐出する装置は、記録媒体に液体を吐出する液体吐出手段と、前記液体吐出手段から吐出される液体を受ける吐出受けと、前記吐出受けに吐出された液体からなる堆積物のうち、所定の高さを超えた前記堆積物を検知する検知手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、吐出受け上の堆積物の高さの察知を確実にし、堆積物が画像品質や部品に影響を及ぼすことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の液体を吐出する装置の一例を示す全体概略図である。
図2】液体吐出手段の一例を示す平面概略図である。
図3】吐出受けの一例を示す正面概略図である。
図4】吐出受けの一例を示す他の正面概略図である。
図5】吐出受けの一例を示す斜視概略図である。
図6】ランプの一例を示す概略図である。
図7】ランプ点灯の一例を示すブロック図である。
図8】制御部の一例を示すブロック図である。
図9】吐出受けの他の例を示す正面概略図(A)及び(B)である。
図10A】モータ制御の一例を示すフロー図である。
図10B】モータ制御の一例を示すフロー図である。
図10C】モータ制御の一例を示すフロー図である。
図11】吐出受けの他の例を示す正面概略図である。
図12】吸収部材が布であり、縦目である場合の一例を示す概略図である。
図13】吸収部材が布であり、横目である場合の一例を示す概略図である。
図14】吸収部材がスポンジである場合の一例を示す概略図(A)及び(B)である。
図15】吸収部材がスポンジである場合の他の例を示す概略図(A)及び(B)である。
図16】吐出受けの他の例を示す正面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る液体を吐出する装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0013】
本発明の液体を吐出する装置は、記録媒体に液体を吐出する液体吐出手段と、前記液体吐出手段から吐出される液体を受ける吐出受けと、前記吐出受けに吐出された液体からなる堆積物のうち、所定の高さを超えた前記堆積物を検知する検知手段と、を備えることを特徴とする。本発明における吐出受けは、液体吐出手段から吐出される液体を吸収する吸収部材を有していることが好ましく、吸収部材は、液体吐出手段から空吐出される液体を吸収することが好ましい。
【0014】
本発明における吐出受けは、液体吐出手段から吐出される液体を受ける。吐出受けは、画像形成を行う際に吐出される液体を受けてもよいし、画像形成に寄与しない液体を受けてもよい。本発明は、画像形成に寄与しない液体を受ける場合に好ましく適用される。画像形成に寄与しない液体は、例えば、メンテナンスの際に記録媒体がない状態で吐出する、いわゆるフラッシング、パージなどの空吐出を行う場合に吐出される空吐出滴に限られず、画像形成の際に記録媒体から外れる液体も含まれる。本発明では、画像形成に寄与しない液体を吐出することを空吐出とも称する。
【0015】
図1は、本実施形態の液体を吐出する装置の一例を示す図である。液体を吐出する装置の一例として印刷装置を例に挙げて説明する。
本例の印刷装置100は、例えば、巻き出しユニット101、印刷手段108、反転ユニット104、冷却ユニット105、巻き取りユニット106を有する。印刷手段108は、例えば、ヘッドユニット109、ヒートローラ103、吐出受け200を有する。ヘッドユニット109は、複数のヘッドアレイ102を有している。
【0016】
本発明は、本例に限られるものではない。例えば、反転ユニット104は有していてもよいし、有していなくてもよい。そのため、両面印字であってもよいし、片面印字であってもよい。
【0017】
本例における画像形成の一例を説明する。なお、画像形成は、印字、印刷などと称してもよい。
巻き出しユニット101からシート材107(記録媒体)が送り出され、搬送ローラによって案内、搬送される。搬送されたシート材107は、ヘッドユニット109に搬送され、ヘッドアレイ102はシート材107に対して液体(例えばインク)を吐出する。
【0018】
次いで、シート材107は、ヒートローラ103により乾燥が行われる。ヒートローラ103は乾燥手段の一例である。次いで、シート材107は、必要に応じて反転ユニット104により反転される。次いで、シート材107は、必要に応じて冷却ユニット105により冷却される。
【0019】
次いで、必要に応じて下流側のヘッドユニット109が液体の吐出を行い、シート材107は、巻き取りユニット106により巻き取られる。このようにして画像が形成される。
【0020】
ヘッドユニット109の下方には、ヘッドユニット109から空吐出される液体を受ける吐出受け200が配置されている。吐出受け200の詳細は後述するが、ヘッドユニット109から空吐出される液体を吸収する吸収部材を有する。
【0021】
本実施形態において、シート材107としては、特に制限されるものではなく、適宜選択することができる。例えば、紙、フィルム等を用いることができる。
【0022】
図2は、ヘッドユニット109の一例を説明するための平面概略図である。
ヘッドユニット109には、例えば、シート材107の搬送方向の上流側から、4色分のフルライン型ヘッドアレイ102(102A、102B、102C、102D)が配置されている。各ヘッドアレイ102は、それぞれ、搬送されるシート材107に対して、例えば、ブラックK、シアンC、マゼンタM、イエローYの液体を吐出する。なお、色の種類及び数はこれに限るものではない。
【0023】
ヘッドアレイ102は、例えば、液体を吐出する複数のノズル111を千鳥状に2列配列した液体吐出ヘッド(これを、単に「ヘッド」ともいう。)110をベース部材上に千鳥状に並べて配置したものであるが、これに限らない。
【0024】
本例において、液体吐出ヘッドは、液体吐出手段の一例としている。液体吐出手段としてはこれに限られず、ヘッドアレイ102を液体吐出手段としてもよいし、ヘッドユニット109を液体吐出手段としてもよい。また、液体吐出手段は、上記の例のようにライン型であってもよいし、シリアル型であってもよい。
【0025】
次に、本実施形態における吐出受けの一例について説明する。
図3は、図1の吐出受け200の正面概略図である。この例では、シート材107の搬送方向の上流側から下流側を見た場合の例としている。図中、搬送方向とあるのは、シート材107の搬送方向を示している。また図中の矢印は、液体の吐出方向を模式的に示している。
【0026】
吐出受け200は、ヘッドユニット109から空吐出される液体を吸収する吸収部材201を有する。図示する例において、吸収部材201には、シート材107に着弾しなかった液体が着弾する。なお、特に制限されるものではないが、吸収部材201は、支持部材203上に設けられている。
【0027】
吸収部材201は、吐出された液体を吸収するものの、液体の乾燥、固化により、吸収部材201上に液体からなる堆積物204が形成される。堆積物204が増えていくと、吸収部材201の交換や清掃が必要になる。
【0028】
従来技術では、堆積物204を目視で確認する必要があるため、堆積物204が増えたことに気付かないという事態が生じていた。この場合、堆積物204がシート材107を擦って画像品質に影響を及ぼしてしまう問題の他、装置内の部品を汚してしまう問題が生じてしまう。
【0029】
これに対して、本実施形態では、吸収部材201に吐出された液体からなる堆積物204のうち、所定の高さを超えた堆積物204を検知する検知センサ202(検知手段)を備えている。換言すると、検知センサ202は、吐出受け200に吐出された液体からなる堆積物のうち、所定の高さを超えた堆積物を検知する。これにより、吐出受け200上の堆積物の高さの察知を確実に行うことができる。
【0030】
図4及び図5は、検知センサ202による検知の一例を説明するための図である。図4は、図3に示す例において、堆積物204の高さが高くなった場合の例を示す図である。図5は、図4に示す例における要部斜視図を示す図である。
【0031】
図中の検知センサ202から伸びる破線は、所定の高さを模式的に示している。図4及び図5において、検知センサ202は、所定の高さ(破線の位置)を超えた堆積物204を検知している。検知センサ202が検知を行うタイミングは、特に制限されるものではない。検知センサ202は、常時検知を行ってもよいし、所定のタイミングで検知を行ってもよい。
【0032】
本実施形態によれば、検知センサ202を用いることにより、ユーザ(操作者、オペレータなどを含む)が堆積物204の状況を目視で確認することが不要になる。このため、堆積物の高さの察知を確実に行うことができ、吸収部材201に交換や清掃の必要が生じたことを目視で確認せずとも気付くことができる。これにより、ユーザが目視で確認せずとも、適切なタイミングで吸収部材201の交換や清掃を行えるようになる。
【0033】
また、本実施形態によれば、吸収部材201上の堆積物204(吐出受け200上の堆積物204と称してもよい)が画像品質や部品に影響を及ぼす前に検知することができ、吸収部材201上の堆積物204が画像品質や部品に影響を及ぼすことを抑制できる。これらのことにより、本実施形態によれば、生産性を高めることができる。
【0034】
なお、堆積物204が装置の部品に与える影響としては、例えば、吸収部材201上に形成された堆積物204に対して液体が吐出され、液体が吸収部材201に吸収されずに衝突や反射などが生じて、装置内を汚染することが挙げられる。
【0035】
検知センサ202の配置や個数等は、上記の例に限られるものではなく、適宜選択することができる。図3に示す例では、例えば、検知センサ202を吐出受け200の一端側に設けているが、これに限られず、吐出受け200の両端側に設けてもよい。検知センサ202としては、例えば、赤外線、可視光、超音波等を使用した物体検知センサ、イメージセンサを用いることができる。また、検知センサ202を発光部とした場合、対向する位置(図3においては右側端部)には受光部を設けることが望ましい。また検知センサ202はノズル列ごと、またはヘッドアレイごとに設けられることが望ましい。
【0036】
また、検知センサ202として、図5に示すようなゲート状の部材を用いてもよいし、このような部材とは異なるセンサを用いてもよい。検知センサ202が、このようなゲート状の部材である場合、吸収部材201に対して広範囲を検知することができる。本例で用いる検知センサ202の場合、吸収部材201の短手方向(例えばシート材107の搬送方向)の一方から他方へわたって吸収部材201上を検知できる。
【0037】
吸収部材201としては、適宜選択することが可能であり、液体を吸収するものであれば特に制限されるものではない。例えば、布、スポンジ部材等が挙げられる。布としては、例えば、不織布であってもよいし、織布、編布であってもよい。また、布の材質としては、特に制限されるものではなく、適宜選択することができる。吸収部材201として不織布などの布を用いる場合、繊維に沿って液体が広がるため、スポンジ部材(単にスポンジと称してもよい)に比べて堆積高さを抑制できるという利点がある。
【0038】
また、本実施形態において、吸収部材201は引張荷重を受けるように設けられてもよい。この場合、吸収部材201のたるみを防止でき、検知センサ202が吸収部材201を検知してしまう等の誤検知を防止でき、検知センサ202の検知精度を向上させることができる。吸収部材201に引張荷重を印加するには、例えば、吸収部材201の一端側と他端側とを引っ張って固定する方法、吸収部材201を巻き取る方法などが挙げられる。
【0039】
本実施形態の液体を吐出する装置は、検知センサ202が所定の高さを超えた堆積物204を検知した場合、その旨をユーザに知らせる通知手段を備えることが好ましい。通知手段による通知方法としては、適宜選択することができる。例えば、表示部に表示してもよいし、ランプなどで点灯するようにしてもよいし、その他のコンピュータなどに通知してもよい。
【0040】
図6は、通知手段による通知方法の一例を説明するための図である。
本例における通知手段は、ランプ302(点灯部材)を有し、ランプ302は、検知センサ202が所定の高さを超えた堆積物204を検知した場合、点灯する。このような点灯の制御は、例えば後述の制御部によって行うことができる。
【0041】
ランプ302の配置は、特に制限されるものではなく、適宜選択することができる。例えば、図示する例において、ランプ302は、印刷装置100の外側であって印刷装置100に接する位置に設けられている。このようにすることで、ユーザが気付きやすくなり、堆積物204により画像品質や部品に影響が生じる前に、吸収部材201を交換できる。
【0042】
また、図示する例において、ランプ302はコンソール301の横に配置されている。コンソール301の近くに配置されることで、ユーザは、ランプ302の点灯に気付きやすくなる。
【0043】
ランプ302の配置は、上記に限られず、印刷装置100の外側であって印刷装置100に接しない位置であってもよい。このような配置としては、例えば、天井、入口、壁などが挙げられる。このような配置の場合、ユーザは印刷装置100に目線を向ける必要がなく、他の作業をしていてもランプ302の点灯に気付きやすくなる。
【0044】
また、ランプ302の個数は、特に制限されるものではなく、1つあってもよいし、複数であってもよい。
【0045】
また、上記の他にも、検知センサ202が所定の高さを超えた堆積物204を検知した場合、その旨をコンソール301の表示部に表示するようにしてもよい。
【0046】
図7は、通知に関する制御の一例を説明するためのブロック図である。ここでは要部のみ示している。制御部400は、検知センサ202からの検知結果を受け取り、ランプ302を点灯させる。なお、制御部400は、ヘッドアレイ102等の印刷装置100の各部を制御する。ここでは便宜的に、印刷装置100内にランプ302(通知手段の一例としてもよい)を図示しているが、上述したように、ランプ302の配置は制限されない。モータ303(駆動手段の一例)は、吸収部材を巻き取る機構(後述)を備える場合に用いることができる。
【0047】
図8は、制御部の一例を説明するためのブロック図である。ここでは要部のみ示している。
制御部400は、図示するように、CPU(Central Processing Unit)401と、ROM(Read Only Memory)402と、RAM(Random Access Memory)403と、I/Oポート404と、を備えている。
CPU401は、ROM402に記憶されたプログラムを実行することにより、順次・分岐・反復処理等を実行する演算装置である。
ROM402は、CPU401で実行されるプログラム等が記憶された不揮発性記憶装置である。
RAM403は、CPU401の動作のワークエリア(作業領域)として機能するメモリである。
バスライン405は、CPU401等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
I/Oポート404は、例えば、検知センサ202の出力信号が入力され、モータドライバを介してモータ303の制御を行うための制御信号や、ランプ302の点灯を行うための制御信号を出力するインターフェースである。
【0048】
制御部400の機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0049】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。上記実施形態と同様の事項については説明を省略する。
【0050】
本実施形態において、吸収部材201は、吐出受け200の一端側と他端側との間で引張荷重を受ける。このように、吸収部材201が引張荷重を受けることにより、吸収部材201のたるみを防止できる。これにより、検知センサ202が吸収部材201を検知してしまう等の誤検知を防止でき、検知センサ202の検知精度を向上させることができる。また、吸収部材201が引張荷重を受けることで、堆積高さを抑制することができる。
【0051】
吸収部材201に引張荷重を印加する方法としては、適宜選択することが可能であり、例えば、吐出受け200の一端側と他端側に引張部材を設けて固定する方法、吐出受け200の一端側と他端側に巻き取り部材を設ける方法などが挙げられる。
【0052】
図9は、本実施形態の一例を示す概略図であり、図3と同様の方向から見た場合の概略図である。図9(A)は、堆積物204が所定の高さを超える前の状態を模式的に示す図であり、図9(B)は、堆積物204が所定の高さを超えたときの状態を模式的に示す図である。
【0053】
本実施形態における吸収部材201は、吐出受け200の一端側及び他端側のうちの少なくとも一方に設けられた巻芯に巻き取られることが好ましい。吸収部材201が巻芯に巻き取られるようにすることで、堆積物204が形成されていない吸収部材201の部分を使用することができ、より長い間、吸収部材201を使用することができる。また、このように吸収部材201を巻き取る構成にすることで、装置のメンテナンス性を向上できるとともに、吸収部材201上に形成される堆積物204の堆積高さを抑制することができる。
【0054】
本例では、図9に示すように、吐出受け200の一端側及び他端側の両方に巻芯205a、205bを設けている。このように、吐出受け200の一端側及び他端側の両方に巻芯を設けることにより、一方が巻き取り、他方が巻き出しとして機能させることができ、吸収部材201の使用箇所を変更させやすくなる。また、巻芯205a、205bを設けることで、吸収部材201に印加する引張荷重を調整しやすくなる。
【0055】
また、吸収部材201を引っ張ることで、吸収部材201がヘッド側およびシート側へたわんでしまうことを抑制し、印刷品質の向上させることができる。また、堆積物の高さが実際より高く検知されてしまうことを抑制することができる。
【0056】
本例において、図9(B)に示すように、吸収部材201の使用箇所を変更する場合、巻芯205a、205bを回転させる。巻芯205a、205bが回転することにより、例えば巻芯205aに吸収部材201が巻き取られる。図中の黒矢印は、巻芯205a、205bが回転したときの吸収部材201の移動方向を模式的に示している。このようにすることで、吸収部材201において、堆積物204が形成されていない箇所を使用することができる。なお、図9(B)では説明のために堆積物204を模式的に大きく図示しており、堆積物204の縮尺等は、実際のものを反映しているとは限らない。
【0057】
本実施形態においても、上記実施形態と同様に、検知センサ202が所定の高さを超えた堆積物204を検知することで、目視せずとも吸収部材201の交換や清掃の必要性に気付くことができる。また本実施形態では、検知センサ202が所定の高さを超えた堆積物204を検知することで、巻芯を回転させるタイミングがわかるようになる。
【0058】
巻芯を回転させる方法としては、適宜選択することができる。例えば、巻芯を手動で回転させるためのハンドルを設ける。ハンドルを操作する(例えばハンドルを回す)ことにより、手動で巻芯を回転させることができる。図8に示す例では、ハンドル206a、206bを設けており、例えばハンドル206aを回すことで、巻芯205aを回転させることができる。これにより、吸収部材201を巻芯205aに巻き付けることができる。
【0059】
このようなハンドルが設けられている場合、通知手段は、検知センサ202が所定の高さを超えた堆積物204を検知した場合、ハンドルを操作することを推奨する旨の通知を行うことが好ましい。これにより、目視せずともハンドルを操作することに気付くことができる。このような通知の方法は、上記のように、適宜選択することができ、例えば、
コンソール301の表示部等に表示してもよいし、ランプ302などを点灯するようにしてもよいし、その他のコンピュータなどに通知してもよい。
【0060】
なお、本例では、ハンドル206aを回すことで、他方側の巻芯205bが連れ回るようにしている。このため、ハンドル206aを回すことで、巻芯205bから吸収部材201が送り出される。また、逆に、ハンドル206bを回して吸収部材201が巻芯205bに巻き取られるように操作してもよい。また、特に制限されるものではないが、例えば、吸収部材201の終端を巻芯に取り付け、巻芯を回転させることで、吸収部材201が巻芯にロール状に巻き重ねられる。
【0061】
ハンドルが設けられる位置は、特に制限されるものではなく、ユーザが操作することができる位置であればよい。
【0062】
ハンドルを回す場合、どの程度回すかについては、特に制限されるものではない。例えば、通知手段は、検知センサ202が所定の高さを超えた堆積物204を検知しなくなったことを通知するようにしてもよい。このようにすることで、ユーザがどの程度、ハンドルを回せばよいかを判断しやすくなる。このような通知としては、例えば、所定の高さを超えた堆積物204が検知されなくなった場合、ランプ302を消灯させてもよい。この他にも、コンソール301の表示部等に、その旨を通知するようにしてもよい。
【0063】
巻芯を回転させる方法としては、上記の他にも、例えばモータ等を用いてもよい。このモータは、巻芯を回転させる駆動手段の一例である。モータの駆動により巻芯を回転させることで、手動で巻芯を回転させる手間を省くことができる。例えば、検知センサ202が所定の高さを超えた堆積物204を検知した場合、モータを駆動させることが好ましい。この場合、装置が自動でモータを駆動させることができる。これにより、ユーザは、堆積物204の状況を確認する作業が不要になり、更に、吸収部材201の交換や清掃等の作業が不要になる。
【0064】
この場合の処理としては、例えば、検知センサ202が所定の高さを超えた堆積物204を検知した場合に、あらかじめ設定した量をモータが駆動する。このような制御の一例は、例えば後述の図10Aのフローのようにすることができる。
【0065】
なお、検知センサ202が堆積物204を検知する前であっても、例えば所定時間経過後にあらかじめ設定した量のモータ駆動をしても良い。換言すると、検知センサ202が所定の高さを超えた堆積物204を検知する前に、所定時間経過した後にモータを駆動させて所定量の吸収部材201を巻芯に巻き取るようにしてもよい。この場合は、吸収部材201上に堆積物204が堆積する部分を分散させることが可能になり、堆積物204が一部分に大きく堆積する速度を遅くすることができる。
【0066】
ここでいう所定時間経過において、どの時点から時間経過したかについては適宜選択することができる。例えば、ヘッドが液体の吐出を開始した時点としてもよいし、ジョブの開始時点としてもよいし、複数のジョブの開始時点としてもよいし、装置の起動時としてもよいし、更にその他であってもよい。画像形成の態様等によって適宜選択することができ、例えば液体の種類、吐出量、吸収部材の種類などを考慮して適宜選択することができる。
【0067】
この他にも、検知センサ202が所定の高さを超えた堆積物204を検知した場合、検知時から所定時間経過した後に、駆動手段を駆動させて所定量の吸収部材201を巻芯に巻き取ることが好ましい。このように検知時から所定時間経過した後に駆動手段を駆動させる理由は、例えば、液体の吐出が終了した後に吸収部材201を巻き取るようにするといった理由が挙げられる。液体吐出時に吸収部材201を巻き取る場合、堆積物204の移動により、液体が堆積物204に衝突して画像や他の部材に影響が生じる等の可能性がある。また、所定量の吸収部材201を巻芯に巻き取るようにすることで、処理が複雑になることを抑制できる。このような制御の一例は、例えば後述の図10Bのフローのようにすることができる。
【0068】
この他にも、検知センサ202が所定の高さを超えた堆積物204を検知した場合に、モータが駆動し、検知センサ202が所定の高さを超えた堆積物204を検知しなくなるまでモータが駆動するようにすることが好ましい。すなわち、検知センサ202が所定の高さを超えた堆積物204を検知することにより、装置が駆動手段を駆動させた場合、装置は、検知センサ202が所定の高さを超える堆積物204を検知しなくなるまで駆動手段を駆動させることが好ましい。このようにすることで、ユーザが吸収部材201の状況を考慮することが不要になり、自動で吸収部材201を清浄な状態に保つことができる。このような制御の一例は、例えば後述の図10Cのフローのようにすることができる。
【0069】
上記の制御は、例えば制御部400により行うことができる。上記の制御の一例について、フローを用いて補足説明する。
【0070】
図10Aのフローでは、検知センサ202が所定の高さを超えた堆積物204を検知した場合(S101でYES)、モータを駆動させ、所定量の吸収部材201を巻き取る(S102)。電源オフの指示がある場合(S103でYES)、終了する。電源オフの指示がない場合(S103でNO)、ジョブを継続する(S104)。
【0071】
図10Bのフローでは、検知センサ202が所定の高さを超えた堆積物204を検知した場合(S101でYES)、検知してから所定時間経過したかの判定を行う(S105)。所定時間待機(S105でYES)した後、モータを駆動させ、所定量の吸収部材201を巻き取る(S102)。電源オフの指示がある場合(S103でYES)、終了する。電源オフの指示がない場合(S103でNO)、ジョブを継続する(S104)。
【0072】
図10Cのフローでは、検知センサ202が所定の高さを超えた堆積物204を検知した場合(S101でYES)、モータ駆動を開始する(S106)。モータを駆動させている間、検知センサ202が所定の高さを超えた堆積物204を検知するかどうかの判定を行う(S107)。検知センサ202が検知する場合(S107でYES)、モータ駆動を継続する。検知センサ202が所定の高さを超える堆積物204を検知しなくなった場合(S107でNO)、モータ駆動を停止する(S108)。電源オフの指示がある場合(S103でYES)、終了する。電源オフの指示がない場合(S103でNO)、ジョブを継続する(S104)。
【0073】
上記の他にも、検知センサ202の検知によりユーザに通知がなされ、通知を見たユーザがモータを駆動させるような操作を行ってもよい。例えば、ユーザがコンソール301を操作してモータを駆動させてもよい。また、これらの例においても、検知センサ202が所定の高さを超えた堆積物204を検知しなくなったことを通知してもよい。
【0074】
なお、モータは、ハンドルを回転させるようにしてもよく、モータがハンドルを回転させることで、巻芯が回転するようにしてもよい。
【0075】
図11は、本実施形態の他の例を説明する概略図である。図示するように、吸収部材201を巻き取る構成は、分割されていてもよい。このように分割されていることにより、例えば局所的に堆積物204が形成される場合に、吸収部材201における交換や清掃の必要がない箇所についてはそのまま使用することができ、吸収部材201を有効活用することができる。
【0076】
図11に示す例について補足する。図示する例では、吸収部材201が複数あり、ここでは例えば、吸収部材201aと吸収部材201bとを用いている。本例において、吸収部材201a(一の吸収部材)は吐出受け200の一端側(例えば紙面左側)に設けられた巻芯205aに巻き取られ、吸収部材201b(他の吸収部材)は吐出受け200の他端側(例えば紙面右側)に設けられた巻芯205bに巻き取られる。図示する例では、ハンドルを設けているが、適宜変更することができ、上記のように駆動手段を設けていてもよい。また、図示する例では、吐出受け200の一端側と他端側にそれぞれ検知センサ202a、202bを設けているが、これに限られず、適宜変更することができる。検知センサは、一端側又は他端側のみであってもよい。
【0077】
本実施形態において、巻き取りが可能な吸収部材201としては、例えば、布、スポンジ部材等が挙げられる。吸収部材201が布の場合、特に編布の場合、巻き取り方向に対して縦目に配置することが好ましい。このようにすることで、延伸を防ぐことができる。
【0078】
図12は、吸収部材201が布である場合の一例を説明するための図である。吸収部材201が布である場合、図示するように、巻き取り方向に対して縦目となるようにすることが好ましい。巻き取り方向に対して縦目である場合、延伸を防ぐことができる。ここでは、巻き取り方向としているが、引張荷重を受ける方向、引っ張り方向などと称してもよい。
【0079】
また、吸収部材201を巻き取る構成の場合、吸収部材201は巻き取られる方向に長い形状であることが想定されるため、上記の巻き取り方向を長手方向と称してもよい。なお、上記の例では、吸収部材201を巻き取る方向がシート材107の搬送方向と直交する方向としているが、本実施形態はこれに限られず、例えば、吸収部材201を巻き取る方向とシート材107の搬送方向とが同じ方向であってもよい。
【0080】
図13は、吸収部材201が布である場合の他の例を説明するための図である。図示する例は、巻き取り方向に対して横目である場合の例である。本実施形態は、このような例も含んでいるが、本例は、図12に示す例に比べて劣る。巻き取り方向に対して横目である場合、延伸してしまい、張りにくくなる。
【0081】
本実施形態では、吸収部材201がスポンジ部材であっても引張荷重を印加させることができ、またスポンジ部材である吸収部材201を巻き取る構成にすることができる。吸収部材201がスポンジ部材であり、引張荷重を受ける場合、吸収部材201における液体が吐出される面とは反対側の面に伸長防止部材が貼り付けられていることが好ましい。伸長防止部材を用いることで、スポンジの延伸を防ぐことができる。
【0082】
図14は、スポンジ部材における液体が吐出される面とは反対側の面に伸長防止部材208が貼り付けられている場合の例を示す図である。図14(A)は、引張荷重を受けていない状態を模式的に示す図であり、図14(B)は、引張荷重を受けている状態を模式的に示す図である。図14(B)に示すように、伸長防止部材208を用いることで、スポンジ部材の延伸を防ぐことができる。
【0083】
伸長防止部材208としては、例えば、テープ、フィルム等を用いることができる。フィルムとしては、適宜選択することができ、例えば伸長しないポリエステルフィルムなどを用いることができる。
【0084】
なお、吸収部材201が布である場合にも、吸収部材201が延伸する場合は、伸長防止部材208を裏面に用いてもよい。また、吸収部材201が引張荷重を受ける場合は、吸収部材201を巻き取る場合に限られない。
【0085】
図15は、吸収部材201がスポンジ部材であり、伸長防止部材208を用いない場合の例を示す図である。図15(A)は、引張荷重を受けていない状態を模式的に示す図であり、図15(B)は、引張荷重を受けている状態を模式的に示す図である。図15(B)に示すように、伸長防止部材208を用いない場合、スポンジ部材が引っ張り方向に延伸してしまい、吸収部材201をうまく張ることができない。ただし、本実施形態はこのような構成を排除するものではない。
【0086】
上記の実施形態では、主に、シート材107に着弾しなかった液体が吸収部材201に着弾する場合について説明していたが、本発明はこれに限られるものではなく、液体吐出手段が空吐出した液体が吸収部材201に着弾する場合も含まれる。
【0087】
図16は、メンテナンスにおけるヘッドアレイ102が空吐出を行う場合の一例を示す概略図である。図示するように、ヘッドアレイ102からフラッシング滴が吸収部材201に吐出され、空吐出が行われる。このように、吸収部材201は空吐出の際のフラッシング滴が吐出されてもよい。このような例によれば、ヘッドアレイ102をメンテナンス位置に移動させることが不要になるという利点が得られる。
【0088】
本発明の液体を吐出する装置は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0089】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0090】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0091】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0092】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0093】
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0094】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0095】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0096】
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0097】
また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【0098】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1>記録媒体に液体を吐出する液体吐出手段と、
前記液体吐出手段から吐出される液体を受ける吐出受けと、
前記吐出受けに吐出された液体からなる堆積物のうち、所定の高さを超えた前記堆積物を検知する検知手段と、を備える
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
<2>前記検知手段が所定の高さを超えた前記堆積物を検知した場合、その旨をユーザに知らせる通知手段を備える
ことを特徴とする<1>に記載の液体を吐出する装置。
<3>前記通知手段は、点灯部材を有し、
前記点灯部材は、前記検知手段が所定の高さを超えた前記堆積物を検知した場合、点灯する
ことを特徴とする<2>に記載の液体を吐出する装置。
<4>前記点灯部材は、当該液体を吐出する装置の外側であって該装置に接する位置、及び、当該液体を吐出する装置の外側であって該装置に接しない位置のうちの少なくともいずれかに設けられる
ことを特徴とする<3>に記載の液体を吐出する装置。
<5>前記吐出受けは、前記液体吐出手段から吐出される液体を吸収する吸収部材を含む
ことを特徴とする<1>から<4>のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
<6>前記吸収部材は、前記液体吐出手段から空吐出される液体を吸収する
ことを特徴とする<5>に記載の液体を吐出する装置。
<7>前記吸収部材は、前記吐出受けの一端側と他端側との間で引張荷重を受ける
ことを特徴とする<5>又は<6>に記載の液体を吐出する装置。
<8>前記吸収部材は、前記吐出受けの一端側及び他端側のうちの少なくとも一方に設けられた巻芯に巻き取られる
ことを特徴とする<5>から<7>のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
<9>前記巻芯を手動で回転させるためのハンドルが設けられている
ことを特徴とする<8>に記載の液体を吐出する装置。
<10>通知手段を備え、
前記通知手段は、前記検知手段が所定の高さを超えた前記堆積物を検知した場合、前記ハンドルを回転させる旨の通知を行う
ことを特徴とする<9>に記載の液体を吐出する装置。
<11>前記巻芯を回転させる駆動手段を備える
ことを特徴とする<7>から<10>のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
<12>前記検知手段が所定の高さを超えた前記堆積物を検知した場合、前記駆動手段を駆動させる
ことを特徴とする<11>に記載の液体を吐出する装置。
<13>前記検知手段が所定の高さを超えた前記堆積物を検知することによって前記駆動手段を駆動させた場合、前記検知手段が所定の高さを超える前記堆積物を検知しなくなるまで前記駆動手段を駆動させる
ことを特徴とする<12>に記載の液体を吐出する装置。
<14>前記検知手段が所定の高さを超えた前記堆積物を検知した場合、検知時から所定時間経過した後に、前記駆動手段を駆動させて所定量の前記吸収部材を前記巻芯に巻き取る
ことを特徴とする<11>又は<12>のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
<15>前記検知手段が所定の高さを超えた前記堆積物を検知する前に、所定時間経過した後に前記駆動手段を駆動させて所定量の前記吸収部材を前記巻芯に巻き取る
ことを特徴とする<11>又は<12>に記載の液体を吐出する装置。
<16>前記吸収部材は、複数であり、一の当該吸収部材は前記吐出受けの一端側に設けられた巻芯に巻き取られ、他の当該吸収部材は前記吐出受けの他端側に設けられた巻芯に巻き取られる
ことを特徴とする<7>から<15>のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
<17>前記吸収部材は、布であり、巻き取り方向に対して縦目である
ことを特徴とする<7>に記載の液体を吐出する装置。
<18>前記吸収部材は、スポンジ部材であり、液体が吐出される面とは反対側の面に伸長防止部材が貼り付けられている
ことを特徴とする<6>に記載の液体を吐出する装置。
【符号の説明】
【0099】
100 印刷装置
101 巻き出しユニット
102 ヘッドユニット
103 ヒートローラ
104 反転ユニット
105 冷却ユニット
106 巻き取りユニット
107 シート材
108 印刷機構
109 ヘッドアレイ
110 液体吐出ヘッド
111 ノズル
200 吐出受け
201 吸収部材
202 検知センサ
203 支持部材
204 堆積物
205 巻芯
206 ハンドル
207 巻芯
208 伸長防止部材
301 コンソール
302 ランプ
303 モータ
400 制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0100】
【特許文献1】特開2021-112888号公報
【特許文献2】特開2008-238436号公報
【特許文献3】特開2020-49937号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
図14
図15
図16