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特開2024-18719制御装置、眼鏡型情報表示装置、制御方法、及び制御プログラム
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  • 特開-制御装置、眼鏡型情報表示装置、制御方法、及び制御プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018719
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】制御装置、眼鏡型情報表示装置、制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20240201BHJP
   G09G 5/10 20060101ALI20240201BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20240201BHJP
   G02B 27/02 20060101ALN20240201BHJP
【FI】
G09G5/00 550C
G09G5/10 B
G06F3/01 510
G02B27/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122238
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 慎也
【テーマコード(参考)】
2H199
5C182
5E555
【Fターム(参考)】
2H199CA03
2H199CA04
2H199CA13
2H199CA30
2H199CA42
2H199CA48
2H199CA75
2H199CA86
2H199CA92
2H199CA94
2H199CA96
5C182AA02
5C182AA05
5C182AA31
5C182AB35
5C182AC03
5C182BA25
5C182BA45
5C182BA56
5C182CA01
5C182CA02
5E555AA21
5E555BA01
5E555BA38
5E555BB01
5E555BB38
5E555BC01
5E555BE17
5E555CA42
5E555CB65
5E555DA08
5E555DA09
5E555DB53
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】ユーザの関心領域の影響を受けない画像を記録することができる制御装置、制御方法、及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】少なくとも一つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、ユーザの関心領域を取得し、透過部を通じて前記ユーザによって視認される現実像、及び前記透過部に投影されて前記ユーザによって視認される投影像の少なくとも一方の像について、前記ユーザによる視認性を変化させる視認性変化部により、前記現実像及び前記投影像の少なくとも一方と、前記関心領域との関係性に基づいて前記視認性を変化させる制御を行い、前記視認性変化部により前記視認性が変化されていない前記投影像を記録させる制御装置。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
ユーザの関心領域を取得し、
透過部を通じて前記ユーザによって視認される現実像、及び前記透過部に投影されて前記ユーザによって視認される投影像の少なくとも一方の像について、前記ユーザによる視認性を変化させる視認性変化部により、前記現実像及び前記投影像の少なくとも一方と、前記関心領域との関係性に基づいて前記視認性を変化させる制御を行い、
前記視認性変化部により前記視認性が変化されていない前記投影像を記録させる、
制御装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記現実像及び前記投影像のうち前記関心領域である方の像の視認性を、前記関心領域ではない方の像の視認性よりも相対的に高くさせる制御を行う、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記現実像を表す撮影画像を取得し、
前記視認性変化部により前記視認性が変化されていない状態の前記現実像を模擬した前記撮影画像を記録する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記撮影画像及び前記投影像を表す投影画像に、前記関心領域に関する関心領域情報を付与する
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記ユーザの視線に基づいて検出された前記関心領域を取得する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記関心領域は、前記ユーザの中心視野に対応する領域である
請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記関心領域は、前記ユーザの注視対象が存在する領域である
請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
透過部と、視認性変化部と、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の制御装置と、
を備えた眼鏡型情報表示装置。
【請求項9】
ユーザの関心領域を取得し、
透過部を通じて前記ユーザによって視認される現実像、及び前記透過部に投影されて前記ユーザによって視認される投影像の少なくとも一方の像について、前記ユーザによる視認性を変化させる視認性変化部により、前記現実像及び前記投影像の少なくとも一方と、前記関心領域との関係性に基づいて前記視認性を変化させる制御を行い、
前記視認性変化部により前記視認性が変化されていない前記投影像を記録させる、
制御方法。
【請求項10】
ユーザの関心領域を取得し、
透過部を通じて前記ユーザによって視認される現実像、及び前記透過部に投影されて前記ユーザによって視認される投影像の少なくとも一方の像について、前記ユーザによる視認性を変化させる視認性変化部により、前記現実像及び前記投影像の少なくとも一方と、前記関心領域との関係性に基づいて前記視認性を変化させる制御を行い、
前記視認性変化部により前記視認性が変化されていない前記投影像を記録させる、
処理をプロセッサに実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、眼鏡型情報表示装置、制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立体的な映像を表示する表示装置として、現実の世界に、画像を重ね合わせた状態で表示する、拡張現実(AR:Augmented Reality)機器等の眼鏡型情報表示装置が知られている。
【0003】
眼鏡型情報表示装置を用いるユーザの脳内で、現実の世界を視認した現実像と、投影画像を視認した投影像とが合成されることで、ユーザは現実像に投影像が重なった状態を視認する。
【0004】
眼鏡型情報表示装置において、現実像及び投影像の視認性を変化させる技術が知られている。例えば、特許文献1には、実空間に仮想オブジェクトを重畳して表示する光学透過型のHMDの表示において、ユーザの視線を検出した検出結果に基づいて、仮想オブジェクトの透明度を変更する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】再公表2019-123770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ユーザが視認したように、視認性を変化させた画像を記録した場合、ユーザが関心領域を現実像及び投影画像のいずれとしたかにより、記録される画像の画質等が変化する。しかしながら、記録された画像を観察する観察者にとっては、その画質が適切ではない場合がある。
【0007】
本開示は、以上の事情を鑑みて成されたものであり、ユーザの関心領域の影響を受けない画像を記録することができる制御装置、制御方法、及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の第1の態様の制御装置は、少なくとも一つのプロセッサを備え、プロセッサは、ユーザの関心領域を取得し、透過部を通じてユーザによって視認される現実像、及び透過部に投影されてユーザによって視認される投影像の少なくとも一方の像について、ユーザによる視認性を変化させる視認性変化部により、現実像及び投影像の少なくとも一方と、関心領域との関係性に基づいて視認性を変化させる制御を行い、視認性変化部により視認性が変化されていない投影像を記録させる。
【0009】
本開示の第2の態様の制御装置は、第1の態様の制御装置において、プロセッサは、現実像及び前記投影像のうち関心領域である方の像の視認性を、関心領域ではない方の像の視認性よりも相対的に高くさせる制御を行う。
【0010】
本開示の第3の態様の制御装置は、第1の態様の制御装置において、プロセッサは、現実像を表す撮影画像を取得し、視認性変化部により視認性が変化されていない状態の現実像を模擬した撮影画像を記録する。
【0011】
本開示の第4の態様の制御装置は、第3の態様の制御装置において、プロセッサは、撮影画像及び投影像を表す投影画像に、関心領域に関する関心領域情報を付与する。
【0012】
本開示の第5の態様の制御装置は、第1の態様の制御装置において、プロセッサは、ユーザの視線に基づいて検出された関心領域を取得する。
【0013】
本開示の第6の態様の制御装置は、第5の態様の制御装置において、関心領域は、ユーザの中心視野に対応する領域である。
【0014】
本開示の第7の態様の制御装置は、第1の態様の制御装置において、関心領域は、ユーザの注視対象が存在する領域である。
【0015】
上記目的を達成するために本開示の第8の眼鏡型情報表示装置は、透過部と、視認性変化部と、本開示の制御装置と、を備える。
【0016】
上記目的を達成するために、本開示の第9の態様の制御方法は、ユーザの関心領域を取得し、透過部を通じてユーザによって視認される現実像、及び透過部に投影されてユーザによって視認される投影像の少なくとも一方の像について、ユーザによる視認性を変化させる視認性変化部により、現実像及び投影像の少なくとも一方と、関心領域との関係性に基づいて視認性を変化させる制御を行い、視認性変化部により視認性が変化されていない投影像を記録させる。
【0017】
上記目的を達成するために、本開示の第10の態様の制御プログラムは、ユーザの関心領域を取得し、透過部を通じてユーザによって視認される現実像、及び透過部に投影されてユーザによって視認される投影像の少なくとも一方の像について、ユーザによる視認性を変化させる視認性変化部により、現実像及び投影像の少なくとも一方と、関心領域との関係性に基づいて視認性を変化させる制御を行い、視認性変化部により視認性が変化されていない投影像を記録させる、処理をプロセッサに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、ユーザの関心領域の影響を受けない画像を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態の眼鏡型情報表示装置の構成の一例を示す構成図である。
図2】実施形態のARグラスの一例を示す斜視図である。
図3】実施形態のスマートフォンの構成の一例を示すブロック図である。
図4】ユーザが視認する画像について説明するための図である。
図5A】現実像の視認性の変化について説明するための図である。
図5B】投影像の視認性の変化について説明するための図である。
図6】実施形態のスマートフォンのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図7】視認性が変化された現実像及び投影像と、画像記録部に記録される撮影画像及び投影画像とについて説明するための図である。
図8】実施形態のスマートフォンで実行される制御処理の一例を示すフローチャートである。
図9】実施形態のスマートフォンの構成の他の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本開示の技術を実施するための形態例を詳細に説明する。
【0021】
図1を参照して、本実施形態の眼鏡型情報表示装置1の構成を説明する。図1に示すように、本実施形態の眼鏡型情報表示装置1は、AR(Augmented Reality)グラス10及びスマートフォン12を備える。
【0022】
ARグラス10は、OLED(Organic Light Emitting Diode)26から投影された投影画像を現実像に重畳させた状態でユーザによる視認を可能にする装置である。図2には、本実施形態のARグラス10の一例の斜視図が示されている。図1及び図2に示すように、ARグラス10は、一対の左眼用透過部20L及び右眼用透過部20Rと、照度計25と、OLED26と、カメラ27と、現実像視認性変化部28と、視線検出センサ29と、を備える。本実施形態の右眼用透過部20Rが、本開示の透過部の一例である。
【0023】
OLED26は、右眼用透過部20Rを通じてユーザによって視認される現実像の視野内に重畳的に情報を挿入するために、右眼用透過部20Rに情報を表す画像(投影画像)を投影する。
【0024】
右眼用透過部20Rは、右眼用レンズ22R及び導光板24を含む。導光板24の一端には、OLED26から投影された投影画像に応じた光が入射される。導光板24の中を伝播した光は、出射部(図示省略)において向きを変えて、ユーザの眼の方向に出射される。導光板24から出射された投影画像に応じた光は、右眼用レンズ22Rを透過し、ユーザの右眼に導かれ、投影像として右眼で視認する。また、ユーザは、右眼用レンズ22Rを通した現実の世界を現実像として右目で視認する。
【0025】
そのため、OLED26から投影画像が投影されている間は、ユーザの右眼によって視認される視認像は、右眼用レンズ22Rを通した現実の世界を表す現実像と、導光板24に投影された投影画像に応じた投影像とが重畳された状態となる。また、OLED26から投影画像が投影されていない間は、ユーザによって視認される視認像は、右眼用レンズ22R及び導光板24を通した現実の世界を表す現実像となる。
【0026】
一方、左眼用透過部20Lは、左眼用レンズ22Lを含む。ユーザは、左眼用レンズ22Lを通した現実の世界を左眼で視認する。
【0027】
現実像視認性変化部28は、OLED26が導光板24に投影画像を投影する場合に、右眼用レンズ22Rを通じてユーザによって視認される現実像の視認性を変化させる。一例として、本実施形態の現実像視認性変化部28は、右眼用透過部20Rの光学特性を変更することにより右眼用レンズ22R全体の視認性を変化させる。また、本実施形態の現実像視認性変化部28は、右眼用透過部20Rの光学特性を変更する例として、右眼用透過部20R、より具体的には右眼用レンズ22Rの遮光率を、段階的に調整することにより、ユーザの右眼によって視認される現実像の視認性を段階的に低減させる。このような現実像視認性変化部28としては、例えば、液晶シャッター、エレクトロクロミズム、及び可変式ND(Neutral Density)フィルタ等が挙げられる。本実施形態の現実像視認性変化部28が、本開示の視認性変化部の一例である。
【0028】
カメラ27は、ユーザが観察する現実の世界を撮影するカメラである。カメラ27としては、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等のデジタル式カメラが挙げられる。本実施形態では、ユーザが視認する現実像と同等の撮影画像を撮影するため、カメラ27はカラー画像の撮影が可能である。また、本実施形態のカメラ27は、ユーザの視界の範囲と同等の領域を撮影範囲とすることができる、いわゆる魚眼レンズや広角レンズを用いたカメラである。このように本実施形態では、カメラ27の撮影範囲として、ユーザの視界の範囲と同等の領域としているが本形態に限定されず、ユーザの視界の範囲よりも広い領域であってもよいし、狭い領域であってもよい。なお、ユーザに現実の世界の視認を少なくとも提供するために、カメラ27の撮影範囲は、ユーザの視界の範囲と同等以上であることが好ましい。カメラ27により撮影された撮影画像の画像データは、スマートフォン12に出力される。なお、本実施形態において、「撮影画像」とは、カメラ27により撮影された画像のことをいう。
【0029】
視線検出センサ29は、ユーザの視線を検出するセンサである。視線検出センサ29としては、公知のセンサを適用することができ、例えば、虹彩や瞳孔の位置に基づいてユーザの視線方向を検出するセンサ等が挙げられる。一例として、本実施形態のARグラス10は、ユーザの右眼の視線を検出する。視線検出センサ29の検出結果は、スマートフォン12に出力される。
【0030】
照度計25は、環境光の明るさとして、ユーザが視認する現実の世界の明るさとして照度を検出するセンサである。照度計25が検出した照度は、スマートフォン12に出力される。
【0031】
一方、スマートフォン12は、プロセッサ40及び画像記録部47を備える。本実施形態のプロセッサ40は、OLED26から導光板24に投影画像を投影させる制御を、OLED26に対して行う。また、プロセッサ40は、現実像の視認性の制御及び投影像の視認性の制御を行う。本実施形態のスマートフォン12が、本開示の画像処理装置の一例である。
【0032】
画像記録部47は、カメラ27により撮影された撮影画像及び投影画像等を記録する。
【0033】
図3には、スマートフォン12における、現実像の視認性の制御及び投影画像の視認性の制御に係わる機能に関する構成の一例を表したブロック図が示されている。図3に示すように、スマートフォン12は、プロセッサ40、メモリ42、I/F(InterFace)部43、記憶部44、ディスプレイ46、画像記録部47、及び入力装置48を備える。プロセッサ40、メモリ42、I/F部43、記憶部44、ディスプレイ46、画像記録部47、及び入力装置48は、システムバスやコントロールバス等のバス49を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0034】
プロセッサ40は、記憶部44に記憶された制御プログラム45を含む各種のプログラムをメモリ42へ読み出し、読み出したプログラムにしたがった処理を実行する。これにより、プロセッサ40は、OLED26による投影画像の投影の制御、及び現実像視認性変化部28による視認性を低減させる制御を行う。メモリ42は、プロセッサ40が処理を実行するためのワークメモリである。
【0035】
記憶部44には、制御プログラム45、及びOLED26から投影する投影画像の画像データ(図示省略)や、その他の各種情報等が記憶される。記憶部44の具体例としては、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等が挙げられる。
【0036】
I/F部43は、無線通信または有線通信により、OLED26及び現実像視認性変化部28各々との間で各種情報の通信を行う。ディスプレイ46及び入力装置48はユーザインタフェースとして機能する。ディスプレイ46は、ユーザに対して、投影画像の投影に関する各種の情報を提供する。ディスプレイ46は特に限定されるものではなく、液晶モニタ及びLED(Light Emitting Diode)モニタ等が挙げられる。また、入力装置48は、投影画像の投影に関する各種の指示を入力するためにユーザによって操作される。入力装置48は特に限定されるものではなく、例えば、キーボード、タッチペン、及びマウス等が挙げられる。なお、スマートフォン12では、ディスプレイ46と入力装置48とを一体化したタッチパネルディスプレイを採用している。
【0037】
また、本実施形態のスマートフォン12の機能について説明する。本実施形態のスマートフォン12のプロセッサ40は、右眼用透過部20Rの右眼用レンズ22Rを通じてユーザによって視認される現実像、及び右眼用透過部20Rの導いた24に投影されてユーザによって視認される投影像の少なくとも一方の像について、関心領域との関係性に基づいて視認性を変化させる制御を行う機能を有する。また、スマートフォン12は、視認性の変化に係わらない投影像を画像記録部47に記録させる制御を行う機能を有する。
【0038】
ここで、現実像及び投影画像の視認性を変化させる制御について、説明する。
図4を用いて、眼鏡型情報表示装置1を使用するユーザが現実の世界70を視認している状態について説明する。図4に示すように、OLED26から投影画像の投影を行わない状態では、現実の世界70をユーザが視認する場合、ユーザは現実像72を視認する。
【0039】
この状態でOLED26から投影画像74を導光板24に投影した場合、図4に示すように、ユーザは、投影画像74に応じた投影像75を視認する。従って、ユーザが視認する視認像78は、現実像72と投影像75とが重畳された画像となる。
【0040】
現実像72は、図5Aに示すように現実の世界70が明るすぎる、いわゆる眩しい場合、現実像72が明るすぎてしまい現実像72の視認性が低下する。そのため、現実の世界70が明るすぎる場合、現実像72を暗くすることにより現実像72の視認性を向上させることができる。本実施形態では、現実の世界70の明るさを照度計25により検出した検出結果である照度(以下、単に現実の世界70の照度という)が閾値以上の場合、現実の世界70の明るさが明るすぎる場合として、現実像視認性変化部28により右眼用レンズ22Rの遮光率を増加させることにより、現実像72の視認性を向上させる。
【0041】
一方、現実の世界70が暗すぎる場合、現実像72が暗すぎてしまい現実像72の視認性が低下する。そのため、現実の世界70が暗すぎる場合、現実像72を投影像75よりも相対的に明るくすることにより現実像72の視認性を向上させることができる。本実施形態では、現実の世界70の照度が閾値未満の場合、現実の世界70の明るさが暗すぎる場合として、投影画像74の輝度値を所定値よりも小さくすることにより、投影像75の明るさを低減させて投影像75を暗くする。これにより、現実像72を投影像75よりも相対的に明るくすることにより現実像72の視認性を向上させる。
【0042】
一方、投影画像74は、図5Bに示すように、現実像72よりも相対的に明るくすることにより視認性を向上させることができる。本実施形態では、投影画像74の輝度値を所定値よりも大きくすることにより、投影像75の明るさを増加させて投影像75を明るくする。これにより、投影像75を現実像72よりも相対的に明るくすることにより投影像75の視認性を向上させる。
【0043】
本実施形態では、プロセッサ40が、視線検出センサ29の検出結果に基づいて、ユーザが現実像72及び投影画像74のいずれを視認しているかに基づいて、現実像72及び投影像75のうち、視認している方の像を関心領域として取得する。そして、現実像72及び投影像75のうち、関心領域である像の方の視認性を、関心領域ではない像の視認性よりも相対的に高くする制御を行う。
【0044】
図6には、本実施形態のスマートフォン12の機能に係る構成の一例を表す機能ブロック図が示されている。図6に示すようにスマートフォン12は、投影画像取得部50、撮影画像取得部51、関心領域取得部52、照度取得部53、視認性制御部54、投影画像基本処理部57、撮影画像基本処理部59、表示制御部60、及び記録制御部62を備える。一例として本実施形態のスマートフォン12は、プロセッサ40が記憶部44に記憶されている制御プログラム45を実行することにより、プロセッサ40が投影画像取得部50、撮影画像取得部51、関心領域取得部52、照度取得部53、視認性制御部54、投影画像基本処理部57、撮影画像基本処理部59、表示制御部60、及び記録制御部62として機能する。
【0045】
投影画像取得部50は、OLED26が投影する投影画像の画像データを取得する機能を有する。一例として、本実施形態では、投影画像の画像データが記憶部44に記憶されているため、投影画像取得部50は、記憶部44から投影画像の画像データを取得する。なお、本形態によらず、投影画像の画像データをI/F部43を介して、スマートフォン12の外部の装置から取得する形態としてもよい。投影画像取得部50は、投影画像の画像データを投影画像基本処理部57に出力する。なお、以下では、投影画像の画像データについて、単に投影画像といい、例えば、投影画像を取得するという。
【0046】
撮影画像取得部51は、カメラ27により現実の世界70を撮影した撮影画像の画像データを取得する機能を有する。撮影画像取得部51が取得した撮影画像の画像データは、撮影画像基本処理部59に出力される。なお、以下では、撮影画像の画像データについて、単に撮影画像といい、例えば、撮影画像を取得する等という。
【0047】
関心領域取得部52は、視線検出センサ29の検出結果に基づいて関心領域を取得する。具体的には関心領域取得部52は、視線検出センサ29の検出結果が、視線が現実像72に向いているとした検出結果の場合、現実像72を関心領域として取得する。一方、関心領域取得部52は、視線検出センサ29の検出結果が、視線が投影像75に向いているとした検出結果の場合、投影像75を関心領域として取得する。関心領域取得部52は、関心領域が現実像72及び投影像75のいずれであるかを表す情報を視認性制御部54及び記録制御部62に出力する。
【0048】
照度取得部53は、照度計25が検出した照度を取得する機能を有する。すなわち、本実施形態の照度取得部53は、上述したように、現実の世界70の明るさを表す照度を取得する機能を有する。照度取得部53は、取得した照度を表す情報を、視認性制御部54に出力する。
【0049】
投影画像基本処理部57は、投影画像74に対して、視認性制御部54による視認性の変化にかかわらずに投影画像用として予め定められた基本的な画像処理を行う機能を有する。投影画像用の基本的な画像処理としては、ノイズ除去処理等が挙げられる。投影画像基本処理部57は、投影画像用の基本的な画像処理を施した投影画像74を、投影画像視認性制御部58及び記録制御部62に出力する。なお、投影画像基本処理部57により投影画像用の基本的な画像処理を施した投影画像74を、画像処理前の投影画像74等、他の投影画像74と区別する場合は、基本画像処理後の投影画像74という。
【0050】
視認性制御部54は、現実像視認性制御部56及び投影画像視認性制御部58を含む。視認性制御部54は、現実像72及び投影像75の少なくとも一方と、関心領域との関係性に基づいて視認性を変化させる制御を行う機能を有する。
【0051】
視認性制御部54は、関心領域が現実像72である場合、現実像72の視認性を投影像75の視認性よりも相対的に高くする制御を行う。現実像72の視認性を向上させる場合、かつ、照度取得部53が取得した照度が閾値以上の場合、現実像視認性制御部56は、現実像視認性変化部28により現実像72の視認性を向上させるための制御を行う。本実施形態の現実像視認性制御部56は、右眼用レンズ22Rの遮光率が、視認性制御部54が決定した遮光率となるよう、現実像視認性変化部28に指示する。現実像視認性変化部28は、スマートフォン12から出力された指示に応じて、指示された遮光率とすることで、ユーザによって視認される現実像72の視認性を向上させる。
【0052】
また、現実像72の視認性を向上させる場合、かつ、照度取得部53が取得した照度が閾値未満の場合、投影画像視認性制御部58は、基本画像処理後の投影画像74の輝度値を減少させて暗くすることにより投影像75の視認性を低下させるための制御を行う。本実施形態の投影画像視認性制御部58は、投影像75の視認性を低下させることにより、相対的に現実像72の視認性を向上させる。投影画像視認性制御部58は、輝度値を減少させた基本画像処理後の投影画像74を表示制御部60に出力する。
【0053】
一方、視認性制御部54は、関心領域が投影像75である場合、投影像75の視認性を現実像72の視認性よりも相対的に高くする制御を行う。投影像75の視認性を向上させる場合、投影画像視認性制御部58は、基本画像処理後の投影画像74の輝度値を増加させて明るくすることにより投影像75の視認性を向上させるための制御を行う。投影画像視認性制御部58は、輝度値を増加させた基本画像処理後の投影画像74を表示制御部60に出力する。
【0054】
すなわち、投影画像視認性制御部58は、投影像75の視認性を変化させていない場合、基本画像処理後の投影画像74を表示制御部60に出力する。一方、投影画像視認性制御部58は、投影像75の視認性を変化させた場合、投影画像視認性制御部58により輝度値が増加または減少した基本画像処理後の投影画像74を表示制御部60に出力する。
【0055】
また、撮影画像基本処理部59は、撮影画像に対して、撮影画像用の基本的な画像処理を行うことで、現実像72を模擬した画像を生成する機能を有する。撮影画像用の基本的な画像処理としては、一般的にデジタルカメラによる撮影において施される画像処理やノイズ除去処理等が挙げられる。撮影画像処理部64は、撮影画像用の基本的な画像処理を施した撮影画像を、記録制御部62に出力する。なお、撮影画像基本処理部59により撮影画像用の基本的な画像処理を施した撮影画像を、画像処理前の撮影画像と区別する場合は、基本画像処理後の撮影画像という。
【0056】
記録制御部62は、基本画像処理後の投影画像74及び基本画像処理後の撮影画像を、関心領域を表す関心領域情報に対応付けて画像記録部47に記録させる制御を行う機能を有する。図7には、本実施形態の眼鏡型情報表示装置1において、ユーザがARグラス10により視認する視認像78と、画像記録部47に記録される投影画像74及び撮影画像との関係が示されている。図7は、関心領域79が投影像75である場合を示している。この場合、ユーザは、投影像75の視認性を現実像72の視認性よりも相対的に高くした視認像78をARグラス10により視認する。一方、画像記録部47には、基本画像処理後の投影画像74と、基本画像処理後の撮影画像73とに、関心領域79が投影像75であることを表す関心領域情報が付与された状態で画像記録部47に記憶される。
【0057】
次に、本実施形態のスマートフォン12の作用を説明する。図8には、本実施形態のスマートフォン12のプロセッサ40による制御処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。一例として本実施形態のスマートフォン12では、ユーザが入力装置48を用いて入力した投影開始の指示を受けた場合、プロセッサ40が、記憶部44に記憶されている制御プログラム45を実行することにより、図8に一例を示した制御処理を実行する。なお、図8に示した制御処理を開始した時点では、ユーザは、左右の眼共に、左眼用透過部20L及び右眼用透過部20Rを通じて、現実の世界70、すなわち現実像72を視認している。
【0058】
図8のステップS100で投影画像取得部50は、投影画像74を取得する。本実施形態では、上述したように、投影画像74の画像データを記憶部44から取得する。
【0059】
次のステップS102で投影画像基本処理部57は、投影画像74に対して、上述したように基本的な画像処理を行い、現実像72の視認性の変化及び投影像75の視認性の変化のいずれにも係わらない基本画像処理後の投影画像74を生成する。
【0060】
次のステップS104で表示制御部60は、基本画像処理後の投影画像74を導光板24に投影させるようOLED26に投影画像74の画像データ及び投影開始の開始指示を出力する。OLED26は、スマートフォン12から投影画像74の画像データ及び投影開始の開始指示が入力されると、投影画像基本処理部57から出力された基本画像処理後の投影画像74を導光板24に投影する。
【0061】
これにより、ユーザは基本画像処理後の投影画像74に応じた投影像75を視認する。従って、ユーザは、投影像75が重畳された現実像72を視認し、現実像72及び投影像75のいずれかに視線を合わせる。
【0062】
次のステップS106で関心領域取得部52は、視線検出センサ29の検出結果に基づいて関心領域を表す関心領域情報の取得を開始する。
【0063】
次のステップS108で撮影画像取得部51は、上述したように、カメラ27から撮影画像を取得する。
【0064】
次のステップS110で撮影画像基本処理部59は、撮影画像に対して、上述したように基本的な画像処理を行い、現実像72の視認性の変化及び投影像75の視認性の変化のいずれにも係わらない基本画像処理後の撮影画像を生成する。
【0065】
次のステップS112で記録制御部62は、上述したように、上記ステップS102で生成された基本画像処理後の投影画像74と、上記ステップS110で生成された基本画像処理後の撮影画像とに、上記ステップS106で取得した関心領域を表す関心領域情報を付与して画像記録部47に記録させる。
【0066】
これにより、画像記録部47には、現実像72及び投影像75の視認性の変化に依らない撮影画像及び投影画像74が記録される。換言すると、ARグラス10のユーザが関心を示したのが現実像72及び投影像75のいずれであるかに係わらない状態の撮影画像及び投影画像74が画像記録部47に記録された状態となる。
【0067】
次のステップS114で視認性制御部54は、関心領域が現実像72であるか否かを判定する。関心領域が現実像72である場合、ステップS114の処理が肯定判定となり、ステップS116へ移行する。
【0068】
ステップS116で現実像視認性制御部56は、上述したように、照度取得部53が取得した照度が閾値以上であるか否かを判定する。取得した照度が閾値以上の場合、すなわち現実の世界70が明るい場合、ステップS116の判定が肯定判定となり、ステップS118へ移行する。
【0069】
ステップS118で現実像視認性制御部56は、上述したように、現実像72の明るさを暗くすることで現実像72の視認性を向上させる。具体的には、予め定められた低減量により、現実像72の視認性を低減させるよう、現実像視認性変化部28に指示を出力する。現実像視認性変化部28は、スマートフォン12から指示が入力されると、指示された低減量で右眼用透過部20Rの透過率を下げて遮光する。これにより、ユーザは現実像72が見易くなるため、現実像72の視認性が向上する。
【0070】
一方、上記ステップS116で照度が閾値未満の場合、すなわち現実の世界70が暗い場合、ステップS116の判定が否定判定となり、ステップS120へ移行する。ステップS120で投影画像視認性制御部58は、上述したように、投影画像74の明るさを暗くすることで現実像72の視認性を向上させる。具体的には、所定量、投影画像74の輝度値を減少させることにより、投影画像74を暗くすることで投影像75を暗くし、相対的に現実像72を明るくする。これにより、ユーザは現実像72が見易くなるため、現実像72の視認性が向上する。
【0071】
一方、関心領域が現実像72ではない場合、換言すると関心領域が投影像75の場合、ステップS114の処理が否定判定となり、ステップS122へ移行する。ステップS122で投影画像視認性制御部58は、上述したように、投影像75の視認性を向上させる。具体的には、所定量、投影画像74の輝度値を増加させることにより、投影画像74を明るくすることで投影像75を現実像72よりも相対的に明るくする。これにより、ユーザは投影像75が見易くなるため、投影像75の視認性が向上する。
【0072】
ステップS118、S120、またはS122の処理が終了するとステップS124へ移行する。
【0073】
ステップS124で関心領域取得部52は、関心領域が変更されたか否か判定する。関心領域が変更された場合、ステップS124の判定が肯定判定となり、ステップS126に移行する。ステップS126で視認性制御部54は、現在行っている現実像72または投影像75の視認性の変化をリセットする。すなわち、現実像72及び投影像75について視認性が変化されていない状態とする。ステップS126の後、ステップS114に戻り、ステップS114~S124の処理を繰り返す。一方、関心領域が変更されていない場合、ステップS124の判定が否定判定となり、ステップS128へ移行する。
【0074】
ステップS128で表示制御部60は、投影画像74の投影を終了するか否かを判定する。一例として本実施形態では、ユーザが入力装置48を用いて入力した投影終了の指示を受けた場合、投影画像74の投影を終了する。そこで、投影画像74の投影終了の指示を受け付けていない場合、ステップS128の判定が否定判定となり、ステップS124に戻る。一方、投影画像74の投影終了の指示を受け付けた場合、ステップS128の判定が肯定判定となり、ステップS130へ移行する。
【0075】
ステップS130で視認性制御部54は、現実像視認性変化部28が現実像72の視認性を変化させている最中であるか否かを判定する。現実像72の視認性が変化中ではない場合、ステップS130の判定が否定判定となり、ステップS134へ移行する。一方、現実像72の視認性が変化中である場合、ステップS130の判定が肯定判定となり、ステップS132へ移行する。
【0076】
ステップS132で視認性制御部54の現実像視認性制御部56は、現実像72の視認性の変化を終了するよう、現実像視認性変化部28に終了指示を出力する。現実像視認性変化部28は、スマートフォン12から終了指示が入力されると、右眼用透過部20Rの遮光を終了する。これにより、現実像72の視認性が変化される前の状態に戻る。
【0077】
次のステップS134で表示制御部60は、OLED26に投影画像74の投影を終了するよう終了指示を出力する。OLED26は、スマートフォン12から終了指示が入力されると、投影画像の投影を終了する。ステップS134の処理が終了すると、図8に示した画像処理が終了する。
【0078】
このように、スマートフォン12によれば、現実像72及び投影像75の視認性が変化された場合であっても、その視認性の変化に係わらない現実像72を模擬した撮影画像及び投影画像74を画像記録部47に記録させる。従って、本実施形態のスマートフォン12によれば、ユーザの関心領域の影響を受けない画像を記録することができる。これにより、画像記録部47に記録されている撮影画像及び投影画像74を観察する観察者は、眼鏡型情報表示装置1のユーザの関心領域がいずれであったかの影響を受けない画像を観察することができる。また、記録されている撮影画像及び投影画像74には、関心領域を表す情報が対応付けられているため、視認性制御部54によれば、ARグラス10のユーザが視認した視認像78を模擬した画像を生成することができる。なお、このように、視認像78を模擬した画像を生成する場合、照度計25から取得した照度も対応付けて記録させておくことが好ましい。
【0079】
なお、上記形態では、画像記録部47に投影画像74(基本画像処理後の投影画像74)及び撮影画像(基本画像処理後の撮影画像)に、関心領域情報を付与して記録する形態について説明したが、これらの記録先は、画像記録部47に限定されない。例えば、眼鏡型情報表示装置1の外部の装置に画像記録部47に投影画像74(基本画像処理後の投影画像74)及び撮影画像(基本画像処理後の撮影画像)に、関心領域情報を付与して記録する形態としてもよい。
【0080】
また、上記形態では、現実像72及び投影像75のいずれか一方の視認性を変化させる形態としたが、現実像72及び投影像75の両方の視認性を変化させる形態としてもよい。例えば、現実像72の視認性を向上させる場合、現実像72の視認性を向上させると共に、投影像75の視認性を低下させる形態としてもよい。
【0081】
なお、関心領域の検出方法は、上記形態に限定されない。例えば、視線検出センサ29に代えて、図9に示すように、視野検出センサ90を備える形態としてもよい。対象物を視認する場合、ユーザの視野の中心(中心視野)に存在するものほど、ユーザが注視している注視対象であり、関心を示しているものであると言える。そのため、視野検出センサにより、ユーザの視野を検出し、現実像72及び投影画像74のうち、中心視野に存在する方の像を、関心領域に対応する像であると検出してもよい。この場合の視野検出センサ90としては、例えば、ユーザの眼を撮影するカメラ等が挙げられ、カメラにより撮影された撮影画像から、ユーザの瞳孔の位置を検出することで中心視野を検出してもよい。
【0082】
また例えば、ユーザが指定した注視対象をスマートフォン12が受け付ける形態であってもよい。この場合、ユーザが指定した注視対象が存在する領域が関心領域となる。また例えば、スマートフォン12によるインターネットの閲覧履歴等からユーザの関心物を推定し、推定した関心物に基づいて、スマートフォン12が関心領域を推定する形態であってもよい。
【0083】
また、上記形態では、本開示の眼鏡型情報表示装置の一例として、ARグラス10を適用した形態について説明したが、眼鏡型情報表示装置は、ARグラス10に限定されず、ヘッドマウントディスプレイのように種々の形態に適用できる。
【0084】
また、「眼鏡型情報表示装置」における「眼鏡」という単語は、機能的に、画像を取得する第1センサ(人間の目)と、第1センサの視野を含み、かつ第1センサとほぼ同一の視線方向で撮影画像を取得する第2センサ(ARグラス10のカメラ27)を実現することを意味している。なお、眼鏡型情報表示装置の形状は、一般的な眼鏡の形状や用途や装着部位に限定されない。また、眼鏡型情報表示装置は、単眼型でも複眼型でもよく、上記形態では、一方の眼により投影像を視認する形態について説明したが、両眼で、投影像を視認する形態であってもよい。ゴーグルのように左右がつながった形状でもよい。また、いわゆるヘッドマウントディスプレイのように、人間の頭部に装着するものに限定されない(例えば、人の機能を模しつつ、外形は犬であるロボットで、人間の目の機能が、ロボットの膝に有るカメラで実現されるならば、本開示の画像処理装置は膝に装着される)。このような画像処理装置も、本開示の技術に含まれる。
【0085】
また、上記形態では、ARグラス10が1つのカメラ27を備え、1つのカメラ27がユーザの視野全体を撮影する形態について説明したが、ARグラス10が備えるカメラは、本形態に限定されない。例えば、ユーザの右眼の視野に対応する現実の世界70を撮影するカメラと、ユーザの左眼の視野に対応する現実の世界70を撮影するカメラと、2つのカメラを備える形態としてもよい。
【0086】
また、上記形態では、投影画像74が静止画像である場合について説明したが、投影画像74は動画像であってもよい。
【0087】
また、上記形態のスマートフォン12の機能の一部、または全部を、眼鏡型情報表示装置1外の装置が備えていてもよい。例えば、スマートフォン12が、投影画像74を導光板24に投影する機能を有し、別の装置が、本開示の制御装置の機能を有していてもよい。
【0088】
また、上記形態では、ARグラス10の機種を表す機種情報として、右眼用レンズ22R及び導光板24の種類に応じた情報を例示したが、ARグラス10の機種を表す機種情報はこれらに限定されない。例えば、右眼用レンズ22R及び導光板24のいずれか一方に応じた情報であってもよいし、また、左眼用レンズ22Lに応じた情報をさらに用いてもよい。
【0089】
また、上記形態において、例えば、投影画像取得部50、撮影画像取得部51、関心領域取得部52、照度取得部53、視認性制御部54、投影画像基本処理部57、撮影画像基本処理部59、表示制御部60、及び記録制御部62といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0090】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0091】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0092】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0093】
また、上記各形態では、制御プログラム45が記憶部44に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。制御プログラム45は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、制御プログラム45は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0094】
以上の上記実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0095】
(付記1)
少なくとも一つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
ユーザの関心領域を取得し、
透過部を通じて前記ユーザによって視認される現実像、及び前記透過部に投影されて前記ユーザによって視認される投影像の少なくとも一方の像について、前記ユーザによる視認性を変化させる視認性変化部により、前記現実像及び前記投影像の少なくとも一方と、前記関心領域との関係性に基づいて前記視認性を変化させる制御を行い、
前記視認性変化部により前記視認性が変化されていない前記投影像を記録させる、
制御装置。
【0096】
(付記2)
前記プロセッサは、
前記現実像及び前記投影像のうち前記関心領域である方の像の視認性を、前記関心領域ではない方の像の視認性よりも相対的に高くさせる制御を行う、
付記1に記載の制御装置。
【0097】
(付記3)
前記プロセッサは、
前記現実像を表す撮影画像を取得し、
前記視認性変化部により前記視認性が変化されていない状態の前記現実像を模擬した前記撮影画像を記録する
付記1または付記2に記載の制御装置、
【0098】
(付記4)
前記プロセッサは、
前記撮影画像及び前記投影画像を表す画像に、前記関心領域に関する関心領域情報を付与する
付記1から付記3のいずれか1つに記載の制御装置。
【0099】
(付記5)
前記プロセッサは、
前記ユーザの視線に基づいて検出された前記関心領域を取得する
付記1から付記4のいずれか1つに記載の制御装置。
【0100】
(付記6)
前記関心領域は、前記ユーザの中心視野に対応する領域である
付記1から付記4のいずれか1つに記載の制御装置。
【0101】
(付記7)
前記関心領域は、前記ユーザの注視対象が存在する領域である
付記1から付記4のいずれか1つに記載の制御装置。
【0102】
(付記8)
透過部と、視認性変化部と、
付記1から付記7のいずれか1項に記載の制御装置と、
を備えた眼鏡型情報表示装置。
【0103】
(付記9)
ユーザの関心領域を取得し、
透過部を通じて前記ユーザによって視認される現実像、及び前記透過部に投影されて前記ユーザによって視認される投影像の少なくとも一方の像について、前記ユーザによる視認性を変化させる視認性変化部により、前記現実像及び前記投影像の少なくとも一方と、前記関心領域との関係性に基づいて前記視認性を変化させる制御を行い、
前記視認性変化部により前記視認性が変化されていない前記投影像を記録させる、
制御方法。
【0104】
(付記10)
ユーザの関心領域を取得し、
透過部を通じて前記ユーザによって視認される現実像、及び前記透過部に投影されて前記ユーザによって視認される投影像の少なくとも一方の像について、前記ユーザによる視認性を変化させる視認性変化部により、前記現実像及び前記投影像の少なくとも一方と、前記関心領域との関係性に基づいて前記視認性を変化させる制御を行い、
前記視認性変化部により前記視認性が変化されていない前記投影像を記録させる、
処理をプロセッサに実行させるための制御プログラム。
【符号の説明】
【0105】
1 眼鏡型情報表示装置
10 ARグラス
12 スマートフォン
20L 左眼用透過部、20R 右眼用透過部
22L 左眼用レンズ、22R 右眼用レンズ
24 導光板
25 照度計
26 OLED
27 カメラ
28 現実像視認性変化部
29 視線検出センサ
40 プロセッサ
42 メモリ
43 I/F部
44 記憶部
45 制御プログラム
46 ディスプレイ
47 画像記録部
48 入力装置
49 バス
50 投影画像取得部
51 撮影画像取得部
52 関心領域取得部
53 照度取得部
54 視認性制御部
56 現実像視認性制御部
57 投影画像基本処理部
58 投影画像視認性制御部
59 撮影画像基本処理部
60 表示制御部
62 撮影画像取得部
64 撮影画像処理部
70 現実の世界
72 現実像
73 撮影画像
74 投影画像
75 投影像
78 視認像
79 関心領域
90 視野検出センサ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9