(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020297
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】温度に基づくCMP中のインシトゥエッジアシンメトリ補正
(51)【国際特許分類】
B24B 37/015 20120101AFI20240206BHJP
B24B 37/10 20120101ALI20240206BHJP
B24B 37/12 20120101ALI20240206BHJP
B24B 37/30 20120101ALI20240206BHJP
B24B 37/005 20120101ALI20240206BHJP
B24B 49/14 20060101ALI20240206BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
B24B37/015
B24B37/10
B24B37/12 D
B24B37/30 Z
B24B37/005 Z
B24B49/14
H01L21/304 621D
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023189082
(22)【出願日】2023-11-06
(62)【分割の表示】P 2021560894の分割
【原出願日】2020-04-15
(31)【優先権主張番号】62/836,007
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウー, ハオション
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ショウ-サン
(72)【発明者】
【氏名】タン, チエンショー
(72)【発明者】
【氏名】チョン, チー
(72)【発明者】
【氏名】チェン, フイ
(72)【発明者】
【氏名】サウンダララジャン, ハリ
(72)【発明者】
【氏名】シェリアン, ベンジャミン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ウエハ間の均一性を向上する。
【解決手段】化学機械研磨装置は、研磨パッドを保持するプラテンと、研磨プロセス中に研磨パッドの研磨面に対して基板を保持するために、アクチュエータによって研磨パッドを横切って横方向に移動可能なキャリアと、研磨パッド上の複数のゾーンの温度を独立して制御するための、複数の独立して制御可能なヒータ及びクーラを含む熱制御システムと、熱制御システムに、第1の温度を有する第1のゾーンと、異なる第2の温度を有する第2のゾーンとを研磨パッド上に生成させるように構成されたコントローラとを含む。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学機械研磨装置であって、
研磨パッドを保持するプラテンと、
研磨プロセス中に前記研磨パッドの研磨面に対して基板を保持する回転可能なキャリアであって、第1のアクチュエータによって前記研磨パッドを横切って横方向に移動可能であり、第2のアクチュエータによって回転可能であるキャリアと、
前記研磨パッド上の複数のゾーンのうちの少なくとも1つのゾーンの温度を、前記複数のゾーンのうちの別のゾーンに対して独立して制御するための、1又は複数の独立して制御可能なヒータ及び/又はクーラを含む熱制御システムと、
前記熱制御システムに、第1の温度を有する第1のゾーンと、異なる第2の温度を有する第2のゾーンとを生成させるように構成されたコントローラであって、更に、キャリアヘッドの複数の連続した振動にわたって、前記基板のエッジ部分の第1の角度スワスが前記キャリアヘッドの回転軸線を中心とした方位角位置にあるときに、前記第1の角度スワスが前記第1のゾーンに重なり、前記基板のエッジ部分の第2の角度スワスが前記方位角位置にあるときに、前記第2のスワスが前記第2のゾーンに重なるように、前記キャリアヘッドの横方向の振動を前記キャリアヘッドの回転と同期させるために、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータを制御するように構成されているコントローラと
を備える装置。
【請求項2】
前記プラテンが回転可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のゾーン及び前記第2のゾーンが、前記プラテンの回転軸線を中心とした同心円である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記アクチュエータは、前記プラテンの半径に沿って前記キャリアを振動させるように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記方位角位置は、前記プラテンの回転軸線に対する前記基板の最も外側の位置である、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記キャリアヘッドの複数の連続した振動にわたって、前記基板のエッジ部分の第3の角度スワスが前記方位角位置にあるときに、前記第3の角度スワスが第3のゾーンに重なるように、前記キャリアヘッドの横方向の振動を前記キャリアヘッドの回転と同期させるために、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータを制御するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
化学機械研磨装置であって、
研磨パッドを保持する、モータによって回転可能なプラテンと、
研磨プロセス中に前記研磨パッドの研磨面に対して基板を保持するキャリアであって、第1のアクチュエータによって前記研磨パッドを横切って横方向に移動可能であり、第2のアクチュエータによって回転可能であるキャリアと、
前記研磨パッド上のゾーンの温度を独立して制御するための、1又は複数の独立して制御可能なヒータ及び/又はクーラを含む熱制御システムと、
前記熱制御システムに、前記研磨パッドのゾーンが前記1又は複数のヒータ又はクーラの下方で回転するときに、前記研磨パッドのゾーンに熱又は冷却を断続的に適用させ、前記プラテンの回転軸線から共通の半径距離に、交互の異なる温度の第1の領域と第2の領域とを有する環状エリアを生成させるように構成されたコントローラであって、更に、キャリアヘッドの複数の連続した回転にわたって、前記基板のエッジ部分の第1の角度スワスが前記キャリアヘッドの回転軸線を中心とした方位角にあるときに、前記第1の角度スワスが前記第1の領域に重なり、前記基板のエッジ部分の第2の角度スワスが前記キャリアヘッドの回転軸線を中心とした前記方位角にあるときに、前記第2のスワスが前記第2の領域に重なるように、前記研磨パッドのゾーンの加熱及び冷却を前記キャリアヘッドの回転と同期させるために、前記モータ及び前記熱制御システムを制御するように構成されているコントローラと
を備える装置。
【請求項8】
前記ゾーンは、前記プラテンの回転軸線を中心とした同心円である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
交互の第1及び第2の領域が、前記円に沿った円弧状のセグメントである、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記アクチュエータは、前記研磨パッドのゾーンの加熱及び冷却が前記キャリアヘッドの回転と同期している間、前記キャリアを静止させるように構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記方位角位置は、前記プラテンの回転軸線に対する前記基板の最も外側の位置である、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記コントローラは、前記キャリアヘッドの複数の連続した振動にわたって、前記基板のエッジ部分の第3の角度スワスが前記方位角位置にあるときに、前記基板のエッジ部分の前記第3の角度スワスが前記ゾーンの第3の領域に重なるように、前記研磨パッドのゾーンの加熱及び冷却を前記キャリアヘッドの回転と同期させるために、前記モータ及び前記熱制御システムを制御するように構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項13】
化学機械研磨装置であって、
研磨パッドを保持する回転可能なプラテンと、
研磨プロセス中に前記研磨パッドの研磨面に対して基板を保持する回転可能なキャリアであって、第1のアクチュエータによって前記研磨パッドを横切って横方向に移動可能であり、第2のアクチュエータによって回転可能であるキャリアと、
前記研磨面に研磨液を供給する研磨液供給ポートと、
前記研磨面上のゾーンの温度を調節するために媒体を前記研磨面上に噴霧する移動可能なノズルを含む熱制御システムと、
前記ノズルを前記プラテンの回転軸線に対して半径方向に移動させるアクチュエータと、
前記ノズルからの前記媒体の分注と、前記研磨面を横切る前記ノズルの動きとを調整するように構成されたコントローラと
を備える装置。
【請求項14】
化学機械研磨装置であって、
研磨パッドを保持するプラテンと、
研磨プロセス中に前記研磨パッドの研磨面に対して基板を保持する回転可能なキャリアと、
前記研磨パッド上の複数のゾーンのうちの少なくとも1つのゾーンの温度を、前記複数のゾーンのうちの別のゾーンに対して独立して制御するための、1又は複数の独立して制御可能なヒータ及び/又はクーラを含む熱制御システムと、
前記基板の非対称な研磨を低減するために、媒体の分注と、前記研磨パッドに対する前記基板の動きとを調整するように構成されたコントローラと
を備える装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化学機械研磨(CMP)に関し、より具体的には、化学機械研磨中の温度制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
集積回路は通常、半導体ウエハに導電層、半導体層、又は絶縁層を順次堆積させることで、基板に形成される。様々な製造プロセスにおいて、基板上の層の平坦化が必要とされる。例えば、ある製造ステップでは、非平面的な表面に充填層を堆積させて、充填層を平坦化する。特定の用途では、パターニングされた層の上面が露出するまで充填層を平坦化する。例えば、パターニングされた絶縁層に金属層を堆積させて、絶縁層のトレンチや穴を充填することができる。平坦化後、パターニングされた層のトレンチ及び穴に残った金属の部分が、基板上の薄膜回路間の導電路を提供するビア、プラグ、ラインを形成する。他の例としては、パターニングされた導電層の上に誘電体層を堆積させ、その後のフォトリソグラフィステップを可能にするために平坦化し得る。
【0003】
化学機械研磨(CMP)は、平坦化の1つの方法として受け入れられている。この平坦化方法では、通常、基板をキャリアヘッドに取り付ける必要がある。通常、基板の露出した面が回転する研磨パッドに当てられる。キャリアヘッドは、基板に制御可能な負荷を与え、基板を研磨パッドに押し付ける。研磨パッドの面には、通常、研磨粒子を含む研磨スラリが供給される。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、化学機械研磨装置は、研磨パッドを保持するプラテンと、研磨プロセス中に研磨パッドの研磨面に対して基板を保持する回転可能なキャリアと、研磨パッド上の複数のゾーンの温度を独立して制御するための、複数の独立して制御可能なヒータ及び/又はクーラを含む熱制御システムと、コントローラとを含む。キャリアは、第1のアクチュエータによって研磨パッドを横切って横方向に移動可能であり、第2のアクチュエータによって回転可能である。コントローラは、熱制御システムに、第1の温度を有する第1のゾーンと、異なる第2の温度を有する第2のゾーンとを生成させるように構成され、また、キャリアヘッドの複数の連続した振動にわたって、基板のエッジ部分の第1の角度スワスがキャリアヘッドの回転軸線を中心とした方位角位置にあるときに、第1の角度スワスが第1のゾーンに重なり、基板のエッジ部分の第2の角度スワスが方位角位置にあるときに、第2のスワスが第2のゾーンに重なるように、キャリアヘッドの横方向の振動とキャリアヘッドの回転とを同期させるために、第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータを制御するように構成されている。
【0005】
実装態様は、以下の特徴のうちの1又は複数を含み得る。
【0006】
プラテンは、回転可能であり得る。第1のゾーン及び第2のゾーンは、プラテンの回転軸線を中心とした同心円であり得る。アクチュエータは、プラテンの半径に沿ってキャリアを振動させるように構成され得る。方位角位置は、プラテンの回転軸線に対する基板の最も外側の位置であり得る。
【0007】
コントローラは、キャリアヘッドの複数の連続した振動にわたって、基板のエッジ部分の第3の角度スワスが方位角位置にあるときに、第3の角度スワスが第3のゾーンに重なるように、キャリアヘッドの横方向の振動をキャリアヘッドの回転と同期させるために、第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータを制御するように構成され得る。
【0008】
熱制御システムは、ゾーンの温度を調節するために、媒体をゾーン上に噴霧するノズルを含み得る。熱制御システムは、ヒータを含んでいてよく、媒体は気体であり得る。熱制御システムは、クーラを含んでいてよく、媒体は液体であり得る。
【0009】
別の態様では、化学機械研磨装置は、研磨パッドを保持する、モータによって回転可能なプラテンと、研磨プロセス中に研磨パッドの研磨面に対して基板を保持するキャリアと、研磨パッド上のゾーンの温度を独立して制御するための、複数の独立して制御可能なヒータ及びクーラを含む熱制御システムと、コントローラとを含む。コントローラは、熱制御システムに、研磨パッドのゾーンがヒータ及びクーラの下方で回転するときに、研磨パッドのゾーンの加熱及び冷却を交互に行わせ、交互の異なる温度の第1の領域と第2の領域とを生成させるように構成され、コントローラは更に、キャリアヘッドの複数の連続した回転にわたって、基板のエッジ部分の第1の角度スワスがキャリアヘッドの回転軸線を中心とした方位角にあるときに、第1の角度スワスが第1の領域に重なり、基板のエッジ部分の第2の角度スワスがキャリアヘッドの回転軸線を中心とした方位角にあるときに、第2のスワスが第2の領域に重なるように、研磨パッドのゾーンの加熱及び冷却をキャリアヘッドの回転と同期させるために、モータ及び熱制御システムを制御するように構成されている。
【0010】
実装態様は、以下の特徴のうちの1又は複数を含み得る。
【0011】
ゾーンは、プラテンの回転軸線と同心の円であり得る。交互の第1及び第2の領域は、円に沿った円弧状のセグメントであり得る。アクチュエータは、研磨パッドのゾーンの加熱及び冷却がキャリアヘッドの回転と同期している間、キャリアを静止させるように構成され得る。方位角位置は、プラテンの回転軸線に対する基板の最も外側の位置であり得る。
【0012】
コントローラは、キャリアヘッドの複数の連続した振動にわたって、基板のエッジ部分の第3の角度スワスが方位角位置にあるときに、基板のエッジ部分の第3の角度スワスがゾーンの第3の領域に重なるように、研磨パッドのゾーンの加熱及び冷却をキャリアヘッドの回転と同期させるために、モータ及び熱制御システムを制御するように構成され得る。
【0013】
熱制御システムは、ゾーンの温度を調節するために、媒体をゾーン上に噴霧するノズルを含み得る。熱制御システムは、ヒータを含んでいてよく、媒体は気体であり得る。熱制御システムは、クーラを含んでいてよく、媒体は液体であり得る。
【0014】
別の態様では、化学機械研磨装置は、研磨パッドを保持するプラテンと、研磨プロセス中に研磨パッドの研磨面に対して基板を保持するために、アクチュエータによって研磨パッドを横切って横方向に移動可能なキャリアと、研磨パッド上の複数のゾーンの温度を独立して制御するための、複数の独立して制御可能なヒータ及びクーラを含む熱制御システムと、熱制御システムに、第1の温度を有する第1のゾーンと、異なる第2の温度を有する第2のゾーンとを研磨パッド上に生成させるように構成されたコントローラとを含む。
【0015】
別の態様では、化学機械研磨装置は、研磨パッドを保持するプラテンと、研磨プロセス中に研磨パッドの研磨面に対して基板を保持する回転可能なキャリアと、研磨面に研磨液を供給する研磨液供給ポートと、研磨面上のゾーンの温度を調節するために媒体を研磨面上に噴霧する移動可能なノズルを含む熱制御システムと、ノズルをプラテンの回転軸線に対して半径方向に移動させるアクチュエータと、ノズルからの媒体の分注と、研磨面を横切るノズルの動きとを調整するように構成されたコントローラとを含む。
【0016】
実装態様は、以下の特徴のうちの1又は複数を含み得る。
【0017】
コントローラは、基板の非対称な研磨を低減するために、媒体の分注を調整するように構成され得る。熱制御システムは、ヒータを含んでいてよく、媒体は加熱された気体であり得る、及び/又は、熱制御システムは、クーラを含んでいてよく、媒体は冷却された液体であり得る。ノズルは、アームから吊り下げられていてよく、アームは、研磨面上でアームを旋回させるように回転可能なベースによって支持され得る、又はアームは、アクチュエータによって伸縮可能であり得る、又はノズルは、アームに沿って直線的に移動可能であり得る。
【0018】
別の態様では、化学機械研磨装置は、研磨パッドを保持するプラテンと、研磨プロセス中に研磨パッドの研磨面に対して基板を保持する回転可能なキャリアと、研磨パッド上の複数のゾーンのうちの少なくとも1つのゾーンの温度を、複数のゾーンのうちの別のゾーンに対して独立して制御するための、1又は複数の独立して制御可能なヒータ及び/又はクーラを含む熱制御システムと、基板の非対称な研磨を低減するために、媒体の分注と、研磨パッドに対する基板の動きとを調整するように構成されたコントローラとを含む。
【0019】
実装態様は、以下の特徴のうちの1又は複数を含み得る。
【0020】
熱制御システムは、プラテンの回転軸線から異なる半径方向位置に配置された複数のヒータを含み得る。複数のヒータは、研磨パッドの上を横方向に延在する第1のアームから吊り下げられ得る。熱制御システムは、プラテンの回転軸線から異なる半径方向位置に配置された複数のクーラを含み得る。複数のクーラは、研磨パッドの上を横方向に延在するアーム、例えば、別個の第2のアームから吊り下げられ得る。熱制御システムは、研磨面上に媒体を噴霧する移動可能なノズルを含み得る。熱制御システムは、ヒータを含んでいてよく、媒体は加熱された気体であり得る、及び/又は、熱制御システムは、クーラを含んでいてよく、媒体は冷却された液体であり得る。
【0021】
可能な利点としては、以下の1又は複数を含み得るが、これらに限定されない。研磨パッドの異なるゾーンの温度を迅速かつ効率的に上げたり下げたりすることにより、研磨パッドの研磨プロファイルを制御することができる。所望のウエハプロファイルをもたらす研磨プロファイルを得るために、研磨工程にわたる温度変化を制御することができる。これにより、ウエハ間の均一性が向上し、研磨プロセスの再現性が向上し得る。更に、温度変化を利用して、研磨プロセス中にウエハエッジの非対称性のインシトゥ補正方法を提供することで、ウエハ内の均一性が向上し得る。
【0022】
1又は複数の実装態様の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。他の態様、特徴、及び利点は、説明及び図面、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】化学機械研磨装置の一例を示す概略断面図である。
【
図2A】例示的な化学機械研磨装置を示す概略上面図である。
【
図2B】例示的な化学機械研磨装置を示す概略上面図である。
【
図3A】例示的な化学機械研磨装置を示す概略上面図である。
【
図3B】例示的な化学機械研磨装置を示す概略上面図である。
【
図4】別の例示的な化学機械研磨装置を示す概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
化学機械研磨では、基板のエッジ部分の除去速度が、基板の中央部分の除去速度と異なる場合がある。更に、基板の円周に沿った研磨速度は均一である必要はなく、この効果は「エッジの非対称性」と称され得る。基板の厚さの不均一性に対処するために、基板の局所的な領域を研磨することができる専用の研磨「タッチアップ」ツールに基板を輸送することができる。上記ツールを使用して、基板のエッジの非対称性を補正することができる。例えば、研磨プロセスが完了した後、基板のエッジのより厚い領域を局所的に研磨して、均一な厚さの基板を得ることができる。しかし、上記ツールのスループットは低い。
【0025】
この問題を解決する技法は、化学機械研磨プロセス中に基板のエッジの非対称性のインシトゥ補正を提供し得る専用の温度制御システムを持つことである。温度制御システムは、研磨パッドの研磨速度が温度に依存し得るため、異なる研磨速度を提供する異なる温度を有するゾーンを生じさせ得る。
【0026】
図1、
図2A、及び
図2Bに、化学機械研磨システムの研磨ステーション20の一例を示す。研磨ステーション20は、研磨パッド30が位置する回転可能な円盤状のプラテン24を含む。プラテン24は、軸線25を中心に回転するように動作可能である。例えば、モータ22が駆動軸28を回転させてプラテン24を回転させることができる。研磨パッド30は、外側の研磨層34と、より柔らかいバッキング層32とを有する2層の研磨パッドであり得る。
【0027】
研磨ステーション20は、研磨パッド30上に研磨液38、例えば、研磨スラリを分注するための供給ポートを、例えばスラリ供給アーム39の端部に含み得る。研磨ステーション20は、研磨パッド30の表面粗さを維持するための調整ディスクを有するパッド調整装置を含み得る。調整ディスクは、研磨パッド30を横切ってディスクを半径方向に掃引するようにスイングできるアームの端部に位置付けされ得る。
【0028】
キャリアヘッド70は、研磨パッド30に対して基板10を保持するように動作可能である。キャリアヘッド70は、支持構造72、例えば、カルーセル又はトラックから吊り下げられ、キャリアヘッドが軸線71を中心に回転できるように、駆動軸74によってキャリアヘッド回転モータ76に接続されている。オプションとして、キャリアヘッド70は、例えば、カルーセルのスライダ上で、トラックに沿った移動によって、又はカルーセル自体の回転振動によって、横方向に振動し得る。
【0029】
キャリアヘッド70は、基板を保持する保持リング84を含み得る。幾つかの実装態様では、保持リング84は、研磨パッドに接触する下部プラスチック部分86と、より硬い材料の上部部分88とを含み得る。
【0030】
工程において、プラテンはその中心軸線25を中心に回転し、キャリアヘッドはその中心軸線71を中心に回転し、研磨パッド30の上面を横切って横方向に並進する。
【0031】
キャリアヘッド70は、基板10の裏側に接触する基板取付面を有する可撓性膜80と、基板10上の異なるゾーン、例えば、異なる半径方向ゾーンに異なる圧力を加えるための複数の加圧可能なチャンバ82とを含み得る。また、キャリアヘッドは、基板を保持する保持リング84を含み得る。
【0032】
幾つかの実装態様では、研磨ステーション20は、研磨ステーション内の温度又は研磨ステーションの/研磨ステーション内の構成要素、例えば、研磨パッドの温度及び/又は研磨パッド上のスラリの温度を監視するための温度センサ64を含む。例えば、温度センサ64は、研磨パッド30の上方に位置付けされ、研磨パッド30及び/又は研磨パッド上のスラリ38の温度を測定するように構成された赤外線(IR)センサ、例えば、IRカメラであり得る。特に、温度センサ64は、半径方向の温度プロファイルを生成するために、研磨パッド30の半径に沿った複数の点で温度を測定するように構成され得る。例えば、IRカメラは、研磨パッド30の半径をまたぐ視野を有し得る。
【0033】
幾つかの実装態様では、温度センサは、非接触センサではなく接触センサである。例えば、温度センサ64は、プラテン24上又はプラテン24内に位置付けされた熱電対又はIR温度計であり得る。更に、温度センサ64は、研磨パッドと直接接触し得る。
【0034】
幾つかの実装態様では、研磨パッド30の半径に沿った複数の点での温度を得るために、複数の温度センサが研磨パッド30を横切る異なる半径方向位置に間隔を置いて配置され得る。この技法は、IRカメラの代わりに、又はIRカメラに加えて使用することができる。
【0035】
図1では、研磨パッド30及び/又はパッド30上のスラリ38の温度を監視するために位置付けされているように図示したが、温度センサ64は、基板10の温度を測定するためにキャリアヘッド70の内部に位置付けされ得る。温度センサ64は、基板10の半導体ウエハに直接接触(すなわち、接触センサ)し得る。幾つかの実装態様では、複数の温度センサが、例えば、研磨ステーションの/内の異なる構成要素の温度を測定するために、研磨ステーションに含まれる。
【0036】
また、研磨システム20は、研磨パッド30及び/又は研磨パッド上のスラリ38の温度を制御する温度制御システム100を含む。温度制御システム100は、温度制御された媒体、例えば、液体、蒸気又は噴霧を、研磨パッド30の研磨面36上(又は、研磨パッド上に既に存在する研磨液上)に送出することによって動作する。
【0037】
図1及び
図2に示すように、温度制御システム120は、研磨パッドのエッジから研磨パッド30の中心又はその付近まで、プラテン24及び研磨パッド30の上に延在するアーム110を含む。アーム110は、ベース112によって支持されていてよく、ベース112は、プラテン24と同じフレーム40に支持され得る。ベース112は、1又は複数のアクチュエータ、例えば、アーム110を昇降させるリニアアクチュエータ、及び/又は、アーム110をプラテン24上で横方向にスイングさせる回転アクチュエータを含み得る。アーム110は、研磨ヘッド70及びスラリ分注アーム39等の他のハードウェア部品との衝突を回避するように位置付けされている。
【0038】
例示の冷却システム120は、複数のノズル、例えば、アーム110によって吊り下げられたノズルの線形アレイ(例えば、ノズル128及びノズル148)を含む。各ノズルは、半径方向ゾーン、例えば、半径方向ゾーン129及び149の温度を修正するために、媒体、例えば、気体又は液体を研磨パッド30上に噴霧するように構成されている。幾つかの実装態様では、媒体は、実質的に純粋な脱イオン水等の水、又は、添加物もしくは化学物質を含む水であり得る。例えば、ノズル128は、研磨パッド30が軸線25を中心に回転する際に、噴霧114でエアロゾル化した水を研磨パッド30に向かって、ゾーン129上へ方向づけするように構成され得る。ゾーン129は、研磨パッド30の回転軸線と同心であり、0.5から20cmの幅、例えば、3から10cmの幅であり得る。
【0039】
アーム110は、ノズル128が研磨パッド30から間隙116によって分離されるように、ベース112によって支持され得る。間隙116は、ベース112が上昇又は下降するのに伴って増加又は減少し得る。例えば、ノズル128と研磨パッド30との間の間隙は、0.5から100mmであってよく、例えば、加熱された流体を分注するノズル128の場合は0.5から5mm、あるいは冷却された流体を分注するノズル128の場合は5から10cmであり得る。0.5mmから100mmである。すなわち、加熱媒体用のノズルは、冷却流体用のノズルよりもパッドに近づけることができる。同様に、ノズル148は、噴霧114をゾーン149に方向づけするように構成され得る。
【0040】
各ノズル128,148を通って流れる媒体の温度は、独立して制御され得る。例えば、冷却媒体及び加熱媒体の別々の供給源122,124及び142,144がそれぞれあってよく、ノズルへの流体の流れの比率により、例えば、バルブの使用によって媒体の温度が制御され得る。あるいは、媒体の温度は、ノズルの前の熱交換器によって制御され得る。
【0041】
更に、温度制御システム120は、気体媒体供給源122、142及び液体媒体供給源124、1(
図2A参照)を含み得る。供給源122、142からの気体及び供給源124、144からの液体は、噴霧114を形成するためにノズル128を通して方向づけされる前に、例えば、アーム110内又はアーム110上の混合チャンバ126(
図1参照)で混合され得る。
【0042】
気体媒体122及び液体媒体124は、冷却のために使用され得る。冷却において、媒体は、気体、例えば、空気、又は液体、例えば、水であり得る。幾つかの実装態様では、ノズルは、室温未満に冷やされた水のエアロゾル化された噴霧を射出する。気体媒体142及び液体媒体144は、加熱に使用され得る。加熱において、媒体は、気体、例えば、蒸気又は加熱された空気、又は液体、例えば、加熱された水、又は気体と液体の組み合わせであり得る。幾つかの実装態様では、ノズルは、研磨パッド30のゾーンを加熱するために、蒸気の噴霧を射出する。
【0043】
幾つかの実装態様では、固体材料が気体及び/又は液体と混合され得る。固体材料は、冷やされた材料、例えば、氷、又は、水に溶解したときに、例えば、化学反応によって熱を吸収する材料であり得る。
【0044】
幾つかの実装態様では、プロセスパラメータ(例えば、流量、圧力、及び/又は液体と気体の混合比)は、各ノズル128に対して独立して制御され得る。
【0045】
図1及び
図2A~2Bでは、2つのノズル128、148を図示したが、より多い又は少ない数のノズル、例えば、1から10個のゾーンを形成する1から10個のノズルがあり得る。ノズルは、均一又は不均一に、放射状に、及び/又は角度をつけて分散され得る。
【0046】
図2に、温度制御システム100用の1つのアームを示したが、加熱と冷却の機能は、冷却システム120と別個の加熱システム140に分割することができる。幾つかの実装態様では、様々なサブシステムは、別々のアームによって支持される別々のアセンブリに含まれ得る。例えば、第1のアセンブリは、冷却モジュールを含んでいてよく、第2のアセンブリは、加熱モジュールを含み得る。各モジュールは、共通の取付板(例えば、フレーム40)に固定することができる本体、例えば、直線状又は円弧状の本体を含んでいてよく、共通の取付板は、アセンブリが研磨パッド30の上に位置付けされるように、アームの端部に固定され得る。様々な流体送出構成要素、例えば、チューブ、通路等は、各本体の内部に延在し得る。幾つかの実装態様では、モジュールは、取付板から別々に着脱可能である。各モジュールは、上述した関連システムのアームの機能を実施するための同様の構成要素を有し得る。
【0047】
図1及び
図2に2つのゾーン(ゾーン129及びゾーン149)を図示したが、より少ないゾーン(例えば、加熱又は冷却のいずれかを行う1つのゾーン)があってよく、独立して制御される温度を有する2つ以上のゾーンがあってもよい。例えば、各ゾーンが次のゾーンよりも徐々に冷たく又は熱くなり得る多数の温度ゾーンがあってよい(例えば、最も外側のゾーンが最も冷たく、最も内側のゾーンが最も熱く、その間の各ゾーンが最も外側のゾーンから最も内側のゾーンに向かって徐々に加熱する)。
【0048】
研磨システム20は、様々な構成要素、例えば、温度制御システム100の動作を制御するコントローラ90も含み得る。コントローラ90は、研磨パッドの各半径方向ゾーンについて、温度センサ64から温度測定値を受け取るように構成される。コントローラ90は、測定された温度プロファイルを所望の温度プロファイルと比較し、各ノズルの制御機構(例えば、アクチュエータ、動力源、ポンプ、バルブ等)へのフィードバック信号を生成し得る。フィードバック信号は、制御機構に、研磨パッド及び/又はスラリが所望の温度プロファイルに到達する(又は少なくともそれに近づく)ように各ゾーンの冷却又は加熱の量を調節させるために、コントローラ90によって、例えば、内部フィードバックアルゴリズムに基づいて計算される。
【0049】
コントローラ90は、研磨パッド30が軸線25を中心に回転するときにゾーン129を所望の温度(例えば、冷却ゾーン)にするために、液体及び/又は気体媒体を外側の半径方向同心ゾーン129に噴霧するように、ノズル128に指示し得る。同様に、コントローラ90は、研磨パッド30が軸線25を中心に回転するときに、ゾーン149を所望の温度にするために、液体及び/又は気体媒体を内側半径方向同心ゾーン149(例えば、加熱ゾーン)に噴霧するように、ノズル148に指示し得る。温度センサ64は、研磨パッド30全体の所望の温度プロファイルが達成されるまで、例えば、冷却ゾーン129及び/又は加熱ゾーン149に対応するパッド30の部分を測定することによって、研磨パッド30の温度を測定し続け得る。
【0050】
パッド30と基板10との接合面の温度が低下すると、研磨速度が低下するという効果がある。逆に、パッドと基板10との接合面の温度が上昇すると、研磨速度が上昇するという効果が得られる。
【0051】
例えば、ゾーン129におけるパッド30と基板10との接合面の温度を低下させると、ゾーン129における研磨速度が低下する。また、ゾーン149におけるパッド30と基板10との接合面の温度を上昇させると、ゾーン149における研磨速度が上昇する。異なるゾーンで研磨速度を低下及び/又は増加させることにより、不均一な研磨プロファイルが生じる。研磨プロファイルに温度の不均一性を生じさせることで、基板10の所望のプロファイルを生成することができる異なる研磨速度が得られる。不均一な研磨プロファイルを使用して、温度制御システム100なしで基板10を研磨した場合に生じる不均一性に対処し、補正することができる。
【0052】
幾つかの実装態様では、不均一な研磨プロファイルを使用して、研磨前に不均一なプロファイルを有する基板10に対処し、補正することができる。例えば、基板10の残りの部分よりも薄いエッジ部分を有する不均一な基板10をゾーン129の上に位置付けして、基板10のより薄いエッジ部分の除去を(例えば、研磨速度が低下したゾーン129の上に位置付けすることによって)低減することができる。あるいは、基板10の残りの部分よりも厚いエッジ部分を有する不均一な基板10をゾーン149に位置付けして、基板10のより厚いエッジの除去を(例えば、研磨速度が増加したゾーン149の上に位置付けすることによって)増加させることができる。その結果、より均一な基板10のプロファイルが得られることになる。
【0053】
幾つかの実装態様では、不均一な基板10のプロファイルが所望される。そのため、基板10を異なるゾーン(例えば、ゾーン129及び/又はゾーン149)の上で研磨して、異なる温度の異なるゾーンに重なる基板10の部分の除去を減少及び/又は増加させて、所望の不均一な基板10を実現することができる。
【0054】
幾つかの実装態様では、研磨パッド30全体に温度の均一性がある場合でも、基板10の化学機械研磨は、不均一な基板10をもたらし得る。例えば、研磨パッド30の温度プロファイルが均一であると仮定しても、基板10のエッジ部分は、基板10の中央部分よりも高い速度で研磨され得る。不均一な研磨を補正するために、研磨パッド30の異なるゾーン(例えば、ゾーン129及び/又はゾーン149)の温度を低下又は上昇させて、所望の基板10のプロファイルが得られ得る。例えば、基板10のエッジ部分が基板10の中央部分よりも高い速度で研磨される場合、基板10のエッジ部分を、研磨パッド30の残りの部分に対して低下した温度であり得るゾーン129の上に位置付けすることができる。これにより、基板10のエッジ部分での研磨速度が低下し、基板10のプロファイルがより均一になる。
【0055】
幾つかの実装態様では、基板10は、基板10の異なる角度部分が異なる厚さを有する、非対称な厚さの不均一性を有する。例えば、基板10の第1のエッジ部分は、基板10の第2のエッジ部分よりも薄くてよい。均一な基板10が所望される場合、基板10のエッジ部分をゾーン(例えば、ゾーン129、ゾーン149)の上に単に位置付けするだけでは十分ではない場合がある。
【0056】
基板10におけるエッジの非対称性を補正するために、コントローラ90は、キャリアヘッド70の動きを、異なるエッジ部分を研磨パッド30の異なる温度ゾーン上に運ぶようにすることができる。これは、キャリアヘッド70の振動をキャリアヘッド70の回転と同期させることによって、又はキャリアヘッド70の回転をプラテン24の回転と同期させることによって行うことができる。
【0057】
基板10は、それぞれが異なる厚さを有する第1の角度スワス127及び第2の角度スワス147を有し得る。基板10の第1の角度スワス127がキャリアヘッド70の回転軸線71を中心とした所定の方位角位置12にあるとき、キャリアヘッド70は、第1のゾーン(例えば、ゾーン129)に重なるように第1の角度スワス127を位置付けし得る。キャリアヘッドが回転すると、第2の角度スワス147は、所定の方位角位置に向かって移動する。基板10の第2の角度スワス147がキャリアヘッド70の回転軸線71を中心とした所定の方位角位置12にあるとき、キャリアヘッド70は、第2のゾーン(例えば、ゾーン149)に重なるように第2の角度スワス147を位置付けし得る。方位角位置12は、研磨パッドの回転軸線25から最も遠い位置であり得る。同様に、方位角位置12は、研磨パッド30の回転軸線25とキャリアヘッド70の回転軸線71とを通る線上にあり得る。
【0058】
例えば、
図2Aに示すように、基板10の第1の角度スワス127が基板10の他の部分に比べて薄い場合、コントローラ90は、第1の角度スワス127がゾーン129に重なるように、キャリアヘッド70の横方向の動き(矢印Aで示す)とキャリアヘッド70の回転(矢印Bで示す)を同期させることができ、ゾーン129は、研磨速度を低下させる第1の温度にある。その結果、第1の角度スワス127は、より低い速度で研磨される。これにより、より均一な基板10が得られ得る。同様に、
図2Bに示すように、基板10のエッジ部分の第2の角度スワス147が基板10の他の部分に比べて厚い場合、コントローラ90は、第2の角度スワス147がゾーン149に重なるように、キャリアヘッド70の横方向の動きとキャリアヘッド70の回転とを同期させることができ、ゾーン149は、研磨速度を増加させる第2の温度にある。その結果、第2の角度スワス147がより高い速度で研磨され、より均一な基板10が得られる。
【0059】
図2A及び
図2Bに2つの角度スワス127、147を図示したが、この技法は、異なる厚さを有するより多くの角度スワスを扱うようにスケールアップすることができる。
【0060】
ここで、
図3A及び
図3Bを参照すると、研磨ステーション20は、混合温度ゾーン339の温度が制御される研磨パッド30を含み得る。混合温度ゾーン339は、異なる温度に設定され得る領域329及び349を含む。例えば、ゾーン339は、第1の温度の領域329と、第2の温度の領域349との両方を含み得る。
【0061】
混合温度ゾーン339は、第1の温度の領域329の円弧状セグメント330と、異なる第2の温度の領域349の円弧状セグメント330とが交互になっていてよい。簡単に言えば、領域329、429は、研磨パッド30が回転する際に、温度制御システム100がゾーン339の加熱と冷却とを交互にすることによって(又は、2つの異なる加熱速度又は2つの異なる冷却速度を交互にすることによって)生成され得る。混合温度ゾーン339内には、2個から10個のセグメント330が存在し得る。
【0062】
混合温度ゾーン339を含むセグメント330の温度は、独立して制御され得る。例えば、ノズル138は、混合温度ゾーン339の所望の温度プロファイルを達成するために、様々な冷却媒体及び加熱媒体(例えば、気体媒体供給源122及び/又は液体媒体供給源124からの冷却剤、及び気体媒体供給源142及び/又は液体媒体供給源144からの加熱媒体)を噴霧するように指示し得る。
【0063】
幾つかの実装態様では、ノズル138は、2つの交互の温度を有するように、混合温度ゾーン339の異なるセグメント330に噴霧し得る。
図3A及び
図3Bに示すように、混合温度ゾーン339は、第1の温度である領域329と、第2の温度である領域349とを有する交互のセグメント330を有し得る。例えば、領域329には冷却媒体が噴霧され、領域349には加熱媒体が噴霧されて、冷却領域329及び加熱領域349の交互のパターンが生じる。
【0064】
1つのアーム110を図示したが、研磨パッド30上の所望の温度プロファイルを維持するために追加のアームを使用することができる。更に、1つの混合温度ゾーン339を図示したが、追加のノズル138は、研磨パッド30上に追加の混合温度ゾーンを形成し得る。
【0065】
コントローラ90は、キャリアヘッド70の動きを、基板10の異なるエッジ部分を、研磨パッド30の混合温度ゾーン339の異なるセグメント330上に運ぶようにさせることができ、各セグメント330の領域329及び349は、異なる温度に設定され得る。これは、温度制御システム100による加熱又は冷却の適用のタイミングに合わせて、キャリアヘッド70の回転をプラテン24の回転と同期させることによって行われ得る。
【0066】
基板10は、それぞれが異なる厚さを有する第1の角度スワス127及び第2の角度スワス147を有し得る。基板10の第1の角度スワス127がキャリアヘッド70の回転軸線71を中心とした所定の方位角位置12にあるとき、キャリアヘッド70は、第1の領域(例えば、領域329)に重なるように第1の角度スワス127を位置づけし得る。キャリアヘッドが回転すると、第2の角度スワス147は、所定の方位角位置に向かって移動する。基板10の第2の角度スワス147がキャリアヘッド70の回転軸線71を中心とした所定の方位角位置12にあるとき、キャリアヘッド70は、第2の領域(例えば、領域349)に重なるように第2の角度スワス147を位置付けし得る。方位角位置12は、研磨パッドの回転軸線25から最も遠い位置であり得る。同様に、方位角位置12は、研磨パッド30の回転軸線25とキャリアヘッド70の回転軸線71とを通る線上にあり得る。
【0067】
例えば、
図3Aに示すように、基板10の第1の角度スワス127が基板10の他の部分に比べて薄い場合、コントローラ90は、第1の角度スワス127が領域329に重なるように、キャリアヘッド70の回転(矢印Bで示す)と、プラテン24及び研磨パッド30の回転(矢印Cで示す)とを同期させることができ、領域329は、研磨速度を低下させる第1の温度にある。その結果、第1の角度スワス127は、より低い速度で研磨される。これにより、より均一な基板10を得られ得る。同様に、
図3Bに示すように、基板10のエッジ部分の第2の角度スワス147が基板10の他の部分に比べて厚い場合、コントローラ90は、第2の角度スワス147が領域349に重なるように、キャリアヘッド70の回転と研磨パッド30の回転とを同期させることができ、領域349は、研磨速度を増加させる第2の温度にある。その結果、第2の角度スワス147は、より高い速度で研磨され、より均一な基板10が得られ得る。この技法では、キャリアヘッドは横方向に掃引する必要はなく、これにより、異なる温度の領域と基板のスワスとを調整するための、より単純な計算が可能になる。
【0068】
図3A及び
図3Bに2つの角度スワス127、147を図示したが、この技法は、異なる厚さを有するより多くの角度スワスを扱うようにスケールアップすることができる。
【0069】
上述した実施形態は、加熱流体又は冷却流体を研磨パッド上の異なるゾーンに供給するために、複数のノズルを有するアームを含む。したがって、各ノズルは、研磨パッド上の専用ゾーンを有し得る。
【0070】
対照的に、
図4に示すように、ノズルは、研磨パッドを横切って移動可能であり得る。例えば、アーム110は、単一のノズル128を有していてよく、アーム110は、選択可能な位置で加熱又は冷却を提供するように、プラテンの回転軸線に対してノズルを半径方向に位置づけするように移動し得る。例えば、アーム110の端部がプラテンの回転軸線25に対して半径方向(矢印Cで示す)に掃引できるように、アーム110が回転可能なベース120から延在し得る。別の例として、アーム110は、アームが伸縮できるように、リニアアクチュエータを有し得る。別の例として、アーム110は適所に固定されていてよく、ノズル128は、例えば、リニアアクチュエータによって、アーム上で移動可能であり得る。例えば、ノズル128は、ラックとピニオンの配置から吊り下げられ得る。これらの場合のいずれにおいても、研磨パッド上への加熱又は冷却流体の分注の適切なタイミングにより、先に説明した温度プロファイルの1つが確立され得る。
【0071】
更に、上記の実施形態では、加熱及び冷却される研磨パッド上の複数のゾーンについて説明したが、加熱されるゾーンだけ、又は加熱されるゾーンだけが存在することも可能である(研磨パッドの残りの部分、例えば、研磨パッド上の他のゾーンは、他の周囲又は環境影響によって制御される温度を有する)。更に、上記の実施形態では、研磨パッド上の複数のゾーンについて説明したが、加熱又は冷却される単一のゾーンだけであってもよい。
【0072】
上述した研磨装置及び方法は、様々な研磨システムに適用することができる。研磨パッド、又はキャリアヘッドのいずれか、又は両方が移動して、研磨面と基板との間に相対的な動きを与えることができる。例えば、プラテンは、回転するのではなく、周回し得る。研磨パッドは、プラテンに固定された円形(又は何らかの他の形状)のパッドであり得る。研磨層は、標準的な(例えば、充填剤を含む又は含まないポリウレタン)研磨材料、軟質材料、又は固定研磨材料であり得る。
【0073】
相対的な位置付け用語は、システム又は基板内での相対的な位置付けを指すために使用される。研磨工程中、研磨面と基板は、垂直配向又はその他の方向に保持され得ることを理解する必要がある。
【0074】
コントローラ90の機能動作は、1又は複数のコンピュータプログラム製品、すなわち、データ処理装置、例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサもしくはコンピュータによって実行するための、又はそれらの動作を制御するための、非一過性コンピュータ可読記憶媒体に有形に具現化された1又は複数のコンピュータプログラムを用いて実装され得る。
【0075】
本発明の幾つかの実施形態を説明してきた。それにもかかわらず、本発明の主旨と範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができることが理解されるであろう。
【0076】
例えば、上記の説明では、加熱及び/又は冷却媒体を研磨パッド上に供給することに焦点を当てているが、加熱及び/又は冷却媒体を他の構成要素に供給して、それらの構成要素の温度を制御することも可能である。例えば、基板が移送ステーション、例えばロードカップに位置づけされている間に、加熱及び/又は冷却媒体を基板上に噴霧することができる。別の例としては、ロードカップ自体に加熱及び/又は冷却媒体を噴霧することができる。更に別の例として、調整ディスクに加熱及び/又は冷却媒体を噴霧することができる。
【0077】
したがって、他の実施形態は、以下の請求項の範囲内である。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学機械研磨装置であって、
研磨パッドを保持するプラテンと、
研磨プロセス中に前記研磨パッドの研磨面に対して基板を保持する回転可能なキャリアであって、第1のアクチュエータによって前記研磨パッドを横切って横方向に移動可能であり、第2のアクチュエータによって回転可能であるキャリアと、
前記研磨パッド上の複数のゾーンのうちの少なくとも1つのゾーンの温度を、前記複数のゾーンのうちの別のゾーンに対して独立して制御するための、1又は複数の独立して制御可能なヒータ及び/又はクーラを含む熱制御システムと、
前記熱制御システムに、第1の温度を有する第1のゾーンと、異なる第2の温度を有する第2のゾーンとを生成させるように構成されたコントローラであって、更に、前記基板の円周に沿って角度をつけて研磨速度の均一性を改善するために、キャリアヘッドの複数の連続した振動にわたって、前記基板の第1のエッジ部分の第1の角度スワスが前記キャリアヘッドの回転軸線を中心とした方位角に向いているときに、前記第1の角度スワスが前記第1のゾーンに重なり、前記基板の第2のエッジ部分の第2の角度スワスが前記方位角に向いているときに、前記第2の角度スワスが前記第2のゾーンに重なるように、前記キャリアヘッドの横方向の振動を前記キャリアヘッドの回転と同期させるために、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータを制御するように構成されているコントローラと
を備える装置。
【請求項2】
前記プラテンが回転可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のゾーン及び前記第2のゾーンが、前記プラテンの回転軸線を中心とした同心円である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のアクチュエータは、前記プラテンの半径に沿って前記キャリアを振動させるように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記キャリアヘッドの複数の連続した振動にわたって、前記基板の第3のエッジ部分の第3の角度スワスが前記方位角に向いているときに、前記第3の角度スワスが第3のゾーンに重なるように、前記キャリアヘッドの横方向の振動を前記キャリアヘッドの回転と同期させるために、前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータを制御するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【外国語明細書】