IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アルバックの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020036
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】基板搬送装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240206BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20240206BHJP
   B65G 47/68 20060101ALI20240206BHJP
   B65G 47/53 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B65G49/07
B65G47/68 A
B65G47/53 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122897
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(72)【発明者】
【氏名】西口 昌男
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 大輔
(72)【発明者】
【氏名】湯山 明
(72)【発明者】
【氏名】小泉 和彦
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 信次郎
【テーマコード(参考)】
3F016
3F070
5F131
【Fターム(参考)】
3F016AA01
3F016CD03
3F070AA16
3F070BD01
3F070BE06
3F070EA21
3F070EC06
5F131AA03
5F131AA32
5F131AA33
5F131BA03
5F131BA04
5F131CA12
5F131CA39
5F131DA02
5F131DA22
5F131DB12
5F131DC18
(57)【要約】
【課題】搬送芯を維持して、トレイ搬送への影響を低減する。
【解決手段】真空チャンバ内で被処理基板をトレイとともに縦型搬送する基板搬送装置であって、第1方向に沿う第1トラックと交差した第2方向に沿う第2トラックとの間でトレイの搬送方向を変える際に、第1トラックに対して搬送芯を合わせた第1調芯位置と、第2トラックに対して搬送芯を合わせた第2調芯位置と、のそれぞれに、鉛直な回転軸線の周りに回転可能な回転トラックと、回転トラックを回転する回転駆動機構と、第1および第2調芯位置と、第1および第2調芯位置よりも回転軸線に近接する回転可能位置との間で、回転トラックの搬送方向とは交差するトラバース方向に回転トラックを移動するトラバース機構と、を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバ内で被処理基板をトレイとともに縦型搬送する装置であって、
略水平な第1方向に沿って前記トレイを搬送する第1トラックと、
前記第1方向とは交差する略水平な第2方向に沿って前記トレイを搬送する第2トラックと、
前記第1方向から前記第2方向へと前記トレイの搬送方向を変える際に、
鉛直な回転軸線の周りに回転して、前記第1トラックに対して搬送芯を合わせて前記トレイを連続して搬送可能な第1調芯位置と、前記第2トラックに対して搬送芯を合わせて前記トレイを連続して搬送可能な第2調芯位置と、のそれぞれに対応する回転位置に回転可能な回転トラックと、
前記回転トラックを、前記回転軸線の周りに回転する回転駆動機構と、
前記回転駆動機構による所定の回転位置において、前記第1調芯位置と前記第1調芯位置よりも前記回転軸線に近接する回転可能位置との間、および、前記第2調芯位置と前記第2調芯位置よりも前記回転軸線に近接する前記回転可能位置との間に、前記回転トラックを前記回転トラックの搬送方向とは交差するトラバース方向に移動して前記回転軸線からの離間位置を増減するトラバース機構と、
を有する、
基板搬送装置。
【請求項2】
調芯機構として、
前記回転トラックと前記第1トラックとの搬送芯を合わせる第1調芯機構と、
前記回転トラックと前記第2トラックとの搬送芯を合わせる第2調芯機構と、
を有する、
請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記第1調芯機構および前記第2調芯機構が、搬送される前記トレイの下端位置より下方に配置される、
請求項2記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記回転トラックの調芯時に、前記回転トラックを調芯可能にするフローティング機構と、
前記回転駆動機構による回転時に、前記回転トラックをロックするロック機構と、
を有する、
請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記フローティング機構および前記ロック機構が、搬送される前記トレイの下端位置より下方に配置される
請求項4記載の基板搬送装置。
【請求項6】
前記トラバース機構によって前記トラバース方向に移動する前記回転トラックが平行に複数本配置される、
請求項2記載の基板搬送装置。
【請求項7】
複数の前記回転トラックは、それぞれ前記第1調芯機構および前記第2調芯機構を有する、
請求項6記載の基板搬送装置。
【請求項8】
前記回転トラックが、前記回転軸線を挟んで両側にそれぞれ配置される、
請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項9】
前記回転トラックに沿って前記トレイを搬送する際に、前記回転トラックと対となり前記トレイの上端を支持する上回転トラックと、
前記上回転トラックを前記回転トラックと同じ前記回転軸線の周りに回転する上回転駆動機構と、
前記回転駆動機構と前記上回転駆動機構とを同時に回転駆動させる制御部と、
を有する、
請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項10】
前記上回転トラックは、対となる前記回転トラックよりも平面視して前記回転軸線に近接して配置される、
請求項9記載の基板搬送装置。
【請求項11】
前記回転トラックに沿って前記トレイを搬送する際に、前記回転トラックと対となり前記トレイの上端を支持する上回転トラックと、
前記上回転トラックを前記回転トラックと同じ前記トラバース方向に移動する上トラバース機構と、
前記トラバース機構と前記上トラバース機構とを同時に駆動させる制御部と、
を有する、
請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項12】
前記上回転トラックは、対となる前記回転トラックよりも平面視して前記回転軸線に近接して配置され、
前記トラバース機構と前記上トラバース機構とは、前記上回転トラックと前記回転トラックとの平面視した位置を維持して前記トラバース方向に移動する、
請求項11記載の基板搬送装置。
【請求項13】
前記トラバース機構によって前記第1調芯位置または前記第2調芯位置まで前記トラバース方向に移動した前記回転トラックの搬送重量を支持する重量支持部と、
前記第1調芯位置で前記重量支持部の下方に当接して前記回転トラックの搬送重量を支持する第1支持台部と、
前記第2調芯位置で前記重量支持部の下方に当接して前記回転トラックの搬送重量を支持する第2支持台部と、
を有し、
前記第1支持台部および前記第2支持台部が回転時の前記重量支持部の回転範囲よりも径方向外方に固定配置される、
請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項14】
前記回転トラックが、前記トレイを浮上して前記回転トラックと非接触で搬送する浮上駆動部を有し、
前記浮上駆動部が、搬送される前記トレイの下端位置より下方に配置されるとともに、前記回転駆動機構およびトラバース機構によって前記回転トラックと一体に移動する、
請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項15】
前記トレイが前記被処理基板とともに搬送され、あるいは、前記トレイが前記被処理基板の処理に用いられるマスクとともに搬送される、
請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項16】
前記フローティング機構は、
前記回転軸線と平行で前記回転トラックの前記搬送方向で中心のフローティング軸線に対して、前記回転トラックの両端をチルト回転可能とするフローティング軸部と、
前記フローティング軸部を前記トラバース方向に微小並進移動可能とする並進フローティング部と、
を有する、
請求項4記載の基板搬送装置。
【請求項17】
前記第1トラックが、前記回転軸線を挟んで互いに平行に2本配置され、
前記第2トラックが、前記回転軸線を挟んで互いに平行に2本配置され、
前記第1トラックと前記第2トラックとが、互いに直交する、
請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項18】
前記調芯機構が、前記回転トラックの前記搬送方向の両端にそれぞれ配置される、
請求項7記載の基板搬送装置。
【請求項19】
真空チャンバ内で被処理基板をトレイとともに縦型搬送する装置であって、
略水平な第1方向に沿って前記トレイを搬送する第1トラックと、
前記第1方向とは交差する略水平な第2方向に沿って前記トレイを搬送する第2トラックと、
前記第1方向から前記第2方向へと前記トレイの搬送方向を変える際に、
鉛直な回転軸線の周りに回転して、前記第1トラックに対して搬送芯を合わせて前記トレイを連続して搬送可能な第1調芯位置と、前記第2トラックに対して搬送芯を合わせて前記トレイを連続して搬送可能な第2調芯位置と、のそれぞれに対応する回転位置に回転可能な回転トラックと、
前記回転トラックを、前記回転軸線の周りに回転する回転駆動機構と、
前記回転駆動機構による所定の回転位置において、前記第1調芯位置と前記第1調芯位置よりも前記回転軸線に近接する回転可能位置との間、および、前記第2調芯位置と前記第2調芯位置よりも前記回転軸線に近接する前記回転可能位置との間に、前記回転トラックを前記回転トラックの搬送方向とは交差するトラバース方向に移動して前記回転軸線からの離間位置を増減するトラバース機構と、
調芯機構として、前記回転トラックと前記第1トラックとの搬送芯を合わせる第1調芯機構と、
前記調芯機構として、前記回転トラックと前記第2トラックとの搬送芯を合わせる第2調芯機構と、
前記回転トラックの調芯時に、前記回転トラックを調芯可能にするフローティング機構と、
前記回転駆動機構による回転時に、前記回転トラックをロックするロック機構と、
を有し、
前記回転駆動機構が、
前記回転軸線の周りに回転可能な回転テーブルと、
前記回転テーブルの回転をガイドする回転ガイドと、
前記回転テーブルを回転する回転駆動源と、
を有し、
前記トラバース機構が、
前記回転トラックを前記回転テーブルの上方で支持するトラバーステーブルと、
前記トラバーステーブルの移動を前記回転テーブルに対して前記トラバース方向にガイドするトラバースガイドと、
前記トラバーステーブルを前記回転テーブルに対して前記トラバース方向に移動するトラバース駆動源と、
を有し、
前記トラバーステーブルが前記回転軸線を挟んで前記トラバース方向に離間して互いに平行に2つ配置され、
前記フローティング機構が、
前記回転トラックが載置されるフローティングテーブルと、
前記回転軸線と平行で前記フローティングテーブルの前記搬送方向で中心のフローティング軸線に対して、前記フローティングテーブルの両端をチルト回転可能とするフローティング軸部と、
前記フローティング軸部を前記トラバース方向に微小並進移動可能とする並進フローティング部と、
前記フローティングテーブルの両端位置を、前記フローティング軸部に対して回転可能に前記トラバーステーブルの上に支持するボール部と、
を有し、
前記ロック機構が、前記搬送方向で前記フローティング軸部と前記ボール部との間で、前記フローティングテーブルの下方に配置され、
前記調芯機構が、
前記フローティングテーブルの両端下方に配置されたVブロックと、
前記第1トラックおよび前記第2トラックの端部下方に配置されたカムフォロアと、
前記カムフォロアを前記第1トラックおよび前記第2トラックの端部から前記Vブロックに向かって進退させる進退駆動部と、
を有し、
前記フローティングテーブルの上方に、それぞれ互いに離間して平行に複数本の回転トラックが配置される、
基板搬送装置。
【請求項20】
前記回転トラックに沿って前記トレイを搬送する際に、前記回転トラックと対となり前記トレイの上端を支持する上回転トラックと、
前記上回転トラックを前記回転トラックと同じ前記回転軸線の周りに回転する上回転駆動機構と、
前記上回転トラックを前記回転トラックと同じ前記トラバース方向に移動する上トラバース機構と、
前記回転駆動機構と前記上回転駆動機構とを同時に回転駆動させるとともに、前記トラバース機構と前記上トラバース機構とを同時に駆動させる制御部と、
を有し、
前記上回転トラックは、対となる前記回転トラックよりも平面視して前記回転軸線に近接して配置され、
前記トラバース機構と前記上トラバース機構とは、前記上回転トラックと前記回転トラックとの平面視した位置を維持して前記トラバース方向に移動する、
請求項19記載の基板搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板搬送装置に関し、特に縦型搬送に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display device:FPD)などの製造において、ガラス基板が大型化しており、基板をトレイに載置した後、トレイを略垂直に立てて複数のチャンバの内部を通るように搬送する縦型搬送が知られている。特許文献1には、縦型搬送の一例として、トレイを磁気浮上させて非接触状態で搬送する構成が記載される。
【0003】
また、FPD等の製造のように、複数の基板上に真空状態に進行する複数の工程が進行する場合、基板を装着して各工程チャンバを移動するキャリアの位置変更及び移動経路が複雑になるほど工程に対応する製造装置のチャンバ数が増え、プロセスに時間がかかる。
製造工程が複雑になるほど製造時間が長くなるとともに製造コストが高くなり、これに応じて複数の工程が進む被処理基板を搬送するためのキャリアの移動経路を減らし、複数の工程を効率的に処理できる方法が重要になっている。
【0004】
このため、FPD等の製造装置には、複数のプロセスチャンバにトレイごと基板を出し入れ可能なように搬送方向を変える回転室が設けられる。
【0005】
回転室の一例である姿勢変換機構が特許文献2に記載される。
このように搬送方向を変える場合には、特許文献1に記載されたトラック(搬送レール)である磁気搬送ユニットが分断されて非連続となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6092349号公報
【特許文献2】特許第4888917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、被処理基板の大型化にともない、回転径が数mと大きくなり、また、基板とトレイの重量が増大したことで、トラックの非連続部分での搬送芯ずれ発生による搬送への影響が大きくなるという問題が発生している。
これは、搬送するトレイと基板との重量が増大したことで、重量支持によって発生したたわみ寸法が大きくなったこと、基板サイズの大型化で装置全体が大きくなり、真空減圧による排気変形に起因する寸法差が増大したこと、回転径の大型化で回転縁でのトラック端移動距離増大による位置あわせの困難性が増大したこと、などに起因すると考えられる。
【0008】
特に、磁気浮上による非接触搬送では、トレイ(キャリア)とトラック(搬送レール)とのギャップが狭く極めて正確な位置制御が必要なため、トラックの分断位置における寸法差や位置あわせの誤差に起因した搬送芯のずれにより、トラック搬送への悪影響が大きくなってしまう可能性があり、ひどいときには、トレイの搬送ができなくなる可能性があった。
このようなトラックの非連続部分での搬送速度の低下、トラック位置あわせによる作業時間の増加などを改善したいという要求が発生している。
【0009】
依然として、チャンバ内での搬送で発生するパーティクルの影響を低減したいという要求は続いている。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
1.縦型搬送において搬送方向を切り替える回転機構での、トラック分断によるトレイ搬送への影響を低減すること。
2.回転するトラックにおける搬送芯の確実な維持を可能とすること。
3.搬送速度の低下を防止すること。
4.プロセスチャンバへのトレイ出し入れにおける作業時間を短縮すること。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の一態様にかかる基板搬送装置は、
真空チャンバ内で被処理基板をトレイとともに縦型搬送する装置であって、
略水平な第1方向に沿って前記トレイを搬送する第1トラックと、
前記第1方向とは交差する略水平な第2方向に沿って前記トレイを搬送する第2トラックと、
前記第1方向から前記第2方向へと前記トレイの搬送方向を変える際に、
鉛直な回転軸線の周りに回転して、前記第1トラックに対して搬送芯を合わせて前記トレイを連続して搬送可能な第1調芯位置と、前記第2トラックに対して搬送芯を合わせて前記トレイを連続して搬送可能な第2調芯位置と、のそれぞれに対応する回転位置に回転可能な回転トラックと、
前記回転トラックを、前記回転軸線の周りに回転する回転駆動機構と、
前記回転駆動機構による所定の回転位置において、前記第1調芯位置と前記第1調芯位置よりも前記回転軸線に近接する回転可能位置との間、および、前記第2調芯位置と前記第2調芯位置よりも前記回転軸線に近接する前記回転可能位置との間に、前記回転トラックを前記回転トラックの搬送方向とは交差するトラバース方向に移動して前記回転軸線からの離間位置を増減するトラバース機構と、
を有する、
ことにより上記課題を解決した。
(2)本発明は、上記(1)において、
調芯機構として、
前記回転トラックと前記第1トラックとの搬送芯を合わせる第1調芯機構と、
前記回転トラックと前記第2トラックとの搬送芯を合わせる第2調芯機構と、
を有する、
ことができる。
(3)本発明は、上記(2)において、
前記第1調芯機構および前記第2調芯機構が、搬送される前記トレイの下端位置より下方に配置される、
ことができる。
(4)本発明は、上記(2)において、
前記回転トラックの調芯時に、前記回転トラックを調芯可能にするフローティング機構と、
前記回転駆動機構による回転時に、前記回転トラックをロックするロック機構と、
を有する、
ことができる。
(5)本発明は、上記(4)において、
前記フローティング機構および前記ロック機構が、搬送される前記トレイの下端位置より下方に配置される
ことができる。
(6)本発明は、上記(2)において、
前記トラバース機構によって前記トラバース方向に移動する前記回転トラックが平行に複数本配置される、
ことができる。
(7)本発明は、上記(6)において、
複数の前記回転トラックは、それぞれ前記第1調芯機構および前記第2調芯機構を有する、
ことができる。
(8)本発明は、上記(1)において、
前記回転トラックが、前記回転軸線を挟んで両側にそれぞれ配置される、
ことができる。
(9)本発明は、上記(1)において、
前記回転トラックに沿って前記トレイを搬送する際に、前記回転トラックと対となり前記トレイの上端を支持する上回転トラックと、
前記上回転トラックを前記回転トラックと同じ前記回転軸線の周りに回転する上回転駆動機構と、
前記回転駆動機構と前記上回転駆動機構とを同時に回転駆動させる制御部と、
を有する、
ことができる。
(10)本発明は、上記(9)において、
前記上回転トラックは、対となる前記回転トラックよりも平面視して前記回転軸線に近接して配置される、
ことができる。
(11)本発明は、上記(1)において、
前記回転トラックに沿って前記トレイを搬送する際に、前記回転トラックと対となり前記トレイの上端を支持する上回転トラックと、
前記上回転トラックを前記回転トラックと同じ前記トラバース方向に移動する上トラバース機構と、
前記トラバース機構と前記上トラバース機構とを同時に駆動させる制御部と、
を有する、
ことができる。
(12)本発明は、上記(11)において、
前記上回転トラックは、対となる前記回転トラックよりも平面視して前記回転軸線に近接して配置され、
前記トラバース機構と前記上トラバース機構とは、前記上回転トラックと前記回転トラックとの平面視した位置を維持して前記トラバース方向に移動する、
ことができる。
(13)本発明は、上記(1)において、
前記トラバース機構によって前記第1調芯位置または前記第2調芯位置まで前記トラバース方向に移動した前記回転トラックの搬送重量を支持する重量支持部と、
前記第1調芯位置で前記重量支持部の下方に当接して前記回転トラックの搬送重量を支持する第1支持台部と、
前記第2調芯位置で前記重量支持部の下方に当接して前記回転トラックの搬送重量を支持する第2支持台部と、
を有し、
前記第1支持台部および前記第2支持台部が回転時の前記重量支持部の回転範囲よりも径方向外方に固定配置される、
ことができる。
(14)本発明は、上記(1)において、
前記回転トラックが、前記トレイを浮上して前記回転トラックと非接触で搬送する浮上駆動部を有し、
前記浮上駆動部が、搬送される前記トレイの下端位置より下方に配置されるとともに、前記回転駆動機構およびトラバース機構によって前記回転トラックと一体に移動する、
ことができる。
(15)本発明は、上記(1)において、
前記トレイが前記被処理基板とともに搬送され、あるいは、前記トレイが前記被処理基板の処理に用いられるマスクとともに搬送される、
ことができる。
(16)本発明は、上記(4)において、
前記フローティング機構は、
前記回転軸線と平行で前記回転トラックの前記搬送方向で中心のフローティング軸線に対して、前記回転トラックの両端をチルト回転可能とするフローティング軸部と、
前記フローティング軸部を前記トラバース方向に微小並進移動可能とする並進フローティング部と、
を有する、
ことができる。
(17)本発明は、上記(1)において、
前記第1トラックが、前記回転軸線を挟んで互いに平行に2本配置され、
前記第2トラックが、前記回転軸線を挟んで互いに平行に2本配置され、
前記第1トラックと前記第2トラックとが、互いに直交する、
ことができる。
(18)本発明は、上記(7)において、
前記調芯機構が、前記回転トラックの前記搬送方向の両端にそれぞれ配置される、
ことができる。
(19)本発明の他の態様にかかる基板搬送装置は、
真空チャンバ内で被処理基板をトレイとともに縦型搬送する装置であって、
略水平な第1方向に沿って前記トレイを搬送する第1トラックと、
前記第1方向とは交差する略水平な第2方向に沿って前記トレイを搬送する第2トラックと、
前記第1方向から前記第2方向へと前記トレイの搬送方向を変える際に、
鉛直な回転軸線の周りに回転して、前記第1トラックに対して搬送芯を合わせて前記トレイを連続して搬送可能な第1調芯位置と、前記第2トラックに対して搬送芯を合わせて前記トレイを連続して搬送可能な第2調芯位置と、のそれぞれに対応する回転位置に回転可能な回転トラックと、
前記回転トラックを、前記回転軸線の周りに回転する回転駆動機構と、
前記回転駆動機構による所定の回転位置において、前記第1調芯位置と前記第1調芯位置よりも前記回転軸線に近接する回転可能位置との間、および、前記第2調芯位置と前記第2調芯位置よりも前記回転軸線に近接する前記回転可能位置との間に、前記回転トラックを前記回転トラックの搬送方向とは交差するトラバース方向に移動して前記回転軸線からの離間位置を増減するトラバース機構と、
調芯機構として、前記回転トラックと前記第1トラックとの搬送芯を合わせる第1調芯機構と、
前記調芯機構として、前記回転トラックと前記第2トラックとの搬送芯を合わせる第2調芯機構と、
前記回転トラックの調芯時に、前記回転トラックを調芯可能にするフローティング機構と、
前記回転駆動機構による回転時に、前記回転トラックをロックするロック機構と、
を有し、
前記回転駆動機構が、
前記回転軸線の周りに回転可能な回転テーブルと、
前記回転テーブルの回転をガイドする回転ガイドと、
前記回転テーブルを回転する回転駆動源と、
を有し、
前記トラバース機構が、
前記回転トラックを前記回転テーブルの上方で支持するトラバーステーブルと、
前記トラバーステーブルの移動を前記回転テーブルに対して前記トラバース方向にガイドするトラバースガイドと、
前記トラバーステーブルを前記回転テーブルに対して前記トラバース方向に移動するトラバース駆動源と、
を有し、
前記トラバーステーブルが前記回転軸線を挟んで前記トラバース方向に離間して互いに平行に2つ配置され、
前記フローティング機構が、
前記回転トラックが載置されるフローティングテーブルと、
前記回転軸線と平行で前記フローティングテーブルの前記搬送方向で中心のフローティング軸線に対して、前記フローティングテーブルの両端をチルト回転可能とするフローティング軸部と、
前記フローティング軸部を前記トラバース方向に微小並進移動可能とする並進フローティング部と、
前記フローティングテーブルの両端位置を、前記フローティング軸部に対して回転可能に前記トラバーステーブルの上に支持するボール部と、
を有し、
前記ロック機構が、前記搬送方向で前記フローティング軸部と前記ボール部との間で、前記フローティングテーブルの下方に配置され、
前記調芯機構が、
前記フローティングテーブルの両端下方に配置されたVブロックと、
前記第1トラックおよび前記第2トラックの端部下方に配置されたカムフォロアと、
前記カムフォロアを前記第1トラックおよび前記第2トラックの端部から前記Vブロックに向かって進退させる進退駆動部と、
を有し、
前記フローティングテーブルの上方に、それぞれ互いに離間して平行に複数本の回転トラックが配置される、
ことによる上記課題を解決した。
(20)本発明は、上記(19)において、
前記回転トラックに沿って前記トレイを搬送する際に、前記回転トラックと対となり前記トレイの上端を支持する上回転トラックと、
前記上回転トラックを前記回転トラックと同じ前記回転軸線の周りに回転する上回転駆動機構と、
前記上回転トラックを前記回転トラックと同じ前記トラバース方向に移動する上トラバース機構と、
前記回転駆動機構と前記上回転駆動機構とを同時に回転駆動させるとともに、前記トラバース機構と前記上トラバース機構とを同時に駆動させる制御部と、
を有し、
前記上回転トラックは、対となる前記回転トラックよりも平面視して前記回転軸線に近接して配置され、
前記トラバース機構と前記上トラバース機構とは、前記上回転トラックと前記回転トラックとの平面視した位置を維持して前記トラバース方向に移動する、
ことができる。
【0012】
(1)本発明の一態様にかかる基板搬送装置は、
真空チャンバ内で被処理基板をトレイとともに縦型搬送する装置であって、
略水平な第1方向に沿って前記トレイを搬送する第1トラックと、
前記第1方向とは交差する略水平な第2方向に沿って前記トレイを搬送する第2トラックと、
前記第1方向から前記第2方向へと前記トレイの搬送方向を変える際に、
鉛直な回転軸線の周りに回転して、前記第1トラックに対して搬送芯を合わせて前記トレイを連続して搬送可能な第1調芯位置と、前記第2トラックに対して搬送芯を合わせて前記トレイを連続して搬送可能な第2調芯位置と、のそれぞれに対応する回転位置に回転可能な回転トラックと、
前記回転トラックを、前記回転軸線の周りに回転する回転駆動機構と、
前記回転駆動機構による所定の回転位置において、前記第1調芯位置と前記第1調芯位置よりも前記回転軸線に近接する回転可能位置との間、および、前記第2調芯位置と前記第2調芯位置よりも前記回転軸線に近接する前記回転可能位置との間に、前記回転トラックを前記回転トラックの搬送方向とは交差するトラバース方向に移動して前記回転軸線からの離間位置を増減するトラバース機構と、
を有する、
ことにより上記課題を解決した。
【0013】
上記の構成によれば、前記第1方向から前記第2方向へと前記トレイの搬送方向を変える際に、トラバース機構によって第1調芯位置にあった回転トラックを回転可能位置へとトラバースすることで、回転トラックの回転範囲となる半径を小さくした後に、回転駆動機構によって回転トラックを回転し、トラバース機構によって回転可能位置から第2調芯位置へとトラバースする。
同様に、前記第2方向から前記第1方向へと前記トレイの搬送方向を変える際に、トラバース機構によって第2調芯位置にあった回転トラックを回転可能位置へとトラバースすることで、回転トラックの回転範囲となる半径を小さくした後に、回転駆動機構によって回転トラックを回転し、トラバース機構によって回転可能位置から第1調芯位置へとトラバースする。
これにより、回転トラックの端部が第1トラックおよび第2トラックに当接することなく、回転トラックの回転動作をおこなうことができる。また、回転トラックの回転範囲となる半径を小さくことができるので、回転トラックは、それぞれ互いに離間して平行に複数本配置することができる。
【0014】
したがって、回転トラックと第1トラック、および、回転トラックと第2トラックとの間で搬送路の分断された断続区間を短縮することが可能となる。これにより、トラックが分断されていることにより、断続区間での第1,第2トラックと回転トラックとのトラバース方向における位置ずれを抑制して、搬送芯でのズレ発生を抑制できる。さらに、断続区間を通過するトレイに対して、発生するトレイの姿勢変化を抑制するとともに、衝撃を抑制することが可能となる。従って、トレイの搬送速度を低下させることがない。断続区間を通過するトレイに対して、衝撃を抑制することが可能となるため、例えば、衝撃に起因して発生するパーティクルを低減することが可能となり、また、被処理基板がトレイから落下してしまう等の不具合も解消することができる。
【0015】
なお、断続区間を短縮するには、回転トラックの搬送方向長さを増大すると、回転トラックの回転範囲が大きくなるため、第1トラックおよび第2トラックの端部を、回転トラックの回転範囲に向けて伸長することが好ましい。
【0016】
ここで、磁気浮上によるトレイの非接触搬送をおこなうトラックにおいては、断続区間およびその両側近傍では、トレイを磁気浮上させる機構、および、トレイを移動する磁気駆動機構が配置できない。従って、この断続区間およびその両側近傍では、トレイへの浮上力およびトレイの移動力が低下することになる。これが、断続区間を通過する際のトレイへの衝撃として作用する。しかもこれらは、断続区間の両側でトラックの搬送芯が一致している場合でも発生するものであり、断続区間の両側でトラックの搬送芯が一致していない場合には、その衝撃が大きくなるとともに、さらに、トレイといずれかのトラックとが接触してしまうことになるため、搬送芯を一致させる。搬送方向における断続区間の長さが小さくなる、つまり、回転トラックと第1,第1トラックとの分断距離が近くなると、搬送芯を合わせる際の容易性を向上することが可能となる。
【0017】
(2)本発明は、上記(1)において、
調芯機構として、
前記回転トラックと前記第1トラックとの搬送芯を合わせる第1調芯機構と、
前記回転トラックと前記第2トラックとの搬送芯を合わせる第2調芯機構と、
を有する、
ことができる。
【0018】
上記の構成によれば、トラバース機構によって回転可能位置から第1調芯位置へとトラバースした際に、第1調芯機構によって、回転トラックと第1トラックとの搬送芯を合わせることが容易に可能となる。同様に、トラバース機構によって回転可能位置から第2調芯位置へとトラバースした際に、第2調芯機構によって、回転トラックと第2トラックとの搬送芯を合わせることが容易に可能となる。これにより、断続区間での第1,第2トラックと回転トラックとのトラバース方向における位置ずれを防止して、搬送芯でのズレ発生を防止できる。さらに、断続区間を通過するトレイに対して、発生するトレイの姿勢変化を抑制するとともに、衝撃を抑制することが可能となる。従って、トレイの搬送速度を低下させることがない。
【0019】
ここで、磁気浮上によるトレイの非接触搬送をおこなうトラックにおいては、断続区間およびその両側近傍では、トレイへの浮上力およびトレイの移動力が低下することになるが、断続区間の両側でトラックの搬送芯が一致しているために、その衝撃を抑制することが可能となる。さらに、トレイといずれかのトラックとが接触してしまうことを防止できる。
【0020】
(3)本発明は、上記(2)において、
前記第1調芯機構および前記第2調芯機構が、搬送される前記トレイの下端位置より下方に配置される、
ことができる。
【0021】
上記の構成によれば、回転トラックと第1トラックとの搬送芯を合わせるために、調芯機構として互いに接触する位置決め部材を用いた場合に発生するパーティクルが、トレイおよび被処理基板等に付着することを抑制することができる。これにより、被処理基板に対する処理特性の低下発生を抑制することが可能となる。
【0022】
(4)本発明は、上記(2)において、
前記回転トラックの調芯時に、前記回転トラックを調芯可能にするフローティング機構と、
前記回転駆動機構による回転時に、前記回転トラックをロックするロック機構と、
を有する、
ことができる。
【0023】
上記の構成によれば、調芯機構により回転トラックと第1トラックとの搬送芯を合わせる際に、回転トラックがフローティング状態で支持されているため、容易に搬送芯を合わせることが可能となる。また、ロック機構によって回転トラックの回転時、および、調芯後の断続区間を越えたトレイ搬送時に、回転トラックと第1トラックとの搬送芯がずれてしまうことを防止できる。これにより、トレイ搬送の安定性を維持することが可能となる。
【0024】
(5)本発明は、上記(4)において、
前記フローティング機構および前記ロック機構が、搬送される前記トレイの下端位置より下方に配置される
ことができる。
【0025】
上記の構成によれば、フローティング機構およびロック機構の動作時にパーティクルが発生した場合でも、このパーティクルが、トレイおよび被処理基板等に付着することを抑制することができる。これにより、被処理基板に対する処理特性の低下発生を抑制することが可能となる。
【0026】
(6)本発明は、上記(2)において、
前記トラバース機構によって前記トラバース方向に移動する前記回転トラックが平行に複数本配置される、
ことができる。
【0027】
上記の構成によれば、たとえば、第1トラックから搬送されてきたトレイの搬送方向を変えて、第2トラックに対してプロセスチャンバへのトレイの出し入れをおこなう場合に、処理済み基板を搬送するトレイをプロセスチャンバから搬出して1本の回転トラックに載置し、トラバース機構によってトラバースした後に、他の回転トラックから当該プロセスチャンバへと未処理の基板をトレイとともに搬入することが可能となる。これにより、ロボットハンドでの出し入れにおけるいわゆるダブルハンド機能を、この回転トラックを備えた回転室の機構として持たせることが可能となる。これにより、搬送にかかる時間を短縮して、基板処理の作業性を向上することができる。
【0028】
(7)本発明は、上記(6)において、
複数の前記回転トラックは、それぞれ前記第1調芯機構および前記第2調芯機構を有する、
ことができる。
【0029】
上記の構成によれば、複数本の回転トラックを任意に選択して、この回転トラックと第1,第2トラックとの搬送芯を容易に合わせて、悪影響のない状態でトレイ搬送をおこなうことが可能となる。第1調芯位置では、第1調芯機構によって、複数から選択されたうちの1本の回転トラックを調芯することができる。同様に、第2調芯位置では、第2調芯機構によって、複数から選択されたうちの1本の回転トラックを調芯することができる。
【0030】
(8)本発明は、上記(1)において、
前記回転トラックが、前記回転軸線を挟んで両側にそれぞれ配置される、
ことができる。
【0031】
上記の構成によれば、第1方向に複数のプロセスチャンバを並べて複数の処理をおこなう真空処理装置において、所定のプロセスチャンバが、第1トラックに対して第2方向の両側に配置されている場合にも、両方のプロセスチャンバに対して、同時にトレイの入れ替えをおこなうことができる。さらに、トレイが被処理基板とマスクとのいずれかまたは両方を第1,第2方向に搬送するように構成された場合でも、これらに対応してトレイ搬送を容易におこなうことが可能となる。
【0032】
(9)本発明は、上記(1)において、
前記回転トラックに沿って前記トレイを搬送する際に、前記回転トラックと対となり前記トレイの上端を支持する上回転トラックと、
前記上回転トラックを前記回転トラックと同じ前記回転軸線の周りに回転する上回転駆動機構と、
前記回転駆動機構と前記上回転駆動機構とを同時に回転駆動させる制御部と、
を有する、
ことができる。
【0033】
上記の構成によれば、第1,第2トラックから搬送されてきたトレイを、回転トラック上で倒れないように姿勢維持した状態で回転トラックごと回転して搬送方向を変えることが容易にできる。また、回転トラックと上回転トラックとの間となる回転領域には、トレイおよび被処理基板以外が存在しない構成とすることができるので、被処理基板やトレイに対するパーティクル付着の発生が極めて低くなるように抑制することが可能である。さらに、制御部による回転トラックと上回転トラックとの回転制御を、同期ではなく同時に回転駆動させることで、これらの回転動作に際する制御容易性を向上することが可能となる。
【0034】
(10)本発明は、上記(9)において、
前記上回転トラックは、対となる前記回転トラックよりも平面視して前記回転軸線に近接して配置される、
ことができる。
【0035】
上記の構成によれば、トレイの下端よりも上端が回転軸線に近接するように、トレイと被処理基板とを傾斜した状態で、回転トラック上に載置して回転することができる。これにより、被処理基板の被処理面、つまり、成膜をおこなう基板であれば成膜面を回転軸線に近接する下方に傾斜した位置として、回転トラックでの姿勢を維持することができる。従って、パーティクルが回転トラックの回転範囲で上から降ってきた場合でも、被処理面にパーティクルが付着することを低減できる。
【0036】
(11)本発明は、上記(1)において、
前記回転トラックに沿って前記トレイを搬送する際に、前記回転トラックと対となり前記トレイの上端を支持する上回転トラックと、
前記上回転トラックを前記回転トラックと同じ前記トラバース方向に移動する上トラバース機構と、
前記トラバース機構と前記上トラバース機構とを同時に駆動させる制御部と、
を有する、
ことができる。
【0037】
上記の構成によれば、第1,第2トラックから搬送されてきたトレイを、回転トラック上で倒れないように姿勢維持した状態で回転トラックごとトラバースして搬送することが容易にできる。また、回転トラックと上回転トラックとの間となるトラバース領域には、トレイおよび被処理基板以外が存在しない構成とすることができるので、被処理基板やトレイに対するパーティクル付着の発生が極めて低くなるように抑制することが可能である。さらに、制御部による回転トラックと上回転トラックとのトラバース制御を、同期ではなく同時にトラバース駆動させることで、これらのトラバース動作に際する制御容易性を向上することが可能となる。
【0038】
(12)本発明は、上記(11)において、
前記上回転トラックは、対となる前記回転トラックよりも平面視して前記回転軸線に近接して配置され、
前記トラバース機構と前記上トラバース機構とは、前記上回転トラックと前記回転トラックとの平面視した位置を維持して前記トラバース方向に移動する、
ことができる。
【0039】
上記の構成によれば、トレイの下端よりも上端が回転軸線に近接するように、トレイと被処理基板とを傾斜した状態で、回転トラック上に載置して搬送することができる。これにより、被処理基板の被処理面、つまり、成膜をおこなう基板であれば成膜面を回転軸線に近接する下方に傾斜した位置として、回転トラックでの姿勢を維持することができる。従って、パーティクルが回転トラックの回転範囲で上から降ってきた場合でも、被処理面にパーティクルが付着することを低減できる。
【0040】
(13)本発明は、上記(1)において、
前記トラバース機構によって前記第1調芯位置または前記第2調芯位置まで前記トラバース方向に移動した前記回転トラックの搬送重量を支持する重量支持部と、
前記第1調芯位置で前記重量支持部の下方に当接して前記回転トラックの搬送重量を支持する第1支持台部と、
前記第2調芯位置で前記重量支持部の下方に当接して前記回転トラックの搬送重量を支持する第2支持台部と、
を有し、
前記第1支持台部および前記第2支持台部が回転時の前記重量支持部の回転範囲よりも径方向外方に固定配置される、
ことができる。
【0041】
上記の構成によれば、回転トラックが回転位置から第1調芯位置へとトラバースした際に、重量支持部が第1支持台部に乗り上げることで、高さ方向における回転トラックの調芯をおこなうことが可能となる。これにより、重量支持部と第1支持台部とで、被処理基板、トレイ、および、回転トラックなどの荷重を支持することができ、大型化した基板および装置における重量によるたわみ、変形等の影響を低減して、合わせた搬送芯がずれてしまうことを防止できる。
しかも、複数の回転トラックのそれぞれにおいて、回転位置から第1調芯位置へとトラバースした際に、重量支持部が第1支持台部に乗り上げることで、いずれの回転トラックも、被処理基板、トレイ、および、回転トラックなどの荷重を支持することができ、大型化した基板および装置における重量によるたわみ、変形等の影響を低減して、合わせた搬送芯がずれてしまうことを防止できる。
【0042】
同時に、回転トラックが回転位置から第2調芯位置へとトラバースした際に、重量支持部が第2支持台部に乗り上げることで、高さ方向における回転トラックの調芯をおこなうことが可能となる。これにより、重量支持部と第2支持台部とで、被処理基板、トレイ、および、回転トラックなどの荷重を支持することができ、大型化した基板および装置における重量によるたわみ、変形等の影響を低減して、合わせた搬送芯がずれてしまうことを防止できる。
しかも、複数の回転トラックのそれぞれにおいて、回転トラックが回転位置から第2調芯位置へとトラバースした際に、重量支持部が第2支持台部に乗り上げることで、いずれの回転トラックも、被処理基板、トレイ、および、回転トラックなどの荷重を支持することができ、大型化した基板および装置における重量によるたわみ、変形等の影響を低減して、合わせた搬送芯がずれてしまうことを防止できる。
【0043】
(14)本発明は、上記(1)において、
前記回転トラックが、前記トレイを浮上して前記回転トラックと非接触で搬送する浮上駆動部を有し、
前記浮上駆動部が、搬送される前記トレイの下端位置より下方に配置されるとともに、前記回転駆動機構およびトラバース機構によって前記回転トラックと一体に移動する、
ことができる。
【0044】
上記の構成によれば、回転トラックが第1調芯位置から回転位置へとトラバースした際に、回転トラックと一体に移動する浮上駆動部も、第1調芯位置から回転位置へとトラバースする。これにより、浮上駆動部も回転トラックの回転領域に入るため、回転トラックの回転時に、浮上駆動部が第1トラックと接触することがない。同様に、回転トラックが第2調芯位置から回転位置へとトラバースした際に、回転トラックと一体に移動する浮上駆動部も、第2調芯位置から回転位置へとトラバースする。これにより、浮上駆動部も回転トラックの回転領域に入るため、回転トラックの回転時に、浮上駆動部が第2トラックと接触することがない。これにより、回転トラックと第1,第2トラックとの断絶区間の寸法を拡げて浮上駆動部の回転範囲を確保する必要がない。
したがって、浮上駆動部による回転トラックでのトレイの搬送駆動をどの位置に回転しても可能とすることができる。
【0045】
(15)本発明は、上記(1)において、
前記トレイが前記被処理基板とともに搬送され、あるいは、前記トレイが前記被処理基板の処理に用いられるマスクとともに搬送される、
ことができる。
【0046】
上記の構成によれば、被処理基板とマスクとを同じ輪郭形状とすることで、同じ形状のトレイによって搬送することが可能となる。これにより、基板搬送用とマスク搬送用として、それぞれ第1.第2トラックおよび回転トラックを複数本設ける必要がない。これにより、真空処理装置および基板搬送措置としての真空チャンバの内部空間を減少して、装置の省スペース化を図ることができる。また、搬送芯を合わせることを容易化することが可能となる。
【0047】
(16)本発明は、上記(4)において、
前記フローティング機構は、
前記回転軸線と平行で前記回転トラックの前記搬送方向で中心のフローティング軸線に対して、前記回転トラックの両端をチルト回転可能とするフローティング軸部と、
前記フローティング軸部を前記トラバース方向に微小並進移動可能とする並進フローティング部と、
を有する、
ことができる。
【0048】
上記の構成によれば、第1,第2調芯機構によって搬送芯を合わせる際に、回転トラックが、容易にチルト回転するとともに微小並進移動することが可能となる。これにより、回転トラックの回転軸線周りの回転動作およびトラバース動作に影響を与えることなく、小さい力で搬送芯を合わせることができる。したがって、調芯機構を真空チャンバ内で小型化することができる。また、回転トラックをチルト回転と微小並進移動との2自由度で支持することで、調芯動作を容易として、調芯にかかる時間を短縮することが可能となる。
【0049】
(17)本発明は、上記(1)において、
前記第1トラックが、前記回転軸線を挟んで互いに平行に2本配置され、
前記第2トラックが、前記回転軸線を挟んで互いに平行に2本配置され、
前記第1トラックと前記第2トラックとが、互いに直交する、
ことができる。
【0050】
上記の構成によれば、第1トラックでトレイの往復搬送をおこなうことが可能となり、第2トラックでトレイの往復搬送をおこなうことが可能となる。これにより、たとえば第1トラックで処理の段階を踏んでトレイを搬送するとともに、第2トラックでプロセスチャンバへのトレイを出し入れする搬送をおこなうことが可能となる。したがって、搬送とプロセスとの時間短縮を図り、サイクルタイム、タクトタイム、リードタイムを短縮することが容易となる。
【0051】
(18)本発明は、上記(7)において、
前記調芯機構が、前記回転トラックの前記搬送方向の両端にそれぞれ配置される、
ことができる。
【0052】
上記の構成によれば、調芯時に、調芯機構が回転トラックの搬送方向の両端から押さえる動作によって位置決めをおこなうだけで、回転軸線周りにおける回転トラックの調芯をおこなうことが可能となる。
【0053】
(19)本発明の他の態様にかかる基板搬送装置は、
真空チャンバ内で被処理基板をトレイとともに縦型搬送する装置であって、
略水平な第1方向に沿って前記トレイを搬送する第1トラックと、
前記第1方向とは交差する略水平な第2方向に沿って前記トレイを搬送する第2トラックと、
前記第1方向から前記第2方向へと前記トレイの搬送方向を変える際に、
鉛直な回転軸線の周りに回転して、前記第1トラックに対して搬送芯を合わせて前記トレイを連続して搬送可能な第1調芯位置と、前記第2トラックに対して搬送芯を合わせて前記トレイを連続して搬送可能な第2調芯位置と、のそれぞれに対応する回転位置に回転可能な回転トラックと、
前記回転トラックを、前記回転軸線の周りに回転する回転駆動機構と、
前記回転駆動機構による所定の回転位置において、前記第1調芯位置と前記第1調芯位置よりも前記回転軸線に近接する回転可能位置との間、および、前記第2調芯位置と前記第2調芯位置よりも前記回転軸線に近接する前記回転可能位置との間に、前記回転トラックを前記回転トラックの搬送方向とは交差するトラバース方向に移動して前記回転軸線からの離間位置を増減するトラバース機構と、
調芯機構として、前記回転トラックと前記第1トラックとの搬送芯を合わせる第1調芯機構と、
前記調芯機構として、前記回転トラックと前記第2トラックとの搬送芯を合わせる第2調芯機構と、
前記回転トラックの調芯時に、前記回転トラックを調芯可能にするフローティング機構と、
前記回転駆動機構による回転時に、前記回転トラックをロックするロック機構と、
を有し、
前記回転駆動機構が、
前記回転軸線の周りに回転可能な回転テーブルと、
前記回転テーブルの回転をガイドする回転ガイドと、
前記回転テーブルを回転する回転駆動源と、
を有し、
前記トラバース機構が、
前記回転トラックを前記回転テーブルの上方で支持するトラバーステーブルと、
前記トラバーステーブルの移動を前記回転テーブルに対して前記トラバース方向にガイドするトラバースガイドと、
前記トラバーステーブルを前記回転テーブルに対して前記トラバース方向に移動するトラバース駆動源と、
を有し、
前記トラバーステーブルが前記回転軸線を挟んで前記トラバース方向に離間して互いに平行に2つ配置され、
前記フローティング機構が、
前記回転トラックが載置されるフローティングテーブルと、
前記回転軸線と平行で前記フローティングテーブルの前記搬送方向で中心のフローティング軸線に対して、前記フローティングテーブルの両端をチルト回転可能とするフローティング軸部と、
前記フローティング軸部を前記トラバース方向に微小並進移動可能とする並進フローティング部と、
前記フローティングテーブルの両端位置を、前記フローティング軸部に対して回転可能に前記トラバーステーブルの上に支持するボール部と、
を有し、
前記ロック機構が、前記搬送方向で前記フローティング軸部と前記ボール部との間で、前記フローティングテーブルの下方に配置され、
前記調芯機構が、
前記フローティングテーブルの両端下方に配置されたVブロックと、
前記第1トラックおよび前記第2トラックの端部下方に配置されたカムフォロアと、
前記カムフォロアを前記第1トラックおよび前記第2トラックの端部から前記Vブロックに向かって進退させる進退駆動部と、
を有し、
前記フローティングテーブルの上方に、それぞれ互いに離間して平行に複数本の回転トラックが配置される、
ことによる上記課題を解決した。
【0054】
上記の構成によれば、断絶区間を短縮し、トレイおよび処理基板への衝撃を低減し、回転トラックの調芯を容易におこない、トレイの搬送方向の変換にかかる時間を短縮して搬送効率を向上し、パーティクル付着の発生を低減することができる。
【0055】
(20)本発明は、上記(19)において、
前記回転トラックに沿って前記トレイを搬送する際に、前記回転トラックと対となり前記トレイの上端を支持する上回転トラックと、
前記上回転トラックを前記回転トラックと同じ前記回転軸線の周りに回転する上回転駆動機構と、
前記上回転トラックを前記回転トラックと同じ前記トラバース方向に移動する上トラバース機構と、
前記回転駆動機構と前記上回転駆動機構とを同時に回転駆動させるとともに、前記トラバース機構と前記上トラバース機構とを同時に駆動させる制御部と、
を有し、
前記上回転トラックは、対となる前記回転トラックよりも平面視して前記回転軸線に近接して配置され、
前記トラバース機構と前記上トラバース機構とは、前記上回転トラックと前記回転トラックとの平面視した位置を維持して前記トラバース方向に移動する、
ことができる。
【0056】
上記の構成によれば、搬送容易性を向上し、パーティクル付着の発生を低減し、制御部による制御容易性を向上することが可能となる。
【発明の効果】
【0057】
本発明によれば、トレイおよび処理基板への衝撃を低減し、トラックの調芯性を向上し、トレイの搬送方向の変更にかかる時間を短縮し、トレイの入れ替えにかかる時間を短縮し、トレイの搬送効率を向上し、パーティクル付着の発生を低減し、制御部による動作制御性を向上し、搬送容易性を向上することができるという効果を奏することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】本発明に係る基板搬送装置の第1実施形態を備えた真空処理装置を示す模式平面図である。
図2】本発明に係る真空搬送装置の第1実施形態におけるトレイおよび被処理基板を示す模式側面図である。
図3】本発明に係る真空処理装置の第1実施形態におけるトラック、浮上駆動部およびトレイを示す模式正面図である。
図4】本発明に係る真空処理装置の第1実施形態におけるトラック、浮上駆動部、トレイ、調芯機構を示す模式斜視図である。
図5】本発明に係る真空処理装置の第1実施形態における磁気回転手段を示す模式斜視図である。
図6】本発明に係る真空処理装置の第1実施形態における基板搬送装置(回転移動ステージ)を示す模式正面図である。
図7】本発明に係る真空処理装置の第1実施形態における基板搬送装置の回転トラック付近を示す模式上面図である。
図8】本発明に係る真空処理装置の第1実施形態における基板搬送装置の回転トラック付近を示す模式正面図である。
図9】本発明に係る真空処理装置の第1実施形態における基板搬送装置の回転トラック付近を示す模式側面図である。
図10】本発明に係る真空処理装置の第1実施形態における基板搬送装置の上回転トラックを示す模式下面図である。
図11】本発明に係る真空処理装置の第1実施形態における基板搬送装置での動作を説明する上面工程図である。
図12】本発明に係る真空処理装置の第1実施形態における基板搬送装置での動作を説明する上面工程図である。
図13】本発明に係る真空処理装置の第1実施形態における基板搬送装置での動作を説明する上面工程図である。
図14】本発明に係る真空処理装置の第1実施形態における基板搬送装置での動作を説明する上面工程図である。
図15】本発明に係る真空処理装置の第1実施形態における基板搬送装置での動作を説明する上面工程図である。
図16】本発明に係る真空処理装置の第1実施形態における基板搬送装置での動作を説明する上面工程図である。
図17】本発明に係る真空処理装置の第1実施形態における基板搬送装置での動作を説明する上面工程図である。
図18】本発明に係る真空処理装置の第1実施形態における基板搬送装置での動作を説明する上面工程図である。
図19】本発明に係る真空処理装置の第1実施形態における基板搬送装置での動作を説明する上面工程図である。
図20】本発明に係る真空処理装置の第1実施形態における基板搬送装置での動作を説明する上面工程図である。
図21】本発明に係る真空処理装置の第1実施形態における基板搬送装置での動作を説明する上面工程図である。
図22】本発明に係る真空処理装置の第1実施形態における基板搬送装置での動作を説明する上面工程図である。
図23】本発明に係る真空処理装置の第1実施形態における基板搬送装置での動作を説明する上面工程図である。
図24】本発明に係る真空処理装置の第1実施形態における基板搬送装置での動作を説明する上面工程図である。
図25】本発明に係る真空処理装置の第2実施形態における基板搬送装置の上下調芯機構を説明する模式上面図である。
図26】本発明に係る真空処理装置の第2実施形態における基板搬送装置の上下調芯機構を説明する模式正面図である。
図27】本発明に係る真空処理装置の第2実施形態における基板搬送装置の上下調芯機構を説明する模式側面図である。
図28】本発明に係る真空処理装置の第2実施形態における基板搬送装置での動作を説明する上面工程図である。
図29】本発明に係る真空処理装置の第2実施形態における基板搬送装置での動作を説明する側面工程図である。
図30】本発明に係る真空処理装置の第2実施形態における基板搬送装置での動作を説明する上面工程図である。
図31】本発明に係る真空処理装置の第2実施形態における基板搬送装置での動作を説明する側面工程図である。
図32】本発明に係る真空処理装置の第3実施形態における基板搬送装置の上下調芯機構を説明する模式正面図である。
図33】本発明に係る真空処理装置の第3実施形態における基板搬送装置の上下調芯機構を説明する模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、本発明に係る基板搬送装置の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における基板搬送装置を備えた真空処理装置を示す模式平面図であり、図において、符号VM1は、真空処理装置である。
以下、水平方向で互いに直交する2方向を第1方向(X方向)および第2方向(Y方向)といい、基板(被処理基板)Swの処理面が第1方向(X方向)または第2方向(Y方向)に向かう位置を第1の位置、例えば、縦位置、垂直位置といい、基板Swの処理面が第1の方向(X方向)と第2の方向(Y方向)とが交差して形成されるなされる鉛直方向に向かう位置を第2の位置、例えば水平位置、横位置という。
【0060】
本実施形態に係る真空処理装置VM1は、図1に示すように、キャリア搬送チャンバCc、第1位置変換チャンバAc1、第2位置変換チャンバAc2、第1ロードロックチャンバLc1、第2ロードロックチャンバLc2、第1ロボットチャンバRo1、第2ロボットチャンバRo2、搬送チャンバTc、第1プロセスチャンバPc1、第2プロセスチャンバPc2、第3プロセスチャンバPc3、第4プロセスチャンバPc4、第5プロセスチャンバPc5、第6プロセスチャンバPc6、マスク収納チャンバMc、ターンバックチャンバBc、回転移動ステージ(基板搬送装置)100、真空搬送ロボット2、成膜手段3、搬送体搬送手段4、キャリア搬送手段5を備える。
【0061】
真空処理装置VM1は、第1方向(X方向)に複数配置される第1プロセスチャンバPc1から第6プロセスチャンバPc6までの各処理チャンバを有する。真空処理装置VM1は、これらの第1プロセスチャンバPc1から第6プロセスチャンバPc6までの各処理チャンバを通過する複数の基板(ガラス基板)Swに対して、マスクMsを用いて複数の基板Swの処理面上に所定の薄膜を順次成膜することができる。
基板Swは、FPDを製作するための種々の基板であるが、例えば、ガラス、プラスチック、フィルムなどをはじめとする材質により作製される。
【0062】
搬送チャンバTcは、第1回転チャンバ(回転チャンバ)Tc1と、第2回転チャンバ(回転チャンバ)Tc2と、第3回転チャンバ(回転チャンバ)Tc3と、を有する。第1回転チャンバ(回転チャンバ)Tc1と、第2回転チャンバ(回転チャンバ)Tc2と、第3回転チャンバ(回転チャンバ)Tc3とは、第1方向(X方向)に沿って互いに離間するとともに、第1方向(X方向)に順番に並んでいる。
【0063】
第1回転チャンバ(回転チャンバ)Tc1と第2回転チャンバ(回転チャンバ)Tc2は、第1連結通路Pw1と第2連結通路Pw2とによって連結される。第2回転チャンバTc2と第3回転チャンバ(回転チャンバ)Tc3は、第1連結通路Pw1と第2連結通路Pw2とによって連結される。
第1連結通路Pw1と第2連結通路Pw2とは、いずれも第1方向(X方向)に沿って延在する。
【0064】
第1連結通路Pw1は、第2回転チャンバTc2から第1方向(X方向)に沿った両方向に向かって伸びる。つまり、第1連結通路Pw1は、第1方向(X方向)の略同一直線に沿って形成される。同時に、第1連結通路Pw1は、第1方向(X方向)の中央が第2回転チャンバTc2によって分断されている。第1連結通路Pw1は、第1方向(X方向)の一方の端部が第1回転チャンバTc1に接続されている。第1連結通路Pw1は、第1方向(X方向)の他方の端部が第3回転チャンバTc3に接続されている。
【0065】
第2連結通路Pw2は、第1連結通路Pw1から第2方向(Y方向)に対して離間して配置される。
第2連結通路Pw2は、第2回転チャンバTc2から第1方向(X方向)に沿った両方向に向かって伸びる。つまり、第2連結通路Pw2は、第1方向(X方向)の略同一直線に沿って形成される。同時に、第2連結通路Pw2は、第1方向(X方向)の中央が第2回転チャンバTc2によって分断されている。第2連結通路Pw2は、第1方向(X方向)の一方の端部が第1回転チャンバ(回転チャンバ)Tc1に接続されている。第2連結通路Pw2は、第1方向(X方向)の他方の端部が第3回転チャンバTc3に接続されている。
【0066】
第1回転チャンバ(回転チャンバ)Tc1には、第1方向(X方向)で第1連結通路Pw1および第2連結通路Pw2と逆向きとなる側方には、第3連結通路Pw3と第4連結通路Pw4とが接続される。第3連結通路Pw3は、第1方向(X方向)に沿って第1連結通路Pw1と略同一直線上に形成される。第4連結通路Pw4は、第1方向(X方向)に沿って第2連結通路Pw2と略同一直線上に形成される。
【0067】
第3連結通路Pw3と第4連結通路Pw4とは、第1回転チャンバTc1から第1方向(X方向)に沿った一方向に向かって伸びる。第3連結通路Pw3と第4連結通路Pw4とは、互いに平行に配置される。第3連結通路Pw3は、第4連結通路Pw4から第2方向(Y方向)に対して離間して配置される。
第1回転チャンバTc1は、第3連結通路Pw3を介して第1位置変換チャンバAc1に接続される。第1回転チャンバTc1は、第4連結通路Pw4を介して第2位置変換チャンバAc2に接続される。
【0068】
第3回転チャンバ(回転チャンバ)Tc3には、第1方向(X方向)で第1連結通路Pw1および第2連結通路Pw2と逆向きとなる側方には、第5連結通路Pw5と第6連結通路Pw6とが接続される。第5連結通路Pw5は、第1方向(X方向)に沿って第1連結通路Pw1と略同一直線上に形成される。第6連結通路Pw6は、第1方向(X方向)に沿って第2連結通路Pw2と略同一直線上に形成される。
【0069】
第5連結通路Pw5と第6連結通路Pw6とは、第3回転チャンバTc3から第1方向(X方向)に沿った他方向に向かって伸びる。第5連結通路Pw5と第6連結通路Pw6とは、互いに平行に配置される。第5連結通路Pw5は、第6連結通路Pw6から第2方向(Y方向)に対して離間して配置される。
第3回転チャンバTc3は、第5連結通路Pw5を介してターンバックチャンバBcに接続される。第3回転チャンバTc3は、第6連結通路Pw6を介してターンバックチャンバBcに接続される。
【0070】
第1回転チャンバTc1には、第1連結通路Pw1と第3連結通路Pw3とを第1方向(X方向)に連結するように第1主搬送路(第1メイントラック)Mr1が配置される。第1回転チャンバTc1には、第2連結通路Pw2と第4連結通路Pw4とを第1方向(X方向)に連結するように第2主搬送路(第2メイントラック)Mr2が配置される。
【0071】
第2回転チャンバTc2には、第1連結通路Pw1と第1連結通路Pw1とを第1方向(X方向)に連結するように第1主搬送路(第1メイントラック)Mr1が配置される。第2回転チャンバTc2には、第2連結通路Pw2と第2連結通路Pw2とを第1方向(X方向)に連結するように第2主搬送路(第2メイントラック)Mr2が配置される。
【0072】
第3回転チャンバTc3には、第1連結通路Pw1と第5連結通路Pw5とを第1方向(X方向)に連結するように第1主搬送路(第1メイントラック)Mr1が配置される。第3回転チャンバTc3には、第2連結通路Pw2と第6連結通路Pw6とを第1方向(X方向)に連結するように第2主搬送路(第2メイントラック)Mr2が配置される。
ここで、第1方向(X方向)に連結するとは、第1方向(X方向)に基板Swを搬送できることを意味している。
【0073】
本実施形態に係る真空処理装置VM1は、図1に示すように、搬送チャンバTcとして、3つの回転チャンバTc1~Tc3を記載しているが、この数は限定されず、素子構造及びタクトタイム等を考慮して、適宜増減することができる。図示していないが、搬送チャンバTcには、排気管を介して真空ポンプが接続され、搬送チャンバTcの内部を所定圧力の真空雰囲気に維持することができる。
【0074】
真空処理装置VM1は、第1方向(X方向)において、第1位置変換チャンバAc1内の第1主搬送路Mr1の位置を起点位置Spに設定し、第2位置変換チャンバAc2内の第2主搬送路Mr2の位置を終点位置Epに設定することができる。
真空処理装置VM1では、起点位置Spから終点位置Epへと基板Swが装着されたトレイ(キャリア)Caを搬送することができる。以下、基板Swが装着されたトレイ(キャリア)Caを、搬送体(搬送トレイ)Csと称することがある。
起点位置Spと終点位置Epとは、基板Swが装着されたトレイ(キャリア)Caを搬送する際の起点と終点とを意味する。
【0075】
真空処理装置VM1における搬送トレイCsの搬送では、まず、起点位置Spである第1位置変換チャンバAc1内の第1主搬送路Mr1から第1方向(X方向)に沿って搬送トレイCsを搬送する。真空処理装置VM1における搬送トレイCsの搬送では、第1主搬送路Mr1に沿って、第1回転チャンバTc1、第2回転チャンバTc2、第3回転チャンバTc3を順次経過して、ターンバックチャンバBcへと到る。
【0076】
真空処理装置VM1における搬送トレイCsの搬送では、ターンバックチャンバBcを経た後、第1方向(X方向)に沿って、かつ、第1主搬送路Mr1と反対の方向に第2主搬送路Mr2に沿って、再び第3回転チャンバTc3、第2回転チャンバTc2、第1回転チャンバTc1を順次経過して、第2位置変換チャンバAc2へと到る。真空処理装置VM1における搬送トレイCsの搬送では、第2位置変換チャンバAc2内の第2主搬送路Mr2の終点位置Epで搬送トレイCsの搬送を終了する。
【0077】
本実施形態の真空処理装置VM1によれば、第1位置変換チャンバAc1と第2位置変換チャンバAc2との一部は、搬送チャンバTcの一部の役割を果たすことができる。真空処理装置VM1は、これに限定されず、第1位置変換チャンバAc1と第2位置変換チャンバAc2との一部が、搬送チャンバTcの一部の役割を果たさなくてもよい。
あるいは、真空処理装置VM1は、起点位置Spと終点位置Epとを含む追加の移送チャンバを含むことができる。また、真空処理装置VM1において、第1主搬送路Mr1と第2主搬送路Mr2とは、副搬送路等の他の搬送路を含み、例えば非接触電力供給により搬送トレイCsを磁気浮上させて、第1主搬送路Mr1と第2主搬送路Mr2とによって搬送トレイCsを搬送することもできる。
【0078】
第1回転チャンバTc1、第2回転チャンバTc2、第3回転チャンバTc3は、いずれもその内部に、第1主搬送路Mr1および第2主搬送路Mr2が位置している。第1回転チャンバTc1、第2回転チャンバTc2、第3回転チャンバTc3の内部では、いずれも第1主搬送路Mr1及び第2主搬送路Mr2を回転可能な回転移動ステージ(基板搬送装置)100が設けられる。
第1回転チャンバTc1、第2回転チャンバTc2、第3回転チャンバTc3において、回転移動ステージ100は、いずれも同じ構成とされることができる。
【0079】
回転移動ステージ(基板搬送装置)100は、第1方向(X方向)および第2方向(Y方向)と垂直をなす方向に延びる回転軸線Z0(図6参照)を中心に回転することができる。回転移動ステージ(基板搬送装置)100は、第1方向(X方向)および第2方向(Y方向)がなす平面上で第1主搬送路Mr1および第2主搬送路Mr2を水平移動可能である。
【0080】
回転移動ステージ100は、回転軸線Z0を挟んだ両側に第1主搬送路Mr1および第2主搬送路Mr2が位置してもよい。回転移動ステージ100に位置する第1主搬送路Mr1は、互いに隣接して配置された2つの主搬送トラックTr11および主搬送トラックTr12を含むことができる。
回転移動ステージ100に位置する第2主搬送路Mr2は、互いに隣接して配置された2つの主搬送トラックTr21および主搬送トラックTr22を含むことができる。
【0081】
第1位置変換チャンバAc1および第2位置変換チャンバAc2内には、図示していないが、所定の動作機構が設けられる。この動作機構は、起点位置Sp及び終点位置Epにおいて、第1位置(垂直位置)と第2位置(水平位置)との間で、キャリアCaを位置変更することができる。第1位置変換チャンバAc1および第2位置変換チャンバAc2内では、動作機構により、第1位置(垂直位置)と第2位置(水平位置)との間で基板Swの姿勢を変更することができる。
【0082】
第1位置変換チャンバAc1および第2位置変換チャンバAc2は、第1主搬送路Mr1および第2主搬送路Mr2に対して、互いに第2方向(Y方向)の両側に並んで配置されている。
第1位置変換チャンバAc1の第2方向(Y方向)における外側面には、第1ロボットチャンバRo1が接続されている。第1ロボットチャンバRo1には、内部にフォーク状のロボットハンドを有する真空搬送ロボット2が配置される。第1ロボットチャンバRo1の第2方向(Y方向)におけるさらに外側面には、第1ロードロックチャンバLc1が接続されている。
第2位置変換チャンバAc2の第2方向(Y方向)における外側面には、第2ロボットチャンバRo2が接続されている。第2ロボットチャンバRo2には、内部にフォーク状のロボットハンドを有する真空搬送ロボット2が配置される。第2ロボットチャンバRo2の第2方向(Y方向)におけるさらに外側面には、第2ロードロックチャンバLc2が接続されている。
【0083】
第1ロードロックチャンバLc1には、外部から基板Swが第2位置(水平位置)に搬入される。搬入された基板Swは、第1ロードロックチャンバLc1において、第2位置を有する状態で真空搬送ロボット2により第1ロボットチャンバRo1を介して第1位置変換チャンバAc1に搬送される。第1位置変換チャンバAc1では、起点位置Spで基板Swが動作機構により第1位置を有するキャリア(トレイ)Ca上に配置される。第1位置変換チャンバAc1において、基板SwがキャリアCaに装着される。キャリアCaに基板Swが装着されることで、基板SwとキャリアCaとは搬送体(搬送トレイ)Csを成す。
【0084】
その後、搬送体(搬送トレイ)Csは、動作機構により第1位置(垂直位置)に位置変更される。このとき、基板Swの処理面は、基板Swが第2位置(水平位置)にあるときに上方を向いており、第1位置(垂直位置)にあるとき、第1位置変換チャンバAc1から第2位置変換チャンバAc2に近接する方向に向いていることができる。つまり、搬送チャンバTcにおいて、基板Swの処理面は、回転軸線Z0に近接する方向に向いていることができる。第1位置変換チャンバAc1において、動作機構および第1主搬送路Mr1は、このように配置することができる。
【0085】
しかしながら、キャリア(トレイ)Caに基板Swを装着する方法はこれに限定されず、変更可能である。例えば、第1位置変換チャンバAc1における基板Swの位置のみを第2位置から第1位置に変更し、この状態で、第1位置状態に配置されているキャリアCaに基板Swを装着することもできる。
【0086】
第1位置変換チャンバAc1、第2位置変換チャンバAc2、第1ロボットチャンバRo1、第2ロボットチャンバRo2、第1ロードロックチャンバLc1、第2ロードロックチャンバLc2には、図示していないが、いずれも排気機構として真空ポンプに接続された排気管がそれぞれ接続される。排気機構は、第1位置変換チャンバAc1、第2位置変換チャンバAc2、第1ロボットチャンバRo1、第2ロボットチャンバRo2、第1ロードロックチャンバLc1、第2ロードロックチャンバLc2の内部を所定圧力である真空雰囲気に保持することができる。
【0087】
搬送チャンバTcの第2方向(Y方向)に対向する外方位置には、基板Swの処理面に成膜等の複数の処理を進める第1プロセスチャンバ(プロセスチャンバ)Pc1、第2プロセスチャンバ(プロセスチャンバ)Pc2、第3プロセスチャンバ(プロセスチャンバ)Pc3、第4プロセスチャンバ(プロセスチャンバ)Pc4、第5プロセスチャンバ(プロセスチャンバ)Pc5、第6プロセスチャンバ(プロセスチャンバ)Pc6が接続される。
【0088】
具体的には、第1回転チャンバTc1の第2方向(Y方向)の両側には、第1プロセスチャンバPc1と第6プロセスチャンバPc6とが接続される。第2回転チャンバTc2の第2方向(Y方向)の両側には、第2プロセスチャンバPc2と第5プロセスチャンバPc5とが接続される。第3回転チャンバTc3の第2方向(Y方向)の両側には、第3プロセスチャンバPc3と第4プロセスチャンバPc4とが接続される。
【0089】
第1プロセスチャンバPc1、第2プロセスチャンバPc2、第3プロセスチャンバPc3、第4プロセスチャンバPc4、第5プロセスチャンバPc5、第6プロセスチャンバPc6は、それぞれ同じ構造を有する。第1プロセスチャンバPc1、第2プロセスチャンバPc2、第3プロセスチャンバPc3は、第1方向(X方向)に沿って互いに離間して配置される。第4プロセスチャンバPc4、第5プロセスチャンバPc5、第6プロセスチャンバPc6は、第1方向(X方向)に沿って互いに離間して配置される。
【0090】
第1プロセスチャンバPc1は、第1回転チャンバTc1から第2方向(Y方向)に延びる第1副搬送路(第1サブトラック)Sr1と第2副搬送路(第2サブトラック)Sr2とを含む。第6プロセスチャンバPc6は、第1回転チャンバTc1から第2方向(Y方向)に延びる第1副搬送路Sr1と第2副搬送路Sr2とを含む。
【0091】
第2プロセスチャンバPc2は、第2回転チャンバTc2から第2方向(Y方向)に延びる第1副搬送路(第1サブトラック)Sr1と第2副搬送路(第2サブトラック)Sr2とを含む。第5プロセスチャンバPc5は、第2回転チャンバTc2から第2方向(Y方向)に延びる第1副搬送路Sr1と第2副搬送路Sr2とを含む。
【0092】
第3プロセスチャンバPc3は、第3回転チャンバTc3から第2方向(Y方向)に延びる第1副搬送路(第1サブトラック)Sr1と第2副搬送路(第2サブトラック)Sr2とを含む。第4プロセスチャンバPc4は、第3回転チャンバTc3から第2方向(Y方向)に延びる第1副搬送路Sr1と第2副搬送路Sr2とを含む。
【0093】
回転移動ステージ100は、90度回転することで、第1方向(X方向)への搬送トレイCsの搬送と、第2方向(Y方向)への搬送トレイCsの搬送と、を切り替えることができる。回転移動ステージ100は、搬送トレイCsの搬送方向を切り替えることができる。回転移動ステージ100における搬送方向の切り替えについては後述する。
【0094】
これにより、第1回転チャンバTc1と第1プロセスチャンバPc1および第6プロセスチャンバPc6との間で搬送トレイCsをやり取りすることができる。同様に、第2回転チャンバTc2と第2プロセスチャンバPc2および第5プロセスチャンバPc5との間で搬送トレイCsをやり取りすることができる。第3回転チャンバTc3と第3プロセスチャンバPc3および第4プロセスチャンバPc4との間で搬送トレイCsをやり取りすることができる。このとき、搬送トレイCsは基板Swの処理面が各チャンバの内面に向かう状態を維持する。
【0095】
第1プロセスチャンバPc1、第2プロセスチャンバPc2、第3プロセスチャンバPc3、第4プロセスチャンバPc4、第5プロセスチャンバPc5、第6プロセスチャンバPc6は、第1副搬送路Sr1、第2副搬送路Sr2に沿って所定位置に搬送された搬送トレイCsに対して、成膜処理を行うことができる。
【0096】
第1プロセスチャンバPc1、第2プロセスチャンバPc2、第3プロセスチャンバPc3、第4プロセスチャンバPc4、第5プロセスチャンバPc5、第6プロセスチャンバPc6は、その内部にそれぞれ処理手段としての成膜手段3が位置することができる。成膜手段3は、スパッタリング法、蒸着法、CVD法などの成膜方法に応じて、蒸着源、スパッタリングカソード、プロセスガス導入手段などの各種機器を含むことができる。
第1プロセスチャンバPc1、第2プロセスチャンバPc2、第3プロセスチャンバPc3、第4プロセスチャンバPc4、第5プロセスチャンバPc5、第6プロセスチャンバPc6には、その内部の所定位置に例えば、U字状のガイドレール31が設けられる。
【0097】
ガイドレール31は、成膜手段3を搬送トレイCsの処理面の全面に沿って移動可能である。ガイドレール31によって移動した成膜手段3は、搬送された搬送トレイCsの処理面の全面にわたって成膜等の工程を進めることができる。成膜手段3およびガイドレール31のような成膜処理およびそれに必要な装置およびそれを駆動する機構は、特定の形態に限定されず、様々に変更可能である。
【0098】
第1プロセスチャンバPc1、第2プロセスチャンバPc2、第3プロセスチャンバPc3、第4プロセスチャンバPc4、第5プロセスチャンバPc5、第6プロセスチャンバPc6は、いずれも第2方向(Y方向)に沿って搬送チャンバTcと向かい合う外側面に、マスク収納チャンバMcが接続される。
【0099】
複数設けられたマスク収納チャンバMcは、いずれも同じ構造を有しており、図示しないが、真空ポンプに接続された排気管及びベントガスを注入するベントガスラインと接続することができる。
マスク収納チャンバMcは、第1副搬送路Sr1、第2副搬送路Sr2と第2方向(Y方向)に沿って一列に配置される。マスク収納チャンバMcは、マスクMsを収納する。
【0100】
マスクMsは、シルバー、アルミニウムやステンレスなどの金属製を含むことができ、基板Swの処理面に成膜しようとするパターンに応じて厚さ方向に貫通するように形成された開口(図示せず)を有することができる。
搬送トレイCsの処理面に対してマスクMsを介して成膜処理する場合には、電磁石や永久磁石を備えた公知の脱着手段によって、基板Swの処理面にマスクMsを装着することもできる。また、搬送トレイCsの処理面に対してマスクMsを介して成膜処理する場合には、公知のアライメント機構によって、基板Swの処理面とマスクMsとをアライメントすることもできる。
【0101】
マスク収納チャンバMcは、第1プロセスチャンバPc1、第2プロセスチャンバPc2、第3プロセスチャンバPc3、第4プロセスチャンバPc4、第5プロセスチャンバPc5、第6プロセスチャンバPc6のぞれぞれと、ゲートバルブGv1を介して接続することができる。
マスク収納チャンバMc内には、第2方向(Y方向)に延びているマスク搬送路Prが位置する。マスク搬送路Prは、マスク収納チャンバMcから、第1プロセスチャンバPc1、第2プロセスチャンバPc2、第3プロセスチャンバPc3、第4プロセスチャンバPc4、第5プロセスチャンバPc5、第6プロセスチャンバPc6にわたってそれぞれ延在する。
【0102】
マスク搬送路Prは、マスク収納チャンバMcから、第1プロセスチャンバPc1、第2プロセスチャンバPc2、第3プロセスチャンバPc3、第4プロセスチャンバPc4、第5プロセスチャンバPc5、第6プロセスチャンバPc6にマスクMsを搬送する。
マスクMsは、第1プロセスチャンバPc1、第2プロセスチャンバPc2、第3プロセスチャンバPc3、第4プロセスチャンバPc4、第5プロセスチャンバPc5、第6プロセスチャンバPc6において、成膜処理を行う搬送トレイCsに対して、基板Swの処理面全面に対応する所定位置に配置されることができる。
【0103】
マスク収納チャンバMcの外側には、追加のゲートバルブGv2が設けられる。マスク収納チャンバMcでは、ゲートバルブGv1を閉じた状態でマスク収納チャンバMcを大気開放し、ゲートバルブGv2を開いてその内部のマスクMsを交換することができる。
マスク搬送路Prは、第1副搬送路Sr1、第2副搬送路Sr2に沿って連続してマスクMsを搬送することもできる。この場合、マスクMsは、基板Swと同様にキャリアCaによって搬送することができる。従って、マスク収納チャンバMcにはゲートバルブGv2を設けないこともできる。
【0104】
第3回転チャンバTc3の第1方向(X方向)の一端部には、第5連結通路Pw5と第6連結通路Pw6を介して、ターンバックチャンバBcが連結される。
ターンバックチャンバBcには、キャリア搬送手段である回転ステージ41が設けられる。回転ステージ41には第1主搬送路Mr1および第2主搬送路Mr2に沿った第1方向(X方向)に延びているターンバック用搬送路42が位置する。
【0105】
第3回転チャンバTc3から第1主搬送路Mr1を介してターンバックチャンバBcに搬送された搬送トレイCsは、第1位置状態の搬送トレイCsを回転ステージ41上の第1主搬送路Mr1に受ける。この状態で、回転ステージ41を回転させると、搬送トレイCsが第1位置状態を維持した状態で、第2主搬送路Mr2に搬送可能な位置に移動する。この状態で、第2主搬送路Mr2を介して第3回転チャンバTc3とターンバックチャンバBcとの間で、搬送トレイCsをやり取りすることができる。このとき、搬送トレイCsの処理面は各チャンバの内面に向くことができる。
【0106】
第1位置変換チャンバAc1および第2位置変換チャンバAc2は、ゲートバルブGv3を介してキャリア搬送チャンバCcに接続される。キャリア搬送チャンバCcは、キャリア搬送手段5を含む。キャリア搬送チャンバCcは、終点位置Epと起点位置Spとの間で真空雰囲気または制御された雰囲気を維持したまま、第1位置状態を有する空のキャリアCaを搬送することができる。
キャリア搬送チャンバCcのキャリア搬送手段5は、回転ステージ51を含む。回転ステージ51には、第1主搬送路Mr1および第2主搬送路Mr2を有する。回転ステージ51には、第1方向(X方向)に延びるキャリアターンバック用搬送路52が位置する。
【0107】
第2位置変換チャンバAc2では、第2主搬送路Mr2の終点位置Epで搬送されてきた空のキャリアCaを回転ステージ51に受ける。この状態で、回転ステージ51を回転させると、第1主搬送路Mr1の起点位置Spに空きキャリアCaを搬送することができる。また、キャリア搬送チャンバCc内には、空のキャリアCaに対して表面クリーニングや静電気除去等の前処理を行うための前処理手段(図示せず)を設けることができる。このような前処理手段は変更可能であり、その詳細な説明は省略する。
【0108】
真空処理装置VM1では、第1ロードロックチャンバLc1に処理前一枚の基板Swが搬入される。第1位置変換チャンバAc1では、真空搬送ロボット2により搬入した基板SwをキャリアCaにセットして搬送トレイCsとする。搬送トレイCsは第2位置、すなわち水平位置から第1位置、垂直位置に変更される。第1位置変換チャンバAc1の搬送トレイCsを、第1主搬送路Mr1の起点位置Spから第3連結通路Pw3を介して、第1回転チャンバTc1へと搬送する。第1回転チャンバTc1では、搬送トレイCsを回転移動ステージ100の主搬送トラックTr11または主搬送トラックTr12に載置する。この状態で回転移動ステージ100を回転する。
【0109】
次いで、第1副搬送路Sr1および/または第2副搬送路Sr2を介して、搬送トレイCsを第1プロセスチャンバPc1および/または第6プロセスチャンバPc6へと搬送する。第1プロセスチャンバPc1および/または第6プロセスチャンバPc6では、搬送トレイCsの基板Swに成膜処理をおこなう。
【0110】
このとき、第1プロセスチャンバPc1および/または第6プロセスチャンバPc6から処理済みの搬送トレイCsを入れ替えて、回転移動ステージ100の主搬送トラックTr11または主搬送トラックTr12に載置する。この状態で回転移動ステージ100を回転する。次いで、第1回転チャンバTc1から、第1連結通路Pw1を介して、搬送トレイCsを、第2回転チャンバTc2へと搬送する。
【0111】
同様に、第2回転チャンバTc2では、搬送トレイCsを回転移動ステージ100の主搬送トラックTr11または主搬送トラックTr12に載置する。この状態で回転移動ステージ100を回転する。
次いで、第1副搬送路Sr1および/または第2副搬送路Sr2を介して、搬送トレイCsを第2プロセスチャンバPc2および/または第5プロセスチャンバPc5へと搬送する。第2プロセスチャンバPc2および/または第5プロセスチャンバPc5では、搬送トレイCsの基板Swに成膜処理をおこなう。
【0112】
このとき、第2プロセスチャンバPc2および/または第5プロセスチャンバPc5から処理済みの搬送トレイCsを入れ替えて、回転移動ステージ100の主搬送トラックTr11または主搬送トラックTr12に載置する。この状態で回転移動ステージ100を回転する。次いで、第2回転チャンバTc2から、第1連結通路Pw1を介して、搬送トレイCsを、第3回転チャンバTc3へと搬送する。
【0113】
同様に、第3回転チャンバTc3では、搬送トレイCsを回転移動ステージ100の主搬送トラックTr11または主搬送トラックTr12に載置する。この状態で回転移動ステージ100を回転する。
次いで、第1副搬送路Sr1および/または第2副搬送路Sr2を介して、搬送トレイCsを第3プロセスチャンバPc3および/または第4プロセスチャンバPc4へと搬送する。第3プロセスチャンバPc3および/または第4プロセスチャンバPc4では、搬送トレイCsの基板Swに成膜処理をおこなう。
【0114】
このとき、第3プロセスチャンバPc3および/または第4プロセスチャンバPc4から処理済みの搬送トレイCsを入れ替えて、回転移動ステージ100の主搬送トラックTr11または主搬送トラックTr12に載置する。この状態で回転移動ステージ100を回転する。次いで、第3回転チャンバTc3から、第5連結通路Pw5を介して、搬送トレイCsを、ターンバックチャンバBcへと搬送する。
【0115】
搬送トレイCsを、ターンバックチャンバBcへと搬送する。ターンバックチャンバBcでは、搬送トレイCsを、第1主搬送路Mr1から第2主搬送路Mr2へと方向転換する。次いで、ターンバックチャンバBcから、第6連結通路Pw6を介して、搬送トレイCsを、第3回転チャンバTc3へと搬送する。
【0116】
同様に、第3回転チャンバTc3では、搬送トレイCsを回転移動ステージ100の主搬送トラックTr11または主搬送トラックTr12に載置する。この状態で回転移動ステージ100を回転する。
次いで、第1副搬送路Sr1および/または第2副搬送路Sr2を介して、搬送トレイCsを第3プロセスチャンバPc3および/または第4プロセスチャンバPc4へと搬送する。第3プロセスチャンバPc3および/または第4プロセスチャンバPc4では、搬送トレイCsの基板Swに成膜処理をおこなう。
【0117】
このとき、第3プロセスチャンバPc3および/または第4プロセスチャンバPc4から処理済みの搬送トレイCsを入れ替えて、回転移動ステージ100の主搬送トラックTr11または主搬送トラックTr12に載置する。この状態で回転移動ステージ100を回転する。次いで、第3回転チャンバTc3から、第2連結通路Pw2を介して、搬送トレイCsを、第2回転チャンバTc2へと搬送する。
【0118】
同様に、第2回転チャンバTc2では、搬送トレイCsを回転移動ステージ100の主搬送トラックTr11または主搬送トラックTr12に載置する。この状態で回転移動ステージ100を回転する。
次いで、第1副搬送路Sr1および/または第2副搬送路Sr2を介して、搬送トレイCsを第2プロセスチャンバPc2および/または第5プロセスチャンバPc5へと搬送する。第2プロセスチャンバPc2および/または第5プロセスチャンバPc5では、搬送トレイCsの基板Swに成膜処理をおこなう。
【0119】
このとき、第2プロセスチャンバPc2および/または第5プロセスチャンバPc5から処理済みの搬送トレイCsを入れ替えて、回転移動ステージ100の主搬送トラックTr11または主搬送トラックTr12に載置する。この状態で回転移動ステージ100を回転する。次いで、第2回転チャンバTc2から、第2連結通路Pw2を介して、搬送トレイCsを、第1回転チャンバTc1へと搬送する。
【0120】
同様に、第1回転チャンバTc1では、搬送トレイCsを回転移動ステージ100の主搬送トラックTr11または主搬送トラックTr12に載置する。この状態で回転移動ステージ100を回転する。
次いで、第1副搬送路Sr1および/または第2副搬送路Sr2を介して、搬送トレイCsを第1プロセスチャンバPc1および/または第6プロセスチャンバPc6へと搬送する。第1プロセスチャンバPc1および/または第6プロセスチャンバPc6では、搬送トレイCsの基板Swに成膜処理をおこなう。
このとき、第1プロセスチャンバPc1および/または第6プロセスチャンバPc6から処理済みの搬送トレイCsを入れ替えて、回転移動ステージ100の主搬送トラックTr11または主搬送トラックTr12に載置する。この状態で回転移動ステージ100を回転する。次いで、第1回転チャンバTc1から、第4連結通路Pw4を介して、搬送トレイCsを、第2位置変換チャンバAc2へと搬送する。
【0121】
第2位置変換チャンバAc2では、第2主搬送路Mr2の終点位置Epまで搬送トレイCsが搬送される。この搬送トレイCsは第2位置状態に変更され、真空搬送ロボット2によってキャリアCaから処理された基板Swが除去される。そして、処理された基板Swは、真空搬送ロボット2によって第2の位置状態を維持した第2位置変換チャンバAc2から真空雰囲気の第2ロードロックチャンバLc2に搬送されて回収される。その後、キャリアCaをキャリア搬送チャンバCcに搬送する。
【0122】
これにより、真空処理装置VM1における基板Swに対する成膜処理のような各種真空処理を多段階におこなう処理が終了する。
【0123】
以下、真空処理装置VM1における磁気浮上による搬送トレイCsの非接触搬送をおこなう磁気浮上トラック300について説明する。
図2は、本実施形態における搬送トレイCsを示す模式側面図である。図3は、本実施形態における磁気浮上トラック300を説明する模式正面図である。基板が搬送される方向からみて、図2は側面図であり、図3は正面図である。図4は、本実施形態における真空処理装置の磁気浮上トラック、浮上駆動部、トレイ、調芯機構を示す模式斜視図である。
【0124】
磁気浮上トラック(トラック)300は、上述した第1主搬送路Mr1、第2主搬送路Mr2、第1副搬送路Sr1、第2副搬送路Sr2、主搬送トラックTr11、主搬送トラックTr12、主搬送トラックTr21、主搬送トラックTr22、第1連結通路Pw1、第2連結通路Pw2、第3連結通路Pw3、第4連結通路Pw4、第5連結通路Pw5、第6連結通路Pw6、ターンバック用搬送路42、キャリアターンバック用搬送路52、マスク搬送路Prにおいて、図2に示す搬送トレイCsの非接触搬送をおこなう。
【0125】
搬送トレイCsは、図2に示すように、基板SwをキャリアCaに載置して搬送可能状態とする。
磁気浮上トラック(トラック)300は、図3に示すように、搬送トレイCsの下部に設けられて搬送トレイCsを磁気浮上させ、磁気力を用いて搬送トレイCsを搬送する磁気搬送トラック(磁気搬送ユニット)310と、搬送トレイCsの上部に設けられて搬送トレイCsの搬送をガイドする上ガイドトラック350と、を備える。
【0126】
トレイCaは、中空である矩形の枠状に設けられてそこに基板Swが取り付けられる。すなわち、トレイCaは、所定の長さを有する4本の棒が上下左右に所定の間隔を隔てて設けられ、棒の周縁が互いに接触されることにより中空の四角の枠状に製作される。また、トレイCaには基板Swが着脱可能なように基板Swをクランプするクランプが複数設けられる。このとき、基板Swは、周縁が所定の幅にトレイCaの四辺に接触され、クランプにより固定される。このようなトレイCaは、基板Swを取り付けた搬送トレイCsとして垂直または斜めの状態で搬送される。
【0127】
さらに、搬送トレイCsの下部には、磁気搬送トラック310の一部に対して駆動される搬送基台Cs10が設けられる。搬送基台Cs10は、搬送トレイCsの下部の全体の領域に亘って設けられる。すなわち、搬送基台Cs10はトレイCaの下部と同じ長さに設けられ、トレイCaの下部と連結されて下側に所定の厚さを有する。このような搬送基台Cs10は、搬送トレイCsの幅方向の中央位置に配置される第1領域Cs11と、搬送トレイCsの幅方向で第1領域Cs11よりも外方両側に設けられて搬送トレイCsの幅よりも狭く設けられた第2領域Cs12とを備える。
第1領域Cs11および第2領域Cs12には、磁気搬送トラック310の一部として作用する磁気回路が配置される。搬送基台Cs10は、これ以外でも、様々な形状に設けられる。
【0128】
磁気搬送トラック310は、搬送トレイCsを磁気浮上させて搬送トレイCsと非接触状態を維持しながら搬送トレイCsを搬送する。搬送トレイCsは、複数が連結されたチャンバの間を磁気搬送トラック310により搬送される。
磁気搬送トラック310は、搬送トレイCsを磁気浮上させる磁気浮上部330と、磁気浮上部330と引力又は斥力が働くようにして磁気浮上部330により磁気浮上された搬送トレイCsを搬送する磁気搬送部320とを備える。
【0129】
磁気浮上部330は、搬送基台Cs10と一体に設けられる第1磁気浮上手段331と、第1磁気浮上手段331に磁気的に接触するように第1磁気浮上手段331から離れて設けられる第2磁気浮上手段332と、搬送基台Cs10の搬送ガイドとなる断面コ字状のガイドレール333と、を備える。ここで、第2磁気浮上手段332は、ガイドレール333に設けられる。
【0130】
このとき、第2磁気浮上手段332は、搬送トレイCsが搬送される複数のチャンバの内壁または回転テーブルに固定され、チャンバの底部から所定の高さに固定される。すなわち、第1磁気浮上手段331は搬送トレイCsの下部の搬送基台Cs10の第2領域Cs12の下端面および幅方向の両側面に取り付けられ、第2磁気浮上手段332は、搬送トレイCsの第1磁気浮上手段331に面して対向するガイドレール333の内面に設けられる。ガイドレール333はチャンバ内壁面、底面、または回転テーブル上に取り付けられる。
【0131】
このような第1磁気浮上手段331は、図3に示すように、搬送基台Cs10の両側面に固定される第2領域Cs12としての第1固定部材331aと、第1固定部材331aの側面の所定の領域に設けられる少なくとも一つの第1マグネット331bと、第1固定部材331aの下面の所定の領域に設けられる少なくとも一つの第2マグネット331cと、を備える。
【0132】
すなわち、第1マグネット331bおよび第2マグネット331cはそれぞれ一つずつ設けられてもよいが、第1マグネット331bおよび第2マグネット331cのうちの少なくともいずれか一方が2以上設けられてもよい。例えば、第1マグネット331bが一つ設けられ、第2マグネット331cが2以上設けられてもよい。
【0133】
第1固定部材331aは、所定の高さ及び幅を有する略直方体状として搬送基台Cs10の幅方向両側にそれぞれ設けられるが、搬送基台Cs10の第1領域Cs11の下端両側に沿ってそれぞれ第2領域Cs12と同じ長さ、第2領域Cs12と同じ幅方向に設けられる。このため、第1磁気浮上手段331は、搬送基台Cs10と同じ下端面をなす。すなわち、第2領域Cs12となる両側の第1固定部材331aがなす幅が、搬送基台Cs10の幅と等しい。なお、第2領域Cs12の幅は、搬送基台Cs10または搬送トレイCsの幅よりも広くても狭くてもよい。
【0134】
また、第1マグネット331bおよび第2マグネット331cは、第1固定部材331aに所定の深さに埋め込まれる。すなわち、第1マグネット331bおよび第2マグネット331cの表面が第1固定部材331aの表面と同じ平面をなすように、第1マグネット331bおよび第2マグネット331cは第1固定部材331aに所定の深さに設けられる。一方、第1固定部材331aは、マグネットによる磁力に反応しない金属、セラミック、プラスチックなどの物質により作製されるが、例えば、タングステンにより作製されてもよい。
【0135】
第2磁気浮上手段332は、第1磁気浮上手段331から所定の間隔を隔てて第1磁気浮上手段331に面するように設けられる。すなわち、第2磁気浮上手段332はガイドレール333の内壁側に設けられ、第1磁気浮上手段331から対向する位置に沿って設けられる。このような第2磁気浮上手段332は、第1磁気浮上手段331の第1固定部材331aに接触するか所定の間隔を隔てて面するスペーサ部材332aと、第1磁気浮上手段331の第1マグネット331bおよび第2マグネット331cにそれぞれ面する第3マグネット332bおよび第4マグネット332cと、を備える。第4マグネット332cは、ガイドレール333の底部から幅方向両側位置に立設された支持部332dの上端部に設けられてもよい。
【0136】
ここで、第3マグネット332bおよび第4マグネット332cは、第1マグネット331bおよび第2マグネット331cの数に対応してそれぞれ一つずつ設けられてもよく、第3マグネット332bおよび第4マグネット332cのうちの少なくともいずれか一方が2以上設けられてもよい。例えば、第1マグネット331bが2以上設けられ、第2マグネット331cが一つ設けられる場合、第3マグネット332bが一つ設けられ、第4マグネット332cが一つ設けられてもよい。
【0137】
また、スペーサ部材332aは、ガイドレール333の内面と連結されて固定され、搬送トレイCsの上下方向と一致する回転軸線を有するガイドローラとすることができる。ガイドレールであるスペーサ部材332aは、ガイドレール333の内面に、搬送トレイCsの搬送方向に沿って互いに離間して複数配置することができる。
【0138】
第1マグネット331bと第3マグネット332bとは互いに異なる極性を有する。したがって、第1マグネット331bと第3マグネット332bとの間には幅方向に引力が働く。これに対し、第2マグネット331cと第4マグネット332cとは互いに同じ極性を有する。したがって、第2マグネット331cと第4マグネット332cとの間には、上下方向に斥力が働く。搬送トレイCsは、重力により下方に移動しようとするが、第2マグネット331cと第4マグネット332cとの間に上下方向に斥力が働くので、搬送トレイCsを磁気浮上させることができる。
【0139】
このとき、第1マグネット331bと第3マグネット332bとの間に幅方向の引力が働くので、搬送トレイCsの上下動を防ぐことができる。すなわち、第2マグネット331cと第4マグネット332cとの間の斥力により搬送トレイCsが磁気浮上して上方に移動するが、搬送トレイCsが上方への移動が大きくなりすぎた場合には、第1マグネット331bと第3マグネット332bとの間に引力が働くので、これを抑えることができる。
【0140】
また、第1マグネット331bと第3マグネット332bとの間の引力によって、ガイドレール333に対して搬送トレイCsが幅方向に移動した場合には、スペーサ部材332aと第1固定部材331aとが当接して、これら第1マグネット331bと第3マグネット332bとがくっついてしまうことを防止できる。
スペーサ部材332aは、第1固定部材331aと同様に、マグネットによる磁力に反応しない金属、セラミック、プラスチックなどの物質により作製される。スペーサ部材332aは、例えば、タングステンにより作製される。
【0141】
これらにより、ガイドレール333に対する搬送トレイCsの搬送時の姿勢安定性が確保できる。
【0142】
ここで、第1磁気浮上手段331は、搬送トレイCsの長手方向すなわち搬送トレイCsの搬送方向で、搬送基台Cs10の全体の領域に亘って設けられる。第2磁気浮上手段332は、搬送トレイCsが移動するガイドレール333の全体に亘って設けられる。
すなわち、搬送トレイCsが複数のチャンバの内部を通るため、第2磁気浮上手段332は第1磁気浮上手段331に面するガイドレール333のすべての領域内に設けられる。しかしながら、第1磁気浮上手段331および第2磁気浮上手段332の少なくともいずれか一方は所定の間隔を隔てて複数設けられてもよい。
【0143】
例えば、第2磁気浮上手段332がガイドレール333の長手方向で全ての領域に亘って設けられ、第1磁気浮上手段331が所定の間隔を隔てて搬送基台Cs10の全長で複数設けられてもよい。
また、第1磁気浮上手段331の第1マグネット331bおよび第2マグネット331cが、搬送基台Cs10の全長にわたって連続して形成され、第2磁気浮上手段332の第3マグネット332bおよび第4マグネット332cが、ガイドレール333の長手方向に全領域に亘って設けられるとともに、所定の間隔を隔てて複数設けられてもよい。
例えば、第1マグネット331bおよび第2マグネット331cが全体の領域に亘って断続して設けられ、第3マグネット332bおよび第4マグネット332cがガイドレール333の長手方向に所定の間隔を隔てて設けられてもよい。
【0144】
一方、第1磁気浮上手段331と第2磁気浮上手段332との間にこれらの間の間隔を維持するためのスペーサ部材としてのガイドローラ332aがガイドレール333に設けられる。スペーサ部材332aは、ガイドレール333の内面両側に対向して配置される。2つのガイドローラ(スペーサ部材)332aが、搬送トレイCsの幅方向において離間する距離は、搬送基台Cs10の幅方向距離よりも若干大きい。このため、搬送トレイCsは、ガイドローラ332aに常時接触しているわけではない。
【0145】
すなわち、互いに面する第1マグネット331bと第3マグネット332bとの間には引力が働くので、搬送トレイCsが磁気浮上により移動する間に第1磁気浮上手段331および第2磁気浮上手段332の間隔が狭くなったり、第1マグネット331bおよび第3マグネット332bがくっついたりする可能性があるが、スペーサ部材332aが設けられるので、第1磁気浮上手段331および第2磁気浮上手段332の間隔を維持することができる。
【0146】
このようなスペーサ部材332aは、第1マグネット331bおよび第3マグネット332bの下側領域に設けられる。すなわち、スペーサ部材332aは、第1磁気浮上手段331の外側面と第2磁気浮上手段332の内側面との間に設けられる。なお、スペーサ部材332aは、第1磁気浮上手段331および第2磁気浮上手段332の間で、ガイドレール333の長手方向に全体の領域に亘って所定の間隔を隔てて複数設けられる。
【0147】
磁気搬送部320は、図3に示すように、搬送基台Cs10の下方に位置するガイドレール333の内部に、搬送基台Cs10の搬送方向に所定の間隔を隔てて設けられる磁気回転部(磁気ネジ)321と、搬送基台Cs10の下端に磁気回転部321から所定の間隔を隔てて設けられる磁気搬送手段322とを備える。
磁気回転部321は、搬送基台Cs10の下端に沿ったガイドレール333の内部に、搬送基台Cs10の下端から上下方向に所定の間隔を隔てて設けられる。ここで、磁気回転部321は、搬送トレイCsの幅よりも狭くなるように設けられるが、搬送トレイCsの幅よりも大きいか、同じ幅に設けられてもよい。
【0148】
磁気回転部321は、図3図4に示すように、略水平方向に延在する回転軸線(搬送軸線)H0まわりに回転する回転軸321aと、回転軸321aの表面に形成される複数の第5マグネット321bと、回転軸321aをガイドレール333の底部に支持する支持部332dと、回転軸321aを回転する浮上駆動部323と、を備える。
【0149】
回転軸321aは、断面略円形の棒状に形成される。回転軸321aは、図3図4に示すように、回転モータ等の回転駆動源である浮上駆動部323に接続される。回転軸321aは、ガイドレール333の溝内に配置される。回転軸321aは、ガイドレール333の溝内に立設された軸支磁部321dにより支持される。回転軸321aは、浮上駆動部323により正方向及び逆方向に回転駆動される。回転軸321aは、図示しないベベルギア等を用いた駆動方向変換部324により浮上駆動部323に接続される。浮上駆動部323は、回転軸321aの下方に位置する。さらに、浮上駆動部323は、ガイドレール333の下方に位置する。
【0150】
駆動方向変換部324は、ガイドレール333の底部を貫通して回転駆動力を回転軸321aに伝達可能である。駆動方向変換部324は、略水平方向である回転軸線(搬送軸線)H0に対して、鉛直方向へ一度回転駆動方向を変換できる。さらに、駆動方向変換部324は、略水平方向である回転軸線(搬送軸線)H0に対して、鉛直方向へさらに、所定の水平方向へ二度回転駆動方向を変換できる。
【0151】
複数の第5マグネット321bは、回転軸321aの表面を所定の角度で取り囲む形状に設けられる。複数の第5マグネット321bは、例えば、ねじ山状に形成される。すなわち、複数の第5マグネット321bは、図5に示すように、回転軸321aの上に、例えば、回転軸線(搬送軸線)H0に対して45°の角度で取り囲むように複数設けられる。このとき、複数の第5マグネット321bは、回転軸321aを例えば、45°の角度で取り囲みながらS極及びN極が交互に設けられる。
【0152】
磁気搬送手段322は、搬送基台Cs10の下側に設けられる。磁気搬送手段322は、磁気浮上部330の間の搬送基台Cs10の第2領域Cs12の下端に設けられる。磁気搬送手段322としては、互いに異なる極性のマグネットが搬送トレイCsの搬送方向に繰り返し配置される。磁気搬送手段322は、図5に示すように、搬送基台Cs10の第2領域Cs12の下端面に設けられる複数の第6マグネット322を備える。複数の第6マグネット322は、互いに異なる極性、すなわち、S極及びN極が交互に設けられる。磁気搬送手段322である複数の第6マグネット322は、磁気回転部321の複数の第5マグネット321bと同じ角度、例えば、回転軸線(搬送軸線)H0に対して45°の角度を有するように設けられる。
【0153】
磁気回転部321の回転によって、第5マグネット321bの極性と磁気搬送手段322の極性とが互いに異なるか、あるいは、互いに同じとなる。このような第5マグネット321bの極性と磁気搬送手段322の極性との違いは、回転軸線(搬送軸線)H0に沿った搬送トレイCsの位置にも影響される。これにより、第5マグネット321bと磁気搬送手段322との間には、引力又は斥力が働くので、磁気回転部321の回転にしたがって磁気搬送手段322が一方向に移動する。すなわち、磁気回転部321の回転運動が磁気搬送手段322により直線運動に変換されて磁気浮上された搬送トレイCsを移動させる。
【0154】
上ガイドトラック350は、搬送トレイCsの上部に設けられて搬送トレイCsの搬送をガイドする。上ガイドトラック350は、図3に示すように、ガイドレール333に対応する上方位置にガイドレール333と平行に延在する上ガイドレール353と、搬送トレイCsの上部に取り付けられる第1上ガイドマグネット361と、第1上ガイドマグネット361から所定の間隔を隔ててチャンバの上側となる上ガイドレール353に設けられる第2上ガイドマグネット362とを備える。
【0155】
上ガイドトラック350は、磁気搬送トラック310に対応して、磁気搬送トラック310の全長と等しい長さに配置される。上ガイドトラック350は、磁気搬送トラック310の上方に搬送トレイCsの高さ寸法に対応する上下方向距離だけ離間して、磁気搬送トラック310と平行に配置される。
【0156】
第1上ガイドマグネット361および第2上ガイドマグネット362は、互いに引力が働くように互いに異なる極性を有していてもよい。あるいは、第1上ガイドマグネット361および第2上ガイドマグネット362は、互いに斥力が働くように同じ極性を有していることもできる。
第1上ガイドマグネット361は、搬送トレイCsの上端面に埋め込まれる。第2上ガイドマグネット362は、上ガイドレール353の下端面に埋め込まれる。第1上ガイドマグネット361および第2上ガイドマグネット362は、搬送トレイCsの搬送方向と直交する幅方向で搬送トレイCsの両端位置に対応して配置される。
【0157】
上ガイドレール353には、搬送トレイCsの幅方向中央に上ガイドローラ363が配置される。上ガイドローラ363は、搬送トレイCsの幅方向となる軸線のまわりに回転可能である。上ガイドローラ363は、第1上ガイドマグネット361と第2上ガイドマグネット362との引力により、搬送トレイCsが上ガイドレール353に近接した際に、搬送トレイCsと上ガイドレール353とがくっつかないように回転して、上ガイドレール353に対して搬送トレイCsの搬送速度が遅くならないようにする。上ガイドローラ363は、搬送トレイCsの搬送方向に離間して上ガイドレール353に複数配置される。
【0158】
なお、第1上ガイドマグネット361および第2上ガイドマグネット362は、様々な形状に設けられてもよい。例えば、第1上ガイドマグネット361および第2上ガイドマグネット362が互いに面する直線状に設けられる。あるいは、第1上ガイドマグネット361は円形の棒状に設けられ、第2上ガイドマグネット362は、第1上ガイドマグネット361を上側から取り囲むように、例えば、逆U字状に折れ曲がった断面を有してもよい。第2上ガイドマグネット362は、第1上ガイドマグネット361を所定の間隔を隔てて取り囲むように設けられてもよい。このため、搬送トレイCsの上端部は、第1上ガイドマグネット361の両側面において第2上ガイドマグネット362により第1上ガイドマグネット361を引張する力が働くので、搬送トレイCsが搬送されながら倒れないようにガイドされる。
【0159】
上ガイドレール353には、搬送トレイCsの搬送方向両外方に、搬送トレイCsの上端を側方から支持可能な上倒れ止部364が設けられる。上倒れ止部364は、上ガイドレール353から搬送トレイCsの搬送方向に離間して複数配置される。上倒れ止部364は、上支持部365により上ガイドレール353に支持される。上ガイドレール353には、第1上ガイドマグネット361および第2上ガイドマグネット362の引張力が外れた場合に、搬送トレイCsが傾くことを防止する。
【0160】
なお、上記のマグネットは、いずれも、コアとコイルが組み合わせられた電磁石を用いるか、永久磁石を用いるか、あるいは、電磁石と永久磁石を組み合わせて用いることができる。
【0161】
以下、回転移動ステージ(基板搬送装置)100について説明する。
【0162】
図6は、本実施形態における回転移動ステージ(基板搬送装置)の搬送トレイを載置した状態を示す模式正面図である。図7は、本実施形態における回転移動ステージ(基板搬送装置)の回転トラック付近を示す模式上面図である。図8は、本実施形態における回転移動ステージ(基板搬送装置)の回転トラック付近を示す模式正面図である。図9は、本実施形態における回転移動ステージ(基板搬送装置)の回転トラック付近を示す模式側面図である。
【0163】
<回転移動ステージ(基板搬送装置)100>
回転移動ステージ(基板搬送装置)100は、回転チャンバTc1~Tc3の内部に配置される。回転移動ステージ(基板搬送装置)100は、いずれも同じ構造とされるので、ここでは、第1回転チャンバTc1について説明する。
以下、第1回転チャンバTc1における回転移動ステージ(基板搬送装置)100について説明する。
【0164】
回転移動ステージ(基板搬送装置)100は、図6図8に示すように、鉛直の回転軸線Z0のまわりで搬送トレイCsを回転して搬送トレイCsの搬送方向を変える。このため、基板搬送装置100としては、搬送トレイCsの搬送方向の基準となる周囲の第1主搬送路Mr1、第2主搬送路Mr2、第1副搬送路Sr1、第2副搬送路Sr2も構成として含まれる。
【0165】
つまり、回転移動ステージ(基板搬送装置)100は、略水平な第1方向(X方向)に沿ってトレイを搬送する4本の第1トラック101a~101dと、第1方向(X方向)とは直交する略水平な第2方向(Y方向)に沿ってトレイを搬送する4本の第2トラック102a~102dと、回転軸線Z0のまわりで第1方向(X方向)から第2方向(Y方向)へとトレイの搬送方向を変える4本の回転トラック103a~103dと、を有する。
【0166】
第1トラック101a~101dと、第2トラック102a~102dと、回転トラック103a~103dと、は、いずれも搬送トレイCsを搬送する前述した磁気搬送トラック310としての機構を有する。
【0167】
ここでは、第1トラック101aが、第1主搬送路Mr1となる第1連結通路Pw1に対応し、第1トラック101bが、第2主搬送路Mr2となる第2連結通路Pw2に対応し、第1トラック101cが、第1主搬送路Mr1となる第3連結通路Pw3に対応し、第1トラック101dが、第2主搬送路Mr2となる第4連結通路Pw4に対応する(図1参照)。
【0168】
同様に、第2トラック102aが、第1プロセスチャンバPc1に接続する第2副搬送路Sr2に対応し、第2トラック102bが、第1プロセスチャンバPc1に接続する第1副搬送路Sr1に対応し、第2トラック102cが、第6プロセスチャンバPc6に接続する第2副搬送路Sr2に対応し、第2トラック102dが、第6プロセスチャンバPc6に接続する第1副搬送路Sr1に対応する(図1参照)。
【0169】
第1トラック101aと第1トラック101cとは、図6図8に示すように、同一直線上に配置される。第1トラック101bと第1トラック101dとは、同一直線上に配置される。第1トラック101aと第1トラック101cとは、搬送芯が一致する。第1トラック101bと第1トラック101dとは、搬送芯が一致する。
ここで、搬送芯が一致するとは、便宜的に磁気搬送トラック310における回転軸線(搬送軸線)H0が一致することを意味する。
【0170】
第1トラック101aと第1トラック101bとは、回転軸線Z0を挟んだ2本が互いに平行に配置される。第1トラック101aと第1トラック101bとは、Y方向で回転軸線Z0から互いに等しい距離だけ離間して配置される。第1トラック101cと第1トラック101dも同様である。
【0171】
第2トラック102aと第2トラック102cとは、同一直線上に配置される。第2トラック102bと第2トラック102dとは、同一直線上に配置される。第2トラック102aと第2トラック102cとは、搬送芯が一致する。第2トラック102bと第2トラック102dとは、搬送芯が一致する。
【0172】
第2トラック102aと第2トラック102bとは、回転軸線Z0を挟んだ2本が互いに平行に配置される。第2トラック102aと第2トラック102bとは、X方向で回転軸線Z0から互いに等しい距離だけ離間して配置される。第2トラック102cと第2トラック102dも同様である。
【0173】
4本の回転トラック103a~103dは、いずれも直線状に形成される。4本の回転トラック103a~103dは、いずれも、互いに平行である。4本の回転トラック103a~103dは、いずれも互いに平行な位置関係を維持する。
【0174】
4本の回転トラック103a~103dは、図7に示す回転状態で、第2トラック102aと第2トラック102cとに搬送トレイCsを搬送可能な回転トラック103aおよび回転トラック103bと、第2トラック102bと第2トラック102dとに搬送トレイCsを搬送可能な回転トラック103cおよび回転トラック103dと、を有する。
【0175】
回転トラック103aおよび回転トラック103bは、図7に示す回転状態から時計回りに90°回転することで、第1トラック101bと第1トラック101dとに搬送トレイCsを搬送可能な状態となる。また、回転トラック103aおよび回転トラック103bは、図7に示す回転状態から時計回りに180°回転することで、第2トラック102bと第2トラック102dとに搬送トレイCsを搬送可能な状態となる。回転トラック103aおよび回転トラック103bは、図7に示す回転状態から反時計回りに90°回転することで、第1トラック101aと第1トラック101cとに搬送トレイCsを搬送可能な状態となる。回転トラック103cおよび回転トラック103dも同様である。
【0176】
このように、回転トラック103a~103dは、回転軸線Z0の周りに回転して、第1トラック101a~101dに対して搬送芯を合わせて搬送トレイCsを連続して搬送可能な第1調芯位置と、第2トラック102a~102dに対して搬送芯を合わせて搬送トレイCsを連続して搬送可能な第2調芯位置と、のそれぞれに対応する回転位置に回転可能である。
ここで、第1調芯位置とは、回転トラック103a~103dが第1トラック101a~101dに対して搬送芯を合わせた状態を意味する。また、第2調芯位置とは、回転トラック103a~103dが第2トラック102a~102dに対して搬送芯を合わせた状態を意味する。
【0177】
回転トラック103aおよび回転トラック103bとは、互いの距離を変えずに回転軸線Z0のまわりに回転可能である。回転トラック103aおよび回転トラック103bとは、互いの距離を変えずに回転軸線Z0からの距離を変えるトラバース移動が可能である。回転トラック103aよりも回転トラック103bが回転軸線Z0に近接する。
回転トラック103cおよび回転トラック103dとは、互いの距離を変えずに回転軸線Z0のまわりに回転可能である。回転トラック103cおよび回転トラック103dとは、互いの距離を変えずに回転軸線Z0からの距離を変えるトラバース移動が可能である。回転トラック103cよりも回転トラック103dが回転軸線Z0に近接する。
【0178】
回転トラック103a~103dにおける回転移動およびトラバース移動を可能とし、かつ搬送トレイCsを搬送可能とするために、回転移動ステージ(基板搬送装置)100は、回転駆動機構110と、トラバース機構120と、フローティング機構130と、ロック機構140と、調芯機構150と、を有する。
【0179】
ここで、トラバース移動とは、回転トラック103a~103dにおける搬送方向に対して直交する方向に移動することである。この場合、回転トラック103a~103dは、回転軸線Z0まわりでの搬送方向は変わらない。つまり、トラバース移動とは、回転軸線Z0まわりで回転トラック103a~103dの角度が変化しない水平移動を意味するものとする。
また、トラバース方向とは、回転トラック103a~103dにおける搬送方向に対して直交する方向を意味する。従って、回転トラック103a~103dの回転にともなって、トラバース方向も回転する。なお、図7において、回転トラック103a~103dが左右方向に延在しているので、トラバース方向は上下方向つまりX方向となる。
【0180】
<回転駆動機構110>
回転駆動機構110は、回転トラック103a~103dを、回転軸線Z0の周りに回転する。回転駆動機構110は、回転軸線Z0の周りに回転可能な回転テーブル111と、回転テーブル111の回転をガイドする回転ガイド112と、回転テーブル111を回転する回転駆動源113と、を有する。
【0181】
回転テーブル111は、チャンバの床に対して回転可能に支持される。回転ガイド112は、回転テーブル111の下方に位置する。回転ガイド112は、Rガイド等の回転移動を規制可能な構成とされる。回転駆動源113は、回転テーブル111の下方に配置され、回転テーブル111と同軸のギアを介して接続されて、これを駆動するモータ等とされる。回転駆動源113は、チャンバの外方に配置される。
【0182】
<トラバース機構120>
トラバース機構120は、回転駆動機構110による所定の回転位置において、回転トラック103a~103dの搬送方向とは直交するトラバース方向に回転トラック103a~103dを移動して、回転軸線Z0から回転トラック103a~103dまでの離間位置を増減する。
【0183】
トラバース機構120は、回転トラック103a~103dを回転テーブル111の上方で支持する2つのトラバーステーブル121a,121bと、トラバーステーブル121a,121bの移動を回転テーブル111に対してトラバース方向にガイドするトラバースガイド122a,122bと、トラバーステーブル121a,121bを回転テーブル111に対してトラバース方向に移動するトラバース駆動源123a,123bと、を有する。
【0184】
2つのトラバーステーブル121aとトラバーステーブル121bとは、回転軸線Z0を挟んでトラバース方向に離間して互いに平行に2つ配置される。
トラバーステーブル121aは、2本の回転トラック103aおよび回転トラック103bを支持する。トラバーステーブル121aは、トラバースガイド122aによって支持される。トラバースガイド122aは、トラバース方向に延在して回転テーブル111に固定される2本の平行なガイドレール122c,122dによって、トラバース方向に移動方向を規制される。トラバーステーブル121aは、トラバース駆動源123aによってトラバース方向に移動可能とされる。トラバース駆動源123aは、モータ等とされ、たとえば、ボールネジを介してトラバーステーブル121aを直線状に移動する。
【0185】
トラバーステーブル121bは、2本の回転トラック103cおよび回転トラック103dを支持する。トラバーステーブル121bは、トラバースガイド122bによって支持される。トラバースガイド122bは、トラバース方向に延在して回転テーブル111に固定される2本の平行なガイドレール122c,122dによって、トラバース方向に移動方向を規制される。トラバーステーブル121bは、トラバース駆動源123bによってトラバース方向に移動可能とされる。トラバース駆動源123bは、モータ等とされ、たとえば、ボールネジを介してトラバーステーブル121bを直線状に移動する。
【0186】
ガイドレール122cとガイドレール122dとは、トラバース方向に延在し、互いに離間して平行に配置される。
トラバース駆動源123aとトラバース駆動源123bとは、ボールネジ等の駆動回転軸線がトラバース方向に延在し、互いに離間して平行に配置される。トラバースガイド122aとトラバースガイド122bとは、互いにトラバース方向に離間して、ガイドレール122cとガイドレール122dとに移動可能に支持される。トラバースガイド122aとトラバースガイド122bとは、互いにトラバース方向に独立してガイドレール122cとガイドレール122dとに対して移動可能である。
【0187】
<フローティング機構130>
フローティング機構130は、回転トラック103aと回転トラック103bの調芯時、および、回転トラック103aと回転トラック103bの調芯時に、それぞれの回転トラック103a~103dを後述する調芯機構150により調芯可能なフローティング状態とする。
フローティング機構130が、回転トラック103a~103dを搬送される搬送トレイCsの下端位置より下方に配置される。
【0188】
フローティング機構130は、回転トラック103aと回転トラック103bとが上面に固定されるフローティングテーブル131aと、回転トラック103cと回転トラック103dとが上面に固定されるフローティングテーブル131bと、を有する。フローティングテーブル131aは、トラバーステーブル121a上にフローティング状態で支持される。フローティングテーブル131bは、トラバーステーブル121b上にフローティング状態で支持される。
【0189】
回転トラック103aと回転トラック103bとは、フローティングテーブル131aに対して固定される。つまり、フローティングテーブル131aに対して回転トラック103aと回転トラック103bとは、位置移動しない。
フローティングテーブル131aとトラバーステーブル121aとは、上面視して、略同一な輪郭形状を有する。なお、下方に位置するトラバーステーブル121aが、フローティングテーブル131aよりも小さい輪郭を有することもできる。なお、フローティングテーブル131aとトラバーステーブル121aとは、いずれも、後述する回転トラック103a~103dの回転領域を拡大しないような輪郭形状とされている。
【0190】
回転トラック103cと回転トラック103dとは、フローティングテーブル131bに対して固定される。つまり、フローティングテーブル131bに対して回転トラック103cと回転トラック103dとは、位置移動しない。
フローティングテーブル131bとトラバーステーブル121bとは、上面視して、略同一な輪郭形状を有する。なお、下方に位置するトラバーステーブル121bが、フローティングテーブル131bよりも小さい輪郭を有することもできる。なお、フローティングテーブル131bとトラバーステーブル121bとは、いずれも、後述する回転トラック103a~103dの回転領域を拡大しないような輪郭形状とされている。
【0191】
フローティング機構130は、トラバーステーブル121aに対して、フローティング軸部132aと、並進フローティング部133a~135aと、ボール部137a,137aと、を有する。
フローティング機構130は、トラバーステーブル121aに対して、フローティング軸線F0aのまわりのチルト回転と、並進フローティング部133a~135aによるトラバース方向への微小並進との2自由度を呈する。
フローティング軸部132aは、トラバーステーブル121aに対して、フローティングテーブル131aをフローティング状態で支持する。フローティング軸部132aは、回転軸線Z0と平行なフローティング軸線F0aのまわりで、フローティングテーブル131aをトラバーステーブル121aに対して、その両端がチルト回転可能とする。
【0192】
フローティング軸部132aは、フローティングテーブル131aの下面を支持する。フローティング軸部132aは、フローティング軸線F0aが、フローティングテーブル131aにおいて搬送方向で中心、かつ、トラバース方向の中心に位置するように配置される。フローティング軸部132aは、たとえば、クロスローラリング等とされる。これにより、フローティング軸線F0aに対して、回転トラック103aおよび回転トラック103bの両端がチルト回転可能となる。
【0193】
フローティング軸部132aは、並進テーブル133aの上面に固定される。並進テーブル133aは、並進ガイド部134aおよび並進ガイドレール135aを介して、トラバーステーブル121aに対して、トラバース方向に移動可能に支持される。並進ガイドレール135aは、搬送方向でフローティング軸部132aの両側に平行に離間して2本配置される。並進ガイド部134aは、2本の並進ガイドレール135aにそれぞれトラバース方向に移動可能に支持される。並進ガイド部134aは、並進テーブル133aの下面を支持する。
【0194】
並進テーブル133a、並進ガイド部134a、並進ガイドレール135aは、並進フローティング部を構成する。
ボール部137aおよびボール部137aは、フローティングテーブル131aの下面で、搬送方向の両端付近にそれぞれ配置される。ボール部137aおよびボール部137aは、フローティングテーブル131aをフローティング軸部132aのまわりで回転可能な状態を維持して、フローティングテーブル131aの重量をトラバーステーブル121aに対して支持する。ボール部137aは、トラバーステーブル121aの上面に立設された支持部136aに支持されている。ボール部137aの上面は球面とされて、フローティングテーブル131aの下面に接している。
【0195】
フローティング機構130は、トラバーステーブル121bに対して、フローティング軸部132bと、並進フローティング部133b~135bと、ボール部137b,137bと、を有する。
フローティング機構130は、トラバーステーブル121bに対して、フローティング軸線F0bのまわりのチルト回転と、並進フローティング部133b~135bによるトラバース方向への微小並進との2自由度を呈する。
フローティング軸部132bは、トラバーステーブル121bに対して、フローティングテーブル131bをフローティング状態で支持する。フローティング軸部132bは、回転軸線Z0と平行なフローティング軸線F0bのまわりで、フローティングテーブル131bをトラバーステーブル121bに対して、その両端がチルト回転可能とする。
【0196】
フローティング軸部132bは、フローティングテーブル131bの下面を支持する。フローティング軸部132bは、フローティング軸線F0bが、フローティングテーブル131bにおいて搬送方向で中心、かつ、トラバース方向の中心に位置するように配置される。フローティング軸部132bは、たとえば、クロスローラリング等とされる。これにより、フローティング軸線F0bに対して、回転トラック103cおよび回転トラック103dの両端がチルト回転可能となる。
【0197】
フローティング軸部132bは、並進テーブル133bの上面に固定される。並進テーブル133bは、並進ガイド部134bおよび並進ガイドレール135bを介して、トラバーステーブル121bに対して、トラバース方向に移動可能に支持される。並進ガイドレール135bは、搬送方向でフローティング軸部132bの両側に平行に離間して2本配置される。並進ガイド部134bは、2本の並進ガイドレール135bにそれぞれトラバース方向に移動可能に支持される。並進ガイド部134bは、並進テーブル133bの下面を支持する。
【0198】
並進テーブル133b、並進ガイド部134b、並進ガイドレール135bは、並進フローティング部を構成する。
ボール部137bおよびボール部137bは、フローティングテーブル131bの下方で、搬送方向の両端付近にそれぞれ配置される。ボール部137bおよびボール部137bは、フローティングテーブル131bをフローティング軸部132bのまわりで回転可能な状態を維持して、フローティングテーブル131bの重量をトラバーステーブル121bに対して支持する。ボール部137bは、トラバーステーブル121bの上面に立設された支持部136bに支持されている。ボール部137bの上面は球面とされて、フローティングテーブル131bの下面に接している。
【0199】
<ロック機構140>
ロック機構140は、フローティング機構130によってフローティング状態とされたフローティングテーブル131a,131bを、それぞれトラバーステーブル121a,121bに対してロックする。なお、ロック機構140は、後述する調芯機構150によって調芯された状態でロック動作をおこなう。あるいは、ロック機構140は、回転駆動機構110によって回転動作をおこなう前にロック動作をおこなう。
【0200】
ロック機構140は、フローティングテーブル131aに対して、搬送方向でフローティング軸部132aとボール部137aとの間となるフローティングテーブル131aの下方に配置されるロック凸部141aと、ロック凸部141aをトラバース方向の両側から挟持する挟持部142a,142aと、挟持部142a,142aをそれぞれロック凸部141aに向けてトラバース方向の両側から進退させるロック駆動部143a,143aと、を有する。
ロック機構140は、搬送される搬送トレイCsの下端位置より下方に配置される。
【0201】
ロック凸部141aは、フローティングテーブル131aの下面に固定される。ロック凸部141aは、フローティングテーブル131aの下面から下方に突出する。挟持部142a,142aはそれぞれロック駆動部143a,143aを介してトラバーステーブル121aの上面に固定される。なお、ロック凸部141aは、トラバーステーブル121aの上面に固定されて、挟持部142a,142aはそれぞれロック駆動部143a,143aを介してフローティングテーブル131aの下面に固定される構成とすることもできる。
【0202】
ロック凸部141aが、それぞれロック駆動部143aによって駆動された挟持部142a,142aによって、トラバース方向の両側から挟持されることで、フローティングテーブル131aは、トラバーステーブル121aに対してロックされる。トラバーステーブル121aに対してロックされたフローティングテーブル131aは、フロ-ティング状態ではなくなり、フローティング軸線F0aのまわりにチルト回転可能および微小並進移動可能ではなくなる。同時に、フローティングテーブル131aは、トラバース機構120によってトラバース方向の位置が設定されることになる。あるいは、フローティングテーブル131aは、回転駆動機構110によって回転軸線Z0の周りに回転させる。
【0203】
なお、ロック凸部141aは、フローティング軸線F0aに対して搬送方向の両側に対象に配置されている。ロック凸部141aは、フローティング軸線F0aに対して搬送方向の片側のみに設けることもできる。
ロック機構140がフローティングテーブル131aをロックすることで、回転トラック103aおよび回転トラック103bは、フローティング軸線F0aに対してチルト回転およびトラバース方向に微小並進せずにロックされる。
【0204】
ロック機構140は、フローティングテーブル131bに対して、搬送方向でフローティング軸部132bとボール部137bとの間となるフローティングテーブル131bの下方に配置されるロック凸部141bと、ロック凸部141bをトラバース方向の両側から挟持する挟持部142b,142bと、挟持部142b,142bをそれぞれロック凸部141bに向けてトラバース方向の両側から進退させるロック駆動部143b,143bと、を有する。
ロック機構140は、搬送される搬送トレイCsの下端位置より下方に配置される。
【0205】
ロック凸部141bは、フローティングテーブル131bの下面に固定される。ロック凸部141bは、フローティングテーブル131bの下面から下方に突出する。挟持部142b,142bはそれぞれロック駆動部143b,143bを介してトラバーステーブル121bの上面に固定される。なお、ロック凸部141bは、トラバーステーブル121bの上面に固定されて、挟持部142b,142bはそれぞれロック駆動部143b,143bを介してフローティングテーブル131bの下面に固定される構成とすることもできる。
【0206】
ロック凸部141bが、それぞれロック駆動部143bによって駆動された挟持部142b,142bによって、トラバース方向の両側から挟持されることで、フローティングテーブル131bは、トラバーステーブル121bに対してロックされる。トラバーステーブル121bに対してロックされたフローティングテーブル131bは、フロ-ティング状態ではなくなり、フローティング軸線F0bのまわりにチルト回転可能および微小並進移動可能ではなくなる。同時に、フローティングテーブル131bは、トラバース機構120によってトラバース方向の位置が設定されることになる。あるいは、フローティングテーブル131bは、回転駆動機構110によって回転軸線Z0の周りに回転させる。
【0207】
ロック凸部141bは、フローティング軸線F0bに対して搬送方向の両側に対象に配置されている。ロック凸部141bは、フローティング軸線F0bに対して搬送方向の片側のみに設けることもできる。
ロック機構140がフローティングテーブル131bをロックすることで、回転トラック103cおよび回転トラック103dは、フローティング軸線F0bに対してチルト回転およびトラバース方向に微小並進せずにロックされる。
【0208】
<調芯機構150>
調芯機構150は、それぞれの回転トラック103a~103dを個別に調芯することができる。
調芯機構150は、それぞれの回転トラック103a~103dの両端の下方に設けられたVブロック153a~153dと、第1トラック101a~101dの端部の下方に設けられたカムフォロア151a~151dと、それぞれのカムフォロア151a~151dを進退可能に駆動する調芯駆動部(進退駆動部)154a~154dと、第2トラック102a~102dの端部の下方に設けられたカムフォロア152a~152dと、それぞれのカムフォロア152a~152dを進退可能に駆動する調芯駆動部(進退駆動部)156a~156dと、を有する。
【0209】
調芯機構150は、カムフォロア151a~152dがVブロック153a~153dに向かって進出し、Vブロック153a~153dに当接することで、回転トラック103a~103dの端部と、第1トラック101a~101dまたは第2トラック102a~102dの端部と、の位置決めをおこなって、調芯させる。
【0210】
Vブロック153aは、回転トラック103aの両端位置となるフローティングテーブル131aの下方にそれぞれ配置される。Vブロック153aは、回転トラック103aの幅方向中央と一致する頂角を有するV字凹部155aを有する。カムフォロア151a~152dがV字凹部155aに当接することで該当のトラックと回転トラック103aとの間で調芯がおこなわれる。
調芯機構150によって、両端位置で調芯がおこなわれることで回転トラック103aは、第1方向(X方向)または第2方向(Y方向)での搬送芯が一致した状態となる。
Vブロック153bは、回転トラック103bの両端位置となるフローティングテーブル131aの下方にそれぞれ配置される。Vブロック153bは、回転トラック103bの幅方向中央と一致する頂角を有するV字凹部155bを有する。カムフォロア151a~152dがV字凹部155bに当接することで該当のトラックと回転トラック103bとの間で調芯がおこなわれる。
調芯機構150によって、両端位置で調芯がおこなわれることで回転トラック103bは、第1方向(X方向)または第2方向(Y方向)での搬送芯が一致した状態となる。
【0211】
Vブロック153cは、回転トラック103cの両端位置となるフローティングテーブル131bの下方にそれぞれ配置される。Vブロック153cは、回転トラック103cの幅方向中央と一致する頂角を有するV字凹部155cを有する。カムフォロア151a~152dがV字凹部155cに当接することで該当のトラックと回転トラック103cとの間で調芯がおこなわれる。
調芯機構150によって、両端位置で調芯がおこなわれることで回転トラック103cは、第1方向(X方向)または第2方向(Y方向)での搬送芯が一致した状態となる。
Vブロック153dは、回転トラック103dの両端位置となるフローティングテーブル131bの下方にそれぞれ配置される。Vブロック153dは、回転トラック103dの幅方向中央と一致する頂角を有するV字凹部155dを有する。カムフォロア151a~152dがV字凹部155dに当接することで該当のトラックと回転トラック103dとの間で調芯がおこなわれる。
調芯機構150によって、両端位置で調芯がおこなわれることで回転トラック103dは、第1方向(X方向)または第2方向(Y方向)での搬送芯が一致した状態となる。
【0212】
調芯機構150は、回転トラック103a~103dの回転状態と、トラバース状態とによって、該当のトラックと調芯する。したがって、Vブロック153a~153dと、カムフォロア151a~151dと、調芯駆動部(進退駆動部)154a~154dとは、回転トラック103a~103dと第1トラック101a~101dとの搬送芯を合わせる第1調芯機構を構成する。
第1調芯機構によって、第1トラック101a~101dとの搬送芯を合わせた回転トラック103a~103dは、第1調芯位置にあると定義する。
【0213】
同様に、Vブロック153a~153dと、カムフォロア152a~152dと、調芯駆動部(進退駆動部)156a~156dとは、回転トラック103a~103dと第2トラック102a~102dとの搬送芯を合わせる第2調芯機構を構成する。
第2調芯機構によって、第2トラック102a~102dとの搬送芯を合わせた回転トラック103a~103dは、第2調芯位置にあると定義する。
【0214】
これら第1調芯機構および第2調芯機構は、搬送される搬送トレイCsの下端位置より下方に配置される。
【0215】
第1調芯位置と第2調芯位置とは、いずれも調芯機構150による調芯状態によって定義される。
このため、トラバース機構120は、回転駆動機構110による所定の回転位置において、第1調芯位置と第1調芯位置よりも回転軸線Z0に近接する回転可能位置との間、および、第2調芯位置と第2調芯位置よりも回転軸線Z0に近接する回転可能位置との間に、回転トラック103a~103dの搬送方向とは交差するトラバース方向に回転トラック103a~103dを移動して回転軸線Z0からの離間位置を増減する。
【0216】
ここで、回転可能位置は、図7に示された回転トラック103a~103dの位置である。回転可能位置においては、回転トラック103a~103dの端部は、第1トラック101a~101dの端部、あるいは、第2トラック102a~102dの端部と近接しておらず、調芯機構150は作用しない。なお、回転駆動機構110による回転トラック103a~103dの回転動作時には、調芯機構150のカムフォロア151a~152dは、回転トラック103a~103dから離間する搬送方向に退避している。
【0217】
カムフォロア151a~152dは、平面視してそれぞれ第1トラック101a~101dおよび第2トラック102a~102dの端部下方に位置する。このとき、図7に示すように、回転軸線Z0から第1トラック101a~101dおよび第2トラック102a~102dの端部までの半径R1は、回転軸線Z0から退避位置にあるカムフォロア151a~152dまでの半径R1と等しい。トラバース機構120がなく、回転トラック103a~103dを回転軸線Z0に近接させることができない場合、回転トラック103a~103dは、回転駆動機構110によって回転軸線Z0まわりに回転すると、第1トラック101a~101dおよび第2トラック102a~102dの端部に当接するおそれがある。そのため、第1トラック101a~101dおよび第2トラック102a~102dの端部が、搬送方向で回転軸線Z0に向けて後退せざるを得ない。これにより、トラック間における断続区間が長くなり、搬送トレイCsの搬送安定性を得ることができない。
【0218】
これに対し、回転可能位置にトラバースされて回転軸線Z0に近接した回転トラック103a~103dの回転範囲の半径R2は、半径R1よりも小さい。つまり、回転可能位置の回転トラック103a~103dは、回転駆動機構110によって回転軸線Z0まわりに回転しても、第1トラック101a~101dおよび第2トラック102a~102dの端部に当接することがない。
【0219】
本実施形態の回転移動ステージ(基板搬送装置)100では、このように、第1トラック101a~101dおよび第2トラック102a~102dの端部が、搬送方向で回転軸線Z0にむけて延出している。これにより、トラック間における断続区間が短くなり、搬送トレイCsの搬送に対する悪影響を低減することができ、搬送トレイCsの搬送安定性を向上することが可能となる。
【0220】
<浮上駆動部323a~323d>
回転トラック103a~103dは、いずれも磁気搬送部320として対応する浮上駆動部323a~323dと駆動方向変換部324a~324dとを有する。浮上駆動部323a~323dは、いずれも上述した浮上駆動部323に対応する。駆動方向変換部324a~324dは、いずれも上述した駆動方向変換部324に対応する。
【0221】
浮上駆動部323aと駆動方向変換部324aとは、回転トラック103aにおいて、搬送トレイCsを搬送可能とする。浮上駆動部323bと駆動方向変換部324bとは、回転トラック103bにおいて、搬送トレイCsを搬送可能とする。浮上駆動部323cと駆動方向変換部324cとは、回転トラック103cにおいて、搬送トレイCsを搬送可能とする。浮上駆動部323dと駆動方向変換部324dとは、回転トラック103dにおいて、搬送トレイCsを搬送可能とする。
【0222】
駆動方向変換部324aは、回転トラック103aの底部を下方に貫通し、さらに、フローティングテーブル131aを下方に貫通し、トラバース方向で、回転軸線Z0から離間する方向へと連続して浮上駆動部323aに接続される。駆動方向変換部324aは、2度駆動伝達方向を変換している。浮上駆動部323aは、平面視して、搬送方向でフローティングテーブル131aの中央付近、かつ、トラバース方向で回転軸線Z0から離間する位置に配置される。
浮上駆動部323aは、回転駆動機構110およびトラバース機構120によって回転トラック103aと一体に移動する。
【0223】
トラバース機構120によってトラバーステーブル121aおよびフローティングテーブル131aが回転軸線Z0に近接する回転可能位置にある場合には、浮上駆動部323aが回転トラック103a~103dの回転に対して干渉することがない。これは、回転トラック103a~103dが回転可能位置にある場合に、浮上駆動部323aは、回転軸線Z0まわりにおける回転トラック103a~103dの回転範囲である半径R2(図7参照)の内側に含まれているためである。
【0224】
これに対して、浮上駆動部323aを駆動する第1調芯位置および第2調芯位置では、回転トラック103a~103dを回転する必要がないため、半径R2よりも外側にはみ出していても悪影響がない。
また、浮上駆動部323aが、フローティングテーブル131aの下方に位置し、搬送される搬送トレイCsの下端位置より下方に配置されることで、搬送にともなうパーティクルの影響を抑制することが可能となる。
浮上駆動部323b~323dにおいても同様の作用効果を奏することができる。
【0225】
<上回転トラック200>
回転移動ステージ(基板搬送装置)100は、第1トラック101a~101dと、第2トラック102a~102dと、回転トラック103a~103dと、のそれぞれに対して、上述した磁気搬送トラック(磁気搬送ユニット)310に対する上ガイドトラック350と同等の構成を備える。
【0226】
ここで、第1トラック101a~101dと第2トラック102a~102dとは、チャンバに固定されているため、上述した上ガイドトラック350は、所定の手法でチャンバに固定すればよい。しかし、回転トラック103a~103dは、回転軸線Z0のまわりで回転した所定の角度状態でも、搬送トレイCsを搬送可能な状態で搬送トレイCsの上部をガイドする必要がある。このため、回転トラック103a~103dは、一体として回転するように上回転トラック200が設けられている。
上回転トラック200は、磁気的に非接触で搬送トレイCsの上部をガイドする構成は、上述した上ガイドトラック350と同じである。
【0227】
図10は、本実施形態における上回転トラックを示す模式下面図である。
上回転トラック200は、図6図10に示すように、略水平な第1方向(X方向)に沿ってトレイを搬送する4本の第1上トラック201a~201dと、第1方向(X方向)とは直交する略水平な第2方向(Y方向)に沿ってトレイを搬送する4本の第2上トラック202a~202dと、回転軸線Z0のまわりで第1方向(X方向)から第2方向(Y方向)へとトレイの搬送方向を変える4本の上回転トラック203a~203dと、を有する。
【0228】
第1上トラック201a~201dは、第1トラック101a~101dと対となり搬送トレイCsの上端を支持する。第2上トラック202a~202dは、第2トラック102a~102dと対となり搬送トレイCsの上端を支持する。第1上トラック201a~201dおよび第2上トラック202a~202dは、それぞれ第1トラック101a~101dおよび第2トラック102a~102dの配置に対応する。第1上トラック201a~201dおよび第2上トラック202a~202dは、それぞれ第1トラック101a~101dおよび第2トラック102a~102dと平行に配置される。
【0229】
上回転トラック203a~203dは、回転トラック103a~103dと対となり搬送トレイCsの上端を支持する。
なお、回転移動ステージ(基板搬送装置)100において、搬送トレイCsは、上述したように、基板Swの被処理面が若干下向きとなるように傾斜して縦型搬送される。このため、第1上トラック201a~201dおよび第2上トラック202a~202dは、上面視した際に、それぞれ第1トラック101a~101dおよび第2トラック102a~102dから、搬送トレイCsの傾斜に対応する寸法だけ水平方向にずれて配置される。上回転トラック203a~203dは、対となる回転トラック103a~103dよりも平面視して回転軸線Z0に近接して配置される。
【0230】
4本の上回転トラック203a~203dは、いずれも直線状に形成される。4本の上回転トラック203a~203dは、いずれも、互いに平行である。4本の上回転トラック203a~203dは、いずれも互いに平行な位置関係を維持する。
【0231】
4本の上回転トラック203a~203dは、図10に示す回転状態で、第2上トラック202aと第2上トラック202cとに搬送トレイCsを搬送可能な上回転トラック203aおよび上回転トラック203bと、第2上トラック202bと第2上トラック202dとに搬送トレイCsを搬送可能な上回転トラック203cおよび上回転トラック203dと、を有する。
【0232】
上回転トラック203aおよび上回転トラック203bは、図10に示す回転状態から反時計回りに90°回転することで、第1上トラック201bと第1上トラック201dとに搬送トレイCsを搬送可能な状態となる。また、上回転トラック203aおよび回転トラック103bは、図10に示す回転状態から反時計回りに180°回転することで、第2上トラック202bと第2上トラック202dとに搬送トレイCsを搬送可能な状態となる。上回転トラック203aおよび上回転トラック203bは、図10に示す回転状態から時計回りに90°回転することで、第1上トラック201aと第1上トラック201cとに搬送トレイCsを搬送可能な状態となる。上回転トラック203cおよび上回転トラック203dも同様である。
【0233】
このように、上回転トラック203a~203dは、回転軸線Z0の周りに回転して、第1上トラック201a~201dに対して搬送芯を合わせて搬送トレイCsを連続して搬送可能な第1調芯位置と、第2上トラック202a~202dに対して搬送芯を合わせて搬送トレイCsを連続して搬送可能な第2調芯位置と、のそれぞれに対応する回転位置に回転可能である。
ここで、第1調芯位置とは、上回転トラック203a~203dが第1上トラック201a~201dに対して搬送芯を合わせた状態を意味する。また、第2調芯位置とは、上回転トラック203a~203dが第2上トラック202a~202dに対して搬送芯を合わせた状態を意味する。
【0234】
上回転トラック203aおよび上回転トラック203bとは、互いの距離を変えずに回転軸線Z0のまわりに回転可能である。上回転トラック203aおよび上回転トラック203bとは、互いの距離を変えずに回転軸線Z0からの距離を変えるトラバース移動が可能である。上回転トラック203aよりも上回転トラック203bが回転軸線Z0に近接する。
上回転トラック203cおよび上回転トラック203dとは、互いの距離を変えずに回転軸線Z0のまわりに回転可能である。上回転トラック203cおよび上回転トラック203dとは、互いの距離を変えずに回転軸線Z0からの距離を変えるトラバース移動が可能である。上回転トラック203cよりも上回転トラック203dが回転軸線Z0に近接する。
【0235】
上回転トラック203a~203dにおける回転移動およびトラバース移動を可能とし、かつ搬送トレイCsを搬送可能とするために、回転移動ステージ(基板搬送装置)100は、上回転駆動機構210と、上トラバース機構220と、制御部100Cと、を有する。
【0236】
<上回転駆動機構210>
上回転駆動機構210は、上回転トラック203a~203dを、回転軸線Z0の周りに回転する。このとき、搬送トレイCsの傾斜角度を維持する。上回転駆動機構210は、上回転トラック203a~203dを回転トラック103a~103dと同時に回転軸線Z0の周りに回転する。
上回転駆動機構210は、回転軸線Z0の周りに回転可能な上回転テーブル211と、上回転テーブル211の回転をガイドする上回転ガイド212と、上回転テーブル211を回転する上回転駆動源213と、を有する。
【0237】
上回転テーブル211は、チャンバの天井に対して回転可能に支持される。上回転ガイド212は、上回転テーブル211の上方に位置する。上回転ガイド212は、上回転テーブル211の回転を規制可能な構成であれば、駆動軸等をそのまま用いるか、省略してもよい。上回転駆動源213は、上回転テーブル211の上方に配置され、上回転テーブル211の中心軸にギア等を介して接続されて、これを駆動するモータ等とされる。上回転駆動源213は、チャンバの外方に配置される。
【0238】
<上トラバース機構220>
上トラバース機構220は、上回転駆動機構210による所定の回転位置において、上回転トラック203a~203dの搬送方向とは直交するトラバース方向に上回転トラック203a~203dを移動して、回転軸線Z0から上回転トラック203a~203dまでの離間位置を増減する。このとき、搬送トレイCsの傾斜角度を維持する。
上トラバース機構220は、上回転トラック203a~203dを回転トラック103a~103dと同じトラバース方向に移動する。
【0239】
上トラバース機構220は、上回転トラック203a~203dを上回転テーブル211の下方で支持する2つの上トラバーステーブル221a,221bと、上トラバーステーブル221a,221bの移動を上回転テーブル211に対してトラバース方向にガイドする上トラバースガイド222a,222bと、上トラバーステーブル221a,221bを上回転テーブル211に対してトラバース方向に移動する上トラバース駆動源223a,223bと、を有する。
【0240】
2つの上トラバーステーブル221aと上トラバーステーブル221bとは、回転軸線Z0を挟んでトラバース方向に離間して互いに平行に2つ配置される。
上トラバーステーブル221aは、2本の上回転トラック203aおよび上回転トラック203bを支持する。上トラバーステーブル221aは、上トラバースガイド222aによって支持される。上トラバースガイド222aは、トラバース方向に延在して上回転テーブル211に固定される2本の平行な上ガイドレール222c,222dによって、トラバース方向に移動方向を規制される。上トラバーステーブル221aは、上トラバース駆動源223aによってトラバース方向に移動可能とされる。上トラバース駆動源223aは、モータ等とされ、たとえば、ボールネジを介して上トラバーステーブル221aを直線状に移動する。
【0241】
上トラバーステーブル221bは、2本の上回転トラック203cおよび上回転トラック203dを支持する。上トラバーステーブル221bは、上トラバースガイド222bによって支持される。上トラバースガイド222bは、トラバース方向に延在して上回転テーブル211に固定される2本の平行な上ガイドレール222c,222dによって、トラバース方向に移動方向を規制される。上トラバーステーブル221bは、上トラバース駆動源223bによってトラバース方向に移動可能とされる。上トラバース駆動源223bは、モータ等とされ、たとえば、ボールネジを介して上トラバーステーブル221bを直線状に移動する。
【0242】
上ガイドレール222cと上ガイドレール222dとは、トラバース方向に延在し、互いに離間して平行に配置される。上ガイドレール222cと上ガイドレール222dとは、ガイドレール122cとガイドレール122dとから離間して平行に配置される。
上トラバース駆動源223aと上トラバース駆動源223bとは、ボールネジ等の駆動回転軸線がトラバース方向に延在し、互いに離間して平行に配置される。上トラバースガイド222aと上トラバースガイド222bとは、互いにトラバース方向に離間して、上ガイドレール222cと上ガイドレール222dとに移動可能に支持される。上トラバースガイド222aと上トラバースガイド222bとは、互いにトラバース方向に独立して上ガイドレール222cと上ガイドレール222dとに対して移動可能である。
【0243】
上トラバーステーブル221aには、上回転トラック203aと上回転トラック203bとが下面に固定される。上トラバーステーブル221bには、上回転トラック203cと上回転トラック203dとが上面に固定される。
【0244】
制御部100Cは、回転駆動機構110と上回転駆動機構210とを同時に回転駆動させるとともに、トラバース機構120と上トラバース機構220とを同時に駆動させる。
これにより、回転駆動機構110と上回転駆動機構210との同時駆動によって、回転テーブル111と上回転テーブル211とが、同時に回転する。したがって、上回転トラック203a~203dと回転トラック103a~103dとは、同時に回転する。
【0245】
また、トラバース機構120と上トラバース機構220との同時駆動によって、上トラバーステーブル221aとトラバーステーブル121aとは、平面視した互いの位置を維持してトラバース方向に移動する。あるいは、トラバース機構120と上トラバース機構220との同時駆動によって、上トラバーステーブル221bとトラバーステーブル121bとは、平面視した互いの位置を維持してトラバース方向に移動する。したがって、
上回転トラック203a~203dと回転トラック103a~103dとは、平面視した互いの位置を維持してトラバース方向に移動する。
【0246】
次に、本実施形態の回転移動ステージ(基板搬送装置)における搬送動作を説明する。
【0247】
図11図24は、本実施形態の回転移動ステージ(基板搬送装置)における動作を説明する上面工程図である。なお、以下の説明では、他の図も適宜参照する。
本実施形態の回転移動ステージ(基板搬送装置)100で基板Swを載せた搬送トレイCsを搬送するには、まず、図11に示すように、回転駆動機構110によって、回転トラック103a~103dを、その搬送方向がY方向に沿う角度となるように回転軸線Z0の周りで回転する。
【0248】
同様に、上回転駆動機構210によって、上回転トラック203a~203dも、その搬送方向がY方向に沿う角度となるように回転軸線Z0の周りで回転する。このとき、制御部100Cは、回転駆動機構110と上回転駆動機構210とにおいて、同時に回転動作を開始させるとともに、同時に回転動作を停止する。この間、搬送トレイCsは所定の傾斜角度を維持するように、回転トラック103a~103dと上回転トラック203a~203dとの位置関係を維持する。
【0249】
同時に、トラバース機構120によって、図11に示すように、トラバーステーブル121aをトラバース移動し、回転トラック103bを第2トラック102aおよび第2トラック102cに対して搬送芯を合わせる。このとき、回転トラック103bは、第2調芯位置にある。
【0250】
この状態では、回転トラック103bと第2トラック102aとは、調芯機構150のカムフォロア152aをVブロック153bのV字凹部155bに当接することによって、搬送芯を合わせる。回転トラック103bと第2トラック102cとは、調芯機構150のカムフォロア152cをVブロック153bのV字凹部155bに当接することによって、搬送芯を合わせる。
ロック機構140では、挟持部142a,142aがロック凸部141aに当接しておらずロック解除状態である。回転トラック103bはロックされていないフローティング状態であるが、調芯機構150によってその両端の位置決めがなされていることで、チルト回転と微小並進との動きはしない。
【0251】
同時に、上トラバース機構220によって、上トラバーステーブル221aをトラバース移動し、上回転トラック203bを第2上トラック202aおよび第2上トラック202cに対して搬送可能な位置に合わせる。このとき、上回転トラック203bは、第2調芯位置に対応する位置にある。
【0252】
同時に、トラバース機構120によって、図11に示すように、トラバーステーブル121bをトラバース移動し、回転トラック103dを第2トラック102bおよび第2トラック102dに対して搬送芯を合わせる。このとき、回転トラック103dは、第2調芯位置にある。
【0253】
この状態では、回転トラック103dと第2トラック102bは、調芯機構150のカムフォロア152bをVブロック153dのV字凹部155dに当接することによって、搬送芯を合わせる。回転トラック103dと第2トラック102dとは、調芯機構150のカムフォロア152dをVブロック153dのV字凹部155bに当接することによって、搬送芯を合わせる。
ロック機構140では、挟持部142b,142bがロック凸部141bに当接しておらずロック解除状態である。回転トラック103dはロックされていないフローティング状態であるが、調芯機構150によってその両端の位置決めがなされていることで、チルト回転と微小並進との動きはしない。
【0254】
同時に、上トラバース機構220によって、上トラバーステーブル221bをトラバース移動し、上回転トラック203dを第2上トラック202bおよび第2上トラック202dに対して搬送芯を合わせる。このとき、上回転トラック203dは、第2調芯位置に対応した位置にある。
【0255】
回転トラック103bと第2トラック102aとの搬送軸線H0が一致して搬送芯が合っている状態を維持する。この状態で、浮上駆動部323による回転駆動を、駆動方向変換部324を介して伝達し、第2トラック102aの回転軸321aを回転することで、第2トラック102aに沿って搬送トレイCsを搬送する。同時に、浮上駆動部323bによる回転駆動を、駆動方向変換部324bを介して伝達し、回転トラック103bの回転軸321aを回転することで、回転トラック103bに沿って搬送トレイCsを搬送する。
これにより、第2トラック102aから搬送されてきた搬送トレイCsを、図12に示すように、断続区間を越えて回転トラック103bへと搬送する。本実施形態では断続区間が短いため、搬送トレイCsの浮上力が変化しない程度にしか影響がない。
【0256】
同様に、回転トラック103dと第2トラック102dとの搬送軸線H0が一致して搬送芯が合っている状態を維持する。この状態で、浮上駆動部323による回転駆動を、駆動方向変換部324を介して伝達し、第2トラック102dの回転軸321aを回転することで、第2トラック102dに沿って搬送トレイCsを搬送する。同時に、浮上駆動部323dによる回転駆動を、駆動方向変換部324dを介して伝達し、回転トラック103dの回転軸321aを回転することで、回転トラック103dに沿って搬送トレイCsを搬送する。
これにより、第2トラック102dから搬送されてきた搬送トレイCsを、図12に示すように、断続区間を越えて、回転トラック103dへと搬送する。本実施形態では断続区間が短いため、搬送トレイCsの浮上力が変化しない程度にしか影響がない。
【0257】
第2トラック102aとの断続区間を越えて、図13に示すように、搬送トレイCsの両端部が回転トラック103bの両端部よりもフローティング軸線F0aに近接した状態となったら、浮上駆動部323bの駆動を停止する。これにより、搬送トレイCsは回転トラック103bの上で停止して、搬送トレイCsは回転トラック103bに載置された状態となり、搬送方向へはそれ以上移動しない。このとき、第2トラック102aにおいても、少なくとも回転トラック103bに近接する範囲で浮上駆動部323による回転駆動を停止する。
【0258】
同様に、第2トラック102dとの断続区間を越えて、図13に示すように、搬送トレイCsの両端部が回転トラック103dの両端部よりもフローティング軸線F0bに近接した状態となったら、浮上駆動部323dの駆動を停止する。これにより、搬送トレイCsは回転トラック103dの上で停止して、搬送トレイCsは回転トラック103dに載置された状態となり、搬送方向へはそれ以上移動しない。このとき、第2トラック102dにおいても、少なくとも回転トラック103dに近接する範囲で浮上駆動部323による回転駆動を停止する。
【0259】
次いで、図14に示すように、調芯機構150のカムフォロア152aをVブロック153bのV字凹部155bから離間する。同時に、カムフォロア152cをVブロック153bのV字凹部155bから離間する。
この状態では、回転トラック103bと第2トラック102aとは、搬送芯は合わせられていない。同様に、回転トラック103bと第2トラック102cとは、搬送芯は合わせられていない。また、ロック機構140は、フローティングテーブル131aに対してロック解除状態である。
これにより、回転トラック103bおよびフローティングテーブル131aはロックされていないフローティング状態となる。フローティングテーブル131aは、フローティング軸線F0aまわりのチルト回転とX方向へ微小並進との動作が可能な状態となる。
【0260】
同様に、図14に示すように、調芯機構150のカムフォロア152bをVブロック153dのV字凹部155dから離間する。同時に、カムフォロア152dをVブロック153dのV字凹部155dから離間する。
この状態では、回転トラック103dと第2トラック102bとは、搬送芯は合わせられていない。同様に、回転トラック103dと第2トラック102bとは、搬送芯は合わせられていない。また、ロック機構140は、フローティングテーブル131bに対してロック解除状態である。
これにより、回転トラック103dおよびフローティングテーブル131bはロックされていないフローティング状態となる。フローティングテーブル131bは、フローティング軸線F0bまわりのチルト回転とX方向への微小並進との動作が可能な状態となる。
【0261】
次いで、図15に示すように、ロック機構140の挟持部142a,142aをロック凸部141aに当接する。これにより、回転トラック103bおよびフローティングテーブル131aはロックされる。フローティングテーブル131aは、フローティング軸線F0aまわりのチルト回転とX方向へ微小並進との動作ができないロック状態となる。
【0262】
同様に、図15に示すように、ロック機構140の挟持部142b,142bをロック凸部141bに当接する。これにより、回転トラック103dおよびフローティングテーブル131bはロックされる。フローティングテーブル131bは、フローティング軸線F0bまわりのチルト回転とX方向へ微小並進との動作ができないロック状態となる。
【0263】
次いで、図16に示すように、トラバース機構120を駆動して、フローティングテーブル131aおよびトラバーステーブル121aをX方向にトラバース移動して、回転軸線Z0へと近接する。これにより、フローティングテーブル131aの上の回転トラック103aおよび回転トラック103bは、回転可能位置となる。回転可能位置となったフローティングテーブル131aでは、その回転範囲、つまり、回転軸線Z0からもっとも遠いフローティングテーブル131aは、破線で表した領域を回転する。この回転半径は、R2である。
【0264】
トラバーステーブル121aのX方向へのトラバース移動の間、ロック機構140がフローティングテーブル131aをフローティング軸線F0aまわりのチルト回転とX方向へ微小並進との動作ができないロック状態として、これを維持する。
この際、制御部100Cによって、上トラバース機構220を駆動して、上トラバーステーブル221aをX方向に同時にトラバース移動して、回転軸線Z0へと近接する。これにより、上トラバーステーブル221aの上回転トラック203aおよび上回転トラック203bは、回転可能位置となる。
【0265】
同時に、上トラバース機構220によって、上トラバーステーブル221aをトラバース移動し、上回転トラック203bを回転可能位置に対応する位置に合わせる。
【0266】
同様に、図16に示すように、トラバース機構120を駆動して、フローティングテーブル131bおよびトラバーステーブル121bをX方向にトラバース移動して、回転軸線Z0へと近接する。これにより、フローティングテーブル131bの上の回転トラック103cおよび回転トラック103dは、回転可能位置となる。回転可能位置となったフローティングテーブル131bでは、その回転範囲、つまり、回転軸線Z0からもっとも遠いフローティングテーブル131bは、破線で表した領域を回転する。この回転半径は、R2である。
【0267】
トラバーステーブル121bのX方向へのトラバース移動の間、ロック機構140が、フローティングテーブル131bをフローティング軸線F0bまわりのチルト回転とX方向へ微小並進との動作ができないロック状態として、これを維持する。
この際、制御部100Cによって、上トラバース機構220を駆動して、上トラバーステーブル221bをX方向に同時にトラバース移動して、回転軸線Z0へと近接する。これにより、上トラバーステーブル221bの上回転トラック203cおよび上回転トラック203dは、回転可能位置となる。
【0268】
同時に、上トラバース機構220によって、上トラバーステーブル221bをトラバース移動し、上回転トラック203dを回転可能位置に対応する位置に合わせる。
【0269】
次いで、図17に示すように、回転駆動機構110を駆動して、回転テーブル111を回転軸線Z0のまわりに回転する。さらに、図18に示すように、回転駆動機構110を駆動して、回転テーブル111を回転軸線Z0のまわりに回転する。この回転動作中は、ロック機構140のロック状態を維持している。
この際、制御部100Cによって、上回転駆動機構210も駆動して、上回転テーブル211を回転軸線Z0のまわりに同時に回転する。この間、搬送トレイCsの傾斜角度を維持する。
【0270】
次いで、図19に示すように、回転トラック103a~103dの搬送方向がX方向となる位置で、回転軸線Z0のまわりの回転テーブル111の回転を停止する。回転テーブル111の回転が停止した時点では、回転トラック103a~103dは、回転可能位置を維持している。回転テーブル111の回転が停止した時点では、ロック機構140のロック状態を維持している。
【0271】
次いで、図20に示すように、トラバース機構120によって、トラバーステーブル121aをトラバース移動し、回転トラック103bを第1トラック101bおよび第1トラック101dに対して搬送芯を合わせる。このとき、回転トラック103bは、第1調芯位置にある。トラバース移動動作中は、トラバーステーブル121aに対するロック機構140のロック状態を維持している。
【0272】
同時に、上トラバース機構220によって、上トラバーステーブル221aをトラバース移動し、上回転トラック203bを第1上トラック201bおよび第1上トラック201dに対して搬送可能な位置に合わせる。このとき、上回転トラック203bは、第1調芯位置に対応する位置にある。
【0273】
同時に、図20に示すように、トラバース機構120によって、トラバーステーブル121bをトラバース移動し、回転トラック103dを第1トラック101aおよび第1トラック101cに対して搬送芯を合わせる。このとき、回転トラック103dは、第1調芯位置にある。トラバース移動動作中は、トラバーステーブル121bに対するロック機構140のロック状態を維持している。
【0274】
同時に、上トラバース機構220によって、上トラバーステーブル221bをトラバース移動し、上回転トラック203dを第1上トラック201aおよび第1上トラック201cに対して搬送可能な位置に合わせる。このとき、上回転トラック203dは、第1調芯位置に対応する位置にある。
【0275】
次いで、図21に示すように、トラバーステーブル121aに対するロック機構140のロック状態を解除する。
ロック機構140では、挟持部142a,142aがロック凸部141aから離間してロック解除状態となる。これにより、回転トラック103bはロックされていないフローティング状態になる。同時に、調芯機構150によってその両端の位置決めがなされていないことで、トラバーステーブル121aは、フローティング軸線F0aのまわりのチルト回転とY方向への微小並進との動きが可能なフローティング状態となる。
【0276】
同時に、図21に示すように、トラバーステーブル121bに対するロック機構140のロック状態を解除する。
ロック機構140では、挟持部142b,142bがロック凸部141bから離間してロック解除状態となる。これにより、回転トラック103dはロックされていないフローティング状態になる。同時に、調芯機構150によってその両端の位置決めがなされていないことで、トラバーステーブル121bは、フローティング軸線F0bのまわりのチルト回転とY方向への微小並進との動きが可能なフローティング状態となる。
【0277】
次いで、図22に示すように、回転トラック103bと第1トラック101bとは、調芯機構150のカムフォロア151bをVブロック153bのV字凹部155bに当接することによって、搬送芯を合わせる。回転トラック103bと第1トラック101dとは、調芯機構150のカムフォロア151dをVブロック153bのV字凹部155bに当接することによって、搬送芯を合わせる。
この状態では、ロック機構140の挟持部142a,142aがロック凸部141aに当接しておらずロック解除状態である。回転トラック103bはロックされていないため、フローティング機構130によってフローティング軸線F0aに対するフローティング状態であるが、調芯機構150によってその両端の位置決めがなされていることで、トラバーステーブル121aは、チルト回転と微小並進との動きはしない。したがって、回転トラック103bと第1トラック101bとの搬送軸線H0が一致して、搬送芯を合わせることができる。
【0278】
同時に、図22に示すように、回転トラック103dと第1トラック101aは、調芯機構150のカムフォロア151aをVブロック153dのV字凹部155dに当接することによって、搬送芯を合わせる。回転トラック103dと第1トラック101cとは、調芯機構150のカムフォロア151cをVブロック153dのV字凹部155bに当接することによって、搬送芯を合わせる。
この状態では、ロック機構140の挟持部142b,142bがロック凸部141bに当接しておらずロック解除状態である。回転トラック103dはロックされていないため、フローティング機構130によってフローティング軸線F0bに対するフローティング状態であるが、調芯機構150によってその両端の位置決めがなされていることで、トラバーステーブル121aは、チルト回転と微小並進との動きはしない。したがって、回転トラック103dと第1トラック101aとの搬送軸線H0が一致して、搬送芯を合わせることができる。
【0279】
次いで、回転トラック103bと第1トラック101bとの搬送軸線H0が一致して搬送芯が合っている状態を維持して、浮上駆動部323bによる回転駆動を、駆動方向変換部324bを介して伝達し、回転トラック103bの磁気回転部321を回転することで、回転トラック103bに沿って搬送トレイCsを搬送する。同時に、浮上駆動部323による回転駆動を、駆動方向変換部324を介して伝達し、第1トラック101bの磁気回転部321を回転することで、第1トラック101bに沿って搬送トレイCsを搬送する。回転トラック103bにおける磁気回転部321の回転と、第1トラック101bにおける磁気回転部321の回転とは、搬送トレイCsの搬送に影響がないように、同期駆動等をおこなうことで、調整される。
これにより、回転トラック103bに載置されていた搬送トレイCsを、図23に示すように、断続区間を越えて第1トラック101bへと搬送する。本実施形態では断続区間が短いため、搬送トレイCsの浮上力が変化しない程度にしか影響がない。
【0280】
同時に、回転トラック103dと第1トラック101aとの搬送軸線H0が一致して搬送芯が合っている状態を維持して、浮上駆動部323dによる回転駆動を、駆動方向変換部324dを介して伝達し、回転トラック103dの磁気回転部321を回転することで、回転トラック103dに沿って搬送トレイCsを搬送する。同時に、浮上駆動部323による回転駆動を、駆動方向変換部324を介して伝達し、第1トラック101aの磁気回転部321を回転することで、第1トラック101aに沿って搬送トレイCsを搬送する。回転トラック103dにおける磁気回転部321の回転と、第1トラック101aにおける磁気回転部321の回転とは、搬送トレイCsの搬送に影響がないように、同期駆動等をおこなうことで調整される。
これにより、回転トラック103dに載置されていた搬送トレイCsを、図23に示すように、断続区間を越えて第1トラック101aへと搬送する。本実施形態では断続区間が短いため、搬送トレイCsの浮上力が変化しない程度にしか影響がない。
【0281】
さらに、図24に示すように、搬送トレイCsを第1方向(X方向)へと搬送する。
これにより、第2方向(Y方向)に搬送されてきた搬送トレイCsの搬送方向を、第1方向(X方向)へと変更することができる。
【0282】
なお、上記の説明では、2枚の搬送トレイCsを同時に搬送して回転移動ステージ100に載置して後、回転して搬送方向を変えたが、1枚ずつ搬送および回転させることもできる。
【0283】
また、回転トラック103aおよび回転トラック103cには搬送トレイCsを載置しないで回転動作する工程を説明したが、あらかじめ、回転トラック103aおよび回転トラック103cにそれぞれ搬送トレイCsを載置した状態で、図11図13に示すように、第2トラック102aおよび第2トラック102dから、回転トラック103bおよび回転トラック103dにそれぞれ搬送トレイCsを受け入れる動作をおこなうこともできる。
【0284】
この場合、次の動作としては、調芯機構150による回転トラック103bおよび回転トラック103dの調芯状態を解除して、ロック機構140によって回転トラック103bおよび回転トラック103dをロックする。そして、トラバース機構120によって、回転トラック103aおよび回転トラック103cを第2調芯位置にトラバース移動する。
【0285】
次いで、調芯機構150によって回転トラック103aと第2トラック102aとの搬送芯を合わせる。同時に、調芯機構150によって回転トラック103cと第2トラック102dとの搬送芯を合わせる。
次いで、回転トラック103aおよび回転トラック103cの磁気回転部321を駆動して、回転トラック103aから搬送トレイCsを第2トラック102aへと搬送する。同時に、回転トラック103cから搬送トレイCsを第2トラック102dへと搬送することができる。この後の動作は、図14からに示した動作と同様に、回転動作をおこなうことができる。
【0286】
このように、回転移動ステージ100が時計方向に90度回転すると、第1プロセスチャンバPc1の第1副搬送路Sr1、第1回転チャンバTc1の第2主搬送路Mr2、および、第6プロセスチャンバPc6の第1副搬送路Sr1が、第2方向(Y方向)に沿って整列され、第1プロセスチャンバPc1の第2副搬送路Sr2、第1回転チャンバTc1の第1主搬送路Mr1及び第6プロセスチャンバPc6の第2副搬送路Sr2が第2方向(Y方向)に沿って整列される(図1参照)。
【0287】
この状態で、回転移動ステージ100を第1方向(X方向)に沿って所定のストローク長さだけ移動させると、第2方向(Y方向)に整列される2つの第1副搬送路Sr1、第2副搬送路Sr2は、主搬送トラックTr11、主搬送トラックTr12のいずれか、および主搬送トラックTr21、主搬送トラックTr22のいずれかと整列することができる。これにより、第1回転チャンバTc1と第1プロセスチャンバPc1と第6プロセスチャンバPc6との間で搬送トレイCsをやり取りすることができる。このとき、搬送トレイCsは基板Swの処理面が各チャンバの内面に向かう状態を維持する(図1参照)。
【0288】
上記の説明では、搬送トレイCsとしては、被処理基板(基板)Swとともに搬送するように説明したが、あるいは、搬送トレイCsが基板Swの処理に用いられるマスクMsとともに搬送することもできる。
【0289】
本実施形態の回転移動ステージ(基板搬送装置)100によれば、第1方向(X方向)と第2方向(方向)との間で搬送トレイCsの搬送方向を変える際に、トラバース機構120によって第1調芯位置または第2調芯位置にあった回転トラック103a~103dを回転可能位置へとトラバースすることで、第1調芯位置または第2調芯位置にあった回転トラック103a~103dの回転範囲に比べて、回転可能位置での回転範囲を半径R2として小さくすることができる。したがって、第1トラック101a~101dおよび第2トラック102a~102dを回転トラック103a~103dの回転範囲に向けて伸長して、断続区間を短縮することができる。言い換えれば、回転軸線Z0を中心として半径R2で示される回転可能位置での回転範囲が、第1調芯位置または第2調芯位置にあった回転トラック103a~103dの回転範囲を越えなければ、第1トラック101a~101dおよび第2トラック102a~102dの端部を、当初の位置よりもさらに回転トラック103a~103dの回転範囲側に向けて伸長してもよい。
【0290】
このように回転範囲を半径R2として縮小した後に、回転駆動機構110によって回転トラック103a~103dを回転し、トラバース機構120によって回転可能位置から第1調芯位置または第2調芯位置へとトラバースすることにより、断続区間を短縮しても、回転トラック103a~103dの端部が第1トラック101a~101dおよび第2トラック102a~102dに当接することなく、回転トラック103a~103dの回転動作をおこなうことができる。
【0291】
したがって、回転トラック103a~103dと第1トラック101a~101d、および、回転トラック103a~103dと第2トラック102a~102dとの間で搬送路(トラック)の分断された断続区間を、第1調芯位置または第2調芯位置で回転トラック103a~103dを回転する場合に比べて、短縮することが可能となる。これにより、搬送路(トラック)が分断されていることにより発生する、断続区間での第1トラック101a~101dおよび第2トラック102a~102dと、回転トラック103a~103dと、のトラバース方向における位置ずれを抑制することができる。
【0292】
これにより、磁気浮上搬送において影響の大きい搬送芯でのズレ発生を抑制できる。さらに、断続区間を通過する搬送トレイCsに対して、断続区間で発生する搬送トレイCsの姿勢変化を抑制するとともに、断続区間で発生する衝撃を抑制することが可能となる。同時に、搬送トレイCsといずれかの搬送路(トラック)とが接触してしまうことを防止できる。
【0293】
従って、搬送トレイCsの搬送速度を低下させることがない。このため、タクトタイムを短縮し、基板処理コストを縮小することができる。
回転駆動機構110、トラバース機構120、フローティング機構130、ロック機構140、調芯機構150がいずれも搬送トレイCsの下端位置よりも下方に配置されていることで、基板Swへのパーティクルの影響を低減することが可能となる。
【0294】
また、回転駆動機構110により回転トラック103a~103dを回転させる際、および、トラバース機構120により回転トラック103a~103dをトラバース移動させる際に、ロック機構140によって回転トラック103a~103dを位置規制することが可能となる。
【0295】
回転トラック103a~103dの搬送芯を合わせる際には、フローティング機構130によってフローティング状態とした後、調芯機構150によって回転トラック103a~103dの両端位置でそれぞれ搬送芯を合わせることができ、極めて正確な芯合わせを容易におこなうことができる。このため搬送トレイCsの搬送への断続区間の影響を低減することが容易に可能となる。
【0296】
複数の搬送トレイCsをそれぞれ回転トラック103a~103dに載置して搬送方向を変えることが可能であるため、たとえば、プロセスチャンバへの基板入れ替えに用いることができる。
制御部100Cによる回転駆動機構110と上回転駆動機構210との同時駆動、および、トラバース機構120と上トラバース機構220との同期駆動を可能としたことで、これらの回転動作およびトラバース動作に際する制御容易性を向上することが可能となる。
【0297】
浮上駆動部323a~323dを回転トラック103a~103dと一体に回転可能かつトラバース移動可能としたことで、回転軸線Z0まわりにおける回転トラック103a~103dの向きに関係なく、磁気回転部321を駆動することが容易となる。また、浮上駆動部323a~323dが回転トラック103a~103dの回転範囲に影響がない位置に配置することができる。
【0298】
同時に、駆動方向変換部324a~324dによって回転伝達方向を2度折り曲げて、フローティングテーブル131aおよびフローティングテーブル131bから側方に突出するように浮上駆動部323a~323dを配置したことで、回転移動ステージ100の高さ方向寸法を小さくし、回転チャンバTc1~Tc3の省スペース化を図ることができる。
【0299】
以下、本発明に係る基板搬送装置の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0300】
図25は、本実施形態の回転移動ステージ(基板搬送装置)における上下調芯機構を説明する模式上面図である。図26は、本実施形態の回転移動ステージ(基板搬送装置)における上下調芯機構を説明する模式正面図である。図27は、本実施形態の回転移動ステージ(基板搬送装置)における上下調芯機構を説明する模式側面図である。
本実施形態において、上述した第1実施形態と異なるのは、上下調芯機構に関する点であり、これ以外の上述した第1実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。なお、図25図27において、図6図9で記載した符号を省略したものものある。
【0301】
<上下調芯機構160>
本実施形態の回転移動ステージ(基板搬送装置)100は、さらに、上下調芯機構160を有することができる。
【0302】
上下調芯機構160は、図25図27に示すように、回転トラック103a~103dと、第1トラック101a~101dまたは第2トラック102a~102dとの間で搬送トレイCsの搬送をおこなう第1調芯位置または第2調芯位置において、回転トラック103a~103dの高さ位置(Z方向位置)を規定する。
【0303】
具体的には、上下調芯機構160は、トラバース機構120によって第1調芯位置または第2調芯位置までトラバース方向に移動した回転トラック103a~103dの搬送重量を支持する重量支持部161a~161dと、第1調芯位置で重量支持部161a~161dに下方から当接して回転トラック103a~103dの搬送重量を支持する第1支持台部162a~162dと、第2調芯位置で重量支持部161a~161dに下方から当接して回転トラック103a~103dの搬送重量を支持する第2支持台部163a~163dと、を有する。
【0304】
重量支持部161a~161dは、いずれも、トラバーステーブル121a,121bの下側に回転可能に配置された転動体である。
重量支持部161aと重量支持部161bとは、トラバーステーブル121aの搬送方向の両端付近にそれぞれ配置される。重量支持部161aと重量支持部161bとは、いずれもトラバーステーブル121aのトラバース方向の中央付近にそれぞれ配置される。重量支持部161aと重量支持部161bとは、トラバーステーブル121aの下面から同じZ方向寸法だけ下方に突出している。
【0305】
重量支持部161cと重量支持部161dとは、トラバーステーブル121bの搬送方向の両端付近にそれぞれ配置される。重量支持部161cと重量支持部161dとは、いずれもトラバーステーブル121bのトラバース方向の中央付近にそれぞれ配置される。重量支持部161cと重量支持部161dとは、トラバーステーブル121bの下面から同じZ方向寸法だけ下方に突出している。
【0306】
第1支持台部162a~162dと第2支持台部163a~163dとは、いずれも、チャンバ床部等に固定配置される。第1支持台部162a~162dと第2支持台部163a~163dとは、その上端に、いずれも同じ高さ位置である平面を有する。第1支持台部162a~162dと第2支持台部163a~163dとは、その上面に重量支持部161a~161dが当接することで、その上面からトラバーステーブル121aおよびトラバーステーブル121bまでの高さを規定することができる。
【0307】
第1支持台部162a~162dと第2支持台部163a~163dとは、回転位置のトラバーステーブル121a,121bが回転する際に、重量支持部161a~161dの回転範囲よりも径方向外方に固定配置される。ここで、重量支持部161a~161dの回転範囲を示す回転半径R3を図25に示す。平面視して、第1支持台部162a~162dと第2支持台部163a~163dとは、この半径R3の円内に入っていないことがわかる。
【0308】
第1支持台部162aは、平面視して第1トラック101aの近傍に配置される。第1支持台部162bは、平面視して第1トラック101bの近傍に配置される。第1支持台部162cは、平面視して第1トラック101cの近傍に配置される。第1支持台部162dは、平面視して第1トラック101dの近傍に配置される。
【0309】
ここで、第1支持台部162aおよび第1支持台部162cは、第1トラック101aおよび第1トラック101cと、回転トラック103a~103dのいずれかを第1調芯位置とする場合に用いる。
【0310】
たとえば、回転トラック103aまたは回転トラック103bを第1トラック101aおよび第1トラック101cに対して第1調芯位置とする場合には、回転駆動機構110によってこれらのトラック搬送方向を合わせ、トラバース機構120によってトラバーステーブル121aをトラバース方向に移動する。すると、重量支持部161aが第1支持台部162aに乗り上げるとともに、重量支持部161bが第1支持台部162cに乗り上げる。これにより、トラバーステーブル121aが第1支持台部162aと第1支持台部162cとに対して所定の高さとなる。したがって、第1調芯位置において回転トラック103aまたは回転トラック103bが、第1トラック101aおよび第1トラック101cに対して搬送芯高さを合わせた状態とすることができる。
【0311】
同様に、回転トラック103cまたは回転トラック103dを第1トラック101aおよび第1トラック101cに対して第1調芯位置とする場合には、回転駆動機構110によってこれらのトラック搬送方向を合わせ、トラバース機構120によって、トラバーステーブル121bをトラバース方向に移動する。すると、重量支持部161dが第1支持台部162aに乗り上げるとともに、重量支持部161cが第1支持台部162cに乗り上げる。これにより、トラバーステーブル121bが第1支持台部162aと第1支持台部162cとに対して所定の高さとなる。したがって、第1調芯位置において回転トラック103cまたは回転トラック103dが、第1トラック101aおよび第1トラック101cに対して搬送芯高さを合わせた状態とすることができる。
【0312】
同様に、第1支持台部162bおよび第1支持台部162dは、第1トラック101bおよび第1トラック101dと、回転トラック103a~103dのいずれかを第1調芯位置とする場合に用いる。
【0313】
回転トラック103aまたは回転トラック103bを第1トラック101bおよび第1トラック101dに対して第1調芯位置とする場合には、回転駆動機構110によってこれらのトラック搬送方向を合わせ、トラバース機構120によって、トラバーステーブル121aをトラバース方向に移動する。すると、重量支持部161bが第1支持台部162bに乗り上げるとともに、重量支持部161aが第1支持台部162dに乗り上げる。これにより、トラバーステーブル121aが第1支持台部162bと第1支持台部162dとに対して所定の高さとなる。したがって、第1調芯位置において回転トラック103aまたは回転トラック103bが、第1トラック101bおよび第1トラック101dに対して搬送芯高さを合わせた状態とすることができる。
【0314】
回転トラック103cまたは回転トラック103dを第1トラック101bおよび第1トラック101dに対して第1調芯位置とする場合には、回転駆動機構110によってこれらのトラック搬送方向を合わせ、トラバース機構120によって、トラバーステーブル121bをトラバース方向に移動する。すると、重量支持部161dが第1支持台部162dに乗り上げるとともに、重量支持部161cが第1支持台部162bに乗り上げる。これにより、トラバーステーブル121bが第1支持台部162bと第1支持台部162dとに対して所定の高さとなる。したがって、第1調芯位置において回転トラック103cまたは回転トラック103dが、第1トラック101bおよび第1トラック101dに対して搬送芯高さを合わせた状態とすることができる。
【0315】
第2支持台部163aは、平面視して第2トラック102aの近傍に配置される。第2支持台部163bは、平面視して第2トラック102bの近傍に配置される。第2支持台部163cは、平面視して第2トラック102cの近傍に配置される。第2支持台部163dは、平面視して第2トラック102dの近傍に配置される。
【0316】
ここで、第2支持台部163aおよび第2支持台部163cは、第2トラック102aおよび第2トラック102cと、回転トラック103a~103dのいずれかを第2調芯位置とする場合に用いる。
【0317】
たとえば、回転トラック103aまたは回転トラック103bを第2トラック102aおよび第2トラック102cに対して第2調芯位置とする場合には、回転駆動機構110によってこれらのトラック搬送方向を合わせ、トラバース機構120によって、トラバーステーブル121aをトラバース方向に移動する。すると、重量支持部161aが第2支持台部163cに乗り上げるとともに、重量支持部161bが第2支持台部163aに乗り上げる。これにより、トラバーステーブル121aが第2支持台部163cと第2支持台部163aとに対して所定の高さとなる。したがって、第2調芯位置において回転トラック103aまたは回転トラック103bが、第2トラック102aおよび第2トラック102cに対して搬送芯高さを合わせた状態とすることができる。
【0318】
同様に、回転トラック103cまたは回転トラック103dを第2トラック102aおよび第2トラック102cに対して第2調芯位置とする場合には、回転駆動機構110によってこれらのトラック搬送方向を合わせ、トラバース機構120によって、トラバーステーブル121bをトラバース方向に移動する。すると、重量支持部161dが第2支持台部163cに乗り上げるとともに、重量支持部161cが第2支持台部163aに乗り上げる。これにより、トラバーステーブル121bが第2支持台部163aと第2支持台部163cとに対して所定の高さとなる。したがって、第2調芯位置において回転トラック103cまたは回転トラック103dが、第2トラック102aおよび第2トラック102cに対して搬送芯高さを合わせた状態とすることができる。
【0319】
同様に、第2支持台部163bおよび第2支持台部163dは、第2トラック102bおよび第2トラック102dと、回転トラック103a~103dのいずれかと、を第2調芯位置とする場合に用いる。
【0320】
回転トラック103aまたは回転トラック103bを第2トラック102bおよび第2トラック102dに対して第2調芯位置とする場合には、回転駆動機構110によってこれらのトラック搬送方向を合わせ、トラバース機構120によって、トラバーステーブル121aをトラバース方向に移動する。すると、重量支持部161bが第2支持台部163dに乗り上げるとともに、重量支持部161aが第2支持台部163bに乗り上げる。これにより、トラバーステーブル121aが第2支持台部163dと第2支持台部163bとに対して所定の高さとなる。したがって、第2調芯位置において回転トラック103aまたは回転トラック103bが、第2トラック102bおよび第2トラック102dに対して搬送芯高さを合わせた状態とすることができる。
【0321】
回転トラック103cまたは回転トラック103dを第2トラック102bおよび第2トラック102dに対して第2調芯位置とする場合には、回転駆動機構110によってこれらのトラック搬送方向を合わせ、トラバース機構120によって、トラバーステーブル121bをトラバース方向に移動する。すると、重量支持部161dが第2支持台部163bに乗り上げるとともに、重量支持部161cが第2支持台部163dに乗り上げる。これにより、トラバーステーブル121bが第2支持台部163bと第2支持台部163dとに対して所定の高さとなる。したがって、第2調芯位置において回転トラック103cまたは回転トラック103dが、第2トラック102bおよび第2トラック102dに対して搬送芯高さを合わせた状態とすることができる。
【0322】
なお、上下調芯機構160の重量支持部161a~161dと第1支持台部162a~162dと第2支持台部163a~163dとは、第1調芯位置または第2調芯位置で回転トラック103a~103dの搬送重量を支持するという意味で、トラバース機構120を構成すると表現してもよい。
【0323】
第1トラック101a~101dと、第2トラック102a~102dと、回転トラック103a~103dとは、いずれも搬送トレイCsを搬送可能なように、前述した磁気搬送トラック310として磁気浮上部330と磁気搬送部320とを有する。
【0324】
ここで、第1トラック101a~101dと第2トラック102a~102dとは、チャンバに固定されているため、磁気搬送部320の駆動は所定の手法でおこなうことが容易である。しかし、回転トラック103a~103dは、回転軸線Z0のまわりで回転した所定の角度状態でも磁気搬送部320の駆動を可能とする必要がある。このため、回転トラック103a~103dは、一体として回転するように磁気搬送部320が設けられている。
【0325】
図28は、本実施形態の回転移動ステージ(基板搬送装置)における動作を説明する上面工程図である。図29は、本実施形態の回転移動ステージ(基板搬送装置)における動作を説明する側面工程図である。図30は、本実施形態の回転移動ステージ(基板搬送装置)における動作を説明する上面工程図である。図31は、本実施形態の回転移動ステージ(基板搬送装置)における動作を説明する側面工程図である。なお、これらの図において、記載を省略している構成もある。
【0326】
ここでは、回転駆動機構110によって、回転トラック103a~103dがY方向に延在する状態における上下調芯機構160について説明する。
【0327】
本実施形態において、まず、図25に示すように、回転トラック103a~103dが回転可能位置にある場合を説明する。
この場合、上下調芯機構160では、フローティングテーブル131aおよびトラバーステーブル121aの重量支持部161aおよび重量支持部161bが、第1支持台部162a~162dおよび第2支持台部163a~163dのすべてに接していない。重量支持部161aおよび重量支持部161bは、すべての第1支持台部162a~162dおよび第2支持台部163a~163dよりも平面視して回転軸線Z0に近接した位置にある。
【0328】
同様に、フローティングテーブル131bおよびトラバーステーブル121bの重量支持部161cおよび重量支持部161dが、第1支持台部162a~162dおよび第2支持台部163a~163dのすべてに接していない。重量支持部161cおよび重量支持部161dは、すべての第1支持台部162a~162dおよび第2支持台部163a~163dよりも平面視して回転軸線Z0に近接した位置にある。
【0329】
次に、トラバース機構120によって、回転トラック103a~103dが第2調芯位置までトラバース移動された状態における上下調芯機構160について説明する。
【0330】
ここでは、図28図29に示すように、回転トラック103aが第2トラック102aおよび第2トラック102cに対して第2調芯位置にある。
この場合、上下調芯機構160では、フローティングテーブル131aおよびトラバーステーブル121aの重量支持部161aが、第2支持台部163cに乗り上げている。フローティングテーブル131aおよびトラバーステーブル121aの重量支持部161bが、第2支持台部163aに乗り上げている。これにより、フローティングテーブル131a上の回転トラック103aが、第2トラック102aおよび第2トラック102cに対してZ方向において、搬送芯を合わせて調芯される。この状態で、調芯機構150を動作することで、回転トラック103aが、第2トラック102aおよび第2トラック102cに対して搬送芯を合わせて調芯される。
【0331】
同様に、図28図29に示すように、回転トラック103cが第2トラック102bおよび第2トラック102dに対して第2調芯位置にある。
この場合、上下調芯機構160では、フローティングテーブル131bおよびトラバーステーブル121bの重量支持部161cが、第2支持台部163dに乗り上げている。フローティングテーブル131bおよびトラバーステーブル121bの重量支持部161dが、第2支持台部163bに乗り上げている。これにより、フローティングテーブル131b上の回転トラック103cが、第2トラック102dおよび第2トラック102bに対してZ方向において、搬送芯を合わせて調芯される。この状態で、調芯機構150を動作することで、回転トラック103cが、第2トラック102dおよび第2トラック102bに対して搬送芯を合わせて調芯される。
【0332】
次に、トラバース機構120によって、回転トラック103a~103dがさらにトラバース移動された状態における上下調芯機構160について説明する。
【0333】
ここでは、図30図31に示すように、回転トラック103bが第2トラック102aおよび第2トラック102cに対して第2調芯位置にある。
この場合、上下調芯機構160では、フローティングテーブル131aおよびトラバーステーブル121aの重量支持部161aが、第2支持台部163cに乗り上げている状態は変わらない。第2支持台部163cに対して、X方向における重量支持部161aの位置が変化している。
【0334】
フローティングテーブル131aおよびトラバーステーブル121aの重量支持部161bが、第2支持台部163aに乗り上げている状態は変わらない。第2支持台部163aに対して、X方向における重量支持部161bの位置が変化している。
重量支持部161aおよび重量支持部161bの高さ位置は変化していない。これにより、フローティングテーブル131a上の回転トラック103bが、第2トラック102aおよび第2トラック102cに対してZ方向において、搬送芯を合わせて調芯される。この状態で、調芯機構150を動作することで、回転トラック103bが、第2トラック102aおよび第2トラック102cに対して搬送芯を合わせて調芯される。
【0335】
同様に、図30図31に示すように、回転トラック103dが第2トラック102bおよび第2トラック102dに対して第2調芯位置にある。
この場合、上下調芯機構160では、フローティングテーブル131bおよびトラバーステーブル121bの重量支持部161cが、第2支持台部163dに乗り上げている状態は変わらない。第2支持台部163dに対して、X方向における重量支持部161cの位置が変化している。
【0336】
フローティングテーブル131bおよびトラバーステーブル121bの重量支持部161dが、第2支持台部163bに乗り上げている状態は変わらない。第2支持台部163bに対して、X方向における重量支持部161dの位置が変化している。
重量支持部161cおよび重量支持部161dの高さ位置は変化していない。これにより、フローティングテーブル131b上の回転トラック103dが、第2トラック102dおよび第2トラック102bに対してZ方向において、搬送芯を合わせて調芯される。この状態で、調芯機構150を動作することで、回転トラック103dが、第2トラック102dおよび第2トラック102bに対して搬送芯を合わせて調芯される。
【0337】
本実施形態においては、上下調芯機構160によって、回転トラック103a~103dの調芯をより正確におこなうことができる。
【0338】
本実施形態においては、上述した実施形態と同等の効果を奏することができる。
【0339】
以下、本発明に係る基板搬送装置の第3実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0340】
図32は、本実施形態の回転移動ステージ(基板搬送装置)における上下調芯機構を説明する模式上面図である。図33は、本実施形態の回転移動ステージ(基板搬送装置)における上下調芯機構を説明する模式側面図である。
本実施形態において、上述した第2実施形態と異なるのは、上下調芯機構に関する点であり、これ以外の上述した第2実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。なお、図32図33において、図25図31で記載した符号を省略したものものある。
【0341】
<上下調芯機構160>
本実施形態においては、第1支持台部162a~162dが、Y方向に分割されている。
【0342】
つまり、図32図33に示すように、Y方向に2分割された第1支持台部162a1および第1支持台部162a2が第1トラック101aの近傍に配置される。第1支持台部162a1は、Y方向で第1支持台部162a2よりも回転軸線Z0に近接する。同様に、Y方向に2分割された第1支持台部162b1および第1支持台部162b2が第1トラック101bの近傍に配置される。第1支持台部162b1は、Y方向で第1支持台部162b2よりも回転軸線Z0に近接する。
【0343】
Y方向に2分割された第1支持台部162c1および第1支持台部162c2が第1トラック101cの近傍に配置される。第1支持台部162c1は、Y方向で第1支持台部162c2よりも回転軸線Z0に近接する。同様に、Y方向に2分割された第1支持台部162d1および第1支持台部162d2が第1トラック101dの近傍に配置される。第1支持台部162d1は、Y方向で第1支持台部162d2よりも回転軸線Z0に近接する。
【0344】
同様に、本実施形態においては、第2支持台部163a~163dX方向に分割されている。
【0345】
図32図33に示すように、X方向に2分割された第2支持台部163a1および第2支持台部163a2が第2トラック102aの近傍に配置される。第2支持台部163a1は、X方向で第2支持台部163a2よりも回転軸線Z0に近接する。同様に、X方向に2分割された第2支持台部163b1および第2支持台部163b2が第2トラック102bの近傍に配置される。第2支持台部163b1は、X方向で第2支持台部163b2よりも回転軸線Z0に近接する。
【0346】
X方向に2分割された第2支持台部163c1および第2支持台部163c2が第2トラック102cの近傍に配置される。第2支持台部163c1は、X方向で第2支持台部163c2よりも回転軸線Z0に近接する。同様に、X方向に2分割された第2支持台部163d1および第2支持台部163d2が第2トラック102dの近傍に配置される。第2支持台部163d1は、Y方向で第2支持台部163d2よりも回転軸線Z0に近接する。
【0347】
本実施形態においては、同じ符号を付した支持台部のうち、回転軸線Z0に近接する符号の下一桁に1を付した支持台部は、フローティングテーブル131aの外側つまり回転軸線Z0から離間した回転トラック103aの調芯位置において、重量支持部161aおよび重量支持部161bが乗り上げ、フローティングテーブル131bの外側つまり回転軸線Z0から離間した回転トラック103dの調芯位置において、重量支持部161cおよび161dが乗り上げる。
【0348】
同様に、同じ符号を付した支持台部のうち、回転軸線Z0から離間する符号の下一桁に2を付した支持台部は、フローティングテーブル131aの内側つまり回転軸線Z0に近接する回転トラック103bの調芯位置において、重量支持部161aおよび重量支持部161bが乗り上げ、フローティングテーブル131bの内側つまり回転軸線Z0に近接する回転トラック103cの調芯位置において、重量支持部161cおよび重量支持部161dが乗り上げる。
【0349】
このように、支持台部をトラバース方向に分割したことで、トラバーステーブル121aをトラバース方向に移動して、平行に並ぶ回転トラック103aと回転トラック103bとを切り替えた場合でも、それぞれのトラックにおける調芯位置をより精密に調整することができる。同様に、トラバーステーブル121bをトラバース方向に移動して、平行に並ぶ回転トラック103cと回転トラック103dとを切り替えた場合でも、それぞれのトラックにおける調芯位置をより精密に調整することができる。
【符号の説明】
【0350】
100…基板搬送装置(回転移動ステージ)
100C…制御部
101a~101d…第1トラック
102a~102d…第2トラック
103a~103d…回転トラック
110…回転駆動機構
120…トラバース機構
121a,121b…トラバーステーブル
130…フローティング機構
131a,131b…フローティングテーブル
140…ロック機構
150…調芯機構
160…上下調芯機構
200…上回転トラック
300…磁気浮上トラック(トラック)
310…磁気搬送トラック(磁気搬送ユニット)
321…磁気回転部(磁気ネジ)
323…浮上駆動部
324…駆動方向変換部
330…磁気浮上部
333…ガイドレール
350…上ガイドトラック
VM1…真空処理装置
Cs…搬送体(搬送トレイ)
F0a,F0b…フローティング軸線
H0…回転軸線(搬送軸線)
Mr1…第1主搬送路(第1メイントラック)
Mr2…第2主搬送路(第2メイントラック)
Ms…マスク
Sr1…第1副搬送路(第1サブトラック)
Sr2…第2副搬送路(第2サブトラック)
Sw…基板(被処理基板)
Tc1~Tc3…回転チャンバ
Pc1~Pc6…プロセスチャンバ
Z0…回転軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33