(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024020326
(43)【公開日】2024-02-14
(54)【発明の名称】一本鎖オリゴヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20240206BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240206BHJP
A61K 47/61 20170101ALI20240206BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20240206BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20240206BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240206BHJP
A61K 31/7125 20060101ALI20240206BHJP
A61K 31/712 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61K47/68
A61K47/61
A61K47/54
A61K47/64
A61K48/00
A61K31/7125
A61K31/712
【審査請求】有
【請求項の数】28
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023191039
(22)【出願日】2023-11-08
(62)【分割の表示】P 2019532860の分割
【原出願日】2018-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2017144575
(32)【優先日】2017-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】入山 友輔
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 宏之
(72)【発明者】
【氏名】金木 達朗
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高効率に標的遺伝子を制御し、容易に製造することが可能な一本鎖オリゴヌクレオチドを提供する。
【解決手段】式(I)で表され、Xは、Xa-Xbで表され、XaがYに連結し、XbとYとがハイブリダイズする一本鎖オリゴヌクレオチドである。Xaは、1~40個のヌクレオチドからなり、少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含む。Xbは、4~40個のヌクレオチドからなり、少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含む。Yは、4~40個のヌクレオチドからなり、少なくとも1個のリボヌクレオチドを含む。Xz、Yzは、5~40個のヌクレオチドからなり、少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含む。ヌクレオチド配列X、Xz、Yzが、標的RNAとのハイブリダイズを可能とするアンチセンス配列を有する。Lx及びLyは、0~20個のヌクレオチドからなる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
{式中、
Yは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択され、少なくとも1個のリボヌクレオチドを含む4~40個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドYに由来する基であり、
Xは、式
【化2】
(式中、Xbは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択され、少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含む4~40個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXbに由来する基であり、
Xaは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択され、少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含む1~40個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXaに由来する基であり、Xaは、その両端で、オリゴヌクレオチドY及びオリゴヌクレオチドXbにそれぞれ結合する)で表され、5~80個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXに由来する基であり、
Xzは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択され、少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含む5~40個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXzに由来する基であり、
Yzは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択され、少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含む5~40個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドYzに由来する基であり、
Lxは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択される0~20個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドLxに由来する基であり、前記Xbに結合し、
Lyは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択される0~20個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドLyに由来する基であり、
mは、0又は1であり、
mが0であるとき、nは、0又は1であり、
mが1であるとき、nは、0であり、
前記オリゴヌクレオチドXはヌクレオチド配列Xを有し、前記オリゴヌクレオチドXaはヌクレオチド配列Xaを有し、前記オリゴヌクレオチドXbはヌクレオチド配列Xbを有し、前記オリゴヌクレオチドYはヌクレオチド配列Yを有し、前記オリゴヌクレオチドXzはヌクレオチド配列Xzを有し、前記オリゴヌクレオチドYzはヌクレオチド配列Yzを有し、前記オリゴヌクレオチドLxはヌクレオチド配列Lxを有し、前記オリゴヌクレオチドLyはヌクレオチド配列Lyを有し、
前記ヌクレオチド配列Xbは、前記ヌクレオチド配列Yと相補的であり、
前記ヌクレオチド配列Xは、標的RNAとのハイブリダイズを可能にするアンチセンス配列を含み、
mが1であり、nが0であるとき、
前記ヌクレオチド配列Xzが、標的RNAとのハイブリダイズを可能にするアンチセンス配列を含み、
mが0であり、nが1であるとき、
前記ヌクレオチド配列Yzが、標的RNAとのハイブリダイズを可能にするアンチセンス配列を含み、
前記アンチセンス配列を2以上有する場合、それぞれのアンチセンス配列部分がハイブリダイズする標的RNAは同一でも異なっていてもよい}
で表され、XbとYとがハイブリダイズする一本鎖オリゴヌクレオチド。
【請求項2】
Xbが3’側でXaに結合し、Yが5’側でXaに結合する、請求項1に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【請求項3】
Xbが5’側でXaに結合し、Yが3’側でXaに結合する、請求項1に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【請求項4】
アンチセンス配列が、それぞれ独立して、RNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチドを含む配列、又は、
少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含み、連続する4個のデオキシリボヌクレオチドを含まない配列である、請求項1から3のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【請求項5】
少なくとも1つのアンチセンス配列が、RNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチドを含む配列であり、当該アンチセンス配列部分が、前記RNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチドを含む配列部分の5’側及び3’側に、隣接して結合する糖部修飾ヌクレオチドを含む、請求項4に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【請求項6】
アンチセンス配列部分が、ホスホロチオエート結合を含む、請求項1から5のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【請求項7】
アンチセンス配列が、デオキシリボヌクレオチドを少なくとも1個含む10~30個のヌクレオチドからなる配列である、請求項1から6のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【請求項8】
ヌクレオチド配列Yは、RNaseHによって切断される少なくとも4個の連続するヌクレオチドを含む配列である、請求項1から7のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【請求項9】
オリゴヌクレオチドYが、オリゴヌクレオチドYの5’側及び3’側の少なくとも一方に、1又は複数の糖部修飾ヌクレオチドを含む、請求項1から8のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【請求項10】
mが0であり、nが0である、請求項1から9のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【請求項11】
mが0であり、nが1である、請求項1から9のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【請求項12】
オリゴヌクレオチドLyに含まれるヌクレオチドが、ホスホジエステル結合で互いに連結されている、請求項11に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【請求項13】
オリゴヌクレオチドLyが、DNA又はRNAである、請求項11又は12に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【請求項14】
mが1であり、nが0である、請求項1から9のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【請求項15】
オリゴヌクレオチドLxに含まれるヌクレオチドが、ホスホジエステル結合で互いに連結されている、請求項14に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【請求項16】
オリゴヌクレオチドLxが、DNA又はRNAである、請求項14又は15のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【請求項17】
標識機能、精製機能及び標的部位への送達機能からなる群から選択される少なくとも1種の機能を有する機能性分子に由来する基をさらに含む、請求項1から16のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【請求項18】
前記機能性分子が、糖、脂質、ペプチド及びタンパク質並びにそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項17に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【請求項19】
前記機能性分子が、コレステロール、トコフェロール及びトコトリエノールからなる群から選択される脂質である、請求項17又は18に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【請求項20】
前記機能性分子が、アシアロ糖タンパク質受容体と相互作用する糖誘導体である、請求項17又は18に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【請求項21】
前記機能性分子が、受容体のリガンド及び抗体からなる群から選択される、ペプチド又はタンパク質である、請求項17又は18に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチドと、薬理学上許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項23】
請求項1から21のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチドと細胞とを接触させる工程を含む、標的RNAの機能を制御する方法。
【請求項24】
請求項1から21のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物を、哺乳動物に投与する工程を含む、該哺乳動物における標的RNAの機能を制御する方法。
【請求項25】
請求項1から21のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチドと細胞とを接触させる工程を含む、標的遺伝子の発現を制御する方法。
【請求項26】
請求項1から21のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物を、哺乳動物に投与する工程を含む、該哺乳動物における標的遺伝子の発現を制御する方法。
【請求項27】
請求項1から21のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチドの製造方法であって、X及びYの少なくとも1つを含むオリゴヌクレオチドの3’末端又は5’末端でヌクレオチド鎖を伸長する工程を含む、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一本鎖オリゴヌクレオチドに関する。
【背景技術】
【0002】
アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、標的遺伝子のmRNA、mRNA前駆体又はリボソームRNA、転移RNA、miRNA等のncRNA(ノンコーディングRNA)に対して相補的なオリゴヌクレオチドであり、約8~30塩基からなる1本鎖のDNA、RNA及び/又はそれらの構造類似体である。ASOは、該アンチセンスオリゴヌクレオチドが標的とするmRNA、mRNA前駆体又はncRNAと二本鎖を形成することによりmRNA、mRNA前駆体又はncRNAの働きを抑制する。
【0003】
しかし、ASOは、生体内のヌクレアーゼにより分解されやすく、また標的細胞への取り込み効率が低いため、実用化は難しい。これら2つの大きな問題点を克服するために、有効成分であるオリゴヌクレオチド自体の化学修飾と、オリゴヌクレオチドを標的細胞内へ送達させるドラッグデリバリーシステム(DDS)の研究が長年行われている。
【0004】
ASO自体の化学修飾の例としては、リン酸部分が修飾されているS-オリゴ(ホスホロチオエート)、糖部分が修飾されている2’,4’-BNA(bridged nucleic acid)/LNA(locked nucleic acid)(特許文献1~5参照)等が知られている。
【0005】
DDSの例としては、カチオン性リポソームや高分子ミセル等のキャリアを利用する方法等が知られている。また、特許文献6にはアシアロ糖タンパク質受容体と相互作用を有する糖誘導体であるGalNAc(N-アセチルガラクトサミン)誘導体がリンカーを介して結合しているASOが記載されており、該ASOを投与すると、肝臓での標的遺伝子の発現が抑制されたことが記載されている。
【0006】
特許文献7及び非特許文献1には、ASOと相補的なRNAオリゴヌクレオチドを含む二本鎖オリゴヌクレオチド(HDO)にトコフェロール(Toc)を結合させることにより、マウスにおいて、ASOと比較して、効率よく肝臓に送達、集積され、肝臓での標的遺伝子の発現が抑制されたことが記載されている。特許文献8には、HDOにGalNAc誘導体がリンカーを介して結合しているASOが記載されており、該アンチセンスオリゴヌクレオチドを皮下投与すると、トコフェロール(Toc)修飾体より効率的に発現が抑制されたことが記載されている。
【0007】
特許文献9には、DNAとRNAの二本鎖オリゴヌクレオチドユニットのRNA鎖末端にASOが結合したオリゴヌクレオチド(HCDO)が、ASOと比較して効率よく標的RNAを抑制することが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】ネイチャー コミュニケーションズ、6巻、アーティクル ナンバー 7969(2015年)
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第98/39352号
【特許文献2】国際公開第2005/021570号
【特許文献3】国際公開第2003/068795号
【特許文献4】国際公開第2011/052436号
【特許文献5】国際公開第2011/156202号
【特許文献6】国際公開第2014/179620号
【特許文献7】国際公開第2013/089283号
【特許文献8】国際公開第2015/105083号
【特許文献9】国際公開第2014/192310号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
医薬品として臨床現場にてヒトを含む哺乳動物に適用する場合においては、効率的に標的遺伝子の発現を制御できる新たなる核酸医薬品が望まれていた。また、二本鎖オリゴヌクレオチド(例えば、前記HDO、HCDO)を製造する場合、アンチセンス鎖と相補的なRNA鎖を別々に合成した上で、最後にこれらの鎖をハイブリダイズする工程が必要となる。さらに動物や細胞に投与する際には、一本鎖への解離を抑制した状態とする必要があり、その取扱い条件の設定にも労力を要する場合が想定される。
【0011】
本発明は、高効率に標的遺伝子の発現を制御できる新たなるオリゴヌクレオチドを提供することを目的とする。また、二本鎖オリゴヌクレオチドよりも容易に製造することが可能なオリゴヌクレオチドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明者らは、アンチセンス配列を含むオリゴヌクレオチド鎖(X鎖)と、RNAを含むオリゴヌクレオチド鎖(Y鎖)が連結した一本鎖オリゴヌクレオチドであって、前記X鎖は、前記Y鎖と連結するXa鎖及び連結しないXb鎖からなり、前記Y鎖と前記Xb鎖とが分子内で部分的にハイブリダイズする構造を有する一本鎖オリゴヌクレオチドが、二本鎖オリゴヌクレオチドと同等以上のアンチセンス効果を示すことを見出した。また、当該一本鎖オリゴヌクレオチドは、一本鎖であるため、二本鎖を形成させるハイブリダイズ工程がなく、効率よく製造可能である。本発明は以下の様態を包含する。
【0013】
1. 式(I):
【化1】
{式中、
Yは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択され、少なくとも1個のリボヌクレオチドを含む4~40個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドYに由来する基であり、
Xは、式:
【化2】
(式中、Xbは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択され、少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含む4~40個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXbに由来する基であり、
Xaは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択され、少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含む1~40個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXaに由来する基であり、Xaは、その両端で、オリゴヌクレオチドY及びオリゴヌクレオチドXbにそれぞれ結合する)で表され、5~80個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXに由来する基であり、
Xzは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択され、少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含む5~40個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXzに由来する基であり、
Yzは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択され、少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含む5~40個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドYzに由来する基であり、
Lxは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択される0~20個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドLxに由来する基であり、前記Xbに結合し、
Lyは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択される0~20個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドLyに由来する基であり、
mは、0又は1であり、
mが0であるとき、nは、0又は1であり、
mが1であるとき、nは、0であり、
前記オリゴヌクレオチドXはヌクレオチド配列Xを有し、前記オリゴヌクレオチドXaはヌクレオチド配列Xaを有し、前記オリゴヌクレオチドXbはヌクレオチド配列Xbを有し、前記オリゴヌクレオチドYはヌクレオチド配列Yを有し、前記オリゴヌクレオチドXzはヌクレオチド配列Xzを有し、前記オリゴヌクレオチドYzはヌクレオチド配列Yzを有し、前記オリゴヌクレオチドLxはヌクレオチド配列Lxを有し、前記オリゴヌクレオチドLyはヌクレオチド配列Lyを有し、
前記ヌクレオチド配列Xbは、前記ヌクレオチド配列Yと相補的であり、
前記ヌクレオチド配列Xは、標的RNAとのハイブリダイズを可能にするアンチセンス配列を含み、
mが1であり、nが0であるとき、
前記ヌクレオチド配列Xzが、標的RNAとのハイブリダイズを可能にするアンチセンス配列を含み、
mが0であり、nが1であるとき、
前記ヌクレオチド配列Yzが、標的RNAとのハイブリダイズを可能にするアンチセンス配列を含み、
前記アンチセンス配列を2以上有する場合、それぞれのアンチセンス配列部分がハイブリダイズする標的RNAは同一でも異なっていてもよい}
で表され、XbとYとがハイブリダイズする一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0014】
2. Xbが3’側でXaに結合し、Yが5’側でXaに結合する、1.に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
3. Xbが5’側でXaに結合し、Yが3’側でXaに結合する、1.に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
4. アンチセンス配列が、それぞれ独立して、RNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチドを含む配列、又は、
少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含み、連続する4個のデオキシリボヌクレオチドを含まない配列である、1.から3.のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
5. 少なくとも1つのアンチセンス配列が、RNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチドを含む配列であり、当該アンチセンス配列部分が、前記RNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチドを含む配列部分の5’側及び3’側に、隣接して結合する糖部修飾ヌクレオチドを含む、4.に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0015】
6. アンチセンス配列部分が、ホスホロチオエート結合を含む、1.から5.のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
7. アンチセンス配列が、デオキシリボヌクレオチドを少なくとも1個含む10~30個のヌクレオチドからなる配列である、1.から6.のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
8. ヌクレオチド配列Yは、RNaseHによって切断される少なくとも4個の連続するヌクレオチドを含む配列である、1.から7.のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
9. オリゴヌクレオチドYが、オリゴヌクレオチドYの5’側及び3’側の少なくとも一方に、1又は複数の糖部修飾ヌクレオチドを含む、1.から8.のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
10. mが0であり、nが0である、1.から9.のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0016】
11. mが0であり、nが1である、1.から9.のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
12. オリゴヌクレオチドLyに含まれるヌクレオチドが、ホスホジエステル結合で互いに連結されている、11.に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
13. オリゴヌクレオチドLyが、DNA又はRNAである、11.又は12.に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
14. mが1であり、nが0である、1.から9.のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
15. オリゴヌクレオチドLxに含まれるヌクレオチドが、ホスホジエステル結合で互いに連結されている、14.に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
16. オリゴヌクレオチドLxが、DNA又はRNAである、14.又は15.のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
17. 標識機能、精製機能及び標的部位への送達機能からなる群から選択される少なくとも1種の機能を有する機能性分子に由来する基をさらに含む、1.から16.のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
18. 前記機能性分子が、糖、脂質、ペプチド及びタンパク質並びにそれらの誘導体からなる群から選択される、17.に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
19. 前記機能性分子が、コレステロール、トコフェロール及びトコトリエノールからなる群から選択される脂質である、17.又は18.に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
20. 前記機能性分子が、アシアロ糖タンパク質受容体と相互作用する糖誘導体である、17.又は18.に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0017】
21. 前記機能性分子が、受容体のリガンド及び抗体からなる群から選択される、ペプチド又はタンパク質である、17.又は18.に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
22. 1.から21.のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチドと、薬理学上許容される担体とを含む、医薬組成物。
23. 1.から21.のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチドと細胞とを接触させる工程を含む、標的RNAの機能を制御する方法。
24. 1.から21.のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物を、哺乳動物に投与する工程を含む、該哺乳動物における標的RNAの機能を制御する方法。
25. 1.から21.のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチドと細胞とを接触させる工程を含む、標的遺伝子の発現を制御する方法。
【0018】
26. 1.から21.のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物を、哺乳動物に投与する工程を含む、該哺乳動物における標的遺伝子の発現を制御する方法。
27. 1.から21.のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチドの製造方法であって、X及びYの少なくとも1つを含むオリゴヌクレオチドの3’末端又は5’末端でヌクレオチド鎖を伸長する工程を含む、製造方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、高効率で標的RNAを制御できるオリゴヌクレオチドを提供することができる。
【0020】
本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドは、その構成要素であるアンチセンスオリゴヌクレオチドによって標的遺伝子の発現を効果的に制御することが可能であり、核酸医薬品として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態の一例である一本鎖オリゴヌクレオチドのXbとYとが分子内でハイブリダイズする一様態を表す概念図である。
【
図2】本実施形態の一例である一本鎖オリゴヌクレオチドのXbとYとが分子内でハイブリダイズする一様態を表す概念図である。
【
図3】本実施形態の一例である一本鎖オリゴヌクレオチドのXbとYとが分子内でハイブリダイズする一様態を表す概念図である。
【
図4】本実施形態の一例である一本鎖オリゴヌクレオチドのXbとYとが分子内でハイブリダイズする一様態を表す概念図である。
【
図5】本実施形態の一例である一本鎖オリゴヌクレオチドのXbとYとが分子内でハイブリダイズする一様態を表す概念図である。
【
図6】本実施形態の一例である一本鎖オリゴヌクレオチドのXbとYとが分子内でハイブリダイズする一様態を表す概念図である。
【
図7】本実施形態の一例である一本鎖オリゴヌクレオチドのXbとYとが分子内でハイブリダイズする一様態を表す概念図である。
【
図8】本実施形態の一例である一本鎖オリゴヌクレオチドのXbとYとが分子内でハイブリダイズする一様態を表す概念図である。
【
図9】本実施形態の一例である一本鎖オリゴヌクレオチドのXbとYとが分子内でハイブリダイズする一様態を表す概念図である。
【
図10】本実施形態に係る一本鎖オリゴヌクレオチドを投与したC57BL/6Jマウスの肝臓におけるSRB1の発現レベルへの影響を示すグラフである。
【
図11】本実施形態に係る一本鎖オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション処理前後のゲル電気泳動結果である。
【
図12】本実施形態に係る一本鎖オリゴヌクレオチドのヒト肝癌由来細胞におけるPTENの発現レベルへの影響を示すグラフである。
【
図13】本実施形態に係る一本鎖オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション処理前後のゲル電気泳動結果である。
【
図14】本実施形態に係る一本鎖オリゴヌクレオチドを投与したC57BL/6Jマウスの肝臓におけるSRB1の発現レベルへの影響を示すグラフである。
【
図15】本実施形態に係る一本鎖オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション処理前後のゲル電気泳動結果である。
【0022】
本明細書において使用される用語は、特に言及する場合を除いて、当該分野で通常用いられる意味で用いられる。以下に、本明細書中で使用する各用語を説明する。なお、本明細書中、各用語は単独で使用されている場合も、又は他の用語と一緒になって使用されている場合も、特に記載の無い限り、同一の意義を有する。
【0023】
「アンチセンス効果」とは、標的遺伝子に対応して選択される標的RNAと、例えば、その部分配列に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドとがハイブリダイズすることによって、標的RNAの機能が制御されることを意味する。例えば、標的RNAがmRNAの場合、ハイブリダイゼーションにより前記標的RNAの翻訳が阻害されること、エキソンスキッピング等のスプライシング機能変換効果、ハイブリダイズした部分が認識されることにより前記標的RNAが分解されること等を意味する。前記アンチセンス効果が生じるオリゴヌクレオチドとしては、例えば、DNA及びオリゴデオキシリボヌクレオチド等が挙げられるが、アンチセンス効果が生じるオリゴヌクレオチドは、これらに限定されず、RNA、オリゴリボヌクレオチド又はアンチセンス効果が通常生じるように設計されたオリゴヌクレオチド等でもよい。
【0024】
「標的RNA」は、mRNA、mRNA前駆体又はncRNAを意味し、標的遺伝子をコードするゲノムDNAから転写されたmRNA、塩基の修飾を受けていないmRNA、スプライシングを受けていないmRNA前駆体及びncRNA等を含む。アンチセンス効果によって機能が制御される「標的RNA」としては、特に制限はなく、各種疾患において発現が亢進する遺伝子に関連するRNAが挙げられる。「標的RNA」は、DNA依存性RNAポリメラーゼによって合成されるいかなるRNAでもよく、好ましくはmRNA又はmRNA前駆体である。より好ましくは、哺乳動物のmRNA又はmRNA前駆体であり、更に好ましくは、ヒトのmRNA又はmRNA前駆体である。
【0025】
「ハイブリダイズ」とは、相補的な配列を含むオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドに由来する基同士で二重鎖を形成させる行為、及び相補的な配列を含むオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドに由来する基同士が二重鎖を形成する現象を意味する。
【0026】
「相補的」とは、2つの核酸塩基が、水素結合を介して、ワトソン-クリック型塩基対(天然型塩基対)又は非ワトソン-クリック型塩基対(フーグスティーン型塩基対等)を形成できることを意味する。2つのオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドに由来する基は、それらの配列が相補的である場合に「ハイブリダイズ」し得る。2つのオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドに由来する基がハイブリダイズするために、それらが完全に相補的である必要はないが、2つのオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドに由来する基がハイブリダイズするための相補性は、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上(例えば、95%、96%、97%、98%、又は99%以上)である。配列の相補性は、オリゴヌクレオチドの部分配列を自動的に同定するコンピュータープログラムを利用することにより決定することができる。例えば、OligoAnalyzerは、そのようなソフトウエアの1つであり、Integrated DNA Technologies社が提供している。このプログラムは、ウェブサイトでも利用することができる。当業者は、2つのオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドに由来する基がハイブリダイズできる条件(温度、塩濃度等)を容易に決定することができる。また、当業者は、例えば、標的RNAのヌクレオチド配列の情報に基づいて、BLASTプログラム等を利用することにより、標的RNAに相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを容易に設計することができる。BLASTプログラムについては、プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンスィズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(1990年、87巻、2264~68頁;1993年、90巻、5873~77頁)、及びジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(1990年、215巻、403頁)等を参照できる。
【0027】
「ヌクレオチド」は、核酸(オリゴヌクレオチド)の構成単位となりうる分子を意味し、通常、構成要素として塩基を有する。ヌクレオチドは、例えば、糖、塩基及びリン酸から構成される。ヌクレオチドは、後述するリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドを包含する。
【0028】
「オリゴヌクレオチド」は、1つ以上の前記ヌクレオチドが重合した構造を有する分子を意味する。「オリゴヌクレオチド」が1つのヌクレオチドから構成されるとき、そのオリゴヌクレオチドは、「ヌクレオチド」と言うことができる。
本発明の「一本鎖オリゴヌクレオチド」分子が含むヌクレオチドは、それぞれ独立して、互いにホスホジエステル結合又は後述する修飾されたホスホジエステル結合で連結されている。本発明の一本鎖オリゴヌクレオチド分子の3’末端のヌクレオチドは、その3’位に、好ましくはヒドロキシ基又はリン酸基を有し、より好ましくはヒドロキシ基を有し、通常はヒドロキシ基を有する。一本鎖オリゴヌクレオチド分子の5’末端のヌクレオチドは、その5’位に、好ましくはヒドロキシ基又はリン酸基を有し、より好ましくはヒドロキシ基を有し、通常はヒドロキシ基を有する。
【0029】
「オリゴヌクレオチドに由来する基」は、前記オリゴヌクレオチドの3’末端及び5’末端の少なくとも一方のヒドロキシ基から水素原子、ヒドロキシ基等を取り除いた基を意味し、他の基(例えば、他のオリゴヌクレオチドに由来する基)と、ホスホジエステル結合若しくは修飾されたホスホジエステル結合を形成して間接的に共有結合で連結されている。前記3’末端又は5’末端のヒドロキシ基とは、リン酸基が有するヒドロキシ基を含む。例えば、オリゴヌクレオチドの3’末端のヒドロキシ基から水素原子を取り除いた基と、他のオリゴヌクレオチドの5’末端のリン酸基からヒドロキシ基を取り除いた基がホスホジエステル結合若しくは修飾されたホスホジエステル結合を形成する。
【0030】
「ヌクレオチド配列」は、オリゴヌクレオチドを構成するヌクレオチドの塩基配列を意味する。
「ヌクレオチド配列部分」は、オリゴヌクレオチド鎖のうち、前記ヌクレオチド配列を有する領域の部分構造を意味する。
【0031】
本明細書において、「ヌクレオチド配列」が、所定のヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチド鎖を含む又は含まないこと等は、対応する「ヌクレオチドを含む配列部分」が、該ヌクレオチド若しくは該オリゴヌクレオチド鎖を含む又は含まないこと等と同様の意味を有する。
【0032】
「配列部分」は、オリゴヌクレオチド鎖の部分構造を意味する。例えば、ヌクレオチドを含む配列部分は、オリゴヌクレオチド鎖のうち、該ヌクレオチドを含む領域の部分構造である。
ヌクレオチド配列が、所定のヌクレオチドから選ばれる配列、所定のヌクレオチドが連続する配列等であることは、対応するヌクレオチド配列部分が、それぞれ、該ヌクレオチドから選ばれる配列部分、該ヌクレオチドが連続する配列部分等であることと、同様の意味を有する。
【0033】
「デオキシリボヌクレオチド」は、前記「ヌクレオチド」のうち、糖が2’-デオキシリボースであり、2’-デオキシリボースの1’位の炭素原子に塩基が結合し、3’位又は5’位にリン酸基を有する分子を意味する。本発明におけるデオキシリボヌクレオチドは、天然に存在するデオキシリボヌクレオチドであっても、天然に存在するデオキシリボヌクレオチドの塩基部分若しくはホスホジエステル結合部分が修飾されたデオキシリボヌクレオチドであってもよい。塩基部分の修飾やホスホジエステル結合部位の修飾は1つのデオキシリボヌクレオチドに対して、複数種組み合わせて施されてもよい。前記修飾されたデオキシリボヌクレオチドは、例えば、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリ-(2016年、59巻、21号、9645-9667頁)、メディシナル・ケミストリー・コミュニケーションズ(2014年、5巻、1454-1471頁)、フューチャー・メディシナル・ケミストリー(2011年、3巻、3号、339-365頁)等に記載されている。
【0034】
前記「デオキシリボヌクレオチド」が本発明の一本鎖オリゴヌクレオチド分子を構成する際、通常、デオキシリボヌクレオチドの3’位がホスホジエステル結合又は修飾されたホスホジエステル結合(例えば、ホスホロチオエート結合)で他のヌクレオチド等と連結され、デオキシリボヌクレオチドの5’位がホスホジエステル結合又は修飾されたホスホジエステル結合(例えば、ホスホロチオエート結合)で別のヌクレオチド等と連結されている。本発明の一本鎖オリゴヌクレオチド分子の3’末端のデオキシリボヌクレオチドは、その3’位に、好ましくはヒドロキシ基又はリン酸基を有し、5’位は前述の通りである。一本鎖オリゴヌクレオチド分子の5’末端のデオキシリボヌクレオチドは、その5’位に、好ましくはヒドロキシ基又はリン酸基を有し、3’位は前述の通りである。
【0035】
「オリゴデオキシリボヌクレオチド」は、前記デオキシリボヌクレオチドにより構成されるオリゴヌクレオチドを意味する。オリゴデオキシリボヌクレオチドを構成するデオキシリボヌクレオチドは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0036】
「DNA」は、天然のデオキシリボヌクレオチドにより構成されるオリゴヌクレオチドを意味する。DNAを構成する天然のデオキシリボヌクレオチドは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0037】
「リボヌクレオチド」は、前記「ヌクレオチド」のうち、糖がリボースであり、リボースの1’位の炭素原子に塩基が結合し、2’位、3’位又は5’位にリン酸基を有する分子を意味する。本発明におけるリボヌクレオチドは、天然に存在するリボヌクレオチドであっても、天然に存在するリボヌクレオチドの塩基部分若しくはホスホジエステル結合部分が修飾されたリボヌクレオチドであってもよい。塩基部分の修飾やホスホジエステル結合部位の修飾は1つのリボヌクレオチドに対して、複数種組み合わせて施されてもよい。前記修飾されたリボヌクレオチドは、例えば、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリ-(2016年、59巻、21号、9645-9667頁)、メディシナル・ケミストリー・コミュニケーションズ(2014年、5巻、1454-1471頁)、フューチャー・メディシナル・ケミストリー(2011年、3巻、3号、339-365頁)等に記載されている。
【0038】
前記「リボヌクレオチド」が本発明の一本鎖オリゴヌクレオチド分子を構成する際、典型的には、リボヌクレオチドの3’位がホスホジエステル結合又は修飾されたホスホジエステル結合(例えば、ホスホロチオエート結合)で他のヌクレオチドと連結され、リボヌクレオチドの5’位がホスホジエステル結合又は修飾されたホスホジエステル結合(例えば、ホスホロチオエート結合)で別のヌクレオチド等と連結されている。本発明の一本鎖オリゴヌクレオチド分子の3’末端のリボヌクレオチドは、その3’位に、好ましくはヒドロキシ基又はリン酸基を有し、5’位は前述の通りである。一本鎖オリゴヌクレオチド分子の5’末端のリボヌクレオチドは、その5’位に、好ましくはヒドロキシ基又はリン酸基を有し、3’位は前述の通りである。
【0039】
「オリゴリボヌクレオチド」は、前記リボヌクレオチドにより構成されるオリゴヌクレオチドを意味する。オリゴリボヌクレオチドを構成するリボヌクレオチドは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0040】
「RNA」は、天然のリボヌクレオチドにより構成されるオリゴヌクレオチドを意味する。RNAを構成する天然のリボヌクレオチドは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0041】
「糖部修飾ヌクレオチド」は、前記デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドの糖部分が、部分的に1つ以上の置換基によって置換されているか、又はその糖骨格全体がリボース及び2’-デオキシリボースとは異なる糖骨格(例えば、ヘキシトール、トレオース等の5から6員の糖骨格)に置き換えられているか、又はその糖骨格全体又は糖骨格の環の部分が5から7員の飽和若しくは不飽和環(例えば、シクロヘキサン、シクロヘキセン、モルホリン等)又は5から7員の環を水素結合によって形成し得る部分構造(例えば、ペプチド構造)に置き換えられているか、又は糖部分の環が開環しているか、さらに、該開環した部分が修飾されたヌクレオチドを意味する。「糖部修飾ヌクレオチド」の塩基部分は、天然に存在する塩基であっても修飾された塩基であってもよい。また、「糖部修飾ヌクレオチド」のホスホジエステル結合部分は、ホスホジエステル結合であっても修飾されたホスホジエステル結合であってもよい。塩基部分の修飾やホスホジエステル結合部位の修飾は1つの糖部修飾ヌクレオチドに対して、複数種組み合わせて施されてもよい。前記開環した部分の修飾は、例えば、ハロゲン化、アルキル化(例えば、メチル化、エチル化)、水酸化、アミノ化、及びチオ化等の他に、デメチル化等も含む。
【0042】
「糖部修飾ヌクレオチド」は、架橋化ヌクレオチドであっても、非架橋化ヌクレオチドであってもよい。糖部修飾ヌクレオチドとしては例えば、特開平10-304889号公報、国際公開第2005/021570号、特開平10-195098号公報、特表2002-521310号公報、国際公開第2007/143315号、国際公開第2008/043753号、国際公開第2008/029619号及び国際公開第2008/049085号(以下、これら文献を「アンチセンス法に関する文献」と称する)等において、アンチセンス法に好適に用いられるとして開示されているヌクレオチド等が挙げられる。前記文献には、ヘキシトールヌクレオチド(HNA)、シクロヘキセンヌクレオチド(CeNA)、ペプチド核酸(PNA)、グリコール核酸(GNA)、トレオヌクレオチド(TNA)、モルホリノ核酸、トリシクロ-DNA(tcDNA)、2’-O-メチル化ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチル(2’-MOE)化ヌクレオチド、2’-O-アミノプロピル(2’-AP)化ヌクレオチド、2’-フルオロ化ヌクレオチド、2’-F-アラビノヌクレオチド(2’-F-ANA)、架橋化ヌクレオチド(BNA(Bridged Nucleic Acid))、2’-O-{(N-メチルカルバモイル)エチル}(2’-MCE)化ヌクレオチド等のヌクレオチドが開示されている。また、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリ-(2016年、59巻、21号、9645-9667頁)、メディシナル・ケミストリー・コミュニケーションズ(2014年、5巻、1454-1471頁)、フューチャー・メディシナル・ケミストリー(2011年、3巻、3号、339-365頁)等にも、糖部修飾ヌクレオチドが開示されている。
【0043】
前記「糖部修飾ヌクレオチド」が本発明の一本鎖オリゴヌクレオチド分子を構成する際、例えば、該糖部修飾ヌクレオチドの3’位がホスホジエステル結合又は修飾されたホスホジエステル結合(例えば、ホスホロチオエート結合)で他のヌクレオチド等と連結され、該糖部修飾ヌクレオチドの5’位がホスホジエステル結合又は修飾されたホスホジエステル結合(例えば、ホスホロチオエート結合)で別のヌクレオチド等と連結されている。本発明の一本鎖オリゴヌクレオチド分子の3’末端の糖部修飾ヌクレオチドは、例えば、その3’位に、好ましくはヒドロキシ基又はリン酸基を有し、5’位は前述の通りである。一本鎖オリゴヌクレオチド分子の5’末端の糖部修飾ヌクレオチドは、例えば、その5’位に、好ましくはヒドロキシ基又はリン酸基を有し、3’位は前述の通りである。
【0044】
デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドにおける塩基部分は、好ましくは、アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)、ウラシル(U)及び5-メチルシトシン(5-me-C)からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0045】
デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドにおける塩基部分の修飾の例としては、ハロゲン化、メチル化、エチル化、n-プロピル化、イソプロピル化、シクロプロピル化、n-ブチル化、イソブチル化、s-ブチル化、t-ブチル化、シクロブチル化、水酸化、アミノ化、チオ化及びデメチル化等が挙げられる。より具体的には、シトシンの5-メチル化、5-フルオロ化、5-ブロモ化、5-ヨード化及びN4-メチル化;チミンの2-チオ化、5-デメチル化、5-フルオロ化、5-ブロモ化及び5-ヨード化;ウラシルの2-チオ化、5-フルオロ化、5-ブロモ化及び5-ヨード化;アデニンのN6-メチル化及び8-ブロモ化;グアニンのN2-メチル化及び8-ブロモ化等が挙げられる。また、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリ-(2016年、59巻、21号、9645-9667頁)、メディシナル・ケミストリー・コミュニケーションズ(2014年、5巻、1454-1471頁)、フューチャー・メディシナル・ケミストリー(2011年、3巻、3号、339-365頁)等に、ヌクレオチドにおける塩基部分の修飾の例が開示されており、これらをデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドにおける塩基部分に用いることができる。
【0046】
デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドにおけるホスホジエステル結合部分の修飾の例としては、ホスホロチオエート化、メチルホスホネート化(キラル-メチルホスホネート化を含む)、メチルチオホスホネート化、ホスホロジチオエート化、ホスホロアミデート化、ホスホロジアミデート化、ホスホロアミドチオエート化及びボラノホスフェート化等が挙げられる。また、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリ-(2016年、59巻、21号、9645-9667頁)、メディシナル・ケミストリー・コミュニケーションズ(2014年、5巻、1454-1471頁)、フューチャー・メディシナル・ケミストリー(2011年、3巻、3号、339-365頁)等に、ヌクレオチドにおけるホスホジエステル結合部分の修飾の例が開示されており、これらをデオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドにおけるホスホジエステル結合部分に用いることができる。
【0047】
デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドの糖部分が、部分的に1個の置換基によって置換されている修飾の例としては、2’-O-メチル化、2’-O-メトキシエチル(2’-MOE)化、2’-O-アミノプロピル(2’-AP)化、2’-フルオロ化及び2’-O-{(N-メチルカルバモイル)エチル}(2’-MCE)化等が挙げられる。
【0048】
「架橋化ヌクレオチド」とは、糖部分における2箇所の置換によって架橋ユニットが置換された糖部修飾ヌクレオチドであり、例えば、2’位と4’位が架橋したヌクレオチドが挙げられる。
【0049】
2’位と4’位が架橋したヌクレオチド(2’,4’-BNA)としては、2’位の炭素原子と4’位の炭素原子とが、2以上の原子によって架橋されている糖部分を有するヌクレオチドであればよく、例えば、C2-6アルキレン基(該アルキレン基は無置換であるか、又はハロゲン原子、オキソ基及びチオキソ基からなる群から選択される1個以上の置換基で置換されており、かつ該アルキレン基の1若しくは2つのメチレン基は、置き換えられていないか、又は独立して-O-、-NR1-(R1は水素原子、C1-6アルキル基又はハロC1-6アルキル基を示す)及び-S-からなる群から選択される基で置き換えられている)で架橋された糖部分を有するヌクレオチドが挙げられる。
前記置換と置き換えを組み合わせて、2’,4’-BNAの2’位と4’位を架橋する基は、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR1-(R1は水素原子、C1-6アルキル基又はハロC1-6アルキル基を示す)、-C(=O)-NR1-(R1は水素原子、C1-6アルキル基又はハロC1-6アルキル基を示す)、-C(=S)-NR1-(R1は水素原子、C1-6アルキル基又はハロC1-6アルキル基を示す)等で表される基を含んでいてもよい。
【0050】
このようなBNAとしては、例えば、LNAとも称されるロックド核酸(Locked Nucleic Acid(登録商標))、α-L-メチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)BNA又はβ-D-メチレンオキシ(4’-CH2-O-2’)BNA、ENAとも称されるエチレンオキシ(4’-(CH2)2-O-2’)BNA、β-D-チオ(4’-CH2-S-2’)BNA、アミノオキシ(4’-CH2-O-N(R11)-2’)BNA(R11は、H又はCH3である)、2’,4’-BNANCとも称されるオキシアミノ(4’-CH2-N(R12)-O-2’)BNA(R12は、H又はCH3である)、2’,4’-BNACOC、3’-アミノ-2’,4’-BNA、5’-メチルBNA、cEt-BNAとも称される(4’-CH(CH3)-O-2’)BNA、cMOE-BNAとも称される(4’-CH(CH2OCH3)-O-2’)BNA、AmNAとも称されるアミド型BNA(4’-C(=O)-N(R13)-2’)BNA(R13は、H又はCH3である)、当業者に知られた他のBNA等が挙げられる。
【0051】
「糖部、塩基部及びリン酸部の少なくとも1つが修飾されたヌクレオチド」は、天然に存在するデオキシリボヌクレオチドの塩基部及びリン酸部の少なくとも1つが修飾されたデオキシリボヌクレオチド、天然に存在するリボヌクレオチドの塩基部及びリン酸部の少なくとも1つが修飾されたリボヌクレオチド又は糖部修飾ヌクレオチドを意味する。
【0052】
「n-」はノルマル、「s-」はセカンダリー、「t-」はターシャリーを意味する。
【0053】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。
【0054】
「C1-6アルキル基」とは、炭素数が1から6の直鎖又は分枝状の飽和炭化水素基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基及びイソヘキシル基等が挙げられる。
【0055】
「ハロC1-6アルキル基」とは、前記「C1-6アルキル基」の任意の位置の水素原子が、1個以上の前記「ハロゲン原子」で置換された基を意味する。
【0056】
「C1-6アルキレン基」とは、炭素数が1から6の直鎖又は分枝状の飽和炭化水素基から任意の位置の水素原子を1個取り除いた2価の基を意味し、例としては、メチレン基、エチレン(エタンジイル)基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、2,2-ジメチル-プロパン-1,3-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基及び3-メチルブタン-1,2-ジイル基等が挙げられる。
「C2-6アルキレン基」とは、前記「C1-6アルキレン基」のうち、炭素数が2から6の直鎖又は分枝状の2価の基を意味し、例としては、メチレン基を除き、前記「C1-6アルキレン基」と同様である。
「C2-20アルキレン基」とは、炭素数が2から20の直鎖又は分枝状の飽和炭化水素基から任意の位置の水素原子を1個取り除いた2価の基を意味する。同様に「C8-12アルキレン基」とは、炭素数が8から12の直鎖又は分枝状の飽和炭化水素基から任意の位置の水素原子を1個取り除いた2価の基を意味する。
【0057】
「C2-20アルケニレン基」とは、炭素数が2から20の、少なくとも1個の二重結合を含む直鎖又は分枝状の不飽和炭化水素基から任意の位置の水素原子を1個取り除いた2価の基を意味する。
【0058】
「オキソ基」とは、酸素原子が二重結合を介して置換した基(=O)を示す。オキソ基が炭素原子に置換した場合は当該炭素原子と一緒となってカルボニル基を形成する。
【0059】
「チオキソ基」とは、酸素原子が二重結合を介して置換した基(=S)を示す。チオキソ基が炭素原子に置換した場合は当該炭素原子と一緒となってチオカルボニル基を形成する。
【0060】
糖部修飾ヌクレオチドは、ここで例示されたものに限定されるわけではない。多数の糖部修飾ヌクレオチドが当該分野では知られており、例えば、Tachasらの米国特許第8299039号明細書(特に17から22欄)、又はジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリ-(2016年、59巻、21、9645-9667頁)、メディシナル・ケミストリー・コミュニケーションズ(2014年、5巻、1454-1471頁)、フューチャー・メディシナル・ケミストリー(2011年、3巻、3号、339-365頁)等に記載の糖部修飾ヌクレオチドを、本発明の実施態様として利用することもできる。
【0061】
当業者であれば、このような糖部修飾ヌクレオチドの中から、アンチセンス効果、標的RNAの部分配列に対する親和性、核酸分解酵素に対する耐性等の観点を考慮し、適宜糖部修飾ヌクレオチドを選択して利用することができる。
【0062】
「RNaseH」は、一般的には、DNAとRNAとがハイブリダイズした二重鎖を認識して、そのRNAを切断し一本鎖DNAを生じさせるリボヌクレアーゼとして知られている。RNaseHは、DNAとRNAがハイブリダイズした二重鎖に限らず、DNA及びRNAの少なくとも一方の、塩基部分、ホスホジエステル結合部分及び糖部分の少なくとも1つが修飾された二重鎖をも認識し得る。例えば、オリゴデオキシリボヌクレオチドとオリゴリボヌクレオチドがハイブリダイズした二重鎖をも認識し得る。
よって、DNAは、RNAとハイブリダイズした際に、RNaseHによって認識され得る。DNA及びRNAの少なくとも一方において、塩基部分、ホスホジエステル結合部分及び糖部分の少なくとも1つが修飾された場合も、同様である。例えば、代表的なものとして、DNAのホスホジエステル結合部分が、ホスホロチオエートに修飾されたオリゴヌクレオチド等が挙げられる。
RNAは、DNAとハイブリダイズした際に、RNaseHによって切断され得る。DNA及びRNAの少なくとも一方において、塩基部分、ホスホジエステル結合部分及び糖部分の少なくとも1つが修飾された場合も、同様である。
RNaseHによって認識され得るDNA及び/又はRNAの修飾例は、例えば、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(2014年、42巻、8号、5378~89頁)、バイオオーガニック・アンド・メディシナル・ケミストリー・レターズ(2008年、18巻、2296~2300頁)、モレキュラー・バイオシステムズ(2009年、5巻、838~843頁)、ヌクレイック・アシッド・セラピューティクス(2015年、25巻、5号、266~274頁)、ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(2004年、279巻、35号、36317~36326頁)等に記載されている。
本発明に用いられるRNaseHは、好ましくは哺乳動物のRNaseHであり、より好ましくはヒトのRNaseHであり、特に好ましくはヒトRNaseH1である。
【0063】
「RNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチド」は、4個以上の連続するヌクレオチドを含み、RNaseHによって認識される限り特に限定されないが、該連続するヌクレオチドは、好ましくはデオキシリボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドから独立して選ばれ、より好ましくは、デオキシリボヌクレオチドから独立して選ばれる。この連続するヌクレオチドは、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。
【0064】
「RNaseHによって切断される少なくとも4個の連続するヌクレオチド」は、4個の連続するヌクレオチドを含み、RNaseHによって切断される限り特に限定されないが、少なくとも1個のリボヌクレオチドを含む。また、オリゴリボヌクレオチドを含むことが好ましく、RNAを含むことがより好ましい。該連続するヌクレオチドは、リボヌクレオチドから独立して選ばれることがさらに好ましい。また、該連続するヌクレオチドは、互いにホスホジエステル結合で連結されていることがさらに好ましい。この連続するヌクレオチドは、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。
【0065】
次に本発明におけるアンチセンス配列及びアンチセンス配列部分について説明する。
【0066】
「アンチセンス配列」とは、標的RNAとのハイブリダイズを可能にするオリゴヌクレオチドを構成するヌクレオチドの塩基配列を意味する。
【0067】
「アンチセンス配列部分」は、オリゴヌクレオチド鎖のうち、前記アンチセンス配列を有する領域の部分構造を意味する。
【0068】
なお、本明細書において、「アンチセンス配列」が、所定のヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチド鎖を含む又は含まないこと等は、対応する「アンチセンス配列部分」が、該ヌクレオチド若しくは該オリゴヌクレオチド鎖を含む又は含まないこと等と同様の意味を有する。
【0069】
前記アンチセンス配列部分は、標的RNAの全体とハイブリダイズする必要はなく、標的RNAの少なくとも一部とハイブリダイズすればよいが、通常は、標的RNAの少なくとも一部とハイブリダイズする。例えば、標的RNAの部分配列に相補的なアンチセンス配列を有するオリゴヌクレオチド(DNA、オリゴデオキシリボヌクレオチド又は通常アンチセンス効果が生じるように設計されたオリゴヌクレオチド等)と標的RNAの少なくとも一部がハイブリダイズすることによって、標的遺伝子の発現が制御される。また、アンチセンス配列部分の全体がハイブリダイズする必要はなく、一部がハイブリダイズしなくてもよいが、アンチセンス配列部分の全体がハイブリダイズすることが、好ましい。
【0070】
前記アンチセンス配列と標的RNAの部分配列との相補性は、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上(例えば、95%、96%、97%、98%、99%以上)である。アンチセンス配列部分と標的RNAの少なくとも一部とがハイブリダイズするために、それらの配列が完全に相補的である必要はないが、完全に相補的であることがさらにより好ましい。
【0071】
前記アンチセンス配列は、「標的RNAとハイブリダイズした際にRNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチド」を含む配列であるか、又は「少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含み、連続する4個のデオキシリボヌクレオチドを含まない」配列であることが好ましい。
【0072】
当業者は、「標的RNAとのハイブリダイズを可能にする」アンチセンス配列に適合する塩基配列を、BLASTプログラム等を利用することにより容易に決定することができる。「標的RNAとハイブリダイズした際にRNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチド」に適合するヌクレオチド配列も同様である。
【0073】
「標的RNAとハイブリダイズした際にRNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチド」は、通常、4~30の連続するヌクレオチドであるが、好ましくは4~20の連続するヌクレオチドであり、より好ましくは5~16の連続するヌクレオチドであり、さらに好ましくは6~12の連続するヌクレオチドであり、特に好ましくは8~10の連続するヌクレオチドである。前記連続するヌクレオチドは、好ましくは、デオキシリボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドから独立して選ばれ、より好ましくは、デオキシリボヌクレオチドから独立して選ばれる。特に好ましくは、8~10個の連続するデオキシリボヌクレオチドである。この連続するヌクレオチドは、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。
【0074】
また、体内動態に優れているという観点から、この連続したヌクレオチドのうち、少なくとも1個のヌクレオチドがホスホロチオエート化されていることが好ましい。この連続するヌクレオチドのうち、3’末端及び5’末端のヌクレオチドのうち少なくとも一方がホスホロチオエート化されていることがより好ましく、3’末端及び5’末端のヌクレオチドの両方がホスホロチオエート化されていることがより好ましい。この連続するヌクレオチドのうち、80%のヌクレオチドがホスホロチオエート化されていることが更に好ましく、90%のヌクレオチドがホスホロチオエート化されていることが更により好ましい。この連続するヌクレオチドの全てがホスホロチオエート化されていることが特に好ましい。
【0075】
アンチセンス配列が、「標的RNAとハイブリダイズした際にRNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチド」を含む配列である場合、標的RNAの部分配列に対する親和性又は核酸分解酵素に対する耐性が増大するという観点から、「標的RNAとハイブリダイズした際にRNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチド」の3’側及び5’側の少なくとも一方に隣接して1~10個の糖部修飾ヌクレオチドが結合していることが好ましく、該3’側及び5’側の少なくとも一方に隣接して2~5個の糖部修飾ヌクレオチドが結合していることがより好ましく、該3’側及び5’側の少なくとも一方に隣接して2~3個の糖部修飾ヌクレオチドが結合していることが更に好ましい。ここで、該3’側及び5’側の少なくとも一方における複数の糖部修飾ヌクレオチドの間に、一又は複数のデオキシリボヌクレオチド若しくはリボヌクレオチド又はその両方が含まれていてもよいが、該複数の糖部修飾ヌクレオチドは、連続していることが好ましい。また、該一又は複数の糖部修飾ヌクレオチドは、前記「標的RNAとハイブリダイズした際にRNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチド」の3’側及び5’側の両方に隣接して結合していることが好ましい。該「標的RNAとハイブリダイズした際にRNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチド」の3’側及び5’側の少なくとも一方に隣接して複数の糖部修飾ヌクレオチドが結合している場合、「隣接して複数の糖部修飾ヌクレオチドが結合している」とは、該複数の糖部修飾ヌクレオチド及び、該複数の糖部修飾ヌクレオチドの間に含まれるデオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド鎖が隣接して結合していることを意味する。該3’側及び5’側の少なくとも一方に隣接して複数の糖部修飾ヌクレオチドが結合している場合、それぞれの糖部修飾ヌクレオチドは同一であっても、異なっていてもよい。
【0076】
前記「標的RNAとハイブリダイズした際にRNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチド」の3’側及び5’側の少なくとも一方に隣接して結合している糖部修飾ヌクレオチド部分は、標的RNAにハイブリダイズしてもよく、しなくてもよいが、標的RNAにハイブリダイズすることが前記と同様の観点から好ましい。アンチセンス配列部分が「標的RNAとハイブリダイズした際にRNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチド」を含み、該3’側及び5’側に隣接して一又は複数の糖部修飾ヌクレオチドが結合し、該糖部修飾ヌクレオチド部分が標的RNAにハイブリダイズする場合、該一又は複数の糖部修飾ヌクレオチド部分もアンチセンス配列部分の一部である。すなわち、「標的RNAとハイブリダイズした際にRNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチド」、及び該3’側及び5’側に隣接して結合する一又は複数の糖部修飾ヌクレオチドが、アンチセンス配列部分を構成する。該アンチセンス配列部分は、ギャップマーと呼ばれる。
【0077】
また、体内動態に優れているという観点から、前記「標的RNAとハイブリダイズした際にRNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチド」の3’側及び5’側の少なくとも一方に隣接して結合している糖部修飾ヌクレオチド部分の少なくとも1個が、ホスホロチオエート化されていることが好ましく、3’側に隣接する糖部修飾ヌクレオチド部分の少なくとも1個及び5’側に隣接する糖部修飾ヌクレオチド部分の少なくとも1個がホスホロチオエート化されていることがより好ましく、50%がホスホロチオエート化されていることがさらに好ましく、80%がホスホロチオエート化されていることがさらにより好ましい。また、全てがホスホロチオエート化されていることが好ましい。該3’側に複数の糖部修飾ヌクレオチドが隣接する場合、該ヌクレオチドの間の結合はホスホロチオエート化されていることが好ましく、該5’側に複数の糖部修飾ヌクレオチドが隣接する場合も同様である。
【0078】
ギャップマーは、好ましくは、1~10個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド、4~30個のデオキシリボヌクレオチドからなるオリゴデオキシリボヌクレオチド、及び1~10個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドが順に連結されたオリゴヌクレオチドであり、より好ましくは、2~5個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド、4~20個のデオキシリボヌクレオチドからなるオリゴデオキシリボヌクレオチド、及び2~5個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドが順に連結されたオリゴヌクレオチドであり、さらに好ましくは、2又は3個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド、5~15個のデオキシリボヌクレオチドからなるオリゴデオキシリボヌクレオチド、及び2又は3個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドが順に連結されたオリゴヌクレオチドであり、特に好ましくは、2又は3個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド、8~12個のデオキシリボヌクレオチドからなるオリゴデオキシリボヌクレオチド、及び2又は3個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドが順に連結されたオリゴヌクレオチドである。その他の態様として特に好ましくは、4又は5個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド、8~12個のデオキシリボヌクレオチドからなるオリゴデオキシリボヌクレオチド、及び4又は5個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドが順に連結されたオリゴヌクレオチドである。
【0079】
アンチセンス配列が、「少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含み、連続する4個のデオキシリボヌクレオチドを含まない」配列である場合、該アンチセンス配列部分は、リボヌクレオチドを含んでも含まなくてもよく、デオキシリボヌクレオチドを含んでも含まなくてもよいが、少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含み、連続する4個のデオキシリボヌクレオチドを含まない。該アンチセンス配列部分は、ミックスマーと呼ばれる。該アンチセンス配列部分は、好ましくは、デオキシリボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドから独立して選ばれるヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドの部分構造であり、糖部修飾ヌクレオチドの含有率は、例えば25%以上である。糖部修飾ヌクレオチドの含有率は、標的RNAの部分配列に対する親和性又は核酸分解酵素に対する耐性が増大するという観点から、好ましくは30%以上であり、より好ましくは50%以上である。同様の観点から、このアンチセンス配列部分の3’側のヌクレオチド及び5’側のヌクレオチドの少なくとも一方が、糖部修飾ヌクレオチドであることが好ましく、前記3’側のヌクレオチド及び5’側のヌクレオチドが糖部修飾ヌクレオチドであることがより好ましい。
その他の態様として、前記アンチセンス配列部分の糖部修飾ヌクレオチドの含有率は、好ましくは100%である。
【0080】
「少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含み、連続する4個のデオキシリボヌクレオチドを含まない」アンチセンス配列部分は、連続する3個のデオキシリボヌクレオチドを含まないことがより好ましい。
【0081】
「少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含み、連続する4個のデオキシリボヌクレオチドを含まない」アンチセンス配列部分(ミックスマー)は、通常、4~30の連続するヌクレオチドであるが、好ましくは8~25の連続するヌクレオチドであり、より好ましくは10~20の連続するヌクレオチドである。この連続するヌクレオチドは、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。
【0082】
また、体内動態に優れているという観点から、該「少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含み、連続する4個のデオキシリボヌクレオチドを含まない」アンチセンス配列部分(ミックスマー)を構成するヌクレオチドのうち、少なくとも1個のヌクレオチドがホスホロチオエート化されていることが好ましい。該アンチセンス配列部分の3’末端及び5’末端のヌクレオチドのうち少なくとも一方がホスホロチオエート化されていることがより好ましい。該アンチセンス配列部分が含むヌクレオチドの間の結合のうち、80%がホスホロチオエート化されていることが更に好ましく、90%がホスホロチオエート化されていることが更により好ましく、全てがホスホロチオエート化されていることが特に好ましい。
【0083】
アンチセンス配列部分に含まれる「糖部修飾ヌクレオチド」は、置換等により、標的RNAの部分配列に対する親和性が増大したヌクレオチド又は核酸分解酵素に対する耐性が増大したヌクレオチドであればよいが、好ましくは、2’-O-メチル化ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチル(2’-MOE)化ヌクレオチド、2’-O-アミノプロピル(2’-AP)化ヌクレオチド、2’-フルオロ化ヌクレオチド、2’-F-アラビノヌクレオチド(2’-F-ANA)、架橋化ヌクレオチド(BNA(Bridged Nucleic Acid))又は2’-O-メチルカルバモイルエチル(2’-MCE)化ヌクレオチドであり、より好ましくは、BNA又は2’-O-メチル化ヌクレオチドであり、さらにより好ましくは、下記式(II)で表わされる部分構造を含むLNA、又は2’-O-メチル化ヌクレオチドであり、特に好ましくは、LNAである。アンチセンス配列部分に含まれる「糖部修飾ヌクレオチド」は、特に好ましくは、前記架橋化ヌクレオチドの他に、2’-MOE化ヌクレオチド、2’-MCE化ヌクレオチドである。
【0084】
【0085】
式中、Baseは、塩基部分を表し、プリン-9-イル基又は2-オキソ-ピリミジン-1-イル基であり、該プリン-9-イル基及び2-オキソ-ピリミジン-1-イル基は、修飾されていないか、修飾されている。ここで2-オキソ-ピリミジン-1-イル基は、2-オキソ-1H-ピリミジン-1-イル基と同義である。また、プリン-9-イル基及び2-オキソ-ピリミジン-1-イル基は、それぞれの互変異性体をも包含する。
【0086】
アンチセンス配列部分における糖部修飾ヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドの種類、数及び位置は、ここで開示する一本鎖オリゴヌクレオチドが奏するアンチセンス効果等に影響を与えうる。その種類、数及び位置は、標的RNAの配列等によっても異なるため、一概には言えないが、当業者は、前記アンチセンス法に関する文献の記載を参酌しながら、好ましい態様を決定することができる。また、塩基部分、糖部分又はホスホジエステル結合部分の修飾後の一本鎖オリゴヌクレオチドが有するアンチセンス効果を測定し、得られた測定値が、修飾前の一本鎖オリゴヌクレオチドのそれよりも有意に低下していなければ(例えば、修飾後一本鎖オリゴヌクレオチドの測定値が修飾前の一本鎖オリゴヌクレオチドの測定値の30%以上であれば)、当該修飾が好ましい態様であると評価することができる。アンチセンス効果の測定は、例えば、後述の実施例において示されているように、細胞等に被検オリゴヌクレオチドを導入し、該被検オリゴヌクレオチドが奏するアンチセンス効果によって制御された標的RNAの発現量、標的RNAに関連しているcDNAの発現量、標的RNAに関連しているタンパク質の量等を、ノザンブロッティング、定量的PCR、ウェスタンブロッティング等の公知の手法を適宜利用することによって行うことができる。
【0087】
「少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含み、連続する4個のデオキシリボヌクレオチドを含まない」アンチセンス配列部分の3’側及び5’側の少なくとも一方の側の2個のヌクレオチドは、糖部修飾ヌクレオチドであることが好ましく、該糖部修飾ヌクレオチドは好ましくは架橋化ヌクレオチドであり、特に好ましくはLNAである。該アンチセンス配列部分の3’側の2個のヌクレオチドが、糖部修飾ヌクレオチドであるとき、5’側の3個のヌクレオチドの2個以上が糖部修飾ヌクレオチドであり、該アンチセンス配列部分の末端側から順に、以下の順のいずれかで連結されていることが好ましい。該アンチセンス配列部分の5’側の2個のヌクレオチドが、糖部修飾ヌクレオチドであるとき、3’側の3個のヌクレオチドの2個以上が糖部修飾ヌクレオチドであり、該アンチセンス配列部分の末端側から順に、以下の順のいずれかで連結されていることが好ましい。なお、これらの順において、左側がアンチセンス配列部分の末端側であり、右側がアンチセンス配列部分の内側である。該糖部修飾ヌクレオチドは、好ましくは架橋化ヌクレオチドであり、特に好ましくはLNAである。
糖部修飾ヌクレオチド-糖部修飾ヌクレオチド-糖部修飾ヌクレオチド
糖部修飾ヌクレオチド-糖部修飾ヌクレオチド-デオキシリボヌクレオチド
糖部修飾ヌクレオチド-デオキシリボヌクレオチド-糖部修飾ヌクレオチド
【0088】
次に、本発明の一本鎖オリゴヌクレオチド分子について説明する。本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドは、X及びYを含む。本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドの実施態様としては、
XzとLx、YzとLyの両方を含まない実施態様(前記式(I)中、mが0であり、nが0である)、
XzとLxを含まず、YzとLyを含む実施態様(前記式(I)中、mが0であり、nが1である)、
XzとLxを含み、YzとLyを含まない実施態様(前記式(I)中、mが1であり、nが0である)が挙げられる。
【0089】
以下に本発明におけるXa、Xb、X、Y、Xz、及びYzについて説明する。本発明には幾つかの実施態様があるが、まず、共通点を説明する。
【0090】
Xaは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択される1~40個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXaに由来する基であり、該デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドは、それぞれ独立して修飾されていないか、塩基部及びリン酸部の少なくとも1つが修飾されている。オリゴヌクレオチドXaは、少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドXaはヌクレオチド配列Xaを有する。Xaは、Yとハイブリダイズしないため、ヌクレオチド配列Xaは、ヌクレオチド配列Yと相補的な配列を含まないことが好ましい。
【0091】
ヌクレオチド配列Xaは、オリゴヌクレオチドXaを構成するヌクレオチドの塩基配列である。
【0092】
Xaに含まれるヌクレオチドの数は、1~40であり、好ましくは2~20であり、より好ましくは3~10であり、さらに好ましくは4~8であり、さらにより好ましくは、4又は5であり、特に好ましくは、5である。Xaに含まれるヌクレオチドの数は、通常、前記標的RNAに対するアンチセンス効果の強さ、分子内でハイブリダイズした構造の安定性、費用、合成収率等の他の要素に応じて選択される。
【0093】
Xbは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択される4~40個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXbに由来する基であり、該デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドは、それぞれ独立して修飾されていないか、塩基部及びリン酸部の少なくとも1つが修飾されている。オリゴヌクレオチドXbは、少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドXbはヌクレオチド配列Xbを有し、ヌクレオチド配列Xbは、ヌクレオチド配列Yと相補的な配列を含む。
【0094】
ヌクレオチド配列Xbは、オリゴヌクレオチドXbを構成するヌクレオチドの塩基配列である。
【0095】
Xbに含まれるヌクレオチドの数は、4~40であり、好ましくは6~25であり、より好ましくは8~16であり、さらに好ましくは9~13であり、特に好ましくは、9~11である。Xbに含まれるヌクレオチドの数は、通常、前記標的RNAに対するアンチセンス効果の強さ、分子内でハイブリダイズした構造の安定性、費用、合成収率等の他の要素に応じて選択される。
【0096】
オリゴヌクレオチドXは、前記オリゴヌクレオチドXaの一方の末端と前記オリゴヌクレオチドXbの一方の末端が、それぞれ共有結合で連結されたオリゴヌクレオチドであり、Xaの5’末端のヌクレオチドの5’位と、Xbの3’末端のヌクレオチドの3’位が、ホスホジエステル結合若しくは修飾されたホスホジエステル結合を形成して連結されているか、あるいは、Xbの5’末端のヌクレオチドの5’位と、Xaの3’末端のヌクレオチドの3’位が、ホスホジエステル結合若しくは修飾されたホスホジエステル結合を形成して連結されている。
【0097】
Xは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択される5~80個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXに由来する基であり、該デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドは、それぞれ独立して修飾されていないか、塩基部及びリン酸部の少なくとも1つが修飾されている。オリゴヌクレオチドXは、少なくとも2個の糖部修飾ヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドXはヌクレオチド配列Xを有する。
【0098】
ヌクレオチド配列Xは、オリゴヌクレオチドXを構成するヌクレオチドの塩基配列である。ヌクレオチド配列Xは、ヌクレオチド配列(Xb-Xa)と同義である。
【0099】
Xに含まれるヌクレオチドの数は、5~80であり、好ましくは8~45であり、より好ましくは11~26であり、さらに好ましくは13~21であり、特に好ましくは、13~16である。Xに含まれるヌクレオチドの数は、通常、前記標的RNAに対するアンチセンス効果の強さ、分子内でハイブリダイズした構造の安定性、費用、合成収率等の他の要素に応じて選択される。
【0100】
Yは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択される4~40個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドYに由来する基であり、該デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドは、それぞれ独立して修飾されていないか、塩基部及びリン酸部の少なくとも1つが修飾されている。オリゴヌクレオチドYは、少なくとも1個のリボヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドYは、ヌクレオチド配列Yを有し、ヌクレオチド配列Yは、ヌクレオチド配列Xbと相補的な配列を含む。
【0101】
ヌクレオチド配列Yは、オリゴヌクレオチドYを構成するヌクレオチドの塩基配列である。
【0102】
Yに含まれるヌクレオチドの数は、4~40であり、好ましくは6~25であり、より好ましくは8~16であり、特に好ましくは10~13である。Yに含まれるヌクレオチドの数は、Xbに含まれるヌクレオチドの数と同一であってもよく、異なっていてもよい。Yに含まれるヌクレオチドの数は、通常、前記標的RNAに対するアンチセンス効果の強さ、分子内でハイブリダイズした構造の安定性、費用、合成収率等の他の要素に応じて選択される。Yに含まれるヌクレオチドの数とXbに含まれるヌクレオチドの数の差は、好ましくは10以内であり、より好ましくは5以内であり、さらに好ましくは4以内であり、さらにより好ましくは2以内であり、特に好ましくは0である。
【0103】
Xzは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択される5~40個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXzに由来する基であり、該デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドは、それぞれ独立して修飾されていないか、塩基部及びリン酸部の少なくとも1つが修飾されている。オリゴヌクレオチドXzは、少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドXzはヌクレオチド配列Xzを有する。
【0104】
ヌクレオチド配列Xzは、オリゴヌクレオチドXzを構成するヌクレオチドの塩基配列である。
【0105】
Xzに含まれるヌクレオチドの数は、5~40であり、好ましくは8~30であり、より好ましくは11~25であり、さらにより好ましくは12~21塩基であり、特に好ましくは13~14塩基である。Xzに含まれるヌクレオチドの数は、通常、前記標的RNAに対するアンチセンス効果の強さ、前記XとYとが分子内でハイブリダイズした構造の安定性、費用、合成収率等の他の要素に応じて選択される。
【0106】
Yzは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択される5~40個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドYzに由来する基であり、該デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドは、それぞれ独立して修飾されていないか、塩基部及びリン酸部の少なくとも1つが修飾されている。オリゴヌクレオチドYzは、少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドYzはヌクレオチド配列Yzを有する。
【0107】
ヌクレオチド配列Yzは、オリゴヌクレオチドYzを構成するヌクレオチドの塩基配列である。
【0108】
Yzに含まれるヌクレオチドの数は、5~40であり、好ましくは8~30であり、より好ましくは11~25であり、さらにより好ましくは12~21塩基であり、特に好ましくは13~14塩基である。Yzに含まれるヌクレオチドの数は、通常、前記標的RNAに対するアンチセンス効果の強さ、前記XとYとが分子内でハイブリダイズした構造の安定性、費用、合成収率等の他の要素に応じて選択される。
【0109】
XとYとは、Xb-Xa-Yの順番で連結している。Xbが3’側でXaに結合するとき、Yは5’側でXaに結合する。Xbが5’側でXaに結合するとき、Yは3’側でXaに結合する。
【0110】
XaとYとは共有結合で連結され、Xaの5’末端のヌクレオチドの5’位と、Yの3’末端のヌクレオチドの3’位が、ホスホジエステル結合若しくは修飾されたホスホジエステル結合を形成して連結しているか、あるいは、Yの5’末端のヌクレオチドの5’位と、Xaの3’末端のヌクレオチドの3’位が、ホスホジエステル結合若しくは修飾されたホスホジエステル結合を形成して連結している。XaとYとは、ホスホジエステル結合で連結されていることが好ましい。
【0111】
Xaは、Xaのオリゴヌクレオチドに由来する基内において部分的に相補的な配列を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
【0112】
XbとYとは、分子内でハイブリダイズする。
【0113】
ヌクレオチド配列Xbとヌクレオチド配列Yとは、XbとYとがハイブリダイズするために完全に相補的である必要はないが、相補性は、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上(例えば、95%、96%、97%、98%、99%以上)である。ヌクレオチド配列Xbとヌクレオチド配列Yとは、完全に相補的であってもよい。
【0114】
Yの全体が、アンチセンス配列部分の一部であるXbにハイブリダイズする必要はなく、Yの一部がハイブリダイズしなくてもよいが、全体がハイブリダイズすることが好ましい。
Yが、アンチセンス配列部分の一部であるXbと部分的にハイブリダイズする場合、Yの内少なくともXa側の末端は、Xbとハイブリダイズすることが好ましい。部分的にハイブリダイズするヌクレオチドの数は、通常、分子間あるいは分子内でハイブリダイズした構造の安定性、前記標的RNAに対するアンチセンス効果の強さや、費用、合成収率等の他の要素に応じて選択される。
【0115】
ヌクレオチド配列Xは、アンチセンス配列を含む。ヌクレオチド配列Xのうち、アンチセンス配列が占める割合は、好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは90%以上であり、特に好ましくは100%である。ヌクレオチド配列Xが含むアンチセンス配列は、「標的RNAとハイブリダイズした際にRNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチド」を含む配列であるか、「少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含み、連続する4個のデオキシリボヌクレオチドを含まない」配列を含む配列であり、好ましい態様等は、アンチセンス配列及びアンチセンス配列部分で述べた通りである。
【0116】
Xbは、Xが含むアンチセンス配列部分の一部であり、分子内でハイブリダイズし、Xaは、Xが含むアンチセンス配列部分の一部であり、分子内でハイブリダイズしない。Xに含まれるアンチセンス配列部分が、「標的RNAとハイブリダイズした際にRNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチド」を含む配列であるとき、前記「標的RNAとハイブリダイズした際にRNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチド」の一部が、Xbに含まれて、分子内でハイブリダイズし、一部はXaに含まれて、分子内でハイブリダイズしないことが好ましい。その他の態様として、前記「標的RNAとハイブリダイズした際にRNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチド」の全体が、Xbに含まれてハイブリダイズすることが好ましい。「標的RNAとハイブリダイズした際にRNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチド」の3’側及び5’側の少なくとも一方に隣接して結合している糖部修飾ヌクレオチド」配列部分のうち、Xbに含まれる部分は分子内でハイブリダイズし、Xaに含まれる部分はハイブリダイズしないことが好ましい。
【0117】
オリゴヌクレオチドXにおいて、オリゴヌクレオチドXが含むアンチセンス配列部分のXb側に隣接して、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択される1~10個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド鎖が結合していてもしていなくてもよいが、結合しないことが好ましい。結合する場合、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドからなる群から独立して選択されるヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド鎖が、アンチセンス配列部分のXb側の末端に隣接して結合することが好ましい。該アンチセンス配列部分のXb側に隣接して、1~10個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド鎖が結合する場合、アンチセンス配列部分のXb側と前記オリゴヌクレオチド鎖とは、ホスホジエステル結合で連結されていることが好ましい。
【0118】
ヌクレオチド配列Xzは、アンチセンス配列を含み、ヌクレオチド配列Xzのうち、アンチセンス配列が占める割合は、好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは90%以上であり、特に好ましくは100%である。ヌクレオチド配列Xzが含むアンチセンス配列は、「標的RNAとハイブリダイズした際にRNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチド」を含む配列であるか、「少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含み、連続する4個のデオキシリボヌクレオチドを含まない」配列を含む配列であり、好ましい態様等は、アンチセンス配列及びアンチセンス配列部分で述べた通りである。
【0119】
Xzが含むアンチセンス配列部分は、分子内でハイブリダイズしない。
【0120】
オリゴヌクレオチドXzにおいて、オリゴヌクレオチドXzが含むアンチセンス配列部分のLxに結合しない側の末端に隣接して、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択される1~10個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド鎖が結合していてもしていなくてもよいが、結合しないことが好ましい。結合する場合、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドからなる群から独立して選択されるヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド鎖が、Xzが含むアンチセンス配列部分のLxに結合しない側に、隣接して結合することが好ましい。該アンチセンス配列部分のLxに結合しない側の末端に隣接して、1~10個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド鎖が結合する場合、該アンチセンス配列部分と前記オリゴヌクレオチド鎖とは、ホスホジエステル結合で連結されていることが好ましい。
【0121】
ヌクレオチド配列Yzは、アンチセンス配列を含み、ヌクレオチド配列Yzのうち、アンチセンス配列が占める割合は、好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは90%以上であり、特に好ましくは100%である。ヌクレオチド配列Yzが含むアンチセンス配列は、「標的RNAとハイブリダイズした際にRNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチド」を含む配列であるか、「少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含み、連続する4個のデオキシリボヌクレオチドを含まない」配列を含む配列であり、好ましい態様等は、アンチセンス配列及びアンチセンス配列部分で述べた通りである。
【0122】
Yzが含むアンチセンス配列部分は、分子内でハイブリダイズしない。
【0123】
オリゴヌクレオチドYzにおいて、オリゴヌクレオチドYzが含むアンチセンス配列部分のLyに結合しない側の末端に隣接して、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択される1~10個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド鎖が結合していてもしていなくてもよいが、結合しないことが好ましい。結合する場合、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドからなる群から独立して選択されるヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド鎖が、Yzが含むアンチセンス配列部分のLyに結合しない側に、隣接して結合することが好ましい。該アンチセンス配列部分の3’側及び5’側の少なくとも一方に隣接して、1~10個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチド鎖が結合する場合、該アンチセンス配列部分と前記オリゴヌクレオチド鎖とは、ホスホジエステル結合で連結されていることが好ましい。
【0124】
オリゴヌクレオチドXにおける糖部修飾ヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドの種類、数及び修飾の位置は、一本鎖オリゴヌクレオチドが奏するアンチセンス効果等に影響を与える場合がある。その好ましい態様は、修飾対象となるヌクレオチドの種類、配列等によっても異なるため、一概には言えないが、前述のアンチセンス配列部分と同様に、修飾後の一本鎖オリゴヌクレオチドが有するアンチセンス効果を測定することにより特定することができる。Xz及びYzも、オリゴヌクレオチドXと同様である。
【0125】
オリゴヌクレオチドX及びXzが、同一の標的RNAにハイブリダイズする場合、それらのアンチセンス配列はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。オリゴヌクレオチドX及びXzは、それぞれ別の標的RNAにハイブリダイズしてもよい。
【0126】
オリゴヌクレオチドX及びYzが、同一の標的RNAにハイブリダイズする場合、それらのアンチセンス配列はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。オリゴヌクレオチドX及びYzは、それぞれ別の標的RNAにハイブリダイズしてもよい。
【0127】
Yにおける糖部修飾ヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドの種類、数及び修飾の位置は、一本鎖オリゴヌクレオチドが奏するアンチセンス効果等に影響を与える場合がある。その好ましい態様は、修飾対象となるヌクレオチドの種類、配列等によっても異なるため、一概には言えないが、前述のアンチセンス配列部分と同様に、修飾後のオリゴヌクレオチド複合体が有するアンチセンス効果を測定することにより特定することができる。特定の細胞内においてRNaseH等のヌクレアーゼによりYが分解されることにより、アンチセンス配列部分を含むオリゴヌクレオチドが生成しアンチセンス効果を発揮し易いという観点から、ヌクレオチド配列Yは、「RNaseHによって切断される少なくとも4個の連続するヌクレオチド」を含むことが好ましく、少なくとも1個のリボヌクレオチドを含むことが好ましい。該連続するヌクレオチドは、リボヌクレオチドから独立して選ばれることがさらに好ましい。また、該連続するヌクレオチドは、互いにホスホジエステル結合で連結されていることがさらに好ましい。この連続するヌクレオチドは、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。また、ヌクレオチド配列Yは、オリゴリボヌクレオチドを含むことが好ましく、RNAを含むことがより好ましい。
「RNaseHによって切断される少なくとも4個の連続するヌクレオチド」は、4~25個の連続するヌクレオチドを含むことがより好ましい。
【0128】
次に、[A]XzとLx、YzとLyの両方を含まない場合、[B]XzとLxを含まず、YzとLyを含む場合及び[C]XzとLxを含み、YzとLyを含まない場合のそれぞれの態様について順に説明する。
【0129】
[A]XzとLx、YzとLyの両方を含まない場合(m=0、n=0)
【0130】
ヌクレオチド配列Yは、RNaseHによって切断される少なくとも4個の連続するヌクレオチドを含むことが好ましく、4~25個の連続するヌクレオチドを含むことがより好ましい。この連続するヌクレオチドは、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。Yは、オリゴリボヌクレオチドを含むことが好ましく、RNAを含むことがより好ましい。オリゴヌクレオチドYの5’側及び3’側のヌクレオチドのうち、少なくとも一方がホスホロチオエート化されていることが好ましい。Xbが3’側でXaに結合し、Yが5’側でXaに結合する場合、オリゴヌクレオチドYの3’側 がホスホロチオエート化されていることが好ましい。Xbが5’側でXaに結合し、Yが3’側でXaに結合する場合、オリゴヌクレオチドYの5’側 がホスホロチオエート化されていることが好ましい。Xbが3’側でXaに結合し、Yが5’側でXaに結合する場合、オリゴヌクレオチドYの3’側 が、1~10個の糖部修飾ヌクレオチドを含むことが好ましく、2~5個の糖部修飾ヌクレオチドを含むことがより好ましく、2又は3個の糖部修飾ヌクレオチドを含むことがさらに好ましい。Xbが5’側でXaに結合し、Yが3’側でXaに結合する場合、オリゴヌクレオチドYの5’側 が、1~10個の糖部修飾ヌクレオチドを含むことが好ましく、2~5個の糖部修飾ヌクレオチドを含むことがより好ましく、2又は3個の糖部修飾ヌクレオチドを含むことがさらに好ましい。前記複数の糖部修飾ヌクレオチドは、ホスホロチオエート結合で連結されていることが好ましい。ここで、該3’側及び5’側の少なくとも一方における複数の糖部修飾ヌクレオチドの間に、複数のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド又はその両方が含まれていてもよいが、該複数の糖部修飾ヌクレオチドは、連続していることが好ましい。オリゴヌクレオチドYの3’側及び5’側の少なくとも一方に、複数の糖部修飾ヌクレオチドを含むとき、それぞれの糖部修飾ヌクレオチドは同一であっても、異なっていてもよい。
【0131】
オリゴヌクレオチドYの3’側及び5’側の少なくとも一方に含む糖部修飾ヌクレオチドは、好ましくは、2’-O-メチル化ヌクレオチド、2’-MOE(2’-O-メトキシエチル)化ヌクレオチド、2’-AP(2’-O-アミノプロピル)化ヌクレオチド、2’-フルオロ化ヌクレオチド、2’-F-アラビノヌクレオチド(2’-F-ANA)、架橋化ヌクレオチド(BNA(Bridged Nucleic Acid))又は2’-O-メチルカルバモイルエチル化ヌクレオチド(MCE)であり、より好ましくは、BNA又は2’-O-メチル化ヌクレオチドであり、さらにより好ましくは、下記式(II)で表わされる部分構造を含むLNA、又は2’-O-メチル化ヌクレオチドであり、特に好ましくは、2’-O-メチル化ヌクレオチドである。
【0132】
【0133】
式中、Baseは、塩基部分を表し、プリン-9-イル基又は2-オキソ-ピリミジン-1-イル基であり、該プリン-9-イル基及び2-オキソ-ピリミジン-1-イル基は、修飾されていないか、修飾されている。
【0134】
その他の態様として、Yに含まれるヌクレオチドは、リボヌクレオチドから独立して選ばれることが好ましい。また、Yに含まれるヌクレオチドは、互いにホスホジエステル結合で連結されていることが好ましい。
【0135】
[B]XzとLxを含まず、YzとLyを含む場合(m=0、n=1)
【0136】
ヌクレオチド配列Yは、RNaseHによって切断される少なくとも4個の連続するヌクレオチドを含むことが好ましく、4~25個の連続するヌクレオチドを含むことがより好ましい。この連続するヌクレオチドは、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。オリゴヌクレオチドYは、オリゴリボヌクレオチドを含むことが好ましく、RNAを含むことがより好ましく、RNAに由来する基であることが特に好ましい。Yに含まれるヌクレオチドは、リボヌクレオチドから独立して選ばれることが好ましい。Yに含まれるヌクレオチドは、互いにホスホジエステル結合で連結されていることが好ましい。
【0137】
[C]XzとLxを含み、YzとLyを含まない場合(m=1、n=0)
【0138】
ヌクレオチド配列Yの好ましい態様は、前述の[A]XzとLx、YzとLyの両方を含まない場合と同様である。
【0139】
次に、Lx、Ly及び機能性分子について説明する。以下は、前記の幾つかの態様に共通する。
【0140】
Lxは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択される0~20個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドLxに由来する基であり、前述のXbとXzとを連結するリンカーである。Lxは前述のXbとXzとを、Xz-Lx-Xbの順に連結する。
mが1であり、オリゴヌクレオチドLxが、0個のヌクレオチドからなるとき、XbとXzとは、直接連結される。
【0141】
Lyは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択される0~20個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドLyに由来する基であり、前述のYとYzとを連結するリンカーである。Lyは前述のYとYzとを、Y-Ly-Yzの順に連結する。
nが1であり、オリゴヌクレオチドLyが、0個のヌクレオチドからなるとき、YとYzとは、直接連結される。
【0142】
LxとXbとは共有結合で連結され、例えば、Xbの末端ヌクレオチドの糖部分(糖部修飾ヌクレオチドにおいては、糖骨格から置き換わった部分構造を含む)のヒドロキシ基から水素原子を取り除いた酸素原子がLxの末端ヌクレオチドの糖部分と、ホスホジエステル結合又は修飾されたホスホジエステル結合で連結されていることが好ましい。LxとXzとは共有結合で連結され、例えば、Xzの末端ヌクレオチドの糖部分(糖部修飾ヌクレオチドにおいては、糖骨格から置き換わった部分構造を含む)のヒドロキシ基から水素原子を取り除いた酸素原子がLxの末端ヌクレオチドの糖部分と、ホスホジエステル結合又は修飾されたホスホジエステル結合で連結されていることが好ましい。
また同様に、LyとYとは、Lyの末端ヌクレオチドの糖部分とYの末端ヌクレオチドの糖部分で連結されていることが好ましく、LyとYzとは、Lyの末端ヌクレオチドの糖部分とYzの末端ヌクレオチドの糖部分で連結されていることが好ましい。XbとXzとが、直接連結されるとき、同様に、Xbの末端ヌクレオチドの糖部分とXzの末端ヌクレオチドの糖部分が、ホスホジエステル結合又は修飾されたホスホジエステル結合で連結されていることが好ましく、ホスホジエステル結合で連結されていることがより好ましい。YとYzとが、直接連結されるとき、同様に、Yの末端ヌクレオチドの糖部分とYzの末端ヌクレオチドの糖部分が、ホスホジエステル結合又は修飾されたホスホジエステル結合で連結されていることが好ましく、ホスホジエステル結合で連結されていることがより好ましい。前記末端ヌクレオチドが糖部修飾ヌクレオチドの場合は、前記糖部分は、糖骨格から置き換わった部分構造等を含む。
【0143】
Xbが3’側でXaに結合するとき、Yは5’側でXaに結合する。さらにmが1である場合、Xbは5’側でLxに結合し、Xzは3’側でLxに結合する。Xbが3’側でXaに結合し、Yが5’側でXaに結合し、さらにnが1である場合、Yは3’側でLyに結合し、Yzは5’側でLyに結合する。
【0144】
Xbが5’側でXaに結合するとき、Yは3’側でXaに結合する。さらにmが1である場合、Xbは3’側でLxに結合し、Xzは5’側でLxに結合する。Xbが5’側でXaに結合し、Yが3’側でXaに結合し、さらにnが1である場合、Yは5’側でLyに結合し、Yzは3’側でLyに結合する。
【0145】
Lx及びLyは、前述のアンチセンス配列部分より速やかに分解されることが望ましい。
【0146】
前記オリゴヌクレオチドLxは、生理的条件で分解されるオリゴヌクレオチドが好ましい。
【0147】
前記オリゴヌクレオチドLyは、生理的条件で分解されるオリゴヌクレオチドが好ましい。
【0148】
ここで、「生理的条件で分解されるオリゴヌクレオチド」は、生理的条件にて各種DNase(デオキシリボヌクレアーゼ)及びRNase(リボヌクレアーゼ)等の酵素によって分解されるオリゴヌクレオチドであればよく、該オリゴヌクレオチドを構成するヌクレオチドは、その一部あるいは全部において、塩基、糖若しくはリン酸塩結合に化学修飾がされていてもよく、されていなくてもよい。
【0149】
前記オリゴヌクレオチドLxは、好ましくはホスホジエステル結合で連結されたオリゴヌクレオチドであり、より好ましくはオリゴデオキシリボヌクレオチド又はオリゴリボヌクレオチドであり、さらに好ましくはDNA又はRNAであり、さらにより好ましくはRNAである。オリゴヌクレオチドLyも、オリゴヌクレオチドLxと同様である。
【0150】
オリゴヌクレオチドLxは、オリゴヌクレオチドLx内において部分的に相補的な配列を含んでいてもよく、含んでいなくてもよいが、オリゴヌクレオチドLxは、好ましくは、オリゴヌクレオチドLx内において部分的に相補的な配列を含んでいないオリゴヌクレオチドである。そのようなオリゴヌクレオチドに由来する基の例として、ホスホジエステル結合で連結された(N)k(Nは、それぞれ独立してアデノシン、ウリジン、シチジン、グアノシン、2’-デオキシアデノシン、チミジン、2’-デオキシシチジン、または2’-デオキシグアノシンであり、kは1~20の整数(繰り返し数)である)を挙げることができる。中でも、kは好ましくは1~12であり、より好ましくは1~8であり、さらに好ましくは1~5であり、さらにより好ましくは、1~3である。オリゴヌクレオチドLyも、オリゴヌクレオチドLxと同様である。
【0151】
X(Xa及びXbを含む)、Y、Xz、Yz、Lx及びLyには、直接的に又は間接的に機能性分子が結合していてもよい。前述[A]XzとLx、YzとLyの両方を含まない場合、機能性分子は、オリゴヌクレオチドYに結合していることが好ましい。前述[B]XzとLxを含まず、YzとLyを含む場合、機能性分子は、オリゴヌクレオチドXb又はオリゴヌクレオチドYに結合していることが好ましい。前述[C]XzとLxを含み、YzとLyを含まない場合、機能性分子は、オリゴヌクレオチドYに結合していることが好ましい。機能性分子とオリゴヌクレオチドY又はオリゴヌクレオチドXbとの結合は、直接的でも、他の物質を介して間接的でもよいが、共有結合、イオン結合又は水素結合でオリゴヌクレオチドY又はオリゴヌクレオチドXbと機能性分子とが結合していることが好ましい。その結合の安定性が高いという観点から、共有結合で直接的に結合していること、又は共有結合でリンカー(連結基)を介して結合していることがより好ましい。
【0152】
前記機能性分子が、共有結合で一本鎖オリゴヌクレオチドに結合する場合、前記機能性分子は、一本鎖オリゴヌクレオチド分子の3’末端又は5’末端に、直接的に又は間接的に結合していることが好ましい。前記リンカー又は機能性分子と、一本鎖オリゴヌクレオチド分子の末端ヌクレオチドとの結合は、機能性分子に応じて選択される。
前記リンカー又は機能性分子と、一本鎖オリゴヌクレオチド分子の末端ヌクレオチドとは、ホスホジエステル結合又は修飾されたホスホジエステル結合で連結されていることが好ましく、ホスホジエステル結合で連結されていることがより好ましい。
前記リンカー又は機能性分子は、一本鎖オリゴヌクレオチド分子の3’末端のヌクレオチドが有する3’位の酸素原子又は5’末端のヌクレオチドが有する5’位の酸素原子に直接連結されていてもよい。
【0153】
「機能性分子」の構造は、特に制限はなく、それが結合することにより一本鎖オリゴヌクレオチドに所望の機能が付与される。所望の機能としては、標識機能、精製機能及び標的部位への送達機能が挙げられる。標識機能を付与する分子の例としては、蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ等の化合物が挙げられる。精製機能を付与する分子の例としては、ビオチン、アビジン、Hisタグペプチド、GSTタグペプチド、FLAGタグペプチド等の化合物が挙げられる。
【0154】
また、一本鎖オリゴヌクレオチドを特異性高く効率的に標的部位(例えば、標的細胞)に送達し、かつ当該一本鎖オリゴヌクレオチドによって標的遺伝子の発現を非常に効果的に制御するという観点から、機能性分子として、一本鎖オリゴヌクレオチドを標的部位に送達させる機能を有する分子が結合していることが好ましい。該送達機能を有する分子は、例えば、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマシューティカルズ・アンド・バイオファーマシューティクス、107巻、321~340頁(2016年)、アドバンスト・ドラッグ・デリバリー・レビューズ、104巻、78~92頁(2016年)、エキスパート・オピニオン・オン・ドラッグ・デリバリー、11巻、791~822頁(2014年)等を参照できる。
【0155】
標的RNAへの送達機能を付与する分子として、例えば、肝臓等に特異性高く効率的に一本鎖オリゴヌクレオチドを送達できるという観点から、脂質、糖が挙げられる。このような脂質としては、コレステロール;脂肪酸;ビタミンE(トコフェロール類、トコトリエノール類)、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンK等の脂溶性ビタミン;アシルカルニチン、アシルCoA等の中間代謝物;糖脂質;グリセリド;それらの誘導体等が挙げられる。これらの中では、より安全性が高いという観点から、コレステロール、ビタミンE(トコフェロール類、トコトリエノール類)が好ましい。中でも、トコフェロール類がより好ましく、トコフェロールが更に好ましく、α-トコフェロールが特に好ましい。糖としては、アシアロ糖タンパク質受容体と相互作用を有する糖誘導体が挙げられる。
【0156】
「アシアロ糖タンパク質受容体」は肝臓細胞表面に存在し、アシアロ糖タンパク質のガラクトース残基を認識して、その分子を細胞内に取り込み分解する作用を持つ。「アシアロ糖タンパク質受容体と相互作用する糖誘導体」は、ガラクトース残基と類似した構造を持ち、アシアロ糖タンパク質受容体との相互作用により細胞内に取り込まれる化合物が好ましく、例えば、GalNAc(N-アセチルガラクトサミン)誘導体、ガラクトース誘導体及びラクトース誘導体が挙げられる。また、脳に特異性高く効率的に本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドを送達できるという観点では、「機能性分子」として、糖(例えば、グルコース、スクロース等)が挙げられる。また、各臓器の細胞表面にある各種タンパク質に相互作用することにより、当該臓器に特異性高く効率的に一本鎖オリゴヌクレオチドを送達できるという観点では、「機能性分子」として、受容体のリガンド、抗体、それらの断片のペプチド又はタンパク質が挙げられる。
【0157】
機能性分子と、X(Xa及びXbを含む)、Y、Xz、Yz、Lx及びLyとの結合を介するリンカーは、一本鎖オリゴヌクレオチド分子として機能性分子が有する機能を発揮できればよいため、該機能性分子と該オリゴヌクレオチドとを、安定して結合させるリンカーであれば特に限定されない。該リンカーとしては、例えば、ヌクレオチド数が2~20のオリゴヌクレオチドに由来する基、アミノ酸数が2~20のポリペプチドに由来する基、炭素数が2~20のアルキレン基及び炭素数が2~20のアルケニレン基等が挙げられる。前記ヌクレオチド数が2~20のオリゴヌクレオチドに由来する基は、ヌクレオチド数が2~20のオリゴヌクレオチドから、ヒドロキシ基、水素原子等を取り除いた基である。前記アミノ酸数が2~20のポリペプチドに由来する基は、アミノ酸数が2~20のポリペプチドから、ヒドロキシ基、水素原子、アミノ基等を取り除いた基である。
【0158】
リンカーは、好ましくは、C2-20アルキレン基又はC2-20アルケニレン基(該アルキレン基及びアルケニレン基に含まれるメチレン基は、それぞれ独立して、無置換であるか、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、保護されたヒドロキシ基、オキソ基及びチオキソ基からなる群から選択される1又は2の置換基により置換されている。また、該アルキレン基及びアルケニレン基のメチレン基は、それぞれ独立して、置き換えられていないか、又は-O-、-NRB-(RBは、水素原子、C1-6アルキル基又はハロC1-6アルキル基である)、-S-、-S(=O)-又は-S(=O)2-により置き換えられている)である。ここで、前記置換と置き換えを組み合わせて、リンカーは、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR1-(R1は水素原子、C1-6アルキル基又はハロC1-6アルキル基を示す)、-C(=O)-NR1-(R1は水素原子、C1-6アルキル基又はハロC1-6アルキル基を示す)、-C(=S)-NR1-(R1は水素原子、C1-6アルキル基又はハロC1-6アルキル基を示す)、-NR1-C(=O)-NR1-(R1はそれぞれ独立して、水素原子、C1-6アルキル基又はハロC1-6アルキル基を示す)等で表される基を含んでいてもよい。
【0159】
リンカーは、より好ましくは、C2-20アルキレン基(該アルキレン基のメチレン基は、それぞれ独立して、置き換えられていないか、又は-O-により置き換えられている。置き換えられていないメチレン基は、それぞれ独立して無置換であるか、又はヒドロキシ基又は保護されたヒドロキシ基に置換されている)であり、さらに好ましくはC8-12アルキレン基(該アルキレン基のメチレン基は、それぞれ独立して、置き換えられていないか、又は-O-により置き換えられている。置き換えられていないメチレン基は、それぞれ独立して無置換であるか、又はヒドロキシ基に置換されている)であり、特に好ましくは、1,8-オクチレン基である。またその他の態様として、リンカーは特に好ましくは、下記式(III)で表される基である。
【0160】
【0161】
式中、一つの*は、オリゴヌクレオチドに由来する基との結合位置(ヌクレオチドを構成する原子)を表し、他方の*は、機能性分子に由来する基との結合位置(機能性分子に由来する基を構成する原子)を表す。
【0162】
その他の態様として、リンカーは、より好ましくは、C
2-20アルキレン基(該アルキレン基のメチレン基は、それぞれ独立して、置き換えられていないか、又は-O-若しくは-NR
B-(R
Bは、水素原子又はC
1-6アルキル基である)により置き換えられている。置き換えられていないメチレン基は、それぞれ独立して無置換であるか、又はオキソ基により置換されている)であり、さらに好ましくは、下記式:
【化6】
(式中eは、それぞれ独立して1から6の整数である)で表される基であり、特に好ましくは、下記式:
【化7】
で表される基である。
【0163】
前記「保護されたヒドロキシ基」の保護基は、機能性分子とオリゴヌクレオチドとを結合させる際に安定であればよいため、特に限定されない。リンカーとして特に限定されず、例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS)、第3版、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(JOHN WILLY&SONS)出版(1999年)等に記載されている任意の保護基を挙げることができる。具体的には、メチル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、tert-ブチル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、2-テトラヒドロピラニル基、エトキシエチル基、シアノエチル基、シアノエトキシメチル基、フェニルカルバモイル基、1,1-ジオキソチオモルホリン-4-チオカルバモイル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、[(トリイソプロピルシリル)オキシ]メチル基(Tom基)、1-(4-クロロフェニル)-4-エトキシピペリジン-4-イル基(Cpep基)、トリフェニルメチル基(トリチル基)、モノメトキシトリチル基、ジメトキシトリチル基(DMTr基)、トリメトキシトリチル基、9-フェニルキサンテン-9-イル基(Pixyl基)、9-(p-メトキシフェニル)キサンテン-9-イル基(MOX基)等を挙げることができる。「保護されたヒドロキシ基」の保護基は、好ましくは、ベンゾイル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、トリフェニルメチル基、モノメトキシトリチル基、ジメトキシトリチル基、トリメトキシトリチル基、9-フェニルキサンテン-9-イル基又は9-(p-メトキシフェニル)キサンテン-9-イル基であり、より好ましくは、モノメトキシトリチル基、ジメトキシトリチル基又はトリメトキシトリチル基であり、さらにより好ましくはジメトキシトリチル基である。
【0164】
核酸医薬品に用いる好ましい一本鎖オリゴヌクレオチドとしては以下に示すものが挙げられる。
1) 式(I)
【化8】
{式中、
Yは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択され、少なくとも1個のリボヌクレオチドを含む4~40個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドYに由来する基であり、
Xは、式:
【化9】
(式中、Xbは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択され、少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含む4~40個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXbに由来する基であり、
Xaは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択され、少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含む1~40個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXaに由来する基であり、Xaは、その両端で、オリゴヌクレオチドY及びオリゴヌクレオチドXbにそれぞれ結合する)で表され、5~80個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXに由来する基であり、
Xzは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択され、少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含む5~40個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXzに由来する基であり、
Yzは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択され、少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含む5~40個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドYzに由来する基であり、
Lxは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択される0~20個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドLxに由来する基であり、
Lyは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択される0~20個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドLyに由来する基であり、
mは、0又は1であり、
mが0であるとき、nは、0又は1であり、
mが1であるとき、nは、0であり、
前記オリゴヌクレオチドXはヌクレオチド配列Xを有し、前記オリゴヌクレオチドXaはヌクレオチド配列Xaを有し、前記オリゴヌクレオチドXbはヌクレオチド配列Xbを有し、前記オリゴヌクレオチドYはヌクレオチド配列Yを有し、前記オリゴヌクレオチドXzはヌクレオチド配列Xzを有し、前記オリゴヌクレオチドYzはヌクレオチド配列Yzを有し、前記オリゴヌクレオチドLxはヌクレオチド配列Lxを有し、前記オリゴヌクレオチドLyはヌクレオチド配列Lyを有し、
前記ヌクレオチド配列Xbは、前記ヌクレオチド配列Yと相補的であり、
前記ヌクレオチド配列Xは、標的RNAとのハイブリダイズを可能にするアンチセンス配列を含み、
mが1であり、nが0であるとき、
前記ヌクレオチド配列Xzが、標的RNAとのハイブリダイズを可能にするアンチセンス配列を含み、
mが0であり、nが1であるとき、
前記ヌクレオチド配列Yzが、標的RNAとのハイブリダイズを可能にするアンチセンス配列を含み、
前記アンチセンス配列を2以上有する場合、それぞれのアンチセンス配列部分がハイブリダイズする標的RNAは同一でも異なっていてもよい)
で表され、XbとYとがハイブリダイズする一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0165】
2) Xbが3’側でXaに結合し、Yが5’側でXaに結合する、1)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
3) Xbが5’側でXaに結合し、Yが3’側でXaに結合する、1)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0166】
4) 前記アンチセンス配列と標的RNAの配列との相補性が70%以上である、1)から3)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
5) ヌクレオチド配列Xbとヌクレオチド配列Yとの相補性が70%以上である、1)から4)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
6) 式(I)で表される一本鎖オリゴヌクレオチドに含まれる各ヌクレオチドが、ホスホジエステル結合、ホスホロチオエート結合、メチルホスホネート結合、メチルチオホスホネート結合、ホスホロジチオエート結合及びホスホロアミデート結合からなる群からそれぞれ独立して選ばれる少なくとも一種で互いに連結されている、1)から5)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
7) 式(I)で表される一本鎖オリゴヌクレオチドに含まれる各ヌクレオチドが、ホスホジエステル結合及びホスホロチオエート結合からそれぞれ独立して選ばれる少なくとも一種で互いに連結されている、1)から6)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
8) Xが含むアンチセンス配列部分が、ホスホロチオエート結合を含む、1)から7)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
9) 前記ヌクレオチド配列Xが含むアンチセンス配列が、互いにホスホロチオエート結合で連結されたヌクレオチドを含む配列である、1)から8)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
10) オリゴヌクレオチドXに含まれるヌクレオチドが、ホスホロチオエート結合で互いに連結されている、1)から9)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0167】
11) オリゴヌクレオチドXが含むアンチセンス配列部分の3’側のヌクレオチド及び5’側のヌクレオチドの少なくとも一方が、糖部修飾ヌクレオチドである、1)から10)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
12) オリゴヌクレオチドXが含むアンチセンス配列部分の3’側のヌクレオチド及び5’側のヌクレオチドが、糖部修飾ヌクレオチドである、1)から11)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
13) 前記ヌクレオチド配列Xが含むアンチセンス配列が、糖部修飾ヌクレオチド及びデオキシリボヌクレオチドから独立して選ばれる11~26個のヌクレオチドからなる配列である、1)から12)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
14) 前記ヌクレオチド配列Xが含むアンチセンス配列が、少なくとも1個のデオキシリボヌクレオチドを含む11~26個のヌクレオチドからなる配列である、1)から13)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0168】
15) 前記ヌクレオチド配列Xが含むアンチセンス配列が、標的RNAとハイブリダイズした際に、RNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチドを含む配列である、1)から14)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
16) 前記アンチセンス配列部分が、「前記RNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチドを含む配列部分」の5’側及び3’側に、隣接して結合する糖部修飾ヌクレオチドを含む、15)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
17) 前記「標的RNAとハイブリダイズした際に、RNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチドを含む配列」が、少なくとも1個のデオキシリボヌクレオチドを含む4~20個のヌクレオチドからなる配列である、15)又は16)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0169】
18) 前記ヌクレオチド配列Xが含むアンチセンス配列部分は、少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含み、連続する4個のデオキシリボヌクレオチドを含まない、1)から14)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
19) 前記ヌクレオチド配列Xが含むアンチセンス配列が、4~30個の糖部修飾ヌクレオチドからなる配列である、1)から13)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0170】
20) ヌクレオチド配列Yは、RNaseHによって切断される少なくとも4個の連続するヌクレオチドを含む配列である、1)から19)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
21) ヌクレオチド配列Yが、6~25個のリボヌクレオチドからなる配列である、1)から20)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
22) オリゴヌクレオチドYが、オリゴヌクレオチドYの5’側及び3’側の少なくとも一方に、1つ以上の糖部修飾ヌクレオチドを含む、1)から21)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
23) オリゴヌクレオチドYが、ホスホジエステル結合を含む、1)から22)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
24) Yの5’側及び3’側の少なくとも一方が、隣接するヌクレオチドとホスホジエステル結合で連結されている、1)から23)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
25) オリゴヌクレオチドXaが、デオキシリボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択される3~10個のヌクレオチドからなり、オリゴヌクレオチドXbが、デオキシリボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択される8~16個のヌクレオチドからなる、1)から24)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
26) mが0であり、nが0である、1)から25)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
27) Yの5’側及び3’側のヌクレオチドのうち、少なくとも一方が、ホスホロチオエート化されている、26)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0171】
28) mが1であり、nが0である、1)から25)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
29) Xzが含むアンチセンス配列部分が、ホスホロチオエート結合を含む、28)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
30) 前記ヌクレオチド配列Xzが含むアンチセンス配列が、互いにホスホロチオエート結合で連結されたヌクレオチドを含む配列である、28)又は29)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
31) オリゴヌクレオチドXzに含まれるヌクレオチドが、ホスホロチオエート結合で互いに連結されている、28)から30)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0172】
32) オリゴヌクレオチドXzが含むアンチセンス配列部分の3’側のヌクレオチド及び5’側のヌクレオチドの少なくとも一方が、糖部修飾ヌクレオチドである、28)から31)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
33) オリゴヌクレオチドXzが含むアンチセンス配列部分の3’側のヌクレオチド及び5’側のヌクレオチドが、糖部修飾ヌクレオチドである、28)から32)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
34) 前記ヌクレオチド配列Xzが含むアンチセンス配列が、糖部修飾ヌクレオチド及びデオキシリボヌクレオチドから独立して選ばれる11~26個のヌクレオチドからなる配列である、33)から34)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
35) 前記ヌクレオチド配列Xzが含むアンチセンス配列が、少なくとも1個のデオキシリボヌクレオチドを含む11~26個のヌクレオチドからなる配列である、28)から34)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0173】
36) 前記ヌクレオチド配列Xzが含むアンチセンス配列が、標的RNAとハイブリダイズした際に、RNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチドを含む配列である、28)から35)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
37) 前記アンチセンス配列部分が、「前記RNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチドを含む配列部分」の5’側及び3’側に、隣接して結合する糖部修飾ヌクレオチドを含む、36)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
38) 前記「標的RNAとハイブリダイズした際に、RNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチドを含む配列」が、少なくとも1個のデオキシリボヌクレオチドを含む4~20個のヌクレオチドからなる配列である、36)又は37)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0174】
39) 前記ヌクレオチド配列Xzが含むアンチセンス配列部分は、少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含み、連続する4個のデオキシリボヌクレオチドを含まない、28)から35)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
40) 前記ヌクレオチド配列Xzが含むアンチセンス配列が、4~30個の糖部修飾ヌクレオチドからなる配列である、28)から34)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
41) オリゴヌクレオチドLxが、0個のヌクレオチドからなり、XbとXzとが、ホスホジエステル結合で連結されている、28)から40)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
42) Lxが、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択される1~20個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドLxに由来する基である、28)から40)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
43) オリゴヌクレオチドLxが、ホスホジエステル結合を含む、42)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
44) オリゴヌクレオチドLxに含まれるヌクレオチドが、ホスホジエステル結合で互いに連結されている、42)又は43)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
45) オリゴヌクレオチドLxが、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドからなる群から独立して選択される1~8個のヌクレオチドからなる、42)から44)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
46) オリゴヌクレオチドLxが、オリゴデオキシリボヌクレオチド又はオリゴリボヌクレオチドである、42)から45)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
47) オリゴヌクレオチドLxが、DNA又はRNAである、42)から46)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
48) オリゴヌクレオチドLxが、RNAである、42)から46)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
49) オリゴヌクレオチドYの5’側及び3’側のヌクレオチドのうち、少なくとも一方が、ホスホロチオエート化されている、28)から48)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0175】
50) mが0であり、nが1である、1)から25)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
51) Yzが含むアンチセンス配列部分が、ホスホロチオエート結合を含む、50)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
52) 前記ヌクレオチド配列Yzが含むアンチセンス配列が、互いにホスホロチオエート結合で連結されたヌクレオチドを含む配列である、50)又は51)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
53) オリゴヌクレオチドYzに含まれるヌクレオチドが、ホスホロチオエート結合で互いに連結されている、50)から52)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0176】
54) オリゴヌクレオチドYzが含むアンチセンス配列部分の3’側のヌクレオチド及び5’側のヌクレオチドの少なくとも一方が、糖部修飾ヌクレオチドである、50)から53)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
55) オリゴヌクレオチドYzが含むアンチセンス配列部分の3’側のヌクレオチド及び5’側のヌクレオチドが、糖部修飾ヌクレオチドである、50)から54)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
56) 前記ヌクレオチド配列Yzが含むアンチセンス配列が、糖部修飾ヌクレオチド及びデオキシリボヌクレオチドから独立して選ばれる11~26個のヌクレオチドからなる配列である、50)から55)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
57) 前記ヌクレオチド配列Yzが含むアンチセンス配列が、少なくとも1個のデオキシリボヌクレオチドを含む11~26個のヌクレオチドからなる配列である、50)から56)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0177】
58) 前記ヌクレオチド配列Yzが含むアンチセンス配列が、標的RNAとハイブリダイズした際に、RNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチドを含む配列である、50)から57)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
59) 前記アンチセンス配列部分が、「前記RNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチドを含む配列部分」の5’側及び3’側に、隣接して結合する糖部修飾ヌクレオチドを含む、58)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
60) 前記「標的RNAとハイブリダイズした際に、RNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチドを含む配列」が、少なくとも1個のデオキシリボヌクレオチドを含む4~20個のヌクレオチドからなる配列である、58)又は59)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0178】
61) 前記ヌクレオチド配列Yzが含むアンチセンス配列部分は、少なくとも1個の糖部修飾ヌクレオチドを含み、連続する4個のデオキシリボヌクレオチドを含まない、50)から57)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
62) 前記ヌクレオチド配列Yzが含むアンチセンス配列が、4~30個の糖部修飾ヌクレオチドからなる配列である、50)から56)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
63) オリゴヌクレオチドLyが、0個のヌクレオチドからなり、YとYzとが、ホスホジエステル結合で連結されている、50)から62)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
64) Lyが、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドからなる群から独立して選択される1~20個のヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドLyに由来する基である、50)から62)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
65) オリゴヌクレオチドLyが、ホスホジエステル結合を含む、64)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
66) オリゴヌクレオチドLyに含まれるヌクレオチドが、ホスホジエステル結合で互いに連結されている、64)又は65)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
67) オリゴヌクレオチドLyが、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドからなる群から独立して選択される1~8個のヌクレオチドからなる、64)から66)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
68) オリゴヌクレオチドLyが、オリゴデオキシリボヌクレオチド又はオリゴリボヌクレオチドである、64)から67)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
69) オリゴヌクレオチドLyが、DNA又はRNAである、64)から68)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
70) オリゴヌクレオチドLyが、RNAである、64)から69)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0179】
71) 糖部修飾ヌクレオチドが、それぞれ独立して、2’-O-メチル化ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチル化ヌクレオチド、2’-O-アミノプロピル化ヌクレオチド、2’-フルオロ化ヌクレオチド、2’-F-アラビノヌクレオチド、架橋化ヌクレオチド又は2’-O-メチルカルバモイルエチル化ヌクレオチドである、1)から70)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
72) 糖部修飾ヌクレオチドが、それぞれ独立して、2’-O-メチル化ヌクレオチド又はLNAである、1)から71)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0180】
73) 標識機能、精製機能及び標的RNAへの送達機能からなる群から選択される少なくとも1種の機能を有する機能性分子に由来する基をさらに含む、1)から72)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
74) 前記機能性分子に由来する基が、式(I)で表される一本鎖オリゴヌクレオチドの5’末端のヌクレオチドに直接的又は間接的に結合している、73)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
75) 前記機能性分子に由来する基が、式(I)で表される一本鎖オリゴヌクレオチドの3’末端のヌクレオチドに直接的又は間接的に結合している、73)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0181】
76) 前記機能性分子に由来する基が、C2-20アルキレン基又はC2-20アルケニレン基(該アルキレン基及びアルケニレン基に含まれるメチレン基は、それぞれ独立して、無置換であるか、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、保護されたヒドロキシ基、オキソ基及びチオキソ基からなる群から選択される1つ以上の置換基により置換されている。また、該アルキレン基及びアルケニレン基のメチレン基は、それぞれ独立して、置き換えられていないか、又は-O-、-NRB-(RBは、水素原子、C1-6アルキル基又はハロC1-6アルキル基である)、-S-、-S(=O)-又は-S(=O)2-により置き換えられている)を介して、又は直接共有結合により式(I)で表される一本鎖オリゴヌクレオチドと結合している、73)から75)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
77) 前記機能性分子に由来する基が連結したC2-20アルキレン基又はC2-20アルケニレン基と、式(I)で表される一本鎖オリゴヌクレオチドの5’末端又は3’末端のヌクレオチドとが、ホスホジエステル結合又は修飾されたホスホジエステル結合で連結されている、73)から75)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
78) 前記機能性分子に由来する基が連結したC2-20アルキレン基又はC2-20アルケニレン基と、式(I)で表される一本鎖オリゴヌクレオチドの5’末端又は3’末端のヌクレオチドとが、ホスホジエステル結合で連結されている、73)から75)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
79) 前記機能性分子が、糖、脂質、ペプチド及びタンパク質及びそれらの誘導体からなる群から選択される、73)から78)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0182】
80) 前記機能性分子が、コレステロール、脂肪酸、脂溶性ビタミン、糖脂質及びグリセリドからなる群から選択される脂質である、73)から79)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
81) 前記機能性分子が、コレステロール、トコフェロール及びトコトリエノールからなる群から選択される脂質である、73)から80)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
82) 前記機能性分子がトコフェロールであり、トコフェロールのヒドロキシ基が、C
2-20アルキレン基(該アルキレン基のメチレン基は、それぞれ独立して、置き換えられていないか、又は-O-により置き換えられている。置き換えられていないメチレン基は、それぞれ独立して無置換であるか、又はヒドロキシ基に置換されている)を介して、式(I)で表される一本鎖オリゴヌクレオチドの5’末端又は3’末端のヌクレオチドと結合している、73)から75)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
83) トコフェロールのヒドロキシ基が、下記式(III)
【化10】
(式中、一つの*は、オリゴヌクレオチドに由来する基との結合位置(ヌクレオチドを構成する原子)を表し、他方の*は、機能性分子に由来する基との結合位置(機能性分子に由来する基を構成する原子)を表す。)
で表される基を介して式(I)で表される一本鎖オリゴヌクレオチドの5’末端又は3’末端のヌクレオチドと結合している、73)から75)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
84) 前記機能性分子が、アシアロ糖タンパク質受容体と相互作用する糖誘導体である、73)から79)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
85) 前記機能性分子が、受容体のリガンド及び抗体からなる群から選択される、ペプチド又はタンパク質である、73)から79)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0183】
B-1) 式:
【化11】
(式中、Xb
1は、2個又は3個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXb
1に由来する基であり、
Xb
2は、6~8個のデオキシリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXb
2に由来する基であり、
Xa
2は、1~3個のデオキシリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXa
2に由来する基であり、
Xa
1は、2個又は3個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXa
1に由来する基であり、
Y
2は、6~8個のリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドY
2に由来する基であり、
Y
1は、2個又は3個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドY
1に由来する基である。)で表される、1)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0184】
B-2) 式
【化12】
(式中、Xb
1は、2個又は3個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドに由来する基であり、
Xb
2は、6~8個のデオキシリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドに由来する基であり、
Xa
2は、1~3個のデオキシリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXa
2に由来する基であり、
Xa
1は、2個又は3個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドに由来する基であり、
Y
2は、6~8個のリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドに由来する基であり、
Y
1は、2個又は3個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドに由来する基であり、
Bは、C
2-20アルキレン基又はC
2-20アルケニレン基(該アルキレン基及びアルケニレン基に含まれるメチレン基は、それぞれ独立して、無置換であるか、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、保護されたヒドロキシ基、オキソ基及びチオキソ基からなる群から選択される1つ以上の置換基により置換されている。また、該アルキレン基及びアルケニレン基のメチレン基は、それぞれ独立して、置き換えられていないか、又は-O-、-NR
B-(R
Bは、水素原子、C
1-6アルキル基又はハロC
1-6アルキル基である。)、-S-、-S(O)-又は-S(O)
2-により置き換えられている。)であり、
Aは、機能性分子に由来する基である。)で表される、73)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-3) Bは、C
2-20アルキレン基(該アルキレン基のメチレン基は、それぞれ独立して、置き換えられていないか、又は-O-により置き換えられている。置き換えられていないメチレン基は、それぞれ独立して無置換であるか、又はヒドロキシ基に置換されている。)であり、Aは、トコフェロールに由来する基である、B-2)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-4) Bは、Y
1の末端ヌクレオチドとホスホジエステル結合で連結されている、B-2)又はB-3)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0185】
B-5) Xa2は、2個又は3個のデオキシリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXa2に由来する基である、B-1)からB-4)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0186】
B-6) 糖部修飾ヌクレオチドが、それぞれ独立して、LNA、2’-O-メチル化ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチル化ヌクレオチド及び2’-O-メチルカルバモイルエチル化ヌクレオチドからなる群から選択される、B-1)からB-5)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-7) Xb1及びXa2に含まれる糖部修飾ヌクレオチドが、LNAである、B-1)からB-6)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-8) Y1に含まれる糖部修飾ヌクレオチドが、2’-O-メチル化ヌクレオチドである、B-1)からB-7)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0187】
B-9) Xb1、Xb2、Xa1、Xa2及びY1に含まれるヌクレオチドは、互いにホスホロチオエート結合で連結され、Y2に含まれるヌクレオチドは、互いにホスホジエステル結合で連結されている。)で表される、B-1)からB-8)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-10) Xb1とXb2、Xb2とXa1、Xa1とXa2及びY2とY1のそれぞれの末端ヌクレオチドは、ホスホロチオエート結合で連結され、Xa2とY2のそれぞれの末端ヌクレオチドは、ホスホジエステル結合で連結されている、B-1)からB-9)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0188】
前記B-1)からB-10)において、オリゴヌクレオチドXbは、Xb1-Xb2で表され、オリゴヌクレオチドXaは、Xa2-Xa1で表され、オリゴヌクレオチドYは、Y2-Y1で表される。
【0189】
B-11) 式
【化13】
(式中、Xb
1は、4個又は5個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXb
1に由来する基であり、
Xb
2は、8~10個のデオキシリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXb
2に由来する基であり、
Xaは、4個又は5個の糖部修飾ヌクレオチドからなり、
Y
2は、8~10個のリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドY
2に由来する基であり、
Y
1は、4個又は5個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドY
1に由来する基である。)で表される、1)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0190】
B-12) 式
【化14】
(式中、Xb
1は、4個又は5個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXb
1に由来する基であり、
Xb
2は、8~10個のデオキシリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXb
2に由来する基であり、
Xaは、4個又は5個の糖部修飾ヌクレオチドからなり、
Y
2は、8~10個のリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドY
2に由来する基であり、
Y
1は、4個又は5個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドY
1に由来する基であり、
Bは、C
2-20アルキレン基又はC
2-20アルケニレン基(該アルキレン基及びアルケニレン基に含まれるメチレン基は、それぞれ独立して、無置換であるか、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、保護されたヒドロキシ基、オキソ基及びチオキソ基からなる群から選択される1つ以上の置換基により置換されている。また、該アルキレン基及びアルケニレン基のメチレン基は、それぞれ独立して、置き換えられていないか、又は-O-、-NR
B-(R
Bは、水素原子、C
1-6アルキル基又はハロC
1-6アルキル基である。)、-S-、-S(O)-又は-S(O)
2-により置き換えられている。)であり、
Aは、機能性分子に由来する基である。)で表される、73)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-13) Bは、C
2-20アルキレン基(該アルキレン基のメチレン基は、それぞれ独立して、置き換えられていないか、又は-O-により置き換えられている。置き換えられていないメチレン基は、それぞれ独立して無置換であるか、又はヒドロキシ基に置換されている。)であり、Aは、トコフェロールに由来する基である、B-12)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-14) Bは、Y
1の末端ヌクレオチドとホスホジエステル結合で連結されている、B-12)又はB-13)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0191】
B-15) 糖部修飾ヌクレオチドが、それぞれ独立して、LNA、2’-O-メチル化ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチル化ヌクレオチド及び2’-O-メチルカルバモイルエチル化ヌクレオチドからなる群から選択される、B-11)からB-14)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-16) Xb1及びXaに含まれる糖部修飾ヌクレオチドが、それぞれ独立して、LNA又は2’-O-メトキシエチル化ヌクレオチドである、B-11)からB-15)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-17) Y1に含まれる糖部修飾ヌクレオチドが、2’-O-メチル化ヌクレオチドである、B-11)からB-16)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0192】
B-18) Xb1、Xb2、Xa及びY1に含まれるヌクレオチドは、互いにホスホロチオエート結合で連結され、Y2に含まれるヌクレオチドは、互いにホスホジエステル結合で連結されている。)で表される、B-11)からB-17)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-19) Xb1とXb2、Xb2とXa及びY2とY1のそれぞれの末端ヌクレオチドは、ホスホロチオエート結合で連結され、XaとY2のそれぞれの末端ヌクレオチドは、ホスホジエステル結合で連結されている、B-11)からB-18)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0193】
前記B-11)からB-19)において、オリゴヌクレオチドXbは、Xb1-Xb2で表され、オリゴヌクレオチドYは、Y2-Y1で表される。
【0194】
B-20) 式
【化15】
(式中、Xb
1は、4~6個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXb
1に由来する基であり、
Xb
2は、8~10個のデオキシリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXb
2に由来する基であり、
Xb
3は、1個又は2個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXb
1に由来する基であり、
Xaは、3個又は4個の糖部修飾ヌクレオチドからなり、
Y
2は、9~12個のリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドY
2に由来する基であり、
Y
1は、4~6個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドY
1に由来する基である。)で表される、1)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0195】
B-21) 式
【化16】
(式中、Xb
1は、4~6個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXb
1に由来する基であり、
Xb
2は、8~10個のデオキシリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXb
2に由来する基であり、
Xb
3は、1個又は2個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXb
1に由来する基であり、
Xaは、3個又は4個の糖部修飾ヌクレオチドからなり、
Y
2は、9~12個のリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドY
2に由来する基であり、
Y
1は、4~6個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドY
1に由来する基であり、
Bは、C
2-20アルキレン基又はC
2-20アルケニレン基(該アルキレン基及びアルケニレン基に含まれるメチレン基は、それぞれ独立して、無置換であるか、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、保護されたヒドロキシ基、オキソ基及びチオキソ基からなる群から選択される1つ以上の置換基により置換されている。また、該アルキレン基及びアルケニレン基のメチレン基は、それぞれ独立して、置き換えられていないか、又は-O-、-NR
B-(R
Bは、水素原子、C
1-6アルキル基又はハロC
1-6アルキル基である。)、-S-、-S(O)-又は-S(O)
2-により置き換えられている。)であり、
Aは、機能性分子に由来する基である。)で表される、73)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-22) Bは、C
2-20アルキレン基(該アルキレン基のメチレン基は、それぞれ独立して、置き換えられていないか、又は-O-により置き換えられている。置き換えられていないメチレン基は、それぞれ独立して無置換であるか、又はヒドロキシ基に置換されている。)であり、Aは、トコフェロールに由来する基である、B-21)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-23) Bは、Y
1の末端ヌクレオチドとホスホジエステル結合で連結されている、B-21)又はB-22)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0196】
B-24) 糖部修飾ヌクレオチドが、それぞれ独立して、LNA、2’-O-メチル化ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチル化ヌクレオチド及び2’-O-メチルカルバモイルエチル化ヌクレオチドからなる群から選択される、B-20)からB-23)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-25) Xb1、Xb3及びXaに含まれる糖部修飾ヌクレオチドが、それぞれ独立して、LNA又は2’-O-メトキシエチル化ヌクレオチドである、B-20)からB-24)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-26) Y1に含まれる糖部修飾ヌクレオチドが、2’-O-メチル化ヌクレオチドである、B-20)からB-25)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0197】
B-27) Xb1、Xb2、Xb3、Xa及びY1に含まれるヌクレオチドは、互いにホスホロチオエート結合で連結され、Y2に含まれるヌクレオチドは、互いにホスホジエステル結合で連結されている。)で表される、B-20)からB-26)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-28) Xb1とXb2、Xb2とXb3、Xb3とXa及びY2とY1のそれぞれの末端ヌクレオチドは、ホスホロチオエート結合で連結され、XaとY2のそれぞれの末端ヌクレオチドは、ホスホジエステル結合で連結されている、B-20)からB-27)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0198】
前記B-20)からB-28)において、オリゴヌクレオチドXbは、Xb1-Xb2-Xb3で表され、オリゴヌクレオチドYは、Y2-Y1で表される。
【0199】
B-29) 式
【化17】
(式中、Xb
1は、2個又は3個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドに由来する基であり、
Xb
2は、6~8個のデオキシリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドに由来する基であり、
Xa
2は、1~3個のデオキシリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXa
2に由来する基であり、
Xa
1は、2個又は3個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドに由来する基であり、
Y
0は、8~11個のリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドに由来する基であり、
Bは、C
2-20アルキレン基又はC
2-20アルケニレン基(該アルキレン基及びアルケニレン基に含まれるメチレン基は、それぞれ独立して、無置換であるか、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、保護されたヒドロキシ基、オキソ基及びチオキソ基からなる群から選択される1つ以上の置換基により置換されている。また、該アルキレン基及びアルケニレン基のメチレン基は、それぞれ独立して、置き換えられていないか、又は-O-、-NR
B-(R
Bは、水素原子、C
1-6アルキル基又はハロC
1-6アルキル基である。)、-S-、-S(O)-又は-S(O)
2-により置き換えられている。)であり、
Aは、機能性分子に由来する基である。)で表される、73)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-30) Bは、C
2-20アルキレン基(該アルキレン基のメチレン基は、それぞれ独立して、置き換えられていないか、又は-O-により置き換えられている。置き換えられていないメチレン基は、それぞれ独立して無置換であるか、又はヒドロキシ基に置換されている。)であり、Aは、トコフェロールに由来する基である、B-28)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-31) Bは、Y
0の末端ヌクレオチドとホスホジエステル結合で連結されている、B-29)又はB-30)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0200】
B-32) Xa2は、2個又は3個のデオキシリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXa2に由来する基である、B-29)からB-31)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0201】
B-33) 糖部修飾ヌクレオチドが、それぞれ独立して、LNA、2’-O-メチル化ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチル化ヌクレオチド及び2’-O-メチルカルバモイルエチル化ヌクレオチドからなる群から選択される、B-29)からB-32)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-34) Xb1及びXa2に含まれる糖部修飾ヌクレオチドが、LNA、2’-O-メトキシエチル化ヌクレオチド又は2’-O-メチルカルバモイルエチル化ヌクレオチドである、B-29)からB-33)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0202】
B-35) Xb1、Xb2、Xa1及びXa2に含まれるヌクレオチドは、互いにホスホロチオエート結合で連結され、Y0に含まれるヌクレオチドは、互いにホスホジエステル結合で連結されている。)で表される、B-29)からB-34)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-36) Xb1とXb2、Xb2とXa1、及びXa1とXa2のそれぞれの末端ヌクレオチドは、ホスホロチオエート結合で連結され、Xa2とY0のそれぞれの末端ヌクレオチドは、ホスホジエステル結合で連結されている、B-29)からB-35)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0203】
前記B-29)からB-36)において、オリゴヌクレオチドXbは、Xb1-Xb2で表され、オリゴヌクレオチドXaは、Xa2-Xa1で表され、オリゴヌクレオチドYは、Y0で表される。
【0204】
B-37) 式
【化18】
(式中、Xb
1は、4個又は5個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXb
1に由来する基であり、
Xb
2は、8~10個のデオキシリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXb
2に由来する基であり、
Xaは、4個又は5個の糖部修飾ヌクレオチドからなり、
Y
0は、12~15個のリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドY
0に由来する基であり、
Bは、C
2-20アルキレン基又はC
2-20アルケニレン基(該アルキレン基及びアルケニレン基に含まれるメチレン基は、それぞれ独立して、無置換であるか、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、保護されたヒドロキシ基、オキソ基及びチオキソ基からなる群から選択される1つ以上の置換基により置換されている。また、該アルキレン基及びアルケニレン基のメチレン基は、それぞれ独立して、置き換えられていないか、又は-O-、-NR
B-(R
Bは、水素原子、C
1-6アルキル基又はハロC
1-6アルキル基である。)、-S-、-S(O)-又は-S(O)
2-により置き換えられている。)であり、
Aは、機能性分子に由来する基である。)で表される、73)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-38) Bは、C
2-20アルキレン基(該アルキレン基のメチレン基は、それぞれ独立して、置き換えられていないか、又は-O-により置き換えられている。置き換えられていないメチレン基は、それぞれ独立して無置換であるか、又はヒドロキシ基に置換されている。)であり、Aは、トコフェロールに由来する基である、B-37)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-39) Bは、Y
0の末端ヌクレオチドとホスホジエステル結合で連結されている、B-37)又はB-38)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0205】
B-40) 糖部修飾ヌクレオチドが、それぞれ独立して、LNA、2’-O-メチル化ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチル化ヌクレオチド及び2’-O-メチルカルバモイルエチル化ヌクレオチドからなる群から選択される、B-37)からB-39)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-41) Xb1及びXaに含まれる糖部修飾ヌクレオチドが、それぞれ独立して、LNA、2’-O-メトキシエチル化ヌクレオチド又は2’-O-メチルカルバモイルエチル化ヌクレオチドである、B-37)からB-40)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0206】
B-42) Xb1、Xb2、及びXaに含まれるヌクレオチドは、互いにホスホロチオエート結合で連結され、Y0に含まれるヌクレオチドは、互いにホスホジエステル結合で連結されている。)で表される、B-37)からB-41)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-43) Xb1とXb2、及びXb2とXaのそれぞれの末端ヌクレオチドは、ホスホロチオエート結合で連結され、XaとY0のそれぞれの末端ヌクレオチドは、ホスホジエステル結合で連結されている、B-37)からB-42)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0207】
前記B-37)からB-43)において、オリゴヌクレオチドXbは、Xb1-Xb2で表され、オリゴヌクレオチドYは、Y0で表される。
【0208】
B-44) 式
【化19】
(式中、Xb
1は、4~6個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXb
1に由来する基であり、
Xb
2は、8~10個のデオキシリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXb
2に由来する基であり、
Xb
3は、1個又は2個の糖部修飾ヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドXb
1に由来する基であり、
Xaは、3個又は4個の糖部修飾ヌクレオチドからなり、
Y
0は、13~18個のリボヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドY
0に由来する基であり、
Bは、C
2-20アルキレン基又はC
2-20アルケニレン基(該アルキレン基及びアルケニレン基に含まれるメチレン基は、それぞれ独立して、無置換であるか、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、保護されたヒドロキシ基、オキソ基及びチオキソ基からなる群から選択される1つ以上の置換基により置換されている。また、該アルキレン基及びアルケニレン基のメチレン基は、それぞれ独立して、置き換えられていないか、又は-O-、-NR
B-(R
Bは、水素原子、C
1-6アルキル基又はハロC
1-6アルキル基である。)、-S-、-S(O)-又は-S(O)
2-により置き換えられている。)であり、
Aは、機能性分子に由来する基である。)で表される、73)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-45) Bは、C
2-20アルキレン基(該アルキレン基のメチレン基は、それぞれ独立して、置き換えられていないか、又は-O-により置き換えられている。置き換えられていないメチレン基は、それぞれ独立して無置換であるか、又はヒドロキシ基に置換されている。)であり、Aは、トコフェロールに由来する基である、B-42)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-46) Bは、Y
0の末端ヌクレオチドとホスホジエステル結合で連結されている、B-44)又はB-45)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0209】
B-47) 糖部修飾ヌクレオチドが、それぞれ独立して、LNA、2’-O-メチル化ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチル化ヌクレオチド及び2’-O-メチルカルバモイルエチル化ヌクレオチドからなる群から選択される、B-44)からB-46)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-48) Xb1、Xb3及びXaに含まれる糖部修飾ヌクレオチドが、それぞれ独立して、LNA、2’-O-メトキシエチル化ヌクレオチド又は2’-O-メチルカルバモイルエチル化ヌクレオチドである、B-44)からB-47)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-49) Xb1、Xb3及びXaに含まれる糖部修飾ヌクレオチドが、2’-O-メチルカルバモイルエチル化ヌクレオチドである、B-44)からB-47)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0210】
B-50) Xb1、Xb2、Xb3、及びXaに含まれるヌクレオチドは、互いにホスホロチオエート結合で連結され、Y0に含まれるヌクレオチドは、互いにホスホジエステル結合で連結されている。)で表される、B-44)からB-48)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
B-51) Xb1とXb2、Xb2とXb3、及びXb3とXaのそれぞれの末端ヌクレオチドは、ホスホロチオエート結合で連結され、XaとY0のそれぞれの末端ヌクレオチドは、ホスホジエステル結合で連結されている、B-44)からB-50)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0211】
前記B-44)からB-51)において、オリゴヌクレオチドXbは、Xb1-Xb2-Xb3で表され、オリゴヌクレオチドYは、Y0で表される。
【0212】
B-52) デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド及び糖部修飾ヌクレオチドにおける塩基部分が、アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)、ウラシル(U)及び5-メチルシトシン(5-me-C)からなる群から選ばれる少なくとも1種である、1)から85)及びB-1)からB-51)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
【0213】
D-1) 1)から85)及びB-1)からB-52)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチドを有効成分として含有する医薬。
【0214】
Xb
1-Xb
2-Xa
2-Xa
1で表される部分がアンチセンス配列部分であり、Xb
1-Xb
2で表される部分とY
2-Y
1で表される部分とが、分子内でハイブリダイズするB-1)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチドの概念図を
図1に示す。
図1に示される一本鎖オリゴヌクレオチドでは、2又は3個の糖部修飾ヌクレオチドからなるXb
1と、6~8個のデオキシリボヌクレオチドからなるXb
2と、1~3個のデオキシリボヌクレオチドからなるXa
1と2又は3個の糖部修飾ヌクレオチドからなるXa
2と、6~8個のリボヌクレオチドからなるY
2と、2又は3個の糖部修飾ヌクレオチドからなるY
1とが、この順に結合している。Xb
1からY
1への結合方向は、5’から3’方向であっても、3’から5’方向であってもよい。
図1では、Xb
2とY
2とが二重鎖を形成している。Xb
1とY
1とは、二重鎖を形成している。
【0215】
Xb
1-Xb
2-Xa
2-Xa
1で表される部分がアンチセンス配列部分であり、Xb
1-Xb
2で表される部分とY
2-Y
1で表される部分とが、分子内でハイブリダイズするB-2)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチドの概念図を
図2に示す。
図2に示される一本鎖オリゴヌクレオチドでは、2又は3個の糖部修飾ヌクレオチドからなるXb
1と、6~8個のデオキシリボヌクレオチドからなるXb
2と、1~3個のデオキシリボヌクレオチドからなるXa
1と2又は3個の糖部修飾ヌクレオチドからなるXa
2と、6~8個のリボヌクレオチドからなるY
2と、2又は3個の糖部修飾ヌクレオチドからなるY
1と、C
2-20アルキレン基等であるBと、機能性分子に由来する基であるAとが、この順に結合している。Xb
1からY
1への結合方向は、5’から3’方向であっても、3’から5’方向であってもよい。
図2では、Xb
2とY
2とが二重鎖を形成している。Xb
1とY
1とは、二重鎖を形成している。
【0216】
Xb
1-Xb
2-Xaで表される部分がアンチセンス配列部分であり、Xb
1-Xb
2で表される部分とY
2-Y
1で表される部分とが、分子内でハイブリダイズするB-11)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチドの概念図を
図3に示す。
図3に示される一本鎖オリゴヌクレオチドでは、4又は5個の糖部修飾ヌクレオチドからなるXb
1と、8~10個のデオキシリボヌクレオチドからなるXb
2と、4又は5個の糖部修飾ヌクレオチドからなるXaと、8~10個のリボヌクレオチドからなるY
2と、4又は5個の糖部修飾ヌクレオチドからなるY
1とが、この順に結合している。Xb
1からY
1への結合方向は、5’から3’方向であっても、3’から5’方向であってもよい。
図3では、Xb
2とY
2とが二重鎖を形成している。Xb
1とY
1とは、二重鎖を形成している。
【0217】
Xb
1-Xb
2-Xaで表される部分がアンチセンス配列部分であり、Xb
1-Xb
2で表される部分とY
2-Y
1で表される部分とが、分子内でハイブリダイズするB-12)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチドの概念図を
図4に示す。
図4に示される一本鎖オリゴヌクレオチドでは、4又は5個の糖部修飾ヌクレオチドからなるXb
1と、8~10個のデオキシリボヌクレオチドからなるXb
2と、4又は5個の糖部修飾ヌクレオチドからなるXaと、8~10個のリボヌクレオチドからなるY
2と、4又は5個の糖部修飾ヌクレオチドからなるY
1と、C
2-20アルキレン基等であるBと、機能性分子に由来する基であるAとが、この順に結合している。Xb
1からY
1への結合方向は、5’から3’方向であっても、3’から5’方向であってもよい。
図4では、Xb
2とY
2とが二重鎖を形成している。Xb
1とY
1とは、二重鎖を形成している。
【0218】
Xb
1-Xb
2-Xb
3-Xaで表される部分がアンチセンス配列部分であり、Xb
1-Xb
2-Xb
3で表される部分と、Y
2-Y
1で表される部分とが、分子内でハイブリダイズするB-20)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチドの概念図を
図5に示す。
図5に示される一本鎖オリゴヌクレオチドでは、4~6個の糖部修飾ヌクレオチドからなるXb
1と、8~10個のデオキシリボヌクレオチドからなるXb
2と、1又は2個の糖部修飾ヌクレオチドからなるXb
3と、3又は4個の糖部修飾ヌクレオチドからなるXaと、9~12個のリボヌクレオチドからなるY
2と、4~6個の糖部修飾ヌクレオチドからなるY
1とが、この順に結合している。Xb
1からY
1への結合方向は、5’から3’方向であっても、3’から5’方向であってもよい。
図5では、Xb
2とY
2とが二重鎖を形成している。Xb
1とY
1とは、二重鎖を形成している。
【0219】
Xb
1-Xb
2-Xb
3-Xaで表される部分がアンチセンス配列部分であり、Xb
1-Xb
2-Xb
3で表される部分と、Y
2-Y
1で表される部分とが、分子内でハイブリダイズするB-21)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチドの概念図を
図6に示す。
図6に示される一本鎖オリゴヌクレオチドでは、4~6個の糖部修飾ヌクレオチドからなるXb
1と、8~10個のデオキシリボヌクレオチドからなるXb
2と、1又は2個の糖部修飾ヌクレオチドからなるXb
3と、3又は4個の糖部修飾ヌクレオチドからなるXaと、9~12個のリボヌクレオチドからなるY
2と、4~6個の糖部修飾ヌクレオチドからなるY
1と、C
2-20アルキレン基等であるBと、機能性分子に由来する基であるAが、この順に結合している。Xb
1からY
1への結合方向は、5’から3’方向であっても、3’から5’方向であってもよい。
図6では、Xb
2とY
2とが二重鎖を形成している。Xb
1とY
1とは、二重鎖を形成している。
【0220】
Xb
1-Xb
2-Xa
2-Xa
1で表される部分がアンチセンス配列部分であり、Xb
1-Xb
2で表される部分とY
0で表される部分とが、分子内でハイブリダイズするB-29)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチドの概念図を
図7に示す。
図7に示される一本鎖オリゴヌクレオチドでは、2又は3個の糖部修飾ヌクレオチドからなるXb
1と、6~8個のデオキシリボヌクレオチドからなるXb
2と、1~3個のデオキシリボヌクレオチドからなるXa
1と2又は3個の糖部修飾ヌクレオチドからなるXa
2と、8~11個のリボヌクレオチドからなるY
0とC
2-20アルキレン基等であるBと、機能性分子に由来する基であるAとが、この順に結合している。Xb
1からY
0への結合方向は、5’から3’方向であっても、3’から5’方向であってもよい。
図7では、Xb
2とY
0とが二重鎖を形成している。Xb
1とY
0とは、二重鎖を形成している。
【0221】
Xb
1-Xb
2-Xaで表される部分がアンチセンス配列部分であり、Xb
1-Xb
2で表される部分とY
0で表される部分とが、分子内でハイブリダイズするB-37)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチドの概念図を
図8に示す。
図8に示される一本鎖オリゴヌクレオチドでは、4又は5個の糖部修飾ヌクレオチドからなるXb
1と、8~10個のデオキシリボヌクレオチドからなるXb
2と、4又は5個の糖部修飾ヌクレオチドからなるXaと、12~15個のリボヌクレオチドからなるY
0と、C
2-20アルキレン基等であるBと、機能性分子に由来する基であるAとが、この順に結合している。Xb
1からY
0への結合方向は、5’から3’方向であっても、3’から5’方向であってもよい。
図8では、Xb
2とY
0とが二重鎖を形成している。Xb
1とY
0とは、二重鎖を形成している。
【0222】
Xb
1-Xb
2-Xb
3-Xaで表される部分がアンチセンス配列部分であり、Xb
1-Xb
2-Xb
3で表される部分と、Y
0で表される部分とが、分子内でハイブリダイズするB-44)に記載の一本鎖オリゴヌクレオチドの概念図を
図9に示す。
図9に示される一本鎖オリゴヌクレオチドでは、4~6個の糖部修飾ヌクレオチドからなるXb
1と、8~10個のデオキシリボヌクレオチドからなるXb
2と、1又は2個の糖部修飾ヌクレオチドからなるXb
3と、3又は4個の糖部修飾ヌクレオチドからなるXaと、13~18個のリボヌクレオチドからなるY
0と、C
2-20アルキレン基等であるBと、機能性分子に由来する基であるAが、この順に結合している。Xb
1からY
0への結合方向は、5’から3’方向であっても、3’から5’方向であってもよい。
図9では、Xb
2とY
0とが二重鎖を形成している。Xb
1とY
0とは、二重鎖を形成している。
【0223】
本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドを使用する好ましい方法としては以下に示すものが挙げられる。
E-1) 1)から85)及びB-1)からB-52)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチドと細胞を接触させる工程を含む、標的RNAの機能を制御する方法。
E-2) 1)から85)及びB-1)からB-52)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物を、哺乳動物に投与する工程を含む、該哺乳動物おける標的RNAの機能を制御する方法。
E-3) 哺乳動物がヒトである、E-2)に記載の方法。
E-4) 投与経路が経腸管的である、E-2)又はE-3)に記載の方法。
E-5) 投与経路が非経腸管的である、E-2)又はE-3)に記載の方法。
E-6) 哺乳動物において、標的RNAの機能を制御するための、1)から85)及びB-1)からB-52)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチドの使用。
E-7) 哺乳動物において、標的RNAの機能を制御するための薬剤を製造するための、1)から85)及びB-1)からB-52)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチドの使用。
E-8) 哺乳動物がヒトである、E-6)又はE-7)に記載の使用。
【0224】
本発明における標的RNAの機能の制御は、アンチセンス配列部分がハイブリダイゼーションにより標的RNAの一部を被覆することによって生じる、翻訳の阻害又はエキソンスキッピング等のスプライシング機能が調節若しくは変換されること、又は、アンチセンス配列部分と標的RNAの一部とがハイブリダイズした部分が認識されることにより生じ得る前記標的RNAの分解によって、標的RNAの機能が抑制されること等を意味する。
【0225】
E-9) 1)から85)及びB-1)からB-52)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチドと細胞を接触させる工程を含む、標的遺伝子の発現を制御する方法。
E-10) 1)から85)及びB-1)からB-52)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチドを含む医薬組成物を、哺乳動物に投与する工程を含む、該哺乳動物おける標的遺伝子の発現を制御する方法。
E-11) 哺乳動物がヒトである、E-10)に記載の方法。
E-12) 投与経路が経腸管的である、E-10)又はE-11)に記載の方法。
E-13) 投与経路が非経腸管的である、E-10)又はE-11)に記載の方法。
E-14) 哺乳動物において、標的遺伝子の発現を制御するための、1)から85)及びB-1)からB-52)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチドの使用。
E-15) 哺乳動物において、標的遺伝子の発現を制御するための薬剤を製造するための、1)から85)及びB-1)からB-52)のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチドの使用。
E-16) 哺乳動物がヒトである、E-14)又はE-15)に記載の使用。
【0226】
以上、一本鎖オリゴヌクレオチドの好適な態様について説明したが、本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドは上記態様に限定されるものではない。一本鎖オリゴヌクレオチドは、例えばそれに含まれる、環内、環外を問わずそれらの互変異性、幾何異性を経由して存在することに加えて、その混合物或いはそれぞれの異性体の混合物として存在するものも含む。又、不斉中心が存在する場合、或いは異性化の結果、不斉中心が生じる場合はそれぞれの光学異性体及び任意の比率の混合物として存在するものも含む。また、不斉中心を2個以上持つ化合物の場合には、さらにそれぞれの光学異性によるジアステレオマーも存在する。本発明は、これらすべての型を、任意の割合で含んだものも含む。
【0227】
本発明には、式(I)で表される一本鎖オリゴヌクレオチドの医薬的に許容され得る塩も含む。
式(I)で表される一本鎖オリゴヌクレオチドは、必要に応じて医薬的に許容され得る塩に変換することも、又は生成した塩から遊離させることもできる。式(I)で表される一本鎖オリゴヌクレオチドの医薬的に許容され得る塩としては、例えば、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウムなど)、アンモニウム、有機塩基(トリエチルアミン、トリメチルアミンなど)、アミノ酸(グリシン、リシン、グルタミン酸など)、無機酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸など)又は有機酸(酢酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸など)との塩が挙げられる。
特に、-P(=O)(OH)-で表される部分構造が、-P(=O)(O-)-で表されるアニオン性の部分構造へ変換されて、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウムなど)又はアンモニウム等と塩を形成してもよい。また、ホスホロチオエート結合を形成する、-P(=O)(SH)-で表される部分構造が、-P(=O)(S-)-で表されるアニオン性の部分構造へ変換されて、同様に、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム等と塩を形成してもよい。
【0228】
本発明には、式(I)で表される一本鎖オリゴヌクレオチドのプロドラッグも含む。
プロドラッグとは、化学的又は代謝的に分解できる基を有する医薬品化合物の誘導体であり、加溶媒分解により又は生理的条件下のインビボ(in vivo)において分解され薬理学的に活性な医薬品化合物へと誘導される化合物である。適当なプロドラッグ誘導体を選択する方法及び製造する方法は、例えば デザイン オブ プロドラッグス(エルゼビア、アムステルダム 1985)(Design of Prodrugs (Elsevier, Amsterdam 1985))に記載されている。本発明の場合、水酸基を有する場合は、その化合物と適当なアシルハライド、適当な酸無水物又は適当なハロゲン化アルキルオキシカルボニル化合物とを反応させることによって製造されるアシルオキシ誘導体のようなプロドラッグが例示される。プロドラッグとして特に好ましい構造としては-O-COC2H5、-O-CO(t-Bu)、-O-COC15H31、-O-CO(m-CO2Na-Ph)、-O-COCH2CH2CO2Na-OCOCH(NH2)CH3、-O-COCH2N(CH3)2又は-O-CH2OC(=O)CH3などが挙げられる。本発明を形成する一本鎖オリゴヌクレオチドがアミノ基を有する場合は、アミノ基を有する化合物と適当な酸ハロゲン化物、適当な混合酸無水物又は適当なハロゲン化アルキルオキシカルボニル化合物とを反応させることにより製造されるプロドラッグが例示される。プロドラッグとして特に好ましい構造としては、-NH-CO(CH2)20OCH3、-NH-COCH(NH2)CH3、-NH-CH2OC(=O)CH3等が挙げられる。
【0229】
本発明の式(I)で示される一本鎖オリゴヌクレオチド又はその医薬的に許容される塩は、製造条件により任意の結晶形として存在することができ、任意の水和物として存在することができるが、これら結晶形や水和物及びそれらの混合物も本発明の範囲に含有される。またアセトン、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノールなどの有機溶媒を含む溶媒和物として存在することもあるが、これらの形態はいずれも本発明の範囲に含有される。
【0230】
一本鎖オリゴヌクレオチドは、当業者であれば公知の方法を適宜選択することにより調製することができる。例えば、当業者は、標的RNAのヌクレオチド配列の情報に基づいて、一本鎖オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列を設計し、市販の核酸自動合成機(アプライドバイオシステムズ社製、ベックマン社製、ジーンデザイン社等)を用いて合成することができる。また、酵素を用いた反応によって合成することもできる。前記酵素としては、ポリメラ―ゼ、ライゲース及び制限酵素等が挙げられるが、これらに限定されない。すなわち、本実施形態に係る一本鎖オリゴヌクレオチドの製造方法は、X、Y、Xz、Yz、Lx及びLyの少なくとも1つを含むオリゴヌクレオチド(中でも、X及びYの少なくとも1つを含むオリゴヌクレオチド)の3’末端又は5’末端でヌクレオチド鎖を伸長する工程を含むことができる。
【0231】
機能性分子と該オリゴヌクレオチドとを結合させるための多くの方法は、当該分野においてよく知られており、例えば、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマシューティカルズ・アンド・バイオファーマシューティクス、107巻、321~340頁(2016年)、アドバンスト・ドラッグ・デリバリー・レビューズ、104巻、78~92頁(2016年)、エキスパート・オピニオン・オン・ドラッグ・デリバリー、11巻、791~822頁(2014年)等を参照できる。例えば、機能性分子とリンカーとを公知の方法により結合させた後に、それをアミダイト化試薬によりアミダイト体へ、又はH-ホスホネート試薬によりH-ホスホネート体へと誘導し、オリゴヌクレオチドと結合させることができる。
【0232】
得られるオリゴヌクレオチドを逆相カラムクロマトグラフィー等により精製することにより、一本鎖オリゴヌクレオチドを調製することができる。そして、調製された一本鎖オリゴヌクレオチドを適当な緩衝液中にて混合し、90~98℃にて数分間(例えば、5分間)かけて変性させた後、30~70℃にて1~8時間かけてハイブリダイズさせることにより、分子内でハイブリダイズした一本鎖オリゴヌクレオチドを調製することができる。当該分子内でハイブリダイズさせる工程を省略することができる場合がある。
【0233】
一本鎖オリゴヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を効果的に制御することができる。従って、一本鎖オリゴヌクレオチドを有効成分として含有する、例えば、標的遺伝子の発現をアンチセンス効果によって制御するための組成物を、本発明は提供することができる。特に、一本鎖オリゴヌクレオチドは、低濃度の投与により高い薬効を得ることができ、代謝性疾患、腫瘍、感染症といった標的遺伝子の発現亢進に伴う疾患を治療、予防、改善するための医薬組成物も、いくつかの実施形態において提供することができる。
【0234】
一本鎖オリゴヌクレオチドを含む組成物は、公知の製剤学的方法により製剤化することができる。例えば、カプセル剤、錠剤、丸剤、液剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、フィルムコーティング剤、ペレット剤、トローチ剤、舌下剤、咀嚼剤、バッカル剤、ペースト剤、シロップ剤、懸濁剤、エリキシル剤、乳剤、塗布剤、軟膏剤、硬膏剤、パップ剤、経皮吸収型製剤、ローション剤、吸引剤、エアゾール剤、注射剤、坐剤等として、経腸管的(経口的等)又は非経腸管的に使用することができる。
【0235】
これら製剤化においては、薬理学上もしくは飲食品として許容される担体、具体的には、滅菌水や生理食塩水、植物油、溶剤、基剤、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、pH調節剤、安定剤、香味剤、芳香剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、結合剤、希釈剤、等張化剤、無痛化剤、増量剤、崩壊剤、緩衝剤、コーティング剤、滑沢剤、着色剤、甘味剤、粘稠剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤あるいはその他の添加剤等と適宜組み合わせることができる。
【0236】
一本鎖オリゴヌクレオチドを含む組成物の投与形態としては特に制限はないが、経腸管的(経口的等)又は非経腸管的投与が挙げられる。より好ましくは、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、皮内投与、気道内投与、直腸投与、筋肉内投与、髄腔内投与、脳室内投与、経鼻投与及び硝子体内投与等及び輸液による投与が挙げられる。
【0237】
一本鎖オリゴヌクレオチドを利用した核酸医薬品が治療、予防、改善できる疾患は、特に制限されず、例えば、代謝性疾患、循環器疾患、腫瘍、感染症、眼疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、遺伝性希少疾患等、遺伝子の発現が原因となる疾患等が挙げられる。より具体的には、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、脊髄性筋委縮症、筋ジストロフィー(デュシェンヌ型筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィー、先天性筋ジストロフィー(福山型先天性筋ジストロフィー、ウールリッヒ型先天性筋ジストロフィー、メロシン欠損型先天性筋ジストロフィー、インテグリン欠損症、ウォーカーワールブルグ症候群等)、ベッカー型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、三好型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー等)、ハンチントン病、アルツハイマー症、トランスサイレイチン型アミロイドーシス、家族性アミロイド性心筋症、多発性硬化症、クローン病、炎症性大腸疾患、先端巨大症、2型糖尿病、慢性腎症、RSウイルス感染症、エボラ出血熱、マールブルグ熱、HIV、インフルエンザ、B型肝炎、C型肝炎、肝硬変、慢性心不全、心筋線維化、心房細動、前立腺がん、メラノーマ、乳がん、膵臓癌、大腸癌、腎細胞癌、胆管癌、子宮頸癌、肝癌、肺癌、白血病、非ホジキンリンパ腫、アトピー性皮膚炎、緑内障、加齢性黄斑変性症等が挙げられる。前記疾患の種類に応じて、その疾患の原因となる遺伝子を前記標的遺伝子に設定し、さらに、前記標的遺伝子の配列に応じて、前記発現制御配列(例えば、アンチセンス配列)を適宜設定することができる。
【0238】
ヒトなどの霊長類に加えて、様々な他の哺乳類の疾患を、一本鎖オリゴヌクレオチドを含む組成物により治療、予防、改善することができる。例えば、それだけに限らないが、ウシ(cow)、ヒツジ(sheep)、ヤギ、ウマ(horse)、イヌ(dog)、ネコ(cat)、テンジクネズミ、又は他のウシ(bovine)、ヒツジ(ovine)、ウマ(equine)、イヌ(canine)、ネコ(feline)、マウスなどの齧歯類の種を含めた哺乳類の種の疾患を治療することができる。また、一本鎖オリゴヌクレオチドを含む組成物は、鳥類(例えば、ニワトリ)などの他の種においても適用することができる。
【0239】
一本鎖オリゴヌクレオチドを含む組成物を、ヒトを含む動物に投与又は摂取する場合、その投与量又は摂取量は、対象の年齢、体重、症状、健康状態、組成物の種類(医薬品、飲食品など)等に応じて、適宜選択されるが、その投与量又は摂取量は、一本鎖オリゴヌクレオチド換算で0.0001mg/kg/日~100mg/kg/日であることが好ましい。
【0240】
一本鎖オリゴヌクレオチドは、標的遺伝子の発現を非常に効果的に制御することができる。従って、ヒトを含む動物に一本鎖オリゴヌクレオチドを投与し、標的遺伝子の発現をアンチセンス効果によって制御する方法を提供することができる。また、一本鎖オリゴヌクレオチドを含む組成物を、ヒトを含む動物に投与することを含む、標的遺伝子の発現亢進等を伴う各種疾患を治療、予防、改善するための方法をも提供することができる。
【実施例0241】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。以下の実施例及び
図10、12及び14において、「Example」は、実施例を意味し、「Comparative」は、比較例を意味し、「control」はコントロールを意味する。
【0242】
(実施例1、比較例1)
表1に記載されたオリゴヌクレオチドを、核酸自動合成機nS-8II(ジーンデザイン社製)を使用して調製した。標的遺伝子は、マウススカベンジャー受容体クラスBメンバー1(SRB1)である。なお、表1中の配列表記において、「(L)」はLNAを意味し、「(M)」は2’-O-メチル化ヌクレオチドを意味し、小文字のアルファベットはデオキシリボヌクレオチドを意味し、大文字のアルファベット(前記(L)及び(M)付のアルファベットは除く)はリボヌクレオチドを意味し、「^」はホスホロチオエート結合を意味し、「5」は、そのヌクレオチドの塩基が5-メチルシトシンであることを意味する。「Toc-TEG-」は、5’末端のリン酸基の1つの酸素原子に、下記式(III-2)
【化20】
(式中、*は、オリゴヌクレオチドYとの結合位置を表し、**は、トコフェロールとの結合位置を表す。)で表される基を介して、下記式(IV)で表されるトコフェロールのヒドロキシ基から水素原子を取り除いた部分が結合していることを意味する。
【化21】
【0243】
【0244】
実施例1における分子内ハイブリダイゼーション及び、比較例1における2つのオリゴヌクレオチドの分子間ハイブリダイゼーションは、95℃にて5分間加熱した後、37℃にて1時間、定温にて放置することで行った。ハイブリダイゼーションの確認は、非変性ポリアクリドアミドゲル電気泳動により確認した。
【0245】
[評価例1]
C57BL/6Jマウス(オス5週齢、日本チャールス・リバー社)へ、生理食塩水(大塚生食注、(株)大塚製薬工場)に溶解した実施例1及び比較例1を、マウス個体あたりの投与量がアンチセンスオリゴヌクレオチド量換算で40nmol/kgとなるように静脈投与した。コントロールとして、生理食塩水(大塚生食注、(株)大塚製薬工場)のみを投与した。投与3日後に眼窩静脈叢から採血した後、イソフルラン麻酔下で肝臓組織を採取した。肝臓からのRNA抽出はRNeasy Mini Kit(Qiagen社製)を用いてQiagen社の推奨プロトコル通りに行った。Total RNAからPrimeScript RT Master Mix(タカラバイオ(株)製)を用いてcDNAを得た。得られたcDNA及びTaqMan(登録商標)Gene Expression ID(Applied Biosystems社製)を用いて7500 Real-Time PCR System(AppliedBiosystems社製)によりリアルタイムPCRを行い、SRB1のmRNA量を定量した。リアルタイムPCRでは、ハウスキーピング遺伝子のCyclophilinのmRNA量も同時に定量し、CyclophilinのmRNA量に対するSRB1のmRNA量を、SRB1の発現レベルとして評価した。結果を
図10に示す。
なお、用いたプライマーは、TaqMan Gene Expression Assay(Applied Biosystems社製)であり、Assay IDは、以下のとおりであった:
マウスSRB1定量用: Mm00450234_m1
マウスcyclophilin定量用:Mm0234230_g1
【0246】
図10から明らかなように、本発明に係る一本鎖オリゴヌクレオチド(実施例1)はHDO(比較例1)に比較して、同等のアンチセンス効果を示すことが確認された。
【0247】
[評価例2]
実施例1における、前記分子内ハイブリダイゼーション処理前後の非変性ポリアクリドアミドゲル電気泳動結果を
図11に示す。一本鎖DNAのサイズマーカーとして、ジーンデザイン社製電気泳動用一本鎖DNAサイズマーカーを用いた。これは、ヌクレオチド数が15、20、30、40、50、60及び80の一本鎖のDNAを含む。二本鎖RNAのサイズマーカーとして、ジーンデザイン社製電気泳動用2本鎖RNAサイズマーカー用いた。これは、塩基対の数が17、21、25及び29の二本鎖のRNAを含む。なお、
図11中、「Lane No.」は前記電気泳動試験におけるレーン番号を、「Example No.」は実施例番号を、「before」は上記ハイブリダイゼーション処理前を、「after」は上記ハイブリダイゼーション処理後を、「ss-DNA size marker」は、一本鎖DNAのサイズマーカーを、「ds-RNA size marker」は、二本鎖RNAのサイズマーカーを、「mer」は塩基数を、「bp」は塩基対の数を意味する。
【0248】
図11から明らかなように、本発明に係る一本鎖オリゴヌクレオチドは、特別なハイブリダイゼーション工程を経ることなく、あるいは簡単な加熱、冷却操作によって分子内ハイブリダイゼーションの構造をとることが確認された。
【0249】
(実施例2、比較例2)
表2に記載されたオリゴヌクレオチドを、核酸自動合成機nS-8II(ジーンデザイン社製)を使用して調製した。標的遺伝子は、ヒトPhosphatase and Tensin Homolog Deleted from Chromosome 10(PTEN)である。なお、表2中の配列表記において、「(m)」は2’-O-メトキシエチル化ヌクレオチドを意味し、「5」は、そのヌクレオチドの塩基が5-メチルシトシンであることを意味し、「5(x)」は、そのデオキシリボヌクレオチドの塩基が5-メチルシトシンであることを意味し、その他の配列表記は、表1と同様である。
【表2】
【0250】
実施例2及び比較例3における分子内ハイブリダイゼーションは、95℃にて5分間加熱した後、37℃にて1時間、定温にて放置することで行った。ハイブリダイゼーションの確認は、非変性ポリアクリドアミドゲル電気泳動により確認した。
【0251】
[評価例3]
ヒト肝癌由来細胞株HuH-7の細胞を3000細胞/ウェルとなるように96ウェルプレートに播き、5%CO
2下37℃にて24時間培養した。表2の各オリゴヌクレオチドを、その最終濃度が1nMとなるようにLipofectamine(登録商標) RNAiMax(Thermo Fisher Scientific社製)を用いて各ウェルに添加した(トランスフェクション)。4時間後に培地を交換し、さらに20時間後に細胞を回収し、細胞からRNeasy mini kit (QIAGEN社製)を用いてTotal RNAを抽出した。
Total RNAからPrimeScript RT Master Mix(タカラバイオ(株)製)を用いてcDNAを得た。得られたcDNA及びTaqMan(登録商標)Gene Expression ID(Applied Biosystems社製)を用いて7500 Real-Time PCR System(AppliedBiosystems社製)によりリアルタイムPCRを行い、PTENのmRNA量を定量した。リアルタイムPCRでは、ハウスキーピング遺伝子のGAPDH(Glyceraldehyde-3-Phosphate Dehydrogenase)のmRNA量も同時に定量し、GAPDHのmRNA量に対するPTENのmRNA量を、それぞれPTENの発現レベルとして評価した。トランスフェクション操作を行わなかった細胞をコントロールとして用いた。結果を
図12に示す。
なお、用いたプライマーは、TaqMan Gene Expression Assay(Applied Biosystems社製)であり、Assay IDは、以下の通りであった:
ヒトPTEN定量用: Hs02621230
ヒトGAPDH定量用: Hs99999905_m1
【0252】
図12から明らかなように、本発明に係る一本鎖オリゴヌクレオチド(実施例2)はASO(比較例2)に比較して、高いアンチセンス効果を示すことが確認された。また、本発明に係る一本鎖オリゴヌクレオチド(実施例2)は、オリゴヌクレオチドで連結したHDO(比較例3)に比較して、同等以上のアンチセンス効果を示すことが確認された。
【0253】
[評価例4]
実施例2における、前記分子内ハイブリダイゼーション処理前後の非変性ポリアクリドアミドゲル電気泳動結果を
図13に示す。一本鎖DNAのサイズマーカーとして、ジーンデザイン社製電気泳動用一本鎖DNAサイズマーカーを用いた。二本鎖RNAのサイズマーカーとして、ジーンデザイン社製電気泳動用2本鎖RNAサイズマーカー用いた。なお、
図13中の略語等は、
図11と同様である。
【0254】
図13から明らかなように、本発明に係る一本鎖オリゴヌクレオチドは、特別なハイブリダイゼーション工程を経ることなく、あるいは簡単な加熱、冷却操作によって分子内ハイブリダイゼーションの構造をとることが確認された。
【0255】
(実施例3、比較例4及び5)
表3に記載されたオリゴヌクレオチドを、核酸自動合成機nS-8II(ジーンデザイン社製)を使用して調製した。標的遺伝子は、マウススカベンジャー受容体クラスBメンバー1(SRB1)である。なお、表3中の配列表記において、「(V)」は2’-O-メチルカルバモイルエチル化ヌクレオチドを意味し、その他の配列表記は、表1及び表2と同様である。
【表3】
【0256】
実施例3及び比較例5における分子内ハイブリダイゼーションは、95℃にて5分間加熱した後、37℃にて1時間、定温にて放置することで行った。ハイブリダイゼーションの確認は、非変性ポリアクリドアミドゲル電気泳動により確認した。
【0257】
[評価例5]
評価例1と同じ評価方法を用いた。表3の実施例3及び比較例5の各オリゴヌクレオチドをマウス個体あたりの投与量がアンチセンスオリゴヌクレオチド量換算で0.7μmol/kg、比較例4のオリゴヌクレオチドをマウス個体あたりの投与量がアンチセンスオリゴヌクレオチド量換算で1.4μmol/kgとなるように静脈投与した。コントロールとして、生理食塩水(大塚生食注、(株)大塚製薬工場)のみを投与した。投与3日後の肝臓組織における、CyclophilinのmRNA量に対するSRB1のmRNA量を、SRB1の発現レベルとして評価した。結果を
図14に示す。
【0258】
図14から明らかなように、本発明に係る一本鎖オリゴヌクレオチド(実施例3)はASO(比較例4)に比較して、高いアンチセンス効果を示すことが確認された。また、本発明に係る一本鎖オリゴヌクレオチド(実施例3)は、オリゴヌクレオチドで連結したHDO(比較例5)に比較して、同等以上のアンチセンス効果を示すことが確認された。
【0259】
[評価例6]
実施例3における、前記分子内ハイブリダイゼーション処理前後の非変性ポリアクリドアミドゲル電気泳動結果を
図15に示す。一本鎖DNAのサイズマーカーとして、ジーンデザイン社製電気泳動用一本鎖DNAサイズマーカーを用いた。二本鎖RNAのサイズマーカーとして、ジーンデザイン社製電気泳動用2本鎖RNAサイズマーカー用いた。なお、
図15中の略語は、
図11と同様である。
【0260】
図15から明らかなように、本発明に係る一本鎖オリゴヌクレオチドは、特別なハイブリダイゼーション工程を経ることなく、あるいは簡単な加熱、冷却操作によって分子内ハイブリダイゼーションの構造をとることが確認された。
本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドを用いることによって、アンチセンス核酸を特異性高く効率的に特定の臓器(細胞)に送達し、かつ当該核酸によって、標的RNAの機能を効果的に制御すること、及び/又は標的遺伝子の発現を効果的に抑制することが可能となる。また、本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドには、特定の臓器に送達させるための機能性分子として、脂質(例えば、トコフェロール、コレステロール)、糖(例えば、グルコース、スクロース)、タンパク質、ペプチド、抗体等の多種多様な分子を適用できるため、本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドは、様々な臓器、組織、細胞を標的とすることができる。さらには、本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドに、RNase等に対する耐性を付与するための修飾を施しても、そのアンチセンス効果は低減することはないため、経腸投与の態様でも利用できる。
したがって、本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドは、低濃度の投与により高い薬効を得ることができ、かつアンチセンス核酸の標的以外の臓器における分布を抑制することにより、副作用も低減できるという点に優れているため、代謝性疾患、腫瘍、感染症等の、標的RNAの機能及び/又は標的遺伝子の発現亢進に伴う疾患を治療、予防するための医薬組成物等として、有用である。
少なくとも1つのアンチセンス配列が、RNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチドを含む配列であり、当該アンチセンス配列部分が、前記RNaseHによって認識される少なくとも4個の連続するヌクレオチドを含む配列部分の5’側及び3’側に、隣接して結合する糖部修飾ヌクレオチドを含む、請求項4に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
アンチセンス配列が、デオキシリボヌクレオチドを少なくとも1個含む10~30個のヌクレオチドからなる配列である、請求項1から6のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
ヌクレオチド配列Yは、RNaseHによって切断される少なくとも4個の連続するヌクレオチドを含む配列である、請求項1から7のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
オリゴヌクレオチドYが、オリゴヌクレオチドYの5’側及び3’側の少なくとも一方に、1又は複数の糖部修飾ヌクレオチドを含む、請求項1から8のいずれか1つに記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。