(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018651
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】発光モジュール
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02255 20210101AFI20240201BHJP
H01S 5/02251 20210101ALI20240201BHJP
H01S 5/02253 20210101ALI20240201BHJP
【FI】
H01S5/02255
H01S5/02251
H01S5/02253
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122103
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】畠山 和也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼鶴 一真
(72)【発明者】
【氏名】田中 政信
(72)【発明者】
【氏名】杉山 卓史
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MA08
5F173MB03
5F173MC15
5F173ME23
5F173ME32
5F173ME33
5F173ME44
5F173MF03
5F173MF23
5F173MF27
5F173MF28
5F173MF33
5F173MF34
5F173MF39
(57)【要約】
【課題】半導体レーザ素子から出射されたレーザ光の進行方向と、設計上の進行方向とのずれを低減することが可能な発光モジュールを提供する。
【解決手段】発光モジュールは、第1方向に並ぶ複数の載置面を有する支持基体と、複数の載置面の各々に、対応する半導体レーザ素子が配置され、各々がレーザ光を出射する複数の半導体レーザ素子と、各々がレーザ光の進行方向を変化させる第1反射面を有する複数の第1ミラー部材と、各々が第1反射面で反射されるレーザ光を第2方向に反射する第2反射面を有する複数の第2ミラー部材と、を備え、複数の第2ミラー部材の第2反射面の第2方向における位置は互いに異なる。
【選択図】
図2G
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に並ぶ複数の載置面を有する支持基体と、
前記複数の載置面の各々に、対応する半導体レーザ素子が配置される、複数の半導体レーザ素子であって、各々がレーザ光を出射する複数の半導体レーザ素子と、
各々が第1反射面を有し、前記第1反射面は前記レーザ光を反射して前記レーザ光の進行方向を変化させる、複数の第1ミラー部材と、
各々が第2反射面を有し、前記第2反射面の少なくとも一部は前記第1反射面の少なくとも一部の上方に位置する、複数の第2ミラー部材であって、前記第2反射面は、前記第1反射面で反射される前記レーザ光を前記第1方向に交差する第2方向に反射する、複数の第2ミラー部材と、
を備え、
前記複数の第2ミラー部材の前記第2反射面の前記第2方向における位置は互いに異なる、発光モジュール。
【請求項2】
各々が第3反射面を有し、前記第3反射面は、前記第2反射面で反射される前記レーザ光を前記第1方向に反射する、複数の第3ミラー部材と、
前記複数の第3ミラー部材の各々の前記第3反射面で前記レーザ光が反射されて得られる複数のレーザ光を光ファイバに結合する集光レンズと、をさらに備える請求項1に記載の発光モジュール。
【請求項3】
前記複数の第2ミラー部材の前記第2反射面の前記第2方向における前記位置は、前記第1方向に沿って、前記第2方向に段階的に異なる、請求項1または2に記載の発光モジュール。
【請求項4】
前記第1反射面は、前記レーザ光を反射して、前記レーザ光の前記進行方向を前記載置面から離れる方向に変化させる、請求項1または2に記載の発光モジュール。
【請求項5】
前記複数の載置面は同一平面上に位置する、請求項1または2に記載の発光モジュール。
【請求項6】
前記第2方向は、前記同一平面に対して平行である、請求項5に記載の発光モジュール。
【請求項7】
前記同一平面を基準として、前記第2反射面と前記レーザ光の光軸との交点の高さは、前記複数の第2ミラー部材の前記第2反射面の前記第2方向における前記位置に応じて異なる、請求項5に記載の発光モジュール。
【請求項8】
各半導体レーザ素子は封止されており、
対応する第1ミラー部材は、各半導体レーザ素子が封止される空間の内側に位置し、
対応する第2ミラー部材は、前記空間の外側に位置する、請求項1または2に記載の発光モジュール。
【請求項9】
各半導体レーザ素子は封止されており、
対応する第1ミラー部材は、各半導体レーザ素子が封止される空間の外側に位置し、
対応する第2ミラー部材は、前記空間の外側に位置する、
請求項1または2に記載の発光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体レーザ素子の高出力化に伴い、半導体レーザ素子を励起光源としてではなく、材料を直接に照射して加工するレーザ光の光源として用いる技術が開発されつつある。そのような技術は、ダイレクトダイオードレーザ(DDL:Direct Diode Laser)技術と称されている。
【0003】
DDL技術には、複数の半導体レーザ素子を備える発光モジュールが用いられる。発光モジュールは、複数の半導体レーザ素子の各々からレーザ光が出射されて得られる複数のレーザ光を結合して高出力のレーザ光を出射する。複数のレーザ光の進行方向が設計通りに同じ方向に揃う場合、複数のレーザ光を効果的に結合することができる。特許文献1は、半導体レーザ素子から出射されたレーザ光の進行方向と設計上の進行方向とのずれを低減することが可能な光部品の例を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の半導体レーザ素子の各々からレーザ光が出射されて得られる複数のレーザ光を効果的に結合することが可能な発光モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の発光モジュールは、ある実施形態において、第1方向に並ぶ複数の載置面を有する支持基体と、前記複数の載置面の各々に、対応する半導体レーザ素子が配置される、複数の半導体レーザ素子であって、各々がレーザ光を出射する複数の半導体レーザ素子と、各々が第1反射面を有し、前記第1反射面は前記レーザ光を反射して前記レーザ光の進行方向を変化させる、複数の第1ミラー部材と、各々が第2反射面を有し、前記第2反射面の少なくとも一部は前記第1反射面の少なくとも一部の上方に位置する、複数の第2ミラー部材であって、前記第2反射面は、前記第1反射面で反射される前記レーザ光を前記第1方向に交差する第2方向に反射する、複数の第2ミラー部材と、を備え、前記複数の第2ミラー部材の前記第2反射面の前記第2方向における位置は互いに異なる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の実施形態によれば、複数の半導体レーザ素子の各々からレーザ光が出射されて得られる複数のレーザ光を効果的に結合することが可能な発光モジュールを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1Aは、本開示の例示的な実施形態1による発光モジュールの構成を模式的に示す上面図である。
【
図1B】
図1Bは、本開示の例示的な実施形態1による発光モジュールの構成を模式的に示す側面図である。
【
図1C】
図1Cは、本開示の例示的な実施形態1による発光モジュールの構成を模式的に示す他の側面図である。
【
図1D】
図1Dは、本開示の実施形態1による発光モジュールの変形例の構成を模式的に示す上面図である。
【
図2A】
図2Aは、本開示の例示的な実施形態1による発光装置の構成の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図2B】
図2Bは、本開示の例示的な実施形態1による発光装置の構成の他の例を模式的に示す斜視図である。
【
図2F】
図2Fは、
図2Bに示す発光装置から第2ミラー部材およびカバーを省略した構成の上面図である。
【
図3A】
図3Aは、本開示の例示的な実施形態2による発光装置の構成の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図3B】
図3Bは、本開示の例示的な実施形態2による発光装置の構成の他の例を模式的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は、本開示の例示的な実施形態3によるDDL装置の構成を模式的に示す図である。
【
図5A】
図5Aは、実施形態1による発光装置に含まれるレーザ光源の構成例を模式的に示す分解斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、実施形態2による発光装置に含まれるレーザ光源の構成例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態による発光モジュール、および発光モジュールに含まれる発光装置を説明する。複数の図面に表れる同一符号の部分は同一または同等の部分を示す。
【0010】
さらに、以下に説明する実施形態は、本発明の技術思想を具体化するために例示しているのであって、本発明を以下に限定しない。また、構成要素のサイズ、材質、形状、その相対的配置などの記載は、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図している。各図面が示す部材の大きさおよび位置関係は、理解を容易にするために誇張している場合がある。
【0011】
本明細書または特許請求の範囲において、三角形または四角形などの多角形に関しては、多角形の隅に角丸め、面取り、角取り、丸取りなどの加工が施された形状も含めて、多角形と呼ぶ。また、隅(辺の端)に限らず、辺の中間部分に加工が施された形状も同様に、多角形と呼ぶ。つまり、多角形をベースに残しつつ、部分的な加工が施された形状は、本明細書および特許請求の範囲で記載される“多角形”の解釈に含まれる。
【0012】
(実施形態1)
[発光モジュール]
まず、
図1Aから
図1Cを参照して、本開示の実施形態1による発光モジュールの構成例を説明する。
図1Aは、本開示の例示的な実施形態1による発光モジュールの構成を模式的に示す上面図である。
図1Bは、本開示の例示的な実施形態1による発光モジュールの構成を模式的に示す側面図である。
図1Cは、本開示の例示的な実施形態1による発光モジュールの構成を模式的に示す他の側面図である。これらの図では、参考のために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が模式的に示されている。X軸の矢印の方向を+X方向と称し、その反対方向を-X方向と称する。±X方向を区別しない場合、単にX方向と称する。Y方向およびZ方向についても同様である。本明細書では、説明のわかりやすさのために、+Y方向を「上方」と称し、-Y方向を「下方」と称する。このことは、発光モジュールの使用時における向きを制限するわけではなく、発光モジュールの向きは任意である。
【0013】
図1Aから
図1Cに示す発光モジュール200は、支持基体60Aと、集光レンズ70と、光ファイバ80と、光ファイバ80を支持する支持部材82と、複数の遅軸コリメートレンズ92と、複数のミラー部材94と、複数の発光装置100Aと、を備える。各ミラー部材94は、反射面94sを有する。
【0014】
支持基体60Aは、
図1Bに示すように、XZ平面に対して平行な基準平面Ref上に配置されている。基準平面Refは、発光モジュール200における高さの基準平面である。以下に説明する「高さ」は、当該基準平面からの高さである。支持基体60Aは、
図1Aに示すように、複数の発光装置100Aを支持する第1部分60A1を備える。支持基体60Aは、さらに、第1部分60A1によって支持された複数の第2部分60A2を備える。各第2部分60A2は、対応する遅軸コリメートレンズ92およびミラー部材94を支持する。支持基体60Aは、さらに、第1部分60A1に接続される第3部分60A3を備える。第3部分60A3は、集光レンズ70および光ファイバ80を支持する。
【0015】
第1部分60A1は、X方向に並ぶ複数の第1載置面60s1を有する。各第1載置面60s1には、対応する第2部分60A2が配置されている。各第2部分60A2は、第2載置面60s2を有する。第3部分60A3は、第3載置面60s3を有する。
【0016】
各第1載置面60s1には、
図1Aに示すように、対応する発光装置100Aが配置されている。各第2載置面60s2には、対応する遅軸コリメートレンズ92およびミラー部材94が配置されている。遅軸コリメートレンズ92および/またはミラー部材94がY方向において十分に大きい寸法を有する場合、第2部分60A2を介さずに、遅軸コリメートレンズ92および/またはミラー部材94を第1載置面60s1に配置してもよい。第3載置面60s3には、集光レンズ70が配置されており、かつ光ファイバ80が支持部材82を介して配置されている。
【0017】
上記の配置関係から以下のことが言える。各発光装置100Aは、対応する第1載置面60s1によって直接支持されている。各遅軸コリメートレンズ92および各ミラー部材94は、対応する第2載置面60s2によって直接支持されている。各遅軸コリメートレンズ92および各ミラー部材94は、さらに、対応する第2部分60A2を介して、対応する第1載置面60s1によって間接的に支持されている。集光レンズ70は、第3載置面60s3によって直接支持されており、光ファイバ80は、支持部材82を介して第3載置面60s3によって間接的に支持されている。
【0018】
複数の第1載置面60s1は、XZ平面に対して平行な同一平面上に位置する。したがって、複数の第1載置面60s1の高さは互いに等しい。これに対して、複数の第2載置面60s2の高さは、+X方向に沿って段階的に減少する。第3載置面60s3の高さは、第1載置面60s1の高さよりも大きい。第3載置面60s3の高さは、さらに、複数の第2載置面60s2の最小の高さよりも小さい。集光レンズ70のY方向における寸法によっては、第3載置面60s3の高さは、第1載置面60s1の高さに等しい、またはそれよりも小さくてもよい。
【0019】
図1Aから
図1Cに示す例において、発光装置100Aの数は4個であり、第1載置面60s1の数は4個であるが、これらの数に限定されない。発光装置100Aの数は2個、3個、または5個以上であってもよい。発光装置100Aの数が増加するほど、高い出力のレーザ光を得ることが可能になる。第1載置面60s1の数は2個、3個、または5個以上であってもよいし、発光装置100Aの数に等しい、またはそれよりも多くてもよい。
【0020】
支持基体60Aは、例えば、AlN、SiN、SiC、およびアルミナからなる群から選択されるセラミックスから形成され得る。あるいは、支持基体60Aは、例えば、Cu、Al、およびAgからなる群から選択される少なくとも1つの金属材料から形成され得る。支持基体60Aは、例えば、Cu、Al、およびAgからなる群から選択される少なくとも1つの金属材料中にダイヤモンド粒子が分散した金属マトリクス複合材料から形成され得る。支持基体60Aは一体的に形成されていてもよいし、複数のパーツの組立体であってもよい。当該複数のパーツは互いに同じ材料から形成されていてもよいし、互いに異なる材料から形成されていてもよい。例えば、第1部分60A1、複数の第2部分60A2、および第3部分60A3は一体的に形成されていてもよいし、互いに独立して形成されていてもよい。あるいは、第1部分60A1および第3部分60A3は一体的に形成されており、複数の第2部分60A2は、第1部分60A1および第3部分60A3とは独立して形成されていてもよい。
【0021】
支持基体60Aは、Cu、Al、およびAgからなる群から選択される金属材料から形成され、かつ、単一の部材からなることが好ましい。金属材料はセラミックスよりも放熱性に優れており、また柔らかいので加工しやすい。
【0022】
支持基体60Aは、複数の発光装置100Aが配置される支持台として機能する。支持基体60Aは、さらに、複数の発光装置100Aから発せられる熱を外部に伝えて発光装置100Aの過度な温度上昇を低減するヒートシンクとしても機能し得る。その場合、支持基体60Aの内部に液冷のための1または複数の流路を設けてもよい。液冷に用いる液体としては、例えば水を用いることができる。また、支持基体60Aの表面に空冷のためのフィン構造を設けてもよい。あるいは、別途用意したヒートシンク上に支持基体60Aを配置する場合、支持基体60Aは、複数の発光装置100Aから発せられる熱を当該ヒートシンクに伝えるヒートスプレッダとしても機能し得る。
【0023】
各発光装置100Aは、レーザ光Lを+Z方向に出射する。レーザ光Lの進行方向は、複数の発光装置100Aが配置される同一平面に対して平行である。複数の発光装置100Aは同一平面上に配置される一方、複数の発光装置100Aから出射されたレーザ光Lの光軸の高さは、
図1Bおよび
図1Cに示すように、+X方向に沿って段階的に小さくなる。このようにレーザ光Lの光軸の高さを異ならせることが可能な発光装置100Aの具体的な構成については後述する。本明細書において、「レーザ光の光軸」は、レーザ光のファーフィールドパターンの中心を通過する軸を意味する。光軸上を進むレーザ光は、ファーフィールドパターンの光強度分布においてピーク強度を示す。
【0024】
複数の第1載置面60s1の高さは互いに等しいので、複数の第1載置面60s1の当該高さが互いに異なる構成と比較して、複数の発光装置100Aから発せられ、基準平面Refに伝わる熱の量のばらつきを低減することができる。第1部分60A1が、複数の第1載置面60s1の下方に、X方向に沿って延びる流路を内部に備える場合、当該流路に液体を流すことによって複数の発光装置100Aの冷却の程度のばらつきを低減することができる。したがって、発光モジュール200では、複数の発光装置100Aからの放熱効率を向上させることができる。
【0025】
各遅軸コリメートレンズ92は、
図1Aに示すように、対応する発光装置100Aから出射され、+Z方向に進行するレーザ光をXZ平面においてコリメートする。各ミラー部材94の反射面94sは、
図1Aおよび
図1Bに示すように、対応する発光装置100Aから出射され、コリメートされたレーザ光Lを反射してレーザ光Lの進行方向を集光レンズ70に向けて+X方向に変化させる。各発光装置100Aから出射されたレーザ光Lは、
図1Aに示す例において3本の矢印付きの太線によって表されており、
図1Bおよび
図1Cに示す例において1本の矢印付きの太線によって表されている。
図1Aに示す例においてレーザ光Lが3本の矢印付きの太線によって表されているのは、レーザ光Lが広がりを有することを強調するためである。
【0026】
集光レンズ70は、速軸集光レンズ70aおよび遅軸集光レンズ70bを有する。速軸集光レンズ70aは、例えば、Z方向に一様な断面形状を有するシリンドリカルレンズであり、遅軸集光レンズ70bは、例えば、Y方向に一様な断面形状を有するシリンドリカルレンズであり得る。速軸集光レンズ70aおよび遅軸集光レンズ70bの各々の光軸はX方向に対して平行である。集光レンズ70は、例えば、ガラス、シリコン、石英、合成石英、サファイア、透明セラミックス、シリコーン樹脂、およびプラスチックからなる群から選択される少なくとも1つの透光性材料から形成され得る。
【0027】
速軸集光レンズ70aはその焦点が光ファイバ80の光入射端80aにほぼ一致するように配置されている。同様に、遅軸集光レンズ70bはその焦点が光ファイバ80の光入射端80aにほぼ一致するように配置されている。速軸集光レンズ70aの焦点距離は、遅軸集光レンズ70bの焦点距離よりも長い。速軸集光レンズ70aは、
図1Bに示すように、XY平面において、複数の発光装置100Aの各々からレーザ光Lが出射されて得られる複数のレーザ光Lを、光ファイバ80の光入射端80aに収束させる。遅軸集光レンズ70bは、
図1Aに示すように、XZ平面において、複数の発光装置100Aの各々から出射された広がりを有するレーザ光Lを光入射端80aに収束させる。
【0028】
上記のように、複数の発光装置100Aの各々から+Z方向に出射されたレーザ光Lは、対応する反射面94sで+X方向に反射される。集光レンズ70により、そのようにして得られる複数のレーザ光Lを結合して光ファイバ80に入射させることができる。
【0029】
その結果、発光モジュール200は、光ファイバ80の光出射端80bから、複数のレーザ光Lが結合された結合光を出射する。結合光の出力は、概略的に、各発光装置100Aから出射されたレーザ光Lの出力に発光装置100Aの数を乗算した値に等しい。したがって、発光装置100Aの数を増加させれば、結合光の出力を高めることができる。
【0030】
次に、
図1Dを参照して、本開示の実施形態1による発光モジュール200の変形例を説明する。
図1Dは、本開示の実施形態1による発光モジュールの変形例の構成を模式的に示す上面図である。
図1Dに示す発光モジュール210は、以下の3点において、
図1Aから
図1Cに示す発光モジュール200とは異なる。
【0031】
第1の点は、発光モジュール210が、支持基体60Aの代わりに支持基体62Aを備えることである。支持基体62Aの形状は、支持基体60Aの形状とは異なる。第2の点は、発光モジュール210が、複数の発光装置100A1、複数の遅軸コリメートレンズ92a、および複数のミラー部材94aに加えて、複数の発光装置100A2、複数の遅軸コリメートレンズ92b、および複数のミラー部材94bをさらに備えることである。各ミラー部材94aは反射面94asを有し、各ミラー部材94bは反射面94bsを有する。第3の点は、発光モジュール210が、ミラー部材94cと、1/2波長板96と、偏光ビームスプリッタ98とをさらに備えることである。ミラー部材94cは反射面94csを有する。
【0032】
支持基体62Aは、複数の発光装置100A1および複数の発光装置100A2を支持する第1部分62A1を備える。支持基体62Aは、さらに、第1部分62A1によって支持された複数の第2部分62A2を備える。各第2部分62A2は、対応する遅軸コリメートレンズ92a、遅軸コリメートレンズ92b、ミラー部材94a、およびミラー部材94bを支持する。支持基体62Aは、さらに、第1部分62A1に接続される第3部分62A3を備える。第3部分62A3は、集光レンズ70、光ファイバ80、ミラー部材94c、1/2波長板96、および偏光ビームスプリッタ98を支持する。
【0033】
第1部分62A1は、X方向に並ぶ複数の第1載置面60s1を有する。各第1載置面60s1には、対応する第2部分62A2が配置されている。各第2部分62A2は、第2載置面60s2を有する。第3部分62A3は、第3載置面60s3を有する。載置面60s1~60s3については前述した通りである。
【0034】
発光装置100A1、遅軸コリメートレンズ92a、およびミラー部材94aは、それぞれ、
図1Aに示す発光装置100A、遅軸コリメートレンズ92、およびミラー部材94と同じ構造を有する。発光装置100A2、遅軸コリメートレンズ92b、およびミラー部材94bについても同様である。発光装置100A1、遅軸コリメートレンズ92a、およびミラー部材94aは、+Z方向に沿ってこの順に配置されており、発光装置100A2、遅軸コリメートレンズ92b、およびミラー部材94bは、-Z方向に沿ってこの順に配置されている。発光装置100A1および発光装置100A2の配置は、Z方向において互いに反転した関係にある。遅軸コリメートレンズ92aおよび遅軸コリメートレンズ92bの配置、ならびにミラー部材94aおよびミラー部材94bの配置についても同様である。
【0035】
各発光装置100A1および各発光装置100A2は、対応する第1載置面60s1に配置されている。各発光装置100A1はレーザ光Laを+Z方向に出射し、各発光装置100A2はレーザ光Lbを-Z方向に出射する。レーザ光La、Lbの偏光方向はX方向に対して平行である。各遅軸コリメートレンズ92a、各遅軸コリメートレンズ92b、各ミラー部材94a、および各ミラー部材94bは、対応する第2載置面60s2に配置されている。各遅軸コリメートレンズ92aは、対応する発光装置100A1から+Z方向に出射されたレーザ光LaをXZ平面においてコリメートする。各遅軸コリメートレンズ92bは、対応する発光装置100A2から-Z方向に出射されたレーザ光LbをXZ平面においてコリメートする。各ミラー部材94aの反射面94asは、コリメートされたレーザ光Laを反射してレーザ光Laの進行方向を+X方向に変化させる。各ミラー部材94bの反射面94bsは、コリメートされたレーザ光Lbを反射してレーザ光Lbの進行方向を+X方向に変化させる。
【0036】
ミラー部材94c、1/2波長板96、および偏光ビームスプリッタ98は、第3載置面60s3に配置されている。ミラー部材94cの反射面94csは+X方向に進行するレーザ光Lbを反射してレーザ光Lbの進行方向を-Z方向に変化させる。1/2波長板96は、-Z方向に進行するレーザ光Lbの偏光方向を、X方向からY方向に変化させる。偏光ビームスプリッタ98は、+X方向に進行し、偏光方向がZ方向であるレーザ光Laを透過させ、-Z方向に進行し、偏光方向がY方向であるレーザ光Lbを反射する。偏光ビームスプリッタ98を透過したレーザ光Laは、集光レンズ70によって光ファイバ80の光入射端80aに収束される。同様に、偏光ビームスプリッタ98で反射されたレーザ光Lbは、集光レンズ70によって光ファイバ80の光入射端80aに収束される。
【0037】
その結果、発光モジュール210は、光ファイバ80の光出射端80bから、複数のレーザ光Laおよび複数のレーザ光Lbが結合された結合光を出射する。
図1Dに例示する発光モジュール210では、
図1Aに例示する発光モジュール200と比較して、発光装置100A1の数および発光装置100A2の数の合計が、発光装置100Aの数の2倍である。したがって、結合光の出力をさらに高めることができる。
【0038】
発光モジュール200において、複数のレーザ光Lの進行方向が設計通りに+X方向に揃っている場合、集光レンズ70によって複数のレーザ光Lを効果的に結合して光ファイバ80に入射することができる。発光モジュール210において、複数のレーザ光Laおよび複数のレーザ光Lbの進行方向が設計通りに+X方向に揃っている場合についても同様である。
【0039】
なお、複数の発光装置100Aを、実施形態1による発光モジュール200、およびその変形例の発光モジュール210ではなく、より一般的な空間結合型の発光モジュールに採用してもよい。
【0040】
[発光装置]
以下に、
図2Aから
図2Gを参照して、本開示の実施形態1による発光装置の構成例を説明する。本開示の実施形態1による発光装置によれば、レーザ光Lの進行方向と、設計上の進行方向とのずれを低減することが可能になる。本明細書において、「レーザ光の進行方向」のように単に「進行方向」と記載する場合、当該「進行方向」は実際の進行方向を意味する。
【0041】
図2Aは、本開示の例示的な実施形態1による発光装置の構成の一例を模式的に示す斜視図である。
図2Bは、本開示の例示的な実施形態1による発光装置の構成の他の例を模式的に示す斜視図である。
図2Aに示す発光装置100Aは、
図1Aに示す複数の発光装置100Aのうち、X方向において集光レンズ70から最も離れた発光装置100Aに相当する。
図2Bに示す発光装置100Aは、
図1Aに示す複数の発光装置100Aのうち、X方向において集光レンズ70に最も近い発光装置100Aに相当する。
図2Cは、
図2Bに示す発光装置の分解斜視図である。
図2Cに示す発光装置100Aは、基板10と、レーザ光源20と、第1ミラー部材30aと、第2ミラー部材30bと、枠体40と、複数のワイヤ40wと、カバー50とを備える。基板10は実装面10usを有する。第1ミラー部材30aは第1反射面30asを有し、第2ミラー部材30bは第2反射面30bsを有する。レーザ光源20は、半導体レーザ素子22を有するチップオンサブマウント(Chip on Submount)型の半導体レーザ光源である。発光装置100Aは、ツェナーダイオードのような保護素子および/またはサーミスタのような内部温度を測定するための温度測定素子をさらに備えてもよい。
図2Dは、
図2Bに示す発光装置100Aの他の分解斜視図である。
図2Dにおいて、
図2Cに示す複数のワイヤ40wは省略されている。
図2Eは、
図2Dに示す発光装置100Aに含まれる枠体40を下方から見た斜視図である。
図2Fは、
図2Bに示す発光装置100Aから第2ミラー部材30bおよびカバー50を省略した構成の上面図である。
図2Gは、
図2Bに示す発光装置100Aの、YZ平面に対して平行な断面図である。
【0042】
後で詳しく説明するが、実施形態1による発光装置100Aでは、
図2Gに示すように、レーザ光源20から出射されたレーザ光Lが、第1反射面30asおよび第2反射面30bsでこの順に反射される。そのような構成により、レーザ光源20から出射されたレーザ光Lの進行方向が設計上の進行方向である+Z方向からずれているか否かに関係なく、第1反射面30asおよび第2反射面30bsでこの順に反射されたレーザ光Lの進行方向を+Z方向に向けることができる。第1反射面30asは、レーザ光源20から出射されたレーザ光Lを反射してレーザ光Lの進行方向を、基板10の実装面10usから離れる方向に変化させる。第2反射面30bsは、第1反射面30asで反射されたレーザ光Lを反射してレーザ光Lの進行方向を+Z方向にさらに変化させる。
【0043】
さらに、実施形態1による発光装置100Aでは、
図2Aおよび
図2Bに示すように、第2ミラー部材30bの第2反射面30bsを+Z方向に沿ってシフトさせるほど、第2反射面30bsで反射されたレーザ光Lの光軸の高さを小さくすることができる。したがって、複数の発光装置100Aを同一平面上に配置しても、複数の発光装置100Aから出射されたレーザ光Lの光軸の高さを互いに異ならせることができる。
図1Aから
図1Cに示す発光モジュール200では、複数の第2ミラー部材30bの第2反射面30bsの+Z方向における位置が、+X方向に沿って、+Z方向に段階的に異なる。その結果、複数の発光装置100Aから出射されたレーザ光Lの光軸の高さは、+X方向に沿って段階的に異なる。
【0044】
第2ミラー部材30bの位置および向きは、第2反射面30bsで反射されたレーザ光Lが適切な光軸の高さで+Z方向に進行するように調整可能である。第2反射面30bsで反射されたレーザ光Lを、
図1Aに示すように反射面94sで反射することにより、レーザ光Lの進行方向を設計上の進行方向である+X方向に変化させることができる。その結果、+X方向に進行する複数のレーザ光Lを効果的に結合させて発光モジュール200から高出力の結合光を出力することができる。
【0045】
反射面94sに入射するレーザ光Lの進行方向が設計上の+Z方向に対して平行ではない構成では、反射面94sで反射されたレーザ光Lの進行方向が設計上の+X方向からずれる。そのような進行方向のずれが生じた複数のレーザ光Lは、たとえずれの角度が数度程度であっても効果的に結合せず、結合光の出力が低下する可能性がある。
【0046】
これに対して、実施形態1では、第1反射面30asおよび第2反射面30bsでこの順に反射されたレーザ光Lの進行方向と、設計上の進行方向である+Z方向とのずれを低減することができる。その結果、反射面94sで反射されたレーザ光Lの進行方向と、設計上の進行方向である+X方向とのずれを低減することができる。レーザ光Lの進行方向と、設計上の進行方向とがなす角度は、例えば1°以下であることが好ましく、0.1°以下であることがより好ましい。本明細書において、2つの方向のなす角度は正の値を有し、負の値を有しない。
【0047】
実施形態1において、第1反射面30asおよび第2反射面30bsでこの順に反射されたレーザ光Lの設計上の進行方向は+Z方向に対して平行であり、反射面94sで反射されたレーザ光Lの設計上の進行方向は+X方向に対して平行である。ただし、設計上の進行方向はこれらの方向に限定されない。
【0048】
本明細書において、複数の第1載置面60s1が並ぶ方向を「第1方向」と称し、第1反射面30asおよび第2反射面30bsでこの順に反射されたレーザ光Lの進行方向を「第2方向」と称する。基準平面Refは第1方向に対して平行である。実施形態1において、第1方向は+X方向であり、第2方向は+Z方向であるが、これらの方向に限定されない。第2方向は第1方向に交差していれば、第1方向に直交する必要はない。このことは、後述する実施形態2においても同様である。
【0049】
なお、発光装置100Aを
図1Aから
図1Cに示す発光モジュール200に採用せずに他の用途に用いてもよい。
【0050】
以下に、発光装置100Aの各構成要素を説明する。
【0051】
<基板10>
基板10は、
図2Dに示すように、実装面10usおよび下面10Lsを有する。実装面10usの法線方向は+Y方向である。本明細書において、面の法線方向とは、面の垂直方向であって、当該面を有する物体から離れる方向を意味する。
図2Dに示す例において、基板10は矩形の平板形状を有するが、この形状に限定されない。基板10は、例えば、円形または楕円形の平板形状を有してもよい。基板10の下面10Lsは、支持基体60Aの第1載置面60s1に、はんだ材のような無機接合部材を介して接合される。
【0052】
基板10は、例えば、熱伝導率が10W/m・K以上2000W/m・K以下である材料から形成され得る。そのような高い熱伝導率を有する基板10により、駆動時にレーザ光源20から発せられる熱を、基板10を介して
図1Aから
図1Cに示す支持基体60Aに効果的に伝えることができる。基板10は、例えば、支持基体60Aと同じ材料から形成され得る。基板10のX方向における寸法は、例えば1000μm以上10000μm以下であり、Y方向における寸法は、例えば100μm以上5000μm以下であり、Z方向における寸法は、例えば1000μm以上20000μm以下であり得る。
【0053】
<レーザ光源20>
レーザ光源20は、
図2Dに示すように、基板10の実装面10usによって支持されている。レーザ光源20は、サブマウント21と、サブマウント21によって支持された端面出射型の半導体レーザ素子22と、レンズ支持部材23と、速軸コリメートレンズ24とを備える。半導体レーザ素子22は、サブマウント21を介して、基板10の実装面10usによって支持されている。半導体レーザ素子22は、第1反射面30asに向けてレーザ光Lを出射するように配置されている。レンズ支持部材23は、半導体レーザ素子22を跨ぐ形状を有する。レンズ支持部材23は、端面によって速軸コリメートレンズ24を支持する。レーザ光源20の構成要素を発光装置100Aの構成要素として扱ってもよい。
【0054】
半導体レーザ素子22は、矩形形状の端面からレーザ光Lを出射する。当該端面がX方向に延び、XY平面に対して平行な平面である場合、半導体レーザ素子22から+Z方向に出射されたレーザ光Lは、YZ平面において相対的に速く広がり、XZ平面において相対的に遅く広がる。レーザ光Lの速軸方向はY方向に対して平行であり、遅軸方向はX方向に対して平行である。
【0055】
レーザ光源20は、半導体レーザ素子22から出射され、速軸コリメートレンズ24を透過したレーザ光を出射する。レーザ光源20から出射されたレーザ光LはYZ平面においてコリメートされているが、XZ平面においてコリメートされていない。本明細書において、「コリメートする」とは、レーザ光Lを平行光にすることだけではなく、レーザ光Lの広がり角を低減することも意味する。レーザ光源20の具体的な構成について後述する。
【0056】
レーザ光源20に含まれる半導体レーザ素子22は、
図2Gに示すように、基板10、枠体40、およびカバー50によって封止されている。この封止は気密封止であることが好ましい。気密封止による効果は、半導体レーザ素子22から出射されたレーザ光の波長が短くなるほど高くなる。気密封止されず、半導体レーザ素子22の出射面が外気に接している構成では、レーザ光の波長が短くなるほど、集塵によって動作中に出射面の劣化が進行していく可能性が高くなるからである。
【0057】
なお、端面出射型の半導体レーザ素子22の代わりに、VCSEL(Vertical-Cavity Surface-Emitting Laser)素子のような面発光型の半導体レーザ素子を用いてもよい。面発光型の半導体レーザ素子は、当該半導体レーザ素子から出射されたレーザ光が+Z方向に進行するように配置される。
【0058】
<第1ミラー部材30aおよび第2ミラー部材30b>
第1ミラー部材30aは、
図2Dに示すように、基板10の実装面10usによって支持されている。第1ミラー部材30aは、X方向に一様な断面形状を有する。当該断面形状は概略的に三角形である。第1ミラー部材30aは、下面と、背面と、下面および背面を繋ぐ斜面とを有する。下面はXZ平面に対して平行であり、背面はXY平面に対して平行である。当該斜面の法線方向は、YZ平面に対して平行な方向であって、+Y方向と鋭角をなし、かつ-Z方向と鋭角をなす方向である。第1ミラー部材30aの下面と斜面とがなす角度は45°であるが、この角度に限定されず例えば30°以上60°以下であってもよい。
【0059】
第1ミラー部材30aは、上記の斜面に第1反射面30asを有する。第1反射面30asは、基板10の実装面10usに対して傾斜し、斜め上方を向く。本明細書において、斜め上方とは、+Y方向と30°以上60°以下の角度をなす方向を意味する。第1反射面30asがレーザ光源20から出射されたレーザ光Lを受けることができ、かつ、第1反射面30asの法線方向が+Y方向と30°以上60°以下の角度をなす方向であれば、第1反射面30asの法線方向は、YZ平面に対して平行であってもよいし、平行でなくてもよい。
【0060】
第1反射面30asは、
図2Gに示すように、レーザ光源20から出射されたレーザ光Lを反射してレーザ光Lの進行方向を、基板10の実装面10usから離れる方向に変化させる。第1反射面30asは、レーザ光Lを反射して、レーザ光Lの進行方向を
図1Aから
図1Cに示す第1載置面60s1から離れる方向に変化させると言うこともできる。レーザ光Lが基板10の実装面10usまたは第1載置面60s1から離れる方向と、実装面10usの法線方向とがなす角度は、例えば、0°以上5°以下であり得る。当該角度には5°の許容範囲があるので、第1ミラー部材30aの位置および向きを第2ミラー部材30bの位置および向きほど厳密に調整する必要はない。
【0061】
第2ミラー部材30bは、
図2Dに示すように、カバー50の上面50usによって支持されている。第2ミラー部材30bは、X方向に一様な断面形状を有する。当該断面形状は概略的に台形である。第2ミラー部材30bは、上面と、下面と、上面および下面を繋ぐ斜面とを有する。上面および下面の各々は、XZ平面に対して平行である。下面のX方向における寸法は、上面のX方向における寸法に等しい。一方で、下面のZ方向における寸法は、上面のZ方向における寸法よりも小さい。斜面の法線方向は、YZ平面に対して平行な方向であって、-Y方向と鋭角をなし、かつ+Z方向と鋭角をなす方向である。第2ミラー部材30bの上面と斜面とがなす角度は45°であるが、この角度に限定されず例えば30°以上60°以下であってもよい。第2ミラー部材30bの上面と斜面とがなす角度は、第1ミラー部材30aの下面と斜面とがなす角度に等しくてもよいし、異なっていてもよい。
【0062】
第2ミラー部材30bは、上記の斜面に第2反射面30bsを有する。第2反射面30bsの少なくとも一部は、第1反射面30asの少なくとも一部の上方に位置する。第2反射面30bsは、
図2Gに示すように、第1反射面30asで反射されたレーザ光Lを反射してレーザ光Lの進行方向を+Z方向に変化させる。
【0063】
第2ミラー部材30bの下面と、カバー50の上面50usとの間には、
図2Gに示すように、樹脂層32が存在している。第2ミラー部材30bの下面をカバー50の上面50usに硬化前の樹脂を介して接触させた状態で、樹脂を硬化して樹脂層32が形成される。樹脂は、例えば、加熱することによって硬化される熱硬化性樹脂、または紫外線もしくは可視光の照射によって硬化される光硬化性樹脂であり得る。樹脂を硬化する前には以下のアクティブアライメントが行われる。すなわち、レーザ光源20にレーザ光Lを出射させた状態で、第2反射面30bsがレーザ光Lの進行方向を+Z方向に変化させるように、第2ミラー部材30bの位置および向きが適切に調整される。そのような調整は、発光装置100Aを、
図1Aから
図1Cに示す支持基体60Aの第1載置面60s1に配置した後、第2ミラー部材30bを保持装置によって保持しながら行われ得る。
【0064】
X軸またはY軸を回転軸として第2ミラー部材30bを回転させてその向きを変化させることにより、レーザ光Lの進行方向を調整することができる。X軸を回転軸として第2ミラー部材30bを回転させることにより、レーザ光Lの進行方向を上下に変化させることができる。Y軸を回転軸として第2ミラー部材30bを回転させることにより、レーザ光Lの進行方向を正面方向として、レーザ光Lの進行方向を左右に変化させることができる。
【0065】
さらに、第2ミラー部材30bの第2反射面30bsのZ方向における位置を変化させることにより、レーザ光Lの光軸の高さを調整することができる。第2ミラー部材30bの第2反射面30bsを+Z方向に沿ってシフトさせることにより、レーザ光Lの光軸の高さを小さくし、第2ミラー部材30bを-Z方向に沿ってシフトさせることにより、レーザ光Lの光軸の高さを大きくすることができる。
【0066】
第2反射面30bsの上辺から下辺までの寸法が大きいほど、第2反射面30bsで反射されたレーザ光Lの光軸の高さをより広範囲に調整できる。
図1Bに示す例において、第2反射面30bsの上辺は、X方向において集光レンズ70から最も離れたミラー部材94の反射面94sにおいてレーザ光Lの光軸が当たる箇所よりも上方に位置する。第2反射面30bsの下辺は、X方向において集光レンズ70に最も近いミラー部材94の反射面94sにおいてレーザ光Lの光軸が当たる箇所よりも下方に位置する。
【0067】
第2反射面30bsの上辺から下辺までの寸法が大きい場合、それに伴って、第2ミラー部材30bの下面を広くした方が、第2ミラー部材30bをカバー50の上面50usに安定的に配置することができる。第2ミラー部材30bの下面のX方向における寸法は、例えば、カバー50の上面50usのX方向における寸法の0.8倍以上1.2倍以下であり得る。第2ミラー部材30bの下面のZ方向における寸法は、例えば、カバー50の上面50usのZ方向における寸法の0.3倍以上0.8倍以下であり得る。そのようなサイズの大きい第2ミラー部材30bは保持装置によって保持しやすいので、第2ミラー部材30bを適切な位置および向きに配置しやすい。
【0068】
なお、複数の第2ミラー部材30bは外観上互いに同じ形状を有する一方、互いに異なる位置に複数の第2反射面30bsを有していてもよい。その場合、第2反射面30bsは、第2ミラー部材30bの内部に位置し、第2ミラー部材30bのうち、第2反射面30bsよりも前方に位置する部分は、レーザ光Lに対して透光性を有し得る。そのような複数の第2ミラー部材30bであれば、複数の第2ミラー部材30bを、+X方向に沿って、+Z方向における同じ位置に配置しても、複数の第2反射面30bsを、+X方向に沿って段階的に、+Z方向にシフトさせることができる。
【0069】
ここで、実施形態1とは異なり、第2ミラー部材30bの位置および向きを調整せずにカバー50の上面50usに固定した構成を例に挙げる。そのような構成であっても、
図1Aから
図1Cに示す発光モジュール200において、第2ミラー部材30bと遅軸コリメートレンズ92との間にウェッジを配置することにより、第2反射面30bsで反射されたレーザ光Lの進行方向を+Z方向に向けることができる。当該ウェッジは、互いに反対側に位置する光入射面および光反射面を有する。当該光入射面の法線方向は-Z方向に対して平行であり、当該光出射面の法線方向は、YZ平面に対して平行な方向であって、+Y方向または-Y方向と鋭角をなし、かつ+Z方向と鋭角をなす方向である。互いに平行ではない光入射面および光入射面での屈折に起因して、ウェッジは、自身を透過するレーザ光Lの進行方向を変化させることができる。しかしながら、ウェッジを用いる場合、レーザ光Lの進行方向を+Z方向に向けるために、光出射面の法線方向が互いに異なる複数のウェッジを用意し、当該複数のウェッジから、光出射面の法線方向が適切な方向であるウェッジを選択する必要がある。
【0070】
これに対して、実施形態1では、第2ミラー部材30bを適切な位置および向きに配置することにより、レーザ光源20から出射されたレーザ光Lの進行方向が+Z方向からずれているか否かに関係なく、第2反射面30bsで反射されたレーザ光Lの進行方向を+Z方向に向けることができる。実施形態1では、上面と斜面とがなす角度が互いに異なる複数の第2ミラー部材30bを用意し、当該複数の第2ミラー部材30bから適切な角度の第2ミラー部材30bを選択する必要はない。
【0071】
なお、本明細書において、
図1Aから
図1Cに示すミラー部材94を「第3ミラー部材」とも称し、
図1Aから
図1Cに示す反射面94sを「第3反射面」とも称する。第3反射面94sは、第2反射面30bsで反射されたレーザ光を+X方向に反射する。
【0072】
図2Cおよび
図2Dに示すミラー部材30a、30b、
図1Aから
図1Cに示すミラー部材94、および
図1Dに示すミラー部材94a~94cは、例えば、斜面を有する台と、当該斜面上に別途形成される反射面とを備え得る。台は、例えば、ガラス、石英、合成石英、サファイア、セラミックス、プラスチック、シリコン、金属、シリコーン樹脂、および誘電体材料からなる群から選択される少なくとも1つから形成され得る。反射面は、例えば、誘電体多層膜および金属材料などの反射性材料から形成され得る。この反射面が、
図2Cに示す反射面30as、30bs、
図1Aに示す反射面94s、ならびに
図1Dに示す反射面94as~94csに相当する。
【0073】
あるいは、第1ミラー部材30a、第2ミラー部材30b、ミラー部材94、94a~94cは、例えば、斜面を有する台を備え、当該台は上記の反射性材料から形成されていてもよい。この場合、当該台の斜面が、第1反射面30as、第2反射面30bs、反射面94s、94as~94csに相当する。
【0074】
<枠体40>
枠体40は、
図2Cに示すように基板10の実装面10usの周囲に位置し、
図2Bに示すようにカバー50を支持する。枠体40は、
図2Cに示すように、+Y方向から見て、すなわち上面視でレーザ光源20および第1ミラー部材30aを囲む。枠体40は、
図2Dに示すように、内側面から内側に突出した突出部40pを有する。
図2Fに示す例において、突出部40pは、サブマウント21の両側面および背面に向けて突出している。突出部40pは、さらに、サブマウント21の正面に向けて突出していてもよい。また、突出部40pは、両側面にのみ突出していてもよい。サブマウント21の正面は、半導体レーザ素子22の出射面と同じ側に位置し、サブマウント21の背面は、半導体レーザ素子22の出射面とは反対側に位置する。サブマウント21の両側面は、サブマウント21の正面および背面を繋ぐ。
【0075】
枠体40は、
図2Dに示すように、第1上面40us1と、第2上面40us2とを有する。第2上面40us2は突出部40pの上面であり、第1上面40us1よりも下方に位置し、上面視で第1上面40us1によって囲まれる。
図2Fに示すように、第2上面40us2は概略的にU字形状を有する。
【0076】
第1上面40us1には、第1接合領域44a、および第1接合領域44aを囲む外側領域46が設けられている。第1接合領域44aおよび外側領域46の各々は概略的に矩形環状の形状を有する。第1接合領域44aは、カバー50および枠体40を、はんだ材のような無機接合部材を介して接合する際に、接合強度を向上させる。外側領域46は、カバー50を接合する無機接合部材が外側領域46を越えて流れ出ることを低減する。第1接合領域44aおよび外側領域46は、
図2Fに示すように、上面視で、レーザ光源20および第1ミラー部材30aを囲む。第1上面40us1には、さらに、第1接合領域44aおよび外側領域46よりも-Z方向において、互いに電気的に絶縁された第1導電領域42aおよび第2導電領域42bが設けられている。
【0077】
第2上面40us2には、互いに電気的に絶縁された第3導電領域42cおよび第4導電領域42dが設けられている。第3導電領域42cは、内部配線を介して第1導電領域42aに電気的に接続されており、第4導電領域42dは、内部配線を介して第2導電領域42bに電気的に接続されている。
図2Fに示すように、上面視で、レーザ光源20および第1ミラー部材30aは、第3導電領域42cのZ方向に延びる部分と、第4導電領域42dのZ方向に延びる部分との間に位置する。第3導電領域42cは、サブマウント21の上面および
図2Cに示す一部のワイヤ40wを介して、半導体レーザ素子22に電気的に接続されている。第4導電領域42dは、
図2Cに示す残りのワイヤ40wを介して、半導体レーザ素子22に電気的に接続されている。したがって、第1導電領域42aと第2導電領域42bとの間に電圧を印加することにより、レーザ光源20に給電することができる。
【0078】
枠体40は、さらに、
図2Eに示すように、第1下面40Ls1と、第2下面40Ls2とを有する。第2下面40Ls2は突出部40pの下面を部分的に有し、第1下面40Ls1よりも上方に位置し、-Y方向から見て、すなわち下面視で第1下面40Ls1によって囲まれる。第2下面40Ls2は、概略的に矩形環状の形状を有する。
図2Dに示す基板10の一部または全部は、第1下面40Ls1と第2下面40Ls2との段差によって囲まれた空間に収容される。枠体40を透過して見たとき、第2下面40Ls2の外周は、上面視で、基板10の実装面10usの外周を囲み、第2下面40Ls2の内周は、上面視で、基板10の実装面10usの外周によって囲まれる。
【0079】
第1下面40Ls1の全体には、第2接合領域44bが設けられている。第2接合領域44bは、
図1Aから
図1Cに示す支持基体60Aおよび枠体40を、はんだ材のような無機接合部材を介して接合する際に、接合強度を向上させる。第2下面40Ls2の全体には、第3接合領域44cが設けられている。第3接合領域44cは、基板10の実装面10usの周縁領域に、ろう材のような無機接合部材を介して接合される。第3接合領域44cは、基板10および枠体40を、無機接合部材を介して接合する際に、接合強度を向上させる。ろう材の融点は、はんだ材の融点よりも高い。したがって、ろう材を加熱して基板10および枠体40を接合し、次に、はんだ材を加熱して基板10およびレーザ光源20を接合する場合、はんだ材に加えられる熱が原因で基板10および枠体40の接合が外れる可能性を低減できる。
【0080】
図2Eに示す例において、第1下面40Ls1の全体に第2接合領域44bが設けられているが、第1下面40Ls1の一部に第2接合領域44bが設けられていてもよい。同様に、
図2Eに示す例において、第2下面40Ls2の全体に第3接合領域44cが設けられているが、第2下面40Ls2の一部に第3接合領域44cが設けられていてもよい。また、第1下面40Ls1に第2接合領域44bが設けられていなくてもよいし、第2下面40Ls2に第3接合領域44cが設けられていなくてもよい。第1下面40Ls1に第2接合領域44bが設けられていない場合、枠体40および支持基体60Aは接合されず、基板10の下面10Lsのみで、基板10および支持基体60Aが接合される。
【0081】
図2Gに示す例において、枠体40の第1下面40Ls1は、基板10の下面10Lsと同一平面上に位置する。枠体40の第1下面40Ls1は、基板10の下面10Lsよりも上方に位置していてもよい。あるいは、基板10および支持基体60Aを、無機接合部材を介して接合する際に妨げにならないのであれば、枠体40の第1下面40Ls1は、基板10の下面10Lsよりも下方に位置していてもよい。
【0082】
枠体40は、例えば、
図1Aから
図1Cに示す支持基体60Aと同様に、前述のセラミックスから形成され得る。枠体40のX方向における寸法は、例えば3mm以上15mm以下であり、Y方向における最大の寸法は、例えば1mm以上5mm以下であり、Z方向における寸法は、例えば3mm以上30mm以下であり得る。
【0083】
導電領域42a~42d、接合領域44a~44c、および外側領域46は、例えば、Ag、Cu、W、Au、Ni、Pt、およびPdからなる群から選択される少なくとも1つの金属材料から形成され得る。導電領域42a~42d、接合領域44a、および外側領域46は、例えば、上面40us1、40us2の全体に金属膜を設け、当該金属膜をエッチングによってパターニングすることにより、形成され得る。
【0084】
<カバー50>
カバー50は、
図2Cに示すように、上面50usおよび下面50Lsを有する。カバー50の下面50Lsは基板10の実装面10usに対向し、カバー50の上面50usはカバー50の下面50Lsの反対側に位置する。本明細書において、カバー50の下面50Lsを「対向面」とも称する。カバー50は、半導体レーザ素子22および第1ミラー部材30aの上方に位置する。カバー50は、第1反射面30asで反射されたレーザ光Lを透過させる。
【0085】
カバー50は、下面50Lsのうち、レーザ光Lを透過させる透光領域50tの少なくとも周囲に遮光膜52を有する。
図2Dに示す例において、透光領域50tは、矩形形状を有するが、この形状に限定されない。透光領域50tの形状は、例えば、円形であってもよいし、楕円形であってもよい。あるいは、カバー50は、下面50Lsのうち、透光領域50tの少なくとも周囲の一部に遮光膜52を有していてもよい。例えば、透光領域50tの端の一部が下面50Lsの端の一部に一致する場合、遮光膜52は、下面50Lsのうち、以下の領域の少なくとも一部に設けられ得る。当該領域は、下面50Lsにおいて、透光領域50tの端のうち、上記の一部以外の残りの部分に隣接する領域である。
【0086】
遮光膜52は、発光装置100Aの内部で生じるレーザ光L以外の迷光が発光装置100Aの外部に漏れる可能性を低減する。遮光膜52は、さらに、
図2Gに示す樹脂層32を紫外線または可視光の照射によって形成する際に、紫外線または可視光がレーザ光源20に到達する可能性を低減する。遮光膜52は、さらに、発光装置100Aの外部に出射されたレーザ光Lの戻り光がレーザ光源20に到達する可能性を低減する。紫外線もしくは可視光または戻り光による照射を低減できれば、レーザ光源20は損傷しにくくなる。
【0087】
図2Dに示す例において、遮光膜52は、下面50Lsのうち、透光領域50t以外の領域の全体に設けられている。そのように設けられた遮光膜52は、上記の迷光が発光装置100Aの外部に漏れる可能性、および上記の紫外線もしくは可視光または上記の戻り光がレーザ光源20に到達する可能性をさらに低減する。
【0088】
カバー50のうち、透光領域50tだけでなく、上面視で透光領域50tに重なる部分も、レーザ光Lを透過させる。カバー50のうち、レーザ光Lを透過させる部分は、レーザ光Lに対して、例えば60%以上の透過率を有し、好ましくは80%以上の透過率を有し得る。カバー50のうち、残りの部分はそのような透光性を有してもよいし、有していなくてもよい。
【0089】
カバー50は、例えば、
図1Aおよび
図1Bに示す集光レンズ70と同様に、前述の透光性材料から形成され得る。カバー50のX方向における寸法は、例えば3mm以上15mm以下であり、Y方向における寸法は、例えば0.1mm以上1.5mm以下であり、Z方向における寸法は、例えば1mm以上20mm以下であり得る。
【0090】
遮光膜52は、例えば、導電領域42a~42d、接合領域44a~44c、外側領域46と同様に、前述の金属材料から形成され得る。遮光膜52は、例えば、導電領域42a~42d、接合領域44a、および外側領域46と同様に、カバー50の下面50Lsの全体に金属膜を設け、当該金属膜をエッチングによってパターニングすることにより、形成され得る。
【0091】
遮光膜52の周縁領域は、枠体40の第1上面40us1に設けられた第1接合領域44aに、はんだ材のような無機接合部材を介して接合される。遮光膜52が上記の金属材料から形成される場合、遮光膜52は、カバー50および枠体40を、無機接合部材を介して接合する際に、接合強度を向上させる。
【0092】
なお、
図2Aから
図2Gに示す例において、カバー50は平板形状を有するが、この形状に限定されない。基板10が枠体40を設けない平板形状を有する構成において、カバー50は、平板形状ではなく、下部が開放された箱形状を有していてもよい。そのような形状を有するカバー50は、基板10の実装面10usによって支持され、レーザ光源20および第1ミラー部材30aを収容する。また、下部が開放された箱形状を有するカバー50と枠体40を接合する構成とし、カバー50および枠体40によって、レーザ光源20および第1ミラー部材30aが囲まれていてもよい。
【0093】
以上のことから、実施形態1によれば、レーザ光Lの進行方向と、設計上の進行方向とのずれを低減することが可能な発光装置100Aを実現できる。さらに、複数の発光装置100Aを同一平面上に配置しても、複数の第2ミラー部材30bの第2反射面30bsのZ方向における位置を互いに異ならせることにより、複数の発光装置100Aから出射されたレーザ光Lの光軸の高さを互いに異ならせることができる。上記の同一平面を基準として、第2反射面30bsとレーザ光Lの光軸との交点の高さは、複数の第2ミラー部材30bの第2反射面30bsの+Z方向における位置に応じて異なる。そのような発光装置100Aを
図1Aから
図1Cに示す発光モジュール200に採用することにより、複数の発光装置100Aの各々からレーザ光Lが出射されて得られる複数のレーザ光Lを効果的に結合して光ファイバ80に入射させることができる。
【0094】
発光モジュール200では、同一平面上に2つ以上の発光装置100AがX方向に沿って配置されている。一方で、高さが互いに異なり、X方向に沿って並ぶ複数の平面の各々に、2つ以上の発光装置100Aを配置することにより、発光装置100Aの数を増加させてもよい。
【0095】
発光装置100Aは、例えば、以下のようにして製造され得る。最初の工程において、基板10、レーザ光源20、第1ミラー部材30a、第2ミラー部材30b、枠体40、複数のワイヤ40w、およびカバー50が用意される。次の工程において、枠体40が基板10に接合される。次の工程において、レーザ光源20および第1ミラー部材30aが、基板10の実装面10usに設けられる。次の工程において、レーザ光源20に給電するための複数のワイヤ40wが設けられる。次の工程において、カバー50が枠体40に接合される。次の工程において、第2ミラー部材30bの下面をカバー50の上面50usに硬化前の樹脂を介して接触させた状態で、アクティブアライメントが行われる。次の工程において、樹脂を硬化して第2ミラー部材30bとカバー50との間に樹脂層32が形成される。
【0096】
(実施形態2)
実施形態1による発光装置100Aにおいて、半導体レーザ素子22は、基板10、枠体40、およびカバー50によって封止されており、第1ミラー部材30aは半導体レーザ素子22が封止される空間の内側に位置し、第2ミラー部材30bは当該空間の外側に位置する。ただし、第1ミラー部材30aは当該空間の内部に位置する必要はない。
【0097】
以下に、
図3Aから
図3Dを参照して、本開示の実施形態2による発光装置の構成例を説明する。
図1Aから
図1Cに示す発光モジュール200において、実施形態2による発光装置を、実施形態1による発光装置100Aの代わりに用いてもよい。実施形態2による発光装置において、半導体レーザ素子22はパッケージによって封止されており、第1ミラー部材30aは半導体レーザ素子22が封止される空間の外側に位置し、第2ミラー部材30bは当該空間の外側に位置する。
【0098】
図3Aは、本開示の例示的な実施形態2による発光装置の構成の一例を模式的に示す斜視図である。
図3Bは、本開示の例示的な実施形態2による発光装置の構成の他の例を模式的に示す斜視図である。
図3Aおよび
図3Bに示す発光装置100Bは、レーザ光源20Pと、第1ミラー部材30aと、第2ミラー部材30bと、これらの構成要素を支持する支持体40Sとを備える。
図3Cは、
図3Bに示す発光装置100Bの、YZ平面に対して平行な断面図である。
図3Dは、
図3Aおよび
図3Bに示す発光装置100Bに含まれる支持体40Sの構成を模式的に示す斜視図である。支持体40Sは、第1ミラー部材30aを支持する第1支持面40Ss1と、第2ミラー部材30bを支持する第2支持面40Ss2と、レーザ光源20Pを支持する第3支持面40Ss3とを有する。
【0099】
レーザ光源20Pは、レーザ光Lを概略的に+Z方向に出射する。レーザ光源20Pから出射されたレーザ光Lの進行方向は、レーザ光Lの進行方向は設計上の進行方向である+Z方向に対して完全に平行ではない場合がある。後で詳しく説明するが、実施形態2による発光装置100Bでは、レーザ光源20Pから出射されたレーザ光Lの進行方向が+Z方向からずれているか否かに関係なく、
図3Cに示すように、レーザ光源20Pから出射されたレーザ光Lを第1反射面30asおよび第2反射面30bsでこの順に反射することにより、レーザ光Lの進行方向を設計上の進行方向である+Z方向に向けることができる。
【0100】
さらに、実施形態2による発光装置100Bでは、
図3Aおよび
図3Bに示すように、第2ミラー部材30bの第2反射面30bsを+Z方向に沿ってシフトさせるほど、第2反射面30bsで反射されたレーザ光Lの光軸の高さは小さくなる。したがって、複数の発光装置100Bを同一平面上に配置しても、複数の発光装置100Bから出射されたレーザ光の光軸の高さを互いに異ならせることができる。
【0101】
以下に、発光装置100Bの各構成要素を説明する。
【0102】
<レーザ光源20P>
レーザ光源20Pは、
図3Cに示すように、サブマウント21、半導体レーザ素子22、レンズ支持部材23、および速軸コリメートレンズ24と、これらの構成要素を封止するパッケージとを備える。サブマウント21、半導体レーザ素子22、レンズ支持部材23、および速軸コリメートレンズ24を備える構成については、実施形態1において説明した通りである。レーザ光源20Pは、半導体レーザ素子22から出射され、速軸コリメートレンズ24によってYZ平面においてコリメートされたレーザ光Lを概略的に+Z方向に出射する。レーザ光源20Pの具体的な構成について後述する。
【0103】
実際には、レーザ光源20Pから出射されたレーザ光Lの進行方向は+Z方向からずれている可能性がある。レーザ光源20Pから出射されたレーザ光Lの進行方向と+Z方向とがなす角度は、例えば10°以下であり得る。
【0104】
<第1ミラー部材30aおよび第2ミラー部材30b>
第1ミラー部材30aおよび第2ミラー部材30bについては、実施形態1による発光装置100Aにおいて説明した通りである。ただし、実施形態2による発光装置100Bにおいて、第1ミラー部材30aの断面形状は、概略的に三角形ではなく概略的に台形である。
【0105】
第1反射面30asは、
図3Cに示すように、レーザ光源20Pから出射されたレーザ光Lを反射してレーザ光Lの進行方向を、支持体40Sの第1支持面40Ss1から離れる方向に変化させる。第1反射面30asは、レーザ光Lを反射して、レーザ光Lの進行方向を
図1Aから
図1Cに示す第1載置面60s1から離れる方向に変化させると言うこともできる。レーザ光Lが支持体40Sの第1支持面40Ss1または第1載置面60s1から離れる方向と、実装面10usの法線方向とがなす角度は、例えば、0°以上5°以下であり得る。当該角度には5°の許容範囲があるので、第1ミラー部材30aの位置および向きを第2ミラー部材30bの位置および向きほど厳密に調整する必要はない。
【0106】
第2ミラー部材30bは、上記の斜面に第2反射面30bsを有する。第2反射面30bsの少なくとも一部は、第1反射面30asの少なくとも一部の上方に位置する。第2反射面30bsは、
図3Cに示すように、第1反射面30asで反射されたレーザ光Lを反射してレーザ光Lの進行方向を+Z方向に変化させる。第2ミラー部材30bの位置および向きの調整については後述する。
【0107】
図3Aおよび
図3Bに示すように、第2ミラー部材30bが+Z方向にシフトして第1ミラー部材30aに近づくほど、第2反射面30bsで反射されたレーザ光Lの光軸の高さは小さくなる。実施形態1において説明したように、第2反射面30bsの上辺から下辺までの寸法が大きいほど、第2反射面30bsで反射されたレーザ光Lの光軸の高さをより広範囲に調整できる。
【0108】
ここで、実施形態2とは異なり、第1ミラー部材30aおよび第2ミラー部材30bの代わりに、実施形態1において説明したウェッジを配置することによっても、レーザ光源20Pから出射されたレーザ光Lの進行方向を+Z方向に向けることができる。しかしながら、ウェッジを用いる場合、レーザ光Lの進行方向を+Z方向に向けるために、光出射面の法線方向が互いに異なる複数のウェッジを用意し、当該複数のウェッジから、光出射面の法線方向が適切な方向であるウェッジを選択する必要がある。
【0109】
これに対して、実施形態2では、第2ミラー部材30bを適切な位置および向きに配置することにより、レーザ光源20から出射されたレーザ光Lの進行方向を+Z方向に向けることができる。したがって、上面と斜面とがなす角度が互いに異なる複数の第2ミラー部材30bを用意し、当該複数の第2ミラー部材30bから適切な角度の第2ミラー部材30bを選択する必要はない。
【0110】
<支持体40S>
支持体40Sは、
図3Cおよび
図3Dに示すように、凹凸を有する上面40Susと、XZ平面に対して平行な平面である下面40SLsとを有する。支持体40Sは、上面40Susに凹部40Scを有する。支持体40Sは、凹部40Scにおいて、レーザ光源20Pから出射されたレーザ光Lが通過する切り欠き部40Snを有する。支持体40Sは、さらに、凹部40Scにおいて、レーザ光源20Pから出射されたレーザ光Lの光路の両側に位置する2つの壁部40Swを有する。
【0111】
支持体40Sは、上面40Susにおいて、凹部40Scの底面の少なくとも一部である第1支持面40Ss1を有する。第1支持面40Ss1はXZ平面に対して平行である。第1支持面40Ss1は、第1反射面30asがレーザ光Lを反射してレーザ光Lの進行方向を支持体40Sから離れる方向に変化させるように第1ミラー部材30aを支持する。第1ミラー部材30aの一部は2つの壁部40Swの間に位置する。第1ミラー部材30aの下面は第1支持面40Ss1に接合されている。第1支持面40Ss1と第1ミラー部材30aの下面との間には、接合用の樹脂層が存在している。樹脂層の厚さ(Y方向における寸法)は、例えば0.005mm以上0.5mm以下であり得る。駆動時にレーザ光Lの照射によって第1ミラー部材30aで生じる熱は、第1ミラー部材30aを支持する第1支持面40Ss1を介して支持体40Sに効果的に伝えることができる。樹脂層の厚さ(Y方向における寸法)が上記の範囲であれば、樹脂層は、当該熱が支持体40Sに伝わることを大きく妨げることはない。以下に説明する樹脂層についても同様である。
【0112】
支持体40Sは、上面40Susにおいて、2つの壁部40Swの上面の少なくとも一部である第2支持面40Ss2を有する。第2支持面40Ss2はXZ平面に対して平行である。第2支持面40Ss2は、第2反射面30bsの少なくとも一部が、第1反射面30asの少なくとも一部の上方に位置するように第2ミラー部材30bを支持する。第2支持面40Ss2は、さらに、第2反射面30bsが第1反射面30asで反射されたレーザ光Lを反射してレーザ光Lの進行方向を+Z方向に変化させるように第2ミラー部材30bを支持する。
図3Cに示す例において、第2支持面40Ss2は第2ミラー部材30bの両端を支持する。凹部40Scが2つの壁部40Swではなく1つの壁部40Swだけを備える場合、第2支持面40Ss2は第2ミラー部材30bの一端を支持する。第2ミラー部材30bの下面の一部、具体的には第2ミラー部材30bの一端または両端の下面は第2支持面40Ss2に接合されている。第2支持面40Ss2と第2ミラー部材30bの下面の一部との間には、接合用の樹脂層32が存在している。第2ミラー部材30bの下面の一部を第2支持面40Ss2に硬化前の樹脂を介して接触させ、第2反射面30bsがレーザ光Lの進行方向を+Z方向に変化させるように第2ミラー部材30bは適切な位置および向きに調整される。第2ミラー部材30bの位置および向きの調整において、実施形態1において説明したアクティブアライメントが行われる。その後、樹脂を硬化して樹脂層32が形成される。第2ミラー部材30bの位置および向きの調整は、発光装置100Bを、
図1Aから
図1Cに示す支持基体60Aの第1載置面60s1に配置した後、第2ミラー部材30bを保持装置によって保持しながら行われ得る。駆動時にレーザ光Lの照射によって第2ミラー部材30bで生じる熱は、第2ミラー部材30bを支持する第2支持面40Ss2を介して支持体40Sに効果的に伝えることができる。
【0113】
支持体40Sから見て第1ミラー部材30aおよび第2ミラー部材30bが実装された面とは反対側に位置するXZ平面に対して平行な平面を、発光装置100Bにおける高さの基準平面とする。当該基準平面は、例えば、
図3Cおよび
図3Dに示す支持体40Sの下面40SLsであり得る。以下に説明する「高さ」は、当該基準平面からの高さである。第2支持面40Ss2の高さは第1支持面40Ss1の高さよりも大きい。第2支持面40Ss2によって支持された第2ミラー部材30bは、レーザ光源20Pから出射されたレーザ光Lの光路の上方に位置し、レーザ光Lの進行を妨げない。
【0114】
実施形態2による発光装置100Bとは異なり、第2支持面40Ss2の高さが第1支持面40Ss1の高さに等しい構成では、レーザ光源20Pから出射されたレーザ光Lの進行を妨げないように、第2ミラー部材30bはレーザ光Lの光路を跨ぐ複雑な形状を有することが求められる。これに対して、実施形態2による発光装置100Bでは、第2支持面40Ss2の高さが第1支持面40Ss1の高さよりも大きいので、第2ミラー部材30bはそのような複雑な形状を有する必要はない。第2ミラー部材30bは、下面が平面である単純な形状を有していてもよい。
【0115】
第1支持面40Ss1および第2支持面40Ss2は互いに平行な平面である。したがって、第2ミラー部材30bの上面と斜面とがなす角度が第1ミラー部材30aの下面と斜面とがなす角度に等しい場合、第2ミラー部材30bの下面の一部を第2支持面40Ss2に硬化前の樹脂を介して接触させると、第2反射面30bsは第1反射面30asに対してほぼ平行になる。その状態から第2ミラー部材30bの位置および向きを微調整できるので、第2ミラー部材30bを適切な位置および向きに配置しやすくなる。
【0116】
第1反射面30asおよび第2反射面30bsは互いに離れて位置しており、第1反射面30asと第2反射面30bsとの間には、空気等の気体が存在している。レーザ光Lは、第1反射面30asから第2反射面30bsまで進行する間に、第2ミラー部材30bと第2支持面40Ss2との間に存在する樹脂層32には入射しないので、樹脂層32の劣化を低減することができる。第1反射面30asから第2反射面30bsまでのZ方向における距離は、例えば0.1mm以上3mm以下であり得る。
【0117】
第2反射面30bsのX方向における寸法は、2つの壁部40Swの間の最大の間隔よりも大きく、第1反射面30asのX方向における寸法は、当該最大の間隔よりも小さい。したがって、第2反射面30bsのX方向における寸法は、第1反射面30asのX方向における寸法よりも大きい。第2反射面30bsのX方向における寸法は、例えば、第1反射面30asのX方向における寸法の1.1倍以上4倍以下であり得る。第2反射面30bsはそのような寸法を有するので、第2反射面30bsは、第1反射面30asから第2反射面30bsまで進行する間にX方向における幅が広くなるレーザ光Lを受けやすい。
【0118】
第1反射面30asおよび/または第2反射面30bsで反射されたレーザ光Lの一部は迷光になる場合があり、当該迷光は進行するにつれて広がり得る。その場合でも、2つの壁部40SwのX方向における間隔が狭ければ、迷光が戻り光としてレーザ光源20Pに入射することを低減できる。2つの壁部40SwのX方向における間隔は、例えば0.1mm以上3mm以下であり得る。当該間隔がこの範囲であれば、迷光が戻り光としてレーザ光源20Pに入射することを適切に低減できる。さらに、壁部40Swの高さ(Y方向における寸法)が大きければ、第1反射面30asで生じた迷光が第2ミラー部材30bと第2支持面40Ss2との間に存在する樹脂層32に入射することを妨げて樹脂層32の劣化を低減することができる。壁部40Swの高さは、例えば0.1mm以上5mm以下であり得る。当該高さがこの範囲であれば、そのような迷光が当該樹脂層に入射することを効果的に妨げることができる。なお、第2反射面30bsで生じた迷光は樹脂層から離れる方向に進行する場合が多いので、そのような迷光が樹脂層32に入射する可能性は低い。
【0119】
支持体40Sは、さらに、上面40Susにおいて、凹部40Scの外側に位置する第3支持面40Ss3を有する。第3支持面40Ss3はXZ平面に対して平行である。第3支持面40Ss3はレーザ光源20Pを支持する。第3支持面40Ss3とレーザ光源20Pの下面との間には、接合用の無機接合層が存在している。駆動時にレーザ光源20Pで生じる熱は、第3支持面40Ss3を介して支持体40Sに効果的に伝えることができる。第3支持面40Ss3の高さは第1支持面40Ss1の高さよりも小さいので、第3支持面40Ss3によって支持されたレーザ光源20Pは、レーザ光Lを第1反射面30asに入射させやすい。
【0120】
支持体40Sは、例えば、
図1Aから
図1Cに示す支持基体60Aと同じ材料から形成され得る。その場合、支持体40Sは、駆動時にレーザ光源20Pから発せられる熱、およびレーザ光Lの照射によって第1ミラー部材30aおよび第2ミラー部材30bで生じる熱を支持基体60Aに効果的に伝えることができる。支持体40Sは、支持基体60Aと一体的に形成されてもよい。その場合、支持体40Sは、支持基体60Aの一部に相当する。
【0121】
以上のことから、実施形態2によれば、レーザ光Lの進行方向と、設計上の進行方向とのずれを低減することが可能な発光装置100Bを実現できる。さらに、複数の発光装置100Aを同一平面上に配置しても、複数の第2ミラー部材30bの第2反射面30bsのZ方向における位置を互いに異ならせることにより、複数の発光装置100Bから出射されたレーザ光Lの光軸の高さを互いに異ならせることができる。上記の同一平面を基準として、第2反射面30bsとレーザ光Lの光軸との交点の高さは、複数の第2ミラー部材30bの第2反射面30bsの+Z方向における位置に応じて異なる。そのような発光装置100Bを
図1Aから
図1Cに示す発光モジュール200に採用することにより、複数の発光装置100Bの各々からレーザ光Lが出射されて得られる複数のレーザ光Lを効果的に結合して光ファイバ80に入射させることができる。
【0122】
発光装置100Bは、例えば、以下のようにして製造され得る。最初の工程において、レーザ光源20P、第1ミラー部材30a、第2ミラー部材30b、および支持体40Sが用意される。次の工程において、レーザ光源20Pが支持体40Sの第3支持面40Ss3に接合される。次の工程において、第1ミラー部材30aが支持体40Sの第1支持面40Ss1に接合される。次の工程において、第2ミラー部材30bの下面を支持体40Sの第2支持面40Ss2に硬化前の樹脂を介して接触させた状態で、アクティブアライメントが行われる。次の工程において、樹脂を硬化して第2ミラー部材30bと支持体40Sとの間に樹脂層32が形成される。
【0123】
(実施形態3)
次に、
図4を参照して、本開示の実施形態3によるDDL装置の構成例を説明する。
図4は、本開示の例示的な実施形態3によるDDL装置の構成を模式的に示す図である。
図4に示すDDL装置1000は、実施形態1による複数の発光モジュール200と、加工ヘッド300と、発光モジュール200を加工ヘッド300に接続する光伝送ファイバ250とを備える。
図4に示す例において、発光モジュール200の数は4個であるが、この数に限定されない。発光モジュール200の数は1個であってもよいし、2個もしくは3個、または5個以上の複数個であってもよい。
【0124】
各発光モジュール200に含まれる発光装置100Aの数は、必要な光出力または放射照度に応じて決定される。発光装置100Aから出射されたレーザ光の波長も、加工対象の材料に応じて選択され得る。例えば、銅、真鍮、アルミニウムなどの金属を加工する場合、中心波長が350nm以上550nm以下の範囲に属する半導体レーザ素子が好適に採用され得る。各発光装置100Aから出射されたレーザ光の波長は同一である必要はなく、中心波長が異なるレーザ光が重畳されてもよい。また、中心波長が350nm以上550nm以下の範囲外にあるレーザ光を用いる場合にも、本発明による効果を得ることは可能である。
【0125】
図4に示す例において、複数の発光モジュール200の各々から光ファイバ80が延びている。そのようにして得られる複数の光ファイバ80が光合波器230によって光伝送ファイバ250に結合されている。光合波器230は、例えば、TFB(Tapered Fiber Bundle)であり得る。加工ヘッド300は、光ファイバ80の光出射端から出射されたレーザ光を対象物400に収束して照射する。1台のDDL装置1000がM個の発光モジュール200を備え、各発光モジュール200がN個の発光装置100Aを備える場合において、1個の発光装置100Aの光出力がPワットであれば、最大でP×N×Mワットの光出力を持ったレーザビームを対象物400上に収束させることができる。ここで、Nは2以上の整数、Mは正の整数である。例えばP=20ワット、N=22、M=12であれば、5キロワットを超える光出力を実現できる。
【0126】
(レーザ光源20の構成)
次に、
図5Aおよび
図5Bを参照して、実施形態1による発光装置100Aに含まれるレーザ光源20の構成の例を説明する。
図5Aは、実施形態1による発光装置100Aに含まれるレーザ光源20の構成例を模式的に示す分解斜視図である。
図5Bは、
図5Aに示すレーザ光源20の、YZ平面に対して平行な断面図である。以下に、レーザ光源20の各構成要素を説明する。
【0127】
サブマウント21は、
図5Aに示すように、XZ平面に対して平行である上面21usおよび下面21Lsを有する。上面21usおよび下面21Lsの各々には金属膜が設けられている。上面21usに設けられた金属膜は、半導体レーザ素子22およびレンズ支持部材23をサブマウント21に無機接合部材で接合する際に、接合強度を向上させる。上面21usに設けられた金属膜は、さらに、半導体レーザ素子22に電力を供給することに用いてもよい。下面21Lsに設けられた金属膜は、
図2Cに示す基板10およびレーザ光源20を、無機接合部材を介して接合する際に、接合強度を向上させる。上面21usおよび下面21Lsの各々に設けられた金属膜は、駆動時に半導体レーザ素子22で発せられる熱を、サブマウント21を介して基板10に伝えることにも役立つ。サブマウント21は、例えば、
図1Aから
図1Cに示す支持基体60Aと同様に、前述のセラミックス、金属材料、または金属マトリクス複合材料から形成され得る。
【0128】
半導体レーザ素子22は、
図5Aに示すように、サブマウント21の上面21usによって支持されている。半導体レーザ素子22はZ方向に交差する2つの端面の一方に出射面22eを有し、出射面22eからレーザ光を+Z方向に出射する。レーザ光は、+Z方向に進行するにつれてYZ平面およびXZ平面において異なる速さで広がる。レーザ光は、YZ平面において相対的に速く広がり、XZ平面において相対的に遅く広がる。レーザ光のスポットは、コリメートしない場合、ファーフィールドで、XY平面においてY方向が長軸でありX方向が短軸である楕円形状を有する。
【0129】
半導体レーザ素子22は、可視領域における紫色、青色、緑色もしくは赤色のレーザ光、または不可視領域における赤外もしくは紫外のレーザ光を出射し得る。紫色光の発光ピーク波長は、400nm以上420nm以下の範囲内にあることが好ましく、400nm以上415nm以下の範囲内にあることがより好ましい。青色光の発光ピーク波長は、420nmより大きく495nm以下の範囲内にあることが好ましく、440nm以上475nm以下の範囲内にあることがより好ましい。緑色光の発光ピーク波長は、495nmより大きく570nm以下の範囲内にあることが好ましく、510nm以上550nm以下の範囲内にあることがより好ましい。赤色光の発光ピーク波長は、605nm以上750nm以下の範囲内にあることが好ましく、610nm以上700nm以下の範囲内にあることがより好ましい。
【0130】
紫色、青色および緑色のレーザ光を出射する半導体レーザ素子22としては、窒化物半導体材料を含むレーザダイオードが挙げられる。窒化物半導体材料としては、例えば、GaN、InGaN、およびAlGaNを用いることができる。赤色のレーザ光を出射する半導体レーザ素子22としては、例えば、InAlGaP系、GaInP系、GaAs系、およびAlGaAs系の半導体材料を含むレーザダイオードが挙げられる。
【0131】
レンズ支持部材23は、
図5Aに示すように、サブマウント21の上面21usによって支持されている。レンズ支持部材23は、2つの柱状部分23aと、2つの柱状部分23aの間に位置し、2つの柱状部分23aを連結する連結部分23bとを有する。2つの柱状部分23aは半導体レーザ素子22の両側に位置し、連結部分23bは半導体レーザ素子22の出射面22e側の上方に位置する。レンズ支持部材23は、2つの柱状部分23aの端面23asによって速軸コリメートレンズ24を支持する。レンズ支持部材23は、半導体レーザ素子22を跨ぐように位置し、半導体レーザ素子22から出射されたレーザ光が速軸コリメートレンズ24に入射することを妨げない。
【0132】
レンズ支持部材23は、例えば、
図1Aから
図1Cに示す支持基体60Aと同様に、前述のセラミックスから形成され得る。レンズ支持部材23は、例えば、
図1Aから
図1Cに示す集光レンズ70と同様に、前述の透光性材料から形成され得る。レンズ支持部材23は、例えば、コバール(Kovar)およびCuWからなる群から選択される少なくとも1つの合金から形成され得る。コバールは、主成分である鉄にニッケルおよびコバルトを加えた合金である。レンズ支持部材23は、例えばSiから形成され得る。
【0133】
速軸コリメートレンズ24は、
図5Aに示すように、例えば、X方向に一様な断面形状を有するシリンドリカルレンズであり得る。速軸コリメートレンズ24は、光入射側に平面を有し、光出射側に凸曲面を有する。当該凸曲面は、YZ平面において曲率を有する。速軸コリメートレンズ24の焦点は、半導体レーザ素子22の出射面22eの発光点の中心にほぼ一致する。
図5Bに示すように、速軸コリメートレンズ24は、半導体レーザ素子22の出射面22eから+Z方向に出射されたレーザ光をYZ平面においてコリメートする。
図5Bに示す破線によって囲まれた領域は、レーザ光の強度がそのピーク強度の1/e
2倍以上である領域を表す。eは自然対数の底である。速軸コリメートレンズ24は、例えば、
図1Aから
図1Cに示す集光レンズ70と同様に、前述の透光性材料から形成され得る。
【0134】
速軸コリメートレンズ24は、
図2Gに示すように、基板10の実装面10usとカバー50の下面50Lsとの間に位置し、かつレーザ光Lの光路上に位置する。速軸コリメートレンズ24は、基板10、枠体40、およびカバー50によって形成される封止空間の内部に配置されているので、レーザ光Lが大きく広がる前にレーザ光Lをコリメートすることができる。したがって、速軸コリメートレンズ24を小型にすることが可能になる。
【0135】
速軸コリメートレンズ24の代わりに、半導体レーザ素子22から出射されたレーザ光Lを、YZ平面だけでなくXZ平面においてもコリメートするコリメートレンズを用いてもよい。その場合、
図1Aから
図1Cに示す発光モジュール200および
図1Dに示す発光モジュール210において、遅軸コリメートレンズ92、92a、92bを設ける必要はない。
【0136】
(レーザ光源20Pの構成)
次に、
図6Aおよび
図6Bを参照して、実施形態2による発光装置100Bに含まれるレーザ光源20Pの構成の例を説明する。
図6Aは、実施形態2による発光装置100Bに含まれるレーザ光源20Pの構成例を模式的に示す斜視図である。
図6Aに示すレーザ光源20Pは、
図5Aに示すサブマウント21、半導体レーザ素子22、レンズ支持部材23、および速軸コリメートレンズ24と、これらの構成要素を収容する基部20bとを備える。基部20bは、半導体レーザ素子22から出射されたレーザ光Lを透過させる透光窓20tを備える。レーザ光源20Pは、さらに、レーザ光源20に電力を供給する2つのリード端子25と、2つのリード端子25を保持するリード保持部材20hと、基部20bに固定された蓋体20Lとを備える。蓋体20Lは、基部20b、リード保持部材20h、および2つのリード端子25と共に、半導体レーザ素子22を封止する封止空間を形成する。実施形態1において説明したように、この封止は気密封止であることが好ましい。本明細書において、基部20b、リード保持部材20h、2つのリード端子25、および蓋体20Lを備える構成を、「パッケージ」とも称する。
【0137】
図6Bは、
図6Aに示すレーザ光源20Pの内部の平面構成を模式的に示す図である。
図6Bにおいて、
図6Aに示す蓋体20Lが省略されている。基部20bは、底板20b1と、底板20b1に設けられたステージ20b2と、ステージ20b2を囲む側壁20b3とを含む。側壁20b3に、
図6Aに示す透光窓20tが設けられている。側壁20b3は
図6Aに示す透光窓20tを備えると言うこともできる。レーザ光源20Pは、基部20bの内部に、ステージ20b2によって支持されるサブマウント21と、サブマウント21によって支持される半導体レーザ素子22およびレンズ支持部材23と、レンズ支持部材23によって支持される速軸コリメートレンズ24とを備える。半導体レーザ素子22は、底板20b1、ステージ20b2、およびサブマウント21を介して
図3Aおよび
図3Bに示す支持体40Sによって支持されている。サブマウント21と、半導体レーザ素子22と、レンズ支持部材23と、速軸コリメートレンズ24とを備える構成については、
図5Aおよび
図5Bを参照して説明した通りである。
【0138】
基部20bのうち、底板20b1およびステージ20b2は、例えば、Cu、Al、Ag、Fe、Ni、Mo、Cu、およびWからなる群から選択される少なくとも1つを含む金属材料から形成され得る。金属材料の他の例としては、CuMoのような合金が挙げられる。合金を含むそのような金属材料から形成される底板20b1およびステージ20b2は高い熱伝導率を有するので、駆動時に半導体レーザ素子22から発せられる熱を外部に効果的に伝えることができる。基部20bのうち、側壁20b3は、例えばコバールから形成され得る。
【0139】
レーザ光源20Pは、さらに、基部20bの内部に複数のワイヤ25wを備える。複数のワイヤ25wのうち、一部のワイヤ25wは、サブマウント21を介して半導体レーザ素子22に電気的に接続され、かつ一方のリード端子25に電気的に接続されている。残りのワイヤ25wは、直接半導体レーザ素子22に電気的に接続され、かつ他方のリード端子25に電気的に接続されている。複数のワイヤ25wは、2つのリード端子25から半導体レーザ素子22に電力を供給するために用いられる。2つのリード端子25は、半導体レーザ素子22から出射されるレーザ光の出射タイミングおよび出力を調整する外部回路に電気的に接続されている。
【0140】
レーザ光源20Pのより詳細については、例えば特開2021-106247号公報に開示されている。特開2021-106247号公報の開示内容のすべてを参照によって本明細書に援用する。
【0141】
本開示は、以下の項目に記載の発光モジュールを含む。
[項目1]
第1方向に並ぶ複数の載置面を有する支持基体と、
前記複数の載置面の各々に、対応する半導体レーザ素子が配置される、複数の半導体レーザ素子であって、各々がレーザ光を出射する複数の半導体レーザ素子と、
各々が第1反射面を有し、前記第1反射面は前記レーザ光を反射して前記レーザ光の進行方向を変化させる、複数の第1ミラー部材と、
各々が第2反射面を有し、前記第2反射面の少なくとも一部は前記第1反射面の少なくとも一部の上方に位置する、複数の第2ミラー部材であって、前記第2反射面は、前記第1反射面で反射される前記レーザ光を前記第1方向に交差する第2方向に反射する、複数の第2ミラー部材と、
を備え、
前記複数の第2ミラー部材の前記第2反射面の前記第2方向における位置は互いに異なる、発光モジュール。
[項目2]
各々が第3反射面を有し、前記第3反射面は、前記第2反射面で反射される前記レーザ光を前記第1方向に反射する、複数の第3ミラー部材と、
前記複数の第3ミラー部材の各々の前記第3反射面で前記レーザ光が反射されて得られる複数のレーザ光を光ファイバに結合する集光レンズと、をさらに備える項目1に記載の発光モジュール。
[項目3]
前記複数の第2ミラー部材の前記第2反射面の前記第2方向における前記位置は、前記第1方向に沿って、前記第2方向に段階的に異なる、項目1または2に記載の発光モジュール。
[項目4]
前記第1反射面は、前記レーザ光を反射して、前記レーザ光の前記進行方向を前記載置面から離れる方向に変化させる、項目1から3のいずれか1項に記載の発光モジュール。
[項目5]
前記複数の載置面は、同一平面上に位置する、項目1から4のいずれか1項に記載の発光モジュール装置。
[項目6]
前記第2方向は、前記同一平面に対して平行である、項目5に記載の発光モジュール。
[項目7]
前記同一平面を基準として、前記第2反射面と前記レーザ光の光軸との交点の高さは、前記複数の第2ミラー部材の前記第2反射面の前記第2方向における前記位置に応じて異なる、項目5または6に記載の発光モジュール。
[項目8]
各半導体レーザ素子は封止されており、
対応する第1ミラー部材は、各半導体レーザ素子が封止される空間の内側に位置し、
対応する第2ミラー部材は、前記空間の外側に位置する、項目1から7のいずれか1項に記載の発光モジュール。
[項目9]
各半導体レーザ素子は封止されており、
対応する第1ミラー部材は、各半導体レーザ素子が封止される空間の外側に位置し、
対応する第2ミラー部材は、前記空間の外側に位置する、項目1から7のいずれか1項に記載の発光モジュール。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本開示の発光装置は、特に複数のレーザ光を結合して高出力のレーザ光を実現するために用いられ得る。また、本開示の発光装置は、例えば、高出力のレーザ光源が必要とされる産業用分野、例えば各種材料の切断、穴あけ、局所的熱処理、表面処理、金属の溶接、3Dプリンティングに利用され得る。
【符号の説明】
【0143】
10:基板 10us:実装面 10Ls:下面 20、20P:レーザ光源 20b:基部 20b1:底板 20b2:ステージ 20b3:側壁 20h:リード保持部材 20t:透光窓 21:サブマウント 21Ls:下面 21us:上面 22:半導体レーザ素子 22e:出射面 23:レンズ支持部材 23a:柱状部分 23as:端面 23b:連結部分 24:速軸コリメートレンズ 25:リード端子 25w:ワイヤ 30a:第1ミラー部材 30as:第1反射面 30b:第2ミラー部材 30bs:第2反射面 32:樹脂層 40:枠体 40us1:第1上面 40us2:第2上面 40Ls1:第1下面 40Ls2:第2下面 40p:突出部 40w:ワイヤ 42a:第1導電領域 42b:第2導電領域 42c:第3導電領域 42d:第4導電領域 44a:第1接合領域 44b:第2接合領域 44c:第3接合領域 46:外側領域 40S:支持体 40Sc:凹部 40Sn:切り欠き部 40Ss1:第1支持面 40Ss2:第2支持面 40Ss3:第3支持面 40Sus:上面 40SLs:下面 40Sw:壁部 50:カバー 50us:上面 50Ls:下面 50t:透光領域 52:遮光膜 60A、62A:支持基体 60A1、62A1:第1部分 60A2、62A2:第2部分 60A3、62A3:第3部分 60s1:第1載置面 60s2:第2載置面 60s3:第3載置面 70:集光レンズ 70a:速軸集光レンズ 70b:遅軸集光レンズ 80:光ファイバ 80a:光入射端 80b:光出射端 82:支持部材 92:遅軸コリメートレンズ 92a:遅軸コリメートレンズ 92b:遅軸コリメートレンズ 94、94a、94b、94c:ミラー部材 94s、94as、94bs、94cs:反射面 96:1/2波長板 98:偏光ビームスプリッタ 100A、100A1、100A2、100B:発光装置 200、210:発光モジュール 230:光合波器 250:光伝送ファイバ 300:加工ヘッド 400:対象物 1000:DDL装置