(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019898
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】加熱装置、乾燥装置、画像形成装置及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
F26B 13/10 20060101AFI20240206BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240206BHJP
F26B 13/08 20060101ALI20240206BHJP
F26B 25/12 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
F26B13/10 H
B41J2/01 125
B41J2/01 305
F26B13/08 A
F26B25/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122655
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100182453
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 英明
(72)【発明者】
【氏名】桑原 章友
【テーマコード(参考)】
2C056
3L113
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EA22
2C056FA13
2C056HA29
2C056HA46
3L113AA08
3L113AB05
3L113AC32
3L113AC51
3L113AC76
3L113BA26
3L113BA30
3L113CA04
3L113CB21
3L113CB24
3L113DA22
(57)【要約】
【課題】メンテナンス作業の作業性を向上させる。
【解決手段】シートSを加熱する加熱装置20であって、回転可能に設けられた回転フレーム26を備え、回転フレーム26は、回転フレーム26の回転方向に並ぶ複数の構成部材22,23を保持する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを加熱する加熱装置であって、
回転可能に設けられた回転フレームを備え、
前記回転フレームは、前記回転フレームの回転方向に並ぶ複数の構成部材を保持することを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
前記回転フレームによって保持される前記複数の構成部材は、前記シートを加熱する加熱ローラ、前記シートを案内する案内ローラ、前記加熱ローラの温度を検知する温度センサの少なくとも1つを含む請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記複数の構成部材及び前記回転フレームが内部に収容される外装部を備え、
前記外装部は、前記回転フレームの回転軸とは直交する方向に前記外装部の内部と外部を連通させる開口部を有する請求項1又は2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記外装部は、前記開口部を開閉可能な開閉部材を有する請求項3に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記開口部を通して前記回転フレームを手動で回転操作可能な操作部材を備える請求項3に記載の加熱装置。
【請求項6】
シートを乾燥させる乾燥装置であって、
回転可能に設けられた回転フレームを備え、
前記回転フレームは、前記回転フレームの回転方向に並ぶ複数の構成部材を保持することを特徴とする乾燥装置。
【請求項7】
シートに画像を形成する画像形成部と、前記シートを加熱する請求項1に記載の加熱装置、又は前記シートを乾燥させる請求項6に記載の乾燥装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記シートを搬送する搬送装置を備え、
前記加熱装置又は前記乾燥装置と前記搬送装置との間にメンテナンス作業用のスペースを有する請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
シートに液体を吐出する液体吐出部と、前記シートを加熱する請求項1に記載の加熱装置、又は前記シートを乾燥させる請求項6に記載の乾燥装置を備えることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項10】
前記シートを搬送する搬送装置を備え、
前記加熱装置又は前記乾燥装置と前記搬送装置との間にメンテナンス作業用のスペースを有する請求項9に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置、乾燥装置、画像形成装置及び液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートを乾燥させる乾燥装置の一例として、インクジェット式の画像形成装置に搭載され、インクなどの液体が付与された用紙を乾燥せせる乾燥装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2020-106219号公報)においては、シートを加熱する複数の加熱ローラと、シートを案内する複数の案内ローラと、シートにエアを吹き付ける複数のエア吹き出しユニットなどを備える乾燥装置が記載されている。
【0004】
斯かる乾燥装置においては、装置内に加熱ローラなどの多数の構成部材が設置されているため、これらの構成部材を作業者が交換したり清掃したりする際に、作業を行いにくいという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明においては、メンテナンス作業の作業性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明は、シートを加熱する加熱装置であって、回転可能に設けられた回転フレームを備え、前記回転フレームは、前記回転フレームの回転方向に並ぶ複数の構成部材を保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、メンテナンス作業の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態であるインクジェット式画像形成装置の概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係るインクジェット画像形成装置の制御システムを示す図である。
【
図3】本実施形態に係る乾燥装置の構成を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る乾燥装置の平面断面図である。
【
図5】メンテナンス作業の手順を説明するための図である。
【
図6】メンテナンス作業の手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について、インクジェット式の画像形成装置に搭載される乾燥装置を例に説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品などの構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態であるインクジェット式画像形成装置の概略構成図である。
【0011】
図1に示されるように、本実施形態に係るインクジェット式画像形成装置100は、画像形成用のシートSを供給するシート供給部1と、シートSに画像を形成する画像形成部2と、シートSを乾燥させる乾燥部3と、シートSを回収するシート回収部4を備えている。また、本実施形態に係るインクジェット式画像形成装置100は、シート供給部1、画像形成部2、乾燥部3、シート回収部4を制御するための制御部5(
図2参照)を備えている。
【0012】
シート供給部1には、長尺のシートSがロール状に巻回された供給ローラ11と、シートSを搬送する搬送ローラ12が配置されている。供給ローラ11が回転すると、供給ローラ11からシートSが繰り出され、繰り出されたシートSが搬送ローラ12によって画像形成部2へ搬送される。
【0013】
画像形成部2には、シートSに対して液体のインクを吐出する液体吐出部としての複数の液体吐出ヘッド13Y,13M,13C,13Kが配置されている。複数の液体吐出ヘッド13Y,13M,13C,13Kは、例えば、ブラックのインクを吐出する液体吐出ヘッド13Kと、シアンのインクを吐出する液体吐出ヘッド13Cと、マゼンタのインクを吐出する液体吐出ヘッド13Mと、イエローのインクを吐出する液体吐出ヘッド13Yにより構成される。ここで、画像形成に用いられるインクは、色材と溶剤、溶剤に分散された結晶性樹脂粒子を含む液体である。結晶性樹脂は、所定の融点以上に熱せられると相変化を起こし結晶状態から液体に融解する樹脂である。
【0014】
図1に示される例においては、シートSの搬送方向の上流側から、ブラックインク用の液体吐出ヘッド13K、シアンインク用の液体吐出ヘッド13C、マゼンタインク用の液体吐出ヘッド13M、イエローインク用の液体吐出ヘッド13Yの順に配置されているが、この配置順に限定されるものではなく、その他の任意の順番でもよい。また、液体吐出ヘッドは、4色の液体インクに対応する構成に限定されるものではなく、さらに異なる色の液体インクに対応する液体吐出ヘッドがあってもよい。
【0015】
シートSが画像形成部2へ搬送されると、制御部5によって生成された画像データに基づき各液体吐出ヘッド13Y,13M,13C,13KからシートSへインクが吐出され、シートS上に画像が形成される。また、複数の液体吐出ヘッド13Y,13M,13C,13Kのうち、いずれか一つの液体吐出ヘッドからインクを吐出して単色画像を形成したり、いずれか2つ又は3つの液体吐出ヘッドからインクを吐出して2色又は3色の画像を形成したりしてもよい。
【0016】
乾燥部3には、インクが付与されたシートSを乾燥させる乾燥装置20が配置されている。乾燥装置20は、加熱ドラム21と、複数の加熱ローラ22と、複数の案内ローラ23と、複数のエア吹き出しユニット24を有している。加熱ドラム21及び加熱ローラ22は、内側にヒータなどの熱源が配置され、シートSに接触して加熱する加熱部材である。案内ローラ23は、乾燥装置20内でシートSを案内する案内部材である。エア吹き出しユニット24は、シートSにエアを吹き付ける送風手段である。エア吹き出しユニット24から吹き出されるエアは、温風であってもよいし、冷風であってもよい。
【0017】
画像形成部2においてシートS上に画像が形成された後、シートSが乾燥部3へ搬送されると、シートSが複数の加熱ローラ22と加熱ドラム21に接触しながら搬送されることにより、シートSが加熱される。また、搬送されるシートSに対してエア吹き出しユニット24からエアが吹き付けられる。これにより、シートS上のインクの乾燥が促進される。
【0018】
シート回収部4には、シートSを搬送する搬送ローラ14と、シートSを巻き取って回収する回収ローラ15が配置されている。乾燥部3を通過したシートSは、搬送ローラ14によって回収ローラ15へ搬送され、回転する回収ローラ15によってシートSがロール状に巻き取られて回収される。
【0019】
制御部5は、PC(Personal Computer)などの情報処理装置によって構成される。制御部5は、シートSに形成される画像データを生成するほか、シート供給部1、画像形成部2、乾燥部3、シート回収部4の各種動作を制御する。例えば、制御部5は、供給ローラ11の回転速度、液体吐出ヘッド13Y,13M,13C,13Kのインク吐出動作、加熱ドラム21及び加熱ローラ22の温度、エア吹き出しユニット24の送風動作、回収ローラ15の回転速度などを制御する。
【0020】
続いて、
図3に基づき、本実施形態に係る乾燥装置の基本構成について説明する。
【0021】
図3に示されるように、本実施形態に係る乾燥装置20においては、中央に加熱ドラム21が配置されている。そして、加熱ドラム21の周囲に、加熱ローラ22、案内ローラ23、エア吹き出しユニット24が、それぞれ略円弧状に配列されている。案内ローラ23は、隣り合う加熱ローラ22同士の間に配置されており、複数の加熱ローラ22と複数の案内ローラ23とによって、シートSを案内する案内経路が構成されている。ここで、加熱ドラム21を回転可能に支持する支持シャフト25の回転軸と直交する方向(径方向)において、その回転軸に近い側を「内側」と称し、これとは反対側を「外側」と称すると、エア吹き出しユニット24は、加熱ローラ22及び案内ローラ23の内側と外側の両方に配置されている。
【0022】
上記画像形成部2から搬送されてきたシートSは、まず、
図3に示される搬入ローラ16によって乾燥装置20内に搬入され、加熱ローラ22の外側に掛け渡される。そして、シートSは、各加熱ローラ22の外側に接触しながら搬送され、続いて、加熱ドラム21の外周面に巻き付けられる。さらに、シートSは、加熱ドラム21の外周面から案内ローラ23へ掛け渡され、案内ローラ23と加熱ローラ22に交互に掛け渡されながら加熱ローラ22の内側を通って搬送される。このように、シートSは、加熱ローラ22に掛け渡されて搬送された後、加熱ドラム21を経て、再度、加熱ローラ22に掛け渡されて搬送されることにより、シートSが効率良く加熱され、シートS上のインクの乾燥が促進される。さらに、シートSが各加熱ローラ22の外側を通って搬送される際に、外側のエア吹き出しユニット24AからシートSに対してエアが吹き付けられると共に、シートSが加熱ドラム21に巻き付けられて搬送される際に、内側のエア吹き出しユニット24Bから加熱ドラム21上のシートSに対してエアが吹き付けられることにより、インクの乾燥がより一層促進される。その後、シートSは、複数の搬出ローラ17によって搬送され、乾燥装置20外へ搬出される。
【0023】
ところで、
図7に示されるような従来の乾燥装置200においては、加熱ローラなどの各種構成部材を交換したり清掃したりするメンテナンス作業を行うにあたって、作業が行いにくいという問題がある。
【0024】
具体的に、
図7に示される乾燥装置200においては、加熱ドラム202及び加熱ローラ201などの各種構成部材を支持する一対の側板220に、エア吹き出しユニットを装置内に挿入したり装置内から抜き出したりするための開口部203が設けられている。加熱ローラ201の交換作業を行うには、まず、交換対象の加熱ローラ201の近くにある開口部203からエア吹き出しユニットを抜き出し、次いで、その開口部203を通して加熱ローラ201を
図7中の矢印A方向へ抜き出して取り外す必要がある。そして、同じ開口部203を通して新しい加熱ローラを装置内に挿入し、加熱ローラの設置作業を行う。
【0025】
斯かる交換作業において、作業者は、側板の外側から作業を行わなければならないため、加熱ローラを装置外に引き抜いたり装置内に挿入したりする際に、加熱ローラの一方の端(作業者側の端)側を保持する片持ち支持の状態で交換作業を強いられることになる。このため、加熱ローラを安定して支持することができず、交換作業を行いにくいといった課題がある。特に、装置の下部に配置される加熱ローラの交換作業を行う場合は、作業者がかがんだ状態で作業を行わなければならないため、作業が困難になる。
【0026】
また、近年のシート幅サイズの大型化、あるいは生産性向上を目的とするシートの横並び搬送に伴う加熱ローラのローラ長増大に加え、加熱性能向上のための加熱ローラの大径化により、加熱ローラの重量が増大しつつある。従って、このような装置においては、作業者による加熱ローラの片持ち支持がより一層困難になるため、作業が大変になる。また、加熱ローラのローラ長が増大すると、加熱ローラの清掃作業も行いにくくなる。すなわち、作業者が側板の開口部を通して装置内の加熱ローラの清掃作業を行う際、作業者の手が奥まで届きにくくなるため、清掃作業を十分に行えなくなる。その場合、加熱ローラを一旦取り外してから清掃作業を行わなければならないため、作業の労力と時間が増大する問題が生じる。
【0027】
なお、上記のようなメンテナンス作業の問題は、加熱ローラの交換作業及び清掃作業に限らず、乾燥装置内に設置される案内ローラなどの他の構成部材のメンテナンス作業においても同じである。
【0028】
そこで、本発明の実施形態に係る乾燥装置においては、上記メンテナンス作業の問題を改善するため、次のような構成を採用している。
【0029】
以下、
図3及び
図4に基づき、本実施形態に係る乾燥装置の構成について詳しく説明する。
【0030】
図3に示されるように、本実施形態に係る乾燥装置20は、加熱ローラ22、案内ローラ23、及び内側のエア吹き出しユニット24Bなどを保持する回転フレーム26を備えている。回転フレーム26は、加熱ドラム21を支持する支持シャフト25を介して、一対の側板27に対して回転可能に取り付けられている。なお、本実施形態においては、回転フレーム26が、加熱ローラ22、案内ローラ23、内側のエア吹き出しユニット24Bのほか、搬入ローラ16(
図3参照)と、加熱ローラ22の温度を検知する温度センサユニット32(
図4参照)も保持している。
【0031】
図4に示されるように、回転フレーム26は、側板27同士の間で互いに間隔をあけて2つ設けられている。各回転フレーム26は、支持シャフト25の外周面に設けられたベアリング43を介して支持シャフト25に対して回転可能に取り付けられている。一方、支持シャフト25は、各側板27に取り付けられた筒状保持部材40の内周面に嵌合することにより各側板27に対して固定されている。
【0032】
ここで、加熱ドラム21も支持シャフト25に対して回転可能に取り付けられているが、加熱ドラム21と回転フレーム26は互いに独立して回転するように構成されている。具体的に、本実施形態において、加熱ドラム21は、支持シャフト25の内周面に設けられたベアリング41を介して支持シャフト25に対して回転可能に取り付けられている。すなわち、加熱ドラム21は、回転フレーム26を支持するベアリング43とは別のベアリング41を介して支持されることにより、回転フレーム26とは独立して回転可能に構成されている。なお、
図4において、符号42にて示される部材は、加熱ドラム21を加熱する熱源としてのハロゲンヒータ42である。この場合、ハロゲンヒータ42は、支持シャフト25に取り付けられ、加熱ドラム21の内側に挿入されている。
【0033】
図4に示されるように、加熱ローラ22は、筒状保持部材44などを介して各回転フレーム26に取り付けられている。詳しくは、加熱ローラ22の両端部が、内部にベアリング46を有する一対の端部保持部材45によって回転可能に保持されており、各端部保持部材45が各筒状保持部材44内に挿入されることにより、加熱ローラ22が各回転フレーム26に対して回転可能に取り付けられている。なお、一方(
図4における右側)の端部保持部材45には、筒状保持部材44に対する端部保持部材45の挿入を行いやすくするため、先端へ向かって細くなるテーパ状の嵌合部45aが設けられている。また、各端部保持部材45には、加熱ローラ22を内側から加熱する熱源としてのハロゲンヒータ47が取り付けられている。
【0034】
加熱ローラ22に対向する位置には、温度センサユニット32が配置されている。温度センサユニット32は複数の温度センサ33を有しており、各温度センサ33によって加熱ローラ22の温度が検知される。温度センサユニット32は、その長手方向の両端部(
図4における左右端部)において各回転フレーム26に取り付けられている。
【0035】
また、内側のエア吹き出しユニット24Bも、その長手方向の両端部(
図4における左右端部)において各回転フレーム26に取り付けられている。この場合、内側のエア吹き出しユニット24Bは、
図4における右側へ引き剥かれて取り外し可能に構成されている。そのため、
図4における右側の側板27には、エア吹き出しユニット24Bを装置内から引き抜いたり、反対に装置内へ挿入したりするための開口部28が設けられている。なお、このような開口部28は、内側のエア吹き出しユニット24Bだけに限らず、外側のエア吹き出しユニット24Aを含む全てのエア吹き出しユニット24A,24Bに対向する位置に設けられている(
図3参照)。
【0036】
また、上記開口部28が設けられている側板27とは反対側(
図4における左側)の側板27には、内側のエア吹き出しユニット24Bへエアを供給する給気部34と、内側のエア吹き出しユニット24Bから送られるエアを排気する排気部35と、給気部34及び排気部35に対して内側のエア吹き出しユニット24Bを連通させる蛇腹状のダクト36が設けられている。内側のエア吹き出しユニット24Bが、蛇腹状のダクト36を介して給気部34及び排気部35と連通した状態において、給気部34に設けられている送風手段としてのファン50から
図4中の矢印B方向へエアが送られると、エアが内側のエア吹き出しユニット24Bの給気路240へ供給される。給気路240へ供給されたエアは、給気路240に設けられている複数のエア吹き出し口からシートに吹き付けられる。そして、シートに吹き付けられたエアは、内側のエア吹き出しユニット24の排気路241に設けられている複数の吸気口から排気路241内に取り込まれ、
図4中の矢印Cに示されるように、排気部35から排出される。
【0037】
上記の如く構成された乾燥装置20においては、加熱ローラ22、案内ローラ23、内側のエア吹き出しユニット24B、搬入ローラ16、温度センサユニット32の各種構成部材が、回転フレーム26によって保持されているため、回転フレーム26が回転すると、これらの構成部材も回転フレーム26と一緒に回転する。なお、外側のエア吹き出しユニット24A、及び搬出ローラ17は、回転フレーム26に取り付けられていないため、回転しない。
【0038】
また、回転フレーム26が回転すると、これに伴って内側のエア吹き出しユニット24Bも回転するため、内側のエア吹き出しユニット24Bと給気部34及び排気部35との連通状態が解除される。このとき、内側のエア吹き出しユニット24Bは蛇腹状のダクト36に対して摺動する。また、回転フレーム26が元の位置に戻される場合は、内側のエア吹き出しユニット24Bが蛇腹状のダクト36に対して摺動しながら接続されることにより、内側のエア吹き出しユニット24Bが給気部34及び排気部35に対して連通した状態となる。
【0039】
また、
図3に示されるように、本実施形態に係る乾燥装置20は、加熱ドラム21などの内部構成部材を覆う断熱カバー29を備えている。断熱カバー29は、一対の側板27と共に、乾燥装置20の外装部を構成する部材である。具体的に、断熱カバー29は、外装部の上面、下面のほか、一対の側板27とは交差する方向の左右側面を構成する。また、断熱カバー29内には、
図3に示される加熱ドラム21、加熱ローラ22、案内ローラ23、エア吹き出しユニット24、搬入ローラ16、搬出ローラ17、回転フレーム26、
図4に示される温度センサユニット32などの内部構成部材が収容されている。
【0040】
図3における断熱カバー29の左側面には、メンテナンス作業時に作業者が内部構成部材にアクセスするための開口部30が設けられている。また、断熱カバー29には、開口部30を開閉する開閉部材31が設けられている。
【0041】
続いて、本実施形態に係る乾燥装置のメンテナンス作業の手順(メンテナンス方法)について説明する。
【0042】
まず、メンテンナンス作業の1つである加熱ローラの交換作業を行う場合は、乾燥装置内にあるシートS(
図3参照)を適宜切断し、装置内からシートSを除去する。そして、断熱カバー29の開口部30付近に配置されている外側のエア吹き出しユニット24A(この場合、
図3における左上の2つのエア吹き出しユニット24A)を、側板27の開口部28を通して装置外へ引き抜く。さらに、断熱カバー29に設けられている開閉部材31を開ける、あるいは取り外して、開口部30を開放する。これにより、作業者が開口部30を介して装置内の構成部材にアクセス可能な状態となる。この状態を
図5に示す。
【0043】
ここで、交換対象である加熱ローラ22が、
図5における下側に配置される加熱ローラ22(X)である場合、このままの状態では、作業者が断熱カバー29の開口部30を通して対象の加熱ローラ22(X)にアクセスすることができない。そこで、
図6に示されるように、作業者が乾燥装置20の左側に設けられたメンテナンス作業用のスペース(作業スペース)Dに立ち、乾燥装置20に取り付けられた操作ハンドル51を回して、回転フレーム26を回転させる。これにより、対象の加熱ローラ22(X)を回転フレーム26の回転に伴って移動させることができる。そして、
図6に示されるように、対象の加熱ローラ22(X)が断熱カバー29の開口部30の位置に到達したら、回転フレーム26を停止させ、回転フレーム26がそれ以上回転しないように、ロック機構などにより回転フレーム26の位置を保持する。このように、回転フレーム26を回転させて、対象の加熱ローラ22(X)を開口部30の位置へ移動させることにより、作業者が対象の加熱ローラ22(X)に対してアクセスできるようになる。
【0044】
交換作業は、まず、対象の加熱ローラ22(X)を回転フレーム26から取り外す作業から行う。具体的には、
図4に示される加熱ローラ22を保持する一対の筒状保持部材44のうち、左側の筒状保持部材44を回転フレーム26から左側へ取り外し、加熱ローラ22とその両端部を保持する一対の端部保持部材45を一体に有する加熱ローラユニットを、右側の筒状保持部材44から取り外す。そして、取り外した加熱ローラ22(X)を、断熱カバー29の開口部30を通して装置外に取り出す。なお、
図4においては、左側の筒状保持部材44と左側の側板27との間に、筒状保持部材44を取り外すだけのスペースが無いが、対象の加熱ローラ22(X)が交換可能な位置に配置された状態では、筒状保持部材44を取り外すための開口部などが左側の側板27に設けられており、その開口部を通して筒状保持部材44を取り外すことができる。
【0045】
次に、新しい加熱ローラ22を装置内へ設置する作業を行う。新しい加熱ローラ22の設置作業は、上記加熱ローラ22の取り外し作業とは反対の手順で行う。すなわち、新しい加熱ローラ22と一対の端部保持部材45とが組み付けられた加熱ユニットを、断熱カバー29の開口部30を通して装置内へ挿入し、
図4における右側の筒状保持部材44に対して加熱ユニットを取り付ける。そして、左側の筒状保持部材44を回転フレーム26に取り付けることにより、新しい加熱ローラ22が一対の筒状保持部材44によって保持される。これにより、新しい加熱ローラ22が装置内に設置される。
【0046】
さらに、別の加熱ローラ22の交換作業を行う場合は、上記と同じ手順で、回転フレーム26を回転させて、対象の加熱ローラ22を開口部30の位置に配置し、交換作業を行う。
【0047】
また、加熱ローラの清掃作業を行う場合は、上記交換作業の場合と同じようにして、回転フレーム26を回転させることにより、清掃対象の加熱ローラ22を開口部30の位置へ移動させ、開口部30を通して加熱ローラ22の清掃作業を行う。また、同じようにして、案内ローラ23、あるいは温度センサユニット32などの構成部材の交換作業及び清掃作業を行うことができる。
【0048】
全ての交換作業及び全ての清掃作業が終了した場合は、操作ハンドル51を回して、回転フレーム26を回転させ、回転フレーム26を交換作業開始前の初期位置(
図5に示される位置)へ戻す。そして、あらかじめ設置されているシート充填機構(チェーンなど)を用いてシートSを乾燥装置20内へ充填し、シートSを各種ローラに掛け渡した後、最初に取り外された外側のエア吹き出しユニット24Aを装置内に戻し、断熱カバー29の開閉部材31を閉じる。これにより、一連のメンテナンス作業が完了する。
【0049】
以上のように、本発明の実施形態に係る乾燥装置においては、加熱ローラ22などのメンテナンス対象となる複数の構成部材が、回転フレーム26の回転方向に並ぶように設けられているため、回転フレーム26を回転させることにより、各構成部材の位置をメンテナンスしやすい位置へ変更できる。すなわち、メンテナンス作業を行う場合は、回転フレーム26を回転させて、メンテナンス対象部材を断熱カバー29の開口部30からアクセスできる位置へ移動させることにより、開口部30を通してメンテナンス作業を行うことができる。また、全てのメンテナンス対象部材を、同じ位置からアクセスして作業を行うことができるので、メンテナンス作業が行いやすくなる。
【0050】
また、本発明の実施形態においては、作業者が開口部30を通して加熱ローラに対しその軸方向と直交する方向からアクセスできるので、従来のような加熱ローラをその軸方向へ引き抜いたり挿入したりする構成とは異なり、加熱ローラを両手で安定して保持でき、加熱ローラの交換作業が行いやすくなる。なお、開口部30の幅は、加熱ローラを両手で保持できるように、加熱ローラの長手方向(軸方向)の全長よりも大きい幅であることが好ましいが、交換作業の支障が無い程度の幅が確保されていればよい。また、加熱ローラなどの清掃作業を行う場合も、開口部30を通して作業者が加熱ローラに対しその軸方向と直交する方向からアクセスできるので、清掃作業が行いやすくなり、作業性が向上する。このように、本発明の実施形態に係る構成によれば、従来の構成に比べて、メンテナンス作業性性が向上し、作業に要する時間と労力も低減できるようになる。
【0051】
メンテナンス時に対象部材にアクセスするための開口部30は、回転フレーム26の回転軸(支持シャフト25)とは直交する方向に外装部(断熱カバー29)の内部と外部を連通させるものであれば、装置のレイアウトなどに応じて設置位置を適宜変更可能である。上記実施形態においては、開口部30が、断熱カバー29の左側面に設けられているが、これとは反対に、断熱カバー29の右側面に開口部30が設けられてもよい。なお、その場合、
図1に示されるシート供給部1と乾燥装置20との間に作業者が立つことができるスペースDを確保することが好ましい。また、開口部30は、外装部の左側面と右側面の両方に設けられていてもよい。
【0052】
また、上記実施形態においては、回転フレーム26を回転させる際に、回転フレーム26を手動で操作する操作部材としての操作ハンドル51を用いているが、モータなどの駆動源を用いて回転フレーム26を自動で回転させてもよい。さらに、位置センサなどを用いてメンテナンス対象部材の位置を検知し、検知された位置情報に基づいて回転フレーム26の停止タイミングを自動で制御するようにしてもよい。この場合、作業者の負担をより一層低減できる。また、回転フレーム26の回転方向は、
図6に示される一方向(時計周り)に限らず、反対方向(反時計回り)であってもよいし、両方向であってもよい。
【0053】
また、上記実施形態においては、回転フレーム26が、メンテナンス対象部材である加熱ローラ、案内ローラ、温度センサユニットを保持しているが、回転フレーム26に保持される部材は、加熱ローラ、案内ローラ、温度センサユニットのうちの少なくとも一種類の部材であってもよい。また、回転フレーム26に保持されるメンテナンス対象部材は、加熱ローラ、案内ローラ、温度センサユニット以外の部材であってもよい。
【0054】
また、本発明に係る乾燥装置は、上記のような加熱ドラム及び加熱ローラなどの加熱部材を用いてシートを加熱する装置(加熱装置)に限らず、シートに対して常温のエア又は冷風を吹き付けることにより(シートを加熱せずに)シート上のインクを乾燥させる乾燥装置であってもよい。
【0055】
また、本発明は、インクジェット式の画像形成装置に搭載される乾燥装置又は加熱装置に限らず、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式の画像形成装置に搭載される乾燥装置又は加熱装置にも適用可能である。
【0056】
また、インクジェット式の画像形成装置は、本発明が適用される液体吐出装置の一例である。この「液体吐出装置」とは、液体吐出部を備え、液体吐出部を駆動させて、シートに液体を吐出する装置を意味する。
【0057】
また、本発明が適用される「液体吐出装置」には、シートの給送、搬送、排出に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含まれる。
【0058】
また、「液体吐出装置」は、シートに対して液体吐出部が相対的に移動するものであってもよいし、液体吐出部が相対的に移動しないものであってもよい。具体例としては、「液体吐出装置」として、液体吐出ヘッド(液体吐出部)を移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッド(液体吐出部)を移動させないライン型装置などがある。
【0059】
また、「液体吐出装置」は、吐出された液体によって文字、図形などの有意な画像を可視化するものに限らない。例えば、「液体吐出装置」には、それ自体意味を持たないパターンなどを形成するもの、三次元像を造形するもの、さらにはシートの表面を改質するなどの目的でシートの表面に処理液を吐出する処理液吐出装置なども含まれる。
【0060】
上記「シート」は、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどが含まれる。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板がある。
【0061】
また、「シート」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0062】
また、「液体吐出装置」によって吐出される「液体」は、液体吐出部から吐出可能な粘度又は表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、又は加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒などの溶媒、染料、顔料などの着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤などの機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウムなどの生体適合材料、天然色素などの可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどである。これらは、例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子、発光素子の構成要素、電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液などの用途で用いることができる。
【0063】
以上説明した本発明の態様をまとめると、本発明には、少なくとも下記の構成を備える加熱装置、乾燥装置、画像形成装置、液体吐出装置が含まれる。
【0064】
[第1の構成]
第1の構成は、シートを加熱する加熱装置であって、回転可能に設けられた回転フレームを備え、前記回転フレームは、前記回転フレームの回転方向に並ぶ複数の構成部材を保持する加熱装置である。
【0065】
[第2の構成]
第2の構成は、前記第1の構成において、前記回転フレームによって保持される前記複数の構成部材は、前記シートを加熱する加熱ローラ、前記シートを案内する案内ローラ、前記加熱ローラの温度を検知する温度センサの少なくとも1つを含む加熱装置である。
【0066】
[第3の構成]
第3の構成は、前記第1又は第2の構成において、前記複数の構成部材及び前記回転フレームが内部に収容される外装部を備え、前記外装部は、前記回転フレームの回転軸とは直交する方向に前記外装部の内部と外部を連通させる開口部を有する加熱装置である。
【0067】
[第4の構成]
第4の構成は、前記第3の構成において、前記外装部は、前記開口部を開閉可能な開閉部材を有する加熱装置である。
【0068】
[第5の構成]
第5の構成は、前記第3又は第4の構成において、前記開口部を通して前記回転フレームを手動で回転操作可能な操作部材を備える加熱装置である。
【0069】
[第6の構成]
第6の構成は、シートを乾燥させる乾燥装置であって、回転可能に設けられた回転フレームを備え、前記回転フレームは、前記回転フレームの回転方向に並ぶ複数の構成部材を保持する乾燥装置である。
【0070】
[第7の構成]
第7の構成は、シートに画像を形成する画像形成部と、前記シートを加熱する前記第1から第5のいずれか1つの構成の加熱装置、又は前記シートを乾燥させる前記第6の構成の乾燥装置を備える画像形成装置である。
【0071】
[第8の構成]
第8の構成は、前記第7の構成において、前記シートを搬送する搬送装置を備え、前記加熱装置又は前記乾燥装置と前記搬送装置との間にメンテナンス作業用のスペースを有する画像形成装置である。
【0072】
[第9の構成]
第9の構成は、シートに液体を吐出する液体吐出部と、前記シートを加熱する前記第1から第5のいずれか1つの構成の加熱装置、又は前記シートを乾燥させる前記第6の構成の乾燥装置を備える液体吐出装置である。
【0073】
[第10の構成]
第10の構成は、前記第9の構成において、前記シートを搬送する搬送装置を備え、前記加熱装置又は前記乾燥装置と前記搬送装置との間にメンテナンス作業用のスペースを有する液体吐出装置である。
【符号の説明】
【0074】
1 シート供給部
2 画像形成部
3 乾燥部
4 シート回収部
13 液体吐出ヘッド(液体吐出部)
20 乾燥装置
21 加熱ドラム
22 加熱ローラ
23 案内ローラ
24 エア吹き出しユニット
25 支持シャフト
26 回転フレーム
29 断熱カバー(外装部)
30 開口部
32 温度センサユニット
33 温度センサ
51 操作ハンドル(操作部材)
100 画像形成装置
D スペース(作業スペース)
S シート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】