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特開2024-18661反射フィルム、捲回体及び電子デバイス用表示装置
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  • 特開-反射フィルム、捲回体及び電子デバイス用表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018661
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】反射フィルム、捲回体及び電子デバイス用表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/08 20060101AFI20240201BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240201BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20240201BHJP
   F21V 7/10 20060101ALI20240201BHJP
   F21V 7/24 20180101ALI20240201BHJP
【FI】
G02B5/08 A
G02F1/1335 520
F21V7/00 310
F21V7/00 320
F21V7/10 110
F21V7/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122119
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩田 龍之介
(72)【発明者】
【氏名】細井 康平
【テーマコード(参考)】
2H042
2H291
【Fターム(参考)】
2H042DA02
2H042DA03
2H042DA04
2H042DA05
2H042DA06
2H042DA07
2H042DA11
2H042DA15
2H042DA17
2H042DA21
2H042DC02
2H042DE04
2H291FA31
2H291FA95
2H291FB02
2H291FB14
2H291FC02
2H291FC03
2H291FC09
(57)【要約】
【課題】第1の反射層と第2の反射層とを積層する構成を有する反射フィルムに関し、反射率と共に輝度をより向上させることができる反射フィルムを提供する。
【解決手段】第1の反射層、接着空間層及び第2の反射層をこの順に備えており、前記接着空間層は、空間部と接着剤組成物からなる接着部とを有し、当該複数の接着部が面方向に点在してなる構成を有する、反射フィルムである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の反射層、接着空間層及び第2の反射層をこの順に備えており、前記接着空間層は、空間部と接着剤組成物からなる接着部とを有し、当該複数の接着部が面方向に点在してなる構成を有する、反射フィルム。
【請求項2】
前記接着部の存在面積率が1~50%である、請求項1に記載の反射フィルム。
【請求項3】
前記接着部の単位面積が0.01~0.5mmである、請求項1に記載の反射フィルム。
【請求項4】
前記接着部の平均厚みが1~20μmである、請求項1に記載の反射フィルム。
【請求項5】
前記第1の反射層の波長550nmの光反射率が95%以上である、請求項1に記載の反射フィルム。
【請求項6】
前記第1の反射層の波長550nmの光透過率が1.0%以上である、請求項1に記載の反射フィルム。
【請求項7】
前記第1の反射層が、ポリオレフィン樹脂又はポリエステル樹脂を主成分樹脂として含有する、請求項1に記載の反射フィルム。
【請求項8】
前記第2の反射層の波長550nmの光反射率が50%以上である、請求項1に記載の反射フィルム。
【請求項9】
前記第2の反射層の波長550nmの光透過率が1.0%以下である、請求項1に記載の反射フィルム。
【請求項10】
前記第2の反射層が、金属を主材とする、請求項1に記載の反射フィルム。
【請求項11】
前記第2の反射層の少なくとも一方の表面に保護層を備える、請求項1に記載の反射フィルム。
【請求項12】
請求項1~11の何れか1項に記載の反射フィルムをコアに捲回してなる捲回体。
【請求項13】
請求項1~11の何れか1項に記載の反射フィルムを備えた電子デバイス用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は反射フィルムに関する。詳しくは、液晶ディスプレイ等の電子デバイス用表示装置の構成部材として好適に使用することができる反射フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイをはじめ、照明器具や照明看板など多くの分野で反射フィルムが使用されている。近年では、液晶ディスプレイ等の電子デバイス用表示装置の分野において表示性能の高度化及びバックライトの省電力化が検討され、少しでも多くの光を液晶に供給してバックライトユニットの性能を向上させることが求められるようになり、反射フィルムに対しても、より一層優れた光反射性(単に「反射性」ともいう)が求められている。
【0003】
光反射性の高い反射フィルムとして、例えば、屈折率の異なる2種の透明ポリエステル層の膜厚を調整して積層した反射偏光子が提案されている(特許文献1)。
また、ポリエステル、ポリオレフィン等の樹脂マトリックス中に酸化チタン等の微粉状充填剤を分散してフィルムを延伸することで多孔化した白色フィルムも提案されている(特許文献2~4)。
加えて、プラスチックシートや金属板等の基材に、銀又はアルミ等の反射率の高い金属薄膜を蒸着やスパッタ等により形成した金属薄膜鏡面反射フィルムも提案されている(特許文献5及び6)。
さらに、上記白色フィルムと上記鏡面反射フィルムを組み合わせてなる反射フィルムも提案されている(特許文献7~9)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-178697号公報
【特許文献2】特開平04-239540号公報
【特許文献3】特開2005-031653号公報
【特許文献4】特開2012-035616号公報
【特許文献5】特開平10-128908号公報
【特許文献6】特開2006-126236号公報
【特許文献7】特開平10-193494号公報
【特許文献8】国際公開第2005/039872号
【特許文献9】国際公開第2016/072472号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、液晶ディスプレイ等の電子デバイス用表示装置の分野では、装置の大型化及び表示性能の高度化も進み、少しでも多くの光を液晶パネルに供給することが求められている。よって、省電力で、かつ、バックライトから供給される光量をできるだけ多くするためには、反射率が高く、且つ、高い輝度が得られる反射フィルムが求められている。また、光源のある箇所と無い箇所の輝度差を抑制して所謂輝度斑を抑制するためにも、反射フィルムの輝度を向上させることが要求される。
【0006】
上述のように、特許文献5及び6では、樹脂フィルムからなる基材層の裏面側すなわち視認側とは反対側に、銀やアルミニウム等を蒸着やスパッタ等により金属層を形成した金属薄膜鏡面反射フィルムが開示されている。このような金属薄膜鏡面反射フィルムは、高い反射特性を期待することができる反面、輝度に関してはより高める必要があった。
また、特許文献7~9では、反射フィルムを製造する過程で、白色フィルム(基材層)と金属層との剥離が生じないようにしてハンドリング性を高める必要もあった。
ちなみに、特許文献9には、基材層の裏面側に金属層を形成する方法として、基材層の表面に平滑コート層を設けた上で金属を蒸着して金属層を形成する方法、基材層と金属層とを接着層又は粘着層を介して積層する方法、基材層と金属層とを単に重ねることで、基材層と金属層との間に空気層を介在させて積層する方法などが開示されている。
【0007】
本発明の目的は、複数の反射層を備えた反射フィルムに関し、反射率と共に輝度をより向上させることができ、製造過程で、反射層間の剥離を防止することができる新たな反射フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、反射層間の接着方法について種々検討を行った結果、反射層の間に接着部を点在させることで、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
【0009】
[1]本発明の第1の態様は、第1の反射層、接着空間層及び第2の反射層をこの順に備えており、前記接着空間層は、空間部と接着剤組成物からなる接着部とを有し、当該複数の接着部が面方向に点在してなる構成を有する、反射フィルムである。
【0010】
[2]本発明の第2の態様は、前記第1の態様において、前記接着部の存在面積率が1~50%である、反射フィルムである。
[3]本発明の第3の態様は、前記第1又は第2の態様において、前記接着部の単位面積が0.01~0.5mmである、反射フィルムである。
[4]本発明の第4の態様は、前記第1~3の何れか1の態様において、前記接着部の平均厚みが1~20μmである、請求項1に記載の反射フィルムである。
【0011】
[5]本発明の第5の態様は、前記第1~4の何れか1の態様において、前記第1の反射層の波長550nmの光反射率が95%以上である、反射フィルムである。
[6]本発明の第6の態様は、前記第1~5の何れか1の態様において、前記第1の反射層の波長550nmの光透過率が1.0%以上である、反射フィルムである。
[7]本発明の第7の態様は、前記第1~6の何れか1の態様において、 前記第1の反射層が、ポリオレフィン樹脂又はポリエステル樹脂を主成分樹脂として含有する、反射フィルムである。
【0012】
[8]本発明の第8の態様は、前記第1~7の何れか1の態様において、前記第2の反射層の波長550nmの光反射率が50%以上である、反射フィルムである。
[9]本発明の第9の態様は、前記第1~8の何れか1の態様において、前記第2の反射層の波長550nmの光透過率が1.0%以下である、反射フィルムである。
[10]本発明の第10の態様は、前記第1~9の何れか1の態様において、前記第2の反射層が、金属を主材とする、反射フィルムである。
【0013】
[11]本発明の第11の態様は、前記第1~10の何れか1の態様において、前記第2の反射層の少なくとも一方の表面に保護層を備える、反射フィルムである。
【0014】
[12]本発明の第12の態様は、前記第1~11の何れか1の態様の反射フィルムをコアに捲回してなる捲回体である。
【0015】
[13]本発明の第13の態様は、前記第1~11の何れか1の態様の反射フィルムを備えた電子デバイス用表示装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明が提案する反射フィルムによれば、反射率と共に輝度をより向上させることができ、製造過程で、反射層間の剥離を防止することができるハンドリング性に優れた新たな反射フィルムを提供することができる。このような反射フィルムは、例えば電子デバイス用表示装置の構成部材として特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一例に係る反射フィルムの断面を模式的に示した図である。
図2】本発明の他例に係る反射フィルムの断面を模式的に示した図である。
図3】本発明のさらなる他例に係る反射フィルムの断面を模式的に示した図である。
図4図1、2及び3に示した反射フィルムにおいて、第1の反射層1を剥がした際に、その上面を平面視した状態の一例を模式的に示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
【0019】
<<反射フィルム>>
本発明の実施形態の一例に係る反射フィルム(「本発明反射フィルム」と称する)は、第1の反射層1、接着空間層2及び第2の反射層3をこの順に備えた反射フィルムである。
【0020】
本発明反射フィルムは、第1の反射層1(単に「反射層1」とも称する)、接着空間層2及び第2の反射層3(単に「反射層3」とも称する)をこの順に備えていれば、他の層及び他の部材を備えることは可能である。例えば後述するように、保護層4、支持層5、アンカーコート層6などを適宜備えることが可能である。これらに限定するものではない。
【0021】
なお、本発明における「第1の反射層1」は、光反射性を備えた層であればよく、波長550nmの光反射率が95%以上であるのがより好ましい。
他方、本発明における「第2の反射層3」は、光反射性を備えた層であればよく、波長550nmの光反射率が50%以上であるのが好ましい。
本発明において「反射フィルム」とは、光反射性能を有するフィルムであればよく、具体的には波長550nmの光反射率が95%以上であるのがより好ましい。
【0022】
<接着空間層>
本発明反射フィルムが備えている接着空間層2は、図1図4に示すように、空間部2Aと接着剤組成物からなる接着部2Bとを有し、当該複数の接着部2Bが面方向に点在してなる構成を有するものである。言い換えれば、接着空間層2は、空間部2Aと複数の接着部2Bとからなり、空間部2A内に複数の接着部2Bが点在してなる構成を有するものである。よって、接着空間層2を平面視した際、複数の接着部2Bが平面方向に点状に配置された状態となっている。
【0023】
本発明者らは、反射層1を備えた部材と、反射層3を備えた部材とを全面貼り合わせてしまうと、反射フィルム全体の反射性が低下することを確認した。そのため、両者の貼合わせ面の一部分のみに接着部を設けることを検討した。その際、接着部の配置パターンとして、例えば線状、格子状及び点状(ドット状)等を検討した。その結果、接着部を線状に設けた場合、方向によって剥離性が異なり、剥離性が弱い方向に力が加わると剥がれ易くなるため、ハンドリング性の点で不十分であることが分かった。また、接着部を格子状に設けた場合、反射フィルムを透かして見た際に接着部の跡が目立ってしまい、外観が良好でないという課題を抱えていた。これに対し、接着部を平面方向に点状(ドット状)に配置すると、反射率並びに輝度を高めることができるばかりか、剥離性の異方性を無くすことができ、接着部の跡も目立たなくすることができることが分かった。
【0024】
本発明反射フィルムにおいて、前記接着空間層2は、前記反射層1と前記反射層3の間に存在すればよい。すなわち、本発明反射フィルムにおける接着空間層2は、反射層1又は反射層3と直に積層してもよいし、反射層1又は反射層3との間に他の層又は他の部材が存在していてもよい。
【0025】
前記接着部2Bの存在面積率、すなわち接着空間層2を平面視した際、接着空間層2面内に存在する接着部2Bの面積合計の割合は1~50%であるのが好ましい。
接着部2Bの存在面積率が1%以上であれば、反射層1を備えた部材、若しくは、反射層3を備えた部材が製造過程などで剥がれ難くなるので、ハンドリング性を向上させることができる。また、接着部2Bの存在面積率が50%以下であれば、輝度の低下を抑えることができる。
かかる観点から、接着部2Bの存在面積率は1%以上であるのが好ましく、中でも2%以上、その中でも3%以上であるのがより一層好ましい。他方、50%以下であるのが好ましく、中でも49%以下、その中でも48%以下であるのがより一層好ましい。
また、反射層1側と反射層3側との剥離強度を調整すると、反射層1と反射層3とを分離して処理でき、リサイクル性を付与できることもできる。リサイクル性を付与し、輝度の低下をより抑える観点からは、接着部2Bの存在面積率は45%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、35%以下がさらに好ましく、30%以下がよりさらに好ましく、25%以下がいっそう好ましく、20%以下がよりいっそう好ましい。
【0026】
なお、上記接着部2Bの存在面積率は、接着空間層2を平面視して接着部2Bの総面積を算出し、接着空間層2の面積に基づき、接着部2Bの存在面積率=(接着部2Bの総面積/接着空間層2の面積)×100より求めることができる。
この際、接着空間層2の面積とは、接着空間層2の平面視総面積である。接着空間層2の面積を測定することが困難な場合は、接着空間層2に接する隣接層の面積を接着空間層2の面積と仮定して、(接着部2Bの総面積/隣接層の面積)×100で算出することにより求めることもできる。実施例では、第1の反射層を剥離して、接着空間層の接着部を露出させており、この接着部が露出した面の面積がこの隣接層の面積に該当する。
接着空間層2の上面と下面で、接着空間層2に隣接する層の面積が異なる場合は、面積が小さい方の層を接着空間層2の面積と仮定して上記のように算出すればよい。
また、接着部2Bの総面積は、接着空間層2を平面視し、レーザー顕微鏡や電子顕微鏡などを用いた画像解析ソフトにより接着部2Bの総面積を求めることもできるし、また、後述する接着部2Bの単位面積×接着部2Bの合計数から求めることもできる。
お、接着部2Bが接着空間層2の全面にわたって同じ大きさで、等間隔に配置されている場合は、単位面積(例えば、10mm×10mm四方)における接着部2Bの総面積及び存在面積率を算出してもよい。
【0027】
前記接着空間層2における各接着部2Bの形状は任意である。円、楕円、三角形、四角形、五角形、それ以上の多角形、或いはその他の形状であってもよい。
【0028】
前記接着部2Bの単位面積、すなわち接着空間層2を平面視した際、1つの接着部2Bの面積は0.01~0.5mmであるのが好ましい。
各接着部2Bそれぞれの面積が0.01mm以上であれば、反射層1を備えた部材、若しくは、反射層3を備えた部材が製造過程などで剥がれ難くなるので、ハンドリング性を向上させることができる。また、各接着部2Bそれぞれの面積が0.5mm以下であれば、輝度の低下を抑えることができるほか、反射フィルムとしたときに接着部2Bが設けられている部分が目立って外観が悪くなることを抑えられる。
かかる観点から、接着部2Bの単位面積は、0.01mm以上であるのが好ましく、中でも0.02mm以上、その中でも0.03mm以上であるのがより一層好ましい。他方、0.2mm以下であるのが好ましく、中でも0.19mm以下がより一層好ましい。
また、リサイクル性を付与し、輝度の低下をより抑える観点からは、接着部2Bの単位面積は、0.15mm以下であるのが好ましく、0.13mm以下であるのがより好ましく、0.10mm以下であるのがさらに好ましい。
【0029】
なお、上記接着部2Bの単位面積は、接着空間層2を平面視するようにレーザー顕微鏡や電子顕微鏡などで観察して画像解析により、複数の接着部2Bの面積を測定し、その平均値を算出して求めることができる。接着部2Bが接着空間層2の全面にわたって同じ大きさで、等間隔に配置されている場合は、単位面積(例えば、10mm×10mm四方)に存在する複数の接着部2Bの面積の平均値を算出してもよい。
また、画像解析ソフトにより、接着部2Bの平均面積(mm)を求めることもできる。
【0030】
前記接着空間層2を平面視した際の、接着部2Bの配列は、複数の接着部2Bが分散配置されていれば配列模様は任意である。例えば、横方向に列を為す配列、縦方向に列を為す配列、斜め方向に列を為す配列、縦横及び斜め方向に均等距離に配置された配列、その他の配列のいずれでもよい。
また、接着性を調整する観点から、異なる形状及び/又は単位面積の接着部2Bを組み合わせて配置する構成としてもよい。また、反射率及び輝度と、反射層間の接着性の観点からは、反射フィルムの周囲において接着部2Bの存在面積率及び/又は単位面積を大きくし、反射フィルムの中央部において接着部2Bの存在面積率及び/又は単位面積を少なくする構成も好ましい。
【0031】
前記接着部2Bの平均厚み、すなわち接着空間層2を断面視した際、接着空間層2の平均厚みは1~20μmであるのが好ましい。
前記接着部2Bの平均厚みが1μm以上であれば、第1の反射層1を備えた部材、若しくは、第2の反射層3を備えた部材が製造過程などで剥がれ難くなるので、ハンドリング性を向上させることができる。他方、前記接着部2Bの平均厚みが20μm以下であれば、加圧された際に潰れることがなく、綺麗な点状配置を維持することができる点で好ましい。
かかる観点から、接着部2Bの平均厚みは、1μm以上であるのが好ましく、中でも2μm以上、その中でも3μm以上、その中でも4μm以上であるのがより一層好ましい。他方、10μm以下であるのが好ましく、中でも9μm以下、その中でも8μm以下、その中でも7.5μm以下であるのがより一層好ましい。
【0032】
なお、上記接着部2Bの平均厚さは、反射フィルムを厚さ方向に切断し、断面における複数の接着部2Bの厚さを、レーザー顕微鏡や電子顕微鏡などを用いた画像解析により測定し、その平均値を算出して求めることができる。
【0033】
また、前記接着部2Bの平均厚みは、反射フィルム全体の厚みに対して1~20%であるのが好ましい。
前記接着部2Bの平均厚みが反射フィルム全体の厚みに対して1%以上であれば、接着部2Bが適度な厚さを有するため、反射層1を備えた部材、若しくは、反射層3を備えた部材が製造過程などで剥がれ難くなるので、ハンドリング性を向上させることができる。他方、20%以下であれば、接着部2Bが厚すぎないため、加圧された際に潰れることがなく、綺麗な点状配置を維持することができる点で好ましい。
かかる観点から、前記接着部2Bの平均厚みは、反射フィルム全体の厚みに対して1%以上であるのが好ましく、中でも1.2%以上、中でも1.5%以上、中でも2%以上、その中でも3%以上であるのがより一層好ましい。他方、20%以下であるのが好ましく、中でも10%以下、その中でも9%以下であるのがより一層好ましい。
【0034】
前記接着空間層2における接着部2Bは、本発明反射フィルムの反射率及び輝度を損ねることがない点から、全光線透過率が80%以上であるのが好ましく、中でも85%以上、その中でも90%以上であることがさらに好ましい。
なお、上記接着部2Bの全光線透過率は、JIS K7361-1に準じて測定できる。
【0035】
前記接着空間層2における接着部2Bは、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ビニルアルキルエーテル系樹脂、フッ素系樹脂などを主成分樹脂とする接着剤樹脂組成物を硬化させて形成することができる。
接着剤樹脂組成物を硬化させた際に、透明で、上記のように全光線透過率が80%以上であるのが好ましい。
この際、接着剤樹脂組成物の硬化方法としては、熱硬化、光硬化、乾燥による硬化のいずれでもよい。
【0036】
ここで、本発明において「主成分樹脂」とは、各組成物又は各層又は各部材(例えばフィルム)を構成するオリゴマー乃至ポリマーのうち最も質量割合の大きなオリゴマー乃至ポリマーを意味し、当該主成分樹脂の機能を妨げない範囲で他の樹脂を含有することを許容する。この際、当該主成分樹脂の含有割合は、各層を構成するオリゴマー乃至ポリマーの50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100質量%を含む)を占めるものである。
また、本発明において「接着部」は粘着部を包含し、「接着剤」は粘着剤を包含する意味である。
【0037】
複数の接着部2Bを面方向に点在するように配置するには、例えば、グラビア版を用いて接着剤組成物を塗布(印刷)する、インクジェットにより所定の模様に塗布(印刷)する、所定模様の孔を介して所定の模様に塗布(印刷)するなどして、複数の接着部2Bが面方向に点在するように配置することができる、言い換えればドット状に配置することができる。但し、これらの方法に限定するものではない。
【0038】
<第1の反射層>
本発明反射フィルムにおける第1の反射層1は、熱可塑性樹脂と充填剤とを含む層であるのが好ましく、熱可塑性樹脂を主成分樹脂として含むものが好ましい。
当該熱可塑性樹脂としては、反射性及び優れた耐久性を保持できるものであれば特に制限はない。例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂などの各種熱可塑性樹脂を好ましい例として挙げることができる。なお、熱可塑性樹脂はそれぞれ単体で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0039】
上記のうち、例えば反射特性、生産コスト、耐加水分解性等を重視する場合には、反射層1の主成分樹脂として、ポリオレフィン系樹脂を選択することが好ましい。
当該ポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリプロピレン、プロピレン-エチレン共重合体等のポリプロピレン樹脂や、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂や、エチレン-環状オレフィン共重合体等のシクロオレフィン系樹脂や、エチレン-プロピレンゴム(EPR)、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)等のオレフィン系エラストマーから選ばれた少なくとも一種のポリオレフィン樹脂を挙げることができる。これらの中でも、機械的性質、柔軟性などから、ポリプロピレン樹脂(PP)やポリエチレン樹脂(PE)、シクロオレフィン系樹脂が好ましく、その中でも特に、耐熱性に優れており、弾性率等の機械特性が高いという観点から、ポリプロピレン樹脂(PP)、シクロオレフィン系樹脂(COC、COP)が好ましい。
【0040】
一方、フィルムの剛性や耐熱性を重視する場合には、反射層1の主成分樹脂として、ポリエステル系樹脂を選択することが好ましい。
当該ポリエステル系樹脂としては、耐熱性や耐加水分解性等を重視する場合には芳香族ポリエステルを選択することが好ましく、中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等から選ばれた少なくとも一種のポリエステル系樹脂を挙げることが出来る。
【0041】
反射層1に含有される前記充填剤としては、その種類を特に限定するものではなく、無機質微粉体、有機質微粉体等を挙げることができる。
前記無機質微粉体としては、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、水酸化アルミニウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、マイカ、タルク、カオリン、クレー、ガラス粉、アスベスト粉、ゼオライト、珪酸白土等を挙げることができる。これらは、いずれか1種または2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、本発明反射フィルムを構成する熱可塑性樹脂との屈折率差を考慮すると、屈折率の大きいものが好ましく、屈折率が1.6以上である、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン又は酸化亜鉛を用いることが特に好ましい。
【0042】
反射層1は、熱可塑性樹脂及び充填剤以外に、その他の成分を含有してもよい。
上記「その他の成分」としては、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、分散剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、相溶化剤、滑剤及び微粉状充填剤以外の充填剤等を挙げることができる。
【0043】
また、本発明反射フィルムの性能を阻害しない範囲で、本発明反射フィルムの製造工程等で発生した再生原料を反射層1中に添加するようにしてもよい。
再生原料の含有割合は限定するものでなく、反射層1全体の質量に対して(反射層1の100質量%に対して)1~60質量%であることが好ましく、中でも10質量%以上或いは50質量%以下であるのがさらに好ましい。当該含有量が10質量%以上であれば、再生原料を用いることでのコストメリットが発生し、50質量%以下であれば、反射フィルムに必要な光反射性や、機械的強度を損なわない傾向にある。
【0044】
反射層1は、熱可塑性樹脂及び充填剤を含む層からなる単層構成であってもよい。また、熱可塑性樹脂及び充填剤を含む層の少なくとも一方の面に、熱可塑性樹脂を含む表裏層を有してもよい。
表裏層の熱可塑性樹脂としては、反射層1の主成分樹脂として例示した樹脂を用いることができ、中でも、ポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂を主成分とすることが好ましい。
【0045】
反射層1の厚みは40μm以上200μm以下であることが好ましい。
反射層1は、光反射率や輝度を高める点からは、厚みを大きくすればよい。しかし、近年の薄膜化への要求に応えるためには、反射層1はできるだけ薄くするのが好ましい。反射層1の厚みが40μm以上であれば、高い反射率を備えた反射フィルムとすることができる一方、反射層1の厚みが200μm以下である場合、薄いにも関わらず優れた性能を備えた反射フィルムとすることができる。
かかる観点から、反射層1の厚みは40μm以上200μm以下であることが好ましく、より好ましくは50μm以上、さらに好ましくは60μm以上、特に好ましくは70μm以上であり、上限については、より好ましくは160μm以下、さらに好ましくは140μm以下、特に好ましくは120μm以下である。
【0046】
なお、反射層1が表裏層を有する多層構成である場合、熱可塑性樹脂及び充填剤を含む層の厚みは、反射層1の全体の厚みを基準として10%以上であるのが好ましく、20%以上であるのがより好ましく、30%以上であるのがさらに好ましく、40%以上であるのがよりさらに好ましい。また、95%以下であるのが好ましく、90%以下であるのがより好ましい。前記下限値以上であれば、優れた軽量性、柔軟性の他に、優れた反射性能および隠蔽性能を確保できる傾向がある。また、前記上限値以下であれば、耐熱性が確保できる傾向がある。
【0047】
反射層1は、内部に空隙を有していてもよい。内部に空隙を有することにより、光反射率をさらに高めることができる。
空隙を有する場合には、反射層1中に占める空隙の体積割合(空隙率)は、5%以上であることが好ましく、さらに好ましくは10%以上であり、特に20%以上であることが好ましい。空隙率が5%以上であると、樹脂中における比較的屈折率の高い充填剤と屈折率の低い空気層が直接に接する界面の面積が向上することで、反射層1の反射率をさらに向上させることができる。一方、反射層1の機械的強度や耐久性の観点から、上記の空隙率は50%以下であることが好ましい。
なお、反射層1の内部に空隙を形成させる方法は公知である。例えば、反射層1を構成する熱可塑性樹脂に充填剤を添加してフィルム状に製膜して基材フィルムとしたうえで、当該基材フィルムを少なくとも1軸方向に延伸すれば内部に空隙を設けることができる。この際、第1の反射層1の内部の空隙率を所望の範囲とするためには、面積倍率において5倍以上に延伸することが好ましく、7倍以上に延伸することがより好ましい。また、2軸方向に延伸することが好ましい。
【0048】
反射層1は、波長550nmの光に対する反射率が95%以上であることが好ましい。より好ましくは96%以上、更に好ましくは97%以上である。550nmにおける反射層1の反射率が95%以上であれば、積層構成とした本発明反射フィルムの反射率を十分に高い値とすることができ、応じて輝度も高くすることができる。
【0049】
反射層1の550nmの光の透過率は1.0%以上であるのが好ましい。
本発明反射フィルムは、反射層1と、反射層1の反射使用面とは反対側の面側に第2の反射層3を設けることにより、反射層1の550nmの光の透過率がある程度高い場合においても、高輝度を得ることができる。反射層1の550nmの光の透過率が1.0%以上であれば、反射層3との相乗効果により十分な輝度および反射率を得ることができる。
かかる観点から、反射層1の550nmの光の透過率は1.0%以上であることが好ましく、1.1%以上であることがさらに好ましい。上限は好ましくは4.0%以下、より好ましくは3.8%以下、さらに好ましくは3.5%以下、特に好ましくは3.1%以下である。
【0050】
反射層1の厚み比率は、本発明反射フィルムの全層厚みに対して60%以上であるのが好ましい。
本発明反射フィルムは、反射層1と、反射層1の反射使用面とは反対側の面側に第2の反射層3を設けることにより、反射フィルム全体の厚みが薄い場合においても高輝度を得ることができる。かかる観点から、反射層1の厚み比率が本発明反射フィルムの全層厚みに対して70%以上であれば、反射層3との相乗効果により十分な輝度および反射率を得ることができる。
かかる観点から、反射層1の厚み比率は、本発明反射フィルムの全層厚みに対して65%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。上限は好ましくは99.5%以下、より好ましくは99%以下、さらに好ましくは98%以下、特に好ましくは95%以下、最も好ましくは90%以下である。
【0051】
<第2の反射層>
本発明反射フィルムは、第1の反射層1の裏面側に、すなわち、第1の反射層1の反射使用面とは反対側に第2の反射層3を有するのが好ましい。
反射層3は、後述する反射特性を有していれば、主材が樹脂であっても金属であってもよい。コストと反射特性の観点からは、金属を主材とするものが好ましい。
なお、本発明において「主材」とは、各層を構成する材料の中でも最も含有質量割合の大きな材料を意味する。例えば、各層を構成する構成成分の50質量%以上、中でも80質量%以上、その中でも90質量%以上を占める場合を想定することができる。
【0052】
反射層3の主材が樹脂であるものとしては、例えば、熱可塑性樹脂及び充填剤を含むもの(例えば、上記第1の反射層1で例示した構成)、屈折率の異なる樹脂層を複数層重ね合わせたもの(例えば、上記特許文献1、特開2006-303478号公報、国際公開第2013/122025号等に記載の構成)等を挙げることができる。
【0053】
他方、反射層3の主材が金属であるものとしては、例えば、金属を蒸着して形成されたもの等を挙げることができる。但し、このような形成方法に限定されるものではない。例えば、真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によって金属層を形成する方法などを挙げることができる。
【0054】
金属材料としては、反射率が高い材料であれば特に制限されることなく使用することができる。一般的には、銀、アルミニウム等が好ましく、これらの中では銀が特に好ましい。或いは、耐腐食性の観点から、銀の合金を使用することも好ましい。例えば、銀とCu、Au、Ni、Pd、Pt、Ru、Rh、In、Al、Si、Mn、Zr、Sn、Bi、Ge、Ti、Cr、Mo、V、Nb、Ta、Hf、W、Co及びGeからなる群から選択される1種類以上との合金を挙げることができる。
【0055】
主材が金属である反射層3は、金属の単層体や積層体、あるいは、金属酸化物の単層体や積層体でも、金属の単層体と金属酸化物の単層体との2層以上の積層体でもよい。
【0056】
反射層3の主材が樹脂である場合、その厚みは、40μm以上200μm以下であることが好ましく、より好ましくは50μm以上、さらに好ましくは60μm以上、特に好ましくは70μm以上であり、上限については、より好ましくは160μm以下、さらに好ましくは140μm以下、特に好ましくは120μm以下である。
他方、反射層3の主材が金属である場合、その厚みは、層を形成する材料や層形成法等によっても異なるが、10nm~300nmであることが好ましく、中でも20nm以上或いは250nm以下であることがより好ましく、その中でも40nm以上或いは200nm以下であることが更に好ましい。
反射層3の厚みが上記下限値以上であれば、十分な反射率が得られる。一方、反射層3の厚みが上記上限値以下であれば、生産効率を維持しつつ、優れた反射率を維持することができる。
【0057】
本発明反射フィルムにおいては、反射層3の厚みと反射層1の厚みとの比率を調整することも好ましい。
反射層3の主材が樹脂である場合、反射層3の厚みをX(μm)、反射層1の厚みをY(μm)とした場合、厚み比(X/Y)は、0.1以上10以下であることが好ましい。下限がより好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.3以上、特に好ましくは0.5以上であり、上限がより好ましくは8以下、さらに好ましくは5以下である。
他方、反射層3の主材が金属である場合、反射層3の厚みをX(μm)、反射層1の厚みをY(μm)とした場合、厚み比(X/Y)は、5.0×10-5以上7.5×10-3以下であることが好ましい。下限がより好ましくは1.0×10-4以上、さらに好ましくは5.0×10-4以上、特に好ましくは8.6×10-4以上であり、上限がより好ましくは5.0×10-3以下、さらに好ましくは3.0×10-3以下である。
【0058】
反射層3は、波長550nmの光に対する反射率が50%以上であることが好ましい。より好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上である。550nmにおける反射層3の反射率が50%以上であれば、積層構成とした本発明反射フィルムの反射率を十分に高い値とすることができ、応じて輝度も高くすることができる。
【0059】
反射層3の550nmの光の透過率は1.0%以下であるのが好ましい。
反射層3の550nmの光の透過率が1.0%以下であれば、本発明反射フィルムの反射使用面とは反対側に光が透過することを抑えられ、輝度の低下を抑えられる。
かかる観点から、反射層3の550nmの光の透過率は好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下である。一方、下限は特に限定されず、0%であってよい。
【0060】
<保護層>
本発明反射フィルムは、第1の反射層1、接着空間層2及び第2の反射層3以外の層を備えてもよい。例えば反射層3を保護するために、反射層3の少なくとも一方の面に保護層4を設けることが可能である。
【0061】
保護層4を形成する材料は、透明で、反射層3との密着性が良好であれば、特に限定されることなく使用することができる。
中でも、反射層3の主材が金属である場合、保護層4を形成する材料は、反射層3の腐食を防ぐことができるものが好ましい。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を挙げることができる。具体的には、アミノ系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル-スチレン共重合体、尿素-メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート、ニトロセルロース、セルロースアセテート、アルキッド系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリアミド系樹脂等の単独、あるいは、これらの混合物からなる樹脂塗料を挙げることができる。かかる塗料は、上記樹脂を水、溶剤等の溶媒に分散等させて形成することができる。
また、必要に応じて、可塑剤、安定剤、紫外線吸収剤を添加することもできる。なお、溶剤としては、通常、塗料に使用される溶剤と同様のものを使用することができる。
【0062】
保護層4は、上記塗料を必要に応じて適宜溶媒等で希釈したものを、例えば第2の反射層3の全面に、グラビアコーティング法、ロールコーティング法、ディップコーティング法等の通常のコーティング法によって塗布し、乾燥(硬化性樹脂の場合には硬化)させて形成することができる。
【0063】
保護層4の厚さは、特に制限されるものではない。0.1μm~200μmの範囲内であることが好ましい。保護層の厚みが0.1μm以上であれば、反射層3の表面を均一に被覆することができ、保護層を形成した効果が十分に発揮される。
【0064】
保護層4は、無機または有機微粒子を添加することにより、着色化させることができる。保護層4を着色化させることで、反射層3から漏れる若干の光抜けを防止することができる。
また、反射層3を反射使用面として誤って使用してしまうというミスを防ぐほか、反射層3のギラツキを抑制することができる。さらには、この保護層4を印刷層として活用することもできる。
かかる観点から、保護層4を形成するための材料として、例えば硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、酸化チタン、酸化ケイ素、アルミナ、シリカ、タルク、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カーボンブラック、グラファイト、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、クロム錯体、複合酸化物系黒色色素、等の無機顔料やアクリル系、ポリスチレン系、ポリウレタン系、アミド系、ポリカーボネート系、シリコーン系、尿素-ホルマリン系、メラミン系等の有機樹脂粒子、アルミニウム粉、真鍮粉、銅粉等の金属粉末、顔料、染料等のインク組成物等を、予め混合、分散したものを使用することができる。
前記無機又は有機微粒子の添加量は、保護層4の固形分に対して5~50質量%であることが好ましく、中でも10質量%以上或いは40質量%以下であることがさらに好ましい。
【0065】
なお、本発明において、保護層4が本発明反射フィルムの反射使用面とは反対側の最表面にある場合、ハードコート層によって構成されていることが好ましい。
ハードコート層により、反射層3の剥がれやフィルムへの物理的な損傷、反射層3の腐食化をより適切に防止することができる。ハードコート層の具体例としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、有機シリケート化合物又はシリコーン系樹脂等からなるものが好ましく、これらのうちいずれか1種以上の樹脂を含む組成物を硬化してなるものがさらに好ましい。ハードコート層の厚みは、耐擦傷性や、保護層全体の厚みを考慮して適宜決定すればよい。
【0066】
<支持層>
本発明反射フィルムは、フィルムに腰を持たせ、取扱性を良好にする観点から、支持層5を有していてもよい。第2の反射層3の主材が金属である場合、支持層5は、金属を蒸着するための基材として用いられてもよい。
【0067】
支持層5としては、透明なプラスチック基板を用いることが可能である。例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート(PMMA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、メタクリル酸メチル-スチレン共重合樹脂(MS樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ノルボルネン系樹脂及びシクロオレフィン(脂環)樹脂からなる群のうちの少なくとも一種を主成分樹脂とする透明基板を用いることが可能である。
【0068】
支持層5の厚さは、特に制限されるものではない。1μm~200μmの範囲内であることが好ましい。支持層5の厚みが1μm以上であれば、フィルムの腰が担保され、取扱性が良好になる。また、支持層5の厚みをかかる範囲内で調整することにより、用途や目的に応じて本発明反射フィルムの全体厚みを調整することができる。
【0069】
支持層5は、上記保護層4と同様に、無機または有機微粒子を添加することにより、着色化させることができる。支持層5を着色化させることで、反射層3から漏れる若干の光抜けを防止することができる。
また、反射層3を反射使用面として誤って使用してしまうというミスを防ぐほか、反射層3のギラツキを抑制することができる。さらには、この支持層5を印刷層として活用することもできる。
【0070】
支持層5を形成するための材料として、例えば硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、酸化チタン、酸化ケイ素、アルミナ、シリカ、タルク、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カーボンブラック、グラファイト、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、クロム錯体、複合酸化物系黒色色素、等の無機顔料やアクリル系、ポリスチレン系、ポリウレタン系、アミド系、ポリカーボネート系、シリコーン系、尿素-ホルマリン系、メラミン系等の有機樹脂粒子、アルミニウム粉、真鍮粉、銅粉等の金属粉末、顔料、染料等のインク組成物等を、予め混合、分散したものを使用することができる。
前記無機又は有機微粒子の添加量は、支持層5の固形分に対して5~50質量%であることが好ましく、中でも10質量%以上或いは40質量%以下であることがさらに好ましい。
【0071】
<アンカーコート層>
本発明反射フィルムは、第1の反射層1、接着空間層2及び第2の反射層3以外の層として、図2及び図3に示すように、例えばアンカーコート層6を備えることが可能である。
アンカーコート層6とは、第2の反射層3と支持層5との密着性を良好にする層である。
【0072】
例えば、支持層5の表面にアンカーコート層6を設けたうえで、当該アンカーコート層6の表面にスパッタリング法等で金属を蒸着させることにより、支持層5の表面に反射層3を設けることができる。すなわち、支持層5は、反射層3が設けられる側の面にアンカーコート層6を備えていてもよい。
このとき、アンカーコート層6は、反射層3が設けられる側の表面粗さを低減し、より一層の反射率向上効果を付与する役割を担う。かかる観点から、支持層5に該アンカーコート層6を設けた際の反射層3が設けられる側の表面粗さ(Ra)は1.0μm以下であることが好ましく、0.7μm以下であることがより好ましく、0.4μm以下であることがさらに好ましい。
【0073】
アンカーコート層6は、各種硬化樹脂を主材とする層や無機酸化物(ガラスやセラミック等)を主材とする層であってもよい。或いは、シリコンウェハーからなる層であってもよい。特に、支持層5の表面に容易に設けられ、ある程度の柔軟性を付与することで第2の反射層3との密着性も向上し、さらには取り扱い性にも優れるという観点から、アンカーコート層6は各種硬化樹脂を主材とする層であることが好ましく、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、又はメラミン樹脂、ウレタン樹脂のいずれか1種以上を主材とする層であることが特に好ましい。
アンカーコート層6には、上記した各種硬化樹脂や金属酸化物の他、本発明の効果を損なわない範囲において、公知の各種添加剤が含まれていてもよい。
【0074】
アンカーコート層6は、本発明反射フィルムの反射率及び輝度を損ねないようにするために、全光線透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
【0075】
アンカーコート層6の厚みは0.1μm以上10μm以下とすることが好ましい。アンカーコート層6の厚みの下限は、より好ましくは0.2μm以上、特に好ましくは0.3μm以上である。アンカーコート層6の厚みが小さ過ぎる場合、支持層5の表面を十分に平滑化できなくなる場合がある。アンカーコート層6の厚みが大き過ぎる場合、塗布ムラ・形成ムラにより却って平滑性が悪くなる場合がある。
【0076】
<積層構成>
本発明反射フィルムは、前述したように、第1の反射層1、接着空間層2及び第2の反射層3をこの順に備えていれば、他の層及び他の部材を備えることは可能である。例えば上述したように、保護層4、支持層5、アンカーコート層6などを適宜備えることが可能である。
【0077】
本発明反射フィルムの層構成を例示すると、
第1の反射層1/接着空間層2/第2の反射層3、
第1の反射層1/接着空間層2/第2の反射層3/保護層4、
第1の反射層1/接着空間層2/保護層4/第2の反射層3/保護層4、
第1の反射層1/接着空間層2/支持層5/第2の反射層3、
第1の反射層1/接着空間層2/支持層5/第2の反射層3/保護層4、
第1の反射層1/接着空間層2/第2の反射層3/支持層5、
第1の反射層1/接着空間層2/保護層4/第2の反射層3/支持層5、
第1の反射層1/接着空間層2/支持層5/アンカーコート層6/第2の反射層3、
第1の反射層1/接着空間層2/支持層5/アンカーコート層6/第2の反射層3/保護層4、
第1の反射層1/接着空間層2/第2の反射層3/アンカーコート層6/支持層5、
第1の反射層1/接着空間層2/保護層4/第2の反射層3/アンカーコート層6/支持層5、
その他の層構成などを挙げることができる。
【0078】
なお、これらの層構成において、第1の反射層1は光が照射される側に配置されるのが好ましい。また、本発明反射フィルムはこれらの層の間に、更に他の層を有していてもよいし、第1の反射層1、第2の反射層3、保護層4等がそれぞれ独立に複数層から構成されていてもよい。
【0079】
本発明反射フィルムの厚みは、所望の反射率を得るためには少なくとも45μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、60μm以上であることがさらに好ましい。一方、近年の薄膜化への要求に応えるためにはより薄いほうが好ましく、上限は500μm以下であることが好ましく、400μm以下であることがより好ましく、350μm以下であることがより好ましく、300μm以下であることがさらに好ましく、250μm以下であることがよりさらに好ましい。
【0080】
本発明反射フィルムの各層は、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤、加水分解防止剤、滑剤、分散剤、紫外線吸収剤、白色顔料、蛍光増白剤、および、その他の添加剤を含有することができる。
【0081】
<反射フィルムの特性>
(反射率)
本発明反射フィルムは、第1の反射層1側から光を照射したときの波長550nmの光の反射率が98%以上であることが好ましく、98.5%以上であることがより好ましく、99%以上であることがさらに好ましい。550nmにおける反射率は、例えば液晶ディスプレイの部材であるバックライトに使用されたときの画面表示装置の輝度値と相関があり、550nmにおける反射率が98%以上であれば、画面表示装置の輝度値も高くなり、液晶ディスプレイに十分な明るさを付与することができる。
なお、拡散型反射フィルムと正反射型反射フィルムでは、分光装置内の積分球における感度が異なるために、両者間の反射率の絶対値は単純比較が出来ない。
【0082】
(輝度)
本発明反射フィルムは、3M社製「ESR-100」(商品名)を基準(100%)とした相対輝度が95%以上であることが好ましい。
輝度が95%以上であれば、電子デバイス用表示装置に搭載したときに十分な明るさを付与することができる。
かかる観点から、本発明反射フィルムの輝度は97%以上であることが好ましく、中でも97.5%以上、その中でも98%以上であるのがさらに好ましい。
【0083】
<本発明反射フィルムの形態>
本発明反射フィルムの形態は、特に限定するものではなく、例えばフィルム状、シート状、板状、その他の形態であってもよい。
また、本発明反射フィルムは第1の反射層1と第2の反射層3とが剥離しにくく、ハンドリング性が良好であるため、コアに捲回して捲回体とすることも好適である。
【0084】
(コア)
本発明反射フィルムをコアに捲回して捲回体とする場合の「コア」とは、多孔性フィルムの巻き取りに用いられる円柱形状の巻芯をいう。
コアは、例えば、紙、樹脂含浸紙、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、FRP、フェノール樹脂、無機物含有樹脂、接着剤等で形成されることができる。
コアの素材としては、特に限定されない。例えば熱膨張係数が小さく、剛性が高く、湿度に対する膨潤性が低く、かつ捲回性に優れるという観点から、プラスチック、熱硬化性樹脂等が好ましい。
コアの素材が紙である場合、特に樹脂等でその表面をコートすることで、所望の特性が得られやすい。さらに、コアは、表面平滑性の観点から、樹脂含浸紙の管であることも好ましい。また、コアの素材が樹脂である場合、具体的には、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、FRP、フェノール樹脂、無機物含有樹脂等で形成されることができる。
【0085】
<反射フィルムの製造方法>
以下に、本発明反射フィルムの製造方法について、一例を挙げて説明する。但し、下記製造法に何ら限定されるものではない。
【0086】
(第1の反射層1を備えた部材の作製)
第1の反射層1を備えた部材を次のように製造することができる。
先ず、熱可塑性樹脂に充填剤を配合し、その他添加剤等を必要に応じて配合して樹脂組成物を調製する。具体的には、熱可塑性樹脂に充填剤等を加えてリボンブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー等で混合した後、1軸または2軸押出機等を用いて、樹脂の融点以上の温度で混練することにより基材用樹脂組成物を調製することができる。または、予め、充填剤等を熱可塑性樹脂に高濃度に配合したいわゆるマスターバッチを作っておき、このマスターバッチと樹脂とを混合して所望の濃度の第1の反射層用樹脂組成物を調製することもできる。
【0087】
次に、このようにして得られた第1の反射層用樹脂組成物を溶融し、フィルム状に成形する。フィルム状に成形する方法としては、一般にインフレーション成形法やTダイを用いる押出成形法が好ましく用いられる。具体的には、基材用樹脂組成物を必要に応じて乾燥した後、押出機に供給し、樹脂の融点以上の温度に加熱して溶融する。あるいは、樹脂組成物を乾燥させずに押出機に供給してもよい。但し、乾燥させない場合には溶融押出する際に真空ベントを用いることが好ましい。その後、溶融した第1の反射層用樹脂組成物をTダイのスリット状の吐出口から押し出し、冷却ロールに密着固化させてキャストシートを形成する。
【0088】
第1の反射層1は、少なくとも一軸方向に延伸されていることが好ましく、2軸方向に延伸されていることがさらに好ましい。延伸は、ロール、テンター、エアーインフレーション、チューブラー、マンドレル等により行うことができる。例えば、ロールによりMD方向に延伸した後、テンターによってTD方向に延伸してもよいし、チューブラーによって2軸延伸してもよい。次に、必要に応じて熱固定を行うことにより、第1の反射層1を備えた部材として白色反射フィルムを得ることができる。
【0089】
(第2の反射層3を備えた部材の作製)
他方、支持層5としての樹脂フィルム上に、アンカーコート層6用樹脂塗料を塗布し乾燥または硬化させる。このアンカーコート層6上に、前記金属を蒸着させて第2の反射層3を形成する。さらに、第2の反射層3上に、例えば樹脂成分と無機粒子とを含む塗工液を塗布し乾燥または硬化させて保護層4を形成して金属薄膜鏡面フィルムを形成する。
【0090】
(反射フィルムの作製)
次に、例えばグラビア方式等の方法により、接着剤組成物を、前記第1の反射層1上に塗工し乾燥または硬化させて、複数の接着部2Bを点状に配置するように設ける。
或いは、グラビア方式等の方法により、接着剤組成物を、前記金属薄膜鏡面フィルム上に塗工し乾燥または硬化させて、複数の接着部2Bを点状に配置するように設けるようにしてもよい。
【0091】
そして、前記金属薄膜鏡面フィルムの樹脂フィルムと、前記第1の反射層1とを、接着部2Bを介して貼り合わせるようにドライラミネートすることで、反射フィルムを製造することができる。
上記の製造方法は、本発明反射フィルムの製造方法の一例である。
【0092】
<本発明反射フィルムの用途>
本発明によれば、高反射率、高輝度でかつ、製造過程で剥がれが生じることもない反射フィルムを提供することができる。よって、本発明反射フィルムは、従来の高価な超多層の反射フィルムの代替として、例えば液晶ディスプレイ等の電子デバイス用表示装置の反射部材として好適に利用可能である。この場合、LED光源や光学フィルムの再設計をせずとも、良好な光反射特性を確保できる。
例えば、パーソナルコンピューター、テレビジョン(TV)、モバイル端末(PDA)、携帯電話、スマホ、車両搭載用画像表示装置等の画像表示装置、具体的には、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミッセンスディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極管表示装置(CRT)、表面電解ディスプレイ(SED)、電子ペーパー、透明スクリーン、LED拡散板、ヘッドアップディスプレイ及びTVなど、各種電子デバイス用表示装置の構成部材として使用することができる。
【0093】
<<語句の説明>>
本明細書において、「α~β」(α,βは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「α以上β以下」の意と共に、「好ましくはαより大きい」或いは「好ましくはβより小さい」の意も包含するものである。
また、「α以上」(αは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはαより大きい」の意を包含し、「β以下」(βは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはβより小さい」の意も包含するものである。
【0094】
なお、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい(日本工業規格JISK6900)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
【実施例0095】
本発明は、以下の実施例により更に説明する。但し、下記に示す実施例に本発明が限定解釈されるものではない。
【0096】
<実施例1>
(第1の反射層)
ポリオレフィン系樹脂に無機粒子を添加して二軸延伸した、ポリオレフィン系白色フィルム(三菱ケミカル株式会社製、商品名「Lumirex II F20」)を、第1の反射層として用いた。
ポリオレフィン系白色フィルムの波長550nmの光反射率は99.2%であり、波長550nmの光透過率は1.97%であった。
【0097】
(第2の反射層を備えた金属薄膜鏡面フィルム)
支持層としての、厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETと称する)の上に、樹脂成分からなる塗工液を塗布し、乾燥させてアンカーコート層を形成した。
当該アンカーコート層の表面に、真空加熱蒸着法によって第2の反射層としての銀薄膜層を形成した。
さらに、当該銀薄膜層の上に、樹脂成分とシリカ粒子からなる塗工液を塗布し、乾燥させて保護層を形成し、金属薄膜鏡面フィルムを得た。
当該金属薄膜鏡面フィルムの波長550nmの光反射率は約90%であり、波長550nmの光透過率は0.06%であった。
【0098】
(接着空間層を備えた反射フィルムの作製)
主材としてのポリエステル樹脂(東洋モートン株式会社製(商品名)「AD-900」)と、イソシアネート系硬化剤(東洋モートン株式会社製(商品名)「CAT-RT85」と、溶剤としての酢酸エチルとを、主剤/硬化剤/溶剤の質量比率が10/1.7/3.3となるように配合して2液硬化型ポリウレタン系接着剤を調製した。この2液硬化型ポリウレタン系接着剤を、ダイレクトグラビア方式により、前記第1の反射層上に塗工し、熱風乾燥させて接着部を設けた。この際、転写後の接着部の配置及び形状が、表1中のドット単位面積及び存在面積率となるように設計したグラビアロールを使用した。
そして、前記金属薄膜鏡面フィルムのPETと、前記第1の反射層の接着部側とを貼り合わせるようにドライラミネートすることで、第1の反射層/接着空間層/支持層(PET)/アンカーコート層/第2の反射層/保護層の積層構成からなる、厚みが約113μmのフィルム(サンプル)を作製した。
得られたフィルム(サンプル)について、下記に示す各種評価を行い、その結果を表1に示した。
【0099】
<実施例2、3>
グラビアロールの種類を変更した以外、実施例1と同様にフィルム(サンプル)を作製した。すなわち、接着部の配置及び形状が、表1中のドット単位面積及び存在面積率となるように設計したグラビアロールを使用したこと以外は、実施例1と同様にしてフィルム(サンプル)を作製した。
得られたフィルム(サンプル)について、下記に示す各種評価を行い、その結果を表1に示した。
【0100】
<比較例1>
グラビアロールの種類を変更した以外、実施例1と同様にフィルム(サンプル)を作製した。すなわち、第1の反射層とPETとの間に空気層を含まないよう、接着剤を全面に塗布できるように設計したグラビアロールを使用したこと以外は、実施例1と同様にしてフィルム(サンプル)を作製した。
得られたフィルム(サンプル)について、下記に示す各種評価を行い、その結果を表1に示した。
【0101】
<各種評価>
実施例・比較例で得たフィルム(サンプル)の各種物性及び各種評価を次のように行った。
【0102】
[各層の平均厚さの測定]
各層の平均厚さは、実施例・比較例で得たフィルム(サンプル)を厚さ方向に切断し、その断面を走査電子顕微鏡 (SEM)(2000倍、アンカーコート層のみ3万倍)により観察し、9箇所における各層の厚さを測定し、その平均値を算出し、各層の平均厚さとした。表1には、各層の厚さ(μm)として示した。
【0103】
[接着部のドット単位面積]
実施例・比較例で得たフィルム(サンプル)から第1の反射層を剥離して、接着空間層の接着部を露出させた。この接着部が露出した面を、レーザーテック株式会社製のレーザー顕微鏡「OPTELICS HYBRID+」(商品名)を用いて平面視観察したところ、実施例1~3のフィルム(サンプル)は略円形の接着部が接着空間層の全面にわたって同じ大きさで、等間隔に配置されていたため、その画像解析から、10mm×10mmの範囲内に存在する複数の接着部の最大径をそれぞれ計測し、当該最大径の平均値を算出し、接着部の形状を円形と仮定して接着部の平均面積(mm)を求めた。表1には、この接着部の平均面積(mm)を、接着部のドット単位面積(mm)として示した。一方、比較例1のフィルム(サンプル)は接着剤が全面に塗布されていたので、ドット単位面積は測定せず、「-」と表記した。
【0104】
[接着部の存在面積率]
実施例・比較例で得たフィルム(サンプル)から第1の反射層を剥離して、接着空間層の接着部を露出させた。この接着部が露出した面を、レーザーテック株式会社製のレーザー顕微鏡「OPTELICS HYBRID+」(商品名)を用いて平面視観察したところ、実施例1~3のフィルム(サンプル)は略円形の接着部が接着空間層の全面にわたって同じ大きさで、等間隔に配置されていたため、その画像解析から、10mm×10mmの範囲内に存在する複数の接着部の最大径をそれぞれ計測し、当該最大径から各接着部の面積(mm)を接着部の形状を円形と仮定して求めた。そして、全体面積(10mm×10mm)内に存在する複数の接着部の合計面積の割合(%)を求めた。表1には、この接着部の合計面積の割合(%)を、接着部の存在面積率(%)として示した。一方、比較例1のフィルム(サンプル)は接着剤が全面に塗布されていたので、接着部の存在面積率は100%とした。
【0105】
[剥離強度]
剥離強度は、株式会社オリエンテック製の引張圧縮試験機「STA-1150」(商品名)を用いて測定した。測定は、まず、実施例・比較例で得たフィルム(サンプル)を15mm×200mmの短冊状に切り出し、第1の反射層と保護層との間でフィルムを10mm剥離した試験片を作製した。剥離した部分をそれぞれ測定機の掴み具でチャック間距離115mmとして保持し、180°剥離(T字剥離法)により、300mm/minの速度で引っ張り、安定領域における引張応力(gf)の平均値を剥離強度とした。
【0106】
[反射率]
実施例・比較例で得たフィルム(サンプル)及び第1の反射層の反射率は、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計「UV-4000」(商品名)を用い、アルミナ製標準構成板で校正した反射率を基準(100%)となるような条件で300nm-800nmの波長域(0.5nm単位)で測定し、波長400nm~800nmにおける平均反射率、及び、波長550nmでの反射率を求めて表1に示した。
【0107】
[光透過率]
実施例・比較例で用いた第1の反射層(ポリオレフィン系白色フィルム)及び第2の反射層を備えた金属薄膜鏡面フィルムの光透過率は次のようにして測定した。株式会社日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計「UV-4000」(商品名)を用い、アルミナ製標準構成板で校正した透過率を基準(100%)とし、実施例・比較例で用いたポリオレフィン系白色フィルム及び金属薄膜鏡面フィルムをそれぞれ光路中に挿入することで、300nm-800nmの波長域(0.5nm単位)における実施例・比較例で用いたポリオレフィン系白色フィルムと金属薄膜鏡面フィルムの透過率をそれぞれ測定し、波長550nmの光透過率を求めた。
【0108】
[輝度]
短辺が217.5mmで長辺が347mmである長方形のディスプレイ部を有する、エッジライト型バックライトユニットを使用した。バックライトユニットの底面にあるシャーシの上に、実施例・比較例で得たフィルム(サンプル)をセットし、さらにその上にエッジライト付き導光板、拡散シート、直交するプリズムシート2枚を順に置いた。ディスプレイ部が上を向くように、バックライトを平面に置いた後、エッジライトを点灯し、ディスプレイ部から73cm離れた上部に設置したカメラ(コニカミノルタ株式会社製、型式:CA-2000)で、23点平均の輝度を測定した。
市販の反射フィルム(3M社製「ESR-100」(商品名))についても同様に輝度を測定し、この値を100%とした際の相対値(%)として、各実施例・比較例の反射フィルム(サンプル)の輝度を表1に示した。
【0109】
【表1】
【0110】
上記実施例・比較例並びにこれまで本発明者が行ってきた試験から、第1の反射層と第2の反射層とを全面貼り合わせる場合に比べて、空気層を設けるように部分的に貼り合わせることにより、反射率及び輝度を高めることができることが分かった。特に輝度を高めることができることが分かった。
なお、第1の反射層を含む部材と第2の反射層を含む部材とを、単純に重ね合わせた構成(第1の反射層と第2の反射層との間に100%の空気層)でも、第1の反射層と第2の反射層とを全面貼り合わせる場合に比べて輝度は向上する(国際公開2016/072472の実施例3参照)。しかし、そのような反射フィルムを使用してモジュールを組み立てる際、前記第1の反射層を含む部材と第2の反射層を含む部材とがそれぞれ独立しているため、ハンドリング性が悪いことに加えて、部材間のこすれによる傷つきが生じ、これが要因となって性能劣化を引き起こす恐れがある。
これに対し、第1の反射層を含む部材と第2の反射層を含む部材との間を、複数の接着部が面方向に点在するように接着部を配置して部分的に接着することにより、反射率及び輝度、特に輝度を高めることができ、さらには、ハンドリング性を損なうことなく、部材間のこすれによる傷つきを防止することができることが分かった。具体的には、第1の反射層と第2の反射層とを全面貼り合わせる(全面ベタ塗り)場合に比べて、0.6~1.6%程度は輝度が向上することが分かった。この際、点接着の面積が少なく、第1の反射層と第2の反射層との間の空気層が多い程、輝度向上効果が大きいことが認められた。
【0111】
さらに、接着剤の配置パターンとして、線状、格子状及びドット状等を検討した結果、接着部を線状に配置すると、剥離し易い方向性が生じるため、製造過程でその方向に剥がれ易くなり、ハンドリング性が不十分であることが分かった。また、接着部を格子状に配置すると、保護層側から視認した際に接着部の跡が目立ってしまい、外観が良好でなくなることが分かった。これに対し、接着部をドット状に配置する、言い換えれば、複数の接着部が面方向に点在するように配置すると、反射率及び輝度を高めることができ、さらには剥離性に異方性が生じることがなく、接着部の跡が目立つこともないことが分かった。
【0112】
なお、上記実施例では、金属薄膜鏡面フィルムのPETと、前記第1の反射層の接着部側とを貼り合わせて、第1の反射層/接着空間層/支持層/アンカーコート層/第2の反射層/保護層の積層構成からなる反射フィルムとしているが、金属薄膜鏡面フィルムの保護層と、前記第1の反射層の接着部側とを貼り合わせて、第1の反射層/接着空間層/保護層/第2の反射層/アンカーコート層/支持層の積層構成からなる反射フィルムを作製して同様に評価した結果、この場合も、比較例に比べて反射率及び輝度を高めることができ、剥離の面でも問題は無いことを確認した。ただし、前者の方が、反射率及び輝度をより高めることができた。
【0113】
本発明の効果は、上述のように、接着部の配置及び形状によるものであるから、第1の反射層、第2の反射層など、接着空間層以外の層の組成及び構造を、実施例以外のものに変更しても、反射率、輝度、ハンドリング性などについて、上記実施例と同様の効果を得ることができると考えられる。
【符号の説明】
【0114】
1 第1の反射層
2 接着空間層
3 第2の反射層
4 保護層
5 支持層
6 アンカーコート層
図1
図2
図3
図4