IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ UBE三菱セメント株式会社の特許一覧

特開2024-19867燃料の分別方法及び分別装置、並びに、セメントクリンカの製造方法及び製造設備
<>
  • 特開-燃料の分別方法及び分別装置、並びに、セメントクリンカの製造方法及び製造設備 図1
  • 特開-燃料の分別方法及び分別装置、並びに、セメントクリンカの製造方法及び製造設備 図2
  • 特開-燃料の分別方法及び分別装置、並びに、セメントクリンカの製造方法及び製造設備 図3
  • 特開-燃料の分別方法及び分別装置、並びに、セメントクリンカの製造方法及び製造設備 図4
  • 特開-燃料の分別方法及び分別装置、並びに、セメントクリンカの製造方法及び製造設備 図5
  • 特開-燃料の分別方法及び分別装置、並びに、セメントクリンカの製造方法及び製造設備 図6
  • 特開-燃料の分別方法及び分別装置、並びに、セメントクリンカの製造方法及び製造設備 図7
  • 特開-燃料の分別方法及び分別装置、並びに、セメントクリンカの製造方法及び製造設備 図8
  • 特開-燃料の分別方法及び分別装置、並びに、セメントクリンカの製造方法及び製造設備 図9
  • 特開-燃料の分別方法及び分別装置、並びに、セメントクリンカの製造方法及び製造設備 図10
  • 特開-燃料の分別方法及び分別装置、並びに、セメントクリンカの製造方法及び製造設備 図11
  • 特開-燃料の分別方法及び分別装置、並びに、セメントクリンカの製造方法及び製造設備 図12
  • 特開-燃料の分別方法及び分別装置、並びに、セメントクリンカの製造方法及び製造設備 図13
  • 特開-燃料の分別方法及び分別装置、並びに、セメントクリンカの製造方法及び製造設備 図14
  • 特開-燃料の分別方法及び分別装置、並びに、セメントクリンカの製造方法及び製造設備 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019867
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】燃料の分別方法及び分別装置、並びに、セメントクリンカの製造方法及び製造設備
(51)【国際特許分類】
   C04B 7/44 20060101AFI20240206BHJP
   C10L 5/48 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
C04B7/44
C10L5/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122609
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】521297587
【氏名又は名称】UBE三菱セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】鷲尾 知昭
(72)【発明者】
【氏名】古賀 明宏
(72)【発明者】
【氏名】上田 陽一
(72)【発明者】
【氏名】丸屋 英二
【テーマコード(参考)】
4G112
4H015
【Fターム(参考)】
4G112KA03
4G112KA08
4H015AA04
4H015AA17
4H015AB01
4H015CB01
(57)【要約】
【課題】セメントクリンカの製造を安定的に継続することが可能なセメントクリンカ製造用の燃料の分別方法を提供する。
【解決手段】セメントクリンカ製造用の燃料の分別方法であって、廃棄物を含む燃料の画像と、画像におけるn個の領域において近赤外線の吸収情報と、を取得する工程と、吸収情報のクラスター分析を行って、n個の領域の吸収情報をk個のグループに分類する工程と、近赤外線の吸収情報に基づいて、k個(但しn>k)のグループのそれぞれの発熱量を予測する工程と、k個のグループそれぞれの発熱量の予測値に基づいて、画像に含まれる燃料全体の発熱量を予測する工程と、燃料全体の発熱量の予測結果に基づいて、燃料を、第1分別燃料とそれよりも発熱量が低い第2分別燃料とを含む、複数の分別燃料に分別する工程と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメントクリンカ製造用の燃料の分別方法であって、
廃棄物を含む前記燃料の画像と、前記画像をn個の領域に分割したときの各領域の近赤外線の吸収情報と、を取得する情報取得工程と、
前記n個の前記吸収情報をクラスター分析によりk個のグループに分類する分析工程と、
前記近赤外線の前記吸収情報に基づいて、前記k個のグループのそれぞれの発熱量を予測する第1予測工程と、
前記k個のグループそれぞれの発熱量の予測値に基づいて、前記画像に含まれる前記燃料全体の発熱量を予測する第2予測工程と、
前記燃料全体の前記発熱量の予測結果に基づいて、前記燃料を、第1分別燃料と前記第1分別燃料よりも発熱量が低い第2分別燃料とを含む複数の分別燃料に分別する分別工程と、を有する、燃料の分別方法。
(但し、nは3以上の整数、kは2以上の整数であり、n>kである。)
【請求項2】
前記情報取得工程では、前記近赤外線を含む電磁波を照射する光源と前記近赤外線を検出する検出器とを用いて、前記燃料の近赤外吸収スペクトルを含む前記吸収情報を取得し、
前記第1予測工程では、前記吸収情報を用いて前記k個のグループのそれぞれの平均スペクトルを算出し、当該平均スペクトルに基づいて前記k個のグループのそれぞれの発熱量の予測値を導出する、請求項1に記載の燃料の分別方法。
【請求項3】
前記平均スペクトルと、発熱量が既知である複数の参照用吸収スペクトルと、を照合して類似度を算出し、前記類似度が最も高い前記参照用吸収スペクトルの発熱量を前記予測値として選択する、請求項2に記載の燃料の分別方法。
【請求項4】
前記類似度は、平均絶対誤差(MAE)、二乗平均平方根誤差(RMSE)又は決定係数(R2)によって判定する、請求項3に記載の燃料の分別方法。
【請求項5】
前記平均スペクトルと照合される前記複数の参照用吸収スペクトルの個数は前記k個の1~10倍である、請求項3に記載の燃料の分別方法。
【請求項6】
前記クラスター分析は、k平均法、DBSCAN法、及びスペクトラルクラスタリング法からなる群より選ばれる少なくとも一つの方法によって行う、請求項1~5のいずれか一項に記載の燃料の分別方法。
【請求項7】
前記クラスター分析の前に、前記近赤外線の吸収情報の前処理を行う前処理工程を有し、
前記前処理は、トリミング、スムージング、及び2階微分からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の燃料の分別方法。
【請求項8】
前記第1分別燃料は5000kcal/kg以上の発熱量を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の燃料の分別方法。
【請求項9】
前記廃棄物は、プラスチック、紙、木屑、石、ガラス、金属、布、及び皮からなる群より選ばれる2つ以上を含んでおり、
前記情報取得工程では、搬送部で搬送される前記燃料に対して前記近赤外線を含む電磁波を照射する、請求項1~5のいずれか一項に記載の燃料の分別方法。
【請求項10】
前記情報取得工程の前に、前記廃棄物を破砕して前記燃料を得る破砕工程を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の燃料の分別方法。
【請求項11】
前記画像に含まれる前記燃料の粒径が35mm以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の燃料の分別方法。
【請求項12】
セメント原料を仮焼炉で仮焼してセメントキルンで焼成する加熱工程を有する、セメントクリンカの製造方法であって、
前記加熱工程では、請求項1~5のいずれか一項に記載の分別方法で分別された前記複数の分別燃料の少なくとも一つを用いて前記セメントキルン及び前記仮焼炉の少なくとも一方を加熱する、セメントクリンカの製造方法。
【請求項13】
前記加熱工程では、前記第2予測工程における前記発熱量の予測結果に基づいて、前記複数の分別燃料のそれぞれの供給先を選択して供給量を調節する、請求項12に記載のセメントクリンカの製造方法。
【請求項14】
前記加熱工程では、前記第1分別燃料を前記セメントキルンの燃料とし、前記第2分別燃料を前記仮焼炉の燃料とする、請求項12又は13に記載のセメントクリンカの製造方法。
【請求項15】
前記加熱工程において、前記仮焼炉で用いる燃料を前記第2分別燃料から前記第1分別燃料に変更する際に、前記第2分別燃料の供給量よりも前記第1分別燃料の供給量を少なくする、請求項12又は13に記載のセメントクリンカの製造方法。
【請求項16】
セメントクリンカ製造用の燃料の分別装置であって、
廃棄物を含む前記燃料の画像と、前記画像をn個の領域に分割したときの各領域の近赤外線の吸収情報と、を取得する情報取得部と、
前記n個の前記吸収情報をクラスター分析によりk個のグループに分類し、前記近赤外線の前記吸収情報に基づいて、前記k個のグループのそれぞれの発熱量を予測し、前記k個のグループそれぞれの発熱量の予測値に基づいて、前記画像に含まれる前記燃料全体の発熱量を予測する情報処理部と、
前記燃料全体の発熱量の予測結果に基づいて、少なくとも、第1分別燃料と前記第1分別燃料よりも発熱量が低い第2分別燃料とを含む、複数の分別燃料に分別する分別部と、を有する、燃料の分別装置。
(但し、nは3以上の整数、kは2以上の整数であり、n>kである。)
【請求項17】
前記情報取得部では、前記近赤外線を含む電磁波を照射する光源と前記近赤外線を検出する検出器とを用いて、前記燃料の近赤外吸収スペクトルを含む前記吸収情報を取得し、
前記情報処理部では、前記吸収情報を用いて前記k個のグループのそれぞれの平均スペクトルを算出し、当該平均スペクトルに基づいて前記k個のグループのそれぞれの発熱量の予測値を導出する、請求項16に記載の燃料の分別装置。
【請求項18】
前記平均スペクトルと、発熱量が既知である複数の参照用吸収スペクトルと、を照合して類似度を算出し、前記類似度が最も高い前記参照用吸収スペクトルの発熱量を前記予測値として選択する、請求項17に記載の燃料の分別装置。
【請求項19】
前記廃棄物を破砕して前記燃料を得る破砕部と、前記破砕部で破砕された前記燃料を搬送する搬送部と、を備え、
前記情報取得部は、前記搬送部で搬送される前記燃料の前記画像及び前記近赤外線の前記吸収情報を取得する、請求項16~18のいずれか一項に記載の燃料の分別装置。
【請求項20】
請求項16~18のいずれか一項の分別装置と、当該分別装置で分別された前記複数の分別燃料をそれぞれ貯留する複数のタンクと、仮焼炉と、セメントキルンと、を備え、
前記複数のタンクにそれぞれ貯留される前記複数の分別燃料を、セメントキルン及び仮焼炉の少なくとも一方で燃料として使用する、セメントクリンカの製造設備。
【請求項21】
前記分別装置の前記情報処理部における前記燃料全体の前記発熱量の予測結果に基づいて、前記複数の分別燃料のそれぞれの供給先を選択して供給量を調節する、請求項20に記載のセメントクリンカの製造設備。
【請求項22】
前記複数のタンクの少なくとも一つから前記第1分別燃料が前記セメントキルンへ供給され、前記第1分別燃料を供給する前記タンクとは異なる、前記複数のタンクの少なくとも一つから前記第2分別燃料が前記仮焼炉へ供給される、請求項20に記載のセメントクリンカの製造設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料の分別方法及び分別装置、並びに、セメントクリンカの製造方法及び製造設備に関する。
【背景技術】
【0002】
セメントクリンカの製造設備では、廃プラスチックを含む廃棄物を燃料として利用している。廃プラスチックを含む廃棄物には、プラスチック類、紙、及び木屑などの種々の成分が含まれる。また、プラスチック類としても多様な種類がある。これらの割合は、原料受け入れ設備において受け入れた廃棄物ごとに大きく異なるのが現状である。例えば高発熱量のプラスチックが多く含有されている廃棄物もあれば、低発熱量の紙及び木屑が多く含有されている廃棄物もある。
【0003】
このような廃プラスチックを含む廃棄物をセメントクリンカの製造設備で燃料として利用する方法として、特許文献1では、発熱量の異なる廃棄物の使用量を、特定の関係式を満たすように都度調整し、セメントクリンカの焼成温度の変動を抑制する技術が提案されている。
【0004】
一方、非特許文献1では、家電及び自動車など、複雑な組成を有する製品の廃棄物の選別精度を高めるため、種々のセンサー選別技術が挙げられている。物体情報の検出には、γ線からマイクロ波までの電磁波を用いて、赤外線吸収スペクトル、X線透過率、ラマンスペクトル等の種々の検出情報を取得し、これらの検出情報に基づいて物体を識別する方法が挙げられている。また、このような物体の識別は、ピークの高さ又は面積値等に基づいて閾値を設定すること、或いは、多変量解析又はニューラルネットワークといったデータ全域の類似性に基づいて行うことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-292200号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】古屋仲茂樹,“資源リサイクリングにおけるセンサー選別技術の最近の傾向”,Journal of MMIJ,Vol.129,2013年,No.10,11,p.615-624
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
セメントクリンカの製造設備は、今後益々、様々な廃プラスチック等を含む廃棄物を大量に処理することが求められる。一方で、これまでの処理方法では、使用する廃棄物の発熱量が変動した場合には、セメントクリンカ製造装置内の温度変動が生じ、運転調整の頻度が増加することが懸念される。特に、廃棄物の処理量が増えた場合には、その影響も大きくなり、安定操業に支障をきたす恐れがある。そこで、廃棄物の発熱量を予測して、予測結果に応じて運転調整を行うことが考えられるものの、種々の成分を含む廃棄物の1つ1つの成分を識別する非特許文献1に記載のような方法では、予測に必要な計算量が膨大となり、タイムリーに運転調整を行うことができないことが懸念される。
【0008】
そこで、本発明では、燃料として種々の成分を含有する廃棄物を用いても、セメントクリンカの製造を安定的に継続することが可能なセメントクリンカの製造方法、及び、セメントクリンカの製造設備を提供する。また、燃料として種々の成分を含有する廃棄物を用いてもセメントクリンカの製造を安定的に継続することが可能なセメントクリンカ製造用の燃料の分別方法、及び、セメントクリンカ製造用の燃料の分別装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一つの側面において、セメントクリンカ製造用の燃料の分別方法であって、
廃棄物を含む前記燃料の画像と、前記画像をn個の領域に分割したときの各領域の近赤外線の吸収情報と、を取得する情報取得工程と、
前記n個の前記吸収情報をクラスター分析によりk個のグループに分類する分析工程と、
前記近赤外線の前記吸収情報に基づいて、前記k個のグループのそれぞれの発熱量を予測する第1予測工程と、
前記k個のグループそれぞれの発熱量の予測値に基づいて、前記画像に含まれる前記燃料全体の発熱量を予測する第2予測工程と、
前記燃料全体の前記発熱量の予測結果に基づいて、前記燃料を、第1分別燃料と前記第1分別燃料よりも発熱量が低い第2分別燃料とを含む複数の分別燃料に分別する分別工程と、を有する、燃料の分別方法を提供する。但し、nは3以上の整数、kは2以上の整数であり、n>kである。
【0010】
上記分別方法では、近赤外線の吸収情報のクラスター分析を行って、画像におけるn個の領域をk個のグループに分類している。そして、k個のグループのそれぞれの発熱量の予測値に基づいて、画像に含まれる燃料全体の発熱量を予測している。ここで、n>kであることから、n個の発熱量を予測する場合に比べて発熱量の予測数を減らすことが可能となり、予測に必要な計算量を低減することができる。このため、燃料の発熱量を迅速に予測することが可能となり、セメントクリンカの製造に用いられる種々の成分を含む廃棄物を含む燃料を、円滑に複数に分別することができる。そして、セメントクリンカを製造する際に、発熱量の予測結果に基づいて分別された複数の分別燃料のそれぞれの導入位置を別々にしたり、個別に導入量を調節したりすることができる。これによって、種々の成分を含む廃棄物を燃料として用いても、セメントクリンカを製造する際の運転変動が抑制され、セメントクリンカの製造を安定的に継続することができる。
【0011】
前記情報取得工程では、前記近赤外線を含む電磁波を照射する光源と前記近赤外線を検出する検出器とを用いて、前記燃料の近赤外吸収スペクトルを含む前記吸収情報を取得し、前記第1予測工程では、前記吸収情報を用いて前記k個のグループのそれぞれの平均スペクトルを算出し、当該平均スペクトルに基づいて前記k個のグループのそれぞれの発熱量の予測値を導出することが好ましい。これによって、画像に含まれる燃料全体の発熱量を高い精度で予測することができる。このように高い精度で予測された予測結果に基づいて分別された複数の燃料を用いることによって、セメントクリンカの製造の際の運転変動がより一層抑制され、セメントクリンカの製造をより一層安定的に継続することができる。
【0012】
前記平均スペクトルと、発熱量が既知である複数の参照用吸収スペクトルと、を照合して類似度を算出し、前記類似度が最も高い前記参照用吸収スペクトルの発熱量を前記予測値として選択することが好ましい。これによって、燃料全体の発熱量の予測の精度を維持しつつ、燃料全体の発熱量の予測に必要な計算量を十分に低減することができる。
【0013】
前記類似度は、平均絶対誤差(MAE)、二乗平均平方根誤差(RMSE)又は決定係数(R2)によって判定することが好ましい。燃料全体の発熱量の予測の精度を十分に高く維持することができる。
【0014】
前記平均スペクトルと照合される前記複数の参照用吸収スペクトルの個数は前記k個の1~10倍であることが好ましい。これによって、燃料全体の発熱量の予測の精度と計算量のバランスを調整しやすくすることができる。
【0015】
前記クラスター分析は、k平均法、DBSCAN法、及びスペクトラルクラスタリング法からなる群より選ばれる少なくとも一つの方法によって行うことが好ましい。これによって、分析工程における分類を高精度且つ迅速に行うことができる。これによって、燃料全体の発熱量の予測を高精度且つ迅速に行うことができる。
【0016】
前記クラスター分析の前に、前記近赤外線の吸収情報の前処理を行う前処理工程を有し、前記前処理は、トリミング、スムージング、及び2階微分からなる群より選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。これによって、燃料全体の発熱量を十分に高い精度で予測することができる。
【0017】
第1分別燃料は5000kcal/kg以上の発熱量を有することが好ましい。このような第1分別燃料は、十分に高い発熱量を有することから、セメントキルンに導入しても、セメントキルンの温度低下を抑制することができる。したがって、微粉炭等の化石燃料の代替として好適に使用することができる。
【0018】
廃棄物は、プラスチック、紙、木屑、石、ガラス、金属、布、及び皮からなる群より選ばれる2つ以上を含んでおり、情報取得工程では、搬送部で搬送される前記燃料に対して前記近赤外線を含む電磁波を照射することが好ましい。上記分別方法では、近赤外線を含む電磁波を照射して得られる吸収情報を用いてk個のグループのそれぞれの発熱量を予測している。このような方法であることから、廃棄物が種々の材質のものを含んでいて搬送部で搬送されていても、各グループの発熱量を高い精度で迅速に予測することができる。したがって、燃料全体の発熱量をタイムリーに十分に高い精度で予測することができる。
【0019】
上記分別方法は、情報取得工程の前に、廃棄物を破砕して燃料を得る破砕工程を有することが好ましい。また、画像に含まれる燃料の粒径が35mm以下であることが好ましい。燃料に近赤外線を含む電磁波を照射して得られる近赤外線の吸収情報は、廃棄物片の内部よりも表面に依存する傾向にある。このため、破砕した粒径の小さい廃棄物を含む燃料に近赤外線を含む電磁波を照射して近赤外線の吸収情報を取得すれば、クラスター分析による分類、及び、グループ毎の発熱量の予測を高い精度で行うことができる。このように高い精度で予測された予測結果に基づいて分別された複数の燃料を用いることによって、セメントクリンカの製造の際の運転変動が十分に抑制され、セメントクリンカの製造を一層安定的に継続することができる。
【0020】
本発明は、一つの側面において、セメント原料を仮焼炉で仮焼してセメントキルンで焼成する加熱工程を有する、セメントクリンカの製造方法であって、
前記加熱工程では、上述の分別方法で分別された前記複数の分別燃料の少なくとも一つを用いて前記セメントキルン及び前記仮焼炉の少なくとも一方を加熱する、セメントクリンカの製造方法を提供する。
【0021】
この製造方法では、上述の分別方法で分別された複数の分別燃料の少なくとも一つをセメントキルン及び仮焼炉の少なくとも一方に導入する。このため、例えば、複数の分別燃料のそれぞれの導入先を個別に選択したり、個別に導入量を調節したりすることができる。したがって、廃棄物の発熱量が変動しても、発熱量の予測結果に基づいて分別された分別燃料を用いることによってセメントクリンカ製造時の運転変動が抑制され、セメントクリンカの製造を安定的に継続することができる。
【0022】
前記加熱工程では、前記第2予測工程における前記発熱量の予測結果に基づいて、前記複数の分別燃料のそれぞれの供給先を選択して供給量を調節することが好ましい。これによって、発熱量が大きく異なる種々の成分を含む廃棄物を燃料として用いても、セメントクリンカの製造を安定的に継続することができる。また、廃棄物を燃料として一層有効活用することができる。
【0023】
前記加熱工程では、前記第1分別燃料を前記セメントキルンの燃料とし、前記第2分別燃料を前記仮焼炉の燃料とすることが好ましい。これによって、発熱量の高い第1分別燃料をセメントキルンの燃料として有効活用して、微粉炭等の化石燃料の消費量を低減することができる。
【0024】
前記加熱工程において、前記仮焼炉で用いる燃料を前記第2分別燃料から前記第1分別燃料に変更する際に、前記第2分別燃料の供給量よりも前記第1分別燃料の供給量を少なくすることが好ましい。これによって、仮焼炉に導入される燃料を第2分別燃料から第1分別燃料に変更する際の分別燃料による発熱量の変化を小さくして仮焼炉の運転変動を十分に抑制することができる。
【0025】
本発明は、一つの側面において、セメントクリンカ製造用の燃料の分別装置であって、
廃棄物を含む前記燃料の画像と、前記画像をn個の領域に分割したときの各領域の近赤外線の吸収情報と、を取得する情報取得部と、
前記n個の前記吸収情報をクラスター分析によりk個のグループに分類し、前記近赤外線の前記吸収情報に基づいて、前記k個のグループのそれぞれの発熱量を予測し、前記k個のグループそれぞれの発熱量の予測値に基づいて、前記画像に含まれる前記燃料全体の発熱量を予測する情報処理部と、
前記燃料全体の発熱量の予測結果に基づいて、少なくとも、第1分別燃料と前記第1分別燃料よりも発熱量が低い第2分別燃料とを含む、複数の分別燃料に分別する分別部と、を有する、燃料の分別装置を提供する。但し、nは3以上の整数、kは2以上の整数であり、n>kである。
【0026】
上記分別装置の情報処理部は、近赤外線の吸収情報のクラスター分析を行って、画像におけるn個の領域をk個のグループに分類する。そして、k個のグループのそれぞれの発熱量を予測し、この発熱量の予測値に基づいて、画像に含まれる燃料全体の発熱量を予測する。ここで、n>kであることから、n個の発熱量を予測する場合に比べて発熱量の予測数を減らすことが可能となり、予測に必要な計算量を低減することができる。このため、燃料の発熱量を迅速に予測することが可能となり、セメントクリンカの製造において、種々の成分を含む廃棄物を含む燃料を、発熱量の予測値に応じて円滑に分別することができる。このような分別燃料は、セメントクリンカを製造する際に、発熱量の予測結果に基づいてそれぞれの導入位置を別々にしたり、個別に導入量を調節したりすることができる。これによって、種々の成分を含む廃棄物を燃料として用いても、セメントクリンカを製造する際の運転変動が抑制され、セメントクリンカの製造を安定的に継続することができる。
【0027】
前記情報取得部では、前記近赤外線を含む電磁波を照射する光源と前記近赤外線を検出する検出器とを用いて、前記燃料の近赤外吸収スペクトルを含む前記吸収情報を取得し、
前記情報処理部では、前記吸収情報を用いて前記k個のグループのそれぞれの平均スペクトルを算出し、当該平均スペクトルに基づいて前記k個のグループのそれぞれの発熱量の予測値を導出することが好ましい。これによって、画像に含まれる燃料全体の発熱量を高い精度で予測することができる。このように高い精度で予測された予測結果に基づいて分別された複数の燃料を用いることによって、セメントクリンカの製造の際の運転変動がより一層抑制され、セメントクリンカの製造をより一層安定的に継続することができる。
【0028】
前記平均スペクトルと、発熱量が既知である複数の参照用吸収スペクトルと、を照合して類似度を算出し、前記類似度が最も高い前記参照用吸収スペクトルの発熱量を前記予測値として選択することが好ましい。これによって、燃料全体の発熱量の予測の精度を維持しつつ、燃料全体の発熱量の予測に必要な計算量を十分に低減することができる。
【0029】
上記分別装置は、廃棄物を破砕して燃料を得る破砕部と、破砕部で破砕された燃料を搬送する搬送部と、を備え、前記情報取得部は、前記搬送部で搬送される前記燃料の前記画像及び前記近赤外線の前記吸収情報を取得することが好ましい。これによって、廃棄物を搬送しながら高い精度で上記情報が得られることから、燃料の分別を効率よく行うことができる。
【0030】
本発明は、一つの側面において、上述のいずれかの分別装置と、当該分別装置で分別された複数の分別燃料をそれぞれ貯留する複数のタンクと、仮焼炉と、セメントキルンと、を備え、複数のタンクにそれぞれ貯留される複数の分別燃料を、セメントキルン及び仮焼炉の少なくとも一方で燃料として使用する、セメントクリンカの製造設備を提供する。
【0031】
この製造設備では、上述の分別装置で分別された複数の分別燃料の少なくとも一つをセメントキルン及び仮焼炉の少なくとも一方で燃料として使用する。このため、例えば、複数の分別燃料のそれぞれの導入先を個別に選択したり、個別に供給量を調節したりすることができる。したがって、種々の成分を含む廃棄物を用いても、セメントクリンカ製造時の運転変動が抑制され、セメントクリンカの製造を安定的に継続することができる。
【0032】
上記セメントクリンカの製造設備は、前記分別装置の前記情報処理部における前記燃料全体の前記発熱量の予測結果に基づいて、前記複数の分別燃料のそれぞれの供給先を選択して供給量を調節することが好ましい。これによって、発熱量が大きく異なる種々の成分を含む廃棄物を燃料として用いても、セメントクリンカの製造を安定的に継続することができる。また、廃棄物を燃料として一層有効活用することができる。
【0033】
上記セメントクリンカの製造設備では、複数のタンクの少なくとも一つから第1分別燃料がセメントキルンへ供給され、第1分別燃料を供給するタンクとは異なる、複数のタンクの少なくとも一つから第2分別燃料が仮焼炉へ供給されることが好ましい。このように、第1分別燃料と第2分別燃料を別々のタンクから供給することによって、それぞれの供給量を柔軟に調整することが可能となる。これによって、セメントクリンカの製造を一層安定的に継続することができる。
【発明の効果】
【0034】
燃料として種々の成分を含有する廃棄物を用いても、セメントクリンカの製造を安定的に継続することが可能なセメントクリンカの製造方法、及び、セメントクリンカの製造設備を提供することができる。したがって、廃棄物を従来以上に燃料として有効利用することが可能となり、品質のばらつきが十分に低減されたセメントクリンカを低い製造コストで製造することができる。また、燃料として種々の成分を含有する廃棄物を用いてもセメントクリンカの製造を安定的に継続することが可能なセメントクリンカ製造用の燃料の分別方法、及び、セメントクリンカ製造用の燃料の分別装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】燃料の分別方法の一例を示すフローチャートである。
図2】燃料の分別装置の一例を模式的に示す図である。
図3】燃料の分別装置における情報処理部のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】燃料の分別方法における情報処理の概要を模式的に示す図である。
図5】燃料の分別方法における分別工程の一例を示すフローチャートである。
図6】セメントクリンカの製造設備の一例を模式的に示す図である。
図7】(A)は参照用試料の近赤外吸収スペクトルを示す図であり、(B)は(A)を前処理することによって得られた参照用吸収スペクトルを示す図である。
図8】(A)は参照用試料の近赤外吸収スペクトルを示す図であり、(B)は(A)を前処理することによって得られた参照用吸収スペクトルを示す図である。
図9】画像を構成する画素をクラスター分析で3つのグループに分類したときの各グループの分布を示す写真である。
図10】類似度の判定をR2(決定係数)で行った場合の実施例1の発熱量の予測値と実測値の相関を示すグラフである。
図11】類似度の判定をMAE(平均絶対誤差)で行った場合の実施例1の発熱量の予測値と実測値の相関を示すグラフである。
図12】類似度の判定をRMSE(二乗平均平方根誤差)で行った場合の実施例1の発熱量の予測値と実測値の相関を示すグラフである。
図13】類似度の判定をR2(決定係数)で行った場合の実施例2の発熱量の予測値と実測値の相関を示すグラフである。
図14】類似度の判定をMAE(平均絶対誤差)で行った場合の実施例2の発熱量の予測値と実測値の相関を示すグラフである。
図15】類似度の判定をRMSE(二乗平均平方根誤差)で行った場合の実施例2の発熱量の予測値と実測値の相関を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、場合により図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。ただし、以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
【0037】
図1に示すように、一実施形態に係るセメントクリンカ製造用の燃料の分別方法は、廃棄物を破砕して燃料を得る破砕工程S1と、
搬送部で搬送される燃料の画像と、当該燃料に対して近赤外線を含む電磁波を照射して、当該画像をn個の領域に分割したときの各領域の近赤外線の吸収情報と、を取得する情報取得工程S2と、
n個の領域の吸収情報のクラスター分析を行って、n個の領域の吸収情報をk個のグループに分類する分析工程S3と、
近赤外線の吸収情報に基づいて、k個のグループのそれぞれの発熱量を予測する第1予測工程S4と、
k個のグループそれぞれの発熱量の予測値に基づいて、上記画像に含まれる燃料全体の発熱量を予測する第2予測工程S5と、
燃料全体の発熱量の予測結果に基づいて、燃料を、第1分別燃料と第1分別燃料よりも発熱量が低い第2分別燃料とを含む、複数の分別燃料に分別する分別工程S6と、を有する。
【0038】
セメントクリンカ製造用の燃料に用いられる廃棄物は、種々の成分が含まれる。具体的には、プラスチック類、紙、木屑、石、金属、及び布等が挙げられる。このうち、プラスチック類は比較的高い発熱量を有しており、その種類によっては5000kcal/kg以上の発熱量を有するものもある。例えば、プラスチック類のうち、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)は、9000~11000kcal/kgの発熱量を有する。ポリウレタン(PU)は、約7000kcal/kg、エポキシ樹脂は、約7500kcal/kg、フェノール樹脂は約8000kcal/kg、ポリエチレンテレフタレート(PET)は約5500kcal/kgの発熱量を有する。
【0039】
一方、5000kcal/kg未満のプラスチック類として、ポリ塩化ビニル(PVC)が4000~5000kcal/kgの発熱量を有し、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)が約2500kcal/kgの発熱量を有する。廃棄物はCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を含んでいてもよい。プラスチック以外の廃棄物成分の発熱量は、通常は5000kcal/kg未満である。上記分別方法では、このように種々の廃棄物成分を含む燃料を複数に分別して、発熱量が互いに異なる複数の分別燃料を得ることができる。
【0040】
図2は、本実施形態の分別方法を実施するための分別装置の一例を示している。図2の分別装置100は、セメントクリンカ製造用の燃料の分別装置であって、廃棄物を破砕して廃棄物を含む燃料を得る破砕部10と、廃棄物を含む燃料を搬送する搬送部12と、燃料を搬送部12で搬送しながら当該燃料に近赤外線を含む電磁波を照射する光源14と、電磁波が照射される燃料の画像と、当該画像をn個の領域に分割したときの各領域の近赤外線の吸収情報とを取得する情報取得部16と、領域毎の近赤外線の吸収情報(n個の吸収情報)が入力され、当該吸収情報を処理して上記画像に含まれる燃料全体の発熱量の予測結果を出力する情報処理部20と、情報処理部20から出力される発熱量の予測結果に基づいて制御信号を出力する制御部30と、制御部30からの制御信号によって、燃料を、少なくとも、第1分別燃料と第1分別燃料よりも発熱量が低い第2分別燃料とを含む、複数の分別燃料に分別する分別部40と、を有する。なお、上記分別方法を、この分別装置を用いて行うことは必須ではなく、別の分別装置を用いて行ってもよい。また、上記分別装置は、上述の分別方法とは異なる分別方法で燃料を分別するように構成されていてもよい。
【0041】
破砕工程S1は、例えば破砕部10で行うことができる。破砕部10に備えられる破砕機としては、例えば、ミル、シュレッダー、クラッシャ等が挙げられる。破砕部10によって、粒径が例えば35mm以下の燃料を得る。このようなサイズに破砕された燃料に近赤外線を含む電磁波を照射することによって、十分に高い精度で発熱量を予測することができる。本明細書において「近赤外線」は、780~2500nmの波長範囲の電磁波である。
【0042】
燃料11に含まれる廃棄物を構成している分子(例えば、C-H、O-H)は、様々な運動をしており、運動している分子に赤外線を当てると運動状態に合わせて特定の波長の光のみが吸収される。例えば、ポリエチレンの場合、波長1200nm、1400nm、1725nm、1775nm、及び1850nm付近に特徴的なピークをもつ吸収スペクトルが得られる。このように近赤外領域には廃棄物に含まれる成分のピークが検出されることが多いことから、近赤外線の吸収情報を用いることによって、高い精度で発熱量を予測することができる。近赤外線の吸収情報は、近赤外吸収スペクトルを含むことが好ましい。
【0043】
一層高精度の予測結果を得る観点から、燃料の粒径は30mm以下であってよく、25mm以下であってもよい。なお、燃料の粒径は、二次元の画像で描かれる燃料に外接する外接円の直径として求めることができる。破砕部10の上流には、粗破砕機、風力選別機、磁選機等を設置して、廃棄物原料から金属等を除去してもよい。破砕工程を行うことは必須ではなく、受け入れられた廃棄物をそのまま搬送部12で搬送して情報取得部16で情報取得工程を行ってもよい。
【0044】
情報取得工程S2は、燃料の画像と画像をn個の領域に分割したときの各領域の近赤外線の吸収情報を取得する。画像を構成するn個の領域は、n個の画素(ピクセル)であってよい。すなわち、情報取得工程では、画像を構成する各画素において近赤外線の吸収情報を取得してよい。この場合、n=画素数となる。nは1万以上であってよく、10万以上であってよく、100万以上であってもよい。nの上限に特に制限はないが、情報処理の負荷低減の観点から、1000万以下であってよい。
【0045】
図3に示すように、情報取得工程S2では、廃棄物を含む燃料11に近赤外線を含む電磁波を照射する光源14と近赤外線を検出する検出器を備えるハイパースペクトルカメラ16Aとを用いて、燃料11の画像と、当該画像における画素毎の近赤外吸収スペクトル(吸収情報)を取得してよい。光源14としては、近赤外線を含む電磁波を照射可能なものであれば特に制限されない。燃料11に照射される電磁波が近赤外線を含むことによって、プラスチックの発熱量を精度よく予測することができる。ハイパースペクトルカメラ16Aとしては、例えば、RESONON社製のものを用いることができる。近赤外線の吸収情報が近赤外吸収スペクトルを含むことによって、燃料の発熱量を高い精度で予測することができる。情報取得工程で取得される近赤外吸収スペクトルの波長範囲は、800~2500nmであってよく、900~1700nmであってよい。これによって、不要なノイズを削減し発熱量の予測精度を向上することができる。
【0046】
分別方法は、情報取得工程S2の後(分析工程S3の前)、情報取得工程で取得された近赤外吸収スペクトルを前処理する前処理工程を有していてもよい。前処理は、トリミング、スムージング、及び2階微分からなる群より選ばれる少なくとも一つを含んでいてよい。これによって、燃料の発熱量の予測精度を十分に高くすることができる。例えば、画像における領域の数(n個)=画素数である場合、燃料のサイズに応じて、隣接する複数の画素の情報の平均をとるようにスムージングを行うことによって、燃料の発熱量の予測精度を高くすることができる。また、光源14等からのノイズの影響を低減するため、トリミングを行ってもよい。2階微分を行うことによって、反射光の強度によってスペクトルが上下にシフトすることの影響を低減することができる。
【0047】
分析工程S3では、図4に示すように画素毎に取得された近赤外吸収スペクトルのクラスター分析を行って、n個の吸収情報D1(n個の近赤外吸収スペクトル)を、k個のグループ(クラスター)に分類する。クラスター分析は、非階層的クラスタリングによって行ってよい。クラスター分析のアルゴリズムとしては、k平均法(k-means法)、DBSCAN法、及びスペクトラルクラスタリング法等が挙げられる。このうち、分析工程における分類を高精度且つ迅速に行う観点から、k平均法を用いることが好ましい。
【0048】
分析工程S3のクラスター分析で分類されるグループ数(k個)は、燃料の発熱量の予測精度を高くする観点から、3個以上であってよく、5個以上であってよく、10個以上であってもよい。図4には、n個の近赤外吸収スペクトルが、画像D2において4つのグループに分類されていることが示されている(k=4)。分析工程S3で分類されるグループ数(k個)は、発熱量の予測に伴う計算の負荷を低減する観点から、30個以下であってよく、20個以下であってもよい。グループ数(k個)の一例は、3~30個であってよい。
【0049】
画像における領域数又は画素数(n個)とクラスター分析によって分類されるグループ数(k個)の関係はn>kである。n/kは、発熱量の予測に伴う計算の負荷を低減する観点から、100以上であってよく、0.1万以上であってよく、0.5万以上であってよく、1万以上であってもよい。n/kは、発熱量の予測精度を十分に高くする観点から、1000万以下であってよく、500万以下であってよく、100万以下であってもよい。
【0050】
第1予測工程S4では、分類されたk個のグループのそれぞれの発熱量を予測する。例えば、あるグループ1にn1個の吸収情報(近赤外吸収スペクトル)が分類された場合、n1個の吸収情報(近赤外吸収スペクトル)の加重平均値(平均スペクトルD3)を算出する。この平均スペクトルD3に基づいて、グループ1の発熱量の予測値Q1を求めてもよい。同様にして、グループkの発熱量の予測値Qkを求めてもよい(kは2以上の整数であり、n>kである。)。
【0051】
各グループの発熱量の予測値Qkは、平均スペクトルD3と、データベースD4に含まれる発熱量が既知である複数の参照用吸収スペクトルDrのそれぞれとを照合して類似度を算出し、類似度が最も高い参照用吸収スペクトルDrの発熱量を選択して導出するようにしてもよい。データベースD4に含まれる参照用吸収スペクトルDrは、発熱量が既知の成分の近赤外吸収スペクトルである。
【0052】
燃料11には、多種多様なプラスチックが含まれ得る。このため、予め種々のプラスチック、紙、木屑、石、ガラス、布及び皮等の近赤外分光分析を行って、参照用吸収スペクトルDrを取得して近赤外吸収スペクトルのデータベースD4を構築する。参照用吸収スペクトルは、廃棄物又は廃プラスチックの近赤外吸収スペクトルであってもよいし、単一成分で構成されるプラスチックの近赤外吸収スペクトルであってもよい。
【0053】
情報取得工程S2で取得された近赤外吸収スペクトルが上記前処理工程によって前処理される場合、参照用吸収スペクトルDrも予め同じ前処理が施されたものであることが好ましい。参照用吸収スペクトルDrを得るための前処理の内容は、前処理工程で挙げたとおりである。これによって、燃料の発熱量の予測精度を十分に高くすることができる。
【0054】
参照用吸収スペクトルの個数は、上述のグループ数(k個)の1倍以上であってよく、2倍以上であってよく、3倍以上であってもよい。これによって、燃料の発熱量の予測精度を十分に高くすることができる。データ処理の負荷低減の観点から、参照用吸収スペクトルの個数は、上述のグループ数(k個)の10倍以下であってよく、5倍以下であってもよい。
【0055】
類似度は、例えば、平均絶対誤差(MAE)、二乗平均平方根誤差(RMSE)又は決定係数(R2)によって判定してよい。これによって、燃料全体の発熱量の予測の精度を十分に維持することができる。廃棄物を含む燃料11の発熱量の予測に参照用吸収スペクトルDrの発熱量を用いることから、燃料11に含まれる各成分の発熱量を直接予測する場合に比べて、燃料全体の発熱量の予測に必要な計算量を十分に低減することができる。したがって、廃棄物を含む燃料11の発熱量を迅速に予測することができる。
【0056】
第2予測工程S5では、各グループの発熱量の予測値Qkと、情報取得工程S2で取得された画像における各グループの存在割合とから、上記画像に含まれる燃料全体の発熱量を予測する。例えば、画像において、グループ1に属する吸収情報(近赤外吸収スペクトル)の存在割合は、n1/nとなり、このグループ1による発熱量の予測値は、Q1×(n1/n)となる。同様にして、グループ1~kのそれぞれグループの発熱量の予測値を算出し、これらを足し合わせることによって、画像に含まれる燃料全体の発熱量の予測値Qを求めることができる。
【0057】
図4に示すように、クラスター分析によって、画像の各領域(各画素)に対応するn個の近赤外吸収スペクトルが、k=4個のグループに分類された場合、グループ1,2,3,4の発熱量の予測値は、Q1,Q2,Q3,Q4となる。画像D2で分類されたグループ1,2,3,4に含まれるそれぞれの領域の個数(画素の数)を、それぞれ、n1,n2,n3,n4とし、領域総数(画素の総数)をn個(n=n1+n2+n3+n4)とすると、4個のグループの存在割合は、それぞれ、n1/n,n2/n,n3/n,n4/nとなる。画像に含まれる燃料全体の発熱量の予測値Qは、以下の計算式で算出される。
Q=Q1×(n1/n)+Q2×(n2/n)+Q3×(n3/n)+Q4×(n4/n)
【0058】
クラスター分析によって、画像の各領域(各画素)に対応するn個の近赤外吸収スペクトルが、k個のグループに分類された場合、各グループの発熱量の予測値は、Q1,Q2,Q3,・・・Qkとなる。画像におけるk個のグループのそれぞれの領域の個数(画素の数)を、それぞれ、n1,n2,n3,・・・nkとし、領域総数(画素の総数)をn個すると、k個のグループの存在割合は、それぞれ、n1/n,n2/n,n3/n,・・・nk/nとなる。画像に含まれる燃料全体の発熱量の予測値Qは、以下の計算式で算出される。
Q=Q1×(n1/n)+Q2×(n2/n)+Q3×(n3/n)+・・・+Qk×(nk/n)
【0059】
このように上述の分別方法では、クラスター分析を行ってn個の吸収情報をn個よりも少ないk個のグループに分け、各グループの平均スペクトルを取得して発熱量の予測計算を行う。このため、種々の成分を含む廃棄物を含む燃料を対象とした場合でも、計算量を十分に低減できる。したがって、迅速に発熱量を予測することができる。
【0060】
なお、第2予測工程S5において、上記画像に含まれる燃料全体の発熱量Qを予測する際に、当該画像における各グループの存在割合(nk/n)を用いることは必須ではない。例えば、一つの変形例では、各グループの発熱量の予測値Qkの全てが分別工程の閾値以上又は閾値未満であった場合は、k個の発熱量の予測値Qkの算術平均値を画像に含まれる燃料全体の発熱量の予測値Qとしてもよい。この場合、発熱量の予測値Qは、以下の計算式で算出される。これによって、予測に必要な計算量をさらに低減することができる。
Q=(Q+Q+Q+・・・+Q)/k
【0061】
分別装置100の情報処理部20は、上述のようなクラスター分析を行って、n個の領域の近赤外吸収スペクトルをk個のグループに分類する分析部と、近赤外吸収スペクトルを用いてk個のグループのそれぞれの平均スペクトルを算出し、当該平均スペクトルに基づいてk個のグループのそれぞれの発熱量の予測値Qkを導出する第1予測部と、第1予測部で予測された発熱量の予測値Qkと、画像におけるk個のグループのそれぞれの存在割合と、から、画像に含まれる燃料全体の発熱量の予測値Qを導出する第2予測部と、を有してよい。このような情報処理部20において、分析工程S3、第1予測工程S4及び第2予測工程S5を行うことができる。分析部、第1予測部及び第2予測部において、上述の分析工程S3、第1予測工程S4及び第2予測工程S5を、それぞれ行ってもよい。したがって、分析工程S3、第1予測工程S4、第2予測工程S5及び変形例の説明内容は、分析部、第1予測部及び第2予測部にも適用される。
【0062】
分析工程S3、第1予測工程S4及び第2予測工程S5を行う情報処理部20は、通常のコンピュータシステムとして構成することができる。情報処理部20のハードウェア構成の一例は、図3に示すように回路70を備える。回路70は、少なくとも一つのプロセッサ72、メモリ74、ストレージ76、及び入出力ポート78を有する。ストレージ76には、各機能を実現するためのコンピュータソフトウェア(例えば解析ソフト)が記録されていてもよい。情報処理部20は、プロセッサ72及びメモリ74等のハードウェア上に、このようなコンピュータソフトウェアを読み込ませることによって、プロセッサ72の制御の下で入出力ポート78及び入出力デバイス82が動作するように構成されてよい。ストレージ76は、ハードディスク、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク等の、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であってよい。
【0063】
ストレージ76には、参照用吸収スペクトルDrのデータベースD4が記憶されていてよい。メモリ74は、ストレージ76からロードされたプログラム、データ及びプロセッサ72の演算結果等を一時的に記憶する。プロセッサ72は、メモリ74と協働し、情報取得部16で取得された近赤外吸収スペクトルの前処理、クラスター分析、参照用吸収スペクトルDrとの照合、及び類似度の判定を行って、各グループの発熱量、並びに燃料全体の発熱量の予測値Qを出力するプログラムを実行する。入出力ポート78は、プロセッサ72からの指令に応じ、制御部30及び入出力デバイス82等の間で電気信号の入出力を行う。
【0064】
分別装置100の情報処理部20は、近赤外吸収スペクトルのクラスター分析を行うため、クラスター分析を行わない場合に比べて、燃料全体の発熱量の予測値Qを導出するための計算量を低減するこができる。このため、情報処理部20の負荷を低減し、迅速に発熱量を予測することができる。
【0065】
図2に示すように、情報処理部20は、発熱量の予測結果(予測値Q)を、制御部30に出力する。制御部30は、情報処理部20からの入力値に基づいて、図2のダンパー41,42を操作する制御信号を出力する。制御部30は、情報処理部20と同様に、例えば、プロセッサ、メモリ、ストレージ、及び入出力ポート等を有していてよい。制御部30は、制御信号を導出し、当該制御信号を出力できる構成を有していればよい。なお、情報処理部20と制御部30を、別々のハードウェアとして構成することは必須ではなく、これらを一つのハードウェアとして構成してもよい。
【0066】
分別工程S6は、図2の分別部40で行うことができる。分別部40は、搬送部12に接続されたダンパー41,42と、第1分別燃料を貯留するタンク51と、第2分別燃料を貯留するタンク52を備える。この例では、燃料11を、2つに分別している。なお、分別される分別燃料の数は特に限定されず、燃料11を発熱量の予測値に応じて3つ以上に分別してもよい。
【0067】
タンク51に貯留される第1分別燃料は、例えば、発熱量の予測値Qが5000kcal/kg以上の燃料である。第2分別燃料は、例えば、発熱量の予測値Qが5000kcal/kg未満の燃料である。第1分別燃料と第2分別燃料の発熱量の予測値Qの閾値は5000kcal/kgに限定されない。ただし、閾値を5000kcal/kgとすることによって、セメントキルンに導入される燃料を十分に多くすることができる。これによって、廃棄物を燃料として有効活用して、セメントキルンの燃料に用いられる微粉炭等の化石燃料の消費量を低減することができる。
【0068】
分別工程S6の一例では、図5に示されるフローチャートに沿って、分別部40で燃料を2つに分別する。分別を開始する前は、ダンパー41,42が閉止されている(S11)。発熱量の予測値Qが5000kcal/kg以上である場合(S12)は、ダンパー41を開放し(S13)、第1分別燃料としてタンク51に導入する(S14)。発熱量の予測値が5000kcal/kg未満である場合は、ダンパー42を開放し(S15)、第2分別燃料としてタンク52に導入する(S16)。このようにして、燃料が、含有成分の予測結果及び発熱量の予測結果に応じて2つの分別燃料に分別される。このような複数の分別燃料は、一旦タンク51,52に貯留された後、セメントクリンカ製造装置で燃料として用いることができる。その際、複数の分別燃料をそれぞれ別々の場所に導入したり、個別に導入量を調節したりすることができる。したがって、セメントクリンカ製造装置の安定運転を継続しながら、廃棄物を燃料として有効利用して、化石燃料の使用量を低減することができる。
【0069】
図2に示すようにタンク51,52には、それぞれ導出路51a,52aが接続されている。一旦タンク51,52に貯留された第1分別燃料,第2分別燃料は、導出路51a,52aを流通して下流のセメントクリンカ製造装置まで搬送されてよい。搬送は、ベルトコンベア又はガス(空気)圧送によって行ってもよいし、重力落下によって行ってもよい。分別装置100と、セメントクリンカ製造装置とが別々の場所にある場合は、タンクから導出された各分別燃料を、セメントクリンカ製造装置の設置場所にあるタンクまでトラックを用いて運搬してもよい。なお、分別された全ての分別燃料をセメントクリンカ製造装置の燃料として用いなくてもよい。複数の分別燃料のうちの一種類、又は各分別燃料の一部を、他の用途に用いてもよい。
【0070】
一実施形態に係るセメントクリンカの製造方法は、セメント原料を仮焼炉で仮焼してセメントキルンで焼成する加熱工程を有し、加熱工程では、上述の分別方法で複数に分別された廃棄物を含む分別燃料(第1分別燃料、第2分別燃料)の少なくとも一つを用いて、セメントキルン及び仮焼炉の少なくとも一方を加熱する。
【0071】
図6のセメントクリンカの製造設備300を用いて、上述のセメントクリンカの製造方法を行ってもよい。ただし、上記製造方法を、このセメントクリンカの製造設備を用いて行うことは必須ではなく、別のセメントクリンカの製造設備を用いて行ってもよい。また、上記セメントクリンカの製造設備は、上述のセメントクリンカの製造方法とは別の製造方法でセメントクリンカを製造するように構成されていてもよい。
【0072】
図6のセメントクリンカの製造設備300は、燃料の分別装置100と、セメントクリンカ製造装置200とを備える。セメントクリンカ製造装置200は、セメント原料が導入される導入口201と、導入口201から導入されたセメント原料を予熱する4つのサイクロンC1,C2,C3,C4(プレヒータ)と、セメント原料を仮焼する仮焼炉230と、予熱及び仮焼されたセメント原料を焼成してセメントクリンカを生成するセメントキルン240と、セメントキルン240で生成したセメントクリンカを冷却し、冷却されたセメントクリンカを導出するクリンカクーラ250とを備える。
【0073】
導入口201は、サイクロンC1とサイクロンC2との接続部に設けられている。導入口101から導入されるセメント原料は、例えば、焼却灰、石炭灰、石灰石、鉄源、スラグ及び廃棄物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでもよい。導入口201から導入されたセメント原料は、サイクロンC1、サイクロンC2、サイクロンC3、ライジングダクト234、仮焼炉230、サイクロンC4を流通しながら加熱され、セメントキルン240の窯尻242に導入される。
【0074】
セメントキルン240の窯尻242と仮焼炉230はライジングダクト234で接続されている。ライジングダクト234には、ライジングダクト234内のキルン排ガスを抽気する抽気管236が接続されている。抽気管236の下流には、クーラー及びバグフィルタ等を有する塩素バイパス部237が設置されており、抽気管236で抽気された抽気ガス(キルン排ガス)に含まれるダストが回収されるようになっている。塩素バイパス部237でダストが除去された後のガスは、クリンカクーラ250と仮焼炉230と接続する循環ガスライン252に導入され、仮焼炉230に導入される。塩素バイパス部237を有することによって、セメントクリンカ製造装置200内から、塩素系化合物及びアルカリ等の揮発分を低減することができる。なお、変形例では、抽気管236は窯尻242に接続されていてもよいし、ライジングダクト234と窯尻242の境界部分に接続されていてもよい。
【0075】
セメントキルン240内の温度は、例えば、1400℃~1500℃である。セメントキルン240の一端に設けられたバーナ244には、タンク51から第1分別燃料と、化石燃料が供給される。化石燃料としては微粉炭、重油等を用いることができる。本実施形態では廃棄物を含む第1分別燃料が高い発熱量を有することから、化石燃料に対する第1分別燃料の割合を十分に高くすることができる。したがって、化石燃料の使用量を低減することができる。また、分別前の廃棄物に比べて第1分別燃料は発熱量の変動が小さい。このため、十分な量の第1分別燃料を燃料として用いつつ、セメントクリンカ製造装置200の安定運転を継続することができる。セメントクリンカ製造装置200の運転を一層安定化させる観点から、第1分別燃料の発熱量(実測値)は、5000kcal/kg以上であることが好ましい。これによって、得られるセメントクリンカの品質のばらつきを十分に低減することができる。なお、本明細書における発熱量は、高位発熱量である。
【0076】
セメントキルン240の運転制御は、セメントキルン240を回転させる際のトルク又は回転モータの消費電力を測定する測定部M、化石燃料の供給量を調節する調節部222、及び、測定部Mの測定値に基づいて調節部222を調節するための制御信号を出力する制御部224によって行ってもよい。このとき、第1分別燃料は、セメントキルン240の運転制御が可能な範囲で最大限の量をバーナ244に導入してよい。この場合、測定部Mの測定値が目標範囲になるように化石燃料の供給量を調節すればよい。これによって、第1分別燃料を有効活用しつつ、セメントキルン240の安定運転を継続することができる。ただし、変形例では、バーナ244への第1分別燃料の導入量は、第1分別燃料の発熱量の予測結果、及び/又は、セメントキルン240の運転状況に応じて流量調節部51Vによって調節してもよい。また、第1分別燃料と化石燃料は、それぞれ異なるバーナに導入されてもよい。
【0077】
仮焼炉230内の温度は、例えば、850℃~900℃である。仮焼炉230には、タンク52から廃棄物を含む第2分別燃料と、化石燃料が供給される。化石燃料としては微粉炭、重油等を用いることができる。仮焼炉230はセメントキルンよりも低温であることから、第1分別燃料よりも発熱量が低い第2分別燃料を導入しても、仮焼炉230の温度を十分安定的に維持することができる。
【0078】
仮焼炉230の運転制御は、仮焼炉230の温度を測定する測定部T、化石燃料の供給量を調節する調節部231、及び、測定部Tの測定値に基づいて調節部231を調節するための制御信号を出力する制御部232によって行ってもよい。このとき、第2分別燃料は、仮焼炉230の運転制御が可能な範囲で最大限の量を仮焼炉230に導入してよい。そして、測定部Tの測定値が目標範囲を維持するように化石燃料の供給量を調節する。これによって、第2分別燃料も仮焼炉230の燃料として有効活用しつつ、仮焼炉230の安定運転を継続することができる。ただし、変形例では、仮焼炉230への第2分別燃料の導入量は、第2分別燃料の発熱量の予測結果、及び/又は、仮焼炉230の運転状況に応じて流量調節部52Vによって調節してもよい。第2分別燃料と化石燃料は、それぞれ仮焼炉230に取り付けられたバーナに導入されて、仮焼炉230内で燃焼されてもよい。
【0079】
流量調節部51V,52Vを制御することで、第1分別燃料と第2分別燃料とを一定の流量比率で、セメントクリンカ製造装置200に導入してもよい。これによって、セメントクリンカ製造装置200の運転を十分に安定化することができる。
【0080】
流量調節部51V,52Vは、それぞれ、バルブ及びその開度を制御する制御部(不図示)で構成されていてよい。例えば、ロードセル及びインパクトライン流量計等で供給量を測定し、フィードバック制御で各分別燃料の流量を調節してもよい。流量調節部51V,52Vは、それぞれ、第1分別燃料、第2分別燃料の流量を調節可能な構成であれば特に限定されない。
【0081】
第1分別燃料の導入先は、セメントクリンカ製造装置200の運転状況、及び、第1分別燃料及び第2分別燃料の在庫バランスに応じて、バーナ244から仮焼炉230(又は仮焼炉230に取り付けられたバーナ)に切り替えてもよい。第1分別燃料の導入先の切り替えは、例えば制御部30からの制御信号に基づいて三方弁51Tを操作して行うことができる。
【0082】
仮焼炉230で用いる燃料を、第2分別燃料から第1分別燃料に変更する際、第2分別燃料の導入量よりも少ない導入量で第1分別燃料を仮焼炉230に導入することが好ましい。第1分別燃料の方が第2分別燃料よりも発熱量が大きいため、このように調整することによって、仮焼炉230の温度変動を十分に抑制することができる。
【0083】
本実施形態のセメントクリンカの製造方法及びセメントクリンカの製造設備によれば、種々の成分を含む廃棄物を含む燃料を発熱量の予測結果に基づいて分別し、分別して得られる分別燃料を用いていることから、セメントクリンカの製造を安定的に継続することができる。また、セメントクリンカ製造装置の運転状態に応じて、各分別燃料の導入先を変更したり、導入量を調節したりして、柔軟な運転調整が可能となる。これによって、セメントクリンカの品質のばらつきも十分に低減することができる。さらに、化石燃料の消費量を低減し、廃棄物の有効利用を図ることができる。
【0084】
以上、本開示の幾つかの実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、図6のセメントクリンカの製造設備の例では分別装置100を備えているが、これに限定されない。例えば、燃料を3つ以上の分別燃料に分別する分別装置を備えていてもよい。燃料の分別装置の説明内容は燃料の分別方法にも適用され、燃料の分別方法の説明内容は燃料の分別装置にも適用される。セメントクリンカの製造設備の説明内容はセメントクリンカの製造方法にも適用され、セメントクリンカの製造方法の説明内容はセメントクリンカの製造設備にも適用される。
【0085】
本開示は以下の内容を含む。
[1]セメントクリンカ製造用の燃料の分別方法であって、
廃棄物を含む前記燃料の画像と、前記画像をn個の領域に分割したときの各領域の近赤外線の吸収情報と、を取得する情報取得工程と、
前記n個の前記吸収情報をクラスター分析によりk個のグループに分類する分析工程と、
前記近赤外線の前記吸収情報に基づいて、前記k個のグループのそれぞれの発熱量を予測する第1予測工程と、
前記k個のグループそれぞれの発熱量の予測値に基づいて、前記画像に含まれる前記燃料全体の発熱量を予測する第2予測工程と、
前記燃料全体の前記発熱量の予測結果に基づいて、前記燃料を、第1分別燃料と前記第1分別燃料よりも発熱量が低い第2分別燃料とを含む複数の分別燃料に分別する分別工程と、を有する、燃料の分別方法。
(但し、nは3以上の整数、kは2以上の整数であり、n>kである。)
[2]前記情報取得工程では、前記近赤外線を含む電磁波を照射する光源と前記近赤外線を検出する検出器とを用いて、前記燃料の近赤外吸収スペクトルを含む前記吸収情報を取得し、
前記第1予測工程では、前記吸収情報を用いて前記k個のグループのそれぞれの平均スペクトルを算出し、当該平均スペクトルに基づいて前記k個のグループのそれぞれの発熱量の予測値を導出する、[1]に記載の燃料の分別方法。
【0086】
[3]前記平均スペクトルと、発熱量が既知である複数の参照用吸収スペクトルと、を照合して類似度を算出し、前記類似度が最も高い前記参照用吸収スペクトルの発熱量を前記予測値として選択する、[2]に記載の燃料の分別方法。
[4]前記類似度は、平均絶対誤差(MAE)、二乗平均平方根誤差(RMSE)又は決定係数(R2)によって判定する、[3]に記載の燃料の分別方法。
[5]前記平均スペクトルと照合される前記複数の参照用吸収スペクトルの個数は前記k個の1~10倍である、[3]又は[4]に記載の燃料の分別方法。
[6]前記クラスター分析は、k平均法、DBSCAN法、及びスペクトラルクラスタリング法からなる群より選ばれる少なくとも一つの方法によって行う、[1]~[5]のいずれか一つに記載の燃料の分別方法。
[7]前記クラスター分析の前に、前記近赤外線の吸収情報の前処理を行う前処理工程を有し、
前記前処理は、トリミング、スムージング、及び2階微分からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む、[1]~[6]のいずれか一つに記載の燃料の分別方法。
[8]前記第1分別燃料は5000kcal/kg以上の発熱量を有する、[1]~[7]のいずれか一つに記載の燃料の分別方法。
[9]前記廃棄物は、プラスチック、紙、木屑、石、ガラス、金属、布、及び皮からなる群より選ばれる2つ以上を含んでおり、
前記情報取得工程では、搬送部で搬送される前記燃料に対して前記近赤外線を含む電磁波を照射する、[1]~[8]のいずれか一つに記載の燃料の分別方法。
[10]前記情報取得工程の前に、前記廃棄物を破砕して前記燃料を得る破砕工程を有する、[1]~[9]のいずれか一つに記載の燃料の分別方法。
[11]前記画像に含まれる前記燃料の粒径が35mm以下である、[1]~[10]のいずれか一つに記載の燃料の分別方法。
【0087】
[12]セメント原料を仮焼炉で仮焼してセメントキルンで焼成する加熱工程を有する、セメントクリンカの製造方法であって、
前記加熱工程では、[1]~[11]のいずれか一つに記載の分別方法で分別された前記複数の分別燃料の少なくとも一つを用いて前記セメントキルン及び前記仮焼炉の少なくとも一方を加熱する、セメントクリンカの製造方法。
[13]前記加熱工程では、前記第2予測工程における前記発熱量の予測結果に基づいて、前記複数の分別燃料のそれぞれの供給先を選択して供給量を調節する、[12]に記載のセメントクリンカの製造方法。
[14]前記加熱工程では、前記第1分別燃料を前記セメントキルンの燃料とし、前記第2分別燃料を前記仮焼炉の燃料とする、[12]又は[13]に記載のセメントクリンカの製造方法。
[15]前記加熱工程において、前記仮焼炉で用いる燃料を前記第2分別燃料から前記第1分別燃料に変更する際に、前記第2分別燃料の供給量よりも前記第1分別燃料の供給量を少なくする、[12]~[14]のいずれか一つに記載のセメントクリンカの製造方法。
【0088】
[16]セメントクリンカ製造用の燃料の分別装置であって、
廃棄物を含む前記燃料の画像と、前記画像をn個の領域に分割したときの各領域の近赤外線の吸収情報と、を取得する情報取得部と、
前記n個の前記吸収情報をクラスター分析によりk個のグループに分類し、前記近赤外線の前記吸収情報に基づいて、前記k個のグループのそれぞれの発熱量を予測し、前記k個のグループそれぞれの発熱量の予測値に基づいて、前記画像に含まれる前記燃料全体の発熱量を予測する情報処理部と、
前記燃料全体の発熱量の予測結果に基づいて、少なくとも、第1分別燃料と前記第1分別燃料よりも発熱量が低い第2分別燃料とを含む、複数の分別燃料に分別する分別部と、を有する、燃料の分別装置。
(但し、nは3以上の整数、kは2以上の整数であり、n>kである。)
[17]前記情報取得部では、前記近赤外線を含む電磁波を照射する光源と前記近赤外線を検出する検出器とを用いて、前記燃料の近赤外吸収スペクトルを含む前記吸収情報を取得し、
前記情報処理部では、前記吸収情報を用いて前記k個のグループのそれぞれの平均スペクトルを算出し、当該平均スペクトルに基づいて前記k個のグループのそれぞれの発熱量の予測値を導出する、[16]に記載の燃料の分別装置。
[18]前記平均スペクトルと、発熱量が既知である複数の参照用吸収スペクトルと、を照合して類似度を算出し、前記類似度が最も高い前記参照用吸収スペクトルの発熱量を前記予測値として選択する、[17]に記載の燃料の分別装置。
[19]前記廃棄物を破砕して前記燃料を得る破砕部と、前記破砕部で破砕された前記燃料を搬送する搬送部と、を備え、
前記情報取得部は、前記搬送部で搬送される前記燃料の前記画像及び前記近赤外線の前記吸収情報を取得する、[16]~[18]のいずれか一つに記載の燃料の分別装置。
【0089】
[20]上記[16]~[19]のいずれか一つの分別装置と、当該分別装置で分別された前記複数の分別燃料をそれぞれ貯留する複数のタンクと、仮焼炉と、セメントキルンと、を備え、
前記複数のタンクにそれぞれ貯留される前記複数の分別燃料を、セメントキルン及び仮焼炉の少なくとも一方で燃料として使用する、セメントクリンカの製造設備。
[21]前記分別装置の前記情報処理部における前記燃料全体の前記発熱量の予測結果に基づいて、前記複数の分別燃料のそれぞれの供給先を選択して供給量を調節する、[20]に記載のセメントクリンカの製造設備。
[22]前記複数のタンクの少なくとも一つから前記第1分別燃料が前記セメントキルンへ供給され、前記第1分別燃料を供給する前記タンクとは異なる、前記複数のタンクの少なくとも一つから前記第2分別燃料が前記仮焼炉へ供給される、[20]又は[21]に記載のセメントクリンカの製造設備。
【実施例0090】
実施例を参照して本発明の内容をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0091】
(実施例1)
分別装置における、搬送部、情報取得部及び情報処理部を構成する器具として以下のものを用いた。
・搬送部:可動式移動台
・近赤外線を含む電磁波を照射する光源:ハロゲンランプ
・検出器:ハイパースペクトルカメラ(RESONON社製、商品名:PikaNIR-320、)
・情報処理部:パーソナルコンピュータ(制御・解析ソフト「SPECTRONON」)
【0092】
12種類の参照用試料(廃プラスチック、紙、木屑等)と、28種類の測定用試料(廃棄物を含むセメントクリンカ製造用燃料)を準備した。参照用試料の高位発熱量を、示差熱量計を用いて測定した。発熱量は、JIS Z 7302-2:1999「廃棄物固形化燃料-第2部:発熱量試験方法」に準拠して測定した。12種類の参照用試料の含有成分と高位発熱量の実測値は表1に示すとおりであった。
【0093】
【表1】
【0094】
上述の器具を用いて、搬送部、情報取得部及び情報処理部を構成した。12種類の参照用試料のそれぞれについて、ハイパースペクトルカメラで画像(82268画素)を撮影するとともに、当該画像の1画素毎の近赤外吸収スペクトルを測定した。測定にあたっては、各参照用試料(約100g)をアルミニウム製のバットに収容し、可動式移動台の上に設置した。可動式移動台の上方にハロゲンランプ及びハイパースペクトルカメラを設置した。ハロゲンランプから参照用試料に近赤外線を含む電磁波を照射しながら可動式移動台でバットを移動させ、この移動方向とは垂直方法にラインスキャンすることによってバット内の参照用試料の画像と当該画像の画素毎の近赤外線スペクトル(測定波長域880~1710nm)を取得した(n=82268)。
【0095】
解析ソフト(RESONON社製のSPECTRONON)を用いて、取得した参照用試料(12種類)の近赤外線スペクトルの前処理を行った。前処理では、近赤外線スペクトルのデータを波長960~1710nmの範囲に限定してノイズを低減するとともに、2階微分処理を行ってベースラインの変動の影響を低減した。
【0096】
図7(A)は、前処理前の参照用試料1~6の近赤外線スペクトルの一例であり、図7(B)が、前処理後の参照用試料1~6の近赤外線スペクトルの一例である。図8(A)は、前処理前の参照用試料7~12の近赤外線スペクトルの一例であり、図8(B)が、前処理後の参照用試料7~12の近赤外線スペクトルの一例である。図7及び図8に示すとおり、前処理を行うことによってベースラインが補正されるとともに、ノイズが低減されることが確認された。
【0097】
前処理後の画素毎の近赤外線スペクトルを加重平均して平均スペクトルを算出した。12種類の参照用試料について同様の計算を行い、12種類の参照用吸収スペクトルを得た。これらの参照用吸収スペクトルのデータを、パーソナルコンピュータのストレージに保存した。
【0098】
参照用試料と同じ手順で、28種類の測定用試料のそれぞれについても、画素毎の近赤外吸収スペクトルを測定し(n=82268)、前処理を行った。前処理後の画素毎の近赤外吸収スペクトルのクラスター分析を行った。クラスター分析は、k平均法(k=3)によって行い、近赤外吸収スペクトルデータを3グループ(グループA,グループB及びグループC)に分類した。画像におけるグループA,B,Cの分布は図9に示すとおりであった。実施例1では、参照用吸収スペクトルの個数は、グループ数の4倍(=12/3)であった。
【0099】
画像における各グループの存在割合を定量化するため、画素数計測ソフトを用いて各グループの画素数を計測し、各グループの存在割合を計算した。また、各グループに属する近赤外吸収スペクトルを加重平均して平均スペクトルを算出した。平均スペクトルと12種類の参照用吸収スペクトルとを照合し、類似度を判定した。類似度の判定は、R2、RMSE、MAEのそれぞれを用いて行った。判定手法において、最も類似度の近い参照用吸収スペクトルの発熱量を当該グループの発熱量の予測値Qkとした。
【0100】
画像におけるグループA,B,Cのそれぞれの存在割合と、グループA,B,Cのそれぞれの発熱量の予測値Qkから、測定用試料全体の発熱量の予測値Qを導出した。28種類の測定用試料のそれぞれについて、同様の計算を行って、それぞれの発熱量の予測値Qを導出した。
【0101】
予測値の精度の検証のため、各測定用試料の発熱量を、JIS Z 7302-2:1999「廃棄物固形化燃料-第2部:発熱量試験方法」に準拠して測定した。表2には、28種類の測定用試料のうち、6種類の測定用試料(廃棄物A~F)の高位発熱量(実測値)の実測値と含有成分の割合を示す。含有成分の割合は手選別で調べた。表2に示すように測定用試料には種々の成分が含まれていた。
【0102】
【表2】
【0103】
発熱量の予測値Qと実測値の関係は図10図11図12に示すとおりであった。図10は、類似度をR2で判定した場合の結果である。図11は、類似度をMAEで判定した場合の結果である。図12は、類似度をRMSEで判定した場合の結果である。
【0104】
図10図12には、回帰直線とともに、誤差±20%の境界線を描いた。図10図12では、いずれも、発熱量の予測値Qと実測値とに良好な相関関係があることが確認された。このことから、実施例1の方法で、高い精度で測定用試料の発熱量を予測できることが確認された。
【0105】
(実施例2)
クラスター分析におけるk平均法の条件をk=10としたこと以外は、実施例1と同様にして、各測定用試料の発熱量を予測した。すなわち、前処理後の近赤外吸収スペクトルデータを10グループに分類して、発熱量の予測値Qを導出した。実施例2では、参照用吸収スペクトルの個数は、グループ数の1.2倍(=12/10)であった。発熱量の予測値Qと実測値の関係は図13図14図15に示すとおりであった。図13は、類似度をR2で判定した場合の結果である。図14は、類似度をMAEで判定した場合の結果である。図15は、類似度をRMSEで判定した場合の結果である。
【0106】
図13図15にも、回帰直線とともに、誤差±20%の境界線を描いた。類似度をR2で判定した図10図13を比べると、図13の方が図10よりも誤差が小さい傾向にあった。図13図14図15のいずれも、発熱量の予測値Qと実測値とに良好な相関関係があることが確認された。このことから、実施例2の方法でも、高い精度で測定用試料の発熱量を予測できることが確認された。
【0107】
実施例1,2は、n(画素数)に比べてk(グループ数)が大幅に小さいことから、1画素毎に発熱量を予測するよりも計算量を大幅に低減することができた。実施例1のn/kは、画素数/グループ数=82268/3≒2.7万であった。実施例2のn/kは、画素数/グループ数=82268/10≒0.8万であった。このように、nに比べてkを大幅に小さくしても、高い精度で測定用試料の発熱量を予測することができる。このような予測値Qに基づいて廃棄物を含む燃料を分別し、セメントキルンの燃料として用いれば、セメントクリンカを製造する際の運転変動が抑制され、セメントクリンカの製造を安定的に継続することができる。
【符号の説明】
【0108】
10…破砕部、11…燃料、12…搬送部、14…光源、16…情報取得部、16A…ハイパースペクトルカメラ、20…情報処理部、30…制御部、40…分別部、41,42…ダンパー、51,52…タンク、51T…三方弁、51V,52V…流量調節部、51a,52a…導出路、70…回路、72…プロセッサ、74…メモリ、76…ストレージ、78…入出力ポート、82…入出力デバイス、100…分別装置、101…導入口、200…セメントクリンカ製造装置、201…導入口、222…調節部、224…制御部、230…仮焼炉、231…調節部、232…制御部、234…ライジングダクト、236…抽気管、237…塩素バイパス部、240…セメントキルン、242…窯尻、244…バーナ、250…クリンカクーラ、252…循環ガスライン、300…製造設備。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15