(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018879
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】緩衝材、及び包装システム
(51)【国際特許分類】
B65D 81/133 20060101AFI20240201BHJP
B65D 81/113 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B65D81/133 A
B65D81/113 140A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010856
(22)【出願日】2023-01-27
(31)【優先権主張番号】P 2022121647
(32)【優先日】2022-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】末廣真也
(72)【発明者】
【氏名】小林祐太
(72)【発明者】
【氏名】池田忠功
【テーマコード(参考)】
3E066
【Fターム(参考)】
3E066AA03
3E066BA02
3E066CA01
3E066DA01
3E066DB01
(57)【要約】
【課題】緩衝効果が向上する緩衝材を提供する。
【解決手段】本発明は、被包装体に装着される緩衝材に関する。
この緩衝材は、枠形状の第1基幹部と第1基幹部の内側に設けられた少なくとも1つの第1緩衝リブとを有する第1緩衝材と、板状の第2基幹部と第2基幹部の面上に設けられた少なくとも1つの第2緩衝リブとを有する第2緩衝材と、を備え、第1緩衝材と第2緩衝材が結合されていることを特徴とする。
被包装体に掛かる衝撃加速度を緩衝する際、第1緩衝リブは第2基幹部による引張りなどの影響を受けない。そのため、第1緩衝リブは、被包装体との当接面に対して垂直方向に均等に変形でき、狙いの緩衝効果を発揮できる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装体に装着される緩衝材であって、
枠形状の第1基幹部と前記第1基幹部の内側に設けられた少なくとも1つの第1緩衝リブとを有する第1緩衝材と、
板状の第2基幹部と前記第2基幹部の面上に設けられた少なくとも1つの第2緩衝リブとを有する第2緩衝材と、を備え、
前記第1緩衝材と前記第2緩衝材が結合されている緩衝材。
【請求項2】
前記第1緩衝材の前記第1緩衝リブは、前記第2緩衝材の前記第2基幹部に対して離間していることを特徴とする請求項1に記載の緩衝材。
【請求項3】
前記第1緩衝材の前記第1基幹部に形成された爪形状の突起部が、前記第2緩衝材の前記第2基幹部に形成された凹形状部にスナップフィット係合することで、前記第1緩衝材と前記第2緩衝材が結合されることを特徴とする請求項1に記載の緩衝材。
【請求項4】
前記爪形状の突起部は、前記第1緩衝材の前記第1基幹部に複数形成され、
前記凹形状部は、前記第2緩衝材の前記第2基幹部に複数形成されていることを特徴とする請求項3に記載の緩衝材。
【請求項5】
前記第1緩衝材の前記第1基幹部に形成された矩形状の突起部が、前記第2緩衝材の前記第2基幹部に形成された窪み部に軽圧入されることで、前記第1緩衝材と前記第2緩衝材が結合されることを特徴とする請求項1に記載の緩衝材。
【請求項6】
前記矩形状の突起部又は前記窪み部は、面取り部を有することを特徴とする請求項5に記載の緩衝材。
【請求項7】
前記矩形状の突起部は、前記第1緩衝材の前記第1基幹部に複数形成され、
前記窪み部は、前記第2緩衝材の前記第2基幹部に複数形成されていることを特徴とする請求項5に記載の緩衝材。
【請求項8】
前記第1緩衝材の前記第1基幹部に形成された円柱状の突起部が、前記第2緩衝材の前記第2基幹部に形成された穴部に軽圧入されることで、前記第1緩衝材と前記第2緩衝材が結合されることを特徴とする請求項1に記載の緩衝材。
【請求項9】
前記円柱状の突起部は、前記第1緩衝材の前記第1基幹部に複数形成され、
前記穴部は、前記第2緩衝材の前記第2基幹部に複数形成されていることを特徴とする請求項8に記載の緩衝材。
【請求項10】
前記第1緩衝リブは、前記第1基幹部の内側に2つ以上設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の緩衝材。
【請求項11】
前記第1基幹部の内側に、複数の壁面が形成され、
前記第1緩衝リブは、前記複数の壁面毎に2つ以上設けられていることを特徴とする請求項1に記載の緩衝材。
【請求項12】
前記第2緩衝リブは、前記第2基幹部の面上に2つ以上設けられていることを特徴とする請求項1に記載の緩衝材。
【請求項13】
前記第1、第2緩衝材は、発泡樹脂製包装材によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の緩衝材。
【請求項14】
前記第1、第2緩衝材は、パルプモールド製包装材によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の緩衝材。
【請求項15】
前記第1、第2緩衝材は、プラスチックシート製の真空成型包装材によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の緩衝材。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか一項に記載の緩衝材が、被包装体1つあたりに2つ用いられることを特徴とする包装システム。
【請求項17】
請求項1乃至15のいずれか一項に記載の緩衝材が、被包装体1つあたりに4つ用いられることを特徴とする包装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝材、及び包装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
包装材として用いられる緩衝材は、被包装体の形状や強度に基づいて構成・形状が決められ、被包装体に装着したうえで外装箱に梱包され、包装貨物の一部を担う。ここで緩衝材の機能は、包装貨物が荷役中に落下した際、被包装体に掛かる衝撃を和らげることである。
【0003】
図1に示すように、緩衝材は、基幹部10と、その基幹部10に設けられた衝撃緩衝用のリブ12(以下、「緩衝リブ」と称する)とから構成され、緩衝リブ12の高さh、及び被包装体との当接面積S(斜線部分)を調整することで、落下時に被包装体に掛かる衝撃加速度を緩和できる。
【0004】
また緩衝材は、緩衝リブ12が基幹部10に対し、被包装体側に設けられた内リブ仕様(
図2)と、被包装体の反対側に設けられた外リブ仕様(
図3)、内リブ仕様と外リブ仕様を併存した仕様の3つに分けられる。
【0005】
内リブ仕様は、被包装体と緩衝リブ12とが当接する構成であり、衝撃加速度を調整する緩衝設計技法を具現化したものである。したがって、被包装体に掛かる衝撃加速度を容易に調整できるという利点がある。
【0006】
一方で、外リブ仕様は、材料使用量の削減を目的とする肉抜き形状といった設計の自由度が高く、コスト面で利点がある。ただし、被包装体と緩衝リブ12との間に基幹部10を介するため、衝撃加速度を調整する機能設計が複雑化する。また、被包装体から緩衝リブに掛かる力の作用点Paと緩衝リブ12との距離が、内リブ仕様よりも外リブ仕様の場合に長くなり、緩衝リブ12が破損し易くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、緩衝効果が向上する緩衝材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、被包装体に装着される緩衝材であって、枠形状の第1基幹部と、前記第1基幹部の内側に設けられた少なくとも1つの第1緩衝リブとを有する第1緩衝材と、板状の第2基幹部と前記第2基幹部の面上に設けられた少なくとも1つの第2緩衝リブとを有する第2緩衝材と、を備え、前記第1緩衝材と前記第2緩衝材が結合されている緩衝材によって解決される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の緩衝材は、基幹部と緩衝リブの一体化を部分的に解消するように、第1緩衝材の第1緩衝リブが、第2緩衝材の第2基幹部と別個の部材である(一体化されてない)。被包装体に掛かる衝撃加速度を緩衝する際、第1緩衝リブは第2基幹部による引張りなどの影響を受けずに、第1緩衝リブは、被包装体との当接面に対して垂直方向に均等に変形する。そのため、緩衝効果が向上する緩衝材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】内リブ仕様の緩衝材の一例を示す斜視図である。
【
図3】外リブ仕様の緩衝材の一例を示す斜視図である。
【
図4】緩衝材の製造金型の一例を示す斜視図である。
【
図5】(a)は
図2の緩衝材の正面図であり、(b)はA-A方向から見た緩衝リブの変形状態の一例を示す断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る緩衝材の斜視図である。
【
図7】
図6の緩衝材を構成する部材の斜視図であって、(a)は枠状緩衝材であり、(b)は板状緩衝材である。
【
図8】(a)は
図6の緩衝材の正面図であり、(b)はA-A方向から見た断面図である。
【
図9】複数の壁面に複数の第1緩衝リブが設けられた枠状緩衝材を示す斜視図である。
【
図10】第2基幹部の面上に複数の第2緩衝リブが設けられた板状緩衝材を示す斜視図である。
【
図11】枠状緩衝材の第1基幹部に形成された爪形状の突起部を示す3面図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は斜視図である。
【
図12】板状緩衝材の第2基幹部に形成された凹形状部を示す3面図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は斜視図である。
【
図13】枠状緩衝材と板状緩衝材の結合状態を示す3面図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は斜視図である。
【
図14】枠状緩衝材の第1基幹部に形成された矩形状の突起部を示す3面図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は斜視図である。
【
図15】板状緩衝材の第2基幹部に形成された凹形状部を示す3面図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は斜視図である。
【
図16】面取り部を有する矩形状の突起部を示す3面図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は斜視図である。
【
図17】枠状緩衝材の第1基幹部に形成された円柱状の突起部を示す3面図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は斜視図である。
【
図18】板状緩衝材の第2基幹部に形成された穴部を示す3面図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は斜視図である。
【
図19】枠状緩衝材と板状緩衝材の結合状態を示す3面図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
緩衝材は、通常、射出成型機や真空成型機などの量産金型により製造される。
図4に示すように、コアとキャビティからなる金型の部品の取り出し方向に制約を受ける。特に内リブ仕様の緩衝材では、緩衝リブ12が基幹部10と一体化するように成型される(
図2)。
【0012】
図5(a)は紙面上方から被包装体14を挿入する
図2の緩衝材の正面図であり、
図5(b)はA-A方向から見た緩衝材の変形状態の一例を示す断面図である。
【0013】
落下時に被包装体14に掛かる衝撃加速度を、緩衝リブ12が変形して緩衝する際、緩衝リブ12は枠状の基幹部10と板状の底面部分の基幹部10と繋がっている(一体化している)ことから、落下時に緩衝リブ12が変形しても底面部分の基幹部10に近い側の部分12bと基幹部10の境界部12aが基幹部10側に引っ張られる。そのため、緩衝リブ12が被包装体14との当接平面に対して垂直方向に均等に変形しないという現象(変形が小さい部分12bと、変形が大きい部分12cの混在)が生じる。
【0014】
これにより、被包装体14に掛かる衝撃加速度は、緩衝リブ12の高さh、及び被包装体14との当接面積Sを調整、又は他の緩衝リブとで調整することで緩和させた狙い値よりも大きくなってしまい、被包装体14に破損が生じるおそれがあった。
【0015】
以下の実施形態では、基幹部と緩衝リブの一体化を部分的に解消することで、緩衝効果を向上できる、内リブ仕様の緩衝材について説明する。
【0016】
(実施形態)
図6は、本発明の一実施形態に係る緩衝材の斜視図である。また、
図7は、
図6の緩衝材を構成する部材の斜視図であって、(a)は枠状緩衝材であり、(b)は板状緩衝材である。
【0017】
本実施形態の緩衝材50は、第1緩衝材である枠状緩衝材20と、枠状緩衝材20に結合される第2緩衝材である板状緩衝材30とから構成され、被包装体の少なくとも一部を収容する収容空間22を有している。
【0018】
図7(a)に示すように、枠状緩衝材20は、収容空間22を形成するように環状となる枠形状の第1基幹部24と、第1基幹部24の内壁から収容空間22の中心側に延びて設けられ、被包装体が内壁に当接しないように、被包装体に当接する第1緩衝リブ26とを備える。また、
図7(b)に示すように、板状緩衝材30は、板状の第2基幹部32と、第2基幹部32の板面の面上に設けられ、枠状緩衝材20と結合したときに板面から収容空間22の中心側に延びて設けられ、被包装体が板面に当接しないように、被包装体に当接する第2緩衝リブ34とを備える。
【0019】
さらに、枠状緩衝材20と板状緩衝材30を結合するために、枠状緩衝材20の第1基幹部24に第1基幹部24の外枠面と面一となる突起部28が形成される一方、板状緩衝材30の第2基幹部32に切り欠き状の窪み部36が形成されている。枠状緩衝材20の突起部28を、板状緩衝材30の窪み部36に取り離し可能で一方を保持したときに他方が落下しない程度の軽圧入することで、枠状緩衝材20と板状緩衝材30を結合する。
【0020】
図6に示すように、突起部28の先端面と、第2基幹部32の第2緩衝リブ34が備えられている板面と反対側の板面とで面一になる。すなわち、突起部28の高さと窪み部36の深さとは同じにした本実施形態の緩衝材50を構成できる。なお、突起部28の高さを窪み部36の深さよりわずかに短くしてもよい。
【0021】
また、第1基幹部24の外枠面及び面一となる突起部28と板状緩衝材30の板状の第2基幹部32の外周面とは面一になる。このようにすることで、結合した緩衝材の突起部28が外装箱に梱包するときなどに引っ掛かり、緩衝材が分離することを防止できる。さらに軽圧入においては、突起部28又は窪み部36の一方又は両方の接触面が弾性変形して軽圧入され結合している。
【0022】
また、本実施形態の緩衝材50は、枠状緩衝材20の第1緩衝リブ26と板状緩衝材30の板状の第2基幹部32とが、別個の部材で、一方が均等に変形し他方は一方よりも変形しにくい部材にしている。
【0023】
図8(a)は
図6の緩衝材の正面図であり、
図8(b)はA-A方向から見た断面図である。
【0024】
本実施形態の緩衝材50において、落下時に被包装体14に掛かる衝撃加速度を受けて被包装体14が緩衝材50に緩衝する際、枠状緩衝材20の第1緩衝リブ26が変形するが、第1緩衝リブ26は枠状緩衝材20とは別体の板状緩衝材30の第2基幹部32による引張りなどの影響を受けない。そのため、第1緩衝リブ26が被包装体14との当接面に対して被包装体14が落下する垂直方向に均等に変形でき、第1緩衝リブ26は垂直方向に沿う板状の第2基幹部32の影響も回避できるので、緩衝効果を発揮できる。
【0025】
ここで、枠状緩衝材20の第1基幹部24は板状緩衝材30の第2基幹部32に対して当接しているが、枠状緩衝材20の第1緩衝リブ26は、板状緩衝材30の第2基幹部32に対して離間(D)していることが望ましい。第1緩衝リブ26が水平方向に変形しても、第2基幹部32から干渉(面当たり、又は摩擦)を受けないため、一層の緩衝効果を発揮できる。
【0026】
ところで、特許文献1には、ロの字型(中空方形)の第1の緩衝材と、第1緩衝材の内側に装着するコの字型の第2の緩衝材とにより緩衝材ブロックを構成する緩衝材が開示されている。
【0027】
しかし、この特許文献1の緩衝材ブロックは、第2の緩衝材が被包装体に当接し、第1の緩衝材は被包装体に当接せず、第1の緩衝材の外周が外装箱と当接する。被包装体に掛かる衝撃加速度を受けた際、緩衝するために第2緩衝材が均等に変形せず、その変形により第1の緩衝材も変形してしまう。したがって、本発明のように、別個の部材を用いた内リブ仕様における、衝撃緩衝機能の改善メカニズムは実現できない。
【0028】
次に、構成について説明する。
【0029】
(緩衝材の材料)
枠状緩衝材20及び板状緩衝材30は、発泡樹脂製包装材によって形成されることが望ましい。安価で、衝撃緩衝特性に優れた緩衝材を構成できる。また、これに代えて、パルプモールド製包装材、又はプラスチックシート製の真空成型包装材によって形成しても、同様に優れた衝撃緩衝特性の緩衝材を構成できる。
【0030】
(緩衝リブの個数)
枠状緩衝材20は、第1基幹部24の内側の異なる壁面又は同一の壁面に2つ以上の第1緩衝リブ26を設けてもよい。先の
図7に示すように、枠状の第1基幹部24の内側の4つの異なる壁面に第1緩衝リブ26を設けることで包装貨物の異なる方向への落下に対応でき、緩衝効果を向上できる。
【0031】
また、
図9に示すように、第1緩衝リブ26を、第1基幹部24の同一の壁面に2つ設けている。被包装体の形状及び重量に対して分散する適切な第1緩衝リブ26の配置をすることで、衝撃緩衝効果をさらに向上させることができる。また、このような複数の第1緩衝リブ26を他の壁面に設けるとさらによい。
【0032】
さらに、第2緩衝リブ34を、第2基幹部32の面上に2つ以上設けてもよい。
図10に示すように、2つのL字型の第2緩衝リブ34を各々の凹部が向かい合い、高さが同じになるように第2基幹部32の面上に設け、衝撃緩衝効果をさらに向上させることができる。
【0033】
続いて、枠状緩衝材と板状緩衝材の結合方式の変形例について説明する。
【0034】
(その1)
図11に示すように、枠状緩衝材20の第1基幹部24に爪形状の突起部28aが形成され、
図12に示すように、板状緩衝材30の第2基幹部32に凹形状部36aが形成されている。爪形状の突起部28aを凹形状部36aにスナップフィット係合させることで、枠状緩衝材20と板状緩衝材30とを結合できる(
図13)。
【0035】
スナップフィットとは、部品に設けた突部(爪形状の突起部28a)を、材料の弾性を利用して受け手側の凹部(凹形状部36a)にはめ込んで引っ掛けることにより、機械的に固定する組立て方法である。他の材料を必要としない簡易で安価な接合法であり、枠状緩衝材20と板状緩衝材30を十分な固定力で接合できる。
【0036】
(その2)
図14に示すように、枠状緩衝材20の第1基幹部24に矩形状の突起部28bが形成され、
図15に示すように、板状緩衝材30の第2基幹部32に窪み部36bが形成されている。矩形状の突起部28bを窪み部36bに軽圧入することで、枠状緩衝材20と板状緩衝材30とを結合できる。
【0037】
この構成も、他の材料を必要としない簡易で安価な接合法であり、枠状緩衝材20と板状緩衝材30の分離を抑制できる。
【0038】
また、
図16に示すように、矩形状の突起部28bは、面取り部(丸み)を有してもよい。軽圧入(嵌合)の際に、突起部28bの面取り部がガイドとなり、スムーズに窪み部36bに圧入(組立)できる。また
図15の窪み部36bに面取り部(丸み)を設けてもよいし、突起部28bと窪み部36bの両方に面取り部(丸み)を設けてもよい。
【0039】
(その3)
図17に示すように、枠状緩衝材20の第1基幹部24に円柱状の突起部28cが形成され、
図18に示すように、板状緩衝材30の第2基幹部32に穴部36cが形成されている。円柱状の突起部28cを穴部36cに軽圧入することで、枠状緩衝材20と板状緩衝材30とを結合できる(
図19)。
【0040】
なお、円柱状の突起部28c(及び/又は穴部36c)も、面取り部を有してよい。
【0041】
この構成もまた、他の材料を必要としない簡易で安価な接合法であり、枠状緩衝材20と板状緩衝材30の分離を抑制できる。
【0042】
上記3つの結合方式において、突起部28a、28b、28cを、それぞれ枠状緩衝材20の第1基幹部24に複数形成し、凹形状部36a、窪み部36b、及び穴部36cを、それぞれ板状緩衝材30の第2基幹部32に複数形成してもよい。
【0043】
以上説明した本実施形態の緩衝材50は、被包装体としての画像形成装置(例えば、複写機、印刷機など)やパソコン、家電機器などの平面を有する装置に装着され、外装箱(例えば、段ボール箱)に梱包されて包装システムに用いられる。この包装システムとしての包装貨物が配送及び荷役される。
【0044】
包装システムとして、被包装体1つあたりに本実施形態の緩衝材50を2つ(2パッド版)用いてもよい。包装貨物に発生し得る、(落下などによる)6方向からの衝撃に対し、緩衝効果を2つという少ない部品点数で発揮できる。
【0045】
また、これに代えて、包装システムとして、被包装体1つあたりに本実施形態の緩衝材50を4つ(4パッド版)用いてもよい。包装貨物に発生し得る、(落下などによる)6方向からの衝撃に対し、一層の緩衝効果を発揮できる。また、4点の緩衝材の内、2点の緩衝材については、被包装体と緩衝材をそれぞれ別途外装箱に格納できることから、包装の作業性及び包装工程の自動化にも適している。
【0046】
以上、実施形態を用いて本発明を詳細に説明した。この実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して使用できる。例えば、複数の有利な構成と変形例をそれぞれ組み合わせてもよい。
【0047】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
(態様1)
被包装体に装着される緩衝材であって、
枠形状の第1基幹部と、前記第1基幹部の内壁面に設けられた少なくとも1つの第1緩衝リブとを有する第1緩衝材と、
板状の第2基幹部と、前記第2基幹部の面上に設けられた少なくとも1つの第2緩衝リブとを有する第2緩衝材と、を備え、
前記第1緩衝材と前記第2緩衝材が結合されている緩衝材。
(態様2)
前記第1緩衝材の前記第1緩衝リブは、前記第2緩衝材の前記第2基幹部に対して離間していることを特徴とする態様1に記載の緩衝材。
(態様3)
前記第1緩衝材の前記第1基幹部に形成された爪形状の突起部が、前記第2緩衝材の前記第2基幹部に形成された凹形状部にスナップフィット係合することで、前記第1緩衝材と前記第2緩衝材が結合されることを特徴とする態様1又は2に記載の緩衝材。
(態様4)
前記爪形状の突起部は、前記第1緩衝材の前記第1基幹部に複数形成され、
前記凹形状部は、前記第2緩衝材の前記第2基幹部に複数形成されていることを特徴とする態様3に記載の緩衝材。
(態様5)
前記第1緩衝材の前記第1基幹部に形成された矩形状の突起部が、前記第2緩衝材の前記第2基幹部に形成された窪み部に軽圧入されることで、前記第1緩衝材と前記第2緩衝材が結合されることを特徴とする態様1又は2に記載の緩衝材。
(態様6)
前記矩形状の突起部及び/又は前記窪み部は、面取り部を有することを特徴とする態様5に記載の緩衝材。
(態様7)
前記矩形状の突起部は、前記第1緩衝材の前記第1基幹部に複数形成され、
前記窪み部は、前記第2緩衝材の前記第2基幹部に複数形成されていることを特徴とする態様5又は6に記載の緩衝材。
(態様8)
前記第1緩衝材の前記第1基幹部に形成された円柱状の突起部が、前記第2緩衝材の前記第2基幹部に形成された穴部に軽圧入されることで、前記第1緩衝材と前記第2緩衝材が結合されることを特徴とする態様1又は2に記載の緩衝材。
(態様9)
前記円柱状の突起部は、前記第1緩衝材の前記第1基幹部に複数形成され、
前記穴部は、前記第2緩衝材の前記第2基幹部に複数形成されていることを特徴とする態様8に記載の緩衝材。
(態様10)
前記第1緩衝リブは、前記第1基幹部の内壁面に2つ以上設けられていることを特徴とする、態様1乃至9のいずれか一項に記載の緩衝材。
(態様11)
前記第1基幹部の内側に、複数の壁面が形成され、
前記第1緩衝リブは、前記複数の壁面毎に2つ以上設けられていることを特徴とする態様1乃至10のいずれか一項に記載の緩衝材。
(態様12)
前記第2緩衝リブは、前記第2基幹部の面上に2つ以上設けられていることを特徴とする態様1乃至11のいずれか一項に記載の1に記載の緩衝材。
(態様13)
前記第1、第2緩衝材は、発泡樹脂製包装材によって形成されることを特徴とする態様1乃至12のいずれか一項に記載の緩衝材。
(態様14)
前記第1、第2緩衝材は、パルプモールド製包装材によって形成されることを特徴とする態様1乃至12のいずれか一項に記載の緩衝材。
(態様15)
前記第1、第2緩衝材は、プラスチックシート製の真空成型包装材によって形成されることを特徴とする態様1乃至12のいずれか一項に記載の緩衝材。
(態様16)
態様1乃至15のいずれか一項に記載の緩衝材が、被包装体1つあたりに2つ用いられることを特徴とする包装システム。
(態様17)
態様1乃至15のいずれか一項に記載の緩衝材が、被包装体1つあたりに4つ用いられることを特徴とする包装システム。
【符号の説明】
【0048】
10 基幹部
12 緩衝リブ
12a (緩衝リブと基幹部)の境界部
12b 緩衝リブの変形部分
12c 緩衝リブの変形部分
14 被包装体
22 収容空間
20 枠状緩衝材
22 収容空間
24 第1基幹部
26 第1緩衝リブ
28 突起部
28a 爪形状の突起部
28b 矩形状の突起部
28c 円柱状の突起部
30 板状緩衝材
32 第2基幹部
34 第2緩衝リブ
36 窪み部
36a 凹形状部
36b 窪み部
36c 穴部
50 緩衝材
S 当接面積
h 高さ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0049】