(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019446
(43)【公開日】2024-02-09
(54)【発明の名称】実装装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20240201BHJP
H05K 13/08 20060101ALI20240201BHJP
H01L 21/52 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
H05K13/08 Q
H01L21/52 F
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023207335
(22)【出願日】2023-12-08
(62)【分割の表示】P 2019024945の分割
【原出願日】2019-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】酒井 一信
(72)【発明者】
【氏名】石川 雄大
(57)【要約】
【課題】ストロボ露光認識撮像において振動影響を低減することが可能な実装装置を提供することである。
【解決手段】実装装置は、撮像対象物に対して相対的移動し、前記撮像対象物を撮像する撮像装置と、前記撮像対象物に光を照射する照明装置と、を備える。前記照明装置は、前記認識対象動作軸が停止後、前記認識対象動作軸以外の動作軸が動作中に前記第一撮像対象物を撮像する場合、前記撮像装置の1回の露光時間内に複数回ストロボ発光するよう構成される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一撮像対象物に対して相対的に移動し、前記第一撮像対象物を撮像する第一撮像装置と、
前記第一撮像対象物に光を照射する第一照明装置と、
認識対象動作軸を含む複数の動作軸と、
を備え、
前記第一照明装置は、前記認識対象動作軸が停止後、前記認識対象動作軸以外の動作軸が動作中に前記第一撮像対象物を撮像する場合、前記第一撮像装置の1回の露光時間内に複数回ストロボ発光するよう構成される実装装置。
【請求項2】
請求項1の実装装置において、
さらに、前記第一照明装置に照明発光電流を供給するストロボ照明電源を備え、
前記第一撮像装置は撮像トリガ信号に基づいて露光を開始すると共に前記ストロボ照明電源に供給するストロボトリガ信号を生成するよう構成され、
前記ストロボ照明電源は前記ストロボトリガ信号に基づいて周期的に前記照明発光電流を前記第一照明装置に供給するよう構成される実装装置。
【請求項3】
請求項1の実装装置において、さらに、
前記第一照明装置に照明発光電流を供給するストロボ照明電源と、
トリガ信号に基づいて前記ストロボ照明電源に供給するストロボトリガ信号を生成するパルス発生回路と、
を備え、
前記第一撮像装置は撮像トリガ信号に基づいて露光を開始すると共に前記ストロボ照明電源に供給するストロボトリガ信号を生成するよう構成され、
前記ストロボ照明電源は前記ストロボトリガ信号に基づいて周期的に前記照明発光電流を前記第一照明装置に供給するよう構成される実装装置。
【請求項4】
請求項1の実装装置において、さらに、
第二撮像対象物に対して相対的移動し、前記第二撮像対象物を撮像する第二撮像装置と、
前記第二撮像対象物に光を照射する第二照明装置と、
を備え、
前記第二照明装置は、前記動作軸の第二認識対象動作軸が停止後、前記第二認識対象動作軸以外の動作軸が動作中に前記第二撮像対象物を撮像する場合、前記第二撮像装置の1回の露光時間内に複数回ストロボ発光するよう構成される実装装置。
【請求項5】
請求項4の実装装置において、
前記第一撮像対象物はダイであり、
さらに、前記ダイを搬送する第一実装ヘッドを備え、
前記第一撮像装置は固定され、移動する前記第一実装ヘッドに保持された前記ダイを下方から撮像するよう構成される実装装置。
【請求項6】
請求項5の実装装置において、
前記第二撮像対象物は補正マークであり、
前記第二撮像装置は、前記第一実装ヘッドに搭載され、前記第一撮像装置が移動する前記第一実装ヘッドに保持された前記ダイを撮像する際に前記補正マークを上方から撮像するよう構成される実装装置。
【請求項7】
請求項6の実装装置において、
前記第二撮像装置は前記ダイが載置される基板を上方から撮像するよう構成される実装装置。
【請求項8】
請求項7の実装装置において、
さらに、前記ダイを搬送するトランスファステージを備え、
前記第二撮像装置は前記トランスファステージに保持された前記ダイを上方から撮像するよう構成される実装装置。
【請求項9】
請求項4の実装装置において、
前記第一照明装置は疑似同軸照明と側方照明を備え、
前記第二照明装置は疑似同軸照明と側方照明を備える実装装置。
【請求項10】
請求項8の実装装置において、さらに、
実装ステージと、
前記実装ステージの上を跨るように第一方向に伸びてその両端がそれぞれ第二方向に移動自在に支持されると第一ビームと、
前記実装ステージの上を跨るように前記第一方向に伸びてその両端がそれぞれ前記第二方向に移動自在に前記実装ステージの上に支持される第二ビームと、
を備え、
前記第一実装ヘッドは前記第一方向に移動自在に前記第一ビームに支持されるよう構成される実装装置。
【請求項11】
請求項10の実装装置において、さらに、
ダイ供給部から前記ダイをピックアップして反転するフリップピックアップヘッドと、
前記第一方向に自在に移動可能であって前記フリップピックアップヘッドでピックアップした前記ダイをピックアップするピックアップヘッドと、
を備え、
前記トランスファステージは前記第二方向に自在に移動可能であって、前記ピックアップヘッドがピックアップした前記ダイが載置され、
前記第一実装ヘッドは前記トランスファステージに載置された前記ダイをピックアップし、前記実装ステージ上の前記基板に載置するよう構成される実装装置。
【請求項12】
請求項11の実装装置において、
前記第一撮像装置は前記第一実装ヘッドが前記ダイを前記トランスファステージから前記実装ステージに搬送する際に前記ダイを下方から撮像するよう構成される実装装置。
【請求項13】
請求項11の実装装置において、
前記第二撮像装置は前記第一実装ヘッドが前記ダイを前記トランスファステージから前記実装ステージに搬送する際に前記補正マークを上方から撮像するよう構成される実装装置。
【請求項14】
請求項11の実装装置において、
さらに、前記第一方向に移動自在に前記第二ビームに支持される第二実装ヘッドを備え、
前記第二実装ヘッドは前記トランスファステージとは異なるトランスファステージに載置されたダイをピックアップし、前記実装ステージ上の前記基板に載置するよう構成される実装装置。
【請求項15】
ダイを撮像する第一撮像装置と、基板を撮像する第二撮像装置と、前記ダイに光を照射する第一照明装置と、前記基板に光を照射する第二照明装置と、前記ダイを搬送する実装ヘッドと、を備える実装装置に前記基板を搬入する工程と、
前記実装ヘッドによって前記ダイが搬送されているときに前記第一撮像装置が前記ダイを下方から撮像する第一撮像工程と、
前記第二撮像装置が前記基板を上方から撮像する第二撮像工程と、
前記第一撮像工程および第二撮像工程で撮像されたデータに基づいて前記ダイを前記基板に載置する工程と、
を備え、
前記第一撮像工程は、前記第一撮像装置を移動させる認識対象動作軸が停止後、前記認識対象動作軸以外の動作軸が動作中に前記ダイを撮像する場合、前記第一照明装置が前記第一撮像装置の1回の露光時間内に複数回ストロボ発光して前記ダイを撮像し、
前記第二撮像工程は、前記第二撮像装置を移動させる第二認識対象動作軸が停止後、前記第二認識対象動作軸以外の動作軸が動作中に前記ダイを撮像する場合、前記第二照明装置が前記第二撮像装置の1回の露光時間内に複数回ストロボ発光して前記基板を撮像する半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15の半導体装置の製造方法において、
前記第一撮像工程は、前記第一撮像装置が前記ダイを撮像すると共に、前記第二撮像装置がアンダビジョン補正マークを撮像し、前記ダイの前記第一撮像装置に対する位置決め位置を認識補正する半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項15の半導体装置の製造方法において、さらに、
ウェハリングを搬入する工程と、
前記ウェハリング中のダイを撮像する第三撮像工程と、
を備え、
前記第三撮像工程では露光時間内は常時照明して前記ダイを撮像する半導体装置の製造方法。
【請求項18】
第一撮像対象物に対して相対的に移動し、前記第一撮像対象物を撮像する第一撮像装置と、
前記第一撮像対象物に光を照射する第一照明装置と、
を備え、
前記第一照明装置は、前記第一照明装置に照明発光電流を供給するストロボ照明電源を備え、
前記第一撮像装置は、撮像トリガ信号に基づいて露光を開始すると共に前記ストロボ照明電源に供給するストロボトリガ信号を生成するよう構成され、
前記ストロボ照明電源は、前記ストロボトリガ信号に基づいて周期的に前記照明発光電流を前記第一照明装置に供給するよう構成され、
前記第一照明装置は、認識対象動作軸が停止後であって認識対象軸以外の軸が動作中に前記第一撮像装置がワークを撮像する場合、前記第一撮像装置の1回の露光時間内に複数回ストロボ発光するよう構成される実装装置。
【請求項19】
請求項18の実装装置において、
前記第一照明装置は発光時間および発光強度を変更可能に構成される実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は実装装置に関し、例えばストロボ照明を用いる実装装置に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
電子部品実装装置にあっては、精度の高い電子部品実装を行なうために、電子部品が吸着ノズルに吸着保持されて実装着部へ移動する間に、該電子部品をCCDやCMOSなどの撮像素子を有するデジタルカメラにより撮像して、取り込んだその画像情報を電気信号に変換し、画像処理して測定値を得ている。そして、この測定値に基づいて、電子部品の移動中に、実装位置を補正して該電子部品はプリント基板に実装着されている。このカメラによる電子部品の撮像は、誤差の少ない高い精度の画像を得るためには、所定以上の光量を有する照明装置を用いることが必要であって、一般的には、ストロボによる閃光やハロゲンランプによる連続点灯等の手段が使用されている(例えば、特許文献1)。
ストロボ照明を用いた認識カメラの露光(ストロボ露光)では、露光時間を数十μs程度と短時間にすることで高速な動作も撮像でき、認識処理を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の軸が同時に動作するような装置において、認識撮像中に他の軸が動作した場合、動作振動による影響で撮像した画像が静止位置のものと振動しているときのもので位置がずれることがある。ストロボ露光では高速処理のため短時間で高光量の発光を主眼とした電子回路構成となっており、ストロボの点灯時間の延長には最長発光時間の制約があり、装置の固有振動(例えば、数十Hz、数十msなど)の1周期を超えて発光させ撮像することは困難である。
本開示の課題は、ストロボ露光認識撮像において振動影響を低減することが可能な実装装置を提供することである。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、実装装置は、撮像対象物に対して相対的移動し、前記撮像対象物を撮像する撮像装置と、前記撮像対象物に光を照射する照明装置と、を備える。前記照明装置は前記撮像装置の1回の露光時間内に複数回ストロボ発光するよう構成される。
【発明の効果】
【0006】
上記実装装置によれば、ストロボ露光において振動影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は第一実施形態の撮像システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は
図1の撮像システムの軸動作停止後短時間に撮像する場合の動作タイミングを示す図である。
【
図3】
図3は
図1の撮像システムの発光タイミングを示す図である。
【
図4】
図4は
図1の撮像システムの軸動作停止から認識開始まで認識待ち時間を設けて撮像する場合の動作タイミングを示す図である。
【
図5】
図5は
図1の撮像システムの軸動作停止後複数回撮像する場合の動作タイミングを示す図である。
【
図6】
図6は第二実施形態の撮像システムの構成を示す図である。
【
図7】
図7は
図6の撮像システムの動作タイミングを示す図である。
【
図8】
図8は
図6の撮像システムの発光タイミングを示す図である。
【
図9】
図9は第一変形例の撮像システムの構成を示す図である。
【
図10】
図10は実施例のフリップチップボンダの概略を示す上面図である。
【
図11】
図11は
図10において矢印A方向から見たときに、ピックアップフリップヘッド及びトランスファヘッドの動作を説明する図である。
【
図12】
図12は
図10において矢印B方向から見たときに、ボンディングヘッドの動作を説明する図である。
【
図14】
図14(a)はアンダビジョンカメラの構成を示す図であり、
図14(b)はボンドカメラの構成を示す図である。
【
図15】
図15は通常露光の撮像システムの構成を示す図である。
【
図17】
図17は
図10において矢印B方向から見たときに、ボンディングヘッドの動作を説明する図である。
【
図18】
図18はボンドカメラおよびアンダビジョンカメラの画像を示す図である。
【
図19】
図19は実施例のフリップチップボンダで実施されるボンディング方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態および実施例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0009】
<第一実施形態>
ストロボ露光の撮像システムについて
図1~5を用いて説明する。
図1は第一実施形態の撮像システムの構成を示す図である。
図2は
図1の撮像システムの軸動作停止後短時間に撮像する場合の動作タイミングを示す図である。
図3は
図1の撮像システムの発光タイミングを示す図である。
図4は
図1の撮像システムの軸動作停止から認識開始まで認識待ち時間を設けて撮像する場合の動作タイミングを示す図である。
図5は
図1の撮像システムの軸動作停止後複数回撮像する場合の動作タイミングを示す図である。
【0010】
図1に示すように、ストロボ露光の撮像システム100Sは、コントローラ101と、ストロボ照明電源107a,107bと、照明装置103と、カメラ104aとレンズ104bとを有する撮像装置104と、認識処理装置105と、を備える。
【0011】
コントローラ101は撮像トリガ信号をカメラ104aに出力し、カメラ104aは撮像トリガ信号を受け露光開始すると同時に、露光開始から設定された発光遅延時間に照明が点灯するように照明トリガ信号(ストロボトリガ)をストロボ照明電源107a,107bに出力する。ストロボ照明電源107a,107bはカメラ104aから照明トリガ信号を受けとり、照明発光電流を照明装置103に供給する。照明装置103は擬似同軸照明103aおよび側方照明103b等から構成される。照明装置103は、多数個の発光ダイオードをマトリックス状に整列配置させてその面発光の光源により撮像対象のワーク108を照明する。
【0012】
図2に示すように、照明装置103は撮像トリガ信号から発光遅延時間(Td4)後、単発光によるストロボ点灯する。コントローラ101は撮像トリガ信号をカメラ104aに入力し、露光遅延時間(Td1)後、カメラ104aは設定された露光時間(Tex1)分、シャッタを開放し露光し、レンズ104bを通して撮像対象のワーク108を撮像する。カメラ104aの撮像の完了後(露光終了後転送待ち時間(Td2)を経て)、カメラ104aは画像データを認識処理装置105に転送し、完了待ち時間(Td3)後、認識処理装置105は画像データに基づいて位置ずれ量等を算出する。
【0013】
撮像トリガ信号を発行してから認識計算が完了するまでの時間を認識時間(Tr)とすると、Trは次式のようになる。
Tr=Td1+Tex1+Td2+Ttr+Td3+Trc
ここで、Ttrは画像転送時間、Trcは認識計算時間である。
【0014】
図3に示すように、カメラシャッタを開けている時間である露光時間(Tex1)は、
Tex1=Td4+Tem+Tm
である。ここで、Temは発光時間、Tmは、露光余裕時間である。発光遅延時間、発光時間および発光強度は可変値であり、露光余裕時間は固定値であり、例えば、下記の値である。
発光時間=5~107.4μs(0.2μs刻み)
発光遅延時間=10~112.4μs(0.2μs刻み)
露光余裕時間=5μs(固定値)
発光強度(光量)=512階調
ストロボ露光は、露光時間(Tex1)を20μs程度など極短く設定でき、実質的な露光時間である発光時間も10μs程度など極短く設定でき、移動中の認識撮像でも認識可能になり、高速化が可能である。ここで、移動中の認識撮像とは、撮像装置104が静止した状態で撮像対象のワーク108が移動している場合、撮像対象のワーク108が静止した状態で撮像装置104が移動している場合、撮像装置104および撮像対象のワーク108の両方が移動している場合の認識撮像である。
【0015】
上述したように、複数の軸が同時に動作するような装置において、認識撮像中に他の軸が動作した場合、動作振動による影響で撮像した画像が静止位置のものと振動しているときのもので位置がずれることがある。
【0016】
軸動作停止後短時間に撮像すると振動による認識ずれが発生する。
図2に示すように、露光中の変位の平均値が認識位置(
図2の黒丸)となり、
図2ではマイナスの変位に位置し、認識ずれが発生する。すなわち、振動中に1回のストロボ発光で撮像すると位置がずれることがある。
【0017】
図3に示すように、実質的な露光時間、すなわち、発光時間(Tem)を振動周期よりも長くすることで、撮像画像は振動によるぶれが平均化され、振動影響を低減することは可能である。例えば、ストロボの発光時間が10ms程度あり、振動周期が10ms以下(振動周波数が100Hz以上)の場合は、振動影響を低減することは可能である。しかし、移動中の露光、撮像ではストロボ照度を高くするため照明電源出力が高電流となり、電源容量が不足するため長時間発光ができない。発光時間は長くて100μs程度であり、振動周期が100μs以下(振動周波数が10kHz以上)であれば、振動影響を低減することは可能である。
【0018】
図4に示すように、軸動作停止から認識開始まで認識待ち時間(Trw)を設けて振動が収まるのを待ってから露光することが考えられる。これにより、振動周期が長い場合でも振動影響を軽減することが可能である。ただし、長い振動周期を考慮して認識待ち時間(Trw)を長く設定することが必要であり、認識に時間がかかる。
【0019】
図5に示すように、軸動作停止後、撮像および認識計算を複数回(N回)行い、それらの平均化処理を行うことも考えられる。これにより、長い認識待ち時間を設けなくても、振動影響を軽減することが可能である。ただし、認識時間(Tr2)は
図2、3の場合の認識時間(Tr)のN倍弱になり、認識に時間がかかる。
図5の場合、
Tr2=N×Tr―(N-1)Td4
となる。ここで、N=2である。
【0020】
上述した第一実施形態のストロボ露光は露光時間内の発光は1回のみであるので、以下、ストロボ1回露光という。
【0021】
<第二実施形態>
第二実施形態のストロボ露光の撮像システムについて
図6~8を用いて説明する。
図6は第二実施形態の撮像システムの構成を示す図である。
図7は
図6の撮像システムの動作タイミングを示す図である。
図8は
図6の撮像システムの発光タイミングを示す図であり、
図8(a)は発光強度を1/Nにした場合であり、
図8(b)は発光時間を1/Nにした場合である。
【0022】
図6に示すように、第二実施形態の撮像システム100の構成は
図1の撮像システム100Sと同様である。
【0023】
図6、7に示すように、コントローラ101は撮像トリガ信号をカメラ104aに出力する。カメラ104aは撮像トリガ信号から露光遅延時間(Td1)後露光開始すると共に露光開始から設定された発光遅延時間(Td4)を経て連続した照明トリガ信号(ストロボトリガ)をストロボ照明電源107a,107bに出力する。ストロボ照明電源107a,107bは、照明トリガ信号から予め設定された発光遅延時間(Td4)、発光時間(Tem)、光量(発光強度)、発光周期(Tep)で照明装置103の発光ダイオードを発光させる。カメラ104aは設定された露光時間(Tex2)分、シャッタを開放し露光し、レンズ104bを通して撮像対象のワーク108を撮像する。カメラ104aの撮像の完了後(露光終了後転送待ち時間(Td2)を経て)、カメラ104aは画像データを認識処理装置105に転送し、完了待ち時間(Td3)後、認識処理装置105は画像データに基づいて位置ずれ量等を算出する。カメラ104aは一つの撮像トリガ信号の入力に対して複数のトリガ信号を出力する。
【0024】
認識時間(Tr3)は第一実施形態と同様に次式のようになる。
Tr3=Td1+Tex2+Td2+Ttr+Td3+Trc
ただし、第二実施形態の露光時間(Tex2)は第一実施形態の露光時間(Tex1)よりも長く、よって、第二実施形態の認識時間(Tr3)は第一実施形態の認識時間(Tr)よりも(Tex2-Tex1)だけ長くなる。
【0025】
図8に示すように、露光時間(Tex2)は、
Tex2=Tem×(N-1)+Td4+Tem+Tm
である。なお、発光周期は、現状のストロボの制約で10ms以上である。例えば、
発光周期=10ms
発光遅延時間=10μs
発光時間=50μs
露光余裕時間=5μs
N=4
とすると、
Tex2=10ms×(4-1)+10μs+50μs+5μs=30.11ms
となる。
【0026】
上述した第二実施形態のストロボ露光は、露光時間内に複数の発光があるので、以下、ストロボ多重露光という。
【0027】
なお、オーバ露光を防ぐため、第二実施形態のストロボ多重露光の露光総光量を第一実施形態のストロボ1回露光の光量と同じにする。ストロボ1回の光量は発光時間および発光強度を調整して行う。例えば、
図8(a)に示すように、1回の露光時間でN回発光するストロボ多重露光の1回の発光時間をストロボ1回露光の発光時間と同じにする場合は、ストロボ多重露光の1回の発光強度をストロボ1回露光の発光強度の1/Nにする。
図8(b)に示すように、1回の露光時間でN回発光するストロボ多重露光の1回の発光強度をストロボ1回露光の発光強度と同じにする場合は、1回の発光時間を1/Nにする。また、例えばストロボ多重露光の1回の発光時間をストロボ1回露光の発光時間の5倍にする場合は、ストロボ多重露光の1回の発光強度をストロボ1回露光の発光強度の1/5Nにする。
【0028】
図7に示すように、1回の露光時間内に複数回(本例では4回)ストロボを点灯させる。1枚の画像に複数回のストロボ点灯分の画像が多重に露光され、1枚の画像内で振動成分が平均化される。このためには、カメラのシャッタを開けている時間(露光時間)内に振動周期(Top)の1/2以下の周期で複数回ストロボ露光する。これにより、軸動作や他軸動作による振動、外乱による振動などによる認識ずれを低減することが可能である。
【0029】
第二実施形態では、1回の撮像中に複数回ストロボを発光させ、多重露光により平均化することで、動作軸停止後の振動や認識対象軸以外の軸動作により発生する振動影響等の外乱影響を低減することが可能である。また、認識対象動作軸が停止後認識開始する時間を短縮することが可能である。また、1回の撮像、データ転送で済むため転送時間と認識計算の処理時間を短縮することができ、通常のストロボ1回露光を複数回撮像するより高速化することが可能である。また、十分な照度の極短時間発光が可能なストロボ照明により実質的な露光時間(発光している間の露光時間)を短くし、移動中認識も可能である。
【0030】
<変形例>
以下、実施形態の代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成および機能を有する部分に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部分の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が適宜援用され得るものとする。また、上述の実施形態の一部、および、複数の変形例の全部または一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0031】
(第一変形例)
図9は第一変形例の撮像システムの構成を示す図である。
【0032】
第二実施形態では、複数回のストロボ発光を行うためのトリガ信号をカメラ104aで生成しているが、カメラ104aの外部のパルスジェネレータで生成してもよい。第一変形例の撮像システム100Aのカメラ104aは入力された撮像トリガ信号をパルス生成回路109に出力し、パルス生成回路109は入力された撮像トリガ信号に基づいて所定間隔で所定数のトリガ信号を出力する。
【0033】
(第二変形例)
第二実施形態では、ストロボ多重露光の1回の発光時間をストロボ1回露光の発光時間と同じにする場合は、ストロボ多重露光の1回の発光強度をストロボ1回露光の発光強度の1/Nにしているが、ストロボ多重露光の1回の発光強度をストロボ1回露光の発光強度と同様にしてもよい。これにより、異物検出のための外見検査において、1回の露光で照度が不足する暗い対象の認識でも複数回ストロボ露光して明るさを確保し認識可能となる。
【0034】
(第三変形例)
第一実施形態の撮像システム100Sと第二実施形態の撮像システム100とを組み合わせてもよい。第三変形例の撮像システムは撮像システム100Sのストロボ1回露光の機能(ストロボ1回露光モード)と撮像システム100のストロボ多重露光の機能(ストロボ多重露光モード)とを備える。
【0035】
第三変形例の撮像システムは、ストロボ1回露光モードでは、カメラ104aがコントローラ101からの撮像トリガ信号に基づいて、単発のトリガ信号を出力し、撮像システム100Sと同様に動作する。ストロボ多重露光モードでは、カメラ104aがコントローラ101からの撮像トリガ信号に基づいて、連続のトリガ信号を出力し、撮像システム100と同様に動作する。
【実施例0036】
以下、上述の実施形態の実装装置の一例であるフリップチップボンダに適用した例について説明する。なお、フリップチップボンダは、例えばチップ面積を超える広い領域に再配線層を形成するパッケージであるファンアウト型ウェハレベルパッケージ(Fan Out Wafer Level Package:FOWLP)等の製造に用いられる。
【0037】
図10は実施例のフリップチップボンダの概略を示す上面図である。
図11は
図10において矢印A方向から見たときに、ピックアップフリップヘッド及びトランスファヘッドの動作を説明する図である。
図12は
図10において矢印B方向から見たときに、ボンディングヘッドの動作を説明する図である。
図13は
図10のダイ供給部の主要部を示す概略断面図である。
図10に示すように、フリップチップボンダ10は、大別して、ダイ供給部1と、第一ピックアップ部2aと、第二ピックアップ部2b、第一トランスファステージ部3aと、第二トランスファステージ部3bと、第一ボンディング部4aと、第二ボンディング部4bと、搬送部5と、基板供給部6Kと、基板搬出部6Hと、各部の動作を監視し制御する制御装置7と、を備える。なお、第二ピックアップ部2b、第二トランスファステージ部3bおよび第二ボンディング部4bは、それぞれピックアップされるダイDを通りY軸方向に伸びる線に対して第一ピックアップ部2a、第一トランスファステージ部3aおよび第一ボンディング部4aと鏡対象に配置され、同様に構成され、同様に動作する。第二ピックアップ部2b、第二トランスファステージ部3bおよび第二ボンディング部4bの各構成要素の符号の「b」は第一ピックアップ部2a、第一トランスファステージ部3aおよび第一ボンディング部4aの各要素の符号の「a」に対応する。
【0038】
まず、ダイ供給部1は、ワークの一例である基板Pに実装するダイDを供給する。ダイ供給部1は、分割されたウェハ11を保持するウェハ保持台12と、ウェハ11からダイDを突き上げる突上げユニット13と、ウェハリング供給部18と、を備える。ダイ供給部1は、図示しない駆動手段によってXY方向に移動し、ピックアップするダイDを突上げユニット13の位置に移動させる。ウェハリング供給部18はウェハリング14が収納されたウェハカセット(不図示)を有し、順次ウェハリング14をダイ供給部1に供給し、新しいウェハリングに交換する。ウェハリング14が収納されたウェハカセットはフリップチップボンダ10の外部からウェハリング供給部18に供給される。ダイ供給部1は、所望のダイDをウェハリング14からピックアップできるように、ピックアップポイントに、ウェハリング14を移動する。ウェハリング14は、ウェハ11が固定され、ダイ供給部1に取り付け可能な治具である。
【0039】
第一ピックアップ部2aはピックアップされるダイDに対して基板供給部6K側に位置する。第一ピックアップ部2aは、ダイDをピックアップして反転するピックアップフリップヘッド21aと、コレット22a(
図11参照)を昇降、回転、反転及びX軸方向に移動させる駆動部23aと、ダイDを先端に吸着保持するコレット26a(
図11参照)を有するピックアップヘッド25aと、ピックアップヘッド25aを昇降およびX軸方向に移動させる駆動部27aと、を備える。ピックアップされるダイDの真上にウェハ認識カメラ24が設けられ、第一ピックアップ部2aと第二ピックアップ部2bに共用される。このような構成によって、
図11に示すように、ピックアップフリップヘッド21aは、ウェハ認識カメラ24の撮像データに基づいてダイDをピックアップし、ピックアップフリップヘッド21aを180度回転させ、ダイDのバンプを反転させて下面に向け、ダイDをピックアップヘッド25aに渡す姿勢にする。ピックアップヘッド25aは、反転したダイDをピックアップフリップヘッド21aから受けとり、第一トランスファステージ部3aに載置する。
【0040】
第一トランスファステージ部3aは、ダイDを一時的に載置するトランスファステージ31a1,31a2と、アンダビジョンカメラ(第一撮像装置)34aと、アンダビジョン補正マーク35aと、を備える。トランスファステージ31a1,31a2は図示しない駆動部によりY軸方向に移動可能である。
【0041】
第一ボンディング部4aはピックアップされるダイDに対して基板供給部6K側に位置する。第一ボンディング部4aは、トランスファステージ31a1,31a2からダイDをピックアップし、搬送されてくる基板P上にボンディングする。第一ボンディング部4aは、ボンディングヘッド41aと、ボンディングヘッド41aをZ軸方向に移動させるボンドヘッドテーブル45aと、ボンドヘッドテーブル45aをY軸方向に移動させるガントリテーブル(Yビーム)43aと、ガントリテーブル43aをX軸方向に移動させる一対のXビーム(不図示)と、基板Pの位置認識マーク(図示せず)を撮像し、ボンディング位置を認識するボンドカメラ(第二撮像装置)44aと、を備える。ガントリテーブル43aは実装ステージBS(
図12参照)上を跨るようにY軸方向に伸びてその両端がそれぞれX軸方向に移動自在に一対のXビームに支持されている。ダイDが基板Pにボンディングされる際、基板Pは実装ステージBSに吸着固定されている。ボンドカメラ44aはボンドヘッドテーブル45aに設けられている。
図12に示すように、ボンディングヘッド41aは四つのダイDを先端に吸着保持するコレット42a1,42a2,42a3,42a4をそれぞれ有するボンディングヘッド41a1,41a2,41a3,41a4を備える。
このような構成によって、ボンディングヘッド41aは、トランスファステージ31a1,31a2からダイDをピックアップし、アンダビジョンカメラ34aおよびボンドカメラ44aでボンディングヘッドがダイDを保持する位置を撮像する。この撮像データに基づいてボンディング位置決め補正位置を算出し、ボンディングヘッドを移動して基板PにダイDをボンディングする。
【0042】
搬送部5は、基板PがX軸方向に移動する搬送レール51,52を備える。搬送レール51,52は平行に設けられる。このような構成によって、基板供給部6Kから基板Pを搬出し、搬送レール51,52に沿ってボンディング位置まで移動し、ボンディング後基板搬出部6Hまで移動して、基板搬出部6Hに基板Pを渡す。基板PにダイDをボンディング中に、基板供給部6Kは新たな基板Pを搬出し、搬送レール51,52上で待機する。基板Pはフリップチップボンダ10の外部から基板供給部6Kに搬入され、ダイDが載置された基板Pは基板搬出部6Hからフリップチップボンダ10の外部に搬出される。
【0043】
制御装置7は、フリップチップボンダ10の各部の動作を監視し制御するプログラム(ソフトウェア)やデータを格納する記憶装置(メモリ)と、メモリに格納されたプログラムを実行する中央処理装置(CPU)と、を備える。制御装置7は、実施形態のコントローラ101や認識処理装置105等を備える。
【0044】
図13に示すように、ウェハ保持台12は、ウェハリング14を保持するエキスパンドリング15と、ウェハリング14に保持され複数のダイDが粘着されたダイシングテープ16を水平に位置決めする支持リング17と、ダイDを上方に突き上げるための突上げユニット13と、を有する。所定のダイDをピックアップするために、突上げユニット13は、図示しない駆動機構によって上下方向に移動し、ダイ供給部1は水平方向には移動するようになっている。
【0045】
アンダビジョンカメラおよびボンドカメラの構成について
図14を用いて説明する。
図14(a)はアンダビジョンカメラの構成を示す図であり、
図14(b)はボンドカメラの構成を示す図である。
【0046】
アンダビジョンカメラ34aは、カメラ本体344aとレンズ344bとを有する撮像装置344と、疑似同軸照明343aとリング照明343bとを有する照明装置343と、を備える。アンダビジョンカメラ34aは上方のダイDを真下から撮像するよう上を向いて設けられている。カメラ本体344aおよび照明装置343は、実施形態の撮像システム100のカメラ本体104aおよび照明装置103と同様に制御される。すなわち、アンダビジョンカメラ34aは、制御装置7の指示により実施形態のストロボ1回露光またはストロボ多重露光によりダイDを撮像することが可能である。アンダビジョンカメラ34bはアンダビジョンカメラ34aと同様な構成である。
【0047】
ボンドカメラ44aは、カメラ本体444aとレンズ444bとを有する撮像装置444と、疑似同軸照明443aと側方照明443bとを有する照明装置443と、を備える。ボンドカメラ44aは下方のアンダビジョン補正マーク35a、ダイDおよび基板Pを上から撮像するよう下を向いて設けられている。カメラ本体444aおよび照明装置443は、実施形態の撮像システム100のカメラ104aおよび照明装置103と同様に制御される。すなわち、ボンドカメラ44aは、実施形態のストロボ1回露光またはストロボ多重露光によりアンダビジョン補正マーク35a、ダイDおよび基板Pを撮像することが可能である。ボンドカメラ44bはボンドカメラ44aと同様な構成である。
【0048】
なお、ウェハ認識カメラ24は、ボンドカメラ44aと同様な構成であるが、通常露光によりウェハ11(ダイD)を撮像するが、アンダビジョンカメラ34aやボンドカメラ44aと同様、ストロボ露光やストロボ多重露光可能なシステムに置き換えることも可能である。
【0049】
常時点灯照明を用いてカメラシャッタで露光制御する通常露光の撮像システムについて
図15、16を用いて説明する。
図15は通常露光の撮像システムの構成を示す図である。
図16は
図15の撮像システムの動作タイミングを示す図である。
【0050】
通常露光の撮像システム100Rは、コントローラ101と、照明電源102a,102bと、照明装置103と、カメラ104aとレンズ104bとを有する撮像装置104と、認識処理装置105と、を備える。
【0051】
コントローラ101は照明ON/OFFおよび照度設定等の制御信号を照明電源102a,102bに出力し、照明電源102a,102bは照明発光電流を照明装置103に供給する。照明装置103は擬似同軸照明103aおよび側方照明(リング照明または4方向バー照明など)103b等から構成される。照明装置103は、多数個の発光ダイオードをマトリックス状に整列配置させてその面発光の光源により撮像対象のワーク108を照明する。
【0052】
照明装置103は常時点灯もしくは認識露光前に点灯する。コントローラ101は撮像トリガ信号をカメラ104aに入力し、露光遅延時間(Td1)後、カメラ104aは設定された露光時間(Tex3)分、シャッタを開放し露光し、レンズ104bを通して撮像対象のワーク108を撮像する。カメラ104aの撮像の完了後(露光終了後、転送待ち時間(Td2)を経て)、カメラ104aは画像データを認識処理装置105に転送し、認識処理装置105は画像データに基づいて位置ずれ量等を算出する。
【0053】
認識時間(Tr4)は第一実施形態と同様に次式のようになる。
Tr4=Td1+Tex3+Td2+Ttr+Td3+Trc
ただし、露光時間(Tex3)は第一実施形態の露光時間(Tex1)よりも長く、よって、認識時間(Tr3)は第一実施形態の認識時間(Tr)よりも(Tex3-Tex1)だけ長くなる。
【0054】
上述したように、複数の軸が同時に動作するような装置において、認識撮像中に他の軸が動作した場合、動作振動による影響で撮像した画像が静止位置のものと振動しているときのもので位置がずれることがある。しかし、
図16に示すように、露光時間を長くすることで、撮像画像は振動によるぶれが平均化され、振動影響を低減することは可能である。なお、露光時間を10ms以上確保することで、100Hz以上の動作振動は撮像で平均化され、振動影響を低減することは可能である。
【0055】
次に、アンダビジョン補正について
図17、18を用いて説明する。
図17は
図10において矢印B方向から見たときに、ボンディングヘッドの動作を説明する図であり、
図17(a)は一番目のボンディングヘッドおよびそれに対応するアンダビジョン補正マークを撮像する状態を示す図であり、
図17(b)は二番目のボンディングヘッドおよびそれに対応するアンダビジョン補正マークを撮像する状態を示す図であり、
図17(c)は三番目のボンディングヘッドおよびそれに対応するアンダビジョン補正マークを撮像する状態を示す図であり、
図17(d)は四番目のボンディングヘッドおよびそれに対応するアンダビジョン補正マークを撮像する状態を示す図でありである。
図18(a)はボンドカメラによるアンダビジョン補正マークの撮像画像を示す図であり、
図18(b)はアンダビジョンカメラによるダイの撮像画像を示す図であり、
図18(c)はボンドカメラによる基板上のリファレンスマークの撮像画像である。なお、
図18の撮像画像は説明を容易にするため外周を黒色、内部を白色で示している。
【0056】
アンダビジョン補正マーク35aはアンダビジョンカメラ34aを挟んで基板Pとは反対側に設けられる。
図17に示すように、アンダビジョン補正マーク35aは、光を遮光するプレート35a5の下方に配置されたLED等の光源35a6~35a9をプレート35a5が有するピンホール35a1~35a4に照射して構成される点光源によるマークが形成される。四つのピンホール35a1~35a4は四つのコレット42a1~42a4に対応する位置に四つ配置されている。よって、四つのピンホール35a1~35a4は四つのアンダビジョン補正マークを構成する。なお、四つのアンダビジョン補正マークを個々に参照する場合は、符号35a1~35a4を用いる。
【0057】
ボンドカメラ44aがアンダビジョン補正マーク35aを撮像する場合、アンダビジョンカメラ34aにボンドカメラ44aの照明装置443から発せられる光が入射し、アンダビジョンカメラ34aの認識に影響を及ぼさないようにボンドカメラ44aの照明装置443は消灯される。これにより、後述するアンダビジョンカメラ34aによるコレット42aの撮像への影響を低減することができる。
【0058】
ボンディングヘッド41aおよびボンドカメラ44aがY軸方向に移動しながら、ボンドカメラ44aはアンダビジョン補正マーク35aを撮像して認識し、
図18(a)に示すように、初期に登録されたアンダビジョン補正マーク35aの位置(マーク初期位置)とボンドカメラ44aで認識されたアンダビジョン補正マーク35aの位置のずれを認識し、(dXmark,dYmark)を算出する。アンダビジョンカメラ34aの中心にコレット42aを位置決めしたとき、ボンドカメラでアンダビジョン補正マーク35aを撮像し、位置を計測してマーク初期位置を登録しておく。ボンドカメラ44aによるアンダビジョン補正マーク35aの撮像と同時に、アンダビジョンカメラ34aはコレット42aに吸着保持されたダイDの搭載面を撮像して認識し、
図18(b)に示すように、アンダビジョンカメラ34aの中心からダイDの位置を認識計測して(dXdie,dYdie)を算出する。(dXmark,dYmark)と(dXdie,dYdie)の結果から、アンダビジョン補正マーク35aの位置に対するコレット42aに吸着保持されたダイDの位置を算出する。
【0059】
図17に示すように、ボンディングヘッド41aに4つの搭載されたコレット42a1~42a4についてそれぞれ吸着保持したダイDをアンダビジョンカメラ34a上に移動させ、ダイDを撮像して、位置を認識し、コレット42a1~42a4についてそれぞれアンダビジョンカメラ34aで認識する位置に対応するアンダビジョン補正マーク35a1~35a4を、アンダビジョンカメラ34aでダイDを認識撮像すると同時にボンドカメラ44aで撮像認識する。以下、詳細に説明する。
【0060】
まず、
図17(a)に示すように、一番目のボンディングヘッド41a1のコレット42a1に吸着保持されたダイDをアンダビジョンカメラ34aの上に移動させ、ダイDを撮像して位置を認識すると共に、コレット42a1に吸着保持されたダイDについてアンダビジョンカメラ34aで認識する位置に対応するアンダビジョン補正マーク35a1をボンドカメラ44aで撮像して位置を認識する。
【0061】
次に、
図17(b)に示すように、二番目のボンディングヘッド41a2のコレット42a2に吸着保持されたダイDをアンダビジョンカメラ34aの上に移動させ、ダイDを撮像して位置を認識すると共に、コレット42a2に吸着保持されたダイDについてアンダビジョンカメラ34aで認識する位置に対応するアンダビジョン補正マーク35a2をボンドカメラ44aで撮像して位置を認識する。
【0062】
次に、
図17(c)に示すように、三番目のボンディングヘッド41a3のコレット42a3に吸着保持されたダイDをアンダビジョンカメラ34aの上に移動させ、ダイDを撮像して位置を認識すると共に、コレット42a3に吸着保持されたダイDについてアンダビジョンカメラ34aで認識する位置に対応するアンダビジョン補正マーク35a3をボンドカメラ44aで撮像して位置を認識する。
【0063】
次に、
図17(d)に示すように、四番目のボンディングヘッド41a4のコレット42a4に吸着保持されたダイDをアンダビジョンカメラ34aの上に移動させ、ダイDを撮像して位置を認識すると共に、コレット42a4に吸着保持されたダイDについてアンダビジョンカメラ34aで認識する位置に対応するアンダビジョン補正マーク35a4をボンドカメラ44aで撮像して位置を認識する。
【0064】
アンダビジョンカメラ34aによるダイDの位置認識完了後、
図17に示すように、ボンディングヘッド41aはダイDを吸着保持した状態で実装ステージBSに吸着固定されている基板Pに移動し、基板Pの所定の位置にダイDをボンディングする。その際、ボンドカメラ44aで基板Pに設けられたリファレンスマークRMを撮像して認識し、
図18(c)に示すようにボンドカメラ44aの中心から見た基板P上のリファレンスマークRMの位置を認識計測して(dX
RM、dY
RM)を算出する。このリファレンスマークRMの位置からダイDをボンドする位置を算出するときに、先に求めたアンダビジョン補正マーク35aの位置に対するコレット42aに吸着保持されたダイDの位置を加えてボンド位置を算出する。すなわち、各認識結果をボンディングする目標位置決め座標から差し引くことで(Xbond,Ybond)を算出する。
【0065】
Xbond=dXRM-dXdie-dXmark
Ybond=dYRM-dYdie-dYmark
これにより、ボンディングヘッドの位置決め誤差や、動作振動によるボンディングヘッド位置決め位置のずれなどの影響を相殺することができ、常にアンダビジョン補正マーク35aを基準にしてダイDの位置を算出し、リファレンスマークRMからボンド位置を合わせることが可能となる。この例では各コレットでボンディングする位置にヘッドを位置決めした際に、ボンドカメラで撮像可能な視野内にリファレンスマークRMを設置し、これを認識することでボンド位置を補正する手法を説明したが、ボンディング時に位置決め位置を補正する方法として、ボンドする基板にあらかじめ設けられたアライメントマークや、基板上の各ボンディング位置に個別に設けられたマーク、もしくはすでにボンド済みのダイなどを基準としてボンドカメラで撮像認識計算し、アンダビジョン補正マークの認識結果と合わせボンド位置を補正することでも同様の効果が得られる。
【0066】
次に、実施例のフリップチップボンダにおいて実施されるボンディング方法(半導体装置の製造方法)について
図19を用いて説明する。
図19は実施例のフリップチップボンダで実施されるボンディング方法を示すフローチャートである。第一ピックアップ部2a、第一トランスファステージ部3aおよび第一ボンディング部4a側を中心に説明するが、第二ピックアップ部2b、第二トランスファステージ部3bおよび第二ボンディング部4b側も同様である。なお、第二ピックアップ部2b、第二トランスファステージ部3bおよび第二ボンディング部4bは第一ピックアップ部2a、第一トランスファステージ部3aおよび第一ボンディング部4aと干渉しない範囲で並行して動作する。
【0067】
フリップチップボンダ10で半導体装置を製造する場合、ウェハリング14が収納されたウェハカセットはフリップチップボンダ10の外部からウェハリング供給部18に供給される。また、基板Pはフリップチップボンダ10の外部から基板供給部6Kに搬入される。ダイDが実装された基板Pは基板搬出部6Hからフリップチップボンダ10の外部に搬出される。フリップチップボンダ10内の動作について以下説明する。
【0068】
ステップS1:制御装置7はピックアップするダイDが突上げユニット13の真上に位置するようにウェハ保持台12を移動し、ウェハ認識カメラ24の撮像データに基づいて剥離対象ダイを突上げユニット13とコレット22aに位置決めする。ダイシングテープ16の裏面に突上げユニット13の上面が接触するように突上げユニット13を移動する。このとき、制御装置7は、ダイシングテープ16を突上げユニット13の上面に吸着する。制御装置7は、コレット22aを真空引きしながら下降させ、剥離対象のダイDの上に着地させ、ダイDを吸着する。制御装置7はコレット22aを上昇させ、ダイDをダイシングテープ16から剥離する。これにより、ダイDはピックアップフリップヘッド21aによりピックアップされる。
【0069】
ステップS2:制御装置7はピックアップフリップヘッド21aを移動させる。
【0070】
ステップS3:制御装置7はピックアップフリップヘッド21aを180度回転させ、ダイDのバンプ面(表面)を反転させて下面に向け、ダイDのバンプ(表面)を反転させて下面に向け、ダイDをピックアップヘッド25aに渡す姿勢にする。
【0071】
ステップS4:制御装置7はピックアップフリップヘッド21aのコレット22aからピックアップヘッド25aのコレット26aによりダイDをピックアップして、ダイDの受渡しが行われる。
【0072】
ステップS5:制御装置7は、ピックアップフリップヘッド21aを反転し、コレット22aの吸着面を下に向ける。
【0073】
ステップS6:ステップS5の前または並行して、制御装置7はピックアップヘッド25aをトランスファステージ31a1に移動する。
【0074】
ステップS7:制御装置7はピックアップヘッド25aに保持しているダイDをトランスファステージ31a1に載置する。
【0075】
ステップS8:制御装置7はピックアップヘッド25aをダイDの受渡し位置に移動させる。制御装置7はステップS1~S8を所定回数(実施例では4回)繰り返す。
【0076】
ステップS9:ステップS8の後または並行して、制御装置7はトランスファステージ31a1をボンディングヘッド41aとの受渡し位置に移動させる。
【0077】
ステップSA:制御装置7はボンドカメラ44aによりトランスファステージ31a1に保持されたダイDを撮像すると共に、トランスファステージ31a1からボンディングヘッド41aのコレット42aにより複数(実施例では四つ)のダイDを一括してピックアップして、ダイDの受渡しが行われる。
【0078】
ステップSB:制御装置7は、ボンディングヘッド41a1,41a2,41a3,41a4のコレット42a1,42a2,42a3,42a4が保持している四つのダイDをトランスファステージ31a1から基板P上に移動する。このとき、ボンドカメラ44aを移動させながらアンダビジョン補正マーク35aを撮像すると共に、アンダビジョンカメラ34aで移動している四つのダイDを撮像する。ガントリテーブル43aはX軸方向に移動すると共にボンディングヘッド41aはY軸方向に移動する。
【0079】
ステップSC:制御装置7は、ボンドカメラ44aにより基板を撮像し、ボンドカメラ44aにより撮像したアンダビジョン補正マーク35aのデータ、アンダビジョンカメラ34aにより撮像したダイDのデータおよびボンドカメラ44aにより撮像した基板のデータに基づいて、トランスファステージ31a1からボンディングヘッド41a1,41a2,41a3,41a4のコレット42a1,42a2,42a3,42a4でピックアップした四つのダイDを一括して基板P上に載置する。
【0080】
ステップSD:制御装置7はボンディングヘッド41a1,41a2,41a3,41a4をトランスファステージ31a2との受渡し位置に移動させる。
【0081】
ステップSE:制御装置7はトランスファステージ31a1をピックアップヘッド25aとの受渡し位置に移動させる。
【0082】
なお、上記フローでは、トランスファステージ31a1を使用した例であるが、トランスファステージ31a2を使用した場合も同様である。
【0083】
フリップチップボンダ10では、ダイおよび基板の撮像において、10μs程度と極短時間の発光ストロボを使用することで、撮像対象であるダイおよび基板の移動中に露光撮像(フライスキャンによる認識)し、生産性を向上することが可能だが、極短時間のストロボ1回露光では振動など外乱影響による認識ずれの影響があり、高精度なボンディングには支障をきたすことがある。そういった場合に本発明で提案した事例のようなストロボ多重露光により、10ms以上カメラで露光し、露光時間内にストロボを複数回発光させ、撮像時の振動影響による認識ずれを低減し認識補正に誤差が含まれ精度悪化することを抑制することができ、高精度なボンディング動作を提供することが可能になる。
【0084】
以上、本発明者らによってなされた発明を実施形態および実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0085】
実施形態ではコントローラ101が撮像トリガ信号をカメラ104aに出力する例を説明したが、認識処理装置105が露光開始コマンドをカメラ104aに出力し、露光開始コマンドを受けたカメラ104aが露光開始すると共にカメラ104aからストロボ照明電源107a,107bへ照明トリガ信号が出力するようにしてもよい。
【0086】
また、実施形態および実施例では照明装置は擬似同軸照明とリング照明で構成される例について説明したが、擬似同軸照明とリング照明の何れか一つの照明や他の一つ照明、それらを組み合わせた照明で構成してもよい。
【0087】
また、実施例ではボンディングヘッド(実装ヘッド)が四つの例を説明したが、これに限定されるものではなく、一つまたは複数のボンディングヘッドであってもよい。
【0088】
また、実施例では反転機構をピックアップフリップヘッドに設けて、トランスファヘッドでピックアップフリップヘッドからダイを受け取り中間ステージに載置し、中間ステージを移動する例を説明したが、これに限定されるものではなく、ダイをピックアップして反転したピックアップフリップヘッドを移動するようにしてもよいし、ダイの表裏を回転できるステージユニットにピックアップしたダイDを載置し、ステージユニットを移動するようにしてもよい。
【0089】
また、実施例では、フリップチップボンダに適用した例について説明するが、これに限定されるものではなく、半導体チップ(ダイ)を基板等にボンディングするダイボンダやパッケージされた半導体装置等を基板に実装するチップマウンタ(表面実装機)等にも適用することができる。