IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立ハイテクノロジーズの特許一覧

特開2024-2030プラズマ処理装置およびプラズマ処理装置の運転方法
<>
  • 特開-プラズマ処理装置およびプラズマ処理装置の運転方法 図1
  • 特開-プラズマ処理装置およびプラズマ処理装置の運転方法 図2
  • 特開-プラズマ処理装置およびプラズマ処理装置の運転方法 図3
  • 特開-プラズマ処理装置およびプラズマ処理装置の運転方法 図4
  • 特開-プラズマ処理装置およびプラズマ処理装置の運転方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002030
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置およびプラズマ処理装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/68 20060101AFI20231228BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
H01L21/68 G
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100973
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】遠井 樹
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA19
5F131BB03
5F131BB23
5F131CA06
5F131DA22
5F131DA32
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB52
5F131DB72
5F131DB76
5F131DB82
5F131EA03
5F131HA09
5F131HA12
5F131HA13
5F131KA12
5F131KA47
5F131KA55
5F131KA67
5F131KB05
5F131KB55
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ウエハの加工量の分布を考慮してティーチングを行うことにより、ウエハの面内方向の処理のばらつきを低減して処理の歩留まりを改善するプラズマ処理装置及びその運転方法を提供する。
【解決手段】真空処理装置は、搬送ロボット108が配置された真空搬送容器104、110、真空容器を備えた複数の真空処理室103、搬送ロボットのアームの搬送中にウェーハの位置を検知する搬送センサ121、ウェーハ上面の半径方向の複数の位置と上面の形状又は処理の量とからウェーハ上面の形状又は処理の量の分布の中心の位置を検出する膜厚検出器122及び予め表面検出器を用いて得られたウェーハ上面の形状又は処理の量の分布の中心の位置に未処理のウェーハの半径方向の中心の位置が合致するように未処理のウェーハを搬送する搬送ロボットの動作を調節する制御部CNTを備え、複数枚のウェーハを順次複数の真空処理室の何れかに搬送して処理を行う。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧された内部に配置された搬送室の中央部に処理対象のウェーハを搬送する搬送ロボットが配置された真空搬送容器と、
前記真空搬送容器の側壁に接続され内側の処理室に搬送された前記ウェーハが処理される真空容器を備えた複数の処理ユニットと、
前記搬送室内部と前記処理ユニットの前記真空容器の前記処理室内部との間で前記ウェーハを支持した状態で伸縮して搬送する前記搬送ロボットのアームの当該搬送中に前記ウェーハの位置を検知する位置センサと、
処理が施された前記ウェーハが前記処理室内もしくは前記搬送室内の所定の位置に配置された状態で当該ウェーハ上面の半径方向の複数の位置と当該上面の形状または前記処理の量とから前記ウェーハ上面の形状または前記処理の量の分布の中心の位置を検出する表面検出器と、
予め前記表面検出器を用いて得られた前記ウェーハ上面の形状または前記処理の量の分布の中心の位置に未処理の前記ウェーハの半径方向の中心の位置が合致するように前記未処理のウェーハを搬送する前記搬送ロボットの動作を調節する制御部と、を備え、
複数枚の前記ウェーハを順次前記複数の処理ユニットの何れかに搬送して処理を行うプラズマ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプラズマ処理装置であって、
前記表面検出器は前記処理室内に配置された試料台の上面に載せられて保持された状態で処理された後の前記ウェーハの上面の半径方向の複数の位置と当該上面の形状または前記処理の量とから前記ウェーハ上面の形状または前記処理の量の分布の中心の位置を検出するプラズマ処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のプラズマ処理装置であって、
搬送された前記ウェーハの中心と前記試料台の中心とが合致するように前記搬送ロボットの前記搬送の動作を調節する工程の実施後であって前記複数枚の前記ウェーハのうちの最初の1枚の処理後に前記表面検出器を用いて当該ウェーハの上面の半径方向の複数の位置と当該上面の形状または前記処理の量とから前記ウェーハ上面の形状または前記処理の量の分布の中心の位置を検出するプラズマ処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載のプラズマ処理装置であって、
前記位置センサは、前記搬送室内であって上方から見て前記搬送ロボットの前記アームの伸縮の方向の軸線の水平方向の両側の2箇所に配置されたプラズマ処理装置。
【請求項5】
複数枚の前記ウェーハを、順次真空搬送容器の減圧された内部の搬送室の中央部に配置された搬送ロボットにより処理対象のウェーハを当該真空搬送容器の側壁に接続された複数の処理ユニットの何れか1つに備えられた処理室に搬送して当該ウェーハを処理するプラズマ処理装置の運転方法であって、
前記プラズマ処理装置は、前記搬送室内部と前記処理ユニットの前記真空容器の前記処理室内部との間で前記ウェーハを支持した状態で伸縮して搬送する前記搬送ロボットのアームの当該搬送中に前記ウェーハの位置を検知する位置センサを備え、
処理が施された前記ウェーハを前記処理室内の所定の位置に配置した状態で当該ウェーハ上面の半径方向の複数の位置と当該上面の形状または前記処理の量とから前記ウェーハ上面の形状または前記処理の量の分布の中心の位置を検出する表面検出の工程と、
予め前記表面検出の工程により得られた前記ウェーハ上面の形状または前記処理の量の分布の中心の位置に未処理の前記ウェーハの半径方向の中心の位置が合致するように前記搬送ロボットの動作を調節して前記未処理のウェーハの搬送する搬送工程と、を備えたプラズマ処理装置の運転方法。
【請求項6】
請求項5に記載のプラズマ処理装置の運転方法であって、
前記表面検出の工程は、前記処理室内に配置された試料台の上面に載せられて保持された状態で処理された後の前記ウェーハの上面の半径方向の複数の位置と当該上面の形状または前記処理の量とから前記ウェーハ上面の形状または前記処理の量の分布の中心の位置を検出するプラズマ処理装置の運転方法。
【請求項7】
請求項6に記載のプラズマ処理装置の運転方法であって、
搬送されて前記処理室内に配置された前記ウェーハの中心と前記試料台の中心とが合致するように前記搬送ロボットの前記搬送の動作を調節する調節工程の実施後であって前記複数枚の前記ウェーハのうちの最初の1枚を処理した後に表面検出器を用いて当該処理後のウェーハに対して表面検出の工程を行うプラズマ処理装置の運転方法。
【請求項8】
請求項5乃至7の何れかに記載のプラズマ処理装置の運転方法であって、
前記位置センサは、前記搬送室内であって上方から見て前記搬送ロボットの前記アームの伸縮の方向の軸線の水平方向の両側の2箇所に配置されたプラズマ処理装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置およびプラズマ処理装置の運転方法に関し、特に、真空容器とその内部に配置され半導体ウェーハ等の基盤上の試料が処理される処理室を備えた真空処理ユニットと、この真空処理ユニットに連結され減圧された内部で試料搬送装置により半導体ウェーハが搬送される真空搬送室とを備えたプラズマ処理装置およびプラズマ処理装置の運転方法に関する。具体的には、精度良く搬送できるように試料搬送装置をティーチングして運転するプラズマ処理装置またはその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハ等の基板(以下、「ウェーハ」または「ウエハ」という)を処理する真空処理装置としてのプラズマ処理装置においては、処理の微細化、精密化とともに、処理対象であるウェーハの処理の効率の向上が求められてきた。このために、一つの装置に複数の真空装置が連結され複数の処理室で平行してウェーハの処理を行うことができるマルチチャンバ装置が開発された。
【0003】
このようなプラズマ処理装置では、基板搬送機構として搬送ロボットがロック室を挟んで大気側と真空側にそれぞれ配置され構成される。これらの搬送ロボットは、真空処理装置がクリーンルーム等の建屋内に設置されて運転を開始する、所謂装置の立ち上げの際に、ウェーハを搬送する搬送先の位置と所期の位置との誤差を許容範囲内のものとするように、運転動作を指令する信号やパラメータの値等を適切なものに調節する、搬送先教示作業(以下、「ティーチング」という)が必要になる。ティーチングは主に搬送ロボットの搬送先の位置や動作をロボットに記憶させるために行われ、例えば、搬送先へロボットコントローラなどを用いてロボットを動作させるもしくは手動で動かし、その後、目標位置とロボットのエンドエフェクタの位置が一致するよう計測を行うなどして微調整を行う。その後、搬送ロボット内に取り付けられているサーボモータのエンコーダ値を記憶させる、などによって行われる。また、このようなティーチング後に搬送ロボットを含めてプラズマ処理装置が運転されると、その運転の時間や処理したウェーハの枚数が大きくなるに伴って、処理室や搬送ロボットの状況も時々刻々と変化し、ティーチングによって小さく調整された搬送ロボットによるウェーハの搬送位置と目標の位置との誤差(ずれ)も大きくなる。上記ずれが許容される範囲を超えた場合、また所定の運転時間あるいはウェーハの処理枚数の値を超えた場合、あるいは搬送ロボットのティーチング位置データが消失してしまった場合等に、装置の使用者は、再度ティーチングを実施する場合がある。
【0004】
一方、ウェーハを処理して半導体デバイスを製造するためこのようなプラズマ処理装置を用いる使用者は、単位時間あたりのウェーハの処理枚数を可能な限り大きくすることを求めている。これを達成するために、近年では、連結された複数の真空搬送室の各々に真空容器を備えた真空処理ユニット(プラズマ処理ユニット)を複数接続し、これら真空処理ユニットで並行してウェーハを処理する構成を備えたプラズマ処理装置が用いられてきた。このようなプラズマ処理装置では、搬送ロボットが複数の真空搬送室各々の内部に配置されているため、メンテナンス運転中に行う各搬送ロボットのティーチングに要する時間は、搬送ロボットの数の分、増加する。さらに、真空処理ユニットの数が増大した、所謂マルチチャンバ化により基板搬送先が増加したプラズマ処理装置では、ティーチングにかかる時間のダウンタイムが増加し、生産性の低下に大きく影響を与えることとなる。この時間を短縮するため、これら搬送ロボットのティーチング作業を自動化させることにより、プラズマ処理装置全体の生産性を向上されることが求められる。
【0005】
このような複数の搬送ロボットが構成される装置において、特開2014-72263号公報がある。特開2014-72263号公報は、位置ずれ量を検出する位置合わせ機構と、ピックを有する複数の搬送機構と、複数の搬送機構の間に配置された中継部と、を有する搬送システムの搬送位置合わせ方法を開示する。搬送システムの搬送位置合わせ方法は、搬送物を受け取った後センサにより、試料の通過タイミングを検知して、試料の中心位置および搬送アーム上での基準位置からのずれ量を求め、その後、ずれ量に基づき、試料の位置データの修正を行う。搬送システムの搬送位置合わせ方法は、また、試料中心のずれ量に基づき前記試料の受け取り位置データの修正を行う工程と、前記試料中心のずれ量が許容範囲内であるかを判定する工程を備え、試料中心のずれ量が許容範囲内に無いと判定された場合には、前記工程を再度実行することにより、ずれの少ない搬送を実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-72263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開2014-72263号公報には、次のような点について考慮が不十分であったため、問題が生じていた。特開2014-72263号公報において、搬送ロボットに対して行われるティーチングでは、ウェーハ表面の施される処理の量の分布、例えば半導体デバイスの回路を構成するためにウェーハの表面に予め形成された複数の膜層の膜構造がエッチングされる加工量のウェーハ表面の半径方向についての分布は考慮されていない。このため、このようなティーチングによりウェーハの目標位置の搬送が精度良く行われたとしても、当該位置はウェーハの加工量のウェーハの半径方向についての分布を許容範囲内のものにできる位置に一致するとは限らない。また、これらの位置にずれが生じていたとしてもこれを修正して当該分布を適切なものにすることについては考慮されていない。
【0008】
このため、特開2014-72263号公報はウェーハの面内方向について表面の膜の加工量のウェーハ面内加工量の対称性の向上に貢献できず、ウェーハ端部分の歩留まりを改善できないという問題があった。
【0009】
本開示は、ウエハの加工量の分布を考慮してティーチングを行うことにより、ウエハの面内方向の処理のばらつきを低減して処理の歩留まりを改善できる技術を提供する。
【0010】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0012】
本開示の一態様によれば、
減圧された内部に配置された搬送室の中央部に処理対象のウエハを搬送する搬送ロボットが配置された真空搬送容器と、
前記真空搬送容器の側壁に接続され内側の処理室に搬送された前記ウエハが処理される真空容器を備えた複数の処理ユニットと、
前記搬送室内部と前記処理ユニットの前記真空容器の前記処理室内部との間で前記ウエハを支持した状態で伸縮して搬送する前記搬送ロボットのアームの当該搬送中に前記ウエハの位置を検知する位置センサと、
処理が施された前記ウエハが前記処理室内の所定の位置に配置された状態で当該ウエハ上面の半径方向の複数の位置と当該上面の形状または前記処理の量とから前記ウエハ上面の形状または前記処理の量の分布の中心の位置を検出する表面検出器と、
予め前記表面検出器を用いて得られた前記ウエハ上面の形状または前記処理の量の分布の中心の位置に未処理の前記ウエハの半径方向の中心の位置が合致するように前記未処理のウエハを搬送する前記搬送ロボットの動作を調節する制御部と、を備え、
複数枚の前記ウエハを順次前記複数の処理ユニットの何れかに搬送して処理を行う技術が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本開示の一態様によれば、ウエハの加工量の分布を考慮してティーチングを行うことにより、ウエハの面内方向の処理のばらつきを低減して処理の歩留まりを改善できる技術が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例に係る真空処理装置の全体の構成の概略を説明する上面図である。
図2図1に示す実施例に係る真空処理装置において、真空搬送室内に配置され真空搬送ロボットにより搬送されるウェーハの位置を、光学を用いて検出するセンサの配置を模式的に示す横断面図である。
図3】本実施例に係る真空処理装置が真空処理室内に備えるウェーハ上の膜厚の検出器の配置を模式的に示す横断面図である。
図4図3に示した実施例に係る真空処理装置の膜厚検出器を用いて検出された、ウェーハ上の膜厚を検出した複数の箇所とこれらの箇所での処理対象の膜層のエッチング量の値を模式的に示す図である。
図5】本実施例に係る真空処理装置において実施されるティーチングの手順の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0016】
以下、本開示による真空処理装置の実施の形態を図面により詳細に説明する。
【実施例0017】
以下、実施例を図1乃至4を用いて説明する。図1は、実施例に係る真空処理装置の全体の構成の概略を説明する上面図である。
【0018】
図1に示す本実施例に係るプラズマ処理装置としての真空処理装置100は、大きく分けて、前方側(図下側)のブロックである大気側ブロック101と後方側(図上側)の真空側ブロック102とにより構成されている。大気側ブロック101は、大気圧下で被処理物(処理対象)である半導体ウェーハ(ウエハともいう)等の基板状の試料を搬送、収納位置決め等を行う部分であり、真空側ブロック102は、大気圧から減圧された圧力下でウェーハ等の基板状の試料を搬送し、予め定められた真空処理室103内において処理を行うブロックである。そして、真空側ブロック102の前述した搬送や処理を行う真空側ブロック102の箇所と大気側ブロック101との間には、これらを連結して配置され試料を内部に有した状態で圧力を大気圧と真空圧との間で上下させる部分が配置されている。
【0019】
大気側ブロック101は、内部に大気側搬送ロボット109を備えた略直方体形状の筐体106を有し、この筐体106の前面側に取付けられていて、処理用またはクリーニング用の被処理対象の半導体ウェーハ等の基板状の試料(以下、ウェーハ)が収納されているカセットがその上に載せられる複数のカセット台107が備えられている。
【0020】
真空側ブロック102は、第一の真空搬送室104及び第二の真空搬送室110と、大気側ブロック101との間に配置され、大気側と真空側との間でやりとりをするウェーハを内部に有した状態で圧力を大気圧と真空圧との間でやりとりをするロック室105を一つまたは複数備えている。このロック室105は、内部の空間を上記の圧力に調節可能な真空容器であって、連結される箇所にウェーハが内部を通過して搬送される通路とこれを開放、閉塞して気密に封止可能なバルブ120が配置されており、大気側と真空側との間を気密に分割している。また、ロック室105の内部の空間には、複数のウェーハを上下にすき間を開けて収納し保持可能な収納部を備えており、これらウェーハを収納した状態でバルブ120で閉塞され気密に分割される。
【0021】
第一の真空搬送室104、第二の真空搬送室110は各々の平面形状が略矩形状を有した真空容器(真空搬送容器)を含むユニットであり、これらは、実質的に同一と見なせる程度の構成上の差異を有する2つのユニットである。
【0022】
真空搬送中間室111は、内部が他の真空搬送室(104,110)または真空処理室103と同等の真空度まで減圧可能な真空容器であって、真空搬送室(104,110)を互いに連結して、内部の室が連通されている。真空搬送室(104,110)との間には、内部の室を連通して内側でウェーハが搬送される通路を開放、遮断して分割するバルブ120が配置されており、これらのバルブ120が閉塞することによって、真空搬送中間室111と真空搬送室(104,110)との間は気密に封止される。
【0023】
また、真空搬送中間室111内部の室には、複数のウェーハをこれらの面と面の間ですき間を開けて載せて水平に保持する収納部が配置されており、第一、第二の真空搬送室104,110の間でウェーハが受け渡される際に、一端収納される中継室の機能を備えている。すなわち、一方の真空搬送室(104,110)内の真空搬送ロボット108によって搬入され前記収納部に載せられたウェーハが他方の真空搬送室(104,110)内の真空搬送ロボット108により搬出されて当該真空搬送室(104,110)に連結された真空処理室103またはロック室105に搬送される。言い換えると、真空搬送室(104,110)は、減圧された内部に配置された搬送室の中央部に処理対象のウエハを搬送する搬送ロボット108が配置された真空搬送容器である。
【0024】
第一の真空搬送室104と第二の真空搬送室110との対面にある一面に相当する互いの側壁の間には真空搬送中間室111が配置されて両者を連結している。さらに他の一面に、内部が減圧されその内部にウェーハが搬送されて、ウェーハを処理する真空処理室103が接続される。
【0025】
本実施例では、真空処理室103は、真空容器を含んで構成された電界、磁界の発生手段、容器内部の減圧される空間を排気する真空ポンプを含む排気手段を含む処理ユニット全体を示しており、内部の処理室においてエッチング処理、アッシング処理或いは他の半導体ウェーハに施す処理が施される。また、各真空処理室103には、実施される処理に応じて供給される処理ガスが流れる管路が連結されている。言い換えると、複数の処理ユニットである真空処理室103は真空搬送容器104,110の側壁に接続され内側の処理室に搬送されたウエハが処理される真空容器を備えている。
【0026】
第一の真空搬送室104には最大2個の真空処理室103が連結可能に構成されている。本実施例では、2個の真空処理室103が第一の真空搬送室104に連結される。一方、第二の真空搬送室110には最大3個の真空処理室103連結可能に構成されている。本実施例では、3個の真空処理室103が第二の真空搬送室110に連結される。
【0027】
真空搬送ロボット108は、そのアーム上にウェーハを載せることが可能である。第一の真空搬送室104の真空搬送ロボット108では、ウェーハがそのアーム上に載せられて、真空処理室103に配置され静電気力で保持される試料台あるいはステージ、ロック室105、または、真空搬送中間室111の何れかとの間でウェーハの搬入、搬出を行う。これら真空処理室103、ロック室105、真空搬送中間室111、第一の真空搬送室104および第二の真空搬送室110の搬送室との間には、それぞれ気密に閉塞、開放可能なバルブ120により連通する通路が設けられており、この通路は、バルブ120により開閉される。
【0028】
本実施例では、ロック室105、真空搬送中間室111の内部にはウェーハを複数枚収納可能な収納空間が備えられ、収納空間内にはステージを備えている。ステージは、複数のウェーハを収納課のであり、ウェーハを一枚ずつ、一方のウェーハの上面と他方のウェーハの下面とを離間させた状態で保持できるように構成されている。複数のウェーハのおのおのは、ステージにおいて、上下方向に離間されて保持可能であるため、真空搬送ロボット108はそのアームの先端部の上下方向の位置を変化させることができるように構成されている。
【0029】
具体的には、各真空搬送ロボット108は2本の伸縮可能なアームを備え各々の先端部にウェーハを載せて保持するハンド部を有する。各アームの根元部分は第一の真空搬送室104、第二の真空搬送室110内の搬送用空間の中心部で上下方向の軸の周りに回転可能に構成されている。真空搬送ロボット108は、この軸周りの回転及びアームの伸縮に応じてハンド部を目標の箇所に対して搬入、あるいは、この箇所から搬出して、所期の位置に移動させその位置に維持することが出来る。
【0030】
各アームは、複数の梁状の部材とこれらの両端部同士を連結する複数の関節部と、関節部の軸周りに梁状の部材を相対的に回動させてその角度を変化させるアクチュエータやモータを有する駆動部とを備え、関節部の回転動作の調節により、アームを所定の方向に伸張、収縮させる。なお、各真空搬送ロボット108の2本のアームは互いの伸縮の動作の際に接触や干渉しないようにその高さ方向の位置を異なるように調節される。
【0031】
図2は、図1に示す実施例に係る真空処理装置において、真空搬送室内に配置され真空搬送ロボットにより搬送されるウェーハの位置を光学を用いて検出するセンサの配置を模式的に示す横断面図である。本実施例の光学的な位置センサは、図2において、搬送センサ121として、黒丸にその配置位置が示されている。このセンサ121はレーザ光を上下方向に放射する射出部と、射出部から上下方向に放射されたレーザ光を受光する受光部と、を有する。センサ121は、射出部と同じ位置にレーザ光の受光部を備えた構成のセンサ、あるいは、射出部の上方又は下方で上方からみて同じ位置の別の箇所に受光部を備えた構成のセンサのどちらでもよい。
【0032】
図2に示す搬送センサ121は、射出部と受光部とが第1の真空搬送室104、第2の真空搬送室110の各々を構成する容器の天板と底板との各々に配置されている。このため、射出部から放射された光は、内部において移動するウェーハや真空搬送ロボット108等が上記対(射出部と受光部との対)の間に移動してレーザ光が遮られていない間は、受光部である検出部において射出部からのレーザ光が受光されている。この状態を、以下ONの状態とする。一方で、レーザ光を遮ぎるものが対の間の第1の真空搬送室104または第2の真空搬送室110内の空間を通るレーザ光の経路上を移動すると、受光部である検出部はレーザ光を受光しなくなる。この状態を以下OFFの状態とする。
【0033】
真空処理装置100には搬送センサ121が複数個所に配置されており、より具体的には、上方から見た平面形が矩形またはこれと見なせる程度に近似した略矩形状を有する第1の真空搬送室104および第2の真空搬送室110を構成する容器の各1辺に対しこれに沿って搬送センサ121が2個ずつ、真空搬送室1個につき8個の搬送センサ121が備えられる。前述のように、第1の真空搬送室104および第2の真空搬送室110の各々の辺に相当する側壁には真空処理ユニット103、真空搬送中間室111、ロック室105が接続され、接続されたこれらの間を連通して内部を真空搬送ロボット108のアーム及びこれに載せられたウェーハが通過する通路であるゲート120が配置されている。2つの搬送センサ121の対は、これらのゲート120を通りウェーハおよびアームの移動する方向に沿った水平な前後または左右方向(図上上下または左右方向)の軸について左右対称となる位置に配置されている。言い換えると、位置センサである搬送センサ121は、真空搬送室104,110の搬送室内部と処理ユニットである真空処理室103の真空容器の処理室内部との間でウエハを支持した状態で伸縮して搬送する搬送ロボット108のアームの当該搬送中にウエハの位置を検知する。また、搬送センサ121は、真空搬送室104、110の搬送室内であって、上方から見て搬送ロボット108のアームの伸縮の方向の軸線の水平方向の両側の2箇所に配置されている。
【0034】
本実施例では、真空処理装置100には、制御部CNTが設けられている。制御部CNTは、搬送センサ121がOFF状態になったと判定されるサンプリングの時刻での、真空搬送ロボット108のアームの座標位置値を読み取り検出することができるように構成されている。制御部CNTは、また、射出部からのレーザ光が受光部に再度受光されることで搬送センサ121がOFF状態からON状態になったサンプリングの時刻での、真空搬送ロボット108のアームの座標位置値を読み取り検出することができるように構成されている。
【0035】
例えば、これらのうちの任意の搬送センサ121の射出部と受光部との間を、当該センサ121が配置された真空搬送室(104,110)内の真空搬送ロボット108により搬送されるウェーハが通過する際に、当該ウェーハにより射出部の垂直上方の箇所が覆われることで、射出部からの光が遮られる。光が遮られた際に、当該遮光によりOFF状態になった搬送センサ121から出力が送信され、送信された出力は真空処理装置100の制御部CNTに受信される。制御部CNTは、予め定められた時間の間隔毎(各サンプリング時刻または時点)に受信している真空搬送ロボット108から出力され動作状態を示す信号から、当該搬送センサ121がOFF状態になったと判定されるサンプリングの時刻での当該アームの座標位置値を読み取り検出する。
【0036】
続いて、真空搬送ロボット108がアームを伸長または収縮させることでウェーハが移動して、覆っていた射出部の上方の箇所を通過すると、射出部からのレーザ光が受光部に再度受光されることで搬送センサ121がON状態になったサンプリング時点の真空搬送ロボット108のアームの座標位置値が、OFF状態となった時点と同様に制御部CNTにより読み取られる。本実施例の真空搬送ロボット108を制御する制御部CNTは、内部の演算器を用いて、検出されたこれらのON状態、OFF状態の座標値を用いて、真空搬送ロボット108のアーム先端の保持部上のウェーハ有無の確認及び、各座標値の比較・計算によりアーム上のウェーハのずれ量及びウェーハの中心位置を検出することを可能に構成されている。
【0037】
図3は、本実施例に係る真空処理装置が真空処理室内に備えるウェーハ上の膜厚の検出器の配置を模式的に示す横断面図である。
【0038】
本実施例が備える表面検出器としての膜厚検出器122は、真空処理室103の内部の処理室を囲む真空容器の上部から下方の処理室内に配置された試料台の上面に載置されるウェーハに向けてレーザ光を放射する射出部と、射出部に隣接した位置に配置されウェーハ上面で反射されたレーザ光を受光する受光部との対を備える。これらの射出部と受光部との対は上方から見て1つの箇所と見なせる位置に配置されている。本実施例の膜厚検出器122は、上方から見て、(図3上破線で示されている)試料台のウェーハ載置面の中心を通り、真空搬送ロボット108のアーム先端の保持部上に載せられて処理室内に搬入又は搬出される際のウェーハの中心が移動する方向に並行な線を示す軸線について、等間隔に左右に対称な位置で複数個(本例では中心上方を含めて5箇所に)配置される。膜厚検出器122は、レーザ光を放射する軸線の方向がウェーハの載置される試料台の載置面に対して処理室上方からウェーハの上面に向けて垂直またはこれと見なせる程度に近似した方向を有するように、真空処理室103に設置されている。言い換えると、表面検出器122は、処理が施されたウエハが真空処理室103の内部の処理室内の所定の位置(試料台のウェーハ載置面の上面)に配置された状態で、ウエハ上面の半径方向の複数の位置とウエハ上面の形状または処理の量とから、当該ウエハの上面の形状または処理の量の分布の中心の位置を検出する。また、表面検出器122は、処理室103内に配置された試料台の上面に載せられて保持された状態で、処理された後のウエハの上面の半径方向の複数の位置と、当該ウエハの上面の形状または処理の量とからウエハ上面の形状または処理の量の分布の中心の位置を検出する。
【0039】
また、前記膜厚検出器122は、より強いウェーハ表面からの光を受光して検出の精度を向上できるようにウェーハ表面に対して所定の波長の光を放射する発光器を備えても良い。本実施例の膜厚検出器122を用いた膜厚さの検出は、これら膜厚検出器122が配置された真空処理室103で処理される前に処理室内に搬入されて処理される前のウェーハ上の膜厚さを検出するようにしても良く、または当該真空処理室103で処理された後に膜厚さを検出するようにしても良い。
【0040】
何れの場合においても、膜厚検出器122を用いた膜厚さの値の検出結果信号は、真空処理装置100の制御部CNTにより読み取り検出することができるように構成されている。
【0041】
制御部CNTにおいて検出された膜厚さの値とその分布を示すデータを用いて算出される真空搬送ロボット108の搬送の動作を調節する指令信号CSは、膜厚さを検出されたウェーハが処理された後の別のウェーハが当該真空処理室103に搬入する際の真空搬送ロボット108の動作の調節に用いられる。
【0042】
真空処理装置100には膜厚検出器122が上方から見てウェーハ載置面の中心を通ってウェーハが搬入出される方向に垂直な方向に等間隔に複数個配置されている。膜厚検出器122は、真空処理室103の真空容器内部に配置された試料台のウェーハ載置面の上方に載置され真空容器の蓋部材を構成する円形の石英製の窓部材と、この上方の空洞円筒部の天井面に配置された開口の上方とに設置される。真空処理室103の真空容器内部の処理室と膜厚検出器122との間は、真空容器を構成してレーザ光を透過する透明である石英製の窓部材で気密に隔てられ、さらに、窓部材の下方には同じく石英製であって処理ガスが導入されるガス導入孔を複数備えて処理室の天板を構成する円板状のシャワープレートとが配置されている。
【0043】
図4は、図3に示した実施例に係る真空処理装置の膜厚検出器を用いて検出された、ウェーハ上の膜厚を検出した複数の箇所とこれらの箇所での処理対象の膜層のエッチング量の値を模式的に示す図である。横軸として、ウェーハ124の表面の図3に示す図上上下方向の破線に沿った検出の位置125上の複数の座標上の値を示し、縦軸に真空処理室103における処理前後の膜厚値から計算されたウェーハ表面上の膜厚の加工量を示している。黒丸の印で示される各位置125上での膜厚さの値を結ぶ曲線が、ウェーハ124上のエッチング量の分布123を二次元的に示している。
【0044】
図4に示すように、本実施例では、各位置125で得られた膜厚さの値から得られた曲線で示される値は、必ずしもウェーハ124上で同じ値にならず、異なる膜厚さを有している。特に、真空処理室103内で処理された後のウェーハ124上の残り膜厚さは、当該処理中に処理室内に生じるプラズマの強度や密度の値や、処理室内に供給される処理用のガスのウェーハ半径方向の分布に応じて、半径方向について分布を有するものとなる。
【0045】
たとえば、ウェーハ124をプラズマを用いてエッチングする処理において、ウェーハの中心部上方に形成されるプラズマの密度が外周部上方のものよりも大きな、所謂中高の分布の場合、処理時間におけるウェーハ中心部分のエッチングの量は中心部の方が外周部より大きくなる。また、例えプラズマの密度の分布がウェーハの中心部から外周部に渡ってバラつきが十分に小さくされた場合においても、ウェーハ124の外周縁は試料台の外周縁に近接していることから、急激にプラズマ密度が減少したり、所定の範囲内のものに温度が調節されている試料台に載せられたウェーハの温度が外周縁で所定の範囲から大きくずれてしまったりする。これに起因して、ウェーハの外周縁部のエッチングの量が大きく低下する場合がある。これらのような場合には、処理後に各位置125で膜厚検出器122で検出されるエッチング量は、外側のものが高い分布、或いは外周縁部と中心部との間の中間の位置でのエッチング量が大きく残り膜厚さが小さい分布となる。
【0046】
図4で示す本例では、上記のウェーハ上の処理後のエッチング量の分布が中高の分布で、ウェーハの中心部分の近傍でエッチング量が最も高く、外周縁に近づくに伴って低減する分布の一例を示している。本図4では、実線で示される分布123のような中高の分布は、ウェーハ中心部近傍で極大値を有した上に凸状の曲線で示され、横軸上で極大値となる位置が破線127で示されている。しかしながら、実際に真空処理装置100の任意の真空処理室103の1つで実施されるウェーハ124の処理の結果は、図4に示すように、破線127で示される処理の量の分布が極大となる箇所の位置が図4の破線126で示される円板形状を有したウェーハ124の中心の位置とは合致していない場合があった。
【0047】
本実施例の制御部CNTは、任意の真空処理室103においてウェーハ124が処理された後に、真空搬送ロボット108のティーチングを実施する。制御部CNTは、当該ティーチングにおいて、このような任意の真空処理室103で実施されるウェーハ124の寸法上の中心126と当該ウェーハ124の処理後に検出されたエッチング量の分布の中心と見做されるエッチング量が極大値となる位置127との位置のズレ量128を検出する。そして、制御部CNTは、これらの位置が合致するように、或いは得られる処理の結果としてのウェーハ124上のエッチングの量の分布と初期のものとの差異が最小または許容範囲内の値となるように、当該ズレ量128に応じて真空搬送ロボット108の搬送の動作を調節する。
【0048】
例えば、制御部CNTは、1つの真空処理室103で処理された任意のウェーハ124について膜厚検出器122により残り膜厚さを検出した結果から得られた図4に示す分布123のエッチング量の分布の中心の位置126を、載置面上での所定の基準位置に対する位置として記憶する。そして、制御部CNTは、当該真空処理室103に次の未処理のウェーハ124を搬送する際に、搬送センサ121からの出力から検出される当該ウェーハ124の目標の中心の位置が、記憶した先の処理されたウェーハ124の分布の中心の位置に対応する箇所に合致するように、真空搬送ロボット108に動作の指令信号CSを発信してウェーハ124を搬送させウェーハ載置面に載せる。言い換えると、制御部CNTは、予め表面検出器122を用いて得られた処理されたウエハ上面の形状または処理の量の分布の中心の位置に、未処理のウエハの半径方向の中心の位置が合致するように、未処理のウエハを搬送する搬送ロボット108の動作を調節する。また、制御部CNTは、搬送されたウエハの中心と試料台の中心とが合致するように、搬送ロボット108の搬送の動作をティーチングにより調節する工程の実施後であって、複数枚のウエハのうちの最初の1枚の処理後に、表面検出器122を用いて、ウエハの上面の半径方向の複数の位置と当該ウエハの上面の形状または処理の量とからウエハ上面の形状または処理の量の分布の中心の位置を検出する。
【0049】
図5は、本実施例に係る真空処理装置において実施されるティーチングの手順の流れを示すフローチャートである。図5には、特に、本実施例の真空処理装置100に係る、ティーチングを自動的に実施する手順が示されており、搬送センサ121または膜厚検出器122を用いて取得したデータをティーチングに反映するためのデータの流れが示されている。以下、図3乃至5を用いて、本実施例におけるプラズマ処理装置の運転方法のティーチングについて説明する。
【0050】
先ず、内部に同じ種類で同等の厚さの膜層が積層された膜構造を予め表面に有する処理対象のウェーハが複数枚格納されたFOUPが、真空処理装置100が設置された建屋内に備えられたFOUP用の搬送装置によって搬送され、図1に示すカセット台107上に載置される。FOUP内に格納された各ウェーハは、大気側搬送ロボット109によって、FOUPから取り出されて、ロック室105内に搬送され真空側ブロックに受け渡される。その後、一部のウェーハ124は真空搬送中間室111に搬送される。ここから、真空処理装置100に対するティーチングが開始される。
【0051】
(ステップ501:ウェーハ搬送)
ティーチングが開始された後、ロック室105または真空搬送中間室111内に収納された処理前のウェーハ124は、これらから第1の真空搬送室104または第2の真空搬送室110内部でこれに格納された真空搬送ロボット108により、当該真空搬送ロボット108が格納された第1の真空搬送室104または第2の真空搬送室110に接続された目標となる1つの真空処理室103に搬送される。
【0052】
(ステップ502:ウェーハ載置)
ウェーハ124が第1の真空搬送室104または第2の真空搬送室110から目標の真空処理室103内部に搬送される途中において、搬送の経路上に配置された搬送センサ121からの出力を用いて、制御部CNTにおいて、真空搬送ロボット108上に保持されたウェーハ124の寸法上の中心位置が算出される。さらに、当該の寸法上の中心位置と予め目標の真空処理室103内に配置された試料台上の載置面の中心位置に合致させるウェーハ124上の位置である目標位置との間の距離(後述するδ)から、当該目標(以下、目標中心と呼称する)の位置が算出される。真空搬送ロボット108は、当該目標中心の位置を載置面の中心位置に合致させるように制御部CNTからの指令信号CSにより動作が調節され、ウェーハ124が試料台上の載置面に載せられて、図示しない試料台内部の静電吸着装置の動作により載置面上で保持される。
【0053】
(ステップ503:膜厚の検出(前検出))
真空処理室103内部が密封された状態で、複数の(本実施例では5個の)膜厚検出器122からのレーザ光のウェーハ124への放射およびウェーハ124からの反射光の受光が行われ、膜厚検出器122からの出力を受けた制御部CNTにおいて、各膜厚検出器122が設置された箇所に対応するウェーハ124上の箇所での所定の膜の膜厚さが検出される。以下、ステップ503の処理前のウェーハ124の膜厚さの検出を前検出と呼称する。
【0054】
(ステップ504:ウェーハの処理)
ステップ503の後に、真空処理室103内部の処理室内においてウェーハ124に処理、例えば、所定の膜のエッチング処理が施される。
【0055】
(ステップ505:膜厚の検出(後検出))
ステップ504の処理の終了が制御部CNTに検出された後、レーザ光の放射、受光による膜厚検出器122からの出力を用いて処理後のウェーハ124の各箇所での所定の膜のエッチング後の残りの膜の膜厚さが制御部CNTで検出される。以下、処理後のウェーハ124の膜厚さの検出を、後検出と呼称する。
【0056】
このように処理の前後で検出された膜厚さからウェーハ124上の任意の箇所におけるエッチング後の残りの膜の膜厚さの値が算出され、制御部CNTの内部に配置された、または通信手段を介して通信可能に接続された記憶装置に送信され内部に記憶される。
【0057】
(ステップ506:エッチング量と分布の算出、および、分布中心の位置と目標中心の位置との間の距離の算出)
制御部CNTでは、記憶装置に記憶された前検出と後検出とで検出された膜厚さの値の情報が制御部CNT内部の演算器に送信され、処理前後でのウェーハ124の各箇所での所定の膜の膜厚さの差に基づいて膜厚さの加工量、すなわち所定の膜のエッチングの量とその分布が算出される。また、記憶装置には予め膜厚検出器122の各々が設置された箇所に対応する位置或いはレーザ光が照射される載置面上の位置が、例えば載置面の中心位置との相対的な位置の座標として記憶されており、算出されたエッチング量の値とこれに対応する各記憶された位置との関係からエッチング量の分布を2次関数等の曲線として近似して、ウェーハ124上または載置面上の任意の位置でのエッチング量の分布が算出されても良い。制御部CNTでは、さらに、算出されたエッチング量の分布が極値をとる位置(図4において破線127で示されるウェーハ124上の位置:分布中心)が算出され、さらに当該極値となる位置とウェーハ124の搬送先の目標位置に合致させるウェーハ124の箇所(目標中心)の位置との間の距離(分布中心の位置と目標中心の位置との間の距離)の値δが算出される。上記エッチング量が極値となる位置を以下、処理中心の位置と呼称し、処理中心127の位置は図4のウェーハ124上の破線127の位置となる。
【0058】
ここで、ステップ505、506は、表面検出の工程ということができる。表面検出の工程(505、506)では、処理が施されたウエハを真空処理室103の処理室内の所定の位置である試料台上の載置面に配置した状態で、ウエハの上面の半径方向の複数の位置と当該ウエハの上面の形状または処理の量とからウエハの上面の形状または処理の量の分布の中心の位置を検出する。
【0059】
(ステップ507:ティーチング値の算出)
本例では、算出された処理中心の位置とウェーハ124の目標中心の位置の距離(差)δが算出され、当該δの値を現在の真空搬送ロボット108が搬送の動作を調節する際に用いるデータとして反映させて、新たな搬送先の目標位置に搬送させるティーチング値を算出する。すなわち、ウェーハ124が処理される前に真空搬送ロボット108に搬送させるために用いられた信号のデータのうち、次のウェーハの搬送先の目標位置に合致させるウェーハの箇所(目標中心)の位置を算出されたδの値だけ変更して、処理中心の位置が載置面上の中心の位置に合致するようにティーチング値が算出される。
【0060】
これは、例えば、先に処理されたウェーハ124の目標中心が当該ウェーハ124の寸法上の中心であった場合は、次に処理されるウェーハ124がその寸法上の中心の位置を先に搬送されて処理されたウェーハ124の目標中心の位置に対応する載置面上の位置から距離δだけズレた箇所の位置に合致させるように搬送される。そして、制御部CNTは、ウェーハ124の寸法上の中心の位置が先に処理されたウェーハ124の処理中心に対応する載置面上の位置に合致するように、真空搬送ロボット108のティーチング値を算出して、このティーチング値を用いて真空搬送ロボット108に対するティーチングを行うことになる。
【0061】
(ステップ508:ティーチングの実施、調整工程)
さらに、ティーチング値は、次のウェーハ124が目標の真空処理室103に搬送される前に、記憶装置に送信され格納される。また、制御部CNTは、ティーチング値を、真空搬送ロボット108に動作の指令信号CSとして送信する。これにより、真空搬送ロボット108が再度のティーチングの実施が行われる。これにより、真空搬送ロボット108の動作は、予め表面検出の工程(505、506)により得られたウエハ上面の形状または処理の量の分布の中心の位置に、未処理のウエハの半径方向の中心の位置が合致するように、ティーチングにより調節される(調整工程)。そして、真空搬送ロボット108は、調整の工程の後、ティーチング値に基づいて、未処理のウエハを目標の真空処理室103の試料台の中心に搬送する。
【0062】
ここで、ステップ507,508は、未処理のウエハの搬送する搬送工程ということができる。未処理のウエハの搬送する搬送工程(507,508)では、予め表面検出の工程(505、506)により得られたウエハ上面の形状または処理の量の分布の中心の位置に、未処理のウエハの半径方向の中心の位置が合致するように搬送ロボット108の動作をティーチングにより調節して、未処理のウエハを真空処理室103の処理室内の試料台上の載置面に搬送する。
【0063】
次にティーチングを行うウェーハ124の有無が確認される。ウェーハ124が有る場合にはステップ501へ移行して、複数枚のウェーハ124を順次複数の真空処理室103の何れかの目標の真空処理室103に搬送して処理を行う。一方、ウェーハ124が無い場合にはティーチングの工程が終了される。
【0064】
このようなティーチングは、予め定められたウェーハ124の処理された枚数毎、例えば25枚毎や、1枚ごと、或いはFOUPに収納されたウェーハ124の枚数が処理された毎に行ってもよし、1つのロット毎に行っても良い。また、目標中心の位置は、上記の例では、ウェーハ124の寸法上の中心の位置であったが、別の箇所の位置でも良い。
【0065】
このような真空搬送ロボット108によるウェーハ124の搬送先の位置の修正は、上記のように処理結果の分布の中心と次のウェーハ124の寸法上の中心同士を合致させても良い。また、次のウェーハ124の寸法の中心の位置を、目標となる所期のエッチング量の分布のパターンに対する、先のウェーハ124のエッチング量の分布のパターンとの偏差の総和または平均値が、最小または許容範囲内の値となる位置に移動させるように修正するものであっても良い。当該偏差は、ウェーハ124全体についての偏差の平均または自乗(ニ乗)の平均の値出であっても、特定の箇所での値であっても良い。
【0066】
このように、再ティーチングされた真空搬送ロボット108は、先に搬送され処理されたウェーハ124と同じFOUPからロック室105に搬送されたウェーハ124を、真空処理室103に対し、ウェーハ124上で目標の位置と先のウェーハ124の処理中心に対応する試料台上の載置面の位置とが一致するように搬送する。これによって、ウェーハ上面における面内方向についてのエッチング量の分布は対称性が向上し、処理の歩留まりが向上する。つまり、ウエハの加工量の分布を考慮してティーチングを行うことにより、ウエハの面内方向の処理のばらつきを低減して処理の歩留まりを改善できる技術が提供できる。
【0067】
以上、本開示者によってなされた開示を実施例に基づき具体的に説明したが、本開示は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0068】
100:真空処理装置
101:大気側ブロック
102:真空側ブロック
103:真空処理室(処理ユニット)
104:第1の真空搬送室
105:ロック室
106:筐体
107:カセット台
108:真空搬送ロボット
109:大気搬送ロボット
110:第2の真空搬送室
111:真空搬送中間室
120:ゲートバルブ
121:搬送センサ
122:膜厚検出器
123:エッチング量分布
124:ウェーハ
125:位置
126:ウェーハ中心
127:分布中心
128:ずれ量
CNT:制御部
図1
図2
図3
図4
図5