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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019683
(43)【公開日】2024-02-09
(54)【発明の名称】定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20240202BHJP
【FI】
G03G15/20 510
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023216982
(22)【出願日】2023-12-22
(62)【分割の表示】P 2022156489の分割
【原出願日】2016-02-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100182453
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 英明
(72)【発明者】
【氏名】石ヶ谷 康功
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 一哉
(72)【発明者】
【氏名】正路 圭太郎
(72)【発明者】
【氏名】下川 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】高木 啓正
(57)【要約】
【課題】反射部材によって反射された加熱源の輻射熱により、定着部材の幅方向端部周辺に設けられた部材が過剰に加熱されることを防止し、周辺部材の劣化を防止して長寿命化を図る。
【解決手段】本実施形態では、ハロゲンヒータ23a、23bの封止部55(封止部55の幅方向内側端部55in)が、反射部材26の幅方向外側端部26outよりも外側に設けられる。これにより、反射部材26によって反射された熱が封止部55に到達しにくくなる。また、ベルト保持部材40の幅方向内側端部40inは、反射部材26の幅方向外側端部26outよりも外側に設けられる。これにより、ベルト保持部材40(あるいは、これに対向して設けられる固定遮蔽部材28)に反射部材26による反射熱が到達しにくくなる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な定着部材と、
前記定着部材を加熱する加熱源と、
前記定着部材の幅方向端部側から中央側にわたって設けられ、前記加熱源からの輻射熱を前記定着部材に向けて反射する反射部材と、
前記定着部材の幅方向両側をそれぞれ支持する側板とを有する定着装置であって、
前記加熱源は、管状部材と、前記管状部材の内部に設けられた発熱体とを有し、
前記管状部材は、前記管状部材の径が絞られた封止部を有し、
前記定着部材の幅方向中央側を幅方向内側とし、幅方向端部側を幅方向外側とし、
前記加熱源はさらに、前記管状部材の幅方向端部側の外表面をその外側から保持する保持部を幅方向両側にそれぞれ有し、
前記封止部は、前記管状部材の幅方向両端部側であって、前記管状部材の前記保持部に保持される部分よりも幅方向内側に設けられ、
一方の前記側板は、幅方向一方側の前記保持部を保持する規制部材を有し、他方の前記側板は幅方向他方側の前記保持部を保持する第一の保持部材を有し、
前記規制部材および前記第一の保持部材は、前記側板に取り付けられる固定部を有し、
前記規制部材は、前記固定部よりも幅方向外側に設けられた規制部を有し、
前記規制部材に保持される前記保持部は、部分的に前記加熱源の径方向に突出して設けられ、前記規制部に前記加熱源の幅方向外側から当接する当接部を有し、前記第一の保持部材に保持される前記保持部は前記当接部を有さないことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記定着部材の幅方向両端に挿入される挿入部を備え、前記定着部材を回転可能に保持する第二の保持部材をさらに有し、
前記第二の保持部材は前記側板に支持される請求項1記載の定着装置。
【請求項3】
前記第二の保持部材の幅方向内側端部は、前記反射部材の幅方向外側端部よりも幅方向外側に設けられる請求項2記載の定着装置。
【請求項4】
前記第二の保持部材は、樹脂材料によって形成される請求項2または3記載の定着装置。
【請求項5】
前記定着部材の幅方向端部に、前記加熱源から前記第二の保持部材への熱を遮蔽する端部遮蔽部材を有する請求項2から4いずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
前記加熱源は、その幅方向において、中央側に設けられた前記定着部材を主に加熱する発熱部と、端部側に設けられた主たる発熱部分ではない周辺部とを有し、
前記発熱部は、発熱体としてのフィラメントが前記加熱源の幅方向に渡って連続して密に巻かれた密巻部により形成され、
前記周辺部は、前記加熱源の幅方向に渡って設けられる芯部材に前記フィラメントが巻き付けられて形成され、
前記芯部材は、前記フィラメントよりも電気抵抗が小さい請求項1から5いずれか1項に記載の定着装置。
【請求項7】
前記反射部材は、前記加熱源をその周方向に覆う様に設けられる請求項1から6いずれか1項に記載の定着装置。
【請求項8】
前記規制部材は開口部を有し、
前記保持部は前記開口部に挿入される請求項1から7いずれか1項に記載の定着装置。
【請求項9】
請求項1から8いずれか1項に記載の定着装置を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置、及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の複写機、プリンタ等の画像形成装置に搭載される定着装置として、定着ローラに代えて無端状の定着ベルトを用いたベルト式定着装置が実用化されている。ベルト式定着装置においては、定着ベルトをハロゲンヒータ等の加熱源によって加熱し、所定の温度に達した定着ベルトに用紙を接触させることで、用紙上のトナーが溶融して画像が定着される。
【0003】
ところで、上記の様な定着装置においては、定着部材やその周辺部材の過剰な温度上昇が問題となる場合があり、例えば、非通紙領域における定着部材の過剰な温度上昇が挙げられる。つまり、定着装置に通紙される用紙のサイズは様々であるため、用紙サイズと定着部材の加熱範囲が必ずしも一致するわけではない。そして、定着装置に通紙される用紙サイズが加熱源による加熱範囲よりも小さい場合、通紙領域では用紙や用紙上のトナーを定着させるために熱が消費されるが、非通紙領域では、定着部材から熱が奪われないため、主に定着部材の幅方向端部における非通紙領域で定着部材が過剰に温度上昇する。
【0004】
上記の課題に対して、特許文献1~3では、ニップ部を形成するニップ形成部材又はその一部に高熱伝導部材を用いることで、温度上昇しやすい非通紙領域の熱を拡散させて過剰な温度上昇を抑制する手段が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、定着装置には、加熱源からの輻射熱を定着部材に反射する反射部材を設け、加熱源による発熱の無駄を減らして効率よく定着部材を加熱する構成のものが存在する。
【0006】
そして、加熱源からの輻射熱、あるいは、反射部材からの反射熱により、定着装置内の部材が熱的影響を受けるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、回転可能な定着部材と、前記定着部材を加熱する加熱源と、前記定着部材の幅方向端部側から中央側にわたって設けられ、前記加熱源からの輻射熱を前記定着部材に向けて反射する反射部材と、 前記定着部材の幅方向両側をそれぞれ支持する側板とを有する定着装置であって、前記加熱源は、管状部材と、前記管状部材の内部に設けられた発熱体とを有し、前記管状部材は、前記管状部材の径が絞られた封止部を有し、前記定着部材の幅方向中央側を幅方向内側とし、幅方向端部側を幅方向外側とし、前記加熱源はさらに、前記管状部材の幅方向端部側の外表面をその外側から保持する保持部を幅方向両側にそれぞれ有し、前記封止部は、前記管状部材の幅方向両端部側であって、前記管状部材の前記保持部に保持される部分よりも幅方向内側に設けられ、一方の前記側板は、幅方向一方側の前記保持部を保持する規制部材を有し、他方の前記側板は幅方向他方側の前記保持部を保持する第一の保持部材を有し、前記規制部材および前記第一の保持部材は、前記側板に取り付けられる固定部を有し、前記規制部材は、前記固定部よりも幅方向外側に設けられた規制部を有し、前記規制部材に保持される前記保持部は、部分的に前記加熱源の径方向に突出して設けられ、前記規制部に前記加熱源の幅方向外側から当接する当接部を有し、前記第一の保持部材に保持される前記保持部は前記当接部を有さないことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、定着装置内の部材の熱膨張による影響を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略図である。
図2】本発明の実施の一形態に係る定着装置の断面図である。
図3】前記定着装置の主要部の概略構成を示す斜視図である。
図4】前記定着装置のベルト保持部材が配置された一端部側の構成を示す斜視図である。
図5】前記ベルト保持部材の斜視図である。
図6】ハロゲンヒータの構成を示す図である。
図7】定着装置の幅方向端部における各部材の配置を示す概略図である。
図8】ハロゲンヒータの幅方向端部一方側の構成を示す概略図である。
図9】ハロゲンヒータの異なる構成を示す図である。
図10】異なる実施形態の定着装置を示す断面図である。
図11】異なる実施形態の定着装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0011】
まず、図1を参照して、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。
図1に示す画像形成装置1は、カラーレーザープリンタであり、その装置本体の中央には、4つの作像部4Y,4M,4C,4Kが設けられている。各作像部4Y,4M,4C,4Kは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。
【0012】
具体的に、各作像部4Y,4M,4C,4Kは、潜像担持体としてのドラム状の感光体5と、感光体5の表面を帯電させる帯電装置6と、感光体5の表面にトナーを供給する現像装置7と、感光体5の表面をクリーニングするクリーニング装置8などを備える。なお、図1では、ブラックの作像部4Kが備える感光体5、帯電装置6、現像装置7、クリーニング装置8のみに符号を付しており、その他の作像部4Y,4M,4Cにおいては符号を省略している。
【0013】
各作像部4Y,4M,4C,4Kの下方には、感光体5の表面を露光する露光装置9が配置されている。露光装置9は、光源、ポリゴンミラー、f-θレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいて各感光体5の表面へレーザー光を照射する。
【0014】
また、各作像部4Y,4M,4C,4Kの上方には、転写装置3が配置されている。転写装置3は、中間転写体としての中間転写ベルト30と、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ31と、二次転写手段としての二次転写ローラ36と、駆動ローラ32と、従動ローラ33と、ベルトクリーニング装置35とを備える。
【0015】
中間転写ベルト30は、無端状のベルトであり、駆動ローラ32および従動ローラ33によって張架されている。ここでは、駆動ローラ32を回転駆動することによって、中間転写ベルト30は図の矢印で示す方向に周回走行(回転)する。
【0016】
4つの一次転写ローラ31は、それぞれ、各感光体5との間で中間転写ベルト30を挟み込んで一次転写ニップを形成している。また、各一次転写ローラ31には、電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が各一次転写ローラ31に印加される。
【0017】
二次転写ローラ36は、駆動ローラ32との間で中間転写ベルト30を挟み込んで二次転写ニップを形成している。また、上記一次転写ローラ31と同様に、二次転写ローラ36にも電源が接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が二次転写ローラ36に印加される。
【0018】
ベルトクリーニング装置35は、中間転写ベルト30に当接するように配置されたクリーニングブラシとクリーニングブレードを有する。このベルトクリーニング装置35で回収された廃トナーは、廃トナー移送ホースを介して廃トナー収容器に収容される。
【0019】
画像形成装置本体の上部には、ボトル収容部2が設けられており、ボトル収容部2には、補給用のトナーを収容する4つのトナーボトル2Y,2M,2C,2Kが着脱可能に装着されている。各トナーボトル2Y,2M,2C,2Kと上記各現像装置7との間に設けた補給路を介して、各トナーボトル2Y,2M,2C,2Kから各現像装置7にトナーが補給される。
【0020】
一方、画像形成装置本体の下部には、記録媒体としての用紙Pを収容した給紙トレイ10や、給紙トレイ10から用紙Pを搬出する給紙ローラ11等が設けられている。なお、記録媒体には、普通紙以外に、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート等が含まれる。また、手差し給紙機構が設けてあってもよい。
【0021】
画像形成装置本体内には、用紙Pを給紙トレイ10から二次転写ニップを通過させて装置外へ排出するための搬送路Rが配置されている。搬送路Rにおいて、二次転写ローラ36の位置よりも用紙搬送方向上流側には、搬送タイミングを計って用紙Pを二次転写ニップへ搬送するタイミングローラとしての一対のレジストローラ12が配置されている。
【0022】
また、二次転写ローラ36の位置よりも用紙搬送方向下流側には、用紙Pに転写された未定着画像を定着するための定着装置20が配置されている。さらに、定着装置20よりも搬送路Rの用紙搬送方向下流側には、用紙を装置外へ排出するための一対の排紙ローラ13が設けられている。また、装置本体の上面部には、装置外に排出された用紙をストックするための排紙トレイ14が設けてある。
【0023】
続いて、図1を参照して、本実施形態に係るプリンタの基本的動作について説明する。
作像動作が開始されると、各作像部4Y,4M,4C,4Kにおける各感光体5が図の時計回りに回転駆動され、各感光体5の表面が帯電装置6によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された各感光体5の表面には、露光装置9からレーザー光がそれぞれ照射されて、各感光体5の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体5に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。このように各感光体5上に形成された静電潜像に、各現像装置7によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
【0024】
また、作像動作が開始されると、駆動ローラ32が図の反時計回りに回転駆動し、中間転写ベルト30を図の矢印で示す方向に周回走行させる。また、各一次転写ローラ31に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加されることによって、各一次転写ローラ31と各感光体5との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。
【0025】
その後、各感光体5の回転に伴い、感光体5上の各色のトナー画像が一次転写ニップに達したときに、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、各感光体5上のトナー画像が中間転写ベルト30上に順次重ね合わせて転写される。かくして、中間転写ベルト30の表面にフルカラーのトナー画像が担持される。また、中間転写ベルト30に転写しきれなかった各感光体5上のトナーは、クリーニング装置8によって除去される。そして、各感光体5の表面が除電装置によって除電され、表面電位が初期化される。
【0026】
プリンタの下部では、給紙ローラ11が回転駆動を開始し、給紙トレイ10から用紙Pが搬送路Rに送り出される。搬送路Rに送り出された用紙Pは、レジストローラ12によって搬送が一旦停止される。
【0027】
その後、所定のタイミングでレジストローラ12の回転駆動を開始し、中間転写ベルト30上のトナー画像が二次転写ニップに達するタイミングに合わせて、用紙Pを二次転写ニップへ搬送する。このとき、二次転写ローラ36には、中間転写ベルト30上のトナー画像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、この転写電界によって、中間転写ベルト30上のトナー画像が用紙P上に一括して転写される。また、このとき用紙Pに転写しきれなかった中間転写ベルト30上の残留トナーは、ベルトクリーニング装置35によって除去され、廃トナー収容器へと搬送される。
【0028】
その後、用紙Pは定着装置20へと搬送され、定着装置20によって用紙P上のトナー画像が当該用紙Pに定着される。そして、用紙Pは、排紙ローラ13によって装置外へ排出され、排紙トレイ14上にストックされる。
【0029】
以上の説明は、用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であるが、4つの作像部4Y,4M,4C,4Kのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つの作像部を使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0030】
図2は、本実施形態に係る定着装置の断面図である。
図2に示すように、定着装置20は、定着部材としての定着ベルト21と、定着ベルト21の外周面に対向する対向部材としての加圧ローラ22と、定着ベルト21を加熱する加熱源としての2本のハロゲンヒータ23a,23bと、定着ベルト21の内周側に配置されたニップ形成部材24と、ニップ形成部材24を支持する支持部材としてのステー25と、各ハロゲンヒータ23a,23bから放射される熱(輻射熱)又は光を定着ベルト21へ反射する反射部材26と、主に一方のハロゲンヒータ23bから放射される熱(輻射熱)又は光を遮蔽する可動遮蔽部材27と、両方のハロゲンヒータ23a,23bから放射される熱(輻射熱)又は光を遮蔽する端部遮蔽部材としての固定遮蔽部材28と、定着ベルト21の温度を検知する温度検知手段としての温度センサ29等を備える。
【0031】
上記定着ベルト21は、薄肉で可撓性を有する無端状のベルト部材(フィルムも含む)で形成される。詳しくは、定着ベルト21は、ニッケルもしくはSUS等の金属材料又はポリイミド(PI)などの樹脂材料で形成された内周側の基材と、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などで形成された外周側の離型層によって構成されている。基材と離型層との間に、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、又はフッ素ゴム等のゴム材料で形成された弾性層を介在させてもよい。
【0032】
弾性層が無い場合は、熱容量が小さくなり定着性の向上を達成できるが、未定着トナーを押しつぶして定着させるときにベルト表面の微小な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部に光沢ムラを生じる可能性がある。これを防止するには、厚さ100μm以上の弾性層を設けることが望ましい。厚さ100μm以上の弾性層を設けることで、弾性層の弾性変形により微小な凹凸を吸収することができるので、光沢ムラの発生を回避することができるようになる。
【0033】
本実施形態では、定着ベルト21の低熱容量化を図るために、定着ベルト21を薄くかつ小径化している。具体的には、定着ベルト21を構成する基材、弾性層、離型層のそれぞれの厚さを、20~50μm、100~300μm、10~50μmの範囲に設定し、全体としての厚さを1mm以下に設定している。また、定着ベルト21の直径は、20~40mmに設定している。さらに低熱容量化を図るためには、望ましくは、定着ベルト21全体の厚さを0.2mm以下にするのがよく、さらに望ましくは、0.16mm以下の厚さとするのがよい。
【0034】
加圧ローラ22は、芯金22aと、芯金22aの表面に設けられた発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム、又はフッ素ゴムといったゴム材料等から成る弾性層22bと、弾性層22bの表面に設けられたPFA又はPTFE等から成る離型層22cとによって構成されている。加圧ローラ22は、加圧機構によって定着ベルト21側へ加圧され、定着ベルト21を介してニップ形成部材24に当接している。この加圧ローラ22と定着ベルト21とが圧接する箇所では、加圧ローラ22の弾性層22bが押しつぶされることで、所定の幅のニップ部Nが形成されている。
【0035】
また、加圧ローラ22は、装置本体に設けられたモータ等の駆動源によって回転駆動するように構成されている。加圧ローラ22が回転すると、その駆動力が定着ニップNで定着ベルト21に伝達され、定着ベルト21が従動回転する。
【0036】
本実施形態では、加圧ローラ22を中実のローラとしているが、中空のローラであってもよい。その場合、加圧ローラ22の内部にハロゲンヒータ等の加熱源を配置してもよい。また、弾性層22bはソリッドゴムでもよいが、加圧ローラ22の内部に加熱源が無い場合は、スポンジゴムを用いてもよい。スポンジゴムの方が、断熱性が高く、定着ベルト21の熱が奪われにくくなるのでより望ましい。
【0037】
各ハロゲンヒータ23a,23bは、定着ベルト21の内周側に配置され、ニップ部N以外の箇所で定着ベルト21を直接加熱する。本実施形態では、各ハロゲンヒータ23a,23bが、定着ベルト21内の用紙搬送方向上流側の領域において定着ベルト21と直接対向しており、この上流側の領域において定着ベルト21は直接加熱される。
【0038】
また、各ハロゲンヒータ23a,23bは、装置本体に設けられた電源部により出力制御されて発熱する。その出力制御は、温度センサ29による定着ベルト21の表面温度の検知結果に基づいて行われる。このようなヒータ23の出力制御によって、定着ベルト21は所望の温度(定着温度)に維持される。なお、定着ベルト21の温度を検知する温度センサの代わりに、加圧ローラ22の温度を検知する温度センサを設け、その温度センサで検知した温度により、定着ベルト21の温度を予測するようにしてもよい。
【0039】
用紙P上に担持された未定着画像Tを定着する際は、まず、加圧ローラ22の回転駆動を開始して定着ベルト21を従動回転させ、ハロゲンヒータ23a,23bの一方又は両方を発熱させて定着ベルト21を加熱する。そして、定着ベルト21の温度が所望の温度にまで上昇した状態で、ニップ部Nに用紙Pを通過させることにより、用紙P上の未定着画像T(トナー)が加熱されると共に加圧されて定着される。
【0040】
ニップ形成部材24は、定着ベルト21の内側でかつ定着ベルト21を介して加圧ローラ22と対向する位置に配置されており、ステー25によって支持されている。これにより、加圧ローラ22による加圧力でニップ形成部材24に撓みが生じるのを防止し、定着ベルト21と加圧ローラ22の対向領域の軸方向全体で均一なニップ幅を形成することができる。
【0041】
ステー25は、ニップ形成部材24の撓み防止機能を満足するために、ステンレス等の鋼材をはじめとする金属材料で形成されるが、撓み防止に十分な効果があれば樹脂材料でステー25を形成してもよい。
【0042】
ニップ形成部材24は、耐熱性に富む樹脂材料、例えばポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等で形成されている
【0043】
また、ニップ形成部材24のニップ部N側の面には、低摩擦シート243が取り付けられている。定着ベルト21が回転すると、この低摩擦シート243に対して定着ベルト21の内周面が摺動することで、定着ベルト21に作用する摩擦抵抗の低減が図られる。なお、低摩擦シート243を省略することも可能である。
【0044】
反射部材26は、ステー25とハロゲンヒータ23a,23bとの間に配置され、ステー25に固定支持されている。この反射部材26によって、ハロゲンヒータ23a,23bからの熱を定着ベルト21へ反射することで、熱がステー25等に伝達されるのを抑制し、定着ベルト21を効率良く加熱できるようにして省エネルギー化を図っている。反射部材26の材料としては、アルミニウムやステンレス等が用いられる。特に、アルミニウム製の基材に輻射率の低い(反射率の高い)銀を蒸着したものを用いた場合、定着ベルト21の加熱効率を向上させることが可能である。
【0045】
可動遮蔽部材27は、例えば、厚さ0.1mm~1.0mmの金属板を、定着ベルト21の内周面に沿った円弧状の断面形状に形成して構成されている。また、可動遮蔽部材27は、定着ベルト21とハロゲンヒータ23a,23bとの間を周方向に移動可能に構成されている。一方、固定遮蔽部材28は、ステー25に固定されている。固定遮蔽部材28は、定着ベルト21の両端部側にそれぞれ配置され、各ハロゲンヒータ23a,23bの定着ベルト21側を覆っている。可動遮蔽部材27と固定遮蔽部材28はいずれも耐熱性を要するため、これらの素材には、アルミニウム、鉄、ステンレス等の金属材料、又はセラミックを用いることが好ましい。
【0046】
図3は、本実施形態に係る定着装置の主要部の概略構成を示す斜視図である。
図3に示すように、定着ベルト21の両端部の内周側には、保持部材としてのベルト保持部材40が挿入されている。定着ベルト21は、その両端部側でベルト保持部材40によって回転可能に支持されており、基本的にベルト保持部材40以外に定着ベルト21を支持する部材は存在しない。つまり、定着ベルト21は、ローラ等に架け渡されていない無張架の状態にある。ベルト保持部材40は、ハロゲンヒータ23a,23b及びステー25と共に、定着ベルト21の軸方向両側に設けられた一対の側板に固定支持されている。
【0047】
図4は、定着装置のベルト保持部材が配置された一端部側の構成を示す斜視図、図5は、ベルト保持部材の斜視図である。
図4及び図5に示すように、ベルト保持部材40は、定着ベルト21を回転可能に保持する保持部401と、定着ベルト21の軸方向の寄りを規制する規制部402と、定着装置の側板39にネジなどの締結具で固定される固定部403とを有する。保持部401は、周方向の一部に開口部404を有する部分円筒状に形成されている。この保持部401が定着ベルト21の端部内に挿入されることで、定着ベルト21が保持部401によって回転可能に保持される。
【0048】
各部材を組み付けた状態では、保持部401の開口部404にはニップ形成部材24の端部が配置される。また、保持部401の内周側には、固定遮蔽部材28が配置される。これにより、ハロゲンヒータ23a,23bからの熱によってベルト保持部材40が過剰に温度上昇するのが抑制され、熱による変形や破損が防止される。
【0049】
規制部402は、少なくとも定着ベルト21の外径よりも大きく形成されている。図5に示すように、定着ベルト21は、その端部が規制部402に対向した状態で配置される。そして、駆動中に定着ベルト21に軸方向への寄り移動が生じた場合は、定着ベルト21の端部が規制部402に当接することでその寄り移動が規制される。
【0050】
図6に示すように、2本のハロゲンヒータ23a,23bは、互いに発熱領域が異なるヒータで構成されている。一方のハロゲンヒータ23aは、定着ベルトの幅方向中央側に発熱部(発光部)h1を有する第1加熱源としての中央ヒータであり、他方のハロゲンヒータ23bは、定着ベルトの幅方向両端部側に発熱部(発光部)h2を有する第2加熱源としての端部ヒータである。また、端部ヒータ23bの各発熱部h2における内側端部(定着ベルト21の幅方向中央側の端部)は、中央ヒータ23aの発熱部h1の両端部に対応する位置に配置されている。以下の説明では、定着ベルト21の幅方向中央側を幅方向内側とし、幅方向端部側を幅方向外側とする。
【0051】
中央ヒータ23a及び端部ヒータ23bはハロゲンヒータであり、円筒状の管状部材としてのガラス管50と、ガラス管50内に挿入された発熱体としてのフィラメント51を有する。このフィラメント51が長手方向に渡って連続して密に巻かれた密巻部により各発熱部h1,h2が構成される。
【0052】
ハロゲンヒータ23a、23bの発熱部h1、h2以外の部分の主たる発熱部分ではない周辺部h0においては、フィラメント51が略直線状に形成されている。この周辺部h0にも、「捨て巻」と呼ばれるフィラメント51が部分的に密に巻かれた密巻部53が存在し、環状のサポータ52によって保持されている。密巻部53がサポータ52によって保持されることで、フィラメント51がその全体の形状を維持することができる。周辺部h0では、密巻部53および直線状に形成されたフィラメント51からわずかな発熱がある。またサポータ52は、タングステン等で構成され、発熱部h1,h2にも配置されている。
【0053】
ハロゲンヒータ23a、23bの各ガラス管50は、その幅方向両端に封止部55を有する。封止部55は、ガラス管50の径が幅方向外側へ向かうに従って細く絞られて小さくなっていき、ガラス管50の幅方向端部においてその内部を封止する部分である(ただし、リード線に接続される端部までを含めて封止部としてもよい)。封止部55は、その径が小さいため、ガラス管50のその他の部分に比べて強度的に弱く、熱劣化の影響等により破損しやすい。
【0054】
以上の定着装置においては、定着装置に通紙される用紙の幅サイズに応じて加熱範囲が変更される。つまり、定着装置に通紙される用紙の幅サイズが小さい場合には、中央ヒータ23aの発熱部h1のみが発熱し、通紙される用紙の幅サイズが大きい場合には、これに加えて端部ヒータ23bの発熱部h2が発熱する。
【0055】
しかし、定着装置に通紙される用紙の幅サイズは様々であるため、上記の発熱部h2の発熱の有無のみでは多様な用紙の幅サイズに対応することはできず、定着ベルトの加熱範囲と用紙幅が一致しないことがある。そして、定着装置に通紙される用紙サイズがハロゲンヒータ23a、23bによる加熱範囲よりも小さい場合、主に定着ベルト21の幅方向端部が非通紙領域となる。この非通紙領域では、定着ベルト21から熱が奪われないため、定着ベルト21の幅方向端部における非通紙領域やその周辺部材において、特に温度が上昇しやすくなっている。
【0056】
さらに、上記のハロゲンヒータ23a、23bからの輻射熱に加えて、本実施形態の定着装置には、定着ベルト21を効率よく加熱するために反射部材26が設けられている。反射部材26が設けられることにより、定着ベルト21やその周辺部材は、反射部材26による反射熱を受けることによってもその温度が上昇する。
【0057】
以上のハロゲンヒータ23a、23bからの輻射熱と反射部材26の反射熱によって、特に定着ベルト21の幅方向端部において、定着ベルト21の周辺に設けられた各部材が過剰に温度上昇し、経時的に部材の熱劣化や破損を生じる虞があり、その対策が必要である。
【0058】
さらに、本実施形態の反射部材26は、中央ヒータ23a及び端部ヒータ23bの側へ折り曲げて設けられており、反射部材26は、これらのヒータを定着ベルト21の周方向に覆う様に設けられる(図2参照)。これにより、ハロゲンヒータ23a、23bの発熱部h1、h2からの輻射熱を狭い範囲に集約させ、効率よく定着ベルト21の側へ反射させることができる。しかし一方で、反射部材26の各面が屈曲していることで、反射部材26に到達した熱が屈曲面に反射して乱反射する。そして、この乱反射した反射熱により、発熱部h1、h2の加熱領域を超えて各部材が熱せられたり、過剰に加熱されたりする場合があり、上記の問題が特に発生しやすい。
【0059】
本実施形態の定着装置においては、反射部材と周辺部材を適当な位置関係で配置することにより、反射部材の反射熱から周辺部材を保護し、上記の問題を解決することができる。以下の図7で、反射部材と定着ベルト周辺に設けられた各部材の配置について説明する。図7は、各部材を簡略化して示し、各部材の幅方向の位置関係を示した概略図である。また、ハロゲンヒータの幅方向位置を規制する構造については、後述する図8で説明する。
【0060】
図7に示すように、定着ベルト21の幅方向外側端部には、ベルト保持部材40や固定遮蔽部材28等の各部材が配置される。反射部材26は、中央ヒータ23a及び端部ヒータ23bの輻射熱を反射して定着ベルト21を効率よく加熱するために、ハロゲンヒータ23a、23bに対向して、定着ベルト21の幅方向端部側から中央側にわたって設けられている。
【0061】
ハロゲンヒータ23a、23bの封止部55よりも幅方向外側には、二つのハロゲンヒータの両端を保持するコネクタ部56が設けられる。コネクタ部56にはリード線57が接続されており、リード線57がコネクタ部56よりも幅方向の外側に向かって延在している。コネクタ部56の径は、ハロゲンヒータ23a、23bよりも大きく設けられ、二つのハロゲンヒータをその内側に保持している。
【0062】
本実施形態では、ハロゲンヒータ23a、23bの封止部55(封止部55の幅方向内側端部55in)が、反射部材26の幅方向外側端部26outよりも幅方向外側に設けられる。これにより、反射部材26によって反射された熱が封止部55に到達しにくくなる。前述の様に、封止部55はガラス管の中で特に強度が弱い部分であるため、反射熱により繰り返し高温状態になると、経時的に破損する虞がある。しかし、本実施形態の構成によって封止部55が高温状態になることを回避して封止部55を熱劣化から保護し、封止部55におけるガラス管の亀裂等の破損を防止することができる。
【0063】
また、ベルト保持部材40の幅方向内側端部40inは、反射部材26の幅方向外側端部26outよりも外側に設けられる。これにより、ベルト保持部材40(あるいは、これに対向して設けられる固定遮蔽部材28)に反射部材26による反射熱が到達しにくくなる。
【0064】
従来の定着装置では、上記の反射熱の影響を考慮した場合、ベルト保持部材40には耐熱性の材料(例えば金属材料)を用いる必要がある。しかし、本実施形態では、上記の様にベルト保持部材40(あるいは、それを保護する固定遮蔽部材28)が反射熱を受けにくくすることにより、ベルト保持部材40として樹脂材料(特に耐熱性の低い樹脂材料)を選択することができる。これにより、部材の選択の幅が広がり、コストダウンを図ることが可能になる。また、ベルト保持部材40に金属材料等の剛性の高い部材を用いた場合、定着ベルトの摩耗等が課題となるが、ベルト保持部材40に樹脂材料を用いることで定着ベルトの摩耗も防止できる。
【0065】
図8は、定着装置の幅方向一方側において、ハロゲンヒータ23a、23bの幅方向の移動を規制する規制部材58を示した図である。
【0066】
規制部材58は、側板39の一方側の面で、固定部403(図4参照)が配置される側とは反対側の面に固定部581を有し、固定部581はネジなどの締結具59で側板39に固定されている。また規制部材58は、固定部581よりも幅方向外側に貫通孔58aを備えた規制部582を有する。
【0067】
規制部材58の貫通孔58aにコネクタ部56が挿入されている。コネクタ部56は、規制部582よりも幅方向外側に、ハロゲンヒータ等の径方向へ突出したリブ56aを有する。リブ56aは、貫通孔58aの大きさを超えて径方向に突出して設けられており、コネクタ部56の規制部材58に対する他方側(図の右側)への相対移動により、規制部582に当接する。よって、コネクタ部56は、リブ56aが規制部材58に当接する位置で幅方向の他方側への移動が規制されており、ハロゲンヒータ23a、23bの規制部材58や側板39に対する幅方向位置が規制されている。
【0068】
また、図8で示した側とは反対側(他方側)の幅方向外側においても、コネクタ部56が規制部材58により保持される。ただし、他方側のコネクタ部56はリブ56aを有しておらず、その幅方向位置が規制されているわけではない。ハロゲンヒータ23a、23bの幅方向位置をその両側で規制してしまうと、ハロゲンヒータ23a、23bの発熱等によってコネクタ部56やハロゲンヒータ23a、23bが熱膨張した場合に、その膨張分を逃がすことができず、部品の破損の虞がある。しかし、本実施形態では、幅方向の一方側にのみリブ56aを設けて幅方向位置を規制することで、コネクタ部56やハロゲンヒータ23a、23が熱膨張した場合でも、その膨張分を他方側へ延出させることができ、部材の破損を防止できる。また、ハロゲンヒータ23a、23bの一方側の幅方向位置を規制し、熱膨張による延出方向を他方側に限定することで、ハロゲンヒータ23a、23bの一方側から見た各部材との位置関係が、部材の熱膨張によってずれにくくなり、前述の図7で示した封止部55やベルト保持部材40と反射部材26との位置関係を保つことができる。
【0069】
上記の実施形態と異なるハロゲンヒータとして、図9に示すハロゲンヒータを中央ヒータ23aとして用いることができる。図9に示す中央ヒータ23aでは、中央に設けられる発熱部h1の構成は上記の実施形態と同様であるが、発熱部h1の両側に設けられた周辺部h0が、芯部材としての短絡用芯棒54にフィラメント51が巻き付けられた構成をしている。短絡用芯棒54は、モリブデン等の電気抵抗の小さい部材によって形成され、フィラメント51よりも電気抵抗が小さい。幅方向に設けられた棒状部材である短絡用芯棒54にフィラメント51を巻き付けることにより、ガラス管50内でフィラメント51の形状を維持することができる。
【0070】
この中央ヒータ23aでは、周辺部h0に短絡用芯棒54を設けることで、図9に示した周辺部h0に密巻部53を設ける構成の中央ヒータ23aと比較して、周辺部h0全体としての電気抵抗が小さくなり、周辺部h0における発熱を抑制することができる。これにより、前述の定着ベルトの幅方向端部における定着ベルトや周辺部材の温度上昇を抑制することができ、前述の図7で示した反射部材26の配置と併用することで、より確実にガラス管50の封止部55やベルト保持部材40の過剰な温度上昇を防止することができる。
【0071】
本実施形態では、ハロゲンヒータは2本設けられているが、図10に示す様なハロゲンヒータ23が一本の定着装置であってもよいし、プリンタで使用する用紙のサイズ等に応じて、図11で示すようなハロゲンヒータが3本、あるいはそれ以上設けられた定着装置であってもよい。この場合でも、反射部材26と封止部55あるいはベルト保持部材40との位置関係を前述と同様に設けることで、上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0072】
以上、本発明について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。本発明に係る定着装置を搭載する画像形成装置は、図1に示すようなカラープリンタに限らず、モノクロプリンタであってもよい。また、プリンタに限らず、複写機、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
20 定着装置
21 定着ベルト(定着部材)
23a 中央ヒータ(加熱源)
23b 端部ヒータ(加熱源)
26 反射部材
28 固定遮蔽部材(端部遮蔽部材)
40 ベルト保持部材(保持部材)
50 ガラス管(管状部材)
51 フィラメント(発熱体)
54 短絡用芯棒(芯部材)
55 封止部
58 規制部材
h0 周辺部
h1、h2 発熱部
N ニップ部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【特許文献1】特開2010-32625号公報
【特許文献2】特開2014-186211号公報
【特許文献3】特開2015-64560号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11