(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000193
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】ダブルバルーン式内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/01 20060101AFI20231225BHJP
【FI】
A61B1/01 513
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098826
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
(71)【出願人】
【識別番号】510097747
【氏名又は名称】国立研究開発法人国立がん研究センター
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼松 利寛
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 勇斗
(72)【発明者】
【氏名】竹村 裕
(72)【発明者】
【氏名】池松 弘朗
(72)【発明者】
【氏名】新村 健介
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA04
4C161FF36
4C161GG25
(57)【要約】
【課題】ダブルバルーン式内視鏡において、外部からの操作で長尺部の先端部分だけが湾曲する構成と比して、ダブルバルーン式内視鏡の長尺部と検査対象の屈曲部の内壁とが干渉するのを抑制することである。
【解決手段】ダブルバルーン式内視鏡は、長尺状で、先端部に膨張収縮する一のバルーンを有し、先端部分が外部からの操作で湾曲可能とされる長尺部と、筒状で、長尺部が進退可能に収納され、先端部に膨張収縮する他のバルーンを有し、先端部分が外部からの操作で湾曲可能とされた筒部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状で、先端部に膨張収縮する一のバルーンを有し、先端部分が外部からの操作で湾曲可能とされる長尺部と、
筒状で、前記長尺部が進退可能に収納され、先端部に膨張収縮する他のバルーンを有し、先端部分が外部からの操作で湾曲可能とされた筒部と、
を備えるダブルバルーン式内視鏡。
【請求項2】
前記筒部の基端部に取り付けられた一の台と、
前記筒部の基端部から突出した前記長尺部の基端部に取り付けられた他の台と、
前記一の台と前記他の台とを相対移動させる相対移動部材と、
を備える請求項1に記載のダブルバルーン式内視鏡。
【請求項3】
前記筒部において湾曲可能とされた先端部分を構成し、長手方向に並べられると共に互いに回動可能とされた複数の湾曲片と、
前記長手方向から見て前記湾曲片の周方向に間隔をあけて複数設けられ、前記長手方向に延びると共に複数の前記湾曲片を貫通し、牽引されることで複数の前記湾曲片を回動させて前記筒部の先端部分を湾曲させる牽引ワイヤであって、前記筒部の先端部分の基端部から前記筒部の基端部に向けて前記長尺部の周囲に螺旋状に配置されている前記牽引ワイヤと、
を備える請求項1に記載のダブルバルーン式内視鏡。
【請求項4】
前記筒部の基端部に取り付けられた一の台と、
複数の前記牽引ワイヤの基端部に取り付けられ、複数の前記牽引ワイヤを牽引する牽引部と、
前記牽引部を前記一の台に対して前記長手方向の移動を可能とするフリー状態と、前記牽引部を前記一の台に対して長手方向の移動を不能とするロック状態とに切り替える切替部と、
を備える請求項3に記載のダブルバルーン式内視鏡。
【請求項5】
前記長尺部において湾曲可能とされた先端部分を構成し、長手方向に並べられると共に互いに回動可能とされた複数の他の湾曲片と、
前記長手方向から見て前記他の湾曲片の周方向に間隔をあけて複数設けられ、前記長手方向に延びると共に複数の前記他の湾曲片を貫通し、牽引されることで複数の前記他の湾曲片を回動させて前記長尺部の先端部分を湾曲させる他の牽引ワイヤと、
複数の前記他の牽引ワイヤの基端部に取り付けられ、複数の前記他の牽引ワイヤを牽引する他の牽引部と、
前記他の牽引部を前記他の台に対して前記長手方向の移動を可能とするフリー状態と、前記他の牽引部を前記他の台に対して前記長手方向の移動を不能とするロック状態とに切り替える他の切替部と、
を備える請求項2に記載のダブルバルーン式内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダブルバルーン式内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の内視鏡の挿入部を挿入案内する挿入補助具は、本体チューブを有し、この本体チューブには挿通孔が軸方向に形成される。各挿通孔にはワイヤが挿通配置され、各ワイヤの先端は本体チューブに固定される。挿入補助具の基端部には、ワイヤの基端部をロックするロック部材が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダブルバルーン式内視鏡は、先端部に膨張収縮する一のバルーンを有する長尺部と、筒状で、長尺部が進退可能に収納され、先端部に膨張収縮する他のバルーンを有する筒部とを備えている。そして、外部からの操作で長尺部の先端部分が湾曲するようになっている。
【0005】
従来、このダブルバルーン式内視鏡を用いて、例えば、屈曲部を有する検査対象の大腸の内壁を検査する場合には、長尺部が筒部に収納された状態で、肛門からダブルバルーン式内視鏡の筒部を大腸に挿入する。そして、ダブルバルーン式内視鏡の筒部と大腸の内壁との干渉を避けるため、屈曲部の手前で筒部を停止させ、筒部から長尺部を進行方向に突出させる。ここで、長尺部と大腸の内壁との干渉を避けるため、長尺部を筒部から突出させるときには、外部からの操作で長尺部を湾曲させながら突出させる。しかし、先端部が湾曲した状態の長尺部が筒部の延在方向へ突出して、長尺部が大腸の内壁と干渉してしまうことがある。
【0006】
本開示の課題は、ダブルバルーン式内視鏡において、外部からの操作で長尺部の先端部分だけが湾曲する構成と比して、ダブルバルーン式内視鏡の長尺部と検査対象の屈曲部の内壁とが干渉するのを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様に係るダブルバルーン式内視鏡は、長尺状で、先端部に膨張収縮する一のバルーンを有し、先端部分が外部からの操作で湾曲可能とされる長尺部と、筒状で、前記長尺部が進退可能に収納され、先端部に膨張収縮する他のバルーンを有し、先端部分が外部からの操作で湾曲可能とされた筒部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
第1態様によれば、長尺部が筒部に収納された状態で、屈曲部を有する検査対象へ筒部を挿入する。さらに、検査対象の屈曲部に沿わせるように、検査対象に挿入された筒部の先端部分を外部からの操作で湾曲させる。この状態で、筒部の他のバルーンを膨張させることで、筒部の先端部分が検査対象の所定の位置に固定される。
【0009】
筒部の先端部分が検査対象の所定の位置に固定された状態で、長尺部を筒部から突出させ、突出した長尺部の一のバルーンを膨張させることで、長尺部の先端部分が検査対象の所定の位置に固定される。さらに、他のバルーンを収縮させ、筒部のみを進行させる。そして、一のバルーンを収縮させる。この工程を繰り返すことで、長尺部の先端が、検査対象部位に到達する。
【0010】
以上説明したように、検査対象の屈曲部に沿わせるように、検査対象に挿入された筒部の先端部分を外部からの操作で湾曲させ、この状態で、長尺部を筒部から突出させる。このため、ダブルバルーン式内視鏡において、外部からの操作で長尺部の先端部分だけが湾曲する構成と比して、ダブルバルーン式内視鏡の長尺部と検査対象の屈曲部の内壁とが干渉するのを抑制することができる。
【0011】
本開示の第2態様に係るダブルバルーン式内視鏡は、第1態様に記載のダブルバルーン式内視鏡において、前記筒部の基端部に取り付けられた一の台と、前記筒部の基端部から突出した前記長尺部の基端部に取り付けられた他の台と、前記一の台と前記他の台とを相対移動させる相対移動部材と、を備えることを特徴とする。
【0012】
第2態様によれば、相対移動部材が、一の台と他の台とを相対移動させることで、筒部に対して長尺部を進退させることができる。
【0013】
本開示の第3態様に係るダブルバルーン式内視鏡は、第1態様に記載のダブルバルーン式内視鏡において、前記筒部において湾曲可能とされた先端部分を構成し、長手方向に並べられると共に互いに回動可能とされた複数の湾曲片と、前記長手方向から見て前記湾曲片の周方向に間隔をあけて複数設けられ、前記長手方向に延びると共に複数の前記湾曲片を貫通し、牽引されることで複数の前記湾曲片を回動させて前記筒部の先端部分を湾曲させる牽引ワイヤであって、前記筒部の先端部分の基端部から前記筒部の基端部に向けて前記長尺部の周囲に螺旋状に配置されている前記牽引ワイヤと、を備えることを特徴とする。
【0014】
第3態様によれば、長手方向に並べられた湾曲片の周方向に間隔をあけて複数設けられ、長手方向に延びると共に複数の湾曲片を貫通し、牽引されることで複数の湾曲片を回動させて先端部分を湾曲させる牽引ワイヤは、長尺部の周囲に螺旋状に配置されている。このため、筒部において先端部分に対して基端側の部分が反った場合に、牽引ワイヤが、長尺部の周囲に長手方向に沿って配置されている場合と比して、筒部の先端部分を湾曲させるときの牽引ワイヤの牽引量を少なくすることができる。
【0015】
本開示の第4態様に係るダブルバルーン式内視鏡は、第3態様に記載のダブルバルーン式内視鏡において、前記筒部の基端部に取り付けられた一の台と、複数の前記牽引ワイヤの基端部に取り付けられ、複数の前記牽引ワイヤを牽引する牽引部と、前記牽引部を前記一の台に対して前記長手方向の移動を可能とするフリー状態と、前記牽引部を前記一の台に対して長手方向の移動を不能とするロック状態とに切り替える切替部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
第4態様によれば、切替部を用いて、筒部の先端部分を湾曲させるときにロック状態とし、筒部の先端部分を湾曲させる必要がないときにフリー状態とする。これにより、筒部をスムーズに検査対象の内部を進行させることができる。
【0017】
本開示の第5態様に係るダブルバルーン式内視鏡は、第2態様に記載のダブルバルーン式内視鏡において、前記長尺部において湾曲可能とされた先端部分を構成し、長手方向に並べられると共に互いに回動可能とされた複数の他の湾曲片と、前記長手方向から見て前記他の湾曲片の周方向に間隔をあけて複数設けられ、前記長手方向に延びると共に複数の前記他の湾曲片を貫通し、牽引されることで複数の前記他の湾曲片を回動させて前記長尺部の先端部分を湾曲させる他の牽引ワイヤと、複数の前記他の牽引ワイヤの基端部に取り付けられ、複数の前記他の牽引ワイヤを牽引する他の牽引部と、前記他の牽引部を前記他の台に対して前記長手方向の移動を可能とするフリー状態と、前記他の牽引部を前記他の台に対して前記長手方向の移動を不能とするロック状態とに切り替える他の切替部と、を備えることを特徴とする。
【0018】
第5態様によれば、他の切替部を用いて、長尺部の先端部分を湾曲させるときにロック状態とし、長尺部の先端部分を湾曲させる必要がないときにフリー状態とする。これにより、長尺部をスムーズに検査対象の内部を進行させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本開示のダブルバルーン式内視鏡によれば、ダブルバルーン式内視鏡において、外部からの操作で長尺部の先端部分だけが湾曲する構成と比して、ダブルバルーン式内視鏡の長尺部と検査対象の屈曲部の内壁とが干渉するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡の全体を示し、一の台と他の台とが離間した状態を示した概略斜視図である。
【
図2】本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡の全体を示し、一の台と他の台とが近接した状態を示した概略斜視図である。
【
図3】本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡の長尺部の先端部分を示した斜視図である。
【
図4】(A)(B)(C)本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡の長尺部の先端部分の部品構成を示した図面である。
【
図5】(A)(B)本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡の長尺部のバルーンを収縮させた状態、及び膨張させた状態を示した斜視図である。
【
図6】本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡の筒部の先端部分を示した斜視図である。
【
図7】(A)(B)(C)本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡の筒部の先端部分の部品構成を示した図面である。
【
図8】(A)(B)本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡の筒部のバルーンを収縮させた状態、及び膨張させた状態を示した斜視図である。
【
図9】本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡の一の台と他の台の全体を示し、一の台と他の台とが離間した状態を示した斜視図である。
【
図10】本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡の一の台と他の台の全体を示し、一の台と他の台とが近接した状態を示した斜視図である。
【
図11】本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡の一の台を示した斜視図である。
【
図12】(A)(B)本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡の一の台を示し、スライド部の移動が許容された状態と、スライド部の移動が規制された状態とを示した平面図である。
【
図13】本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡の一の台を示した側面図である。
【
図14】本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡に設けられた一対のプーリーを示した斜視図である。
【
図15】本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡の他の台を示した斜視図である。
【
図16】(A)(B)本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡の他の台を示し、スライド部の移動が許容された状態と、スライド部の移動が規制された状態とを示した平面図である。
【
図17】本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡の他の台を示した側面図である。
【
図18】本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡の一の台と他の台の全体を示し、一の台と他の台とが離間した状態を示した側面図である。
【
図19】本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡の一の台と他の台の全体を示し、一の台と他の台とが近接した状態を示した側面図である。
【
図20】本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡のコント―ラを示した図面である。
【
図21】本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡を用いて大腸を検査する工程であって、筒部を大腸に挿入した状態の全体を示した図面である。
【
図22】本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡を用いて大腸を検査する工程であって、筒部を大腸に挿入した状態を示した図面である。
【
図23】本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡を用いて大腸を検査する工程であって、筒部を湾曲させた状態を示した図面である。
【
図24】本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡を用いて大腸を検査する工程であって、筒部に設けられたバルーンを膨張させた状態を示した図面である。
【
図25】本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡を用いて大腸を検査する工程であって、筒部から長尺部を突出させた状態を示した図面である。
【
図26】本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡を用いて大腸を検査する工程であって、長尺部に設けられたバルーンを膨張させた状態を示した図面である。
【
図27】本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡を用いて大腸を検査する工程であって、筒部に設けられたバルーンを収縮させた状態を示した図面である。
【
図28】本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡を用いて大腸を検査する工程であって、筒部を長尺部に対して進行させた状態を示した図面である。
【
図29】本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡を用いて大腸を検査する工程であって、長尺部に設けられたバルーンを収縮させた状態を示した図面である。
【
図30】本開示の実施形態に対する比較形態に係るダブルバルーン式内視鏡を示した斜視図である。
【
図31】本開示の実施形態に対する比較形態に係るダブルバルーン式内視鏡を示した斜視図である。
【
図32】本開示の実施形態に対する比較形態に係るダブルバルーン式内視鏡を用いて大腸を検査する工程であって、筒部を大腸に挿入した状態を示した図面である。
【
図33】本開示の実施形態に対する比較形態に係るダブルバルーン式内視鏡を用いて大腸を検査する工程であって、筒部から長尺部を突出させた状態を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の実施形態に係るダブルバルーン式内視鏡の一例を
図1~
図33に従って説明する。
【0022】
なお、各図に示す矢印Hは、鉛直方向であって、ダブルバルーン式内視鏡10に設けられた台16、18の上下方向を示し、矢印Wは、水平方向であって、ダブルバルーン式内視鏡10に設けられた台16、18の幅方向を示し、矢印Lは、水平方向であって、ダブルバルーン式内視鏡10に設けられた台16、18の長手方向を示す。
【0023】
(ダブルバルーン式内視鏡10の全体構成)
ダブルバルーン式内視鏡10は、
図1、
図2に示されるように、長尺状の長尺部12と、筒状で、長尺部が進退可能に収納された筒部14と、筒部14の基端部に取り付けられた台16と、筒部14の基端部から突出した長尺部12の基端部に取り付けられた台18と、を備えている。台16は、一の台の一例であって、台18は、他の台の一例である。
【0024】
さらに、ダブルバルーン式内視鏡10は、台16と台18とを相対移動させ、近接離間させるリニアモータ22と、各部を操作するためのコントローラ102(
図20参照)とを備えている。リニアモータ22は、相対移動部材の一例である。
【0025】
〔長尺部12〕
長尺部12は、所謂内視鏡であって、
図3、
図4に示されるように、細長い形状をしており、先端部に撮像用のレンズ(図示省略)が取り付けられている。なお、
図3、
図4には、台16、18の長手方向に延びるように配置した長尺部12が示されている。また、
図4(A)(B)(C)には、表皮材等が省略された長尺部12が示されている。
【0026】
長尺部12は、
図4(A)に示されるように、可撓性を有する断面円状の密ばね22を基本部材として構成されており、密ばね22の先端部分は、他の部分に比して小径化されている。さらに、筒状の複数の湾曲コマ24が、互いに回動可能に長手方向に連結され、密ばね22の先端部分を覆っている。湾曲コマ24は、他の湾曲片の一例である。なお、「密ばね」については、「密まきばね」等という場合もある。
【0027】
具体的には、長手方向に延びる4本のワイヤ26a、26b、26c、26dが、
図4(B)に示されるように、湾曲コマ24に形成された貫通孔に貫通し、周方向に並んでいる。換言すれば、ワイヤ26a、ワイヤ26b、ワイヤ26c、ワイヤ26dは、長手方向から見て、湾曲コマ24の周方向に間隔をあけて設けられている。そして、4本のワイヤ26a、26b、26c、26dの先端が、複数の湾曲コマ24の中で先端に配置された湾曲コマ24に取り付けられている。ワイヤ26a、ワイヤ26b、ワイヤ26c、ワイヤ26dは、他の牽引ワイヤの一例である。
【0028】
また、複数の湾曲コマ24に対して長尺部12の基端側の部分では、4本のワイヤ26a、26b、26c、26dは、
図4(C)に示されるように、密ばね22の内部を通っている。
【0029】
この構成において、ワイヤ26aとワイヤ26cとを長手方向に押し引きすることで湾曲コマ24が互いに回動して、長尺部12の先端部分が上下方向に湾曲し、ワイヤ26bとワイヤ26dとを長手方向に押し引きすることで湾曲コマ24が互いに回動して、長尺部12の先端部分が幅方向に湾曲する(
図3参照)。このように、長尺部12には、複数の湾曲コマ24と、4本のワイヤ26a、26b、26c、26dとによって湾曲可能とされる湾曲部28が設けられている。換言すれば、長尺部12の先端部分は、湾曲部28である。湾曲部28は、他の湾曲部の一例である。
【0030】
また、長尺部12の先端部分には、
図5(A)(B)に示されるように、膨張収縮するバルーン30が設けられている。そして、このバルーン30に空気を挿入するため、又はバルーン30から空気を抜き取るためのエアーチューブ(図示省略)が、密ばね22に螺旋状に巻き付けられ、長尺部12の基端側に延びている。バルーン30は、一のバルーンの一例である。
【0031】
この構成において、空気をエアーチューブからバルーン30に挿入すると、
図5(B)に示されるように、バルーン30が、長尺部12の径方向に膨張する。一方、エアーチューブを介して空気をバルーン30から抜き取ると、
図5(A)に示されるように、バルーン30が収縮する。
【0032】
〔筒部14〕
筒部14は、
図6、
図7に示されるように、円筒状であって、筒部14の内部には、長尺部12(
図5参照)が進退可能に収納されている。なお、
図6、
図7には、台16、18の長手方向に延びるように配置した筒部14が示されている。
図7(A)(B)(C)には、表皮材等が省略された筒部14が示されている。
【0033】
筒部14は、
図7(A)に示されるように、可撓性を有する断面円状の密ばね42を基本部材として構成されており、密ばね42の先端部分は、他の部分に比して小径化されている。さらに、筒状の複数の湾曲コマ44が、互いに回動可能に長手方向に連結され、密ばね42の先端部分を覆っている。湾曲コマ44は、湾曲片の一例である。
【0034】
具体的には、長手方向に延びる4本のワイヤ46a、46b、46c、46dが、
図7(B)に示されるように、湾曲コマ44に形成された貫通孔を貫通し、周方向に並んでいる。換言すれば、ワイヤ46a、ワイヤ46b、ワイヤ46c、ワイヤ46dは、長手方向から見て、湾曲コマ44の周方向に間隔をあけて設けられている。そして、4本のワイヤ46a、46b、46c、46dの先端が、複数の湾曲コマ44の中で先端に配置された湾曲コマ44に取り付けられている。ワイヤ46a、46b、46c、46dは、牽引ワイヤの一例である。
【0035】
また、4本のワイヤ46a、46b、46c、46dは、複数の湾曲コマ44に対して基端側の部分では、
図7(A)(C)に示されるように、密ばね42に螺旋状に巻き付けられている。
【0036】
この構成において、ワイヤ46aとワイヤ46cとを長手方向に押し引きすることで湾曲コマ44が互いに回動して、筒部14の先端部分が上下方向に湾曲し、ワイヤ46bとワイヤ46dとを長手方向に押し引きすることで湾曲コマ44が互いに回動して、筒部14の先端部分が幅方向に湾曲する(
図6参照)。このように、筒部14には、複数の湾曲コマ44と、4本のワイヤ46a、46b、46c、46dとによって湾曲可能とされる湾曲部48が設けられている。換言すれば、筒部14の先端部分は、湾曲部48である。湾曲部48は、湾曲部の一例である。
【0037】
また、筒部14の先端部分には、
図8(A)(B)に示されるように、膨張収縮するバルーン50が設けられている。そして、このバルーン50に空気を挿入するため、又はバルーン50から空気を抜き取るためのエアーチューブ(図示省略)が、密ばね42に螺旋状に巻き付けられて基端側に延びている。バルーン50は、他のバルーンの一例である。
【0038】
この構成において、空気をエアーチューブからバルーン50に挿入すると、
図8(B)に示されるように、バルーン50が、筒部14の径方向に膨張する。一方、エアーチューブを介して空気をバルーン50から抜き取ると、
図8(A)に示されるように、バルーン50が収縮する。
【0039】
〔台16〕
台16は、
図9、
図10に示されるように、筒部14の基端部に取り付けられている。台16は、骨格部材であるフレーム部56と、フレーム部56に対して長手方向に移動可能に取り付けられるスライド部66とを備えている。さらに、台16は、スライド部66に取り付けられたプーリー76と、プーリー76を回転させるサーボモータ80と、スライド部66を長手方向の基端側に付勢するコイルスプリング82と、スライド部66の移動を可能又は不能に切り替える切替部88とを備えている。
【0040】
-フレーム部56-
フレーム部56は、
図11に示されるように、長手方向から見て矩形枠状で、長手方向に離間した一対の枠部58、60と、枠部58と枠部60とに掛け渡された4個のロッド62と、4個のタイヤ64とを備えている。
【0041】
枠部58と枠部60とは、長手方向の先端側から基端側に向ってこの順番に配置さている。そして、枠部58の幅方向の中央部には、上下方向に延びる補強部58aが設けられている。この補強部58aは、板厚方向を長手方向とする板状で、補強部58aには、表裏を貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔を覆うように、筒部14の基端部が、補強部58aに取り付けられている。
【0042】
また、4個のロッド62は、長手方向に延びており、夫々端部が枠部58の四隅と枠部60の四隅とに取り付けられている。さらに、タイヤ64は、4個設けられ、枠部58の幅方向の一方側と他方側、及び枠部60の幅方向の一方側と他方側に取り付けられている。これにより、フレーム部56が長手方向に移動可能とされている。
【0043】
-スライド部66-
スライド部66は、
図11に示されるように、枠部58と枠部60との間に配置されている。スライド部66は、長手方向から見て矩形枠状で、長手方向に離間した一対の枠部68と、一対の枠部68に掛け渡された一対の補強部72とを備えている。
【0044】
矩形枠状の枠部68の四隅には、円筒部70が夫々形成され、円筒部70には、ロッド62が挿入されている。また、4個の円筒部70の中で、上下方向の上側で、かつ、幅方向の一方側の円筒部70には、幅方向の外側を向いた凹凸状の係合部70aが形成されている。具体的には、係合部70aは、
図12(A)(B)に示されるように、長手方向に凹凸状に延びている。
【0045】
また、補強部72は、
図11に示されるように、上方から見て長手方向に延びる矩形状とされ、板厚方向を上下方向とした板状とされおり、補強部72の長手方向の中央部には、上下方向に貫通する貫通孔が形成されている。そして、補強部72の先端は、先端側の枠部68に連結され、補強部72の基端は、基端側の枠部68に連結されている。
【0046】
具体的には、補強部72は、上下方向に離間して一対設けられている。なお、以後の説明では便宜上、上側の補強部72を補強部72aと称し、下側の補強部72を補強部72bと称することがある。上側の補強部72aは、枠部68の幅方向の中央部に配置され、枠部68において上側で幅方向に延びている部分に連結されている。下側の補強部72bは、枠部68の幅方向の中央部に配置され、枠部68において下側で幅方向に延びている部分に連結されている。
【0047】
この構成において、スライド部66は、4個のロッド62に案内されて、フレーム部56に対して長手方向にスライド可能とされている。
【0048】
-プーリー76、サーボモータ80-
プーリー76は、
図11、
図13に示されるように、軸方向を上下方向とし、上下方向に離間して一対設けられている。そして、一対のプーリー76は、上下方向において一対の補強部72の間に配置されており、一対のプーリー76の間には、筒部14の基端から突出した長尺部12が通っている。なお、以後の説明では便宜上、上側のプーリー76をプーリー76aと称し、下側のプーリー76をプーリー76bと称することがある。プーリー76a、プーリー76bは、牽引部の一例である。
【0049】
上側のプーリー76aの回転軸は、上方に突出して補強部72aの貫通孔を通って補強部72aの上側に突出しており、下側のプーリー76bの回転軸は、下方に突出して補強部72bの貫通孔を通って補強部72bの下側に突出している。
【0050】
また、プーリー76aの外周面には、
図14に示されるように、ワイヤ46aとワイヤ46cとが、回転中心を挟んで互いに反対側に取り付けられている。さらに、プーリー76bの外周面には、ワイヤ46bとワイヤ46dとが、回転中心を挟んで互いに反対側に取り付けられている。
【0051】
一方、サーボモータ80は、
図11、
図13に示されるように、一対設けられている。具体的には、プーリー76aを回転させるサーボモータ80aと、プーリー76bを回転させるサーボモータ80bとが設けられている。サーボモータ80aは、補強部72aの上面に取り付けられ、サーボモータ80bは、補強部72bの下面に取り付けられている。
【0052】
この構成において、サーボモータ80aが、プーリー76aを一方又は他方に回転させることで、ワイヤ46aとワイヤ46cとが長手方向に押し引きされる(牽引される)。これにより、筒部14の先端部分が上下方向に湾曲する(
図6参照)。また、サーボモータ80bが、プーリー76bを一方又は他方に回転させることで、ワイヤ46bとワイヤ46dとが長手方向に押し引きされる。これにより、筒部14の先端部分が幅方向に湾曲する(
図6参照)。
【0053】
-コイルスプリング82-
コイルスプリング82は、圧縮コイルスプリングであって、
図11、
図13に示されるように、4個設けられている。具体的には、コイルスプリング82は、長手方向において、枠部58とスライド部66との間に配置されており、コイルスプリング82には、ロッド62が夫々挿入されている。
【0054】
この構成において、コイルスプリング82の付勢力によって、スライド部66は、長手方向の基端側に付勢されている。
【0055】
-切替部88-
切替部88は、
図11、
図12(A)(B)に示されるように、スライド部66の係合部70aに対して、幅方向の外側に配置されている。切替部88は、長手方向に離間すると共に幅方向に延びる一対のロッド90と、一対のロッド90に掛け渡された本体部92と、ロッド90によって案内される案内部94と、案内部94を移動させるソレノイド96とを備えている。
【0056】
ロッド90は、長手方向に離間して一対設けられている。なお、以後の説明では便宜上、長手方向の先端側のロッド90をロッド90aと称し、基端側のロッド90をロッド90bと称することがある。
【0057】
ロッド90aは、枠部58において上側で幅方向の一方側の部分から幅方向の外側に延びており、ロッド90bは、枠部60において上側で幅方向の一方側の部分から幅方向の外側に延びている。また、本体部92は、ロッド90aの先端とロッド90bの先端とに掛け渡された長尺状とされており、本体部92の断面は、矩形状とされている。そして、本体部92において長手方向の中央部には、本体部92を幅方向に貫通する貫通孔が形成されている。
【0058】
案内部94は、幅方向において本体部92とスライド部66の係合部70aとの間に配置されており、長手方向に延びる長尺状とされている。案内部94の長手方向の一方側及び他方側の部分には、ロッド90が挿入される挿入部94aが夫々形成されている。さらに、案内部94において係合部70aと対向する部分には、係合部70aと係合可能な凹凸状の被係合部94bが形成されている。
【0059】
また、本体部92において案内部94に対して反対側の部分には、案内部94を幅方向に移動させるソレノイド96が取り付けられている。具体的には、ソレノイド96の軸部96aが、本体部92の貫通孔に挿入されており、軸部96aの先端に案内部94が取り付けられている。
【0060】
この構成において、ソレノイド96は、案内部94を幅方向に移動させ、被係合部94bが係合部70aと離間する非係合位置(
図12(A)参照)と、被係合部94bが係合部70aと係合する係合位置(
図12(B)参照)とに、案内部94を配置する。そして、案内部94が非係合位置に配置された状態で、スライド部66の長手方向の移動が許容される。換言すれば、プーリー76a、76bは、長手方向の移動を可能とするフリー状態となる。また、案内部94が係合位置に配置された状態で、スライド部66の長手方向の移動が規制される。換言すれば、プーリー76a、76bは、長手方向の移動を不能とするロック状態となる。
【0061】
〔台18〕
台18は、
図9、
図10に示されるように、長尺部12の基端部に取り付けられている。台18は、骨格部材であるフレーム部156と、フレーム部156に対して長手方向に移動可能に取り付けられるスライド部166とを備えている。さらに、台18は、スライド部166に取り付けられたプーリー176と、プーリー176を回転させるサーボモータ180と、スライド部166を長手方向の基端側に付勢するコイルスプリング182と、スライド部166の移動を可能又は不能に切り替える切替部188とを備えている。
【0062】
-フレーム部156-
フレーム部156は、
図15に示されるように、長手方向から見て矩形枠状で、長手方向に離間した一対の枠部158、160と、枠部158と枠部160とに掛け渡された4個のロッド162と、4個のタイヤ164とを備えている。
【0063】
枠部158と枠部160とは、長手方向の先端側から基端側に向ってこの順番に配置さている。そして、枠部158の幅方向の中央部には、上下方向に延びる補強部158aが設けられている。この補強部158aは、板厚方向を長手方向とする板状で、補強部158aには、表裏を貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔を覆うように、長尺部12の基端部が、補強部158aに取り付けられている。
【0064】
また、4個のロッド162は、長手方向に延びており、夫々端部が枠部158の四隅と枠部160の四隅とに取り付けられている。
【0065】
さらに、タイヤ164は、4個設けられ、枠部158の幅方向の一方側と他方側、及び枠部160の幅方向の一方側と他方側に取り付けられている。これにより、フレーム部156が長手方向に移動可能とされている。
【0066】
-スライド部166-
スライド部166は、
図15に示されるように、枠部158と枠部160との間に配置されている。スライド部166は、長手方向から見て矩形枠状で、長手方向に離間した一対の枠部168と、一対の枠部168に掛け渡された一対の補強部172とを備えている。
【0067】
矩形枠状の枠部168の四隅には、円筒部170が夫々形成され、円筒部170には、ロッド162が挿入されている。また、4個の円筒部170の中で、上下方向の上側で、かつ、幅方向の一方側の円筒部170には、幅方向の外側を向いた凹凸状の係合部170aが形成されている。具体的には、係合部170aは、
図16(A)(B)に示されるように、長手方向に凹凸状に延びている。
【0068】
また、補強部172は、
図15に示されるように、上方から見て長手方向に延びる矩形状とされ、板厚方向を上下方向とした板状とされおり、補強部172の長手方向の中央部には、上下方向に貫通する貫通孔が形成されている。そして、補強部172の先端は、先端側の枠部168に連結され、補強部172の基端は、基端側の枠部168に連結されている。
【0069】
具体的には、補強部172は、上下方向に離間して一対設けられている。なお、以後の説明では便宜上、上側の補強部172を補強部172aと称し、下側の補強部172を補強部172bと称することがある。上側の補強部172aは、枠部168の幅方向の中央部に配置され、枠部168において上側で幅方向に延びている部分に連結されている。下側の補強部172bは、枠部168の幅方向の中央部に配置され、枠部168において下側で幅方向に延びている部分に連結されている。
【0070】
この構成において、スライド部166は、4個のロッド162に案内されて、フレーム部156に対して長手方向にスライド可能とされている。
【0071】
-プーリー176、サーボモータ180-
プーリー176は、
図15、
図17に示されるように、軸方向を上下方向とし、上下方向に離間して一対設けられている。そして、一対のプーリー176は、上下方向において一対の補強部172の間に配置されている。なお、以後の説明では便宜上、上側のプーリー176をプーリー176aと称し、下側のプーリー176をプーリー176bと称することがある。プーリー176a、プーリー176bは、他の牽引部の一例である。
【0072】
上側のプーリー176aの回転軸は、上方に突出して補強部172aの貫通孔を通って補強部172aの上側に突出しており、下側のプーリー176bの回転軸は、下方に突出して補強部172bの貫通孔を通って補強部172bの下側に突出している。
【0073】
また、プーリー176aの外周面には、
図14に示されるように、ワイヤ26aとワイヤ26cとが、回転中心を挟んで互いに反対側に取り付けられている。さらに、プーリー176bの外周面には、ワイヤ26bとワイヤ26dとが、回転中心を挟んで互いに反対側に取り付けられている。
【0074】
一方、サーボモータ180は、
図15、
図17に示されるように、一対設けられている。具体的には、プーリー176aを回転させるサーボモータ180aと、プーリー176bを回転させるサーボモータ180bとが設けられている。サーボモータ180aは、補強部172aの上面に取り付けられ、サーボモータ180bは、補強部172bの下面に取り付けられている。
【0075】
この構成において、サーボモータ180aが、プーリー176aを一方又は他方に回転させることで、ワイヤ26aとワイヤ26cとが長手方向に押し引きされる(牽引される)。これにより、長尺部12の湾曲部28が上下方向に湾曲する(
図3参照)。また、サーボモータ180bが、プーリー176bを一方又は他方に回転させることで、ワイヤ26bとワイヤ26dとが長手方向に押し引きされる。これにより、長尺部12の湾曲部28が幅方向に湾曲する(
図3参照)。
【0076】
-コイルスプリング182-
コイルスプリング182は、圧縮コイルスプリングであって、
図15、
図17に示されるように、4個設けられている。具体的には、コイルスプリング182は、長手方向において、枠部158とスライド部166との間に配置されており、コイルスプリング182には、ロッド162が夫々挿入されている。
【0077】
この構成において、コイルスプリング182の付勢力によって、スライド部166は、長手方向の基端側に付勢されている。
【0078】
-切替部188-
切替部188は、
図15、
図16(A)(B)に示されるように、スライド部166の係合部170aに対して、幅方向の外側に配置されている。切替部188は、長手方向に離間すると共に幅方向に延びる一対のロッド190と、一対のロッド190に掛け渡された本体部192と、ロッド190によって案内される案内部194と、案内部194を移動させるソレノイド196とを備えている。
【0079】
ロッド190は、長手方向に離間して一対設けられている。なお、以後の説明では便宜上、長手方向の先端側のロッド190をロッド190aと称し、基端側のロッド190をロッド190bと称することがある。
【0080】
ロッド190aは、枠部158において上側で幅方向の一方側の部分から幅方向の外側に延びており、ロッド190bは、枠部160において上側で幅方向の一方側の部分から幅方向の外側に延びている。また、本体部192は、ロッド190aの先端とロッド190bの先端に掛け渡された長尺状とされており、本体部192の断面は、矩形状とされている。そして、本体部192において長手方向の中央部には、本体部192を幅方向に貫通する貫通孔が形成されている。
【0081】
案内部194は、幅方向において本体部192とスライド部166の係合部170aとの間に配置されており、長手方向に延びる長尺状とされている。案内部194の長手方向の一方側及び他方側の部分には、ロッド190が挿入される挿入部194aが夫々形成されている。さらに、案内部194において係合部170aと対向する部分には、係合部170aと係合可能な凹凸状の被係合部194bが形成されている。
【0082】
また、本体部192において案内部194に対して反対側の部分には、案内部194を幅方向に移動させるソレノイド196が取り付けられている。具体的には、ソレノイド196の軸部196aが、本体部192の貫通孔に挿入されており、軸部196aの先端に案内部194が取り付けられている。
【0083】
この構成において、ソレノイド196は、案内部194を幅方向に移動させ、被係合部194bが係合部170aと離間する非係合位置(
図16(A)参照)と、被係合部194bが係合部170aと係合する係合位置(
図16(B)参照)とに、案内部194を配置する。そして、案内部194が非係合位置に配置された状態で、スライド部166の長手方向の移動が許容される。換言すれば、プーリー176a、176bは、長手方向の移動を可能とするフリー状態となる。また、案内部194が係合位置に配置された状態で、スライド部166の長手方向の移動が規制される。換言すれば、プーリー176a、176bは、長手方向の移動を不能とするロック状態となる。
【0084】
〔リニアモータ22〕
リニアモータ22は、
図9、
図10に示されるように、長手方向に延びて、台16と台18とに掛け渡されている。具体的には、リニアモータ22の先端部分が、台16の枠部60に取り付けられ、リニアモータ22の基端部分が、台18の枠部158に取り付けられている。
【0085】
この構成において、リニアモータ22の駆動力によって、
図18、
図19に示されるように、台16と台18と近接又は離間する。そして、台16と台18が離間した状態で、長尺部12の先端部分が、
図1に示されるように、筒部14に収納される。一方、台16と台18とが近接した状態で、長尺部12の先端部分が、
図2に示されるように、筒部14から突出する。
【0086】
〔コントローラ102〕
コントローラ102は、操作対象部材と図示せぬ信号線を介して接続されており、
図20に示されるように、各操作部を備えている。図中左側が筒部14及び台16を操作するためのコントローラ102aであって、図中右側が長尺部12、台18及びリニアモータ22を操作するためのコントローラ102bである。
【0087】
-コントローラ102a-
コントローラ102aの中央部分には、筒部14の湾曲部48を湾曲させるための操作部が設けられている。具体的には、コントローラ102aは、
図20に示されるように、操作者が把持する把持部104を備え、把持部104は、前後方向(図中矢印X方向)及び左右方向(図中矢印Y方向)にスライド可能とされている。また、コントローラ102aは、筒部14のバルーン50を膨張させる押圧スイッチ106aと、バルーン50を収縮させる押圧スイッチ106bとを備えている。さらに、コントローラ102aは、切替部88のソレノイド96を稼動させて、案内部94を非係合位置と係合位置とに切り替える切替スイッチ108を備えている。
【0088】
この構成において、把持部104を前後方向に移動させることで、
図13に示すサーボモータ80aが、プーリー76aを一方又は他方に回転させることで、
図14に示すワイヤ46aとワイヤ46cとが長手方向に押し引きされる。これにより、筒部14の湾曲部48が上下方向に湾曲する(
図6参照)。
【0089】
また、把持部104を左右方向に移動させることで、
図13に示すサーボモータ80bが、プーリー76bを一方又は他方に回転させることで、
図14に示すワイヤ46bとワイヤ46dとが長手方向に押し引きされる。これにより、筒部14の湾曲部48が幅方向に湾曲する(
図6参照)。
【0090】
さらに、押圧スイッチ106aを押圧すると、図示せぬコンプレッサから電磁弁及びエアーチューブを介して空気がバルーン50へ送り込まれる。そして、圧力センサによってバルーン50の内部の圧力が検知される。バルーン50が、
図8(A)(B)に示されるように、膨張してバルーン50の内部の圧力が予め決められた値に達すると、コンプレッサが停止する。このように、押圧スイッチ106aを押圧すると、バルーン50が膨張する。
【0091】
また、押圧スイッチ106bを押圧すると、図示せぬ真空ポンプから電磁弁及びエアーチューブを介して空気がバルーン50から抜き取られる。そして、圧力センサによってバルーン50の内部の圧力が検知される。バルーン50が、
図8(A)(B)に示されるように、収縮してバルーン50の内部の圧力が予め決められた値に達すると、真空ポンプが停止する。このように、押圧スイッチ106bを押圧すると、バルーン50が収縮する。
【0092】
さらに、切替スイッチ108を操作することで、
図12(A)(B)に示されるように、スライド部66の長手方向の移動が許容、又は規制される。換言すれば、プーリー76a、76bのフリー状態と、プーリー76a、76bのロック状態とが切り替えられる。
【0093】
-コントローラ102b-
コントローラ102bの中央部分には、長尺部12の湾曲部28を湾曲させるための操作部が設けられている。具体的には、コントローラ102bは、
図20に示されるように、操作者が把持する把持部114を備え、把持部114は、前後方向(図中矢印X方向)及び左右方向(図中矢印Y方向)にスライド可能とされている。また、コントローラ102bは、長尺部12のバルーン30を膨張させる押圧スイッチ116aと、バルーン30を収縮させる押圧スイッチ116bとを備えている。
【0094】
さらに、コントローラ102bは、切替部188のソレノイド196を稼動させて、案内部194を非係合位置と係合位置とに切り替える切替スイッチ118を備えている。また、コントローラ102bは、前後方向にスライド可能とされ、リニアモータ22を稼動させる把持部112を備えている。
【0095】
この構成において、把持部114を前後方向に移動させることで、
図17に示すサーボモータ180aが、プーリー176aを一方又は他方に回転させることで、
図14に示すワイヤ26aとワイヤ26cとが長手方向に押し引きされる。これにより、長尺部12の湾曲部28が上下方向に湾曲する(
図6参照)。
【0096】
また、把持部114を左右方向に移動させることで、
図17に示すサーボモータ180bが、プーリー176bを一方又は他方に回転させることで、
図14に示すワイヤ26bとワイヤ26dとが長手方向に押し引きされる。これにより、長尺部12の湾曲部28が幅方向に湾曲する(
図6参照)。
【0097】
さらに、押圧スイッチ116aを押圧すると、図示せぬコンプレッサから電磁弁及びエアーチューブを介して空気がバルーン30へ送り込まれる。そして、圧力センサによってバルーン30の内部の圧力が検知される。バルーン30が、
図5(A)(B)に示されるように、膨張してバルーン30の内部の圧力が予め決められた値に達すると、コンプレッサが停止する。このように、押圧スイッチ116aを押圧すると、バルーン30が膨張する。
【0098】
また、押圧スイッチ116bを押圧すると、図示せぬ真空ポンプから電磁弁及びエアーチューブを介して空気がバルーン30から抜き取られる。そして、圧力センサによってバルーン30の内部の圧力が検知される。バルーン30が、
図5(A)(B)に示されるように、収縮してバルーン30の内部の圧力が予め決められた値に達すると、真空ポンプが停止する。このように、押圧スイッチ116bを押圧すると、バルーン30が収縮する。
【0099】
さらに、切替スイッチ118を操作することで、
図16(A)(B)に示されるように、スライド部166の長手方向の移動が許容、又は規制される。換言すれば、プーリー176a、176bのフリー状態と、プーリー176a、176bのロック状態とが切り替えられる。
【0100】
また、把持部112を前方へ移動させることで、リニアモータ22が稼動して、
図19に示すように、台16と台18とが近接する。一方、把持部112を後方へ移動させることで、リニアモータ22が稼動して、
図18に示すように、台16と台18とが離間する。
【0101】
(作用)
次に、ダブルバルーン式内視鏡10を用いて検査対象である大腸700の内部を検査する方法について、比較形態に係るダブルバルーン式内視鏡510を用いる場合と比較しつつ説明する。先ず、比較形態に係るダブルバルーン式内視鏡510の構成について、ダブルバルーン式内視鏡10と異なる部分を主に説明する。
【0102】
〔比較形態に係るダブルバルーン式内視鏡510の構成〕
比較形態に係るダブルバルーン式内視鏡510は、
図30、
図31に示されるように、本体部520と、基端部が本体部520に取り付けられた筒部514と、筒部514の内部に進退可能に収納される長尺部512とを備えている。
【0103】
筒部514の先端部分には、バルーン550が設けられている。しかし、筒部514には、複数の湾曲コマと、4本のワイヤとで構成される湾曲部は設けられていない。
【0104】
また、長尺部512の先端部分には、バルーン530が設けられており、長尺部512の基端部分は、本体部520から突出している。そして、この本体部520から突出した部分の長尺部512の基端部分を押し引きすることで、長尺部512の先端部分が、筒部514に収納、又は筒部514から突出するようになっている。
【0105】
〔ダブルバルーン式内視鏡10、510の作用〕
【0106】
ダブルバルーン式内視鏡10、510を用いて大腸を検査する前の状態では、ダブルバルーン式内視鏡10、510の長尺部12、512は、筒部14、514に収納されている。また、各バルーンは、収縮されている。さらに、長尺部12、512の先端部分、及び筒部14、514の先端部分は、湾曲されておらず、直線状とされている。
【0107】
また、ダブルバルーン式内視鏡10においては、案内部94、194は、非係合位置に配置されており、台16と台18とが離間している。換言すれば、プーリー76a、76b、及びプーリー176a、176bは、フリー状態とされている。
【0108】
この状態で、
図21、
図32に示されるように、ダブルバルーン式内視鏡10、510の筒部14、514の先端部分を、肛門700aから大腸700内に挿入し、筒部14、514の先端をS状結腸700bの手前で停止させる。S状結腸700bは、屈曲部の一例である。
【0109】
ここで、ダブルバルーン式内視鏡510の筒部514の先端部分には、外部からの操作で湾曲可能とされる湾曲部が設けられていない。このため、ダブルバルーン式内視鏡510においては、
図33に示されるように、筒部514から長尺部512を突出させ、かつ、外部からの操作によって腸壁に沿うように長尺部512の湾曲部528を湾曲させる。しかし、筒部514の先端部分が湾曲していないため、長尺部512は、筒部514の延在方向へ突出し、長尺部512の先端部分が腸壁を押圧してしまう。このため、検査を受けている人は、強い痛みを感じることがある。腸壁は内壁の一例である。
【0110】
ここで、本実施形態において、「外部からの操作で湾曲可能とされる・・」とは、「ダブルバルーン式内視鏡10に設けられた操作手段を操作することで荷重伝達部材を介して力を湾曲部に伝達することで湾曲部を湾曲させることが可能なこと」である。具体的に本実施形態では、「コントローラ102を操作することでワイヤを押し引きすることで湾曲部を湾曲させることが可能なこと」である。
【0111】
これに対して、ダブルバルーン式内視鏡10の筒部14の先端部分には、外部からの操作で湾曲可能とされる湾曲部48が設けられている。このため、ダブルバルーン式内視鏡10においては、コントローラ102aの把持部104を移動させ、
図23に示されるように、腸壁に沿うように筒部14の湾曲部48を湾曲させる。
【0112】
具体的には、コントローラ102aの切替スイッチ108を操作し、ソレノイド96を稼動させ、案内部94を移動させて、被係合部94bを係合部70aに係合する係合位置(
図12(B)参照)に配置する。換言すれば、プーリー76a、76bをフリー状態からロック状態とする。この状態で、コントローラ102aの把持部104を移動させて、サーボモータ80a、80bを稼動させて、プーリー76a、76bを一方又は他方に移動させる。これにより、ワイヤ46aとワイヤ46cとが長手方向に押し引きされ、ワイヤ46bとワイヤ46dとが長手方向に押し引きされることで、筒部14の湾曲部48を湾曲させる。
【0113】
さらに、ダブルバルーン式内視鏡10においては、コントローラ102aの押圧スイッチ106aを押圧し、
図24に示されるように、バルーン50を膨張させてバルーン50の外周面で大腸700の腸壁を押圧させる。これにより、筒部14の先端部分が大腸700の所定の位置に固定される。
【0114】
さらに、ダブルバルーン式内視鏡10においては、コントローラ102bの把持部112を移動させ、
図25に示されるように、長尺部12を筒部14から突出させる。また、コントローラ102bの把持部114を移動させ、腸壁に沿うように長尺部12の湾曲部28を湾曲させる。
【0115】
具体的には、コントローラ102bの把持部112を移動させて、リニアモータ22を稼動させて、台18を台16に近接させ(
図19参照)、長尺部12を筒部14から突出させる。この状態で、コントローラ102bの切替スイッチ118を操作し、ソレノイド196を稼動させ、案内部194を移動させて、被係合部194bを係合部170aに係合する係合位置(
図16(B)参照)に配置する。換言すれば、プーリー176a、176bをフリー状態からロック状態とする。
【0116】
そして、コントローラ102bの把持部114を移動させて、サーボモータ180a、180bを稼動させて、プーリー176a、176bを一方又は他方に移動させる。これにより、ワイヤ26aとワイヤ26cとが長手方向に押し引きされ、ワイヤ26bとワイヤ26dとが長手方向に押し引きされることで、長尺部12の湾曲部28を湾曲させる。
【0117】
さらに、ダブルバルーン式内視鏡10においては、コントローラ102bの押圧スイッチ116aを押圧し、
図26に示されるように、バルーン30を膨張させてバルーン30の外周面で大腸700の腸壁を押圧させる。これにより、長尺部12の先端部分が大腸700の所定の位置に固定される。
【0118】
また、ダブルバルーン式内視鏡10においては、コントローラ102aの押圧スイッチ106bを押圧し、
図27に示されるように、バルーン50を収縮させる。さらに、コントローラ102aの切替スイッチ108を操作して、ソレノイド96を稼動させ、案内部94を移動させて、被係合部94bを係合部70aと離間する非係合位置(
図12(A)参照)に配置する。換言すれば、プーリー76a、76bをロック状態からフリー状態とする。
【0119】
また、ダブルバルーン式内視鏡10においては、コントローラ102bの把持部112を移動し、
図28に示されるように、筒部14のみを進行させる。具体的には、コントローラ102bの把持部112を移動させて、リニアモータ22を稼動させて、台18を台16から離間させ(
図18参照)ることで、長尺部12の一部を筒部14に収納させて筒部14のみを進行させる。
【0120】
さらに、ダブルバルーン式内視鏡10においては、コントローラ102bの押圧スイッチ116bを押圧し、
図29に示されるように、バルーン30を収縮させる。また、コントローラ102bの切替スイッチ118を操作して、ソレノイド196を稼動させ、案内部194を移動させて、被係合部194bを係合部170aと離間する非係合位置(
図16(A)参照)に配置する。換言すれば、プーリー176a、176bをロック状態からフリー状態とする。
【0121】
以上の工程を繰り返すことで、ダブルバルーン式内視鏡10においては、大腸700の腸壁に沿うように筒部14の先端部分を進行させることで、長尺部12の先端が検査対象部位に到達する。
【0122】
(まとめ)
以上説明したように、ダブルバルーン式内視鏡10においては、大腸700のS状結腸700bに沿わせるように、挿入された筒部14の湾曲部48を外部からの操作で湾曲させ、この状態で、長尺部12を筒部14から突出させる。このため、比較形態に係るダブルバルーン式内視鏡510を用いる場合と比して、ダブルバルーン式内視鏡10の長尺部12と大腸700のS状結腸700bの内壁とが干渉するのを抑制することができる。
【0123】
また、ダブルバルーン式内視鏡10においては、リニアモータ22が、台16と台18とを近接離間させることで、筒部14に対して長尺部12を進退させることができる。
【0124】
また、ダブルバルーン式内視鏡10においては、筒部14の湾曲コマ44を貫通する4本のワイヤ46a、46b、46c、46dは、基端側の部分では、
図7(A)(C)に示されるように、密ばね42に螺旋状に巻き付けられ、台16側へ延びている。換言すれば、4本のワイヤ46a、46b、46c、46dは、密ばね42の内部に挿入されている長尺部12の周囲に螺旋状に配置されている。このため、筒部14の湾曲部48に対して基端側の部分の筒部14が反った場合に、長尺部の周囲にワイヤが長手方向に沿って配置されている場合と比して、筒部14の湾曲部48を一方側から他方側及び他方側から一方側に湾曲させるときに、4本のワイヤ46a、46b、46c、46dを押し引きする量を少なくすることができる。
【0125】
具体的には、長尺部の周囲にワイヤが長手方向に沿って配置されている場合に、筒部14の湾曲部48に対して基端側の部分の筒部14が反ってしまうと、反ったことによってワイヤが押し引きされてしまう。しかし、4本のワイヤ46a、46b、46c、46dを長尺部12の周囲に螺旋状に配置することで、反ったことで生じるワイヤの押し引きが抑制される。このため、筒部14の湾曲部48に対して基端側の部分の筒部14が反った場合に、長尺部の周囲にワイヤが長手方向に沿って配置されている場合と比して、筒部14の湾曲部48を一方側から他方側及び他方側から一方側に湾曲させるときに、4本のワイヤ46a、46b、46c、46dを押し引きする量を少なくすることができる。
【0126】
また、ダブルバルーン式内視鏡10においては、切替スイッチ108を用いて、筒部14の湾曲部48を湾曲させるときには、プーリー76a、76bをロック状態とし、湾曲部48を湾曲させる必要がないときには、プーリー76a、76bをフリー状態とする。これにより、大腸700に筒部14を挿入するときにはフリー状態とすることで大腸700の内部に筒部14をスムーズに挿入することができ、湾曲部48を湾曲するときにはロック状態とすることで湾曲部48を確実に湾曲させることができる。
【0127】
また、ダブルバルーン式内視鏡10においては、切替スイッチ118を用いて、長尺部12の湾曲部28を湾曲させるときには、プーリー176a、176bをロック状態とし、湾曲部28を湾曲させる必要がないときには、プーリー176a、176bをフリー状態とする。これにより、大腸700に長尺部12を挿入するときにはフリー状態とすることで大腸700の内部に長尺部12をスムーズに挿入することができ、湾曲部28を湾曲するときにはロック状態とすることで湾曲部28を確実に湾曲させることができる。
【0128】
なお、本開示を特定の実施形態について詳細に説明したが、本開示は係る実施形態に限定されるものではなく、本開示は本開示の範囲にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、ダブルバルーン式内視鏡10を用いて検査対象である大腸700を検査したが、ダブルバルーン式内視鏡10を用いて食道、胃、又は十二指腸等の他の検査対象を検査してもよい。
【0129】
また、上記実施形態では、リニアモータ22を用いて台16と台18と近接離間させたが、例えば、ソレノイド等の他の部材を用いて台16と台18とを近接離間させてもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、ソレノイド96、196を用いて案内部94、194を移動させたが、モータとリンク機構との組合せ等の他の手段によって 案内部94、194を移動させてもよい。
【符号の説明】
【0131】
10 ダブルバルーン式内視鏡
12 長尺部
14 筒部
16 台(一の台の一例)
18 台(他の台の一例)
22 リニアモータ(相対移動部材の一例)
24 湾曲コマ(他の湾曲片の一例)
26a ワイヤ(他の牽引ワイヤの一例)
26b ワイヤ(他の牽引ワイヤの一例)
26c ワイヤ(他の牽引ワイヤの一例)
26d ワイヤ(他の牽引ワイヤの一例)
28 湾曲部(他の湾曲部の一例)
30 バルーン(一のバルーンの一例)
44 湾曲コマ(湾曲片の一例)
46a ワイヤ(牽引ワイヤの一例)
46b ワイヤ(牽引ワイヤの一例)
46c ワイヤ(牽引ワイヤの一例)
46d ワイヤ(牽引ワイヤの一例)
48 湾曲部
50 バルーン(他のバルーンの一例)
76a プーリー(牽引部の一例)
76b プーリー(牽引部の一例)
88 切替部
176a プーリー(他の牽引部の一例)
176b プーリー(他の牽引部の一例)
188 切替部(他の切替部の一例)