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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019825
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/015 20120101AFI20240206BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20240206BHJP
   B24B 49/14 20060101ALI20240206BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240206BHJP
   G01J 5/46 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
B24B37/015
B24B49/12
B24B49/14
H01L21/304 622R
G01J5/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122539
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】尹 昇鎬
【テーマコード(参考)】
2G066
3C034
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
2G066AC16
2G066BA10
2G066CA01
3C034AA07
3C034BB71
3C034BB92
3C034BB93
3C034CA19
3C034CA22
3C034CB14
3C034DD10
3C158AA07
3C158AA14
3C158AA19
3C158AB04
3C158AC04
3C158BA01
3C158BA02
3C158BA08
3C158BB02
3C158BC01
3C158BC02
3C158CB01
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
5F057AA01
5F057AA03
5F057BA11
5F057BB02
5F057BB05
5F057CA11
5F057DA03
5F057EB01
5F057EB15
5F057EB27
5F057GA04
5F057GA11
5F057GB02
5F057GB38
(57)【要約】
【課題】研磨液による遮蔽を抑えながら基板の表面温度を測定することができる研磨装置が提供される。
【解決手段】研磨装置は、マイクロ波を検出することでマイクロ波検出データを生成するマイクロ波検出センサ51と、マイクロ波検出データに基づいて、基板Wの表面温度を決定する制御装置100と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨パッドを回転可能に支持する研磨テーブルと、
基板を回転可能に保持し、前記基板を前記研磨パッドに押圧する研磨ヘッドと、
前記研磨テーブルに埋め込まれ、マイクロ波を検出することでマイクロ波検出データを生成するマイクロ波検出センサと、
前記マイクロ波検出データに基づいて、前記基板の表面温度を決定する制御装置と、を備える、研磨装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記マイクロ波検出データに基づいて、前記基板の表面に対して垂直な方向に沿った前記基板の温度分布を示す温度分布情報を生成し、
前記温度分布情報のうち、最も高い温度を前記基板の表面温度として決定する、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記マイクロ波検出データに基づいて、前記基板の表面に対して垂直な方向に沿った前記基板の温度分布を示す温度分布情報を生成し、
前記温度分布の平均温度を前記基板の表面温度として決定する、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記基板の半径方向に沿った複数のマイクロ波検出データと、前記研磨テーブルの回転速度および前記研磨ヘッドの回転速度と、に基づいて、前記基板の半径方向における前記基板の温度分布を示す温度分布情報を生成し、
前記基板の半径方向における温度分布を決定する、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記研磨装置は、前記研磨パッドの表面温度を調整するパッド温度調整装置を備えており、
前記制御装置は、前記決定された前記基板の表面温度に基づいて、前記基板の表面温度が目標温度に到達するように、前記パッド温度調整装置を操作して、前記研磨パッドの表面温度を調整する、請求項1に記載の研磨装置。
【請求項6】
前記マイクロ波検出センサは、前記基板から放射されるマイクロ波を検出可能なCCDセンサを備えている、請求項1に記載の研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、デバイス表面の平坦化技術がますます重要になっている。この平坦化技術のうち、最も重要な技術は、化学的機械研磨(Chemical Mechanical PolishingまたはCMP)である。この化学的機械的研磨(以下、CMPと呼ぶ)は、研磨装置を用いて、シリカ(SiO)やセリア(CeO)などの砥粒を含んだ研磨液(スラリー)を研磨パッドに供給しつつ、ウェハなどの基板を研磨面に摺接させて研磨を行うものである。
【0003】
CMP(Chemical Mechanical Polishing)装置は、半導体デバイスの製造において、基板の表面を研磨する工程に使用される。CMP装置は、基板を研磨ヘッドで保持して基板を回転させ、さらに回転する研磨テーブル上の研磨パッドに基板を押し付けて基板の表面を研磨する。基板の研磨中、研磨パッドには研磨液(スラリー)が供給され、基板の表面は、研磨液の化学的作用と研磨液に含まれる砥粒の機械的作用により平坦化される。
【0004】
研磨液による化学的作用には、アレニウスの式に従って温度依存性がある。このため、基板の研磨レートは、基板の表面温度に依存する。したがって、研磨レートを制御する精度の向上にあたっては、基板の表面温度が重要なファクターの一つである。そこで、研磨中の基板の表面温度を監視(測定)する方法が検討されている。基板の表面温度を監視する方法としては、基板の表面への影響を抑えつつ、検出部の摩耗を回避する観点から基板に直接接触しない非接触式の非接触式のセンサを用いることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-110859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、特許文献1では、基板から放射される赤外線を赤外放射温度計により検出することで基板の表面温度を測定している。しかしながら、赤外線は、その波長領域のために、研磨液を透過せず遮蔽されることがある。より具体的には、赤外放射温度計の検出経路上に研磨液があると、赤外線が研磨液による遮蔽を受けて測定が難しい場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、研磨液による遮蔽を抑えながら基板の表面温度を測定することができる研磨装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、研磨パッドを回転可能に支持する研磨テーブルと、基板を回転可能に保持し、前記基板を前記研磨パッドに押圧する研磨ヘッドと、前記研磨テーブルに埋め込まれ、マイクロ波を検出することでマイクロ波検出データを生成するマイクロ波検出センサと、前記マイクロ波検出データに基づいて、前記基板の表面温度を決定する制御装置と、を備える、研磨装置が提供される。
【0009】
一態様では、前記制御装置は、前記マイクロ波検出データに基づいて、前記基板の表面に対して垂直な方向に沿った前記基板の温度分布を示す温度分布情報を生成し、前記温度分布情報のうち、最も高い温度を前記基板の表面温度として決定する。
一態様では、前記制御装置は、前記マイクロ波検出データに基づいて、前記基板の表面に対して垂直な方向に沿った前記基板の温度分布を示す温度分布情報を生成し、前記温度分布の平均温度を前記基板の表面温度として決定する。
一態様では、前記制御装置は、前記基板の半径方向に沿った複数のマイクロ波検出データと、前記研磨テーブルの回転速度および前記研磨ヘッドの回転速度と、に基づいて、前記基板の半径方向における前記基板の温度分布を示す温度分布情報を生成し、前記基板の半径方向における温度分布を決定する。
【0010】
一態様では、前記研磨装置は、前記研磨パッドの表面温度を調整するパッド温度調整装置を備えており、前記制御装置は、前記決定された前記基板の表面温度に基づいて、前記基板の表面温度が目標温度に到達するように、前記パッド温度調整装置を操作して、前記研磨パッドの表面温度を調整する。
一態様では、前記マイクロ波検出センサは、前記基板から放射されるマイクロ波を検出可能なCCDセンサを備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様に係る研磨装置によれば、研磨液を透過可能な波長を有するマイクロ波を検出対象とし、基板から生じるマイクロ波を検出することにより、研磨液による遮蔽を抑えながら基板の表面温度を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】研磨装置の一実施形態の斜視図である。
図2図1に示す研磨装置の断面図である。
図3】制御装置による基板の温度測定範囲を示す図である。
図4】マイクロ波検出センサの回転軌跡を示す図である。
図5図5(a)および図5(b)は、温度調整装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下で説明する図面において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0014】
図1は、研磨装置の一実施形態の斜視図である。図1に示すように、研磨装置(CMP装置)は、研磨パッド1を支持する研磨テーブル2と、研磨対象であるウェハなどの基板Wを研磨パッド1に押し付ける研磨ヘッド3と、研磨パッド1に研磨液(スラリー)を供給するための研磨液供給機構4と、を備えている。
【0015】
研磨テーブル2は、テーブル軸5を介してその下方に配置されたテーブルモータ6に連結されており、テーブルモータ6の駆動により矢印で示す方向に回転される。研磨パッド1は研磨テーブル2の上面に貼付されており、研磨パッド1の上面は基板Wを研磨する研磨面1aを構成している。
【0016】
研磨ヘッド3はヘッドシャフト7の下端に固定されている。研磨ヘッド3は、その下面に真空吸着により基板Wを保持できるように構成されている。より具体的には、研磨ヘッド3は、基板Wの表面(デバイス面)を下向きで保持する。この表面と反対側の面は、基板Wの裏面であり、研磨ヘッド3は、基板Wの裏面を吸着保持する。
【0017】
ヘッドシャフト7は、ヘッドアーム8内に設置された図示しない回転機構に連結されている。研磨ヘッド3は、この回転機構の駆動によりヘッドシャフト7を介して回転駆動される。
【0018】
研磨装置は、研磨パッド1をドレッシングするためのドレッシング装置24をさらに備えている。ドレッシング装置24は、研磨パッド1の研磨面1aに摺接されるドレッサ26と、ドレッサ26を支持するドレッサアーム27と、ドレッサアーム27を旋回させるドレッサ旋回軸28と、を備えている。
【0019】
ドレッサ26は、ドレッサアーム27の旋回に伴って研磨面1a上を揺動する。ドレッサ26の下面は、ダイヤモンド粒子などの多数の砥粒からなるドレッシング面を構成する。ドレッサ26は、研磨面1a上を揺動しながら回転し、研磨パッド1を僅かに削り取ることにより研磨面1aをドレッシングする。研磨パッド1のドレッシング中、純水供給ノズル25から純水が研磨パッド1の研磨面1a上に供給される。
【0020】
研磨装置は、霧状の洗浄流体を研磨パッド1の研磨面1aに噴射して研磨面1aを洗浄するアトマイザ40をさらに備えている。洗浄流体は、洗浄液(通常は純水)を少なくとも含む流体である。より具体的には、洗浄流体は、洗浄液と気体(例えば、窒素ガスなどの不活性ガス)との混合流体、または洗浄液のみから構成される。
【0021】
アトマイザ40は、研磨パッド1(または研磨テーブル2)の半径方向に沿って延びており、支持軸49によって支持されている。この支持軸49は研磨テーブル2の外側に位置している。アトマイザ40は、研磨パッド1の研磨面1aの上方に位置している。アトマイザ40は、高圧の洗浄流体を研磨面1aに噴射することにより、研磨パッド1の研磨面1aから研磨屑および研磨液に含まれる砥粒を除去する。
【0022】
研磨液供給機構4は、研磨液を研磨パッド1上に供給するためのスラリー供給ノズル10と、スラリー供給ノズル10が固定されたノズル旋回軸11と、を備えている。スラリー供給ノズル10は、ノズル旋回軸11を中心として旋回可能に構成されている。
【0023】
基板Wは、研磨ヘッド3に回転可能に保持される。研磨ヘッド3は、基板Wを研磨パッド1に押圧し、研磨パッド1と基板Wとの間の摺動により、基板Wの研磨が進行する。基板Wの研磨時には、研磨液(スラリー)がスラリー供給ノズル10から研磨パッド1上に供給される。
【0024】
研磨装置は、基板Wの研磨中に、基板Wに非接触で、基板Wの表面温度(すなわち、デバイス面側の温度)を直接測定する構成を有している。以下、このような構成について、図面を参照して説明する。
【0025】
図2は、図1に示す研磨装置の断面図である。図2では、研磨装置の主要な要素以外の図示は省略されている。図2に示すように、研磨装置は、研磨テーブル2に埋め込まれたマイクロ波検出センサ51と、マイクロ波検出センサ51に電気的に接続された制御装置100と、を備えている。
【0026】
制御装置100は、少なくとも1台のコンピュータから構成されている。制御装置100は、マイクロ波検出センサ51から送られたマイクロ波検出データに基づいて、基板Wの表面温度を決定するように構成されている。より具体的には、制御装置100は、マイクロ波検出センサ51から送られたマイクロ波検出データを取得する取得部101と、取得部101によって取得されたマイクロ波検出データを基板Wの表面温度に変換する変換部102と、を備えている。
【0027】
マイクロ波検出センサ51は、研磨テーブル2に埋め込まれている。図1および図2に示す実施形態では、研磨装置は、単数のマイクロ波検出センサ51を備えているが、複数のマイクロ波検出センサ51を備えてもよい。一実施形態では、マイクロ波検出センサ51は、その検出部を覆う偏光板(図示しない)を有してもよい。このような構成により、無用な方向からの余計なマイクロ波をカットすることができる。
【0028】
マイクロ波検出センサ51は、基板Wから放射されるマイクロ波(より具体的には、マイクロ波の強度および周波数)を検出(受信)し、マイクロ波検出データを生成し、マイクロ波検出データに相当する信号を制御装置100に送る。ここで、マイクロ波は、300MHzから300GHz(波長が1mから1mm)の周波数を有する電磁波を意味する。
【0029】
研磨テーブル2が回転すると、研磨テーブル2に埋め込まれたマイクロ波検出センサ51は、研磨テーブル2とともに回転する。マイクロ波検出センサ51が研磨テーブル2を中心として回転すると、研磨中の基板W上を通過し、基板Wから放射されるマイクロ波を検出する。
【0030】
マイクロ波検出センサ51は、任意の検出周期で基板Wのマイクロ波を受信する。例えば、研磨テーブル2が1回転する間に、基板Wの表面上において複数のマイクロ波が検出されるように、短い検出周期を決定してもよく、基板Wの表面上において1つのマイクロ波が検出されるように、長い検出周期を決定してもよい。
【0031】
マイクロ波検出センサ51は、検出する周波数および波長を切り替えることができるものであってもよく、基板Wから放射されるマイクロ波を検出可能なCCDセンサであってもよい。波長帯域は、特定の周波数であってもよく、広範囲な波長帯域を採用してもよい。
【0032】
研磨テーブル2に埋め込まれたマイクロ波検出センサ51は、研磨パッド1の直下に配置されている。マイクロ波検出センサ51と基板Wとの間には、研磨パッド1が存在しているが、基板Wから放射されるマイクロ波は、研磨パッド1を通過して、マイクロ波検出センサ51に到達する。このとき、マイクロ波の一部は遮蔽されるが、他の部分はマイクロ波検出センサ51によって受信される。したがって、マイクロ波検出センサ51と基板Wとの間にマイクロ波を透過する部材を設けることなく、マイクロ波検出センサ51は、基板Wから放射されるマイクロ波の強度および周波数を検出することができる。
【0033】
さらに、特定の波長帯域におけるマイクロ波は、研磨液による遮蔽の影響を受けないため、マイクロ波検出センサ51は、研磨液の有無にかかわらず、基板Wから放射されるマイクロ波の強度および周波数を検出することができる。
【0034】
図3は、制御装置による基板の温度測定範囲を示す図である。図3に示すように、研磨テーブル2の回転により、マイクロ波検出センサ51および基板Wが一直線上に並んだとき、マイクロ波検出センサ51は、基板Wの表面に垂直な方向に沿ったマイクロ波を検出する。制御装置100(より具体的には、取得部101)は、マイクロ波検出センサ51から送られる信号(すなわち、マイクロ波検出データ)に基づいて、基板Wの表面に垂直な方向に沿った温度分布情報を取得する(図3のグラフ参照)。
【0035】
図3のグラフにおいて、横軸は温度を示しており、縦軸はマイクロ波の測定範囲を示している。図3における測定範囲は、マイクロ波検出センサ51と基板Wとの間の範囲であり、マイクロ波の測定範囲は、研磨パッド1のマイクロ波および基板Wのマイクロ波を含む。したがって、マイクロ波検出データは、基板Wから放射されるマイクロ波の強度および周波数のみならず、研磨パッド1から放射されるマイクロ波の強度および周波数を含む。
【0036】
そこで、本実施形態では、制御装置100(より具体的には、変換部102)は、取得した分布情報に含まれるマイクロ波検出データに基づいて、基板Wの表面に対して垂直な方向に沿った温度分布を示す温度分布情報を生成する。制御装置100は、温度分布情報のうち、最も高い温度を基板Wの表面温度として決定してもよい。制御装置100は、その内部(例えば、記憶部)において、マイクロ波検出データと基板の表面温度との相関関係を示す相関データを格納している。したがって、変換部102は、相関データに基づいて、基板Wの表面温度を導く。
【0037】
一実施形態では、制御装置100は、基板Wの表面に垂直な方向に沿ったマイクロ波検出データを取得し、基板Wの表面に対して垂直な方向に沿った温度分布情報を生成し、生成した温度分布の平均温度を基板Wの表面温度として決定してもよい。本実施形態においても、制御装置100は、相関データに基づいて、基板Wの表面温度を導く。
【0038】
図4は、マイクロ波検出センサの回転軌跡を示す図である。図4に示すように、マイクロ波検出センサ51が研磨テーブル2とともに回転すると、マイクロ波検出センサ51は、基板Wを通過する回転軌跡(図4の点線参照)を形成し、基板Wの半径方向に沿った複数のマイクロ波を検出する。好ましくは、制御装置100は、マイクロ波検出センサ51が基板Wの中心を通過するように、研磨テーブル2、研磨ヘッド3などの構成要素を動作させる。
【0039】
制御装置100は、基板Wの半径方向に沿った複数のマイクロ波検出データ(図4に示す黒点参照)と、研磨テーブル2の回転速度および研磨ヘッド3の回転速度と、に基づいて、基板Wの半径方向における複数の温度分布情報を取得する。
【0040】
一実施形態では、研磨装置は、回転機構に連結された、研磨ヘッド3の回転速度を検出する回転速度検出器(例えば、ロータリーエンコーダ)を備えてもよく、制御装置100は、回転速度検出器に基づいて、研磨ヘッド3の回転速度を取得する。同様に、制御装置100は、テーブルモータ6に電気的に接続されており、テーブルモータ6から送られる信号に基づいて、研磨テーブル2の回転速度を取得する。
【0041】
制御装置100は、取得した分布情報に基づいて、基板Wの半径方向における温度分布を示す温度分布情報を生成し、基板Wの半径方向における温度分布を決定する。本実施形態では、マイクロ波検出センサ51は、基板Wの複数の検出ポイントにおいて、マイクロ波を検出するため、制御装置100は、基板Wの半径方向における表面温度のマップを作成することができる。
【0042】
図5(a)および図5(b)は、温度調整装置を示す図である。図5(a)および図5(b)に示すように、研磨装置は、研磨パッド1の表面温度を調整するパッド温度調整装置130を備えている。本実施形態では、パッド温度調整装置130は、研磨パッド1の研磨面1aに向けて流体(本実施形態では、気体)を吹き出す複数の吹き出しノズル132を備えている。これら複数の吹き出しノズル132は、研磨ヘッド3に沿って、研磨ヘッド3に隣接しており、研磨面1a上の異なる位置に流体を吹き付けるように構成されている。
【0043】
図示しないが、パッド温度調整装置130は、加圧気体や窒素ガスなどの気体が供給される気体供給源と、各吹き出しノズル132から吹き出す気体の流量を個別に調整する圧力調整装置と、各吹き出しノズル132から吹き出す気体の温度を個別に調整するヒーター、クーラーなどの温度調整装置と、を備えている。パッド温度調整装置130は制御装置100に電気的に接続されており、制御装置100はこれら圧力調整装置および温度調整装置の動作を制御するように構成されている。
【0044】
制御装置100は、決定された基板Wの表面温度に基づいて、基板Wの表面温度が目標温度に到達するように、パッド温度調整装置130を操作して、研磨パッド1の表面温度を調整する。研磨パッド1の表面温度を調整することにより、制御装置100は、基板Wの表面温度を調整することができる。
【0045】
一実施形態では、制御装置100は、決定された基板Wの半径方向における温度分布をモニタリングしつつ、パッド温度調整装置130をフィードバック制御してもよい。このような構成により、制御装置100は、基板Wの半径方向における温度分布が所望の温度分布になるように、基板Wの表面温度を制御することができる。
【0046】
図5(a)および図5(b)に示す実施形態では、パッド温度調整装置130は、研磨パッド1に接触することなく、研磨パッド1の温度を調整する非接触型の温度調整装置であるが、一実施形態では、パッド温度調整装置130は、研磨パッド1に接触して研磨パッド1の温度を調整する接触型の温度調整装置であってもよい。
【0047】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0048】
1 研磨パッド
1a 研磨面
2 研磨テーブル
3 研磨ヘッド
4 研磨液供給機構
5 テーブル軸
6 テーブルモータ
7 ヘッドシャフト
8 ヘッドアーム
10 スラリー供給ノズル
11 ノズル旋回軸
24 ドレッシング装置
26 ドレッサ
27 ドレッサアーム
28 ドレッサ旋回軸
40 アトマイザ
49 支持軸
51 マイクロ波検出センサ
100 制御装置
101 取得部
102 変換部
130 パッド温度調整装置
132 吹き出しノズル
図1
図2
図3
図4
図5