(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020049
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】配線基板、発光装置及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20240206BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20240206BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
H01L33/62
H05K1/02 J
H05K3/28 B
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122923
(22)【出願日】2022-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】細川 敦志
(72)【発明者】
【氏名】勝又 雅昭
【テーマコード(参考)】
5E314
5E338
5F142
【Fターム(参考)】
5E314AA32
5E314AA42
5E314BB06
5E314BB12
5E314CC07
5E314CC15
5E314DD07
5E314EE02
5E314EE03
5E314FF05
5E314FF13
5E314FF14
5E314GG26
5E338AA02
5E338AA16
5E338BB13
5E338BB75
5E338CC04
5E338CD02
5E338CD12
5E338EE31
5F142AA31
5F142BA32
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD17
5F142CD18
5F142CD24
5F142CD43
5F142CD44
5F142CD49
5F142CE08
5F142CE16
5F142CE32
5F142CF02
5F142CF26
5F142CG04
5F142CG05
5F142CG32
5F142CG45
5F142DA14
5F142DA73
5F142DB16
5F142DB18
5F142DB24
5F142FA03
5F142FA30
5F142GA01
5F142GA11
5F142GA21
5F142GA28
(57)【要約】
【課題】金属粒子を低温焼結させた配線を形成することができる配線基板及び発光装置並びにそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】配線基板1は、第1面10A及び第1面10Aの反対側の第2面10Bを有する絶縁性の基材10と、基材10の第1面10A及び第2面10Bの少なくとも一部を覆って配置され、所定パターンの穴部を有するレジスト部30と、レジスト部30の穴部内に基材10に接するように配置される配線40と、を備え、基材10の厚み方向における断面視において、配線40は、レジスト部30から露出する露出面48の長さLM1が、基材10と接する接触面46の長さLM2よりも短い。
【選択図】
図2C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有する絶縁性の基材と、
前記基材の第1面及び第2面の少なくとも一部を覆って配置され、所定パターンの穴部を有するレジスト部と、
前記レジスト部の前記穴部内に前記基材に接するように配置される配線と、を備え、
前記基材の厚み方向における断面視において、前記配線は、前記レジスト部から露出する露出面の長さが、前記基材と接する接触面の長さよりも短い配線基板。
【請求項2】
前記穴部及び前記配線は、前記基材の厚み方向における断面視において台形状であり、前記台形状の底角の大きさが40度以上80度以下である請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記穴部及び前記配線は、前記基材の厚み方向における断面視において等脚台形状である請求項1に記載の配線基板。
【請求項4】
前記レジスト部の厚さは、5μm以上50μm以下である請求項1に記載の配線基板。
【請求項5】
前記配線の露出面及び前記レジスト部の表面は、前記基材の表面に平行な平坦面をなす請求項1に記載の配線基板。
【請求項6】
前記配線は、金属粒子の焼結体で形成されている請求項1に記載の配線基板。
【請求項7】
前記配線は、体積抵抗率が10μΩ・cm以下である請求項1に記載の配線基板。
【請求項8】
前記レジスト部は、白色である請求項1に記載の配線基板。
【請求項9】
前記配線は、直径5μm以下の複数の気泡がある請求項1に記載の配線基板。
【請求項10】
請求項1から請求項9の何れか一項に記載の配線基板と、
前記配線基板に配置されている、発光素子を含む光源と、を備える発光装置。
【請求項11】
前記発光素子は、一対の素子電極を有しており、
前記光源は、前記配線基板の一方の面に行方向及び列方向に整列して配置されており、
前記光源を所定の個数毎に区画して囲む区画溝と、
前記区画溝に囲まれる内側に前記光源の光を導く導光部材と、を更に備える請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
前記配線は、前記素子電極のそれぞれに個別に対面するパッド部を残して前記配線基板の他方の面側に配置され、
前記パッド部は、前記パッド部の位置に設けられ、前記配線に電気的に接続するように前記基材を貫通して配置されるビア導通部を介して残りの前記配線と接続され、
隣り合う前記パッド部同士の間に前記レジスト部が配置されている請求項11に記載の発光装置。
【請求項13】
前記光源と接する第1透光部と、前記光源及び前記第1透光部の上側に位置する第2透光部と、を有する透光性部材と、
前記光源、前記第1透光部及び前記第2透光部の上側に配置される光調整部材と、を更に備え、
前記導光部材は、前記配線基板の一方の面の上側、かつ、前記光源の側方に配置される請求項12に記載の発光装置。
【請求項14】
第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有する絶縁性の基材において、前記基材の第1面及び第2面の少なくとも一方を覆うように、レジスト部が配置され、前記基材の第1面及び第2面の一部が前記レジスト部から露出するような穴部が前記レジスト部に形成されている、前記基材を準備することと、
前記レジスト部の前記穴部内に金属粒子を含有するペースト部材を充填することと、
150℃以上であり前記金属粒子の融点よりも低い温度で前記ペースト部材を焼成することと、を含み、
前記基材を準備することにおいて、前記穴部の内底面の幅が開口の幅よりも大きくなるように前記穴部を形成し、
前記ペースト部材を焼成することにおいて、前記金属粒子同士を焼結させて、前記穴部の内底面及び内側面に沿う形状に配線を形成し、前記配線を電気的に接続する配線基板の製造方法。
【請求項15】
前記ペースト部材を焼成した後、前記レジスト部及び前記配線を研磨若しくは研削することを更に含む請求項14に記載の配線基板の製造方法。
【請求項16】
前記ペースト部材を焼成した後、前記配線は、前記レジスト部から露出する露出面の長さが、前記基材と接する接触面の長さよりも短い請求項14に記載の配線基板の製造方法。
【請求項17】
前記レジスト部及び前記配線を研磨若しくは研削した後、前記配線は、前記レジスト部から露出する露出面の長さが、前記基材と接する接触面の長さよりも短い請求項15に記載の配線基板の製造方法。
【請求項18】
前記レジスト部を形成することにおいて、前記基材の厚み方向における断面視において底角の大きさが40度以上80度以下である台形状に前記穴部を形成する請求項14に記載の配線基板の製造方法。
【請求項19】
前記レジスト部を形成することにおいて、フォトリソグラフィーによって前記穴部を形成する請求項14に記載の配線基板の製造方法。
【請求項20】
前記ペースト部材を充填することにおいて、前記金属粒子は、粒径が0.1μm以上10μm以下の銅粒子であり、0.1μm以上1μm以下であるものの割合が40重量%以上95重量%以下である請求項14に記載の配線基板の製造方法。
【請求項21】
前記ペースト部材を焼成することにおいて、前記ペースト部材を2MPa以上10MPa以下で加圧しながら大気中において200℃以上300℃以下に加熱する請求項14に記載の配線基板の製造方法。
【請求項22】
前記ペースト部材を焼成することにおいて、前記ペースト部材を2MPa以上10MPa以下で加圧しながら真空中もしくは窒素雰囲気中において200℃以上300℃以下に加熱する請求項14に記載の配線基板の製造方法。
【請求項23】
前記ペースト部材を充填することにおいて、前記ペースト部材は、沸点が200℃以上300℃以下であり還元性を有する有機溶剤を前記金属粒子の重量の5%以上20%以下の割合で含有する請求項14に記載の配線基板の製造方法。
【請求項24】
請求項14から請求項23の何れか一項に記載の配線基板の製造方法によって配線基板を製造することと、
前記配線基板に発光素子を含む光源を配置し、前記発光素子と前記配線基板とを導電接続部材により電気的に接続することと、を含む発光装置の製造方法。
【請求項25】
前記発光素子と配線基板とを導電接続部材により電気的に接続することにおいて、前記光源は、前記配線基板の一方の面に行方向及び列方向に整列させて配置され、
前記光源を所定の個数毎に区画して囲む区画溝が形成されるように、前記光源の光を導く導光部材を形成することを更に含む請求項24に記載の発光装置の製造方法。
【請求項26】
前記導光部材を形成することにおいて、前記導光部材は、前記配線基板の一方の面の上側、かつ、前記光源の側方に配置され、
前記光源と接する第1透光部、及び、前記光源及び前記第1透光部の上側に第2透光部、となる透光性部材を配置することと、
前記光源、前記第1透光部及び前記第2透光部の上側に光調整部材を配置することと、を更に含む請求項25に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線基板、発光装置及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子径の小さい金属粒子を低い温度で焼結させて、配線等を形成する技術が知られている。例えば特許文献1には、平均粒子径が0.1nmから100nmの金属粉末同士を100℃から250℃の低温で融着させて、格子状等のパターンを形成した電磁波シールド材が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る実施形態は、金属粒子を低温焼結させた配線を形成することができる配線基板及び発光装置並びにそれらの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に開示される配線基板は、第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有する絶縁性の基材と、前記基材の第1面及び第2面の少なくとも一部を覆って配置され、所定パターンの穴部を有するレジスト部と、前記レジスト部の前記穴部内に前記基材に接するように配置される配線と、を備え、前記基材の厚み方向における断面視において、前記配線は、前記レジスト部から露出する露出面の長さが、前記基材と接する接触面の長さよりも短い。
【0006】
また、実施形態に開示される発光装置は、実施形態に開示される配線基板と、前記配線基板に配置されている、発光素子を含む光源と、を備える。
【0007】
また、実施形態に開示される配線基板の製造方法は、第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有する絶縁性の基材において、前記基材の第1面及び第2面の少なくとも一方を覆うように、レジスト部が配置され、前記基材の第1面及び第2面の一部が前記レジスト部から露出するような穴部が前記レジスト部に形成されている、前記基材を準備することと、前記レジスト部の前記穴部内に金属粒子を含有するペースト部材を充填することと、150℃以上であり前記金属粒子の融点よりも低い温度で前記ペースト部材を焼成することと、を含み、前記基材を準備することにおいて、前記穴部の内底面の幅が開口の幅よりも大きくなるように前記穴部を形成し、前記ペースト部材を焼成することにおいて、前記金属粒子同士を焼結させて、前記穴部の内底面及び内側面に沿う形状に配線を形成し、前記配線を電気的に接続する。
【0008】
さらに、実施形態に開示される発光装置の製造方法は、実施形態に開示される配線基板の製造方法によって配線基板を製造することと、前記配線基板に発光素子を含む光源を配置し、前記発光素子と前記配線基板とを導電接続部材により電気的に接続することと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の実施形態によれば、金属粒子を低温焼結させた配線を形成することができる配線基板及び発光装置並びにそれらの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る配線基板の一部を断面にして模式的に示す斜視図である。
【
図2A】実施形態に係る配線基板の一部を示す平面図である。
【
図2B】
図2AのIIC-IIC線で、配線を取り除いて示す断面図である。
【
図2E】配線の断面の一部を拡大して模式的に示す説明図である。
【
図3】実施形態に係る配線基板の製造方法を例示するフローチャートである。
【
図4A】実施形態に係る配線基板の製造方法を例示する断面図である。
【
図4B】実施形態に係る配線基板の製造方法を例示する断面図である。
【
図4C】実施形態に係る配線基板の製造方法を例示する断面図である。
【
図4D】実施形態に係る配線基板の製造方法を例示する断面図である。
【
図4E】実施形態に係る配線基板の製造方法を例示する断面図である。
【
図4F】
図4Eにおいて、プレートを取り外して例示する断面図である。
【
図4G】実施形態に係る配線基板の製造方法を例示する断面図である。
【
図5A】第1面側のフォトマスクの一部を例示する平面図である。
【
図5B】第2面側のフォトマスクの一部を例示する平面図である。
【
図6A】第1実施形態に係る発光装置を例示する斜視図である。
【
図6B】第1実施形態に係る発光装置を例示する平面図である。
【
図6C】第1実施形態に係る発光装置の配線基板を例示する平面図である。
【
図7A】実施形態に係る発光装置の光源を例示する斜視図である。
【
図7B】実施形態に係る発光装置の光源を例示する平面図である。
【
図7C】実施形態に係る発光装置の光源を例示する底面図である。
【
図7D】
図7BのVIID-VIID線における断面図である。
【
図8】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を例示するフローチャートである。
【
図9A】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する断面図である。
【
図9B】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する断面図である。
【
図9C】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する断面図である。
【
図9D】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する断面図である。
【
図10A】第2実施形態に係る発光装置を例示する平面図である。
【
図10B】第2実施形態に係る発光装置の一部を例示する平面図である。
【
図10C】第2実施形態に係る発光装置の配線基板について、
図10Bに対応する一部を例示する平面図である。
【
図11】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を例示するフローチャートである。
【
図12A】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する断面図である。
【
図12B】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する断面図である。
【
図12C】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する断面図である。
【
図12D】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する断面図である。
【
図12E】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する断面図である。
【
図12F】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本開示に係る技術的思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、発明を以下のものに限定しない。一つの実施形態において説明する内容は、他の実施形態及び変形例にも適用可能である。また、図面は実施形態を概略的に示すものであり、説明を明確にするため、各部材のスケールや間隔、位置関係等を誇張し、あるいは、部材の一部の図示を省略している場合がある。各図において示す方向は、構成要素間の相対的な位置を示し、絶対的な位置を示すことを意図したものではない。なお、同一の名称、符号については、原則として、同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。また、実施形態について、「覆う」とは直接接する場合に限らず、間接的に、例えば他の部材を介して覆う場合も含む。
【0012】
[配線基板]
実施形態に係る配線基板1を
図1から
図2Eを参照しながら説明する。
図1は、配線基板1の一部を断面にして模式的に示す斜視図である。
図2Aは、配線基板1の一部を示す平面図である。
図2Bは、
図2AのIIC-IIC線で、配線40を取り除いて示す断面図である。
図2Cは、
図2AのIIC-IIC線における断面図である。
図2Dは、
図2AのIID-IID線における断面図である。
図2Eは、配線40の断面の一部を拡大して模式的に示す説明図である。
【0013】
配線基板1は、第1面10A及び第1面10Aの反対側の第2面10Bを有する絶縁性の基材10と、基材10の第1面10A及び第2面10Bの少なくとも一部を覆って配置され、所定パターンの穴部35を有するレジスト部30と、レジスト部30の穴部内に基材10に接するように配置される配線40と、を備え、基材10の厚み方向における断面視において、配線40は、レジスト部30から露出する露出面48の長さが、基材10と接する接触面46の長さよりも短い。また、配線基板1は、第1面10Aと第2面10Bとの間で配線40を電気的に接続するビア導通部50を備えている。
配線基板1は、一例として、湾曲させない状態で使用するリジッド基板である。以下、配線基板1の各構成について説明する。
【0014】
(基材)
基材10は、配線基板1の基礎となる絶縁性の板状の部材である。基材10は、第1面10A及び第1面10Aの反対側の第2面10Bを有している。第1面10A及び第2面10Bは、何れも基材10の表面である。基材10の厚さは特に制限されず、一例として、60μm以上500μm以下とすることができる。
基材10の材料は、一例として、ガラス繊維にエポキシ樹脂を組み合わせたものやセラミックス、ガラス、フェノール樹脂等の樹脂材料とすることができ、これらを積層したものとしてもよい。基材10の表面の状態は特に限定されず、プラズマ処理や粗化処理が施されていてもよく、レジスト部30や配線40との密着性を向上させるために、基材10の表面に接着用の樹脂やシランカップリング材等が塗布されていてもよい。
【0015】
(レジスト部)
レジスト部30は、基材10の表面に配置される絶縁性の部材である。レジスト部30は、基材10の第1面10A及び第2面10Bの少なくとも一部を覆っている。レジスト部30は、所定パターンの穴部35を有している。
レジスト部30は、第1面10Aにのみ設けてもよく、第2面10Bにのみ設けてもよく、第1面10A及び第2面10Bの両方の面に設けてもよい。レジスト部30の厚さは特に制限されず、一例として、5μm以上50μm以下とすることができ、10μm以上25μm以下が好ましい。
【0016】
レジスト部30は、ソルダーレジストに使用される材料を使用することができる。例えば、エポキシ等の共重合樹脂に溶剤や消泡剤等を混合した一般的なものや、酸化チタン等のフィラーを添加して白色化したものを使用することができる。レジスト部30の色は特に限定されないが、配線基板1に光源等を配置して発光装置とする場合には、レジスト部30を白色とすることにより光反射性を高めることができる。
【0017】
(穴部)
穴部35は、レジスト部30を貫通して設けられる溝状又は穴状の貫通部分である。穴部35は、基材10の表面である内底面36と、断面視において互いに対向する内側面37と、を有し、基材10の反対側が開口38となっている。
基材10の厚み方向の断面視において、開口38の長さLH1は内底面36の長さLH2よりも短い。なお、開口38及び内底面36の長さLH1、LH2は、断面視において、対向する内側面37の間の基材10の表面に平行な距離とする。また、平面視において、内底面36の面積は開口38の面積よりも大きい。
【0018】
穴部35は、基材10の厚み方向における断面視において、一例として、基材10側の底辺が長い台形状である。台形状の底角AHの大きさは、例えば40度以上80度以下とすることができ、50度以上70度以下が好ましい。底角AHが小さいほど、配線40の剥がれの抑制に有利であるが、隣接する開口38同士の間隔が広くなるため、配線間の距離を短くし難いおそれがある。
穴部35は、基材10の厚み方向における断面視において等脚台形状であることが好ましい。なお、内側面37は湾曲していてもよい。この穴部35には、配線40が配置される。
【0019】
(配線)
配線40は、電流の経路となる部材である。配線40は、レジスト部30の穴部35内に基材10に接するように配置されている。配線40は、穴部35の内底面36に沿う形状の接触面46と、穴部35の開口38から露出する露出面48と、穴部35の内側面37に沿う形状の側面47と、を有している。
基材10の厚み方向における断面視において、配線40は、レジスト部30から露出する露出面48の長さLM1が、基材10と接する接触面46の長さLM2よりも短い。なお、露出面48及び接触面46の長さLM1、LM2は、断面視におけるそれぞれの面の両端の間の基材10の表面に平行な距離とする。
【0020】
配線40は、穴部35と同様に、基材10の厚み方向における断面視において、基材10側の底辺が長い台形状である。台形状の底角AMの大きさは、例えば40度以上80度以下とすることができ、50度以上70度以下が好ましい。
配線40は、基材10の厚み方向における断面視において等脚台形状であることが好ましい。なお、側面47は、穴部35の内側面37に沿って湾曲していてもよい。
【0021】
基材10の上面側又は下面側に配置される部分における配線40の厚さは、レジスト部30の厚さと同じであることが好ましい。つまり、配線40の総厚みは、基材10の上面側及び下面側におけるレジスト部30の厚みと、基材10の厚みと、を足したものが好ましい。基材10の上面側又は下面側に配置される部分における配線40の厚さは、一例として、5μm以上50μm以下とすることができる。また、レジスト部30の厚さを例えば20μm以上30μm以下として、基材10の上面側又は下面側に配置される部分における配線40の厚さを20μm以上30μm以下とすることが好ましい。基材10の上面側又は下面側に配置される部分における配線40の厚さは、レジスト部30の厚さによって調節することができる。露出面48は、レジスト部30の表面に対して窪んでいても突出していてもよいが、配線40の露出面48及びレジスト部30の表面は、基材10の表面に平行な平坦面をなすことが好ましい。
配線40の幅は、穴部35の幅と同じにすることができる。一例として、配線40の長手方向に垂直な断面において、露出面48の長さLM1は、30μm以上300μm以下とすることができ、接触面46の長さLM2は、40μm以上400μm以下とすることができる。
【0022】
配線40は、金属粒子の焼結体41で形成されている。配線40は、金属粒子同士が接合して焼結体41となっている点で、硬化したバインダ樹脂等によって金属粒子同士を接触又は近接させて固定するものとは異なっている。配線40は、有機物を含まない、又は、有機物が1重量%以下である。また、配線40は、
図2Eで示すように、空隙又は気泡を有するように形成されており、例えば、直径5μm以下の複数の気泡42を有する。なお、気泡42の直径は、断面における気泡42の面積と同じ面積の円の直径とする。配線40は、5μmよりも大きい直径の気泡42を有していてもよい。配線40に含まれる気泡42は、例えば、単位体積あたり、1%以上20%以下の範囲であることが好ましい。なお、この気泡42は、金属粒子が焼結体41となることによって生じるものである。
配線40は、金属粒子の焼結体41であることから電気抵抗が小さく、体積抵抗率が10μΩ・cm以下である。配線40の材料は、例えば銅や銀とすることができる。
【0023】
(ビア導通部)
ビア導通部50は、基材10の第1面10Aと第2面10Bとの間で配線40を接続する部材である。ビア導通部50は、基材10を貫通する貫通孔に設けられる。平面視において基材10の貫通孔は穴部35内に設けることができる。ビア導通部50及び貫通孔は、レジスト部30及び配線40を基材10の一方の面にのみ設ける場合には不要であるが、放熱のために設けてもよい。
ビア導通部50及び貫通孔の形状は、円柱状や角柱状とすることができる。貫通孔の径又は対角線の長さは、開口38の長さLH1より大きくてもよく、内底面36の長さLH2を超えないようにする。このビア導通部50の材料は、配線40と同様とすることができる。
【0024】
配線基板1は、露出面48の長さLM1が、接触面46の長さLM2よりも短いことにより、配線40の剥がれを抑え、信頼性の高い配線40とすることができる。
配線基板1は、穴部35及び配線40の断面が台形状にすることにより、配線40の剥がれを効果的に抑えることができる。また、配線40と基材10との接触面積を大きくして、放熱効果を高めることもできる。
配線基板1は、穴部35及び配線40の断面が等脚台形状にすることにより、穴部35の内側面37が配線40にバランスよく接触して、配線40の剥がれをさらに効果的に抑えることができる。
【0025】
配線基板1は、基材10を湾曲させて使用することができるシート状の部材を使用し、フレキシブル基板とすることができる。
配線基板1をフレキシブル基板とする場合、基材10の厚さは、一例として、20μm以上100μm以下とすることができる。基材10の材料は、例えば、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート等とすることができる。なお、配線基板1は、リジッド基板及びフレキシブル基板が連続するように組み合わせたものとすることができる。
【0026】
また、配線基板1は、セラミックスからなる基材10を使用し、放熱性に優れるセラミック基板とすることができる。
配線基板1をセラミック基板とする場合、基材10の厚さは、一例として、100μm以上1000μm以下とすることができる。基材10の材料は、例えば、窒化アルミニウムや窒化ケイ素等とすることができる。
【0027】
[配線基板の製造方法]
次に、実施形態に係る配線基板の製造方法を
図3から
図5Bを参照しながら説明する。
図3は、配線基板1の製造方法を例示するフローチャートである。
図4Aは、貫通孔15を形成した基材10の一部を例示する断面図である。
図4Bは、レジスト部30を形成した基材10及びフォトマスクM1A、M1Bの一部を例示する断面図である。
図4Cは、レジスト部30に穴部35を形成した状態を例示する断面図である。
図4Dは、穴部35に配線40の材料を配置した状態を例示する断面図である。
図4Eは、プレートPL1、PL2で配線40の材料を加熱及び加圧した状態を例示する断面図である。
図4Fは、
図4Eにおいて、プレートPL1、PL2を取り外して例示する断面図である。
図4Gは、表面を研削した状態を例示する断面図である。
図5Aは、第1面10A側のフォトマスクM1Aの一部を例示する平面図である。
図5Bは、第2面10B側のフォトマスクM1Bの一部を例示する平面図である。
【0028】
配線基板の製造方法は、第1面10A及び第1面10Aの反対側の第2面10Bを有する絶縁性の基材10において、基材10の第1面10A及び第2面10Bの少なくとも一方を覆うように、レジスト部30が配置され、基材10の第1面10A及び第2面10Bの一部がレジスト部30から露出するような穴部35がレジスト部30に形成されている、基材10を準備することS11と、レジスト部30の穴部35内に金属粒子を含有するペースト部材60を充填することS12と、150℃以上であり金属粒子の融点よりも低い温度でペースト部材60を焼成することS13と、を含む。基材10を準備することS11において、穴部35の内底面36の幅が開口38の幅よりも大きくなるように穴部35を形成し、ペースト部材60を焼成することS13において、金属粒子同士を焼結させて、穴部35の内底面36及び内側面37に沿う形状に配線40を形成し、配線を電気的に接続する。また、ここでは、ペースト部材60を焼成した後、レジスト部30及び配線40を研磨若しくは研削することS14を含む。
【0029】
(基材を準備すること)
基材を準備することS11において、絶縁性の基材10にレジスト部30を配置する。レジスト部30には穴部35が形成されている。基材を準備することS11は、基材10に貫通孔15を形成すること、レジスト部30を基材10に配置すること、を含む。基材10の表面のプラズマ処理や粗化処理、接着用の樹脂の塗布等は、レジスト部30の配置よりも前に行う。これらの処理や塗布等によって、基材10の表面とレジスト部30や配線40との密着性の向上を図ることができる。
貫通孔15は、ビア導通部50を設ける位置に形成する。貫通孔15は、パンチングやドリル、レーザ加工等によって形成することができる。貫通孔15は、レジスト部30を配置した後で形成してもよい。なお、ビア導通部50を設けない場合は、貫通孔15の形成を省略することができる。
【0030】
レジスト部30は、第1面10A及び第2面10Bの一部が露出するような穴部35を基材10上において形成する。穴部35は、所定の配線40に沿うパターンに形成する。穴部35は、フォトリソグラフィーによって形成することができる。
フォトリソグラフィーの一例を説明する。レジスト部30は、露光によって硬化する材料30Aを使用する。硬化前のレジスト部の材料30Aを基材10の表面に一定の厚さで配置する。この厚さは、例えば5μm以上50μm以下とすることができる。材料30Aの配置は、インクタイプの材料をスクリーン印刷で塗布してもよく、ドライフィルムタイプの材料を貼り付けてもよい。ここでは、ドライフィルムタイプの材料を第1面10A及び第2面10Bの両方に配置しているが、配線40を設ける面に配置すればよい。
【0031】
次に、フォトマスクを使用して露光を行う。第1面10A側はフォトマスクM1A、第2面10B側はフォトマスクM1Bを使用している。フォトマスクM1A、M1Bには、開口38の大きさ及び形状に光を遮るパターンが形成されている。露光の条件は、一例として、照射光L1の波長が300nm以上500nm以下、露光量が20mJ/cm2以上1000mJ/cm2以下とすることができる。なお、露光時間は、一例として、10秒以上30秒以下とすることができる。そして、硬化していない部分を例えばアルカリ水溶液中で除去した後に、残った部分を加熱してさらに硬化させる。
このフォトリソグラフィーでは、レジスト部の材料30Aの透光性に応じて照射する光の強さ等を変更することで、開口38に対して内底面36が広がる大きさや、断面視における穴部35の台形状の底角等を調節することができる。
【0032】
(ペースト部材を充填すること)
ペースト部材を充填することS12において、穴部35に金属粒子を含有するペースト部材60を充填する。この充填は、例えばスクリーン印刷によって行うことができ、グラビア印刷やスプレー塗布等によって行ってもよい。ここでは、ペースト部材60は、配線40を形成する箇所とビア導通部50を形成する箇所とに一括して充填しているが、別々に充填してもよい。ペースト部材60は、穴部35の開口38から盛り上がるように充填することができる。なお、ペースト部材60は、穴部35に選択的に充填するのでなく、レジスト部30の表面を含む全面に印刷や塗布等を行ってもよい。
【0033】
ペースト部材60は、一例として、沸点が200℃以上300℃以下であり還元性を有する有機溶剤を金属粒子の重量の5%以上20%以下の割合で含有させている。後記するペースト部材60の焼成は、200℃以上300℃以下で行う。沸点が焼成を行う温度範囲若しくはわずかに低い温度範囲にあることで、ペースト部材60の焼成において有機溶剤を気化させて取り除くことができる。また、有機溶剤が還元性を有することで、金属粒子の酸化を抑え、焼結の促進を図ることができる。ただし、ペースト部材60に含有される有機溶剤の沸点は、焼成温度よりもわずかに低い温度範囲であってもよい。これは焼成温度よりも低い温度範囲であっても有機溶剤が気化することもあるからである。これはペースト部材60の厚みや大きさ、ペースト部材60への焼成時の熱のかかり方等に起因するからである。ここで焼成温度よりもわずかに低い温度範囲であるペースト部材60に含有される有機溶剤の沸点とは、例えば焼成温度よりも低く、焼成温度との差が80℃以下、又は50℃以下である温度範囲に有機溶剤の沸点があってもよいことを意味する。
ペースト部材60は、バインダ効果のある樹脂や金属粒子の分散を助ける分散剤等を含有していてもよい。また、ペースト部材60の滲みやぼやけなどの印刷ムラを低減するように所定の添加剤を含有させてもよい。
【0034】
金属粒子は、例えば銅や銀の粒子や粉末とすることができる。金属粒子を銅粒子とする場合、粒径は0.1μm以上10μm以下であればよく、0.1μm以上7μm以下が好ましい。また、粒径が0.1μm以上1μm以下であるものの割合は、40重量%以上95重量%以下であればよく、50重量%以上80重量%以下が好ましい。金属粒子の粒径を1μm以下にすることで焼結の促進を図ることもできる。
【0035】
(ペースト部材を焼成すること)
ペースト部材を焼成することS13において、ペースト部材60を加圧及び加熱して金属粒子を焼結させて焼結体41とする。加圧及び加熱は、例えば、大気中において、レジスト部30が配置され、穴部35にペースト部材60が充填された基材10を平行に設置した2枚のプレートで挟んで行うことができる。加圧及び加熱の条件は、2MPa以上10MPa以下の圧力P1で加圧しながら200℃以上300℃以下に加熱することが好ましい。
ここでは、基材10の第1面10A側及び第2面10B側の両方にペースト部材60を充填した後で、プレートPL1、PL2によって両面を同時に圧力P1で加圧しながら加熱している。なお、一方の面にペースト部材60を充填して加圧及び加熱した後で、他方の面にペースト部材60を充填して加圧及び加熱を行うようにしてもよい。
【0036】
加圧及び加熱は大気中で行ってもよいが、真空中もしくは窒素雰囲気中で行うことが好ましい。真空中もしくは窒素雰囲気中にて加熱、加圧を行うことにより、レジストの変色による反射率の低下抑制や配線抵抗の更なる低抵抗化を図ることができるからである。
【0037】
ペースト部材60を加圧及び加熱することにより、穴部35の台形状の内底面36全体にペースト部材60が行き渡り、基材10との接触面積を確保して、熱伝導性の向上を図ることができる。ペースト部材60を焼成した後の配線40について、レジスト部30から露出する露出面48の長さLM1が、基材10と接する接触面46の長さLM2よりも短くなっている。
【0038】
(レジスト部及び配線を研磨若しくは研削すること)
レジスト部及び配線を研磨若しくは研削することS14において、レジスト部30から突出している配線40を取り除く。このとき、レジスト部30の表面の一部を一緒に削ってもよい。研磨量は5μm以下が好ましい。研削量は1μm以上45μm以下が好ましく、5μm以上25μm以下がより好ましい。レジスト部30を一緒に削ることで、配線40及びレジスト部30の厚みを調節することができ、またレジスト部30で離隔された配線間の絶縁性を安定的に確保する事ができる。配線40の露出面48及びレジスト部30の表面は、基材10の表面に平行な平坦面となることが好ましい。また、研磨または研削後の表面粗さRaを0.5μm以下にすることが好ましく、0.1μm以下にすることがより好ましい。表面粗さを小さくすることで、めっきの膜厚や有機防錆処理剤の厚みなどを所定の厚み範囲内にすることができ、配線40の表面に実装する部品の実装信頼性を向上させることができる。
研磨若しくは研削は、砥粒を用いる加工装置を使用して行うことができる。研磨加工や研削加工の他、切削加工やブラスト加工で行ってもよい。レジスト部30及び配線40を研磨若しくは研削した後の配線40について、レジスト部30から露出する露出面48の長さLM1が、基材10と接する接触面46の長さLM2よりも短くなっている。
【0039】
配線基板の製造方法は、穴部35にペースト部材60を充填することで、穴部35の形状に沿って配線40を形成することができる。配線40を細くする場合でもパターンの途切れを抑え、安定した幅で配線40を形成することができる。また、レジスト部30を厚くすることで配線40を厚くすることができ、露出面48の長さLM1が接触面46の長さLM2よりも短いことで、配線40の剥がれを抑えることができる。
配線基板の製造方法は、フォトリソグラフィーによって形成したレジスト部30の穴部35にペースト部材60を充填することで、例えば印刷法によってペースト部材60を塗布する場合と比較して、パターン幅及びパターン間隔を小さくして微細化を図ることができる。そして、配線40が金属粒子の焼結体41で形成されていることで、電気抵抗を低くすることができる。
【0040】
なお、配線40は、回路部品等を実装する部位を除く露出部分を更にソルダーレジストや保護フィルム等の絶縁性の部材で被覆することが好ましい。これにより配線40間の異物によるショートを抑え、耐マイグレーション性を改善する事ができる。
【0041】
[発光装置(第1実施形態)]
次に、第1実施形態に係る発光装置100について、
図6Aから
図7Dを参照しながら説明する。
図6Aは、発光装置100を例示する斜視図である。
図6Bは、発光装置100を例示する平面図である。
図6Cは、発光装置100の配線基板2を例示する平面図である。
図6Dは、
図6BのVID-VID線における断面図である。
図7Aは、光源20を例示する斜視図である。
図7Bは、光源20を例示する平面図である。
図7Cは、光源20を例示する底面図である。
図7Dは、
図7BのVIID-VIID線における断面図である。
【0042】
発光装置100は、実施形態に係る配線基板2と、配線基板2に配置されている、発光素子22を含む光源20と、を備えている。ここでは、発光装置100は、配線基板2上で光源20を離隔して囲む枠部材130と、光源20を覆う封止部材150と、を備え、光源20は枠部材130で囲まれる円形状の領域の中央に配置されている。
発光装置100は、一例として、配線基板2に1個の光源20を配置するCOB(Chip оn board)型の発光装置である。以下、発光装置100の各構成について説明する。
【0043】
(配線基板)
配線基板2はセラミック基板であり、レジスト部30及び配線40は、基材10の第1面10Aにのみ形成されている。その他の点については、配線基板1と同様であり、配線40がレジスト部30の穴部35内に基材10に接するように配置されており、基材10の厚み方向における断面視において、レジスト部30から露出する配線40の露出面48の長さLM1が基材10と接する接触面46の長さよりも短い。ここでは、配線基板2は矩形状であり、第1面10Aを上面としている。
レジスト部30は、光反射性を高めるために白色であることが好ましい。白色とするために、例えば酸化チタン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、酸化珪素などの白色顔料を母材に含有させることができる。
【0044】
配線40は、平面視において、正負一対の矩形状の外部電極141及び外部電極141のそれぞれに連続する半円弧状の内部電極142を有している。外部電極141は、配線基板2の対向する角部に設けられている。内部電極142は、光源20が配置される円形状の領域A1を囲むように設けられている。領域A1の中央には、光源20を配置するための光源用電極143が設けられ、内部電極142と連続している。光源用電極143は、4つのパッド部44A~44Dを有している。パッド部44A~44Dは、平面視において、それぞれの露出面48が正方形状であり、2行2列に互いに離隔して配置されている。
パッド部44A、44Bは一対の素子電極21の一方に対面し、パッド部44C、44Dは一対の素子電極21の他方に対面している。一対の素子電極21の間では、光源20の下面がレジスト部30と対面している。また、ここでは、パッド部44Aとパッド部44Bとの間、パッド部44Cとパッド部44Dとの間は、それぞれ配線基板2の上面側で接続されている。以下では、パッド部44A~44Dをまとめてパッド部44として説明する場合がある。
またパッド部44A、44B、44C、44Dのレジスト部30から露出する表面は有機防錆処理もしくはNi-Pd-Au、Ni-Auめっき等を施し、半田付けやAuバンプ接続の信頼性を向上させることができる。
【0045】
(光源)
光源20は、一対の素子電極21を有する発光素子22と、発光素子22の光取出し面側に配置される樹脂部材23と、を有している例を示すが、発光素子22に樹脂部材23を配置せず、発光素子22のみでもよい。
発光素子22は、半導体積層体を含み、ここでは樹脂部材23が半導体積層体の上面側に配置され、下面側に一対の素子電極21を有している。半導体積層体としては、所望とする発光波長に応じて任意の組成を用いることができるが、例えば、青色又は緑色の発光が可能な窒化物半導体(InxAlyGa1-x-yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)やGaP、又は、赤色の発光が可能なGaAlAsやAlInGaPなどを用いることができる。また、使用する目的に応じて発光素子22の大きさや形状は適宜選択が可能である。
【0046】
樹脂部材23は、例えば、透光性の樹脂材料からなり、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂又はこれらを混合した樹脂等を用いることができる。樹脂部材23は、蛍光体を含んでいてもよく、例えば、発光素子22からの青色の光を吸収し、黄色の光を放射する蛍光体を含むことにより、光源20から白色の光を出射させることができる。また、樹脂部材23は、複数種類の蛍光体を含んでいてもよく、例えば、発光素子22からの青色の光を吸収して、緑色の光を放射する蛍光体と、赤色の光を放射する蛍光体と、を含むことによっても、光源20から白色の光を出射させることができる。
【0047】
樹脂部材23は、蛍光体、量子ドット等の発光材料を更に含んでいてもよい。このような蛍光体としては、例えば、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム(ガリウムドープ)・ガーネット、ユウロピウムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(ストロンチウム)、マンガンで賦活されたフッ化珪酸カリウム、βサイアロン系蛍光体等を挙げることができる。蛍光体として具体的には、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(PO4)6Cl2:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、Sr4Al14O25:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、Ca8MgSi4O16Cl2:Eu)、シリケート系蛍光体(例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)若しくはαサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)等の酸窒化物系蛍光体、LSN系蛍光体(例えば、(La,Y)3Si6N11:Ce)、BSESN系蛍光体(例えば、(Ba,Sr)2Si5N8:Eu)、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl3N4:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2(Si1-xAlx)F6-x:Mn、ここで、xは、0<x<1を満たす。)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)等のフッ化物系蛍光体等を挙げることができる。量子ドットとしては、ペロブスカイト構造を有する量子ドット(例えば、(Cs,FA,MA)(Pb,Sn)(F,Cl,Br,I)3、ここで、FAはホルムアミジニウムを、MAはメチルアンモニウムを表す。)、II-VI族量子ドット(例えば、CdSe)、III-V族量子ドット(例えば、InP)、カルコパイライト構造を有する量子ドット(例えば、(Ag,Cu)(In,Ga)(S,Se)2)等を挙げることができる。
【0048】
平面視において、一対の素子電極21は、ここではそれぞれが三角形状であり、2つのパッド部44を内包するように配置され、導電接続部材70を介して光源用電極143に接続されている。導電接続部材70は、例えば金、銀、銅等のバンプや、金、銀、銅、白金、アルミニウム等の金属粉末と樹脂バインダとの混合物である導電性ペースト、錫-銀-銅(SAC)系又は錫-ビスマス(SnBi)系のはんだ等を用いることができる。
【0049】
(枠部材)
枠部材130は、発光装置100における発光領域を規定する枠となる部材である。また、枠部材130は、封止部材150を配置するための枠となる部材である。
枠部材130は、光源20を離隔して囲むように設けられる。枠部材130は、内部電極142よりも太い幅で、内部電極142を覆うように円形状に形成され、光源20が配置される領域A1を囲んでいる。枠部材130は、光反射性を有することが好ましい。枠部材130は、光源20が配置される領域A1の形状に合わせて、平面視において、楕円形状や四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状としてもよい。
【0050】
また、枠部材130は、断面視において、配線基板2に向かって裾広がりとなっていることが好ましい。枠部材130は、配線基板2の上面からの高さが、少なくとも光源20の上面よりも高くなるように形成されている。
枠部材130は、絶縁性で光反射性を有するものとし、例えば光拡散材を含有させた樹脂又はセラミックスとすることができる。一例として、樹脂は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等、セラミックスは、窒化ホウ素、酸化珪素、酸化アルミニウム、炭化珪素等とすることができる。光拡散材は、酸化チタン、酸化珪素等とすることができる。
【0051】
(封止部材)
封止部材150は、発光装置100の発光領域に配置される部材である。封止部材150の上面は、発光装置100の発光面となる。また、封止部材150は、光源20を覆い、保護する部材である。
封止部材150は、枠部材130で囲まれる内側に充填されている。封止部材150の高さは特に限定されない。例えば、封止部材150の高さを枠部材130の上端の高さと同じまたは高くすることで配向角を大きくすることができる。封止部材150は、中央部の高さが周縁部よりも高く、断面視凸形状であることが好ましい。これにより、発光装置100は、上方から見た輝度を高めることができる。一方において、封止部材150の高さを枠部材130の上端の高さよりも低くすることで、横方向への光をカットすることができる。
封止部材150は、絶縁性及び透光性を有し、耐候性及び耐光性に優れることが好ましい。封止部材150の材料は、例えばシリコーン、エポキシ、フェノール、ポリカーボネート、アクリル等を母材とする樹脂とすることができる。封止部材150は、波長変換物質や光拡散材をフィラーとして含有していてもよい。
【0052】
正負の内部電極142間には保護素子180が設けられてもよい。保護素子180は、例えばツェナーダイオードやバリスタ、抵抗、キャパシタとすることができる。
光源用電極143は、平面視において光源20の素子電極21に内包されるような形状であればよく、例えば素子電極21と相似の三角形状としてもよい。
光源20に代えて、発光素子22が単独で配線基板2に配置されてもよい。また、発光素子22は、素子電極21を上面にして配線基板2に配置されてもよい。この場合は、光源用電極143を設けることなく、ワイヤによって素子電極21と内部電極142とを接続することができる。発光装置100は、複数の光源20又は発光素子22を備えていてもよい。複数の光源20又は発光素子22の発光ピーク波長は同じでもよく異なっていてもよい。
【0053】
[発光装置(第1実施形態)の製造方法]
次に、第1実施形態に係る発光装置100の製造方法について、
図8から
図9Dを参照しながら説明する。
図8は、発光装置100の製造方法を例示するフローチャートである。
図9Aは、発光装置100の製造方法における配線基板2を例示する断面図である。
図9Bは、光源20を配置した状態を例示する断面図である。
図9Cは、枠部材130を形成した状態を例示する断面図である。
図9Dは、封止部材150を配置した状態を例示する断面図である。
【0054】
発光装置100の製造方法は、実施形態に係る配線基板の製造方法によって配線基板2を製造することS21と、配線基板2に発光素子22を含む光源20を配置し、発光素子22と配線基板2とを導電接続部材70により電気的に接続することS22と、を含む。また、ここでは、枠部材130を形成することS23と、封止部材150を配置することS24と、をさらに含む。
【0055】
(配線基板を製造すること)
配線基板を製造することS21において、すでに説明した配線基板の製造方法によって、配線基板2を製造する。基材10の材料はセラミックスとすることができる。レジスト部30及び配線40は、基材10の上面とする第1面10Aにのみ形成する。
配線40は、正負の電極のそれぞれが配線基板2の上面側において連続するように、矩形状の外部電極141、半円弧状の内部電極142及び光源用電極143を形成する。ここでは、光源用電極143として、4つの正方形状のパッド部44の2つずつを上面側で接続して形成している。
【0056】
(発光素子と配線基板とを導電接続部材により電気的に接続すること)
発光素子と配線基板とを導電接続部材により電気的に接続することS22において、配線基板2の上面に光源20を配置する。そして、光源20の素子電極21は、導電接続部材70を介して光源用電極143のパッド部44と接合させて、発光素子22と配線基板2とを導電接続部材70により電気的に接続する。一例として、導電接続部材70としてペースト状のはんだを使用する場合を説明する。まず、スクリーン印刷等によって、ペースト状のはんだをパッド部44に塗布する。次に、パッド部44に素子電極21が対面するように、光源20を配線基板2に載せる。このとき、素子電極21のそれぞれが、平面視において2つのパッド部44を内包するようにする。そして、リフロー法によって素子電極21をパッド部44に接合させることができる。
【0057】
(枠部材を形成すること)
枠部材を形成することS23において、光源20を離隔して囲む枠部材130を形成する。枠部材130は、一例として、硬化前若しくは固化前で流動性を有する枠部材130の材料を塗布して硬化又は固化させることによって形成することができる。
流動性を有する材料は、例えばディスペンサノズルから吐出させながら、内部電極142に沿って周回するように塗布することができる。硬化後又は固化後において、枠部材130が内部電極142よりも太い幅で、光源20よりも高くなるように塗布する。
樹脂は、加熱又は紫外線の照射等によって硬化する材料を用いることができる。セラミックスは、加圧しながら加熱して固化させることで内部の空隙を減らし、光反射率を向上させることができる。
【0058】
(封止部材を配置すること)
封止部材を配置することS24において、枠部材130で囲まれる内側に封止部材150を配置する。封止部材150は、例えば熱硬化性樹脂を未硬化の流動性を有する状態で枠部材130の内側に充填して硬化させることによって配置する。熱硬化性樹脂には、波長変換物質や光拡散材を含有させることができる。
封止部材150は、配線基板2の上面、光源20及び枠部材130の内側面を覆うように配置する。封止部材150は、中央部を周縁部よりも高く形成することが好ましい。
【0059】
[発光装置(第2実施形態)]
次に、第2実施形態に係る発光装置200について、
図10Aから
図10Dを参照しながら説明する。
図10Aは、発光装置200を例示する平面図である。
図10Bは、発光装置200の一部を例示する平面図である。
図10Cは、発光装置200の配線基板3について、
図10Bに対応する一部を例示する平面図である。
図10Dは、
図10BのXD-XD線における断面図である。
【0060】
発光装置200は、実施形態に係る配線基板3と、配線基板3に配置されている、発光素子22を含む光源20と、を備えている。発光素子22は、一対の素子電極21を有しており、光源20は、配線基板3の一方の面に行方向及び列方向に整列して配置されており、光源20を所定の個数毎に区画して囲む区画溝230と、区画溝230に囲まれる内側に光源20の光を導く導光部材220と、を更に備えている。ただし、光反射性を有する部材を区画溝230に設けてもよい。また、ここでは、配線40は、素子電極21のそれぞれに個別に対面するパッド部44を残して配線基板3の他方の面側に配置され、パッド部44は、パッド部44の位置に設けられ、配線に電気的に接続するように基材10を貫通して配置されるビア導通部50を介して残りの配線40と接続され、隣り合うパッド部44同士の間にレジスト部30が配置されている。そして、発光装置200は、光源20と接する第1透光部251と、光源20及び第1透光部251の上側に位置する第2透光部252と、を有する透光性部材250と、光源20、第1透光部251及び第2透光部252の上側に配置される光調整部材260と、を更に備え、導光部材220は、配線基板3の一方の面の上側、かつ、光源20の側方に配置されている。
【0061】
発光装置200は、配線基板3に多数の光源20を行方向及び列方向に整列させた面状発光装置である。以下、発光装置200の各構成について説明する。
【0062】
(配線基板)
配線基板3は、配線基板1と同様に、配線40がレジスト部30の穴部35内に基材10に接するように配置されており、基材10の厚み方向における断面視において、レジスト部30から露出する配線40の露出面48の長さLM1が基材10と接する接触面46の長さよりも短い。また、レジスト部30及び配線40が基材10の第1面10A及び第2面10Bに形成され、ビア導通部50を有している。配線基板3は、一例として矩形状であり、光源20は第1面10Aに配置される。以下では、第1面10A側を上面、第2面10B側を下面として説明する。
【0063】
配線基板3は、その端部等に外部電源等が接続される外部端子を有している。配線40は、その外部端子から各光源20の位置までを配線すると共に、各光源20を配置するための光源用電極243を有している。ここでは、光源用電極243は、4つの正方形状のパッド部44A、44B、44C、44D(総称してパッド部44と表記することもある)を有している。配線40は、素子電極21のそれぞれに個別に対面するパッド部44を残して配線基板3の下面側に配置されている。パッド部44は、パッド部44の位置に設けられるビア導通部50を介して、下面側の配線40と接続されている。隣り合うパッド部44同士の間には、レジスト部30が配置されている。
【0064】
パッド部44A、44Bは一対の素子電極21の一方に対面し、パッド部44C、44Dは他方に対面している。一対の素子電極21の間では、光源20の下面がレジスト部30と対面している。なお、パッド部44A、44Bの間、パッド部44C、44Dとの間は、それぞれ配線基板3の下面側で接続されている。
配線基板3の下面には、絶縁性の被覆部材270が形成されている。被覆部材270の材料は、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂等とすることができる。被覆部材270によって、配線基板3の下面を保護することができる。
【0065】
(光源)
光源20は、発光装置100の光源20と共通していても異なっていてもよい。例えば、光源20は、発光素子のみでもよいが、発光素子上に蛍光体等を含有する樹脂部材や蛍光体等のみを配置したもの、また、それらの側面に反射部材を固定したものなどを使用することができる。発光装置200では、光源20は行方向及び列方向に整列して配置されている。
【0066】
(区画溝)
区画溝230は、光源20を所定の個数毎に区画して囲む溝である。ここでは、区画溝230は矩形格子状に設けられ、光源20を1個毎に区画して囲んでいる。発光装置200は、区画溝230で囲まれる区画を単位として明るさ及び点消灯を制御することができる。
区画溝230には、光反射性を有する部材が充填されてもよい。区画溝230に充填される部材の材料は、例えばアクリルやポリカーボネート、シリコーン、エポキシ等の樹脂に、酸化チタン、酸化珪素、酸化アルミニウム等の光拡散材を含有させたものとすることができる。
【0067】
(導光部材)
導光部材220は、光源20からの光を外部に導く部材である。導光部材220は、区画溝230に囲まれる内側であって、光源20の側方に配置される。
導光部材220は、例えば透光性の板状又はシート状の部材であり、光源20の位置に光源20が配置できる程度の大きさを持つ貫通孔を有する。貫通孔は、光源20と導光部材220とを離隔して囲むことができる大きさである。ここでは、導光部材220の厚さは、配線基板3の上面から光源20の上面までの高さよりも厚い。
導光部材220の材料は、例えば、アクリル、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート若しくはポリエステル等の熱可塑性樹脂、又はガラス等の透光性を有する材料を用いることができる。特に、透明性が高く、安価なポリカーボネートを用いることが好ましい。
【0068】
(透光性部材)
透光性部材250は、光源20の上方及び側方に配置される透光性の部材である。ここでは、透光性部材250は、光源20と接する第1透光部251と、光源20及び第1透光部251の上側に位置する第2透光部252と、を有している。
第1透光部251は、光源20の側方に配置されており、光源20の側面及び導光部材220の内側面に接して配置されている。また、第1透光部251は、光源20の下方に配置されていてもよく、光源20の下面及びレジスト部30の上面に接して配置されている。また、第1透光部251は、光源20の上方に配置されており、光源20の上面に接して配置されている。
第1透光部251の材料は、透明な樹脂であれば限定されないが、エポキシ樹脂若しくはシリコーン樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
第2透光部252は、第1透光部251の上面及び導光部材220の上面に接して配置されている。第2透光部252は、平面視において第1透光部251を包含する形状及び大きさとすることができ、ここでは円形状である。
第2透光部252の材料は、第1透光部251と同様の材料を用いることができる。また、透光性部材250、又は、第1透光部251は、1種類又は複数種類の蛍光体を含有することができる。
また、第1透光部251は、光源20の上面の一部にのみ配置し、又は光源20の上面に配置しないようにして、第2透光部252が光源20の上面の一部又は全部に接するようにしてもよい。
【0069】
(光調整部材)
光調整部材260は、光源20の上方で光源20からの光の一部を反射するシート状又は板状の部材である。光調整部材260は、光源20の上方に配置され、第1透光部251及び第2透光部252が設けられる場合には、これらの上側に配置される。光調整部材260は、第1透光部251の上面に配置しているが、導光部材220の上面にまで拡げて配置することもできる。
光調整部材260は、平面視において光源20と重なる位置に配置され、光源20を包含する形状及び大きさに形成されている。ここでは、光調整部材260は円形状であるが、矩形状等としてもよい。
光調整部材260の光透過率は、光源20の光に対して、20%以上60%以下が好ましく、30%以上40%以下がさらに好ましい。光調整部材260の材料は、例えば、光拡散材を含む樹脂材料を用いてもよく、金属材料を用いてもよい。樹脂材料は、例えば、ポリエチレンテレフタラート樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂又はこれらを混合した樹脂とすることができる。光拡散材は、例えば、酸化チタン、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛又はガラス等の公知の材料とすることができる。光調整部材260は空気等の泡を含むようにしてもよい。
【0070】
発光装置200は、素子電極21のそれぞれに個別に対面するパッド部44を残して、配線40は配線基板3の他方の面側に配置されている。そして、光源20が配置される配線基板3の表面は、パッド部44を除いてレジスト部30が形成されている。これにより、発光装置200は、配線40による光の吸収を抑え、また、レジスト部30の光反射率を高めて面積を大きくし、光源20からの光を有効に利用することができる。
【0071】
なお、区画溝230は、下端側と上端側とで幅が異なっていてもよい。区画溝230における導光部材220の側面は、傾斜を有していても有していなくてもよい。区画溝230は、配線基板3側で導光部材220の一部が連続するように形成されていてもよい。区画溝230の深さや形状によって、隣接する区画間の導光を調節することができる。
区画溝230は、複数の光源20を区画して囲んでもよい。一例として、区画溝230は、2行2列の4個の光源20や3行3列の9個の光源20毎に区画して囲むようにしてもよい。
【0072】
[発光装置(第2実施形態)の製造方法]
次に、第2実施形態に係る発光装置200の製造方法について、
図11から
図12Fを参照しながら説明する。
図11は、発光装置200の製造方法を例示するフローチャートである。
図12Aは、発光装置200の製造方法における配線基板3を例示する断面図である。
図12Bは、光源20を配置した状態を例示する断面図である。
図12Cは、導光部材220を配置した状態を例示する断面図である。
図12Dは、第1透光部251を配置した状態を例示する断面図である。
図12Eは、第2透光部252を配置した状態を例示する断面図である。
図12Fは、光調整部材260を配置した状態を例示する断面図である。
【0073】
発光装置200の製造方法は、実施形態に係る配線基板の製造方法によって配線基板3を製造することS31と、配線基板3に発光素子22を含む光源20を配置し、発光素子22と配線基板3とを導電接続部材70により電気的に接続することS32と、を含み、発光素子と配線基板とを導電接続部材により電気的に接続することS32において、光源20は、配線基板3の一方の面に行方向及び列方向に整列させて配置される。また、光源20を所定の個数毎に区画して囲む区画溝230が形成されるように、光源20の光を導く導光部材220を配置することS33を更に含む。そして、導光部材を配置することS33において、導光部材220は、配線基板3の一方の面の上側、かつ、光源20の側方に配置され、光源20と接する第1透光部251、及び、光源20及び第1透光部251の上側に第2透光部252、となる透光性部材250を配置することS34と、光源20、第1透光部251及び第2透光部252の上側に光調整部材260を配置することS35と、を更に含む。
【0074】
(配線基板を製造すること)
配線基板を製造することS31において、すでに説明した配線基板の製造方法によって、配線基板3を製造する。レジスト部30及び配線40は、基材10の第1面10A及び第2面10Bに形成している。
配線40は、配線基板3の上面側の光源20を配置する位置に光源用電極243を形成する。ここでは、光源用電極243は4つの正方形状のパッド部44としている。隣り合うパッド部44同士の間にはレジスト部30を形成する。パッド部44の残りの配線40は、下面側に形成することができる。パッド部44は、パッド部44の位置にビア導通部50を設けて、下面側の配線40と接続する。
また、レジスト部30及び配線40を研磨若しくは研削することS14の後で、下面側に絶縁性の被覆部材270を形成する。被覆部材270は、例えば、硬化前の被覆部材270の材料を塗布して硬化させることで形成することができる。
【0075】
(発光素子と配線基板とを導電接続部材により電気的に接続すること)
発光素子と配線基板とを導電接続部材により電気的に接続することS32において、配線基板3の上面に光源20を配置する。光源20は、配線基板3の上面に行方向及び列方向に整列させて配置する。そして、光源20の素子電極21は、発光装置100の製造方法と同様に、導電接続部材70を介して光源用電極243のパッド部44と接合させて、発光素子22と配線基板3とを導電接続部材70により電気的に接続する。
【0076】
(導光部材を配置すること)
導光部材を配置することS33において、配線基板3の光源20が配置されている面に導光部材220を配置する。
ここでは、導光部材220は予め形成されており、光源20を離隔して囲むことができる大きさの貫通孔を有している。導光部材220は、この貫通孔の中央に光源20が位置するように配置される。導光部材220は、例えば透光性の接着剤を介して配線基板3に固定することができる。一例として、導光部材220は、1個の光源20毎に分離して形成されている。これにより、隣り合う導光部材220の間に、区画溝230を形成することができる。
【0077】
(透光性部材を配置すること)
透光性部材を配置することS34において、光源20の上方及び側方に透光性部材250を配置する。透光性部材250は、第1透光部251及び第2透光部252を有している。ここでは、第1透光部251は、光源20の上面、側面及び下面と接するように配置している。第2透光部252は、第1透光部251の上面及び導光部材220の上面と接するように配置している。
第1透光部251は、配線基板3の上面の光源20と導光部材220との間に、硬化前の流動性を有する材料を充填し、硬化させることによって配置することができる。ここでは、第1透光部251は、光源20の上面を覆う高さまで配置している。
第2透光部252は、第1透光部251の上面に硬化前の流動性を有する材料を塗布し、硬化させることによって配置することができる。ここでは、第2透光部252は、導光部材220の上面の一部に接するように配置している。
第1透光部251、第2透光部252の充填又は塗布は、例えば、ポッティング、スプレー、インクジェット、印刷等の方法で行うことができる。第2透光部252はシート状又は板状に形成された部材を第1透光部251に配置してもよい。
【0078】
(光調整部材を配置すること)
光調整部材を配置することS35において、光源20の上方の透光性部材250上に光調整部材260を配置する。光調整部材260は、平面視において、光源20及び透光性部材250と重なる位置に配置する。ここでは、光調整部材260は、第2透光部252の上面に、平面視において第1透光部251の上面を包含する形状及び大きさで配置している。
光調整部材260は、第2透光部252上に硬化前の光調整部材260の材料を塗布して硬化させてもよく、シート状又は板状に形成された部材を配置してもよい。ここでは、一例として、酸化チタンを含有するシリコーン樹脂を塗布して硬化させている。
【0079】
なお、第1透光部251の硬化は、第2透光部252を塗布した後で、第2透光部252の硬化と共に行ってもよい。また、光調整部材260を塗布した後で、光調整部材260の硬化と共に第1透光部251及び第2透光部252を硬化させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本開示の実施形態に係る配線基板、発光装置及びそれらの製造方法は、COB型発光光源のような照明用光源、液晶ディスプレイのバックライト光源、各種照明器具、屋内用又は屋外用ディスプレイ、広告や行き先案内等の各種表示装置、車載等に利用することができる。
【0081】
本開示は、次の各項の実施形態を含む。
(項1)
第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有する絶縁性の基材と、
前記基材の第1面及び第2面の少なくとも一部を覆って配置され、所定パターンの穴部を有するレジスト部と、
前記レジスト部の前記穴部内に前記基材に接するように配置される配線と、を備え、
前記基材の厚み方向における断面視において、前記配線は、前記レジスト部から露出する露出面の長さが、前記基材と接する接触面の長さよりも短い配線基板。
(項2)
前記穴部及び前記配線は、前記基材の厚み方向における断面視において台形状であり、前記台形状の底角の大きさが40度以上80度以下である項1に記載の配線基板。
(項3)
前記穴部及び前記配線は、前記基材の厚み方向における断面視において等脚台形状である項1又は項2に記載の配線基板。
(項4)
前記レジスト部の厚さは、5μm以上50μm以下である項1から項3の何れか一項に記載の配線基板。
(項5)
前記配線の露出面及び前記レジスト部の表面は、前記基材の表面に平行な平坦面をなす項1から項4の何れか一項に記載の配線基板。
(項6)
前記配線は、金属粒子の焼結体で形成されている項1から項5の何れか一項に記載の配線基板。
(項7)
前記配線は、体積抵抗率が10μΩ・cm以下である項1から項6の何れか一項に記載の配線基板。
(項8)
前記レジスト部は、白色である項1から項7の何れか一項に記載の配線基板。
(項9)
前記配線は、直径5μm以下の複数の気泡がある項1から項8の何れか一項に記載の配線基板。
(項10)
項1から項9の何れか一項に記載の配線基板と、
前記配線基板に配置されている、発光素子を含む光源と、を備える発光装置。
(項11)
前記発光素子は、一対の素子電極を有しており、
前記光源は、前記配線基板の一方の面に行方向及び列方向に整列して配置されており、
前記光源を所定の個数毎に区画して囲む区画溝と、
前記区画溝に囲まれる内側に前記光源の光を導く導光部材と、を更に備える項10に記載の発光装置。
(項12)
前記配線は、前記素子電極のそれぞれに個別に対面するパッド部を残して前記配線基板の他方の面側に配置され、
前記パッド部は、前記パッド部の位置に設けられ、前記配線に電気的に接続するように前記基材を貫通して配置されるビア導通部を介して残りの前記配線と接続され、
隣り合う前記パッド部同士の間に前記レジスト部が配置されている項10又は項11に記載の発光装置。
(項13)
前記光源と接する第1透光部と、前記光源及び前記第1透光部の上側に位置する第2透光部と、を有する透光性部材と、
前記光源、前記第1透光部及び前記第2透光部の上側に配置される光調整部材と、を更に備え、
前記導光部材は、前記配線基板の一方の面の上側、かつ、前記光源の側方に配置される項10から項12の何れか一項に記載の発光装置。
(項14)
第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有する絶縁性の基材において、前記基材の第1面及び第2面の少なくとも一方を覆うように、レジスト部が配置され、前記基材の第1面及び第2面の一部が前記レジスト部から露出するような穴部が前記レジスト部に形成されている、前記基材を準備することと、
前記レジスト部の前記穴部内に金属粒子を含有するペースト部材を充填することと、
150℃以上であり前記金属粒子の融点よりも低い温度で前記ペースト部材を焼成することと、を含み、
前記基材を準備することにおいて、前記穴部の内底面の幅が開口の幅よりも大きくなるように前記穴部を形成し、
前記ペースト部材を焼成することにおいて、前記金属粒子同士を焼結させて、前記穴部の内底面及び内側面に沿う形状に配線を形成し、前記配線を電気的に接続する配線基板の製造方法。
(項15)
前記ペースト部材を焼成した後、前記レジスト部及び前記配線を研磨若しくは研削することを更に含む項14に記載の配線基板の製造方法。
(項16)
前記ペースト部材を焼成した後、前記配線は、前記レジスト部から露出する露出面の長さが、前記基材と接する接触面の長さよりも短い項14又は項15に記載の配線基板の製造方法。
(項17)
前記レジスト部及び前記配線を研磨若しくは研削した後、前記配線は、前記レジスト部から露出する露出面の長さが、前記基材と接する接触面の長さよりも短い項15又は項16に記載の配線基板の製造方法。
(項18)
前記レジスト部を形成することにおいて、前記基材の厚み方向における断面視において底角の大きさが40度以上80度以下である台形状に前記穴部を形成する項14から項17の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
(項19)
前記レジスト部を形成することにおいて、フォトリソグラフィーによって前記穴部を形成する項14から項18の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
(項20)
前記ペースト部材を充填することにおいて、前記金属粒子は、粒径が0.1μm以上10μm以下の銅粒子であり、0.1μm以上1μm以下であるものの割合が40重量%以上95重量%以下である項14から項19の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
(項21)
前記ペースト部材を焼成することにおいて、前記ペースト部材を2MPa以上10MPa以下で加圧しながら大気中において200℃以上300℃以下に加熱する項14から項20の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
(項22)
前記ペースト部材を焼成することにおいて、前記ペースト部材を2MPa以上10MPa以下で加圧しながら真空中もしくは窒素雰囲気中において200℃以上300℃以下に加熱する項14から項20の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
(項23)
前記ペースト部材を充填することにおいて、前記ペースト部材は、沸点が200℃以上300℃以下であり還元性を有する有機溶剤を前記金属粒子の重量の5%以上20%以下の割合で含有する項14から項22の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
(項24)
項14から項23の何れか一項に記載の配線基板の製造方法によって配線基板を製造することと、
前記配線基板に発光素子を含む光源を配置し、前記発光素子と前記配線基板とを導電接続部材により電気的に接続することと、を含む発光装置の製造方法。
(項25)
前記発光素子と配線基板とを導電接続部材により電気的に接続することにおいて、前記光源は、前記配線基板の一方の面に行方向及び列方向に整列させて配置され、
前記光源を所定の個数毎に区画して囲む区画溝が形成されるように、前記光源の光を導く導光部材を形成することを更に含む項24に記載の発光装置の製造方法。
(項26)
前記導光部材を形成することにおいて、前記導光部材は、前記配線基板の一方の面の上側、かつ、前記光源の側方に配置され、
前記光源と接する第1透光部、及び、前記光源及び前記第1透光部の上側に第2透光部、となる透光性部材を配置することと、
前記光源、前記第1透光部及び前記第2透光部の上側に光調整部材を配置することと、を更に含む項24又は項25に記載の発光装置の製造方法。
【符号の説明】
【0082】
1 配線基板
2 配線基板(COB型発光装置)
3 配線基板(面状発光装置)
10 基材
10A 第1面
10B 第2面
15 貫通孔
20 光源
21 素子電極
22 発光素子
23 樹脂部材
30 レジスト部
35 穴部
36 内底面
37 内側面
38 開口
40 配線
41 焼結体
42 気泡
44 パッド部
46 接触面
47 側面
48 露出面
50 ビア導通部
60 ペースト部材
70 導電接続部材
100 発光装置(COB型発光装置)
130 枠部材
141 外部電極
142 内部電極
143 光源用電極(COB型発光装置)
150 封止部材
180 保護素子
200 発光装置(面状発光装置)
220 導光部材
230 区画溝
243 光源用電極(面状発光装置)
250 透光性部材
251 第1透光部
252 第2透光部
260 光調整部材
270 被覆部材