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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019061
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】半導体製造監視工程
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/52 20060101AFI20240201BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20240201BHJP
   C23C 16/54 20060101ALI20240201BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
C23C16/52
C23C16/455
C23C16/54
H01L21/31 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023120011
(22)【出願日】2023-07-24
(31)【優先権主張番号】63/369,698
(32)【優先日】2022-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・デッケルス
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ジェームズ・シェロ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA02
4K030AA09
4K030AA11
4K030AA12
4K030AA13
4K030AA14
4K030AA16
4K030AA17
4K030BA01
4K030BA38
4K030BA42
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA01
4K030EA03
4K030FA01
4K030FA10
4K030HA01
4K030KA39
4K030KA41
4K030LA15
5F045AA08
5F045AA15
5F045AB31
5F045AC03
5F045AC17
5F045AD01
5F045AE01
5F045BB10
5F045EE02
5F045EE17
(57)【要約】
【課題】半導体製造工程において前駆体容器中の固体前駆体の量を監視するための改善された方法および装置を提供する。
【解決手段】本発明は、半導体製造工程において前駆体容器中の固体前駆体の量を決定するための方法およびシステムを提供し、前駆体容器中の前駆体の量は、前駆体容器からプロセスチャンバへ流れるプロセスガス中の光吸収を単色測定によって測定することによって決定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造工程において前駆体容器中の固体前駆体の量を決定する方法であって、前記固体前駆体が、前記前駆体容器からプロセスチャンバへと、
・前記前駆体容器を通してキャリアガスを流し、それによって、前記キャリアガスおよび気化した固体前駆体を含むプロセスガスを生成することと、
・前記プロセスガスを、前記前駆体が基板と反応する前記プロセスチャンバに供給することと、によって提供され、
前記方法が、
・前記プロセスガス中の単色測定によって、そのプロセスガスの光吸収量を測定するステップと、
・前記プロセスガスの前記光吸収の前記測定に基づいて、前記前駆体容器中の前記前駆体の量を決定するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記プロセスガスの前記光吸収の前記測定が、前記前駆体容器を前記プロセスチャンバに流体接続するガスライン中のインライン測定である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロセスガスの前記光吸収の前記測定が、準定常状態測定を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記プロセスガスの前記光吸収の前記測定が、過渡的な測定を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、前記プロセスガスの前記光吸収の前記測定に基づいて、前記前駆体容器が枯渇する、および/または再充填を必要とする前の残り時間を決定するステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記前駆体容器中の前駆体の量を決定することが、前記プロセスガスの前記光吸収の前記測定に基づいて、前記前駆体容器中の前記前駆体の残量を決定することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、前記プロセスガスの前記光吸収の前記測定に基づいて、前記プロセスチャンバに送達される前記前駆体の量を決定するステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、前記プロセスガスの前記光吸収の前記測定に基づいて、前記キャリアガスの前記体積流量を調節することで、前記プロセスチャンバへの前記前駆体の前記送達を調整するステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記前駆体が金属を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
前記金属が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、または希土類金属から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記前駆体が、一つ以上のリガンドを含み、前記一つ以上のリガンドが、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキン、カルボニル、ジエニル、βジケトネート、置換または非置換シクロジエニル、置換または非置換アリールから選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項12】
前記前駆体がホモレプティックである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項13】
前記前駆体がヘテロレプティックである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項14】
前記前駆体が金属-炭素結合を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項15】
前記前駆体がパイ錯体を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも前駆体容器、プロセスチャンバ、および前記前駆体容器と前記プロセスチャンバとの間のガスラインとを含む半導体製造システムであって、前記システムが、前記ガスラインを通過するプロセスガスの光吸収を測定するために適合された、前記ガスライン上に位置付けられた単一波長吸収ベース検出システムをさらに含み、前記システムが、前記検出システムに通信可能に結合され、前記検出システムの測定から前記前駆体容器中の前記固体前駆体の量を決定するように構成されたコントローラをさらに含む、システム。
【請求項17】
前記検出システムが、少なくとも単色光源と、前記ガスライン中の単色光の吸収を測定するために適合された検出器を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記システムが、前記ガスラインを通る前記プロセスガスの前記体積流量を決定するための流量計をさらに含む、請求項16または17に記載のシステム。
【請求項19】
前記コントローラが、前記前駆体容器が枯渇する、および/または再充填を必要とする前の残り時間を決定するようにさらに構成される、請求項16または17に記載のシステム。
【請求項20】
請求項16または17に記載のシステムであって、
-前記コントローラが、前記プロセスチャンバに送達される前記前駆体の量を決定するようにさらに構成され、
-前記コントローラが、前記前駆体容器に残存する前記前駆体の量および/または前記プロセスチャンバへの前記前駆体の質量流量をさらなるシステムコントローラに伝達するように構成され、
-前記コントローラまたは前記システムコントローラが、前記前駆体容器に残存する前記前駆体の量および/または前記プロセスチャンバへの前記前駆体の質量流量をグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)上に表示するように構成され、前記コントローラまたは前記システムコントローラが、前記容器に残存する前記前駆体の量が所定の閾値を下回る時に、前記GUI上で警報メッセージを生成するようにさらに構成される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術の様々な態様は、概して半導体処理に関し、特に、半導体製造工程における前駆体容器中の固体前駆体の量を監視することに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体および半導体製造工程の進歩に伴い、製造工程中のより高い均一性およびプロセス制御が求められている。
【0003】
原子層堆積(ALD)などの工程中、ガス、液体、または固体の形態であり得るエピタキシーおよび化学蒸着(CVD)前駆体が、ワークピース上に堆積されるか、またはワークピースと接触させられる。これらの前駆体は、しばしば、前駆体コンテナまたは前駆体容器に保管され、そこから反応チャンバ内のワークピースに輸送される。
【0004】
工程が実施されている間、前駆体材料の消耗による製造欠陥を防止するために、前駆体容器中の前駆体の量を監視することが有利であり得る。前駆体容器中の前駆体材料の残量を監視する能力は、プロセス品質を保証し、前駆体容器の変化の効率的なスケジューリングを可能にし、高価な化学物質の使用を最大化し、在庫管理を改善するため、重要である。
【0005】
レベル感知はガス材料または液体材料については業界標準である一方、固体前駆体材料の残量を監視することはより複雑である。典型的には、前駆体材料は、前駆体容器を通してキャリアガスを流すことによって前駆体容器からプロセスチャンバに輸送され、それによって、キャリアガスおよび気化した固体前駆体を含むプロセスガスを生成し、それらが次いでプロセスチャンバに提供される。製造工程に採用されるプロセス条件(例えば、高温範囲、キャリアガスの使用など)のいくつかは、特に分解能および精度が重要となる場合に、既存のレベル感知システムでは前駆体レベルの監視が困難となる結果となる。
【0006】
したがって、半導体製造工程において前駆体容器中の固体前駆体の量を監視するための改善された方法および装置に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0007】
本開示の技術の様々な態様の第一の概要を本明細書で以下に示し、その後、特定の実施形態をより詳細に説明する。この概要は、より迅速に技術概念を理解する上で読者を支援することを意図しているが、その最も重要なまたは不可欠な特徴を特定することは意図しておらず、また本開示の範囲を限定することを意図してもおらず、これは特許請求の範囲によってのみ制限される。
【0008】
本開示の態様は、半導体製造工程において前駆体容器中の固体前駆体の量を決定する方法に関し、前記固体前駆体は、前記前駆体容器からプロセスチャンバへと、
・前記前駆体容器を通してキャリアガスを流し、それによって、前記キャリアガスおよび気化した固体前駆体を含むプロセスガスを生成することと、
・前記プロセスガスを、前記前駆体が基板と反応する前記プロセスチャンバに供給することと、によって提供され、
方法は、
・前記プロセスガス中の単色測定によって、そのプロセスガスの光吸収量を測定するステップと、
・そのプロセスガスの前記光吸収量の測定に基づいて、前記前駆体容器中の前記前駆体の量を決定するステップと、を含む。
【0009】
より具体的には、本明細書に開示される方法は、そのプロセスガスの前記光吸収量の測定が、前記前駆体容器を前記プロセスチャンバに流体接続するガスライン中のインライン測定であることを提供する。
【0010】
より具体的には、本開示による方法は、そのプロセスガスの前記光吸収量が、準定常状態測定を含むことを提供する。
【0011】
より具体的には、本明細書に開示される方法は、そのプロセスガスの前記光吸収量の前記測定が、過渡的な測定を含むことを提供する。
【0012】
より具体的には、本開示による方法は、前記方法は、そのプロセスガスの前記光吸収量の前記測定に基づいて、前記前駆体容器が枯渇する、および/または再充填を必要とする前の残り時間を決定するステップをさらに含むことを提供する。
【0013】
より具体的には、本明細書に開示される方法は、前記前駆体容器中の前駆体の量を決定することは、そのプロセスガスの前記光吸収量の前記測定に基づいて、前記前駆体容器中の前駆体の残量を決定することを含むことを提供する。
【0014】
より具体的には、本開示による方法は、前記方法は、そのプロセスガスの前記光吸収量の前記測定に基づいて、前記プロセスチャンバに送達される前駆体の量を決定するステップをさらに含むことを提供する。
【0015】
より具体的には、本明細書に開示される方法は、前記方法は、そのプロセスガスの前記光吸収量の前記測定に基づいて、前記キャリアガスの体積流量を調整することで、前記プロセスチャンバへの前記前駆体の送達を調整するステップをさらに含むことを提供する。
【0016】
より具体的には、本開示による方法は、前記前駆体が金属を含むことを提供する。より具体的には、前記金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、遷移金属、希土類金属、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0017】
より具体的には、本明細書に開示される方法は、前駆体が、一つ以上のリガンドを含むことを提供し、一つ以上のリガンドは、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキン、カルボニル、ジエニル、βジケトネート、置換または非置換シクロジエニル、置換または非置換アリール、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0018】
より具体的には、本開示による方法は、前駆体がホモレプティックまたはヘテロレプティックであることを提供する。
【0019】
より具体的には、本明細書に開示される方法は、前駆体が金属-炭素結合を含むことを提供する。
【0020】
より具体的には、本開示による方法は、前駆体が金属パイ錯体を含むことを提供する。
【0021】
本開示の別の態様は、少なくとも前駆体容器、プロセスチャンバ、および前記前駆体容器と前記プロセスチャンバとの間のガスラインとを含む半導体製造システムに関し、前記システムは、前記ガスラインを通過するプロセスガス中のそのプロセスガスの光吸収量を測定するために適合された、前記ガスライン上に位置付けられた単一波長吸収ベース検出システムをさらに含み、前記システムは、前記検出システムに通信可能に結合され、前記検出システムの測定から前記前駆体容器中の固体前駆体の量を決定するように構成されたコントローラをさらに含む。
【0022】
より具体的には、本明細書に開示されるシステムは、前記検出システムが、少なくとも単色光源と、前記ガスライン中の単色光の吸収を測定するために適合された検出器を含むことを提供する。
【0023】
より具体的には、本開示によるシステムは、前記システムが、前記ガスラインを通る前記プロセスガスの体積流量を決定するための流量計をさらに備えることを提供する。
【0024】
より具体的には、本明細書に開示されるシステムは、前記コントローラが、前駆体容器が枯渇する、および/または再充填を必要とする前の残り時間を決定するようにさらに構成されることを提供する。
【0025】
より具体的には、本開示によるシステムでは、前記コントローラが、前記プロセスチャンバに送達される前駆体の量を決定するようにさらに構成されることを提供する。
【0026】
より具体的には、本明細書に開示されるシステムでは、前記コントローラが、前記前駆体容器中に残存する前駆体の量および/または前記プロセスチャンバへの前記前駆体の質量流量をさらなるシステムコントローラに伝達するように構成されることを提供する。
【0027】
より具体的には、本開示によるシステムは、前記コントローラまたは前記システムコントローラは、前記前駆体容器中に残存する前駆体の量および/または前記プロセスチャンバへの前記前駆体の質量流量をグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)上に表示するように構成され、前記コントローラまたは前記システムコントローラは、前記容器に残存する前記前駆体の量が所定の閾値を下回る時に、前記GUI上で警報メッセージを生成するようにさらに構成されることを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下の図の説明は、単に例示的なものであって、その適用または使用を制限することを意図していない、本開示の特定の実施形態に関する。
【0029】
図1図1は、時間の関数でのプロセスガスの光吸収量を概略的に示し、プロセスガスは前駆体容器からプロセスチャンバに流れる。
図2図2は、本開示によるシステムの実施形態を概略的に示す。
図3図3は、過渡的な光吸収測定のためのシステム構成の実施形態を概略的に示す。
図4図4は、準定常状態の光吸収測定のためのシステム構成の実施形態を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の詳細な説明では、本開示の基礎となる技術は、その異なる態様によって説明される。本開示の態様は、概して本明細書に記載され、図に示されるように、多種多様な異なる構成で配置、置換、結合、および設計することができ、それらすべてが明示的に意図され、本開示の一部をなすことが容易に理解されよう。この説明は、より容易に技術概念を理解する上で読者を支援することを意図しているが、本開示の範囲を限定することを意図してもおらず、これは特許請求の範囲によってのみ制限される。
【0031】
本明細書全体を通して、「一実施形態(one embodiment)」または「実施形態(an embodiment)」への参照は、実施形態に関連して説明された特定の機能、構造、または特徴が、本開示の少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な場所での句「一実施形態において」または「実施形態において」の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すとは限らない。
【0032】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising、comprises、comprised of)」という用語は、「含む(including、includes)」または「含有する(containing、contains)」と同義であり、包括的またはオープンエンドの用語であり、追加の列挙されていない部材、要素または方法のステップを除外しない。列挙された部材、要素、または方法のステップを参照する場合、「含む(comprising、comprises、comprised of)」という用語は、前述の列挙された部材、要素、または方法のステップ「からなる(consist of)」実施形態も含む。単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、単数形および複数形の参照対象の両方を含む。
【0033】
本明細書で使用される場合、例えば「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、「下」、「底部」、「上部」、「~の下」などの相対的用語は説明目的で使用され、永久的な相対的位置を記述することを目的としてはいない。そのような用語は、適切な状況下で互換性があり、また本明細書に記述される実施形態は、文脈で別途明確に指示されない限り、本明細書に図示または記述されるもの以外の配向で動作できることが理解されるべきである。
【0034】
本明細書で物体が互いに「隣接する」と記述される場合は、記述された物体間の機能的関係を反映する。すなわち、用語は、記述された物体が、その語句が使用される文脈に適切な場合に、直接的(すなわち、物理的)または間接的(すなわち、近いまたは近接)な接触であり得る、指定された機能を実施するために隣接していなければならないことを示す。
【0035】
本明細書で物体が「接続された」または「結合された」と記述される場合は、記述された物体間の機能的関係を反映する。すなわち、用語は、記述された物体が、その語句が使用される文脈に適切な場合に、電気的または非電気的(すなわち、物理的)方法での直接的または間接的な接続であり得る、指定された機能を実施するために結合されていなければならないことを示す。
【0036】
本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、作用、特徴、特性、状態、構造、品目、または結果の完全なまたはほぼ完全な範囲または程度を指す。例えば、「実質的に」囲まれた物体は、物体が完全に囲まれているか、またはほぼ完全に囲まれていることを意味する。絶対的な完全性からの逸脱の正確な許容可能な程度は、場合によっては、特定の状況に依存してもよい。しかしながら、一般的に言えば、完了の近さは、絶対的な完了およびすべての完了が得られた場合と同じ全体的な結果を有するであろう。「実質的に」の使用は、作用、特徴、特性、状態、構造、品目、または結果の完全またはほぼ完全な欠如を指すように否定的な意味で使用される場合にも同様に適用される。
【0037】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、特定の文脈に応じて、所定の値が前記値または端点よりも「わずかに高い」か「わずかに低く」てもよいことを提供することによって、数値または範囲の端点に柔軟性を提供するように使用される。別段の記載がない限り、特定の数または数値範囲に従って「約」という用語を使用することは、「約」という用語がなくとも、このような数値または範囲を支持するものと理解されるべきである。例えば、「約30」の記載は、30の値よりもわずかに高い数値およびわずかに低い数値に対する支持を提供するだけでなく、実際の数値30に対しても支持を提供するものと解釈されるべきである。
【0038】
端点による数値範囲の記載は、それぞれの範囲内に推定されるすべての数および分数、ならびに記載された端点を含む。さらに、本明細書および特許請求の範囲における第一、第二、第三および同種の用語は、指定されない限り、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも連続的または時系列を記述するために使用されるものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下では互換性があり、また本明細書に記述される開示の実施形態は、本明細書に記述または図示されるもの以外の順序で動作できることが理解されるべきである。
【0039】
本明細書における参照は、性能(例えば、文脈によるが、結果の増加または減少)を「改善」する装置、構造、システム、または方法に対して行うことができる。別段の記載がない限り、かかる「改善」は、先行技術における装置、構造、システム、または方法との比較に基づいて得られる利益の尺度であることが理解されるべきである。さらに、改善された性能の程度は、開示された実施形態の間で変化し得ること、および改善された性能の量、程度、または実現における等価性または一貫性は、一般的に適用可能であると推定されないことが理解されるべきである。
【0040】
さらに、本開示の実施形態は、考察の目的で、構成要素の大部分がハードウェアのみで実装されたかのように図示および記述され得る、ハードウェア、ソフトウェア、および電子部品またはモジュールを含み得る。しかしながら、当業者であれば、この詳細な記述を読むことに基づき、少なくとも一つの実施形態では、本開示の電子ベースの態様が、マイクロプロセッサおよび/または特定用途向け集積回路などの一つ以上の処理ユニットによって実行可能なソフトウェア(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体上に格納された命令)に実装され得ることを認識するであろう。そのため、複数のハードウェアおよびソフトウェアベースの装置、ならびに複数の異なる構造の構成要素を利用して、本開示の技術を実装できることが注目される。例えば、本明細書に記述される「サーバ」および「コンピューティング装置」は、一つ以上の処理ユニット、一つ以上のコンピュータ可読媒体モジュール、一つ以上の入力/出力インターフェース、および構成要素を接続する様々な接続を含み得る。
【0041】
本開示の技術の様々な態様の概要を本明細書で以下に示し、その後、特定の実施形態をより詳細に説明する。この概要は、より迅速に技術概念を理解する上で読者を支援することを意図しているが、その最も重要なまたは不可欠な特徴を特定することは意図しておらず、また本開示の範囲を限定することを意図してもおらず、これは特許請求の範囲によってのみ制限される。特定の実施形態を説明する際には、添付図面を参照するが、これは、記載される実施形態の理解を助ける目的でのみ提供される。
【0042】
本明細書では、半導体製造工程における前駆体容器中の固体前駆体の量を決定するための方法およびシステムが開示されており、前駆体容器中の前駆体の量は、前駆体容器からプロセスチャンバに流れるプロセスガス中のプロセスガスの光吸収量を、単色測定によって測定することにより決定される。これにより、前駆体容器に残存する前駆体の量を迅速かつ正確に測定することができ、それによって容器の変化を効率的に予定し、化学物質の在庫管理を改善することができる。
【0043】
本明細書で言及されるように、「固体前駆体」という用語は、薄層または原子層として基板の表面に堆積される化学蒸着(CVD)および原子層堆積(ALD)などの半導体製造技術で使用される固体化学化合物を指す。前駆体材料は、プロセスチャンバ内で実行される特定のプロセスに基づいて選択されてもよい。
【0044】
本明細書で言及される場合、「単色測定」という用語は、フーリエ変換赤外線分光法(FTIR)などのより高価な広域スペクトル技術とは対照的に、単一波長を中心とする光を使用した測定を指す。単色放射線は、中心波長の周りにガウス強度分布を有する特定の波長帯内の光を含むことができる。理論上、単色光は正確には一つの波長のみを有するが、実際にはこれは不可能であり、したがって単色光は常に(小さな)帯域幅の波長からなる。例えば、GaSb/AlGaSb多重量子井戸ダイオードレーザーは、約1550nmの波長で赤外線領域の光を放射する。実際の強度分布は、光源の動作パラメータおよび温度に依存する。特定の実施形態では、波長帯域幅は100nm以下であり、より具体的には50nm以下である。特定の実施形態では、実際の発光スペクトルは、50nm、40nm、30nm、25nm、20nm、15nm、10nm、または5nmの波長範囲で限定される。
【0045】
本明細書で言及される場合、「プロセスチャンバ」という用語は、固体送達システムに結合される反応チャンバを指す。プロセスチャンバは、処理される基板(半導体ウエハまたはこれに類するものなど)を支持するために、その中に配置された基板支持体を有する内体積を含んでもよい。プロセスチャンバは、ALD、CVD、またはこれに類するもののために構成されてもよい。プロセスチャンバは、例えば、内体積内にプラズマを生成するための、または基板支持体上に配置された基板に無線周波数バイアスを提供するための、一つ以上の無線周波数または他のエネルギー源などの追加の構成要素を含む、処理システムをさらに含んでもよい。
【0046】
本開示の態様は、半導体製造工程において前駆体容器中の固体前駆体の量を決定する方法に関し、前記固体前駆体は、前記前駆体容器からプロセスチャンバへと、
・前記前駆体容器を通してキャリアガスを流し、それによって、前記キャリアガスおよび気化した固体前駆体を含むプロセスガスを生成することと、
・前記プロセスガスを、前記前駆体が基板と反応する前記プロセスチャンバに供給することと、によって提供され、
方法は、
・前記プロセスガス中の単色測定によって、プロセスガスの光吸収量を測定するステップと、
・プロセスガスの前記光吸収量の測定に基づいて、前記前駆体容器中の前記前駆体の量を決定するステップと、を含む。
【0047】
本明細書で言及される場合、「前駆体チャンバ」という用語は、プロセスチャンバに結合され、固体前駆体材料を含むチャンバを指す。本明細書で使用される前駆体チャンバのいくつかの例は、米国特許出願公開第20060216419号に記載されている。一部の前駆体チャンバは、特にチャンバの高さがチャンバの幅または直径よりも小さい場合に、低プロファイルを特徴とする。一部の実施形態では、前駆体チャンバの低プロファイルは、前駆体材料に高い表面積があり、前駆体容器中でその平衡蒸気圧力に到達するまで、固相から気相への前駆体の急速な蒸発を可能にすることを提供し得る。前駆体チャンバの低プロファイルは、前駆体容器中の前駆体の量の測定がより重要となる結果をもたらす。こうした測定は概して、比較的大きな初期充填レベルを有するより背の高い容器と比較して、低プロファイルの容器でより困難である。本明細書で使用される場合、低プロファイルの前駆体チャンバは、表面積および流路方向にわたって不均一な横方向の消費を示し、レベル感知要件をさらに複雑にする。しかしながら、本明細書に開示される方法およびシステムは、前駆体チャンバに残存する前駆体の量の効率的な監視を可能にし、特に低プロファイルの容器またはチャンバに好適な方法またはシステムである。本明細書に開示される方法およびシステムはまた、高温(120℃~200℃)、表面積および流路方向にわたる不均一な横方向の消費、ならびに前駆体チャンバ中のコールドスポットの存在に起因する前駆体チャンバ中の困難な感知条件からの影響を受けずに測定を行うことを可能にする。
【0048】
特に、本開示による方法では、前駆体は金属を含み、より具体的には、前記金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、遷移金属、希土類金属、またはそれらの組み合わせから選択される。前駆体はまた、一つ以上のリガンドを含んでもよく、一つ以上のリガンドは、H、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキン、カルボニル、ジエニル、βジケトネート、置換または非置換シクロジエニル、置換または非置換アリール、またはそれらの組み合わせから選択される。好適なハロゲンには、F、Br、Cl、および/またはIが含まれる。好適なアルキル、アルケニル、アルキン、ジエニル、およびシクロジエニルは、典型的にはC1~C8化合物である。シクロジエニルおよびアリール上の好適な置換基は、C1~C3アルキルを含む。好適なβジケトネートには、1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロペンタン-2,4-ジオン酸塩(hfac)および/または2,4-ペンタンジオン(hacac)が含まれる。特定の実施形態では、前駆体は、ホモレプティック化学化合物(全てのリガンドが同一である金属化合物)またはヘテロレプティック化学化合物(二つ以上の異なるタイプのリガンドを有する金属化合物)である。さらに特定の実施形態では、前駆体は金属-炭素結合を含む。さらに特定の実施形態では、前駆体はパイ錯体を含む。例示的な固体前駆体は、HfClである。
【0049】
より具体的には、本明細書に開示される方法は、プロセスガスの前記光吸収量の測定が、前記前駆体容器を前記プロセスチャンバに流体接続するガスライン中のインライン測定であることを提供する。
【0050】
より具体的には、本開示による方法は、プロセスガスの前記光吸収量の前記測定が、準定常状態測定または過渡的な測定を含むことを提供する。プロセスガス中の光吸収量を測定することにより、前駆体容器中の前駆体の量を決定することができる。プロセスガスの光吸収は、パルスの形態で濃度プロファイルを提供し、このパルス(例えば、幅、形状など)または一連のパルス(例えば、パルス間の時間遅延)の特徴は、前駆体容器中の前駆体の量に依存する。プロセスガスの光吸収は、前駆体、キャリアガスおよび/または他の物質(例えば、He)を含む、プロセスガス中に存在する化合物のいずれかについて測定することができる。
【0051】
典型的な半導体製造工程中、基板は、典型的には前駆体パルスおよび反応物質パルスを含む、複数の堆積サイクルを受ける。所定の量の堆積サイクル後、方法は終了する。このような前駆体パルスの間、固体前駆体は、前駆体容器を通してキャリアガスを流すことによって、前駆体容器からプロセスチャンバに輸送され、それによって、キャリアガスおよび気化した固体前駆体を含むプロセスガスを生成し、それらが次いでプロセスチャンバに提供される。図1に示すように、これは典型的には、特定の時間間隔で、前駆体容器からプロセスチャンバへの固体前駆体の輸送が起こるパルス列で発生する。パルスの後、前駆体容器を通るキャリアガスの流れは、所定の時間だけ停止され、蒸発によって気相前駆体濃度が増加する。一部の実施形態では、気相前駆体濃度は、前駆体容器中にその平衡蒸気圧に達するまで、蒸発によって増加する。別の方法としては、パルス間の時間は、前駆体容器中の前駆体分圧がその平衡蒸気圧に到達するために必要な時間よりも短くてもよい。こうした実施形態では、前駆体容器中の前駆体分圧は、次の前駆体パルスが開始する前に、必ずしもその平衡値に到達しない。単一の前駆体パルスは、3つの段階、
(1)前駆体容器を流れるキャリアガスの開始に対応する、パルスのアタック段階と、
(2)キャリアガスが前駆体容器を通って定常状態で流れ、蒸発した前駆体を混入する時点に対応する、パルスの持続段階と、
(3)キャリアガスが、前駆体容器から蒸発した前駆体を少なくとも部分的に枯渇させた時点に対応する、パルスのリリース段階と、を含むことができる。
【0052】
一般的に、パルスのアタック段階は非常に急勾配かつ瞬時であり得るが、前駆体容器中に残存する前駆体の量に関する情報は含まないことが予期される。パルスの持続段階は、理想的には一定かつ安定である。前駆体パルスの持続段階の高さは、前駆体の蒸気圧によって決定され、これは次いで、使用される前駆体のタイプおよび前駆体容器が維持される温度によって決定される。パルスの持続段階の長さは、前駆体容器中に残存する前駆体の量に関する情報を含み得る。前駆体パルスのリリース段階は、やがては前駆体濃度の着実な減少をもたらす。この減少の勾配は、前駆体容器中に残存する前駆体の量に関する情報を含み得る光吸収の減少に対応する。
【0053】
一部の実施形態では、前駆体充填レベルを決定することは、前駆体パルスの持続段階の長さの測定を含むことができる。
【0054】
より具体的には、本開示による方法は、プロセスガスの前記光吸収量の前記測定が、準定常状態測定を含むことを提供する。準定常状態測定は、複数のパルス、例えば、少なくとも1000パルスから最大で1,000,000パルスにわたって測定されたプロセスガスの平均光吸収量を提供することができる。準定常状態測定により、前駆体の時間平均濃度を測定するために、より低速でより感度の高いセンサを使用することが可能になり、これは、前駆体容器中に残存する前駆体の量と相関し得る。準定常状態測定に好適なセンサとしては、溶融石英光ファイバセンサ、カチオンドープされた溶融石英、カルコゲニドガラス、ヨウ素などの重ハロゲン化物を含むガラス、および中空コア繊維が挙げられる。好適な中空コア繊維は、動作波長の屈折率よりも小さな屈折率を有する異常分散を有する金属または誘電体から作製されたクラッディングを含み得る。準定常状態動作で使用するためのさらなる可能性のある光ファイバセンサとしては、ブラッグセンサ、他の光学センサ、インピーダンスセンサ、薄膜トランジスタガスセンサ、表面プラズモン共鳴に基づくガスセンサ、圧力、金属で被覆された先細りファイバを含むセンサ、マイクロミラーガスセンサ、ランダムホール光ファイバガスセンサ、空気誘導光束ギャップファイバ、および側開口部を有する光結晶ファイバが挙げられる。このようなセンサは、そのようなものとして、当技術分野で公知であることが理解されるべきである。準定常状態測定に適した光源は、紫外線領域、可視領域、または赤外線領域の光を放射する発光ダイオード(LED)などのLEDを含む。
【0055】
特定の実施形態では、プロセスガスの光吸収の前記測定は、前記前駆体容器を前記プロセスチャンバに流体接続するガスライン内のインライン測定であり、ガスライン内の温度は、前駆体源の温度よりも高く、反応チャンバの温度よりも低い。したがって、特定の実施形態では、プロセスガスの前記光吸収量の測定は、センサ、および任意選択的に光源および光検出器が、好ましくは200℃を超える温度で高温領域に位置付けられる、準定常状態測定を含む。特定の実施形態では、準定常状態測定システムは、ガスライン内に位置するブラッグ素子、およびガスラインの外側に位置する光源および光検出器(好ましくは、90℃未満の温度で低温環境において)を含み、光源および光検出器は、光ファイバ、特に、一つ以上のビームスプリッタを含む光ファイバを介して、ブラッグ素子に接続されている。特定の実施形態では、ブラッグ素子は、複数の規則的に間隔を置いたノッチを有する光ファイバケーブルである。この準定常状態測定システムは、ガスライン内の前駆体の濃度の感知を可能にする。プロセスガス中に存在する前駆体または分析物は、ブラッグ素子のノッチを含む、気相の屈折率および吸光係数を変化させる。したがって、プロセスガスの変化は、ブラッグ反射器による反射光の量を変化させ、これは、プロセスガス中の前駆体または分析物の濃度を示す。このタイプの検出システムは比較的遅い応答を有すると考えられるが、この準定常状態測定システムを使用して、多数のパルスにわたり平均化された前駆体濃度を測定することができる。
【0056】
特定の実施形態では、前駆体パルスの持続段階の長さは、前記前駆体容器中の前駆体の量を決定する。持続段階の長さが短いことは、前駆体容器に自由体積が小さいことを意味し、結果として、前駆体容器は大量の固体前駆体を含有する。より長い持続段階は、前駆体容器のより大きな自由体積によって引き起こされ、結果として、より少ない量の固体前駆体が前駆体容器に残存する。結果として、パルスの持続段階の長さから、前記前駆体容器中の固体前駆体の量を決定することができる。特に、パルスの持続段階の長さと前駆体容器中の固体前駆体の量との間には線形相関がある。
【0057】
より具体的には、本明細書に開示される方法は、プロセスガスの前記光吸収量の前記測定が過渡的な測定を含むことを提供する。本明細書で言及されるように、過渡的な測定は、プロセスガスの光吸収量の変化の測定から、前駆体源内に含まれる前駆体の量を導出することを意味する。当然のことながら、過渡的な測定は、単一のパルスのタイムスケールで発生する。単一のパルスのタイムスケールは、マイクロ秒から秒程度、例えば、ミリ秒から数十ミリ秒または数百ミリ秒程度とすることができる。過渡的な測定は、特に、前駆体パルスのリリース段階の勾配を測定することを意味することができる。前駆体パルスのリリース段階の勾配の測定などの過渡的な測定では、高速な応答時間(すなわち、前駆体パルス時間の減衰期間よりも短い、例えば、ミリ秒程度の応答時間)を有するより速いセンサが測定に使用されることを必要とする。
【0058】
過渡的な測定に適したセンサは、複数のミラーを含んでもよく、これは、光源と光検出器との間の気相中の光路長さを増加するために好適に用いられ得る。
【0059】
過渡的な測定に好適な光源には、冷却されたレーザー、例えば、少なくとも5℃から最大で15℃の温度で作動するレーザー、量子カスケードレーザー、およびバンド間カスケードレーザーが含まれ得る。
【0060】
過渡的な測定に好適な光検出器は、赤外線光検出器、紫外線光検出器、および可視光検出器とすることができる。
【0061】
特定の実施形態では、プロセスガスの光吸収の前記測定は、前記前駆体容器を前記プロセスチャンバに流体接続するガスライン内のインライン測定であり、ガスライン内の温度は、前駆体源の温度よりも高く、反応チャンバの温度よりも低い。したがって、特定の実施形態では、プロセスガスの前記光吸収量の測定は、光源および光検出器が低温領域(好ましくは50℃未満の温度)内に位置付けられ、光が光ファイバを介してガスラインにもたらされる、過渡的な測定を含む。光は、所定の距離の間、ガスラインを通って自由に移動する。ガスライン内の前駆体または分析物濃度は、ガスラインを通過する光の光吸収に影響を与え、したがってプロセスガス中の前駆体または分析物の濃度の測定を可能にする。ガスライン内の温度は、例えば、少なくとも100℃~最大で400℃とすることができる。
【0062】
特定の実施形態では、前駆体パルスのリリース段階の勾配は、前記前駆体容器中の前駆体の量を決定する。迅速な放出、よってリリース段階の急激な減少は、前駆体容器の自由体積が小さいことを意味し、その結果、前駆体容器は大量の固体前駆体を含有する。より緩徐な放出、よって急激でないリリース段階は、前駆体容器のより大きな自由体積によるもので、結果として、より少ない量の固体前駆体が前駆体容器内に残存する。結果として、パルスのリリース段階の勾配から、前記前駆体容器中の固体前駆体の量を決定することができる。特に、一対一の関係、例えば、線形相関が、パルスのリリース段階の勾配と前駆体容器中の固体前駆体の量との間にある。
【0063】
したがって、特定の実施形態では、前記前駆体容器中の前駆体の量は、前駆体パルスのプロセスガスの光吸収量を測定することによって、特に、前駆体パルスの持続段階の長さおよび/または前駆体パルスのリリース段階の勾配を測定することによって決定される。
【0064】
さらに別の実施形態では、前駆体パルスの持続段階の高さはまた、前駆体容器がほぼ空であるという表示を提供してもよい。パルスの持続段階の高さの減少は、気相を完全に飽和させるのに十分な前駆体が前駆体容器内に存在しないことによって生じ得る。プロセスガスの光吸収量は蒸気圧に達しないため、以前の前駆体パルスと比較して、パルスの持続段階の高さは減少する。
【0065】
準定常状態測定は、例えば、少なくとも100から最大で100,000の前駆体パルスを一連の二つ以上の前駆体パルスにわたって実施できることが理解されるべきである。こうした測定は、パルスの量に対する平均光吸収値を示す光吸収信号を提供し、時間的には、不十分な前駆体が前駆体チャンバから提供される時に、測定された平均光吸収は低くなる。したがって、測定された平均光吸収は、前駆体容器中の前駆体の量と相関し、前駆体容器中の固体前駆体の残量を決定することができる。
【0066】
本明細書に開示される特定の測定方法は、前駆体容器中の前駆体の残量の効率的な測定を可能にする。本明細書で使用される場合、感知技術は、特にプロセスガス中の少量の前駆体を検出するのに適している。典型的には、プロセスガスは、1.0%~2.0%の前駆体、および98.0%~99.0%のキャリアガスを含む。
【0067】
本明細書に記載する測定において、典型的には、パルス中の前駆体の濃度プロファイルは、前駆体容器中の前駆体の量に依存するが、これは、パルス中のキャリアガスの濃度プロファイル、または例えば、パルス中のキャリアガスと共に提供されるHeなどの希ガスなど、分析物と呼ばれる別の物質の濃度プロファイルにも由来し得ることが明らかである。パルス幅とパルス形状(例えば、テールの勾配)、または前駆体の二つ以上のパルスの間の時間遅延、キャリアガス、および/または分析物の濃度の違いは、前駆体容器中の前駆体の量に依存し得る。したがって、本明細書に記載の測定は、典型的には、前駆体容器中の前駆体の量を決定するためのプロセスガス中の前駆体の量の測定を指すが、これはまた、キャリアガスおよび/または分析物の濃度を測定することによっても行うことができる。
【0068】
より具体的には、本開示による方法は、前記方法が、光吸収信号の前記測定に基づいて、前記前駆体容器が枯渇する、および/または再充填を必要とする前の残り時間を決定するステップをさらに含むことを提供する。
【0069】
より具体的には、本明細書に開示される方法は、前記前駆体容器中の前駆体の量を決定することは、光吸収信号の前記測定に基づいて、前記前駆体容器中の前駆体の残量を決定することを含むことを提供する。
【0070】
より具体的には、本開示による方法は、前記方法が、光吸収信号の前記測定に基づいて、前記プロセスチャンバに送達される前駆体の量を決定するステップをさらに含むことを提供する。反応チャンバ内で発生する半導体製造プロセスは、典型的には、基板が多数の堆積サイクルに供される、周期的堆積プロセス(例えば、原子層堆積)である。堆積サイクルは、典型的には、前駆体パルスおよび反応物質パルスを含み、これは、所定の量の堆積サイクルに対して繰り返され、その後に方法が終了する。前駆体パルスの間、基板は前駆体に曝露され、それと反応する。前駆体材料は、プロセスチャンバ内で実行される特定のプロセスに基づいて選択されてもよい。反応物質パルスの間、基板は反応物質に曝露され、それと反応する。特定の実施形態では、反応物質は、CHなどの炭素反応物質、NHなどの窒素反応物質、Hなどの水素反応物質、およびOなどの酸素反応物質を含む。
【0071】
吸収信号の測定は、前駆体容器中に残存する前駆体の量を決定するためのフィードバックを提供する一方で、この情報は、プロセスチャンバにフィードバックを提供するためにも使用され得る。これは、例えば、正しい量の前駆体がプロセスチャンバに供給されたことを示すために使用され得て、早期の誤差検出を可能にする。プロセスチャンバに送達される前駆体の量に関するこの情報は、半導体製造工程の品質の事後評価をさらに可能にする。
【0072】
より具体的には、本明細書に開示される方法は、前記方法が、プロセスガスの前記光吸収量の前記測定に基づいて、前記キャリアガスの体積流量を調節することで、前記プロセスチャンバへの前記前駆体の送達を調整する工程をさらに含むことを提供する。
【0073】
本開示の別の態様は、少なくとも前駆体容器、プロセスチャンバ、および前記前駆体容器と前記プロセスチャンバとの間のガスラインとを含む半導体製造システムに関し、前記システムは、前記ガスラインを通過するプロセスガス中の光吸収量を測定するために適合された、前記ガスライン上に位置付けられた単一波長吸収ベース検出システムをさらに含み、前記システムは、前記検出システムに通信可能に結合され、前記検出システムの測定から前記前駆体容器中の固体前駆体の量を決定するように構成されたコントローラをさらに含む。
【0074】
本明細書で使用される単一波長吸収ベース検出システムは、プロセスチャンバと前駆体チャンバを接続するガスライン内の単色光の吸収を測定するシステムである。一部の実施形態では、システムは、ガスライン内の前駆体量の時間平均測定を提供する。検出システムは、準定常状態測定および/または過渡的な測定のいずれかに適合されてもよい。
【0075】
より具体的には、本明細書に開示されるシステムは、前記検出システムが、少なくとも単色光源と、前記ガスライン内の単色光の吸収を測定するために適合された検出器を含むことを提供する。検出システムの光源、検出器、および光ファイバは、使用される特定の前駆体の吸収ピークと合致する。
【0076】
より具体的には、本開示によるシステムは、前記システムが、前記ガスラインを通る前記プロセスガスの体積流量を決定するための流量計をさらに含むことを提供する。流量計の使用により、吸収に基づく測定のより良好な評価が可能になり、前駆体チャンバ内の固体前駆体の残量のより効率的かつ安全な監視が可能となる。
【0077】
より具体的には、本明細書に開示されるシステムは、前記コントローラが、前駆体容器が枯渇する、および/または再充填を必要とする前の残り時間を決定するようにさらに構成されることを提供する。
【0078】
より具体的には、本開示によるシステムでは、前記コントローラが、前記プロセスチャンバに送達される前駆体の量を決定するようにさらに構成されることを提供する。
【0079】
より具体的には、本明細書に開示されるシステムでは、前記コントローラが、前記前駆体容器に残存する前駆体の量および/または前記プロセスチャンバへの前記前駆体の質量流量をさらなるシステムコントローラに伝達するように構成されることを提供する。
【0080】
より具体的には、本開示によるシステムは、前記コントローラまたは前記システムコントローラは、前記前駆体容器中に残存する前駆体の量および/または前記前駆体の前記プロセスチャンバへの質量流量をグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)上に表示するように構成され、前記コントローラまたは前記システムコントローラは、前記容器に残存する前記前駆体の量が所定の閾値を下回る時に、前記GUI上で警報メッセージを生成するようにさらに構成されることを提供する。
【0081】
「コントローラ」は、その動作を制御するために、処理システムの様々な構成要素に結合されてもよい。コントローラは一般に、中央処理装置(CPU)、メモリ、およびCPUのサポート回路を含む。コントローラは、処理システムを直接制御するか、または特定のプロセスチャンバおよび/またはサポートシステム構成要素に関連付けられたコンピュータ(またはコントローラ)を介して制御してもよい。コントローラは、様々なチャンバおよびサブプロセッサを制御するための産業場面で使用することができる、任意の形態の汎用コンピュータプロセッサのうちの一つであってもよい。CPUのメモリ、またはコンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、NANDメモリ、読み出し専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、フラッシュ、または任意の他の形態のデジタルストレージ、ローカルまたはリモートなどの、容易に利用可能なメモリのうちの一つ以上であってもよい。サポート回路は、従来的な様式でプロセッサを支持するためにCPUに結合される。これらの回路には、キャッシュ、電源、クロック回路、入力/出力回路およびサブシステムなどが含まれる。本明細書に記載される発明の方法は、本明細書に記載される様式で処理システムの動作を制御するために実行または起動され得るソフトウェアルーチンとしてメモリに保管されてもよい。ソフトウェアルーチンはまた、CPUによって制御されるハードウェアから遠隔に位置する第二のCPU(図示せず)によって保管および/または実行されてもよい。
【0082】
本明細書に記載の例示的なシステムを図2に示す。図2は、本開示のなおも別の例示的な実施形態によるシステム(200)を例示する。システム(200)は、本明細書に記載の方法を実施するために、および/または本明細書に記載の構造または装置部分を形成するために使用され得る。
【0083】
図示した実施例では、システム(200)は、一つ以上の反応チャンバ(202)、前駆体ガス源(204)、反応物質ガス源(206)、パージガス源(208)、排気装置(210)、およびコントローラ(212)を含む。
【0084】
反応チャンバ(202)は、任意の好適な反応チャンバ、例えばALDまたはCVD反応チャンバを含むことができる。
【0085】
前駆体ガス源(204)は、容器、および本明細書に記載の一つ以上の前駆体を、単独で、または一つ以上のキャリアガス(例えば、希ガス)と混合して含むことができる。反応物質ガス源(206)は、容器、および本明細書に記載の一つ以上の反応物質を、単独で、または一つ以上のキャリアガスと混合して含むことができる。パージガス源(208)は、一つ以上の希ガス(He、Ne、Ar、Kr、Xeなど)を含むことができる。四つのガス源(204)~(208)で示されているが、システム(200)は任意の好適な数のガス源を含み得る。ガス源(204)~(208)は、それぞれがフローコントローラ、バルブ、ヒーターなどを含み得るライン(214)~(218)を介して、反応チャンバ(202)に連結され得る。好適には、反応チャンバ(202)に前駆体源(204)を接続するライン(214)などのライン(214)~(218)の少なくとも一つは、そのラインを通って流れるガス流における光吸収を測定するための光吸収感知システムを含む。好適な吸収感知システムは、本明細書の他の箇所で記述されている。例示的な吸収ガス感知システムが、図3および4に記載される。
【0086】
排気装置(210)は、1つ以上の真空ポンプを含むことができる。
【0087】
コントローラ(212)は、システム(200)に含まれるバルブ、マニホールド、ヒーター、ポンプ、および他の構成要素を選択的に動作させるための電子回路ならびにソフトウェアを含む。このような回路および構成要素は、前駆体、およびパージガスを、それぞれの源(204)~(208)から、導入するように動作する。コントローラ(212)は、ガスパルスシーケンスのタイミング、基板および/または反応チャンバの温度、反応チャンバ内の圧力、ならびに様々な他の動作を制御して、システム(200)の適切な動作を提供することができる。コントローラ(212)は、反応チャンバ(202)内外への前駆体、反応物質、およびパージガスの流れを制御するために、バルブを電気的にまたは空気圧で制御するための制御ソフトウェアを含むことができる。コントローラ(212)は、特定のタスクを実行するソフトウェアまたはハードウェアコンポーネント、例えばFPGAまたはASICなどの、モジュールを含むことができる。モジュールは、有利なことに、制御システムのアドレス指定可能な記憶媒体上に存在するように構成され、一つ以上のプロセスを実行するように構成されることができる。
【0088】
異なる数および種類の前駆体源および反応物質源ならびにパージガス源を含む、システム(200)の他の構成が可能である。さらに、反応チャンバ(202)内へ選択的にガスを供給するという目的を達成するために使用され得るバルブ、導管、前駆体源、およびパージガス源の多くの配置があることが理解されるであろう。さらに、システムの概略図として、説明を簡単にするために多くの構成要素が省略されていて、このような構成要素は、例えば、様々なバルブ、マニホールド、精製器、ヒーター、容器、通気孔、および/またはバイパスを含んでもよい。
【0089】
反応器システム(200)の動作中に、半導体ウエハなどの基板(図示せず)が、例えば基板ハンドリングシステムから反応チャンバ(202)に搬送される。基板が反応チャンバ(202)に搬送されると、ガス源(204)~(208)からの、例えば前駆体、反応物質、キャリアガス、および/またはパージガスなどの一つ以上のガスが、反応チャンバ(202)の中に導入される。
【0090】
図3は、インライン測定が前駆体容器とプロセス反応器との間のガスラインで発生する吸収ガス感知システムを示す。単色光源および光検出器(photodetector)または光検出器(light detector)は、好ましくは90℃未満の低温環境でガスラインの外側に位置する。プロセスガスの光吸収量の過渡的な測定のために、光が光ファイバを介してガスライン内にもたらされる。光は、所定の距離の間、ガスラインを自由に通過して移動し、その間、ガスライン内の前駆体、キャリアガスおよび/または分析物濃度はガスラインを通過する光の光吸収に影響を与え、したがってプロセスガス中の前駆体、キャリアガスまたは分析物の濃度の測定を可能にする。これらの測定値から、前駆体容器中の前駆体の量を決定することができる。
【0091】
図4は、図3と同様に、インライン測定が前駆体容器とプロセス反応器との間のガスラインで発生する吸収ガス感知システムを示す。単色光源および光検出器(photodetector)または光検出器(light detector)は、好ましくは90℃未満の低温環境でガスラインの外側に位置する。準定常状態測定のために、ブラッグ素子などの光ファイバセンサがガスライン内に配置される。単色光源および光検出器は、低温環境、好ましくは90℃未満の温度でガスラインの外側に位置付けられ、光源および光検出器は、光ファイバ、特に一つ以上のビームスプリッタを含む光ファイバを通して、光ファイバセンサに接続される。この準定常状態測定システムは、プロセスガス中の前駆体、キャリアガス、または分析物の濃度の感知を可能にする。プロセスガス中の前駆体、キャリアガスまたは分析物は、気相の屈折率および吸光係数を変化させる。したがって、プロセスガスの変化は、光ファイバセンサによる反射光および透過光の量のうちの少なくとも一つで発生し、これは、プロセスガス中の前駆体、キャリアガスまたは分析物の濃度を示す。これらの測定値から、前駆体容器中の前駆体の量を決定することができる。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】