(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020309
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】リソグラフィシステムの熱安定化のための動的冷却制御
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023189770
(22)【出願日】2023-11-07
(62)【分割の表示】P 2021549252の分割
【原出願日】2020-01-23
(31)【優先権主張番号】16/284,516
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Blu-ray
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョンストン, ベンジャミン エム.
(72)【発明者】
【氏名】コリボー, デービッド マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リー, チュク ミン
(72)【発明者】
【氏名】ユー, ジェ ミョン
(72)【発明者】
【氏名】タオ, ウェイミン
(72)【発明者】
【氏名】モーネンス, アントワーヌ ピー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】安定化時間を短縮する能力、及び安定化時間にわたる全ピッチの変化を補償する露光パターンを基板上のフォトレジストに書き込む能力のうちの少なくとも1つを提供する、リソグラフィプロセスのシステム、ソフトウェアアプリケーション、及び方法を提供する。
【解決手段】スラブ120と、スラブ120上方に配置されたステージ130と、スラブ120上に配置された一対の支持体122と、処理装置と、冷却器システムとを含む。一対の支持体は一対の軌道を支持し、ステージ130は一対の軌道に沿って移動するように構成される。処理装置160は、スラブ120に連結された装置支持体と、装置支持体によって支持された処理ユニット164とを有する。処理ユニット164は、複数の画像投影システム167を有する。冷却器システムは、一対の軌道の各軌道に配置された少なくとも1つの流体チャネルを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラブと、
前記スラブの上方に配置され、基板を支持するように構成された可動ステージと、
前記スラブ上に配置され、一対の軌道を支持する一対の支持体であって、前記ステージが前記一対の軌道に沿って移動するように構成される、一対の支持体と、
処理装置であって、
前記スラブに連結され、前記ステージがその下を通過するための開口部を有する装置支持体、及び
前記装置支持体によって支持され、複数の画像投影システムを有する処理ユニット
を有する処理装置と、
前記一対の軌道の各軌道に配置された少なくとも1つの流体チャネルを有する冷却器システムと
を備える、システム。
【請求項2】
前記処理ユニットが、パターンデータを前記処理ユニットに提供するように構成されたコントローラに連結され、
各流体チャネルが、前記コントローラに連結された冷却器に接続される入口及び出口を有し、前記コントローラが、各流体チャネルを通って循環される流体の流量及び所定の温度を制御するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記スラブ、前記装置支持体、及び前記一対の軌道の少なくとも1つの軌道のうちの1つ又は複数に位置する1つ又は複数の温度検出器を更に備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記処理ユニットによって受信された前記パターンデータは、前記画像投影システムの各々が前記基板上に配置されたフォトレジストを露光パターンに露光する1つ又は複数のプロセスレシピのシーケンスに対応する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記温度検出器が、前記コントローラに連結されており、かつ前記フォトレジストの露光中に測定された温度を前記コントローラに提供するように構成され、
前記測定された温度に基づいて、前記コントローラが、補償されたパターンデータを生成し、前記補償されたパターンデータを前記処理ユニットに提供するように構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記装置支持体が、
前記スラブ上に配置された2つの立設部と、
前記立設部によって支持された3つ以上のブリッジであって、前記立設部及びブリッジは、前記ステージがその下を通過するための前記開口部を形成し、前記画像投影システムの各々が、隣接するブリッジ上に配置される、3つ以上のブリッジと
を備え、
前記コントローラに連結された前記1つ又は複数の温度検出器が、前記立設部及び前記ブリッジに位置する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記一対の軌道が一対の磁気チャネルであり、前記ステージが、前記一対の磁気チャネルに沿って前記ステージを移動させるための力を提供する電動モータを含み、
前記コントローラに連結された前記1つ又は複数の温度検出器は、前記一対の磁気チャネルの少なくとも1つの磁気チャネルに隣接して配置された1つ又は複数のエンコーダに隣接して位置する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
スラブと、
前記スラブの上方に配置され、基板を支持するように構成された可動ステージと、
前記スラブ上に配置され、一対の軌道を支持する一対の支持体であって、前記ステージが前記一対の軌道に沿って移動するように構成される、一対の支持体と、
処理装置であって、
前記スラブに連結され、前記ステージがその下を通過するための開口部を有する装置支持体、及び
前記装置支持体によって支持される処理ユニットであって、複数の画像投影システムを有し、かつ前記処理ユニットにパターンデータを提供するように構成されたコントローラに連結された、処理ユニット
を有する処理装置と、
前記スラブ、前記装置支持体、及び前記一対の軌道の少なくとも1つの軌道のうちの1つ又は複数に位置する1つ又は複数の温度検出器と
を備え、
前記処理ユニットによって受信された前記パターンデータは、前記画像投影システムの各々が前記基板上に配置されたフォトレジストを露光パターンに露光する1つ又は複数のプロセスレシピのシーケンスに対応し、
前記温度検出器が、前記コントローラに連結されており、かつ前記フォトレジストの露光中に測定された温度を前記コントローラに提供するように構成され、
前記測定された温度に基づいて、前記コントローラが、補償されたパターンデータを生成し、前記補償されたパターンデータを前記処理ユニットに提供するように構成される、システム。
【請求項9】
前記装置支持体が、
前記スラブ上に配置された2つの立設部と、
前記立設部によって支持された3つ以上のブリッジであって、前記立設部及びブリッジは、前記ステージがその下を通過するための前記開口部を形成し、前記画像投影システムの各々が、隣接するブリッジ上に配置される、3つ以上のブリッジと
を備え、
前記コントローラに連結された1つ又は複数の温度検出器が、前記立設部及び前記ブリッジに位置する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記一対の軌道が一対の磁気チャネルであり、前記ステージが、前記一対の磁気チャネルに沿って前記ステージを移動させるための力を提供する電動モータを含み、
前記コントローラに連結された前記1つ又は複数の温度検出器は、前記一対の磁気チャネルの少なくとも1つの磁気チャネルに隣接して配置された1つ又は複数のエンコーダに隣接して位置する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記エンコーダが、前記処理ユニットに対する前記ステージ上のそれぞれの位置を提供するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
冷却器システムを更に備え、前記冷却器システムが、
前記一対の軌道の各軌道に配置された少なくとも1つの流体チャネルと、
前記コントローラに連結される冷却器に接続される入口及び出口を有する各流体チャネルと
を有し、
前記コントローラが、各流体チャネルを通って循環される流体の流量及び所定の温度を制御するように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記温度検出器が、抵抗温度検出器(RTD)である、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記画像投影システムが空間光変調器を備え、前記空間光変調器が、マイクロLED、OLED、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、液晶ディスプレイ(LCD)、及び垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)からなる群から選択される、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
スラブと、
前記スラブの上方に配置され、基板を支持するように構成された可動ステージと、
前記スラブ上に配置され、一対の軌道を支持する一対の支持体であって、前記ステージが前記一対の軌道に沿って移動するように構成される、一対の支持体と、
処理装置であって、
前記スラブに連結され、前記ステージがその下を通過するための開口部を有する装置支持体、及び
前記装置支持体によって支持される処理ユニットであって、複数の画像投影システムを有し、かつ前記処理ユニットにパターンデータを提供するように構成されたコントローラに連結された、処理ユニット
を有する処理装置と、
前記一対の軌道の各軌道に配置された少なくとも1つの流体チャネルを有する冷却器システムと、
前記スラブ、前記装置支持体、及び前記一対の軌道の少なくとも1つの軌道のうちの1つ又は複数に位置する1つ又は複数の温度検出器と
を備え、
前記処理ユニットによって受信された前記パターンデータは、前記画像投影システムの各々が前記基板上に配置されたフォトレジストを露光パターンに露光する1つ又は複数のプロセスレシピのシーケンスに対応し、
前記温度検出器が、前記コントローラに連結されており、かつ前記フォトレジストの露光中に測定された温度を前記コントローラに提供するように構成され、
前記測定された温度に基づいて、前記コントローラが、補償されたパターンデータを生成し、前記補償されたパターンデータを前記処理ユニットに提供するように構成される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、リソグラフィシステムに関する。より詳細には、本開示の実施形態は、動作中の温度変化を補償するデジタルリソグラフィシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィは、半導体デバイスのバックエンド処理などの半導体デバイスや、液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイデバイスの製造に広く使用される。例えば、大面積基板は、LCDの製造に利用されることが多い。LCD又はフラットパネルディスプレイは、一般的に、コンピュータ、タッチパネルデバイス、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、テレビモニタなどのアクティブマトリクスディスプレイに使用される。概して、フラットパネルディスプレイは、2つのプレートの間に挟まれた、各画素における相変化材料としての液晶材料の層を含む。電源からの電力が、液晶材料を横切って又は通って印加されると、液晶材料を通過する光の量が、画像をディスプレイ上に生成可能にする画素位置において制御される、即ち、選択的に変調される。
【0003】
リソグラフィシステムの動作中に、ステージの移動は、システム全体を通して、ある期間にわたって熱を放散させる結果となる。時間の経過とともに、システム全体を通して熱が放散されると、システムの構成要素の温度が上昇する。システムの構成要素の温度が、一定時間、即ち安定化時間にわたって上昇すると、安定化温度が維持されるまで、基板の全ピッチが変化する。安定化温度で、全ピッチは一定である。安定化温度においてシステムがない状態で、安定化時間中に1つ又は複数のプロセスレシピを実行するためのシステムの動作は、オーバーレイエラーを生じる可能性がある。したがって、安定化温度に達するまで、アイドルプロセスレシピが実行される。アイドルプロセスレシピは、スループットを低下させる。
【0004】
したがって、スループットを増加させるためのリソグラフィプロセスのシステム、ソフトウェアアプリケーション、及び方法が当技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
1つの実施形態では、あるシステムが提供される。このシステムは、スラブ、スラブ上方に配置された可動ステージ、スラブ上に配置された一対の支持体、処理装置、及び冷却器システムを含む。ステージは、基板を支持するように構成される。一対の支持体は一対の軌道を支持し、ステージは一対の軌道に沿って移動するように構成される。処理装置は、スラブに連結された装置支持体と、装置支持体によって支持された処理ユニットとを有する。装置支持体は、ステージがその下を通過するための開口部を有し、処理ユニットは、複数の画像投影システムを有する。冷却器システムは、一対の軌道の各軌道に配置された少なくとも1つの流体チャネルを有する。
【0006】
別の実施形態では、あるシステムが提供される。このシステムは、スラブと、スラブ上方に配置された可動ステージと、スラブ上に配置された一対の支持体と、処理装置と、スラブの1つ又は複数に位置する1つ又は複数の温度検出器と、装置支持体と、一対の軌道のうちの少なくとも1つの軌道とを含む。一対の支持体は一対の軌道を支持し、ステージは一対の軌道に沿って移動するように構成される。処理装置は、スラブに連結された装置支持体と、装置支持体によって支持された処理ユニットとを有する。装置支持体は、ステージがその下を通過するための開口部を有し、処理ユニットは、複数の画像投影システムを有する。処理ユニットは、パターンデータを処理ユニットに提供するように構成されたコントローラに連結される。処理ユニットによって受信されたパターンデータは、画像投影システムの各々が基板上に配置されたフォトレジストを露光パターンに露光する1つ又は複数のプロセスレシピのシーケンスに対応する。温度検出器は、コントローラに連結されており、かつフォトレジストの露光中に測定された温度をコントローラに提供するように構成される。測定された温度に基づいて、コントローラは、補償されたパターンデータを生成し、補償されたパターンデータを処理ユニットに提供するように構成される。
【0007】
更に別の実施形態では、あるシステムが提供される。このシステムは、スラブと、スラブ上方に配置された可動ステージと、スラブ上に配置された一対の支持体と、処理装置と、冷却器システムと、スラブの1つ又は複数に位置する1つ又は複数の温度検出器と、装置支持体と、一対の軌道の少なくとも1つの軌道とを含む。一対の支持体は一対の軌道を支持し、ステージは一対の軌道に沿って移動するように構成される。処理装置は、スラブに連結された装置支持体と、装置支持体によって支持された処理ユニットとを有する。装置支持体は、ステージがその下を通過するための開口部を有し、処理ユニットは、複数の画像投影システムを有する。処理ユニットは、パターンデータを処理ユニットに提供するように構成されたコントローラに連結される。処理ユニットによって受信されたパターンデータは、画像投影システムの各々が基板上に配置されたフォトレジストを露光パターンに露光する1つ又は複数のプロセスレシピのシーケンスに対応する。冷却器システムは、一対の軌道の各軌道に配置された少なくとも1つの流体チャネルを有する。温度検出器は、コントローラに連結されており、かつフォトレジストの露光中に測定された温度をコントローラに提供するように構成される。測定された温度に基づいて、コントローラは、補償されたパターンデータを生成し、補償されたパターンデータを処理ユニットに提供するように構成される。
【0008】
本開示の上述の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約されている本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られ、それらの実施形態の一部が添付図面に示される。しかしながら、添付図面は例示的な実施形態を示しているにすぎず、従って、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではなく、その他の等しく有効な実施形態を許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】実施形態によるシステムの処理ユニットの上面図である。
【
図3】実施形態によるシステムの熱交換システムの斜視図である。
【
図4】実施形態によるリソグラフィの方法のために構成されたコンピューティングシステムの概略図である。
【
図5】実施形態によるリソグラフィアプリケーションの概略図である。
【
図6】実施形態によるコントローラの概略図である。
【
図7A】実施形態によるシステムの安定化時間及び安定化温度を示すグラフである。
【
図7B】実施形態によるシステムの安定化時間及び安定化温度を示すグラフである。
【
図7C】実施形態によるシステムの安定化時間及び安定化温度を示すグラフである。
【
図7D】実施形態によるシステムの安定化時間及び安定化温度を示すグラフである。
【
図8】実施形態によるリソグラフィプロセスの方法のフロー図である。
【
図9】実施形態によるリソグラフィプロセスの方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするために、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すのに、同一の参照番号を使用した。1つの実施形態の要素及び特徴は、更なる記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれうると想定される。
【0011】
本明細書に記載の実施形態は、安定化時間を短縮する能力、及び安定化時間にわたる全ピッチの変化を補償する露光パターンを基板上のフォトレジストに書き込む能力のうちの少なくとも1つを提供する、リソグラフィプロセスのシステム、ソフトウェアアプリケーション、及び方法を提供する。本システムの1つの実施形態は、スラブ、スラブ上方に配置された可動ステージ、スラブ上に配置された一対の支持体、処理装置、及び冷却器システムを含む。ステージは、基板を支持するように構成される。一対の支持体は一対の軌道を支持し、ステージは一対の軌道に沿って移動するように構成される。処理装置は、スラブに連結された装置支持体と、装置支持体によって支持された処理ユニットとを有する。装置支持体は、ステージがその下を通過するための開口部を有し、処理ユニットは、複数の画像投影システムを有する。冷却器システムは、一対の軌道の各軌道に配置された少なくとも1つの流体チャネルを有する。
【0012】
図1は、本明細書に記載の実施形態から利益を得ることができる、デジタルリソグラフィシステムなどのシステム100の斜視図である。システム100は、ベースフレーム110と、スラブ120と、1つ又は複数のステージ130と、処理装置160とを含む。ベースフレーム110は、製造施設の床上に置かれ、スラブ120を支持しうる。受動空気アイソレータ112は、ベースフレーム110とスラブ120との間に位置付けられる。スラブ120は花崗岩の一枚板であり、1つ又は複数のステージ130がスラブ120の上に配置されうる。基板140は、1つ又は複数のステージ130の各々によって支持されうる。複数の孔(図示せず)がステージ130に形成され、それにより、複数のリフトピン(図示せず)は、それらの孔を通って延びることができるようになる。リフトピンは、例えば移送ロボット(図示せず)から、基板140を受け取るために、伸長位置まで上昇しうる。移送ロボットは、基板140をリフトピン上に位置付け、リフトピンは、その後、基板140をステージ130上に徐々に下降させうる。
【0013】
基板140は、例えば、石英で作られ、フラットパネルディスプレイの一部として使用されうる。他の実施形態では、基板140は、他の材料から作られてもよい。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる本明細書に記載の実施形態では、基板は、アルカリ土類ボロ-アルミノケイ酸塩などのガラスを含む。いくつかの実施形態では、基板140は、その上に形成されたフォトレジスト層を有しうる。フォトレジストは、放射線に敏感であり、ポジ型フォトレジスト又はネガ型フォトレジストでありうるが、これは、放射線に露光されたフォトレジストの部分が、パターンがフォトレジストに書き込まれた後に、フォトレジストに塗布されたフォトレジストデベロッパにそれぞれ可溶性であるか、又は不溶性であることを意味している。フォトレジストの化学組成により、そのフォトレジストがポジ型フォトレジストになるか、又はネガ型フォトレジストになるかが決まる。例えば、フォトレジストは、ジアゾナフトキノン、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メチルグルタルイミド)、及びSU-8のうちの少なくとも1つを含みうる。このようにして、電子回路を形成するために、パターンが基板140の表面上に形成されうる。
【0014】
システム100は、一対の支持体122と、一対の軌道124とを更に含む。一対の支持体122は、スラブ120上に配置され、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態では、スラブ120及び一対の支持体122は、単一の材料片でありうる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる本明細書に記載の実施形態では、一対の軌道124は、一対の支持体122によって支持され、2つ以上のステージ130は、軌道124に沿ってX方向に移動しうる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態では、一対の軌道124は、一対の磁気チャネル301(
図3に示す)である。図示のように、一対の軌道124の各軌道は線形である。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態では、一対の軌道124の各軌道は線形である。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態では、位置情報をコントローラ190に提供するために、エンコーダ126が各ステージ130とそれぞれ共配置されるが、これについては、本明細書で更に詳細に説明される。1つ又は複数のステージ130の各々はまた、基板140の処理及び/又は割り出し(indexing)のために、軌道150に沿って移動することによって、Y方向にも移動しうる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる本明細書に記載の実施形態では、各ステージ130は、ステージ130を持ち上げるための複数の空気軸受(図示せず)を含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる本明細書に記載の実施形態では、各ステージ130は、一対の磁気チャネル301に沿ってステージ130を移動させる力を提供するために、リニアモータなどの電気モータ(図示せず)を含む。
【0015】
処理装置160は、支持体162と、処理ユニット164とを含む。支持体162は、スラブ120上に配置された2つの立設部161を含み、3つ以上のブリッジ163を支持する。立設部161及びブリッジ163は、1つ又は複数のステージ130が処理ユニット164の下を通過するための開口部166を形成する。処理ユニット164は、支持体162によって支持されうる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態では、処理ユニット164は、フォトリソグラフィプロセスでフォトレジストを露光するように構成されたパターン発生器である。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができるいくつかの実施形態では、パターン発生器は、マスクレスリソグラフィプロセスを実行するように構成されうる。各リソグラフィプロセスは、パターン発生器の1つ又は複数のプロセスレシピに対応する。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、アイドルプロセスは、パターン発生器の1つ又は複数のアイドルプロセスレシピに対応する。処理ユニット164は、ケース165内に配置された複数の画像投影システム167を含む。画像投影システム167の各画像投影システムは、隣接するブリッジ163上に配置される。処理装置160は、マスクレス直接パターニングを実行するために利用されうる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態では、処理ユニット164は、84もの画像投影システム167を含む。画像投影システム167の各々は、空間光変調器を含む。空間光変調器は、マイクロLED、OLED、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、液晶ディスプレイ(LCD)、及び垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)を含むが、これらに限定されない。画像投影システム167の各々の構成要素は、使用される空間光変調器に応じて変化する。
【0016】
コントローラ190は、本明細書に記載の処理技術の制御及び自動化を容易にする。コントローラ190は、処理装置160、1つ又は複数のステージ130、及び各エンコーダ126のうちの1つ又は複数に連結されるか、又はそれらと通信する。処理装置160及び1つ又は複数のステージ130は、基板処理及び位置合わせに関する情報をコントローラに提供する。例えば、処理装置160は、コントローラ190に情報を提供して、基板処理が完了したことをコントローラ190に警告する。コントローラ190は、本明細書に記載の方法の制御及び自動化を容易にする。コントローラ190によって読み取り可能な、撮像プログラムと呼ばれうるプログラム(又はコンピュータ命令)は、どのタスクがシステム100上で実行可能であるかを決定する。プログラムは、処理時間及び基板位置を監視及び制御するためのパターンデータ及びコードを含む。パターンデータは、電磁放射を用いてフォトレジストに書き込まれる露光パターンに対応する。
【0017】
動作中、ステージ130は、
図1に示すように、ローディング(第1の)位置から、処理(第2の)位置まで、X方向に移動する。処理位置は、ステージ130が処理ユニット164の下を通過する際の、ステージ130の1つ又は複数の位置である。ステージ130はまた、基板140の処理及び/又は割り出しのために、軌道150に沿って移動することによって、Y方向にも移動する。ステージ130は、独立した動作が可能であり、基板140を1つの方向に走査して、他の方向に進むことができる。
図2に示すように、処理ユニット164の上面図は、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態では、システム100は、一対の軌道124の軌道に隣接して配置された、スチールの予圧バーなどの予圧バー201と、予圧バー201に隣接して配置された、高分解能エンコーダなどの1つ又は複数のエンコーダ203とを含む。コントローラ190は、更に、1つ又は複数のエンコーダ127に連結されるか、又は1つ又は複数のエンコーダ127と通信している。1つ又は複数のエンコーダ127は、動作中、処理ユニット164に対する1つ又は複数のステージ130上のそれぞれの位置を提供する。説明を容易にするために、
図2は、処理ユニット164の半分(第1の部分)と、画像投影システム167の1つを示し、それらを参照して説明される。しかしながら、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態では、処理ユニット164のもう半分(第2の部分)は、一対の軌道124の軌道に隣接して配置された別の予圧バー201と、予圧バー201に隣接して配置された1つ又は複数の追加のエンコーダ203とを含むことに留意されたい。
【0018】
動作中、ステージ130の移動は、ステージ130の電気モータを介して、一対の磁気チャネル301に沿ってステージ130を移動させる力を提供し、システム100全体を通して一定期間にわたって熱を放散させる結果となる。一定期間にわたって、システム100全体を通した熱の放散は、スラブ120、1つ又は複数のステージ130、処理装置160、及び1つ又は複数のステージ130の各々によって支持されている基板140のような、システム100の構成要素の温度を上昇させる。システム100の構成要素の温度が、一定時間、即ち安定化時間にわたって上昇すると、安定化温度が維持されるまで、基板140の全ピッチ101が変化する。安定化温度では、全ピッチ101は一定である。マスタースケールとしても知られる全ピッチ101は、第1の点105と第2の点107との間の距離103として画定される。システム100が安定化温度になくても、安定化時間の間に1つ又は複数のプロセスレシピを実行するためのシステム100の動作は、プロセスレシピに対する基板140の露光の後続の位置を歪め、シフトさせる、即ち、オーバーレイエラーをもたらすことがある。したがって、1つ又は複数のアイドルプロセスレシピが、安定化温度まで実行される。次に、1つ又は複数のプロセスレシピが実行される。スループットを増加させるために、本明細書に記載のシステム、ソフトウェアアプリケーション、及び方法は、安定化時間を短縮する能力、及び安定化時間にわたる全ピッチ101の変化を補償する露光パターンを基板140上のフォトレジストに書き込む能力のうちの少なくとも1つを提供する。
【0019】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる本明細書に記載の実施形態では、抵抗温度検出器(RTD)などの温度検出器109が、一対の軌道124、立設部161、ブリッジ163、及びスラブ120に配置される。温度検出器109はまた、エンコーダ126及びエンコーダ127に隣接して配置される。エンコーダ127に隣接して配置された温度検出器109は、予圧バー201上に配置される。コントローラ190は、温度検出器109のそれぞれに連結されるか、又はこれらと通信する。温度検出器109は、一対の軌道124、立設部161、ブリッジ163、スラブ120、エンコーダ126、及びエンコーダ127の温度測定値をコントローラ190に提供する。冷却器システム300の斜視図である
図3に示すように、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態では、システム100は、冷却器システム300を含む。冷却器システム300は、冷却器304に連結された少なくとも1つの流体チャネル302を含む。一対の軌道124の各軌道は、少なくとも1つの流体チャネル302を含む。説明を容易にするために、
図3は、一対の軌道124のうちの1つの(第1の)軌道を示し、これを参照して説明する。しかしながら、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態では、一対の軌道124のうちの別の(第2の)軌道が、少なくとも1つの流体チャネル302を含むことに留意されたい。
【0020】
冷却器などの冷却器304は、一対の軌道124が所定の温度に維持されるように、流体チャネル302の入口310に接続された入口導管306を介して、かつチャネル302の出口312に接続された出口導管308を介して、各流体チャネル302と流体連結している。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態では、各流体チャネル302は、約5ミリメートル(mm)から約20mmの直径を有する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、冷却器304は、インターフェースボックスに連結されて、冷却剤などの流体の流量を制御する。流体は、約10℃から約30℃の温度を維持できる材料を含みうる。冷却器304は、各流体チャネル302を通って循環される流体を供給する。各流体チャネル302を通って流れる流体は、一対の軌道124が所定の温度に維持できるようにし、これは、システム100の安定化温度及び安定化時間を制御するために、一対の軌道124の温度プロファイルの制御を補助する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態では、流体は、2リットル/分(L/分)~約4L/分の流量で循環される。
【0021】
図4は、本開示の実施形態が実施されうるリソグラフィの方法のために構成されたコンピューティングシステム400の概略図である。
図4に示すように、コンピューティングシステム400は、複数のサーバ408、リソグラフィアプリケーション412、及び複数のコントローラ(即ち、コンピュータ、パーソナルコンピュータ、モバイル/ワイヤレスデバイス)190(これらのうちの2つだけが明確にする目的で示される)を含むことができ、それぞれが通信ネットワーク406(例えば、インターネット)に接続されている。サーバ408は、ローカル接続(例えば、ストレージエリアネットワーク(SAN)又はネットワーク接続ストレージ(NAS))を介して、又はインターネットを通して、データベース414と通信しうる。サーバ408は、データベース414に含まれるデータに直接アクセスするか、又はデータベース414内に含まれるデータを管理するように構成されたデータベースマネージャとインターフェース接続するかのどちらかを行うように構成される。
【0022】
各コントローラ190は、例えばプロセッサ、システムメモリ、ハードディスクドライブ、バッテリ、マウス及びキーボードなどの入力デバイス、及び/又はモニタ若しくはグラフィカルユーザインターフェースなどの出力デバイス、並びに/又は入力を受信するだけではなく出力の表示も行うタッチスクリーンのような結合型入力/出力デバイスといった、計算デバイスの従来の構成要素を含みうる。各サーバ408及びリゾグラフィアプリケーション412は、プロセッサ及びシステムメモリ(図示せず)を含み、例えば、リレーショナルデータベースソフトウェア及び/又はファイルシステムを使用して、データベース414に格納されたコンテンツを管理するように構成されうる。I/Oデバイスインターフェース508は、
図5に示すように、例えばTCP/IPプロトコルなどのネットワークプロトコルを使用して、互いに、コントローラ190と、及びリソグラフィアプリケーション412と通信するようにプログラムされうる。リソグラフィアプリケーション412は、通信ネットワーク406を介してコントローラ190と直接通信しうる。コントローラ190は、プログラム及び/又は他のソフトウェアアプリケーションなどのソフトウェア404を実行し、サーバ408によって管理されるアプリケーションにアクセスするようにプログラムされる。
【0023】
以下に記載の実施形態では、ユーザは、通信ネットワーク406を通してサーバ408に接続されうるコントローラ190をそれぞれ操作しうる。ページ、画像、データ、文書などは、コントローラ190を介してユーザに表示されうる。情報及び画像は、コントローラ190と通信する表示デバイス及び/又はグラフィカルユーザインターフェースを通して表示されうる。
【0024】
コントローラ190は、パーソナルコンピュータ、ラップトップモバイルコンピューティングデバイス、スマートフォン、家庭用ゲーム機、ホームデジタルメディアプレーヤ、ネットワーク接続テレビ、セットトップボックス、並びに/又は通信ネットワーク406及び/若しくは必要なアプリケーション若しくはソフトウェアと通信するのに適した構成要素を有する他のコンピューティングデバイスでありうることに留意されたい。コントローラ190はまた、リソグラフィアプリケーション412からコンテンツ及び情報を受信するように構成された他のソフトウェアアプリケーションも実行しうる。
【0025】
図5は、リソグラフィアプリケーション412の概略図である。リソグラフィアプリケーション412は、中央処理装置(CPU)502、ネットワークインターフェース504、メモリ520、及び相互接続506を介して通信するストレージ530を含むが、これに限定されない。リソグラフィアプリケーション412はまた、I/Oデバイス510(例えば、キーボード、ビデオ、マウス、オーディオ、タッチスクリーンなど)を接続するI/Oデバイスインターフェース508も含みうる。リソグラフィアプリケーション412は、データ通信ネットワークを介してデータを送信するように構成されたネットワークインターフェース604(
図6に示す)を更に含みうる。
【0026】
CPU502は、メモリ520に記憶されたプログラミング命令を検索及び実行し、概して、他のシステム構成要素の動作を制御及び調整する。同様に、CPU502は、メモリ520内に存在するアプリケーションデータを記憶及び検索する。代表的には、単一のCPU、複数のCPU、複数の処理コアを有する単一のCPUなどであるCPU502が含まれる。相互接続506は、CPU502、I/Oデバイスインターフェース508、ストレージ530、ネットワークインターフェース504、及びメモリ520の間でプログラミング命令及びアプリケーションデータを送信するために使用される。
【0027】
代表的にはランダムアクセスメモリであるメモリ520が通常含まれ、メモリ520は、動作中に、CPU502によって使用されるソフトウェアアプリケーション及びデータを記憶する。ストレージ530は、単一のユニットとして図示しているが、不揮発性のデータを記憶するよう構成された、固定ディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリストレージドライブ、テープドライブ、取り外し可能なメモリカード、CD-ROM、DVD-ROM、Blu-Ray、HD-DVD、光ストレージ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、クラウドストレージ、又はストレージエリアネットワーク(SAN)などの、固定ストレージデバイス及び/又は取り外し可能なストレージデバイスの組み合わせでありうる。
【0028】
メモリ520は、リソグラフィアプリケーションソフトウェア528を含みうるアプリケーションプラットフォーム526を実行するための命令及びロジックを記憶しうる。ストレージ530は、データ534及び関連するアプリケーションプラットフォームコンテンツ536を記憶するように構成されたデータベース532を含みうる。データベース532は、任意のタイプのストレージデバイスでありうる。
【0029】
ネットワークコンピュータは、本明細書で提供される開示と併せて使用することができる別のタイプのコンピュータシステムである。ネットワークコンピュータは、通常、ハードディスク又は他の大容量ストレージを含まず、実行可能プログラムは、CPU602(
図6に示す)によって実行されるように、ネットワーク接続からメモリ520に読み込まれる。典型的なコンピュータシステムは、通常、少なくともプロセッサ、メモリ、及びメモリをプロセッサに連結する相互接続を含むだろう。
【0030】
図6は、リソグラフィアプリケーション412にアクセスし、アプリケーションプラットフォーム526に関連するデータを検索又は表示するために使用されるコントローラ190の概略図である。コントローラ190は、中央処理装置(CPU)602、ネットワークインターフェース604、相互接続606、メモリ620、ストレージ630、及びサポート回路640を含みうるが、これらに限定されない。コントローラ190はまた、I/Oデバイス610(例えば、キーボード、ディスプレイ、タッチスクリーン、及びマウスデバイス)をコントローラ190に接続するI/Oデバイスインターフェース608を含みうる。
【0031】
CPU502と同様に、代表的には、単一のCPU、複数のCPU、複数の処理コアを有する単一のCPUなどであるCPU602が含まれ、代表的にはランダムアクセスメモリであるメモリ620が、概して含まれる。相互接続606は、CPU602、I/Oデバイスインターフェース608、ストレージ630、ネットワークインターフェース604、及びメモリ620の間でプログラミング命令及びアプリケーションデータを送信するために使用されうる。ネットワークインターフェース604は、例えば、リソグラフィアプリケーション412からコンテンツを転送するために、通信ネットワーク406を介してデータを送信するように構成されうる。ハードディスクドライブ又はソリッドステートストレージドライブ(SSD)などのストレージ630は、不揮発性データを記憶しうる。ストレージ630は、データベース631を含みうる。データベース631は、データ632と、他のコンテンツ634と、データ638及び制御ロジック639を有する画像処理ユニット636とを含みうる。例示的に、メモリ620は、それ自体がソフトウェア命令624を表示し、及び/又はデータ626を記憶又は表示しうるアプリケーションインターフェース622を含みうる。アプリケーションインターフェース622は、コントローラがリソグラフィアプリケーション412によってホストされるデータ及び他のコンテンツにアクセスできるようにする1つ又は複数のソフトウェアアプリケーションを提供しうる。
【0032】
図1に示すように、システム100はコントローラ190を含む。コントローラ190は、中央処理装置(CPU)602、メモリ620、及びサポート回路640(又はI/O508)を含む。CPU602は、産業設定で様々なプロセス及びハードウェア(例えば、パターン発生器、モータ、及び他のハードウェア)を制御したり、プロセス(例えば、処理時間及び基板の位置など)を監視したりするために使用されている、任意の形態のコンピュータプロセッサの1つでありうる。メモリ520は、
図6に示すように、CPU602に接続されており、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、又はローカル又はリモートの任意の他の形態のデジタルストレージといった、容易に利用可能なメモリの1つ又は複数でありうる。ソフトウェア命令及びデータは、CPU602に命令するために、コード化されてメモリ内に記憶されうる。サポート回路640はまた、従来の方法でプロセッサをサポートするためにCPU602に接続される。サポート回路640は、従来のキャッシュ642、電源644、クロック回路646、入出力回路648、サブシステム650などを含みうる。コントローラ190によって読み取り可能なプログラム(又はコンピュータ命令)は、どのタスクが基板140上で実行可能であるかを決定する。プログラムは、コントローラ190によって読み取り可能なソフトウェアであり、例えば、処理時間及び基板位置を監視及び制御するためのコードを含みうる。
【0033】
しかしながら、これら全ての用語及び類似の用語は、適切な物理量に関連付けられるべきであり、これらの量に適用される単なる便宜上の符号にすぎないことに留意すべきである。下記検討から明らかであるように、別途特段の記載がない限り、本明細書全体を通じて、「処理する(processing)」「計算する(computing)」「算出する(calculating)」「決定する(determining)」、又は「表示する(displaying)」等といった用語を利用する検討は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的(電子)量として表されるデータを操作し、コンピュータシステムのメモリ若しくはレジスタ、又はかかる情報のその他のストレージデバイス、伝送デバイス、又はディスプレイデバイス内の物理量として同様に表される他のデータに変換する、コンピュータシステム又は類似の電子計算デバイスの作動及びプロセスを指すと認識される。
【0034】
本実施例は、本明細書の動作を実行するための装置にも関する。この装置は、求められる目的のために特別に構築されうるか、又はコンピュータに記憶されたコンピュータプログラムによって選択的に作動するか若しくは再構成される汎用コンピュータを備えうる。このようなコンピュータプログラムは、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、磁気カード若しくは光カード、フロッピーディスクと、光ディスクと、CD-ROMと、磁気-光ディスクとを含む任意の種類のディスク、又は電子命令を記憶するのに適した任意の種類の媒体などであり(ただしそれらに限定されない)、その各々がコンピュータシステムの相互接続に接続される、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されうる。
【0035】
本明細書に提示されるアルゴリズム及びディスプレイは、いかなる特定のコンピュータ又はその他の装置にも本質的に関連していない。様々な汎用システムが、本明細書の教示内容に従ってプログラムと共に使用され、又は求められる方法工程を実行するために、より専門的な装置を構築することが便宜にかなうと分かることもある。様々なこれらのシステムの構造は、上記の説明から明らかになるだろう。加えて、本開示の例は、何らかの特定のプログラミング言語に関連して説明されているのではなく、ゆえに、様々な例が多様なプログラミング言語を使用して実装されうる。
【0036】
より詳細に説明するように、本開示の実施形態は、安定化時間を短縮する能力、及び安定化時間にわたり全ピッチ101の変化を補償する露光パターンをフォトレジストに書き込む能力のうちの少なくとも1つに関するリソグラフィアプリケーションに関する。本明細書に記載の実施形態は、ソフトウェアアプリケーションプラットフォームに関する。ソフトウェアアプリケーションプラットフォームは、安定化時間を短縮すること、及び安定化時間にわたり全ピッチ101の変化を補償する露光パターンをフォトレジストに書き込むことのうちの少なくとも1つの方法を含む。
【0037】
図7A及び
図7Bは、一対の軌道124を所定の温度に維持するために冷却器システム300を利用しない、期間702にわたるシステム100の安定化時間701及び安定化温度706を示すグラフである。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、
図7A及び
図7Bに示す、1つの実施形態では、熱交換器は、一対の軌道をシステム温度に維持する。システム温度は、期間702の間にシステム100の構成要素の同一温度であり、例えば、約21℃から約23℃である。
図7A及び
図7Bは、エンコーダ127の第1のエンコーダ710、エンコーダ127の第3のエンコーダ712、一対の軌道124の磁気チャネル301、スラブ120、及びブリッジ163のブリッジ714に位置する温度検出器109によって測定されたシステム100の温度を示す。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる、
図7A及び
図7Bに示す、1つの実施形態では、期間702にわたって、安定化温度706に達するまで、1つ又は複数のアイドルプロセスレシピがシステム100によって実行される。本明細書で更に詳細に説明される別の実施形態では、期間702にわたって、1つ又は複数のプロセスレシピの第1のシーケンスがシステム100によって実行され、リソグラフィプロセスの方法900の安定化時間にわたる全ピッチ101の変化のベースラインが得られる。方法900は、パターンデータの補償されたパターンデータを処理ユニット164に提供する。補償されたパターンデータは、フォトレジストに書き込まれる補償されたパターンデータの露光パターンにオーバーレイエラーがないように、安定化時間にわたる全ピッチ101の変化を考慮する。
【0038】
1つ又は複数のアイドルプロセスは、1つ又は複数のステージ130に対して最大スキャン速度を有する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる実施形態では、最大走査速度は、約100ミリメートル/秒(mm/秒)から約400mm/秒である。
図7Aの最大走査速度は約300mm/秒であり、
図7Bの最大走査速度は約200mm/秒である。安定化時間701は、初期温度704から安定化温度706までの時間の持続期間である。安定化温度706は、温度検出器109の各々によって測定された温度が、期間702にわたる最終温度708の-0.1℃から約0.1℃内、即ち±0.1℃内にある点に対応する。
図7Aの安定化時間701は約10.25時間であり、
図7Bの安定化時間701は約2.5時間である。
【0039】
図8は、リソグラフィプロセスの方法800のフロー図である。方法800は、スループットを増加させるために安定化時間701を減少させる。
図7C及び7Dは、方法800中の期間702にわたるシステム100の安定化時間701及び安定化温度706を示すグラフである。方法800は、冷却器システム300を利用して、一対の軌道124を所定の温度に維持する。所定の温度は、システム温度より低い。工程801において、1つ又は複数のアイドルプロセスレシピがシステム100によって実行される。工程801の間、冷却器システム300は、一対の軌道124をシステム温度よりも低い所定の温度に維持する。冷却器304は、各流体チャネル302を通って循環される流体を供給する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態では、所定の温度は、約10℃から約21℃である。最大走査速度が約300mm/秒である、
図7Cの安定化時間701は、約2.5時間であり、最大走査速度が約200mm/秒である、
図7Dにおける安定化時間701は、約1時間である。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態では、方法800は、安定化時間701を約70%から約90%減少させる。方法800の後に、1つ又は複数のプロセスレシピのシーケンスが実行されうる。
【0040】
図9は、リソグラフィプロセスの方法900のフロー図である。方法900は、安定化時間701にわたる全ピッチ101の変化を補償する露光パターンを基板140上のフォトレジストに書き込む能力を提供する。したがって、1つ又は複数のプロセスレシピのシーケンスは、安定化温度706に到達するために1つ又は複数のアイドルプロセスレシピを実行することなく、実行されうる。工程901で、1つ又は複数のプロセスレシピの第1のシーケンスが、システム100によって実行される。1つ又は複数のプロセスレシピの第1のシーケンスは、安定化時間701にわたる全ピッチ101の変化のベースラインを得る。1つ又は複数のプロセスレシピの第1のシーケンスにおいて、処理ユニット164は、コントローラ190からパターンデータを受信し、マスクパターンデータに対応する露光パターンにフォトレジストを露光する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態では、工程901中に、冷却器システム300は、一対の軌道124を所定の温度に維持する。工程901の後に、第1の基板の全ピッチ101と、露光パターンの書き込まれた露光パターンのオーバーレイエラーとが測定される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態では、検査システムは、全ピッチ101及びオーバーレイエラーを測定し、コントローラ190に提供する。コントローラ190は、全ピッチ101及びオーバーレイエラーを受信し、補償されたパターンデータを処理ユニット164に提供する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、期間702にわたって温度検出器109により測定されたシステム100の温度は、コントローラ190によって収集され、コントローラ190は、その温度に基づいて補償されたパターンデータを生成する。工程902では、1つ又は複数のプロセスレシピの少なくとも第2のシーケンスがシステム100によって実行される。1つ又は複数のプロセスレシピの第2のシーケンスでは、処理ユニット164は、コントローラ190から補償されたパターンデータを受信し、補償されたパターンデータに対応する補償された露光パターンにフォトレジストを露光する。補償されたパターンデータは、第2の基板のフォトレジストに書き込まれる補償された露光パターンにオーバーレイエラーがないように、安定化時間にわたって全ピッチ101の変化を考慮する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態では、工程902中に、冷却器システム300は、一対の軌道124を所定の温度に維持する。
【0041】
要約すると、リソグラフィプロセスのシステム、ソフトウェアアプリケーション、及び方法は、安定化時間を短縮させる能力、及び安定化時間にわたる全ピッチの変化を補償する露光パターンを基板上のフォトレジストに書き込む能力のうちの少なくとも1つを提供する。熱交換の利用は、一対の軌道を所定の温度に維持し、これは一対の軌道の温度プロファイルを制御して安定化温度を制御し、システムの安定化時間を短縮するのに役立つ。温度検出器の利用は、1つ又は複数のプロセスレシピの第1のシーケンスに対応する期間にわたって、システムの温度に基づく補償されたパターンデータの生成を提供する。したがって、1つ又は複数のプロセスレシピの少なくとも1つの第2のシーケンスは、安定化時間にわたる全ピッチの変化を考慮する補償された露光パターンを用いてシステムによって実行されうる。
【0042】
上記は、本開示の実施例を対象としているが、本開示の他の実施例及び更なる実施例が、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく考案されてもよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
スラブと、
前記スラブの上方に配置され、基板を支持するように構成されたステージであって、当該ステージが一対の軌道に沿って移動するように動作可能な電気モータを有するステージと、
前記スラブ上に配置され且つ前記スラブに連結された一対の支持体であって、前記一対の軌道を支持し且つ前記一対の軌道に連結された一対の支持体と、
処理装置と
を備え、
前記軌道のそれぞれが、前記軌道の内部に配置された少なくとも1つの流体チャネルを有し、各流体チャネルが、コントローラに連結された冷却システムの冷却器に接続される入口及び出口を有し、
前記処理装置が、
前記スラブに連結され、前記ステージがその下を通過するための開口部を有する装置支持体、及び
前記装置支持体によって支持され、複数の画像投影システムを有する処理ユニット
を有し、前記処理ユニットが、第1パターンデータ及び第2パターンデータを前記処理ユニットに提供するように構成された前記コントローラに連結され、
前記コントローラが、各流体チャネルを通って循環される流体の流量及び所定の温度を制御するように、且つ前記システムが安定化温度で維持されるまで1つ又は複数のアイドルレシピの前記第1パターンデータを提供するように動作可能であり、
前記コントローラが、前記システムが前記安定化温度で維持されると、1つ又は複数のアイドルレシピの前記第2パターンデータを提供するように動作可能である、システム。
【請求項2】
前記スラブ、前記装置支持体、及び前記一対の軌道の少なくとも1つの軌道のうちの1つ又は複数に位置する1つ又は複数の温度検出器を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記装置支持体が、
前記スラブ上に配置された2つの立設部と、
前記立設部によって支持された3つ以上のブリッジであって、前記立設部及びブリッジは、前記ステージがその下を通過するための前記開口部を形成し、各画像投影システムが、隣接するブリッジ上に配置される、3つ以上のブリッジと
を備え、
前記コントローラに連結された前記1つ又は複数の温度検出器が、前記立設部及び前記ブリッジに位置する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記一対の軌道が一対の磁気チャネルであり、前記ステージが、前記一対の磁気チャネルに沿って前記ステージを移動させるための力を提供する電動モータを含み、
前記コントローラに連結された前記1つ又は複数の温度検出器は、前記一対の磁気チャネルの少なくとも1つの磁気チャネルに隣接して配置された1つ又は複数のエンコーダに隣接して位置する、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記エンコーダが、前記処理ユニットに対する前記ステージ上のそれぞれの位置を提供するように構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記温度検出器が、抵抗温度検出器(RTD)である、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記画像投影システムが空間光変調器を備え、前記空間光変調器が、マイクロLED、OLED、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、液晶ディスプレイ(LCD)、及び垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)からなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
デジタルリソグラフィシステムが安定化温度になるまで、基板上で1つ又は複数のプロセスレシピの第1シーケンスを実行することであって、前記1つ又は複数のプロセスレシピのパターンデータを前記デジタルリソグラフィシステムの処理ユニットに提供することを含む、第1シーケンスを実行することと、
スラブ、前記処理ユニットの装置支持体、及び前記デジタルリソグラフィシステムの一対の軌道の少なくとも1つの軌道のうちの1つ又は複数に位置する1つ又は複数の温度検出器で、前記第1シーケンスの間に前記デジタルリソグラフィシステムの温度を測定することと、
前記第1シーケンスの間に測定された温度を、前記1つ又は複数の温度検出器に連結されたコントローラに提供することと、
補償されたパターンデータを生成することと
を含み、
前記コントローラが、前記測定された温度に基づいて前記補償されたパターンデータを生成する、方法。
【請求項9】
前記補償されたパターンデータを前記処理ユニットに提供することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記補償されたパターンデータが前記1つ又は複数のプロセスレシピの第2シーケンスを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1つ又は複数のアイドルプロセスレシピの第1パターンデータをデジタルリソグラフィシステムの処理ユニットに提供することと、
前記デジタルリソグラフィシステムが安定化温度で維持されるまで前記1つ又は複数のアイドルプロセスレシピを実行することと
を含み、
前記デジタルリソグラフィシステムが、
スラブ上に配置され且つ前記スラブに連結された一対の支持体であって、一対の軌道を支持し且つ前記一対の軌道に連結された一対の支持体
を含み、
前記軌道のそれぞれが、前記軌道の内部に配置された少なくとも1つの流体チャネルを有し、各流体チャネルが、コントローラに連結された冷却システムの冷却器に接続される入口及び出口を有し、
前記コントローラが、各流体チャネルを通って循環される流体の流量及び所定の温度を制御し、且つ前記デジタルリソグラフィシステムが前記安定化温度で維持されるまで前記1つ又は複数のアイドルプロセスレシピの前記第1パターンデータを前記処理ユニットに提供する、方法。
【請求項12】
前記デジタルリソグラフィシステムが前記安定化温度で維持されると、1つ又は複数のプロセスレシピを実行することを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記コントローラが、前記デジタルリソグラフィシステムが前記安定化温度で維持されると、前記1つ又は複数のプロセスレシピの第2パターンデータを提供する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ又は複数のアイドルプロセスレシピが、ステージに対する最大スキャン速度を有する、請求項11に記載の方法。
【外国語明細書】